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LAの日 - 自由学園

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リビング アカデミー LAの日
2016 年 10 月 22 日(土)
長い夏の暑さが去って朝夕秋の気配を感じる季節にな
り、第 6 回の「LAの日」の会場の最高学部棟 3 階から
は、色づき始めた木々が眺められます。讃美歌 313 番の
斉唱のあと、LAの小谷野副リーダーの「自分にとって忘
れられない人々」の話があり、次いで、臨床心理士で自由
学園心理職をつとめておられる森真美氏から「人間のメッ
セージについて」をテーマに、サロン講座がありました。
第 5 回サロン講座
人間のメッセージについて(要旨)
臨床心理士 自由学園心理職 森 真美 氏
●人工知能オシエル君に限界は?
先日の新聞に「人工知能、恋愛相談乗ります」という記事が出ていました。恋愛という非常に複雑
で微妙な心理が働いている状況を人工知能がどういう対応をするのかということに興味が沸いてイン
ターネットで調べてみました。女子学生が塾の先生に恋をし、その恋心をどうしたらいいかという質
問に、オシエル君という天使が「あなたの気持ちがとても良く分かりました。大変でしたね。もっと
あなたの良さを知ってもらえばいつか振り向いてもらえるかもしれませんよ(中略)
。応援していま
す(後略)
」との答え。大変でしたねとか、応援していますとか、パターン化しているとは思いまし
た。しかし人工知能の進化のスピードは空恐ろしいものがあり、侮ってはいけないと脅威は感じてい
ます。
ご存知のように囲碁や将棋の世界は、人はもう人工知能にかないません。ちなみに羽生善治氏はコ
ンピュタの進化を認めた上で「人工知能には倫理観が備わっていない」と語っていましたが、将来人
工知能が人間のカウンセラーにとってかわる日がやってくるのでしょうか?
●メッセージにはプラスとマイナスがある
メッセージ構造
A プラスのメッセージ
わかりやすい
直接的
現実的
具体的
率 直
正 論
たてまえ
B マイナスのメッセージ
A
B
わかりにくい
間接的
概念的
抽象的
率直とは限らない
正論とは限らない
本音
無言・沈黙
人間より人工知能のほうが何でも上手に出来てしまうのかなという恐怖心を感じつつ、それでも人
間にしか感じ取れないことがあるのではないかと考えました。例えば、メッセージにはプラスのメッ
セージとマイナスのメッセージがあると私は考えます。プラスのメッセージは分かり易かったり理に
かなっていますが、心の奥にひそむマイナスのメッセージは分かりにくく、時には無言や沈黙も含ま
れます。したがってマイナスのメッセージに対しては一人一人への対応が違ってきます。オシエル君
の答えは、プラスメッセージの部分だけで行われているのでしょうね。実際の心理相談というのはマ
イナスのメッセージまで入っていかなければなりません。
例えば、不登校生の場合。その生徒が発したプラスのメッセージは分かり易いので具体的な対応が
可能です。ところが、いつもプラスメッセージが発せられるわけではなく、多くの場合は、不登校を
すること自体がすでにマイナスのメッセージの領域になっているのですね。不登校をすることで自分
の状況を訴えているのです。人間関係に悩んで不登校になることがよくありますが、実はそれが本当
の理由ではないということもよくあり、そもそも集団生活に馴染まないとか、お母さんが成績を気に
するからプレッシャーになって試験が来ると怖くて学校に行けないとか。その辺を正しく見極めてい
かないと、お子さんが追い詰められてしまいます。
●沈黙が意味するもの
すいぶん昔の話ですが、不登校の男子中学生が、ある女性カウンセラーの元にやってきました。中
学生はカウンセラーに返事をせず、面談の 50 分間、2 人ともまったく無言で過ごしました。なんと
その後、不登校は改善されたそうです。これは特殊なケースで、お互いにすごいものを持っていたの
だと思います。男子中学生は、このカウンセラーは信
頼出来るのか、また同じことを言わせるのか、そうい
う思いが渦巻いていたのだと思います。カウンセラー
を困らせてやれ、そこを耐えれば俺のこの苦しさを体
験したことになるだろうと思ったのかもしれません。
そういう中で 50 分も経ち、“この人結構、いいんじ
ゃないのか”と思うようになったのでしょう。無言と
いうメッセージが存在するという例です。
●息子の拒絶に耐えた母
優秀で完璧なお母さんがいました。息子にも同じものを要求しながら、それでも大学までは順調に
いったものの、息子は社会人になると同時に家を出てしまいました。母親の心配は、息子はもしかし
たら異常人格で悪いことをしてしまうのではないかということでしたが、その心配はないことを説明
し、息子さんを信じてあげて、一切、後を追わないようにお願いしました。彼は自立したい、独自の
アイデンティティを持って生きたいと思っていて、母親から脱出したかったのだろうと思います。
6~7 年後、母親の誕生日に無言電話が 2 度ほど掛かってきたそうです。それは息子からのメッセ
ージだと思います。母親にとっては、この長い年月の沈黙の状況がどれほど苦しかったかが推し量ら
れますが、母子間の沈黙と絶縁には大きな意味がありました。いずれ、親子として復活する日がくる
のではないかと私は思っています。
●励ましではなく寄り添うこと
愛する存在を亡くした人へのメッセージは難しい場合が多いですね。
「元気出してね」程度はよい
場合もあるのですが、もう少し踏み込んだ話になる場合、相手の苦しさを分かってあげるということ
はなかなか微妙なものがあります。伴侶を亡くされた方もかなり深刻ですが、お子さんを亡くされた
場合は桁が違うほどの苦しみを持っていらっしゃるのです。で、励まされることは返って辛いという
ことが起こってきます。そんな場合、聞くに徹することがとても大切になります。
私事を申し上げますと、結婚しない娘がいて、それを周囲にぐちったりした時、
「きっと良い相手
が見つかりますよ」と言われてもまったく嬉しくないわけです。その人の好意は分かりますが、いつ
までも嫁に行かない娘を持つ母親の暗澹たる気持ちを分かって欲しいのであって、
「それは大変よ
ね」
「心配よね」
「うっとうしいわよね」と言ってくれたらなあって思うわけです。
つまり、その人の悩みに寄り添うのはなかなか難しいということです。
(但し、私のこの程度の悩
みは苦しみとは言えないと思っています。
)
●心理学における自己実現
人は自分で受け入れられない自分を切り捨てたくなりますが、それも自己の一部として受け入れて
人として豊かな自己が形成されていくことを、心理学では「自己実現」と呼ぶことがあります。
例えば、不登校もその人の人生に不登校がどんな意味を持つのかという視点を持つ必要があるとい
うこと。思春期の重要な自己洞察に繋がることも多いということです。
医療は悪い部分を治す、悪い部分と戦うという考え方ですが、心理の世界では悪い部分も全体の一
部として、その意味を考える姿勢が求められています。私もそのようなことを考えながら仕事をして
います。
サロン講座に引き続いて、半年たったLAの総括と展望を市岡理事長から報告がありました。
LA総括と展望 (要旨)
理事長 市岡揚一郎
LAは私共にとって初めての試みでしたが、この半年、皆さまが一生懸命に、そして楽しん授業に取
り組んでおられる姿を拝見して、一言でいえば「よかったな」と思っております。ただ、ご注文もた
くさんおありと思います。今後ともご遠慮なくご意見をいただくようお願いします。
現在LAスッタフ全員で、来年度の計画を考えておりますので、その要点をお話しします。
「クラス」は、キャンパスを活かせるものを基本に、①来年入られる方のために、現在のものを継続
することに加え、②夫々グレードをあげたもの、そして③横に拡げるもの、の3通りを考えていま
す。
「サロン講座」に関連しては、今まで寄せられた「講座の内容を深く知りたい」
」という要望に応え
る意味から、関心のあるテーマ(介護など)や、時勢のテーマ(EU など)を「トッピクス講座」とし
て、30名限定で開催することを考えています。また「短期集中講座」(例えば、今年のパンの講習
等)も、皆さんの要望も入れて充実させることを考えています。更に、皆さん方の発意で計画する
「サークル活動」の可能性を、皆さんのご意見をいただきながら詰めていきます。
これらの講座や活動を最高学部の学生と連携することを、学部と相談・意見交換もしています。ま
た、皆さんが楽しみにされている「自由な交流」のできる場を整えることも検討しています。
以上が、今私どもが来年度に向けて考えている概要です。
私どもは、基本的にこのLAは学校であり、皆様方には自由学園の学生に加わっていただいたと考
えておりますので、クラスが終わったら終わりではなく2年を基本にしたいと考えています。もちろ
ん1年で終わることも、3年以上在校することも可で、一旦休校して戻ることもあってよいとも考え
ます。
今日皆様方にアンケートをお願いしますので、LAの発展のために忌憚のないご意見をお願いしま
す。その中で、皆さまが、来年もLAの学生でおられるかのお考えも伺いたいと思っています。
終わりに、これからの日本全体についての私の考えをお話します。
高齢化がさらに進みますが、高齢者の多いい社会は問題点の多い社会であることは一面の事実です
が、事実は全体ではありません。元気でやる気のある高齢者が多い社会は、多様な文化のある社会で
あり、日本全体が落ち着いて多様性のある成熟した、そして元気な社会になり、そして他国にも影響
を及ぼす国になる可能性を秘めている、と考えます。
LAが、このような社会を実現するために役立つものになることを期待しています。
2017 年も、よろしくお願いします。
午後の部
多摩六都科学館訪問
午後はバスに分乗して「多摩六都科学館」に、プラネタリウムの見学・研修に行きました。多摩六都科
学館とは、近年いろいろな形で提携して、生徒・学生が学ん
でいます。
ここのプラネタリウムは「2012 年 7 月にリニューアル、
新たに導入した最新投映機「CHIRONⅡ(ケイロンⅡ)
」は 1
億 4000 万個を超える星々を投映します。直径 27.5m の大
型ドームスクリーンに高輝度 LED 光源で映し出す星空は「最
も先進的なプラネタリウム」として、世界一に認定されまし
た。微細な星の輝きがドームいっぱいに広がり、奥行き感のあるリアルな星空をお楽しみいただけます。
(多摩六都館ホームページより)
」
丁度、秋の特別企画として「キトラ古墳が語るもの~地の巻~」があり、
「古代の人々がキトラ古墳に残
した四神や金箔の星で描かれた天文図は、我々にいったい何を物語るのでしょう?」をテーマに、専門ス
タッフの解説を聞きながら、円形の天空に拡がる物語を 45 分間鑑賞しました。
その後、いったん解散してから、館内を各自自由に見学して帰りました。
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