d - 北東アジア研究交流ネットワーク(NEASE-Net)

北東アジア研究交流ネットワーク
Northeast Asian Studies & Exchange Network (NEASE-Net)
第 11 回フォーラム&国際シンポジウム
激変する世界情勢と
北東アジア戦略の再構築
2016年10月1日(土)10:00~18:30
桜美林大学四谷(千駄ヶ谷)キャンパス会議場
主催:北東アジア研究交流ネットワーク
共催:桜美林大学北東アジア総合研究所
助成:一般社団法人東京倶楽部
プログラム
司会: 川西重忠 桜美林大学北東アジア総合研究所長
開会挨拶
10:00 ~ 10:20
谷口誠 北東アジア研究交流ネットワーク代表幹事
佐藤東洋士 桜美林大学総長
第1部:基調講演 10:20 ~ 11:50
テーマ:北東アジア戦略の再構築 - " 未来 " の中にしか解決の道は見つからない-
講演者:西原春夫 アジア平和貢献センター理事長
テーマ:相互信頼と協力関係を深化させ、共に北東アジアの安定と発展を促進
講演者:薛剣公使参事官 中国大使館
テーマ:中国・ASEAN:東アジア国際生産ネットワークの新機軸と「西方拡大」
-北東アジアはいかに新興アジアに向き合うか- 講演者:唱新 福井県立大学
昼休み ( 会員総会を開催 )
11:50 ~ 12:50
第 2 部:パネルディスカッション
司会:小牧輝夫 大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員教授
第1セッション:経済 12:50 ~ 14:25(95 分)
モデレーター:凌星光 日中科学技術文化センター理事長
問題提起:吉田進 NEASE-NET 副代表幹事
パネリスト:李燦雨 帝京大学、ロシア大使館(予定)
公使・参事官、
藤野文晤 富山県新世紀産業機構環日本海経済交流センター長
第2セッション:エネルギー・環境、物流、金融 14:30 ~ 16:00(90 分)
モデレーター:杉本勝則 北京外国語大学客員教授
問題提起:中川十郎 日本ビジネスインテルジェンス協会
パネリスト:田中弘 環境ビジネス開発イニシアティブ、 三橋郁雄 NPO 北東アジア輸送回廊
ネットワーク副会長、石田護 吉林大学中日経済共同研究中心研究員
総合セッション:
「激変する世界情勢と北東アジア戦略の再構築-各地域及び研究機関の動向と提案-」
ラウンドテーブル方式(NEASE-NET 関係研究機関) 16:05 ~ 18:05(120 分)
司会:千葉康弘 NEASE-NET 副代表幹事、佐渡友哲 日本大学教授
基調報告:姜龍範 天津外国語大学教授・東北アジア研究センター長
報告:岡洋樹 東北大学東北アジア研究センター長、新井洋史 環日本海経済研究所調査部長、
杉山正樹 北陸環日本海経済交流促進協議会理事・経済交流部長、
藤野文晤 富山県新世紀産業機構環日本海経済交流センター長、
川西重忠 桜美林大学北東アジア総合研究所長、渋谷祐 早稲田大学資源戦略研究所
【資料提供】
:京都大学東アジア研究センター、島根県立大学北東アジア地域研究センター、
北海学園大学北東アジア研究交流センター
コメンテーター:研究機関&参加会員
総括コメント:藤本和貴夫 大阪経済法科大学学長、NEASE-NET 顧問
第3部:クロージング
全体総括:コミュニケ発表 吉田進 NEASE-NET 副代表幹事 18:10 ~ 18:25
閉会の辞:岡洋樹 NEASE-NET 副代表幹事 18:25 ~ 18:30
懇親会 会場:桜美林大学付近の会場 会費(予定)4000 円(学生 2500 円) 18:45 ~ 20:15 -- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --1----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
2 nd Decade を迎えた NEASE - NET の目指すもの NEASE-NET 代表幹事
谷口誠
1、NEASE-NET第11回フォーラムと国際シンポジウムを、新しくスタートした桜美林大学四谷キャン
パス会議場で開催できますことは、関係者の一人として極めて光栄に存じます。まずこの会議場の
提供とアレンジメントを快くお引き受けくださった桜美林大学総長佐藤東洋士先生と桜美林大学北
東アジア総合研究所長の川西重忠先生に厚くお礼申し上げます。
2、今年はNEASE-NETも2nd Decadeの第一年目に当たり、激しく変動する世界情勢と日本を取り巻く
北東アジアの急激な変化に対応していかなければなりません。欧州の情勢を見ても、英国のEU離脱
をはじめ、難民の流入など不安定要因が生じ、これが将来どのような影響をもたらすのか、その見
通しは明らかではありません。また、米国もオバマ大統領の任期も後数カ月に迫り、対アジア戦略
としてTPPを完結しようと焦っていますが、はたしてオバマ大統領が考えているような形で米国会
を通せるのかきわめて困難な状況にありましょう。特に次期大統領候補の民主党のクリントン女史
はオバマ政権での国務長官の時とは相違してTPPに反対論の立場をとっており、また共和党のトラ
ンプ氏にいたっては、TPPに反対どころか全く関心がないといってもよいでしょう。
このような状況の下で、これまでTPP推進派の米国が後向きになっている時に、野党の時代にはTPP
に反対であった自民党の安倍首相が政権に就くや賛成派に回り、米国に代わってTPPを推進し、早
期に日本の国会を通して米国にプレッシャーをかけようとしているのはどうことなのでしょうか。
最初は農業問題だけではなく、医療問題、知的財産権、ISD(国際紛争解決)等TPPを困難視してい
た日本が、急に積極的対応をとりはじめたことは驚くべきことであり、これはTPPに対する研究不
足か、日本外交が長期的戦略に欠けているのか何れかでありましょう。何れにせよ、日本は米国の
TPP戦略にふり回された感があります、TPP加盟を決断した以上、広範囲にわたるTPP項目の中、
どれが日本にとりプラスになり、どれがマイナスであるかを取捨選択すべきでありましょう。
3、次にNEASE-NETが注目すべきは最近の中国の積極的発展戦略でありましょう。中国は「一帯一路」
構想の下、陸と海を通ずるシルクロード構想を着々と進めています。私は中国の社会科学院が主催
する“The World Forum on China Studies”に最近数回出席して参りましたが、「一帯一路」構想につ
いて、最初は各国代表もあまりにも遠大な構想であり、具体的にどのように実現できるのか疑問視
する向きもありましたが、中国のこの構想にかける熱意と情熱には大変な思い入れがあり、100年
かけてでも実規するのだという政界、学界の強いnational feelingを強く感じました。たしかにこの
ような遠大な構想の実現は容易なことではなく、「一帯一路」構想の最終ターミナルはヨーロッパ
にあるといっても、ヨーロッパに達するまでにシルクロードの通過する40数か国との外交関係、
国境問題等の政治問題、言語、文化等の諸問題、貿易、投資等の経済問題等々多くの克服すべき課
題を抱えていることは事実です。しかし、中国はこの構想を実現するために、「上海協力機構」、
「AIIB」(アジアインフラ投資銀行)設立等の具体的構想を打ち出しています。そして、「AIIB」
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --2----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
には日・米を除く欧州主要諸国(フランス、ドイツ、英国等)が参加し、2015年末に発足しました。
アジアで参加していない国は、わずか日本、北朝鮮、ブータンの3か国のみです。
4、 以上、米国の対アジア外交、中国の「一帯一路」構想等について私の個人的意見を述べさせてい
た だきましたが、私はかつて日本の外交に携わった者として、現在の日本のアジア外交に次のよ
うな 強い危機感をもっています。
(1)日本のアジア外交には全くといってよいほど長期的展望に立った戦略がありません。強いて言
うならば、あるのは対米追従と中国の対アジア外交への対応策でしょう。
(2)これではいつまでたっても、中国との関係は改善されません。そして日本は地理的にはアジア
の国でありながら、アジアの国でないという不思議な存在になるでしょう。
(3)現在の中国の習近平政権の南シナ海における行動は決して「責任ある大国」のなすべきことだ
とは言いえませんが、私は日本は中国を非難するだけでなく、外交的には一歩上に立って、東シ
ナ海を「日中平和の海」とするような長期的展望に立った提案を行うべきだと思います。
(4)また最近の一連の北朝鮮の核実験を見ても、日本は日米関係だけではなく、いかに中国、韓国
との関係を緊密化すべきかがよく理解できます。
(5)また現在の日中関係に欠けている「信頼関係」を醸成するには、単なる経済協力だけではな
く、中国が直面している環境問題への協力、そして最も重要な若い世代の人材の相互交流が不可
欠だと信じます。
(6)日本は中国が再三日本への参加を呼び掛けていた「AIIB」に遅ればせながら参加することによ
り、日中関係は大きく改善されるのと期待しております。
(7)そして最後に日本は日韓関係を実質的に改善するためにも昨年11月ソウルで開催された第6回
日中韓サミットで韓国から提唱されている北東アジア開発銀行にも協力すべきでしょう。
以上、第11回NEASE―NETの開催に当たり、ご挨拶というよりも日本のアジア外交のあり方に
つき、私の個人的な意見を述べさせていただきました。NEASE―NETも激動する世界、特に北東
アジアの変化に対応した政策提言を行っていかねばなりません。ご参加の皆様より2nd Decadeに
入ったNEASE―NETの在り方について率直なご意見を伺いたいと願っています。
ご静聴有難うございます。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --3----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
NEASE - NET(北東アジア交流ネットワーク)
2016年度大会に当り 桜美林大学総長
佐藤東洋士
只今ご紹介いただきました桜美林大学の佐藤でございます。本日はご多用の中をニースネット
(NEASE-NET、北東アジア交流ネットワーク)の今年度大会にお招きいただき、また御参加賜り
まして、まことにありがとうございます。
本日のNEASE-NETの大会は私どもの北東アジア総合研究所との共催であると川西所長からお聞
きしています。
谷口誠先生が会長を務められるNEASE-NETがこのように北東アジア地域の研究と交流活動を
10年以上も続けてこられていることを、じつは私は今回初めて知りました。谷口先生から今まで
のNEASE-NETの10年間の活動表をいただき拝見いたしました。第1回から今まで素晴らし活動
であると思います。
講師の西原春夫先生、中国大使館のヘキ剣公使、が基調講演をされますこと、併せて各分野のパ
ネルデイスカッションと全国の研究所の活動報告など盛りだくさんで、充実した1日になりますこ
とを確信し、祈念申し上げます。
私どもの桜美林大学もアジア特に中国、韓国、モンゴル、ベトナム、などとの学術、学生交流 を積極的に行っています。
桜美林大学は5年後の2021年には創立100周年を迎えます。
その時に備えて大学といたしましてもいろいろ企画しているところであります。
桜美林はご存知の方も多いと思いますが、北京に創立の源をもつキリスト教精神に基づいた国際
人を養成するのをモットーにしている学園です。中国及びアジアとのつながりを今後も大事にして
ゆきつつ世界的視野に立った教育をおこなっている大学です。きょうの大会のテーマは、まさに当
学園のモットーとも一致するものであると共感しているところです。
本日、本学の千駄ヶ谷キャンパスでニースネット(北東アジア交流ネットワーク)と共催活動が
できますことを桜美林大学としましても大変有難いことと喜んでいます。
残念ながら私は、今日は午後から私学協会の会合がありますので、途中で退席させて戴きます
が、御成功の裡(うち)に終わりますことを祈念しています。本日、2016年度大会の開催おめ
でとうございます。谷口先生はじめご列席の関係者の皆さまの御苦労を思いつつ、お祝いのご挨拶
に代えさせて頂きます。
以 上
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --4----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
東アジア戦略の再構築
-----“ 未来 ” の中にしか解決の道は見つからない ----- 一般財団法人 アジア平和貢献センター理事長
早稲田大学名誉教授・元総長
西原春夫
(1)現状を前提にした問題解決は不可能
①中國 領土問題
②北朝鮮 核開発問題
③解決の前提を現状から未来に移すほかはない
(2)未来予測の基礎としての歴史認識
①「歴史は必ずその方向へ行く」といえる未来の予測が必要
②歴史には法則性がある
③法則的な出来事がすべて歴史の「本流」ではない
=法則的な出来事でも「逆流」の場合がある
(3)適例としての過去の日本のアジア侵略
①明治維新に含まれていた帝国主義への傾斜
②日本のアジア侵略への内外諸要因
③日本のアジア侵略と先進国の利害との対立
④軍国主義もまた明治維新に含まれていた=乱用された「統帥大権」
(4)第一次大戦終了後における国際情勢の変化 ①シュペングラーの「西洋の没落」に象徴される帝国主義への反省
②国際連盟の成立(1920年)、不戦条約(1928年)
③日本のアジア侵略は当初は本流に乗っていたが、ここから逆流に転換
④その転換を見抜けなかった国の末路=敗戦
(5)上記の国際情勢の変化はいまなお本流として継続
①植民地の独立
②先進国同士の全面戦争は起こっていない
③地域的超国家組織の形成
(6)この歴史認識にもとづく本流と逆流の見極め
①過去の日本に似た法則に支配された国はそのままでは滅ぶ
②最近のナショナリズムは行き過ぎたグローバリズムへの一時的抵抗
③グローバリズム自体は科学技術の発展に伴う必然的現象
(7)東アジアの未来像とその前倒し政策
①地域超国家組織形成は歴史の本流
②一種の「東アジア共同体」から「東アジア合衆国」へ
③合衆国になったら、現在の領土問題はなくなる
(8)必要なのはこの「歴史認識の共有」とそれに基づく「共通政策の実現」
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --5----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
相互信頼と協力関係を深化させ、
共に北東アジアの安定と発展を促進 中国大使館政治部公使参事官
薛剣
北東アジア地域は長期にわたり、平和と安定を維持し、スピードの速い成長を実現でき、世界で最
も活力に溢れ、発展の潜在力を有する地域の一つである。そのうち、中日韓三国だけで国内総生産が
アジアの70%、世界の20%も占め、増加値がアジア経済の70%、世界経済の36%も占めてい
る。長年の発展を経て、本地域の経済協力はすでに比較的に整っており、安定したメカニズムを構築
でき、地域経済の一体化プロセスを力強く推進している。
経済協力における喜ばしい勢いと対照的に、北東アジア地域の安全保障及び信頼メカニズムは非常
に脆弱であり、冷戦が残した問題はいまだに解決されておらず、地域の平和と安定に悪影響を及ぼす
衝突や不測事態発生の可能性が依然存在している。当面、朝鮮の核開発問題などがヒットアップし
て、領土及び海洋係争が際立っている。一方、非伝統的安全保障分野において、テロリスト、国際犯
罪、自然災害、伝染病、海上安全等の問題は増えつつある。これに対し、本地域では、二国間或いは
多国間の安全保障対話と協力メカニズムがいくつか存在しているにもかかわらず、地域情勢の発展に
十分対応できていないと言えよう。
経済協力と政治安保協力は地域協力の両輪であり、同じペースで前進させなければならない。経
済だけを重視し、安保を軽視するのであれば、協力の形が歪み、持続的に発展するわけがない。政治
安保分野における相互信頼の欠如は、結果として地域国家関係発展の障害になりかねない。北東アジ
アの平和と安定を維持、発展するには、長期的、大局的な観点から経済と政治安保協力は共に推進し
なければならない。
一、経済協力について
(一)互恵関係を深化させ、地域国家の発展戦略の融合を促進すること。北東アジアでは、中国に
「一帯一路」構想、韓国に「ユーラシア·イニシアティブ」、モンゴルに「草原の道」、ロシアに
東方戦略がある。地域各国の発展戦略の交流と融合を強化し、それに基づいて、北東アジア全域
におけるインフラの相互連結を促進し、アジア経済運命共同体の構築に新たな原動力を注ぐ。
(二)実務協力を強化し、地域国家の経済関係を緊密にすること。中日韓自由貿易協定交渉を加
速させ、これを軸に地域経済一体化を推進する。各国の優位性を十分発揮し、大規模インフラ建
設などの領域で国際協力モデルを積極的に模索し、推進する。中国としては、生産能力での優位
性を日、韓の先進技術、地域国家の実際需要と結びつけ、生産能力・設備製造分野における国際
協力を展開する用意がある。引き続き地域において、省エネ、環境保護、汚染防止、エネルギー
確保、循環型経済などの協力を深化させ、北東アジアの持続可能な発展と共同発展を促進してい
く。
(三)国民の交流を促進し、友好的な民意基礎を固めること。地理的、人種的、文化的価値観に
おける親近感を生かし、人的往来、文化、体育など広い分野における交流を強化する。今後の数
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --6----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
年間、中日韓三国は相次ぎ夏と冬のオリンピック大会を主催することになっている。このチャン
スを捕まえ、オリンピック経済と観光分野における協力を展開すべきである。それと同時に、国
民参加のプラットホームをより多く構築し、各国の民間資源を集め、国民感情及び相互理解を深
め、各分野の交流と協力を促進するためにプラスのエネルギーを蓄えていく。
二、政治安保協力について
(一)互いに理解し、譲りあって、共同安全の理念を確立すること。21世紀の今日、地域各国は運
命がつながり、責任を分かち合う共同体になりつつある。複雑なリスクとチャレンジに直面する
中、自国の都合だけを考えては、自国の安全が実現しない。自国の利益のみを重視し、同盟を結
成して対抗すると、衝突をエスカレートするばかりになる。ゆえに、協力は唯一の道である。ゼ
ロサムゲーム、勝者一人占めという古い発想を捨て、ウィンウィンの理念を貫き、自国の利益を
守ると同時に他国の関心にも配慮し、共同安全の道を歩まなければならない。
(二)係争をコントロールし、対話と協議による問題解決を堅持すること。朝鮮の核開発問題、
領土及び海洋係争など地域の難問について、関連各国は冷静さを保ち、平和を堅く守らなければ
ならない。情勢をエスカレートさせる行動をさけ、ルール及びメカニズムの構築を通じて危機管
理をし、さらに相互信頼の増進を通じて緊張を緩和させ、政治外交的な手段を通じて危機を解消
させる。地域的難問のコントロール、安保協力をめぐり、地域各国の間において政策協調を強化
し、安保に関する共通の行動規範を構築する。
(三)視野を広め、非伝統的安保分野における協力を推進すること。二国間及び多国間の安全対話
を積極的に展開し、防災、捜査救助、テロ対策などの非伝統的安保分野において協力を深める。
安保理念及び実践の革新によって、北東アジアの共同利益を拡大し、また伝統的安保分野にもプ
ラスの影響をもたらし、協力の文化を育成する。
※
※
※
去年、世界経済及び国際貿易が全体的に低迷を続ける中、中国経済は6.9%という高い成長率を保
ち、世界経済成長に対する貢献率は25%も超えている。次の段階で、中国は第13次五ヵ年計画に基づ
き、革新、協調、グリーン、開放、共有という五つの発展理念を堅持し、引き続き構造改革を進め、
経済成長のエンジンを転換させ、中高速成長を確保し、2020年までにややゆとりのある社会を全面
的実現させる。地域の安定がなくては、中国の発展は成し遂げられない。それと同時に、中国として
は、自国の発展が地域全体の発展につながることを期待する。
地域の共同発展を促進し、共同繁栄を実現させるため、中国は今「一帯一路」建設を積極的に推進
している。「一帯一路」は地政学的な戦略ではなく、開発協力の呼びかけである。その主旨は、ユー
ラシア大陸各国家間の生産要素の自由な流通、資源の効率的配置、市場の高度な融合を進めること、
各国の経済政策の協調を促進すること、国際自由貿易体系と開放型世界経済を維持することにある。
中国は、「一帯一路」沿線国家と発展戦略の融合を強化することを通じて、開放、包容、均衡、ウィ
ンウィンの地域経済協力構造を構築し、沿線各国の経済繁栄及び経済協力を促進し、異なる文明の交
流を強化し、世界の平和と発展に貢献することを期待している。中国は北東アジア諸国と共に「一帯
一路」建設を推進し、アジアインフラ投資銀行、シルクロード基金などの融資機構の役割を十分果た
し、地域インフラの相互連結に寄与することを期待している。
政治安保分野において、中国は共同、総合、協力、持続的な安全観を提唱し、協議対話して武力威
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --7----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
嚇しないこと、包容して排斥しないこと、ウィンウィン協力してゼロサムゲームをしないことを提
唱する。地域各国の安全は互いの努力にかかわっており、共通認識を醸成すべきであって、対抗を避
けなければならない。各国は領土、歴史などの敏感な問題を適切に処理し、平和的、外交的な手段を
もって解決し、地域の実情に合致するような安全発展の道を歩まなければならない。
中国は北東アジア地域の経済発展と安保協力の忠実な参加者、建設者及び貢献者であり、今後とも
引き続き「親誠恵容」という周辺外交理念を堅持し、地域各国とともに団結と信頼を強化し、各分野
における協力を深化させ、共に北東アジアの安定と発展を促進し、地域の明るい未来を構築していく
所存である。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --8----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
中国・ASEAN:東アジア国際生産ネットワークの新機軸と「西方拡大」
-北東アジアはいかに新興アジアに向き合うか-
福井県立大学
唱新
本報告は「地経学」の視点から、東アジア貿易構造の変容を通じて、東アジアの直面している課題と
その将来展望を試みたい。
1.東アジア国際生産ネットワークの「新基軸」
EUやNAFTAと比べ、東アジアでは産業内国際分業は非常に発達している。その基本構造は域内各国の
比較優位に基づいて形成された国際生産ネットワークの中で、各国の異なる経済発展段階を利用して、
生産要素集約度の異なる生産工程を最適地に分散することにより、東アジアは世界で最も厚みの濃い産
業集積地域となっている。
アジア国際生産ネットワークは、日本を基点として、1970年代にアジアNIESに、1990年代に
ASEAN6と中国に拡大されていった。その拡大を支えていたのは、「日本、アジアNIESから中国、
ASEANに中間財と資本財を輸出して、中国やASEANで組立生産を行って、製品を欧米に輸出する」、い
わゆる「アジア太平洋アトライアングル」であって、その基軸はあくまでも、日本やアジアNIESなど、
「アジア先進経済」であった。
しかし、2000年以降、「アジア新興経済」としての中国やASEANの経済成長にともなう比較優位の
変化により、国際生産ネットワークも大きく変貌し、「東アジアトライアングル」も急浮上してきた。
その基軸は確かに「アジア先進経済」から「アジア新興経済」にシフトしつつある。このような時代変
化は電気機械、一般機械などの東アジア主要産業の対世界輸出における国・地域別の構造変化に反映さ
れている。
東アジアから世界向けの電気機械産業の輸出では、1980年代には日本は7割弱のシェアを占めてい
たが、それ以降、輸出シェアは低下し続け、2014年には11.1%に落ち込んだ。これに対して、中国の
輸出シェアは1980年の0.7%から2014年の42.8%に上昇し、これにASEANの22.6%を加えて、65.4%
となった。また、同一般機械産業の輸出では、日本の輸出シェアは1980年の88.6%から2014年の19.
1%に低下したのに対し、中国は同期間の1.5%から51.7%に急拡大し、中国とASEANの合計は67.5%に
上っている。
その背景には中国は2003年から実施した装備製造業(機械産業)の育成政策により、設備投資の拡
大と研究開発の進展により、生産規模の拡大だけでなく、技術水準の向上に伴う国際競争力も強化さ
れた結果、2014年に中国(輸出額2,588億ドル、世界シェア25.3%)は、ドイツ(同1,230億ドル、
12.0%)、アメリカ(同912億ドル、8.9%)、日本(同822億ドル、8.0%)を抜いて、世界第一位の
輸出国となっており、「東アジアトライアングル」の新基軸となるのは間違いないであろう。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --9----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
2.「東アジアトライアングル」の西方拡大
2010年以降、中国とASEANを中心に、アジア経済成長のダイナミズムは南アジア・中央アジアな
ど、アジアの西にシフトしはじめている。このことをアジア経済の「西方拡大」として捉えるならば、
ASEAN主導のRCEP交渉、中国主導の「一帯一路」構想及びAIIBの設立は紛れもなくその追い風となり、
この中で中国はこの「西方拡大」のけん引役を演じている。
こうした中で、アジアのニューフロンテアとして急浮上してきたのはインドである。2014年には東
アジア対インドの輸出は2000年より12倍増の1,262億ドルに達し、世界対インド輸出(4,430億ドル)
の28.5%を占めている。その中で、中国対インドの輸出は533億ドルで、ASEAN(419億ドル)、韓国
(120億ドル)、日本(95億ドル)、香港(58億ドル)、台湾(36億ドル)を抜いて、第1位であり、
中国とASEAN対インド輸出の合計は東アジア対インド輸出の75.4%という圧倒的なシェアを占めてい
る。とくに中国対インドの電気機械の輸出額(120億ドル)は、日本(10億ドル)の10倍以上、一般機
械産業の輸出額(64億ドル)は日本(24億ドル)の倍以上で、機械設備及びその部品の最大なサプラ
イヤーとなっている。
インドの将来に関して、現在、国内における巨大なインフラ整備への需要に強い関心を持っている
が、これからとくに注目すべきことはモディ首相が提起した「メーク・イン・インディア」政策とイン
ドと中国との経済連携の強化もあろう。
これまでのインドではソフト開発を中心にサービス産業の成長は顕著だったが、製造業は立ち遅れて
いる。2014年5月に第18代首相に就任したモディ首相は経済改革の一環として、2022年までにGDPに
占める製造業の割合を現在の16%から25%に引き上げようという「メーク・イン・インディア」構想
を提起した。その政策目標はインド国内モノづくりを強化することで、雇用の創出、労働者技能の向
上、研究開発の強化による技術革新、さらに製造業の輸出競争力の強化を通じた貿易赤字の解消を目指
している。中国はこれを中印経済連携を強化する切口として、積極的に対応している。 中印関係では国境紛争、チベット問題、インドの日米との関係強化、インド・パキスタン・中国の微
妙な3ヶ国関係により、必ずしも相互信頼的な政治関係を持っているわけでもないし、インドも中国へ
の警戒心から中国の提唱している「一帯一路」政策に前向きに対応しているわけでもない。
しかし、インドはBRICSサミット、BRICS新開発銀行などの枠組みで、中国との経済連携を強化しよう
という「実利外交」を推進している。とくに2017年にはインドは「上海協力機構」(SCO)の正式加盟
国となり、この枠組みの中で、中印の領土紛争の解決や経済連携の強化が一層進展すると見込まれてい
る。その結果、貿易だけでなく、中国からインドの電気通信、自動車部品、発電所建設への直接投資も
拡大し、インドにおける中国企業の存在感も高まっている。
さらに2013年5月に中印両国首相により提唱した「中国、インド、ミャンマー、バングラデシュ経
済回廊」の開発構想は中印経済連携を促進するきっかけになると見込まれている。その内容は4ヶ国間
で、インフラ整備を中心に、投資、貿易、物流、人文交流を促進しようとするもので、ミャンマーとバ
ングラデシュも積極的に対応している。将来的には中国とインドは「地政学」の阻害要因を抱えている
ものの、「地経学」の視点から見れば、経済連携が一層拡大するであろう。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --10----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
3.北東アジアはいかに新興アジアに向き合うか
1990年代から北東アジアにおける中日韓トライアングルを中心に域内経済だけではなく、アジア経
済の発展を牽引すると期待された。しかし、いまの北東アジアでは北朝鮮の核開発問題で緊張関係が高
まっている。中日韓の間にも、歴史問題、尖閣諸島問題、南シナ海問題により中日、日韓関係がギク
シャクされており、最近、サード配置の問題により中韓関係も悪化している。
また、東アジア経済の問題点として、2010年以降、東アジア対世界輸出が停滞している中、とくに
日本のシェア低下が顕著であることを挙げられており、北東アジアはアジアから周辺化されている。こ
うした中で、中国の経済力は急速に強化され、2000年からの「世界の工場」から2010年から「世界の
市場」に次いで、いまや「世界の銀行」として急浮上しつつある。「地経学」の視点からみれば、中国
はアジアの基軸国になりつつある。
最後、結論でいうと、中日韓の地理的近接性、経済補完関係からみて、中日韓FTAは北東アジアに
とって、不可欠であり、急ぐべきであるが、最近、上海自由貿易試験区の設置に対し、「東京(名古
屋・大阪)-ソウル-上海」という世界有数の三大都市圏を結ぶ「北東アジアビジネス圏」の構築は可
能性が高く、北東アジア経済発展の新たな起爆剤になるであろう。
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北東アジアにおける新しい傾向
NEASE-NET 副代表幹事、環日本海経済研究所(ERINA)名誉研究員、元理事長
吉田進
2015年から2016年に世界に大きな変化が起こった。クリミヤ半島併合をめぐる米英のロシア制裁、
シリア内戦拡大による難民の増加、その救済をめぐる論争、ISの勢力拡大、フランス、ベルギーなどに
おける一連のテロ事件、イギリスのEUからの脱退がその流れである。アメリカにおける大統領をめぐる
トランプ対クリントンの選挙戦、金利上昇の機運の高まり、TPPをめぐる論争など世界経済にも否定的
な要素が多くみられる。
その混乱の中で、前向きの経済政策と経済動向が見えるのは東アジアと北東アジアである。ここで
は、北東アジア各国の政策の特徴を見ていきたい。そして最後に日本の政策で緊急にとるべき措置につ
いて述べる。
1.中国
(1)一帯一路、シルクロ-ド政策、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立。
13年9月に習近平国家主席がカザフスタンを訪問した時にシルクロ-ド経済地域の問題に触れた。当初
は、過剰生産になった鋼材などをこの地域で消費する構想だったが、学者の意見を取り入れ、周辺国へ
の経済援助をプラスした。
既存の国際金融秩序に対して不満を持っていたことが中国を別の金融機構の創設に駆り立てた。13
年10月インドネシアで習近平国家主席がAIIB構想に触れた。2015年3月に、英国がAIIBへの参加を表明
し、EU諸国の参加を促した。2015年6月に参加国は一挙に57か国に膨れあがり、6月29日の設立協定に
は50カ国が署名した(注)。さらに2016年8月にカナダが参加を決定した。参加していないのは、今や
アメリカと日本だけである。
(注)サインを保留したのは、フイリッピン、マレーシア、タイ、クウェート、デンマーク、ポーラ
ンド、南アフリカである。
(2)国内の経済改革では、自由貿易試験区が拡大されている。貿易・投資などの規制緩和を進めるた
め、実験場「自由貿易試験区」が2013年9月に上海に設けられ、その成果を踏まえ15年4月に天津市、
広東省、福建省に拡大された。
更に遼寧省、浙江省、河南省、湖北省、重慶市、四川省、陝西省の7カ所にも設ける方針を近く決定
すると商務部長高虎城が発表した(2016.9.2.)
(3)日中関係 杭州におけるG20首脳会議時の安倍・習近平会談は、首脳会議閉幕後の9月5日の
夜、わずか32分間行われた。ロシア、インドなど主要国との首脳会談が4日に行われたことと考え合わ
すと、日中関係の不正常さが日程にも現れたといえよう。会談では、日中関係の改善が討議された。
『全体として、日中間で協力できるところは協力して両国関係の「プラス」の面を増やし、懸案につ
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いてはマネージして「マイナス」の面を減らしていくとの両首脳の共通の認識に基づく、前向きで充実
した会談になった』と日本外務省は評価している。
この会談では日中全般の空海連絡メカニズムの早期締結が話題となった。これまでの日中交渉では、
領海・領空を含む・含まないという議論の継続で、結論が出ていなかった。
9月14日広島市で「日中高級事務レベル海洋協議」が行われた。2日間の日程で海洋資源の開発や紛
争の未然防止などについて意見交換が行われた。
9月20日から日中経済協会、経団連、日本商工会議所の3団体から形成される70社、230人の代表団を
中国に派遣した。李克強総理が国連総会出席で、張高麗副首相との会談となった。
(4)中ロ関係 2016年4月に中国がロシアの北海石油開発に120億ドルの借款をした。
G20の際のプーチン・習近平会談では、プーチン大統領は南シナ海問題で、両国間で話し合うという
中国の立場を支持した。
9月12-19日には中国とロシアの海軍による合同軍事演習「海上連合2016」が広東省沖の南シナ海
で行われた。
2.ロシア
(1) 欧米のクリミヤ問題をめぐる対ロ経済制裁、石油価格の低下が、ルーブルの下落を招き、財政
収入を悪化させた。現在ロシア経済は好転する寸前まで来ている。
国内生産には従来以上に力を入れており、例えばロシアの2016年の食料生産量は1億1,400万トン
で、輸出可能量は3,900万トンとなり、2013年の9,200万トンより大幅に増えた。
9月16日、ロシア中央銀行は主要政策金利を0.50%引き下げ、年10%とすることを決めた。通貨ルーブ
ルの下落が一服し、輸入品のインフレが鈍化した。
連邦政府は2012年から極東開発に力を入れ、先行発展地域、経済特区と自由港制度の諸法律を採択
し、内部の資源と外国の投資を結合する政策をとってきた。
(2)日ロ関係
①2016年5月のプ-チン・安倍会談にて8項目の経済協力の内容(注)が確認され、極東開発省を中心
に具体的なプロジェクトを検討しているが、ロシア側の企業に資金不足と日本企業の情勢判断における
慎重さが見られ、具体化が難しい。
(注)(1)健康寿命の伸長、(2)快適・清潔で済みやすく、活動しやすい都市作り、(3)中小企
業交流・協力の抜本的拡大、(4)エネルギー、(5)ロシアの産業多様化・生産性向上、(6)極東の
産業振興・輸出基地化、(7)先端技術協力、(8)人的交流の抜本的拡大
②東方経済フオ-ラムは、9月2-3日、ウラジオストクで開かれた。28カ国から4600人の政財界の代
表、専門家、学者が出席した。日本からも450人が参加した。
③9月2日のウラジオストクにおける安倍・プ-チン会談では、下記につき合意した。
‐5月に決まった「新たなアプロ-チ」に基づいて日ロ交渉を加速、
‐ 経済協力8項目のさらなる具体化、
‐ 11月ペルーで行われるAPEC首脳会議の時にも日ロ首脳会議を開く、
‐ 12月15日には、プ-チン大統領を日本の山口県に招待する。
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55分間にわたる首脳二人だけの対話では、平和条約の内容がより具体化されたと見られる。ラブロフ
外相は、「日本側が北方領土での共同経済活動について協議する用意があると感じた」、「12月の訪日
時に平和条約締結交渉の結果を明らかにする」(朝日新聞 2016.9.3)と述べている。ロシアの国内では、
領土返還にはかなりの抵抗がある(注)ことにも留意すべきであろう。
(注) ロシアの世論調査会社レバダ・センターが今年5月末に実施した世論調査によれば、北方領土
の日本への引き渡しに「反対する」との回答が78%に上った。
9月3日に安倍首相は東方経済フオ-ラムで行った講演の中で、日ロ首脳会談を年一回定期的にウラジ
オストクで開き、対ロ経済協力の進渉を確認する事を提案し、プーチン大統領の賛意をえた。
④10月初めにはドボルコビッチ副首相(経済担当)、10月末には上院のマトビエンコ議長、11月に
はシュワロフ第一副首相(経済・財務担当)が訪日を予定している。
⑤安倍首相は、2016年1月22日に駐ロシア特命全権大使の原田親仁氏を政府代表・日ロ関係担当大使
に任命。プーチン大統領は、8月12日にアントン・ワイノ大統領府副長官を長官に任命。安倍首相は、9
月1日にロシア経済分野協力担当相を新設し、世耕弘成経済産業相が兼任することになった。
3.モンゴル
(1)モ中ロ 3カ国首脳会議の設立、輸送回廊の構築
2014年9月にドシャンベで開催されたロシア、モンゴル、中国の首脳会談は、モンゴル大統領の提案
により実現したものである。
「ロシア、モンゴル、中国の首脳が会談したのは史上初めてのことです。そこにはそれぞれの国の希
望、政策、利益が交差しますが、モンゴルは何よりもまず経済問題に焦点を当て、3カ国の経済交流や
経済協力について話し合う、定期的な会談を行う仕組みを提案しました。具体的に、首脳レベルでは3
年間に1回、そして、外務大臣などの閣僚レベルでは毎年会談することにし、さらに、こうした会談を
通じて、経済交流に関係する各省庁の専門家が、直面している諸問題について解決策を話しあうことを
提案しました」(フレバータル駐日大使)
協力の内容については、まず鉄道分野で協力関係を拡大する。モンゴルの石炭、銅などの輸出にとっ
て輸送手段が大きな障害になっている。モンゴルにはロシアから入って来て中国に出て行く単線の鉄道
があるが、これを複線化し、同時に、電化を図る。新たな鉄道を東部と西部に建設する構想を進める。
会談では、モンゴルがこの鉄道建設についてロシアと中国の協力を求めた。これに対して、プーチン大
統領は基本的に賛成し、モンゴルが今後開発する15カ所の鉱山についても協力すると約束した。
中国に対しては、まず上述鉄道建設に参加してほしいと要請し、加えて、チョイバルサンからの新た
な鉄道を中国の東北鉄道につなぎ、これを通じてモンゴルの鉱物資源を海外へ輸出する輸出回廊を構築
する。さらに中国から海洋に出るため、港の使用権を与えてほしいと要求した。習近平国家主席は、こ
れらの提案を受け入れ、鉄道建設について具体的な話し合いを始めようと約束した。港湾については、
北朝鮮の羅津も含め、丹東、新義州と、日本海に出る全部で8つの港を、モンゴルに提供することが可
能であり、どの港をどのように使うかを話しあおうと回答した。 (2)日本とモンゴルの関係
2016年6月7日に「経済上の連携に関する日本国とモンゴル国との間の協定〈日・モンゴル経済連
携協定〉」が発効した。
7月14日、ASEM首脳会議出席のためにモンゴルを訪問した安倍首相は、エルベグドルジ大統領、エ
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ルデネパト首相、エンフボルド国会大会議議長とそれぞれ個別会談を行った。
「鉄道、石炭、産業クラスター形成などで協力を進めよう」(大統領)、「クリンコール技術、環
境、人材育成における日本の協力に感謝、引き続き協力を進めたい」(首相)、「戦略的パートナー
シップ強化に向けた新しい中期行動計画を日本と策定したい」(国会大会議議長)との好意的な、前向
きの話し合いが行われた。
4.韓国 (1)アメリカの高高度域ミサイル防衛システム「THAAD」 の韓国への導入を受け入れたため、中国、
ロシアとの関係が急速に悪化した。
(2)慰安婦問題について日韓合意ができた。韓国の「和解・癒し財団」に対して日本政府が設立基金を
提供することが決まり、2016年8月24日に韓国側に当日の外相会談で通告した。韓国の第一野党「共に
民主党」は、8月27日反対の意思表示を行い、国内の意思統一はできていない。
(3)8月の財務対話で麻生財務相と韓国の柳一鎬企画財政相が緊急時に通貨を金融通する通貨交換協定
の再開に向けた協議について合意した。
5.朝鮮人民民主主義共和国(北朝鮮)
(1)北朝鮮 米韓軍事演習の継続 ロケットと小型核弾頭の開発と実験の継続。
①米韓日の軍事演習の継続 3月7日‐4月30日に米韓軍事演習「キー・リゾルグ」と野外機動訓練
「フーオルイーグル」を行った。米軍1万5,000人、韓国軍30万人が参加。
7月8日韓国に高高度域防衛ミサイルシステム「THAAD」 配備を決定した。
8月22日‐9月2日に米韓軍事演習「ウルチ・フリーダム・ガーデイアン」が行われ、米軍2万5,000
人、韓国軍5万人が参加した。
9月13日アメリカ軍戦略爆撃機B-1 2機がグアムから飛来、韓国で低空飛行実施。
10月10日‐16日に原子力空母「ドナルド・レーガン」が参加した合同演習が黄海で行われる。
②9月9日北朝鮮は、今年の1月に続き第5回目の核実験を行った。3月の国連の制裁決議後も20発以
上の弾道ミサイルを発射した。今回の核実験の規模は最大でTNT 火薬換算10キロトン程度とみられて
いる。弾道ミサイルには、「テボドン2改良型」(長距離)、「ノドン」、「ムスダン」(中距離)、
「SLBM」(潜水艦発射弾道ミサイル)、「スカッド」(短距離)が含まれている。
5月に開催されたた党大会では、核開発と経済再生を同時に進める「並進路線」が確認された。
③国連安全保障常任理事会は5回目の核実験への非難声明を検討した。米国とロシア、中国など核保有
5大国は9月15日、共同声明を出し、北朝鮮による1月6日と9月9日の核実験、一連の弾道ミサイル発射
を「強く非難する」と表明した。
声明は『「朝鮮半島の平和と安定を維持する重要性」を強調。その上で、北朝鮮の非核化で合意
した2005年の6カ国協議共同声明の「完全実施に向けて取り組む」と明言した』(ワシントン時事 2016.9.15) (2)8月29日から9月2日に北朝鮮を襲った台風10号は、第2次世界大戦後最悪の被害をもたらした。
住宅は1万1,600棟が全壊し、134名の死亡、400人の行方不明者を出した(国連の14日の報告)菅義偉
官房長官は13日に「現時点では検討していない」と発表した。
(3)拉致被害者の問題
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9月17日、拉致被害者の救出を訴える「国民大集会」が東京で開かれた。核実験やミサイル発射の
問題とは切り離し、被害者の帰国に向けた実質的な協議を実現するよう政府に求める決議を採択した。
安倍首相は、挨拶で「国連の場でも拉致問題の解決の必要性を訴え、国際社会と連帯を強めたい」と述
べ、焦点をずらした。
6.日本の政策で緊急にとるべき措置
世界経済が不安定な中、東アジアの経済が牽引力となっている。その中心は世界のGNPで第2位と第3
位を占める中国と日本である。 しかし両国関係は、歴史認識 、靖国神社、 尖閣諸島 問題をめぐり対立
している。また 韓国との間でも歴史認識、竹島、慰安婦問題により関係が正常化していない。この両国
との相互信頼関係が著しく低下し、信頼醸成が大きな課題となっている。三国間のFTA締結を軸にこれ
らの問題が解決されると東アジアの経済発展の基盤はより強固になる。AIIBへの参加は再検討すべきで
ある。
ロシアとの関係では、領土問題解決を前提とした経済協力が進んでいるが、領土問題解決という終着
駅に行き着くにはまだ努力と時間が必要だ。
北朝鮮問題では、核実験禁止をめぐり、制裁が連続して強化されている。安倍首相は、国連の中で
イニシアテイブを取る手段として北朝鮮制裁を利用しているようにも見える。これは両国の関係を悪化
させるだけで、拉致者問題を抱えている日本としては取るべき政策ではなかろう。
ここ数年来毎年北朝鮮に対する米韓軍事演習が繰り返されている。圧力を加えることによって北朝鮮
が崩壊するという確信派がアメリカと韓国の中核にいる。北朝鮮は、それに対抗して核兵器とミサイル
を完成させてきた。北朝鮮が求めているのはアメリカとの停戦・平和条約の締結である。アメリカが取
り上げれば、事態は急転直下、その方向に進むであろう。しかし現政権下では無理である。
中国は6者会談を提案しており、北朝鮮は無条件参加を承認している。問題はアメリカが、北朝鮮の核
開発放棄を再開の前提条件としていることだ。
現状のまま事態が進むと、双方の主張は平行線をたどり、軍事的緊張だけが強化される。韓国は、北
朝鮮の国連からの除名を提案するに至っている。このような強硬な主張は、韓国国内の政治的安定も揺
るがしている。韓国国内で北朝鮮の軍事的成果を過小評価しているのではないかという主張が出始め
た。「北朝鮮の核開発で最大の問題は、我々にその脅威を過小評価する傾向があることだ 」(朴輝洛韓
国国民大政治大学院長 日本経済新聞 16年9月22日)
1991年12月13日に調印された「南北間の和解・不可侵および交流・協力に関する合意書」と2000
年6月15日の「南北共同宣言」は南北双方を近づけた。この合意書と共同宣言に一歩でも戻ることが課
題ではなかろうか。「米国では北朝鮮の核凍結を条件に交渉を始めるべきだとの意見がある」(朴輝洛
同上)
拉致被害の家族が心配しているのは、安倍政権が核開発の問題に集中しすぎて、拉致被害者の帰国問
題を置き去りにしているのではないかという事だ。これは重要な指摘で、日本と北朝鮮の対話は6カ国
協議以外に、拉致問題しかない。米韓日を除き、世界のほとんどすべての国は北朝鮮と国交を持ってい
る。日本も今こそ核開発と人道問題を切り離して、日朝平壤宣言(2002.9.17)に基づき交渉を再開
すべきである。
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激変する世界情勢と北東アジア戦略の再構築
帝京大学
李燦雨
2000年代以降激変する北東アジア地域の経済戦略の行方を韓国、北朝鮮の政策の実例で比較してみ
る。
1.韓国
1.1 韓国の政策
●2013年からの朴槿恵政権は、李前政権の外交政策に不足した北東アジア政策を補完する形で、
「北東アジア平和協力構想」と「ユーラシア・イニシアチブ」を挙げた。
●「北東アジア平和協力構想」は、北東アジア地域内の政治的敏感性の低いソフトなテーマ(5大
テーマ:人文学的共感、高齢化社会問題、環境問題、自然災害問題、核安保協力)を中心に平和と協力
の文化を定着させていく構想である。これは、北東アジア域内の多国間安保協力を目指すための機能主
義的プロセス(協力可能課題の実践→共同利益→共同体意識の向上→朝鮮半島問題への連携)である。
➢しかし、朴槿恵政権の親中政策は漸増する米―中、日―中関係の悪化、北朝鮮の核開発の対する中
国の対応に対する韓国政府の不満などにより、15年末から急速に変化した。15年12月28日に行われた
日韓外相会談で慰安婦問題について両国が「最終的かつ不可逆的に解決」することで合意したことで韓
国政府の対日本政策に変化が表れた。
➢さらに、16年1月に北朝鮮が実行した第4回目の核実験をきっかけに日―米―韓の対北朝鮮制裁協
力が強化する方向に進んだ。北東アジア地域内の政治的敏感性の低い部門からの機能主義的協力を進め
るアプローチである「北東アジア平和協力構想」は、事実上機能不全となった。
●「ユーラシア・イニシアチブ」とは、ユーラシアで物流やエネルギーの輸送ルートを具体化するな
ど、ユーラシア域内国家間の協力を促進する構想である。この構想は、ロシアのプーチン大統領が主唱
しているユーラシア連合構想や、中国の習近平主席が提案したシルクロード経済ベルト構想と類似して
いる。中国は「一帯一路」構想と「AIIB(アジアインフラインベストメント銀行)」設立により、事実
上のユーラシア・イニシアチブを推進しており、ロシアもシベリア・沿海地方の開発において中国や日
本との協力を強化する政策を進めている。
➢しかし、朴政権が推進しようとした韓―中―中央アジア―露の経済連携構想は、北朝鮮に対する経
済制裁により北朝鮮を通過することができず、また北朝鮮問題をめぐる中ロと韓国との関係冷却化によ
り、イニシアチブを発揮できない状態である。
●朴槿恵政権の北東アジア経済政策は、北朝鮮との対立、周辺国との関係調整の未熟、北朝鮮の核実
験に対する強硬策への一本化などにより歪みが生じた。
1.2 韓国の北東アジア戦略の課題
(成果と限界)
●成果①:日中韓協力の枠組み形成
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➢民主主義と市場経済を国家経済システムの要とする韓国は、経済発展に成功し、政治・外交的位相
が高まったことで北東アジア地域に対する積極的なアプローチを行っている。
●成果②:大陸との経済連携の形成
➢1990年前後に韓国政府が推進した「北方政策」が成功し、旧社会主義圏との国交正常化を達成した
ことで、韓国は大陸との経済連携を地域政策の重要な要として位置づけてきた。
●限界①:政策の一貫性の欠如
➢韓国政治は5年間の単任制大統領のリーダーシップに大きく依存する特徴がある。政権が変わると
前政権の政策に対する否定的評価に基づく政策変更が少なくない。北東アジア戦略はその影響を最も多
く受けている分野であった。盧武鉉政権の「北東アジア中心国家論」→李明博政権の「新アジア政策」
→朴槿恵政権の「北東アジア平和協力構想」と「ユーラシア・イニシアチブ」への変遷が、前政権の政
策を継承・進化したものであるというよりは批判・差別化したものであり、その成果が現れる前に政権
が交代する。北東アジア戦略において政策の一貫性の欠如は韓国の国際的役割に大きな限界となる。
●限界②:経済政策と安保問題の乖離
➢韓国の北東アジア戦略は基本前提として朝鮮半島情勢の安定が保たれた際に現実化するという難題
を抱えている。
(周辺国との協力に関する課題)
●朴槿恵政権は北朝鮮の変化(改革・開放)と非核化を実現するためには周辺国との共助が必須であ
ることから、米韓同盟と日韓関係の強化による北朝鮮問題への取り組みを実施している。中国に対して
は共助から圧迫へ変化しつつある。
●今後の課題
➢第1に、北朝鮮に対し圧迫と対話政策を共有している日本と韓国がどのような戦略的共助ができる
か。
➢第2に、日米韓3国の間に共助の対北朝鮮連携プレーができるか。
➢第3に、米国との関係が冷却化する中国やロシアを日韓で連携させ、北朝鮮に対する国際共助の枠
組みを形成できるか。
●北東アジアからの視点から韓国を見ると、北東アジア地域の経済で占める中国の位相から、日中韓
の経済連携の増進が北朝鮮にどのような影響を与えるかが今後の展望において重要なポイントとなる。
➢日韓の経済連携と日中韓ロの経済連携に北朝鮮が入れる空間を形成することが必要となる。南北対
立の構造では実現し難い課題であるが、北朝鮮の安定的変化には韓国や日本、ロシア、モンゴルなど、
北東アジア地域内の経済補完性に関する新たなアプローチが必要である。
➢ それができなければ、北朝鮮は中国やロシアとの経済関係だけを中心に生きることを余儀されな
く、北朝鮮を含む北東アジア域内の経済発展を日韓が導くことが難しくなる。
2.北朝鮮
2.1 北朝鮮の政策
●2016年5月の労働党第7回大会で北朝鮮の今後の主要路線として、①社会主義建設の総路線(「人
民政権」「思想・技術・文化の3大革命」と「自強力第一主義」)②自主路線③先軍革命路線④主体的
統一路線⑤核と経済の並進路線が提示された。
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●「核と経済の並進路線」が金正恩時代の中心的政策である。
●経済面では「経済建設の5か年戦略(2016~20)」を実施する。2.2 北朝鮮の北東アジア戦略の
課題
2.2 北朝鮮の北東アジア戦略の課題
(成果と限界)
●成果①:中国とロシアとの間でのバランス外交
●成果②:体制の安定と経済開発への取り組み
➢危機管理時代と言える金正日時代とは違う「正常化と革新」を取り上げることができるようになっ
た。
➢2014年5月30日の「5・30談話」は、経済建設における生産経営管理と科学技術の結合、社会主
義企業責任管理制の導入で企業経営の自律権拡大(製品開発、品質管理、人事権)を追求することで、
生産力の増大を図るようにした。
●限界①:軍事優先による北東アジア域内緊張の増大
●限界②:社会主義への固執
➢市場経済で国際投資の目的が富の蓄積と拡大にあることが無視され、外資企業の投資利益が搬出で
きず、北朝鮮に吸い取られる状況さえ現れている。
(周辺国との協力に関する課題)
●北朝鮮は国際的市場経済システムとの交流を受け入れるなら、市場経済の作動原理を理解し企業の
投資など民間の経済活動を活性化することが課題となる。
●北朝鮮が2013―15年に推進した周辺国との協力は、北朝鮮にとって最大の国益を追求する戦略の
現れであったと言える。
➢中国とは経済的依存関係を維持しながら政治関係を冷やし、中国へのシフトを調節し、ロシアとの
政治・経済関係を強化してきた。日本とは国交正常化へのロードマップとして日本人拉致被害者を含む
日本人問題の「全面的・包括的解決」に取り組んだが失敗し、日本の対朝制裁がより強化した。
図表1 北朝鮮の周辺国との協力に関する戦略性と現状
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報告要旨
北東アジア戦略
-日本の視点-
富山県新世紀産業機構環日本海経済交流センター長
藤野文晤
1.21世紀世界の政治・経済動向と日本の対応
米/中を軸とする21世紀世界の政治・経済動向に日本として如何に対応するか
-アメリカとの同盟のみでよいのか
-TPPと日中韓FTA/RCEPとの関係
2.中国の"一帯一路"戦略とAIIB
中国の"一帯一路"戦略とAIIBに日本としてどう対応するのか
【付属資料】
「2016年日中経済協力会議—於富山」概要
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「2016年日中経済協力会議-於富山」 概要
Ⅰ.開催趣旨
中国東北地方は石油・石炭、鉄鋼等の伝統産業や重化学工業など石油、資源加工の産業のウェイトが
大きく、世界経済の変化に影響され易く、産業構造の転換が求められている。製造業分野では、
「中国
製造2025」に基づき、IT化やスマート製造等を通じた効率アップが進められている。農業分野で
は食糧生産基地として、全国の食糧生産の5分の1を占め、農業・農産物加工の分野で高度化のニーズ
がある。今後、産業構造の転換などの諸改革を成功させるには、民間企業が経済を牽引している日本の
取組みが参考になるものと思われる。特に、富山県は、豊富な水力を背景として第二次産業が発展し、
日本海側で随一の産業集積を誇っていることから、中国東北地方に提供可能な技術、システム、ノウハ
ウ等が多く存在すると思われる。
本会議の成果が、中国側の諸改革の一助になるとともに、日本企業にとっても新たな販路開拓や更な
る技術力等の向上、ひいては経済の活性化につながるよう、本会議を開催する。
Ⅱ.会議概要
1.会議概要
(1)テーマ:新たな中国東北振興と日中経済協力による課題の解決
(2)開催時期:2016年11月21日月)~23日水・祝)23日は地域視察
(3)開催地:富山県富山市 富山国際会議場(所在地:富山県富山市大手町1番2号)
(4)主催:日本側:日中東北開発協会、
(一財)日中経済協会
中国側:遼寧省人民政府、吉林省人民政府、黒龍江省人民政府、内蒙古自治区人民政府
(5)開催主管:
「2016年日中経済協力会議-於富山」実行委員会(会長:富山県知事)
(6)共催(予定): (一社)東北経済連合会、北陸環日本海経済交流促進協議会、
(公財)富山県新世紀産業機構、(公財)環日本海経済研究所、
日本国際貿易促進協会、(一社)日中経済貿易センター
(7)後援(予定):経済産業省、外務省、(独)日本貿易振興機構、(一社)日本経済団体連合会、
北陸経済連合会、日中投資促進機構、北海道、青森県、岩手県、宮城県、
秋田県、山形県、福島県、新潟県、神奈川県、富山県、石川県、福井県、
長野県、鳥取県、島根県、愛媛県、仙台市、新潟市、富山市、北九州市、
中国日本商会、瀋陽日本人会、大連日本商工会、長春日本商工会、
哈爾濱日本商工会、中華人民共和国駐日本国大使館
(8)参加者:日本側:中央政府及び各地方自治体、企業、経済団体、研究機関等の各関係者
中国側:中央政府及び遼寧省、吉林省、黒龍江省、内蒙古自治区等地方政府、
企業、経済団体、研究機関等の各関係者
(前回日本開催時の実績:日本側約250名、中国側約150名)
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2.会議構成・日程案
内 容
日時
11/20
中国側参加者富山到着
(日)
11/21 10:00~ ・企業視察中国側参加者のみ
(月)
15:30 県西部と東部に分かれて、分科会のテーマに沿った 特色のあ
る県内企業を視察。 15:30~ ・展示商談会(富山国際会議場3階 ホワイエスペース)
17:00 富山県内企業を中心に 30社程度の参加を想定。
※希望により、 日の展示商談についても実施 。
17:30~ ・歓迎レセプション(ANAクラウンプラザホテル) 19:00
11/22 9:30~
(火)
・開幕式(富山国際会議場 3階メインホール)
10:00 宗岡日中東北開発協会会長、石井富山県知事実行委員会代表、
中国側代表等の挨拶
10:00~ ・全体会議(富山国際会議場 3階メインホール)
12:00 日中両国の地方政府首脳等が、各地域の政策や経済発展計画、解決す
べき課題等についてプレゼンテーションを行い、課題解決に向けた具体
的なビジネスベースでのプロジェクト醸成につなげるべく意見交換を行
う。(各地方自治体・各省区、経済界の代表の発表)
13:30~ ・分科会
16:30 (富山国際会議場 2階会議室)
①環境・省エネルギー
②ものづくり
③農業・農産品加工
テーマごとに、両国各4名程度のプレゼンテーションと意見
交換を実施。会議の最後には、名刺交換等の企業交流 の時間を
設ける。
16:30~ ・会議・分科会総括(富山国際会議場 3階メインホール)
17:00
11/23 ・地域視察中国側参加者のみ
(水・祝) 県内東部、西部の 2コースに分かれ、産業関連施設等を視察
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --22--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
3.分科会概要(案)
次の3分野における具体的プロジェクトの醸成を目的に、関連産業・企業等の現状、動向等につい
て発表し、情報交換、企業間交流等を行う。分科会の最後に名刺交換等を行う。
①環境・省エネルギー
中国の東北3省1自治区から環境保護、省エネルギー・新エネルギー等に関する取り組みやニーズ
を、日本側から今後の日中連携に資する関連製品、技術、サービス等を紹介し、地域・民間レベルで
の相互協力の方策について討議する。
② ものづくり
中国では2015年5月に中国国務院が批准した「中国製造2025」において、製造強国戦略の
実施のためのイノベーションセンターの整備、スマート・グリーン製造プロジェクトの推進などの方
針が打ち出された。特に今後の高齢化、労働人口の減少対策である産業用ロボットは急成長し、注目
を集めている。また、日本の伝統工芸品についても関心が高まっている。このほか富山に集積のある
医薬品製造業に関しては中国側で産業高度化等のニーズが高い。本分科会ではこれらのニーズに対応
した新商品の共同開発などの今後の日中間協力について議論する。
③ 農業・農産品加工
中国東北地方は中国屈指の食糧生産基地で、現在、現代農業の発展のために農畜産物の品質や生産
効率の向上、食品加工業の発展、大規模灌漑、食糧貯蔵、物流施設の建設強化等を推進している。一
方、東北、北陸地方は日本でも有数の農業地域であり、農畜産物加工なども進展している。中国側に
とって日本の関連技術や設備等の導入についての期待が大きい。
本分科会では、農業・農畜産品加工(付加価値向上)
・食品加工機械等の分野における日中間協力を
推進するための意見交換を行う。
Ⅲ.参加要領
1.会議参加費用:無料
レセプション費用:5,000円/人(参加希望者のみ)
注:支払い方法については、別途ご案内します。
2.参加申込み、ご要望事項
ご参加の申し込みは、10月14日金までに、下記専用ウェブサイトに、ご参加者またはご担当
者が直接アクセス頂き、お手続き頂きますようお願い申し上げます。
ご参加にあたってのご希望・ご要望につきましては、下記サイトに設けています通信欄にご記入頂
きますようお願い申し上げます。また、参加者のご変更等は、必ず本専用ウェブサイトより、ご連絡
下さいますようお願いいたします。なお、申し込みの受付は9月1日木から開始します。
専用ウェブサイト: KWWSVMFSDJHMSMFHYHQWRS
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --23---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【個人情報の利用について】
参加申し込みの際にご記入いただいた個人情報は、参加者名簿、会議関係資料の作成や会議に参加
いただくためのご案内の送付など会議開催にかかる用務以外の目的では使用いたしません。
「氏名」
、
「団体・法人名」および「所属部署」
「役職名」は参加者名簿として、会議参加者に配布す
る予定です。また、ご記入いただいた会社概要等の情報につきましては、事前の日中間相互交流や
ビジネスマッチングをするために、会議に参加する中国側に情報提供することを予めご了承下さい。
なお、本情報は本会議以外の目的で使用しません。
3.お問い合わせ先
日中東北開発協会
参加申し込み等のお問い合わせ:井上
会議内容等のお問い合わせ:後藤、太田
TEL:03-5226-2230 FAX:03-5226-7221
2016年日中経済協力会議-於富山事務局メールアドレス:MFQGD#MFZHERUMS
〒102-0071 東京都千代田区富士見1-1-8 千代田富士見ビル2階
以 上
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北東アジア、ユーラシアにおけるエネルギー・環境、物流、金融協力
国際アジア共同体学会理事長、名古屋市立大学特任教授
中川十郎
1.
「エネルギー・環境プロジェクト」
自然エネルギー・鉱物資源に富む北東アジア、ユーラシアでは近年、エネルギ‐開発~特に水力、
火力、再生エネルギー開発が進展しつつある。
なかでも、孫正義氏が2011年8月に設立した「新エネルギー財団」が推進中のモンゴルにおける
太陽光、風力発電プロジェクトが具体化しつつある。この計画には中国・国家電網公司、韓国・電力公
社、ロシア・電力も協力し、日本、アジア向けに海底電線を活用し送電する「アジアSuper Grid構想」
が動き出している。
この財団は気候変動の危機と福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、自然エネルギー・分散型エネ
ルギ‐の拡大、エネルギ‐効率化を軸とする新たなエネルギーシステムへの転換、脱炭素経済の政策研
究、自然エネルギーを基盤とした安心、安全で豊かな社会の構築実現のために国際的なユニークな活動
を展開している。先のパリCOP21会議での気候変動、地球温暖化対策の動きも追い風になっている。
プロジェクトの実現のためにはモンゴルの太陽光、風力発電プロジェクトの実現が不可欠だ。最近
豊富な資源国としても脚光を浴びているモンゴルの石炭、銅、金などの開発にも日本としては積極的に
協力することが肝要と思われる。日本とモンゴルのFTAも締結され、北東アジア、ユーラシアでのモン
ゴルの存在感は一段と高まりつつある。
モンゴルは2015年7月に西アジアの雄、インド、パキスタンも参加し、域内人口30億人となり、地
球人口の40%を占めるユーラシアの巨大機構・上海協力機構(SCO)のオブザーバー国でもある。日本
としてもモンゴルとのさらなる関係強化が望まれる。
2.「一帯一路」構想と物流戦略
中国が推進中のアジア~ヨーロッパを陸と海で結ぶ「一帯一路」構想は中国の21世紀のシルクロー
ド物流戦略だ。すでに中国とヨーロッパを結ぶ鉄道輸送も16年4月には中国~フランス・リヨン11300
キロを16日で運搬する直行便が実現。また中國~ドイツ・ジュッセルドルフ間で直行便が動き始めてお
り、今後さらなる物流網の強化が予想される。
さらにアジアでは関係国の港湾建設も始まり、海のシルクロードとしてアジア、中東、アフリカとの
海運物流が動き出しつつある。スエズ運河、パナマ運河の拡張工事も完了し、大型船での物流も始まっ
ている。
2018年には国際物流における革命的な北極海航路の通年運航も始まる。ロシア北極海のYamal半島
のLNGが砕氷付きのLNG船で中国、韓国、日本、アジアへ輸送される。運航は中国海運会社、日本の商
船三井。造船は韓国大宇造船所が担当。LNG施設建設エンジニアリングは日本の日揮、フランスのテク
ニップで、国際コンソーシアムが活躍している。2018年に北極海航路の通年運航が始まれば19世紀の
スエズ運河、20世紀のパナマ運河開通に続く、21世紀の第3のグローバル物流革命が出現する。これは
2015年末に成立したAEC(アセアン経済共同体)の東南アジアのロジステイックス、物流、グローバル・
サプライ・チェインにも大きな影響を及ぼすことになる。したがってその動向には十分注目すべきだ。
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3.「AIIBと金融協力」
2015年末に57か国で発足した「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)は2016年6月末年次総会を
北京で開催。下記4件のプロジェクトへの初の融資が決定した。
AIIBの融資目標は16年12億ドル。17年25億ドル。18年35億ドルの予定だ。本年の12億ドルの内、
まず下記の5.09億ドルの融資が決定。
①バングラデシュ地方電力拡大計画(1.65億ドル=AIIB独自融資)
②パキスタン・パンジャブ州の40マイルのハイウエー建設(1億ドル=ADB,英国国際開発省との協調
融資)
③タジキスタン首都ドウシャンべに通じる3マイルの道路建設(2750万ドル=欧州復興開発銀行
EBRDとの協調融資)
④インドネシア・全国スラム街改善(2.165億ドル=世界銀行との協調融資)
今回の上記4プロジェクトは政府関係プロジェクトへ集中している。民間部門への融資は皆無で
融資リスク管理を徹底していることがうかがえる。
上記バングラデシュは西アジアで急速に発展しつつある。パキスタンは海のシルクロードへの出
口。インドネシアは海のシルクロードの重要拠点。タジキスタンは陸のシルクロードの結節点である。
第1段階の融資案件としては戦略的な配慮をしている。
財政的に健全で、かつ環境面での配慮でフレンドリーで地域住民に受け入れられるプロジェクトを
慎重に選定している。ADBの試算によれば、2010年~2020年の10年間のアジアのインフラ需要は8兆
ドル(約800兆円)の巨額が予想されている。世銀や、ADBではこれらの資金需要に応えられないと見
られている。その埋め合わせをAIIBやシルクロード基金(資本金400億ドル)、さらに2016年7月に活
動を開始したBRICS開発銀行(資本金500億ドル)が出資5か国それぞれの国の新エネルギー事業へ9.1
億ドル(約970億円)の融資を決定した。これから活動を始めるSCO開発銀行なども中央アジア・ユー
ラシアでのプロジェクト融資をAIIBと協力して積極化するものと見られる。アジアとヨーロッパを結ぶ
ユーラシア大物流網の整備、インフラ整備への融資により、21世紀最大のユーラシア・シルクロード構
想が動き出している。
米国と日本は環境保護、人権、反腐敗対策、透明性などを問題視し、ブレトンウッズ協定の開発体
制に挑戦するものだとして、AIIB不参加の口実にしている。新たに東欧、アフリカ、ラテンアメリカの
24カ国がさらにAIIB加入を希望している。最近のカナダの加入申請の実情から判断し、日本のこのよう
な対応は時代に逆行しており悔いを千載に残すことになるだろう。大局的判断で日本は米国に気兼ねす
ることなくAIIBに参加をすべきだ。
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Global Asia Review vol.2
●巻頭言●
アセアン経済共同体(AEC)と上海協力機構(SCO)の連携強化を
中川 十郎
国際アジア共同体学会理事長、名古屋市立大学特任教授
AEC と東南アジアの発展
9 月初めの中国・杭州での「G20 会議」に続き、
あわせてプロジェ
クト金融機関として
ラオス・ビエンチャンで、昨年末の AEC 発足後、
57 か 国 が 参 加 す る
初の「ASEAN 首脳会議」
、
「東アジア首脳会議」が
「アジアインフラ投
立て続けに開催された。
資 銀 行 ( AIIB )」 を
世界経済の 80%を占める G20 では世界経済の立
2015 年末に立ち上げ
て直しと反グローバル化の流れを食い止め、自由貿
た。10 年間で 8 兆ド
易と構造改革の推進、成長促進へ金融、財政政策を
ルの資金需要がある
総動員することで一致した。
と ADB が試算してい
ASEAN 首脳会議では来年設立 50 周年を迎え、
るアジアを中心とす
AEC のさらなる深化を進めることとした。AEC は
る域内の諸プロジェクトへ世銀、アジア開銀、欧州
政治安全保障共同体、経済共同体、社会文化共同体
開銀などとの協調融資を開始している。
さらに SCO
を推進し、単一市場と生産基地、競争力ある経済圏、
開発銀行、シルクロード基金、BRICS 開発銀行も稼
公正な経済開発、世界経済への統合にさらに拍車を
働。アジア、ユーラシア、アフリカ、南米向けのプ
かける。
「2025 年へ向けてのビジョンと挑戦」で、
ロジェクト融資が動き出している。かかる状況下に
年 5%台後半の成長をめざし、2025 年に GDP 総額
もかかわらず、アジアに位置する日本は、いまだに
を 2012 年の 2 倍の 4 兆 6282 億ドルを達成。国内
米国に気兼ねし、最近、カナダも参加を決定した
市場は 4 倍。貿易額 2.3 倍。2010 年∼2020 年のイ
AIIB に米国ともども参加を見あわせているのは時
ンフラニーズ(エネルギー、交通、通信、上下水道)
代錯誤ではないか。日本政府が注力してきた TPP
は 1 兆ドルを予測している。
は肝心の米国で大統領候補や議会で反対論が渦巻
AEC を中心に東南アジアが製造・貿易・消費の
いている。まずアジアでの RCEP 構築に努力。更に
巨大市場として登場する。その成長を持続させるた
AIIB、SCO との協力に注力することこそ先決だ。
め、下記の提案をしたい。
当国際アジア共同体学会(ISAC)は今後、ジャカ
ルタの ASEAN 本部や、ERIA 経済研究所、シンガ
AEC, RCEP と SCO との連携強化
ポールの APEC 本部、北京の SCO 本部、東京のア
AEC のさらなる発展のためには ASEAN+6(日
セアンセンター、世銀東京事務所、UNIDO 東京事
本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランド)
務所、国連大学、JETRO,アジ研、JICA、主要大学
の RCEP 推進が必須だ。とくに日中韓の協力が必要
のアジア研究所などとも提携、協力し、共同研究を
だ。さらに 2015 年 7 月、インドとパキスタンが加
積極化することを検討したらどうだろうか。
入し、地球人口の 40%を占める域内人口 30 億人の
ユーラシア・中央アジアで急速な発展が予想される
筆者紹介:東京外大イタリア科卒。ニチメン入社。同社ニ
上海協力機構(SCO)と AEC との東南アジア∼ユ
ュ−ヨーク開発担当副社長、愛知学院大学教授、東京経済
ーラシアの連結(Connectivity)の強化を考究する
大学教授、米コロンビア大学客員研究員を経て現職。
ことを提案したい。これら地域では中国が「一帯一
共編著に『国際経営戦略』
、
『知識情報戦略』など。
路」戦略でアジアと欧州を結ぶ、陸と海の物流、ロ
ジステイック戦略を展開。
2
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --27---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
排出権制度を活用する北東アジア地域環境協力
環境ビジネス開発イニシアティブ代表
田中弘
1.2020年以降の地球温暖化対策として策定されたパリ協定(昨年12月COP21)の特色
(本日の論点に関連して)
①すべての国がGHG削減目標を提出し、5年ごとにreview
②京都議定書同様の世界レベルでの排出権取引制度に加え、各国、各地域で行われる排出権制度
も、並行して有効に活用
2.排出権制度についての各国の最近の動き
日本
京都議定書に基づく排出権制度からは2013年以降離脱。国内では経済産業省・環境省が主管す
る国内排出権取引制度実施中。海外との取り組みでは2013年より二国間クレジットJoint Crediting
Mechanism実施。これは二国間で協定を結び、日本の環境技術を活用するプロジェクトから生まれ
る排出権を活用する方策で、すでに16か国と協定締結。なお2020年以降、パリ協定に基づき国内
に新たな制度が構築されるかどうか注視したい。
中国 京都議定書に基づくCDMプロジェクトが最も多く実現した国。他方、国内排出権取引のpilot
制度が、2013年より7都市・省(北京、天津、上海、重慶、深圳、広東、湖北)において試行、
2017年から全国規模に広げて実施予定。将来は、世界の他の市場とリンクさせることを検討、と伝
えられている。
韓国 2015年より国内の排出権取引制度実施。2021年以降は、海外の排出権も一定限度で利用可
能。
モンゴル CDMプロジェクト実績あり。2013年には日本の二国間クレジット制度の協定を締結、これが同
制度の第一号で、すでにプロジェクト実現の例あり。
3.以上のように北東アジア各国は、それぞれの形は違うものの、排出権制度の網でおおわれる
状態になりつつある。そこで、排出権制度を活用して、温暖化問題に対する域内協力の制度的な体
制作りを検討してみてはどうか。
(1)中国の国内取引制度は、その経済規模や現状のCO2排出規模からみて相当量の取引に発展
する可能性がある。将来海外の制度とのリンクも実現すれば、中国での取引動向が世界市場に
大きく影響するであろう。韓国の取引制度も将来海外ともリンクさせる計画。日本は、すでに
京都議定書のもとで、海外の排出権を購入してきた経験あり。整合性を持った統一的なルール
のもとにそれぞれがリンクすれば、より大きな効果が得られるだろう。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --28---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
(2)環境技術は経済発展の段階に応じて生ずる諸問題に対応しながら発展した側面もあり、中
国はじめ発展の著しい地域もまた、これからの新たな技術開発のfieldとなる。そのような地域で
の技術の発展にも注目し、互いの協力による相乗効果で、一層の技術開発が期待できる。排出
権制度のリンクが、その一助となる。
(3)排出権制度については、反面、規制の緩い国へ工場が移転し、そこでは逆にGHG排出が増
えるかもしれないとか、化石燃料の価格低下により、国によっては逆に化石燃料の需要を増や
す、という懸念が指摘されている(carbon leakage)。この対策には、国際的な協力関係が必
要。排出権制度も域内での共通課題として検討すべき。
(4)温暖化問題は地球規模の問題であり、極端にいえば地球上のどこかでGHG排出を大きく削
減できればよいわけだ。中国はじめ、排出が急増しているところで削減する効果は大きい。域
内全体での削減効果を図ることも必要で、排出権制度は有効な手段のひとつ
定期的な会合や、実現プロジェクトの情報公開を通じて環境協力推進を後押しすることも重要
だが、日々の経済活動のなかに組み込まれる制度(carbon pricing)の構築も必要である。その一つ
が排出権制度であり、これまでの日本の経験、多くのCDMプロジェクトの現場となった中国の経験
などを踏まえて、北東アジア地域の環境協力推進に排出権制度活用を検討することを提案したい。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --29---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
北東アジアの良き隣人関係の構築に向けて
ー環日本海交流の新たな飛躍策の提案―
(輸送の観点から見た北東アジア戦略の再構築)
NPO北東アジア輸送回廊ネットワーク
三橋郁雄
1.北東アジアが戦争を避けるための方策
北東アジアを平和龍と戦争龍が覇を競い合っている。
平和龍の実態は国境を超えた大交流の渦だ。急増する日本のインバウンド客、海運分野でも急増す
る訪日クルージング客、日本だけでなく中国においても中国アウトバウンド客数が急増している。
東アジア各国の一人当たりGDPの、この14年間の変化を見てみるとどの国も右肩上がりである。こ
の14年の間の伸び率が高いのは中国、ロシア、モンゴルである。
一方で戦争龍は近年になって目覚ましい成長を遂げている。頻発する北朝鮮の核開発と脅迫言動、
日常化した南シナ海、東シナ海領土紛争、いずれも我々に戦争の覚悟を迫るほど緊張している。各
国は軍事予算を拡充しており、一触即発の危険の状況に陥りつつある。
日本は第2次大戦の前後での体験から戦争をすれば国を滅ぼし、戦争しなければ国民経済は成長す
る、ことを知っており、今や国是は、何よりも戦争をしないことになっている。日本としては、平
和龍の席捲こそ有利である。現代をこの方向にどう導くか、最重要課題である。
現代は戦争龍の卓越でいつ戦争が始まるかわからない大緊張が北東アジアを覆っている。この大緊
張を破裂させず時間を経過させていければ、平和龍も負けじと盛り返し、当事国を平和裏に自ら改
変(自壊)させる(軟着陸させる)ことができる。ソ連がロシアに政体変更をした際とか、中国が
計画経済から市場経済へ移行した際に見られた現象であり、現在の時世においても有効であろう。
この方向に時代の流れを持っていくためには、即ち大緊張を破裂させない方法としては、「相手国
の事情がわかれば、許す気持もなれるかも」なる作戦をとる。それには双方が交流して互いに良く
知りあうことが一番。ついては、北東アジアの中心にある日本海において如何に大交流を起こす
か、を提案するとともに、その前提となる北朝鮮戦略もこの観点から考察する。
2.日本海大交流の興し方
新しい時代は新しい交流の興し方が提起されるべきである。日本海交流における従来からの日本の
対応、役割は極めて貧弱である。これを抜本的に改善したい。韓国交通ハブ政策に学ぶとともに、
これからは特にOne belt one roadに倣いたい。中国はユーラシア全域にわたりインフラ整備構想を
あたかも中国国内であるかのように、絵を描いた。外国領域であるが、中国と繋がりがあれば大胆
に構想図を提案する。当該国にとっては単なる話だけであるがAIIBの話が後続しているので、
当該外国も期待に胸膨らむことになる。日本も国内開発の観点から必要であれば、たとえ外国領域
であっても構想図を描くのが良い。特に日本海対岸地域は日本と強いインパクトを及ぼしあうので
準国内と見なせる地域であり尚更である。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --30--------------------------------------------------------------------------------------------------------------
日本は国土基本計画で位置づけされれば、中央、地方の政府が動き、資金や技術が投入され易い仕
組みになっている。そこで現在の国土基本計画である「新たな国土形成計画2015~2025」の中に
日本が協力したいと考える対岸の地域開発を書き込む。対岸は準国内と考えればよい。日本の関係
者は、今まで長く日本の地域開発は国内から出られないと自ら考え、外国からの要請を待つ姿勢を
自らに強いてきたが、これからは準国内地域のポテンシャルの顕在化に積極的に協力し、結果とし
てそこから活力を国内に取り込むのがよい。国内のポテンシャルはこうすることによって顕在化す
る。
何を書き込むか。
3.日本海大交流を興す方策とプロジェクト
環日本海交流の新たな飛躍策として、まずは北朝鮮が軟着陸するための方法論が検討されるべきで
ある。筆者は①北朝鮮とのお付き合いは現在の対話と圧力から、対話、交流、圧力に転換すべきと
考える。交流としては日本が資金提供して日本以外の国との交流でも差し支えない。次に大交流を
興す方策としては、②図們港地域開発は長期的には日本海に大交流の渦を巻き起こし、平和龍の大
きな武器になるので、その具体化に日本は力を貸すべきである、③短期的にはその中の一つである
琿春の大規模国際都市化事業に日本は協力をするのが良い、④また、現在進行中の安部プーチン会
談の成果を活用して、ロシア東方シフトへの支援、を提案する。
これら②,③,④を国土基本計画の中に書き込むことで、日本が対岸の開発に積極的に協力を行う
ことができるようにする。対岸で巻き起こる大交流の渦は日本を取り込み、日本の潜在力が大きく
顕在化し、少子高齢化問題もこの事業を通して緩和の方向に向かうのではないか。
(以下参考資料)
①北朝鮮戦略:冷戦時代、西側とソ連、西側と中国の間は現在と類似の軍事的緊張状況が長期に続
いた。しかし、この緊張関係は武力戦争を伴わなかったので、強い緊張の継続の中ではあるけれ
ど、ソ連も中国も自ら改変していった。それは、西側との交流が深まることにより、西側の実態が
わかるようになり、自らの体制制度の転換が必要と自覚したからである。それを内政的にほぼ平和
裏に行うことができた。この経験を北朝鮮に適用するのである。その場合、政策方針は、対話と圧
力(制裁)ではなく、対話と交流と圧力(制裁)となる。交流が自らを自覚させる原動力となるか
らである。強い緊張の中ではあるが、この交流をあらゆる機会を捉えて積極的に行い、北朝鮮国民
の多くに、外国の実情を知らしめることである。交流は北朝鮮懲戒論が強い日本国内で行われる必
要はない、他国に任せ、日本がそれを援助し、結果として北朝鮮の自覚を促進すればよい。
②図們港地域開発:北朝鮮との間で強い緊張関係があっても日本として是非とも実現に向けて協力
していく必要があると考えられる事業が図們江地域開発である。図們江地域は新潟から約1000㎞
の対岸にあり、日本から卑近の距離にあることから、良きにつけ悪しきにつけ、日本への影響が極
めて顕著な地域である。此処の経済発展ポテンシャルは極めて大きく、将来日本経済の救世主にな
る可能性がある。この事業による交流拡大により、北東アジア国家間の透明性が高まる、のみなら
ず、北朝鮮がこの事業を通して世界との交流を進展させ得る事業になるとも考えている。これは北
朝鮮の軟着陸に直結する。
③琿春大規模国際都市化事業:図們港地域開発の中心都市である琿春市はロシアと北朝鮮の国境が
交差しており、ロシア・北朝鮮との貿易、人的交流が盛んである。此処は朝鮮族が多いこともあ
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り、韓国人も積極的に進出しており、多くの民族が居住活動する多民族国際都市となっている。中
国政府、および吉林省政府はここを北東アジアの国際大都市にする計画である。
④ロシア東方シフトへの支援:ロシアは従来からの欧州との強い結びつきに加え、近年は世界経済
の牽引力となっているアジア太平洋地域との関係緊密化を重点政策としている。2012年APEC
ウラジオストク開催はその一環であり、現在進行中の安部プーチン会談による日ロ関係の改善も、
この流れに沿って大いに期待が持てる状況にある。
安部プーチン会談によると、日露経済交流の促進に向け我が国は8項目について協力をすることとし
ており、その中の一つは極東の産業振興・輸出基地化である。極東ロシアは対岸地域であり、そこ
の繁栄如何は日本に強いインパクトを与える。積極的に支援していく必要がある。するであろう。
韓国の取引制度も将来海外ともリンクさせる計画。日本は、すでに京都議定書のもとで、海外の排
出権を購入してきた経験あり。整合性を持った統一的なルールのもとにそれぞれがリンクすれば、
より大きな効果が得られるだろう。
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金融協力から東アジア共同体への道:後退と展望
吉林大学中日経済共同研究中心研究員
石田護
欧州諸国は不戦の理念を石炭鉄鋼共同体、欧州経済共同体(EEC)などに制度化して、経済発展、経
済統合、通貨統合を推進した。EECは経済を手段に平和を確保する枠組みであった。2008年の世界
金融危機に続く欧州債務危機以降、EU各国の経済的利害の相違が表面化した。EUの挑戦は、統合
の理念を再確認し、統合への道を歩み続けることである。
東アジアでは不戦の理念が制度化されない侭、民間経済活動による事実上の経済統合が先行し
た。10+3(ASEAN+日中韓)は、1997-98年のアジア通貨危機後、信用供与の枠組み(CMI)を
創設、金融、環境など分野別協力を通じて東アジア共同体に至る「機能的アプローチ」を選択した
が、近年の経済情勢悪化と政治対立から後退を余儀なくされている。
経済情勢悪化とは、2008年の世界金融危機以降の構造的長期停滞と国際通貨情勢不定化である。
東アジアの市場統合と中国経済の躍進とともにアセアン諸国が自国通貨を人民元に連動させたので
事実上の人民元通貨圏が発生していたが、国際通貨情勢不安定化に東アジア諸国が独自の為替政策
で自衛した。各国の為替レートが人民元への連動を離れて変動したので、東アジアの経済発展を促
すと期待されていた事実上の人民元通貨圏は崩壊した。中国は資本規制を迫られ、人民元国際化戦
略も後退した。外需・投資主導から内需・消費主導への経済構造転換の難しさも増大した。主要国
が金融政策協調によって量的緩和政策を穏健化すれば、大量の資本移動が穏健化し、為替レート変
動の振幅が抑制され、東アジアは経済安定成長の金融環境を取り戻す。政策協調へのイニシアティ
ブを発揮できるのは中国だけである(1)。2008年、G20が創設されたのは、経済大国中国が参加
しないG7で世界金融危機への対応を協議しても意味がないと認識されたからであった。
政治対立の基本構図は、中華民族の偉大な復興を掲げる中国の外交と日本の価値観外交の対立で
ある。「中華民族の偉大な復興」には、「銘記歴史勿忘国耻」の思いと中国中心の東アジア秩序復
興の思いが込められている。中国は日本の歴史認識にフラストレーションを抱き続け、日本は中国
中心の秩序作りに中国包囲網外交で対抗する。ASEAN諸国も中国の強硬な外交スタンスを警戒し
(2)、2011年、東アジア首脳会議にアメリカとロシアを招いた。習近平国家主席が、「隣国を安
んじる平和発展の道を歩む」と語っていることから(3)、中国は、強硬外交の周辺諸国への影響
を勘案して、外交スタンスを修正する可能性がある。
日中両国企業が交流して利益を追求する経済のロジックは日中政治関係悪化の重要な歯止めであ
るが、政治状況次第では国家の面子を重んじる政治のロジックに圧倒される恐れがある。広範な民
間交流による一人一人の心情とその総計である国民感情改善も政治関係改善を後押しするが、国民
感情は、2005年4月、2012年9年の反日デモがそうであったように、事あれば急変する不確かさが
ある。
経済情勢悪化と政治対立から東アジア共同体構想は挫折したかに見えるが、道が閉ざされた訳で
はない。東アジア共同体構想から展開したRCEPは形成途上にある。日中は分野別実務協力を進め
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --33---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
ている(4)。金融ではCMIが事務局AMROの国際機関化を終えて、新たな東アジアの金融危機に際
しての出番に備えている。日中両国は、日中関係改善と東アジアの安定のため、経済と政治の協力
の場を更に広げる必要がある。AIIB創設はそうした貴重な機会であったが、日本は参加して経営に
寄与するのではなく外から批判することを選択し、1100億ドルの対抗プロジェクトを発表した。日
中は対抗の構図を協力の構図に換えなければならない。習近平国家主席は、2015年3月、ボアオ・
アジアフォーラムで、「日韓とともに2020年までに東アジア経済共同体形成に取り組む」と語っ
た。それが中国中心の秩序を意図したものであったとしても、東アジアに生きる日本は東アジアの
平和と発展のためその形成に関与することが重要である。
[注]
(1)「人民币国际化两大关键缺一不可」(『参考消息』紙、2016年5月25日、新華社)、
「Moderate monetary policies to temper exchange rate swings」(『IPP Review』2016年5月13日、
National University of Singapore)。「杭州G20サミット:世界経済の安定成長、中国に期待」「杭
州G20峰会:中国将在世界经济稳定增长中发挥更大作用」(『中国網日本語版』2016年9月5日)。
中国人エコノミストたちは、主旨には賛同するが、中国が金融政策協調にイニシアティブを発揮す
るかについては懐疑的である。
(2)中国は、中国自らが見る中国と周辺国が見る中国の間のperception gapに気付いていないよ
うである。周辺国が見る中国の一例としては、リー・クアンユー元シンガポール首相が、「アメリ
カは覇権国であるが、ソフトである。中国は覇権を唱えはしないが、中国の決意は見え見えである
(中國嘴裏說不稱霸,但決心路人皆見)。シンガポールにとってはアメリカが支配する世界の方が
好ましい」と語ったと伝えられた(「強國崛起現霸氣 反中情緒積累」『環球網』2012年5月15
日)。
(3)習近平国家主席は「周辺外交工作座談会」(2013年10月)で、「わが国の周辺外交の戦略
目標は中華民族の偉大な復興の実現に服従・奉仕することである。基本方針は、隣国をパートナー
として、隣国と睦まじくし、隣国を安んじ、隣国を富ませることを堅持し、親・誠・恵・容の理念
を際立てて体現することである。平和発展の道を歩むことは、わが党が時代の発展の潮流とわが国
の根本利益に基づいて行った戦略的選択であり、周辺の平和・安定の擁護は周辺外交の重要目標で
ある」と発言している。
(4)日中関係悪化に際し、私は分野別協力を推進して制度化に至る「機能的アプローチ」の再考
を主張した(「关于东亚共同体的重新思考:从功能性路径到制度性路径」『国際経済評論』2014年
第3期、「東アジア共同体再考:機能的アプローチから制度的アプローチへ」『国際金融』2014年
4月)。これに対し中国社会科学院日本研究所李薇所長らは、先ず日本が自らのアイデンティティ
(日本は何者か、アジアに属するのか)を明かし、日中が東アジアのアイデンティティを共有する
ことが先決と応じた(李薇、張建立「构建东亚共同体的关键在于成功形塑东亚身份认同」『国際経
済評論』2014年第3期、「東アジア共同体構築の鍵は東アジアアイデンテイテイ形成の成否」『国
際金融』2014年10月)。その後も、中国の学界では、東アジア共同体は可能と考える研究者が少
なくない。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --34---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
総合セッション次第
統一テーマ
激変する世界情勢と北東アジア戦略の再構築
-各地域及び研究機関の動向と提案-
ラウンドテーブル方式(NEASE-NET 関係研究機関) 16:05 ~ 18:05(120 分)
司会:千葉康弘 NEASE-NET 副代表幹事、佐渡友哲 日本大学教授
【基調報告】
北朝鮮の核実験と中朝関係
姜 龍範 天津外国語大学教授・東北アジア研究センター長
【報告】
報告1 人間文化研究機構を中心とした北東アジア地域研究事業について
岡 洋樹 東北大学東北アジア研究センター長
報告2(公財)環日本海経済研究所(ERINA)の研究動向
新井洋史 環日本海経済研究所調査部長
報告3 地政学からみた北陸のポテンシャル
杉山正樹 北陸環日本海経済交流促進協議会理事・経済交流部長
報告4「2016 年日中経済協力会議-於富山」の概要
藤野文晤 富山県新世紀産業機構環日本海経済交流センター長
報告5 桜美林大学北東アジア総合研究所の取り組み
川西重忠 桜美林大学北東アジア総合研究所長
報告6 包括的なエネルギー戦略プランの構築に向けて
渋谷 祐 早稲田大学資源戦略研究所
【デスカッション】
第 1 セッション モデレーター 凌 星光 日中科学技術文化センター理事長
第 2 セッション モデレーター 杉本勝則 北京外国語大学客員教授
研究機関&参加会員&参加の皆さん
総括コメント:藤本和貴夫 大阪経済法科大学学長、NEASE-NET 顧問
【資料提供】
京都大学東アジア研究センター
島根県立大学北東アジア地域研究センター
北海学園大学北東アジア研究交流センター
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --35---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
北朝鮮の核実験と中朝関係
天津外国語大学教授・東北アジア研究センター長
姜龍範
はじめに 一、中国の北朝鮮抱き込み戦略
金正日が死亡した後、中国はいち早く金正恩の後継を認め、両国間の高官レベルの相互訪問が頻
繁、政治的な関係が良好、経済交流も活発に行われた。
二、暴走を続ける金正恩政権
金正恩政権になって核実験がすでに3回、朝鮮半島非核化という中国の方針に正面から抵触する。
長年、北朝鮮を援助してきた中国の沽券にかかわる事態。6回目の核実験の兆候も捕らえられたとい
う。国際社会は北朝鮮に核兵器を放棄させる最善のチャンスを逃した。
三、北朝鮮は核放棄をするのか
国家戦略の根幹として核開発が巧みに推進される。核保有は金正日の遺言。放棄できる条件と
は。
四、中国の対応と中朝関係の行方
1、国際制裁に同調しながら、六者協議の復帰を促す、見限りはできない。
2、様々なシナリオに備えての措置
3、大胆なプランを提示する必要性(金正恩の訪中、核の傘を提供)
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --36---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
地域概念としての東北アジア(北東アジア)
人間文化研究機構を中心とした
北東アジア地域研究事業について
岡 洋 樹
東北大学東北アジア研究センター長
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前世紀末の冷戦終了により新たに要請された地域理解の枠組み
ロシア(とくにシベリア・極東)、中国、モンゴル、朝鮮半島(韓国・北朝鮮)、日本。
大国の統治(日・中・韓:経済、領域:中・露)
急激な経済発展
関係の緊密化。日本が直接隣接し、アクターである地域。
文化的多様性。
対立構造の存在(北朝鮮問題、国境をめぐる紛争、環境問題、歴史認識等)
北東アジア研究交流ネットワーク(NEASE-Net)フォーラム
平成28年10月1日(土)10:00-18:30
桜美林大学四谷(千駄ヶ谷)キャンパス会議場
• 異質性から生起する課題群
• 課題群としての東北アジア:共有されるべき課題群の理解枠組み
学術的課題としての東北アジア
Asia in the 1903 and 1992
• 地域理解枠組みとしての「東北アジア(北東アジア)」地域概念の確立
• 課題の多様性に対応した全国的・国際的・学際的研究協力態勢の必要
• 文化的共通性を地域の定義とするのではなく、地域の動向、差異・多様性
から生じ、解決が求められる課題群として地域を設定
F.W.Putzgers. Historischer Schul-Atlas. Bielefeld und
Leipzig. 1903. 40.
The Times Atlas of the World. Family Edition. London,
1992, pp.22-23.
•
•
•
•
•
歴史:長期的視野による歴史理解、近代の位置づけ
文化:文化的交流・長期的な変化
経済:地域経済、国際的な経済協力の可能性
環境:開発の進展による越境的環境問題、地域社会との関わり
政治:地域の課題を共有しうるプラットフォーム形成
大学共同利用機関法人・人間文化研究機構
ネットワーク型基幹研究プロジェクト 地域研究
「北東アジア地域研究推進事業」(平成28~33年度)
目 的
•人間文化研究機構(以下「機構」という。)は、国内外の関係
大学・機関と協力連携して北東アジア地域研究ネットワークを構
築し、我が国にとって学術的・社会的に重要な意義を有する北東
アジア地域の文化、社会、政治、経済、環境等の現状について学
際的・総合的に調査研究を進め、この地域を総合的に把握すると
ともに、この地域の重要課題について多角的視野から解明を目指
す。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --37---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
•中心研究テーマ
「北東アジアにおける地域構造の変容:越境から考察する共生への道」
研究拠点
• 冷戦が終了してから20余年のあいだに、アメリカの影響力が相対的に低下し、中国、インド、ロ
1) 国立民族学博物館北東アジア地域研究拠点・国立歴史民俗博物館
担当分野:自然環境と文化・文明の構造 代表 佐々木史郎(国立民族学博物館・教授)
シアなどの存在感が増すなか、日本をめぐる周辺諸国の地域構造は、1996年4月の中ロによる戦略的
パートナーシップの宣言に象徴的に現れているように、大きく変容しつつある。日本にとって、国境、
環境、経済協力、歴史認識など、中国・ロシア・モンゴル・韓国・北朝鮮との間で生起している諸課
題を解決へと導くためには、これらの地域を一体的に捉える必要があり、一つの視野のもとに捉える
準拠枠として「北東アジア」という地域概念が必要である。既存の枠組みである「東アジア」「極東」
「環日本海」などの地域概念を包括し、「越境」して生起する諸現象を課題群として抽出し、諸機関
が分担して解明することによって、政治的・経済的な対立面のみならず、そこに生成する新たな「共
生」の地域像を導き出す。
• 機構のこれまでの拠点形成型地域研究は、研究拠点において複数の課題を扱ってきたのに対して、
拠点が単独の課題を担当したうえで、それらの組織のネットワーク化を通じて複数の課題を統合する
地域研究という、新しい方法論を確立する。
国立民族学博物館北東アジア地域研究拠点
研究テーマ「人とモノとシステムの移動・交流からみた自然と文明」
代表者 池谷和信(国立民族学博物館・教授)
•構成組織:国立民族学博物館・国立歴史民俗博物館
【研究テーマの概要】
•自然環境が可能にしてきた文化的な共通点や相違点を通時的に分析
し、人やモノの移動から諸システムの移転を含めて包括的に捉え、
文明圏の構造とその変容を明らかにする。この研究では、文化領域
と呼ばれてきた特定の文化複合の広がりを、モノと人の関係性とい
う観点や、移住・移民などの人の動きから再検討する。
【研究目標】
•国立歴史民俗博物館と連携しながら、北東アジアにおいて自然と文
明はいかに交差してきたのかという問題に関して、人とモノの移動
と交流に着目して、新たな知見を切り開くことを目標とする。特に、
国立民族学博物館チームを中心とした汎地域的・通時的な研究と、
国立歴史民俗博物館チームを中心とした解析的な研究を組み合わせ
ることにより、北東アジアの自然と文明のあいだに根づいてきたシ
ステムを明らかにすることを目標とする。
2)
3)
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター
担当分野:域内連携体制の構築をめざす国際関係論 代表 田畑伸一郎(北海道大学スラブ・ユーラシア
研究センター・センター長)
東北大学東北アジア研究センター・国立総合地球環境学研究所
担当分野:環境問題および地域資源に関する文化と政策 代表 岡 洋樹(東北アジア研究センター・セ
ンター長)
4) 富山大学極東地域研究センター
担当分野:持続的な経済開発 代表 今村弘子(富山大学極東地域研究センター・センター長)
5) 島根県立大学北東アジア地域研究センター・国立日本文化研究センター
担当分野:思想・歴史的アイデンティティ 代表 井上厚史(島根県立大学北東アジア地域研究センター
・センター長)
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター拠点
研究テーマ「地域フォーラムの軌跡と展望に関する研究」
代表者 岩下明裕(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・教授)
構成組織:北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター
【研究テーマの概要】
•北東アジアでは、東南アジアや中央アジア等と比較して、地
域統合はおろか地域を包摂するフォーラムさえ存在しない。
協力構想やコンソーシアム等のこれまでの取組の問題点を分
析し、他地域での成功例と比較することによって、あるべき
フォーラム像を構築する。
【研究目標】
•本センターは、北東アジアにおける国際政治に関する研究拠
点として、同上テーマに関する国際共同研究プロジェクトを
推進し、関連する日本の研究機関や研究者を糾合する。とく
に地域の秩序像に関しては、政治経済のみならず、文化や表
象面についても目配りするとともに、主として中国の台頭に
よるパワーバランスの変容など主権問題が噴出している現実
とそれを乗り越える試論の展望を析出する。
東北大学東北アジア研究センター拠点・国立総合地球環境学研究所
研究テーマ「環境・資源問題に関する社会文化と政策の総合化研究」
代表者 岡 洋樹(東北大学東北アジア研究センター・教授)
富山大学極東地域研究センター拠点
研究テーマ「国際分業の進化と天然資源の持続可能な利用に関する研究」
代表者 馬 駿(富山大学極東地域研究センター・教授)
•構成組織:東北大学東北アジア研究センター・国立総合地球環境学
研究所
構成組織:富山大学極東地域研究センター
【研究テーマの概要】
【研究テーマの概要】
•大気環境および地域資源の管理は、北東アジアの国家間及び地域社会における
喫緊の政策課題である。双方の課題について、域内・域外の教育研究機関の連携
を深めつつ、地域事例分析と政策構築の両面からアプローチし、深い問題認識と
解決に向けた設計的知見を導き出す。
•本研究プロジェクトは、社会経済システムと自然環境シ
ステムといった2つの視点を融合しながら、北東アジア
地域の経済活動における国際分業・協力関係と天然資源
の持続的・共存的利用の可能性について学際的に分析す
ることを目的とする。
【研究目標】
•総合地球環境学研究所と連携し、アムール・オホーツクコンソーシアムの枠組
みも活用しながら、北東アジアにおける共有プール財としての資源・環境の存在
形態と利用を、広域及び局所双方の位相で捉え、歴史的観点やグローバル化とい
う観点も加えつつ、その持続可能性について資源問題、温暖化問題、大気汚染問
題などを中心に探求する。地域社会スケールでの民族誌的・歴史社会学的な解明
を行いつつ、広域にあっては地球環境問題や越境汚染問題に焦点を当て、既存の
対処制度に効果性、過去の事例からの教訓などを定性的に分析する。また、総合
地球環境学研究所は環境情報の発信を担う。
【研究目標】
•本研究プロジェクトは、北東アジアの国際分業の進化の
行方を分析するとともに、天然資源の持続的利用に関わ
る環境評価と資源ビジネスの可能性について探ると同時
に、北東アジア地域研究の拠点として,研究調査の国際
ネットワークを構築しながら、この地域の持続的発展の
新たなあり方に関する政策提言をしていくことを目標と
する。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --38---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
島根県立大学北東アジア地域研究センター拠点・国際日本文化研究センター
研究テーマ「近代的空間の形成とその影響」
代表者 井上厚史(島根県立大学北東アジア地域研究センター・センター長)
構成組織:島根県立大学北東アジア地域研究センター・国際
日本文化研究センター
【研究テーマの概要】
•北東アジア地域において、「近代的空間」すなわち国民国家
の形成とそれに伴う国境等が出現する変動過程を、モンゴル
の拡張収斂やロシアの東漸等の前近代にまでさかのぼって、
歴史的・文化的・思想的観点から分析し、当該地域が持つ特
性=アイデンティティの抽出を試みる。
年 度
取 組 内 容
平成28年度
・各研究拠点の研究推進(予備調査)
・各研究拠点におけるスタートアップの国際研究集会
・ウェブサイトによる研究プロセスの国際発信開始
・ロシア(ウラジオストック)における国際会議(IIAS主催)
・大型科研費の応募申請(5年計画)
平成29年度
・各研究拠点の研究推進(本調査)
・拠点連携型の研究集会開始・研究成果の刊行(随時)
・モンゴルにおける国際会議(IIAS主催)
平成30年度
・各研究拠点の研究推進(本調査)
・国際シンポジウム(環境+国際政治+経済、3セッション統合)
・韓国における国際会議
平成31年度
・各研究拠点の研究推進(本調査)
・国際シンポジウム(近代+交流、2セッション統合)
・中国における国際会議
平成32年度
・各研究拠点の研究推進(補足調査/英論文執筆)
・各拠点による一般向けセミナー
・展示による研究成果の公開
平成33年度
・成果刊行(英文叢書5巻本)
・一般公開シンポジウム(東京)
【研究目標】
•国際日本文化研究センターと連携しながら、空間としての北
東アジアを形成した複合的統治システムの形成、清朝・ロシ
ア帝国・大日本帝国という3つの重層パワーの歴史的関係性、
そしてこの地域のコンタクト・ゾーンにおける力学や流動性
を明らかにする。
20周年記念国際シンポジウム
東北アジア研究の新たなパラダイム
大学共同利用機関法人・人間文化研究機構
ネットワーク型基幹研究プロジェクト 地域研究
平成27年12月5~6日 仙台国際センター
「北東アジア地域研究推進事業」(平成28~33年度)
•基調講演:
キックオフ・シンポジウム「Rediscovery of Northeast Asia」の開催
山室信一(京都大学)「思想課題としての東北アジア」
平成28年1月23~24日 国立民族学博物館4階セミナー室4
篠田謙一(科学博物館)「DNAから見た日本人の形成と北東アジア」
•総合セッション:「東北アジア研究の意義と将来像」
井上厚史(島根県立大学)「〈北東アジア学〉創成に向けての課題」
田畑伸一郎(北海道大学)「スラブ・ユーラシア研究における東北ア
ジア」
今村弘子(富山大学)「東北アジア研究:日本海側の拠点として」
岡洋樹(東北大学)「東北アジア:歴史的パースペクティヴ」
「北東アジア地域研究推進事業」
リエゾンオフィスの開設
モンゴル科学アカデミーとの協力による国際的連
携態勢の構築
平成28年1月23日:大阪
•国立民族学博物館内に事業のためのリエゾン・オ
フィス開設
平成28年7月28日:ウラーンバートル
•モンゴル科学アカデミー歴史研究所内にリエゾン
・オフィス開設
•今後も東北アジア各国にリエゾンを展開
Around the Changbai mountains
A seminar on the narratives of the ethnic groups in Northeast Asia
• Vladivostok, Russia
•26-27 September 2016
Organised by
•The Far Eastern Federal University, Vladivostok
•The International Institute for Asian Studies,
Leiden
•The International Unit for Central and Inner
Asian Studies, Regensburg
•National Institute for the Humanities, Japan
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --39---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
各拠点の活動
• 2016年4月21日、富山大学極東地域研究センター拠点第1回研究会(於:富山大学)
• 2016年5月25日、富山大学極東地域研究センター拠点第2回研究会(於:富山大学)
• 2016年5月27日、東北大学東北アジア研究センター拠点・中国環境問題研究会共催講演会(東北大学東京
分室)
• 2016年5月28-29日 北大スラブ・ユーラシア研究センター拠点スタートアップ会議(於:島根県立大学)
• 2016年6月17~18日 島根県立大学北東アジア地域研究センター拠点スタートアップ会議(於:島根県立大学)
• 2016年6月20日 第1回北東アジア地域研究推進会議(於:民博)
• 2016年6月23日(木)、UBRJ/NIHUセミナー「中露国境地域の経済交流実態をみる:国境の町・綏芬河のいま」
(於:北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター)
• 2016年7月22日、東北大学東北アジア研究センター拠点・中国環境問題研究会第2回共催講演会(於:東北
大学東京分室)
• 2016年7月27日、富山大学極東地域研究センター拠点第3回研究会(於:富山大学)
• 2016年8月3日、東北大学東北アジア研究センター拠点・中国環境問題研究会第3回共催講演会(於:東京サ
イト)
• 2016年9月15日、東北大学東北アジア研究センター拠点・中国環境問題研究会第4回共催講演会(於:東京サ
イト)
• 2016 年 9 月 26 〜 27 日 、 IIAS (International Institute for Asian Studies) 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム 「 Around the
Changbai mountains: A seminar on the narratives of the ethnic groups in Northeast Asia 」 共 同 開 催
今年度の予定
• 国際シンポジウムの開催
• 11月19日(土)〜⒛日(日):島根県立大学北東アジア地域研究センター拠点・国立日本文化研
究センター共催 国際シンポジウム「北東アジアにおける近代的空間の形成とその影響」(於:島
根県立大学)
• 12月3日(土)〜4日(日):東北大学東北アジア研究センター拠点・国立地球環境学研究所共催
国 際 シ ン ポ ジ ウ ム 「 Environment of Northeast Asia: Cultural Perception and Policy
Engagement 北東アジアの環境:文化的認識と政策的関与」(於:東北大学)
• 12月17日(土)〜18日(日):北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター拠点 国際シンポジウム
“There Goes the Neighborhood: Increasing Tensions in Cooperative Northeast Asia”(於:西
日本総合展示場(北九州市小倉))
• ご清聴ありがとうございました。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --40---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
(公財)環日本海経済研究所(ERINA)の研究動向
ERINA 調査研究部長
新井洋史
1.研究体制等
・調査研究部、経済交流部、企画・広報部、総務部の4部体制
・調査研究部には、6名の常勤研究スタッフが在籍
・「国際共同研究」、「基礎調査研究」の2本柱の下で、計17の研究テーマ(研究プロジェクト)を実
施(別紙参照)
・各研究者は、担当国に関するテーマを中心に、4~7の研究プロジェクトに参加
2.2016年度の特徴的事業
(1)「北東アジアの構造改革と地域内協力」(別紙A-(5)-a)
・2016~17年度に実施予定
・各国における成長戦略・構造改革の主要課題を明らかにしつつ、これらの円滑な推進にあたって北東
アジア地域内協力がどのような役割を果たしうるのかを論じる。
・「ERINA研究者による検討」と「海外研究者との討論を踏まえた検討」の2段階で進める予定。
(2)「ロシア極東経済発展の潜在力の評価」(別紙A-(4)-a)
・2014~16年度事業
・ロシア企業幹部を対象とした大規模なヒアリング調査(約750件)に基づき、極東地域の「市場の質
を計測」する。
・日ロの研究者7名による共同研究として実施中。
(3)「パリ協定の下での北東アジアのエネルギー協力」(別紙A-(2)-a)
・2016年度は準備年との位置づけ
・2015年末の地球温暖化防止に係るCOP21での「パリ協定」合意を受けて、北東アジアにおける地域
協力のありようを検討したい。
・2016年4月~9月、ゲオルギー・サフォーノフ国立高等経済学院(モスクワ)教授を客員招聘研究員
として受入。
3.主な出版物
・ERINA REPORT(和文総合誌)、Northeast Asian Economic Review(英文学術誌)、ERINA Business
News(和文情報誌)
※前2者に対する投稿を常時受け付け。
[以上]
別紙: ERINA調査研究部事業計画(2016年度)
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --41---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
A 国際共同研究
国際共同研究は、「国際共同研究センター」事業として、ERINAの調査研究の中核となる事業であ
り、国内外の研究機関や共同研究員との共同研究を重視し、国境をまたぐ地域開発、環境・エネルギー
協力、経済連携の各分野を対象に研究を進める。
A- (1)
国境をまたぐ地域開発
a 北東アジア輸送回廊整備の現状と展望
大図們江イニシアティブ(GTI)のほか、中国、ロシア、
韓国で輸送回廊の整備・活用を推進している関係者の取
り組みについて現状分析と課題整理を行い、今後の展望
を含めて、現地当事者をはじめ、日本など域内各国の幅
広い関係者に提示する。
b 中国の地域経済と地域政策に関する国際共同研究
中国が進める「一帯一路」構想について、その中国国内
地域政策としての側面に注目し、日本国内の共同研究員
や中国の研究者らと連携しながら、中国の地域開発政策
の問題点や解決の方向性等についての分析を行う。
A- (2)
環境・エネルギー協力
a パリ協定の下での北東アジアのエネルギー協力
パリ協定(平成 27 年)の下で、全ての国が温暖化ガス排
出削減義務を負うようになったことを踏まえ、燃料転換・
省エネ等も含めた北東アジアでの地域協力のあり方につ
いて検討を開始する。平成 28 年度は、関連情報の収集、
蓄積を進める。
A- (3)
北東アジアの経済連携
a アジア太平洋地域の経済統合と北東アジア
大筋合意が成立した TPP(環太平洋経済連携協定)や交
渉が続いている RCEP(東アジア地域包括的経済連携協
定)、日中韓 FTA など、北東アジア地域に大きな影響を
与えるアジア太平洋地域における経済統合の動きについ
て、国内外の研究機関と連携しつつ、分析を行う。
b 北朝鮮の変化と北東アジア経済の未来像
北朝鮮の経済面の変化を中心に、これに関連する政治・
安全保障面での変化についても考察し、それらが北東ア
ジア経済に与える影響について研究を進める。平成 28 年
度は、ERINA の協力協定締結相手である吉林大学(中国)
に担当研究員を約6か月間派遣するなど、国内外の研究
ネットワークの充実・拡大に努めつつ、研究を深める。
また、一般社会への研究成果の普及を図るため、書籍出
版の準備を進める。
c 北東アジアの移行経済国の知的基盤整備
移行経済国における市場経済移行に資するよう、国際社
会との調和を図ることのできる人材の育成を視野に、関
係国の研究者や実務者らによる意見交換をを進める。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --42----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
A- (4)
a ロシア極東経済発展の潜在力の評価
北東アジアにおける市場
ロシア極東における高付加価値産業の振興およびアジア
経済化
太平洋との経済交流の強化について、企業アンケートを
行って資金・人材などの面の実態を浮き彫りにし、地域
経済発展の潜在力を評価する。平成 26 年度からの3カ年
事業のうち、平成 28 年度は最終年度として、アンケート
結果の分析と成果の公表を行う。
b 市場経済体制を支える人材の育成
北東アジアにおいて、経済交流をより活性化させるため
には、域内各国・地域の市場の質を高めていく必要があ
る。そのために、市場経済制度の知識の伝達や市場経済
体制を支える人材の育成を行う。
A-(5)
a 北東アジアの構造改革と地域内協力
北東アジアの構造改革と 北東アジア各国・地域の経済で今後必要とされる構造改
地域内協力
革と、それを円滑に進めるための地域内経済協力につい
て研究を行う。
B 基礎調査研究
基礎調査研究は、北東アジア地域の経済動向を定点観測し、北東アジア各国・地域経済に関する情
報を集積し、提供することを目的とする。「国際共同研究センター」での調査研究の基礎となる、
ERINAの調査研究の継続性を支える事業である。
B- (1)
北東アジア動向分析
B- (2)
中国経済
B- (3)
ロシア経済
B- (4)
モンゴル経済
a 北東アジア動向分析
北東アジアの短期動向を定期的に整理してこの地域の情報を
必要とする人々に提供する。正確で、分かり易い情報の迅速
な提供に努める。
a 中国(東北)経済
マクロ経済指標・産業・開発政策などの側面から中国(東北)
経済の実態を調査するとともに、日本・韓国・ロシアなどと
の国際連携の動向を注視しながら投資・貿易などの分析を行
う。
b 中国におけるマクロ経済政策の実効性に関する研究
中国政府が物価や貨幣供給量などマクロ政策を通じて経済を
制御して、持続可能で安定的な経済成長を実現できる段階に
あるのかを明らかにするため、東北地方を対象にマクロ経済
政策の実行状況やその効果を把握して、分析する。
a ロシア(極東)経済
ロシア極東地域では「先行発展区」や「ウラジオストク自由
港」制度が導入され、日本国内でもこれに期待する声がある。
これらの制度の実効性を評価するため、制度の詳細の確認や
具体化の状況などを整理し、社会に対して情報提供を行う。
a モンゴルの経済発展
鉱業部門に大きく依存するモンゴルにおいて、経済構造多角
化という政策課題について、様々な政策シナリオおよびそれ
らの域内各国への影響を検討する。また、モンゴルの社会会
計行列(SAM)等のデータの収集を継続する。
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B- (5)
韓国経済
B- (6)
北朝鮮経済
a 韓国経済システムの研究
産業構造、企業経営、金融に重点を置きつつ、マクロ経済、
中小企業問題、財政、国際貿易・投資、社会福祉など、多面
的に分析を行う。
a 北朝鮮経済
北朝鮮経済の動向に関する情報を公刊資料などから収集し、
それらを整理・分析したうえで蓄積し、北朝鮮についての客
観的、正確な情報を社会に提供する。
b 労働新聞の翻訳
朝鮮労働党機関紙「労働新聞」掲載記事の翻訳や内容の分析
を行い、北朝鮮経済の動向の的確な把握に努める。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --44---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
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包括的なエネルギー戦略プランの構築に向けて
早稲田大学資源戦略研究所招聘研究員
渋谷祐
はじめに
「高度成長からギアダウンして常態経済期」に入った中国、離陸期のモンゴル、孤立した北朝鮮
および先進国の日本と韓国の域内5カ国共通の「アキレス腱」は持続性のあるエネルギー供給の確
保問題である。
一方、北東アジアで最大のエネルギー輸出国であるロシアは「東方軸足戦略」を推進し、東シベ
リア・サハリンにおいて資源開発投資を進めている。異質多様な域内6カ国のエネルギー需給の不
均衡の拡大は、非対称性、地政学リスクとも不可分の関係がある。
域内6カ国の間ではエネルギー連携強化を提唱する動きがある。日本は包括的なエネルギー戦略
と、関係国とのパートナーシップのあり方をじっくり構想すべきだ。
中ロとのクリティカルな海洋問題
現代北東アジアではクリティカルな境界線問題が複数存在する。そのうちのいくつかは海洋・海
底資源の共同開発やエネルギー安全保障環境が重要なキーワードである。
東シナ海のガス田共同開発計画は日中首脳会談(08年)で基本合意したものの、中国漁船の衝突
事件や尖閣諸島をめぐる対立などもあって交渉は事実上中断している。
16年5月と9月、ロシアを訪問した安倍晋三首相はプーチン大統領と会談し、北方領土問題の解
決に向けて「新しいアプローチ」を提起しつつ、エネルギーなど8項目の経済協力プランを提案し
た。
エネルギー協議は信頼醸成のツール
ロシア側からはサハリンの新設火力発電所によって、北海道まで海底ケーブルを通じて当初50万
―60万キロワットを送電する計画も提案されている。日ロ間では海底天然ガスパイプライン建設構
想が浮上している。
将来、中国、韓国、北朝鮮やモンゴルなどの参加を得て、「ゴビテック―アジア・スーパーグ
リッド」のような広域送電線建設の構築が求められる時代が来ないとも限らない。
旧ソ連崩壊後、いまだに冷戦構造のもとにある北東アジアの緊張を抑止・緩和するため、エネル
ギー協力の枠組みづくりの理念を共有できれば、協議の促進自体が信頼醸成のツールに資するかも
しれない。
北東アジア版のオープンな「エネルギー憲章条約」構想もそのワンステップになるだろう。欧州
スーパーグリッドの成功例もある。
日本海の対岸、ユーラシア大陸の側では中ロのエネルギー準同盟が加速している。韓国も中国の
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「一帯一路」戦略にバンドワゴン(相乗り)してユーラシア資源外交を進めている。北朝鮮は朝鮮
半島パイプライン構想に関心がある。モンゴルも資源エネルギーを軸に「第3の隣国」接近を急
ピッチに進め、中国の「一帯一路」戦略に呼応している。
結語 日本は「エネルギーのハブ」実現をめざせ
アジア・ユーラシア地域におけるエネルギー協力進展に対して日本はどう向き合うべきか。「一
国主義の孤立」は好ましい回答ではないはずである。
日本は、北東アジアと太平洋を結ぶ結節点として「エネルギーのハブ」の立場を目指すのも選択
肢だろう。日本は、投資ファイナンスのセンター、脱炭素社会に向けた先端的技術・知識の集積地
と最終消費市場のアクセスなど立地ポジションに恵まれている。
北極産ガスや北米産のシェール(ガスとオイル)が北東アジア太平洋市場に向かう新時代が始
まった。
一方、近隣諸国との資源共同開発などと同様、政治的にも簡単な話ではない。対ロ経済制裁など
複雑な国際情勢を考えれば、米国とのエネルギー安全保障上の調整や国際社会の理解と協力が必要
な場面も考えられる。日本は中長期の国益を考え、北東アジア太平洋の包括的なエネルギー戦略の
枠組みとパートナーシップ構築を進めるべきである。
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北東アジア研究交流ネットワーク(NEASE-Net)
第11回フオーラム&国際シンポジウム
コミュニケ
2016年10月1日
桜美林大学四谷キャンパス会議場
今回のフオーラムのテーマは「激変する世界情勢と北東アジア戦略の再構築」
で、10月1日(土)に桜美林大学四谷キャンパス会議場で北東アジア研究交流ネ
ットワーク主催、桜美林大学北東アジア総合研究所共催、一般社団法人 東京倶
楽部の助成を受けて行われた。
まず川西重忠桜美林大学北東アジア総合研究所長の司会のもとで、開会挨拶
を北東アジア研究交流ネットワーク代表幹事谷口誠氏と桜美林大学総長佐藤東
洋士氏が行った。
第1部では、「北東アジア戦略の再構築 -"未来"の中にしか解決の道は見
つからない-」と題してアジア平和貢献センター理事長西原春夫氏、「 中国の
北東アジア政策」-中国大使館薛剣公使参事官、『中国・ASEAN:アジア国際生
産ネットワークの新機軸と「西方拡大」-北東アジアは如何に新興アジアに向
き合うか-』-福井県立大学唱新教授が基調講演を行った。
第2部パネルディスカッションは、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センタ
ー小牧輝夫客員教授の司会のもとに行われた。
第1セッション「経済」では、凌星光日中科学技術文化センター理事長がモ
デレーターを務め、吉田進NEASE-Net副代表幹事が問題提起を行い、帝京大学李
燦雨講師、富山県新世紀産業機構環日本海経済交流センター藤野文晤センター
長が報告を行った。
第2セッション「エネルギー・環境、物流、金融」では、北京外国語大学杉
本勝則客員教授のモデレーターのもとで、日本ビジネスインテリジェンス協会
中川十郎会長が問題提起を行い、田中弘環境ビジネス開発イニシアティブ代
表 、三橋郁雄NPO北東アジア輸送回廊ネットワーク副会長、石田護 吉林大学中
日経済共同研究中心研究員が報告を行った。
総合セッション:「激変する世界情勢と北東アジア戦略の再構築-各地域及
び研究機関の動向と提案-」は、ラウンドテーブル方式(NEASE-Net関係研究機
関)で行われた。司会は千葉康弘NEASE-Net副代表幹事と佐渡友哲日本大学教授
で、基調報告を姜龍範天津外国語大学教授・東北アジア研究センター長が行っ
た。引き続き岡洋樹東北大学東北アジア研究センター長、新井洋史環日本海経
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済研究所調査部長、杉山正樹北陸環日本海経済交流促進協議会理事・経済交流
部長、藤野文晤富山県新世紀産業機構環日本海経済交流センター長、川西重忠
桜美林大学北東アジア総合研究所長、渋谷祐早稲田大学資源戦略研究所招聘研
究員が報告した。また京都大学東アジア研究センター、島根県立大学北東アジ
ア地域研究センターと北海学園大学北東アジア研究交流センターから資料提供
があった。
総括コメントは藤本和貴夫大阪経済法科大学学長、NEASE-Net顧問が行った。
第3部クロージングの部ではコミュニケ発表を吉田進NEASE-Net副代表幹事が
行い、閉会の辞を岡洋樹NEASE-Net副代表幹事が述べた。
参加者一同は、種々異なった見解を持ちながらも、下記の点で共通認識を持
つにいたった。
1.2015年から2016年にかけて世界に大きな変化が起こった。ロシアのクリミ
ヤ半島併合をめぐる米英のロシア制裁、シリア内戦拡大による難民の増加、
その救済をめぐる紛争、ISの勢力拡大、フランス、ベルギーなどにおける一
連のテロ事件、イギリスのEUからの脱退、アメリカにおける大統領選挙をめ
ぐるトランプ対クリントンの選挙戦、金利上昇機運の高まり、TPPをめぐる論
争などがその流れである。残念ながら世界経済成長への否定的な要素が多く
を占めている。しかしその中で、歴史認識を基礎として未来を予測し、歴史
の本流は何かを見極めなければならない。
2.アジア経済は世界経済の牽引力である。アジア諸国のインフラ需要に対応
するため、中国が中心となったアジア・インフラ投資銀行(AIIB)、シルクロ
ード基金が動き始めた。
また中国が提唱した一帯一路・シルクロード政策は、ロシア、モンゴルのユラシア政策に合致し、更にドイツをはじめとするEUの対東アジア政策と結合し
うる政策である。今後のアジア地域協力の重要な柱となる。
ASEAN経済共同体が2015年末に結成された。この1年間の動きを見るとASEAN+3
とASEAN+6(RCEP)はASEANの動きに伴走させられてきた。
このような変化に対応し、日本はAIIB参加、日中韓FTA早期締結、北東アジア
開発銀行の設立などを含む近隣諸国との平和・親善と協力を推し進める外交政
策を優先すべきである。
3.北朝鮮の第5回核実験以降、国連を中心に北朝鮮に対する制裁が連続して強
化された。
ここ数年来北朝鮮に対する米韓軍事演習が毎年繰り返されている。圧力を加
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えようとする米韓のシナリオに対して北朝鮮は、核兵器とミサイル開発で対
抗してきた。しかし、北朝鮮が最終的に求めているのはアメリカとの平和条
約の締結である。
中国は6者会談を提案しており、中国が北朝鮮の無条件参加を承認している。
しかし国際学術会議「北東アジア協力対話」(2016.6.22.米・中 研究機関主
催)で北朝鮮代表は「6か国協議は死んだ」との発言もしている。 問題はア
メリカが、再開の前提条件として北朝鮮の核開発放棄を主張していることに
ある。
現状のまま事態が進むと、双方の主張は平行線をたどり、軍事的衝突になる
可能性大である。現時点で平和の方向への転換が望まれる。
4.拉致被害家族が心配しているのは、安倍政権が北朝鮮の核開発の問題に集
中しすぎ、拉致被害者の帰国問題を置き去りにしているのではないかという事
だ。これは重要な指摘で、日本と北朝鮮の対話の場は現在6カ国協議以外に、
拉致問題しかない。日米韓を除き、世界のほとんどすべての国は北朝鮮と国交
を持っている。日本も今こそ日朝平壤宣言(2002.9.17)に立ち戻り交渉を再
開すべきである。
5.北東アジア各国は、エネルギー・資源開発、環境、運輸、観光分野で地政
学的に繋っている。互恵関係を深め、各国の発展戦略の融合を促進する。
日本、中国と韓国は多かれ少なかれ、ロシアの天然ガス、石油、石炭の供給
に依存し、機械・設備、食糧・消費物資を供給し、貿易・経済協力を通じた相
互信頼関係が構築されつつある。ロシアは、先行発展地域、経済特区、自由港
の設置という制度改革・市場開放に取り組みはじめた。日本はこの新しい動き
を大切にし、ロシア極東に本格的に進出し、図們江地域の開発、ザルビノ港の
拡張に協力すべきである。
またアジアスマートグリッド構想が東アジア共同体につながる可能性につい
ても注目すべきである。北東アジア各国で、エネルギー節約、排出権取引制度
の相互活用、再生可能エネルギー開発、新しいエネルギー源:太陽光、太陽熱、
地熱、風力の導入とナノ先進技術の活用で協力を拡大すべきであろう。
6.日本海に面した日本の各地方は、対岸の中国大陸、朝鮮半島、ロシア極東
とモンゴルに繋がる地政学的優位性を持っている。日本海は北東アジア地域の
ために一層活用されるべきである。戦後太平洋に依存しすぎた日本を対岸諸国
と地域的にも、政治・経済的にもバランスのとれた形にすべく努力をしてきた
が、いまだに後れを取っている。
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第10回フオーラムでは、東京を始点、終点とする構想からの脱却をめざした
提案をした。
それを補強すると
(1)日本海沿岸都市の連携を一層強化する。
(2)日本海軸の再検討を進め、国土開発計画の中に取り入れる。
その中には日本海新幹線の建設、日米航路・北極海航路を前提とした日本海
拠点港の建設、北東アジア諸国との海路、航空路の充実・強化、観光の拡大、
相手国港湾、鉄道建設への協力と参加、貿易・投資の拡大、知的協力、人的
協力を含む。
(3)日ロ平和条約の締結は、日ロ経済協力を新しい段階に導き、日本経済、と
りわけ北海道の経済活性化にも大きく寄与するであろう。
以上の提案は、今日の情勢下でもより一層重要となっている。
第11回フオーラム&国際シムポジウムは成功裡に閉幕した。北東アジア研
究交流ネットワーク(NEASE-Net)は、新しい10年を迎えるに当たり、以上の内
容を日本のアジア政策に生かせるように積極的に政策提言を行い、行動するネ
ットワークとしてアジア経済の発展、アジアの平和と安定に向け最大の貢献を
したい。またより多くの人々とこの指針を共有できるよう努めていきたい。
(了)
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东北亚研究交流网(NEASE-Net)
第 11 次论坛&国际研讨会
公 报
2016 年 10 月 1 日
樱美林大学四谷校区会议室
本次论坛的主题是“剧烈变化的国际形势和东北亚战略的再构建”
,于 10 月 1 日(周六)在
樱美林大学四谷校区会议室举行。本论坛由东北亚研究交流网主办,樱美林大学东北亚综合研
究所协办,并得到了一般社团法人东京倶乐部的赞助。
首先在樱美林大学东北亚综合研究所所长川西重忠的主持下,由东北亚研究交流网干事代表
谷口诚和樱美林大学校长佐藤东洋士进行了开会致辞。
第 1 场的主题是“东北亚战略的再构建 -只能在‘未来’寻找解决之道-”,由亚洲和平贡
献中心理事长西原春夫、中国大使馆公使衔参赞薛剑(“中国的东北亚政策”),以及福井县立大
学唱新教授(
“中国・东盟 :亚洲国际生产网的新中枢和‘西方扩张’-东北亚应如何面对新兴
亚洲-”
)分别进行了基调演讲。
第 2 场的小组讨论会在大阪经济法科大学亚洲太平洋研究中心客座教授小牧辉夫的主持下进
行。
在第 1 组讨论会“经济”上,由日中科学技术文化中心理事长凌星光担任主持人,NEASE-Net
副干事代表吉田进提出问题,帝京大学讲师李灿雨、富山县新世纪产业机构环日本海 ( 东海 )
经济交流中心主任藤野文晤做了报告。
第 2 组讨论会“能源和环境,物流,金融”上,在北京外国语大学客座教授杉本胜则的主持下,
由日本商务智能协会会长中川十郎提出问题,环境商务开发主导代表田中弘、NPO 东北亚运输回
廊网副会长三桥郁雄,吉林大学中日经济共同研究中心研究员石田护做了报告。
综合组讨论会“剧烈变化的国际形势和东北亚战略的再构建-各地区及研究机关的动向和提
案”
,是以圆桌会议方式(NEASE-Net 关系研究机关)进行的。在 NEASE-Net 副干事代表千叶康
弘和日本大学教授佐渡友哲的主持下,由天津外国语大学教授・东北亚研究中心主任姜龙范做
了基调报告。接着由东北大学东北亚研究中心主任冈洋树、环日本海 ( 东海 ) 经济研究所调査
部部长新井洋史、北陆环日本海 ( 东海 ) 经济交流促进协议会理事・经济交流部部长杉山正树、
富山县新世纪产业机构环日本海 ( 东海 ) 经济交流中心主任藤野文晤、樱美林大学东北亚综合
研究所所长川西重忠、早稻田大学资源战略研究所招聘研究员涩谷祐做了报告。此外,京都大
学东亚研究中心、岛根县立大学东北亚地区研究中心和北海学园大学东北亚研究交流中心提供
了资料。
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大阪经济法科大学校长、NEASE-Net 顾问藤本和贵夫进行了总结致辞。
第 3 场闭幕部分由 NEASE-Net 副干事代表吉田进发表了公报,NEASE-Net 副干事代表冈洋树进
行了闭会致辞。
与会者虽然各有各的见解,但在以下几点达成了共识。
1.2015 年至 2016 年世界发生了巨变,如美英围绕俄罗斯吞并克里米亚半岛事件对俄罗斯的制裁、
叙利亚内战扩大造成的难民増加及围绕救济难民的纷争、IS 势力的扩张、在法国和比利时等地连
续发生的恐怖袭击事件、英国脱离欧盟、美国总统选举上川普对阵希拉里的选举战、利率上升可
能性的加大、围绕 TPP 的争论等。令人遗憾的是,
其中大部分要素对世界经济成长都有着负面影响。
但是在这一连串事件中,我们必须以历史认知为基础,预测未来,辨识历史的真正走向。
2.亚洲经济是世界经济的牵引力。为了应对亚洲诸国的基础设施建设需求,以中国为中心的亚
洲基础设施投资银行 (AIIB) 和丝绸之路基金已经启动。
另外,中国所提倡的一带一路・丝绸之路政策符合俄罗斯和蒙古的欧亚大陆政策,并与德国
为首的欧盟的对东亚政策有结合的可能性。这些政策将成为今后亚洲地区合作的重要支柱。
东盟经济共同体于 2015 年末成立,观察此后 1 年来的动向可以发现,
东盟与中日韩(ASEAN+3)
及区域全面经济伙伴关系 (ASEAN+6、RECP)都伴随着东盟的行动。
日本为了应对这些变化,应加入亚投行,早日缔结中日韩自由贸易协定,设立东北亚开发银
行等,优先推进与相邻国家的和平亲善和相互合作的外交政策。
3.自北朝鲜的第 5 次核实验以来,以联合国为中心连续强化了对北朝鲜的制裁。
近几年来,美韩每年都会举行针对北朝鲜的军事演习,试图对其施加压力。对此,北朝鲜以
开发核武器和导弹进行对抗。但是北朝鲜所谋求的最终是和美国缔结和平条约。
中国倡导六方会谈,并要求北朝鲜的无条件参加。但是在国际学术会议“东北亚合作对
话”(2016.6.22. 美中研究机关主办 ) 中,北朝鲜代表发言称“六方会谈已死”
。问题在于美国主
张北朝鲜必须以放弃核开发为重启六方会谈的前提条件。
如果维持现状,双方的主张将成为平行线,极有可能演化为军事冲突。希望局势能转向和平
解决方向。
4.被绑人质家人所担心的是安倍政权是否过于关心北朝鲜的核开发问题,而将被绑架人质的回
国问题置之脑后。这是很重要的指责,因为现在日本和北朝鲜之间的对话除了六方会谈外,只剩
绑架问题。除了美日韩外,世界几乎所有国家都与北朝鲜有邦交。现在正是日本回归日朝平壤宣
言(2002.9.17)重启交渉之时。
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --60---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
5.东北亚各国在能源和资源开发、环境、运输、观光领域有着地政学上的联系。加深互惠关系,
促进各国发展战略的融合。
日本、中国和韩国多多少少都依赖于俄罗斯的天然气、石油、煤炭供给,同时供给俄罗斯机械、
设备、粮食、消费物资,通过贸易经济合作,逐步形成着相互信赖关系。俄罗斯开始通过设置先
行发展地区、经济特区、自由港进行制度改革和市场开放。日本应重视这一新举动,正式向俄罗
斯远东地区发展,在图们江地区的开发和扎鲁比诺港的扩张上进行合作。
另外值得瞩目的是,亚洲智能电网构想可能会连接到东亚共同体。东北亚各国应该在节能、
排出权交易制度的互相应用、可再生能源的开发、新能源(太阳光、太阳热、地热、风力)的导
入及纳米先进技术的应用上扩大合作。
6.日本靠日本海 ( 东海 ) 的各地区在与对岸的中国大陆、朝鲜半岛、俄罗斯远东地区以及蒙古
在连接上有着地政学上的优越性。为了东北亚地区,应该进一步活用日本海 ( 东海 )。战后的日
本过度依赖太平洋,虽然也曾努力与对岸国家在地区、政治、经济上合作而达成平衡态势,但目
前进展依旧落后于太平洋。
在第 10 次论坛上,提案的目标是脱离以东京为起点和终点的构想。
补充说明就是
(1) 进一步强化日本海 ( 东海 ) 沿岸城市间的合作。
(2) 以日本海 ( 东海 ) 为轴心再次推进探讨,将其加入国土开发计划中。
其中包含日本海 ( 东海 ) 新干线的建设、以日美航路和北极海航路为前提的日本海 ( 东海 )
据点港口的建设、与东北亚各国航海路的充实强化、观光的促进、对他国港湾和铁道建设的合作
与参加,贸易投资的扩大、知识合作和人才合作。
(3) 日俄和平条约的缔结,将引导日俄经济合作迈入新阶段,会为日本经济,尤其是北海道经济
的活化做出很大的贡献。
以上的提案在目前的局势下变得更为重要。
第 11 次论坛&国际研讨会成功落下帷幕。东北亚研究交流网
(NEASE-Net)
在迎接新一个 10 年之际,
为了使上述内容能在日本的亚洲政策中得到应用,将会积极进行政策提议。作为行动的交流网,
希望能为亚洲的经济发展、和平和安定做出最大的贡献。另外我们也会努力和更多人分享这一目
标。
(完)
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동북아시아 연구 교류 네트워크 (NEASE-Net)
제 11 회 포럼 & 국제 심포지엄
코뮤니케
2016 년 10 월 1 일
오비린 대학교 요츠야 캠퍼스 회의장
이번 포럼은 " 격변하는 세계 정세와 동북아시아 전략의 재구축 " 이라는 주제로 , 10 월 1 일
( 토 ) 오비린 대학교 요츠야 캠퍼스 회의장에서 동북아시아 연구 교류 네트워크의 주최 , 오비
린 대학 동북아시아 종합 연구소의 공동 개최 , 일반 사단 법인 도쿄 클럽의 조성을 받아 개최되
었다 .
카와니시 시게타다 ( 川西重忠 ) 오비린 대학 동북아시아 종합 연구소 소장의 사회 하에 , 동북
아시아 연구 교류 네트워크 대표 간사 타니구치 마코토 ( 谷口誠 ) 와 오비린 대학교 총장 사토
도요시 ( 佐藤東洋士 ) 가 개회 인사를 하였다 .
제 1 부에서는「동북아시아 전략의 재구축 - " 미래 " 에서 해결할 길을 찾을 수 밖에 없다 -」
라는 제목으로 아시아 평화 공헌 센터 이사장 니시하라 하루오 ( 西原春夫 ) ,「중국의 동북아시
아 정책」을 제목으로 중국 대사관 쒜 짼 ( 薛剣 ) 공사 참사관 ,『중국 · ASEAN: 아시아 국제
생산 네트워크의 신기축과「서방 확대」- 동북아시아는 어떻게 신흥 아시아에 대응하여야 할
까 -』을 제목으로 후쿠이 현립 대학교 창 신 ( 唱新 ) 교수가 기조 강연을 하였다 .
제 2 부 패널 디스커션은 오사카 경제 법학 대학교 아시아 태평양 연구 센터 코마키 테루오 ( 小
牧輝夫 ) 객원 교수의 사회 하에 진행되었다 .
제 1 세션「경제」에서는 료 세이코 ( 凌星光 ) 일중 과학 기술 문화 센터 이사장이 의장 역할을
담당 , 요시다 스스무 ( 吉田進 ) NEASE-Net 부대표 간사가 문제 제기를 했으며 , 테이쿄 대
학교 이찬우 ( 李燦雨 ) 강사 , 토야마현 신세기 산업 기구 환 일본해 경제 교류 센터 후지노 후
미아키 ( 藤野文晤 ) 센터장이 보고하였다 .
제 2 세션「에너지 · 환경 , 물류 , 금융」에서는 베이징 외국어대학교 스기모토 카츠노리 ( 杉
本勝則 ) 객원 교수의 사회 하에 , 일본 비즈니스 인텔리전스 협회 나카가와 쥬로 ( 中川十郎 )
회장이 문제 제기를 했으며 , 타나카 히로시 ( 田中弘 ) 환경 비즈니스 개발 이니셔티브 대표 ,
미츠하시 이쿠오 ( 三橋郁雄 ) NPO 동북아시아 수송 회랑 네트워크 부회장 , 이시다 마모루 ( 石
田護 ) 지린대학교 중일 경제 공동 연구 중심 연구원이 보고하였다 .
종합 세션「격변하는 세계 정세와 동북아시아 전략의 재구축 - 각 지역 및 연구 기관의 동향과
제안 -」은 라운드 테이블 방식 (NEASE-Net 관련 연구 기관 ) 으로 진행되었다 . 사회는 치
바 야스히로 ( 千葉康弘 ) NEASE-Net 부대표 간사와 사도토모 테츠 ( 佐渡友哲 ) 니혼 대학
교 교수가 담당 , 강용범 ( 姜龍範 ) 텐진 외국어대학교 교수 · 동북아시아 연구센터장이 기조
보고를 하였다 . 그리고 오카 히로키 ( 岡洋樹 ) 토호쿠 대학교 동북아시아 연구 센터장 , 아라이
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --62---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
히로후미 ( 新井洋史 ) 환일본해 경제 연구소 조사 부장 , 스기야마 마사키 ( 杉山正樹 ) 호쿠리
쿠 환일본해 경제 교류 촉진 협의회 이사 · 경제 교류 부장 , 후지노 후미아키 ( 藤野文晤 ) 토
야마현 신세기 산업 기구 환일본해 경제 교류 센터장 , 가와니시 시게타다 ( 川西重忠 ) 오비린
대학교 동북아시아 종합 연구소장 , 시부야 유우 ( 渋谷祐 ) 와세다 대학교 자원 전략 연구소 초
빙 연구원이 보고하였다 . 또 교토 대학교 동아시아 연구 센터 , 시마네 현립 대학교 동북아시아
지역 연구 센터와 홋카이 가쿠엔 대학교 동북아시아 연구 교류 센터에서 자료를 제공하였다 .
총괄 코멘트는 후지모토 와키오 ( 藤本和貴夫 ) 오사카 경제 법과 대학교 학장 , NEASE-Net
고문이 맡았다 .
제 3 부 폐막 부에서는 요시다 스스무 ( 吉田進 ) NEASE-Net 부대표 간사가 코뮤니케 발표
를 했으며 , 오카 히로키 ( 岡洋樹 ) NEASE-Net 부대표 간사가 폐회 인사를 하였다 .
참가자들은 여러가지 다른 견해를 가지면서도 하기 점에서 공통 인식을 갖게 되었다 .
1.2015 년부터 2016 년까지 세계에 큰 변화가 일어났다 . 러시아의 크림 반도 합병을 둘러싼
미국 , 영국의 러시아 제재 , 시리아 내전 확대로 인한 난민 증가 및 그 구제를 둘러싼 분쟁 , IS
의 세력 확대 , 프랑스 , 벨기 등에서 일어난 테러 사건 , 영국의 EU 탈퇴 , 미국의 대통령 선거를
둘러싼 트럼프 - 클린턴의 선거전 , 금리 상승 기운의 고조 , TPP 를 둘러싼 논란 등이 그 흐름
이다 . 아쉽게도 세계 경제 성장에 대한 부정적인 요소가 대부분이다 . 하지만 이러한 상황 속에
서도 역사 인식을 기초로 미래를 예측하고 역사의 큰 흐름을 파악해야 한다 .
2. 아시아 경제는 세계 경제의 견인력이다 . 아시아 국가들의 인프라 수요에 대응하기 위해 중
국을 중심으로 한 아시아 인프라 투자 은행 (AIIB), 실크 로드 기금이 움직이기 시작했다 . 또
한 중국이 제창하는 일대일로 ( 一帯一路 )· 실크 로드 정책은 러시아 , 몽골의 유라시아 정책
에 합치하며 , 독일을 비롯한 EU 의 동아시아 정책과 결합할 수 있는 정책이다 . 향후 아시아 지
역 협력의 중요한 기둥이 될 것이다 .
아세안 경제 공동체는 2015 년말에 결성되었다 . 이 1 년간의 흐름을 보면 아세안 +3 과 아세
안 +6(RCEP) 은 아세안의 움직임에 따르고 있다 .
이런 변화에 대응하여 , 일본은 AIIB 참가 , 한중일 FTA 조기 체결 , 동북아시아 개발은행 설립
등을 포함한 주변 국가과의 평화 · 친선과 협력을 추진하는 외교 정책을 우선해야 한다 .
3. 북한의 제 5 차 핵 실험 이후 UN 을 중심으로 대북 제재가 연속하여 강화되었다 . 최근 수년
에 걸쳐 , 북한에 대한 한미 군사 훈련이 매년 반복되고 있다 . 압력을 가하려는 한미의 시나리
오에 대해서 북한은 핵무기와 미사일 개발로 맞섰다 . 그러나 북한이 최종적으로 요구하는 것은
미국과의 평화 조약 체결이다 .
중국은 6 자회담을 제안하였고 , 북한의 무조건 참가를 요구하고 있다 . 그러나 국제 학술 회의
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「동북아시아 협력 대화」(2016.6.22. 미 · 중 연구 기관 주최 ) 에서 북한 대표는「6 자화담은
죽었다」는 발언도 했다 . 문제는 미국이 , 재개의 전제 조건으로서 북한의 핵 개발 포기를 주장
하는 점이다 .
현 상태대로 사태가 진행되면 양측의 주장은 평행선을 달리게 되며 , 군사적 충돌 가능성이 크
다 . 현 시점에서 평화로운 방향으로의 전환이 바람직하다 .
4. 납치 피해 가족들이 걱정하는 것은 아베 정권이 북한의 핵 개발 문제에 너무 집중하고 있
으며 , 납북자 송환 문제를 무시하는 것이 아니냐는 부분이다 . 이는 중요한 지적으로 , 일본
과 북한의 대화는 현재 6 자회담 이외에는 납치 문제 밖에 없다 . 일본 , 미국 , 한국을 제외한
세계의 거의 모든 나라는 북한과 국교를 가지고 있다 . 일본도 지금이야말로 조일 평양 선언
(2002.9.17) 으로 돌아가 , 협상을 재개해야 한다 .
5. 동북아시아 각국은 에너지 · 자원 개발 , 환경 , 운수 , 관광 분야에서 지정학적으로 연결되어
있다 . 호혜 관계를 돈독히 하고 각국의 발전 전략의 융합을 촉진하여야 한다 . 일본 , 중국 , 한국은 많든 적든 러시아의 천연 가스 , 석유 , 석탄의 공급에 의존하고 있으며 , 기
계 · 설비 , 식량 · 소비 물자를 공급하고 있으며 , 무역 · 경제 협력을 통한 상호 신뢰 관계가
구축되어 가고 있다 . 러시아는 선행 발전 지역 , 경제 특구 , 자유 항구 설치 등의 제도 개혁 ·
시장 개방에 나서기 시작했다 . 일본은 이러한 새로운 움직임을 중요히 여기고 , 러시아 극동에
본격 진출하며 , 두만강 지역의 개발 , 자루비노 항의 확장에 협력해야 한다 .
또 아시아 스마트 그리드 구상이 동아시아 공동체로 연결될 가능성에 대해서도 주목해야 한다 .
동북아시아 각국에서 에너지 절약 , 배출권 거래 제도의 상호 활용 , 재생 에너지 개발 , 새로운
에너지원 : 태양광 , 태양열 , 지열 , 풍력의 도입과 나노 선진 기술의 활용 분야에서도 협력을 확
대해야 할 것이다 .
6. 일본해 ( 동해 ) 에 면하는 일본의 각 지방은 대안의 중국 대륙 , 한반도 , 러시아 극동과 몽골
로 연결되는 지정학적 우위성을 가지고 있다 . 일본해 ( 동해 ) 는 동북아시아 지역을 위해 더욱
활용되어야 한다 . 제 2 차 세계대전 후 태평양에 너무 의존해 온 일본은 이후 대안 국가와 지역
적 뿐만 아니라 정치 · 경제적으로도 균형 잡힌 형태가 되도록 노력해 왔으나 아직 뒤진 상태
이다 .
제 10 회 포럼에서는 도쿄를 시점 , 종점으로 하는 구상에서 탈피하는 것을 목표로 하는 제안을
하였다 .
그것을 보강하면
(1) 일본해 ( 동해 ) 연안 도시간의 연계를 한층 더 강화한다 .
(2) 일본해 ( 동해 ) 축을 재검토하고 , 국토 개발 계획에 도입한다 .
그 중에는 일본해 ( 동해 ) 신칸센의 건설 , 일미 항로 · 북극해 항로를 전제로 한 일본해 ( 동해 )
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거점 항의 건설 , 동북아시아 국가와의 해로 , 항공로의 충실 · 강화 , 관광의 확대 , 상대국 항만 ,
철도 건설에 대한 협조와 참여 , 무역 · 투자 확대 , 지적 협력 , 인적 협력을 포함한다 .
(3) 일러 평화 조약 체결은 일 · 러 경제 협력을 새로운 단계로 이끌고 , 일본 경제 , 특히 홋카
이도의 경제 활성화에도 크게 기여할 것이다 .
이상의 제안은 현재의 정세 하에서 한층 더 중요해져 온다 .
제 11 회 포럼 & 국제 심포지엄은 성공적으로 폐막했다 . 동북아시아 연구소 연구 교류 네트워
크 (NEASE-Net) 는 새로운 10 년을 맞이하는데 있어 , 이상의 내용을 일본의 아시아 정책에
활용할 수 있도록 적극적으로 정책 제언을 실시하고 , 행동하는 네트워크로서 아시아 경제의 발
전 , 아시아의 평화와 안정에 향해 최대의 공헌을 하고자 한다 . 또 보다 많은 사람들과 이 지침
을 공유할 수 있도록 노력할 것이다 .
(끝)
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Сечевой центр обмена исследований
по Северо-восточной Азии(NEASE-Net)
Коммюнике
11-ого Форума и международного симпозиума
1 октября 2016 г.
В Конферентном зале «Йоцуя-городок» Университета ОБЕРЛИН
Тема настоящего форума представляет собой «Переворот международной обстановки и перестройка стратегии Сверо-восточной Азии». Форум проводился в 1
октября(суб) в Конферентном зале «Йоцуя-городока» Университета ОБЕРЛИН по инициативе
Сечевого центра обмена исследо- ваний по Северо-восточной Азии(NEASE-Net)совместно
с Институтом Северо-восточной Азии Университета ОБЕРЛИН при субсидии Корпоратив- ного
юридического лица «Токио клуб».
Под преседательством генерального директора Института северо-вос- точной Азии
Университета ОБЕРЛИН, г-на Сигетака Каваниси, выступили с речью об открытии Форума г-н
Макото Танигучи, председатель NEASE-Net и г-н Тойодзи Сато, ректор Университета ОБЕРЛИН.
В первой части форума выступили с основными докладами г-н Харуо Нисикава, председатель
Центра вклада для мира в Азии под заглавием «Перестройка стратегии Северо-восточной Азии
- путь выхода только наидется в будущем», г-н Сие Дзиэн, советник-посланник Посольства КНР
под заглавием «Политика Китая по северо-восточной Азии» и профессор Университета Фукуй,
г-н Чан син на тему «КНР и ASEAN: новое направле- ние международного производства в Азии
и расширение рынка на запад – Северо-восточная Азия как относится к странам рзвивающей
Азии».
Вторая часть дискуссии проводилась под председательством профессо- ра Осакаского
университета экономии и прав, г-н Теруо Комаки.
В первой секции "Экономия" модератором служил председатель Центра науки, техники
и культуры между Японией и Китаем, г-н Лин Синь-гуань. Сделали ведущий доклад зам.
председателя NEASE-Net,г-н Сусуму Йосида, и доклады преподаватель Университета Тэйкио,
г-н Ли Чань-у и генераль- ный директор Обменного центра по экономии вокруг Японского моря
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Ассоциации промышленной структуры в новой эре префектуры Тояма, г-н Бунго Фудзино.
Вторую секцию под заглавием "Энергия, охрана окружающей среды, логистика и
финансирование" провёл визитный профессор Пекинского университета иностранных
языков,г-н Кацунори сугимото, как модератор. Выступили с ведущем докладом председатель
Японской ассоциации по деловым информациям, г-н Дзюро Накагава, с докладами выступили
представитель АО "инициатива по освоению бизнеса для окружающей среды",г-н Хирому Танака,
зам. Председателя НПО "Северовосточные транспортные каридоры",г-н Йкуо Мицухаси, и
научный сотрудник Китай- ско-японского совместного исследовательского центра при Гилинском
университете, г-н Мамору Исида.
Секция под заглавием " резюме деятельности и предложения от местных исследовательских
организаций при "Перевороте международной обста- новки и перестройки стратегии Сверовосточной Азии» проводилась в виде круглого стола(научно-исследовательские организациичлены NEASE -Net) под председательством зам. Председателя NEASE-Net, г-на Такаси Тиба
и профессора Университета ниррон, г-на Сатоси Садотомо. Основной доклад сделал директор
Центра по изучению северо-восточной Азии при Теньдзинском университете иностранных
языков Китая.Выступили с речами директор Центра для исследования Северо-восточной Азии
при Северо-восточном университете, г-н Йодзю Ока, начальник отдела научного исследования
ЕРИНА, г-н Хироси Арай, директор и начальник отдела экономического обмена Совета
содействия экономическому обмену вокруг японского моря, г-н Масаки Сугияма, генеральный
директор Обмен- ного центра по экономии вокруг Японского моря Ассоциации промышленной структуры в новой эре префектуры Тояма, г-н Бунго Фудзино, генераль- ный директор
Института северо-восточной Азии Университета ОБЕРЛИН, г-н Сигетака Каваниси,визитный
научный сотрудник Института стратегических ресур- сов Университета Васеда, г-н Ю Сибутани.
Представлены материа- лы от Центра исследования Северо-восточной Азии Университета
Киото, от Центра исследования региона Северо-восточной Азии Префектурного университета
Симане и от Центра исследования и обмена Университета Хоккайдо гакуэн.
Сделал обобщение об обсуждении ректор Осакаского университета экономии и прав, советник
NEASE-Net, г-н Вакио Фудзимото.
Третья часть - закрытие Форума
Опубликование и принятие коммюнике проводил зам. Председателя NEASE-Net, г-н Сусуму
Йосида. Выступил с речью закрытия Форума г-н Йодзю Ока.
Участники Форума достигли следующих единых мнений , хотя существуют отдельные
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разногласия во взглядах.
1.С 2015 г. в 2016 год произошло большое изменение во всем мире. Санкция, проводимая США
и Европейским союзом для РФ в связи с
присоединением Крымского полуострова в России, увеличение беженцев из-за расширения
внутренной войны в Сирии и происхождение конфликтов об приеме бежинцев в европейских
странах, расширение сил Исламского государства IS, террористические атаки IS во Франции,
Бергии, выход Англии от Европейского союза, острая предвыборная борьба за президент между
Трумпом Д. и Клинтоном Х.,подготовка к повышению процентной ставки Федеральгого фонда
и бесконечный спор о соглашении Тихоокеан- ского Партнерства (ТPP) в США - вот главное
течение развития мира.
Очень жаль отметить, что слишком много отрицательных факторов для роста мировой
экономики. Мы должны предвидеть будущее и определить главное направление на основе
исторического опыта и знаний.
2.Экономика в Азии представляет собой тяговую силу для роста мировой
экономики.
В соответствии со спросом строительства инфрфструктуры в странах Азии началась активная
деятельность Азиатского банка инфраструктурных инвестиций (АБИИ) и Фонда шелкового пути
во главе с Китаем.
Политика "Один пояс и один путь", "Шелковой путь" соответствует евразийской политике
России и Монголии, а также присоединится к полити- ке Восточной Азии, проводимой странами
Европейского Союза во главе с Германией. Это будет одной из важных опор для развития
сотрудничества в районах Азии.
В конце 2015 года завершилось Экономическое сообщество АСЕАН. В
течение этого года видно, что деятельность АСЕАН+3 и АСЕАН+6(RCEP)
все зависит от действия АСЕАН.
В соответствии с изменением международной обстановки Япония должна преймущественно
передвигать дипломатическую политику за защиту мира и дружеские отношения с соседными
странами, включая участие в АБИИ, досрочное заключение соглашения свободной торговли
между Японией, Китаем и Южной Кореей и создание Северо-восточного банка развития.
3.После пятого испытания ядерного оружия в КНДР непрерывно усилива- ются санкции в
отношении КНДР от имени ООН. В посление годы ежегодно повторяются совместные военные
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учения США и Южной Кореи. Против спенария о увеличении давлений со стороны США и Южной
Кореи КНДР проводил политику освоения ядерно оружия и ракет. Однако КНДР нацели- вает
заключение мирного договора с Америкой.
КНР предложил 6-сторонные переговоры по ядерной программе КНДР и КНДР подтвердил
безусловное участие в переговорах. Однако представи- тель КНДР высказал,что 6-сторонные
переговоры уже стали мертвыми, на международной ученной конференции «северо-востояный
диалог о сотрудничестве » (2016.6.22. по инициативе институтов США и КНР)
Вопрос в том,что США настаивает, как предиусловие для востановления 6-сторонных
переговоров, должен быть отказ КНДР от освоения Ядерного оружия.
Если ситуация не изменится, то точки зрения обеих сторон идут паралле- льно и возможно
происходить военное столкновение.Желательно в насто- яший момент осушествлять поворот в
мирное направление.
4.Семии похищенных беспокоятся о том,что власть Авэ оставила на сторону вопрос о
возвращении похищенных на родину, так как слишком большое внимание выделяет на вопрос
о освоении ядерного оружия. Это очень важное замечание. На сцене для диалога между
Японией и КНДР в настоящее время остается только вопрос о похищенных кроме 6-сторонных переговоров. Почти все страны мира имеют дипломатические отноше- ния с КНДР кроме
Японии, США и Южной Кореи. Япония должна заново начать переговоры об установлении
дипломатических отношений на основе Пеньянской декларации между Японией и КНДР от 17.9.
2002.
5. Страны в Северо-восточной Азии взаимно связаны по геополитики в областях освоения
энергетических ресурсов и полезных ископаемых, экологии, транспорта и туризма.Все страны
должны углублять взаимовы- годные отношения и содействовать совмещению стратегии
для развития соответствующих стран. Япония, Китай и Южная Корея в той или иной степени
имеют зависимость от природного газа, нефти и каменного угля России и поставляют машины,
оборудование, продовольственные и потребительские товары в Россию. Развитие торговли и
экономического сотрудничества укрепило взаимное доверие. РФ начала заниматься реформой
режима и открытием рынка, как например,ТОР, ОЭЗ и свобод- ные порты.Япония должна
выделить большое внимание на эти сдвиги и начать основное капиталовложение на Дальнем
Востоке России, серьезно заниматься развитием Туманганского региона и расширением порта
большое Зарубино.
Также должны обратить внимание на то, что концепция «смарт сетки»
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распространяется в Северо-восточном сообществе.Страны Северо-восто- чной Азии должны
расширить сотрудничество в области энергосбержения, взаимного использования режима о
торговли выхлопного газа, освоения возобновляемых источников энергии, внедрения новых
источников энергии:солнечного луча, солнечной энергии, гетермального тепла и энергии ветра,
а таже использование нанотехнологии.
2.Субъекты Японии на берегу Японского моря имеют геополитическое преимущество, которое
через море связывает Японию с китайским конти- нентом, корейским полуостровом, дальним
востоком РФ и Монголией. Японское море должно быть больше использоваться для стран
Северо- восточной Азии.После второй мировой войны экономика Японии больше развивается
на берегу Тихого океана и в последние годы приняли меро- приятия для развития субъектов
на берегу Японского моря и для укрупле- ния политико-экономических отношений со странами
противоположного берега и тем самым балан сировать экономику западных и восточных берегов
Японии, однако до сих пор этого не смогли достигнуть.
В коммюнике 10-го форума предлагается освобождение от консепции «начало от Токио и
кончается в Токио» Если добавить пункты к концепции, то можно сказать (1) дальнейшее
усиление взавимодействия между горо- дами на берегу Японского моря; (2) пересмотр
консепции «ось Японского моря» и принять её в плане о разработке государственной земли. В
том числе включаются строительство линии для пули поезда «Синкансэн» по берегу Японского
моря, строительство опорного порта для японо-амери- канского и северо-морского путей,
усовершенствование и интенсификация морских и воздушных путей со странами Северовосточной Азии, усиление туризма, содействие и участие в строительстве портов и железных
дорог в соответствующих странах, увеличение торговли и инвестиции, воспитание кадров и
обмен специалистов.(3) Заключение мирного договора между Японией и Россией проводит на
новый этап японо-россиское экономиче- ское сотрудничество и приносит большой вклад для
оживления японской экономики и в частности для Хоккайдо.Вышеуказанное предложение носит
важное значение и на сегоднящний день.
11-ый форум и международный симпозиум успешно завершили свою работу.
Сечевой центр обмена исследований по Северовосточной Азии(NEASE- Net),встречая
новое десятилетие, будет активно предложить правительст- ву включить вышеизложенное в
государственную политику и сделать мак- си мальный вклад для развития экономики в Азии, а
также для защиты мира и стабильности в Азии, как действующая организация.
Пожелаем и прилагаем усилия, чтобы больше людей поддерживают этот курс.
-- NEASE-Net 第 11 回フォーラム --70---------------------------------------------------------------------------------------------------------------