小千谷小学校の校舎建設

小千谷小学校の校舎建設
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復興のシンボルとして
平成16年の中越大震災、多くが全壊した市街地を通り抜け、小千谷小職員は、必死の思
いで学校を目指した。周囲の壊滅的な状況から、老朽化の目立つ校舎の最悪の状況を覚悟し
ていた職員にとって、凛としてそびえる校舎・講堂の偉容は、大変な驚きだった。職員は、
感動のあまり涙が出てきたという。
復興が始まるとともに、子どもたちを守り、地域を守ってきた校舎を改築し、復興のシン
ボルとしようという気運が高まった。そして、再三の陳情の後、平成18年、総工費43億
円にもおよぶ新校舎建設が決まった。
新しい校舎を建設するにあたっては、学校・保護者・地域から様々な思いや願いを聞き検
討していった。そして、次の6項目を基本コンセプトと定めたのである。
2 基本コンセプト
(1) 建学の精神を受け継ぐ多彩でゆとりある学校空間の創造
普通教室は、廊下側に壁が無く、すべてオープンスペースとなっている。教室と廊下と
の間には、広い多目的スペースが設置されている。このスペースを有効に活用すれば、今
までよりも多彩で特色ある教育活動が可能となる。
(2) 防災拠点となる学校づくり
中越大震災の経験をもとに、全教室が最新の耐震設計で建設されている。さらに、東体
育館は、震災時の避難所となることも想定し、免震構造(体育館とそれを支える柱をゴム
で接続する事により、地震のエネルギーを逃がす構造)となっている。また、体育館下の
ピロティに備蓄倉庫を備え、非常用の機材を収納して地震等の災害に備えている。
(3) 安全・安心な学校環境整備
廊下の幅が大変広くなり、ゆったりとしている。階段もゆったりとした構造になってい
て、子どもたちがぶつかったり落下したりしないように工夫されている。また、様々な場
所に防犯カメラを設置し不審者の侵入を監視するなど安全面で工夫がなされている。
(4) 高度情報化に対応した学習環境整備
パソコンルームと各学年の多目的スペースを校内LANで結び、どの教室からもインタ
ーネットを活用した学習が可能となるようにした。また、市役所のサーバーを経由させる
ことでセキュリティを高め、ウィルス対策に万全を期している。
(5) 環境に優しい学校づくり
主に、太陽光と地中熱を有効利用している。例えば、中庭に向く壁のほとんどをガラス
張りにしたり、屋上に採光用の窓を設置したりすることで太陽光を有効活用している。ま
た、太陽光で発電するハイブリッド照明も設置され、環境教育の有効な教材となる。さら
に、教室棟の下に地下ピットを設けている。その中は年間を通して温度が安定しているた
め、この空気を24時間教室内に環流させることで、夏涼しく冬暖かい環境を作り出すこ
とができる。
(6) ランドマークとして地域に開かれた学校づくり
小千谷小学校創立時代の教室を模した「振徳館」や「ふるさと教室」など3種類の特別
活動教室があり、今までよりも多彩で特色ある教育活動が可能となっている。また、2つ
の体育館だけでなく、将来的には家庭科室や音楽室などの特別教室も教室棟と分離して学
校開放できる構造になっている。
このように、地域の要望に合わせて様々な活動ができるようになっており、地域に開か
れた学校として有効に活用することができる。
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地域の願い実現に向け
小千谷小学校は、戊辰戦争の灰燼の中から生まれた。現代もまた、震災や未曾有の経済不
況という苦境の中で学校建設が実現した。「苦しい今だからこそ、教育が何より大切」とい
う創設者山本比呂伎翁をはじめとする小千谷人の気質は、今も綿々と続いている。
そんな、思いや願いがいっぱい詰まった新校舎で、我々職員の果たすべき役割は大変大き
い。地域の夢実現に向け、保護者・地域と共に、全力で取り組んでいきたい。