埼玉県スポーツ 埼玉県スポーツ少年団現地研修会 スポーツ少年団現地研修会 平成22年1月30,31日 「事故や 事故やケガの ケガのリスクマネジメント」 リスクマネジメント」 事業の リスクマネジメント」 「事業 のリスクマネジメント 」 講演 谷塚 哲氏 スポーツ団体の運営において多くのリスクを抱えています。ボランティアだからと 言って許されない今日の問題を谷塚氏が熱っぽく話してくれました。 1 スポーツ活動には、常にリスクがつきものである。 (入会するときに十分説明をする。) ①スポーツに内在するリスク ○身体への負担…道具用具を使う。重さがある。 ○現場での事故・けが…指導者は事故が起きる可能性を予測し、対処方法を準備する。保護者、病院、消防、学 校関係者などの連絡先を控えておく。応急処置の対応。 ○施設面から…床の支柱はめ込みふたなどが感単に外れたりしていないか。体育館のドアの金具などが危険な状 態になっていないかなど。 (富士見市のプール事故などの例) 体育館、設備などの点検を周期的に行い日誌などに記録しておく。後日裁判などの場合証拠になる。 (別 に毎回ではなくてもいい。数ヶ月のローテイションで点検する) ○外的な要因…その他多くの諸条件がある。指導環境やチームの移動時に危険はないか。不慣れな女性保護者が 不安を訴えているのに高速道路や遠距離の運転を強要した責任を問われる。 (和光外環道路事故) スポーツ活動 スポーツ活動に 活動にリスクはつきものだが リスクはつきものだが、 はつきものだが、スポーツ指導 スポーツ指導とは 指導とは以下 とは以下に 以下にリスクを リスクを発生させない 発生させないか させないか、 そこにどのような配慮 配慮がなされるか がなされるかが 重要である である。 そこにどのような 配慮 がなされるか が重要 である 。 ②スポーツに内在する危険について ○本来参加者各人は、スポーツのリスクを承諾している。…元々自己責任という大原則がある。しかし、それは その競技のルールに則って運営されている場合にのみ適用される。 入会時に規則の配布だけでなく、保険や責任範囲に対して十分な説明を行うことが大事。 事故が起きてから様々な指摘で責任を追及される場合もある。 ○スポーツ活動中の事故やけがの責任は、原則自己責任である。自己責任は社会通念としての原則だが、事前注 意や配慮の欠如は提訴の要因になる。従って、自己責任ではすまされない場合も多数ある、 ○体格的な差、趣旨、経験の差等状況によって責任について考慮される。 例;親善のスポーツ大会(ソフトボール大会)を実施した。この時、女性がキャッチャーを行っていたときに、 二塁にいた男性のランナーが、ホームベースへの滑り込みプレイをした。この時にクロスプレイで、女性がけ がをした。この事件で行われた裁判で男性が有罪判決。親善大会だからあえて点取りを意識しすぎてはいけな い。男女の体力差を考えて男性はプレイをしなければならない。 例2;自衛隊で柔道のゲーム中。有段者と経験のない選手との対戦で弱者の方が死亡する事故が起きてしまった。 裁判では有段者に有罪判決がでた。力の差が有るのは歴然としているのだから配慮が必要。 ③指導者と安全配慮義務 ■ 会員と指導者の法的関係 1 入会書面の提出を受け、会費を徴収し、保護者負担を受ける代わりにスポーツ指導を提供するということ は、お互いの契約が発生することを意味する。 入会(規約に基づき、或いは書面での提出等で)=契約成立=権利義務の発生 ○クラブ・指導者と会員との法的な関係…契約がすでに結ばれている。 ○入会=契約の成立とともに、権利義務が発生する。 ○指導者の安全配慮義務 (直接指導者だけでなく団体の責任者にも責任義務がある。 ) 対象者によりその 対象者によりその度合 によりその度合いが 度合いが違 いが違ってくる。 ってくる。 ・幼稚園の子供が遊具で指をちぎった。幼児の場合、現場ではそこにいつでも行って止められる体制作りが必 要である。 ・高校生が川に落ちたボールを拾いに行って、川にはまって死亡する事故が起きた。これは自己責任として扱 われた。高校生なら、川の危険度やボールを取るためのリスクは、理解できているはず。 ○予見可能性。回避可能性・…設備、環境、人的組織の不備がないか。活動時の事故要因はないか。再三注意を 繰り返すことが一番重要なこと。 例:グランドに落ちていた石に、小学生が躓いて転んだ。 大人なら自分で拾えるが、小学生には無理との判断がある。 ○健康へ安全配慮義務 熱中症対策…特に夏場のスポーツでの配慮事項。しかし、冬場にも起こりうる。子供か らの訴えがあっても、無視してしまうことがある。これは刑事責任に発展する。 ○天災に関する安全配慮義務…雷に対するもの(この事故が裁判に) …指導者及び協会に責任が発生することもある。 ○ボランティア指導員の責任…指導者がボランティアであっても責任は問われる。お金をもらっていようがいま いが、リスクに関する手を打っていなければ責任が問われる。 ○免責同意書…たとえ免責同意書を取っていたとしても、日本の法律上これは役に立たない。しっかり安全確認 をしなければ、責任は問われる。しかし免責同意書を取っておけばプレイヤーの意識付けにはな る。 ■ 予見可能性、回避可能性 健康配慮義務 子供が体調不良を訴えているのに、そのくらい大丈夫と練習を続け事故につながった例もある。普段から 様々な自己管理を教えておく。 ■ 免責同意書 これがすべての回避とはならないが、これだけで完全ではない。民事訴訟もあるが同意書作成し、保護者 の集まる集会などには繰り返し安全配慮と責任範囲を説明しておくと良い。保険適用範囲を説明。 ■ スポーツ事故と法的責任 刑事責任=指導者の故意、注意義務、不法行為、使用者責任。 民事責任=不注意、債務不履行、事前察知などに対しての金銭請求。 保険について ■ 傷害保険、損害賠償保険 保険内容の検討と保険については入会時に説明が不可欠。30日以内の請求も忘れずにする。どのような 保険医は入り保障内容も説明する。 ■ 事故に対しての対応の重要性 事前から事故が起きた場合を想定し、迅速な対応手段を考えておく。 病院、学校、保護者、救急などの連絡先。救急に対しての勉強。 2 事業の 事業のリスクマネジメント クラブと法人 ■ スポーツ団体 指導者に金銭の授与があれば法人格として扱われる。 クラブは法律上人格なき社団としての権利義務がない。 契約、登記、口座開設などすべては代表者の名前にて行う。 負債や損害への責任は団体やクラブが行うのではなく、代表者個人がこの責任名を負うことになる危険性 がある。 収益があれば公益法人と同じ法人税が課せられる。いくつかのクラブで税務調査が行われ課税が発生して いるようです。税務署員にクラブの実態を説明すると回避できる場合もあるそうです。 収益を翌年度にすべて繰り越す。 クラブと契約(PKO法人) ■ クラブ=事業者 会員=消費者 お互いを契約者として扱われる。 ■ 消費者基本法 クラブは会員に十分説明をし、注意して欲しいこと、守ってもらいたいことなどを事前に分かりやすく説 明をする義務がある。 参加者の不利益を免除するような契約は原則無効である。 会費の返還なども明記しておく。 ■ 著作権などにも注意を払う ■ 送迎バスは会員の利用者負担とすると運送法になる。 ■ 会員の写真使用を認識させておく。 ■ 個人情報の取り扱いに注意を払う 公演を聴いて スポーツ少年団部会 河内 秀男 谷塚氏の公演は3時間に迫る熱演でした。責任の重大さに改めて考えを深めた。ここに記述したことはその中の 一部です。未熟な記者が何処までお伝えできるか自信はないが、繰り返し言われた言葉の予見、予想、注意、環 境点検などは指導者の当然な責務であり、しいては指導者の安全を守る手段です。 様々な事故は起こってしまえば、如何してその時に注意や回避をしなかったのだろうと思われることばかりです。 以前に私の身近で起きたことは大事故にならなかった幸運の出来事だった。体育館の支柱をはめ込む穴の蓋が緩 んで浮き出ており、ドリブルの振動で跳ねて開いてしまう状態だった。練習中その蓋が開いて床から浮き上がり、 転んだ子供が寸前のところで回避できた。子供達に聞くと以前から何度も蓋は跳ね上がり、子供達はそれが面白 くて近くで強いドリブルをして跳ね上がりを楽しんでいたと聞いたときビックリした。大人ではそれが危険なこ とと直ぐに理解できるが、子供には遊びの対象になっている。全体で衆知のことを知らなかったでは済まされな いと後で指摘されても反論は出来ない。 プール事故は日頃の環境点検、落雷事故は早期の対応、過激な接触事故は練習指導意識など振り返れば誰でも防 げたと思われる事故でした。重大な過失責任を問われ、欧米並みに訴訟社会が進む日本でも裁判が続いています。 とかくスポーツを指導することに熱中してリスクが潜んでいることを忘れがちになっていますが、改めて身の引 き締まる思いをしました。保護者との相互理解を深め、保険内容の再点検や説明、環境点検と記録、指導者への 安全意識などは直ぐに始めようと思います。 3 補足 補足 スポーツ事故と法的責任 スポーツ事故が起こった場合の責任の追及 ○刑事責任と民事責任 一般的には、お金で対応する損害賠償責任を問われる。 過失が大きい場合は、刑事責任になる場合もある。 ・過失の少ない民事責任は、一般的に現場の指導者及び運営の団が共有して問われる。 ・使用者責任…お金の授受はほとんど関係なく、責任を問われる。 ○事故やけがが起こった場合の法律的な訴えの根拠は。 保険について 例;高校生のサッカーでの過失事故、3億円超の賠償金が発生している、 ○傷害保険…けが等の治療等にあたるための保険 ○損害賠償保険…責任を問われたときに発生する賠償保険、金額の限界や保障内容・事例研究をしっかりして把 握しておかないと実際にあったときに困る。→会員に保険内容を知らせることも大切である。 ○保険内容の検討・公表 ○事故。けが後の対応の重要化…大きなトラブルになる要因の一つの事故後の対応がある、 けがをしたときの保護者への連絡。普段から連絡をまめに、コミュニケーションを図る。 ポーツ現場 現場での での指導者 指導者が 一番いけないことは いけないことは、 指導者自身が 責任のあり のあり方 らないことである。 スポーツ 現場 での 指導者 が一番 いけないことは 、指導者自身 が責任 のあり 方を知らないことである 。知ら ないでいてはいけない。 ないでいてはいけない。この話 この話を元に、現場での 現場での対応 での対応をお 対応をお願 をお願いしたい、 いしたい、 4
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