問題と解答 - 天文宇宙検定

第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
1
銀河居住可能領域の条件として、銀河系中心に近すぎないことが
挙げられる。その理由として最もふさわしいものはどれか。
①超新星爆発が頻繁に起こるから
②他の恒星と衝突する可能性が高くなるから
③中心ブラックホールの重力で惑星が破壊されるから
④水が液体として存在することができないから
2
太陽黒点について間違っているものはどれか。
①黒く見えるのは周囲より温度が低いからである
②周囲よりも磁場が強い
③黒点は暗い暗部と、暗部を取り囲む半暗部からなる
④黒点のある場所はガス圧が低く、盛り上がっている
3
惑星の見え方についての次の記述のうち、正しいものはどれか。
①内惑星の観察には内合の頃が適しており、外合の頃は観察に
適さない
②外惑星の観察には衝の頃が適しており、合の頃は観察に適さな
い
③最大離角の頃の内惑星は太陽から遠くて小さく見えるから、観
察に適さない
④順行から逆行になるとき、外惑星は大きく見えるようになり、内惑
星は小さく見えるようになる
4
星の等級の研究について、業績のあった人物3名を、その業績発
表が古い順に並べた。正しいのはどれか。
①ヒッパルコス ― ポグソン ― ジョン・ハーシェル
②ヒッパルコス ― ジョン・ハーシェル ― ポグソン
③ポグソン ― ヒッパルコス ― ジョン・ハーシェル
④ジョン・ハーシェル ― ヒッパルコス ― ポグソン
5
ガンマ線バーストの発生原因として考えられている現象はどれか。
①連星系で赤色巨星から白色矮星の降着円盤への質量降着によ
る核爆発
②原始星周辺でのガスの自由落下
③恒星表面での巨大フレア
④極超新星
6
HI雲の温度が1万Kで密度が1個/cm3であるとすると、温度20Kの
暗黒星雲の密度はどのくらいになるか。ただし、HI雲と暗黒星雲の
圧力は等しいとする。
①0.02個/cm3
②1個/cm3
③50個/cm3
④500個/cm3
1
解説
章
① 銀河系中心に近い領域では星の生成が活発に行われ
ており、寿命の短い大質量の星が頻繁に超新星爆発
を起こし、強力な宇宙線が惑星系に降り注ぐこととな
る。そのため、たとえ生命が発生したとしても長く存続
することができないと考えられている。太陽系近傍に比
べて銀河系中心では恒星の密度は非常に高いが、そ
れでも星同士の衝突はほとんど起こらないので、②は
最もふさわしいとはいえない。また中心にある巨大ブ
ラックホールの影響が及ぶのは、ごく中心近傍のみで
あり、③の可能性も小さい。また、水が液体として存在
するか否かは主に主星と惑星の距離によって決まる。
1
④ 黒点は磁場が強く、太陽内部からの熱の輸送が妨げ
られるので、その周囲より温度、ガス圧とも低くなり周
辺より凹んでいる。
2
② ①内合・外合ともに太陽に近く、観察に適さない。③最
大離角の頃の内惑星は最も観察しやすい。④順行か
ら逆行になるとき、内惑星・外惑星とも地球との距離が
小さくなるため大きく見える。
3
② ヒッパルコスはギリシャの天文学者で、紀元前2世紀に
約850個の星を1等級から6等級までの明るさで分類し
た。19世紀、イギリスの天文学者ジョン・ハーシェルは1
等級差の明るさが約2.5倍の違いであることを見出し
た。その後、イギリスの天文学者ポグソンは1等級と6
等級の明るさの差を正確に100倍として、星の明るさの
関係を数式で定義した。
4
④ 質量が太陽の30倍を超えるような大質量星の最期に
は、中心部が重力崩壊してブラックホールができ、その
周辺に瞬間的に超高密度降着円盤が形成される。こ
れに垂直にほぼ光速で噴出したプラズマジェットが恒
星大気の外層を突き破って観測方向に吹き出したと
き、ガンマ線バーストとして観測されると考えられてい
る。なお、①は新星爆発のメカニズムである。
5
④ 星間ガスの圧力は温度と密度の積に比例する。した
がって、同じ圧力では温度と密度は反比例することと
なるので、(1個/cm3)×(1万K/20K)=500個/cm3とな
る。
6
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
解説
章
7
下図は銀河系周辺の銀河の分布を示したものである。次の①~④
の範囲の内、おとめ座銀河団の範囲を示したものはどれか。
① ①銀河団の典型的な大きさは1000万光年程度で、おと
め座銀河団もほぼこのサイズ。
②大きさが1億光年程度を超えると、銀河団を越えた
超銀河団サイズとなる。②では銀河の分布範囲(伸び
た方向)が約1億光年であり、超銀河団サイズとなって
いる。
③大きさが1億光年程度を超えると、銀河団を越えた
超銀河団サイズとなる。③では複数の銀河団が結びつ
き超銀河団~大規模構造と呼べるサイズになってい
る。
④は超銀河団が連なり構成される大規模構造のス
ケール。
7
8
次のうち4つの天体が発見された順に正しく並んでいるのはどれ
か。
② 発見された年は、天王星が1781年、ケレスが1801年、
海王星が1846年、冥王星が1930年。
8
④ 地球の重力と半径から理論的に導かれる第一宇宙速
度は、およそ7.9km/sである。この速度は地球に対する
相対的な速度であり、地球の自転速度は考慮していな
い。しかし、ロケットの発射では、発射地点の自転速度
を考慮しなくてはならない。赤道上では自転速度は東
向きに、4万km÷(24×60×60秒)≒ 0.46km/sとなる
ので、7.9-0.46≒7.4km/sの初速が必要となる。もし西
向きに打ち上げるとしたら、7.9+0.46≒8.4km/sの初速
が必要となる。なお、このようなロケットの発射は現実
には無理である。
9
①ケレス―天王星―海王星―冥王星
②天王星―ケレス―海王星―冥王星
③天王星―海王星―ケレス―冥王星
④天王星―海王星―冥王星―ケレス
9
赤道上から水平に、真東に向かって円軌道となるようにロケットを
発射させるとする。このとき発射地点から見てロケットの初速は、少
なくともいくら必要か計算せよ。ただし、第一宇宙速度を7.9km/s、
赤道の長さを40000kmとし、空気抵抗などは考えないものとする。
①11.2km/s
②8.4km/s
③7.9km/s
④7.4km/s
10 次のうち、ドップラー法による発見がしやすい惑星はどれか。
① ドップラー法は惑星の重力による中心の恒星のふらつ 10
きをドップラー偏移で捉える方法。よって惑星の質量が
大きく、中心の恒星に近い惑星ほど見つけやすい。惑
星の軌道の形や惑星そのものの大きさは見つけやす
さとは関係がない。
①質量が大きな惑星
②軌道半径が大きな惑星
③軌道がつぶれた楕円の惑星
④直径が大きな惑星
2
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
11 太陽系の大きさについて、間違っているのはどれか。
解説
章
③ 地球の軌道半径約1億4960万kmを1天文単位(AU)と
いう。冥王星の軌道半径は約39.4AU。エッジワース・カ
イパーベルトとは海王星より遠い天体のことで海王星
の軌道半径は約30AU。100倍しても1光年に満たな
い。最も近い恒星、ケンタウルス座アルファ星までは
4.3光年。地球の直径は約1万2800km、月の軌道半径
は約38万kmである。(出典:2014年版『理科年表』)
1
12 次の図の中で、X線で撮影された太陽はどれか。
① ②はHα 像、③は電離カルシウムK線像、④は皆既日
食時の可視光像。①のX線像では高温のコロナが明る
く見えている。
2
13 エッジワース・カイパーベルトに関する記述として、正しいものは次
のどれか。
③ ①名称の示すとおり「ベルト状に分布」しているのが、
エッジワース・カイパーベルト天体。②最初の天体は1
992年に発見された。④「太陽系外縁天体」はエッジ
ワース・カイパーベルト天体を含む。
3
④ 満月と太陽の見かけの明るさの差は、
(-12.7)-(-26.7)=14等級であり、満月が太陽より
14等級だけ暗い。5等級で明るさは100倍違うので、14
等級は5等級×5等級×(5-1)等級と考え、100×100
×(100÷2.5)=400000倍となり、約1/400000倍の明る
さとなる。
4
①地球の軌道半径の100倍は冥王星の軌道半径より大きい
②太陽からエッジワース・カイパーベルトまでの距離の100倍より
も、となりの恒星までの距離の方が大きい
③地球の直径の100倍より月の軌道半径の方が大きい
④月の軌道半径の100倍よりも地球の軌道半径のほうが大きい
①海王星よりも遠くに、たくさんの小天体が球殻状に分布している
領域である
②最初のエッジワース・カイパーベルト天体エリスは1950年代に発
見された
③これまでに知られているエッジワース・カイパーベルト天体はす
べて、惑星よりも小さい
④エッジワース・カイパーベルトよりもさらに遠い天体が「太陽系外
縁天体」である
14 満月と太陽の明るさはそれぞれ-12.7等級、-26.7等級である。で
は、満月の明るさは太陽の明るさの何倍になるか。
①約400000倍
②約40000倍
③約1/400倍
④約1/400000倍
3
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
15 主系列星の質量-光度関係を説明するのはどれか。
①光度は質量の3~4乗に比例する
②光度は質量の2~3乗に反比例する
③光度は質量によらず一定である
④光度は質量に比例する
16 2つの銀河団の衝突をとらえた次の写真から、ダークマターのどの
ような性質がわかるか。
解説
章
① 恒星は質量が大きくなると重力により中心の圧力と温
度が上がり、核融合が盛んになるため明るくなる。この
ため、星の光度は質量の3〜4乗に比例して増加する。
②は星の寿命と質量の関係である。星の寿命は燃料
の量(質量)に比例して長くなる一方、燃料の消費率
(光度)に反比例するため、星の寿命は質量/(質量
の3〜4乗)で表され、結局、質量の2〜3乗に反比例と
なる。
5
④ 写真は銀河団同士が衝突し、すり抜けた現場である。
銀河団内の星間ガスは衝突した影響で、衝突地点にと
り残された。一方、重力レンズ効果から推定されるダー
クマターの分布は、衝突の影響を受けていない。これ
は、ダークマターが衝突しないか、しにくい性質をもっ
ていることを示している。
6
③ 銀河内での星と星の間隔は星の直径に比べ非常に大
きいので、銀河同士が衝突した場合でも、星同士の衝
突はほとんど起きない。したがって①②は誤り。一方
で、衝突してきた銀河の星の引力の影響は受けるた
め、太陽の運動が乱される。その結果、現在とは違う
場所に飛ばされていく可能性が高い。よって③が正
解。
7
③ 渋川春海による有名な貞享の改暦である。これによっ
て改暦の実権は、朝廷陰陽寮より幕府天文方に移っ
た。
8
③ 太陽同期軌道は、毎日軌道面がずれていき、そのず
れ方と太陽の角度を一定にするものである。軌道面が
ずれるのは、地球が楕円体であるためで、軌道面は地
軸に対して回転していく。ところが軌道傾斜角が0°だ
と、軌道面は回転のしようがないので太陽同期軌道を
とることはできない。
①はモルニア軌道、②は回帰軌道の説明である。太陽
同期軌道の軌道周期は軌道傾斜角によって様々にと
ることができるが、実用的には、1時間台の周期のもの
が多い。
9
③ 系外惑星を直接撮像するには、コロナグラフと呼ばれ
る装置を用いて人工的に皆既日食を起こし、中心の恒
星の光を隠す必要がある。トランジット法は、惑星が恒
星の前面を通過することで惑星が暗くなる現象を捉え
て惑星を検出する方法。ドップラー法は、惑星の重力
で中心の恒星がふらつき、恒星からの光が赤方偏移
することなどを捉えて惑星を検出する。
10
①銀河とは無関係に存在する
②星間ガスから双極的に放出される
③X線でかすかに発光する
④互いにほとんど衝突しない
17 銀河は衝突を繰り返しながら成長していくと考えられており、我々
の住む天の川銀河も数十億年後にはアンドロメダ銀河と衝突する
と予想されている。銀河系とアンドロメダ銀河が衝突した場合、太
陽はどうなってしまうだろうか。最も可能性の高いものを選べ。
①アンドロメダ銀河の星と衝突し、太陽は粉々に砕け散る
②アンドロメダ銀河の星と合体し、太陽は今よりも重たい星となる
③アンドロメダ銀河の星との衝突は起きないが、引力の影響で今と
は違う場所に飛ばされる
④アンドロメダ銀河の星は素通りしていくだけなので、今の状態と
全く変わらない
18 初めて日本人の調査によってつくられた暦はどれか。
①元嘉暦
②宣明暦
③貞享暦
④天保暦
19 太陽同期軌道について正しく述べたものはどれか。
①近地点高度が500km、遠地点高度が4万kmの極端な楕円軌道
である
②地球を1日に数回まわり、1日で同一地点の上空を通過する軌道
である
③軌道傾斜角が0°であってはいけない
④軌道周期が2時間以上でなければならない
20 次の現象のうち、系外惑星の検出方法の原理と関係のないものは
どれか。
①皆既日食
②金星の太陽面通過
③皆既月食
④赤方偏移
4
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
21 映画「2001年宇宙の旅」や「コンタクト」は、宇宙人との接触(コンタ
クト)を描いた作品である。宇宙人のかかわり方は、どういう考えに
基づいているか。
解説
章
① 映画では宇宙人が地球を未開な段階として、見守り保
護していたという考えからスタートしている。その保護
の段階から「宇宙人クラブ」のメンバーに入れようとす
るのが「コンタクト」である。
オッカムの剃刀は、自然現象を説明する際に、より簡
単で単純な方が正しいとする考え方。
ハデンの法則は、「コンタクト」に登場する人物ハデン
が、何かつくるなら2個つくるほうが安上がりでバック
アップにもなるということから、一部のファンが同じもの
を2個購入する言い訳にするスラング。ただし、これは
リスクを取る研究ではよく使われる手法である。航海仮
説は特段の意味はない。
1
22 次の写真のうち、惑星状星雲ではないものを選べ。
③ オリオン座の馬頭星雲は、オリオン座の三ツ星の東端
にある暗黒星雲。馬の頭に似た形は、輝線星雲を背景
にして浮かび上がって見える。
6
23 太陽系形成初期の様子を知ろうとするとき、有効であると考えられ
るのは次のどれか。
③ 正解は③で、彗星は太陽系誕生時に形成され太陽か
ら遠く離れた冷たい場所からやってくる。そのため、太
陽系形成時の様子を伝えてくれる「化石」のようなもの
と考えられている。
①地球内部は「熱進化」により、初期の情報は失われ
ている。
②太陽から飛来する粒子は太陽外層部分の様子を伝
えるものである。
④太陽系の外に出たのでは、太陽系形成初期の情報
は得られない。
3
③ ある星までの距離が8.2光年であることから、その絶対
等級を求めるためには、基準となる距離32.6光年まで
遠ざけたと仮定する必要がある。どれだけ遠ざけるか
を計算すると32.6/8.2≒4(倍)となる。恒星の明るさは
距離の2乗に反比例するため、距離が4倍になると1/42
で16分の1となる。1等級の差は明るさに直すと2.5倍
(2.5分の1)であり、2.5×2.5×2.5≒16であるため、明る
さが16分の1になるということは、等級で3等級暗くなる
(数字が大きくなる)ということになる。よって、-1+3
=2(等級)が正しい。
4
② 星間ガス雲はわずかに回転している。ガスの塊が収縮
し半径が小さくなると、角運動量保存則により回転速
度が増すため、回転軸に垂直な方向にガスが移動し
にくくなる。一方、回転軸に平行な方向は角運動量に
よる制限がないため、ガスは回転軸に平行な方向につ
ぶれていく。したがって、はじめは球形の分子雲コアは
収縮するにつれて回転軸に垂直な円盤を形成する。
5
①保護仮説
②航海仮説
③オッカムの剃刀
④ハデンの法則
①地球内部の物質を運んでくれる火山からの溶岩を調べる
②太陽から飛来するプラズマ粒子をとらえ、その組成を調べる
③彗星から放出される物質をとらえ、その組成を調べる
④太陽系を取り巻く星間ガスの中に入り、その組成を調べる
24 ある星の見かけの等級は-1.0等級で、その距離は8.2光年であっ
た。では、この星の絶対等級はいくらになるか。なお、星を32.6光年
の距離で測った等級を絶対等級という。
①約0等級
②約1等級
③約2等級
④約3等級
25 原始惑星系円盤は、なぜ形成されるか。
①分子雲コアが周囲から降ってくるガスの圧力でつぶれるから
②分子雲コアが回転運動をしているから
③原始星ジェットが分子雲コアのガスを持ち去るから
④分子雲のガスが磁場を横切れないから
5
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
26 暗黒星雲を説明する文として、正しいものはどれか。
①構成する星間塵は、主に氷や水の粒でできている
②光を吸収し、それは天の川方向で30光年で1等級暗くなる程度
である
③分子があることが波長21cmの電波でわかる
④暗黒星雲は天の川の方向に多く、天の川から離れると少ない
27 宇宙で最初にできた星の探査が続いている。宇宙で最初にできた
星に惑星があった場合、生命体は存在するだろうか。この問いに
対する答えとして、正しいと思われるものはどれか。
①非常に長い時間宇宙に存在しているので、高度な文明をもつ生
命体がいる可能性がある
②宇宙初期には水素とヘリウムがほとんどなので、非常に原始的
な生命のみが存在する可能性がある
③宇宙初期には有機物の基となる元素が存在しないので、生命は
誕生できない
④最初にできた星の周囲には、わずかな水(H2O)しか存在しない
ので、生命は誕生できない
28 江戸時代の陰陽師、土御門家とは誰の子孫か。
解説
章
④ 暗黒星雲は、星間空間を漂う星間塵である。その成分
はガスと塵でできている。天の川方向に多く、天の川
から離れると少ない。分子が含まれているのは、ミリ波
やサブミリ波という波長の短い電波を発することでわか
る。21cmの電波は、電離していない水素の原子が発
する電波である。暗黒星雲は光を吸収するが、天の川
方向で3000光年あたり1等級暗くなる程度である。
6
③ 宇宙誕生直後には水素とヘリウム(わずかなリチウム)
しか存在せず、それ以外の元素は恒星内部で合成さ
れてきた。また恒星内部で合成された元素は、恒星が
最期を迎えた段階で宇宙空間に放出される。したがっ
て、宇宙で最初に生まれた恒星に、仮に惑星があった
としても、水素とヘリウムのみでできているはずであ
る。
一方、生命が誕生するには有機物が必要であり, 炭素
(C), 窒素(N), 酸素(O)といった元素の存在が不可欠
である。したがって、仮に惑星があったとしても生命は
存在しないと考えられるので①②は誤り。
また、酸素が存在しないので水も全く存在しないことか
ら、④も誤りとなる。
7
② 安倍家は室町時代の初期から土御門を称するように
なった。
8
① 糸川博士がペンシルロケットの発射に成功したのは、
1955年。世界初の人工衛星「スプートニク1号」は、
1957年にソ連が打ち上げた。米国が最初の人工衛星
「エクスプローラー1号」を打ち上げたのは、1958年。
1961年には、宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンを乗せた
「ボストーク1号」を地球周回軌道に打ち上げ、人類初
の宇宙飛行に成功した。アポロ11号の月面着陸は、
1969年である。
9
④ 年周視差とは、観測者が移動しているため天体の位置
が反対方向にずれて見える現象であり、1838年ベッセ
ルによって発見された。年周光行差とは、光速が有限
であるため移動している観測者から見て星の位置が前
方にずれて見える現象である。その値は前者より10倍
以上も大きく、1727年にブラッドリーによって発見され
た。いずれも地球が公転運動をしているためである。
惑星が見かけ上、順行・逆行を起こすのは地球と惑星
の公転速度の差による。フラウンホーファー線は太陽
スペクトルに見られる暗線で、地動説とは関係ない。
8
①土御門天皇
②安倍晴明
③藤原定家
④菅原道真
29 1957年のスプートニク1号の打ち上げよりも前の出来事を次の中
から選べ。
①糸川英夫博士がペンシルロケット発射実験に成功
②エクスプローラー1号の打ち上げ
③ボストーク1号の有人宇宙飛行
④アポロ月面着陸
30 地動説の確立と関係ないものを次の中から選べ。
①年周視差の発見
②年周光行差の発見
③順行逆行の説明
④フラウンホーファー線の発見
6
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
31 最も有名なブラックホール天体、はくちょう座X-1がブラックホールと
考えられている要素として間違っているのはどれか。
①X線の強さが1000分の1秒という極短周期で変化しており、その
天体が非常に小さいと考えられる
②9等星の青い星HD226868が何かにひっぱられており、その質量
が太陽の10倍もあるのに見えない
③非常に強いX線が特定の星から放出されていた
④非常に強い電波がパルス状に発信されている
32 太陽表面上の矢印の白く見える現象は何と呼ばれるか。
解説
章
④ はくちょう座X-1は、X線での全天観測で発見された非
常にX線が強い場所である。その変動が非常に短時間
で起こる原因を小田稔がブラックホールではないかと
指摘し、小田や宮本重徳らが、その位置を精度よく測
定した。
それに基づいて、岡山天体物理観測所を含む世界の
天文台が観測し、HD226868星が発信源と判明した。そ
して、その星の運動から、見えない何かにひっぱられ
ていて、その質量が太陽の10倍もあることが判明し
た。変動周期から考えて非常に小さな天体であること
がわかり、ブラックホールだとされた。なお、電波も出て
いるが、「非常に強い」とはいえない。その後、日本のX
線天文衛星「あすか」により、はくちょう座X-1の周囲に
ガスの円盤とジェットが観測され、円盤の大きさや明る
さの分布から太陽質量の10倍のブラックホールに相当
する現象と確認されている。
1
③ 太陽周囲に長く伸びているものがプロミネンス。太陽の
縁に毛羽立ったように見えるのはスピキュール。太陽
表面で白く光っている領域がプラージュ。
2
④ 内惑星には衝は起きないし、真夜中に見えることもな
い。
3
③ ドイツの物理学者フラウンホーファーが太陽光中の吸
収線を発見し、特に強い吸収線にA線~K線と名付け
た。その後、吸収線の原因が太陽大気中あるいは地
球大気中に存在する元素にあることが発見されたた
め、吸収線の名称と元素記号が紛らわしくなってしまっ
た。
4
② Ⅰ型超新星は白色矮星と赤色巨星の連星系で赤色巨
星から白色矮星にガスが降り積もり、太陽質量の1.4倍
以上になると白色矮星が大爆発を起こし、その後には
何も残らない。Ⅱ型超新星爆発では、元の星の中心部
が中性子星やブラックホールとなる。
5
①プロミネンス
②スピキュール
③プラージュ
④ダークフィラメント
33 地球からの金星の見え方として、間違っているものは次のどれか。
①外合の頃は満月状に光って見える
②内合の頃は地球に最も近いから、見かけの大きさが最大となる
③東方最大離角の頃は「宵の明星」として見える
④衝の頃は真夜中に南中して見える
34 太陽光のスペクトルの中に見られるフラウンホーファー線とその原
因となる元素の関係が、間違っているものはどれか。
①D線-ナトリウム
②H線-カルシウム
③H線-水素
④K線-カルシウム
35 超新星爆発の説明で正しいものはどれか。
①Ⅰ型超新星は太陽の1.4倍以上重い単独の白色矮星が大爆発
を起こしたもの
②Ⅱ型超新星は太陽の8倍以上重い星が大爆発を起こしたもの
③Ⅰ型超新星は爆発の後に中性子星を残すことが多い
④Ⅱ型超新星では白色矮星ができる
7
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
36 銀河系の球状星団について述べた文のうち間違っているものはど
れか。
解説
章
③ ペルセウス座の二重星団は、一見、球状星団のような
星の分布をしているが、若い散開星団である。
6
37 天の川銀河からそれぞれ距離D、2Dだけ離れている銀河A、Bのス
ペクトルを観測したところ、下図のような同一元素による同じ吸収
線が観測されたとする。この場合、銀河Aから天の川銀河および銀
河Bのスペクトルを観測すると、どのようなスペクトルが得られると
予想されるか。
④ 銀河Aから観測すると、銀河Aは自分自身に対して静
止しているので、吸収線の位置は、天の川銀河から観
測した天の川銀河のスペクトルと同じ位置になる。ま
た、銀河Aから見ると天の川銀河と銀河Bは同じ距離だ
け離れているので、ハッブルの法則より後退速度は同
じとなる。したがって、天の川銀河と銀河Bの吸収線の
ズレは同じになる。この2条件にあてはまるのは④。
7
38 平安時代の天文博士が行っていない仕事はどれか。
③ 天文博士の主な仕事は毎日定時に天体観測をして、
異常があれば必ず記録することである。時には直接内
裏に報告するが、これを「天文密奏」という。日食月
食、客星の出現など詳しく書き留められた。精度はあ
まりよくないが日月食の予報も行われた。緯度経度の
測定が行われたのは江戸時代になってからである。
8
③ 宇宙開発の大きな障害となっているスペースデブリ(宇
宙ゴミ)については、その対策が急務であり、様々なア
イデアが提案されている。しかし、現在のところ、軌道
を把握して避ける以外に方策はとられていないのが現
状である。
9
①数万個から数十万個の星の集団である
②高温(O型やB型)の主系列星が含まれていることはない
③若い球状星団の代表例はペルセウス座の二重星団(hとχ )であ
る
④重元素の量が少なく、太陽の100分の1から1000分の1程度しか
ない
①日食の予報
②定時天文観測
③緯度経度の測定
④天文現象の記録
39 スペースデブリに対して、現在、国際宇宙ステーションがとっている
対応策は次のうちどれか。
①影響は小さいので対策は何も行っていない
②デブリ回収用の人工衛星を運用している
③その軌道を把握して回避している
④レーザーで撃って大気圏に落としている
40 次の生物の分類のうち、最初の生物に最も近いと考えられている
のはどれか。
①真核生物
②古細菌
③粘菌類
④真正細菌
41 宇宙の歴史のなかの主な出来事であるABCDの4つを古い順に正
しくならべているのはどれか。
A.インフレーションの開始
B.重力の誕生
C.宇宙の晴れ上がり
D.クェーサー形成
①ABCD
②ACBD
③DBCA
④DCBA
8
④ 現在の生物界は、大きく真正細菌(バクテリア)、古細
10
菌(アーキア)、真核生物(ユーカリア)に分類される。
このうち、最も最初の生物に近いのは真正細菌だとい
うことが、リボソームRNA遺伝子の比較から明らかに
なっている。ちなみに③の粘菌類は真核生物の一種で
ある。
① 宇宙は真空のゆらぎから誕生し、インフレーションとい
う急激な膨張を経てエネルギーが解放され、ビッグバ
ンという超高温の状態となる。その後、宇宙は膨張す
るにつれて冷え、重力をはじめとする様々な力が誕生
した。宇宙誕生から約38万年がたった後、宇宙を自由
に飛び回っていた電子が原子に取り込まれ、光が直進
できるようになる(宇宙の晴れ上がり)。その後、星や
銀河がつくられていく。クェーサーは中心核が非常に
活動的な銀河が恒星状に見えている天体で、宇宙誕
生10億年後以降に誕生した。
1
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
42 太陽コロナについて、間違っているものはどれか。
①コロナはプラズマ状態の高温のガスである
②光球からの光の散乱光と、鉄などの輝線によって光っている
③太陽活動が活発な時期は、双極磁場の構造(ポーラープルー
ム)がよく見られる
④コロナはとても暗く、明るいところでも満月の明るさ程度である
43 冥王星に関する次の記述のうち、間違っているものはどれか。
①冥王星は1930年に発見された
②冥王星の軌道は海王星軌道の内側に入ることがある
③冥王星は惑星ではなくなったが、準惑星としては最大である
④2014年現在、冥王星に向けて探査機「ニュー・ホライズンズ」が
飛翔中である
44 横軸の温度で正しい組み合わせはどれか。
解説
章
③ 太陽活動が穏やかな時期の方が極磁場の構造がよく
見られる。活発な時には、黒点群などの磁力線の影響
で双極磁場の構造はあまり見られない。
2
③ 冥王星とともに準惑星に分類されたエリス(エッジワー
ス・カイパーベルト天体のひとつ)は、冥王星より大き
い。
3
① この図自体は説明図で概略を描いただけだが、星の
位置はだいたい正確にプロットされており、シリウス
(表面温度が約10000K)とベテルギウス(約3000K)か
ら①であることがわかる。
4
② パルサーは高速で自転する中性子星において、自転
軸と大きく傾いた磁場の磁極の方向にある電磁波の放
射領域が地球の方向に向いた時に、強いパルス状の
電波源として観測される。これは灯台のビームが回転
するのと同じである。脈動(pulsation)によって変光す
る脈動変光星は、恒星の半径が周期的に変化し、これ
に伴って星全体の光度が変化するため、パルサーの
明滅とはしくみが違う。
5
④ 輝線星雲は、高温の、つまり、青白い恒星の紫外線
で、星雲の電離した水素ガスが赤く発光しているのが
特徴である。なお、惑星状星雲や恒星(たとえば太陽)
表面近くでも、同様に電離した水素ガスが赤く発光して
いる領域がある。
6
①Aが約10000K、Bが約3000K
②Aが約15000K、Bが約2000K
③Aが約20000K、Bが約40000K
④この説明図だけでは何ともいえない
45 パルサーに関係ない現象はどれか。
①中性子星の自転軸と磁極の傾き
②中性子星の脈動
③中性子星の高速の自転
④正確な周期での電波放射
46 「電離ガスが、青白い星の光により、赤く発光している」。これは、ど
の星雲を説明したものか。
①反射星雲
②HI雲
③暗黒星雲
④輝線星雲
9
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
47 天の川銀河から銀河A、Bのスペクトルを観測したところ、下図のよ
うな同一元素による同じ吸収線が検出できた。銀河Aまでの距離を
Dとすると、銀河Bまでの距離Xはどの程度になるか。
解説
章
③ 吸収線のズレはドップラー効果によるもので、ズレ量は
銀河の後退速度に比例する。天の川銀河の吸収線を
基準にすると、銀河Aの吸収線は2目盛、銀河Bの吸収
線は3目盛ずれている。このことから、銀河Bの後退速
度は銀河Aの1.5倍(=3/2)であることがわかる。
ハッブルの法則より、銀河までの距離は後退速度に比
例するので、銀河Bまでの距離は銀河Aまでの距離の
1.5倍となる。
7
① 1930年頃、銀河の距離測定に最もよく使われていた方
法。②の測定法はまだ知られておらず、③や④は近傍
星しか適用できない。
8
③ 宇宙ステーションでは、重力や運動による負荷が減る
ので、筋肉が委縮する。また、骨芽細胞の活動が低下
するため、カルシウムの体外排出量が増えて骨粗しょ
う症のリスクが高くなる。宇宙放射線は、完全に遮断す
ることができないため、長期的にみるとリスクが高い。
宇宙酔いは数日で自然におさまる。
9
② 4種類の場合、組み合わせは4×4×4=64通りある
が、3種類の場合、組み合わせは3×3×3=27通りに
なってしまう。
そのため、27÷64×100=42.1875≒42%となる。
それでも生体をつくるタンパク質に利用されているアミ
ノ酸は20種類なので、十分とはいえないまでも足りるこ
とになる。
10
③ 宇宙の内容物は、ダークエネルギーが73%、ダークマ
ターが23%、通常物質が4%からなっている。バリオン
物質とは、原子や分子などからなる通常物質。最近で
は、ダークエネルギー68%、ダークマター27%、バリオ
ン物質5%という数値も発表されている。
1
④ 白斑にも1000ガウス程度の磁場がある。
2
③ ケプラーの第2法則は、公転する天体が中心天体に近
ければ速く、遠ければ遅く運動することを示している。
これはつまり、一定質量の物体における角運動量保存
の法則のことである。
3
①0.5D
②1.0D
③1.5D
④2.0D
48 ハッブルが宇宙膨張を発見した際、銀河の距離測定に用いた方法
は何か。
①ケフェウス型変光星の光度
②Ia型超新星の光度
③三角測定
④分光視差
49 宇宙ステーションでの滞在期間が長くなるほど、人体への影響が
低くなるものは次のうちどれか。
①筋肉の委縮
②骨粗しょう症
③宇宙酔い
④放射線被曝による細胞のがん化
50 DNAは4種類の塩基の配列の組み合わせで、さまざまな遺伝情報
を表す。もし塩基の配列が3種類であったとすると、4種類の場合に
比べて、配列の組み合わせは何%になるか。
①約21%
②約42%
③約63%
④約84%
51 宇宙の内容物を分類したとき、最も割合の多いものを次から選べ。
①バリオン物質
②ダークマター
③ダークエネルギー
④暗黒星雲
52 太陽表面の説明で間違っているのはどれか。
①太陽の表面には、ここというはっきりとした境目はない
②可視光で観測される表面は光球と呼ばれ、厚さは約500kmであ
る
③光球には太陽の表面で沸き立つ対流の渦が粒状斑として観測さ
れる
④黒点の周囲にみられる明るい模様が白斑で、磁場がほぼないの
で明るく見える
53 ケプラーの第2法則は、何と同じ意味か。
①慣性の法則
②エネルギー保存の法則
③角運動量保存の法則
④エントロピー増大の法則
10
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
54 図は電磁波のスペクトルの模式図で、上の部分は可視光のスペク
トルを拡大表示したものである。A、B、Cにあたる波長の組み合わ
せで正しいのはどれか。
解説
章
② 可視光の波長域は、個人差もあるが、だいたい380nm
(3800オングストローム)から780nm(7800オングスト
ローム)あたりである。
4
④ 宇宙の誕生直後は、水素とヘリウム以外の「重元素」
は存在せず、大質量星の内部でつくられた重元素が、
超新星爆発によって宇宙空間にまき散らされた。超新
星爆発を起こすような大質量星は寿命が短いため、銀
河系の方々で超新星爆発が起こり、星間ガス中に次
第に重元素が蓄積していった。これを元に原始太陽が
収縮を始め、その周囲に形成された原始太陽系円盤
から地球をはじめとする太陽系の天体がつくられた。
5
① ほとんどの散開星団の年齢は1000万年~1億年程度
であり、それ以上になると、ばらけて散開星団の形状
をなさなくなってしまう。しかし、例外はあり、M67や
NGC188は非常に古い散開星団として知られる。こうし
た古い散開星団と球状星団は、形状ではなく恒星に含
まれる重元素の存在比に起因するHR図の形状の違い
などで区別されている。
6
④ 局部銀河群には3つの大型の銀河(銀河系、アンドロメ
ダ銀河M31、渦巻銀河M33)のほか、大マゼラン銀河な
ど40ばかりの矮小銀河からなっている。これらの中に
は大型の楕円銀河はない。M87などの大型の楕円銀
河は、おとめ座銀河団など大規模な銀河団の中心に
見られる。
7
①Aが300nm、Bが400nm、Cが500nm
②Aが400nm、Bが500nm、Cが600nm
③Aが500nm、Bが600nm、Cが700nm
④Aが600nm、Bが700nm、Cが800nm
55 地球をつくる水素とヘリウム以外の「重元素」はどこからきたのだろ
うか。
①宇宙の始めからあった
②ビッグバンのときにできた
③太陽から放出された
④超新星爆発でまき散らされた
56 次のうち年齢が100億歳に達する散開星団はどれか。
①かに座のM67
②プレアデス星団
③かに座のM44
④ペルセウス座の二重星団hとχ
57 次のうち局部銀河群のメンバーでないのはどれか。
①渦巻銀河M33
②矮小銀河NGC6822
③大マゼラン銀河
④楕円銀河M87
11
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
58 HR図上の前主系列星の進化で、表面温度がほとんど変化しない
で主系列に達する質量はどれか。
解説
章
④ 太陽質量の2倍以上の星は急激に収縮し、温度が上
昇して主系列星になる。太陽程度の質量の場合、1000
万年程度は表面温度があまり変化せずに収縮するた
め光度が小さく(暗く)なり、その後は温度上昇によって
HR図上を左に移動する。より質量の小さな星は収縮
に時間がかかり、中心の温度と圧力が核融合を起こす
までに表面から熱が逃げるため、表面温度はほとんど
変化しない。太陽質量の0.4倍の場合、表面温度がほ
ぼ一定のまま約1億年かけて主系列に達する。
5
④ ①②③は固体ロケットの利点である。液体ロケットの他
の利点として、方向や速度のコントロールが容易、また
発射の際のGが少ないことなどが挙げられる。
9
①太陽質量の5倍
②太陽質量の2倍
③太陽質量の1倍
④太陽質量の0.4倍
59 液体ロケットの利点として正しいものはどれか。
①製造コストが安い
②長時間の貯蔵・保存が可能
③構造が簡単で取扱いが容易
④大型化が容易
60 ハビタブル・ゾーンについて述べたもののうち、正しいものを選べ。
①太陽より質量が小さな恒星のハビタブル・ゾーンは、太陽系のハ
ビタブル・ゾーンよりも内側にある
②ハビタブル・ゾーンとは、惑星が酸素の大気をもつことのできる
領域のことである
③ハビタブル・ゾーンに位置する岩石惑星をスーパーアースと呼ぶ
④ハビタブル・ゾーンに位置している可能性がある系外惑星はまだ
発見されていない
61 宇宙が火の玉のような状態ではじまった、いわゆる「ビッグバン宇
宙の考え」を提唱したのは誰か。
①フレッド・ホイル
②アルバート・アインシュタイン
③ジョージ・ガモフ
④エドウィン・ハッブル
12
① ハビタブル・ゾーンの位置は中心の恒星の表面温度で 10
変わる。主系列星では、質量が大きいほど表面温度が
高い。よって、太陽より質量が小さな恒星は表面温度
が低く、ハビタブル・ゾーンが太陽系のハビタブル・
ゾーンよりも内側となる。ハビタブル・ゾーンとは、惑星
が表面に液体の水をもつことができる領域のこと。スー
パーアースとは質量が地球の数倍の岩石惑星のこと
で、必ずしもハビタブル・ゾーンに位置するとは限らな
い。ハビタブル・ゾーンに位置する可能性がある系外
惑星は、グリーゼ581やくじら座τ 星などの周囲に発見
されている。
③ ビッグバンは、エドウィン・ハッブルが発見した宇宙の
膨張を逆回しした帰結として、ジョージ・ガモフにより提
唱された。宇宙が「誕生」するというのは、それまでの
常識を覆すことであり、宇宙には始まりも終わりもない
とする考え方、定常宇宙論と激しく対立した。定常宇宙
論の旗手であったフレッド・ホイルは、ガモフの考えを
「ビッグバン(大爆発・おおぼらふき)」と揶揄したが、皮
肉なことにこれが定着した。アインシュタインの相対性
理論からは、宇宙が膨張することも導かれる。
1
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
62 次の文章を完成させるのに、正しい組み合わせはどれか。
「太陽からやって来た(A)は、(B)にいったんとらえられ、地球の極
域に降り注ぐ。このとき、地球大気の(C)を励起して幻想的なオー
ロラをつくりだす。」
①A:プラズマガス B:地球大気圏の尾部 C:窒素や二酸化炭素
②A:電磁波 B:地球磁気圏の頭部 C:酸素や二酸化炭素
③A:プラズマガス B:地球磁気圏の尾部 C:窒素や酸素
④A:電磁波 B:地球大気圏の頭部 C:水素や酸素
63 オールトの雲について間違った記述はどれか。
①太陽をめぐる短周期彗星がもともといた領域である
②半径1光年ほどの球殻状の領域である
③直接観測されていない
④太陽から最も離れた太陽系の構成員と考えられる
64 HR図中のABCに属する恒星について、正しく説明しているものは
どれか。
解説
章
③ 太陽からは「太陽風」と呼ばれる電気を帯びた粒子(プ
ラズマガス)が吹き出してる。これが太陽風によってた
なびく地球磁気圏の尾部にいったんとらえられ、尾部
の磁力線のつなぎ変えによって地球の極域に降り注
ぐ。すると、地球大気の外層の原子や分子に衝突、励
起して光を放す。これがオーロラで、カーテン状のオー
ロラの緑の光は酸素原子、裾のピンクの光は窒素分
子が励起された光である。
2
① ①は、エッジワース・カイパーベルトの説明である。太
陽を200年以上の周期でめぐる、長周期彗星がどこか
らきたかをヤン・オールトが調べ、半径1光年の球殻状
の領域と考えたのがオールトの雲である。現在までに
直接観測は成功していない。
3
② Aは白色矮星と呼ばれ、高温だが半径が非常に小さい
(地球程度)ために暗く見える。Bは主系列星と呼ば
れ、左上に行くほど高温になり明るくなる。Cは赤色巨
星と呼ばれ、低温で放射しているエネルギーは少ない
が、半径が大きい(太陽の数百倍)ため明るく見える。
よって、半径の大きさは赤色巨星>主系列星>白色
矮星の順となる。
4
① ボーデの法則n =3 に対応する未知の天体が探索さ
れた結果、イタリアのピアッチによって小惑星ケレスが
発見された。なお、小惑星ケレスは2006年に準惑星に
分類し直された。
8
①恒星Aは恒星Cよりも半径が大きく、密度が大きい
②恒星Aの半径が最も小さく、恒星Cの密度が最も小さい
③恒星Bは恒星Aよりも半径が大きく、密度が大きい
④恒星Bは最も半径が大きく、密度が小さい
65 太陽地球間の距離を10として、近似的にr =4+3×2n の距離に惑
星が存在するとするボーデの法則において、n =3に対応する天体
として1801年に発見されたものはどれか。
①小惑星ケレス
②小惑星パラス
③小惑星エロス
④小惑星イトカワ
13
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
66 この銀河系の渦巻模様は、数億年後どうなると考えられるか。
解説
章
④ 銀河系の回転速度は、中心付近から遠方までほぼ一
定である。ということは、中心付近の角速度は大きく、
遠いほど少なくなり渦巻模様はきつく巻き込むように考
えられる。しかし、実際は、多くの銀河でそのようには
なっていないことから、将来もあまり変わらないと考え
られている。これを説明するには、渦巻模様の移動速
度が、天体の移動速度ではないと考える必要がある。
たとえば、天体の「渋滞している場所」が、移動してい
ると考えるのである。この場合は、「渋滞している場所」
の速度と天体の移動速度はちがっていてかまわない
のである。
6
② 問題文の仮定より、銀河の後退速度は銀河系から100
万パーセク離れた場所で70km/s。
ハッブルの法則は v =Hr (v :後退速度、 H :ハッブル
定数、 r :距離)と表され、距離と後退速度が比例関係
にあることを示している。したがって、100万パーセクの
10倍離れた1000万パーセクの場所での後退速度は
700km/s。さらにその10倍離れた1億パーセクの場所で
は、後退速度は7000km/sとなる。
7
68 次のうち渾天儀はどれか。
① 渾天儀は、複数の円環を組み合わせ、なかに筒を入
れ、自由に回転させて、天体の高度、方位を観測する
ための機器。天空の動きの模型として説明に使用され
るものでもあったようである。②は圭表、③は分光器、
④は大象限儀である。
8
69 次のうち、電気推進に分類されないロケットはどれか。
① イオンロケットはイオンガスを、プラズマロケットはプラ
ズマガスをそれぞれ生成し、電気の力で噴出させる反
動で飛ぶロケットである。電気熱ロケットは、燃焼の代
わりに電気でガスを加熱・膨張させて噴出させる。ソー
ラーセールは、太陽光があたる反作用で飛ぶものであ
り、電気エネルギーは使っていない。ただし電気ロケッ
トと組み合わせる構想はある。
9
② 生物の身体をつくるタンパク質はたった20種類のアミノ
酸でできている。遺伝情報は、ヌクレオチドが連なった
DNAやRNAが担っている。核をもたない原核生物も多
数存在する。系統樹などを解析した結果、地球の生命
は高温下で誕生したと考えられている。
10
①きつく巻き込む
②ほどける
③模様がなくなる
④変わらない
67 ハッブルの法則の比例定数H の値は100万パーセク離れたときの
後退速度を表している。いまこの値が70km/sであったとする。ある
銀河の後退速度を測定したら7000km/sであった。ハッブルの法則
を用いるとこの銀河までの距離はどれくらいになるか。
①4900億パーセク
②1億パーセク
③49万パーセク
④100パーセク
①ソーラーセール
②イオンロケット
③プラズマロケット
④電気熱ロケット
70 地球の生命(生物)について述べたもののうち、正しいものを選べ。
①生命の遺伝情報は、多数のDNAやRNAが連なったヌクレオチド
が担っている
②生物の身体をつくるタンパク質は、20種類のアミノ酸の組み合わ
せでできている
③生命は必ず細胞内に核をもつ
④地球の生命は、水の密度が最大となる低温下で誕生したと考え
られている
14
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
71 フェルミパラドックスとは、どのような考え方か。
解説
章
① 物理学者のエンリコ・フェルミは、1950年に食事をしな
がら同僚と議論している際に、これだけ銀河系が広大
なら、当然地球のような星に宇宙人がいるはずで、な
かには、地球に到達している宇宙人もあるはずだ。な
のに、有史以来、宇宙人と接触した確たる証拠は何も
ないのはなぜかと問うたのが始まり。
②は、その解答として、宇宙人は未開な文明を動物園
の動物のように見守っているからだという仮説。ただ
し、その検証は困難であるし、宇宙人が地球人のよう
な発想をするか疑問とする声もある。
1
③ 太陽の各部の温度は、中心核が約1400万K、光球が
約6000K、黒点が約4000K、コロナが約100万Kとなって
いる。最も外側のコロナが光球よりも温度が高く、その
加熱原因が太陽の謎のひとつとされてきた。現在で
は、コロナ中の磁力線の振動などが原因で加熱されて
いるのではないかと考えられている。
2
73 図は、HR図上での太陽程度の質量の星の進化経路を表したもの
である。惑星状星雲を形成するのは図中のどの段階か。
③ 太陽質量の8倍よりも軽い星は、赤色巨星になった後、
ヘリウムの核融合反応により再び温度が上昇し、HR
図上を左に移動していく。この時、膨張した星の外層部
が静かに宇宙空間に放出され、これが惑星状星雲を
形成する。
5
74 太陽の熱エネルギーについて正しいものはどれか。
② 太陽の核融合反応は、4つの水素原子核から1つのヘ
リウム原子核がつくられる。核融合の過程で、ガンマ
線、陽電子、ニュートリノが生じ、陽電子は周囲の電子
と衝突してガンマ線に転じる。このガンマ線のエネル
ギーはより内側の放射層に伝わり、次に対流層によっ
て表面へと伝えられる。
2
③ ①~④の記述内容そのものは全て正しい。
しかし、太陽中心部での核融合は4H→Heの反応であ
り、H、He以外の元素は生成していない。したがって①
は誤り。②は、多様な元素が存在していることとは関係
がない。宇宙初期にはH、He、Liのみが存在し、それ以
外は恒星内部で合成されたものである。したがって太
陽表面にある重元素は太陽誕生前に存在した恒星で
合成されたものであり、太陽は宇宙で最初の星ではな
い。太陽は将来、惑星状星雲になると考えられている
が、星の最期は主として質量で決まっており、重元素
の有無とは直接関係ない。
7
①宇宙人がいる可能性は高いのに、その存在がわからないのはな
ぜかと問うもの
②我々人類は宇宙人から動物園の動物のように保護されているの
ではという考え
③より高度な宇宙人が人類を滅ぼさない理由がわからないという
問題
④宇宙論の帰結から宇宙人はいないはずなのに我々人類がいる
矛盾を問う考え
72 太陽の各部を温度が高い順に並べたとすると、正しいものはどれ
か。
①コロナ→中心核→光球→黒点
②中心核→光球→黒点→コロナ
③中心核→コロナ→光球→黒点
④コロナ→光球→中心核→黒点
①太陽の中心核での核融合反応では、2つの水素の原子核から
1つのヘリウム原子核が生み出される
②核融合の過程で、ガンマ線、陽電子、ニュートリノが生じる
③中心部のエネルギーは、ガンマ線として対流層に伝わる
④対流層のエネルギーは、その外側の放射層に、さらに表面へと
伝えられる
75 太陽のスペクトルから、太陽表面には水素・ヘリウム以外にも様々
な元素が存在していることがわかる。この事実からわかることは何
か。
①太陽内部で核融合反応が起きている
②太陽は内部ほど温度が高い
③太陽は宇宙で最初に生まれた星ではない
④太陽は将来、惑星状星雲になる
15
第4回天文宇宙検定2級問題・解答
No.
問題
正答
76 月面に有人基地を設置するには、極点付近がよいとされる。その
理由として正しくないのはどれか。
解説
③ レゴリスは月面全体で入手できるため、極点付近がよ
い理由にはならない。
章
9
①太陽光の影響・恩恵が大きく変化しないため
②地球と交信が可能だから
③放射線遮蔽材料のレゴリスが豊富に集められるため
④地球からの人工電波の影響を受けにくいから
77 この画像は、すばる望遠鏡によって直接撮影することに成功した、
太陽によく似た恒星のまわりを公転している系外惑星(右上の点)
である。系外惑星の直接撮像について、正しく述べているものを選
べ。
④ 系外惑星を直接撮影する場合、近くにある恒星の光が 10
邪魔になる。そのためコロナグラフと呼ばれる装置で
中心の恒星を隠して、惑星の姿を捉えている。ホット
ジュピターは、太陽系でいえば水星よりも内側という、
中心の恒星に非常に近いところを公転している木星ほ
どの巨大な惑星のこと。トランジット法は、惑星が恒星
の前を横切ることで、恒星がわずかに暗くなる現象を
捉え惑星を見つける方法。中心の恒星が太陽によく似
た星であれば、ハビタブル・ゾーンは1天文単位付近と
なる。
①撮影された惑星はホットジュピターである
②このように系外惑星を直接撮影する方法をトランジット法という
③この惑星はハビタブル・ゾーンに位置している
④この画像には中心の恒星は写っていない
78 皆既日食中に見られなくなるのは次のうちどれか。
④ 皆既日食は、太陽の光球が月によってすべて隠される
現象。よって光球に発生する黒点は皆既中は見ること
ができない。
2
79 写真はそれぞれ超新星残骸である。このうち、超新星爆発からの
経過時間が一番短いものはどれか。
① ①のSN1987Aは、1987年に出現した超新星。その残骸
を2011年にハッブル宇宙望遠鏡が撮影した写真で、爆
発後24年しか経過していない。②のかに星雲は1054
年に出現した超新星の残骸であるから、爆発後約950
年経過した姿である。③ガム星雲と④網状星雲は、さ
らに広がった姿から、爆発後さらに時間が経過した超
新星残骸であることが推定される。
5
80 ダークエネルギーに関連して、正しい記述はどれか。
② 宇宙の膨張速度は重力により次第に減少することが
予想されたが、実際は50億年前から増加していること
が観測された。これは銀河までの距離の精密測定で
わかってきた。宇宙の膨張によって、銀河は互いに離
れていく。そして、銀河が遠く、たとえば距離が2倍にな
れば、銀河が離れる速度も2倍になるはずである。し
かし、距離と速度を精密に調べた結果、離れる速度が
変化している(加速)ことが明らかになったのである。そ
の加速膨張の原因として考えられているものの正体は
判然としていない。
7
①コロナ
②プロミネンス
③彩層
④黒点
①銀河の回転速度が距離によらず一定であることから発見された
②重力とは別に、宇宙の膨張速度を変化させる役目をもっている
③銀河の合体の際に、放出されるエネルギーである
④近年、その正体がバリオン物質であることが判明した
16