23号(2011年11月)

香川大学 大学教育開発センターニュース
No.23 平成23年11月
Center for
香川大学 大学教育開発センター
Research and Educational Development
in Higher Education
Kagawa University
〒760-8521 高松市幸町1−1
Tel 087-832-1151∼1154
Fax 087-832-1155
http://www.kagawa-u.ac.jp/high-edu
目 次
1.就任にあたってのご挨拶(新センター長)……………………1
2.退任のご挨拶(前センター長)…………………………………2
3.FDスキルアップ講座報告 ………………………………………3
4.よりよい授業のためのFDワークショップ報告 ………………6
5.注目の全学共通科目のご紹介……………………………………9
6.新スタッフから一言………………………………………………10
就任にあたってのご挨拶(新センター長)
大学教育開発センター長 有馬 道久
この10月1日より、武重雅文センター長の後を継いで、センター長
に就任いたしました有馬道久と申します。
さて、大学教育開発センターでは、武重前センター長をはじめ関係
する皆様のご尽力のおかげで、本年度から全学共通教育の新カリキュ
ラムが開始されています。さらに来年度からは、大学入門ゼミと情
報リテラシーの2科目も本格実施される予定であり、現在その準備が
着々と進められています。そして、この新カリキュラムの円滑な運営
をリードしているのが共通教育コーディネーターの皆様であり、新カリキュラムの完全実
施に向けてその役割は今後ますます重要となってくると思います。
一方、教育プロジェクトチームにおいて2010年2月以来、回数にして12回、期間にして
1年7ヶ月の長きにわたって検討されてきた「香川大学の学士課程教育」と題する改革案
が、この9月に報告・提案されました。これは、全学共通教育から各学部の専門教育に至
るまで、学士課程教育全体についての改革の方法とポイントを示したものであります。今
後、この改革案の実施に向けて邁進していくところですが、全学教務委員会等と連携して
その中心的役割を担っていくのが、大学教育開発センターであろうと考えております。
今年は3月11日の東日本大震災を受けて、あまりに甚大な被害に呆然とすると同時に、
個人として、あるいは大学として何ができるのか、そして、このことを大学教育にどのよ
うにつなげていけばよいのかを問い続けた8ヶ月間でした。
このような重要な時期にセンター長をお引き受けし、その重責を果たせるかどうか、は
なはだ不安ですが、コミュニケーションを密にしつつ、皆様のご協力をいただきながら改
革を進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
1
退任のご挨拶(前センター長)
武重 雅文
この9月30日をもちまして、大学教育開発センター長を離任するこ
ととなりました。つきましては、センター運営にご支援、ご協力いた
だいた教職員の皆様に一言、感謝のご挨拶を申し上げたいと存じま
す。
平成20年1月前センター長阿部理事(当時)のお薦めでセンター長
を拝命し、3年9ヶ月間当職を勤めさせて頂きました。就任時の阿部
先生との約束は、全学共通教育カリキュラムの再編と、センター体制
の刷新でありましたが、3年計画の調査研究、カリキュラム構築作業を経て、本年度より
新カリキュラム実施に漕ぎつけることができました。
また、センター運営に関しては、共通教育コーディネーター制を本年度から始めること
となりました。私にとりましては、香川大学の学士課程教育構築の第一工程と考えていた
作業でありますが、皆様方のご協力なければ不可能なことであったと存じます。ここに改
めて、感謝申し上げます。
ただ、工程はまだ第二、第三ステップへと進化させねばなりません。当センターへの皆
様方の更なるご支援、ご協力をお願い申し上げる次第です。本当に、ありがとうございま
した。
そして本センターをどうぞ宜しく。
2
FDスキルアップ講座報告
□「教材のホームページ化について」
日時:2011年8月4日(木) 13:30∼15:30
講師:今井 慈郎(香川大学総合情報センター教授)
場所:生涯学習教育研究センター 第1講義室
以下の手順で講義・実習が行われた。
1)ノートPCを大学のネットワークに接続。
※持ち込みのノートPCはMACアドレスが登録されていなかったため無線LANに接続で
きず。
2)今井先生が準備されたサイトを閲覧し、講義内容を確認。
3)HTMLのソースについて説明(HTML文書の構造)。
4)適当なHTMLファイルを各自作成。
5)ファイル転送ソフト(WinSCP)を各自ダウンロードし、今井先生が用意されたホス
トに接続(ホスト名、ユーザー名、パスワードを入力)。
6)作成したHTMLファイルをそのホストの割り当てられたフォルダ(user1∼user10)
に転送。
7)ブラウザから見えるかを確認する。
8)今井先生が用意されたHPのソースを紹介し、その中で、図や動画、およびPDFファ
イルなどを貼り付けることも容易にできると説明され、更にその際に、他のサイトから
図などを引用する場合は、出典を明示するよう強調された。
9)講座で使ったサーバのサイトは講習時限りなので、それぞれの所属の部署で利用可能
なサーバを利用していただくよう説明があった。
10)以降質問があれば遠慮なく今井先生にメールや電話で問い合わせて欲しいということ
であった。(岡田)
3
□「e-Learning 事始め −コンテンツ作成からLMS利用の第1歩−」
日時:2011年8月23日(火)13:00∼17:00
講師:林 敏浩(香川大学総合情報センター教授)
場所:生涯学習教育研究センター 第1講義室
以下の手順で講義・実習が行われた。
1)ノートPCを大学のネットワークに接続。
2)林先生が準備されたサイトを閲覧し、既に作成されたe-Learningのコンテンツの例を
参照。
3)e-Learning教材の作成方法の解説(パワーポイントで音声録音をする方法を説明)
。
4)音声付PPTを作成し、Flush動画に変換(iSpringというフリーソフトを利用)。
5)LMSについての説明(香川大学ではMoodleを使用しているが、大学のofficialのもの
は種々の制限のため今回の実習には使用できず実習には代わりのMoodleを使用)。
6)作成したコンテンツをMoodleにアップロードする方法の説明と実習。
7)コースの編集についての解説と実習。
① リッチテキストを利用したコースの編集方法(htmlのソースでの修正も可能)。
② 「リソースの追加」を利用したコースの編集方法、「活動の追加」の利用方法(小
テスト、フォーラムなど)。
8)参考図書の紹介。
9)参加者とのディスカッション。
10)使用申請は香川大学Moodleのサイト(https://moodle.cc.kagawa-u.ac.jp/moodle11/)
から。
<感想>
e-Learningのコンテンツが意外と容易に作成できることにまず感動。Moodleへのファ
イルのアップロード、コースの編集方法も実地に操作してよく理解できた。
あとはコンテンツを作る熱意のみ!!(岡田)
4
□「ちょっと気になる学生への対応とその理解」
日時:2011年9月7日(水)10:00∼12:00
講師: 坂井 聡(香川大学教育学部准教授)
場所:生涯学習教育研究センター 第1講義室
学 生を 指 導 し て い る と、 そ の 反 応 に、
えっ? と思うことがある。10年ほど前か
らその様なこちらが違和感をいだいてしま
う学生さんを見かけることが出てきたが、
ここ最近は本当に多くなったかなあと感
じている。今回のFDスキルアップ講座は、
教育学部の特別支援教育講座の坂井先生に
よる、まさにそのような「ちょっと気に
なる学生をどう支援しますか?」というお
話だった。データによれば、小学校ではク
ラスの6.3%の子ども達が何らかの発達障
がいを持ち、高校ではおよそ4%がそうな
のだそうだ。よって大学など高等教育機関
においても一定割合の学生さんが何らかの
発達障がいを持ち、香川大学においてもご
く普通に入学してきている。大事なところ
だが、学校に入ってきたからには、有意な
社会人として巣立って欲しいというのが大
学の役目だし、私達の気持ちもそういうと
ころだろう。すると、障がいにはどのよう
なものがあるのか、どう理解すれば良いの
か、そして、どう対応すれば良いのか、と
いうのが日常の教育に携わる者にとっては
極めて重要である。エジソンやアインシュ
タインらは発達障がいを持っていたが、適
切な支援と適切な環境作りでいくらでも香
川大学から次代のアインシュタインが生ま
れうる。修学支援グループに問い合わせて
いただければ、FD当日の資料を入手でき
るのでぜひご覧頂きたい。(髙橋)
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よりよい授業のためのFDワークショップ報告
日時:平成23年9月15日(木)∼16日(金)
場所:四国電力株式会社総合研修所
昨年に引き続き2度目となる、新任教員
を対象とした合宿型研修が開催されまし
た。本学大学教育開発センターの教員が講
師を務め、香川大学から7名、香川県立保
健医療大学から3名、高松大学から2名、
香川短期大学から4名の計16名の教員が受
講者として参加しました。今回は受講者と
して研修に参加しましたので、参加者の視
点も交えて報告したいと思います。研修全
体を通して、講義と1チーム4名のグルー
プワークを中心に進行し、2日目の最後に
各グループで半期15回のシラバスの作成と
そのうちの1回のミニ授業(10分間)を行
うことを最終目標に、講義の組み立て・実
施に役立つ様々な講義やワークが実施され
ました。グループのメンバーは当日発表さ
れ、ほとんどがお互いに初対面でしたが、
最初のアイスブレーキングで打ち解け合っ
た後は、緊張感を残しつつも和気あいあい
とした雰囲気でワークに取り組んでいまし
た。実質1日半でシラバスの作成と10分の
模擬講義を準備するのは想像以上にハード
だったと思いますが、懇親会後に消灯時間
ぎりぎりまで準備するグループもあったほ
ど、各グループとも熱心にワークに取り組
んでおり、グループの結束も高まったよう
に思います。その甲斐あって、最後のミニ
授業はどのグループも、今回のワークで学
んだことが生かされたすばらしい授業でし
た。特に今回は香川大学以外の大学からの参加者も多く、他大学のまったく専門分野の異
なる人たちとグループワークをすることで、講義の組み立てや実施についての技法のみで
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なく、見方や視野の広がりなど、非常に多くのことを学ぶことができたと思います。非常
に有益な研修だと思いますので、来年度も多くの先生方のご参加をお待ちしております。
(柴田)
【プログラム概要】※GW=グループワーク
1日目(研修は9:00∼21:00)
・オリエンテーションとアイスブレーキング
・GWⅠ「学生の考える良い授業と悪い授業」
・講義Ⅰ「シラバスの書き方」
・GWⅡ「目標設定・シラバス作成」
・昼食
・講義Ⅱ「様々な授業方法」
・講義Ⅲ「よりよい成績評価の仕方」
・GWⅢ「授業計画と評価計画」
・グループ発表Ⅰ「中間発表」
・GWⅣ「授業計画案作成」
・懇親会
2日目(研修は8:00∼12:30)
・GWⅤ「模擬授業担当者決定・練習」
・グループ発表Ⅱ「模擬授業実践)
・閉会式(グループ作業の振り返り)
・昼食
【参加者からの声】
・授業については、中規模クラス、大規模クラスに適した様々な授業方法やproductがあ
ることを知った。コミュニケーションをとることが難しい学生に適しているクリッカー
やコミュニケーションカード等を積極的に取り入れる必要性を感じた。
・教員主体でなく、常に学生が主体となった授業を作っていくことが重要であると学んだ
ことから、クラスの規模によっては学生参加型授業(グループ学習)を積極的に取り入
れていく。その際、グループの作業・体験(アイスブレーキングを含め)を通して競争
を行わせ、学生がモチベーションを維持しながら主体的に考え、積極的に行動し学ぶ姿
勢を持つことができるような授業作りにチャレンジしたい。
・シラバスの「授業の目的」と「到達目標」が明確に学生に伝わる書き方をするという点に、
このワークショップの焦点が絞られていたと感じた。具体的に述べると、「授業の目的」
は「到達目標」より抽象的な内容ではあるが講義を受講し終わった時に何ができるよう
になるのかを示すものである。また、「到達目標」は「授業の目的」を具体的に述べた
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もので、「授業の目的」へ向かって個々の授業で何ができるようになるのかを示すもの
である。それゆえ、「到達目標」は「授業の目的」と対応関係を持つ必要があるといえる。
今回のワークショップを受けて、以前よりもシラバスと授業の連環を十分に意識しなが
ら授業内容を考える必要があるのかもしれないと考えるようになった。いわれてみれば
当たり前の内容ではあるが、無意識に当たり前と考えていた問題点を意識できたという
点で有益なワークショップであった。
・正式に大学の教授法として学ぶ場になっていたと思います。シラバスも学習方法も、今
回からぜひ、熟考と試行してみたいと思いました。スタッフの方々の的確なご指導やご
配慮には感謝しており、教育者として、また、大学職員としての在り方もずいぶん学ば
せていただきました。
・ぜひ、クリッカーやコミュニケーションカードを借用させていただきたいと思います。
これまで以上に多人数の授業の時の工夫を考えて参りたいと思います。
・ワークショップの際に、後ろで雑談をされている先生方がおり、作業中に非常に気に
なった。グループ内の教育経験の差が大き過ぎて、非常に作業がやりにくかった。
・様々な授業方法を知ることができ、とても勉強になりました。シラバスの作り方や授業
の内容の組み立て方など、各先生方でそれぞれ異なり、自分では考えられないような内
容もあり、今後の参考にしたいと思いました。初めて授業を体験し、自分の力不足を痛
感しました。この研修で学んだことを今後に生かしていきたいです。
・本学には新任教員に対する教育プログラムがなく、自分で考えて行動する、もしくは上
司の指導や見よう見まねに基づくものであり、体系化されていなかった。本学の使命と
して看護師を教育するという職業人の育成が特徴であり、私は看護実践能力はあっても
教育の経験はまったくなく、大学に教育プログラムがない状況で新任となり不安が大き
かった。今回の研修は基本的な内容であるが、体系化されているプログラムであり、大
変参考になった。来年授業を計画する予定なので、今回の学びを参考に作成しようと思
う。また、研修の報告をすると早速上司の先生から、先生方も授業作成について学んで
いないため講義をしてほしいと依頼があり、上の先生方も悩みながら授業に取り組んで
いることが分かった。今後も研修に参加し能力を高めていきたいと思う。
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注目の全学共通科目のご紹介
2008年10月、香川大学を含む四国内の8つの国公私立大学が連携して、e-Knowledge
コンソーシアム四国(eK4)を設立しました。eK4ではICT(情報通信技術)を活用した
e-Learningによる教育プログラムを通じて、四国の知を集積・発信し四国の地域づくりを
担う人材の育成を目指しています。
eK4連 携 大 学 で 開 発 さ れ た 四 国 の「 歴 史 」、「 社 会 」、「 自 然 」、「 文 芸 」 に 関 す る
e-Learningコンテンツを集積して、香川大学では、平成22年度より主題科目『四国学』と
してe-Learning授業を提供しています。また、これらの科目はe-Learningの特徴を利用し
て連携大学でも単位互換科目として受講されています。
平成23年度後期は、「四国の歴史と文化」と「四国の自然と社会」が開講されています。
「四国の歴史と文化」は、四国で活躍した人々の事績や、都と四国との結びつき、四国に
残された遺跡・史跡、各地の方言、四国に関わる文学作品などを取り上げています。ま
た、「四国の自然と社会」は、四国の自然(河川環境、瀬戸内海、災害)と社会(地場産業、
コミュニティ、分権改革)に関する内容になっています。これらの科目は、インタネット
に接続されたパソコン端末で視聴しながら履修することができます。
四国学に関する詳しい情報は、eK4のホームページでも公開しています。ぜひ一度アク
セスしてみてください。http://www-ek4.cc.kagawa-u.ac.jp/
『四国学』のe-Learningコンテンツ
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新スタッフから一言
ロバート スワイヤー この度、香川大学大学教育開発センターの一員になれましたことを
厚くお礼を申し上げます。この新しい職業に就き、この大学のメン
バーの一員になる過程は私の胸を躍らせるとともに、長くもありまし
た。しかし、この大学の教育陣とともに通過したすべてのプロセス
に、私はとても感銘を受けました。お会いしたすべての人はとても寛
大で、新しい仕事をする上で必要としていたアドバイスやサポートを
与えてくださいました。このご支援に深く感謝申し上げます。
この優秀な香川大学のコミュニティの一員になれましたことをとても誇りに思います。
香川大学、そして私の新しいホームになる香川県と高松市に貢献できるよう、最善の努力
を尽くしたいと思います。これから私が香川ですることが、私の生徒だけではなく外国語
を教える分野においても役に立つことを願います。誠実であり、独創的、そして持続する
ような貢献をここ香川大学でできるよう努めます。
このチャンスを与えてくださった香川大学のみなさんに敬意の念を表します。
Robert Swier I am extremely grateful to have become a part of the Center for Research and
Educational Development in Higher Education here at Kagawa University.
The process of accepting a new position and becoming a new member of a university
community is exciting but lengthy, and throughout the entire process I have been
thoroughly impressed with the faculty and staff that I have come into contact with.
Everyone that I have met has been extremely generous in providing me with the
advice and support that I needed to get up and running quickly. For that, I offer my
deepest thanks and gratitude.
There is a high level of excellence at Kagawa University, and I am honored to be a part
of such a rich community. I will put forth my best effort to contribute to the university,
as well as to the City of Takamatsu and Kagawa Prefecture, which have now become
my home.
It is my hope that the work I do at Kagawa will benefit not only our own students, but
also the field of language teaching in general. During my time here, I will seek to make
contributions that are genuine, original, and long lasting.
I regard even the opportunity to try as an honor.
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原稿を募集しています。
☆全学共通科目を担当して感じたことや意見等があれば、是非投稿してください。
★各学部が取り組んでいる教育改革も、積極的に取りあげていくつもりです。
☆宛先は、センターニュース編集委員会(修学支援グループ)までお願いします。