「jgas2013の概要と出展メーカーの動向」「緑友会

秋 号
2013 秋季特別企画①
JGAS2013の概要と出展メーカーの動向
2013 秋季特別企画②
緑友会仙台大会レポート
京都府印刷工業組合
2013 Vol
. 624
目次
巻頭言/理事長 瀧本正明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
秋季特別企画① JGAS2013の概要と出展メーカーの動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
秋季特別企画② 緑友会仙台大会レポート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
全印工連フォーラム2013開催・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
オフセット印刷学科講習開催・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
技能検定
(オフセット印刷作業)実技試験実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
全印工連フォーラム2013 & JGAS2013 研修・見学会実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
学研との自費出版事業協業化説明会開催・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
高度化技術訓練 7〜9月講座実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
高度化技術訓練 平成25年度実施要領・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
やってみようMUD(メディア・ユニバーサル・デザイン)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
だから!共済!(各種共済制度・保険等活用事例のご紹介)
・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7月定例理事会
38
9月定例理事会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46
支部だより/下支部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
中支部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
東山支部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
会合だより/プリプレス部会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54
/京都青年印刷人月曜会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
/京都印刷協和会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
統計だより/中小企業景況調査・京都府の概況より・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
組合員ニュース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61
ビデオ・DVD貸し出しのご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
事務局からのお知らせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65
印刷会館利用状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65
組合日誌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
2014全日本印刷文化典京都大会のご案内(H26.10.24〜25)
・
・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
組合員異動
69
訃報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
編集後記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
秋号表紙イラストレーション コンセプト
「dance」
秋の季節になると、いちょうの葉っぱたちはゆらゆらと踊り始めます。色とりど
りに染められたドレスを纏って…。わたしはこども時代、秋が来るとそんなことを
頭の中で描いては遊んでいました。そんなこどもの頃の世界を表現しました。
京都造形芸術大学こども芸術学科こども芸術コース4回生 島田 紗希
巻頭言
京都府印刷工業組合理事長
瀧本 正明
天災は忘れた頃にやって来る。
50年に一度の大水とはいうものの、まさか渡月橋が冠水するなど思いもよらない出
来事が現実に目の前で起きました。
台風が直撃した9月16日は、午前4時頃から携帯電話に緊急速報メールが何度も入
りました。窓を開けてみると、暗闇のため桂川の状態は掴めませんでしたが、公園の
杉の木が大物を釣り上げた竿のように大きくしなっており、とても寝ていられるよう
な状況ではありませんでした。
さらに緊急速報メールが続き、桂川が氾濫する恐れがあるので近くの小学校へ避難
するようにとの指示。その30分後には市役所の車がやってきて、スピーカーで避難を
呼びかける放送が始まりました。しかし、土砂降りの闇夜の中、加えて突風が吹き荒
れる気象状況では避難する方が危ないと判断し、自宅での待機を続けました。
6時頃にようやく夜が明けましたが、家の前の公園を見ると、川の水位は一つ目の
堤防を完全に超え、
普段は子供たちが遊んでいる滑り台やブランコが半分ほどつかり、
濁流が恐ろしい勢いで流れていました。東日本大震災のときの津波と同様、人間の力
が到底及ばない自然の猛威を垣間見た気がしました。これまで京都だけは何があって
も心配は要らないと思っていましたが、今回の台風を経験し、絶対安全な場所など無
いと思い知らされました。
今回の台風直撃に際し、テレビのニュース番組では渡月橋の冠水を何度も繰り返し
放映しました。その影響もあるのでしょうか、私の自宅は渡月橋から離れているため
被害に遭っていないのですが、
放送を見た知人からの連絡が絶えませんでした。一方、
台風が去った後は、渡月橋近辺や中之島公園の復旧のため、全国から多くのボランテ
ィアの人たちが毎日集まってくれました。今さらながら、マスメディアの持つ影響力
の大きさを実感しました。
ボランティアの方々のご尽力のおかげで、少しずつではありますが、もとの美しい
2
● ●
嵐山の姿を取り戻しつつあります。本誌が皆様のもとに届く頃には、紅葉に映える嵐
山を目にすることが出来るでしょう。私も一地元民として、公園の流木掃除や瓦礫の
撤去作業を行っています。台風被害からの復旧を遂げ、本来の美しさを取り戻した嵐
山に是非お越しください。
なお、台風18号直撃の影響で、京都府内においても多くの地域が被災を受けました。
豪雨被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧を
お祈り申し上げます。
さて、去る10月4日に開催された「全印工連フォーラム2013」では、印刷産業の新
たな成長戦略「『印刷道』~ソリューション・プロバーダーへの深化」が発表されま
した。新たな成長戦略では、印刷会社がソリューション・プロバイダーとして持続可
能な成長を果たし、未来を創る印刷産業へと進化を遂げるための方向性が提案されて
います。
ソリューション・プロバイダーとは、クライアントや社会が抱える諸問題を解決す
る存在です。私達印刷業界は、元来より顧客のプロモーションをサポートし、プロモ
ーションに関するあらゆる課題の解決を業務としてきました。私達の技術やノウハウ
を活かすことで、従来の印刷業にとどまらず、マーケティングや企画、宣伝等、前後
の行程に関わる事業にも領域を広げることが可能になります。
組合員各位におかれましては、印刷を核としながらも、蓄積された技術やノウハウ
等、独自の経営資源を有効活用し、各々の得意とされる分野でのソリューション・プ
ロバイダーを目指していただきたい。そうすることで、多様化する価値観の中で生ま
れてくる新たなニーズにも順応することができ、事業領域の拡大にも繋がるのではな
いでしょうか。
最後になりましたが、
「2014全日本印刷文化典京都大会」
(平成26年10月24日~25日 於 ウェスティン都ホテル京都)の開催まであと1年となりました。現在、実施要領を
策定するため、実行委員会等で活発な協議が行われています。
京都大会におきましては、印刷需要の拡大に成功されている組合員仲間の販促ツー
ルやノウハウをご紹介する「販促アイデアグランプリ2014」の併催を予定しています。
本企画展の開催を通して、来場される組合員各位に印刷需要の喚起に結び付くヒント
を掴んでいただくとともに、双方にプラスとなる組合員間の連携やコラボレーション
に発展すればと期待しております。
「2014全日本印刷文化典京都大会」の開催を契機に、京都、そして日本全国の印刷
業界に活気を呼び起こしたいと思っています。組合員各位の皆様におかれましては、
印刷文化典の開催趣旨にご理解のうえ、ご支援・ご協力を賜りますよう切にお願い申
し上げます。
3
● ●
2013.10
2013 秋季特別企画①
2013 秋季特別企画①
JGAS2013の概要と出展メーカーの動向
株式会社モトヤ 技術部 開発課 田頭 利民氏
秋期特別企画の第1部では、株式会社モトヤ京都支社様ご協力のもと、「JGAS2013」(10月2日
(水)∼
5日
(土)於 東京ビッグサイト)の概要と出展メーカーの動向についてご紹介いたします。出展各社の最新
設備の特徴や、「IGAS2011」
、
「drupa2012」など過去の機材展から繋がる技術動向を「印刷機材商社」の
目線で詳しく解説していただいておりますので、今後の業界動向を占ううえでも大変参考になると思いま
す。是非ご一読ください。
した講演、セミナー、パネルディスカッションな
はじめに
どを紹介する「+Session」、JGASの見どころを
スタンダード、プレミアム、テーマフォーカスの
10月2日
(水)
から5日
(土)
の4日間、東京ビッ
3つのコースで紹介する「+Tour」、ライブイベ
グサイト東館1ホールから3ホール、6ホールを
ントやデジタルサイネージによる情報発信を行う
使用して、JGAS2013が開催された。
特別スペース「+Live Studio」、そしてフレキソ
JGASは国内とアジア地域を対象とした国際展
印刷、ITシステム、環境印刷、先進技術等のテ
示会という位置付けで、4年に一度開催されてお
ー マ ゾ ー ン を 2 ホ ー ル の 中 央 に 設 置 し た「 +
り、今回で4回目の開催となる。
Park」の4つのテーマに沿った+αの企画・展
示会が行われていた。
JGAS2013の概要
①テーマ
前回
(JGAS2009)
⇒ 印刷が創る未来、守る環境
今回⇒Print+α プリントメディアの新たな挑戦!
②出展規模
前回⇒出 展社252社、東館4ホール使用、開催
「6ホールの風景」
期間4日間、来場者約69,811人
今回⇒出 展社229社、東館4ホール使用、開催
期間4日間、来場者約31,237人
※小 森が70小間、ホリゾンが65小間、FFGSが
61小間、HPが54小間の規模で出展
③新たな試み
今回のJGAS2013では、6ホールすべてを使用
2ホールの中央に設置された「+Park」ゾーン
4
● ●
JGAS2013の概要と出展メーカーの動向
きるところも特長である。生産性は、生産強化モ
出展メーカーの動向
ード(黒をCMYの3色合成によって表現するモー
ド )でB2片 面4,600枚/時( 標 準 モ ー ド で は 4 色
デジタル印刷機・プリンタ関連メーカー
3,450枚)の速度で印刷。なお、品質(HPエレクト
①日本ヒューレット・パッカード
ロインキによりオフセット印刷と同等の質感・高
「デジタル印刷による印刷の価値拡大」をテー
解像度モード2,438dpi)や対応用紙(2,500種類以
マに、新たなソリューションとビジネスの可能性
上)は前シリーズと同様。
【HP Latex3000プリンタ】
を提案。
主な出展機種としては、デジタル印刷機「HP
新HP Latexインクを搭載したワイドフォーマ
Indigo」シリーズを中心に、drupa2012で発表さ
ットインクジェットプリンタの最新モデル。今回
れた商業印刷やフォトビジネス向けのB2サイズ
搭載された新HP Latexインクは、溶剤インクと
対応「HP Indigo10000デジタル印刷機」や、オ
水性インクの特性を組み合わせた水性インクで、
フセット用紙や合成紙、塩ビフィルム、壁紙など
プリントされたインクはプリンタ内部で完全に硬
の素材に印刷可能なHP Latexインク搭載のワイ
化し、すぐにラミネートなどの加工を施すことが
ドフォーマットインクジェットプリンタ「HP
で き る。 プ リ ン ト 幅 は 最 大3.2m、 厚 さ は 最 大
Latex3000プリンタ」
、そして、紙器やパッケージ、
0.8mmで、水性インクによる環境対応と屋外の耐
POP、建装材など厚みのある素材に直接プリント
候性、オフセット用紙や合紙、塩ビフィルム、壁
できるフラットベットUV硬化型インクジェット
紙などの多彩な素材への対応力をアピール。印刷
プレス「HP Scitex FB7600インダストリアルプ
スピードは一般屋内品質で77㎡/時、屋外品質で
レス」など、国内初披露となる製品を出展。
120㎡/時、解像度は1,200dpi、カラーはCMYK+
【HP Indigo10000】
ライトシアン、ライトマゼンタの6色。
【HP Scitex FB7600インダストリアルプレス】
前シリーズ
(Indigo7500など)のA3ノビ機では、
十分な小ロットに対応できなかったということも
新色のオレンジとブラックを含む最大8色のイ
あって、シリーズ初となるB2対応のデジタル印
ンクが利用可能な、紙器、パッケージ、POP、サ
刷機を今年の6月から発売している。B2対応に
イン・ディスプレイ向け新フラットベットUV硬
よって、印刷領域が前シリーズ機に比べて2.57倍、
化型インクジェットプリンタ。プリントは最大
最大で400%の面付け効率となり、生産性の向上
1.65m×3.2mの発泡ボードやポリカーボネート、
と低コストの実現を謳っている。また、オフセッ
ポリエチレン素材、段ボールなどへの印刷が可能。
ト印刷のパレットがそのままセットできるパレッ
印刷スピードは最大500㎡/時(最大サイズのシー
トフィーダ
(850mm、120gsm換算で8,500枚)を新
トで95枚/時)、解像度は600dpi、カラーは標準で
たに開発し、現行のオフセット印刷環境
(用紙、
CMYK+ライトシアン、ライトマゼンタ6色、
パレットフィーダ、後加工機など)を有効活用で
オプションでホワイト、オレンジ、ライトブラッ
クがある。また、品質と速度を向上させたハイエ
ンドモデルHP Scitex FB10000もあるが、実機展
「HP Indigo10000」
「HP Latex3000」
5
● ●
2013.10
2013 秋季特別企画①
「HP Scitex FB7600」
示は無くサンプル展示のみであった。
その他,HPでは枚葉モデルのIndigo7600など
も出展されていた。
「Oce Color Stream3000Zシリーズ」
②キャノンマーケティングジャパン
主な出展機種としては、カラー&モノクロ連帳
プラスチックカード、ホイル紙などへの印刷が可
イ ン ク ジ ェ ッ ト プ リ ン タ「Oce Color
能。最大印字幅は17インチ(432mm)、最大用紙
Stream3000Zシリーズ」
、モノクロ連帳プリンタ
幅は18インチ(456mm)で、印刷スピード別に、
「Oce VarioStream7170」
、モノクロプロダクショ
7110(A4片面114ページ/分)、7170(A4片面150
ンプリンタ「Oce VarioPrint6000Ultre+シリー
ページ/分)の2機種を取り揃えている。会場では、
ズ 」、42 イ ン チ 大 判 カ ラ ー プ リ ン タ「Oce
7170モデルを出展しており、発売は2014年春頃を
予定している。
ColorWave900」などの参考出品や新製品を出展。
【Oce VarioPrint6000 Ultra+シリーズ】
【Oce ColorStream3000Zシリーズ】
ColorStream3000シリーズをベースに開発され
IGAS2011でも出展されていたモノクロプロダ
た、モノクロからフルカラーの他、MICRインク
クションプリンタVarioPrint6000Ultraシリーズ
(偽造防止等に使われる磁気インク)
やセキュリテ
(キャノンでは2010年取り扱い開始)の後継機種。
ィインクなどの特色インク2色を含む、6色まで
最大の特徴は、2機の転写・定着ベルトを同時に
搭載可能な連帳インクジェットプリンタ。最大印
駆動し、1回の通紙で両面を同時に印刷(1パス
刷幅は21.25インチ
(540mm)で、印刷スピード別
両面同時印刷:Oce Geminiテクノロジー)するこ
に3200Z
(48m/分)
、
3500Z
(75m/分)
、
3700Z
(100m/
とにより、高速印刷が可能で、表裏見当が向上し
分)の3機種を取り揃えている。3000Zシリーズ
ている点である。Ultra6000+シリーズでは大きな
は名前の通り、請求書やダイレクトメール、トラ
機能追加はされていないようだが、印刷サンプル
ンスプロモなどで使用されているZ紙に対応した
を目視で見る限り表裏のズレはなかった。印刷ス
モデルで、Z紙とロール紙の同時供給や、モノク
ピード別に、6160 Ultra+(A4両面170ページ/分)、
ロからカラー、片面から両面など、印刷業務のボ
6200 Ultra+(A4両面200ページ/分)、6250 Ultra
リュームにあわせてシステムを拡張することがで
+(A4両面250ページ/分)、6320 Ultra+(A4両面
きる。会場では、排出部にフンケラーのリワイン
314ページ/分)の4機種を取り揃えており、会場
ダー(RW6)を接続して展示。発売は2014年4月
では6320 Ultra+を出展。発売は2014年1月中旬
を予定している。
【Oce VarioStrem7100シリーズ】
少量多品種の帳票印刷や、様々な用紙対応を必
要とする小規模から中規模印刷向けの乾式電子写
真方式
(LED露光)のモノクロ帳票プリンタ。非
接触フラッシュ定着方式の採用により、熱圧定着
方式に比べて低温で定着することができ、熱に弱
「Oce VarioStream7170」
い印刷メディアである圧着紙やラベル紙、薄手の
6
● ●
「Oce VarioPrint6000ULTRA
+シリーズ」
JGAS2013の概要と出展メーカーの動向
【KM-1】
頃を予定している。
【Oce ColorWave900】
drupa2012でも技術展示されていた製品で、コ
今年の8月に開催さ
ニカミノルタのインクジェット技術と、小森の搬
れ た PRINT13 で 発 表
送技術を融合した最大29インチまでの用紙に対応
さ れ た 42 イ ン チ
したフルカラーUVインクジェットデジタル印刷
(1,067mm)の大判カラ
機。片面印刷で3,300枚/時、両面印刷で1,650枚/
ーインクジェットプリ
時の印刷が可能。標準B2サイズよりさらに大き
ン タ。 解 像 度1,600×
いサイズ585×750mm(23インチ×29インチ)に
800dpi で 1,100 ㎡ / 時
対応したことにより、用紙の活用範囲を拡げ、広
(18m/分 )の 高 速 プ リ
範囲のギャンギングジョブをこなすことができ、
ントを可能にし、建築
ショートラン印刷やバリアブル印刷への対応力を
「Oce ColorWave900」
建設業界やGIS業界、
強化している。また、新たに開発されたUVイン
グラフィックス業界を含む幅広い業種での利用を
クにより、一般的なオフセットのコート紙や非コ
想定している。今回の展示では、参考出品という
ート紙、凹凸のあるメディアへの印刷も可能。発
こともあり、発売時期、価格とも未定とのことで
売時期については2014年末頃を予定。
ある。
④リコー
③コニカミノルタ
「Customer's Customer Success(CCS)」 の 企
「コニカミノルタのさらなる進化〜デジタル印
業コンセプトのもと、各種プロダクションプリン
刷が可能とする印刷ビジネスの訴求〜」をコンセ
タを出展。
プトに出展。
ブース内には、POPやデザイン・広告市場にお
主な出展機種としては、カラーデジタル印刷シ
けるカンプ出力などのニーズに対応するカラープ
ステム「bizhub PRESS C1070シリーズ」が新製
ロダクションプリンタ「RICOH Pro C5110S」や、
品として出展されていた。また、小森と共同開発
モノクロ機としては初めて面発光型半導体レーザ
し て い る29イ ン チ 枚 葉 イ ン ク ジ ェ ッ ト 印 刷 機
ーVCSEL技術と、新微粒子トナーを採用したモ
「KM-1」については、メインブースでのスクリー
ノクロプロダクションプリンタの最上位機種
「RICOH Pro8120S」、そして参考出品となる「大
ン上での紹介とカタログ配布のみであった。
【bizhub PRESS C1070】
判インクジェットプリンタ」などを出展。
【大判インクジェットプリンタ】
すでに販売されている「bizhub Press C7000」
の上位機種で、エンジンと用紙搬送性の向上、メ
水性のラテックスインクを採用した大判インク
ディア対応力を強化し、
さらに新重合法トナー
「デ
ジェットプリンタ。カタログ等も無く詳細は不明
ジタルトナーHDE」の採用により、品質面の向
だが、発売時期は2014年1月を予定。
上も図られている。発売は2014年2月を予定して
いるとのこと。
「bizhub Press C1070」
「大判インクジェットプリンタ」
7
● ●
2013.10
2013 秋季特別企画①
【MHL18A-3000】
⑤ミヤコシ
主な出展機種としては、フルカラーインクジェ
LED-UVを採用したラベルや軟包装、カートン
ットプリンタ「MJP20EX-6000」や、小ロットラ
印刷向けオフセット印刷機。LED-UVの採用によ
ベル生産機「MKD13A-1000」
、LED-UVスリープ
る省エネルギー対応と、単層フィルム等、熱によ
式オフセット輪転機「MHL18A-3000」などの製
り伸縮しやすい基材への印刷が可能。印刷速度は
品を出展。
100m/分で、最大印刷幅は457mm(13Aモデルは
【MJP20EX-6000】
330mm)、 最 大 用 紙 幅 は470mm(13Aモ デ ル は
350mm)、用紙厚は15〜300μm。
drupa2012で発表された製品で、新開発の水性
顔料インクの採用と、従来の600dpiから2倍の解
像度をあげるために1,200dpiヘッドを採用し、イ
ンクジェット専用紙以外にも印刷可能なMJPシ
リーズのエントリーモデル機。また、特色2色を
新 た に 追 加 す る こ と が で き、 1 タ ワ ー で 最 大
6c/6cのA3表裏印刷を実現。
「MHL18A-3000」
※ミヤコシでは、機器の写真撮影禁止のため、
上記写真はミヤコシのWebサイトから入手
生産 性 と し て は、1,200×1,200dpiで80m/分、
1,200×600dpiで160m/分の印刷が可能で、最大用
紙幅は520.7mm(最大印刷幅は508mm)
。
⑥ミマキ
【MKD13A-1000】
drupa2012で初めて一般公開された、フルカラ
「インクジェットオンデマンドで付加価値創造、
ーデジタルプリンタとレーザー加工機をインライ
プリントビジネス拡大」をテーマに、ワイドフォ
ンで組み合わせたシステム。プリンタ部はコニカ
ーマット印刷・デジタル加飾・パッケージモック
のC7000を改造し、給紙からデジタルプリント、
アップの3つのソリューションを紹介。
無版でのレーザー加工、巻き取りまでをワンパス
主な出展機種としては、LED-UVフラットベッ
で行う。最大用紙幅は330mmで、最大給紙ロー
トインクジェットプリンタ「UJF-3042HG」、ラ
ル径は500mm。
テックスインク向けプリンタ「JV400LXシリー
生産性としては、ロールtoレーザー加工機/ロ
ズ」、UJF-3042HGに自動搬送装置を取り付けた
ールの構成で9m/分、ロールtoロール
(レーザー
自 動 ダ イ レ ク ト プ リ ン ト シ ス テ ム「Print
ROBO30」などの製品を出展。
加工機なし)の構成で18m分。発売は1年先頃を
【Print ROBO30】
予定しているとのこと。
UJF-3042HG に自動搬送装置を取り付けたシス
テムで、給紙ユニット+プリントステーション+
回収ユニットで構成されている。
給紙ユニットには50枚の治具パレットを収納す
るマガジンストッカーを搭載し、治具パレット
(A3相当)1つあたり6分で印刷。スマートフォ
「MJP20EX-6000」
※ミヤコシでは、機器の写真撮影禁止のため、
上記写真はミヤコシのWebサイトから入手
ンケースなら8時間の無人運転で600個を仕上げ
「MKD13A-1000」
「Print ROBO30」
8
● ●
JGAS2013の概要と出展メーカーの動向
ることが可能。また、治具パレットのセット順な
の多彩な制作が可能。解像度は1,440dpiで、イン
どのミスを回避するためのバーコード認識機能
クはCMYKの4色以外に、ライトシアン、ライ
や、差し込みプリント機能なども搭載。
トマゼンタ、ライトブラック、メタリックシルバ
⑦ローランドディー.ジー.
ー、ホワイトの中から7色、8色の組み合わせが
大判インクジェットプリンタやフラットベット
選択できる。発売はVS-640iとVS-540iは2013年10
インクジェットプリンタ、
溶剤プリンタなどを紹介。
月、VS-300iは2013年12月。
主な出展機種としては、LED-UVインクジェッ
トプリンタ「VersaUV LEF-20」
、低溶剤大判イ
プリプレス関連メーカー
ンクジェットプリンタ「VersaCAMM VS-540i」
①富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ
などの新製品を出展。
「 戦 略 を 拡 げ、 事 業 を 拓 く 力。EXPAND
【VersaUV LEF-20】
YOUR SUCCESS」をテーマに、デジタルプレス、
スマートフォンやフォトアルバムなどの厚紙素
ワードフォーマット、パッケージ、ワークフロー、
材に印刷可能なUV-LEDインクジェットプリンタ
環境対応CTPの5つのゾーンに分けて紹介。
で、すでに販売されている「LEF-12」の上位機種。
デジタルプレスゾーンでは、紙器、パッケージ
プリント領域を508×330mmに拡げ、光量をアッ
分野をターゲットとした厚紙対応のB2枚葉イン
プしたUV-LEDランプを新たに採用。生産性は
クジェットデジタル印刷機「Jet Press720F(仮
CMYK印刷で1.37㎡/時であるとのこと。なお、
称)」、富士ゼロックス製の連続紙インクジェット
展示機には、オプションの専用脱臭装置
(本体下)
プ リ ン タ「1400 inkjet color continuous feed
が取り付けられており、印刷時の悪臭や揮発性物
printing system」などの機器を出展。ワイドフ
質を除去している。
ォーマットゾーンでは、LED UVプリンタ「Acuity
LED1600」を出展し、ラミネート加工が不要な
UVインクジェット専用の多機能PETフィルム
「FUJI PET FILME MF-250」
の機材を紹介。
また、
パッケージゾーンでは、彫刻型フレキソ製版シス
テム「FLENEX DLEシステム」を参考出品し、
パッケージソリューション「GRANPACS」にお
いて、独ウィンドミュラー&ヘルシャー社のフレ
キソ印刷機を含む軟包材市場向け水性フレキソ印
刷のソリューションを紹介し、多数のサンプルも
「VersaUV LEF-20」
展示。
【VersaCAMM VS-540i】
サイングラフィック向け低溶剤大判インクジェ
ットプリンタ「VersaCAMM」シリーズに、64イ
ンチ幅のVS-640i、54インチ幅のVS-540i、30イン
チ幅のVS-300iの3機種が新らたに加わり、会場
にはVS-540iを出展。
VS-iシリーズでは、最新のECO-SOL MAX2イ
ンクを採用し、表現できる色域を拡げると共に、
パッケージソリューション「GRANPACS」の様子
新たにライトブラックインクにも対応し、グレー
【Jet Press720F(仮称)
】
バランスの階調表現を向上させた。また、印刷後
に用紙を自由な形状にカットできる独自技術「プ
drupa2012で発表された、紙器、パッケージに
リント&カット」機能を搭載し、大判のウィンド
対応するJet Pressシリーズの新製品。0.6mmまで
ウディスプレイから、POP、シール・ラベルまで
の厚紙に対応し、ニス加工を一貫処理するインラ
9
● ●
2013.10
2013 秋季特別企画①
インニスコータ
(水性またはUVニス)をオプショ
ット加工)を表面に施すことで、後加工でのマッ
ンで接続できる。また、最大用紙サイズは750×
トラミネートが不要。サイズは、幅2,100mm×
532mmで、解像度1,200dpiのシングルパス方式に
50m、1,620mm×30mの2種類が用意されており、
より、2,700枚/時
(A4換算で180枚/分)
の印刷速度
今回の展示会では、Acuity LED1600で印刷した
と、オフセット印刷機と同等の品質を謳っている。
サンプルを展示。
今回の展示機器には、インラインニスコータは接
続されていなかった。なお、ランニングコストの
損益分岐点は1,000枚とのことであった。
「Acuity LED1600でMF-250に印刷している様子」
【FLENEX DLEシステム】
B2サイズのDLE(直接描画)方式のフレキソ
CTP版システム。従来のLAM方式のシステムに
比べて、UV露光や乾燥処理などの工程が不要と
「Jet Press720F説明風景」
なり、省力化と効率化を図り、またレーザーで直
「Jet Press720F(仮称)」
接彫刻を行うことによって、現像処理工程も必要
【1400 inkjet color continuous feed printing
とせずVOCの発生もない。なお、本システムは
system】
「FLENEX DLEセッター」と「彫刻型フレキソ
総重量7,630kg床荷重500kg/㎡の軽量・耐荷重
版GD-F」で構成されており、近日発売予定との
設計と、ロールtoロール両面フルカラーの構成で
こと。
幅8,200×奥行2,490×高さ1,780mmの最小サイズ
を実現し、2階以上のフロアーへの設置が可能に
なった2システムのプリントエンジン搭載のフル
カラー連続紙インクジェットプリンタ。
生産性は、
解 像 度600dpiで フ ル カ ラ ー両 面1,312ペ ージ/分
(A4サイズ換算)の速度で印刷。また、当社独自
「FLENEX DLEシステム」
開発のコントローラにより、バリアブル印刷での
②大日本スクリーン
処理速度も高めている。
「Print the Difference 〜変わろう。印刷ビジネ
スのオンリーワンへ」をテーマに,バリアブルゾ
ーン、ラベル印刷ゾーン、ワークフローゾーンに
分けて紹介。
バリアブルゾーンでは、フルカラーバリアブル
プ リ ン テ ィ ン グ シ ス テ ム「Truepress
Jet520ZZ」、 ラ ベ ル ゾ ー ン で は「Truepress Jet
「1400 inkjet color continuous feed printing system」
L350UV」など、国内初出展の機器を出展。
【Truepress Jet520ZZ】
【FUJI PET FILM MF-250】
ハードコート処理で、搬送部の傷に強く、ホコ
Truepress Jet520シリーズの機能を継承した、
リの付着やインクミスト飛散を防ぐ静電防止機能
DMや小ロットのブック作成などをターゲットと
を備えたUVインクジェットプリンタ用PETフィ
した20インチ幅連帳のフルカラーバリアブルイン
ルム。また、富士フイルム独自の光拡散加工
(マ
クジェットプリンタ。Jet520ZZでは、検査装置
10●
●
JGAS2013の概要と出展メーカーの動向
をインライン接続でき、システム内部にカメラを
は「KM-1」)。解像度1,200dpiによるオフセット
搭載し、
RIP(EQUIOS)
処理時に作成した画像と、
印刷と同等の品質や、独自UVインク(コニカミノ
カメラで撮影した画像とをリアルタイムに比較検
ルタが開発)採用による後加工適正、データ内容
査するJetInspection(インライン検査システム)
に応じて片面・両面印刷を自動切り替えすること
で、バリアブル印刷の全面、全量検査が可能。生
による多品種・小ロットへの対応、厚紙(片面印
産性は、解像度720×360dpiで220m/分の速度で
刷時0.6mm、両面印刷時0.45mm)によるパッケー
印 刷。 用 紙 幅 は 最 大 520mm( 印 刷 幅 最 大
ジ印刷への対応などを謳っている。
デ モ で は、 印 刷 工 程 管 理 ソ フ ト ウ ェ ア
502mm)
。
【Truepress Jet L350UV】
「K-STATION」を使用して、Impremia IS29で3
drupa2012で参考出品されたワンパスヘッド搭
種類のポスターを各1枚印刷するデモを行い、小
載のラベル業界向けUVインクジェットプリン
ロットへの対応力をアピール。
タ。今年10月から発売され、特殊コードによるセ
発売時期は、2014年春頃(コニカミノルタの説
キュリティ印刷に対応し、解像度600dpiで50m/
明員の話では2014年末頃だった)。
分の速度で印刷。用紙幅は最大350mm(印刷幅
最大322mm)で、インクはCMYK+ホワイト
(オ
プション)を用意。また、2014年4月以降にはラ
ミネートやニス、ダイカット、カス上げ巻き取り
などの後加工機とのインライン接続にも対応予定。
「Impremia IS29」
※小森では、機器の写真撮影禁止のため、
上記写真は小森のWebサイトから引用
②リョービ
「EVOLVING WITH YOU(お客様と共に進化
するリョービ)」をテーマに、印刷の短納期化や
「Truepress Jet520ZZ」
省エネに適したLED-UV印刷システムを搭載した
「Truepress L350UV」
A全判高速オフセット8色印刷機「RYOBI928P」
と、国内初披露となるミヤコシと共同開発してい
オフセット印刷機関連メーカー
るB2液体トナー方式デジタルオフセット印刷機
①小森コーポレーション
「RYOBI DP760」を出展。
「KOMORI OnDemand」をメインテーマに、
【RYOBI928P】
オフセットとデジタルの融合による印刷の可能性
反転装置上と排紙部の2か所にLED-UV乾燥装
について提案。
置を搭載し、ワンパス両面UV速乾印刷や、全自
主な出展機種としては、国内初披露となる29イ
動同時刷版交換装置「Smart-RPC」による4版同
ンチ枚葉インクジェットデジタルプリンティング
時交換(従来5分程度かかっていた版交換が2分
システム「Impremia IS29」や、H-UV搭載A全
程度に短縮)を実演。
判4色オフセット枚葉印刷「LITHRONE A37」
、
そして印刷工程管理ソフトウェア「K-STATION
Ver.4」を出展。
【Impremia IS29】
drupa2012でも技術展示されていた製品で、コ
ニカミノルタのインクジェット技術と、小森の搬
送技術を融合した製品
(コニカミノルタの製品名
「RYOBI928P」
11●
●
2013.10
2013 秋季特別企画①
後加工機関連メーカー
【RYOBI DP760】
昨年のdrupa2013ではミヤコシブースに参考出
①ホリゾン
品された製品で、リョービの用紙搬送技術と、ミ
「儲かる少量高生産〜印刷製本業界の将来はホ
ヤコシの超微粒子液体トナー電子写真技術を融合
リゾンでガッチリ!」をテーマに、20種類のポス
し、解像度1,200dpiで毎時6,000枚の高速印刷と、
トプレス機器を出展。メインとなるプレゼンテー
バリアブル印刷など、枚葉オフセット印刷機とデ
ションゾーンでは,デジタル印刷後の加工処理を
ジタルプリントの双方のメリットを備えた湿式電
イメージした「無線綴じ製本」と「中綴じ製本」
子写真方式のデジタル印刷機。
の流れを紹介。
今回、新しくオペレーションスタンドを排紙部
無線綴じ製本の流れでは,大日本スクリーンの
に一体化した小ロット対応のローデリバリーモデ
「Truepress Jet520」で印刷されたロールをフン
ルを開発。デモでは3つのジョブを50部ずつ裏面
ケラーのロール給紙装置(アンワインダUW6)、
に後刷りする連続印刷や、
バリアブル印刷を実演。
カット装置(クロスカッターCS6)を介して、
「AF566F Digital」で折り加工、「PSX-56(パイル式
プレススタッカー)」で1冊ずつ本身をコンベア
へ排出し、バリアブル機能を搭載した9クランプ
タイプ自動無線綴機「SB-09V」で製本、最後に
三方断裁機「HT-1000V」で異なるジョブを仕上
げる流れを紹介。
「RYOBI DP760」
「RYOBI DP760の排紙部」
③三菱重工印刷紙工機械
「Brand DIAMOND with your next stage「安
心と信頼を未来につなぐ」〜Brand DIAMOND
はお客様とともに成長し続けます」をテーマに、
「AF-566F Digital + PSX-56+ SB-09V+ HT-1000V」
菊 全 枚 葉 5 色 オ フ セ ッ ト 印 刷 機「DIAMOND
また,中綴じ製本の流れでは,キャノンのOce
V3000LS-5」を出展。
【DIAMOND V3000LS-5】
Color Stream3500で印刷されたロールを、フンケ
ラーのロール給紙装置
(アンワインダUW6)
、カット
オゾンレスで発熱が少ない新型「LED-UV乾燥
装置」や、積まれた紙を真空吸着ベルト1本でス
装置
(クロスカッターCS6)
を介して、中綴じ製本シ
ムーズに搬送する「スキルレス・フィーダ」
、1
ステム「StitchLiner6000 Digital」へ搬送し、毎回
枚1枚の濃度制御と品質検査を制御するインライ
異なる内容、枚数の冊子を仕上げる流れを紹介。
ン品質制御装置「DIAMOND EYE-S」
、本機校正
が効率よく行える「本機校正機能
(PRF機能)
」を
搭載して紹介。リョービ同様、4版同時交換のデ
モを行っており1分程度で版交換が完了した。な
お、LED-UVはパナソニック製を使用。
「StitchLiner6000 Digital」
そ の 他, ハ イ ス ピ ー ド オ ン ラ イ ン フ ィ ー ダ
「HOF-400」、 小 型 全 自 動 設 定 平 行 折 機「AF「DIAMOND V3000LS-5」
12●
●
JGAS2013の概要と出展メーカーの動向
406T6F」
、ロータリーダイカット「RD-4055」な
速度で処理できる。抜型も1面制作してセットす
どの製品を出展。
るだけで、複数面付けされた用紙を型抜き加工で
【HOF-400】
きる。なお、厚さは0.5mm(抜きのみ)まで対応
できる。
中綴じ製本システムに接続可能な給紙装置。従
来のフィーダよりも幅広い紙質の給紙に対応し、
表紙給紙、用紙挿入、ブリードトム、筋入れなど、
用途に応じたシステム構成が可能。生産性は、
A3で25,000枚/時、A4で35,000枚/時のスピードで
処理。また、標準装備のマークセンサーにより、
1冊ずつ枚数の異なるバリアブル冊子にも対応。
「RD-4055」
会場では、ハイスピードフィーダ「HOF-400」
②デュプロ
と集積装置「AC-400」
、中綴じ折り製本システム
「想像を超える創造」をスローガンに、封筒仕
「SPF-200A」などを接続して展示。
様のインクジェット印刷機「DIJ-200」や「DIJ-200
In-Line Booklet System」、卓上紙折機のエアー
サクションフォルダー「DF-1200」、中綴じ折り
製本機のステープラーフォルダー「DBM-150」
を出展。その他、カタログやDMなどを挿入口に
セットするだけで包装する新製品「小型フィルム
「HOF-400」
包装機EW-100EASY WRAP」なども出展。
【DIJ-200】
【AF-406T6F】
用紙サイズと折形を入力するだけで、小物折り
単色及び2色印刷が可能なインクジェットプリ
ができる全自動紙折機。実際に使用する用紙を紙
ンタ。2色印刷する場合には、ユニット式のプリ
挟み箇所に挟むだけで用紙の厚さを測定し、各ロ
ントヘッドを増設する必要があり、ユーザーでも
ーラーのギャップを自動的に計算することによ
簡単に取り付けることができる。マニュアルや学
り、短時間でセット替えが可能。
参などの2色印刷をターゲットとしており、カラ
会場では、ハイスピードフィーダ「HOF-400」
ーはブルー、レッド、ブラック、グリーン、ブラ
と縦整列コンベヤ「ED-40」
、小物用プレススタ
ウン、ライトグレーの6色と、カスタムインクで
ッカー「PR-40」を接続し、さらにダックエンジ
特色印刷にも対応可能。生産性は、解像度600dpi
ニアリングの紙面検査装置を取り付けて展示。
で200枚/分(片面)・82枚(両面)の印刷速度。今回
の展示機は、封筒仕様の機械で宛名印刷でのバリ
アブル印刷を可能にしている。
「AF-406T6F」
【RD-4055】
L判4切り
(幅400×長さ550mm)に対応するモ
「DIJ-200」
デル。カードやパッケージなどの全抜き、シール
【DIJ-200 In-Line Booklet System】
やラベルなどの半抜き、筋押し、ミシンなどの加
工が可能。また、用紙を自動給紙し、型抜き、抜
DIJ-200に中綴じ折り製本機/冊子小口断裁機
きカスの分離排出までをワンパスで6,000枚/時の
「DBM-350/DBM-350T」をインラインで接続し、
13●
●
2013.10
2013 秋季特別企画①
印刷から製本までの流れを実演。
「EDX-400(仮称)」
④日本オフィスラミネータ
「DIJ-200 In-Line Booklet System」
新開発の自動調整式ラミネート紙切断方式を採
【DF-1200】
用した、大量ロット向けスタッカー仕様のラミネ
ータ「Printlam CTIS75」を出展。
エアーサクション方式を搭載し、上質紙からア
【Printlam CTIS75】
ート・コート紙まで幅広い種類の用紙を安定して
給紙できる。また、請求書などの重要書類が重な
仕上がりスタッカーを搭載することにより、大
って処理される問題を解決するために、新たに重
量ロットの生産を一人で作業できるラミネータ。
送検知機能を標準搭載。折りは、8パターンから
Printlam CTISシリーズには、CTIS75とCTIS105
選択でき、生産性はA4二つ折りで260枚/分。
が あ り、 最 大 用 紙 サ イ ズ は CTIS75 が 750×
1,050mm、CTIS105が1,050×1,100mm。なお、本
③東京ラミネックス
製品はスペインのTauler社の製品。
フルオートラミネートシステム「TAS700-Ⅱ」
、
高速デジタルラベルプリンタ「EDX-400(仮称)
」
などの製品を出展。
【TAS700-Ⅱ】
菊全対応のオートラミネータシステム。オート
フィーダ+ラミネータ+オートカット
(スタッカ
ー付)を組み合わせた製品で、今回フィーダがエ
「Printlam CTS75」
アー給紙になった。また、オートフィーダをラミ
ネータと分離することがき、PP片面フルオート
⑤フジプラ
に加え、両面PPやセミオートでPET加工にも対
フ ル オ ー ト パ ウ チ 加 工 ラ ミ ネ ー タ「AL-
応可能。さらにオプションとの組み合わせで、
MEISTER ALM3222」の新製品を出展。
【AL-MEISTER ALM3222】
2,000mフィルムやコールドなど多種多様な用途
現行機種「ALM3220」の性能と品質を向上さ
にも対応。
【EDX-400(仮称)】
せたラミネータ。高出力ヒータを採用したヒート
ハイエンド卓上型ラミネータ「DX-350」と、
ローラ方式による加工と、3段階の調整ができる
ベーシック卓上ラミネータ「RSLシリーズ」の中
ファインモードの搭載で、これまでよりも品質を
間に位置する機
向上させている。
また、生産性は500〜1,700mm/分。
種で、最大用紙
サ イ ズ は B3 ま
⑥ビーエヌテクノロジー
で対応可能。国
HP Indigo10000デジタル印刷機専用のプライ
産オリジナルの
マー&UVニスコータ「Digi Multi Coater」を出展。
【Digi Multi Coater】
ラミネータとし
前処理のプライマーコーティングと、後処理で
て、年内発売に
のUVや水性ニスコーティングを1台で実現した
向けて現在開発
中とのこと。
マルチコーター。独立した2系統のコーティング
「TAS-700Ⅱ」
14●
●
JGAS2013の概要と出展メーカーの動向
機構により、一度で両面の塗布加工が可能。最大
も従来機よりも簡単に行え、折りや冊子の計数に
用紙サイズは545×788mmで、生産性はUVコー
有効な「ブックレット」機能も標準搭載。計数は
トで30〜35m/分。
薄紙19Kgから厚紙220Kgまでの用紙が最速2,500
枚/分のスピードで計測可能。発売は2013年6月
からとのこと。
②コスモテック
湿し水を産業廃棄物として破棄せずに、再生水
として再利用可能な水を連続的に作る湿し水廃液
処理装置「フレンドリー G-10」を出展。
【フレンドリー G-10】
他社でも多く採用されている減圧蒸留方式で、
「Digi Multi Coater」
フレキソ、オフセット、水性ニスなどの水溶性廃
⑦トヨテック
液などの循環液に対して、約1/2〜1/10に廃液を
180度完全見開きフラットのフォトブックの作
削減する処理装置。発売時期は未定とのこと。
成が可能なPUR製本小型無線綴じ機「NEWbind
ADVENTURE」を出展。
【NEWbind ADVENTURE】
ページブロックを本体にセットし、ミーリング
+ノッチの処理を施し、シャッター付PUR糊供給
装置より、PUR糊の空気による劣化を防ぎながら
塗布部だけにPUR糊を塗布し、製本と同時にソフ
トカバーをニッピン
グして仕上げる。
「フレンドリー G-10」
ページブロックを
本体にセットした時
③三菱製紙
点で、ページブロッ
「コンパクト&Eco」をコンセプトに、環境に
クの厚みを測定し、
配慮したCTPシステムや製版フィルムなどを紹
以降の全工程に自動
介。
的にセットされ、厚
主な出展機種としては、バイオレットディジプ
みが変わっても処理
レートシステム「VDP-CF3070」、サーマルデジ
プレートシステム「TDP-670(仮称)」などを出展。
能力が落ちない。な
お、本製品はまだ発
売されていない。
【VDP-CF3070】
製品の撮影が禁止されていたため、
パネルのみ撮影
水道水で非画像部を洗い流す(ウォッシュオフ)
するだけで刷版を作ることができる完全水現像処
その他
理CTP機。出力メディアはバイオレットデジプ
①ウチダテクノ
レート(ポリエステルベース)で、最大版サイズは
直観的な操作性を追求した紙枚数計数器「カウ
780×680mm。生産性は、最高解像度2,540dpi、
ントロン N2500」を出展。
菊半裁出力で約20版/時。来年春頃の発売を予定
【カウントロン N2500】
とのこと。
【TDP-670(仮称)】
大型液晶パネルの採用で操作性を向上させ、用
紙吸着部のブレード交換も工具を必要とせず簡単
菊半裁対応のサーマルデジプレートシステム。
に脱着できるようになった。また、テープセット
刷版と製版フィルム兼用タイプの完全ドライな
15●
●
2013.10
2013 秋季特別企画①
4up出力機。生産性は解像度1,204dpiで55版/時。
への省力化・生産効率アップのためのソリューシ
発売時期、価格とも未定。
ョン提案を行っていきたいとのこと。
「VDP-CF3070」
「TDP670(仮称)」
「製缶印刷用プレート自動交換システム」
④東レ
水なしケミカルレスCTP版「INNOVA」と現
最後に
像機を出展。
【INNOVA】
CTP版については、従来水なしCTP版に必要
IGAS2011、drupa2012に続いて開催された総
だったカバーフィルムを取り除いた。また、現像
合印刷機材展であるJGAS2013では、HPやミヤコ
機については、従来の現像機では、シリコンゴム
シなどdrupa2012で参考出品された製品の実用化
層をブラシローラーでこすり取る方式だったが、
が見受けられた。
新現像機では、特殊な加工を施した布ローラーで
デジタル印刷機とオフセット印刷機関連の出展
こすり取る方式を採用し、網点の再現性が向上さ
機器の傾向を見ると、デジタル印刷機関連の枚葉
せたとのこと。
モデルではHP Indigo10000をはじめ、B2サイズ
対応の機器が多く出展されており、連帳モデルで
は生産性(高速性)や品質面が改良され、さらに後
加工機をインラインで接続して、効率化と付加価
値を謳った製品展示が多かった。一方、オフセッ
ト印刷機関連では、ダイレクトドライブ技術によ
るジョブ交換(版交換)や、UVインクによる速乾
性、CMSによる損紙削減の他、プリプレスワー
「INNOVA」現像機
クフローとの連携による作業の自動化や効率化に
⑤アイマー・プランニング
よる、小ロット、多品種への対応があたり前のよ
不二越の6軸多関節ロボット「NC20」を使用
うになってきている。
した「製缶印刷機用プレート自動交換システム」
また、全体的な出展機器の傾向を見ると、軟包
を紹介。
装、パッケージ、ラベル・シール用途をターゲッ
【製缶印刷機用プレート自動交換システム】
トとした製品や検査装置が多く出展されており、
6軸多関節ロボットが製版済みの円筒形プレー
各メーカーとも今後の成長分野であると見込んで
トをはさみ、支持されたシリンダーへ順にセット
いるようだ。
していく実演が行われていた。従来、2人で8色
環境に配慮した製品、資材等も多く出展されて
の版を交換するのに約10分かかっていた作業が、
おり、生産性や効率化だけにとらわれず、印刷会
ロボットを使用することで約1分で版交換が完了
社における環境対応も重要な課題の一つであると
する。同社はすでに日本の製缶メーカー飲料缶
実感した展示会であった。
(2PC)用ラインのうち約80%にシステムを納入し
ており、ロボットの動きをプログラム側でセット
することで様々な動きに対応でき、今後印刷業界
16●
●
(文責・編集委員会)
2013 秋季特別企画②
「全国印刷緑友会仙台大会 レポート」
京都青年印刷人 月曜会 江戸 孝典氏
は、石巻市や南三陸町と比較して津波による被害
はじめに
が軽かったと言われている。それは松島湾に点在
する多くの小島が、海岸に到達する津波の力を弱
去る9月7日
(土)
、
8日
(日)
の2日間の日程で、
めたためだ。
宮城県仙台市 仙台国際センターに於いて、第55
しかし、塩釜港の旅客ターミナル内に展示され
回全国印刷緑友会 仙台大会が開催されました。
ていた当時の街の写真からは、地震と津波の影響
「復興の今を生きる 〜新しい未来たくさんの感
が少なくなかったことがうかがわれる。
謝〜」をテーマに、東日本大震災で甚大な被害を
うけた石巻市の視察も組み込まれた2日間の大会
に、当組合からは瀧本理事長、そして京都青年印
刷人月曜会のメンバー19名が参加いたしました。
秋期特別企画の第2部では、本大会のレポート
をご紹介いたします。是非ご一読下さい。
9月7日
(土)
ターミナルには被災時の写真が展示されていた
松島 塩釜を視察
仙台駅より、仙台、石巻両市を結ぶJR仙石線
に乗り、宮島・天橋立とともに日本三景の1つで
ある松島へ向かった。JR仙石線は東日本大震災
の影響で、今なお高城町駅と陸前小野駅の間
(11.7
キロ)が不通のままだ。2015年に運行再開予定だ
が、現在は松島海岸駅から矢本駅間でバスによる
代行輸送が行われており、松島海岸駅ではバスへ
乗り込む多くの人の姿が見られた。
多島海である松島湾の島なみを観光遊覧船から
眺めながら、塩釜市へ移動した。松島町と塩釜市
展示されていた震災時の写真
松島湾の島なみ
シャッターが壊れたままのテナントビル
17●
●
2013.10
2013 秋季特別企画②
ターミナルの外では、
きり、社内には「プロスポーツクラブという特異
海産物をとりあつかう商
な企業だ」
という、
危機意識を欠いた風土があった。
店が仮設市場で営業を再
社長就任にあたり、累積債務の解消のため80%
開していた。元々は市街
の無償減資を行い、それによる運営予算の大幅な
地に店舗があったが、地
削減(高額年棒の有名選手との契約非更新と、そ
震と津波により営業でき
の他の選手も減棒)という痛みをともないながら、
なくなったとのことだ。
昨年はJ1リーグシーズン第2位に躍進を遂げるま
市街地へ向かうと、駅
でになった。
前にも関わらず空き地や
白幡氏はまず社内風土を変革すべく、日常業務
シャッターが壊れたまま
の見直しに着手した。社員の行動規範を作成し共
有をはかり、同時に様々な小集団活動を励行し、
のテナントビルが目につ
いた。
本塩釜駅の津波の到達点を
示す掲示
社員自らが課題形成を行う社内風土へと徐々に変
化させていった。
第55回 全国緑友会 仙台大会
また、債務超過に陥った過去を繰り返さないた
塩釜市から仙台市へ戻
めに、計数管理を徹底した(ホームゲームごとに
り、第55回全国緑友会仙
損益計算書を作成。全てのホームゲームで黒字を
台大会へ参加した。
目指す)。
大会は、仙台刷親会 中
さらに、中期経営計画を策定し、明確な理念と
村 厚氏の開会宣言で幕
ビジョンを社内はもとよりスポンサーやサポータ
ーなど全てのステークホルダーに対して発信し、
をあけ、次に大会実行委
員長 千葉貴之氏が開会
の挨拶と歓迎の言葉を述
大会実行委員長
千葉貴之氏
信頼される企業を目指した。
首都圏のチームと比較して、地方クラブのベガ
べた。
ルタ仙台は、大口スポンサー企業が少ないため、
続いて全国印刷緑友会
収入における広告比率を下げ(昨年度はJリーグ
臼井伸夫会長の挨拶、
チーム中15位)、ファン層の拡大とホームゲーム
奥山恵美子仙台市長、相
来場者のリピート率を高めるための様々な取り組
沢光哉宮城県議会議員、
みを行っている。その結果入場料収入(Jリーグ
チーム中 第5位)を軸とした自立したチームへと
宮城県印刷工業組合 藤井
治夫理事長ら来賓の方々
から歓迎と震災支援への
成長した。
全国印刷緑友会
臼井伸夫会長
感謝の言葉をいただくとともに、震災発生から現
東日本大震災をうけて
在の復興状況についてお話しいただいた。
そのようななか、2011年シーズンのホーム開幕
仙台刷親会 大泉和幸氏の閉会宣言で式典を締
戦を翌日にひかえた3月11日に東日本大震災が発
めくくった後、サッカーJリーグ ベガルタ仙台
生した。ベガルタ仙台はホームスタジアムや練習
代表取締役社長 白幡洋一氏による記念講演が行
場に大きな被害をうけた。
われた。
スポンサー・サポーター、そしてチーム自身が
被災者という危機的な状況のなかで、ライフライ
記念講演:「プロスポーツクラブは、地域の活性
ンの復旧と同じように大切な、「心の復旧・復興
化に貢献できるか ∼東日本大震災の経験も踏ま
=心のライフライン」を自らの使命とし、夏の星
えて∼」
座のベガとアルタイルに由来するチーム名のとお
白幡氏が代表取締役に就任する2008年の時点
り、「被災地の希望の星」となるべく、地震発生
で、クラブは13期連続赤字を計上していた。しか
から間もない3月28日に選手・社員全員で、甚大
し、株式の50%を保有する宮城県と仙台市に頼り
な被害をうけた石巻市での支援活動をもって再始
18●
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全国印刷緑友会仙台大会 レポート
動した。
氏の中締の挨拶で全国印刷緑友会仙台大会を締め
その後も、全国から集まる支援物資の集荷と分
くくった。
別にホームスタジアムを提供し、自ら被災地へ搬
送するなど直接的な支援を行いながら、関係機関
との調整をはかり、地震発生から約1ヵ月半とい
う早さで、4月29日には延期せざるをえなかった
ホーム開幕戦を開催した。
そこに白幡氏の社長就任当初とまったく異なる
社内風土があった。
「ベガルタ仙台は地域の公共
財である」という存在意義を示すように、自らが
プラットフォームとなることで、地域のスポンサ
宴中様々な団体がPRを行った
ーとサポーターのあいだで、さらには被災地と全
国のサッカー関係者とのあいだで、復興支援活動
9月8日(日)
を活発化させる触媒として機能した。
小企業の生き残りの術
石巻市へ向かう
最後に、どんなに劇的な時代の変化や危機的な
翌朝、7時30分に仙台駅へ集合しバスで石巻市
状況であっても、それをチャンスととらえ自らの
へ向かった。石巻市は最大震度6強を記録し、そ
意思で変化をすることが大切であり、
「気づくス
のおよそ40〜50分後に押し寄せた津波によって、
ピード」
、
「着手するスピード」
、
「実践するスピー
沿岸地域の門脇、湊、渡波そして外洋に面した河
ド」を高めることで、たとえ規模の小さな企業で
北、雄勝、北上および牡鹿地区では、ほとんどの
あっても生き残ることができるはずだと、印刷業
家屋が流出してしまう大きな被害を受け、およそ
界に対してエールをいただき講演を締めくくった。
3,900人もの市民が死亡、行方不明となった。
石巻市へ向かう途中、三陸縦貫自動車道は広大
な仙台平野を横切るが、遥か遠くに見える海から
は津波が押し寄せたとは想像もできない。
日本製紙 石巻工場を視察
石巻市に到着し、日本製紙株式会社 石巻工場
を視察した。日本製紙は石巻工場の他にも、勿来
(福島)、岩沼(岩手)の2工場を含む6つの生産拠
点が被災し甚大な被害を受けた。なかでも津波を
直接受けた石巻工場は被害も大きく壊滅的な状態
ベガルタ仙台 白幡社長の記念講演
で、当時は「撤退か?」とも言われたが、地震発
懇親会において
生から約1年半後の2012年8月30日に完全復興を
はじめに仙台大会会長 守 康氏の歓迎の挨拶の
果たした。
後、仙台市議会議員 田村 稔氏の高らかな乾杯の
最初に職員の方から歓迎の言葉をいただき、続
発声で開宴した。
いて石巻工場が、震災から復興を果たすまでをま
宴中、様々な団体がPRを行い、当組合も来る
とめた映像を拝見した。
2014年の全日本印刷文化典京都大会の参加を呼び
かけた。
地震発生から復興まで
実行委員の方々のおもてなしの心が詰まった楽
地震発生時工場内には、職員1,306名が勤務し
しい時間は過ぎるのも早く、仙台刷親会 高橋 努
ていたが、全員が工場のすぐ裏手にある日和山へ
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2013.10
2013 秋季特別企画②
避難し無事であった
(非番の職員に数名亡くなっ
た方がいた)
。東北地方の太平洋側はこれまでも
たびたび津波の被害にあってきたため、平時より
防災の意識が高かったことが大きな要因といえる。
また、翌日の3月12日には、芳賀社長が非常事
態宣言を発令するとともに、
「災害対策本部」を
設置し、3月17日には「災害復興対策本部」を組
織する。そして地震発生から2週間後の3月26日
に、芳賀社長自ら石巻工場へ視察に訪れた。
石巻工場は津波の浸水により壊滅的な状況であ
ったが、抄紙機本体はほぼ無傷であったこともあ
津波の高さを表す復興記念モ
ニュメント
り、その場で工場の再建を宣言した。これには工
工場職員の方から説明を聞く
場の職員はもとより、
行政関係者、
地元地域住民か
らも喜びの声があがり、
多くの人に希望を与えた。
そして、
「工場の復興は地域の復興につながる」
との使命感のもと、困難な状況のなか日本製紙グ
ループ全体で復興へ向け一歩一歩進んでいった。
工場内に堆積した瓦礫の除去に4ヶ月を要し
た。また、
津波で市内に流出した製品や原材料を、
住民からの苦情でたびたび引き取りに行ったこと
もあった。半年後には抄紙機が稼動。1年後には
主力の抄紙機が稼動を果たした。そして、1年半
という短期間で完全復興を果たしただけではな
震災当時のままの看板
く、震災前より合理化された競争力のある工場へ
と生まれ変わった。
石巻まちなか復興マルシェ
日本製紙グループは、震災直後から社員を含む
かつての石巻市の中心街である旧北上川沿い
地域住民の生活の基盤を確保すべく、様々な支援
に、2012年6月9日「石巻まちなか復興マルシェ」
物資を提供してきた。現在も空き社宅の開放や仮
はオープンした。ここでは、被災した地元の商店
設住宅用地の貸与も行っている。
が6店舗出店し、魚介類や生鮮食料品やお土産物
他にも、石巻市で津波により発生した災害廃棄
を取り扱っている。
物が629万1千トン
(平時の108年分の量)
にものぼ
その中の1店に、社団法人石巻元気復興センタ
り、鹿島建設を中心とした企業グループ9社に加
ーがある。石巻元気復興センターは、被災した地
わり、現在も瓦礫の焼却処理を行っているほか、
元の中小零細企業の若手経営者が、情報交換・共
工場のバイオマスボイラーの燃料として瓦礫を受
有をはかり、行政や専門家からアドバイスをもら
け入れている。また、工場内で発電した電気を、
いながら、互いに協力し復興を目指す場である「い
東北電力と東京電力に提供している。
しのまき被災企業元気復興委員会」から生まれた。
非常時の対応の早さ、またそれを可能にする平
委員会の会長を務めるのが、地元の印刷広告会社、
時の備え。日本製紙石巻工場自身も被災し傷つき
株式会社松弘堂の代表取締役 松本氏だ。
ながら、
自らの復興を地域復興の希望と受けとめ、
松弘堂は地震と津波により工場・事務所は全壊
そこに使命感をもって望む姿勢は、ベガルタ仙台
し、設備も全て失った。しかし、データを保管し
と同じである。
ていた金庫が瓦礫の中から発見され、松本俊彦社
その後は、
広大な工場内をバスに乗って視察した。
長は再建を決意する。自力で営業を再開したが、
地元の企業の多くが被災した状況では十分な仕事
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全国印刷緑友会仙台大会 レポート
もできず孤立した人が多数いた。
日和大橋を渡り被害の大きかった門脇地区へ向
かう。この地区は、16メートルの高さの津波にの
みこまれ、その後流れ出た油に引火し大規模な火
災が発生した。
門脇小学校は海岸の低地にあるため、津波被害
にあい三階建ての校舎は全壊。火災にもあい焼け
こげた跡が生々しく残る。しかし、3月11日校内
大きな被害をうけた石ノ森萬画舘
にいた児童は、校舎裏の日和山へ避難し全員無事
だった。
現在地区の瓦礫は撤去されており、見渡す限り
一面草で覆われ元の街なみを知らなければ、かつ
て住宅が密集していた場所とは思えない。
その後は門脇地区を離れ仙台空港へ向かった。
2日間の大会をつうじて被災地の現状の一端に
触れ、参加者20名全員が多くのことを感じた大会
瀧本理事長と松弘堂 松本社長
を終え岐路についた。
がない。現在は、いしのまき被災企業元気委員会
(文責・編集委員会)
の会員企業とともに、地元の商品の販路拡大をは
かるべく、様々な取り組みをされている。
石巻の街
復興マルシェをあとにし女川街道をすすむと、
街のあちこちで津波の到達点を示す標識が目に入
る。これは、
防災の意識を高めるための取り組みだ。
さらに海沿いの道を進むと、旧北上川にかかる
日和大橋が見えてくる。橋の下を船が航行するた
め、水面から18メートルの高さの橋で、津波が発
生したときに、橋の上に避難しそのまま動くこと
一面草で覆われたの門脇地区の様子
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