第 9 回東北外来小児科学研究会プログラム

第 9 回東北外来小児科学研究会 平成 22 年 7 月 4 日(日)
会場:艮陵会館(仙台市)
第 9 回東北外来小児科学研究会プログラム
1)挨拶
第 9 回東北外来小児科学研究会
2)一般演題 10:00
世話人
川村和久
柳生吉田こどもクリニック
吉田 眞
かやま小児科医院
嘉山益子
12:00
【インフルエンザ関連】 10:00
11:00
座長
1.新型インフルエンザ流行−急病診療所からの報告−
仙台市救急医療事業団
中川洋
堀江ミサノ
新型インフルエンザ流行に際して、出務型の夜間・休日急患診療所がどのように
準備をし、どのように対応したのか、その実情を時系列的に報告する。また、流行
期間を通しての受診統計について報告する。
仙台市急患センター、北部急患センターは例年、年間7万人を超える患者が集中
する初期救急医療機関であり、仙台市救急システムの重要な一翼を担っている。09
年8月∼10年3月までに両診療所を受診したインフルエンザ患者は累計で1万人を超
えた。脆弱な体制しか持たない出務型急病診療所にとって、多くの医師を始め、様々
な医療職の献身的なご支援を得ることが出来たことは望外の喜びであり、改めて、
医療を志す人々はいざ鎌倉で結束出来るのだという想いを強くしている。
2.新型インフルエンザ流行時におけるインフルエンザ抗原迅速検査とトリアージ
仙台市救急医療事業団
中川洋
堀江ミサノ
09年8月∼10年3月の期間に仙台市急患センター、北部急患診療所において、イン
フルエンザ抗原迅速検査は内科、小児科を受診した患者47,831名のうち、17,167
名(35.9%) に施行された。出務医が新型インフルエンザ疑いと診断し、何らかの抗
ウイルス剤を投与した症例は、① 迅速検査A+ 6,697名(検査総数の39.1%)、
② 迅速検査陰性で抗ウイルス剤投与 1,447名(検査総数の8.4%)、③ 問診のみ
で診断し抗ウイルス剤投与 2,599名(患者総数の 24.2%)、インフルエンザ総数
は10,743名であった。迅速検査陰性で抗ウイルス剤を投与しなかった症例は9,023
名(検査総数の 52.6%)であった。
1
第 9 回東北外来小児科学研究会 平成 22 年 7 月 4 日(日)
会場:艮陵会館(仙台市)
患者受付後、看護師が簡単な問診のもとにトリアージを行った。流行前期、中期、
極期の各数日間について、一般診察室、隔離診察室で診療をした患者の迅速検査等
を指標にして、トリアージの効果について検証する。
3.小児科診療所医師における新型インフルエンザ感染の検討
-アンケートとウイルス分離仙台外来小児科懇話会
関信夫
東北大学大学院医学研究科微生物学分野 鈴木陽
川村和久
押谷仁
2009 年 10 月より、小児科診療所 18 施設に勤務している医師及びスタッフ 140
名を対象としたコホート調査を開始した。咽頭拭い液を定期的(1
2 週)に採取し、
MDCK 細胞を用いたウイルス分離、PCR およびシークエンスによる A(H1N1)pdm 同定
を行った。また、同時に健康調査票(アンケート)も行い、症状等の有無を確認した。
今回、医師 19 名について、アンケートとウイルス分離によりインフルエンザ感
染について検討した。アンケート調査では 45%(9/20)の対象者が発熱あるいは何ら
かの呼吸器症状をきたしており、ウイルス分離で 20%(4/20)の新型インフルエンザ
感染を確認した。1症例の不顕性感染、ワクチン接種後の感染例を確認したので、
その詳細も含め報告する。
4.小児科診療所スタッフにおける新型インフルエンザ感染の検討
-アンケートとウイルス分離-」
仙台外来小児科懇話会
萱場潤
東北大学大学院医学研究科微生物学分野 鈴木陽
川村和久
押谷仁
2009 年 10 月より、小児科診療所 18 施設に勤務している医師及びスタッフ 140 名
を対象としたコホート調査を開始した。咽頭拭い液を定期的(1
2 週)に採取し、
MDCK 細胞を用いたウイルス分離、PCR およびシークエンスによる A(H1N1)pdm 同定
を行った。また、同時に健康調査票(アンケート)も行い、症状等の有無を確認した。
今回、スタッフ及び調剤薬局 78 名について、アンケートとウイルス分離により
新型インフルエンザ感染について検討した。アンケート調査では 50%(39/78)の対
象者が、発熱あるいは何らかの呼吸器症状がみられた。ウイルス分離では
5.1%(4/78)の感染を確認した。職種別の感染率は、看護師 3.7%(1/28)、医療事務
10%(3/30)、薬剤師 0%(0/20)であった。今回感染の詳細を報告するとともに、結果
に関して考察を加えて報告する。
2
第 9 回東北外来小児科学研究会 平成 22 年 7 月 4 日(日)
会場:艮陵会館(仙台市)
5.医療従事者における新型インフルエンザワクチンの有効性に関する検討
-抗体価の上昇と持続東北大学大学院医学研究科微生物学分野 鈴木陽
仙台外来小児科懇話会
押谷仁
川村和久
医療従事者における新型インフルエンザワクチンの効果を評価することを目的と
し、2009 年 10 月から 2010 年3月に仙台市内の 18 の小児科診療所医に勤務してい
る医療従事者 93 名を対象としたコホート調査を行った。
抗体価の推移に関しては、2
4 週毎に血清を採取し、赤血球凝集阻止(HI)試験
および中和試験(NT)で抗体価を測定した。対象となった 93 名中、59 名(63%)が
ワクチン接種を行っており、接種者の 66%において4倍以上の抗体価の上昇を認め
た。今回、抗体価上昇がなかった対象者、そして抗体価の持続に関しても検討した
ので報告する。
6.2009年に流行した新型インフルエンザは心臓にどのような影響を及ぼしたか
はらだ小児科医院
原田健二
背景:新型インフルエンザによる心筋炎例が報告されている。
目的:新型インフルエンザ急性期の心機能を明らかにすること
方法:簡易診断キットでA型インフルエンザと診断した6歳以上の小児92例におけ
る心エコーを用いた心機能評価
結語:新型インフルエンザ急性期では心収縮performanceは増強した。本研究結果
は今後の新たな新型インフルエンザ(強毒性)に対する基礎データとなる。
【インフルエンザ以外 1】
11:00
11:30
座長
芳賀小児クリニック
芳賀恵一
1.熱があるよ、でも走るの?-スポーツドクターとして参加し感じたことみうら小児科 三浦義孝、八重樫幸子、及川美智子
東京マラソンや駅伝、メタボリック・シンドロームへの関心などから、市民マラ
ソン大会が盛んに行われています。ちびっ子健康マラソン岩手県大会も例外ではあ
りません。現在で第 24 回の開催となり、毎年 2,600 人と年々参加者が増加してい
ます。この大会の本来の趣旨は、「速く走ることではなく、最後まであきらめずに
走りぬくこと」ですが、「朝から熱があっても走らせる」、「喘息で苦しいのに走ら
せる」等、本人の健康状況を無視しての参加が多々あります。
3
第 9 回東北外来小児科学研究会 平成 22 年 7 月 4 日(日)
会場:艮陵会館(仙台市)
また、「平気で反則行為をけしかける親」、「大会中の禁煙を我慢できない親」等、
加熱するあまり子ども以上にモラル・常識の欠如している大人の存在が目につきま
す。中高年者に比べはるかに少ないとはいえ、若年者にも運動中の突然死は生じる
可能性があります。自らの健康状況を確認し、無理のない体調で参加するよう、ち
びっ子健康マラソンといえども、あなどらず、事故を未然に防ぎたいものです。ス
ポーツドクターとして参加し、感じたことをお話します。
2.吸入療法における看護師の役割
永井小児科医院 鈴木淳子、三上昭子、須田里香、横山貴美子
遠藤郁子、小野寺真奈美、児玉靖子、永井幸夫
ステロイドによる吸入療法が普及し、喘息児のほとんどは外来での点滴や入院を
必要としなくなった。当院では自宅での吸入療法を以前より積極的に進めてきたが、
吸入療法が安全確実に行われ、治療効果を高めるためには、看護師の吸入指導は不
可欠である。今回は、日頃の業務を振り返る機会と考え、よりよい指導に役立てる
ため、吸入療法を行った方を対象にアンケート調査を実施し、患者・家族の理解度
や問題点を把握し、改善すべき点を検討した。
3.小4保健学習「育ちゆくからだとわたし
∼いのちのつながり∼」
家庭・学校・地域の輪を広げ,子どもたちの学びと育ちを支える
仙台市立小松島小学校
養護教諭
菅澤麻子
小学校4年生の保健学習では「育ちゆくからだとわたし」という単元がある。こ
れに関連して,学年のPTA親子行事では,学校医を講師にお迎えして,性教育を
題材に,親子で学ぶ機会を設けている。H21 年度は,メイク・ア・ウィッシュの
大野寿子先生の講演もあり「いのち」の学びを進めてきた。授業では,保護者と共
に「成長するみんなを応援している」というメッセージを送ることができた。家庭・
学校・地域‐子どもたちと関わる方々と協力して行った保健学習の実践を紹介する。
【インフルエンザ以外 2】
11:30
12:00
座長
みうら小児科医院
三浦
義孝
4.石井小児科の母乳貧血児の背景
石井小児科 土井洋子、本舘千枝、遠藤妙子、佐藤加代
岡部裕子、吉木千恵子、石井アケミ
最近母乳に頼りきり、あまりにも離乳食の進行が遅いと思われることが増えてき
4
第 9 回東北外来小児科学研究会 平成 22 年 7 月 4 日(日)
会場:艮陵会館(仙台市)
ている。
今回石井小児科で、平成 20 年 4 月から 22 年 3 月までの 2 年間に、鉄欠乏性貧血
の治療をした 0、1、2 歳児 35 名を抽出し、その児らの母乳や食事の背景を診療録
上から調べてみたので報告する。
この35名の月齢分布は
9ケ月から2歳5ケ月まで。治療開始時母乳を与えていた
児は31名、母乳なしの児4名であった。治療期間は2週~6カ月。食事の取り方はよく
食べる児は7名で、あまり食べない児が12名。ほとんど食べない児が6名。アレルギ
ーで食事制限していた児7名。8
9ヶ月健診時の食材数も調べた。その他食事以外
で気になること、困っていることは、寝つき不良11名、発達(お座り、はいはい、
立つ)の遅れ4名、発育(身長、体重)不良4名等が上げられた。
5. 小児科外来における「妊婦さんのための母乳準備クラス」の振り返り
とも子助産院
伊藤朋子、三橋園美
たかだこども医院
高田修
たかだこども医院では、地域の開業助産師とのコラボにより、週1回、母乳育児支
援室を開設している。加えて、3ヶ月おきに「妊婦さんのための母乳準備クラス」
を開催してきた。このクラスも平成20年開始で3年目を迎える。これまでの参加者
にアンケートを行い、クラスの成果と参加者満足度、今後の課題について検討した
ので報告する。
6. 2009/2010 シーズンに仙台市内で流行した RS ウイルスの解析
東北大学大学院医学研究科微生物学分野 大野 歩、鈴木 陽、押谷 仁
かわむらこどもクリニック
川村和久
2009 年 11 月から 2010 年 6 月までに、呼吸器症状を呈して仙台市内の医療施設
を受診した小児の咽頭拭い液より、RS ウイルスの検出を試みた。86 検体中 22 症例
から RS ウイルスを検出した。ウイルス遺伝子の解析より、2009 年の第 47 週から
52 週までは A 型、2010 年の第 3 週からは B 型、第 11 週には B 型と A 型が混在し、
以降 15 週まで A 型が検出したことから、同施設の医療圏内においては1シーズン
で流行した亜型が数回切り換わったことが示唆された。
3)情報提供「キプレス」
12:00
12:15
杏林製薬株式会社
5
第 9 回東北外来小児科学研究会 平成 22 年 7 月 4 日(日)
会場:艮陵会館(仙台市)
4)ランチョンセミナー 12:15
12:45
座長
めときこどもクリニック
目時
規公也
「保育士と共につくる乳幼児健診」
後藤
洋一先生(後藤こどもクリニック)
講演要旨:時代が変わり、母親の育児不安がクローズアップされてきた。これから
の乳幼児健診は子どもと同等に母親への支援も目的として加わり、母親を支援する
ことを通して子どもの育ちそのものを支えるような健診を実現する体制づくりが
求められてきている。2006 年日本外来小児科学会ワークショップの「小児科外来
における子育て支援の可能性∼保育士と共につくる乳幼児健診」を提案したが、そ
の実践で何が得られたか、何が課題なのかを明らかにしたい。
5)日本外来小児科学会からのお知らせ 12:45
12:55
1.第 20 回日本外来小児科学会年次集会の案内
おおた小児科・循環器科
太田
文夫先生
2.オープンクリニックネットワークの紹介
上大岡こどもクリニック
6)特別講演(医療分野と他分野の災害をテーマ) 13:00
佐藤順一先生
15:00
講演 1
座長
かわむらこどもクリニック
川村
和久
「新型インフルエンザパンデミックレビュー-再びの流行に備えて-」
押谷
仁先生(東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授)
講演要旨:2009 年に発生したインフルエンザ A(H1N1)によるパンデミックは世界中
で多くの被害をもたらしてきている。日本の 2009 年の流行では諸外国に比べても
死亡率は低かったが、その理由として医療のアクセスがいいことや、さまざまな対
策により特にハイリスクグループへの感染が少なかったことなどが考えられてい
る。一方で小児科診療に多くの負荷がかかったこと、ワクチン生産などまだ十分に
対応できない面があったことなど多くの問題点も浮き彫りになった。今後、起こる
可能性のある第2波の流行でも同じように低い致死率が維持できるという保証は
なく、さらには全く新しい新型インフルエンザの流行が近い将来起こる可能もある。
これらの流行に対応する体制を構築するためにも今回の新型インフルエンザの対
応に関する検証をきちんと行っておく必要がある。
6
第 9 回東北外来小児科学研究会 平成 22 年 7 月 4 日(日)
会場:艮陵会館(仙台市)
講演 2
座長
永井小児科医院
永井幸夫
「巨大地震に伴う大津波災害レビュー-迫り来る脅威に備えて-」
今村
文彦先生(東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター教授)
講演要旨:最近の地震津波の被害の実態を紹介しながら,得られた教訓を整理する.
特に,2004 年発生したスマトラ島沖地震およびインド洋大津波による被害はイン
ド洋全域にひろがり,死者が 23 万人,行方不明が 4 万人を超える史上最悪の地震
津波災害となった.我が国の津波災害でも経験のない様々な新 しい被害形態(大
量の漂流物や土砂移動も生じている.21 世紀は巨大災害の時代である と言われて
いる.先日も 2 月 27 日にチリ沖で巨大地震が発生し,津波は我が国まで影響した.
将来においても地震の空白域 での発生が懸念さえている地域も国内外に存在する.
このような状況を紹介し,各地域・職場,各家庭でどのような予防や減災対策が必
要なのか議論したい.
7)情報交換会 15:00
司
会
田山小児科
田山利幸
挨拶
第 9 回東北外来小児科学研究会
世話人
川村和久
乾杯
仙台市救急医療事業団
中川洋先生
閉会
藤木こども医院
7
藤木 榮
第 9 回東北外来小児科学研究会 平成 22 年 7 月 4 日(日)
会場:艮陵会館(仙台市)
メ
モ
8