ノキアの大量減員-中国携帯業界に商機か スウェーデンの携帯電話大手ノキアは、減員の大鉈を中国・広東省東莞工場に振るった。 ノキアの中国法人である諾基亜通信有限公司は8月から9月にかけて東莞工場で従業員約100人を解雇した。 同社が設立された1995年以来、初の集中リストラとなる。 東莞工場は、ノキアの重要な携帯電話生産拠点で、製品は90カ国・地域向けに出荷されている。 「減員計画は2011年2月に制定したグローバル戦略転換の一環で、中国では7月にスリム化調整が始まった」と ノキア中国広報部は語った。 携帯電話業界の競争がし烈化する中で、ノキアはコストダウンを迫られており、東莞工場の減員は不可避。 製品の革新を早め、市場を取り戻すことも求められる。 ■スマホ市場で出遅れ スマートフォン(スマホ)分野での出遅れが、ノキアの失敗の主因とされる。 「シンビアンOSに固執し、端末機のサービスが利用者のニーズに間に合わず、新製品の開発が遅く、PR手法が マンネリ化したことが、ノキアが携帯電話市場で失敗を重ねてきた原因だ」と、易観智庫の李艶艶アナリストは指摘した。 研究機関IDCによると、ノキアのスマホ出荷は世界全体の6.6%に過ぎず、サムスンとアップルの両社で約半分の シェアを握られている。 ■中国の携帯業界にチャンス ノキアの盛衰は、コンシューマエレクトロニクスの「スマート化」プロセスを映し出す。 産業調整は避けられないと見られ、中国の携帯電話メーカーにとっては絶好の商機となる。 中国メーカーのスマホ販売台数は、中国のスマホ販売市場全体の約半分を占める。 易観諮詢によると、中国産スマホのシェアは10年末の23.8%から12年第2四半期(4~6月)に57.5%に 拡大した。 だが艾媒諮詢の張毅最高経営責任者(CEO)は、中国産の携帯電話はスマート時代において、低コスト、 販路多角化、アフターサービスの良さなどで強みを持つが、製品の同質化が深刻だと指摘。 価格と販路の競合が携帯電話価格を低く抑え、利益を抑制している現状を示した。 革新能力不足によって、中国の携帯電話メーカーがノキアの二の舞を演じる恐れがある。 「中国産携帯電話の研究開発は、 『追随』段階にとどまり、パネルやプロセッサーのコア技術は海外大手に握られて おり、従来機種からスマホへとシフトする動きに、中国の携帯電話メーカーが追いつけるか分からない」と 李艶艶アナリストは不安視する。 「中国産携帯電話は差別化の道を模索し、現状の技術で細分市場の需要を満たす商品を開発し、販路では多角化を 実現すべきだ。 さらに重要なのは、利益をあげる前提で、技術の蓄積を強化し、市場のチャンスをとらえることだ」と張毅CEOは 語った。
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