世 界 の 学 校 43 トルコ エジプト サウジアラビア Two Years Later, ★ I also have a dream アブダビ アブダビ日本人学校 堀内 甲二 「アッラーフ アクバル(神は偉大なり)」夜の ナショナルの生徒 2 人の一日はとても長い。朝 明けきらない午前 5 時半,アブダビの街にお祈り は 0 時間目の授業を行い,その後,1 時間目から の時間が来たことを知らせるアザーンが鳴り響く。 6 時間目までは日本人と同じカリキュラムで学習 アブダビの朝は早い。アザーンとともに目覚め, をする。そして放課後は,支援の先生と一緒に夕 学校に向かう。6 時くらいにはもう半分くらいの 方の 6 時半まで授業の復習や日本語の学習をする。 先生が出勤している。アブダビ日本人学校の朝も 10 時間ほど,学校で勉強をしていることになる。 彼らがそこまで学習に力を入れているのには理 早い。 7 時,「おはようございます!」元気な声で登校 由がある。彼らは,将来,日本と UAE 両国をつな してくる子どもたちがいる。彼らは日本人ではな ぐ架け橋となるような人材になるという夢を持っ い。現地アブダビ(以下ナショナルという)の子ど ているのである。そのため,彼らが学習に力を入 もたちだ。世界に数ある日本人学校の中で唯一, れているのは学校だけではない。彼らは家庭でも アブダビ日本人学校には現地の子どもたちも通っ 兄弟が親と買い物に行ったり,遊んだりしている てくる。彼らは,日本人の子どもたちが登校して ときに宿題をしているという。何とか授業につい くる前に,0 時間目の授業を行う。アブダビの教 ていこうと必死になって学習に向かう姿は他の生 育評議会から派遣された先生方にアラビア語やイ 徒にも良い刺激になっている。また,それゆえ, スラム教などを教えてもらう時間だ。 そのがんばりを応援しようという気持ちが日本人 の子どもの心の中にも育ってきているのである。 彼らは 2 年後には日本の高校に入学し,勉強す ることを目指している。その前にはたくさんの学 ぶべきことがあり,決して平たんな道のりではな い。今の学習が enough なのかどうなのか,確かな 自信はないが,ナショナルの子どもたちと日本人 の子どもたちと共に,みんなで手を取り合いなが ら,一歩ずつ一歩ずつ,未来へと歩みを進めてい きたいと思う。 (全校児童生徒集合写真) 私が担任をしているG 7 ,中学 1 年生のクラス にもナショナルの生徒が 2 名いる。他に日本人の 生徒が 2 名,合計 4 名のクラスである。とても仲 の良いクラスで,日本人の生徒がナショナルの生 徒に漢字を教えてあげたり,日本語の難しい表現 を分かりやすい表現にかえて説明したりするなど, 日本人の子どもたちもナショナルの子どもたちの 学習にとても協力的である。 (8)信濃教育会報 第1000号 2 年後,私にも夢がある。日本で彼らを笑顔で 迎えたい,という夢が。
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