JP 2007-61091 A 2007.3.15 (57)【 要 約 】 【課題】ぱさつき、硬くしまった一次加熱済の畜水産加工品について、容易にその保水性 を高め、軟らかな食感を付与することにより、優れた畜水産加工品を提供する。 【解決手段】加熱済の畜水産加工品に、水溶性たん白質及び/又はアルカリ塩を含むピッ クル組成物を加え二次加熱を行う。更に好ましくは、ピックル組成物に化工澱粉を併用す る。好適には、加熱済畜水産加工品の一次加熱方法がボイル又はスチーム加熱である畜水 産加工品に使用される。 【選択図】なし (2) JP 2007-61091 A 2007.3.15 【特許請求の範囲】 【請求項1】 加熱済の畜水産加工品に、水溶性たん白質及び/又はアルカリ塩を含むピックル組成物を 加え二次加熱を行うことを特徴とする畜水産加工品の食感改良方法。 【請求項2】 更に、ピックル組成物に化工澱粉を含む、請求項1に記載の畜水産加工品の食感改良方法 。 【請求項3】 加熱済畜水産加工品の一次加熱方法がボイル又はスチーム加熱である、請求項1又は2に 記載の畜水産加工品の食感改良方法。 10 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかの方法で食感改良された畜水産加工品。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、畜水産加工品の食感改良方法に関する。詳細には、予め加熱処理されて水分 が流出し、硬く締まった加熱済の畜水産加工品について、保水性を高め、軟らかな食感を 付与する畜水産加工品の食感改良方法に関する。 【背景技術】 20 【0002】 単身生活者や共働き世帯の増加、大型スーパーマーケット、コンビニエンスストア等小 売業態の多様化、電子レンジ等家庭用調理器具の普及等の要因により、家庭で温めるだけ ですぐに食することのできる食肉加工品や惣菜等の加熱調理済み食品のバリエーションが 年々広がっている。 【0003】 畜水産加工品及び惣菜においては、小分け時の二次汚染を防ぐ目的で、調理済みの商品 をパックした後、さらにスチームやボイル等の加熱処理で二次殺菌が行われることが多い 。また、畜水産加工品の原料となる食肉や水産物は海外から日本への輸入が大半を占めて おり、その際、鶏インフルエンザ等の問題から、海外で完全に加熱殺菌処理した食肉を冷 30 凍状態で輸入し、国内で原料食肉や水産物として使用する場合も増加している。 【0004】 しかしながら、一旦加熱処理した食肉は、加熱時の変性により、筋繊維が収縮、水分が 流出(ぱさつき)し、硬く締まった食感となっている上に、凍結、二次加熱処理といった 工程を経ることで、ますます食感の悪化が顕著となる傾向があった。 【0005】 一般的に食肉の保水性を高め、食感を改良する目的で、水溶性タンパク質や、高分子多 糖類、澱粉、塩類等を含む溶液(以下ピックル組成物とする)を加熱調理前の生肉や生の 水産物に加水する方法が行われてきた。そのピックル組成については、今まで数々の検討 が為されてきた。 40 【0006】 例えば、畜肉をクエン酸ナトリウム水溶液と一定時間接触させ、クエン酸ナトリウムを 肉中に浸透させた後ボイルすることを特徴とするボイル肉の食感改善方法(特許文献1) 、魚介肉及び/又は畜肉を焼成カルシウムに植物性蛋白質を配合した水溶液で処理するこ とを特徴とする魚介肉及び/又は畜肉の歩留まりを向上せしめる方法(特許文献2)、モ ノグリセリドあるいはジグリセリドとポリカルボン酸とのエステルを含有することを特徴 とする食肉用水性調味液(特許文献3)、天然糊料及び合成糊料から選ばれる少なくとも 1種の糊料とカードランを含有することを特徴とする食肉加工用ピックル液組成物(特許 文献4)等が試みられている。 【0007】 50 (3) JP 2007-61091 A 2007.3.15 しかし、上述したように、上記の方法はいずれも加熱処理する前の生の食肉に加えるピ ックル組成物に関するものであり、肉の筋肉組織が未変性であることを前提としていた。 つまり、一旦加熱処理された加熱済食肉に関しては、その食感改良の検討すら為されてい ない現状があり、一度加熱した後の食肉について、一定時間経過した後は、筋繊維が収縮 し、水分が流出し、硬く締まった食感となることが問題となっていた。 【0008】 更には、エビ、イカなどの水産物の処理剤としては、生のものや生のものを凍結解凍し た水産物に対する処理剤は、アルカリ塩を使用するものなどが知られているが(特許文献 5、特許文献6など)、いずれも生や生ものを凍結解凍した後の水産物の処理、すなわち 、加熱前の水産物を利用することを前提とされたものである。加熱済の水産物についても 10 、食肉と同様食感改良の検討もされていない状況であり、加熱済食肉と同様に食感の劣化 が問題となっていた。 【0009】 【特許文献1】特許第2675497号公報 【特許文献2】特許第3352818号公報 【特許文献3】特開平8−196233号公報 【特許文献4】特許第2885566号公報 【特許文献5】特開2006−34236号公報 【特許文献6】特開2004−81213号公報 【発明の開示】 20 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、ぱさつき、硬くしまった加熱済 の畜水産加工品について、容易にその保水性を高め、軟らかな食感を付与し、優れた畜水 産加工品を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねたところ、加熱済の畜水 産加工品に水溶性たん白質及び/又はアルカリ塩を含むピックル組成物を加えてから再加 熱(二次加熱)を行うことで、意外にも、二次加熱後の畜水産加工品の食感が軟らかく保 30 水性の高いものになり、一次加熱直後の良好な食感を再現できることを見いだした。 更に好ましくは、ピックル組成物に化工澱粉を含むことが好ましいことを見いだした。 また、本発明の食感改良方法は、特に一次加熱がボイル加熱である場合に特に効果が高い ことを見いだした。 【0012】 すなわち、本発明は、下記に示す畜水産加工品の食感改良方法である; 項1.加熱済の畜水産加工品に、水溶性たん白質及び/又はアルカリ塩を含むピックル組 成物を加え二次加熱を行うことを特徴とする畜水産加工品の食感改良方法。 項2.更に、ピックル組成物に化工澱粉を含む、項1に記載の畜水産加工品の食感改良方 法。 40 項3.加熱済畜水産加工品の一次加熱方法がボイル又はスチーム加熱である、項1又は2 に記載の畜水産加工品の食感改良方法。 項4.項1乃至3のいずれかの方法で食感改良された畜水産加工品。 【発明の効果】 【0013】 本発明により、従来利用価値の低かったボイル、スチーム等の一次加熱された食肉や水 産物の食感を改良することができ、その保水性を高め、軟らかな食感を付与し、優れた畜 水産加工品として再生することができるようになった。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 50 (4) JP 2007-61091 A 2007.3.15 本発明は予め加熱処理(一次加熱)した畜水産加工品を、水溶性たん白質及び/又はア ルカリ塩を含むピックル組成物とともに、二次加熱を行うことを特徴とする。一次加熱の 方法としては、ボイル(茹でる)、スチーム(蒸す)、焼く、油調(揚げる)、加圧加熱 処理、乾燥及びスモークより選択される1または2以上の処理方法を挙げることができる が、中でも、ボイル又はスチーム加熱の時に、本発明の食感改良効果が好ましくは発揮さ れる。一次加熱の程度としては、加熱時の変性により、筋繊維が収縮、水分が流出(ぱさ つき)し、硬く締まった食感となるまで加熱変性させた畜水産加工品にも適用することが できる。更には、前記一次加熱の後、凍結処理をした畜水産加工品にも適用することがで きる。 【0015】 10 原料の畜水産加工品としては、食肉や水産物を挙げることができる。食肉としては、牛 肉、豚肉等の畜肉、鶏肉等の家禽肉等、猪肉、鹿肉、馬肉、羊肉、山羊肉、兎肉、鯨肉等 食用に適する食肉であり、食用に適した肉であれば特に制限はない。また、水産物として は、エビ類、イカ類、カニ類、タコ類等の甲殻類、ホタテ、アワビ等の貝類、鰆等の魚類 等が挙げられる。 【0016】 本発明における水溶性たん白質とは、動物性または植物性の食品中のたん白質を濃縮、 分離、精製したもので、容易に水に分散、溶解するものならば特に限定はされないが、乳 清たん白質、分離大豆たん白質、卵たん白質のうち1種または2種以上の組み合わせを含 むことが好ましい。 20 【0017】 本発明で言う乳清たん白質とは、哺乳動物の乳から調製される乳清(ホエイ)を原料と して濃縮、分離されるたん白質である。特に牛乳由来の乳清を原料としたものが好ましく 、さらに乾物換算でのたん白質含有量が80%以上の乳清たん白質濃縮物(WPC)、乳 清たん白質単離物(WPI)等が好ましい。商業的に簡便に入手することができるものと して、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のミルプロ[商標]WG−900(製 品名)、ミルプロ[商標]L−1(製品名)を挙げることができる。 【0018】 本発明でいう分離大豆たん白質とは、脱脂大豆を原料として、アルカリ処理、酸沈殿、 中和等の工程を経て、濃縮、分離されるたん白質である。商業的に簡便に入手することが 30 できるものとして、不二製油株式会社製のフジプロシリーズ、日清コスモフーズ株式会社 製のソルピーシリーズ等が挙げられる。 【0019】 本発明でいう、卵たん白質とは、鶏卵を原料として濃縮、分離して得られるたん白質で ある。全卵または卵黄を凍結、加糖、加塩、濃縮したもの、卵白を酵素等による脱糖処理 し粉末化した卵白粉末などが挙げられる。商業的に簡便に入手することができるものとし て、キユーピー株式会社製品シリーズ等が挙げられる。 【0020】 また、本発明における水溶性たん白質の添加量であるが、ピックル組成物に対して、1 ∼15重量%、より好ましくは、3∼10重量%を添加することができる。 40 【0021】 本発明でいうアルカリ塩とは、具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ク エン酸三ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、グルコン酸ナトリ ウム、酒石酸ナトリウム等のナトリウム塩類、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、クエン 酸三カリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、グルコン酸カリウム、酒石酸 カリウム、塩化カリウム等のカリウム塩類をあげることができる。これらのアルカリ塩類 は、単品で用いてもよいし、複数のアルカリ塩類を組み合わせて使用することもできるが 、中でも、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナ トリウム、リン酸三ナトリウム、炭酸カリウム、クエン酸三カリウム、グルコン酸カリウ ム及びリン酸三カリウムから選ばれる少なくとも一種以上のアルカリ塩を用いることが好 50 (5) JP 2007-61091 A 2007.3.15 ましい。 【0022】 また、本発明におけるアルカリ塩の配合量であるが、具体的にはピックル組成物に対し て、0.1∼10重量%、より好ましくは、1∼5重量%を添加することができる。 なお、本発明ではピックル組成物に前記水溶性たん白質及び/又はアルカリ塩を含むが 、水溶性たん白質のみ、アルカリ塩のみ、水溶性たん白質及びアルカリ塩の併用、いずれ の形態でも構わない。 【0023】 本発明は、前記水溶性たん白質及び/又はアルカリ塩に加えて、化工澱粉をピックル組 成物に含むことが好ましい。化工澱粉は、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、タピ 10 オカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉などの生澱粉を原料として、アセチル化や酸化 、リン酸架橋等の化学処理を施し、耐熱性、耐冷凍性、耐酸性等の機能性を付与したもの である。本発明で言う化工澱粉は、食用に適するものであれば特に制限はされない。例え ば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、酢酸澱粉、部分アルファ化澱粉、リン酸架橋澱粉、 ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム等があげられ る。 【0024】 また、本発明における化工澱粉の添加量であるが、ピックル組成物に対して、1∼15 重量%、より好ましくは、3∼10重量%を添加することができる。 【0025】 20 本発明で言うピックル組成物は、畜水産加工品に加える調味液又は調味粉末のことであ るが、効果を損なわない限り、前述の水溶性たん白質及び/又はアルカリ塩や、必要に応 じて化工澱粉を使用する他に、糖類、食塩、増粘多糖類、ゲル化剤、発色剤、発色助剤、 酸化防止剤、調味料、香辛料及びその抽出物、甘味料、高甘味度甘味料、色素、香料、日 持ち向上剤、pH調整剤等の食品添加物、食品素材原料を適宜選択して用いることができ る。 【0026】 また、ピックル組成物の液性(pH)について、アルカリ剤を使用する場合は、他にp Hに影響を与えるものを添加しない場合、pH7∼11程度となるよう添加量を調整する のが好ましいが、酸性の調味料などを加えることもでき、その場合は、pH5∼9程度と 30 することができる。 【0027】 また、アルカリ剤を使用しない場合は、pH5∼10とするのが好ましく、更には、p H5.5∼9とするのがより好ましい。pHが5を下まわると畜水産加工品へのピックル 液の浸透性が低下し効果が得にくくなり、pHが10を越えるとアルカリ味が強くなり、 硫黄臭が発生する場合があり、風味の面で問題となる。 【0028】 加熱済(一次加熱)の畜水産加工品具材にピックル組成物を接触させる方法については 、常法により行えば良く、特に制限されない。例えば、加熱済畜水産加工品とピックル組 成物を同じ容器内に封入しタンブリング加水、または加熱済畜水産加工品にピックル組成 40 物をインジェクション加水した後に、二次加熱する方法、加熱済畜水産加工品とピックル 組成物を同じ容器内に封入し二次加熱する方法、または加温しているピックル組成物中に 、加熱済畜水産加工品を投入し二次加熱する方法、また、加熱済畜水産加工品とピックル 組成物を同じ容器内に封入し塩漬する方法等が挙げられる。ピックル組成物と接触した状 態で二次加熱することで、溶液が加熱済み畜水産加工品内部に浸透し、調味付けと共に、 保水性の向上、食感改良の効果が期待できる。加熱済畜水産加工品の形態は、薄切り、ミ ンチ状又はカッター等で細断した細切れ状等、ピックル組成物が浸透しやすい形態のもの が好ましい。二次加熱方法としては、ボイル(茹でる)、スチーム(蒸す)、焼く、油調 (揚げる)、加圧加熱処理、乾燥及びスモークより選択される1又は2以上の処理方法を 挙げることができる。 50 (6) JP 2007-61091 A 2007.3.15 【0029】 なお、本発明により食感改良された畜水産加工品として好適には、牛丼の素、豚丼の素 などの食肉を用いた総菜類、ソーセージ、肉団子(ミートボール、つくね)、ハンバーグ 、パテ、畜肉含有ケーキ、シシカバブ、ロールキャベツ、肉ギョーザ、肉シューマイ、豚 の角煮、肉の薫製、ベーコン、ハムステーキ、フライドチキン、焼き鳥、肉まん、ナゲッ トや、八宝菜、炒飯、ピラフ、カレー、シチューなどの具材、珍味、佃煮、天ぷら、揚げ 物などに使用することができる。 【実施例】 【0030】 以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明は 10 これらに何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、%は重量%を示し、 文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、「※」印は三栄源エフ・エフ・ア イ株式会社の登録商標であることを示す。 【0031】 実施例1∼2:牛丼用調味肉 下記表1の処方通りに、各原料を撹拌機(2500rpm/15分間)で攪拌溶解し、 実施例1∼2のピックル液を調製した。比較例1∼2のピックル液も実施例と同様に調製 した。 牛ともバラ肉を1.5mmスライスしたものを、沸騰した湯で2分間ブランチング(一 次加熱)した。ブランチング肉100部に対し、調製したピックル液30部を加え、ビニ 20 ルパウチに真空パックした。真空パックしたブランチング肉とピックル液含有物を、90 ℃スチーム加熱により40分間二次加熱した。急冷後、−40℃で急速凍結し、−20℃ で冷凍保存を行った。冷凍後のパックを70℃の湯浴で表面温度60℃まで解凍・加温し 、ザル上げ後の重量を測定した(表2)。 【0032】 【表1】 30 【0033】 40 (7) JP 2007-61091 A 2007.3.15 【表2】 10 【0034】 ザル上げ後の歩留まりについて、ピックル液浸漬前のブランチング肉の重量を100% とした場合の、ザル上げ後の肉の重量を%で示した。 【0035】 表2より、一次加熱後の牛肉を、実施例1及び2の水溶性たん白質を含むピックル液と 合わせて二次加熱を行った牛丼用調味肉は、比較例1及び2と比べて、ザル上げ後の歩留 りも高いことより、保水性が高まり、また、食感も再加熱後の肉の締まり、ぱさつきが抑 20 えられ、なおかつ軟らかい食感となった。更には、水溶性たん白質と化工澱粉を併用した ピックル液を使用した実施例2が、なお、軟らかい食感となり良好であった。 【0036】 実施例3:牛丼用調味肉 下記表3の処方通りに、各原料を撹拌機(2500rpm/15分間)で攪拌溶解し、 実施例3のピックル液を調製した。比較例4∼7のピックル液も実施例と同様に調製した 。牛ともバラ肉を1.5mmスライスしたものを、沸騰した湯で2分間ブランチングした 。ブランチング肉100部に対し、調製したピックル液30部を加え、ビニルパウチに真 空パックした。真空パックしたブランチング肉とピックル組成物を、90℃スチーム加熱 により40分間二次加熱した。急冷後、−40℃で急速凍結し、−20℃で冷凍保存を行 った。冷凍後のパックを70℃の湯浴で表面温度60℃まで解凍・加温し、ザル上げ後の 重量を測定した。(表4)。 【0037】 30 (8) JP 2007-61091 A 2007.3.15 【表3】 10 20 【0038】 注 1 ) 食 感 改 良 剤 : エ ス プ ロ ー ゲ ン ※ T O M 3 *: 水 溶 性 た ん 白 質 及 び 化 工 澱 粉 を 合 計 量 で75%、アルカリ塩を25%含有する製剤 注 2 ) ア ル カ リ 剤 : サ ン ポ リ マ ー ※ NO.366* : ア ル カ リ 塩 1 0 0 % 含 有 製 剤 注3)比較例5:Brixを実施例3と同等に調整 【0039】 30 【表4】 40 【0040】 表4より、実施例3及び4のピックル液を使用した牛丼用調味肉は、比較例3∼5と比 較して、再加熱後の肉の締まり、ぱさつきが抑えられ、保水性が高まり、なおかつ軟らか い食感の好ましい加工食品となった。特に、ピックル液に水溶性たん白質、化工澱粉及び 50 (9) JP 2007-61091 A 2007.3.15 アルカリ塩を併用した実施例3については、良好な効果が見られた。また、比較例4より 、ピックル液のBrixを高くしても再加熱肉の食感改良には寄与しないこと、比較例5 より、実施例3の食感改良の主な要因が、ピックル組成物のBrixではないことが示唆 された。 【0041】 実施例5∼8:スチーム鶏肉の食感改良 下記表5に掲げる処方通りに、各原料を撹拌機(2500rpm/15分間)で攪拌溶 解し、実施例のピックル組成物を調製した。鶏胸肉およびモモ肉の皮を取り除き、20g /個に切り分けたものを、コンベクションオーブンにて肉の中心温度が80℃に到達する まで95℃でスチーム加熱(一次加熱)した。 10 【0042】 実施例5及び7では、加熱した肉100部に対し、表5の処方にて調製したピックル液 30部を加え、タンブリングを1時間行い、一晩塩漬した。 【0043】 実施例6及び8では、加熱した肉100部に対し、調製したピックル組成物100部を 加え、一晩塩漬した。 【0044】 それぞれ加水後重量を測定した後、コンベクションオーブンにて肉の中心温度が80℃ に到達するまで95℃でスチーム加熱(二次加熱)した。放熱後、加熱後の重量を測定し た(表6∼7)。 20 【0045】 【表5】 30 【0046】 注 1 ) 食 感 改 良 剤 : エ ス プ ロ ー ゲ ン ※ T O M 3 *: 水 溶 性 た ん 白 質 及 び 化 工 澱 粉 を 合 計 量 で75%、アルカリ塩を25%含有する製剤 【0047】 【表6】 40 50 (10) JP 2007-61091 A 2007.3.15 【0048】 【表7】 10 【0049】 加水歩留まりについて、ピックル液加水前の加熱肉の重量を100%とした場合の、加 水後の肉の重量を%で示した。最終歩留まりについて、ピックル液加水前の加熱肉の重量 を100%とした場合の、二次加熱後の肉の重量を%で示した。 20 【0050】 表6∼7より、実施例の食感改良剤のピックル組成物を使用したスチーム鶏肉は、比較 例と比較して、再加熱後の肉の締まり、ぱさつきが抑えられ、保水性が高まり、なおかつ 軟らかい食感の好ましい加工食品となった。実施例より、ピックル組成物はタンブリング もしくは塩漬のどちらの方法でも、食感改良効果があることが示唆された。 【0051】 実施例9∼10:ボイルエビ 下記表8の処方通りに、各原料を撹拌機(2500rpm/15分間)で攪拌溶解し、 実施例のピックル液を調製した。剥きエビを沸騰した湯で2分間ボイル(一次加熱)した 。実施例ではボイルエビ100部に対し、調製した浸漬液100部を加え、一晩浸漬した 30 。加水後重量を測定した後、沸騰した湯で2分間ボイル(二次加熱)し、加熱後の重量を 測定した(表9)。比較例として、一次加熱後、ピックル液による処理を行わず二次加熱 を行ったものについて、実施例と同様の評価を行った。 【0052】 【表8】 【0053】 注 4 ) ア ル カ リ 塩 : サ ン ポ リ マ ー ※ A B 1 0 2 *: ア ル カ リ 塩 を 7 5 % 含 有 す る 配 合 製 剤 注 5 ) ア ル カ リ 塩 : サ ン ポ リ マ ー ※ A B 1 0 7 *: ア ル カ リ 塩 を 7 5 % 含 有 す る 配 合 製 剤 【0054】 40 (11) JP 2007-61091 A 2007.3.15 【表9】 10 【0055】 浸漬歩留まりについて、浸漬前のボイルエビの重量を100%とした場合の、浸漬後の ボイルエビの重量を%で示した。最終歩留まりについて、浸漬前のボイルエビの重量を1 00%とした場合の、二次加熱後のボイルエビの重量を%で示した。 【0056】 表 9 よ り 、 実 施 例 の pH 調 整 剤 の 浸 漬 液 を 使 用 し た ボ イ ル エ ビ は 、 比 較 例 と 比 較 し て 、 再加熱後の身の締まり、ぱさつきが抑えられ、保水性が高まり、エビ特有のプリプリ感が 増強された加工食品となった。 20 【0057】 実施例10∼11:ボイルイカ 下記表の処方通りに、各原料を撹拌機(2500rpm/15分間)で攪拌溶解し、実 施例のピックル液を調製した。イカを5g/個に切り分け、沸騰した湯で2分間ボイル( 一次加熱)した。実施例ではボイルイカ100部に対し、調製した浸漬液100部を加え 、一晩浸漬した。加水後重量を測定した後、沸騰した湯で2分間ボイル(二次加熱)し、 加熱後の重量を測定した(表11)。比較例として、一次加熱後、ピックル液による処理 を行わず二次加熱を行ったものについて、実施例と同様の評価を行った。 【0058】 【表10】 30 【0059】 注 4 ) ア ル カ リ 塩 : サ ン ポ リ マ ー ※ A B 1 0 2 *: ア ル カ リ 塩 を 7 5 % 含 有 す る 配 合 製 剤 注 5 ) ア ル カ リ 塩 : サ ン ポ リ マ ー ※ A B 1 0 7 *: ア ル カ リ 塩 を 7 5 % 含 有 す る 配 合 製 剤 【0060】 40 (12) JP 2007-61091 A 2007.3.15 【表11】 10 【0061】 表11より、実施例のアルカリ塩を含むピックル液を使用したボイルイカは、比較例と 比較して、再加熱後の身の締まり、ぱさつきが抑えられ、保水性が高まり、軟らかい食感 となった。 【0062】 実施例13∼14:ボイルホタテ 下記表12の処方通りに、各原料を撹拌機(2500rpm/15分間)で攪拌溶解し 20 、実施例の浸漬液を調製した。ホタテを沸騰した湯で2分間ボイル(一次加熱)した。実 施例ではボイルホタテ100部に対し、調製した浸漬液100部を加え、一晩浸漬した。 加水後重量を測定した後、沸騰した湯で2分間ボイル(二次加熱)し、加熱後の重量を測 定した(表13)。比較例として、一次加熱後、ピックル液による処理を行わず二次加熱 を行ったものについて、実施例と同様の評価を行った。 【0063】 【表12】 30 【0064】 注 4 ) ア ル カ リ 塩 : サ ン ポ リ マ ー ※ A B 1 0 2 *: ア ル カ リ 塩 を 7 5 % 含 有 す る 配 合 製 剤 注 5 ) ア ル カ リ 塩 : サ ン ポ リ マ ー ※ A B 1 0 7 *: ア ル カ リ 塩 を 7 5 % 含 有 す る 配 合 製 剤 【0065】 40 (13) JP 2007-61091 A 2007.3.15 【表13】 10 【0066】 表13より、実施例のアルカリ塩を含むピックル液を使用したボイルホタテは、比較例 と比較して、再加熱後の身の締まり、ぱさつきが抑えられ、保水性が高まり、軟らかい食 感となった。 【産業上の利用可能性】 【0067】 ぱさつき、硬くしまった一次加熱済畜水産加工品について、容易にその保水性を高め、 軟らかな食感を付与し、優れた畜水産加工品を提供できる。 20
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