25.米国中枢同時多発テロ事件(2001年10月20日) 2001年の9.11テロ事件は、欧州のロスチャイルド系ユダヤやバチカンを中心とする世界統一支配 を企む勢力が、イスラム原理主義者を利用し、米国内一部のワスプ勢力や反シオニスト派CIAの協力の 下に、アシュケナジーユダヤのロックフェラー系ユダヤ、シオニスト派、金融資本、ネオコンサーバティブ (新保守主義派)の中枢を叩いたのが真相であろうと思われる。要は、欧州に本拠を置き、欧州合衆国 の設立により世界統一政府(ワンワールド・オーダー)の樹立を目指す勢力により、世界最大の国民国家 の設立により世界統一政府(ワンワールド・オーダー)の樹立を目指す勢力により、世界最大の国民国家 である米国の解体ないし崩壊を狙ったものであろう。 これにより、国際政治の覇権者の欧州と国際経済の覇権者の米国、ロスチャイルド系ユダヤとロックフ ェラー系ユダヤ、ワスプとアシュケナジーユダヤ、スファラディーユダヤ(有色系本来のユダヤ)とアシュ ケナジーユダヤ(白色系偽物改宗ユダヤ)、反シオニスト派とシオニスト派、実物(資源・エネルギー)経 済派とマネー(金融・証券)経済派とが、イスラム原理主義者を巻き込んで、実に複雑に相互に絡み合っ た戦いが、そして世界統一政府樹立の陰謀勢力の内部分裂が始まったと言えるであろう。これを契機に、 た戦いが、そして世界統一政府樹立の陰謀勢力の内部分裂が始まったと言えるであろう。これを契機に、 歴史は一気に米国崩壊、資本主義体制の崩壊に向けて、従来の10倍から100倍もの猛スピードで進 展し始めたようだ。最後は共倒れになって歴史の総決算がなされていくものだ。 追記1:米国中枢同時多発テロ事件の真相から世界激動を読む(2001年10月29日) 追記1:米国中枢同時多発テロ事件の真相から世界激動を読む(2001年10月29日) 追記2:テロ事件後の撤去作業に疑問が(2002年3月13日) 追記2 :テロ事件後の撤去作業に疑問が(2002年3月13日) 追記3:米国崩壊が2003年にも急迫(2002年7月15日) 追記3 :米国崩壊が2003年にも急迫(2002年7月15日) 追記4:米政府がタワー崩壊の真相究明に向けて調査開始(2002年7月28日) 追記4 :米政府がタワー崩壊の真相究明に向けて調査開始(2002年7月28日) 追記5:世界支配権力が米国解体に動き出す(2002年10月17日) 追記5 :世界支配権力が米国解体に動き出す(2002年10月17日) 追記6:2001年9.11事件の謎を追跡調査すると( :2001年9.11事件の謎を追跡調査すると(2003年7月14日) 追記6 :2001年9.11事件の謎を追跡調査すると( 2003年7月14日) 追記7:矢張り2001年の9.11テロ事件は米国の自作自演だったのか(2003年10月26日) 追記7 :矢張り2001年の9.11テロ事件は米国の自作自演だったのか(2003年10月26日) 追記8:9・11事件の真相に迫る某情報を紹介 追記8 :9・11事件の真相に迫る某情報を紹介 (2004年11月18日) 追記9: 追記9 : 9月11日午前9時頃(日本時間午後10時頃)の米国中枢同時多発テロ事件が起こってから、実に1か 月半以上も経過したが、ここに来て随分を様々な情報が飛び出してきて概略の背景が解ってきた。当方 もすぐにでもコメントを出すつもりで原稿を書いたが、余りにも真実に迫って過激すぎるのでは無いかと思 い、暫く事態の推移を見ることにした。 そうしている内に、パソコンが不具合になり画面が暗くなって全く動かなくなってしまった。恐らく操作途 中にファイルを迂闊に抹消してしまったらしい。そこで、リカバリーを掛けたら、転送前で保存中の原稿が 総て消えてしまって、転送していなかった部分を最初から書き直すことになってしまった。別に保存してお くのをうっかりと忘れてしまったと言うことだ。 まさか、パソコンが動かなくなることなど想定もしていなかった。転送してあったファイルのダウンロード をして回復はしたが、一部で画像が不鮮明になってしまい、再度スキャンからやり直した次第である。こ れも神仕組みのように思われる。即ち、余り早まって過激に書くことに対して何らかのブレーキが掛かっ たと思っている。しかし、今となっては、最早、何の遠慮も要らずに堂々と真実と思われることを書くことに 躊躇することもなくなった。国内外の邪悪な想念に対する真の神仏による戦闘開始の総攻撃が始まった からである。 さて、9月11日の米国中枢同時多発テロ事件により、災難に遭われた方々に対して深い哀悼の意を表 すると共に、テロを起こしたり、そのテロの実行に背後で支援したり、テロを誘導して間接的に協力した連 中に対して強い憤りを覚えるものである。しかしながら、今回の米国のテロ事件は、どうも疑問に感じる点 が幾つかある。それらの疑問点を総ざらいしながら、テロ事件の背景や背後等を再検討してみよう。米国 現下の諸問題と展望:147 の情報公開法によって、1941年の日米開戦の真珠湾攻撃事件の真実の背景と同様に、30年後には 総てが明らかになることであろうが、それまで待たないでも、ある程度背景が浮かび上がってくるようだ。 まず、米国は数日前に、日本や韓国での米軍施設に対するテロ工作があり得る情報は掴んでいて、警 戒を呼びかけていたようだ。インターネットでも流れていたようだ。もっとも田中外務大臣を初め政府首脳 は外務省官僚からは何も知らされていなかったようだ。当方も情報はインターネットによりキャッチしてい た。そのテロ攻撃の予告が、全く米国本土において発生し、しかもワシントンやニューヨークの米国中枢 へのテロ攻撃であったことは、米国の情報把握や分析が実にいい加減で杜撰なものあったか、それとも 故意に情報を正確に流さなかったかであろう。 ところで、犯人と言われる容疑者の中には、パイロットの免許を持っていた者はいたが、実際に航空機 を操縦した経験者は一人もいなかったようだ。そして犯人と疑われた人物には、実際にはエジプトやサウ ジアラビアで現実に生存している者がいたようだ。それだけお粗末な捜査で犯人に仕立て上げられたと 言うことだ。また、公開されたハイジャック機の乗客名簿の中には、アラブ人の名前は一人もいないようだ。 なお、犯行は極めて高度な操縦経験者でないと不可能なようだが、FBIも犯人は携帯GPSを使って進 路を割り出したと見ているようだ。高度8300メートルの上空から航空機の自動操縦を解除して、遠く離 れた目的地に、進路を変更し管制塔の誘導無くして進入し、高さ417メートルで幅63メートルの細長いタ ワーの目的物に向かって、旋回しながら斜めの45度ほどの上方の角度から下方に、時速500キロの猛 スピードで、幅43メートルの燃料満タンで重さ190トンの航空機を正確に突入させることは、民間の航空 機の経験者では不可能であり、明らかに戦闘機の実際の経験者の仕業であろうと思われる。 こうした戦闘機経験者は、某評論家からは米国の他には英国のMI6やイスラエルのモサド機関が疑わ れているようだ。そしてGPSを使って進路を割り出したようだが、GPSを効果ならしめるためには、貿易 センタービルやペンタゴン内から誘導があったからこそ可能であったという指摘もあるようだ。恐らく、攻 撃されたビル内部からの適切な誘導があったものと思われる。 また、テロ事件の現場をフランスのテレビ局が、第1機目の激突の瞬間から放映したというのも不思議 な偶然であるし、また人を入れて見上げるような角度でタワーを視覚に入れて衝突の瞬間を撮影すると いうのも極めておかしな偶然であろう。予め、その時間において何が行われるのかが解っていたような感 じがする。あの貿易センタービル付近は、頻繁にテレビカメラの撮影現場に使われていると言った説明が 成されているが、それにしても、航空機の突入前から様々な角度で、始めから終わりまで撮影することは 極めて確率の低い偶然でしかあり得ないことだ。前もって状況を把握していたような感じがする。 そして、証拠にしても、テロ事件直後に、空港の駐車場で見つかったコーランのコピーやアラビア語の操 縦マニュアルもおかしなものだ。犯人がいちいちそのような証拠を残すであろうか。また飛行機内で交わ されていた言語は流暢な英語であったと言うではないか。アラビア語のマニュアルなどは必要では無かっ たのではないのか。それに突入目前にマニュアルを読んでいるなどは、とても空前絶後の犯行としては 余りにもお粗末と言えるであろう。破壊現場の夥しい残骸の山から、犯人のパスポートが見つかった等は、 どう見ても予め策定されたシナリオのようにも思われる。敢えて証拠を発見し易くしたり、前もって準備し た証拠により犯人の特定を誘導させる意図を感じさせる思いである。初めに証拠を用意していたような感 じだ。(その後にアフガン戦争で民家で偶然に発見されたオサマ・ビンラデンのビデオにしても明かにやら せであろう。) なお、犯行当日の9月11日は、911の数字であり、日本で言えば119で救急番号であるが、米国でも 同様に緊急の番号を表している。これを知っている者は恐らく米国生活が随分と長い永住者であると言 えよう。俄に米国に潜入した外国人ではないであろう。それに宗教的な数字の魔力を信仰している者の 仕業であり、それはキリスト教やユダヤ教に多く見られるものである。かつての日本の敗戦における降伏 調印の日やA級戦犯の処刑の日、憲法の発布の時期も、天皇の誕生日等の国民的なお目出度い行事 の日に、故意に重ねて実行したこともあったことでも解るというものだ。イスラム教徒の連中にはこうした 現下の諸問題と展望:148 慣習は余りないようだ。なお、9月11日に関する数字の持つ秘密は他にも多くあるようだが、別章で紹介 しよう。 また、破壊された貿易センタービルの建築概要を参考までに表示すると、名称=世界貿易センター北 東.南東、設計者=ミノル・ヤマザキ事務所(建築)、施工者=ティッシュマン、竣工時期=1973年、高さ =417m、構造・階層=鋼構造・地上110階、階高=3.66m、天井高=2.62m、事務室の有効面積 =2900m2(基準階)、総工費=8億5700万ドルである。 この貿易センタービルをもう少し詳細に言及すると、110階建てで高さ417メートル(1300フイート)、 各階は一辺が幅63メートル四方で、周囲を鉄鋼製の管状の柱(9階以上は約35センチメートル角)で取 り巻き、フロアの中心部のエレベーターホールに約40本の柱を集中して配置してコア構造体を構成し、 外周の細い柱で床を支えている鳥篭状のチューブ型の構造になっているようだ。この貿易センタービル の現地は地震が全く無く、耐風による強度計算しかしていなくて、日本では考えられない程に、柱も梁も 日本の太さの半分ぐらいであったらしい。そして建物の構造にしても、当時のボーイング707機が衝突し ても大丈夫なほどに強度を計算して建設されていたようだ。 もっとも今回のボーイング767機は一回り大きいものではあるが、それにしてもあれほどの破壊で倒壊 することは専門家でも予想しなかったと言えよう。柱と梁の接合が溶接ではなくてピンであるのもおかしな 話だ。幾らタワーの建設に要する工費や工期を節減するとしても、超高層において、柱と梁の接合部は 溶接やハイテンションボルトによる剛接合にすることは常識である。それを柔構造のピン接合にすると言 うことは、解体しやすくし、外れやすくしているとしか思えない。技術的な側面からも危険なことが解らなか ったのであろうか。なお、外側のチューブ構造における竪材と横材とは剛接合であり、床梁と竪材とがピ ン接合であるようだ。そして、コア部分にも柱は少なく、執務空間には柱は全くないものだ。 建造物が一瞬にして崩壊してしまったのも、航空機が積んでいた2万ガロン(約7万6千リットル)のジェ ット燃料による高熱で鉄骨が解けたり、耐火被覆が剥がれて、強度が低下し、それにより接合部が外れ て上階の床や構造を下階が支え切れなくて、ドミノ現象により崩落したと言われているようだ。しかし、そ れでも不規則にゆっくりと崩壊していくことであろう。なお、航空燃料は成分が灯油とほぼ同じで、非常に 燃えやすいものであり、摂氏38度で火が付き、1200度から2000度の高温になると言われているよう だ。普通の鉄骨は約900度ぐらいで強度低下が生じるらしい。それにしても、こういう事態を想定した耐 火被覆では無かったのか。一説によると、経費節減のためか、何と貿易センタービルの60階以上には耐 火被覆が施されていなかったようである。 建物が航空機激突に伴って直ぐに崩壊せず、また、横に倒壊せずに真っ直ぐ下方に崩壊したのは、思 うに、WTCのタワーの頂部に、外周部の柱とコアの柱をつなぐアウトリガーという架構があったことが原 因ではないかと思われる。航空機の衝突を受けても直ぐに壊れなかった理由の一つにアウトリガーの存 在があったものと推察できる。アウトリガーを設けたのは、タワーの頂部に設置するテレビ塔を安定させ るためであろう。アウトリガーがあったお陰で、建物を上から吊ったような状態になり、建物が直ぐに崩壊 しなかったことに寄与したものと思われる。タワー頂部のアウトリガーは建物全体の構造上は不要だけれ ども、建物が衝突直後に崩れるのを防いだものとも思われる。(なお、これは後日、検証されたようだ。) なお、一方で、現実の崩壊の有様は、恰も老朽化した建物を爆薬を仕掛けて崩壊せしめるような状況と 余りにも酷似しているように感じられる。予め、建物に、老朽化して解体する際のことを想定してか、それ とも今回のテロ攻撃による崩壊を予定してかどうか解らないが、爆薬を柱と梁の接合部等の要所要所に 仕掛けてあったのではないかという指摘もあるようだ。恐らく、それも真実であろうと思われる。または爆 薬に高性能のマイクロチップを埋め込んで、それに電磁波を照射して機器を狂わせて爆発させた疑いも あるようだ。 心臓ペースメーカーに対して携帯電話が誤作動を起こす原理と同様である。そうでないとあのような崩 壊は技術的にも極めて不自然であることは専門家の間でも指摘されているようだ。崩壊に至るまでの時 現下の諸問題と展望:149 間も、ジェット機の建物への激突から、約1~2時間も経過しているようだが、その間に何らかの崩壊の兆 候が見られないのも不思議な感がする。アウトリガーの存在だけでは理解できない面もあるようだ。 それに2機目の飛行機が南タワーに激突する前に、北タワーは早くも激しく燃え始めて、黒い有毒なガ スを大量に吹き上げていた。北タワーに激突した際はビル内のフロアにジェット燃料がばらまかれて激し く燃えていたが、十数分(正確には18分)後に激突した南タワーでは、ジェット燃料と破片の殆どがビル から外に飛び出し上空で爆発したようだ。それにも拘わらず、後に激突した南タワーが先に倒壊した。何 故、南タワーは北タワーの半分も燃料がばらまかれなかったにも拘わらず、先に崩壊したのであろうか。 激しい熱で鉄骨が溶けて倒壊したとなっているが、それならば先に北タワーが倒壊すべきであっただろう。 正確に言えば、北タワーへの激突は8時45分で崩壊が約1時間30分後の10時28分、南タワーへの 激突が9時3分で崩壊が約1時間後の10時5分であった。この辺の指摘がいい加減で全く倒壊順序が逆 になっている新聞や雑誌の記事も多いようだ。再度、正確に言っておくと、現地時間の8時46分26秒に、 アメリカン航空11便が北側タワー94~98階に突入し、9時02分54秒に、ユナイテッド航空175便が南 側タワー78~84階に突入した。そして、9時59分04秒に南側タワー崩落し、10時28分31秒に北側タ ワーが崩落したものだ。 なお、ビルが倒壊する直前にビル内で爆発音を聞いたという証言もあるようだ。それに両タワーが崩壊 する前に、続いて実際に起こったことは、タワー周辺の他のビル内において、大規模な爆発があったよう だ。この大爆発によって、空中にコンクリートが巻き上げられて雲状のものが出来たくらいだ。そしてその 爆発は、貿易センタービル全体を動揺させる多くの爆発の中の最初のものであったらしい。貿易センター ビルよりも周囲のビルが先に崩壊したのも、貿易センタービルからの破片が周囲に落下して倒壊したとい う理由が余りにも不合理であることは確かだ。明らかに貿易センタービルの周囲のビル内に爆薬が仕掛 けられていたと思われる。また、貿易センタービルと周囲のビルとの間には地下道が設けられ、その地下 道にも爆薬が仕掛けられていたようだ。 しかしながら、貿易センタービル自体にも爆薬が仕掛けられていたといった見解も出ているが、これはタ ワーの崩壊現象を見れば、何もタワーの各階の部分からは爆発の現象が見られず、見当違いであろうと 思われる。さりとて、タワーの綺麗な垂直方向への静かな崩壊は力学的にも現象面からも極めて不思議 でもある。全く斜めにすら傾かないで真っ直ぐ落下するように崩壊したのは余りにも神仕組みのような何 かの意志が働いている感じがするようだ。しかし、タワー自体に仕掛けられた爆薬ではないようだ。実に、 真の神仏が存在するとしたら、その見えざる天罰による意志が働いたようだ。 ところで、建築の専門家ですら、何故タワーが崩壊したのか多くの方が疑問に思っているようだ。今回 のジャンボジェット機に比べて一回り小さいジェット機が激突しても大丈夫なほどに、強度計算して設計さ れたはずであったのに何故簡単に崩壊したかだ。精々がタワーの一部破損か、航空機が激突した部分 の上が傾く程度で終わったのではないかという疑問であり、どうして、上から下まで綺麗に押し潰されるよ うに倒壊したのであるかが大いに疑問視されているようだ。これは犯人とされているオサマ・ビンラデイン も大変驚いているようで、全く予想外であったようだ。米国のFBIもその点では同様な疑問を持って捜索し ているようだ。恐らく、不思議な見えざる力が働いたとしか思えないと言う意味で、何らかの神仕組みとも 言えるものであろう。 なお、余談だが、核爆弾が解らないように仕掛けられるからには、大建設工事がカムフラージュとして 利用されているようだ。貿易センタービルの建設には、当初からの参画者が途中から工事を離脱すると いった色んなトラブルがあったらしいが、爆薬が仕掛けられた機会はなかったのではないかと思われる。 しかしながら、1995年の阪神淡路大地震の発生では、明石海峡架橋大橋に工事中に闇の陰謀勢力に よって核爆弾が仕掛けられており、それが爆発させられて、その結果、本物の地震を誘発していった可能 性が高いと噂されているようだ。 過去にも殆ど地震がない阪神地域に突然に巨大地震が発生したのも不思議な話であったが、そう考え 現下の諸問題と展望:150 れば納得も行くようだ。また、東京湾横断道路の建設においても、工事が1年間もの間、原因不明で中断 したが、その間に核爆弾が仕掛けられたという噂も流れているようだ。そう言えば、建設工事に米国系有 名企業が参加したが、関係者の間でも、一体、建設工事の何処を担当したのかも殆ど解っていないよう だ。こうした核爆弾が、日本では24カ所にも仕掛けられているようだと言われている。更に台湾の地震も 人工地震であるとも言われているようだ。また一説には、国連本部の地下にも核爆弾が仕掛けられてい るとの噂も流れているようだ。 ところで、飛行機が既定の進路を大幅に変更してから30分から45分間も、何も異常をキャッチせずに、 スクランブル発進もせず、管制の厳しいペンタゴンに対して、突入をさせたことは何か知っていて故意に やらせたような感じだ。ホワイトハウスやペンタゴンの上空は鳥一匹も進入できないような厳しい航空監 視下に置かれているのが常識であり現にそういう態勢になっているようだ。それがどうして易々と民間航 空機が進入してしまったのか。先に示唆したように、誰かが防空監視システムを故意に解除したり、ビル 内から容易に進入出来やすくするべく誘導したと思われる。 今回の事件においても、米国はパキスタン側からの高官の米国訪問によるテロ事件勃発の可能性有り との通報により、前もって情報をキャッチしていたが、貴重な情報を軽視して全く無視していたようだ。ま た、一説によると、米国はオサマ・ビン・ラデインを追い詰めて、パキスタン側に引き渡せと言う交渉をやっ てきており、それに対して、オサマ・ビン・ラデイン側が焦って逆襲したとの見方もあるようだ。兎に角、 元々対ソ連戦争のためにアメリカCIAにより育成されたのがタリバンでありアルカーイダであり、オサマ・ ビンラデインであったのだ。それなのにソ連撤退と共に用済みとなるや米国から切り捨てられて、米国と オサマ・ビンラデインとの間に急迫した確執があったようだ。そして米国はテロ攻撃の日時までかなり正 確に把握していたようだ。ただ、場所や手段においては確信が持てなかったようだ。 それに米国は今回のテロ事件のかなり以前からアフガンに対する戦争を計画していた節があるようだ。 そしてその実行は10月頃の計画であったとも言われており、オサマ・ビンラデインの聖戦の呼びかけに 呼応したイスラム原理主義者側は米国の攻撃に機先を制して先手を打った結果のテロ攻撃であったとも 言える。一説によると、オサマ・ビンラデイン側の麻薬栽培や販売に、共に父親のブッシュ元大統領が米 国のCIA長官時代の頃から関与していたのを、口封じのための行動に出ようとした仲間割れの見方もあ るようだ。事実、パナマのノリエガ将軍の口封じの逮捕でも同様であったと言われており、米国CIA自身 が麻薬取引に関与していた疑いが公然と知られているようだ。 話を元に戻すと、テロ事件の直前に米国訪問した田中外務大臣は、妙に怯えて青ざめた顔で帰国し、 多くの護衛が身近に付いたことを漏らしていたようだ。恐らくこの時点でも、何らかのテロ行為がある事を 察知していたのであろう。テロ当日においても、偶然とは言え、ブッシュ大統領はフロリダにおり、パウエ ル長官はペルーにおり、ペンタゴンにしても国防長官は反対の建物にいて安全だったし、あれ程の災難 に対して、ペンタゴンの政府高官は誰も被害に遭っていないのも、偶然にしては余りにも出来過ぎている とも見えようか。北ウイングで高官連中は会議をしていたという情報もあるようだ。 ところで、ロックフェラー系の企業が多数入居する貿易センタービルには、常時、約5万人が働いている そうだ。そして死亡した人は6500人にも及ぶ。(なお、最終的には重複分をカットして3千人弱になりそう だ。)死亡率の平均は約12.5%と言う。然るに、東京新聞では、イスラエル人の死亡はたったの10人で あるという。タリバン首脳の話では、当日はペンタゴンや貿易センタービルに勤務する4000人のイスラエ ル人が一人も出勤していなかったと言うし、噂でもそのように語られているようだ。 また、イスラエル首相がテロ事件の直前に訪米を取り消したことも指摘されているようだ。また、ビルの数 階を占めるモルガン・スタンレーの証券企業に勤務する約4000人の社員や3千数百人のソロモンブラ ザースの社員も、テロの警告のメールが来ていて、テロ事件当日は一人も出勤していなかったようだ。モ ルガン・スタンレーは欧州のロスチャイルド系の会社である。こうした事実は一体何を物語っているのであ ろうか。 現下の諸問題と展望:151 また、今回のテロ事件前に、貿易センタービル内に活動する保険や証券関係の企業の株が多数空売り されていたようだ。テロ事件が起こることを予め想定して、株を売り浴びせて、株価暴落を回避したとしか 思えないほどの奇妙な株の空売りは一体何を物語っているのであろうか。明らかにテロ事件のことを知っ ていたと思われる。そうでないと説明が付かないほどの異常な動きが垣間見れるようだ。 なお、オサマ・ビンラデインがテロ事件前後を通じて株取引で大儲けをしたという情報が飛び交ったが、 米国の証券取引委員会SECが調査したところが、そういう事実がなかったと言うことである。また、テロ 事件前に母親にテロを予告したような電話を掛けていたと言うが、確たる証拠はないようだ。いずれにし ても、確証がないままに、テロ事件の勃発直後から、犯人を特定して突っ走っていったことは、性急し過ぎ て容易に解せない話だ。初めに犯人ありきで、実は犯人は誰でも良かったのではないか。戦争を実行す るのが目的であり、テロを仕掛けて利用し、誘導したのではないのであろうか。 テロ等の犯罪の真犯人像を考慮するに当たっては、事件の動機、実行能力、そして最後に一体誰が得 するのかと言った観点で考えていくことが必要であろう。そういうことからすると、今回のテロ事件は、アラ ブゲリラの従来の航空機ハイジャック事件を遙かに越えてレベルや発想であり、アラブゲリラには動機は 充分にあっても、実行能力において大きな疑問を抱かざるを得ない。先述したように、プロの戦闘機の経 験者でしか実行できないような操縦技術であったし、防空監視システムを解除して誘導しなければ突入で きなかったはずだ。テロを仕掛ける側にも、またテロを受ける側にも、両方に協力者が居なければ実行は 不可能であったであろう。 そして、最後に一体誰が得をしたのかの判断が大切であろう。アラブゲリラには、米国に対して制裁を 加えて損害をもたらせたことは事実であるが、アラブゲリラの方は実質的には利益を得ていないばかりか、 報復を招いて極めて採算の合わない結果であることは確かだ。イラクのフセイン大統領は、いみじくも「キ リスト教徒とイスラム教徒との対立で一番得をするのはユダヤである」と言っていたが、これは、案外、事 件の真相の一部を付いており、真実の一端を語っているかも知れない。ただユダヤと言っても非常に微 妙な問題を包含して複雑化し、特に今回はそうした内部の問題が亀裂化し表面化してきたようである。今 後の状況展開に注目したいものである。 また、欧州と米国との関係で見ると、アメリカ合衆国からヨーロッパ合衆国への覇権の移動と言った観 点で捉えれば、米国の没落を狙って得をするのは、2002年から新しい通貨統合で発足する欧州合衆国 と言えるかも知れない。米国のテロ撲滅の行動に対して、欧州各国は、NATO 全体で行動すべきであると して、一定の歯止めを掛けつつあるし、必ずしも全面的に米国の行動を支援している訳でもないようだ。 特に欧州は、米国主導の NATO の存在を快く思っていないようだ。欧州統合軍の創設を志向していること からも、米国支配から独立したがっていると思われる。 更に、中近東の第5次戦争を仕掛けて米国を誘い込んで行こうとするイスラエルの野望も垣間見ること が出来よう。イスラエルの前首相が、うっかりと「これで米国が中近東の戦争に参加してくることになった」 と言ったのは失言にしては、余りにも、本音を漏らしたのではないかと言えよう。実際にテロ事件後のイス ラエルのパレスチナ自治区への侵攻により、米国とイスラエルとの間にも不協和音が出てきているようだ。 イスラエルの本心が飛び出してきているようだ。 プロの軍人を使って、あれ程のテロ攻撃を国家的レベルで実行できるのは、米国以外では世界で二つ しかないと言った評論家が居たが、その一つが英国の諜報機関であるMI6と並んでイスラエルのモサド 機関であることを示唆しているようだ。アフガニスタンのタリバン政府や他のイスラム諸国でもユダヤやイ スラエルのモサドの仕業と思っていることが多いようだ。なお、事件直後に某ビルの屋上で小躍りして歓 喜していた5人のイスラエル人がFBIに拘束されたと言うことも伝えられているようだ。 ところで、かつて1998年のケニヤとタンザニアのアメリカ大使館爆破事件でも、最初に爆破現場に、恰 も爆破を事前に知っていたかの如く急行したのはイスラエル軍であったと言うし、米国のFBIが到着した ときには既にイスラエルのモサドが総て証拠物件を持ち去った後であったと言われている。二カ国のアメ 現下の諸問題と展望:152 リカ大使館同時爆破に成功した技術は、オサマ・ビンラデインやアラブゲリラには無いようだ。また、爆破 に使われた爆薬はイスラム過激派が扱えるものではなかったようだと言う。またFBIが到着したのはイス ラエル軍が証拠物件など持ち去った後であったと言う。今回も民間機を3機ハイジャックし、時間差無しに 目的施設に激突するには最高級のテロ戦略と技術が無ければ成功しないものであると言われている。今 日、世界でこれほど高度のテロを実行できる組織は2つしか無く、オサマ・ビンラデインのイスラム組織で は殆どあり得ないと言われている。 確かに、過去のアメリカ大使館爆破事件に関しては、イスラエル軍が関与した疑いが濃厚であるが、今 回の米国中枢同時多発テロ事件においては、貿易センタービルには、テロ当日は、4千人ものイスラエル 人が出勤していなかったからとか言って、イスラエルのモサド機関の関与が疑われているが、イスラエル がいくら米国を戦争に引きずり込むことが狙いであったとしても、動機としては回りくどい間接的なもので 弱いような気がするし、米国の経済の中枢にあれほどの打撃を与えることはあり得ないであろう。むしろ、 イスラエルはかなり確度の高いテロ情報を事前に把握していたために、災難を事前に回避し得た結果で あろうと思われる。イスラエルがテロに加担したり、自ら実行したりすると言うことはどう見てもあり得ない ことである。今回のテロ攻撃の動機としては、あくまでも米国に多大なダメージを直接に与えることであろ う。 むしろ、米国と対立しつつあった欧州が、換言すれば、特に米国のロックフェラー系と競争、対立関係に あった欧州のロスチャイルド系の勢力がアラブのイスラム原理主義者に加担し、制裁を加えたと見た方 が確かであろう。しかし、ロックフェラー系は何も気付いていないと言うのが真実であろう。また、アラブ内 部でも、明らかに反米的なイラクやシリアは言うまでも無いが、オサマ・ビンラデインに好意的なパキスタ ンやサウジアラビアなどの国家があるのも事実であろう。表面上は米国に協力しているが、本音ではオ サマ・ビンラデインに好意的であり、米国には余り親近感は持っていないようだが、そうした矛盾したジレ ンマの姿勢が何時まで持つかが問題であろう。 そして、米国内部の軍産複合体からの戦争による軍事産業の維持と言った資本の要請からも、戦争経 済に突入するとなると、一体誰が得をするのかが理解できるであろう。今回のテロ事件後に、アフガン攻 撃に備えて、空母4隻、爆撃機500機、戦闘機数百機を動員し、更に、トマホーク戦略ミサイルやステル ス爆撃機などの最新兵器を使ってまで、これほどの大規模な部隊を展開する意味があるのであろうか。 前もって戦争をしたがっていたのではないかとか、何か別の目的や精算を意図しているのではないかを 勘ぐりたくなる。 米国は10年に一度の大戦争をして行かねば、巨大な軍事産業の維持が不可能なほどに膨れ上がっ てしまったという指摘もあるようだ。恰も巨大で膨大な公共工事に巣くう日本の建設産業のようだ。一説に よると、米国の軍事産業の規模は年間200兆円にも達するようだ。そして政府高官からもテロを支援し 協力でし、テロを生み出す国家は総て攻撃の対象であるとの意見も飛び出しているようだ。しかし、米国 は、早急には全イスラム諸国を敵に回して、戦争拡大路線を性急に押し出しては真意を勘付かれて得策 ではないようなので、その辺は慎重に且つ周到に行動して行くように思われる。 かつて米国はサウジアラビアと共同してカスピ海からアフガニスタンを経由してパキスタンを通り、インド 洋に至るまで原油のパイプラインを敷設する計画もあったが、アフガンの内戦により計画が頓挫したこと があったらしいが、今回の大規模な軍事展開の目的の延長には、中近東からカスピ海に至る原油や天 然ガスの利権の制覇、獲得を狙って、その計画の再現を狙っていると言った指摘もあるらしい。他にも麻 薬資源の獲得も関係していよう。このアフガニスタン自体には瓦礫と砂漠と山岳の不毛の土地でめぼし い地下資源もないようだが、地政学的な意味での要所であり、周辺諸国への睨みや、原油のパイプライ ンの敷設の観点からは、それなりの経済的、政治的、軍事的な価値のある地域と言えるであろう。 ところで、某評論家M氏によると、米国はこれまでにも、「何々を忘れるな」と喧伝して国威を煽ってきた 背景には、何らかの大きな意図があったようだ。例えば、1895年のメイン号事件、1935年のアラモの 現下の諸問題と展望:153 砦事件、1941年の真珠湾攻撃事件、そして今回の2001年9月11日の米国中枢同時多発テロ事件で ある。いずれも米国は、自ら仕組んだ事件であったり、事件の勃発を予め想定したり、被害を予想して故 意に対策を放置して、事件を誘発し誘導させて、その後に大規模は反撃を実施して多大な権益を確保す るような手段に出ているのがこれまでの常套手段でもあったようだ。 即ち、彼によれば、1895年のメイン号事件では、当時のスペイン領キューバの独立運動に乗じて米国 はアメリカ人保護を理由に戦艦メイン号をバハマ港に送り込んだ。ところが何者かによって戦艦が爆破さ れ260人のアメリカ人が犠牲になった。当時のアメリカの某大新聞は、米戦艦爆破はスペインの陰謀だ と断定し、スペイン政府がいかにアメリカ人を過酷に弾圧しているかを誇大に書きまくった。その結果、「メ イン号を忘れるな」の大合唱になり、スペインに対する敵愾心の高まりの中で世論は対スペイン制裁へ向 かったのである。アメリカは1898年4月スペインに宣戦布告をするや当時ドル箱であったキューバ(世界 一の砂糖生産地)のみならず、フイリピン、グアム、プエルトリコをあっという間に手中におさめたのである。 開戦から70年後の1969年、米戦艦爆破の真犯人はスペインではなくアメリカ側であったことが合衆国 から発表された。 また、1935年のアラモの砦事件は、今のテキサス州で起こったものである。当時メキシコ領であったテ キサスに移住したアメリカ人達が合衆国指導の下に、テキサスの独立運動を起こしメキシコ軍と戦闘状 態になった。当然、アメリカ合衆国は独立義勇軍に対して資金支援してバックアップしたが、多勢に無勢 でアメリカの義勇兵はアラモ砦に追い詰められる。映画などで、デイビット・クロケットの英雄談は有名だ が、それは200名の義勇兵が3000人のメキシコ兵と果敢に戦った模様を描いたものである。義勇軍は 何度も戦況を合衆国軍に伝え援軍を待ったが、合衆国は無視し、義勇軍の全滅を待った。そしてメキシコ 軍がアラモを去った後、惨殺された義勇兵の惨状を誇大に宣伝し「アラモを忘れるな」で世論を煽り、対メ キシコ宣戦布告に突入した。その結果、メキシコの半分ぐらいの領土のテキサス、ニューメキシコ、カリフ ォルニアを手に入れることに成功した。 そして1941年の日本軍による真珠湾攻撃事件である。1941年11月27日ハワイ在の太平洋艦隊司 令官は、ルーズベルト大統領から「日本軍に先制攻撃をさせろ」の命令を受け、2隻の空母と新鋭鑑19 隻を外海に移動させ、老朽艦16隻だけ真珠湾に残し、日本の戦闘機が撃ち易いように直線に配置し、1 2月7日の日本軍の攻撃を待った。日本の真珠湾攻撃の知らせを受けた時のルーズベルトも、今回のジ ョージ・ブッシュも不思議なくらい冷静な表情だった。心は満足し、言葉だけで怒っているように見えた。 ルーズベルトは日本軍の侵攻を察知した司令官を更迭し、更にはレーダーを不能にするばかりか日本 軍の潜水艦が入港できるよう開門を開いた。日本の攻撃を成功に導いた後、2400名の米兵を殺した日 本軍「騙し撃ち」のニュースを全米に流し、当時戦争反対だったアメリカの世論を一変させた。こうしてアメ リカは日、独、伊に対して宣戦布告したのである。「パールハーバーの真実」(文芸春秋社発行)を知れば 「騙されたのは日本であった」ことが解る。 更に今回のテロ事件においても、「ワールド・トレ-ドセンターとペンタゴンを忘れるな」が今メデイアに乗 って全米を走っている。24時間繰り返し報道されるテロ発生瞬間と目を覆う惨状の映像。歴史に例を見 ないテロ犠牲国になったアメリカでは「アメリカに対する戦争」を宣言し、アメリカの戦争に世界の参加を 求める。犯人をイスラム原理主義者オサマ・ビンラデインと決め付け、彼が潜伏するアフガンはもちろん、 今世界中がアメリカの「テロに対する戦争」に振り回されている。ここでテロ事件前には不可能であった多 くのことが可能になったことを冷静に数えてみることが大切と某評論家は指摘している。しかし、彼が考え ているほど、過去の事件と同様に米国の自作自演と言うほど事態は単純ではないように思われる。 確かに、先述したように、鳥はおろか、民間航空機などは進入出来ない特殊な建物の上空に容易に進 入してしまうからには、暗黙の内に、進入を予想して防空監視システムを解除していたとしか思われない。 つまりはテロを誘導し、その後の国内世論はおろか、世界中の世論を纏めて米国の意志に従いさせて、 何かの大きな目的に向かって走り出したような感がする。しかしながら、米国自身がテロを誘導し対策を 現下の諸問題と展望:154 放置していたとしても、最大の誤算は、損害が余りにも大きく把握できなかったことであろう。あれ程の経 済の中枢を狙われて米国経済に大きく影響を及したことは予想外であったと思われる。 一方で、テロ事件後の米国の大規模な軍事的な展開と言い、中近東全域での基地の確保と言い、あっ という間に中近東を支配する体制を作り上げてしまったことは、前もって戦争を計画し予想していたことの ようにも思われる。今後の米軍の行動を見なければ何とも言えないが、恐らく、全アラブを敵に回さないよ うにしてゆっくりと中近東全体を支配し管理していくことになるのではないだろうか。その狙いは、中近東 からカスピ海全域に及ぶ原油や天然ガスの利権獲得にあると思われるのだが、成り行きを見守るしかな いようだ。実際、米国政府の中枢において、イラクやシリアまでをも何らかの口実を設けて攻撃を加える 計画も進行しているようだ。その為のトマホーク戦略ミサイルの増産でもあるようだ。 また別の某評論家S氏によると、今回の事件は、単純なテロ事件ではなくて、米国政府もある程度は知 っていたと言っているようだ。そして、今回の米国中枢同時テロ事件は、米国自身が自ら招いた結果のブ ローバック(吹き戻し、自業自得)であると言っているようだ。因果応報の真理から言っても、災難を招き寄 せる原因が自分自身にあることは否定できないであろう。確かに、米国にも世界中から多大なる反感を 買うような要因があったことは事実であろう。 テロ事件の勃発前は正に世界中からその横柄さに反感が持たれていたことは確かであろう。それに長 年、イスラエルに武器を提供してパレスチナへの攻撃を黙認してきたことも大きい。米国の経済、軍事に 及ぶ対外援助の約3割が対イスラエル向けであったのも、公正や公平を標榜する米国にしては、如何に 矛盾している対外姿勢と言えるであろう。現に、米国内でも今回のテロ事件は、米国の中東政策の失敗 がもたらした結果だという指摘も根強くあるようだ。 米国は、英国と共に旧大英帝国の構成国のカナダ、オーストラリア、ニュージーランド等にエシュロンと 言う軍事的な盗聴システムを張り巡らして世界中を監視している。因みにこれらの国の国家元首はイギリ スのエリザベス女王だと言うことは案外知られていないようだ。大英帝国は未だに健在なのである。そし て米国は英国から独立したことになっているが、実質的には米国は政治的にも経済的にも軍事的にも英 国の植民地であることに多くの人は気付いていないようだ。ロックフェラーといえどもロスチャイルドの手 下にしか過ぎず、ロスチャイルドがロックフェラーを通して米国を支配しているのが現実である。 なお、当方のHPも可成りエシュロンに捕捉されるような用語を多用しているが、これは敢えて知りなが ら故意に挑発しているものだ。邪悪な陰謀を一掃し、彼等の陰謀計画を崩壊乃至破綻させることが目的 だからだ。吾々の場合は真の神仏の強烈な加護があるから良いようなものの、普通の人がやれば、即刻、 エシュロンに捕捉されてパソコンが破壊されるであろう。兎に角、革命とかユダヤとか、ロスチャイルドや ロックフェラーとかの用語は要注意であるようだ。日本赤軍の重信房子がアラブから国内に潜入して逮捕 されたのも、エシュロンにメールが捕捉されて発信元がばれた結果である。 ところで、エシュロンという盗聴システムを、冷戦崩壊と共に、今度は経済の分野に適用し、国際競争入 札においても自国企業に情報を流して欧州系の企業からも数多く入札を横取りするなどの、経済活動の 面でも実害が目立ってきたようだ。また、地球温暖化防止条約の京都議定書からの離脱を巡っても、欧 州や日本を初め世界と対立していた。更に、旧植民地支配における損害賠償を巡る人種差別撤廃条約 に対しても反対を表明し、余りにも政治、経済、軍事に亘って歴史的にもかつて無いほどの巨大な権力を 握り、横柄な態度の各国の反発を買ってきていたと言えよう。正に米国の極まる奢りや慢心が、次第に世 界各国の反発を招いて行ったと言えよう。 米国には各種政策において二枚舌のダブルスタンダード(二重基準)が存在するようだ。それにかなり 高度で悪質な謀略も渦巻いているようだ。かつての旧ソ連空軍によるカムチャッカ半島付近からサハリン 上空での大韓航空機撃墜事件にしても、どうも、直前にニクソン大統領がキャンセルするとか、軍産複合 体の横暴に大反対していたマクドナルド議員が搭乗していたことと言い、米国が旧ソ連の防空能力を試 す意味で、大韓航空機のパイロットを脅迫して、進路を変更しないで無理矢理に真っ直ぐ飛ばさせたとい 現下の諸問題と展望:155 う噂も飛び交っているようだ。何もレーダーや計器の故障でも無いし、うっかりと進路を誤ったという操縦ミ スの次元のことではないらしい。意図的に進路を間違えて飛行した疑いが濃厚であるようだ。 ところで、我々は、ユダヤと聞くと、一体何処にその存在があるのかと思ってしまい、普通のアングロサ クソンやラテンやゲルマンの白人と混同し易いが、米国には700万人ほどのユダヤ人が居て、金融、資 源、エネルギー、防衛、マスコミ、映画等のあらゆる分野で勢力を握り、実質的に米国を支配している存 在と言えよう。某評論家は、米国をして、USAではなく、JUSAであると言っているようだ。すなわち、英語 でユダヤのことを言うジュウに支配されたUSA(米国)であると言うことらしい。事実イスラエルに対する 経済、軍事支援は米国の対外支援の実に3割にも達しているほどである。 なお、テロ事件後に勃発している炭疽菌事件は、今回のテロとの関係は今少し様子を見ないと何とも言 えない。炭疽菌の結晶が超微粒子により製造され、極めて高度な技術により製造されているものと思わ れ、目下、そのような炭疽菌製造に関する技術を保有しているのは、世界でも限られており、米、英、ロシ ア、イラク、東欧等でしかないようだ。そして、米国捜査当局の判断は、炭疽菌は外国から持ち込まれた ものではなく、米国内で製造されたものであろうと推測しているようだ。恐らくそうであろうと思われるが、 しかしながらそれも確信は未だ持てないようだ。 旧ソ連において細菌研究に従事していた研究者は3万人も居たが、殆どが失業して外国に勧誘されて 行った可能性が高いからだ。行方不明の核兵器や研究者の存在が一段を不気味さを醸し出しているよう だ。炭疽菌事件では案外、米国の超右翼武装勢力のミリシア等の反ユダヤ組織の仕業ではないのかと も噂されているようだ。事実、過去の幾多の爆破事件にも彼等が関与していたし、かなりの大がかりのテ ロを実行できる武力や技術を保有しているようである。目下、米国のメデイアの中でも犯人に対する見解 が対立しているようだ。 ところで、10年前の1991年当時の湾岸戦争当時と大きく異なり、世界全体の、そして米国自身の景 気が思わしくなく、しかも敵が不特定多数であり、「何々を忘れるな」のかけ声と共に、歴史を作り替えて きた米国にとって、今回ばかりは、メイン号事件、アラモの砦事件、真珠湾攻撃事件に続いて、柳の下に は4匹目のドジョウは居ないのではないかとさえ思われる。日本にしても湾岸戦争時には原油の確保と いう名目で130億ドル、邦貨換算で1兆6千億円の資金援助をして貢献したが、景気が比較的順調であ ったとは言え、湾岸戦争時においてすら、法人税やタバコ税、石油税の引き上げをしていったくらいだ。 今回は米国で起きたテロ事件に対して、被害者に日本人が含まれていたとはいえ、実質的には戦争と 呼べるものではなく、米国内で起きた大規模な犯罪でしかない。日本が軍事支援し協力するのは、何の 法的根拠もないようだ。それに日本が戦争に協力する実質的な利益は余りないようだ。一説には、日本 も中近東での原油や天然ガス、鉱物資源に対して、米国と共に利権を獲得することを狙っているのだとも 言われているようだが、それこそ侵略以外の何ものでもないであろう。また、経済大国から政治大国へと、 更には軍事大国へと大きく飛躍する絶好のチャンスでもあるようだと指摘されているようだ。 そして自衛隊の海外派遣に対して、日米安保条約の拡大解釈や、憲法の前文解釈により、法的根拠も 明確でないままに無原則的に対米(後方)支援を約束し、とりあえず約2兆円の資金を支出すると聞く。こ のテロ事件を機会に、我が国の防衛を根本から見直して、法制度を整備し、国民の生命や財産を守るよ うに、自衛隊法やテロ対策法案を整備していくことは大いに結構なことである。しかし、いきなり、米軍を 後方支援をして守るために戦闘行為に参加するのでは、目下の中近東のゴラン高原におけるPKO活動 と同様に、精々が米軍の糞尿処理ぐらいの仕事しかなく、世界の物笑いであろうし、天下の国軍に対する 冒涜であろう。 それにアフガン戦争後の経済復興での支援まで約束してしまっているようだ。国土の殆どが山岳や岩 石、砂漠に覆われたアフガンでは道路も充分では無い状況故に、インフラ整備も含めた全体での復興資 金は数百兆円にも及ぶという指摘もあるようだ。しかも1991年の湾岸戦争時と大きく異なり、現在の日 本には財政が厳しくとても大幅な増税や国債発行無しには負担しきれない状況であろう。今回は最早、 現下の諸問題と展望:156 財政破綻を宣言したも同然であろう。財政再建のシナリオも大きく狂ってしまったようだ。テロ事件による 米国支援の大増税と大量の国債発行が待っており、一説によると政府は10兆円の規模で考えているよ うだ。万一、それを実行すれば、金利上昇と国債価格の大暴落を引き起こし、日本初の世界大恐慌へと 突入して行くのも時間の問題となってきたようである。 今時のテロ撲滅の戦争は、何を以て戦争終結であるとか、戦争の勝利であるとかは全く判断できない ほどの、実に過去の戦争とは大きく様相を新たにしたものとなるであろう。敵も国家が対象ではなく、見え ざる敵を相手にしていくような正に新しい形態の戦争に突入してしまったことだ。それ故に長期化せざる を得ないし、際限のない泥沼に陥っていく状況だ。また、米国の真の意図が何処にあるかも現段階では 定かではない。もしもイスラム全体を敵に回して、中近東からカスピ海に至る全域での原油利権の獲得 が目的ならば、これこそ第5次中東戦争を越えた第3次世界大戦となって行くであろう。しかも戦争の性 格が民族的な争いを越えて宗教的な対立の様相を帯びて来つつあるようだ。恐らく、米国のサウジアラビ アを始めとする中近東全域からの撤退までテロが継続していくことであろう。 日本はそうした宗教的な対立にまで無目的に乃至盲目的に米国に付き従って協力していくことになれ ば、世界から攻撃の対象とされ、米国の経済的破綻と共に、日本も財政的にも国家の破綻を招くことであ ろうし、またテロ攻撃の対象にもなって行く危険性も出て来るであろう。国内の経済が混乱してきた際に は、内乱や外国の侵略により国家社会が崩壊し、最後は当方が予告し警告したような米軍による無差別 爆撃によって終息する運命になるであろう。これが正に、先にこの章の某所で指摘したように、亡国の運 命と言えるシナリオであろう。 さて、旧ソ連が10年に及ぶアフガン戦争下経済が疲弊し、それが遠因となって旧ソ連が崩壊し、結果 的にはベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが統一出来ていったことの歴史的教訓を大いに参考に学ぶこ とが日本にとり極めて大切であろう。目下の日本は米国の軍事占領下にあって、政治的にも従属国家で ある。今回の自衛隊改正法においても、国民の生命や財産を守るべく改正されるべきなのに、米軍施設 や自衛隊関連施設の防衛でしかない。これでは自衛隊は一体何処の軍隊であり、何を守るための自衛 隊なのかとの大きな疑問を抱かざるを得ない。 日本から米軍基地を無くして日本独自の防衛システムを構築するか、又は米軍を日本独自の監視下に おいて、日本主導による防衛体制を構築して、日本の真の独立を達成するためには、皮肉なことながら、 米国に対して忠誠を尽くし、協力し従属することではなく、実に米国の破綻乃至崩壊があって初めて可能 になるのであることを改めて思い起こしていくことが大切であろう。右翼の連中は対米従属一辺倒であり、 一方の左翼の連中は、現行法で充分であるとして自衛隊法の改正に極めて消極的であり、どちらも極端 で偏った姿勢であり、独立自尊の精神を欠如した卑屈な思考と言えよう。このテロ事件を教訓にして、我 が国の国民の生命、財産を守るべく、真の防衛を確立して各種法制度の整備に向けて大きく前進するこ とが大切であろう。 なお、今回のテロ事件に対して、米国は過去の日本軍による真珠湾奇襲事件と同様であり、極めて卑 劣だなどと言っているが、とんでも無い誤解であり、言い掛かりであろう。今回の米国のテロ事件は、戦闘 員や軍事目的を対象にした戦争行為であった真珠湾攻撃とは大きく異なり、むしろ無差別に非戦闘員や 民間人を対象に殺傷していった広島や長崎への原爆投下と同じであろう。戦闘員同士の戦いにおけるジ ュネーブ協定の精神は、原爆投下等により第二次世界大戦で大きく破られた。 今回の事件で真珠湾を思い起こすなどは、正に米国の卑劣な独りよがり思い上がった行動や思考に対 して、天罰が下ろうというものだ。先述したように、真珠湾も米国が誘導し遣らせた行為であったことが今 や暴露されているし、大東亜戦争にしても、強烈な意志の下に、米国が日本を叩き潰すために故意に追 い詰めていった結果である。再度、このような真珠湾事件や大東亜戦争を思い起こしてくれた米国に対し て、その独善的な意識や想念に対して、正に真の神仏による成敗が下ろうと思われる。24年間も戦争を する必要があるとかの米国の某軍事シンクタンクの分析もあるが、そんな甘い見通しは吹き飛んで、今 現下の諸問題と展望:157 後4,5年で2005,6年頃に米国は連邦政府崩壊により、またベトナム反戦運動と同じような反戦運動 の激化と共に中近東からの撤退を余儀なくされるであろう。 今や、テロ事件により、世界の歴史が大きく変換していったと言えよう。これまでの経済中心主義から軍 事中心主義へと、詐欺や騙しの支配から力による支配へと大きく転換し始めたようだ。そして米国の一国 集中覇権主義の崩壊の始まりであり、米国連邦政府の解体、没落の開始であろう。3,4年後の2004, 5年頃の日本における貿易破綻、国債暴落等による国家破産の経済的大混乱が米国をも巻き込んで、 米国連邦政府崩壊は4,5年後の2005,6年頃に到来することであろう。即ち、日本発の世界恐慌が米 国を始め欧州等の主要先進諸国を道ずれにして行くことになり、世界の大掃除への引き金を引くことにな るであろう。その後は、時期的には少し遅れるが、ロシアや中国にも国家分裂を招来していくことであろう。 正に神が仕組んだパックスアメリカーナ(アメリカの力の支配による平和)の終焉であろう。既に1990 年頃から、パックスアメリカーナも曲がり角に来ていたことは確かだ。かつてのパックスブリタニカ(英国の 力の支配による平和)を誇った大英帝国の崩壊と同じように、今回のテロ事件を機会に新たな歴史の大 転換点に来たようだ。現在、米国の一極集中主義がテロ事件後は、一層、強まっているように思われる が、米国崩壊の前兆である事態は変わっていない。正に、歴史的一大混乱と改革の到来であり、世界史 的な戦国乱世の大掃除の始まりであろう。そして宙天に鎮座される真の神仏による邪悪な想念の一掃、 廃絶が始まったと言えよう。見えざる真の神仏の力による成敗が開始されたと言うことである。如何なる 評論家でさえも予測すら出来ない程の急激な歴史展開が成されていくことであろう。 追記1: 米国中枢同時多発テロ事件の真相から世界激動を読む(2001年10月29日) 今回テロに会われた方々に対して深い哀悼の意を表するものであり、併せて、テロを実行したり、テロ に協力したり、テロを誘導した連中には強い憤りを感じるものである。テロに会われた方々には何とも気 の毒ではあるが、今回の事件にしても、矢張り、霊的には因果応報の原理が陰で働いているものと思わ れる。すなわち、テロという結果を受けるだけの原因が受ける側にもあると言うことである。知らずの内に、 そうした原因を作りだしているがために招いた結果だと言えよう。事実、8割ほどの米国国民が圧倒的多 数で賛成する対テロ撲滅の風潮の中でも、一部で米国の中近東政策が誤っていたが為にテロ事件にあ ったという指摘も出ているようだ。 因果応報の原理は、黒人の奴隷化やユダヤ人の迫害に関しても、先に示唆したように、自らの行いや 心理に対する原因がもたらした結果であり、因果関係から言っても真理であろう。しかし、自らの間違った 行いや心に対して天罰が下ったと言って何も悲観することはない。天罰とは神が自らの誤った行いや心 を改める絶好の機会を与えたくれたものであると思うべきであろう。即ち、災難や事故の原因を反省し、 行いや心や意識を変革させていけば良いことである。災難は自らの意識の転換を促す意味であり、深刻 に考えて自虐意識に囚われる必要はないであろう。自己の過ちを天の神仏が教えてくれたことに対して、 心より感謝することであり、これを契機にして行いや考え方を改めていくことであろう。 然るに、米国も自分のことを棚に上げて他に責任を転嫁したり、他に対して制裁や攻撃をすることは、 ある程度は外見的にはそれなりに説得力があって共感が得られるかも知れないが、一方では、因果応報 により、また自業自得の結果招いた真の原因を正して行かねば、同じ災難を幾度と無く招来することにな り、根本的な解決にはならないであろう。何も諦めて泣き寝入りをせよと言っているのではない。理不尽な ことに対して相手に制裁を加えるのは仕方ないとしても、他方では自らの行いを振り返って反省して行く ことが求められており、むしろ厳しい自己変革をして行かねばならないと言うことである。 ところで今回の米国中枢同時多発テロ事件であるが、米国が言うように、アフガンゲリラの首謀者であ るオサマ・ビンラデインが直接的な主犯格であることは大いに疑いがあるようだ。彼は、米国に対して聖 戦を呼びかけたに過ぎないものであろう。彼が直接に指揮し具体的な計画を策定して実行命令を下した ものではないであろう。恐らく彼の呼びかけに呼応して、側近の者の仕業か、配下の者の暴走であろうと 現下の諸問題と展望:158 思われるが、真相は今のところ解らない。いずれにしても彼が聖戦呼びかけで間接的には関与していた と思われるが、テロ実行に当たっての直接的には関与していないであろう。ここはオサマ・ビンラデインが 聖戦呼びかけの指令を出した気配が濃厚であろうが、具体的な計画まで指示してはいないであろう。そし て彼を始め、イスラム原理主義者に協力する大きな者が背後に存在しているようだ。 しかし、一方で、どうも米国がテロ攻撃を予め知っていた感も否めない。知っていて故意にやらせたとも 言える感がする。事実、鳥一羽も入れない厳しい監視体制下のペンタゴン上空の防空監視システムを解 除しなければ、容易に民間航空機が突入することなど不可能なはずであろう。また、テロの実行犯の方 にも、アラブ人が関係していたことは間違いが無いが、そのアラブ人の単独犯行と言うよりも、戦闘機の 訓練を受けた経験者によるプロの操縦であることは否定できないようだし、どうも背後で資金的にも技術 的にも、実行においても協力した何らかの大規模な組織の存在を感じざるを得ないようだ。こうした複雑 な背景を分析していこう。 テロ等の犯罪行為における真犯人の特定においては、まずは犯行の動機や原因であり、実行能力で あり、そして、最後に一番得をするのは誰かと言った視点からの総合的な分析が大切であり、これら三者 を総合的に関連させて背景や犯人を追及してみる必要があるようだ。今回のテロ事件においては、アラ ブゲリラ側においては、動機があっても単独での実行能力おいて大きな疑問を感じざるを得ない。それに 従来の身代金や人質解放によるアラブゲリラのハイジャック事件とは、明らかに犯行のレベルや手段を 越えたテロ事件であったことだ。テロ実行の戦術において、遙かに技術的にも発想においても従来のアラ ブゲリラのレベルを超えたものであろう。 ところで、背後関係においては、米国を怒らせて制裁を加え、大損害を与えるだけでは無く、米国を戦 争に引きずり込む勢力の存在が考えられる。米国に多大な損害を与えることが目的ならば、何も犯人は アラブゲリラだけではなく、被害を受けたところが金融、証券関係の米国経済を担う中枢機関が多く入居 する貿易センタービルが対象になったことは、米国と欧州との覇権争いが推測される。そしてその建物が ロックフェラー系の総本山であったことも、意味深いものを感じさせる。ロックフェラーと張り合っている者、 恐らくロスチャイルド系の存在が浮かび上がってくるようだ。しかし、それでも単純化できないようだ。付け 加えると、米国内でもユダヤとワスプの対立が表面化して来たようにも思われる。 また、米国をイスラエルとアラブとの中近東の戦争に引きずり込むことを目的にすれば、イスラエルの諜 報機関のモサドの関与も指摘されている。しかし、イスラエルのモサドがテロを引き起こしたと言うことは、 余りにも、テロ攻撃の被害状況の結果からしても、テロ実行における動機が弱く、合理性が無く現実的で はないであろう。某評論家やイスラムの世界が抱いている単純なユダヤ陰謀説が言うようには、イスラエ ルがテロの実行犯として加わっているとは、余りにも荒唐無稽で現実的には考えられないであろう。過去 の単純な陰謀史観を越えた洞察力が必要であろう。イスラエル犯行説は、恰もかつて日本の真珠湾攻撃 を、米国参戦の口実が出来たことで英国首相のチャーチルが一番喜んだような状況に酷似するもので、 真珠湾攻撃の真犯人を英国に仕立てるようなものとも言えよう。 むしろイスラエルはテロ攻撃に加担したのではなくて、テロを把握しながらも、敢えてテロを積極的に防 止することなく、むしろ適切な対策を米国と共に講じることなく、放置し故意に誘導していったように思わ れる。その狙いは、米国を怒らせて中近東の戦争に誘い込むという意図ないし計算であろう。そして自分 達イスラエル人達は、貿易センタービルでは、テロ事件当日は出勤をせずに災難を回避して行く一方で、 米国人には敢えて教えなかったものと思われる。ところがロスチャイルド系のモルガン・スタンレーの社員 が同様に出勤していなかったのは、逆にテロ攻撃の実行側からの情報によるものであろうと推察できる。 今回、日本の某放送局の論説主幹の記者が、テロ事件当日の貿易センタービル内で、何処の国の、ど の民族の、どの企業の者が死亡したかを追跡調査していたところ、10月15日に、奇怪にもビルから転落 死したと言われているようだ。2日後の17日に公表されるというのも怪しいし、何でも駐車場で死体が発 見されたそうだ。それに第一発見者も解らないそうで警察も深入りしないで捜査を打ち切ったそうだ。自 現下の諸問題と展望:159 殺するにも動機や心当たりもなく、恐らく何者かによって暗殺されたのではないかとも噂されているようだ。 既に某新聞報道では、国別の死亡者の人数は、テロ事件直後に報道されたてはいたようだ。ここに来て、 更に詳細な調査を他のマスコミが調査を開始した矢先のことだった。何やらケネデイ暗殺の事件を思い 起こさせるようだ。 そして、テロ事件後に、イスラエルの前首相が、うっかりと「これで米国が中東戦争に参加しやすくなっ た」と漏らしていたり、イスラエルのパレスチナに対する攻撃が激化してきた状況や、アラブ全体との戦争 に米国を引きずり込む野心や意図を露骨に表面化してきたイスラエルの行動を観察すると、やはりテロ 攻撃を内心歓迎しているものと感じられ、イスラエル人がテロ事件当日に一人も出勤していなかったこと に加えて、ここにイスラエル首謀説の大きな誤解や憶測を生む原因ともなっているようだ。イスラエルが 米国を中近東の戦争に巻き込む為に、テロ事件を歓迎しているとの見方はこれはあながち、誤り偏って いて、うがった見方と言う訳でもあるまい。 ところで、テロ事件が発生した9月11日は、占星術や数秘術による数字で言えば911になるが、これ は米国では日本の救急番号119と同様の救急番号を示すものであり、緊急事態発生を告示する魔力的 な意味を持たせたようだ。何やら悪魔崇拝の秘密結社の黒幕の存在を思い起こさせるようだ。そして、今 回の事件でも、特に重要な数字は「11」であるようだ。この「11」は巨大なツインタワーの形状を示してい ることに気付くであろう。事件が起こったのは、9月「11」日で、9+1+1は、やはり「11」となる。また9月 11日は1年の254日目に当たり、2+5+4は「11」である。そして1年の残りは111日で、これは「11」 を二つ重ねたものだ。更に、地名や建物名の、New York City, Afghanisitan, The Pentagon は、全てア ルファベット数で「11」文字であるようだ。 そして、ハイジャック機の乗客数はそれぞれ65人(6+5=11)と92人(9+2=11)、イラクやイランと 国際電話番号は1+1+9でやはり「11」であるようだ。またブッシュ大統領は半旗を「11」日間掲げるよ うに指示したそうだ。更に黙示録に出てくる「獣(けだもの)」を表す数字も出て来るようだ。例えば、二機 目の飛行機は正確に18分の間隔でビルに突入したが、18=6+6+6で悪魔の数字の666が登場す るようだ。また、「13」もあるようだ。崩壊したツインタワーの高さは1300フイートで、こうしたことの全て が、この世の終わりと救世主の再来が近いことを示しているとも読めるようだ。なお、2001年は米国の 金利引き下げや公定歩合の引き下げも「11」回となるようだ。 さて話を戻すと、今正に、今回のテロ事件前までは、世界は米国の独り勝ちであり、政治、経済、軍事 において圧倒的なパワーを誇り、気儘で勝手な行動も目立っていたのは確かであろう。植民地支配にお ける責任を追及する人種差別条約に対する反対、地球温暖化への対応における京都議定書からの一方 的な離脱、更には、冷戦の崩壊と共にエシュロンを全世界に張り巡らせて、軍事情報を経済情報を合体 化させて、正に経済戦争を全世界に仕掛けてきているのが公然とした現状であったことは多くの識者によ っても知られていることであり、欧州諸国からも可成り嫌われていたことも事実であろう。 また、米国はアラブとイスラエルとの対立に関して、極端にイスラエル寄りであるが、その米国と異なり、 欧州とアラブとの関係においては、アラビアのロレンス以来の友好関係があることもよく知られていること だ。米国のイラク攻撃においても、フランスなどは快く思っていなかったし、武器の売却先としてもアラブに は好意的であり、欧州がアラブゲリラに対して同情し、有形無形の支援をしていることがあり得るとしても、 不自然にも思えないであろう。それに、オサマ・ビンラデインの出身地であるサウジアラビアや、イスラム 原理主義の多いパキスタンも好意的であり、何らかの支援を陰で行っているように思われる。政府は、オ サマ・ビンラデインに同情的な国民と、テロ撲滅の外交圧力との両方から挟まれて苦しい対応を迫られて いると言えよう。 ところで今回のテロ事件は、恐らく、オサマ・ビンラデインの配下や側近の仕業か、それ以外のイスラム 原理主義者のアラブ人の単独の犯行と言うよりも、背後で犯行者に協力してテロ犯罪を実行せしめた勢 力の存在が強く浮かび上がってくるようだ。先述したように、一つは横柄で覇権主義的な米国を叩き潰す 現下の諸問題と展望:160 といった勢力であり、一つは米国を中東を中心とした戦争に引きずり出すといった勢力であろう。これらが 知ってか知らずか、神の仕組みにより、協力関係になって実行したものであろうし、テロ対象となった米国 に関しては、災禍を引き起こすような悪魔を招き寄せた邪悪な想念が充満していたと言えるだろう。 どうしても、プロの戦闘機の経験者が関与したとしか思えない実行能力から言うと、米国内の極右武装 組織や欧州の某巨大勢力組織の陰が付きまとって来ざるを得ず、実際、そうした指摘をする者もいるよう だ。しかし、一部の評論家やイスラムの世界から指摘されているようなイスラエルのモサド機関が、米国 と共に自作自演して実行したことはあり得ないであろう。むしろ、テロ攻撃を正確に把握しておきながら、 敢えて放置して誘導し、テロ攻撃を故意にやらせたものと思われるのであり、テロに加担したり、自ら実行 したものとは言えないであろう。むしろアラブと親密な欧州系の、特に英国のロスチャイルド系が加担し協 力して行ったと見た方が良いであろう。 ところで、今回の自爆テロで生命を平然と捨て去るのは、狂信的な宗教的行動であるから、イスラム教 徒の仕業であると決めてかかっているが、彼らが関与したことは言えるが、必ずしも彼らの単独犯行でも ないであろう。一途で無鉄砲にも見える自爆テロ攻撃により、自らの生命を投げ出すことが出来るのは、 何も宗教的な殉教精神の持ち主だけでは無い。生命を賭けることを使命感としている職業軍人もその範 疇に入るであろう。もっともサラリーマン化した軍隊では殆どあり得なくなってきているようだが、プロの軍 隊組織では、自らの生命を投げ出すような厳しい訓練と共に、テロなども簡単に実行できると言えよう。 換言すれば、戦争もテロも同じ範疇のものであるからだ。それ故にテロを戦争行為と判断する結果になっ たとも言えよう。 そして、今回のテロ事件を仕掛けられた米国自身の方にも、特にワスプ系、軍産複合体の方にも、テロ 攻撃を予め予想し、可成り正確に情報を把握していた節があり、故意にテロの犯行を誘導し実行させたと 思われる面がある。鳥さえ入れないペンタゴン上空に易々と民間の航空機が突入できることは、しかも、 テロ飛行機が進路を変更してから30分から45分間も何もスクランブルの発進もなかったと言う。 4機目が墜落したのは戦闘機のスクランブルにより撃墜されたとかの噂も流れているが、それは、搭乗 していた乗客の一人が携帯電話により貿易センタービル突入の事件を知り、犯人グループに対して必死 になって飛びかかっていき乱闘した為の墜落であったようだ。スクランブル発進は無かったようだ。なお、 この4機目の飛行機が狙っていた対象はピッツバーグ近郊の原発であったと言われているようだ。 さて、民間機が、警戒厳重であるべき区域に簡単に突入できたということは、誰かがペンタゴンやニュー ヨーク上空等の防空監視システムを解除し、スクランブル(緊急)発進をも禁止していたと言うことであろう。 恐らく最高権力者か、スパイの仕業であろう。スパイの仕業であれば、最高権力者からの操作命令が出 されているべきであろう。そうした行動に出ないところを見ると、自ずと誰が監視システムを解除しテロを 故意に誘導し実行させたかが理解できるであろう。最高権力者自らの機密指令があったと思われても仕 方あるまい。 そして、管制塔も知りながら協力し、貿易センタービル内部からも誘導して、パイロット自身もGPS装置 により正確に激突させていたようだ。あれだけの正確さで突入し激突させるには、実行においてパイロット 側にもビル側にも、そして管制塔側にも、暗黙の了解があって強力な協力体制があったものと思われる。 しかし、一方で予期しない事件として、背後に真の神仏により知らずの内に天罰が働いたようである。事 実、オサマ・ビンラデインも航空機が激突した上の部分ぐらいが倒壊するであろうと予測していたが、まさ か全壊するとまで思っていなかったようである。これは米国のFBIも同様な感触を得て目下捜索している ようだ。即ち、90階から100階に掛けての鉄骨の収集による分析である。その折りには、耐火被覆が施 されていなかった事や床の強度不足や接合構造の不合理性等も含めて様々なことが解明されるであろう。 ところで、そのような背後や経緯からも何となく解るように、ここにテロ攻撃を誘導し放置した側に大きな 誤算があったようだ。即ち、過去の1895年のメーン号事件のスペインとの戦争や、1935年のアラモの 砦の戦い後のメキシコとの戦争や、1941年の真珠湾攻撃事件後の日本との戦争のように、予め、自ら 現下の諸問題と展望:161 が犯行に及んで相手の犯行に仕業にしたり、相手に先制攻撃をやらせるようにして故意に犯行を誘導さ せて、その後に国民の意思を一つに纏めて一丸となって反撃を試みる従来のパターンに比べて、即ち、 予め、損害や被害の大きさの予想が把握できたことに比べて、今回はその予想を遙かに越えたものとな ってしまい、大きな誤算があったと言えよう。 恐らく、テロを予め知っていながら誘導し放置した米国は、背後の強力な協力者の存在、神による天罰 の意志にまでは思い至らなかったのであろう。それ故に、予想さえしない甚大な損害を被ることになった のであろう。過去の「何々を忘れるな」の掛け声のようには、柳の下には最早採れるドジョウはいないであ ろう。今回は過去の歴史には無い天罰による神仕組みが働いたからである。恐らく、米国はテロ事件の 真の背景に関しては、今でも全く気付いてはいないのではないかと思われるが、その内、次第にテロの 見えざる背景に気付いて来るであろうと思われる。 ところで強い霊感のある者の確信が持てる霊視によると、テロ事件でハイジャックされた航空機の操縦 席のコックピットに二人が座っている姿が見えるという。一人は主操縦席で鼻の高い白人の米国人であり、 他は副操縦席のアラブ人であるという。この白人がどういう人物かは現段階では明言出来ないが、米国 政府自身の手の者か、外国系の某組織の米国人か、それとも国内の某組織の民間人かは定かではな い。新聞でも報道されたように、犯人は飛行機内で流暢な英語を話していたと言うことが、スチュワーデス からの携帯電話で確認されているようだ。米国系の白人が操縦していたという霊視は、この事実ともうま く符合して理解することができよう。 恐らく、このコックピットのアラブ人と白人の二人は、それぞれイスラム原理主義者のサウジアラビア人 と、英国のロスチャイルド系と米国の軍産複合体、ワスプ系の二重スパイの米国人であろうと思われる。 サウジアラビアのイスラム原理主義者の過激派と英国のMI6系乃至軍産複合体系の者であり、両者の 複雑な協力関係が浮かび上がって来そうだ。そして背後にはロスチャイルド系ユダヤが強く関与している 姿が見えるようだ。勿論、オサマ・ビンラデインが対米聖戦の指令を出した張本人で、間接的に大きく関 係しているのは言うまでもない。彼の出身もサウジアラビアであり、英国との繋がりも深いものがあるよう だ。米国FBIも今回のテロ事件犯人の容疑者には、サウジアラビア人が多数入っていることを確認してい るようだ。 更には、ブッシュ大統領個人も、ワスプ出身であり、反ユダヤであり、テキサスの資源や石油資本をバ ックにし、軍産複合体を従えて、事件の真相を知ってテロに大きく関与しているような背景が見えるようだ。 ブッシュ政権になってからは、米国ではユダヤ勢力が圧倒的に強いにも関わらず、政権内には、次官クラ スはいるようだが、閣僚や補佐官にはユダヤ人が一人もいないのもかつて存在しない状況ではないので あろうか。勿論、ロックフェラー系のユダヤ人のキッシンジャーやブレジンスキーの門下生はいるが、直接 のユダヤ人ではない。何やら不思議な感じがするし、案外、今回のテロ事件の背後関係を推測させられ るようだ。 今回テロを受けたのは米国の政治、経済、軍事の中枢であり、何も無差別に一般市民を狙ったもので はないだろう。その証拠に軍事の中心としてペンタゴン、経済の中心として貿易センタービルであり、そし て政治の中心としてホワイトハウスであったものであろう。ホワイトハウスには至らなくて、ピッツバーグ近 郊で墜落したが、何も原発が目当てでは無かったと思われる。それにピッツバーグ近郊で墜落した航空 機は、政府が公表しているように、乗客とテロ犯人との格闘が原因であったものではなく、実に、スクラン ブル発進していった戦闘機により撃墜されたものであろう。米国政府も戦闘機の発進を認めており、ただ 間に合わなかったと言っているようだ。 そして何よりも最も被害が大きかった経済の中枢が、ロックフェラー系ユダヤ資本の貿易センタービル で金融、保険、証券関係の建物であったと言うことは、何やら、ブッシュ大統領の背後にいるテキサスの 資源、原油、エネルギー関係の実物経済界と、ニューヨークのマネー経済界との争いとの図式も見えて 来そうだ。更に言えば、ワスプとロックフェラー系ユダヤとの争い、ロスチャイルドとロックフェラーとのユダ 現下の諸問題と展望:162 ヤ同士の内部分裂の争い、イスラムとロックフェラー系アシュケナジーユダヤとの争いであろう。 これらが実に複雑に絡み合って引き起こされたものであろう。いずれにしてもテロ攻撃を受けたのはロッ クフェラー系のアシュケナジーユダヤであり、そして間接的にイスラエルも殆どがアシュケナジーユダヤで テロを受けた対象であり、更にテロを仕掛けたのはイスラム原理主義とロスチャイルド系のスファラジー ユダヤであり、テロを知って協力したのがワスプ勢力とCIA(特に反シオニスト系とロスチャイルド系のグ ループ)と米国の軍産複合体であったと言うのが正解のようだ。 もっと正確に言えば、テロ攻撃を受けた対象は、米国のアシュケナジーユダヤであり、その中核はロック フェラー系を中心とする金融資本であるが、更にこのアシュケナジーユダヤにも、親イスラエル派(シオニ スト)と反イスラエル派(反シオニスト)に分かれるようだ。即ち、シオニズム派と反シオニズム派である。 今回のテロは、このシオニズム派(シオニスト、親イスラエル派)のアシュケナジーユダヤが狙われたと言 えよう。そしてテロを実行した連中は、イスラム原理主義とロスチャイルド系のスファラジーユダヤと、英国 MI6、米国の一部のワスプ勢力と、米国の軍産複合体とCIAの一部の実に複雑に絡み合った協力関係 であろう。反シオニストは米国のCIAの中にも多くいるようだ。なお、米国CIAには、ロックフェラー系のシ オニスト系と反シオニスト系があり、そしてロスチャイルド系があり、大きく三グループに分かれるようだ。 こうしてみると実に複雑な構造になっていることに気が付くであろう。 ところで、今回のテロ事件により、マスコミの殆どが米国のニューヨーク等のテロ現場やアフガン戦争の 爆撃現場に囚われた報道をしているが、あくまでもそれらはテロ事件の結果の場所である。テロを産んだ 真の原因は、テロ発生現場の米国でもなく、報復戦争の現場のアフガニスタンでもなく、実にオサマ・ビン ラデインの故郷であるサウジアラビアにあると言えよう。アフガニスタンはそのままサウジアラビアが反映 されたものと言えよう。テロを産みだした背景は、実に腐敗し切った王政のサウジアラビアの国内事情、 国内における貧富の差の拡大、そして中近東の原油利権を管理し支配している米国の存在に、特に米 軍基地の存在にこそあると言えよう。 オサマ・ビンラデイン等のイスラム原理主義者にとり、今回、テロ攻撃の行った動機は、当然ながら何も 米国に戦争を仕掛けて米国を占領することでもあるまい。その狙いはサウジアラビアを中心にしてイスラ ム諸国に軍隊を展開している米国を追い出すことであると言えよう。そして、そのサウジアラビア内のイス ラム原理主義者の米国追放の動機は、米国の支配する前のサウジアラビアを始めとする周辺のイスラ ム諸国の覇権国であった英国と利害が一致するものとも思われる。また、欧州は石油以外は自給自足で きる経済圏ではあるが、石油確保のためにアラブとは対立関係になり得ないのも事実である。換言すれ ば、米国のロックフェラー系に対する英国のロスチャイルド系とのサウジアラビアや周辺諸国の原油利権 を巡る対立であろう。 そして、霊感ある者によると、今回のテロ事件で霊視により浮かび上がってくるのは、オサマ・ビンラデイ ンと、ブッシュ米国大統領と、そしてアメリカの三つのキーワードであるらしい。これらはイスラム原理主義、 ワスプと軍産複合体、米国内ユダヤ勢力を指摘しているのであろう。これらを結んで背後関係を考えるこ とが真相に迫ることが出来るようだ。テロを引き起こした犯人と、敢えて知って犯罪を誘導させてやらせた 者の、一種の協力関係が知らずの内に神仕組みにより行われたと言えるであろう。 イスラム原理主義者とワスプと軍産複合体が協力してロックフェラー系アシュケナジーユダヤ、シオニス トユダヤを叩いたのが真相であろう。そして背後でロスチャイルド系スファラジーユダヤがテロ攻撃に協 力したと言うことであろう。当人同士は積極的に共謀したわけでもないのに、知らずの内に神により運命 付けられて、破滅に導かれて行ったものであろう。極めて出来すぎた事件であったと言えよう。 オサマ・ビンラデインとブッシュ大統領の父親はCIA長官として、麻薬取引においても、かつての協力者 同士であり友人であった。その為に、知った間柄であることに加えて、今回は、パナマのノリエガ将軍を麻 薬取引の協力者として知り過ぎた邪魔者として消していったように、オサマ・ビンラデインも仲間割れの結 果として邪魔者として排除されかかったように思われる。アフガニスタンの国内事情から言っても、大した 現下の諸問題と展望:163 資源もなく専ら麻薬販売が外貨獲得の手段でもあったようだ。米国CIAも諜報活動の資金を獲得するた めにも、議会を通さないで済む活動資金の入手として、麻薬取引による裏金作りをしていたようだ。 米国は、既に1997年頃からイラン、ロシア、パキスタン等からタリバンに関する様々な情報を得ており、 テロ事件の前の1年前頃には、アフガン戦争は既定路線として計画されていたようである。そのアフガン 戦争の開戦も既に10月頃に決定していたらしいとの情報もあるようだ。その為にテロを仕掛けた側に先 手を打たれたとも言われているようだ。そうしてみると、テロ事件直後から、オサマ・ビンラデインを確たる 証拠もないままにテロの犯人と決め付けて、大規模な戦争を準備し展開していった早業にも納得し理解 できるというものだ。 ところで、ロックフェラー系の企業が多数入居する貿易センタービルに、テロ事件の当日、4千人ものイ スラエル人が一人も出勤していなかったとか、また、欧州のロスチャイルド系のモルガン・スタンレーの社 員が一人も出勤していなかったとかの事実は、テロに加担した背後関係は、モルガン・スタンレーと関連 する者の存在が考えられるし、また、イスラエル関係では、イスラエルのモサド機関が正確なテロ情報を 把握して、事前に災難を回避し得たものであろう。イスラエルがテロに加担したとか、米国の自作自演で 引き起こしたとかのイスラエルの陰謀論や米国の軍産複合体の陰謀論は、単純に当てはまらないであろ う。イスラエルのモサド機関とロックフェラーとはアシュケナジーユダヤで通じるものの、イスラエルのモサ ド機関と、米国のワスプや軍産複合体とでは利害が対立するからである。 また一方で、よく一部の評論家の間でも陰で指摘されているように、世界を統一して全人類を管理して 行こうとするワンワールド計画の世界統一政府を目指す陰の陰謀めいた政府組織が存在すると言われ ているが、このワンワールド計画の影響もある程度は感じられるようだ。俗にフリーメーソンとか、イルミナ テイとか、三百人委員会とか言われている闇の結社であり、国連を支配し世界統一政府の樹立に邁進し ている連中の存在であり、CFR(米国外交問題評議会)、TC(日米欧三極委員会)、英国王立国際研究 所などの組織の構成メンバーに多いようだ。なお、日米欧三極委員会の会合は毎年定期的に開催され ており、そのメンバーには日本人の企業幹部や大学研究者や政治家等の有識者も何人か参加している ことにも注目する必要があろう。 さて、このワンワールド計画の闇の陰謀勢力が関与していると言った従来の単純な陰謀史観によったと しても、被害の大きさから言っても納得の行かない点が余りにも多すぎるのではないだろうか。即ち、肝 心の米国の経済の中枢が攻撃され、陰謀組織を支えていると疑われているロックフェラー関係の企業が 大きく損害を被ったことは説明が全く付かないであろう。何故なら、当のロックフェラーこそがワンワールド 計画を支配し深く関係している中枢であると思われているからだ。俗に言うイルミナテーと言った闇の陰 謀勢力の中枢が実にロックフェラーであるからだ。 当方の観察によれば、ワンワールド計画による陰謀が存在するとしたとしても、その陰謀勢力による世 界統一化、全人類の奴隷化の戦略は、次第に破綻して行くことになるだろう。今回の事件で何となく推察 できることは、ワンワールド計画の陰謀組織の内部的犯行であり、内部対立が表面化したものであろうと 思われることだ。正に、陰の世界統一政府を支えていると噂されるロスチャイルドとロックフェラーの両巨 大財閥同士の反目乃至対立であり、覇権争いが表面化してきたのではないかと思われる。その結果、欧 州とアラブの利害が一致して、それに米国内のワスプ勢力、軍産複合体が協力し、米国のロックフェラー 系ユダヤ攻撃になったのではないかと思われる。つまりはロスチャイルド系が何かが災いしてロックフェラ ー系に制裁を加えたと言うことだ。しかし、当のロックフェラー系は何も気付いていないと言うところであろ うか。 即ち、換言すれば、欧州合衆国とアメリカ合衆国との覇権争いであり深刻な対立が極限状態にまで来 たものと思われる。つまりワンワールド計画の陰謀組織の中枢が、米国を牛耳る陰の勢力を、特にロック フェラーを切り捨てにかかったのではないかと思われる。その結果、欧州の陰の勢力であるロスチャイル ド系がアラブのイスラム原理主義者を利用して、或いはアラブに協力して行ったものと推察される。そう言 現下の諸問題と展望:164 えば、先述したように、欧州とアラブとは、米国と大きく異なって、極めて有効な協力関係、信頼関係が歴 史的にも出来ているようなのも、テロ事件の協力者と言った背後や背景を理解するのに大きく役立つと言 えよう。米国が中近東に覇権を確立する前は、英国が支配していた事実を思い起こすべきであろうし、今 でも影響力を有していることも改めて留意すべきであろう。 なお、英国の力を過小評価しては判断を大きく誤るというものだ。大英帝国は依然として健在なのであ る。目下、エシュロンという諜報システムを張り巡らしている英国、米国、カナダ、ニュージーランド、オー ストラリアはかつての大英帝国のメンバーである。そしてオーストラリアなどの国家元首は実に英国女王 なのである。そして米国も、実に経済的、政治的、そして軍事的に英国を支配するロスチャイルドの植民 地である。米国のロックフェラーといえども、ロスチャイルドの手下であり配下なのである。なお、英国自身 は欧州と米国との二重スパイ適役割を演じているとも言えよう。 更に米国の連邦準制度備銀行の株式もロックフェラーが表面上は保有しているが、実質的には、ロス チャイルドの支配する英国銀行が管理しているのである。中近東の覇権も第二次世界大戦前までは、否、 湾岸戦争前までは、英国が覇権を握っていたのである。それを米国が進出して覇権を奪って、サウジア ラビアに強力な軍隊を駐留させている結果に至っているのである。こうした背景を考慮することによって 真犯人の協力関係が浮かび上がってくるようだ。即ち、ロスチャイルドの国際金融資本の支配する英国と サウジアラビアのイスラム原理主義者の接近であり協力である。 ところで、今回、一部の評論家が指摘するように、ロスチャイルドとロックフェラーとの対立と言うことは、 換言すれば、世界的ユダヤ系大財閥同士の対立であり、本来のユダヤの有色系のスファラデイーユダ ヤと、偽ユダヤの白人系のアシュケナジーユダヤとの対立であり、新たに2002年1月から通貨統合で 発足するヨーロッパ合衆国と、アメリカ合衆国との覇権争いであろう。これまでの歴史的な邪悪な権力や 悪事が次第に崩壊していく予兆を痛感せざるを得ない。正に、世界の最高の権力を、政治経済、軍事の あらゆる面にわたって一手に把握し、好き勝手にある意味では世界に君臨してきた米国は、今回の事件 を通じて連邦国家破産の運命を辿っていくことであろう。 なお、ロックフェラーが切り捨てられるようなことになったのも、実に因果応報であり自業自得であり天罰 であろうと思われる。最近はロックフェラー家の家族に精神異常者が続出していると言われるし、事業も 衰退気味であるらしいのも、正に天罰が下りつつあると言えよう。ロックフェラーは一説によると、幼児を 誘拐して生け贄にし、生き血を吸うようなカルト的な悪魔崇拝の宗教儀式をしているそうだ。それが真実 とするならば、正に真の神仏により天罰が下り、次第に衰退の運命を辿っていると言えよう。一方のロス チャイルドの方は悪魔崇拝をし陰謀を企てることはあっても、そうした悪魔崇拝の為の生け贄の儀式は無 いようだ。実に、欧州のロスチャイルドよりも、米国のロックフェラーの方がイルミナテーの陰謀組織を構 成して、悪魔崇拝の儀式を未だに継続して実施して、邪悪な悪魔的陰謀を張り巡らしているようだ。 ここで、先述したユダヤ人同志の内部争いが噴出したと思われる背景について一言述べておこう。ユダ ヤ人には、本来のユダヤ人と偽ユダヤ人がいることは、最早、歴史的にも周知の事実であろう。即ち、1 0世紀の頃に、中央アジアのカスピ海北方付近に、カザール人が建設したカザール帝国があったが、周 囲のキリスト教系のビザンチン帝国とイスラム教系の国とに挟まれて、国家存亡の危機に直面していたと きに、両者の顔を立てて無理が利くように、どちらにも偏らないと言うことでユダヤ教に改宗した連中が居 た。 最後は蒙古帝国により侵略されて周囲に散りじりになっていったようだ。それが白人のカザール人の偽 ユダヤ人であり、主に東欧に住んでいたが、ヒットラーにより追放され、戦時中や戦後においてアメリカや イスラエルに移住していった連中だ。現在、キッシンジャー元国務長官やブレジンスキー元大統領補佐官、 オルブライト前国務長官、ロックフェラー等に見られるように、米国にいる多くのユダヤ人であり、世界の ユダヤ人の90%を占めており、イスラエルでも上級支配階級を形成しているようだ。 一方の本来のユダヤ人は、アフリカ北部や欧州、ロシア等に散らばっていたが、イスラエル建国と共に 現下の諸問題と展望:165 帰国したが、現在のイスラエルでも下層階級を余儀なくされていて、主流は欧州に多く生存しているよう であり、代表格はロスチャイルド系のユダヤ人であるようだ。ロックフェラー系の偽ユダヤ人は、アシュケ ナジーユダヤと言われ、一方のロスチャイルド系ユダヤは、スファラデイーユダヤと言われるようだ。そし てスファラデイーユダヤが、他のアシュケナジーユダヤに対して、その横柄さや高慢さに我慢の限界に達 しつつあったことは否定できないようだ。 それに偽ユダヤに対する真実が次第に暴露されつつあることも感情的な対立に拍車を掛けつつあった ようだ。今回のテロを通じて直感したことは、歴史的な柵(しがらみ)を精算するべく、神仕組みにより、ユ ダヤ系同士の本物と偽物との内部対立、陰謀組織の内部崩壊が表面化したと思われる。なお、参考まで に、現在の駐日イスラエル大使のイツハク・リオール氏は、色黒く典型的なスファラジーユダヤで極めて 温厚な人物である。 さて、今回のテロ事件において、被害を受けた米国側にしても、特に軍産複合体の要請から、テロ攻撃 を故意に放置し誘導して、大規模な戦争を期待する思いがあったのは否定できないようだ。米国は軍と 産業とが堅固に結託して軍産複合体を構成し、国家の意思に強く関与しているようだ。即ち、軍産複合体 からは、10年に一度の大きな戦争をして行かねば軍事産業が維持できないと言う要請もあったようだ。 恰も日本が公共工事を継続して行かねば、建設産業や地元経済が維持できない構造が堅固に出来上 がっているのと同じように、米国も大規模な戦争を定期的に起こしていかないと、軍事産業が維持できな い宿命的な構造に陥っているようだ。正に、全ては資本の論理からの要請により、裏の国家の意思や行 動に関する仕組みが理解できよう。 恐らくそうした真の神仏による波動を,2000年に入る前に、ロスチャイルド系スファラジーユダヤやバ チカン当たりにいる超能力を有した霊能力者共が知って青ざめ、急遽、自分たちも崩壊の巻き添えを食ら うことを極度に恐れて、コンピューター2千年問題を中止したようだ。そして2000年正月に、悪魔崇拝の 対象である大魔王のルシファーの、この地上界からの消滅の事態を知って更に驚愕し、2000年1月末 頃に、2000年来の宗教的対立に終止符を打つべく、ローマ法王が中近東に和解や懺悔の旅に出たも のであろうと思われる。 こうした非常事態の深刻さについて何も知らない米国のロックフェラー系のアシュケナジーユダヤのシ オニスト派の横暴さに対して、自分たちも真の神仏による天罰を喰らうことへの恐怖から、バチカン帝国 を中心にロスチャイルド系ユダヤが協力して、米国のユダヤに対する制裁へとなって、今回の制裁テロに 繋がったという見方も出来よう。やられたロックフェラー系は今でも何も気付いていないと言うことであろう。 イルミナテーの闇の陰謀組織の実態はロックフェラー系である故に、見方を変えれば、仲間割れとして、 神仕組みによる陰謀潰しとも言えるであろう。 目下、陰謀史観を展開する大方のユダヤ国際資本の研究者にしても、今回の米国テロ事件の犯人や 真相に関しては、シオニストユダヤ(米国のロックフェラーを中心とするアシュケナジーユダヤ)の陰謀で あると言及しているが、真相は全く逆であり、反シオニストユダヤによるシオニストユダヤに対する制裁で あり、攻撃であり、謀略戦であると言えよう。従来の真珠湾攻撃に見られる自作自演の謀略の延長では、 真相を推し量ることは出来ないであろう。余りにも自らの被害が大き過ぎるからだ。実に、シオニストユダ ヤ自身が攻撃を受けたという素朴な原点に立ち返らなければ、真相は見えてこないであろう。 さて、テロ事件後の炭疽菌騒動に関しても、既に米国政府の捜査当局は、可成り高度に加工した超微 粒子粉末が使われており、極めて国家的レベルや規模での専門家が関与しているとの見方をしているよ うだ。現在、炭疽菌を製造できる国家は米国、英国、ロシア、そしてイラク、東欧等と極めて少数である。 そうすれば最早、オサマ・ビンラデインやアラブゲリラの単独の仕業を遙かに越えていると言えるであろう。 もっとも、旧ソ連が崩壊したときに、大量の科学者が兵器や技術を持ち出しており、行方不明のアタッシュ ケースに入る核兵器や細菌兵器等のハイテク兵器が数多く紛失し、アラブゲリラ等に渡っている可能性 は否定できないであろう。それが米国に潜入していることも否定できないであろう。 現下の諸問題と展望:166 しかし、今回の炭疽菌は、ロシアやイラクが外部から米国内部に持ち込んだ可能性は何とも言えない。 米国の捜査当局の捜査では、炭疽菌は米国内部で加工乃至調達されたことが濃厚であるらしい。それ から言うと、オサマ・ビンラデインやアラブゲリラの仕業に見せかけて、彼等を犯人に仕立てて、新たなテ ロ攻撃を仕掛けて来ているような図式が浮かび上がってくるようだ。即ち、炭疽菌事件に限っては、アラブ ゲリラの仕業では到底あり得ないのではないかと思われる。米国政府の間でも、過去に爆破事件や各種 のテロ事件に関与してきた超右翼の反ユダヤの武装組織のミリシア等の関与を疑い始めているようだ。 ところで、旧ソ連がアフガニスタンに10年間も関わって国家が経済的にも疲弊したのと同じように、アメ リカもアフガンでの戦闘が長期化すると経済が破綻するだろう。ただでさえ、テロ事件前においても景気 が後退局面にあったが、テロにより、一段と消費も停滞し、景気や経済活動が大きく縮小してしまったよう だ。テロ事件後1か月で株価もテロ事件前にまで回復したとは言うが、戦争が長期化すれば景気に与え る影響が深刻になってくることであろう。とても戦争が景気を回復するような過去のシナリオがそのまま当 てはまるほど甘くはないようだ。 なお、旧ソ連も、10年にも及ぶアフガン戦争により経済が破綻していった結果、1991年には、旧ソ連 からロシアに国家崩壊してしまった経緯は良く知られている歴史的事件であった。旧ソ連の経済的破綻 は、ベルリンの壁の崩壊にも影響を与え、その結果、東西ドイツが統一できたという事態をもたらした。日 本も恐らく、東西ドイツの統合、ドイツの自立、独立と同様の事態に向かっていくことを大いに参考にすべ きであろう。恐らく、日本にも、同じ運命や結末が待っていると言えよう。即ち、日本の自立や真の独立の 機会が急迫しつつあると言えることだ。米国に軍事的にも経済的にも忠誠を尽くせば、対等の扱いになり、 真の独立を認めて貰えるような錯覚を捨ててかかることであろう。むしろ、米国が経済的にも政治的にも 崩壊してこそ、軍事的にも維持できなくなり、そこで初めて日本の真の独立があると言えよう。 それは、米国の占領政策の崩壊であり、その空隙を狙って内乱化や、外国の侵略が行われる危険性も あり、正に一触即発の危険性、亡国の危機が迫っていることは確かであろう。即ち、米国と共に崩壊して 行き、国家社会の崩壊に至るのか、それとも、我が国独自の真の独立、自立の道を実現できるのか、更 には、中国などの新たな属国になるのか、正に亡国の危機に直面していると言えるであろう。もしも中国 の支配下に陥れば、第二次世界大戦の時の恨みを晴らすように、現下のチベットに見られる大虐殺のよ うな極めて過酷な運命が待ちかまえていることであろう。しかし、そうした大混乱の痛みを経験して行かね ば、日本民族の真の意識改革があり得ないであろう。他国によって独立を与えられたり、保証されると言 ったものではないことを改めて思い起こすことであろう。 さて、2002年からEU(欧州連合)の通貨統合も始まるが、恐らくこの雄大なる実験は破綻に終わるで あろう。ドイツを封じ込めて作ったEUのつもりが、逆にドイツにEUが乗っ取られた結果になりつつあるか らである。フランスとドイツとの歴史的な啀み合いが再度表面化して対立が始まるであろう。それに英国 が絡んでいる。そもそもラテンとゲルマン、またアングロサクソンとでは民族的にも合わないであろう。ま た米国合衆国に匹敵するほどの第二の超大国にも相当する古代ローマ帝国のような覇権国家が誕生し ては世界にとって有益とはならないであろう。アメリカ合衆国の覇権が、ヨーロッパ合衆国(EU)へと移行 することになるのでは、真の世界の平和は訪れないであろう。今回のテロ事件の背後に、そうした米国と 欧州の覇権争いがあると思われることは、先に指摘した通りである。 今後の米国とアラブやイスラムとの戦いは、正に従来のような国家同士の戦いではなくて、相手が何処 に存在するかも解らず、全世界に散らばっているテロ組織であるし、何をもって戦争に対する勝利とか戦 争終結というのか解らないほどの、果てしない泥沼化した戦いとなっていくことであろう。正に新しい戦争 の形態の出現とも言えるであろう。長期化さざるを得なくなることは目に見えているが、正に、アメリカ一 極集中主義の支配体制の崩壊であり、パックスアメリカーナ(アメリカの力の支配による平和)の終焉で あり、米国の衰退乃至衰亡への序曲の始まりであろう。 実に、2001年9月11日を境にして、世界の歴史の流れ、歴史の展開の速度、人類の意識は大きく変 現下の諸問題と展望:167 わったと言えるであろう。案外、ノー天気で変わらないのは日本だけかも知れない。これからは歴史的に も大変な時代に突入して行くが、全ては新しい改革への始まりと言えよう。米国のロックフェラー系ユダヤ と欧州のロスチャイルドのユダヤ系とのワンワールドの世界統一政府内部での対立の激化であり、米国 内のユダヤとワスプの勢力争いの激化であろう。 それに米国の軍産複合体を中近東に誘い込むイスラエルの諜報機関のモサドが、テロ事件を逆に利 用していくといった戦いが陰で演じられよう。米国のロックフェラー系ユダヤを叩く勢力、即ち、英国ロスチ ャイルド系ユダヤとイスラム原理主義勢力と、米国が戦争を引き起こして覇権を確立しようとする勢力、 即ち、一部のワスプと軍産複合体勢力との共同合作の謀略的な行動であろう。それらは総て神仕組みに より知らずの内に、協力し内部対立に押し込まれて自滅、崩壊の道を辿っていくことであろう。 案外、彼等の思惑を離れて、真の神仏の成敗が下るようになるであろう。背景がどうであれ、国家社会 の崩壊や改革に向けては歓迎すべきことと言えよう。正に世界はテロ事件を境にして歴史が大きく転換し たとも言えよう。経済万能から軍事中心へ、そして、米国の破綻が顕著に現れていくことであろう。後述す るように米国連邦崩壊は2005,6年頃となるであろう。世界的な経済的な大混乱、これまでの秩序の大 崩壊時代への突入であろう。ある面では、世界が雨降って地固まる結果に至る大きな痛みかも知れない。 実際に、テロ事件を通じて一挙に対立や争いが陰に隠れてしまったようにも思われる。 吾々は、日本を初め、全世界を大変革するという途方もない雄大で深遠な計画を持っている。武器を利 用するのではなく、正に想念の戦いとなるであろう。今回の事件も、日本が引き金となって米国連邦政府 崩壊、世界恐慌への序曲となるかも知れない。大東戦争後の戦後の50数年来の歴史でもなく、また明 治時代以後の130年来ほどの歴史の総決算でもなく、実に数千年来の歴史を総決算して実施せんとす る日本の真の改革は、米国連邦政府破産、ロシア崩壊、中国分裂を伴わなければ、これらとの種々のリ ンクを外して行くことが不可能と言えるであろう。吾々は、過去数千年来の歴史の中でも、特に宗教や天 皇制や道徳等の諸制度の総決算を目指すものである。 なお、既存の組織に染まっている者では真実を観ることが出来ないし、真の精神を確立することも不可 能であろう。今正に、真の神仏の成敗が下されようとしていることは確かである。世界を変革するのは日 本民族であろう。しかし、現在の腰抜けで、利権漁りに狂奔して無責任の横行する日本民族では到底、 役立たずで駄目であり、これらの邪悪な想念を一掃した根本的変革が成り、真実を見る目が開眼されて 目覚めた後の日本民族となるであろう。 先に示唆したように、今回の米国のテロ事件、そして経済の破綻への変化は、神が仕組んだものと言 えよう。即ち、悪魔勢力を互いに戦わせた真の神仏による天罰と言えるであろう。2000年1月を境に、古 来、ユダヤフリーメーソンの崇拝する大悪魔神のルシファーも、古代バビロニア王国時代の頃からの、実 に5,6千年振りに大粒の涙を流して行いを悔い改めて天上界に昇天して行ったようだ。そして、それを察 知してか、ローマ法王が2千年来の宗教的な対立に終止符を打つべく、2000年1月末に和解に向けて の中近東歴訪の旅に出たことも先述した。更には2000年3月には、米国を始め全世界に真の神仏の波 動が広く深く浸透し、2000年4,5月頃には、世界中の悪魔勢力の魔の霊能力者連中が日本の某米軍 基地に集結し、霊界において、悪魔勢力と真の神仏との凄まじい波動の戦いが繰り広げられていったよ うである。今回のテロ事件はその延長にあると言っても良いであろう。 今回の米国をテロ事件においては、繰り返すが、既に真の神仏の存在に目覚め初めて、意識の転換を 成しつつあるワンワールド世界統一政府の中枢のバチカンの意に反して、尚も、真の神仏の意向に反す る行動を取ろうとしている米国連邦政府、そしてロックフェラー系ユダヤに対する仲間からの制裁であり 攻撃でもあり、また、米国自身の自らの驕り高ぶった邪悪な想念により、更に全世界を敵に回しつつあっ た状況から、悪の魔の想念を自ら招き寄せた結果の惨事と言えよう。その内、比較的早い時期に、ロス チャイルド系ユダヤが真の神仏の存在を周囲に示唆しながら、ロックフェラー系ユダヤに対しても誤った 行為や意識を変革させるべく諭すようになるであろうと思われる。 現下の諸問題と展望:168 最早、彼等の欲望の対象として信心する数千年来の悪の大魔神であるルシファーも、2000年正月を 境にこの地上界には居ないわけで、ワンワールドの彼等の思惑も、2000年正月のY2Kのコンピュータ ー問題と同様に、今後は大きく狂っていくことであろう。既に、世界陰謀勢力の中心であるバチカンや英 国の奥の院の悪魔崇拝の霊能力者共は、そして恐らく華僑勢力の客家(ハッカ)と言われるスファラジー ユダヤ連中も真の神仏の存在に気が付き初めて、内部の淘汰、自己変革、対日姿勢の変化を始めたと 思われる。ロックフェラー系のアシュケナジーユダヤ連中は未だにルシファーの消滅に対して疑心暗鬼で あろう。勿論、日本民族はノー天気、明きメクラであり、灯台下暗しであろう。 ところで、バチカンの配下にはロスチャイルド系スファラジーユダヤがおり、換言すれば、バチカンが権 力の頂点として、ロスチャイルドを支配し指令していることはこの世界では常識であり、それ故に、自己防 衛から、真の神仏による天罰を恐れて、ロックフェラー系アシュケナジーユダヤの切り捨てが始まったと 言えよう。今次の目指すべき改革は、実に、宗教的な対立に終止符を打つべき目的に向かって、世界全 人類の想念波動の変革、日本国民の意識の改革にこそあると言えよう。ゆっくりと焦らずに邪悪な想念を 退治根絶していくことが必要であろう。次第に周囲に真の神仏の波動による影響が現れて行くことであろ う。 さて、日本もいよいよ米国との同盟関係上との建前から参戦することになったが、現在の米国の政治的、 軍事的な属国から言っても仕方のない選択である。湾岸戦争時においても、130億ドルもに税金をどうし て支出するのかの意見もあったが、もし金を出さなかったら、米国からイラク同様に攻撃を受けていたこ とであろう。米国の姿勢とはそういうものである。それ故に今回の小泉政権の対応は、どうせ要求される のなら最初から潔く米国に付き従って、米国と無意味な対立をしないという意味で、換言すれば、結果的 にはこれしか選択肢が無いということで賢明であったとも言えよう。 然るに、これで IT 不況、不良債権問題の処理、産業の国内空洞化、企業倒産の増加、失業者の増大 等も手伝って、景気回復は勿論、財政再建も全てシナリオが大きく狂ってしまい、国家の命運も極めて危 険になってきたと言えよう。超大国としての覇権国家の米国との付き合い上、やむを得ない面もあるが、 日本も大きく墓穴を掘っていくことだろう。案外、日本が最初に財政破綻、貿易上の破綻により国家破産 して行くことであろう。即ち、増税、ハイパーインフレ、世界恐慌、内乱化への道を大きく踏み出したと言え るだろう。しかし、これは当方にとっては、極めて好都合に展開していくことだろう。国家社会の崩壊、破壊 や解体があってこそ、新しい創造的な根本的改革が大きく進展するからである。 その内、米国にも最終的な真の神仏による天罰が下っていくことになるであろう。そして米国と一蓮托 生のイスラエルにも天罰が下っていくことであろう。米国の真の狙いは、イラクを始め、中央アジア、カス ピ海地方の原油利権、天然ガス利権にあると言えるだろう。だから、砂漠と山岳の不毛の地のアフガニス タンぐらいに、膨大な戦力を投入しだして、外国勢力も関与していると言って、トマホーク戦略ミサイルを8 00基ばかり増産してイラクも名指し始めたのであろう。議会からも全権を委任されたのに乗じて、この際 とばかりに何でもやってしまうと言った姿勢が出てくることだろう。 事実、米国政権内部でもイラクやシリアまでもが次の攻撃の対象として検討されているようである。恐ら く、核査察を要求し、受け入れなければ攻撃をすると言った手段に訴えて来るであろう。これは、「核査察 を受け入れなかった場合には攻撃することが出来る」と言うもので、日本提出による国連決議に基づくも のであり、日本は英国にまんまと乗せられて提出したものである。日本はこの自ら提出した国連決議の 責任をとって、膨大な資金を提供させられるであろう。 そして、テロ撲滅の下に、テロを生み出す国家社会への攻撃を考えているようで、フイリピンのミンダナ オ島、インドネシア、アルジェリア、スーダン、イエーメン、ソマリア、リビア、北朝鮮等も攻撃対象に検討さ れているようだ。フイリピン政府と米国との反乱分子撲滅に向けての協議も検討されたようだ。もし、中近 東一帯から北アフリカや東南アジアが戦場になれば、それこそ第三次世界大戦とも言えるものになり、恰 もノストラダムスの予言通りになるであろう。それは逆に言えば大掃除であり米国の崩壊にも繋がって行 現下の諸問題と展望:169 くであろう。そしてそれを円滑に回避する救世主の到来も間近になっていくことであろう。 更に、今回のテロの温床となったサウジアラビアの王政が崩壊したり、中近東全域で戦争が拡大すれ ば、中近東から原油を最も多く調達している日本が、世界の中でも大混乱に落とされていくことになるで あろう。正に原油状況の不安定要因が、世界経済を奈落の底に突き落としていくことになるであろう。贅 沢三昧に資源や原油、食料を貪ってきた付けが今ここに大きく現れようとしていることを思い起こすべき であろう。もしそうなれば、当方が予言したように、中近東が世界の3分の2を占める世界大戦に突入して いくことになるであろう。そして残り混乱の地域は東南アジアか、インド、パキスタンの両地域である可能 性があるが、今のところは何とも言えない。 一部では、今回のテロ撲滅の戦いは、文明と非文明、反文明との戦いであるとか、正義と不正義との戦 いであるとか、近代と中世との戦いであるとか言われるが、何れも表面的な見方であろう。真実を言えば、 収奪(侵略)する側と収奪(侵略)される側との戦いであり、ゲームのルールを知って騙し討ちで勝利を一 方的に収める狡猾漢と、為すすべもなく一方的に騙し取られる無気力で純情な文明に取り残された連中 との、正に民族の存亡を掛けた熾烈な戦いでもあると言えよう。これは陰では単なる文明史観や民族的 対立を越えて、実に最終的には宗教的な対立にまで発展していくことであろう。 米国の某軍事シンクタンクはこの戦争は24年間も継続するであろうと予測しているようだ。逆に言えば、 米国は24年間も戦争をしなければならないだろうと言うことだ。即ち、戦争をする必要があると言うことだ。 戦争とは国家の意志、資本の要請でするものである。24年の根拠は、恐らくイラクを叩くのに4年、その 後ロシアが米国と軍事力で対等になるまでに10年、更に新たな冷戦で10年で合計で24年という訳であ ろうか。 他にも、イランやイラク、そして北朝鮮も攻撃の対象に入れているようだ。その為に日本からの米軍へ の後方支援を仰ぐ意味での、日本の国家総動員令を目指して米軍に従属奉仕させる有事法制の整備の ようだ。しかし、4,5年で米国は中東から撤退することになるであろう。それは何も戦争に敗北して撤退 するのではない。経済が先に破綻して軍事を経済が支え切れなくなって撤退せざるを得なくなるのである。 つまりは米国連邦政府破産であり、アメリカ合衆国の崩壊であろう。 米国のイラク攻撃があるとすれば、2002年6月の日韓ワールドカップが終了するまでは戦争を差し控 えるであろうから、それが終わった7,8月頃が米国の戦争開始が本格化して行くものと思われる。2002 年の秋頃となるといった見方や、2003年にずれこむといった観測があるが、世論が対テロ戦争拡大に 賛同している空気が冷めない内に、トマホークミサイルの増産を始め準備が完了でき次第、一挙に米国 は戦争拡大を実施していくことであろうと思われる。これは米国経済の破綻、そして米国連邦崩壊の序曲 となるであろう。 例え、米国が戦争拡大に踏み切らなくても、日本が3,4年後の2004,5年頃に経済破綻、財政破綻、 金融崩壊、貿易破綻等から国債暴落、金利の上昇を招き、自給自足の経済を余儀なくされて、日本発の ハイパーインフレの世界恐慌へと引き金を引き、それが経済的に一心同体となって連動している米国に 波及して米国をも道連れにし、4,5年後に米国経済も崩壊し、米国連邦政府崩壊へと繋がっていくことに なるであろう。米国自身の戦争拡大か、日本の国家破産か、いずれにしても、米国が破綻すれば、目下、 米国に最大の投資をしている欧州も連動して米国と共倒れになり、実に4,5年先の2005,6年頃の米 国崩壊と同時期に欧州も破綻して行くことであろう。 なお、同じ時期の2005,6年頃には、日米欧と経済的に連動している上海を中心とした中国沿海州地 域や韓国、東南アジアや中南米の経済をも破綻させていくことであろう。余談だが、ある程度自給自足経 済をしていたり、人口も少ない国家として、インドやイスラム諸国、カナダ、オーストラリア、ニュージーラン ドやロシア、そして中国内陸部や東北部は直接的には影響を受けないであろう、なお、その前に、早けれ ば2002年頃にも60数万人の死亡者を出すほどの関東大震災が襲来する可能性もあることを指摘して おこう。 現下の諸問題と展望:170 ところで、既に米国から資金が徐々に欧州に流出しつつあるが、とても今のスピードでは間に合わない であろう。即ち、日本が巻き込んで米国と欧州、そして発展著しい中国の上海地方やアジア地域が共倒 れになると言うことである。なお、欧州がドル売りをして金に交換し始めているが、米国もしたたかに欧州 の戦略読んで、欧州の保有する金を米国内に強制的に保管させているようだ。さて、本来は、今回のテ ロ事件により米国は既に連邦政府崩壊の兆候が濃厚であるはずであったが、そして米国初の世界大恐 慌に発展した可能性が充分にあったが、国内に資金需要のない日本からの米国への大量の資金流出に より辛うじて米国の国家崩壊を免れて延命できたというにしか過ぎない。こうした事実に案外気付いてい ない政治家や官僚が多いのではないだろうか。 また、ロシアや中国全体にも影響を及ぼして経済環境が悪化し破綻していくことであろう。至ってはロシ アの再度の分裂、崩壊や、急激に台頭する中国の大分裂化も避けられなくなるであろう。ロシアの更なる 分裂化は、遅くとも5年から7年後の2006年から2008年頃であろうと思われる。結局、ロシアは好調な 外貨獲得にも拘わらず、経済の建て直しよりも再度軍事力増強を優先させている故に、再度の崩壊は免 れず、最後は中世のモスクワ公国へと回帰していくことに成るであろう。また中国の分裂化は別項でも詳 細に記載するが、恐らく、遅くとも11、12年後の2012年か,2013年頃になるであろう。某学者の見解 では中国の分裂化は2008年の北京オリンピック後の7,8年後の2015年頃との見解もあるが、当方は もう少し早まるものと視ている。 中国では次第に政治が経済を、特に外資の激しい進出展開をコントロールできなくなり、また経済の多 層的発展が一党独裁の政治をも揺さぶり、多様な経済構造と硬直化した政治構造との矛盾が表面化し ていくだろう。始めは上海地方政府と北京中央政府との対立から分裂が始まり、中国全土へと波及して 行き、複数地域への国家の大分裂を招いて、かつての馬賊国家や軍閥国家の再来となっていくことであ ろう。それでも、米国崩壊後の一時期は中国が短期間ながらも世界の覇者となり得ることであろう。その ピークが2008年の北京オリンピックの頃であろう。 こうした国家分裂の結果を招くのは、結局、中央の北京政府の大きな誤算によるものであろう。即ち、政 治が経済を支配し管理できるという錯覚であり誤算であろう。全世界から資本、技術、産業を呼び寄せて、 共産主義により国家が資本主義を乗っ取るという思想が破綻するものである。恰も網を仕掛けて、魚を 追い込んで、魚が大量に網に掛かってきたところを引き上げて生け捕りにするといった戦法である。この ことを端的に示すものが、積極的に外資導入するものの、日本企業の多くが大して利益を上げていない 現実が、何やら不気味な網の仕掛けを感じるものだ。また低賃金で労働搾取し、また人民元の切り下げ に頑強に抵抗している現実が物語っていることであろう。共産党の一党独裁の緩やかな是正が間に合わ なくなるほどの急激な変革の波に襲われるであろう。 換言すれば、騙しや詐欺のテクニックで、日本を始め、全世界の先進資本主義国の技術や資本や産業 を低賃金や外資優遇政策等で国内深くまで誘い込んで吸収し、最後は接収して行こうとする国家共産主 義的搾取の野望が計算違いにより破綻するのである。実に過去の10年が今後は1年に相当するほどの 急激な時代展開がなされて行くことであろう。中国政府も誤算に気付いたときには、真の神仏の天罰によ り、時既に遅しと言った結果に至るであろう。 ところで、米国の崩壊は、対外援助の約3割を占めて金銭援助で支えている一蓮托生の共同運命体と してのイスラエル国家の経済の崩壊であり、イスラエル国家の占領地からの撤退、領土の縮小乃至イス ラエル国家の縮小をもたらしていくことであろう。その兆候は2,3年後に出て来ることであろう。米国内で も次第にベトナム戦争におけると同様に反戦運動が盛り上がってくることであろう。ブッシュ大統領はテロ 撲滅の対アフガン戦争の英雄と言うことで2期目を再選されるであろうが、4,5年後において、経済の破 綻、反戦気運の高まり、米国連邦政府崩壊への前進、米国の中近東撤退等により、大統領職2期目の 途中で墓穴を掘り、陰謀の馬脚を現し大きく失脚していくことになるであろう。この時には勿論、日本から の米軍基地の撤退とも繋がっていくことであろう。 現下の諸問題と展望:171 正に、世界は邪悪で猜疑な想念の一掃、廃絶に向けての真の神仏による成敗が始まったと言えよう。 破局と救済の紙一重で展開していくことであろう。目下、霊界では、数千年来の実に5,6千年前のバビロ ニア時代、それと同時期のシュメール時代末期からの流れを汲む人類史の総決算とも言える悪魔崇拝 宗教の、即ち、その根本理念において重大な誤りがあると思われるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の 世界三大宗教の三つ巴の凄まじい戦いが繰り広げられているようだ。これらの世界の三大宗教は、実に その根本理念において重大なる誤りがあるものと思われ、今や、これらの邪悪な宗教の一掃、廃絶が天 罰により始まったと言えよう。 米国のテロ撲滅のスローガンには誰も反対しないと言う大いなる誤算の下に、米国のイラク攻撃により、 全イスラムを敵に回して正に宗教戦争に突入して行く発端を切り開くことになるであろう。対イラク戦争こ そが、米国崩壊への序曲となっていくことであろう。経済的にも戦争を拡大する余裕がないことに対して、 神仕組みにあって盲目となって行き真実を見る目が曇らされていくことであろう。また米国の崩壊は最大 の経済上、軍事上の支援国のイスラエル国家の破綻乃至縮小をもたらし、世界中の全ユダヤ民族の根 幹を為すユダヤ教の崩壊を生じさせるほどの宗教的対立に至るであろう。 次第にイスラエルとパレスチナの戦い、米国とイスラムの戦いが宗教戦争にまで発展していくことであろ う。即ち、イスラエルの主力勢力と米国ロックフェラーを構成するアシュケナジーユダヤと、バチカンローマ 法王のキリスト教と、そのバチカン配下のロスチャイルドのスファラジーユダヤ、更にはイスラム教の凄ま じい三つ巴(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の戦い、又はアシュケナジーとスファラジーとの両ユダヤ 教徒の分裂を含めれば、実に四つ巴とも言える戦いとなるであろう。同じユダヤ教でも、長い間、潜在化 してきたアシュケナジーユダヤとスファラジーユダヤの壮絶な戦いが演じられていくことであろう。偽物ユ ダヤと本物ユダヤの歴史的総決算を賭けた戦いとなるであろう。 ところで、真の神仏による波動は既に、全世界を駆け巡っており、米国中枢には勿論、国内外を問わず、 全世界の人々の心や意識の中に深く浸透し侵入し始めていると言えよう。次第に、真の神仏によるマイ ンドコントロールにより、地球全人類の人々が知らずの内に、意識の変革を余儀なくされ、歴史的大転換 の時代へと大きく前進して行くことであろう。良い方向か悪い方向かは、正に神のみぞ知るであり、人々 の正邪の意識によることになるであろう。ただ言えることは、これまでは悪魔崇拝の邪悪な連中の意志に よる意図的な且つ計画的な犯罪下で歴史が展開してきたが、今後は真の神仏の意志による裁きによっ て、国民が気付かぬ内に歴史が展開されて行くと言うことであろう。 西暦2000年に入って歴史が大きく転換して来たことは先述した。即ち、これまでは悪魔崇拝者の意図 的な陰謀により歴史が展開されてきたが、2000年正月以後は、古代の、恐らく5,6千年前のバビロニ ア王国の頃からの悪魔崇拝の対象であったルシファーも真の神仏により天上界に召されて居なくなり、真 の神仏の波動による新たなマインドコントロールにより、歴史が展開されていくと言うことであろう。特に2 001年9月11日の事件こそは、正に、真の神仏の波動による邪悪な想念の一掃による成敗の結果であ り、これを境に、更に歴史が大きく転換していくことになるであろう。 そして日本の真の改革を成し遂げる偉大な指導者が現れる環境が整って、国民が一致団結して協力 する体制が出来上がるのは、実に、3,4年後に日本自身が経済的に破綻して、どうしようもない状況に 追い込まれながら、長い国家存亡の危機に遭遇しながらも10年近くの年月を掛けて国民意識を大きく変 革していくことが必要である。そしてその明確な時期は、4,5年後に米国と欧州、そして成長が著しく、先 進諸国経済に組み込まれている中国の沿海州地域や、韓国を始め東南アジア地域が破綻し、更に5年 から7年後の遅くとも2006年から2008年頃にロシアが崩壊し、最後に中国全体が遅くとも11,12年後 に分裂崩壊する2012年か2013年以降であろう。 正にその時こそが、日本民族の意識の変革が成って始めて全世界に対して指導力を発揮するようにな っていくものと思われる。勿論、その前に日本民族が神一厘の差で目覚める可能性も充分あると言えよう。 また吾々への評価も、その時にこそ、実に先見性や洞察力があったと言うことで、真底から評価するよう 現下の諸問題と展望:172 な国民性に大転換して行くことであろう。現在は嫉妬、妬みや反発、侮蔑だらけである。 以上、述べたようなこれらの世界的な大激動は実に、数万年存続して、今から1万2千年前に地球的大 異変の地震により滅亡崩壊したと伝えられている、ムー大陸の文明、アトランテイス大陸の文明、そして レムリア大陸の文明の崩壊にも匹敵するほどの大崩壊への序曲とも言えるであろう。極移動(ポールシフ ト)のような地球的大異変は恐らく、今後、100年か200年以内に到来するであろう。過去10年の変化 が今後は1年間で推移していくほどの急激な時代変化がそれを雄弁に物語っていることであろう。超古代 の文明の滅亡も、今時の文明先進諸国の分裂や崩壊も、全ては人類の邪悪な想念によるものであるこ とでは共通していると言えよう。ただ異なるのは、今時は神一厘の差で、即ち、宙天に鎮座される真の神 仏と心が繋がって、危機を回避できる可能性があると言うことであろう。 追記2: テロ事件後の撤去作業に疑問が(2002年3月13日) 2002年3月上旬において、貿易センタービルの瓦礫撤去作業が8割を越えて約1万7千トンの鉄骨が 除去されているようだ。然るに2830人の犠牲者の内、未だに1800人ものも遺体が未発見の状態であ ると言う。一体遺体は何処に消えたのであろうか。一方、アメリカ政府のFBIも、航空機の激突でも倒壊し ないほどに設計したはずのタワー倒壊の事態を大きく疑問視していて、激突した90階から100階に掛け ての鉄骨を収集しているらしい。恐らく床荷重や鉄骨の破損状況を検証するらしい。そしてスクラップ場や 海外に流出した1万7千トンの瓦礫の山から鉄骨を収集して、僅かに100トン余りを集めたらしい。こうし た執拗なFBIの捜査に対して、CIA当たりから捜査打ち切りの圧力も掛かっているようだ。次第に真相が 暴露される日も近いと思われる。 第34項参照) 追記3: 米国崩壊が2003年にも急迫(2002年7月15日) (第34項参照 第34項参照 追記4: 米政府がタワー崩壊の真相究明に向けて調査開始(2002年7月28日) 思っていた通りに、タワー崩壊の謎の解明に向けて、米国政府が動き出したようだ。それもCIAやFBIで はなく、米国商務省の規格技術院であるところが面白いものを感じさせられる。陰謀究明ではなくて、純 粋な技術的観点からの真相究明というものだ。結果的に何が出て来るのか楽しみだ。以下、某大手新聞 記事から一部紹介しよう。この記事は他の新聞には何ら紹介させていなかったものだ。 [世界貿易センタービル 崩落のメカニズム本格調査へ 米商務省 予算約18兆7000万円] ニュー ヨーク27日=河野博子 1600万ドル(約18億7200万円)をかけ、ビル崩落の原因とメカニズムの解明へ。 「米商務省の規格技術院は近く、昨年9月の米同時テロでハイジャック機の突入により崩落した世界貿 易センタービルについて、本格調査をスタートさせる。超高層ビルを狙った招来のテロに備えるためで、 調査は2年間掛けて行われる。調査費用を盛り込んだ補正予算案は今月24日上院を通過しており、ブッ シュ大統領が同法案に署名後、建築、土木、防災、通信などの専門家36チームを編成し、調査を始める。 同時テロでは、北側タワーはハイジャック機突入から1時間42分後の10時28分に、南側タワーは突 入から57分後の9時59分に崩落した。米土木協会によると、1966年着工のツインタワーは、ハイジャ ック機のボーイング767型機よりやや小さい同707型機が時速320キロ・メートルでぶつかっても、その 衝撃に耐えられるように設計された。しかし、実際のハイジャック機の突入時の速度は、北側タワーは同 752キロ・メートル、南側タワーは同944キロ・メートルで、いずれも想定を大きく上回った。 更に、ハイジャック機の突入部分を検証すると、鉄骨に直接吹き付けた防火剤の厚さは、北側タワーは 3.8センチあったが、南側タワーは一部を除いて1.9センチで半分の薄さだった。こうした問題点に加え、 ツインタワーが外周と中心部の鉄柱で全体を支える「チューブ型構造」で衝撃に弱いとされた点などにつ 現下の諸問題と展望:173 いても、様々な角度から徹底解明する。」と言うものだ。 なお、後日判明した専門家の見解では、WTCのタワーの頂部に、外周部の柱とコアの柱をつなぐアウ トリガーという架構があった。航空機の衝突を受けても直ぐに壊れなかった理由の一つにアウトリガーの 存在があったようだ。アウトリガーを設けたのは、タワーの頂部に設置するテレビ塔を安定させるためで あったようだ。アウトリガーがあったお陰で、建物を上から吊ったような状態になり、建物が直ぐに崩壊し なかったことに寄与したわけである。タワー頂部のアウトリガーは建物全体の構造上は不要だけれども、 建物が衝突直後に崩れるのを防いだものだ。これは当方の予想していた一部の見解と同様のものだ。な お、当方は、爆薬説も否定していないものだ。 ところで、アメリカ政府による公の調査では大して重大なものは出てこないだろう。むしろ、オサマビンラ デインとブッシュ大統領との親密な関係が某方面から暴露されてきそうだ。即ち、アメリカがタリバンを如 何に育成し裏取引をやっていたかと言うことだ。即ち、自作自演説の信憑性だ。一説によると、オサマビ ンラデンは、アメリカCIAによりスイスに逃亡しているようだという噂もあるようだ。そう言えば、一時的に、 3月頃に空爆中止があったが、恐らくその折りに、逃亡させたのであろうと思われる。北部同盟も米国の 空爆中止に対して不快感を表明した時期だ。真意の程はその内解明されるだろう。 なお、テロ事件を契機にして、アメリカ政府は、国防総省、復員軍事局に次ぐ規模の「国土安全保障省」 を近く発足させる予定であるようだ。国防総省、国務省、財務省、農務省、司法省、厚生省、運輸省の一 部を集め、テロ対策の沿岸警備隊、連邦緊急事態管理局、財務省検察部(シークレット・サービス)、移民 帰化局、税関など八省庁二十部局、空港安全局、運輸安全省などを編成統合するもので、職員は16万 9千人、予算は374億ドルの役所がテロ対策に取り組むものだ。これは、どうも背景が、闇の陰謀勢力が 米国を解体し、管理支配する前触れのような気がする。(陰謀勢力のことは第7章21項、24項を参照) 追記5: 世界支配権力が米国解体に動き出す(2002年10月17日) 第29項追記3:欧州と米国の対立激化 (第29項追記3 第29項追記3:欧州と米国の対立激化) :欧州と米国の対立激化 追記6: 2001年9.11事件の謎を追跡調査すると(2003年7月14日) 全ては2001年の9.11事件により始まり、これをもって歴史が大きく転換したと言えよう。今に至って も大きな謎が次から次へと登場し、沈黙を保っていた多くの有識者にも、次第に謎の一端が明らかにされ てきたようだ。当方も幾つかの謎について、また事件の背景や背後関係に関して指摘しておいたが、ここ で再度、漏れた点をいくつか紹介しておこう。 当時の航空機の激突からビルの倒壊に至る一連の経過を、CNNなどによる情報から記すと以下のよ うになる。(時間は現地時刻) 午前8時45分:アメリカン航空11便が北棟に激突。 午前9時03分:ユナイテッド航空175便が南棟に激突。 午前9時45分:アメリカン航空77便がペンタゴンに突入。 午前10時00分:南棟が崩落。 午前10時06分:北棟が倒壊(12秒間で倒壊)。 午後5時21分:WTC7号ビル(47階)が倒壊。 9月12日夜:WTC地区ホテル(21階)が倒壊。 9月12日夜:WTC地区オフィスビル(9階)が倒壊。 ところが、「午前9時45分:アメリカン航空77便がペンタゴンに突入。」は無かったようだ。現地で写真公 開されたものを見ても、胴体や車輪を含んだ航空機の残骸らしきものはなかったようだ。その時間に何か 爆発音があったという目撃証言もあるようだ。恐らく、当地の残骸はどこからか運ばれたものであるようだ。 しかし、アメリカン航空77便が午前8時10分にワシントンのダレス空港をロサンゼルスに向かって乗客と 共に離陸したことは事実である。ところが離陸して300キロ飛んだところで、レーダーから航跡が消滅し 現下の諸問題と展望:174 てしまったようだ。一体、アメリカン航空77便が何処に消えてしまったのか。大きな謎である。参考までに 某HPを紹介しよう。 http://technotrade.50megs.com/kok_website/fireworks4/main_pages_sub/OUMUNOSEIRISEITON_PAGE 8_019_6.HTM また、WTCの北棟に時速500キロ程のジャンボ旅客機が旋回しながら斜め上方から激突するのには、 高度に訓練された技術が必要だ。アメリカで一般市民に開放し、またテロリストが有していたとされる航空 機の免許は小型航空機やセスナ機程度のものだ。この程度の免許の操縦技術で、自動操縦を解除して 新たに操縦ソフトを入力し直して、レーダーの力を借りずに有視界飛行で激突させるのは至難の業だ。何 らかの誘導などがなければ不可能のようだ。これは専門家の多くが指摘していることだ。 なお、北棟にアメリカン航空機が激突する前に小型飛行機が激突したという目撃情報もあり、そうすると、 その飛行機が誘導した可能性もあり、またWTCビル内からGPSで誘導して激突させたという見方も有力 だ。更には、ニューヨーク上空において戦闘機などのスクランブル発進もなく、レーダー監視システムも作 動しなかったようだ。この不思議さに加えて、航空機誘導のソフトが盗難に遭って、行き先をWTCビルに 照準を合わせてリモートコントロール(遠隔操作)させて激突させたという見方も有力だし、事実、航空関 係者からは、「遠隔操作のバーコードが盗まれたようだ」と言う証言もあるようだ。 また、WTCビルの周囲の幾つかのビルの倒壊もおかしな現象だ。消防士も周囲の者も爆発音を聞い たという証言もあるようで、地下通路当たりで、何らかの爆発があり、その結果倒壊したように思われる。 また、WTCの北棟や南棟の倒壊にしても、あれほど見事に倒壊するのもおかしな現象だ。WTCビル内 から爆発音を聞いたという証言もあるようだ。 その後、身元確認は2002年7月15日をもって打ち切られたが、身元が判明したのは2800人の内約 4割に当たる1200人ぐらいだった。遺体を消却するには華氏3200度(摂氏1778度)で30分も熱する 必要があると言うことだった。ジェット燃料は通常の家屋の火災温度華氏1700度以下にしかならないの で、遺体の内部まで燃えてしまうことはないから、身元確認は容易で有るというのが当初の見通しだった。 ところが、消防士の証言では死体は蒸発してしまったということだ。恰も化学的反応による処理によって 雲散霧消してしまったようだ。 ビル倒壊現場は吐き気を催す電気的な化学的な異臭、悪臭が立ち込め、様々な浮遊物質が飛び散り、 コンクリート片も粉々になって地上に5センチほどの高さに積み上げられたようだ。不思議なことに、事故 調査委員会のメンバーも事故現場に入れたのは事件後1カ月も経ってからだったし、瓦礫も、充分な証 拠調べもしないままに、マンハッタン沖のスタッテン島に運び込まれてしまったようだ。ここで大きな問題 点は、遺体の身元確認を怠り、また瓦礫の山から崩壊の原因の調査を充分に行わなかったことだ。 それに火災が30日も経過して漸く収まったと言うことで、どうしてこれほどまで長く火災が継続したのかも 大きな謎である。それに現場で工事に関与した者の証言では、放射能らしき反応が検出されたようだ。鎮 火が長いこととか、放射能が検出された事とか、また倒壊がビル解体時と同様に見事に崩落した現象を 見ても、何か高性能の爆発物を仕掛けて倒壊させられたという見方も有力だ。そうなれば特殊の化学物 質による火災、放射能が原因であったと見られるものだ。 そして崩壊した瓦礫の山を現場検証すべきなのに何もしないで慌てて搬出して埋め立ててしまったのも 怪しい限りだ。埋め立て現場でも立ち入りできないように、また外部から見えないように高い柵を設けて いたようだ。鉄骨や航空機残骸、ボイスレコーダーなどを捜索すれば何か手掛かりが発見されたものだ が、そうした行動を封印してしまったような感がする。 また、航空機内部から乗客が、航空機内の出来事を詳細に伝えて地上と携帯電話で通信したと言うこ とだが、その後の調査では携帯電話の請求書には通話記録も無かったと言うことだ。これは通話自体が 存在しなかったと言うことであり、でっち上げの可能性が高いようだ。これは一体、情報の捏造ではない か。ありもしないことを有ったように見せかけたアリバイ作りではなかったのか。普通ならば犯罪の足跡を 現下の諸問題と展望:175 消していくものだが、次から次へと、破綻するような証拠やアリバイが出てくるのもおかしな現象であり、 如何に証拠や情報が故意に操作されたかと言うことを物語ってもいるようだ。 ところで、ユナイテッド93便がピッツバーグ付近に墜落した件もおかしなものだ。13キロ周囲に破片が 散乱しているものの、肝心な航空機の胴体や車輪などは発見されておらず、粉々になっているところを見 ると、テロリストと乗客が争って墜落したと言うよりも、爆発した可能性が高い。戦闘機のスクランブル発 進により撃墜させられた可能異性も高いが、当局は何も情報を公開しないのもおかしなものだ。 その後の米国の動きを見ると、ブッシュ大統領は事前に知っていたのではないかという指摘も出たよう だ。しかし、当方の観察では、青ざめた顔のブッシュ大統領を見る限り、ブッシュ大統領は知らなかったよ うに思われる。むしろ政権の中枢にいる者で二重スパイ的人物が協力した可能性もある。米国と雖も欧 州が間接的に支配する植民地国家でしかないからだ。連邦準備理事会にしても欧州ロスチャイルドの支 配する機関だし、グリーンスパン議長は欧州系だ。ロックフェラーもロスチャイルドの下部組織のようなも のだ。 また2001年に入ってから露骨になったドルとユーロの覇権争いでも既に明らかなように、欧州側がイ スラムを使って、米国内の協力者と共に先手を打って米国崩壊を画策して仕掛けたものであるという見 方も可能だ。当HPでもそのように指摘しているものだ。今や2005年欧州大統領の登場によって、ワン ワールドオーダーの世界支配を達成しようとする欧州闇の世界支配権力と、それに挑戦し反抗し抵抗す る米国による軍事覇権の確執が次第に現出してくるだろうと思われる。 欧米の対立の最も大きな争点は原油利権に関するものだ。目下、カスピ海付近の天然ガスや原油利権 確保のために、米国による自作自演であったという見解も出ている。9.11事件後、間髪を入れずアフガ ニスタンを攻撃したのも、カスピ海からアラビア海に原油を搬出するルートの確保のために、アフガニスタ ンを支配下に置く必要があったと言うことのようだ。 また先の米国単独によるイラク攻撃も、大量破壊兵器や民主制の樹立という大義名分とは裏腹に、原 油利権絡みだとも言われている。ドルとユーロの覇権争いの中で、フランスが画策する中でイラクが原油 決済をユーロでしようとしたのを米国が阻止したためであるようだ。このイラク戦争も一旦終了宣言したは ずなのに、再度戦闘中と言い直すほど、治安が悪化してきており、恐らく周辺のシリアやイラン、サウジに も波及して行きそうだ。 正に欧州側が米国に制裁を加える形で仕掛けたテロ事件を、逆に事前に米国がキャッチして利用した というのが真相だろう。それも可成り以前から情報を掴んで敢えて放置しやらせた感が強い。その時期ま では完全に把握してはいなかったように思われるが、その後の展開まで含めてシナリオを描いていた感 がする。化かし合いにおいて、一体どちらが狸か狐かということのようだ。正に互いに罠を仕掛け合って いく謀略合戦と言うことだが、どうも欧米の内部分裂が進行していく予兆を感じるものだ。 その後のビルダーバーグ会合での欧米の熾烈な対立を見ても明らかだ。既に欧州側もNATO離れをす るべく、独自の軍事構想を打ち出し始めたようだ。これまでは欧州が米国の軍事力を利用してきたものだ が、米国の独自戦略に対抗するためにも、欧州軍の創設に動き出したものだ。欧州大統領、欧州憲法と 共に、欧州軍の創設に向けて、今後益々、欧米の対立が熾烈になっていくだろう。その延長に待ち受け ているものは、第三次世界大戦も荒唐無稽や奇想天外とも言えないようだ。 中東新和平案のロードマップの実践による平和到来を仕掛ける米国と、それを潰して主導権を握ろうと する欧州側との間で、最終的に何れが中近東やパレスチナの平和を実現して行くかにより、世界平和の 救世主として世界に君臨することになるだろう。正に聖書の中の予言を実現させるために、邁進している 有様だ。世界的破局の到来時に救世主が登場するという予言を実現させるべく、敢えて破局を招来させ、 その結果、救世主を登場させると言った実に本末転倒の悪魔的幻想を描いているようだ。これこそ偽救 世主と言われるものだ。 現下の諸問題と展望:176 追記7: 矢張り2001年の9.11テロ事件は米国の自作自演だったのか(2003年10月26日) 矢張り2001年の9.11テロ事件は米国の自作自演だったのか(2003年10月26日) 既に2001年9.11テロ事件は米国の自作自演だと言う指摘も以下のように紹介されていた。 http://b-51.hp.infoseek.co.jp/20010925.html http://nvc.halsnet.com/jhattori/green-net/911terror/nyterror.htm http://www.jca.apc.org/~altmedka/aku599.html http://www.asyura.com/0304/war34/msg/447.html http://www.tanakanews.com/d0327wtc.htm 然るに今回、実に明白な証拠が後述のように浮上したようだ。 2001年9月11日に起きたWTCビルやペンタゴンなどへの航空機激突テロ事件は、何と米国政府の 自作自演だった可能性が高まってきたようだ。既にペンタゴンへの航空機衝突はなかったことも指摘した。 今や事件から2年を経過して漸く隠されていた情報が次第に洩れだしてきたようだ。それにしても欧米で は市民有志が公然と疑問視して研究を開始していく潮流が出てきたのに対し、日本の大手マスコミは全く 報道せず沈黙を守っているのは不思議だ。 当方も今更ながら9.11テロ事件のWTCビルへの航空機衝突シーンを思い出すに付け、衝突とほぼ 同時に爆発が起きているのが印象的だった。衝突と同時に周囲に噴煙が爆出するのが如何にも不可思 議だったのを覚えている。むしろ瞬時とは言え、衝突の直後に火災や爆発が発生するのではないかと思 ったからだ。それがほぼ同時では如何にも不可解に感じたものだ。 それが何と今になってチェコ人が撮影したヴイデオが数奇な運命を辿って出現したようだ。これは『ニュ ーヨーク・タイムズ』2003年9月7日号が記事にしているものだ。これは2日後の9月9日の阿修羅38戦 争掲示板でも紹介された。それによると、何と航空機がWTCビル南棟に衝突する前に反対側から噴煙 が発生しているシーンが写っているという。なお、これは9.11事件の翌日、2001年9月12日のニュー ヨーク・ポスト紙に載った写真では、確かに衝突前に噴煙が出ているシーンが写っているが、遅番で差し 替えられたようだ。これはビルの内部爆破の遠隔操縦者がコンマ数秒でフライイングしたようだ。このニュ ーヨーク・ポスト紙は可成りマイナーの新聞であり、日本では閲覧は困難なようだとも言う。 なお、月刊『ムー』2003年10月号でも「9.11テロの真犯人はアメリカ政府だった!?」と言う記事を 紹介している。しかし、某有識者によれば、これにはユダヤとイスラエルが出ていず、従来の記事を単に 寄せ集めたにしか過ぎないものだと言う。実にアメリカ政府の背後には、アメリカ政府を乗っ取り支配して いるユダヤとイスラエルが関係していると言われているようだ。 ところで衝突した航空機の機体の下腹部に何やら増加燃料タンクのようなものが付けられているのが 見えるようだ。これが恐らく火災の発生を増すように仕向けられたものであるのであろうか。それに何より も、航空機からミサイルのようなものが発射されており、そのミサイルの後の間隙に航空機が突っ込んで いったように思われる。衝突瞬間にも何やらどぎつい燃料臭がしたという証言もあるようだ。 即ち、某サイトで紹介されているように、「この北タワー突入の直前には、この飛行機が閃光を発射して いる。しかもコマ送りで見るとこの飛行機は大きさや形から、ボーイングの旅客機には見えない。翼にエ ンジンが付いていないように見える。より詳細に観察すると、この飛行機は突入の直前にミサイルを発射 しているようであり、これが閃光の原因らしく、その後ミサイルで開いた穴に飛び込むが、これは穴に飛び 込むようにして翼の印象がない。また、突入して見えなくなる直前に、機体の後部からまた2発のミサイル を発射している。一発は左方向、もう一発は右方向に発射され、都合3箇所の破砕がビルに起こってい る。」と言う指摘もあるようだ。 結局、9.11テロ事件は、少々ぼんくらで信用できないブッシュ大統領を外したアメリカ政権中枢による 自作自演だった可能性が高いようだ。その背後には軍産複合体の中枢を握るユダヤ勢力と更にイスラエ 現下の諸問題と展望:177 ル政府が絡んでいるように思われる。今や米国はユダヤやイスラエルに支配され寄生され乗っ取られた も同然だ。そしてこの航空機も民間機ではなくミサイル搭載の軍用機にすり替えられた可能性も高く、ま た遠隔操作によるものだったようだ。そしてミサイルと共に内部に仕掛けられた爆発物により破壊された ようだ。 今になって思えば、事件現場から立入禁止にして急速に残骸を運び出していったのも、証拠品のミサイ ルの発見や爆発物の化学反応を検出させないように仕組んだ公算が強いようだ。そしてコンクリートが全 く灰に変化してしまったり、遺骨も出てこなかったり、WTCビルの周囲ビルが先に爆発崩壊したのも何か ら何まで見え見えの陰謀であったことが次第に明らかになってきたようだ。情報を統制し禁制したように 見えるが、不思議とボロが出始めたことは、何やら神仕組みによる権力や権威の衰滅・衰退現象であろ う。 然からば何故に、このような自作自演のテロ事件をする必要があったのであろうか。恐らく1991年の 旧ソ連崩壊により東西冷戦が終結し、公共工事の軍事産業が予算増額を仕組んでいくターゲットが消滅 したことにより、新たなターゲットを構築する必要に迫られたからだろう。因みに旧ソ連の社会主義国も資 本主義が創設したものだ。レーニンがモスクワに乗り込んでロシア革命を達成したと言うが、レーニンに 資金を渡したのは英国ロスチャイルドであるからだ。 その東西冷戦が終了してしまったからには、米国の軍産複合体にとってみれば、軍事予算の減額は自 明の状況であった。それに代わって、何らかの軍事費増大の名目をでっち上げる必要に迫られたようだ。 そこに急浮上してきたのがテロ対策だ。そこで自作自演でテロを発生させて膨大な軍事予算を恒常的に 獲得していく要請があったように思われる。結果的に見れば、世界の軍事費の約4割を占める膨大な軍 事予算を計上し、中央アジア一帯に米軍基地を設置してしまった。参考までに言えば、米国の軍事予算 は国家予算の240兆円の3分の1に相当する80兆円にも達しており、何と日本の国家予算に相当する 膨大な額だ。 ところで当方も当初は、9.11テロ事件は欧州の闇の世界支配権力側が米国崩壊を仕掛けたものだと 言ったが、これは別に修正する必要はないと思っている。何故なら、米国の支配権力側は欧州の闇の権 力側の代理人であり、裏で繋がっているからだ。連邦準備理事会のFRBも欧州が実質上は支配してい るものだ。これは日本の政権中枢でも日銀でも言えるものだ。何も政権中枢が愛国的でもなく、逆に売国 奴に成り下がっていると言うことは往々にしてあるものだ。全ては2005年の世界支配権力による世界統 一政府の樹立にあるようだ。これは寡頭権力による人類総管理の恐怖政治に他ならないだろうと懸念さ れる。 以下に参考になるサイトを紹介しよう。 http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003aku/aku674.html http://www.asyura.biz/biz0310/war40/msg/224.html http://www.asyura.com/0306/bd28/msg/695.html 追記8: 9・11事件の真相に迫る某情報を紹介 (2004年11月18日) 9.11テロ事件に関して最も詳細な分析をしており、真実の迫っている某情報を以下に紹介する。某氏 は阿修羅掲示板でも大活躍しているようだ。偽名が多い中で堂々と本名で投稿しているなかなかの気骨 ある愛国者で、何と、目下、某最高指導者を個人的に裁判で訴えているようだ。 木村愛二:国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長 電網宝庫(ホームページ:→)http://www.jca.apc.org/~altmedka/ 電網木村書店(→)http://www.jca.apc.org/~altmedka/hanbai.html ≪この電子手紙の配信の申し込みはこちらへ(→)[email protected]≫ 現下の諸問題と展望:178 (分析例)国防総省ビル破壊の場合 国防総省の破壊は、もともと「RMA(軍事革命)」というラムズフェルド国防長官が進めている「軍事技 術の改革」に合わせて、大幅な人事異動を伴なう内部変革の途上で最初から改装中で、改装工事で破 壊・造り変える箇所であった。だから、WTCビルが古くなって周辺のビルとともに、新しいユダヤ人の不動 産シルバースタインがコントロールド・デモリション社が請け負っていた単なるビル解体であったのと同様、 国防総省ビルも改装工事の一部解体をドハデにやっただけのことであった。だからビルには予め爆薬が 仕掛けられまずトラックか何かの大型車両が爆薬を満載して破壊箇所に接して横付けされ、第一撃はそ の爆破炎上が仕掛けられたのである。爆破の炎の中にこの車両のシルエットははっきりと写っていた。 この最初の爆破では天井まで届かずに穴を開けたのみだったので、アフガンの戦場でも使われたミサ イルを発射出来て低空でも活躍出来る無人偵察機プレデター(グローバル・ホーク説もある)の無人遠隔 操縦飛行機で低空飛行で激突させてその上部の未破壊部分を落としたが、その本体の衝突の直前には 携帯していたミサイルを発射していたから、多くの人達がミサイルの飛行と衝突を証言していた。つまりは、 旅客機の衝突に見せかけた単なる改装予定部分の自己破壊だったに過ぎない。だから、この事件での 国防総省での遺体や死者はいなかった。衝突したことになっている旅客機が別のヘリポートで墜落(おそ らくは撃墜)させられて四十数名の死者が出たことを除外すれば・・・・。 1. 事件は何故起こされたか? 国際ユダヤ勢力・イスラエルが、自由主義・民主主義国家「アメリカ合衆国」を「破壊・解体」し、ユダヤ民 族宿願の「大イスラエル国家建設」・「ユダヤ世界政府樹立」の為に、必要な「征服軍」の中核に米国軍を 動員して使役する属国化の為に、「イスラエル化」させて作り変え「イスラエル植民地」に変貌させ「1000 万人の徴兵」と「軍国化・ナチス化」を目論んでいる。 第二次世界大戦は、「イスラエル国家樹立」(第1回世界ユダヤ人会議(1898)決議事項に 50 年後の 1948 年にユダヤ国家樹立と決議され決まっていた)の為に、その「国家樹立」には絶対不可欠な「ユダヤ 人」を全欧州からかき集めてきて、「強制移住」(ユダヤ問題の最終的解決)させる為に、「ヒトラー」と「ナ チス」は生み出された。国家の三要素の一つのイスラエル「国民」を生み出す目的で、「ヒトラー」と「ナチ ス」をシオニスト達は「反ユダヤ主義」を利用して「ユダヤ人達」の「羊」を「ドイツ民族」を追い立て役の牧 羊犬シェパード役に「ヒトラー」に調教させて仕立て上げ育てたのと同様に、現在ユダヤ民族宿願の「大イ スラエル国家建設」「ユダヤ世界政府」樹立に向けて、「米国民」を「軍国化・ナチス化」させて全世界を征 服支配下に納める為に「第三次世界大戦」を起こそうとしている起こした事件である。(ナチス・ヒトラーの 自作自演の「国会議事堂焼打ち事件」) 2.どのように計画・実行されたか? WTC は単なる「ビル解体」でペンタゴンは組織改変と改装工事の為 に破壊が必要だっただけ。 国際ユダヤ組織の統一した意思に基づき「新世界秩序(NWO=New World Order)への移行を目 指して、5月26-28日に開催されたビルダーバ―グ総会の最終合意によって、3か月の準備でシミュレ ーションを経て実行された。WTCの爆破のリハーサルは、1995年4月19日のオクラホマ・シテの連邦 ビルの破壊で爆破で実験された。前回の1993年のWTCビル事件以来、10年以上前からの計画で、 1960 年の建設のビルで耐用年数も来ていたので、単なる「ビル解体作業」とその地域再開発の為に行な われた。 建設以来初めてのビルオーナーの交代が僅か7週間前に、そのオフィスビルのリース契約が不動産開 発会社に移転したばかりであった。新たな契約内容は、32億ドルで99年間というものだったが、ビル本 体もオフィスの賃貸料も全て保険で補償されていた。再建資金は、全てが保険金によってまかなわれ、そ 現下の諸問題と展望:179 の再建までに要する機関の賃貸料まで年間1億1000万ドルが毎年支払われる仕掛けになっていた。 作業は、ビル解体専門業者の Controlled Demolition Group LTD に委託され、近くのビルも地上げし て第7ビル等の所有権も有していたユダヤ人大手不動産会社のオーナーのラリー・シルバースタインが、 その地域全体を再開発しようとして、保険金狙いの保険金詐欺も意図して起こした「手のこんだビル破壊 計画」でもあった。地上げは事件の直前の7週間前に所有権が移転され、多額の保険金詐欺で開発資 金を調達したもの。UA や AA の飛行機会社も不況にあえいでいたが、事件への協力と引き換えに事件後 に150億ドル(1 兆 6000 億補助金を政府から数日で緊急資金が提供されて元は取った。 突入飛行機は軍用機か貨物機の改造機材に特殊工作をして遠隔操縦の無人飛行機が摩り替わって、 WTC ビルに突入したから、その突入機の製作にはボーイング社が前面協力した。こうした多くの民間会 社をはじめ、主役は軍や CIA や FBI 等の諜報機関で、その総指揮はブッシュ政権のチェイニー副大統領 と親父のブッシュ元大統領であった。こうして9・11事件は、自由主義・民主主義の米国を葬り去りイスラ エル・シオニスト・ユダヤの世界征服の手段に使役する属国に変貌させる為の巧妙に仕組まれた「体制 側の内部クーデター」であった。 米国のユダヤ人は皆イスラエル国籍を持つ「二重国籍者」であり、そのユダヤ人の政権担当者が米国 政府のユダヤ・シオニスト化に乗り出したというわけである。例えば新たに出来た安全保障の役所の「国 家安全保障省」なるものは、Homeland Security Department の日本語訳だが、Homeland とは祖国イス ラエルの事。イスラエルの安全保障のことを図る役所のことで、米国の安全保障ではない。密かに米国 の内部にイスラエルの国家機関が生まれつつある。CIA 初め、各組織の改変が行なわれつつあるが、そ れは皆ユダヤ・イスラエルの国家機関の出先化しようとする改変であろう 3.国防総省の破壊は、トラックやビル内部の爆破とプレデター無人操縦偵察機の体当たりとミサイル発 射で破壊予定設計どおりの破壊 国防総省の破壊は、もともと「RMA(軍事革命)」というラムズフェルド国防長官が進めている「軍事技 術の改革」に合わせて、大幅な人事異動を伴なう内部変革の途上で最初から改装工事で破壊・造り変え る場所であった。だから、WTCビルが古くなって周辺のビルとともに、新しいユダヤ人の不動産シルバー スタインがコントロールド・デモリション社が請け負っての単純なビル解体であったのと同様、国防総省ビ ルも改装工事の一部解体をドハデにやっただけのことであった。だからビルには予め爆薬が仕掛けられ まずトラックか何かの大型車両が爆薬を満載して破壊箇所に接して横付けされ、第一撃はその爆破炎上 が仕掛けられたのである。爆破の炎の中にこの車両のシルエットははっきりと写っていた。 この最初の爆破では天井まで届かずに穴を開けたのみだったので、アフガンの戦場でも使われたミサ イルを発射出来て低空でも活躍出来る無人偵察機プレデター(グローバル・ホーク説もある)の無人遠隔 操縦飛行機で低空飛行で激突させてその上部の未破壊部分に落としたが、その衝突の直前には携帯し ていたミサイルを予め発射していたから、多くの人達がミサイルの飛行と衝突を証言していた。つまりは、 旅客機の衝突に見せかけた単なる改装予定部分の自己破壊だったに過ぎない。だから、この事件での 国防総省での遺体や死者はいなかった。衝突したことになっている旅客機が別のヘリポートで墜落(おそ らくは撃墜)させられて四十数名の死者が出たことを除外すれば・・・・。破壊箇所派五角形の底辺の右か ら三分の一の所を切るように破壊したが、そこの部分に正三角形の突起部分を増設すれば国防総省は 上からみれば、「イスラエルの星・六ぼう星」になる。 4.WTCビルの崩落・破壊・解体には、地下の「超小型核爆弾」や不可視レーザー光や超音波発信する 「深赤外線ビーム兵器」ら開発された最新兵器が、実験場として使用された。 オクラホマシテイ連邦ビルの爆破・解体をやった Controlled Demolition Group LTD 社に委託して、密 かに残骸を運び出して証拠隠滅が図られた。WTCビルや国防総省の事故現場に急行した医師がガイガ 現下の諸問題と展望:180 ー・カウンターで放射能濃度を測ったところ、通常の10倍以上が検出され、その事実を環境保護省、放 射能情報リソースセンター、FBIに通報しゅいたが、環境保護省の検査官が調査に来たが、検出された が吸い込まなければ問題ないと誤魔化し落着させたが、その後放射能問題はタブーとなった。地下に仕 掛けられた2度の爆破は、飛行機の激突とは無関係の地震波として記録されていた。破壊され鋼鉄やコ ンクリートは,殆どブロックとしては残っておらず、分子状態まで完璧に粉々になったのは、飛行機の燃油 による焼却などではありえない。不可視レーザー光や超音波発信する「深赤外線ビーム兵器」ら、開発さ れた最新兵器の実験として使われたと考えられる。 5.米国の第2の大規模自作自演テロか新しい戦争を実施し、米国憲法停止と軍政移行か? 1000万人の徴兵制施行と第3次世界大戦準備か?大規模な自作自演のバイオテロ(おそらくは天然 痘テロ)が企画実行に移されて、現行憲法の停止が行なわれ軍政移行とFEMAへの政権移譲がブッシ ュ大統領によってなされる可能性がある。もはや形式的にも米国の自由主義・民主主義の時代は終わり を告げる。 以上。 26.不良債権問題の処理(2002年1月5日) 銀行の経営者の責任を明確にした上で、窓口規制により銀行を通して過剰融資をしてバブル経済を演 出し、大量の不良債権の山を築いた日銀当局が、政府と協力して責任を取って緊急避難的に不良債権 を買い上げることであろう。なお、日銀の信用が低下すると心配する向きもあるが、日銀は信用を失墜す るどころか、担保付きの不良債権を購入することにより信用を創造していくものである。むしろ、目下、日 銀が実施している日本政府発行の国債の購入や銀行保有株の購入、そして将来予定されている外債購 銀が実施している日本政府発行の国債の購入や銀行保有株 の購入、そして将来予定されている外債購 入こそが、何も担保もなく、暴落する可能性の高いもので、日銀の信用を著しく低下させるものだろう。 しかし、闇の勢力の指令による1999年の日銀法改正により、政府からまんまと独立を果たした日銀を 管理し指導することは今や不可能になってしまったようだ。さりとて、独立した権力を手中に収めた日銀も、 今後の非常事態に適格に対処できずに、墓穴を掘って自壊・自滅して行くことになるであろう。今やグロ ーバル経済の下、独裁的な日銀権力と雖も、一国の金融政策を支配できるには余りにも国内に流通す る世界通貨・マネーの額が巨大過ぎて手に負えない始末であるのが実態だ。今後はこうした事態に対処 できなくなった民間経営の紙幣発行株式会社の日銀を再度、政府管理下において指導していく必要が 出てきたようだ。何故なら、日銀が有する通貨発行権は国家主権に相当するからだ。 追記1: 追記1: 3月危機が辛うじて回避(2002年4月6日) 追記2: 追記2 : 日銀による銀行株購入の背景(2002年9月29日) 追記3: 追記3 : 景気を冷やす不良債権処理促進は危険(2002年10月16日) 補足: 補足 : デフレ経済の行き着く先は(2002年10月20日) 追記4: 追記4 : 不良債権問題の本質はヤクザ対ハゲタカファンド(2002年11月12日) 目下、我が国経済を低迷ならしめ、世界からも注目されている大きな難題が不良債権問題の処理であ ろう。この不良債権問題は政府等の公的債務とは性質や次元が異なるものの、経済の活性化に向けて 大きく束縛要因となっている点では共通していると言っても良いだろう。それにどちらも最終的には直接 的乃至間接的に増税という形で国民に負担が被ってくるものである。 即ち、政府の債務軽減による財政再建と銀行の不良債権問題は、一方は政府や地方自治体等の公的 機関の国民に対する借金であり、政府や地方自治体等と国民間の問題であり、他方は企業が銀行等の 現下の諸問題と展望:181 金融機関に負う債務であり、銀行と企業間の問題である。しかし、どちらも現下の日本経済の活性化を大 きく阻んでいることには変わりはなく、根底では今や一蓮托生の国家社会的な問題となっていることは否 めない。 今や、銀行の中小企業に対する貸し渋りや貸し剥がしも大きな社会問題になっており、銀行が社会的 公器としての役割を充分に果たし得ていないようだ。また、当の銀行も、公的資金を注入されても健全化 の目途が立たずに際限がないほどに底なし沼に陥っているようだ。銀行の軒並み赤字決算下で、一部で は再度の公的資金の注入も叫ばれているようだ。 しかし、幾ら公的資金を注入しても銀行の貸し渋りはBIS(国際会計)基準達成に向けて一向に止むど ころか、相変わらず資金が民間の中小企業に円滑に流れることが無く、銀行が国債を買っていると言っ た実に矛盾した現実だ。国民の税金を投入した公的資金で、国債を購入して再度国家に資金を環流して いると言うのが現状だ。 現下の情勢では、財政政策、金融政策が総て八方塞がりである、不良債権問題は最早、銀行だけの問 題ではなくなってきた。ゼロ金利政策を継続しても企業側からの借り手も無く、設備投資等の資金需要が 全く起きてこなく、今や銀行が政府の公的資金で政府発行の国債を購入しているような状況であり、まる で、タコが自分の足を食べているような現状では、最早、国家全体にもじわりと影響を及ぼしつつ有り、個 別的な銀行業界内だけの問題を大きく越えてきたようだ。 そして、デフレ不況のせいで、新たな不良債権が増加し、年間6兆円もの債権が不良化しているようだ。 これが足枷となって銀行もどうにも成らなくなっているようだ。そして、97年から毎年10兆円の不良債権 を銀行は処理してきたが、同額だけ新たに不良債権が発生してしまったようで一向に減少できないジレン マに陥っているようだ。しかも、不良債権問題の企業の仕分けに関して、マイカル等の倒産企業にしても、 破綻先懸念企業でもなくて、破綻の懸念の危険がないと言われた分類に属するものであり、全く不良債 権がらみの分類もいい加減なのが実体であろう。それに景気の悪化で分類の仕分けも日々流動化しつ つあるのが現状であろう。 ところで、現在、大手銀行が金融庁につつかれて、法定準備金を取り崩してまで2001年3月期に6兆 円の不良債権を処理するが、全く焼け石に水で効果無しの状態である。そればかりか大手銀行までが追 い詰められて、赤字決算から破綻が懸念されている。このままでは銀行発の連鎖倒産により、即ち資金 の供給が止まって日本は沈没である。多くの経済専門家も最早どうしようもないほどの日本の大幅な衰 退を予測し始めたようだ。 この不良債権の約3分の1が不動産関係であるが、一体額面で幾らあるのであろうか。この不良債権 の実態は明確に知られていず、銀行の資本が一体どれだけあるのか、誰も確信を持って答えられない異 常事態の下で、景気後退で銀行株の下落がなおも続いている。政府による公表では約40数兆円である が、民間企業の調査機関では、4,5倍の200兆円もあるという試算もあるようだ。泥沼の日本経済の行 方を大きく左右しかねない銀行の2001年の9月中期決算発表で、不良債権処理の増加と巨額の株式 評価損の発生で、四大金融グループなど大手銀行も殆どが最終赤字となった。大手銀行の株価はいず れも年初来安値近くで低迷しているが、株式市場では、中間決算発表をきっかけに下落に拍車がかかり、 株価全体の暴落の引き金を引くと懸念されている。 大手銀行全体では株式評価損が約1兆4千億円に上るほか、不良債権処理額も約1兆8千億円に膨ら む見通しである。このため、各行とも中間配当を見送るが、政府も政府保有の優先株による議決権行使 に踏み切る公算も強まっている。市場は既に中間決算を織り込み済みだが、問題は2002年3月期であ ろうと言われている。この時に銀行の倒産ラッシュが現れる金融クライシスが到来する気配が濃厚だ。現 在、大手銀行に対しては金融庁が特別検査を実施しているが、これに伴い問題企業向け融資に巨額の 引当金の積み増しが発生すると見られる。積み増し負担で配当原資が底をつき、2002年の3月期も無 配に転落すれば、国が保有する優先株式に議決権が発生し、大手銀行が軒並み事実上の国有化銀行 現下の諸問題と展望:182 に転落してしまうことが懸念されている。 ところで、現在の政府の方針で処理すると不良債権処理に後10年かかるようだ。即ち、2001年8月頃 の新聞各紙によると、「経済財政諮間会議が取り組んでいる「構造改革の手順を示す改革工程表の策 定」に関連して、柳沢金融担当相が、「今後2~3年間は集中調整期間と位置付けるが、しかし最近の世 界的な不況の影響もあって日本の景気は低迷し、不良債権の新規発生が高水準で続く。従って不良債 権の処理に全力を尽くしても、2003年度までは不良債権の残高は横這いで推移し、不良債権の残高が 半滅化するのは7年後になる」とのことである。これは、バブルの負の遺産を清算し終わるのに、後10年 かかる訳である。 そして、日本の株価は、2001年8月末に4日連続で史上最低の11000円を割り込み、9月に入れば 持ち直すのかと期待していたら、9月11日の米国での同時多発テロを契機に世界同時株安に突入し、当 分1万円の大台の前後を徘徊すると思われる。ということは、殆どの銀行が保有株の含み損を抱え込み、 大変な事態になる訳である。某研究所の試算では、大手銀行16行で5兆円強もの大きな額になるらしい。 ところで不良債権が巨額に至った原因の責任は一体何処にあって誰が悪いのかと言う問題が浮上して 来るであろう。これは貸した方の銀行か、借りて返さない方の企業かの問題だが、やはり相手企業の返 済能力や必要資金以上に過剰に貸し与えていった銀行にこそ、即ち、間接金融により過剰融資に陥った 銀行側に9割ほどの責任があると思われる。借りて返せない企業にも当然に借り手責任があって皆無と は言わないが、精々1割ほどであろう。間接金融による過剰融資の制度の弊害に加えて、それを運用し て行く上で利益追求優先による銀行側の状況判断が大きく誤ったことにも起因して、貸し手の銀行側に 見込み違いや判断違いがあったと言えよう。 これからの少子化社会や高度成長が殆ど望めない経済構造では、一般の借り手側の企業がこのバブ ルの損失を償却することは難しく、唯一償却が出来る体質を持っているのは銀行のみであろう。何故なら 銀行は元々貸し出し先さえ見誤らない限り、安全で必ず儲かる業種は無く、或る程度の貸し倒れ損失の 負担は折り込みずみな筈であり、ただ今回は損失額が大きかっただけであろう。11年前の平成2年に起 きたようなバブルは二度と起きる筈も無く、国家の支援を受けて全ての損失を一旦かぶり、時間を掛けて 15~20年間で償却するしか他に方法は無いのであろう。 ところで、全ての損失を銀行がかぶっているように錯覚しがちであるが、現実には国民全体で損失を被 っているのである。即ち、超低金利を国民全体が強いられている現状下で、国全体が不況に喘いでおり、 その期間がもう11年間も続いている状況である。歴代政府は何とか財政出動で景気を浮揚させようとし て約130兆円もの公共事業費を注ぎ込み、その分が国の財政悪化に拍車を掛けたのであると言う指摘 もある。 さて、現在の倒産企業の増加が銀行の経営を脅かしつつある実状下では、銀行を野垂れ死にさせられ ない以上、誰かが結果の後始末を付けなければならない。特殊法人に財投機関債を発行させて選別淘 汰を市場の評価に委ねるのがまやかしであるのと同様に、ブラックボックス化した銀行の選別淘汰を市 場に委ねるのは全く見当違いであろう。市場にそんな選別能力はなく、市場は政府の出方を詮索して混 乱するばかりである。最早、業界レベルでの解決策を越えて政治的問題に変質してきており、政治が決 断する時期に来ている。今や、社会の公器である銀行の国有化が不可避であろう。 現在の日本の金融・保険システムにおいては、銀行が保険業界の株を買い支えて、その銀行に投資信 託が投資しているのが実体である。それ故に、銀行が破綻すれば、銀行業界のみならず、保険や投資信 託へとドミノ現象により波及し、日本の金融・保険全体の破綻に繋がっていくことになるであろう。外国人 投資家はその当たりを既に読んで、そのうち日本から資金を引き揚げ出すであろうと懸念される。 公的資金の投入によっても、多くの銀行が軒並み赤字決算をする状況下では、とても公的資金の返済 は不可能であり、銀行の自社株券に切り替えての返済しかなく、結果的には政府が大株主となり、正に 実質的には銀行の国有化に至るというシナリオが出来つつあるようだ。一説によれば、不良債権処理は、 現下の諸問題と展望:183 公的債務の処理と抱き合わせで、新円切り変え(デノミ)、増税、ハイパーインフレしかないようだ。一民間 の銀行だけの個別努力では最早どうしようもないほどの危険レベルに達してしまったようだ。最早、一民 間企業、業界レベルの問題を大きく越えて政治的に解決すべき問題となってきたようだ。 ところで、現在、銀行の不良債権処理に際して、整理回収機構(RCC)が担当しているが、RCCの整理 回収機構では銀行から不良債権を買い占めても、債権を有効に償却が出来ずに、単に銀行からRCCに 不良債権を移転しただけに終わるであろうとも指摘されている。確かにRCCは破綻処理機関であり、倒 産や破産の処理のための機関であり、債権を効果的に運用していく能力も無ければノウハウも無いのは 事実であろう。 即ち、不良債権を銀行からRCCに付け替え、損失を税金で穴埋めしようとする銀行救済策に過ぎない。 しかし、本当に必要なのは雇用の要である企業を存続させることである。政府は企業を潰させ、それで傷 つく銀行に巨額の税金を投入することだけを考えているが、全くの逆の発想である。根雪のように積もっ た借金が整理されれば、大幅なリストラもなくなるのである。 また、政府が不良債権を買い上げるべきだと言う意見もあるが、政府が買い上げたとしても、購入資金 の捻出で国債を発行して、単に不良債権が銀行から政府に移転するだけであり、RCCによるのと大して 差は無く、最終的には国民が負担することに代わりはないであろう。即ち、国債の発行による購入では、 最後は増税で償却するしか無く、結果的には国民の負担になっていくのであろう。 ここで、某私大の教授が提唱する過剰債務を軽減するウルトラCの策は次のようである。即ち、負債の 7割ほどの社債を企業に発行させる。それを銀行が3割引きで購入する。その結果、銀行が資本不足に 陥れば、政府が創設する「新不良債権処理機構」が資本注入を行うというのだ。「多くの過剰債務企業は まともに査定すれば、破綻懸念先債権で、7割の引き当てが必要になる。それを考えれば、社債を購入 することは銀行にとっても負担ではないはず。残りの負債分は株式の形で同回収機構が買い取ることに する。そうやって一社一社の過剰債務を処理していくのである。」と言う。 現在のように、公的資金注入の代わりに国に渡される銀行の優先株よりはずっと効率的に回収できる はずであると言う。また「今危ない30社が話題になっているが、本気で不良債権問題の根を絶つにはそ の4倍の120社が対象になると思われる。そのためには日銀が20兆~30兆円を用意する必要がある。 国が負担するのは3割なので30兆円あれば100兆円の不良債権を片づけることができる。」と言う。日 銀が関与する点では、当方が考えている解決策と共通する故に、示唆されるところが多いと言えよう。 現在、不良債権を外国人投資家が買い漁っているが、購入価格の10分の1ぐらいの二束三文の価格 で手に入れているようだ。その投資家から見れば、過去9年間で銀行は72兆円も不良債権を処理してき たが、その内、売却等での直接消却は31兆円にも達したようだ。これは巨大な市場が生まれたことを意 味すると言う見方もあるようだ。日本人の感覚では最早、不良債権を償却し経済の活性化に繋げる才覚 はないようだ。 なお、銀行の国有化が必須となってきた状況下で、2002年4月からもペイオフ解禁で金持ちも各種団 体組織も、更には宗教団体の多くにおいても預金の分散も効果無く、資産を大きく取り崩して行かざるを 得ずに没落していくようだ。1,2の銀行の倒産や破綻では預金の分散も効果があったようであるが、一 斉に銀行が国有化、破綻すれば名寄せされて、1千万円以上の預金が保護対象から外れて没収されて、 資産を喪失していくことになるだろう。 ところで、米国に預けてある日本の米国債を担保にして200兆円余りを調達して景気対策をする案が 一部で出されている。米国債を引き出すようなことは米国が許さないから、実質的には不可能であるが、 担保にするならば、資金は米国に残留することになり、何ら問題はないであると言うことであるが、そもそ も一体、景気対策で如何なる政策をやるかが問題であろう。単なる資金の調達でのアイデアならば、それ なりに歓迎する面もあり、評価に値するが、矢張り問題は過剰な資金の行き場が無く、資金の過剰流動 性をどうするのかが問題であろう。 現下の諸問題と展望:184 矢張り、この面でも当方の提唱する、世界最大の未利用資源の火山灰を有効活用した「新日本列島大 改造の実践」しか、最早方策が無いであろう。要するに資金需要の創設であり、内需拡大であり、新たな 産業革命の創出である。今や正に、財政政策、金融政策、産業政策、共に八方塞がりと言った中で、当 方の提唱の採用を遅らせれば遅らせるほど、全てが回復不可能な事態に陥って、最後は多大な後悔と 反省が待っていることであろう。もっとも、そうなったらそうなったで、国民意識の変革が根本的に達成さ れる可能性が生じる結果に至ることで、当方にしても別に悲観するわけでもない。 今や、多くの新聞でも日常的に深刻な内容の記事に溢れている。例えば、某大手新聞報道(2001年1 1月13日)でも、「解散価値を下回る株価の続出は、収益力に比べて過大な発行済株式数ゆえか、実質 資本が棄損されたバランスシートの崩壊故か。いずれにせよ、経験則の「倒産株価」が再度、大手銀行 の経営を脅かしつつある。 「倒産株価」企業の存続は、事業会社は債権者の銀行が資金繰りを付ける限り倒産しないことを示す。 銀行も債権者の預金者が逃げ出さない限り倒産しないが、銀行の場合、デフォルト(債務不履行=ペイ オフ)を避ける政府の意志(預金者保護)が、最後の審判を果たす。不良債権のよって来るゆえんや何が 不良債券かの神学論争はこの際、無意味だ。銀行を野垂れ死にさせられない以上、誰かが結果の後始 末も付けねばならない。 特殊法人に財投機関債を発行させて選別淘汰を市場の評価に委ねるまやかしであるのと同様に、ブラ ックボックス化した銀行の選別淘汰を市場に委ねるのはお門違いだ。市場にそんな能力はなく市場は政 府の出方を詮索して混乱するばかりである。正確な会計情報の開示を含めて明示された約束事(ルー ル)と、約束が守られることを前提にして初めて市場が機能する。」として、最早、業界レベルでの解決策 を越えて政治的問題に変質してきており、銀行の国有化を予測している。 また、某夕刊紙(2001年11月21日)によれば、「マイカルの倒産が構造改革と勘違いされて株価が 一時的に反騰したことがあったが、マイカルは不良債権処理とは全く関係のない倒産であった。市場や 取引先の警戒感が強まったためにメーンバンクの支援が物理的な限界に達し、コントロールが利かなく なって勝手に倒産したに過ぎない。政府の意図が働いたわけではない。 小泉政権発足当初から「構造改革は看板倒れになる」と警告していた通り、これから先も、何一つとして 不良債権を処理できないことがいよいよはっきりしてきた。小泉政権の第一の間違いは、不良債権の金 額を出来るだけ小さく見せようとしたことだ。大手16行で総額18兆円程度とPRし、その対象も中小企業 だけに限定した。処理による影響を最小限にしようとしたためだ。国民の目をごまかそうと、政府も銀行も 実体を隠し、抜本処理のシナリオ作りを怠った。 その結果、「100兆円を超える」(市場関係者)不良債権は膨らみに膨らみ、今や手が付けられなくなっ てしまった。そればかりか、大手銀行の2001年9月決算は軒並み赤字という体たらくである。地銀大手 の足利銀行と北陸の2行は早くも、来年3月期に公的資金の配当金が支払えないギブアップしている。 「このままだと殆どの銀行の国有化が避けられなくなる」(市場関係者)と言うことだ。 ところが、小泉政権は第2の失敗に踏み出してしまった。銀行への公的資金の投入の是非を議論する こともなく無計画的に始めた金融庁の「特別検査」だ。そもそも始めた動機が不純で、「金融庁検査に対 する市場の評価を上げるため」と自ら説明しているように、まさに官僚と政治家の自己保身が動機になっ てしまっている。だが、始めてしまった以上、もう引き返せない。「特別検査」をやってみたけれども何も問 題はなかったとは決して言えない。逆に市場を納得させようと、株価が低迷している大手企業を思い切っ て破綻懸念先に分類すれば、マイカルのようなコントロール不能の超大型倒産ラッシュの引き金を引くこ とになる。そうなれば構造改革どころではなくなり、正に構造破壊である。 掛け声だけの杜撰な小泉政権によって、「不良債権処理」は完全に行き詰まり、この国は崩壊へ一直線 というのが真相である。」と懸念を表明し、国家崩壊への警告を発している。今や、普通の新聞ですら重 大な危機感が漂い始めたようである。 現下の諸問題と展望:185 そして、泥沼の日本経済の行方を大きく左右しかねない銀行の2001年9月中期決算発表がなされた が、不良債権処理の増加と巨額の株式評価損の発生で、四大金融グループなど大手銀行も殆どが最終 赤字となったようだ。大手銀行の株価はいずれも年初来安値近くで低迷しているが、株式市場では「中間 決算発表をきっかけに下落に拍車がかかり、株価全体の暴落の引き金を引く」と懸念されているのだ。 大手銀行全体では株式評価損が約1兆4千億円に上るほか、不良債権処理額も約1兆8千億円に膨ら む見通しだ。このため、各行とも中間配当を見送るようだ。市場は既に中間決算を織り込み済みだが、問 題は2002年3月期であろう。 現在、大手銀行に対しては金融庁が特別検査を実施しているが、これに伴い問題企業向け融資に巨 額の引当金の積み増しが発生すると見られる。積み増し負担で配当原資が底をつき、3月期も無配に転 落すれば、国が保有する優先株式に議決権が発生。大手銀行が軒並み事実上の国有化銀行に転落し てしまう。 最早、銀行の国有化は専門家やマスコミ界では当然のように考えられているようだ。しかし、先述したよ うに、銀行を国有化してもその中身が問題であろう。政府が国債を発行しても、銀行の不良債権の処理 の根本的な解決策には成らないであろう。国民が増税等により負担する結果により、一層深刻な問題に 直面していくことに成るであろう。 然からば、現在の膨大な銀行の不良債権処理は一体どうして解決して言ったら良いのであろうか。結 論から言うと日銀が不良債権を買い占めることだ。日銀ならば、別名、自分で通貨を発行している「日本 通貨発行株式会社」である故に、不良債権そのものを無かったことに出来るであろう。政府による公的資 金の注入と日銀資金の注入とは相違し、前者は税金の投入で後者は国民は関係ないし政府も関係ない ものである。勿論、そのような虫の良い話は国民感情から言っても許せないのならば、銀行の幹部連中 への責任追及、役職追放の強硬手段に訴えた制裁も必要であろう。 この不良債権の山も実は日銀が作り出したものである。日銀が窓口指導といった貸し出し規制により、 必要以上に銀行に資金を貸しだし、各銀行への割当額も規制し、大量に市場に出回せたからだ。余った ら減らす、足りなくてもそれ以上は融資しないといった窓口規制により、銀行を管理支配する中で、市場 に大量の資金を供給したからだ。銀行も日銀の大量の資金供与を受けて、必要以上に企業に貸し出した。 当時も関係者も、銀行が積極的に貸し出し競争を展開していたり、過剰融資に明け暮れていたり、一方 で、日銀が大量に資金を融資していたことが証言されているようだ。その結果が、過剰設備や過剰投資 を招き、不動産の買い漁りの結果、バブル崩壊により、一気に不良債券化してしまったのが真相である。 そしてその責任を旧大蔵省に転嫁して、旧大蔵省からの管理支配を断ち切って、1999年の日銀法改正 により独立を果たしてしまった。日銀を指導しようと思って一部の政治家が、日銀法の再改正に動き出そ うとしているが、まんまと日銀の策謀に乗せられた結果であり、事の重大さに気が付いたところで、既に 後の祭りといった結末であるようだ。 ところで、日銀は、何も公的な国家機関ではなくて、純然たる民間会社であり株式会社である。これは 米国の連邦準備制度理事会(FRB)においても共通して言えることである。米国の連邦準備制度理事会 の株式は恐らくロックフェラーを通じてロスチャイルドが保有しているのであろう。リンカーンやケネデイ大 統領が暗殺されたのも、こうした通貨発行権を巡って国際ユダヤ金融資本と利害が対立したためである。 各国の中央銀行の殆どがそうした民間銀行である。日銀の定款を見ても、政府以外にも広く出資を募集 している株式会社であることが一目瞭然に解るし、登記も必要であると明記されており、固定資産税も支 払っている。完全な公的機関なら登記や固定資産税など不要であるし、政府以外に民間からの出資を開 放するわけがないであろう。 この日銀の株式は日本の皇室と英国銀行であるロスチャイルド系資本が折半して保有しているものと 一部で指摘されている。日銀総裁の執務室の壁掛けには、何と悪魔の大権化であるルシファーの絵が 掲げられているようだ。これまでは悪の陰謀勢力の計画を実施するために、多大なる御利益を発揮させ 現下の諸問題と展望:186 てきたが、既に真の神仏の波動が浸透してルシファーが消滅したことにより魔の神通力も効かなくなって きたようだ。例え、日銀が陰謀を張り巡らせて政府から独立して権力を奪還していったとしても、今後は神 仕組みにより、権力を使いこなせなくて金融政策を誤り失敗してその責任を負わされて、再度、日銀の権 力を縮小させられていくことであろう。 ところで、なぜ、日本の中央銀行である日銀にロスチャイルドが登場してくるのかと言えば、日本は明治 時代で欧米列強の仲間入りを果たすために、日清、日露の戦争を経験していった。この戦争において、 多額の戦争資金を英国銀行やユダヤ国際金融資本から調達していった経緯があった。英国銀行を経由 して国債ユダヤが資金を提供したのも、実に英国の対中国政策、対ロシア政策に日本が利用されたと言 ったことだ。この英国銀行とは言っても、実質的にはユダヤ資本のロスチャイルドの民間銀行であった。 幸い、日清戦争では莫大な賠償資金が手に入り、そのまま英国銀行に環流させて償還した。 しかし、日露戦争では、同様に、高橋是清により資金調達を当時の英国のユダヤ系シフ財閥から調達 して日露戦争に勝利したとは言え、千島列島や南樺太等の領土の割譲が獲得されたが、当時の戦争に おける常識である賠償金が一銭も手に入れることが出来なかったのである。その結果、国民の間に大き な不満が残って、日比谷公会堂での抗議集会が開催され暴動にまで発展したことは歴史の伝えるところ であろう。そして、その借りた資金の返済は実際に行われたという記録もなく、殆ど実施されてはいないよ うだ。恐らく、その辺から日銀の株の売却で償還して行ったように思われるのである。 日銀による銀行の不良債権の買い占めによっても、日銀は民間企業で株式会社であるが、自ら通貨を 発行している性格故に倒産する心配がない、不良債権は実質的には民間の銀行と企業間の問題で政府 が直接関与するものではないが、国益を最大限に優先して、政府が日銀と協力して国策として実行して いく時期に来たようだ。1999年に政府から独立を果たした日銀を指導することは殆ど不可能ではあるが、 今度は日銀の責任に転嫁していくようにするしかないようだ。これによって、再度、日銀を政府管理下に 取り戻していくしかないようだ。 さて、先述したように、RCC(債権回収機構)でも、単なる不良債権の移し替えに終わり、結果的には処 理したことにはならないであろう。既に、外国資本が10分の1の時価で買い占めた銀行の不良債権額は 40数兆円にも及ぶ。最初から日銀による買い上げを実施しておれば良かったのである。なお、政府発行 の国債を日銀に買わせると言った日銀による国債の買い切りオペでは、法律的にも禁止されていて不可 能であるばかりか、インフレに繋がりかねない危険性を有しているものだ。 勿論、銀行の不良債権を大量に発生させた銀行自身の責任を取って貰うためにも、銀行幹部の総退陣 や退職金の返済を実施していくことが必要であろう。是は何も民間の銀行ばかりの問題でも無い。多くの 政府系金融機関や特殊法人でも同様の杜撰な計画が行われてきたのである。如何に無能で利己的で杜 撰な頭脳であったかが証明されよう。 当方の他にも、何人かの方から、不良債権処理は日銀特融のウルトラCで完全処理出来るという指摘 もあるようだ。「円の支配者」という本の外国人の著者も同様なことを言っているが、某HPに記載されて いた一般の方の見解が最も明瞭と思われるので、ここに紹介しておこう。但し、両者とも日銀の株主構成 における真の絡繰りまでは知らないようだ。ここは、日銀が不良債権を買い占めることに関して、当方が 記載するよりも彼の指摘を要約して参考までに紹介しよう。 現在の日本では、政府が国債を発行して、公的資金を注入することは、既に666兆円もの膨大な累積 債務残高を抱えている上に、更に借金の上積みをすることになり、国民から反対が出る可能性が大だが、 日銀からの資金注入ならば、国家が借金をする訳ではないから、抵抗感も少ない。しかも、13年度も30 兆円を超える国債の発行が予定されていて、この上に数10兆円もの国債を発行すれば、市場では国債 の暴落(金利の暴騰)が起きて、混乱する。 日銀が不良債権の処理の為に資金を注入することの正当性に関しては、日銀が不良債権の処理に参 画して資金注入することは、当然の務めである。何故なら、日本銀行は「日本銀行券の発行、通貨及び、 現下の諸問題と展望:187 金融の調節ならびに信用秩序の維持に資すること」と日銀法に明記されているように、八百余ある銀行・ 信用金庫・信用組合等の上に存在する、いわゆる「銀行の中の銀行」ともいわれる重要な任務を持って いて、その上、国民の誰もが知っていることは「公定歩合の決定権を持っていること」からだ。 今回提示する「日銀が、不良債権の処埋に参画すること」は、「信用秩序の維持に資すること」という日 銀の権限と義務をフルに行使して、不良債権の処理を早急に、しかも取りこぼしが無いようにする事で、 今、日銀に最も求められている課題である。日銀から公的資金を注入することへの懸念に関しては、当 然、銀行へ公的資金の注入に当たって事前審査をしっかりやるし、一般の企業と違って、銀行は「日本の 全産業を相手にした金貸し」なので、多くの産業から金利を稼げるし、銀行本体も事実上準国家管理のよ うな状態になるので、「銀行本体も潰れる心配は全く無いし、絶対に潰さない」と断言出来る。 政府が国債を発行して、公共事業費の支払いや公務員の給科を支払ったりすれば、市場に直接、日銀 券が出て行き、その度合いが大きい場合は、日銀券が市場にダブつき、結果としてハイパーインフレにな る可能性が大であるが、「不良債権処理の為に、日銀の資金を使う」方法では、殆どの資金が、銀行を通 して、企業活動の為に使われるのでハイパーインフレになる可能性は少ない、即ち、日銀がコントロール 出来ると思う。日銀からの資金注入は、公的資金であることはまぎれもない事であるが、国が債務保証を しない限り、国家の借金になる心配は無いと思う。今回の事例では、国が債務保証をする必要は見当ら ない。 波及効果としては、不良債権をl~2年で処埋して、後述するような方法で償却することで、実態経済面 では、不良債権が経済活動に悪影響を及ぼすことがないようにすることが出来る訳である。7~10年間 もかかるという柳沢担当相の発言とは雲泥の差であることは明らかである。なお、「l~2年で処理する」と は、「処理すべき不良債権を確定し、債権放棄に伴う、諸手続きを行なう期間としてこの程度の時間が必 要」ということで、隔離した不良債権の償却には15~20年の期間は必要である。 「不良債権を抱えた企業を、やたらと取り潰すことはしない」ことである。どうしようもない企業は取り潰す べきだが、企業は、或る程度の規模以上に大きくなれば、いわゆる「社会の公器」となる訳で、その企業 で社長等が反社会的な行為(バブル景気で踊って、土地を買い漁ったのも、この反社会的な行為に当た る)をした場合は、辞任又は解任させて責任を取らせることでケジメをつけることと、場合によっては株主 に責任を取らせる意味で、減資を認めさせることで対応するだけに止め、何ら罪の無い取引先や従業員 を巻き添えにしたようなこと、例えば「会社更生法や民事再生法等」の法的整埋で、取引先に8~9割の 債権カットを強要したり、本体及び取引先等を含めた関連企業の従業員を失業に追い込むことのような 行為は絶対に避けるべきである。 米国の国防総省及びマンハッタンの世界貿易センタービルヘのテロ事件が影響して、ついに、ニューヨ ーク株式市場は8300ドルをあっさり割り、東京株式市場の日経平均株価も1万円を割り込み、民間の 調査機関の成長率予測では、日本の成長率は、2001・2002年度ともマイナス成長になると発表、底 無しの不況の状態になった。 事ここに至った以上は、小泉総理の「構造改革には痛みが伴う」という原則論にはこだわらず、不良債 権の処理に伴うものでも、法的整理による企業の取り潰しや周辺企業への皺寄せや、従業員を失業に追 い込むことはすべきでは無い。公的資金〈日銀の資金)を投入する以上、取引先の債権カットや従業員を 失業へ追いやることと言った犠牲を最小限に抑えるべき政治的配慮が必要である。 「構造改革」とは、かつての石炭産業や、現在では人件費の安さから東南アジアや中国に製造の拠点 を奪われつつある繊維産業や白物家電製品等の競争力を失った産業を或る程度整理して、新たに競争 カのある産業に労働力を移動させることであって、バブル景気に踊らされて土地を買い漁った挙げ句の 果てに苦況に立ち至ったバブルまみれの業種(ゼネコン等の建設業、不動産業)の問題は、本質的には 「構造改革」の範疇ではなく、あくまでも「不良債権の処理」の範疇である。従って、小泉内閣が声高に言 っている「構造改革」は、決して本来の意味の「構造改革ではなく」、あくまでも「不良債権の処理」以外の 現下の諸問題と展望:188 何物でも無い。 もう一つ解せないことは、世の中の大半の人々が「バブルに踊らされて、土地を買い漁ったゼネコンや 不動産屋は悪党だから、潰れても当然だ」と溜飲を下ろしており、「それの波及効果としてこれらの悪党と 取引していた納入業者が連鎖倒産したり、従業員も失業するハメになっても当然だ」と感情的になってい る(坊主憎けりや、袈裟まで憎い)ことである。指摘したいことは「土地を買い漁った不動産会社やゼネコ ンの経営者は全員、そしてその会社に投資していた株主は連帯責任を取るべきだが、罪の無い従業員 や取引先まで巻き込んでしまうのは如何なものか?」ということである。通常、「法的整理=会社更正法 又は民事再生法を適用するケース」で整理する場含、整理対象の会社の取引先が相当の損をかぶるこ とが多いのであるが、これはあまりにも理不尽であり、法的整理はすべきでない。 2001年の春以降、「不良債権処理を本格化させれば、相当数の失業者が出るので、その受皿として、 セーフティネットの充実(=失業者の雇用斡旋や失業期間中に保障する手当ての期間を延長する等)が 必要と叫ばれているが、一旦失業してしまえば、40歳以上の人々が再就職することは非常に厳しく(例 え見つかっても、給料等は大幅にダウンする)、政府が負担するセーフティネツトの為に手当てをしなけ ればならない予算の計上も数兆円にのぼると見積もられており、財政の悪化に拍車をかける訳で、今は、 「構造改革には痛みが伴う」と言うことは引っ込めて、失業者を一人でも少なくすることに、全力を注ぐべ きである。 2001年4月7日の某大手新聞の記事は、「ニッセイ基礎研究所は、22兆円の不良債権の最終処理を した場合、失業者は130万人増え、失業率は1.9%増加すると試算。内閣府は20万人程度と見ている が、失業者が増えるのは確実だ」と報じている。内閣府の失業者の見積もり人数が極端に少ないのは、 「実際の失業者は数倍多いが、新しい就職口を見付けた人々の分は差し引き、ネツトの失業者数が20 万人程度は出る」との意味である。 なお、内閣府は、「530万人雇用増計画」を策定したと報じられているが、その全てがサービス業(第三 次産業)を中心としたものばかりで、給与等を見た場合、とても喜んでおられる内容ではないようだ。もっ と極論をすれば、こんな雇用計画は机上の空論(希望的な)でしかなく、とてもこれをベースに諸計画を作 成する代物ではないようだ。 副産物だが、巨額の日銀資金が市中に出て行くことで超金融緩和の効果をもたらし、デフレを一気に吹 き飛ばしてくれる。何しろ、約2年間の間に、不良債権を処理した分の穴埋めとして「40~60兆円(全て が新しく印刷された日銀券という訳ではなく、口座間での資金移動が半分以上を占めると思われるが)も の資金が、金融機関を通して市中に日銀から新たに出て行く」のであるからハイパーインフレにはならな い(政府機関を通して最終支出として出て行くのではなく、金融機関から企業の生産活動の資金への融 資として出て行くのでコントロール可能)が、相当の金融緩和の効果が出てくることは間違い無く、しかも、 国の借金ではないからである。(現在、市中で流通している日本銀行券は約60兆円前後だそうだ) 「法的整理の間題点」に関しては、業種によって違うように思われると言う。即ち、 (イ)「大型小売業」には、法的整理は向いているようである。 何故なら、この業種の間題企業は、不採算店を相当抱えており([そごう]もそうだった)、「残す店と、整 理する店がある以上、「法的整理」で画一的に区分けした方が処理もし易い」からである。しかも、この業 種は、バブル期に土地を買い漁った為に不良債務を抱え込んだのではなく、バブル経済が弾けて10年 以上も日本経済が不況で呻吟することを予測出来ずに、拡大路線を取ったいわゆる不況倒産型である。 (ロ)「不動産業・建設業」は、法的整理はあまり向いていない。 この業種には、いわゆる、大きな工場等の設備がない。この業種は「取り纏め(ゼネコンとは、ゼネラ ル・コントラクターの略=総合請負業者のこと)」やノウハウが財産な訳で、この業種の場合、法的整理で、 本体だけ残し債務整理で資材納入先の売掛金をカットしたり、従業員を失業に追いやった場合、広義の 社会正義の面では、あまり芳しくないからである。 現下の諸問題と展望:189 例えば、OOセネコンが土地をバブル期に買い漁って、不良債務を抱えていた場合、法的整理で、納入 業者の売掛金を80~90%カットした結果、相当の納入業者が倒産の憂き目に合うが(バブル期に土地 投機はしていない)、ゼネコン本体は何とか残る事例の場合、果たして社会正義の面で肯定されるであろ うか? 前述したように、製造業や小売業のように、工場や店舗という高価な不動産も無く、何を守る必要があ るのであろうか。 指摘したいのは、今の雰囲気では、こういう不合埋な事が、不良債務を抱えた大手のゼネコン等の整 理で罷り通ろうとしていることである。もっとはっきり言えば、不良債務を抱えた大手のゼネコンを整理す る場合は、「All or Noting=丸ごと救済するか(納入先の売り掛け債権をカットせず、従業員もあまり整理 しない)、完全に潰す=本体企業も潰す」しか無い。 今のように大不況の場合には、公的資金を使うこともあって、デフレをこれ以上深刻化させない為にも、 丸ごと救済すべきである。但し、不良債務を抱えていた本体企業の経営者は全員退任し、株主も減資(9 0%位)に応じるべきである。(減資分の穴埋めは、銀行の貸付け債権を引き当てる) 具体的な処理方法としては、 (a)不良債権の全てを銀行がかぶり、損失処理によりバランスシート上マイナスとなった部分には、日 銀特融で補填する 「不況の為に倒産したマイカルのようなケースは、民事再生法等の法的整理で対応した方が良い」。こ の項で提案する処理の対象は、「土地バブルで不良債務を抱えた会社」を念頭に置いている。この不良 債権の処理で銀行がかぶる金額は、約43兆円~83兆円の間である。日銀特融の内容は、「単なる貸付 け」にするのか、「資本部分への出資」になるのかは、法律の専門家に検討を委ねる。但し、日銀法の改 正は必要であろう。 償却に関しては、銀行が償却した部分を日銀は毎年回収出来るので100%取りっぱぐれはない(銀行 を事実上の準国家管理下に置き、拓銀等のように取り潰さないのて絶対安全。日銀は20年後には完全 に回収完了)。約10年前頃に、スウェーデンで実行されたように、経営不振の銀行を一時国有化して、再 建に成功した例にならってやれば良く、再建に成功した時点で、完全民営化に戻せばよい。損失分の償 却は15~20年で処理が可能であろう。 国税庁が認めている税務会計処理の基準では、「企業〈銀行にも適用)が出した欠損金の繰延べ処理 は、次年度から5年間で処理しなければならず、6年目以降には損金算入が出来ない(過去に発生した 累積赤字分を、利益が出た年度に償却出来るのは5年前以降の分しか認めてくれず、それ以前の累積 赤字分の償却は、国税庁は認めていない。いわゆる「残存累積赤字分の切り捨て」、適用法令は法人税 法第57条)」ことになっているが、米国では「金融機関が不良債権を処理して出した赤字分の繰延べ処 理の期間は15年間」となっている。日本のバブルは一廻り大きかったので「赤字分の繰延べ償却期間を 15~20年間」と特例扱いにすること。その為には、勿論、法人税法第5条の改正が必要である。 短期間(2年乃至は数年で)で処理しようと焦るから、何処かに皺寄せ(「企業の倒産や百万人前後の 失業者を出しても止むを得ない」という論法)をすることになるのだ。 (b)銀行での個別の処理は、業務純益の半分を不良債権の処理に引当てて、その後の半分は自行の 株式への配当や、別途積立金等に引き当てる自由を保持する。 不良債権の処理完了を早める為に、業務純益の半分以上を引き当てる自由は勿論あり、不良債権の 額が少ない(その銀行の総与信額に対する不良債権額の比率が少ない)銀行は、早く健全化を宣言出 来る訳である。あと20年で処理出来ない銀行でも潰すことはせずに、完全に処理が終わるまでこの処理 方法で対処することを認める(20年以上償却にかかっても認める事)。 (c)土地バブルの分を今回全部清算する 企業が今でも抱えている土地バブルの全てを金融機関に引取って貰う。株式のバブル分による暴落損 現下の諸問題と展望:190 は全て外すこと。既に償却も終わり、企業の財務状態が健全になっている所は外し、今以て塩漬け土地 を抱え、それに相当する不良債務を抱えている企業については、銀行はその両方を引取る。銀行は不良 債権を放棄し、土地を引取る。バブル時に取得した土地は既に二束三文で処分し、赤字だけを抱えてい る企業に対しては、不良債務分に見合った銀行の債権を放棄して貰う。 (d)不良債権の約43兆円は、いわゆる、焦げ付きで利息収入が無いものが殆どだが、この提案を実行 に移せば、日銀から資金を注入する訳だから、銀行は確実に、この資金を運用して金利を稼ぎ出せるし、 勿論日銀に利息又は配当を行なえる訳で、銀行側にも相当のメリツトがあると思う(20年間で約10兆 円)。 どうやって実行を確保するに際しては、銀行業界に任せっきりにせずに、金融庁が十二分に監督すると ともに、詳細な個別企業毎の計画・調査報告書を出させ、チェックを充分にすること。銀行に不良債権の 認定を任せっきりにしておくと、恣意的な面も心配なので、不良債務を抱えた企業が自主的に申し出られ るように、自己申告制度も整備して二度と不良債務の積み残しが出ないようにする。適用を申請した企業 への事後の融資等で不利益が生じないように制度的に保証すること。 以上、述べられたような解決策しか最早道がないであろう。しかしながら前例を重んじ囚われる政治家 や官僚には実行能力は殆ど無いであろう。これは最早、実質的には、日銀を政府が株主として完全国有 化するか、通貨発行権を陰の支配者の株主から国家自身が取り戻すか、更には新たな通貨発行権を有 した国有銀行を創設して、当該国有銀行が発行した新貨幣を現在の日銀発行の通貨と交換していくしか ないであろう。別の意味でのユーロにおける新通貨切り替えのようなものである(ユーロでは逆に各国の 通貨発行権を取り上げたことになるとも言えよう)。 勿論、通貨発行権は時の政府権力者の恣意的な権力的な手段に利用されないような歯止めが必要で あることは当然であることは否定しない。それ故に、各国の通貨発行権は、政府権力者から分離されて 運営されていると言ったもっともらしき説明も成されているようだ。しかし、国家が金融的に緊急事態に至 ったときの対応を真剣に考える時期に来たようである。この金融制度改革に関しても、種々の改革の中 でも最後に残された最も厄介な問題となってくることであろう。 最後に余談だが、日本における最大の不良債権は、以上に述べた銀行の不良債権ではなく、実に大量 に購入して保有している米国債であり、次いで、日本政府発行の国債であり、これは何れも返還されるこ とはなく、最後には不良債券化していくことであろう。目下の銀行による不良債権は精々三番目ぐらいの 問題でしかないとも言えよう。米国債も日本の国債も、共に償還されることは無いであろうと思われる。 追記1: 3月危機が辛うじて回避(2002年4月6日) あれほど騒がれた不良債権絡みの銀行倒産による3月危機が回避されていった。公的資金の再度の 注入の話も実行されなかったようだ。一体、3月危機がどのようにして回避されたのであろうか。ペイオフ が解禁された4月以降も、銀行への不安を裏付ける驚愕の事実が次々を明らかになっている。危機の先 送りの誤魔化しがばれて、危機が再燃するのも時間の問題と言えよう。日銀首脳も、4日の参院財政金 融委員会で、「昨年3月時点で大手銀行の本当の自己資本比率は6%台で、海外でもこれが不安材料に なっている」と述べていた。実に、銀行の惨状を日銀が暴露して、金融危機を認めた形である。 ところで、今年の3月中に行われた日銀のロンバート貸し出し件数が29件で57億円に達したそうだ。ロ ンバート貸し出しとは、昨年3月に出来た制度で、資金繰りに窮した金融機関への日銀の緊急融資だと 思えばよい。通常の銀行は銀行間で資金を調達するが、それが出来なくなった銀行が日銀に駆け込むこ とになるのだ。そのロンバート貸し出しが3月中に29件もあったと言うことは大変な驚きだ。恐らく、ペイオ フを前にした預金流出が原因なのは間違いないとも指摘されている。やはり、3月危機は起こっていて、 すんでのところで、日銀が金繰りを付けたわけだと指摘する大手金融機関関係者も見解もあるようだ。今 現下の諸問題と展望:191 後とも銀行からの資金流出は続出していくようだ。 ここに来て、ペイオフ絡みとは言え、日銀が金融機関に資金提供することは、不良債権処理にも、日銀 が当該不良債権を買い占めるという吾々の見解の実行にも道を開くことになるのではないかとさえ思わ れてきた。いよいよ、日銀を支配するロスチャイルドを中心とした闇の世界統一政府が、日本を崩壊させ れば自分達にも影響が及んでくることを察知して、日本の金融機関の救済を開始し始めたものと思われ る。ここでも真の神仏の波動が次第に伝搬して、意識を変革させつつある状況変化を痛感する思いだ。 追記2: 日銀による銀行株購入の背景(2002年9月29日) 9月18日、日銀は銀行が保有している株式を買い取る方針を表明した。株式取引の終了間際にニュー スが伝えられ、大幅に下落していた株価が急速に値を戻した。翌日も日経平均株価は200円ほど上昇し たが、株価上昇は2日で終了した。日銀の政策は僅か1日半しか効果を発揮しなかったのだ。 その後、日本の金融市場を支配している動きは、株安ー円安ー金利上昇の所謂「トリプル安」だ。日銀 の政策がトリプル安を生んでいる。海外でも日銀の銀行株の購入に対しては、極めて否定的に見られて いるようだ。中央銀行の採る方策としては極めて異例であり、禁じ手として受け止められているようだ。 某経済評論家の話では、「日銀の株式買い入れの何処が問題かに関して、第一に日銀資産の健全性 の視点である。日銀は自ら通貨を発行し、市場から資産を買い取っている。流通している通貨が価値を 失わずに、安心して利用できるのは、日銀の資産内容が健全であるからだ。 日銀資産が不良化するならば、日銀の負債に当たる通貨の信任が低下してしまう。通貨の番人である 中央銀行の第一の責任は通貨価値の維持だ。従って、資産の健全性確保は日銀の行動鉄則の一つで あり、今回の決定はこの鉄則を踏みにじったものである。 第二に、日銀は何を基準に、どの企業の株式を購入するかを決めるかだ。銀行が保有している株式を 購入するのは、まず、銀行の株式売却に伴う損失を減少させる政策であり、形を変えた銀行に対する日 銀の補助金だ。日銀が株式を買い取る当該企業の株価は人為的に株価を支えることが出来るが、これ も一種の補助金だ。日銀は民間の経済活動に対し中立に行動しなければならない。 日銀の節度を失った行動を歓迎したのは誰か。財政当局は日銀が株式購入に動き株価が押し上げら れるなら、財政政策の対応を回避でき喜ぶだろう。金融庁は金融機関への資本注入といった抜本策をま たしても先送りでき喜ぶだろう。速水日銀総裁が財政及び金融当局、乃至小泉政権の顔色を見て節度を 失った政策を決定した可能性が高い。しかし、有効な効果は期待できない。株価は企業の価値を表示し ている。株価が上がるために必要なことは、企業の価値が高まることなのだ。日本経済回復の展望が開 かれれば放っておいても株価は上昇する。 企業の価値を高める政策をとらずに株価そのものを力ずくで引き上げようとしても、瞬間的にしか効果 は生じない。株式市場は実体経済を映す鏡に例えられる。株価は鏡に映し出された実体経済の姿なの だ。その姿が見にくいからと言って鏡に口紅で化粧したところで意味はない。 本体である経済を改善させる政策を改善させる政策こそ必要なのだ。日銀が節度を失った弊害は、 徐々に、しかし確実に表面化してくる。「日本」を信頼できないなら、資本は円資産からの逃避を始める。 その具体的表面化が、円安、株安、金利上昇だ。小泉政権の経済政策、進退窮まる感が強い。」と指摘 する。 吾々は、既に言及したように、不良債権の処理に当たっては、日銀が緊急避難的に銀行の保有する不 良債権を購入することであると指摘した。それをどういう風の吹き回しか、銀行の株を購入し始め、多くの 専門家でも度肝を抜かれたようだ。思うに、この処置には、政府が公的資金を注入して、実質銀行の国 有化に至る直前に、日銀が銀行株を購入したと言うことは、銀行国有化を阻止して、日銀自らが民間銀 行を保有する方向を示したと言うことであろう。 恐らく、日銀株の過半を保有しているロスチャイルド国際ユダヤ金融資本を主体とする闇の陰謀勢力の 現下の諸問題と展望:192 意向であろう。それは日本経済の支配であり、乗っ取りであろう。公的資金の更なる注入で銀行国有化に なると、日銀も政府からの干渉を招き、至っては折角1999年に日銀が達成した政府からの独立性にも 影響を与えかねないと判断した結果であろうと思われる。いよいよ中央銀行の日銀が本性を現し始めた と言うことであろう。即ち、通貨発行株式会社の日銀による日本経済の管理支配に向けて大きな第一歩 を踏み出したものであろうと思われる。 追記3: 景気を冷やす不良債権処理促進は危険(2002年10月16日) これまで、問題先送りで机上での議論でもあった不良債権処理とデフレ対策を巡る議論が、ここに来て 一体となって政治の最大課題をして急浮上し、経済恐慌への予感が急迫する中で、百花繚乱(騒乱)、百 家争鳴(争迷)の如き様相を呈してきたようだ。多くの学者や政治家などが提唱するデフレ脱却のインフレ ターゲット(目標)論、そして市場原理重視による優勝劣敗の厳しい企業淘汰の実践は、最大の危機感を 現したものとも言えよう。しかしながらその対策、処理案、処方箋、実践時期には大いに疑問がある。 即ち、大方の有識者も指摘するように、「金融機関の資産査定をやり直し、貸倒引当金の積み立てを厳 正に求め、明確な責任処理の下で金融機関に対する資本の(強制)注入を行う」という政府の金融問題 処理はプロセスとしては正しいのだが、問題は、[金融処理政策を景気悪化促進のマクロ経済政策と組 み合わせている]ところにあると言えよう。換言すれば、景気振興を軽視乃至無視した政策と言えるでしょ うか。最大の間違いは、[マクロ経済政策で景気悪化を促進しつつ、他方で金融問題を透明、厳正に処 理しようとしている「組合せ」である]と言えるだろうか。 現に、政府が、2002年度に補正予算を編成しないことを公約し、6月以降の「景気支持策は愚の骨 頂」の方針を提示して以来、日本経済を危機に追い込んでいると言えるだろう。そして今回の「大企業も 大きくて潰せないことはない」との不良債権処理推進発言で、大幅な株価暴落、景気急落の失態を招い ていると言えるだろう。いよいよ本格的に大銀行が破綻し、大企業も連鎖的に破綻してゆく由々しき兆候 が出てきたと言えよう。 竹中大臣の軽はずみな失言は、金融担当大臣就任前にも、また、改造内閣発足の就任直後でも、そし て今でも、銀行への更なる公的資金を注入することを宣言し、その政策実行の前に不良債権処理を大々 的に進めると不用意に発言したことだろうと思われる。これは取りも直さず、企業の大幅な粛正であり倒 産整理を促進させることであり、銀行国有化で銀行の保有する企業株が紙屑同然になるということだ。そ れ故に日経平均株価が暴落することは当然であり、所詮は、思い付き発言の多い書斎の机上での空理 空論を玩(もてあそ)び易い学者であり、生きた経済を相手にする現実の政治家としては危なっかしいも のと言えよう。 さて、日本を取り巻くデフレ圧力の状況は、今やグローバル経済下の世界的デフレ傾向の経済規模が 大きく縮小していく中で、最早多言を要しない周知の流れである。その中で不良債権処理を一段と本格 的に加速しようということでしょう。恐慌は何としても回避して行かねばならないとすれば、デフレ緩和政 策要求を巡る資金の更なる量的緩和やインフレーターゲット論、景気回復や市場の活性化への前処理 の不良債権処理促進は、一見すれば疑問の余地のない議論にも聞こえる。 現在の670兆円とも言われる地方と中央を合わせた膨大な公的債務、そして銀行の有する陰では10 0兆円とも言われる多額の不透明な不良債権を前にして、一部には回収困難な暴力団絡みの不良債権 も多い中で、今やこれから迎える経済危機の極致・極限状況を、インフレで迎えるか、デフレで迎えるか の最終的選択を視野に入れた議論が必要になるだろう。どこまで政治が制御可能かは未知数ですが、 極論すればハイパーインフレの到来か恐慌に突入かの選択と言えるだろう。 インフレの極致のハイパーインフレの経済効果が債権債務の蒸発(帳消し)であり、一方のデフレの極 致の恐慌は破産による債権債務の清算と言えるだろう。共に、被害者は国民各階層や全企業の広範に 及び、個別に倒産・破産などの法的な責任問題の多発が想定されるかどうかの違いがあるとも言えるも 現下の諸問題と展望:193 のだが、何れにしても経済的大混乱が待ち受けているものだろう。ここでもインフレ待望論は勿論、企業 倒産を多発化させていく不良債権処理促進は対処療法的な安易な問題解決と思われる。 何よりも不良債権処理を促進させるにしても、企業整理乃至倒産に伴う大量の失業者や解雇者を救済 するセーフテイネット(安全網)を整備し、そして規制緩和を含めた新たな産業や雇用の創出を併行して 実行して行かねばならないだろう。徒(いたずら)に企業を整理し破綻させ市場から撤退させれば済むも のではないだろう。 ところで、不良債権は景気が回復すれば優良債権になり得るものも多く、その優劣の選別には要注意 であろう。景気の後退局面において強硬に敢えて処理促進することは、体力の弱まった患者に、麻酔も なく点滴もしないでいきなり外科手術を施すにも近い仕業と言えるだろう。景気が比較的順調な時期での 不良債権処理なら痛みも少ないのだが、現在の経済状況下では、下手に外科手術をすれば患部は除去 できたが、患者は死んでしまったということにもなりかねない。 中には、当方と同様の見解を示して、「手術をする患者に先ず断食させ、血を抜き取り、息も絶え絶えに させておいて、輸血、点滴、麻酔無しで執刀するようなものだ。こうなると、「手術」と言うよりも「殺人」に近 い。」等と更に過激な発言をしている評論家もおるようだ。別に例えれば、現在の多額の不良債権の問題 処置は、恰も、多少のゴミならばガソリンをぶっかけて燃やして仕舞えば良いのですが、山積してくれば 一気に燃やせば大火災に発展し、風向き次第では周辺住民に火の粉が降り掛かってきて大変危険な状 況となることと酷似していると言えるだろうか。 なお、不良債権処理を促進するということは強硬に債権回収に走り、個人で言えば、強硬に生活必需 品を除外して残りを全て剥がして持っていくと言うことだ。二度と立ち直れなくなって破産、倒産すると言う ことで、市場からの撤退を意味するものだ。確かに自由競争を標榜する資本主義経済下では、競争に敗 れた無能な企業や経営判断を誤った無能な経営者は市場から即刻退場し撤退していくというのが市場 の原理原則であり明白な命題・論理であるが、周囲や国内経済全体への影響の規模やタイミングを考え て行かねばならないだろう。 これは何も先に示唆したような下請けとか取引企業な連鎖倒産に伴う雇用破壊や新たな不良債権の創 出を出来るだけ回避して行くことも勿論重要であるが、最大の懸念材料は外資系との関連であろう。今や 外資系が虎視眈々と日本市場を狙い撃ちにして、日本企業を買い占める動きに出てきたという背景の中 で、強硬な不良債権処理による企業倒産続出や、一方で何が何でもの民営化推進路線は非常に危険な 対策・対応でもあろう。良識ある外資系ばかりではないハゲタカファンドも多いところに危険性がより多く 存在すると言えるだろう。さりとて現在は、役人根性(官僚的銀行経営者や官僚機構)の無責任体制の打 破に効果的な対策も打ち出せていない、正にどん詰まりの膠着状態であることも確かであろう。 ここに来て不良債権を政策の最大優先課題にしてきた背景には、アメリカからの圧力があることは充分 に察しが付くことだろう。小泉総理がカナダのサナナキスサミットでも、その後の9月11日の訪米でも同 様に、米国から日本に、景気対策を求めるのではなく不良債権処理の促進を催促・強要されたことでも理 解できるであろう。米国の意図は、不良債権処理に伴って大量に処分淘汰される日本企業をただ同然で 米国企業に買い叩かせる算段のようだ。現に米国は、特定の大手破綻企業名を挙げて竹中氏に清算す るように命令して来ているようだ。 かつての長期信用銀行に公的資金2兆円も投入して僅か10億円で米国のリップルウッドに明け渡すな どしたことと同様な決着に至るものと懸念される。その長期信用銀行改まった新生銀行は、来年3月まで 有効の瑕疵担保特約条項を付けられており、不良債権処理で破綻する企業が続出すればするほど利益 が転がり込んでくる仕組みになっているもので、実に売国奴的解決を見たと言えるだろう。その新生銀行 の役員には日本人として驚くような人物が名を連ねているようだ。 今回の不良債権処理も外資系にただ同然で呉れてやるような結果に至るものと思われる。政府のプロ ジェクトチームのメンバーも果たしてどれほど国益を重視した改革意欲があるか解らない。金融の専門家 現下の諸問題と展望:194 で、現状認識は優秀ではあるが、単に好奇心で現状認識や現状批判に留まっているのではどうしようも ないわけで、国益を考えた高い志の下に、強烈な改革意欲、正しい改革への展望があるのかどうか疑問 もあることは確かだ。当初の方針から外れて、結果的には売国奴紛いの決着に終始する者も多いのでは ないかと懸念される。この点は、後述するように、日銀の不可思議な銀行保有株の買い入れの動きとも 背後で連動しているように思われる。 ところで、倒産・破産というのは、債権債務を合法的に帳消しにして、新たに経営者が交替するという側 面を有しており、二束三文で手に入れた新たな経営者が再建して、雇用の調整や資産の整理という状況 ももたらすが、基本的には元のとおりに経営すると言うことだ。債務を綺麗に清算した後は、日本の現在 の低金利を有効活用させて、外資系にただ同然で呉れてやると言うことにも成りかねない。 従って、大方のマスコミや評論家からも指摘されるように、米国のシナリオ通りに不良債権処理を実施 することは、即ち、日本政府がこうした米国の要求に服従して、日本経済の破壊を促進し、外資による日 本占領を推進するならば、これは「売国政策」と言わざるを得ないだろう。今や、国内の諸情勢だけで解 決できたり理解できるほど状況や背景は単純ではないと言うことだ。 市場から企業を撤退させる前に、経営責任を明確にして無能経営者を先に企業から撤退させるべきで あったと言えるであろう。この点は、昨今の米国の大手企業のエンロンやワールドコムの会計不祥事に 伴う素早い法制度の整備や対応に見られるように、米国の迅速果敢な破綻処理、責任の明確化、市場 からの撤退・整理に学ぶべき点は多いかと思われる。 しかし、日本では、法制度も不完全・未整備で、国民感情も甘えや集り根性で今や時期的に手遅れであ ろう。外科手術はもう少し早い段階で実施して行くべきであったと言えよう。現段階では、混乱、波乱、動 乱の渦中に経済崩壊に至る危険性があり、強硬な外科手術は回避し、不良債権は塩漬けにしていくべき と考える次第だ。 当方は、不良債権は今や銀行の個別企業や業界だけの問題では済まず、政治が関与して解決すべき 課題であるということを既にHP上でも指摘した。そしてその解決方法も、RCCの整理回収機構でも政府 の国債発行でも、公的資金注入と何ら変わりはなく、何れも国民の税金負担に跳ね返ってくるもので、大 多数の国民に好感を持って積極的に受け入れられるものではなく、矢張り、緊急避難的に思い切って政 治主導の下に、日銀が買い占めることであろうと示唆言及した。 なお、話は脱線するが、現在、日銀の銀行保有株式の買い取りが問題となっているが、多くの専門家も 示唆するように、現段階では、日銀に保有株式を購入してもらった銀行が売却資金でどのような資産を 購入するかが明確化しなければ何とも言えないことは確かだ。再び株式を購入するといった「愚の骨頂」 のようなことはないにしても、民間への貸し出しに向けるのか、負債の削減に用いるのか、債券保有に転 じるのか、極めて多様な対応が考えられるであろう。しかし、その中で最も可能性が高いのは安定債権と りわけ国債の保有であろうし、銀行が株式に代わり国債を保有することは銀行の負担する資産価格変動 のリスクを小さくことになるのかと推察できよう。 確かに今の国債価格は安定していが、いつ下落に転じるか解らない状況下で、とりわけ、日銀・政府の 政策転換が成功する可能性が高ければ、それだけ国債金利上昇(国債価格下落)の可能性は高まると 言えるだろう。しかし、ある面では、一部の評論家も指摘するように、所詮は、不安定株から安定国債に 代えて資産価格変動リスクの問題を一時的に先送りしたに過ぎないものと言えるだろう。しかし、当方に は、日銀の真意はそれ以上に、何やら奥深い背景を感じさせるもので、政府の公的資金の注入を促すと 言うよりも、銀行の国有化の前に日銀が銀行を通じて企業支配する野望に出て来たとも勘ぐりたくなるよ うな想いだ。 日銀が銀行保有株を買い入れるのは、世界中から禁じ手として奇妙に受け止められていることは承知 のことであろう。思うに、日銀はロスチャイルドが株式の過半を保有しており、どうも銀行株買い入れを通 じて日本企業の買収を画策しているように思われる。実際、日銀は1年間で2兆円もの株式の買い入れ 現下の諸問題と展望:195 を計画しているようだ。特にトヨタとかソニーなどの優良株式に集中しているようだ。当の日銀は5年間は 購入した株を売却はしないと公言しているようだが、このようなものは何の拘束もないことは明らかであろ う。 日銀のこうした銀行株買い入れの行動は、何も銀行救済、不良債権処理への協力という代物で無いこ とは明白であろう。こうした背景は、先述した米国の不良債権処理促進の圧力と何処か連動していると思 われ、実に不気味な動きと思われる。当方は欧米の国際金融資本の草刈り場として両者の勢力の凌(し の)ぎ合いが始まったと見ている次第だ。米国勢の横暴に横やりを入れる形で欧州ロスチャイルドが日銀 を通じて介入してきたということと思われる。 目下、政府の不良債権処理担当チームの内部でも、資産査定の厳格化等に関して微妙にその手法を 巡って対立が表面化しつつあるようだ。一方で、景気との関係でも、竹中氏は不良債権問題さえ片付け ば景気が回復するという認識であるのに対し、強力なコンビを組んだ協力者の日銀出身の木村氏は、飽 くまでも不良債権処理は単にそれだけでしかなく、景気対策とは全く別物であるという認識のようで、この 点でも不良債権処理の影響乃至効果を巡って両者の認識の差は大きいと言えよう。 ところで、今回の不良債権処理促進は、新たなIT革命も破綻し、従来手法による公共工事の拡大維持 路線も差ほどの効果を生むこともなく、他に何ら効果的な景気刺激策も見つからないどん詰まり状況下 で出てきた、思い余った最後の荒治療とも言えるものだ。景気の悪化状況下での不良債権処理の強行 はかなりの経済崩壊に追い込み誘導する危険なものと言えよう。 不良債権処理を強力に推進した結果、景気が更に後退し、企業倒産が相次ぎ、新たな不良債権の山を 作っていくという愚の骨頂の政策展開にならなければと儚(はかな)く祈るばかりだ。なお、参考までに、フ ランスでも政府の財政赤字とは言え、その不均衡是正よりも景気対策を優先する政策を採用しているよ うだ。 矢張り、ここは新たな産業を育成・振興して雇用を吸収していく景気刺激策、景気向上策、内需拡大策 が必須と言えよう。即ち、大量の痛みと出血を伴う外科手術よりも、それに耐えうる体力を作るために栄 養を補給し健康を回復させ、気分を転換させる政策が求められているもので、そうした財政不均衡を縮 小・是正する政策よりも、景気対策を根本に据えた施策の展開を優先させていくべきであろう。 第4章で提唱する火山灰利用の新素材による大々的な内需拡大政策の歴 ここは最早、当方がHP上の第4章 第4章 史的快挙とも言える「新日本列島大改造」の国家的規模での実践しかないと思われる。この実践も、邪悪 な連中を前にしてはそう簡単に実行できないように神仕組みによって目隠し封印されていくことであろう。 この雄大な構想の実践により日本の再生を図っていくと言うよりは、敢えて無視させていくことによる国民 総懺悔の意識改革・大後悔を仕掛け、更には現在の指導者連中の八方塞がりの権威や権力の崩壊に 追い込み誘い込んでいくものであるからだ。正に一網打尽の関ヶ原を仕掛けていくものと言えるだろう。 現在の日本ではあらゆる面での改革ラッシュであるが、単なる改革の出版ブーム、会合ブームではな いかと思われるぐらいの行く先不明の混沌とした様相を呈しているようだ。改革に当たっては、高い志と 情熱・意欲、そして実行能力が必要であるが、現在では、現状分析や現状批判などの著作があれば、改 革への高い志と情熱があると誤解されているのではないかと危惧される。現状分析だけで改革への展望 を提示できていないのに、改革への旗手と錯覚されている嫌いが往々にしてあると思われるのは、当方 の僻みと錯覚であろうか。 補足: デフレ経済の行き着く先は(2002年10月20日) 目下、凄まじい勢いで世界的なデフレ現象が進行しつつある。デフレ経済はこれまで全く想定していな かったもので、現在の経済システムの殆どはインフレ経済を想定して組み立てられたものだ。デフレは、 周知のように、物価(資産価値)下落、過当(安売り)競争、賃下げ、労働強化を伴い経済規模が次第に 先細って縮小し、社会全体が疲弊していく現象と言えるであろう。この期に及んで、未だに、世界中から 現下の諸問題と展望:196 安価なモノが購入できて物価が下落すれば大変結構ではないかといった些(いささ)かまともに見えて真 実が解っていない旧来思考の経済学者も多いようだ。 これから購入するモノの価格が下落すれば申し分ないが、既に購入したモノの価値が下落する、所謂 資産デフレが大きな問題として浮上してきているのである。その結果、住宅ローンを組んでいるような 人々は、見る見るうちに担保価値が下がって、負債が大きく膨れ上がって行き、賃金収入の減少に対し て、支払い負担が追い付かないと言った状況に追い込まれていくものだ。 今や、日本やドイツのみならず、世界的デフレ現象の中で、中国でも過当競争に追い込まれて大した収 益向上が見込まれない中で、日系企業を始め、世界中から進出した企業が呻吟しているようだ。安売り 競争、過当競争が行き着く果ては、共食い・共倒れであろう。労働者も消費者である面、一方では生産者 である。賃下げ圧力が加わり収入が上がらない中で、資産デフレに追い込まれている結果は、個人も企 業も膨大な不良債務・債権の山を築くことに至るものだ。 既に、銀行が抱える100兆円から200兆円とも言われる大量の不良債権は、正にデフレ経済の影響 が次第に社会問題化、政治問題化してきたものだ。最早、米国がかつて経験したような中小企業が大多 数を占めていた不良債権とは大きく異なって、現在の日本の不良債権は、大企業が保有しているもので、 しかも金融の心臓部を担って産業の中枢機能を果たしている巨大銀行群が保有して破綻し機能不全に 陥っている状況だ。 こうした中での不良債権処理の加速化は、企業倒産、失業者の増大などから大恐慌を招来していくも のと言えよう。今や、不良債権絡みの企業は膨大な数に上り、経済規模が余りにも大きく成りすぎた。既 に処理の限界を突破し極めて危険な危篤状態下での大手術となるもので、大波乱を防止するためにも 大手術は回避し、不良債権は凍結して行くべきであろう。こういう状況で推移しても、ソフトランデングを取 ろうが、ハードランデングを取ろうが、結果的には同様なものであり、破局の時期の先送りに他ならず、最 後は経済的廃墟が待ち受けているものだ。 即ち、資産デフレの行き着く先は、貸し渋りや貸し剥がし等の資金引き上げによる倒産や退去で空き家 になった建物が続出し、景気の後退局面下では売るに売れない状況に至り、建物や住宅の廃墟のゴー ストタウンが現出してくるであろう。正に、空き家同然となった近代ビルが林立する下で、多くのホームレ スが満ち溢れる光景の社会が現れてくるだろうと予想される。現在の可成りの資産家や宗教団体などに しても、ペイオフなどとも相俟って最後には相当の資産も消えていき、組織・勢力も崩壊していくことにな るだろう。 現在のデフレ不況は、眼に見えない不況、即ち、不況の実感なき不況であり、痛みのない安楽死を迎え つつあるのが実状だ。実に、単に死期を遅らせるだけの無意味な手術ばかりだ。改革の必要性も痛みも 実感しない中で、改革論議ばかりが氾濫して実効性がなく、静かに死を迎えていくものだ。最早、万策尽 きて、デフレは回復出来ない死に至る病であることが次第に解ってくることであろう。即ち、デフレは通貨 システム経済・資本主義体制の崩壊と共に最終的に終息するものだ。そしてその先にこそ、主役が大きく 交代して、新しい国家社会の建設に向けた歴史的な大事業が待ち受けているものと言えよう。 追記4: 不良債権問題の本質はヤクザ対ハゲタカファンド(2002年11月12日) 11月1日某夕刊紙で、B・フルフォード(フォーブス誌東京支局長)はこんな標記のタイトルで日本の不 良債権問題を鋭く指摘した。副題は、「竹中金融相と自民党のケンカは大きな誤解」と言うものだった。不 良債権問題は暴力団絡み、即ち、ヤクザが関係していることは当方も掲示板やHP上で既に指摘したも のだ。ここではこの外国人記者の記事の一部を紹介しよう。 「日本のマスコミは不良債権処理を巡る対立を竹中金融・経済財政担当相対自民党の構図で報じてい る。ハードランディングを断行したい竹中氏、銀行を守りたい守旧派議員のドンパチという図式だ。しかし、 本当の対立は別なところにある。ズバリ、ヤクザ対ハゲタカファンドのせめぎ合いだ。だからこそ、不良債 現下の諸問題と展望:197 権問題はかくも厄介なのである。 外資のハゲタカファンドは日本の不良債権がノドから手が出るほど欲しい。今なら二束三文で土地を手 に入れられるのだから当然だ。新しいビルを建てれば、利回りは30%くらいになるという。それなのに、 土地が動かないのは何故だろうか。 外資は日本の不良債権を買うときに必ず、その中身をチェックする。元政府機関の職員などが徹底的 に背後を洗う。ヤクザ絡みの土地は絶対に手を出さないのが鉄則だ。そうした調査員に日本の不良債権 の何割くらいがヤクザ絡みなのかを聞いてみた。「半分くらいだろう」という答えに驚き、今度は日本のヤ クザに聞いてみたが、同じ答えだった。これでは外資は手を出せない。 一方で、売り手も不良債権を売りたくない事情がある。多くのと血はヤクザと政治家が組んだ地上げ案 件だし、銀行もそれを承知で、不正な融資をしてきたからだ。不良債権を抜本処理すると、そうした過去 の不正がバレてしまう。銀行トップは捕まり、ヤクザが居座ることもできなくなる。 かくて、不良債権の担保物件は売買が成立しないのだ。土地は流動しなければどんどん下がり続ける。 またまた不良債権が増えてしまう。これではアリ地獄だ。日本の政治家はいい加減、ヤクザの味方を止 めるべきだ。そうすれば不良債権の土地が動き出す。新しいビルが建ち、地価が上がり、経済が活性化 してくるのだ。 日本人はハゲタカファンドを敵視するが、倒産企業の資産を買うのが当たり前の経済行動だ。ハゲタカ ファンドが焦げ付いた日本の土地を買えば、日本人の投資家も動き出す。これは決して悪いことではない はずだ。不良債権の背後にある根本問題に目をつむり、小手先で銀行から不良債権を切り離したところ で、何の解決にもならないことを政府は認識すべきである。」やや外資系側にたった観点からの指摘、分 析ではあるが、こんなコメントを寄せていて、日本のマスコミよりも真実を見ているようだ。 ところで、不良債権問題がヤクザが大きく関係していることは、既に米国政府も動き出していたもので、 良く知られたものだ。即ち、新生銀行(旧長銀)の金主はリップルウッドホールディングで、ロックフェラー 系の金融会社で、役人には前FRB議長のポール・ボルカーがいることは周知の事項だ。 実は、彼が去る4月19日来日し、官邸に赴いて安倍晋三官房副長官に直接面会し、「ヤクザ」をきちん と警察に取り締まらせろと、怒鳴り込んでいたとか言う情報も当方に既に入っている。折角買収した不良 債権による不動産が、一向に利用できないほどヤクザの妨害、抵抗にあっているからだ。 即ち、この意味は、新生銀行が、瑕疵担保特約で、債権を回収したあと、その資金で、現在多くの他の 銀行の不良債権の不動産を徹底的に安値で買い、そこに新規に、テナントを呼び込もうとしているが、こ のとき、ヤクザが、その店子候補に、徹底的な嫌がらせをし、しかも、そのことに、警察が全く取り合わな い事態が続出しているからだ。 さらに、リップルウッドが買収した宮崎のリゾート施設のシーガイアについて、ここを日本のラスベガスに しようと考え、賭博が公認になるはずと踏んでいたが、パチンコ利権を死守したい警察官僚と政治家(警 察出身のK氏とG氏)が反対し、全く、目処が立たない苛立ちがあるようだ。 この新生銀行の動きを応援する側が、シテイバンクと三菱商事に主導された東京三菱であり、これに対 抗して、みずほとUFJが,徹底抗戦している構えだ。実に外資系を支援する三菱の正体が現れだしたよ うだ。すでに訴訟問題も出始めているようだ。 新生銀行側がグレー債権(不良債権)を勝手にクロ(回収不能)と判定し、瑕疵特約を取ろうとするのに 対し、同じ、融資先を何とか延命させ、グレーからシロにしたいみずほやUFJが、新生銀行を相手に訴訟 を起こしている事例も出始めているようだ。 つまり、ハゲタカ(リップル・シティ・新生・三菱)VS日本のヤクザ・警察(みずほ・UFJ)の図式だ。これは、 戦後のアメリカ覇権によってもたらされたパイが、急速に減っている中での、最後の「仁義なき戦い」とな るであろうと思われる。しかも、ボルカーが80歳の老体に鞭打って、わざわざ、怒鳴りにきたのは、すで に、ロックフェラーグループの神通力がなくなった証拠とも言えよう。 現下の諸問題と展望:198 一方、この間、先進国デフレで、世界中の資金と企業を引き付ける中国で、共産党の幹部とうまく組ん で、大量の資金を溜め込んだ華僑勢が日本の銀行と、ベンチャーを狙っているようだ。一部の情報では、 恐らく、みずほ銀行は、東京三菱でなく、華僑系銀行が経営権を握るであろうと言うことらしい。 なお、みずほのコンピューター接続不良の事故には、オウムの残党の陰が指摘されているが、オウム は、華僑勢ともパイプがあったようだ。もっとも、オームの背後には北朝鮮も関係し、更にその奥には欧州 ロスチャイルドが関係しているようだ。オーム事件は正に欧州が仕掛けたものだ。 小泉総理は連日のように、「不良債権の処理無くしてデフレ克服はない」「不良債権処理を最優先課題 にしていく」と国会でこう叫び続けている。しかし、日本の不良債権問題は米国やその他の各国のように 簡単に片づくことなど半永久的ににないと覚悟しておいた方が良いとの指摘も多い。 現在、金融庁が公表している大手銀行の不良債権は27兆円だ。だがこれは氷山の一角であり、ほん の一部であることは業界や専門家の常識だ。全金融機関を併せると「60兆~80兆円」とされているが、 一方で、米国金融機関は「100兆円以上、200兆円以下」と指摘しているようだ。 小泉首相は「再来年の2004年までに不良債権問題処理は終わらせる」などとアピールしているが、 「馬鹿も休み休み言え」との声も多いことは確かだ。日本の不良債権問題は実に深い闇の中にあり、この 問題の解決策は殆ど不可能であるのは事実であり、実に不良債権の中身にあることは、最早公然化して きたようだ。 不良債権問題が多くはヤクザ絡みであると言うことに対しては、銀行側の証言によっても明らかだ。即 ち、「91年の地下バブル崩壊から住専問題が騒がれた95年までの不良債権は、殆どが裏社会繋がりが あった。銀行が系列ノンバンクなどを通して暴力団のフロント企業に湯水の如く融資して、全国の土地と いう土地を地上げし、買収した。それが回転している間は、融資が銀行に戻ってきたが、バブル崩壊で返 済は滞り塩漬けになってしまった。銀行は担保の土地を売るに売れず、不良債権として抱え込むことにな った」という証言もある。(11月11日付け某夕刊紙) 大手銀行はこうした案件について、貸倒引当金を積んで整理してきたが、処理しても処理しても、デフレ 経済下での景気後退で益々膨らむという悪循環だ。日本の不良債権処理問題の実態について、もっとも 関心を示し憂慮しているのは米国政府であることは先述した通りである。 ブッシュ政権は投資家向けに、「日本の暴力団への対処マニュアル」を作成しているほどだと言われる。 米国大使館やFBI が、日本の不良債権問題と裏社会を徹底的に調べ上げたもので、広域暴力団と政界、 財界の人脈図や暴力団との縁の深い有力政治家リスト、更に不良債権の総額の調査も掲載していると 言われる。 某金融ジャーナリストは、「日本の政府はそこまで調べ上げていない。どうしてかと言えば、小泉政権内 の政治家が融資に絡んでいたり、銀行の現幹部、元経営者が情実融資した不良債権がゴマンとあるから、 見て見ぬフリをするしかない。米政府にとっては、不良債権の全体像や状況を本気で把握しようとしない 日本政府の姿勢が奇異に映る。不良債権を解決する気があるのかと不安になってくる。それでブッシュ 以下の米政府高官は口を酸っぱくして、”日本は不良債権処理を急げ”と尻を叩くのだ。」と言う。 首脳会談の度に、ブッシュ大統領は小泉首相に「日本の不良債権が早く市場に売却されることを期待 する」とせっついているそうだ。「早く闇社会と不良債権問題を解決しろ」と言うわけだが、この1年半の小 泉政治を見る限り、具体策は見たこともないことは国民周知のことだ。 目下、小泉首相と竹中金融相は「税効果会計がどうした」なんてやっているが、政治家や銀行経営者も 介在している不良債権の闇に政府が本気でメスを入れない限り、この問題は片付くわけがない。某私大 の教授も「日本が、韓国のように公的資金を一気に投入してでも銀行経営者をクビにして不良債権を処 理することが出来ないのは、政治家と銀行、闇社会の三者癒着構造、共犯関係が改めて発覚することを 恐れているからだ。まず過去の清算をしなければ先に進めない」と言う。 おまけに小泉首相は、「構造改革」とか言って、財務官僚に操られるまま、緊縮財政、予算縮小のデフ 現下の諸問題と展望:199 レ加速策を進め、むしろ不良債権をどんどん増やしている。内閣成立時に「3年で不良債権を処理する」 と公約をぶち上げたが、逆に最初の1年だけで17兆円も増やしている有様だ。先の某教授は、また「小 泉首相は、不良債権処理の加速を叫んでいるが、デフレ対策はやらず、上っ面だけの処理加速を指示し ているだけでは何も解決しない。後10年たっても不良債権問題は片付かない。『失われた10年』は『絶 望の10年』になるだろう。」とも言う。 小泉首相は「03年中にデフレを克服する」としてきた目標をアッサリ04年に先送りしたが、来年になれ ばまた「後2,3年はかかる」と言い出すのは間違いない。以上のように、某夕刊紙は伝えて不良債権問 題がヤクザ絡みであることを指摘してその困難さを訴えているものだ。 果たして日本の不良債権問題は解決できるのか。米国の場合の中小企業が大半と異なって、日本は 大手企業や銀行が中心であり、また規模も10倍にも達している有様だ。最早日本の国家破産は2004, 5年頃に迫ってきた。この不良債権の解決は、財政再建、景気対策の三大構造改革と並んで、最早解決 は殆ど不可能であろう。 当方はこのHPでも言うように、不良債権は塩漬けにして行くべきだと思っている、ガンの病気に例えれ ば、無理矢理に患部を除去して、患者を死亡させて経済を破壊する危険を回避して、むしろ景気浮揚さ せる政策を優先していく中で、患部を小さくする方策を提示するものだ。下手に弄(いじ)ってハゲタカファ ンドに呉れてやるよりは、ヤクザも全て国家破産に巻き込んで崩壊させるのが良いと思っている。 27.世界経済の行方(2002年1月5日) 2001年9.11米テロ事件を契機に米国経済のバブル崩壊乃至対テロ戦争拡大の懸念から、または 20 01年9.11米テロ事件を契機に米国経済のバブル崩壊乃至対テロ戦争拡大の懸念から、または 日本の財政や貿易上の国家破産から世界大恐慌による資本主義体制の崩壊が近い。特に、2002日7 月10日の米国ニューヨーク株式市場における米株価崩壊、ドル安により、急速に歴史の流れが早まっ てきた。その結果、米国崩壊が、対イラク戦争などの対テロ戦争拡大と相まって、2003年にも急迫し、2 004,5年頃の日本の国家破産に先行する状況に急展開してきた。なお、一方で、2001年末のアルゼ ンチン危機がブラジル、メキシコ、ウルグアイなどの周辺諸国に波及したラテンアメリカ危機が先に引き ンチン危機がブラジル、メキシコ、ウルグアイなど の周辺諸国に波及したラテンアメリカ危機が先に引き 金を引く可能性も高まっている。 そして、米国崩壊はグローバリゼーションの終焉と共に資本主義体制の崩壊をもたらし、その時期は2 005,6年頃から兆候が始まり、最終的な達成は2010年頃であろうと思われる。そして世界の経済圏 は、南北アメリカを中心とするNAFTAのドル経済圏、EUの欧州ユーロ経済圏、そして、中国を中心とす る東アジアの元経済圏の大きく分けて三大ブロック経済圏に集約されていくことであろうと思われる。な お、日本は、中国元に吸収されずに、辛うじて独自の円経済圏を形成しながらも、アジアの一角に留まっ お、日本は、中国元に吸収されずに、辛うじて独自の円 経済圏を形成しながらも、アジアの一角に留まっ 34項参照) ていくことであろう。( 参照) ていくことであろう。 (34項 追記1: 追記1: 円高、ドル安傾向が進行(2002年5月25日) 追記2: 追記2 : 米国崩壊が2003年にも急迫(34項 米国崩壊が2003年にも急迫(34項参照)(2002年7月15日) 34項参照)(2002年7月15日) 追記3. (2004年11月19日) 1月19日) 追記3 . 欧米の対立激化から世界大崩壊へと突入か (2004年1 現在、世界経済は深刻な同時不況に陥っている。これが何時世界同時恐慌に突入するかも予断を許さ ない。世界は21世紀に突入してから、回復見込みのないままに経済状況がますます悪化していった。欧 米、日本、NIES、ASEAN等が軒並み経済成長率の下方修正を余儀なくされている。2001年9月11日 における米国同時多発テロ事件が、更に低迷を続けて来た世界経済を追い打ちを掛けて悪化させた。 2001年10月7日、米国を中心とする勢力がアフガニスタン空爆を開始した。国際社会においては、テロ と報復の繰り返しになりかねない危険な兆候すら感じさせる。正に破壊や破滅の無益な争いに陥ること の無いことを祈るばかりだ。このアフガン戦争や周辺諸国への戦争の拡大によっては、これからの世界 現下の諸問題と展望:200 経済はますます深刻化して行くに違いない。しかし、ある意味では、旧来の膿を出し新たな建設への方向 を生み出す好機とも言えよう。 一方、日本のバブル経済が1991年に崩壊してから10年余りが経過している。しかし、日本経済は未 だに回復の軌道に乗っていない。それどころは今後も依然として衰退の一途を辿る気配が出てきた。そ のような中で、小泉政権は国民の構造改革や経済回復の期待を背景に誕生した。日本経済は1,2年の 間に、確実に回復の軌道に乗り、順調に発展していくかどうかは、予断を許さない。 他方、東アジア諸国は1997年に経済危機に遭遇した結果、経済の停滞や後退を余儀なくされた。こ のアジア危機は2年で脱出し、現在、東アジア諸国は経済回復の兆しを見せているが、これからも順調に 発展していくかどうかは楽観を許さない。そもそも東アジア諸国は政治改革や金融産業改革を地道に行 ってきたとは言い難い。インドネシアやフイリピンのように、政治的や社会的な不安の顕著化が経済再建 のベースを遅らせる国々も見られる。 このままでは、現在の同時不況に陥っている世界経済は、何時世界同時恐慌に突入するかも予断を許 さないとの懸念も一部では出ているようだ。一方で、某官僚出身の経済専門家は、世界恐慌が起きた19 29年の過去とは状況が異なり、現在は、(1)変動相場制(フローテイングレート)であるし、(2)預金保険 機構も整備されているし、(3)セーフテイネットが完備しているために、世界同時不況は来るかも知れな いが、世界同時恐慌にはならないと言う。当方は、日本発の世界恐慌の大激動が次第に近づいていると いう気配を感じているものである。 さて、2001年9月11日のテロ事件を境に世界経済は大きくリセッション(景気後退局面)に入ったよう だ。テロ事件前からも米国の景気の後退が2000年末から指摘されてきて、2001年に入ってもその傾 向が変わらず、3月には景気の後退局面が宣言されて明瞭となり、テロ事件前には、景気の後退が食い 止められず、既に景気の悪化への懸念が表明されていた。 一応、テロ事件後1か月で株価もテロ事件前により戻したとは言え、消費者の先行き不安から消費が冷 え込んだ気配があった。しかし、それも次第に時間が経つにつれて、米国では消費も回復してきたようだ。 それでも航空業界や観光業界、保険業界等では大きなダメージを受けて倒産するところも出てきたようだ。 消費が回復しつつあるとは言え、依然として製造業の回復は低迷状態であるようだ。 テロ事件前にも、某大手新聞(2001年8月30日)によれば、「米国のロングラン景気を支えたドル相場 が今、幕を閉じようとしている。過去10年間、米国の「強いドル」戦略の下で、世界中の資本が米国に流 入した。その額は経常赤字を上回り、約2兆ドルに達した。特に95年以降、ドル高が加速し、主要国通貨 に対するドルの実効為替レートは37%も上昇した。 この「強いドル」戦略は世界経済に極めて大きな歪みをもたらした。国際資本の米国一極集中で米国の バブルが膨張する半面、日本、アジア、欧州は資本流出で景気後退に悩まされた。また基軸通貨ドルの 上昇は国際商品市況を下落させ、デフレが世界を覆った。加えて各国通貨間の歪み拡大がこれに拍車 をかけた。この10年間、ドルに対して欧州通貨と豪ドルは3割下落し、中国元も二度の切り下げで4割強 下落する中で、円は逆に1割上昇し、為替の不均衡が拡大した。 この結果、日本経済には二重にデフレ圧力が掛かり、急激な価格破壊と深刻な不況に見舞われた。日 本経済は果敢な積極財政と超低金利政策で対応したが逆に資本流出が加速し、景気対策が効かず、不 況脱出に失敗した。加えて今回の不況が製造業を直撃する中で、世界同時不況の影に怯えているのが 現状である。だが、世界経済を混乱させたドル高時代にもようやく転機が訪れた。米国製造業はドル高に 悲鳴を上げ、ドルにリンクした中南米諸国の経済危機、米国の株安、利下げによる内外金利差の縮小・ 逆転など、ドル安材料が広がる中で2001年7月5日をピークにドルは反落に転じた。 基軸通貨ドルの下落は世界経済の歯車を逆転させる。国際商品市況は遠からず上昇に転じ、デフレの 嵐(あらし)は止む。資本の対米流出が収まるにつれ、日本、アジア、欧州経済は息を吹き返し、やがて 財政、金融政策も効き始めるだろう。ドル軟着陸と通貨再調整後に世界が動き出すときが近づいている。 現下の諸問題と展望:201 まず大幅に値下がりした豪ドルとユーロが回復し、次いで世界貿易機関(WTO)加盟を機に購買力平価 に対して割安な中国元の修正が過大になる。一方、円の対ドルレートは小幅上昇にとどまり、結果として 各国通貨間の歪は解消に向かうはずだ。基軸通貨ドルが下落するとき日本経済を悩ませたデフレスパイ ラルは終わるだろう。陰の極で経済の風向きが変わろうとしている。」と指摘されていた。(某大手新聞8 月30日) これは当方の某所で指摘するように、ハイパーインフレを生じなければ、デフレ傾向はまだ10年間は継 続するであろうとの予測乃至見解とも合致するものだ。即ち、グローバル化の終焉であり、米国一極集中 の終わりであり、パックスアメリカーナの終焉をもって、デフレが終わりを告げ、それが今後10年も要する と言うことである。グローバリズムの終焉自体の始まりは、某所で指摘するように、2005,6年頃の米国 連邦政府の崩壊に伴って、2006年頃からその兆しが現れるであろう。先の某大手新聞の記者は、デフ レ傾向の終焉が何時かは読んでいないが、当方は10年間は継続すると見ている。某所でも指摘するが、 その間に日本は構造改革し国際競争力を回復することが求められていると言うことだ。 ところで、現在の大方の専門家の関心事は、アフガン戦争の行方であろう。即ち、アフガン戦争が長期 化したり、またイラクやイラン、それに北朝鮮にまで波及していけば景気に対する大きな不安材料になっ て行かざるを得ないようだ。今回のテロ事件での報復戦争や周辺への拡大戦争が長引けば経済に与え る影響は多大であろう。その戦争もアフガニスタンだけでとても終息する見込みもなく、米国は軍産複合 体の要請もあって、次第に真剣にイラク攻撃、そしてイエーメン、ソマリア、スーダン、更にはリビア、アル ジェリア、インドネシア、フイリピン、北朝鮮までをもターゲットに入れているようだ。 テロ事件後にアフガニスタンに展開した米軍の大規模な軍事力を見ても、とても砂漠と岩石、高山のア フガニスタンを攻撃するだけが目的とは思えなかったが、次第に、中近東全域からカスピ海に至るまで広 範に拡大する気配が出てきたようだ。英仏独が当初は渋っていたが、ここに来て積極的に軍隊の派遣を するようになってきたのも、アフガニスタンのタリバン政権崩壊を見越したカスピ海付近の原油利権や天 然ガス利権の獲得が目的となってきたのであろう。 さて、2001年11月8日の某新聞報道によると、米国連邦準備制度理事会(FRB)は、2001年11月 6日、金融政策の最高意志決定機関である連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、短期市場金利の指 標となるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げ、年2.0%とし、即日実施することを 決定した。公定歩合も同幅引き下げられ、1.5%とされた。公定歩合下げは全会一致の決定。FF金利 は月間平均が1.89%台だった1961年9月以来、約40年ぶりの低水準となる。 利下げは年初来10回目。下げ幅は実に4.5%に達した。FRBは同時テロ事件の後、9月17日の米 株式取引再開時に0.5%の緊急利下げを断行した後、10月2日にも同幅の雇用統計で失業率が5. 4%に跳ね上がったこともあり、景気悪化の防止を目的に大幅利下げに踏み切った。FRBは「景気重視 型」の政策経営姿勢を維持しており、12月11日の今年度のFOMCに向けても追加利下げが行われる 可能性を検討することになった」と報道された。実際に、0.25%追加利下げで、年1.75%とし、公定歩 合も同幅引き下げられ、1.25%とされた。実に2001年中の1年間に11回目の利下げが行われたこと になる。米国史上、画期的な出来事である。如何に国家経済の防衛に当たり危機的状況下であることを 示唆しているとも言えよう。 先述したように、今回の2001年9月11日の米国中枢同時テロ事件以前からも軒並み、世界各国の経 済成長率が落ちて来ていた。米国の消費が急激に冷え込んできて世界に影響を与えて来ていた。テロ事 件から1か月で事件前の水準に株価も戻ったようだが、消費の冷え込みが依然として回復していないよう だ。それどころか、アメリカでは、全域で経済が急減速しているようだ。世界的にもドイツもゼロ成長になり、 殆どの国々でマイナス成長か限りなくゼロに近い低成長である。 雇用情勢も深刻で、米国経済の低迷の煽りを受けて、日本や韓国、それに中国経済にも次第に影響が 現れてくることであろう。米国景気の後退、消費の冷え込みが世界中に影響を及ぼしていくことであろう。 現下の諸問題と展望:202 米国は個人消費が70%も占めるからだ。また、航空機テロ事件以来、航空会社も軒並み破綻で破産も 必死の状況である。 目下、中国だけが、テロ事件後は僅かに低下したとは言え、それでも7%程の高成長で頑張っているよ うだが、国内市場の拡大が伴わなければ、次第に米国への輸出の鈍化から厳しい外需頼みの経済環境 により影響を受けざるを得ないであろう。更に、中国のWTO加盟に伴い、厳しい国際競争力にさらされ、 次第に破綻する国内企業も現れるであろう。その結果は、失業者の増大となって経済運営にも悪影響が 現れてくることであろう。 ところで、日本は、国債の新規発行枠を30兆円にすることで政府は頑張っていたが、これを堅持しない と国債が暴落し、金利が上昇し、経済が大混乱を来すことになり、絶対に妥協しては成らない問題であっ たと言えよう。しかし、テロ事件による輸出の減少や、国内空洞化による経済環境の悪化や米国支援の 要請から30兆円枠の堅持も突破されていくことが明確になった。 さて、目下、米国経済を支えているのがバイアメリカンの米国民の消費意欲の向上であるが、アメリカ 人の自己の生活防衛上の利益よりも、国家経済に対する防衛と言った愛国心がどこまで通用するかで あろう。それに日本から米国内に資金が大量に環流しているが、日本が国内の悪化する経済や財政上、 日本が何処まで付き合えるかであろう。日本の財政赤字は、現在GDPの8%であり、政府や地方の公的 債務は700兆円にも達して、特殊法人の300兆円も含めれば1000兆円にも成る勢いである。因みにE Uは3%以下から1%へ下落し、イタリアでも2%であり、日本はEUへの加盟に際しても加盟基準を満た していずに不可能な状況である。 ところで、過去における不況は4回あった。1回目は、1973年~74年の第4次中東戦争であり、この 時、経済成長率は5.8%から-0.6%へ、また2回目は、1979年~1983年?のイラン、イラク戦争で あり、この時は3.2%から-2.2%へ、更に3回目は、1990年の湾岸戦争であり、1.8%から-0. 5%へ下がった。いずれも石油価格が上昇していった。そして、4回目が、2001年のイスラエル、パレス チナ戦争激化であり、4.1%から幾分下がるであろうと予想される。 話は脱線するが、面白いことに、某評論家が指摘するように、NYダウと日経平均とを比較すると、10 年遅れで日経平均がダウにそのまま現れているようだ。従って、日本経済の動きを見れば10年遅れで ダウの動きが解るようだ。日米の経済関係がこんなところからも読みとれるようだ。それによると、米国の バブル崩壊も日本のバブル崩壊と連動して始まったようだ。土地とITとの相違はあるものの、経済の破 綻という現象は酷似しているようだ。 さて、半導体不況でIT企業が軒並みリストラに追い込まれている。当方は2001年1月段階で、HP上で も2001年中頃からIT不況が到来するであろうと指摘し、IT革命は破綻するであろうと警告したはずであ る。そして火山灰利用の国家的な新計画を実践し、新たな産業革命を日本から起こすように提言したが、 各界から何の反応もなかったのは残念である。それだけ猜疑心に覆われているか、無関心、無感動の鈍 感なのか、それとも必至になっている余り、近視眼に陥り何も見えなくなってきたと言うことかも知れない。 景気回復の原動力とされて大々的に喧伝されたITもIT革命と言うよりもITバブルであったようだ。各企 業のリストラも夥しい数に上る。NECが4千人、富士通が1万6千人、東芝が1万7千人、松下電器が1万 人以上の配置転換に踏み切り、リストラも止む無しの状況だ。今や軒並み赤字で、経済の牽引車であっ た家電が大不況の真っ直中にいる有様だ。 世界的に見ても、IT不況の影響は各国に波及しており、シンガポールは既にマイナス1.0%成長、欧 州経済の優等生と言われて牽引してきたドイツもゼロ成長、アメリカの成長率も大幅に低下する、ITの過 剰な期待への調整過程が予想以上に長引いているという状況である。 ところで、2001年9月21日のニューヨーク株式市場は、同時多発テロによる休場後の取引再開から5 日連続で下落、ダウ工業株30種平均株価の週間下落率が14.3%と、大恐慌時代の33年7月(15. 5%)に次ぐ史上2番目(米調査会社調べ)の急落となった。株価上昇が景気への信頼感を増大させ、設 現下の諸問題と展望:203 備投資、個人消費が膨張し再び株価が上昇するという「バブルの方程式」が、今回のテロ事件で完全に 逆転した。株価の下落が先行き懸念を増幅し、個人消費を抑制、設備投資を一層冷え込ませる「負の連 鎖」が動き出したようだ。 通説だった「有事のドル買い」も通用しなくなったようだ。米国内で起きたテロ事件で、米景気がどこまで 悪化するのか、の見通しが極めて不透明で、ドルの安全性が揺らいでいるようだ。テロ事件後は、資金は 金やスイスフランに流れ、円高・ドル安が加速していた。その後、株価は1カ月ほどでテロ事件前の水準 に回復したとはいうものの、一時的な傾向に止まるとの見方も強いようだ。 そしてアメリカの失業率が6%を突破するのも時間の問題だろうと思われる。アメリカのGNP(国内総生 産)がマイナス成長になるのは既に決定的だし、輸出も輸入も減少しつつある。アメリカは世界一の貿易 外収支(観光収支8000億ドル)を持っていたがテロ事件のお陰で大激減している。ところが、このように 何一つ良いことのないアメリカのドルがどんどん上がる。 日本から資金が米国内に還流することによって、米国経済を辛うじて支え、ドル高、円安と言った奇妙 な現象が現れて来たようだ。陰の力が働き出したのであろう。今までの常識ではドル安にならねばならな いのにドル高になるのは常識では考えられないことであろう。今やマネーの原理ではなく、「力の原理」で 為替も株式も動いていることを知らねばならないようだ。アメリカにとって軍事拡大政策を執っているとき はドル高が、また日本を筆頭にアメリカの同盟国が兵器をアメリカから購入するときは円高が望ましいと 言える。 2001年9月11日以来、資金需要の全く無い日本の債券市場から10兆円以上の資金がアメリカに流 れているようだ。資金需要の無い日本の金融市場に、日銀が政府の圧力に押されて量的金融緩和を続 けているお陰で資金がアメリカに流れ、アメリカの株式市場は大暴落を免れているようだ。まるで死人の 足を引っ張るような「史上最悪の政府の経済政策」と「アメリカの戦争」がアメリカのリセッションによる大 暴落とそれに続く世界大不況を防いでいるようだ。日本が正にアメリカにとり救世主的役割を果たしてい ることが解ってくるようだ。 米国中枢同時多発テロ事件に対する米国のアフガン報復攻撃が本格化、消費や企業業績を直撃し米 国経済の失速が一層鮮明となったことは先述した。また、日本の株価は1万円台で低迷、一部大手銀行 に経営不安が流れたほか、「不良債権処理が本格化し企業倒産が激増する」との金融不安が広がった。 失業率も2001年9月が5.3%、10月が5.4%と連続で過去最悪を更新し急上昇した。 頼みの米国経済は、2001年12月11日の「今年11回目の利下げで明らかになったように、来年前半 に回復に向かい、対米輸出主導で日本経済も回復に向かうとのシナリオは完全に崩れた」と当てに出来 ない。不良債権の処理に伴い倒産の急増と失業率の一段の上昇は必至である。「企業マインドの冷え込 みが、リストラを加速させ、雇用不安が拡大。それがさらに景気を悪化させる」という不況スパイラルに陥 る懸念もでてきた。当の米国は、0.25%の追加利下げで、年1.75%とし、公定歩合も同幅引き下げら れ、1.25%とされた。 そのような状況の中で、米国有力民間経済研究機関、全米経済研究所は2001年11月時点で、本年 3月からの米経済のリセッション(景気後退)入りを宣言した。このままでは米国の世界における一極集中 による支配の終焉は時間の問題であろう。米国経済が後退すれば、世界経済は、米国経済圏、ドイツを 中心とするユーロ経済圏、中国を中心とするアジア経済圏の三大経済圏に集約していくことに成るであろ う。 米国の某軍事シンクタンクは今回の対テロ戦争は24年間も継続するであろうと予測しているようだ。逆 に言えば、米国は24年間も戦争をしなければならないだろう、する必要があると言うことを意味している のかも知れない。イラクやイラン、そして北朝鮮までをも攻撃対象と考え、案外実行に移す気なのかも知 れない。戦争とは国家の意志、資本の意志乃至要請でするものである。しかし、3,4年で米国は中東か ら撤退することになるであろう。 現下の諸問題と展望:204 それは何も戦争に敗北したり、テロ攻撃を受けて撤退するのではない。経済が先に破綻して軍事を経 済が支え切れなくなって、ベトナム反戦の時のように反戦運動の激しい高まりにより撤退せざるを得なく なるのである。軍事力も経済の支えがあってこそ有効なのであることは常識であろう。経済と軍事力は車 の両輪である。その一方の車輪が破綻すれば車輪は効果的に回転しなくなり、国家という車は前進し得 なくなるのである その米国の世界的な強大な軍事力の破綻への引き金を引くのは、他ならぬこれまで集(たか))り続け てきた日本が破綻するからであろう。今でも日本は最早米国経済を支え切れなくなっているにも拘わらず、 政策的に米国に資金が無理矢理に還流されている有様である。当方の予測によると、日本の金融破綻、 財政破綻、経済破綻等から、国債暴落、金利の上昇を招き、最後は貿易上の破綻により、日本の国家社 会の崩壊が2,3年後の2004,5年頃に迫ってきたようだ。 その間に関東大震災の兆候も出てきたようである。今回の人為的な米国テロ事件に匹敵するような天 災によるテロ事件が大地震となって2002年にも日本の中枢を襲う予感がしてきた。実に日本発のハイ パーインフレの世界恐慌へと引き金を引き、それが米国に波及して米国経済も崩壊し、米国連邦政府崩 壊へと繋がっていくことになるであろう。ハイパーインフレの世界大恐慌の時期は、地震などの天災が無 くても、日本国家が貿易上の観点から破産する2004,5年頃にも現れてくることであろうと思われる。 さて、米国が破綻すれば、目下、米国に最大の投資をしている欧州も米国と同時期に共倒れになりそう だ。日本と米国、そして欧州は共に経済的にも連動しているから、一蓮托生の運命共同体で共に崩壊し ていくことであろう。目下、米国から欧州に資金が流出しているがとても間に合わないであろう。過去10 年分が1年で推移する。正にドッグイヤーの時代である。即ち、猫が歩む早さのキャットイヤーに対して、 犬が走る速さをドッグイヤーと称するのであるが、それほど早い時代展開が成されていくと言うことである。 即ち、日本の破綻が米国と欧州を道連れにしていくと言うことだ。 しからば、米国の連邦政府崩壊は一体何時になるのであろうか。このまま推移して行けば恐らく、日本 の破綻から1,2年後であろうと予想され、実に3,4年先の2005,6年頃になるものと思われる。あくま でも環境の変化により変わり得る要素があることは当然である。2002年始めの段階で米国はイラク攻 撃を検討中であるが、イラク攻撃の有無に関係なく、米国連邦政府の崩壊は免れないであろう。 ただその米国崩壊の原因が日本の国家破産によるのではなく、米国自身が開始した対イラク戦争に責 任転嫁を為すことが出来るだけだ。戦争を開始すれば米国経済が崩壊するから、米国は戦争を実施しな いだろうと言う良識的な見解もあるが、むしろ逆で、神仕組みにより、米国は真理を見ることが出来なくな って、その結果、対イラク戦争を実行して米国経済が崩壊していくことになるであろう。 そして、日本の国家破産に続いて、3,4年先の2005,6年頃のアメリカ合衆国の崩壊や同時期のヨー ロッパ合衆国(EU欧州連合)の破綻は、日本や欧米諸国が大きく関与している上海などの沿海州地域の 中国や韓国、そして東南アジア諸国や中南米経済にも影響を与えて破綻させていくことであろうと思われ る。しかし、インドやイスラム諸国、そしてオーストラリアやニュージーランド、更にはカナダ、ロシアや、そ して上海などの沿海州以外の中国全体に対しては経済的にも差ほど直結してリンクはしていない故に、 また市場規模も小さかったり、人口も少ないこともあって直接的な影響は少なく、現実の影響が及んでく るのは少し後に成るであろうと思われる。 即ち、時期が遅れながらも、次第に外資の流入停滞や投資後退に拍車を掛け、ロシアや中国全体にも 世界恐慌の影響を及ぼして経済環境が悪化し破綻を招いていくことであろう。至ってはロシアの再度の 崩壊や中国全体の大分裂化も避けられなくなるであろう。ロシアの更なる東西への分裂化は、遅くとも4 年から6年後の2006から2008年頃になるであろう。 また中国全体の大分裂化は、恐らく、遅くとも10、11年後の2012年か,2013年頃になるであろう。 その最終的の数は、東北部(旧満州)、華北、華中、華南、内モンゴル、雲南、新彊ウイグル、チベット等 の軍管区の八地域となるであろうか。そして中国経済の世界的覇権は長くても、精々、8年間ぐらいであ 現下の諸問題と展望:205 ろうか。 正に世界は大激動に突入していくことになった。実に、資本主義体制そのもの崩壊であろう。殆どの専 門家ですら予想できないほどの急激な展開であろう。恰もベトナム戦争で米国が敗退することやベルリン の壁の崩壊、そして1991年の旧ソ連の崩壊が誰も予想できなかったと同様にである。旧ソ連が崩壊す るという予想は出来たかも知れないが問題はその時期である。時期まで明確に確信を持って予想できた 者は殆どいなかったのではないだろうか。 今時の歴史の展開は、旧ソ連の崩壊時とは大きく異なり、時間の速度も実に10倍の早さであろう故に、 視界や意識の中に入ってくる寸前にあっという間に到来することに成るであろうと思われる。なお、2005, 6年頃からの5年間は、実に世界的にも大混乱の地獄の苦しみに突入していくことに成るであろうと思わ れる。また、資本主義体制の破綻、崩壊は2010年頃になるものと思われる。 こうした状況から、今後の世界経済の流れは、日本や米国、欧州の国家破産や崩壊、そしてこれら先 進諸国と従属的に連動している中国沿海州地域、韓国、東南アジア諸国、そして中南米諸国の経済をも 破綻させていくのと平行して、グローバル化の拡大にブレーキが掛かって後退して行くことであろう。そし て、最終的には連邦政府が崩壊した米国を中心とする南北アメリカ大陸、ドイツを中心として東欧やロシ アをも巻き込んだ欧州、そして台頭する中国を中心としたアジア経済圏内での、それぞれの域内関税障 壁を撤廃した主要な三大共同市場が生まれて行くであろうと思われる。 即ち、グローバル化の進展は世界的なものから、歴史的、地域的、文化的、民族的な特殊性を考慮し ながら、米国の覇権の崩壊から極めて限定された地域的なものへと大きく後退するであろうと思われる。 即ち、世界は次第に長期的には、アメリカ、欧州、アジアの三大ブロック経済圏に大きく分化していくこと であろう。欧米の経済対立からも既にその兆候が出てきたようだ。恐らく、グローバリズムの終焉(への始 まり)は4年後の2006年頃であろうと思われる。正に、2004,5年頃の日本の国家社会の崩壊を始め、 2005,6年頃のアメリカ連邦崩壊、欧州連合の破綻の時期と重なってくるようだ。 そしてイスラム圏はアフリカ諸国と共に独自の経済圏を形成するのではないかと思われる。そうすれば イスラム・アフリカ経済圏を加えて四大ブロック経済圏となろうか。このイスラム・アフリカ経済圏は、必要 に応じては、欧米よりも中国を中心とするアジア経済圏に接近し、場合によっては協力関係になっていく のでは無いかと思われる。アフリカに至っては、現在の凄まじいイスラム教の浸透と共にイスラム化して いる状況を考えるとイスラム諸国と連携を密にし運命を共にすることも充分に考えられる。 なお、アジア経済圏では、中国の経済力が強大になって元の力が台頭してくるが、中国元が基軸通貨 を成して元の単一通貨の市場形成は無理であろう。勿論、衰退する日本の円の出番は次第に影が薄く なっていくものであろう。結果的には、中国元が牽引するアジア経済圏が形成されるが、円は元に吸収さ れることなく、むしろ元を円が補完するような相互補完の経済圏になっていくのではないかと思われる。 こうした動きは、2004,5年頃の日本国家の破産、そしてそれに巻き込まれる2005,6年頃の米国連 邦政府の崩壊に伴う米軍のアジア地域からの撤退とも大きく関係してくることである。恐らく日本からの米 軍の撤退に伴う米軍基地の撤去は、米国連邦政府の崩壊の2005,6年頃から検討され、3,4年掛け ての完全撤退は7年後頃の2009年頃になるものと思われる。そうした10年近くの将来のシナリオを読 んだ国家的な戦略の構築が、政治や経済面においても求められていると言えよう。ところがここまで今後 の激動の世界情勢を読み切れている者は、外交や政治や経済の専門家の間でも殆ど皆無と言っても良 いであろう。 追記1: 円高、ドル安傾向が進行(2002年5月25日) 2002年5月頃で円高、ドル安が進行しているが、これはアメリカ経済の崩壊現象を見越して、また対イ ラク戦争を予想してアラブ資金が米国による資産凍結に対して先手を打って、米国から大量の資金を引 き揚げ始めて、一時的に日本に移し替えているためであろうとの観測が流れているようだ。最終的には 現下の諸問題と展望:206 安定しているオーストラリアかニュージーランドに向かうのではないかと思われているようだ。 また、アメリカ連邦準備理事会(FRD)は公定歩合の廃止を検討し始めたようだ。また、アメリカのユダ ヤ国際金融資本の破綻も現れ始め、アメリカのイスラエル支援も破綻し始めて、イスラエル国家が緊急 事態を宣言して財政破綻が顕著になり始めたようだ。国連もパレスチナ国家樹立を容認し始めたようだ。 いよいよ、アメリカ崩壊が始まろうとしているようだ。 追記2: 米国崩壊が2003年にも急迫( 米国崩壊が2003年にも急迫(34項参照)(2002年7月15日) 34項参照)(2002年7月15日) 2001年の9.11テロ事件後、有事に強いとされた米国への欧州からの資金流入は2001年末までに 終息して、2002年に入って以来の、欧州やアラブ等の資本の米国からの流出、中国のユーロへの外貨 準備高の切り替え、米国ITバブル崩壊の長期化、そしてエネルギー大手のエンロン、通信大手のワール ドコム、薬品大手のエリクなどの粉飾決算による会計不信等により、更に欧州からの米国株売りによる2 002年7月10日の米国のニューヨーク市場の米国株価崩壊により、底無しの状況になってきている。 米国崩壊は、イラクなどへの対テロ戦争拡大と相まって、実に、2003年頃に急激に早まってきたようだ。 即ち、日米の破産、崩壊の時期が逆転したようだ。正に、2001年9月11日を境に10倍ものスピードで 歴史が展開していくことであろうと指摘したが、今や、大幅な修正を余儀なくされてきており、2002年7月 10日を境に従来の100倍もの猛スピードで歴史が展開し始めたようだ。 米国連邦政府の崩壊は、欧州に本拠を有する闇の陰謀勢力が、米国内の協力者共と演出していくもの であり、恐らく米国は9地域の州に大分裂させられていくことと思われる。結果的に、大きく異なる点は、 そうした計画を実行に移して、ワンワールドの世界統一政府樹立に向けてある程度成功させて行くように 見えるが、最後には、彼等陰謀勢力も米国を崩壊せしめたは良いが制御することが不可能に陥って、自 らも影響を被って大きく巻き込まれて破綻していくことに成るであろうと思われる。 恰も、拳銃を手に入れて弾を発射したのは良いが、暴発して自らも生命の危険に晒すことになっていく のと同じ結果を生じていくことであろう。また、恰も、放火を仕掛けたつもりが、自らも大火傷を負っていく のと同じ結果に至るであろう。全ては、真の神仏による邪悪な想念の一掃・廃絶の影響に他ならないから だ。 追記3. 欧米の対立激化から世界大崩壊へと突入か (2004年11月19日) 先日、数カ月の任期を残してパウエル米国国務長官が辞任した。大方の者には、何故今なのかと唐突 な印象が拭えないのが現実だろう。今後は米国ブッシュ政権は穏健派が衰退し、左右両勢力のバランス が崩れてネオコン勢力が台頭し、米国の対外強硬路線がなお一層鮮明となるだろう。パウエル長官の直 接辞任を決断させたものは、ブッシュ大統領が、政権発足以来の外交戦略の総括をチェイーニー副大統 領に任せたことが、パウエル辞任に引導を渡した直接的な契機となったようだ。 これ以上政権内に留まる必要性を感じ無くさせる最大の心理的圧迫の要因になったようだ。ただでさえ、 パウエル氏はネオコン勢力に押しまくられる形でブッシュ政権内でも孤立しており、冷蔵庫の中にいるみ たいだなどと感想を漏らしていた。もっとも、パウエル氏は当初から、家族と共に過ごしていたいと言うこと で、一期だけで退任することを表明していたことも確かだが、これはあくまでも表面的な理由でしかない。 結局、ブッシュ大統領はネオコン勢力の圧力に屈服したと言うことであろう。今後は欧州との協調路線 も大きく後退し、米欧の対立が過激化して行くであろう。欧米協調路線を追究していた英国ブレア首相も 次第に立場を失って行くであろう。なお、後任のライス女史では、ラムズフェルド国務長官には対抗できな いのは明白だ。また欧州との話し合い維持も期待薄で、対立は深まって行くであろうと予想される。これ はある意味では、ブッシュ勝利とパウエル辞任で、米国崩壊が早まったと言えよう。何故なら、対外的に 極めて強硬軍事一色の路線を取っていくことで、世界に大混乱と対立をもたらして行くからだ。それに米 国の巨大な赤字を益々増大させ、米国崩壊に導いて行くであろうと思われる。 現下の諸問題と展望:207 当方が既に指摘するように、欧米の、即ち、ドルとユーロの熾烈な対立、米欧との壮絶な覇権争いが激 化して行く中で、世界経済の崩壊、資本主義経済の終焉を迎えるであろうと思われる。既に2004年春 過ぎ当たりからドル崩壊が加速化し、ユーロがドルに代わって世界覇権通貨として台頭する情勢であり、 イラク戦争の長期泥沼化で、ドル崩壊、米国崩壊がなお一層進行して行くであろうと思われる。最後の足 掻きとして、欧州と米国から偽救世主が登場し、互いに共食いし合って共倒れになっていくように思われ る。米国は軍事経済力で世界を支配しようとし、また欧州はバチカンや国連を抱き込んで政治と宗教とで 世界支配を画策して行くことであろうと思われる。 他方で、今回の米国大統領選の結果を見ても解るように、米国世論は、同姓婚や堕胎や、イラク戦争 の是非などを巡って大きく二分され、正に米国は南北戦争の内乱前夜と言っても良いほどだ。既に多くの 米国人が、ブッシュ政権のファシズム化の到来を予期して、カナダに逃避しているようだの情報も伝えら れている。当HPでも指摘し予想するように、2005,6年頃にも米国崩壊、米国解体が急迫してきたよう だ。これは逆に見れば、欧州合衆国や欧州大統領の登場である。 なお、日米関係を見ても、目下の円高ドル安でも、昨年から今年春までの日本政府や日銀の為替介入 は期待できないだろうし、日本の輸出企業にも打撃を与えて行くであろうと思われる。正に日米共倒れか ら全世界を巻き込んでいくことになるだろう。日本経済の好調さも既に9月がピークであった。中国特需も 既に終焉に向かうであろうと思われる。いよいよ2005年が世界情勢の大きな転換点になるであろうと思 われる。正に激動の世界情勢の到来で、日本における新しい国家社会の建設から、日本が世界の指導 国家になる動きも浮上してくるであろうと期待するものだ。 追記4. 28.日本の三流国への転落(2002年1月6日) 日本の国家破産は、国債暴落や金利の急騰に伴うハイパーインフレ、財政や貿易上の破綻から遅くて も2004,5年頃(早ければ2003年頃)に迫ってきた。しかし、その前に、2002年7月10日のニューヨ ーク株式市場での大幅な米株安、ドル安により歴史の流れが大きく転換し、その結果、今や米国崩壊が、 イラクなどへの対テロ戦争の拡大と相まって、2003年頃にも急迫し、日本の国家破産に先行し、日本と イラクなどへの対テロ戦争の拡大と相まって、2003年頃にも急迫し、日 本の国家破産に先行し、日本と 米国との破綻の時期・流れが逆転し始めたようだ。 何れにしても、日米は経済的には相互依存の高い一蓮托生の運命共同体であり、時期がずれても、相 互に巻き込んで共倒れになっていくものだ。実に、2005,6年頃からの約5年間が日本にとり、また世界 にとっても地獄の苦しみに突入し、世界は大混乱に巻き込まれていくことだろう。ここにこそ、亡国への運 命が待っていると言うことであり、紙一重の差で国民意識の大変革と共に救世主的な人物の登場も近い と言えよう。そのような環境下でこそ、新しい国家社会の建設に向けた歴史的大改革への大事業が待っ と言えよう。そのような環境下でこそ、新しい国家社会の建設に 向けた歴史的大改革への大事業が待っ ていることであろう。 追記1: 追記1: 追記2: 追記2 : 追記3: 追記3 : 追記4: 追記4 : 追記5. 追記5 . 日) 米国崩壊が2003年にも急迫(34項 米国崩壊が2003年にも急迫(34項参照)(2002年7月15日) 34項参照)(2002年7月15日) 貿易黒字回復するも先行き不透明(2002年7月28日) 米国経済破綻の日本経済への影響必至(2002年8月1日) 日本の国家破産が全世界を巻き込むシナリオ(2003年2月15日) 今や日本企業の7割から9割もが外資系により買収され押さえられたようだ (2004年7月8 追記6. 追記6. いよいよ円高による貿易上の破綻から国家破産が襲来か いよいよ円高による貿易上の破綻から国家破産が襲来か (2004年11月20日) 追記7. 追記7 . 景気後退への転換点が到来か (2004年11月24日) 追記8. 追記8 . 円高急伸止まらず (2004年12月27日) 追記9. 追記9 . 現下の諸問題と展望:208 追記10. 追記10. 追記11. 現在の日本の状況を示すデータは充分に公開されていると言っても良いだろう。問題はその分析や対 処方法にあり、楽観的に分析し対策を弱めたり疎かにするか、悲観的に分析して対策を最初から放棄す るのか、それとも真剣に対策を検討し、破局の時期までをも分析し、最後まで破局や混乱を最小限に止 めて行こうと努力するのかの姿勢の相違であろう。 例え、破局の到来を予想できたとしても、その危機乃至非常事態の到来が何時なのかを正しく把握し得 ることは困難であり、更には、その対策、場合によってはその混乱後の立ち直りに向けた対策を真剣に 考えることは相当に困難さを極めることであろう。吾々は正にここにこそ焦点を合わせて行こうとして、各 界の専門家の分析をも大いに参考にして、適切な対処方法を真剣に考えて行こうとするものである。 さて、ここに来て日本の将来の経済、財政状況を決定する大きな直接の要因は、中国関係とテロ事件 関係であろう。中国関係は最大の要因であり、国内産業の急激な中国進出に伴う国内産業の空洞化に よる失業者の増大や、国際競争力を喪失しつつある貿易赤字の拡大と言った現象に現れ、またテロ事件 によるものは、輸出環境の悪化から来る経済の後退やアフガン復興支援のための財政赤字の拡大であ ろうか。 この度、日銀が2001年12月12日発表した12月の企業短期経営観測調査(日銀短観)で、企業経営 者の景気認識を示す業況判断指数が更に悪化したようだ。悪化は2001年3月短観以来四・四半期連 続である。このままでは益々衰退の一途を辿って行かざるを得ないし、景気の向上に向けての明るい材 料も無いようだ。 ところで、2000年において、1.6%の経済成長に果たした内訳は、IT関連が0.6%、他の産業で0. 6%、事務処理等の現場での省力化で0.4%であろうと指摘されている。政府の景気対策の最大の柱と していたそのIT産業が破綻し、他の産業も中国等への進出による国内空洞化や国際競争力の後退で、 景気が向上する兆しが全く見あたらないようだ。 一昨年の2000年に景気が回復した理由としては、周囲の国の好調な影響があったが、2001年は中 国を除いて全ての国が駄目であり、日本も世界的な景気の後退の波を被ってもろに影響を受けつつある。 また、2000年は政府によるマクロ経済政策がそれなりに効果があり、ゼロ金利政策も有効で、財政政 策(公共工事)も景気対策に効果があったと言えよう。 ここに来て、財政再建や構造改革よりも、国債新規発行の30兆円枠は崩して景気対策を優先すべきで あるとの見解もあるが、30兆円枠は堅持すべきであり、そうしないと国債相場が急落し、金利の暴騰を 招くであろうとの財政の専門家からも懸念されている。さりとて、国債発行による公共工事による景気浮 揚効果も大いに疑問視されてきているのも確かである。 頼みのIT革命も世界的に破綻したが、産業界からもITに変わる新たな産業が必要であるとの指摘もな され、国内産業の空洞化への対処も懸念されているようだ。政治主導による国家的な政策の展開が求め 第4章で吾々の提唱するところの、火山灰利用の新素材活用に基づく「新日本 られている所以であろう。第4章 第4章 新日本 列島大改造の実践」こそが、いよいよ現実的な解決課題に向けて登場しつつあると言えよう。これも僅か 列島大改造の実践 な差で多大なる後悔と失敗に終わる危険性も紙一重で迫っているとも言えよう。 さて日本の貿易黒字額は1998年の14.0兆円をピークに下降の一途を辿りつつある。1999年は12. 3兆円200年は10.7兆円、2001年は予測で7兆円、今後この傾向で推移すると、予測で2002年は6. 2兆円、2003年は3.8兆円、2004年は1.2兆円となり、2005年にはマイナス1.9兆円で赤字に転 落することになるようだ。5年で1100億ドルも失われる計算になる。全ては中国要因である。国内での 産業空洞化は凄まじい勢いで進行しつつある。中国の台頭と空洞化の実体も深刻化しつつあるのが実 体だ。中国は電子・電機産業で強さがあるが、他の製造業でも力を付けつつある。 現下の諸問題と展望:209 ところで、主要品目の世界生産量に占める中国のシェア、携帯電話やエチレン、HDDは日本と拮抗し ているが、四輪車や工作機械ぐらいが日本がリードしているものの、後は、粗鋼では中国が先行し、VTR、 DVDプレーヤー、デスクトップパソコン、カラーTV、二輪車、エアコンに至っては、殆ど中国が圧倒的に日 本を放してリードしているのが現状だ。アジア地域で見ても、既に日本と中国が拮抗しており、それぞれ アジア全体の3分の1を占めるに至っている。 それでも、東アジアにおける産業別生産額比較においても、NIES諸国、ASEANS諸国が食品加工で 上昇、機械類で横這い、資源加工で減少が見られるものの、日本は食品加工、資源加工、労働集約、資 本集約、機械類等の殆どの分野で下降傾向を辿っているに対し、一方の中国は大きく上昇傾向であるの は驚異に感じる次第だ。 さて、某新聞報道によれば、「総務省が2001年11月30日に発表した10月の労働力調査結果による と、完全失業率(季節調整値)は9月より0.1ポイント上昇して、5.4%となり、過去最悪を記録した。完 全失業者数は前年同月比36万人増の352万人で、7カ月連続で対前年同月を上回った。就業者数は 同103万人減の6千4百5万人と7カ月連続で減少し、第一次オイルショックの影響を受けた1974年の 同105万人減以来、27年ぶりに減少幅が100万人台に乗った。男性の失業率は前月比0.4ポイント 増の5.8%と過去最悪を更新した。 企業が不必要と思われる人を加えると、失業者は既に失業者率10%の欧州と変わらない。2002年 の年初からはこうした200万人~250万人いる「企業内失業者」が放り出される。大手電気の10万人削 減計画や大手銀行の2万人3千人削減計画はその一部だが、失業者を吸収してきたゼネコン業界で連 鎖倒産が始まれば300万人の失業者増という統計もある。正に10人に1人が職を失う大失業時代の到 来だ。 ついに国債暴落という恐怖のシナリオが現実になってきたようだ。格付け会社にS&Pやフイッチが、日 本国債の格付けを次々と引き下げ、更に国債を大量に買っていた銀行が、一転して売り始めているのだ。 国債が暴落したら金利が高騰し日本経済は完全に崩壊である。山一証券の破綻も、直接の引き金を引 いたのは、ムーデイズによる格付けの低下であったと言えよう。つまり、一緒にやろうと外資系に持ちか けられて油断し、全て簿外債務の状況までをも暴露させられて、秘密や弱みを知った当該外資系が米国 財務省に通報し、ただ同然で山一を獲得出来ると入れ知恵されて、そのままムーデイズに連絡されてし まい、格付けを急降下させられて破綻した結果である。 余談だが、山一の社長が記者会見で流した涙は、従業員に対して済まないという反省の涙と言うよりも、 親近感を持って近づいてきた外資系に油断して、秘密事項の簿外債務までをも暴露してしまい、その情 報を悪用されて破綻させられ騙されたという悔し涙であったようだ。これには、日本の大手証券企業の一 社を外資系に差し出すといった政府当局の協力もあったように思われる。正に、山一の乗っ取り劇は、外 資系と米国財務省と格付け機関の三者による連係プレーによるもので、暗に日本政府の協力が働いて いたと言えよう。ある日突然、破綻の引き金を担っているのが、こうした陰謀にも似た連係プレイによる格 付け会社による査定である。 ところで、英米格付け会社のフイッチは26日、米S&Pは28日、それぞれ日本国債の格付けを「ダブル Aプラス」「ダブルA」へと一段階引き下げた。S&Pでは日本はG7各国の中で最低、イタリアと同格だ。し かも、S&Pは今後の見通しも「ネガテイブ」としていて、更に引き下げる可能性を示唆している。いつ国債 が大暴落してもおかしくない危機的状況である。日本の財政赤字は666兆円でGDP比120%、ロシア が破綻した時でさえ、GDPは60%だったのだから異常である。そのうえ不良債権が重くのしかかり、産 業の空洞化も進み、再来年には貿易収支も赤字に転落しかねない。 実は、既に国債暴落の兆しが出始めている。ここ数年、国債を買いあさっていた銀行が国債を下落リス クを回避しようと売り越しに転じていることが明らかになったのだ。銀行の国債保有残高は3月時点で73 兆円だったが、2001年8月末には67兆円に激減している。国債を買い支えてきた銀行が売りに回り始 現下の諸問題と展望:210 めたことで、いよいよ危険信号点滅である。政府公報による国債購入の宣伝が出回り始めたのも危機感 の表れであろう。しかし本当に恐ろしいのは暴落後である。」と言う。 某評論家によれば、「国債暴落はイコール金利暴騰である。企業はゼロ金利でさえ苦しいのに、金利が 急騰したら倒産続出だ。健全な企業だって長期金利が6%、7%になったら持たない。それに、銀行が抱 えている73兆円の国債が、そのまま巨大な不良債権になるから、確実に金融恐慌に突入する。国として も利払いに耐えられなくなり、財政崩壊から債務不履行になるのは必至で、つまり日本株式会社の破産 である。」との指摘もある。 こうなると、IMF管理国に転落し、まともな国として扱われなくなる。日本はそんな崖っぷちに追い込ま れてされている。既に2001年秋に、政府はIMFの査察を受け入れているようだ。結論が出れば、2001 年末のアルゼンチンのような事態にならないと言う保証もないようだ。国民が気付かないところで、非常 事態が進行しつつあると言えよう。IMF管理が実施されれば超法規的な改革が行われ、公務員の大リス トラも実施されていくことに成るであろう。今の小泉氏の改革は財務省主導で精々が増税による財政再建 でしかなく、真の構造改革には至ってはいないようだ。 戦後、日本経済は、不戦憲法と日米基軸の下に、世界的資源や市場を最適に活用し得る国際環境に 恵まれて、貿易立国の国是に従って邁進してきた。その結果、日本的特徴を持つ制度や慣行、行動様式 の下で、戦後の荒廃から奇跡的な高度経済成長を達成し、日本的経営と日本資本主義の発展が世界か ら賞賛された。 ところが今や、経済グローバル化への戸惑いと近隣地域間協力の「不備」が災いして、隣国との歴史的 な摩擦にも苛まれているようだ。経済優先で突っ走って来て、歴史と外交を疎かにして来た付けが回って きたとも言える。その経済でも既に崩壊の兆しが見えてきた。金融やITサービス分野での劣勢も目立ち、 国際競争力の低下にも現れてきているようだ。 東アジアでも、これまでの先頭から日本、韓国や台湾、香港などのNIES諸国、そしてシンガポールやタ イ、インドネシア、フイリピンなどの諸国が連なり、最後に中国が付いて来ると言った雁行形態の下で、日 本が先頭を走ってきたが、一番ビリの中国に様々な分野で急激にトップに回られるほどの変動する時代 の流れの大変化である。 外交面でもアセアンやAPECにおいても弱いリーダーシップしか発揮できない状況である。目下、世界 中で自由貿易協定、通貨同盟が締結されて、地域経済のブロック化が進展して自由貿易連合、北米自 由貿易協定,NAFTA.AFTA、関税同盟EU、通貨同盟EUが結成されているが、未だ広域で存在しない のが東アジア地域であろう。日本とシンガポールとの自由貿易協定が締結に向けて動き出したが、今後 の東アジアの外交の主役は中国に奪われていくことであろう。 2001年9月11日に起きた同時テロに伴う景気後退が日本にも襲いかかってきているようだ。もともと バブルだったアメリカ景気後退に更に拍車を掛けた格好だ。アメリカ頼りのアジア経済であり、日本の景 気回復もアメリカ次第の面が濃厚だ。日本のみならず、ヨーロッパ経済にも立ち直りが見られたがやはり、 ここに来て減速し始めたようだ。 今や世界的に見ても最大の難題は、大きな日本の財政赤字であろう。1990年のバブル崩壊以後の失 われた10年と言われて久しいが、効果の薄れた公共投資による景気回復も限界に来ているようだ。政 府と地方の700兆円の他に、特殊法人の300兆円もの公的債務に加えて、莫大な不良債権問題の存 在が、国家破綻の危険水域に達しつつあるようだ。日銀によるゼロ金利の金融政策を継続してきても、 一向に資金需要が無く、デフレ下でのゼロ金利政策の限界に来ているようで、日銀のジレンマが伝わっ てきそうだ。正に金融政策、財政政策も、そして産業政策も行き詰まってきたようだ。 改革スローガンばかりが先行し改革プログラムの中身が余りにも具体策無しでお粗末と言った観も否 めない。改革の,痛みとは何かが国民の前に明らかにされないままに圧倒的な国民的人気を博するとい う状態も極めて異常であろう。日本国民の奇妙な側面を見せられる思いである。即ち、無節操、無原則、 現下の諸問題と展望:211 無思想である一面、他方では極めて柔軟な国民性であると言うことであろう。 また、不良債権処理も加速させて行かねばならないのに遅々として進んでいないのが実状であろう。雇 用不安の緩和が求められているが、リストラによる失業者が益々増大していく傾向である。また、国民の 金融資産1400兆円を市場に引き出して経済の活性化に貢献させるべく貯蓄から株式投資へと、証券界 や政府が喧伝しているが、安全第一を考え、リスクを回避する国民性の下で一向に進まないようだ。単な るマネー経済に巻き込んで放出させて消費させることには反対である。もっと健全な実物経済への政策 誘導でなければならないであろう。 最近は、米国が日本に対して内政干渉することが無くなったようだ。換言すれば、日本に対するバッシ ングが無くなったようだ。これは何も友好関係の形成という単純な側面ではないようだ。最早日本を叩き 潰すほどもなく。自滅の一途を辿っているからに他ならないものと思われる。その兆候は、退任する森前 首相と新しく就任したブッシュ大統領が面会したことや、無名の小泉首相を主賓待遇のキャンプデービッ ドに招いたことや、愛媛丸の引き上げや、そのほかの極めて柔軟な姿勢への転換である。 不気味なくらいであるが、一方では崩壊しつつある日本の運命に対する一種の哀れみなのかも知れな い。それとも新たな難題を押しつけるための好意的なジェスチャーであるのかも知れない。今回のテロ事 件報復に対する日本の無条件的な協力もその布石かも知れない。それとも全く異なった神仕組みによる ものかも知れない。 こうした一方で気を付けないといけないのは、日本をして米国の国家戦略に組み込ませて、中国に当た らせて日中戦争を画策する戦略も見え隠れしているようだ。日本と中国を対立させて行く戦略に対して、 決して巻き込まれない強(したた)かな外交が求められているとも言えよう。日本と中国とが互いに内政干 渉を排除して、率直に自己主張して直言し合うことはあっても、決して挑発したり戦うようなことは回避して 行かねばならないと言えよう。 また、日本の経済は一流だが政治は三流と言われて久しいが、ここに来て世界からも賞賛されてきた 経済もガタガタだ。世界に誇れる企業の数もめっきり少なくなってきたようだ。実に三流国ヘの転落が始 まったと言えよう。企業内のリストラ、巨大債務の現実、企業の過剰設備が一向に解消されずに、この10 年もの間、充分な設備更新もしていない故に国際競争力も大きく低下してきている。国内の産業空洞化、 失業者の増大は目を覆うばかりだ。失業率も表面上の5.3%ではなく、実質上は10%を越えているとの 指摘もあるようだ。 現在の日本の高コスト、高負担、高賃金の国家社会に待っているのは国内産業の逃避であり国内空洞 化であり、国内労働者の失業であろうことは十分に予想できたことであろう。次第に貿易上の破綻から、 外国から購入できる食糧や資源、エネルギー等が限界に達し、自給自足の経済に陥っていくことであろう。 これこそ後進国への転落であり、三流国への没落であろう。実際、今でもIMFの査察によれば、恐らく発 展途上国並の財政状態であろう。 国内産業を脅かす外国からの安価な製品の流入とは言っても、所詮は日本企業が進出し指導してきた ものであり、それが逆に日本の衰滅をもたらしているとすれば皮肉なことであろう。企業が外国に投資し、 外国人を安価に雇用し、外国の税金を支払っているのが拡大していけば、日本の国内では大幅な失業 が待っているのは自明であろう。回避するとすれば、日本も外国並に低賃金に甘んじるか、新たな国際 競争力の下に高付加価値の商品を創造的に開発していくか、更には失業者の棄民政策として海外移住 しかないであろうが、現在では最後の方法では受け入れ国が許さないであろう。 第2章で提唱する「新しい創造立国を目指して 新しい創造立国を目指して」の各種政策の実践しかないであろう。特許 そうなれば、第2章 第2章 新しい創造立国を目指して 権を始めとする知的所有権制度の一元化に向けた整備や、経済産業省からの特許庁の分離独立化を 図っていくと言った諸政策を実施しない限り、21世紀の日本の将来はないであろうと進言した意味が理 解できようと言うものだ。然るに政府の対策は、従来の科学技術の単なる振興でしかないようだ。研究費 のバラ巻きや天下り団体の創設や、国家的な特許戦略を欠いた単なる特許審査の延長の登録行政でし 現下の諸問題と展望:212 かないようだ。 さて、某新聞記事によると、スキーのジャンプ競技ではではこれ以上飛べば危険だが、それを越えれば 勝利に繋がるK点がある。目下の日本経済における企業のK点は、金融、系列、雇用、環境、国際会計 であるようだが、当方は他に、国際競争力、官僚主義の打破を挙げたい。更に、国内空洞化、起業化、景 気対策、国際化(グローバル化)の問題もあると言えよう。これらの総合的な解決が目下、国家的課題と して浮上してきているようだ。 現在、求められる日本企業の政策転換は、実に企業の対中戦略であり、政府の国家戦略の構築であ ろう。然るに、現在の政策を見ても明確な展望が見出せていないようである。デフレ対策、国際競争力の 確立、失業者対策、雇用の確保、新たな産業の創出等において、政府が率先して提示すべきなのに何ら 有効な手を打てないでいるのが現状であろう。 最近は、種々の新聞報道でも、日本の経済現況を憂慮している記事が目立つようだ。例えば、某新聞 では「日本の財政事情が深刻なのは事実だ。83兆円の予算規模で、28兆円を借金で賄っている。3 4%を国債発行で資金調達している。2年前の99年度は、37.5兆円、42%を借金に依存した。家計の やりくりを考えてみても、3割、4割の借金生活を続けられないことは良く解る。借金は雪だるま式に拡大 して破産してしまう。国と地方を合わせた債務残高は2001年の3月末で666兆円。日本のGDPの13 0%にも達している。早急に財政の立て直しを図らなければならない。問題はその方法だ。景気回復無く して財政再建無し。これこそ90年代以降の歴史的事実が提示する命題だ。 米国が財政再建に見事に成功した最大の秘訣は、景気回復の優先にあった。米国の財政収支は92 年度は約30兆円の赤字だったが、2000年度には約20兆円の黒字になった。8年で50兆円もの収支 改善を実現した。米国東京は、第一段階として景気回復による税収増を実現した。景気が安定軌道に移 行した第二段階で、景気を損なわない範囲で思い切った構造改革を実行した。その結果、見事に財政再 建を軌道に乗せていったのだ。」と言う。(某夕刊紙2001年 11月8日) また某新聞では、「政府は今年度の実質成長率がマイナス0.9%に悪化すると同時に、2002年度も 2年連続のマイナス成長が続くとする経済見通しを固めた。2001年度のマイナス幅は戦後最悪で、2年 連続のマイナス成長も戦後初めてとなる。政府は当初、2001年度の国内総生産(GDP)の実質成長率 をプラス1.7%とする経済見通しを策定。その後、2001年夏に竹中平蔵経済財政担当相が個人的見 解として、0~1%前後に事実上、下方修正していた。しかし、米国中枢同時テロ事件で、米国経済の回 復が大幅に遅れ、世界同時不況の懸念が強まる一方、国内経済も2001年9月の完全失業率が5.3% と過去最悪を更新するなど一段と悪化して行った。ついに政府経済見通しをプラス1.7%からマイナス0. 9%へと公式に下方修正せざるを得なくなった。 マイナス0.9%となれば。GDP算定の現行基準が採用された昭和55年度以降では平成10年度のマ イナス0.6%を下回り最低である。旧基準との比較では、戦後最悪となる。一方、政府は2001年11月 末にまとめた「中期経済財政計画」の中で、2002年度の実質経済成長率もマイナスになるとの見通しを 明記する方向で調整したようだ。金融危機が吹き荒れた昭和10.11年度でさえ、辛うじて2年連続のマ イナス成長は回避しており、2年連続は過去にも経験がないようだ。しかも、未曾有の不況が続くとの見 通しを政府自らが公表するのは、極めて異例の措置だ。」と言う。(某夕刊紙2001年11月8日) 「2001年11月8日、政府は今年度の名目経済成長率見通しをマイナス2.3%に下方修正する方針を 固めた。当初は1.0%のプラス成長を見込んでいたが、物価下落や米国同時テロの影響でマイナス成 長が避けられないと判断した。名目のマイナス成長は4年連続。現行基準の1980年度以降初めてで、 デフレの長期化を示している。実際に名目経済成長率が大幅に低下すれば税収が想定より落ち込む可 能性があり、国債発行額を30兆円以下に抑える小泉内閣の方針にも影響を与えると見られる。 内閣府によると、名目成長率の4年連続のマイナスは明治時代(戦前は名目国民所得、暦年)まで遡っ ても例が無いという。1880年代の「松方デフレ」や1930年からの昭和恐慌を上回る深刻なデフレ状況 現下の諸問題と展望:213 とも言え、日銀の金融政策への政府の期待が強まることも予想される。」と言う。(某大手経済誌 2001 年11月8日) 更に2001年12月20日の某大手新聞でも、貿易黒字が17か月連続減少していることを記事にしてい る。そこでは「財務省が2001年12月20日発表した11月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出 から輸入を差し引いた貿易黒字(出超額)は、前年同月比16.3%減の4983億円と17か月連続で減少 した。また、前年同期比43.1%減の3兆3047億円だった。年度半期ベースで前年同期を下回ったの は99年上半期以来5期連続だ。最近では第2次オイルショックの影響が出た78年度下半期(前年同期 比56.9%減)に次ぐ大幅な減少率だった。 世界的な景気減速で輸出が半導体などIT(情報技術)関連品目を中心に、対米など主要地域で減少し た。輸入も原粗油価格を主因に、数量、価格ともに落ち込んだ。財務省は、今後も「貿易黒字が増加する 状況にはない」としている。主要地域別では、対米黒字が同5.0%減の6111億円と3か月連続で減少。 自動車輸出が好調な一方、半導体電子部品の輸出が半減した。対アジアの貿易黒字は同79.9%減と 12か月連続の縮小。輸出入ともIT関連品目が大きく減少。対欧州連合(EU)の黒字は同35.6%減と1 5か月連続で減少した。」として、深刻な貿易黒字の減少を懸念している。 別の某大手新聞でも、同様に「貿易黒字額は1998年度の上半期を最高に次第に減少傾向を示し、2 001年度の上半期には最高時の半分以下にまで減少した。このままでは2005年度には貿易収支が赤 字に転落するようだ。財務省は2001年12月19日、2002年度の国債発行総額(旧財投制度関連分を 除く)が110兆5683億円になると発表した。初めて110兆円の大台を突破し、13年連続で過去最高を 更新した。新規発行額は小泉総理が掲げる方針を堅持し、30兆円ちょうどに押さえたが、バブル崩壊後 に大量発行し続けてきた国債の借り換え債が大幅に増加した。国債発行額の増加は日本国債の信用低 下につながり、長期金利の急上昇を招く恐れもある。 2002年度末時点での国債残高は414兆円となる。新規国債は2001年度当初と比べると約1兆982 0億円増え、2001年度の補正後とは同額になる。償還を迎えた国債の借り換え債発行は当初比で9兆 9273億円増えて69兆6156億円となり借金が借金を生む状態が続く。また、財政投融資改革に伴い、 財投債のうち、市中発行分は10兆9527億円となる。国債発行総額から郵便局での窓口販売や日銀に よる借り換え債引き受け分をなどを除いた金融機関などが購入する市中消化額も104兆7978億円と、 初めて100兆円を突破する。」として厳しい貿易事情や財政事情に懸念を表明している。 さて、2002年度の「超緊縮予算」が編成されようとしているが、来年2002年2,3月には、97,98年 を上回る金融恐慌になりそうとの見方が有力である。某経済評論家の見通しでも、来年の株価はどこま で落ちるかに対し「来年2月中旬以降、8千円台には落ちる。日本は未曾有の危機に直面している。」と の見解である。また危機の背景に関しても、「銀行が抱える不良債権と過剰債務を抱える企業とはコイン の両側である。ここに来て信金、信組がバタバタ潰れている。信組は3分の1が減った。これに超緊縮予 算が相乗効果を呼び、坂道を転げ落ちる。」と指摘している。 更に「名目成長率は企業で言えば売り上げで、国全体の経済活動を示す。これから消費者物価の上昇 率を引くと実質成長率。ところが物価がマイナス上昇なので、94年以降、消費税が引き上げられた97年 を除いてずっと、実質が名目を上回っている。異常な姿だ。」と言う。昭和恐慌の時はどうかと言えば、「1 929年から31年まで3年連続名目が実質を下回った。あのときよりひどい。」と言う。 「98年から2002年の見通しまで5年連続のマイナス。今年は政府見通しでもマイナス2.4%だった。 果たして5年連続で止まるかどうかも疑問だ。」とも言う。そして米国の大恐慌の時に関しては「1930年 から33年まで4年連続でマイナスだった。既に大恐慌を上回っているとも言える。」と指摘し、予算編成に 当たって、政府は米国の景気が来年後半から回復すると言っているのに対し、「いや、それは相変わらず の政府の楽観的な予想。米国景気の回復は再来年以降にずれ込んでいる。米国の景気後退は本物 だ。」と懸念し、経済はドンドン縮んでいることが伝わってくるようだ。 現下の諸問題と展望:214 「GDPのピークは97年の520兆円だった。2002年度見通しは496兆円。24兆円もダウンしてい る。」と言う。政府は3~5年の調整期間のあと日本経済は立ち直るといっているが、「そうはならない。政 府の改革が企業を潰し、メーンバンクを巻き込み、むしろ日本経済の体力を弱め、崩壊させていく。」と言 う。 ところで、新聞報道によれば、2001年末に起きたアルゼンチンの経済破綻が今後の日本経済を占う 上で大いに参考になるであろうとの指摘もある。何故なら数年後の日本も同様な道を歩むことになるから である。このまま行けば、日本もアルゼンチンのような事態に追い込まれるからだ。2002年度末には国 と地方の借金は693兆円という天文学的数字に達する。特殊法人の借金が300兆円で併せて1千兆円 にも達する。2002年度予算の原案では景気の回復は絶対無理だという声もあるようだ。 これから金融システムを守るために銀行に更なる公的資金を投入する可能性もあるし、米国からもアフ ガン復興のための資金提供も求められる。決算で税収の歳入欠陥が出れば、国債発行で埋めなければ ならなくなる。新規国債の発行枠30兆円の公約などは吹っ飛んで行くことになるだろう。その上、産業の 空洞化や景気の悪化の面からも予想に反して税収不足を来たし、更なる国債発行で悪循環に陥っていく だろう。 アルゼンチンの民衆暴動は、この日本国の近未来図と言っても決してオーバーではないようだ。ただ日 本がアルゼンチンと異なるのは、日本は外国から借金をしていないと言うことだけで、後は全く同じ内容 であろうと思われる。アルゼンチン経済が立ち行かなくなったのは、「市場原理」「規制緩和」「自由貿易」 「民営化」を推進してきた結果であると言われている。我が国の構造改革とウリ二つであるとの指摘もあ るが、ある程度の改革は必要だが、タイミングとやり方を誤ると大変なことになるとの警鐘であろう。 「アルゼンチンの暴動は全土に広がり、首都のブエノスアイレスは、「無政府状態」になっているようだ。 政府機関は焼き討ちに遭い、商店では略奪が横行。幹線道路や為替取引所は封鎖され、大統領と全閣 僚が辞任し、政権が崩壊する事態となっているようだ。今回のアルゼンチンの経済破綻の直接のきっか けは、先月2001年11月末に流れた「通貨(ペソ)の切り下げ」のウワサであったようだ。4年後越しの不 況の下で、1320億ドル(約17兆円)の財政赤字を抱えるアルゼンチンは経済破綻の危機にある。ペソ 切り下げのウワサで、預金を現金に換える動きが広がり、各地で取り付け騒ぎが広がった。政府は沈静 化を狙って預金の引き出し制限を表明。そこへIMF(国際通貨基金)の融資凍結が重なり、政府はあわて て増税と歳出削減を柱とした予算案を議会に提出した。これが民衆の怒りに日を注ぐ結果となったよう だ。」(海外事情通)なお、大統領官邸に押し掛けた住民は数万人。暴動での死者は14人に達しているよ うだ。 アルゼンチン経済がどうして破綻に追い込まれたかに付いて、某教授は「中南米は90年代に国営企業 の民営化を強力に推し進めた。米国政府やワシントンの国際金融機関から援助や融資の条件として市 場原理、規制緩和、自由貿易、民営化を4本柱とする新自由主義を政策の基調とするよう要請されたの である。それに最も忠実であったのがアルゼンチンのメネム政権であった。もし、ワシントンの処方箋が正 しかったならば、アルゼンチンの経済は今頃繁栄を謳歌していたはずだ。しかし、現実は最悪の状態にあ る。 つまり、米国の言いなりになったばかりにアルゼンチン経済はメチャクチャになり、国家崩壊の危機に晒 されているという。更当教授は、「米国が進めた民営化は確かに当時アルゼンチンが頭を抱えていたイン フレを収束させ、財政赤字を削減する効果はあった。しかし、失業の大発生というマイナス面が出てしま った。徹底した民営化でアルゼンチンの失業率は現在16%。民営化の売却益は腐敗した政界に吸収さ れ、買い手は外国資本ばかりだったのが誤算であった。それも知らずに当局者が米国の言いつけを忠実 に守ったが為に国家破綻の危機に追い詰められたのである。 正に現在、米国やIMFの言いなりになって、不良債権処理、規制緩和、民営化を進めて、大量の失業 者を生み出し。新たな産業の創出を考え出すことが出来ずに、外国資本による株式買収を放置している 現下の諸問題と展望:215 日本は、ある面ではアルゼンチンの後追いそのものでもあると言えよう。アルゼンチンの後追いでしかな い現在の政府の路線を突っ走れば、日本は本格的なデフレスパイラルにはまり込むだけだ。2002年度 の財務省予算原案を見れば歴然としているようだ。 現政権は、新規国債発行枠を30兆円以内に抑えたことで、「改革断行予算」とPRしているが、これが 大ペテンであろう。某シンクタンク研究員の話によれば「30兆円枠を維持するために、財政健全化に逆 行する隠れ借金を復活させているのだから本末転倒もいいところだ。民間金融機関からの借り入れ金が 42兆円に膨らんだ地方交付税特別会計への補填を取りやめて1兆円を浮かしたり、借入金の返済期限 を大幅延長すると言った操作をやっている。また、外国為替特別会計や中央競馬会の上納金を積み増し している。2次補正の財源に、国債償還に回すべきNTT株売却益に手を付けたのと同じゴマカシであ る。」と指摘している。 更に「30兆円枠がペテンなら予算原案の中身も、改革予算とは程遠い。その上、急激に落ち込んでい る景気への配慮が足りない。先述の某教授もこう批判する。「この予算案ではデフレスパイラルを加速す るだけである。現政権は30兆枠にこだわり、ただ歳出を減らせばいいとツジツマ合わせの緊縮予算を組 んだだけで、これでは景気の足を引っ張るだけである。例えば、公共事業費。各省の公共事業のシェア の変動は小数点以下のうえ、環境や都市再生という重点7分野を掲げながら、従来型の公共事業を積み 上げている。規模を縮小しただけで中身は変わっていない。しかも10.7%削減としているが、3000億 円の公共事業予算費カットを含めれば約13%の削減。これに地方単独事業の10%削減で、国全体で1 割以上減ることになる。重点7分野は名目だけで、旧来型の公共事業の規模縮小だけではどうしようもな い」と指摘する。 ところで失われた10年と言うが、しかしこれはほんの序の口であり、今後益々衰退して行くであろう。今 の時代は、幕末の頃と取り巻く国内外の環境が同じであるが、国民の間に危機感が全くと言って良いほ ど無いし、今時の環境は危機が見えにくいし、解決策が歴史上にも外国にも書物にも何処にも無いのが 改革を困難にしているようだ。実に創造的な解決能力が試されているとも言えよう。国民意識を根本から 変革して創造立国への大きな脱皮が求められている所以でもあろう。 目下、日本が太陽の光熱の利用が世界最大であるが、案外、真の神のこの地上における象徴である べき太陽を活用することは良いとしてもその打算的乃至利欲的な利用においては天罰が下ると言うもの だ。日本の衰退も意外にもこういう面でも現れているものと思われてならない。後章でも、太陽の活用は 良いが利用は天罰が下っていくことを指摘しておいたし、古代文明の滅亡にも大きく関係した可能性があ ることも示唆した。 何度も繰り返すが、日本は今や全ての面が大きく立ち行かなくなって来たようだ。教育も家庭も社会も 企業も国家財政も、実に崩壊現象のオンパレードである。一挙に国家社会が足下から崩れ去るであろう。 正に現在は沈没していくタイタニック号の甲板でダンスやサッカーに興じているに等しいと言ったところだ。 先の危急存亡の事態の状況が読めないし、現実を信じようとも考えようともしない愚かで退廃的で「真」を 喪失した国民性に成り果てていると言えよう。病気で言えば正に脳死状態であると言えるし、そのうち、呼 吸停止、心臓停止の完全破産に至るであろう。その時期は既に指摘したように、2004,5年頃になるで あろう。国家予算の編成すら出来なると言うことだ。太平洋戦争後の時のように、内乱やその他の大混乱 の終息でも、現在の亡国意識や売国意識の国民性では国民全体が底辺から立ち上がるのは相当に困 難であろう。 国民全体に危機感が無いのが最大の危機であり、現在や過去ばかりを見ていて、国家の存亡の危機 に際しての実感が湧かないようだ。政治家や官僚と言った国家社会の指導者からしてそうであるから始 末に負えない。真の危機は貿易上の破綻、外国から食糧や資源、エネルギーが買えなくなる、自給自足 は精々国民の7,8千万人が養える程度であろう。内乱化、貿易上の破綻、国債暴落、ハイパーインフレ、 企業の倒産と失業者の増大、国家予算平成の不能等が解りやすい危機の状況である。 現下の諸問題と展望:216 貿易上の破綻とは、鎖国化で自給自足の経済に戻ると言うことである。自給自足の下では現在の国民 の1億2千万人も養えないことは明白であろう。国民の間には危機意識が乏しい上に、今はやっと政府の 側の危機管理の方で腰を上げ始めたような状況であろう。国内産業の空洞化が進展して、雇用の悪化、 失業率の増加をもたらし、失業率は5.3%に達し、2001年内にも6%台に到達する勢いである。実質的 には10%台に達しているとの見方もある、自殺者も年間の交通事故死者よりも多く3万人を越える有様 である。自殺者の多くが中高年齢者であり、生命保険で借金乃至負債の清算をしているようだ。 ところで、国家財政の破綻は貿易面で現れるであろう。2001年に入ってから国家貿易黒字高が大きく 減少しつつあり、国内産業の止めどもない空洞化とも相まって、回復不可能な傾向が定着してきたようだ。 このまま推移すれば、4年以内に、恐らく2005年には日本は貿易赤字国に転落するであろうことは、今 や経済の専門家の間では常識である。これこそ国家財政の破綻であり、国家の破産であり、国家社会の 崩壊であろう。三流国家への没落であり、後進国へ逆戻りであろうし、自給自足経済への閉じ籠もりであ ろう。日本企業の多国籍化に伴う繁栄と、日本国家の繁栄とは別物であると言うことが、まだ多くの国民 に危機感を持って理解されていないようだ。 今後の経済環境の悪化によっては、貿易上の破綻を招来し、内乱化の危険も迫って来そうだ。その前 に2002年頃にも、これまで72年周期で歴史的にも襲来したという関東大地震の到来も予想されるよう だ。既に数年前から危険期間に突入しており何時来てもおかしくない状態ではあった。内乱は現在の経 済状況を考えると、案外、こうした大震災でも襲ってくるかも知れないと懸念される。即ち、国家破産を待 たずに内乱化していく危険性もあるようだ。現下の状況は、乾燥しきった空気に何時でも発火する枯れ草 で充満しているような有様であろう。 いずれにしても、様々な重要な国家的な課題を前にして、現在の国民全体を大きく二分するような対立 状況を考えると、内乱化の過程を経て、不毛な対立構造が精算乃至総決算していくような荒治療や大掃 除が必要でもあると言えよう。そうでなくても、左右両勢力の対立の結果、そこから新しい中道勢力、中庸 勢力が生まれてくることが必要であろう。このままの対立状態が継続していくならば、日本は何時までも 改革へ大きく一方を踏み出すことは不可能であろう。何れは国内的大混乱の過程を経て対立に終止符を 打っていくことも必要になってきたようだ。 ところで、国家の基本が軍事と経済であるが、軍事を疎かにして経済中心で来た結果が国民精神の荒 廃をもたらしたと言えよう。軍事とは何も攻撃的な武器を主体としたものではない。あらゆる面での国家 社会の防衛意識の涵養である。今ここで外国からの侵略があったり、外国勢力と呼応した内乱化が始ま れば、政府主導による疎開計画も無く、各自が自衛をして行かねばならなく成るであろう。また、都会と田 舎の人たち同士の協力も期待できないままに、国土全体が無法地帯に成っていくことであろう。 さて、日本にとって参考になるのは崩壊した旧ソ連のロシア経済であるが、ロシア経済は1998年に地 獄を見て、ようやく立ち直りの方向に動き始めたところだ。GDPは翌1999年にプラスに転じ、2000年 は7%、2001年も4%と目下のところ高成長を続けているようだ。経済混乱のスタートから実に10年近 い歳月を要している。日本も恐らくロシアと似たような状況を辿るのではないかと懸念されている。政官業 の癒着構造を温存しようとする自民党と、改革を願う国民との根深い対立は、既得権益を守るために改 革を阻もうとしたロシア共産党とロシア国民の対立と同じ構造であるようだ。共産党が嫌われたロシアと 違い、日本ではまだ自民党の力が強いため改革が進まない。日本経済の再生にはロシア以上の時間が 掛かるかも知れないとの指摘もあるようだ。 今後の推移を概観すると、まず2002年3月期の決算で赤字決算が続出する銀行が現れ銀行の国有 化が進むであろうと危惧される。また公的債務もまだまだ増加し続けるであろう。そして本当の国家破産 は2,3年後の2004,5年頃に貿易上で赤字に転落する事態の到来によって、即ち、日本は貿易上の破 綻から国家破産をもたらすであろう。現在の超優良企業と言えども、2,3年後の2004,5年頃には国家 破産の荒波に巻き込まれて破綻して行くであろう。国家破産に際して、発展途上国ならIMFや外国から 現下の諸問題と展望:217 借金も可能であるが、日本はそれが出来ないことは明白であろう。 貿易上の破綻と国債の暴落により、日本発のハイパーインフレの到来による世界恐慌が全世界を巻き 込んでいくことであろう。その間に外国勢力の侵攻や内乱化の事態の生じてくることは先述したとおりで ある。その前に関東大地震の到来もあり得ることも指摘した。内乱化はその地震の混乱によっても充分 に起こり得るほどの厳しい経済環境であることも既に指摘したとおりである。 このまま行けば、黙っていても日本発の世界大恐慌に突き進んでいき、世界中を大混乱に陥れ、日本 に対する責任追及が始まるのであるが、ここに来て、米国がアフガニスタン攻撃が一段落して、次はイラ ク攻撃を真剣に検討しだしたようだし、これによって大きく状況が様変わりしそうだ。米国が日本からの戦 争資金の提供も要求しているようだが、これは案外日本にとって救世主かも知れない。即ち、米国からの 財政支援要求により、多額の資金を米国に提供することにより、日本の財政再建を米国の対イラク戦争 への拡大によって邪魔されたと言うことで、世界大恐慌の責任を米国に転嫁できるからである。実に、こ うしたところにも、日本が全世界を大変革すると言った神仕組みが働きだしているようだ。 ところで、米国連邦政府崩壊は3,4年後の2005,6年頃と思われる。勿論、米国経済のバブル崩壊 の進展や、景気の立ち後れや、更には対テロ戦争の拡大如何によっては、米国経済の方が日本より先 に破綻・崩壊し、米国発の世界大恐慌に発展していく可能性もある。米国が破綻すれば、目下、米国に 最大の投資をしている欧州も米国と同時期に道連れにして破綻し、先進工業諸国は共倒れになっていく ことであろう。EU内部でも、ドイツ経済の悪化が欧州経済を破綻に導いていくことであろう。実に企業の 連鎖倒産と同様の事態の襲来であろう。 こうした事態は、日本や欧米が最大に投資している沿海州地域の中国や、韓国、東南アジア、そして中 南米にも大きく影響を及ぼし経済を破綻させていくことであろう。辛うじて、経済的に従属関係にもなく、ま た、差ほどの密接な経済関係にもなく、発展途上国であったり、また人口の稠密度も低かったり、自給自 足経済が可能な理由などにより、インドやイスラム地域、アフリカ諸国、そしてニュージーランドやオースト ラリア、カナダには直接的には影響を与えないであろうと思われる。 しかし、可成り遅れて、ロシアや中国全体にも影響を及ぼして経済環境が悪化し破綻していくことであろ う。即ち、ロシアの東西への再分裂や中国の八地方ぐらいへの大分裂化も不可避となるであろう。ロシア の再度の東西への分裂化は4年から6年後の2006年から2008年頃になるであろうか。また中国全体 の大分裂化は別項でも記載するが、恐らく、10,11年後の2012年か,2013年頃になるであろうと思 われる。2008年の北京オリンピックの頃を境にして、2010年の上海万博を経て急速に崩壊に兆しが 現れてくることであろう。既に一部の評論家からも中国の成長のピークは2008年頃であろうと言った指 摘も成されているようだ。 その間、経済崩壊して三流国家に転落した日本は中国に強い影響下に晒されて中国の属国化になる 可能性もあり、大きく抗議することもできなくなり、国威の衰退は目も当てられなくなるであろう。対中国で 勇ましい言動を弄している政治家や評論家も大幅な後退、沈黙を余儀なくされるであろう。実に国家自体 も慎重な外交を迫られていくことになるであろう。しかし、中国の世界的な覇権は長くても8年ぐらいであろ うと思われるが、その間の10年余りの期間は、正に日本民族の隠忍自重の時代であり、国民意識の大 変革の時期に当たるというものだ。しかしながら、国民精神が健全であって比較的早く立ち直れた太平洋 戦争後の回復とは大きく異なり、今時の崩壊からの回復は、現在の国民性が堕落、享楽、拝金、売名、 利欲のあらゆる精神的荒廃に汚染されている中で、極めて困難さを伴い、決して容易ではないであろうと 思われる。 真に日本民族が目覚めて、偉大な救世主たる国家的指導者を仰いで、優れた指導理念の下に、世界 に冠たる指導力を発揮出来る可能性を有するような時期は、正に中国全体が大崩壊し大分裂する201 2,13年頃となるであろう。それまでは日本という国家社会、日本民族の苦難の試練の期間とも言えよう。 その時こそ、当方が提唱する古代からの、実に5,6千年来の古代シュメールやバビロニア時代から。現 現下の諸問題と展望:218 在のユダヤ教、キリスト教、イスラム教の世界三大宗教の興隆に繋がる悪魔崇拝の宗教の根底的な改 革までを含めた最終的で真の大改革が始まるであろう。実に最後は、日本民族とユダヤ民族、特にアシ ュケナジーユダヤとの熾烈な歴史的で且つ世界的な戦いが待っていることであろう。そして最後は日本 民族に対して、悔い改めたスファラジーユダヤが協力して世界を救済していくことに成るであろう。 こうした宗教的な歴史的な大改革を成し遂げられるのは、実に、霊力信仰、御利益信仰、悪魔崇拝の 宗教に唯一染まっていないところの、2千数百年前から1万数千年前の頃に約1万年もの間に亘って栄 えた縄文文明を血を引き継ぐ日本人しかできないであろうと確信する。既に2000年の春過ぎ頃から、こ れまでの邪悪で猜疑な波動の霊力信仰(魔力崇拝、悪魔信奉、物質至上主義、利欲、売名、虚栄、嫉妬、 妬み、冷淡、冷酷、残酷)に染まった弥生的な「666」の波動から、穏やかな波動の天地や大自然の恵み に感謝する縄文的な「777」の波動へと大きく転換し始めたようだ。 正に、吾々が第2章 第2章で提唱する「新しい創造立国を目指して 新しい創造立国を目指して」への確立、また第3章 第3章で提唱する「新しい 第2章 新しい創造立国を目指して 第3章 新しい 国家社会への法制度」の整備、そして第4章 第4章での火山灰活用の新素材による「新日本列島大改造の実 新日本列島大改造の実 国家社会への法制度 第4章 践に向けて」の国家プロジェクトの推進、更には第6章 第6章での「安穏なる国家社会の建設に向けて 安穏なる国家社会の建設に向けて」を目指 践に向けて 第6章 安穏なる国家社会の建設に向けて して真の健全な家庭の確立に加えて、最後に、第7章 第7章で世界に向けて吾々が提唱する「古代からの宗教 古代からの宗教 第7章 の改革への展望」に向けての宗教改革の実践により、日本が全世界を指導する時代の到来の幕開けと の改革への展望 なるであろう。その時期は某所でも指摘するように、恐らく2006,7年頃になるであろうと思われる。 実に現在の国民精神が根底から崩壊し、新しい意識変革が達成された国民性の復活は、実に経済的に 崩壊しなければ目覚めないであろうことは最早明白だ。世界恐慌がその意識変革の絶好の機会であろう と思われる。しかし、これは非常に危険な賭でもあり、正に亡国の運命と紙一重であろう。しかしながら、 国民意識の変革に向かう姿勢が出来た暁には、日本は神一厘の差で救済される可能性もあると言えよ 第7章17項、第7章32項 第7章32項、 第8章9項で指摘乃至紹介する救世主 う。すべては国民の意識変革により、第7章17項 第7章17項 第7章32項 、第8章9項 的な指導者の心からの尊重乃至歓迎の如何に係っているようだ。 追記1: 米国崩壊が2003年にも急迫( 米国崩壊が2003年にも急迫(34項参照)(2002年7月15日) 34項参照)(2002年7月15日) 2001年の9.11テロ事件後、有事に強いとされた米国への欧州からの資金流入は2001年末までに 終息して、2002年に入って以来の、欧州やアラブ等の資本の米国からの流出、中国のユーロへの外貨 準備高の切り替え、米国ITバブル崩壊の長期化、そしてエネルギー大手のエンロン、通信大手のワール ドコム、薬品大手のエリクなどの粉飾決算による会計不信等により、更に欧州からの米国株売りによる2 002年7月10日の米国のニューヨーク市場の米国株価崩壊により、底無しの状況になってきており、米 国崩壊は、イラクなどへの対テロ戦争拡大と相まって、実に、2003年頃に急激に早まってきたようだ。即 ち、日米の破産、崩壊の時期が逆転したようだ。正に、2001年9月11日を境に10倍ものスピードで歴 史が展開していくことであろうと指摘したが、今や、大幅な修正を余儀なくされてきており、2002年7月1 0日を境に従来の100倍もの猛スピードで歴史が展開し始めたようだ。 米国連邦政府の崩壊は、欧州に本拠を有する闇の陰謀勢力が、米国内の協力者共と演出していくもの であり、恐らく米国は9地域の州に大分裂させられていくことと思われる。結果的に、大きく異なる点は、 そうした計画を実行に移して、ワンワールドの世界統一政府樹立に向けてある程度成功させて行くように 見えるが、最後には、彼等陰謀勢力も米国を崩壊せしめたのは良いが制御することが不可能に陥って、 自らも影響を被って大きく巻き込まれて破綻していくことに成るであろうと思われる。恰も、拳銃を手に入 れて弾を発射したのは良いが、暴発して自らも生命の危険に晒すことになっていくのと同じ結果を生じて いくことであろう。また、恰も、放火を仕掛けたつもりが、自らも大火傷を負っていくのと同じ結果に至るで あろう。全ては、真の神仏による邪悪な想念の一掃・廃絶の影響に他ならないからだ。 追記2: 貿易黒字回復するも先行き不透明(2002年7月28日) 現下の諸問題と展望:219 1998年以来、下がり続けていた一方の貿易収支も底を打って、3年半ぶりに反転上昇に転じたようだ。 しかし、この貿易黒字も一時的なものであり、今後は、2002年7月10日の米国の全面的株安、ドル安 による米国経済の大幅な後退・崩壊を受けて、貿易の約4割を米国に依存している米国輸出市場の縮小 を余儀なくされ、次第に影響を受けて行くであろうと思われる。 25日付けの毎日新聞によると、貿易黒字が7期ぶりで前年を上回るようだ。輸出が大きく回復し、今年 上期で4兆9895億円にもなるようだ。これに関する掲載記事の一部を紹介しよう。 「財務省が24日発表した02年上半期(1~6月)の貿易統計(速報)によると、輸出額から輸入額を差 し引いた貿易黒字額は前年同期比56.8%増の4兆9895億円で、98年下半期(7~12月)以来7期ぶ りに前年実績を上回った。3年半ぶりに前年水準を上回った。アジア向け中心に輸出が1.6%伸びた。 輸入の落ち込みが続き、外需が景気を下支えする構図が鮮明になった。某エコノミストは、「輸出は在庫 が膨らんだアジア向けに一服感が出ており、急回復は続かない。最近の円高も2003年以降、輸出に反 映する」と指摘。金融市場を中心にした米国経済の動揺や、対中鉄鋼輸出の自主規制など輸出拡大を 抑える要因も目立つ。」 8月12日日経では、「経常黒字 2年ぶり拡大 上期51%増 貿易黒字38%増加」と題して以下の記 事が紹介されている。 「財務省が12日発表した今年上半期(1-6月)の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの 取引状況を示す経常収支の黒字は7兆9275億円で、前年同期比51.9%増と2年ぶりに拡大した。比 較可能な1985年以降でみると1998年下半期に次ぐ2番目の高水準。内需停滞で輸入の減少が続く 一方、円安もあってアジア向けを中心に輸出が増税に転じ、貿易黒字が拡大したのが主因だ。 貿易黒字は同38.85増の5兆8386億円となり、3年半ぶりに黒字幅を拡大した。期中平均で前年同 期比に比べて7.7%の円安・ドル高を背景に輸出が1.0%増えた。地域別の輸出を通関実績でみると、 米国と欧州向けは減少したが、アジア向けは5.9%増えた。輸入が6.5%減ったことも貿易黒字の拡大 に寄与した。 サービス収支は2兆2772億円の赤字で、前年同期比から3623億円の赤字額縮小。米同時テロ後に 出国者数が低迷し、海外旅行者の支払額などが薬1800億円減ったため。 経常黒字が最大の薬7兆9800億円だった1998年下半期の場合、貿易黒字が8兆4000億円に達し ていた。今年上半期は配当など海外資産から得る所得収支の黒字が半期で最大の4兆5668億円膨ら んだのが特徴。98年下半期を約1兆円上回る黒字水準だ。日本経済が対外資産に依存する体質に変 わりつつあることを示している。 同時に発表した6月の国際収支は経常収支黒字が前年同月比90.3%増の1兆5072億円となり、9 ヶ月続けて前年水準を上回った。米国向け輸出が微減に転じたが、輸出全体は3カ月連続で増加。貿易 黒字が59.0%増の1兆4482億円になった。」 なお、この貿易黒字の増大の現象は、極めて一時的な特異な輸出増加の結果であるようだ。この輸出の 相当部分は中古が占めるものだ。昨年半ば以降、中国の新工場に日本の工場設備を移す企業が増え たようだ。それが輸出として統計にカウントされているに過ぎない。工場閉鎖に伴い余った中古機械の輸 出が増えても、日本の景気は回復しないと言えよう。 そして、中国などに進出した企業が中国国内で部品や材料を入手できない故の、日本からの輸入であ り、それが輸出となっているに過ぎないのものだ。かつての米国に進出した日本企業のように、その内、 中国も、中国国内での部品調達率を向上させていくと、日本から材料、部品メーカーが大量に中国進出 を図って行かざるを得なくなるだろう。そうなれば、益々、国内企業、国内産業の空洞化をもたらし、貿易 収支にも影響を与えていくことになるものと懸念される。 現下の諸問題と展望:220 追記3: 米国経済破綻の日本経済への影響必至(2002年8月1日) 経営破綻した米通信大手ワールドコムに対してみずほコーポーレート銀行や東京三菱銀行など国内大 手四行が融資を行っており、融資残高は、日本円換算で総額423億円に上っていると言う。これらの融 資が焦げ付く可能性もあり、今後も米企業の不正会計や経営悪化が続けば、不良債権が更に増えて邦 銀の経営に思わぬ痛手となる懸念が強まりそうだ。金融担当相は9日の衆議院某委員会で、「主要行12 行のうち、融資を実施している大手四行の与信残高の合計は6月時点で、約3億6500万ドル」と明らか にした。1ドル116円で換算すると423億円になると言う。 巨額粉飾決算に揺れる米長距離通信2位のワールドコムは7月21日夜、米連邦破産法11条に基づく 会社更正手続きの適用を、ニューヨーク連邦裁判所に申請した。資産総額は日本円にして12兆円を上 回り、昨年末に破綻したエネルギー大手のエンロンの634億ドルを越える米史上最大の経営破綻となる。 負債総額も約410億ドル(約4兆7千億円)に上り、米史上最大の破綻となっただけでなく、世界的にも最 大級の倒産となった。 取り敢えず、米国初の世界同時株安には歯止めがかかったが、米国株安は長期化するとの見方は強 い。株安の連鎖を断ち切ることができるのか。それとも、輸出壊滅と金融危機の再燃で、日本経済も失速 してしまうのか。重大な岐路に立たされている。日本経済は売上高ベースでアメリカ向け輸出が2割を占 め、利益ベースでは5割にも達している。実体経済がこれほど米国に依存していて、株価だけが米国離 れできるはずがないと懸念されている。 今や、日本発の世界大恐慌か、米国発の世界大恐慌かの、デッドヒートを演じていくことになりそうだ。 米国のバブル崩壊により、GDP1年分の1000兆円が吹き飛んでしまったが、更に対イラク戦争に踏み 切った場合、早ければ2003年頃にも米国崩壊が、2004,5年頃の日本国家の破産に先行しそうであ る。情勢は極めて混沌としてきており、一触即発の予断を許さない状況である。それにしても何と、平和 惚けで明きメクラ、ノー天気で危機感のない政治家、官僚、経済界、そして国民であろうか。国家社会の 崩壊前夜とは正にこういうことを言うのであろう。古代ローマ帝国の崩壊も同様なものであったのであろ う。 追記4: 日本の国家破産が全世界を巻き込むシナリオ(2003年2月15日) 日本の国家破産の真因・影響と全世界を巻き込むシナリオとは一対如何なるものであろうか。大方の 経済専門家が言う国家破産のイメージは、単純に膨大な財政赤字から来るものである。即ち、膨大な財 政赤字が国家破産を招来するというわけだ。目下、500兆円のGDPの約140%の700兆円にも登る財 政赤字が、毎年、GDPの約7%の約30数兆円ものの新たな国債発行による借金が増加され、それに金 利も含めて上乗せられていき、200%にも達するのも4,5年から10年であり、その時が国家破産であり、 ハイパーインフレか、大増税か、大恐慌か、徳政令の借金帳消しの強硬手段に訴えるしかないと言う。徳 政令は既に保険の予定金利引き下げやペイオフなどで始まっているものだし、大増税も一部で始まり、 更に消費税の増税も検討されている。 確かに、現在の国債発行高は、2003年度末で450兆円にも達し、現在の税収42兆円の10倍以上 にも上っている。橋本内閣が財政再建で挫折した97年度末の残高が258兆円だったから、たった6年で 200兆円も積み上がったわけである。国債の新規発行額は、98年以降、毎年度30兆円以上にも上る が、それが2004年度以降は毎年40兆円台に上るようだ。税収不足が続く中で、歳入における国債依 存度は2006年度には5割にもなる見通しで、予算の半分を借金で賄わなければならないようだ。 しかし、当方の言う国家破産はそうした専門家が指摘する通説の単純な財政破綻による一般的見解と 異なるものだ。当方はHPでも指摘したように、現在の日本の公的債務とは、政府が日本国民や、日本企 業に負っている債務であり、決して外国に負っているものではないのである。これは一部の経済専門家も 指摘し認めていることで、その為に財政赤字に対して危機感が乏しく、最後は上記の方法に訴えて、それ 現下の諸問題と展望:221 こそ政治的判断、決着しかないと指摘されているのである。即ち、政権首脳の暗殺や大混乱を覚悟で、 国会決議で何らかの債務帳消しの決議などをすれば済む話である。これでは、理屈として国家破産なん て有り得ないであろう。 現在の地方の財政赤字が国よりも深刻な状況なのは、何も国債のような県債発行による債務ではなく、 実に税の滞納により、税収が大きく不足しているところからもたらされる債務・借金が過半である。国も税 収悪化による財政破綻が忍び寄っているのである。そして国民が国債を購入し消化出来るうちは良いが、 誰も購入しなくなったときが、金利の暴騰、国債価格の暴落になっていくのである。つまりは国が誰からも 借金が出来なくなるときである。その際のハイパーインフレを懸念する声があるが、それでも、先述したよ うに、暗殺覚悟で債務帳消しの強硬手段に訴えれば解消するのである。 例えば、100%の国債保有税の創設や、1億円以上の債務を帳消しにするペイオフや、1億円までを1 00分の1、又は1000分の1で新円と交換するような新円切り替え、デノミを実施すれば解決するのであ る。これは政府と国民の間の債権・債務だから出来るのである。既にペイオフや新円切り替えなどにより、 着々と徳政令実施に向けて布石を打ってきているのではなかろうか。無為無策の状況では、膨大な公的 債務を帳消しにするには、最早こうした方法しかないであろう。 ただ、国民の反応や感情を見ながら、内乱化などの混乱を回避するタイミングや手段を推し量っている に過ぎないものだろう。それぐらいでは、決して国家破産とは言えないものだ。個人でも破産宣告して再 起を期せば、特に債権者が強硬・非常手段に訴えない限り、何ら問題はないのと同様である。換言すれ ば、合法的手段に訴えた債務帳消しが可能であると言うことだ。 真の国家破産とは、現在の財政赤字の拡大の延長にあるのではない。もっと別のところにあるのであ る。それは外ならぬ、外国からの借金であり、つまりは貿易上の破綻である。現在の産業の空洞化や失 業者の増大によりもたらされる税の滞納や減少などの税収不足・欠陥の増大により、国家の収入が大き く減少していき、それによって外国から必要な物資、例えば、原油や資源、食料が購入できなくなることで ある。それも外国が貸与してくれるうちは結構だが、現在の日本に外国が貸与してくれる状況であろうか。 むしろ日本はIMFや世界銀行に拠出している世界最大の債権国なのである。 外国から資金を調達できなくなった貿易上の破綻とは、自給自足の経済に戻ると言うことである。殆ど の経済学者にとって、貿易の破綻は想定外・計算外であり、貿易とは政府とは無関係に国民や企業が自 由勝手に実施しているという感覚であるのが実態であろう、これでは政府など必要ないではないか。政府 が調達するものも多く、税収が不足して行けば、政府は勿論、税金すら納入できない企業自体も、購買力 を喪失して、外国から調達する資金が涸渇していくというものだ。換言すれば、外国から物資を調達でき るのは、国内に購入できる資金があるからこそ貿易が成立するのである。 産業の空洞化・製造業の海外移転に対して、大方の経済学者は如何なる影響を及ぼしていくかを予測 しかねており、極めて楽観的に見ている節があるようだ。産業の空洞化でも、サービス産業が増加して雇 用が確保されたり、税金を納めているから良いではないかと言う指摘もあるが、大きく誤っている点は、そ れらは国内市場で消費者を相手にしているもので、決して外貨を獲得していないのである。国内消費の 品物を外国から安価に輸入しているとすれば、むしろ外貨を輸出しているものだ。どんどん、対外債務を 増大させていっていると言えよう。 日本が外貨を獲得するには製造業が中心であり、決して従来のような商社などが全面的に取って代わ れる通商立国で有り得るわけではなく、ましてやユダヤのように、金融取引で外貨獲得など能力から言っ ても出きるものではない。国民から徴税して再度国民に還元するという国内だけの消費・支出中心の資 金循環では、外貨獲得には回っては行かないのである。今や、通商立国や貿易立国の環境が大きく破 綻してきているのである。国家が依って立つところの基盤を、一体何処に求めるのかの国家戦略の構築 が必至となってきたと言えよう。 目下の米国は、大量の米国債を日本が購入することにより、資金が日本などの外国から米国に還流し 現下の諸問題と展望:222 て、貿易が成り立っているのである。逆に言えば、国債を外国が購入しなくなったときが国家破産である。 日本は製造業による輸出により外貨を獲得して、資金を日本に還流させているのである。それ故に、外 貨獲得に支障を来すときが国家破産なのである。貿易とは何も個人や企業が単独で自由勝手にするも のではない。また政府だって外国から購入するものが沢山あり、税収が破綻すれば、何よりも政府調達 物資の購入が不可能になって、国民生活を悪化させて行くのである。 従来、日本の貿易黒字額は1998年の14.0兆円をピークに下降の一途を辿りつつあった。1999年 は12.3兆円、2000年は10.7兆円、2001年は予測で7兆円、今後この傾向で推移すると、予測で2 002年は6.2兆円、2003年は3.8兆円、2004年は1.2兆円となり、2005年にはマイナス1.9兆円 で赤字に転落することになるようだった。5年で1100億ドルも失われる計算になるとの観測だった。全て は中国要因であり、国内での産業空洞化は凄まじい勢いで進行しつつあることが原因だった。 ところが、2002年度は、どういう訳か、貿易黒字額が従来の5割増に大きく反転する予定だが、これも どうも過剰設備を廃棄処分して中国などへ輸出した結果のカウントとされている面が強いようだ。国内の 高コスト、高負担体質を嫌って海外へと転出する産業の空洞化が進行している中で、短期的には中小企 業の進出が追い付かずに、先に進出した日本の大企業への輸出が伸びて反転することはあっても、長 期的に見れば最後は外貨獲得の輸出企業が転出していく中で輸入が増加し、貿易が破綻して行かざる を得ないだろう。現在、かつての英国のように海外投資の債権収入が輸出額を上回ったと言うことである が、輸出に取って代われるほど甘い期待は禁物であろう。それに貿易収支に貿易外収支を含めた国際 収支は、1997年(平成9年)以来、ずっと赤字が続いているのである。 国家破産とは個人の場合には有り得るが、国家に至っては個人と同様には論じられず、特に債権の殆 どを国民が保有している場合には、国家権力により、如何様にも合法的に処理できるのであり、政治力と 国民の協力があれば可能であるというものだ。そして国民の理解を得られるような責任を明確にすれば、 一夜にして達成できると言うことだ。尤も、当方は、国家の財政破綻に際しては、新規産業の育成により 雇用の増大、税収の拡大を図っていくのは申すまでもない。国家破産の本質は先述したように、貿易の 破綻から来るものであることを指摘しておきたい。 ところで、国内外の有識者は、特に海外の反応、感触では、日本の国家破産は以上のように、国民が 債権者、政府が債務者の国内関係者だけである故に、混乱は日本だけに押し留まって世界に与える影 響は皆無であろうと楽観しているものだ。ここにも極めて大いなる誤算があるというものだ。当方のHPで は、来るべき2004,5年頃の日本の国家破産は、2005,6年頃にも、欧米や中国や韓国のアジア諸国、 そして中南米諸国をも巻き込んで行くであろうと指摘しているものだ。 しかし、そのシナリオは省略して具体的・詳細には論じていないが、簡単に言えば、日本が破産すると 言うことは、国家の歳入が大きく税収不足で破綻することと併せて、国民や企業が破綻すると言うことで もあり、その結果、歳入不足を補う意味での国債購入が破綻していくと言うことであり、政府支出が大きく 崩壊すると言うことだ。それは、日本から大量の米国国債の購入も破綻すると言うことであり、米国の経 済や財政を支えている日本マネーの流入が支障を来して、米国自身も大きく歳出カットを余儀なくされて 破綻し崩壊すると言うことだ。それらの連鎖が世界中に浸透し伝搬していくと言うことを指摘するものだ。 それでも、ロシアなどの国際経済に完全に連動していない国家は、直接の影響は受けないものの、少し 遅れて、2006年から2008年頃に波及していくと思われることも指摘した。またカナダやオーストラリア などの農業国家は、世界大恐慌の波には大きく巻き込まれないであろうと言うことも指摘した。更に世界 経済に大してリンケージしていないイスラムやインド、アフリカ諸国なども影響は大して受けないものと思 われることも指摘した。そうは言っても、現下の米国の対イラク攻撃が実行に移されれば、米国経済崩壊 から、日本の国家破産に先行して世界経済を崩壊させ、資本主義体制の崩壊に至るであろうと警告して おこう。 現下の諸問題と展望:223 追記5. 今や日本企業の7割から9割もが外資系により買収され押さえられたようだ (2004年7月8 日) 今や日本に対する外資系株主の侵出が凄まじいものだ。日本から流出したドル国債購入資金が、巡り 巡って日米協力により、日本の株式購入に還流して株価上昇に転じて経済を押し上げている要因になっ ているようだ。既に日本の企業の株式は7割から9割程まで買い占められ押さえられて、最早トヨタと電力 ぐらいしか残っていないようだ。そのトヨタも、既に名古屋のトヨタ系部品メーカーの企業の株式が買収さ れ始めており、外資系に落ちるのも時間の問題のようだ。 既に、多くの日本企業が外資系株主で構成されて、株主の要求や圧力により、役員や従業員などの退 職金や福利厚生の削減乃至廃止を余儀なくされているようだ。こうした背景の中で、幾ら景気が回復して 企業の業績に向上が見られても、かつてのように国民生活全体が向上するとは限らなくなってしまったよ うだ。株主の利益が優先されて、それも大企業の株主であり、地方や中小、そして従業員全体にもで恩 恵が回らなくなってしまったようだ。これがグローバル経済の実態であろう。 かつて聖心先生は、「景気は別のところから回復してくるだろう」と言われたが、この別のところとは、従 来型の企業や業界という意味ではなく、全く異なった勢力と言うことであり、今となって思えば、実に外資 系と言うことだったのかと想い出されるものだ。従来の景気回復のような公共事業の展開に伴う建設業 界や鉄鋼業界ではなく、またハイテク産業でもなく、現在全く予期しない業種であり業界であるものと思っ ていた。然るにそのようなものは見あたらなかった。 そこで最近の一連の経済動向を観察すると、余りの凄まじい外資の進出により、最早企業家精神を喪 失した日本勢に取って代わって、外資系が日本経済復活のカギを握っているのではないかと思うように なった。矢張り聖心先生の言われた「別のところ」とは、日本とは別のところの意味ではなかったか。従来 型とは別の業界かと思ったが、それではなく、むしろ日本からではなく、外国からと言う意味ではなかった かと思う次第だ。 これからすると、火山灰や聖心先生のことも、幾ら日本人社会で説明し説得しても何も効果無く、矢張り、 聖心先生が言われたように、火山灰も聖心先生のことも外国から関心を持たれて、評価されていくのであ ろうと痛感するものだ。既に外国の霊感者当たりでは、日本からの何らかの波動をキャッチしているよう に思われる。日本は灯台下暗しで一向に解っていないようだ。中空より光の霊団が降下してきているとい う指摘もあったが、一体何がそうさせているのかまでは理解し解明できていないようだ。 追記6. いよいよ円高による貿易上の破綻から国家破産が襲来か (2004年11月20日) 2004年11月19日付け大手新聞紙が一斉にドル安円高を報じた。露骨に第二プラザ合意を示唆する ものもあった。いよいよ、既にHPでも指摘した円高による貿易破綻からの日本の国家破産も現実味を帯 びてきたようだ。政府・日銀の為替介入を再度実行するつもりであろうか。最早、これも限界となるであろ う。これは米国をも巻き込んだ世界経済の崩壊へのシナリオとなるであろうと思われる。本日、政府税調 は能天気で、景気が向上してきたから、消費税を上げる答申をしたようだが、この景気好転という読みは、 大いなる誤算となって行くであろうと思われる。 既に中国経済もバブル崩壊が目前だ。中国に進出している日本の自動車企業も、当初は中国での自 動車市場は約4千万台と見込んでいたが、ローンの支払いも焦げ付いたりして、予想では10分の1の四 百万台ぐらいであろうという下方修正を行ったようだ。農民暴動も激化しつつある兆候も見え始めたよう だ。実際、米国に比較した場合、同じ農地面積を米国は五百万人でやっているのに対し、中国は何と八 億人だ。これでは農業人口が過剰も良いところだ。中国政府に取り、農業人口の他産業への移動が必須 の課題となるが、何ら解決の糸口が掴めていないようだ。日本と米国、そして中国をも巻き込んだ経済の 大崩壊が急迫してきたようだ。この中国のドル離れも必至の状況で、益々、ドル崩壊に拍車を掛けて行く であろうと思われる。 現下の諸問題と展望:224 毎日新聞紙2004年11月19日報道 「ドル全面安」『日本介入時期に悩み』 18日の東京外国為替市場で、円相場が1ドル=103円台の円高に進んだのは、米国の財政と経常収 支の「双子の赤字」に対する懸念が背景にある。市場では「経常赤字を解消するため、米国がドル安を容 認しているのではないか」との観測が広がり、ドル全面安に拍車をかけた。今年7~9月の実質成長率が 1年半ぶりにマイナスになることが同日、明らかになるなど、日本経済は踊り場の局面に入ってきたこと が鮮明になってきており、円高が景気に与える影響に懸念が広がりつつある。 「国内景気へ影響懸念」 政府は谷垣禎一財務相や細田博之官房長官が18日午前、そろって「断固たる対応(をとる)」と述べた。 日銀の福井俊彦総裁も同日の会見で、「急速な円高・ドル安の進行は、経済見通しの不確定要素の一つ だ。今後の為替動向を十分注視したい」と警戒感を示した。 市場には、今週末にドイツで開かれる先進国と新興市場国などの財務相・中央銀行総裁会議(G20)で、 米政府がドル安を容認するとの見方が出ている。政府は介入をちらつかせて市場をけん制しているが、 昨年から今年3月までの大規模介入時と比べると、日本の景気は回復基調にあり、「他に政策余地がな いと米欧から大目に見られてきた当時とは異なる状況」(国際金融筋)。しかも、ユーロがドルに対して過 去最高値を更新するなどドル全面安の色彩が濃いため、政府・日銀は介入タイミングを計りかねている のが実情だ。 高騰していた原油価が落ち着きを取り戻したことで、投機マネーが為替市場に流れ込んでいるとの指 摘もある。こうた投機筋は、日本の通貨当局がどこで介入に出てくるかの値踏みをしているという側面も ある。 モルガン・スタンレー証券の田中泰輔チーフ通貨ストラテジストは「ゼロ金利政策下では、極端な円高・ ドル安に対する抑止効果があるのは市場介入ぐらいしかない。デフレから脱却できていない日本経済の 状況を考えれば、すぐにでも介入して急激な円高を阻止すべきだ」と指摘する。 だが、春先の大量介入を米に批判された経緯もあり、日本にとって介入しにくい環境は変わっていない。 ただ、1ドル=100円を割り込めば、輪出主導で進んできた回復途上の景気の腰を折りかねないため、 政府・日銀は100円を突破して円高が進むような局面になると判断すれば、介入に踏み切るとの見方が 強い。【後藤逸郎、斉藤信宏】 朝日新聞紙2004年11月19日報道 円高ドル安 「双子の赤字」懸念で加速 政府・日銀市場介入探る 東京の外国為替市場で円相場が4年7カ月ぶりの円高水準になったことで、政府・日銀による円売りド ル買いの市場介入への警戒感が強まっている。米国の財政収支、経常収支の「双子の赤字」に市場の 関心が集まり、ドルが円やユーロの主要通貨に対して全面安の展開だ。財務省は3月中旬から中止して いる市場介入の「再開」も辞さない考えを強調。通貨当局と市場との神経戦が続いている。 (3面参照) 円高ドル安が進んでいるのは、過去最高の経常赤字に悩む米政府がドル安を容認している、との見方 が市場に強まっているためだ。雇用統計の改善や株価上昇など米指標は好調ながらドル安の流れは止 まらず、米経済の構造的な問題に市場の関心が集まっている。 現下の諸問題と展望:225 スノー米財務長官は、表向きは「強いドル政策を掲げる一方で、市場原理に即した為替相場の必要性 を繰り返し強調する。これが、市場参加者には「日本政府と日銀によるドル買い介入や、欧州圏の通貨 当局からの口先介入を牽制してドル安を容認している」(為替ディーラー)と映っている。また、米経常赤 字の最大の原因である中国の人民元の切り上げ観測が強まっていることも、ドル売りの材料だ。 「90円台の声も」 9月の日銀短観によると、国内企業の今年度の予想為替レートは1ドル=106円台。年度前半は110 円前後で推移したため、「103円程度の円高なら想定レートの範囲内となり、企業収益への影響は限定 的」(斎藤満・UFJつばさ証券チーフエコノミスト)という。だが、市場では円高は当分止まらないとの見方 でほぼ一致しており、「1ドル=90円台突入も時間の問題ではないか」(大手銀行ディーラー)との声も出 始めている。 財務省の渡辺博史財務官はこれまで「米経済は力強く、ドル安が一方的に進むとはまつたく思っていな い」との考えを強調してきたが、急速な円高に財務省幹部は「米経済の好調な経済指標に市場が反応し ないのは不可解だ」といらだちを隠さない。 「最後の手段」 細山興一事務次官は18日の記者会見で「急な動きには毅然として断固たる措置をとる」と述べ、市場 介入を辞さない姿勢を一段と強めた。 政府・日銀は昨年度1年間で、過去最高の32兆8千億円の円売りドル買い介入を実施。投機筋を「撃 退」し、今年3月17日以降、介入をしていない。だが、当時は「デフレ下の円高という異常事態を深刻化さ せないための最後の手段」(溝口善兵衛・前財務官)と、財務省も「非常手段」だったことを認めている。 それに対し、今回はデフレが続いているとはいえ、昨春7千円台まで下がった株価も現在、1万1千円 台を維持。スノー米財務長官が17日、ロンドンでの講演で「市場原理を離れた通貨価格を要する努力は、 歴史的にも報われない」と発言するなど、日本が介入を再開するにはハードルがあることも事実だ。 今週末、ベルリンで開かれる先進国と中国な20力国財務相・中央銀と一総裁会議(G20)では為替問 題も討議される見通し。財務省は「マクロ経済動向や国際金融システムの安定などの議論が中心で、為 替は大きな柱にはならない」としているが、市場では「為替調整で何らかの合意があるのではないか」と の観測が広がっている。 読売新聞紙2004年11月19日報道 「ドル安容認」円急騰・・・ 『景気に新たな懸念』 東京外国為替市場の円相場が十八日、約四年七か月ぶりの円高水準を記録するなど、円の急騰に歯 止めがかからない。足元の景気への不安が高まる中で、円相場の急騰は日本経済の新たな懸念材料と なりつつある。だが、最近の円高の主因は米国の「双子の赤字」が背景となっているだけに、市場の風向 きは容易に変えられそうにない。 (本文記事2面) ■背景 市場では、「円が買われての『円高』というよりも、ドル売りによる『ドル安』の様相が強い」(邦銀幹部)と の声が広がっている。 こうした「ドル安」の背景には、表向き「強いドル」策を掲げながら、実際はドル安を事実上容認していと される米ブッシュ政権政策姿勢がうかがえる。ジョン・スノー財務長官が協調介入に否定的な発言を行う など、最近の米政権に「経常赤字の改善には、ドル安値向を容認することが得策だ」と判断している節が 見受けられるからだ。 現下の諸問題と展望:226 ■影響 最近の円高は、足元に不安を抱える日本経済にとって、深刻な悪材料となりかない。福井俊彦日銀総 裁十八日の政策委員会・金融政策決定会合後の記者会見で、「経済の見通しに対して、為替市場の動 向は、確定要因の一つだ」と指摘したうえで、「今後の為相場の動き、その影響は十分注視していく」とす る警戒感をにじませた。 第一生命経済研究所は、1ドル=100円の水準が一年間続くと、日本の実質内総生産(GDP)を年0. 4%押し下げると試算する。しかも、景気回復のテンポは、最近の円高がなくても、鈍ってきている。七~ 九月の実質GDPは年率換で0.3%増と、市場予測を下回る大幅な減速となった。「十八日発表の日銀 の一月の金融経済月報も、輸出や生産活動の増勢に一服感が出始めたことを指摘するなど、一年半ぶ りに景気認識を下方修正した。 ■今後 しかし、最近の円高はブッシュ政権の政策姿勢に端を発しているだけに、日本経済の先行き懸念が今 後さらに強まっても、こうした懸念が円売りの動きにつながるかどうかは不透明だ。 市場には、「当面、米国の赤字が劇的に減少する可能性はないだけに、ドル安傾向はしばらく続く」(JP モルガン・チェース銀行の棚瀬順哉ストラテジスト)との見方が多い。このため、今後の円相場については 「年内に1ドル=100円を超える円高になっても、おしくない」(同)との測も出始めている。 『介入機運高まる』 円高を受け、政府は三月から八か月間停止している円売り介入を再開する構えを見せている。 財務省の細川興一次官は、同日の記者会見で為替動向について、「注視しなればならない状況と認識 している。市場の急な動き対しては毅然として断固たる措置を取る」と述べ、強く市場の動きをけん制した。 細田官房長官は「あまりに投機的、一時的な動きがあれば断固たる対応をしなればならない」と述べた。 『米、第二の「プラザ合意」模索?』 急激な円高・ドル安が進む中、市場関係者の間には、ドル安誘導に向けた国際協調体制を確立した一 九八五年のレーガン政権下のプラザ合意にならって、ブッシュ政権がドル安誘導を狙った「第二プラザ合 意」を目指しているのでは、との憶測が広がりつつある。 レーガン政権一期目では、「双子の赤字」が深刻な問題となった。このため、二期目に入ると、日米欧の 五か国蔵相会議での議論を主してプラザ合意にこぎ着け、ドル高是正に向けた協調介入を実現、ドル安 傾向を定着させて双子の赤字の改善を目指した。 二期目に向かうブッシュ政権も、一期目にイラク争や戦後の軍事行動で軍事関連支出が拡大したり、 大型減税を実施したりしたことで、双子の赤字が深刻化し、レーガン政権二目と酷似している。このため、 「ドル安誘導策で膨んだ赤字を削減しようとするのでは」との見方が、市場では勢いづいている。ただ、現 在は「米国のインフレ率は上昇傾向にあり、大幅なドル安が進むと急激なインフレを招きかねない」(大和 総研の亀岡裕次主任エコノミスト)といった指摘も根強い。 産経新聞紙2004年11月19日報道 【東京円103円台】4年7カ月ぶり高値 「双子の赤字」懸念 米大統領選の”封印”解ける 十八日の東京外国為替市場の円相場は、海外市場の流れを引き継いでドル売りが加速、円は一時、 一ドル=一〇三円六五銭まで上昇し、平成十二年四月以来、約四年七カ月ぶりの円高・ドル安水準を記 録した。市場では、財政赤字と経常赤字という米国の「双子の赤字」の懸念や、米政府がドル安を容認し 現下の諸問題と展望:227 ているとの見方から、ドル売り圧力が高まっている。午後五時現在、前日比一円三〇銭円高ドル安の一 ドル=一〇三円七五-七七銭。 政府は同日、「急な動きがあれば断固たる措置を取る」(谷垣禎一務相)と円高を牽制したが、市場は 一ドル=一〇〇円突破をうかがう展開もあるとの観測が上っている。円相場は十八日のロンドン外国替 市場で早朝に一時、一ドル=一〇〇円六五銭とロンドン市場では今年三月末以来の円高水準に、同日 午前ニューヨーク外国為替市場でも一ドル=一〇四円台前半で推移している。 一方、十八日の国債市場は、円高進行による景気の先行き懸念から、長期金利の指標である新発十 年債(二六四回債、表面利率1.5%)終値利回りが前日より0.035%下がり、十月下旬以来約三週間 ぶりの低水準となる1.430%だった。 一ドル=一〇三円台の円高ドル安水準に突入したのは、大統領選挙期間中に”封印”された米国の財 政、貿易の「双子の赤字」への懸念が噴き出した結果だ。二十日からドイツで開かれる先進七カ国(G7) と新興市場国の財務相・中央銀行総裁会議(G20)で為替問題が議題として急浮上するとみられ、世界 経済の新たなりスク要因になってきた。 米財政赤字は過去最高水準で、経常赤字の増大にも歯止めがかからないことから、「赤字削減ため、 米国はドル安容認に方針転換した」との観測が市場で高まり、円高・ドル売りに弾みをつけている。 大統領選挙前は「ブッシュ大統領が再選されればドル高」との見方が有力だったが、再選後もドル売り が優勢となっている。一九九〇年代の前半、「双子の赤字」と景気減速に直面した米政府はドル安政策 を採用、輸出振興で景気刺激を図った経緯がある。スノー財務長官は今月十七日、「為替市場への人為 的入は報われない」とド安容認とも取れる姿勢示しており、”歴史”の先読みがドル安に拍車をかけた面も 大きい。原油高など米景気の「先行き減速不安も加わって、ドル安の構図を生んでいるようだ。 九月の日銀短観(企業短期観測調査)で示された輸出企業の下期の想定為替レートは、一〇六円一二 銭。はるかに上回る円高は、牽引役の輸出の鈍化させるだけでなく、デフレ脱却の兆しが見え始めた日 本にとって、景気腰折れ要因となる可能性も出ている。(関根秀行) 産経新聞紙2004年11月19日報道 『景気への影響を日銀総裁「注視」』 日銀の福井俊彦総裁は十八日の記者会見で、一ドル=一〇三円台まで円高ドル安が進んでいること に関して、「引き続き注意してみていきたい」と述べ、為替相場の景気に対する影響を今後も注視していく 姿勢を示した。ただ、「為替相場はつい最近まで安定していた。ごく最近は短期筋の思惑で円高に振れて いると聞いている」とも話し、投機的な取引による一時的ものであるとの見方を示した。 『製造業など輸出産業に警戒感』 一ドル=一〇三円台の円高ドル安に突入したことに、景気の拡大を牽引してきた輸出製造業には、今 年度の為替レートを一〇五円程度と想定した企業が多いだけに「一時的な動きかどうか見極める必要が ある」(トヨタ自動車)と警戒感を強めている。 デジタル景気に沸く電機業界も、下期業績を左右するリスクとして原高・原材料高・円高の「三高」を挙 げており、特に為替には敏感だ。ドルに対して一円の円高が進マイナス効果を単純計算すると「営業利 益で年間六十五億円」(ソニー)、「売上高では下期九億円」(日立製作所)などとしており、影響は小さく ない。 輸出製造業は為替予約によるリスク回避や生産拠点の分散など円高対応努力を続けており、「日本企 業にとって一〇五円までなら国際競争力に耐えられるレベル」(佐々木幹夫・日本貿易会会長=三菱商 現下の諸問題と展望:228 事会長)とみているが、急激な円高は避けたい意向だ。 一方、原油や素材など国際商品市況商品の輸入価格高騰に悩む企業にはプラスだが、事情は単純で はない。 電力業界は「このままの円高が続けば燃料費が下がり、(燃料費調整で)電気料金(値下げ)にも反映 される」(東京電力)とするが、石油業界は「長期的には円高水準が続けば原油価格は下がるが、原油相 場は依然高く、目先の価格には影響しない」(大手石油元売り)と慎重だ。 素材産業も「輸出に影響は出るが、鉄鉱石と石炭を輸入しており、結果的に一円の円高が約一億円の プラスになる」(新日本製鐵)との声があがる半面、「原油高はカバーできても日本経済が輸出に依存し、 全体でマイナス。自動車業界に影響が出れば石油化学業界にも影響が及ぶ」(蛭田史朗・石油化学工業 協会会長=旭化成社長)とみている。 朝日新聞紙2004年11月22日報道 「強いドル」道険し」 米大統領「為替急落を牽制」「具体策なお不透明」 「私は強いドルへの決意を持っている。短期的、長期的な財政赤字削減のため議会とも相談していく」。 20日の日米首脳会談で、プッシュ米大統領は従来より踏み込んだ表現で、「強いドル」政策を堅持する 決意を語った。しかし、過去最大規模に達した米国の財政赤字削減は容易ではない。発言は、ドル急落 に歯止めをかける狙いがあったとみられるが、具体策はなお不透明だ。(サンティアコ=小陳勇一) ブッシュ大統領の再選時に1ドル=106円台だった円ドル相場は、19日のニューヨーク外国為替市場 で一時1ドル=102円68銭と、4年8カ月ぶりのドル安水準をつけた。「5年間で財政赤字半減」の目標 を掲げながら具体策はほとんど示さず、米国の双子の赤字(経常赤字と財政赤字)に対する市場の懸念 が再燃したためだ。 米国の経常赤字は03年、過去最大の5306億ドルに達した。国内の資金不足を補うため、1日平均で 約14億ドルの資金が世界中から米国に流入していることになる。この資金の流れが滞れば、ドル暴落や 金利急騰につながり、世界経済を揺るがす事態になりかねない。その資金不足の最大の要因が、04会 計年度(03年10月~04年9月)に4125億ドルの赤字を抱えた連邦財政だ。 米連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長は19日、「どこかの時点でドル資産への投資意 欲は減退せざるをえない。経常赤字削減のためには財政赤字削減が最も効果的だ」と強く警告した。20 日のブッシュ大統領の発言は、「双子の赤字」をこれまで楽観してきた米政府も、急激なドル安で危機感 を共有し始めたことの表れと言える。 ただ、効果的な赤字削減策の実行は難しそうだ。ブッシュ大統領は、財政赤字を「短期」と4日の会見で は、経済成長促進による税収増と歳出抑制を赤字削減策として挙げた。経済成長を抑える増税策は選 択肢にないとみられる。 年間2兆4千億ドルの米政府予算のうち、制度変更をせずに毎年歳出額を決めることができる裁量的 経費は約8200億ドル。その5割強は軍事費と国土防衛費だ。 イラク情勢が改善しなければ軍事費は膨らむばかりでその他の裁量的経費の抑制を図っても、財政再 建はおぼつかない。 ブッシュ政権がより力入れそうなのが、「長的」な課題だ。焦点は金改革で、年金資金を政府が一括運 用して高齢に給付している公的年金に個人勘定を導入し、運用の一部を国民自身に任せる「年金の一 部民営化」を掲げる。 ただ、国民生活への影響が大きい年金改革は容易ではない。 現下の諸問題と展望:229 『ドル急落に協調策示せず』G20声明 【ベルリン=小森敷司】 日米欧と新興市場国でつくる20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)は21日、原油高や米国の「双子 の赤字」、イラク情勢に懸念を表明する内容の声明を発表して閉幕した。声明は、米国の中期的な財政 健全化や中国の人民元を念頭に置いた為替相場の柔軟性向上も求めたが、市場が注目していたドル急 落に対する具体的な協調策は示されなかった。 声明は、「不安定な石油価格、対外収支の不均衡、地政学的な不安のリスクが増大している」と指摘し た。 さらに円高ドル安が進み、1ドル=100円を突破するような展開となれば、政府・日銀が市場介入を再 開する可能性が高い。 追記7.景気後退への転換点が到来か(2004年11月24日) 追記7.景気後退への転換点が到来か(2004年11月24日) 既に中国特需による景気のピークは9月で終わり、10月に入って以来下降傾向にあるように思われる。 中国経済の調整と米経済の影響を受けた形だ。そんな中でもGDP算出方法の変更により、景気の減速 感が鮮明になったようだ。ただ政府・日銀は、依然として景気は回復しつつあると強気の認識のようだ。 産経新聞紙11月19日報道 GDP算出方式変更 【景気の減速感鮮明】 「政府・日銀判断に影響も」 内閣府が国内総生産(GDP)算出方法を見したことで、市場など「実質成長率は過大評されている」と 批判さていたGDP統計に対する信頼性は高まりそうだ。ただ、景気の実態により近くなった結果、景気の 減速傾向は一段と鮮明になり、景気回復が続いていることを前提にしこ政府・日銀の経済財政運営・金 融政策の判断に影響が出てくる可能性がある。 日銀は十月発表した「展望リポート」で、消費者物価指数は平成十七年度に前年度比で0.1%の上昇 となると予想した。その消費者物価指数に比べ、これまで公表れてきたGDPデフレターの下落幅が大きく、 その乖離が問題視されていた。今回の見直しでGDPデフレーターの下落幅は縮小、乖離幅は狭まってく るとみられ、物価上昇局面に向かうとの方が強まりそうだ。 このため、日銀は「量的緩和の解除は時期尚早」との立場だが、今回のGDP算出方法見直しを機にデ フレ脱却の時期の判断が早まる」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との観測も浮上 している。日銀の量的緩和解除の時期に影響を与え可能性も否定できない。 その一方で、逆に実質成長率がマイナスとなったことから、景気の減速感が強まる可能性は大きい。民 間エコノミストの間からは「景気が後退局面に入るか回復基調の中の減速に過ぎないのか微妙な時期に ある。議論されている定率減税の縮小・廃止の実現にはマイナス」(日本総合研究所の山田久・調査部経 済研究センター所長)との見方も出ている。 小泉政権はデフレ脱却と景気の減速感という”はざま”で難しいかじ取りを迫られる場面もありそうだ。 (吉田憲司) 『1年半ぶり下方修正』 日銀は十八日、十一月の金融経済月報を公表した。景気の現状について、「全体として回復を続けて いる」との認識を示し、強気な判断を維持したものの、「輸出、生産の増勢に足もと一服感がみられる」と、 一部に鈍化の兆しを示唆し、昨年五月以来一年半ぶりに表現を事実上,下方修正した。 先行きに関しては海外経済の拡大や、企業の過剰債務、過剰設備問題などの解消、雇用者所得の増 現下の諸問題と展望:230 加が見込まれることから、景気は回復を続けていると分析した。ただ、IT関連需要や原油価格の動向に ついては、「引き続き留意する必要がある」としている。・・・ 追記8.円高急伸止まらず 追記8.円高急伸止まらず (2004年12月27日) 新聞報道によれば、円高が急伸し、その流れが一向に止まらないようだ。米国も、強いドルの堅持とか、 ドル防衛だとかの表面的な声明に反して、故意かどうか解りかねるが、ドル安を放置している心境ではな いかと思われる有様だ。矢張り、このまま進展していけば、日本の経済は貿易面から一挙に破綻するで あろうと懸念されるものだ。 産経新聞紙2004年12月3日付け報道 【円急伸、一時101円台】「NY原油は大幅続落」 二日の東京の東京外国為替市場の円相場はドル売りが加速し、一時は一ドル=一〇一円八三銭をつ け、四年十一カ月ぶりに一ドル=一〇一円台に突入した。過去最大規模に膨らんだ米経常赤字を材料 にした投機筋のドル売り圧力は根強く、一〇〇円の大台突破が視野に入ってきた。一方、同日の東京株 式市場は一日のニューヨーク市場で原油先物相場が急落したことを引き金に急反発。東京市場の原油 価格も五カ月ぶりの安値水準に下落し、ガソリン、灯油はストップ安で取引を終えた。 外国為替市場はここ数日、介入への警戒感から、一進一退を続けていた。だが、一日夕に財務省の渡 辺博史財務官が「日欧で協調行動が取れる状況にある」と発言。一日付の英フィナンシャル・タイムズ紙 でも、米国の経済政策運営を批判する英財務省の高官発言が紹介された。 図らずも日欧と米当局との足並みの乱れがさらされる格好となり、日米欧の協調姿勢を見極めていた 投機筋は、米国と他の主要国との溝の深さを確認し、原油相場に投じていた資金を外為市場でのドル売 りに切り替えたとみられる。財務省の細川興一事務次官は二日、「強い緊張感を持って注視している」と 市場牽制。日銀の岩田一政副総裁も「為替レートを動かさないと米経常収支の赤字幅を調整できないと 考えるのはおかしい」とドル安阻止に懸命だ。 市場には「米国抜きの協調介入では効果は限られる。相場の流れが変わるのは米当局が”孤立”に危 機感を抱いたとき」(米証券)とする見方が多く、相場の反転には時間がかかるとの見方が大勢。二日の ニューヨーク外国為替市場の円相場は午前十時半すぎ、前日比一三銭円安ドル高の一ドル=一〇二円 八二銭で取引された。 一方、二日の東京株式場は、前日に米国株が急反発した流れを引き継ぎ大幅高。日経平均株価は三 日ぶりに一万〇九〇〇円台を回復した。終値は前日比一八八円八二銭高の一万〇九七三円0七銭、全 銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は、一八・〇二ポウント高の一一〇五・三八。 また二日の東京商品市場では、十二月決済物が一時、前日比一七六〇円安の一キロリットル当たり二 万二〇〇〇円と、七月以来五カ月ぶりの安値をつけた。終値は二万二二九〇円。ガソリン、灯油の来年 一月決済物などもストップ安で取引を終えた。 二日のニューヨーク商取引所の原油市場も大幅続落。国際指標となる米国産WTI原油の先物価格は 午前十一時二十分すぎ、前日比一ドル五四セントの四三ドル九五銭で取引され、約二カ月半ぶりに一バ レル=四四ドルを割り込んだ。 『ロンドンも一時101円台』 【ロンドン=共同】二日のロンドン外国為替場はドル全面安の展開になり、円相場は朝方一時、一ドル =一〇一円八三銭まで急伸、一九九九一年一二月下旬以来、約五年ぶりの高値をつけた。ユーロも対 現下の諸問題と展望:231 ドルで一時、一ユーロ=一・三三八五ドルをつけ、九九年のユーロ導入以来の最高値を三日連続で更新 した。 午前十時現在は前日比四五銭円高ドル安の一ドル=一〇二円四〇-五〇銭、ユーロは一ユーロ= 一・三三四〇-五〇ドル、同一三六円六五-七〇銭。米国が抱える双子の赤字問題に加え、米政府は ドル安を容認しているとの観測が根強く、日欧の通貨当局によるドル買いの「口先観入」にも反応は鈍い。 「介入のレベルを試す神経質な展開」(邦銀筋)で、一〇一円台をつけた後は一〇二円台半ば付近でもみ 合った。 【産業界に警戒感 中小企業に打撃大きく】 二日の東京外国為替市場で一ドル=一〇一円台に上昇した円高の進展で、産業界に警戒感が広がっ ている。過去の円高を教訓に、大手企業は為替予約や海外への生産拠点の分散など対応力をつけてい るが、「急激な為替変動は、国内景気に影響を与える」(宮崎徹夫・JFEホールディングス副社長)からだ。 経営マンドの冷え込みを懸念する声が高まっている。 「円高ではなくドル安だ。調達も組み立ても、できるだけ米現地化を進め、影響を最小にする」。日産自 動車の力ルロス・ゴーン社長は二日の新車発表の席上、円高への対応について、こう強調した。 これまで景気牽引してきた輸出製造業の多くは、下期の為替レートを一〇五円程度と想定している。ド ルに対して一円の円高が進むことによるマイナス効果は、ソ二ーで「営業利益で年間六五億円」など影響 は決して小さくない。 ただ、ソニーを含めた大手企業の多くは、相場が安定している時期に年間の為替予約をしたり、生産拠 点の分散化を進めるなど、円高対策を進めている。ユーロなど米ドル以外の現地通貨での取引が拡大し ていることもあり、「昔と比べて、(円高の)インパクトの度合いが減った」(ホンダ)という。 しかし、資金力の弱い中小企業は、これらの円高対応措置をとることが難しい。「このまま円高に歯止 めがかからなければ、取引先の事業意欲が減退してしまう」(大手電機)と、景気全体の冷え込みを心配 する声が目立ちはじめている。 石油化学製品の原料となるナフサ(粗製ガソリン)や鉄鉱石など、円高が原材料の輸入に有利に働くは ずの素材産業の間にも「輸出に依存している部分があり、全体ではマイナス」(蛭田史郎・旭化成社長)な ど、円高への警戒が強まっている。 追記9.(2004年11月20日) 追記10.(2004年11月20日) 追記11.(2004年11月20日) 追記11.(2004年11月20 日) 29.米国連邦政府の崩壊(2002年1月7日) 闇の世界支配権力が仕組んだ2001年9月11日の米テロ事件以降、歴史の流れがこれまでの10倍 にも相当するほどの急激な変化が到来して来た。そして2002年7月10日のニューヨーク市場での大幅 な米国の株安、ドル安傾向が一段と深刻さを増し、更に、従来の100倍の速度で状況が展開していくほ どの歴史的大転換に突入し始めたようだ。従って、単なる米国のバブル経済崩壊を通り越して、数年前 までは全く想像も付かなかった米国崩壊が、極めて現実味を帯びてきたようだ。 そしてその米国連邦政府の崩壊の時期は、イラクなどへの対テロ戦争拡大と相まって、2004,5年頃 の日本の国家破産に先行し、早ければ2003年にも現実化する可能性が高まってきたようだ。米国崩壊 は古代ローマ帝国崩壊にも似た歴史的一大事件ともなるであろう。大きく異なるのは、米国崩壊は世界 最大の国民国家の崩壊であり、また資本主義体制自体の崩壊であり、全世界を道連れにしていくことに なると言うことだ。これは経済大国日本の国家破産にも言えることで、同様に全世界を巻き込んでいくこ 現下の諸問題と展望:232 とであろう。 ところで、米国崩壊は、日本破産と併行して、欧州に本拠を置き世界統一政府の樹立を2005年を目 ところで、米国崩壊は、日本破産 と併行して、欧州に本拠を置き世界統一政府の樹立を2005年を目 途に欧州大統領の登場と共に目指す闇の陰謀勢力が、世界最大の国民国家の解体として仕掛けるも のである。即ち、2001年の9.11事件に続いて、2002年以降、特に2002年7月10日を境に、欧州 勢による米国からの資金流出を一気に画策し推進して、米国株価崩壊、ドル安を発生させて、国民国家 を解体して新たな管理、支配をして行こうとするものである。 なお、米国の対イラク攻撃に関する風雲急を告げる国際情勢に関しては、17項の追記1 17項の追記1を参照 なお、米国の対イラク攻撃に関する風雲急を告げる国際情勢に関しては、 17項の追記1 を参照 追記1: 米国崩壊が2003年にも急迫(34項 34項参照)(2002年7月15日) 追記1: 米国崩壊が2003年にも急迫( 34項参照)(2002年7月15日) 追記2: 追記2 : アラブ資金が米国から流出し、米国経済が一層悪化(2002年8月23日) 追記3: 追記3 : 欧州の闇の世界支配権力が米国解体へ(2002年10月17日) 追記4. 追記4 . 早ければ2003年にも米国崩壊はどうなったのか(2004年1月17日) 追記5. 追記5 . アメリカの衰退現象の顕著化から歴史が大きく進展するか (2004年7月20日) 追記6. 追記6. 米国衰退から資本主義文明の崩壊、ユダヤ西洋文明崩壊への序曲が始まった (2004年8 月2日) 追記7. 追記7. 米国衰退の徴候を示唆する某有識者からの情報を紹介 (2004年8月2日) 追記8. 追記8 . ロシアが原油決済をユーロに移行し、ドル崩壊の危機到来か (2004年11月19日) 追記9. 追記9 . ドル崩壊から米国崩壊へ、そして世界経済大崩壊へ (2004年11月26日) 追記10.ドル崩壊が加速し米国崩壊に拍車が掛かるか・・・ 追記10 .ドル崩壊が加速し米国崩壊に拍車が掛かるか・・・ (2004年12月7日) 追記11.ドル離れの加速化でドル崩壊から米国崩壊が早まるか 追記11 .ドル離れの加速化でドル崩壊から米国崩壊が早まるか (2004年12月8日) 追記12. 2001年9月11日以降、様々な見解やデータが飛び回っている中で、色んな人が様々な予測をしてい る状況だ。パックスアメリカーナの終焉だとか、米国の自壊作用が始まったという見解も登場しているが、 肝心な問題として、何時どのような契機が引き金となって、米国の崩壊が引き起こされていくかの分析や 結論が、未だ誰にも読み切れていないようだ。当方は、恐らく、世界中の如何なるシンクタンクも、また如 何なる学者や評論家も誰も言及していない事項として、今後の少なくとも10年間の世界的なタイムスケ ジュールを明確に確信を持って提示し得ているものと自負している。 しかし、これが、先の米国中枢同時多発テロ事件の真相の分析と相まって、先見性や洞察力があると 言って後年において歴史的偉業として多大に評価されるか、そんな指摘があったっけと言って惚けられる か、全く無視されるか、恐らく、この対応如何によって日本の将来の明暗を決することになるであろう。換 言すれば、この未来予測的な評価如何が、日本の国民性の変革の方向に対する是非を占う絶好の判断 資料になっていくことであろうと思われる。その先見性有りと言った指摘は他ならぬ外国から生じてくるこ とであろうと思われる。 実に、様々な意見や評論、そして見解に対して、正しい評価や尊重が成されるかどうかが、現在の百花 繚乱の議論に終止符を打ち、指導的見解に国民全体が一致団結して収斂していくかどうかに係っている と言えよう。正に、国論が一つに纏まるかどうかの試金石にもなっていくことであろう。吾々の提唱する 様々な見解に対しても、広く国民各位の対応如何によっては、崩壊分裂の道か、統合団結への道を辿る のか、正に日本の将来を決する事項になっていくものであろう。 今後の歴史の展開に際しては、様々な見解や指摘に対して、楽観的に軽視して判断するか、悲観的に 絶望的に判断するか、それとも深刻に判断しながらも最大限の努力を傾注して対応するかによって、大 きく明暗を決することになるであろう。勿論、当方は第3の立場で様々な問題点を分析し検討しているも のであり、実に身命を賭して解決策を真剣に模索し提示せんとするものである。以下に、種々の新聞報 現下の諸問題と展望:233 道を参考にしながら、米国連邦政府の崩壊に至る事態の推移や時期、そして結末や影響を指摘しておこ う。 さて、某新聞が伝えるところによると「2001年9月11日のテロ事件を境に世界経済は大きくリセッショ ン(景気後退局面)に入ったようだ。テロ事件前からも米国の景気の後退が2000年末から指摘されてき て、2001年に入ってもその傾向が変わらず、テロ事件前には、景気の後退が食い止められず、景気の 悪化への懸念が表明されていた。テロ事件が一層景気の悪化に拍車をかけたようだ。 一応、テロ事件後1か月で、落ち込んだ株価もテロ事件前により戻したとは言え、消費者の先行き不安 から消費が冷え込んだ気配がする。しかし、それも次第に時間が経つにつれて、米国では米国民の景気 回復への愛国心も手伝って消費も回復してきたようだ。それでも航空業界や観光業界、保険業界等では 大きなダメージを受けて倒産するところも出てきたようだ。消費が次第に回復しつつあるとは言え、依然と して製造業の回復は低迷状態である。 テロ事件前には、米国の長期的な景気を支えたドル相場が今、テロ事件を契機になお一層決定的とな りつつあり歴史的な終末を迎え、幕を閉じようとしている。過去10年間、米国の「強いドル」志向の世界戦 略の下で、日本を始め、世界中の資本が米国に流入した。その額は経常赤字を上回り、約2兆ドルに達 した。特に1995年以降、ドル高が加速し、主要国通貨に対するドルの実効為替レートは37%も上昇し た。世界中が米国経済に飲み込まれていったわけである。 しかし、この「強いドル」を目指した米国の戦略は世界経済に極めて大きな歪みをもたらした。国際資本 の米国一極集中で米国のバブルが膨張する半面、日本、アジア、欧州は資本流出で景気後退に悩まさ れた。また基軸通貨ドルの上昇は国際商品市況を下落させ、デフレが世界を覆った。加えて各国通貨間 の歪み拡大がこれに拍車をかけた。この10年間、ドルに対して欧州通貨と豪ドルは3割下落し、中国元 も二度の切り下げで4割強下落する中で、円は逆に1割上昇し、為替の不均衡が拡大した。 この結果、日本経済には二重にデフレ圧力が掛かり、急激な価格破壊と深刻な不況に見舞われた。日 本経済は果敢な積極財政と超低金利政策で対応したが逆に資本流出が加速し、景気対策が効かず、不 況脱出に失敗した。加えて今回の不況が製造業を直撃する中で、世界同時不況の影に怯えているのが 現状である。だが、世界経済を混乱させたドル高時代にもようやく転機が訪れた。米国製造業はドル高に 悲鳴を上げ、ドルにリンクした中南米諸国の経済危機、米国の株安、利下げによる内外金利差の縮小・ 逆転など、ドル安材料が広がる中で2001年7月5日をピークにドルは反落に転じた。 基軸通貨ドルの下落は世界経済の歯車を逆転させる。国際商品市況は遠からず上昇に転じ、デフレの 嵐(あらし)は止む。資本の対米流出が収まるにつれ、日本、アジア、欧州経済は息を吹き返し、やがて 財政、金融政策も効き始めるだろう。ドル軟着陸と通貨再調整後に世界が動き出すときが近づいている。 まず大幅に値下がりした豪ドルとユーロが回復し、次いで世界貿易機関(WTO)加盟を機に購買力平価 に対して割安な中国元の修正が過大になる。一方、円の対ドルレートは小幅上昇にとどまり、結果として 各国通貨間の歪は解消に向かうはずだ。基軸通貨ドルが下落するとき日本経済を悩ませたデフレスパイ ラルは終わるだろう。陰の極で経済の風向きが変わろうとしている。」と言う。(某大手新聞2001年8月3 0日) 大方の専門家の懸念する事態は、アフガン戦争の行方であろう。即ち、アフガン戦争が長期化すれば 景気に対する大きな不安材料になって行かざるを得ないようだ。その戦争も欧米諸国を中心として展開し た軍事力の増大やその背景、意図を見ると、アフガニスタンだけでとても終息する見込みもなく、次第に イラク攻撃、そしてイエーメン、ソマリア、スーダン、更にはリビア、アルジェリア、インドネシア、フイリピン、 北朝鮮までをも対テロ支援国として攻撃のターゲットに入れているようだ。 即ち、テロ事件後にアフガニスタンに展開した空母4,5隻、戦闘機数百機、爆撃機数百機、トマホーク 戦略ミサイル800基の増産等の米軍の大規模な軍事力を見ても、とても砂漠と岩石、高山のアフガニス タンを攻撃するだけが目的とは思えなかったが、次第に、中近東全域からカスピ海に至るまで広範に拡 現下の諸問題と展望:234 大する気配が出てきたようだ。英仏独が当初は渋っていたが、ここに来て積極的に軍隊の派遣をするよ うになってきたのも、アフガニスタンのタリバン政権崩壊を見越したカスピ海付近の原油利権や天然ガス 利権の獲得が目的となって表面化してくるのも時間の問題であろう。 専門家の大半は世界同時不況に陥っていくことを予想しているが、それは米国経済を中心に見ている からであろう。案外、足元の日本経済の破綻から米国をも巻き込んだ世界恐慌へと突入していく気配が 忍び寄ってきたようである。米国経済を陰で支えてきた日本が大きく破綻しかねない幾多の懸念材料が 最早、解決不可能なほどの状態になりつつあり、実に八方塞がりに陥っている状況だからだ。 これまではグロバリゼーションの大々的な推進の下に、グローバル化とはアメリカ化と混同するような勢 いであったが、国内外でも所得格差が広がり、自由な従来のアメリカ社会が極めて不自由になりつつあり、 WTO(世界貿易機構)の加盟国拡大に伴い、必ずしもアメリカ優位になるわけでもなく、アメリカ自身も苦 戦を強いられているのが現状である。サミットに反対するNPOの存在も大きくなりつつあるし、このままで はグローバリゼーションは後退するのではないかとの懸念も出てきたようだ。 ところで某新聞の報道(2001年11月8日)によると、「米国連邦準備制度理事会(FRB)は2001年1 1月6日、金融政策の最高意志決定機関である連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、短期市場金利 の指標となるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げ、年2.0%とし、即日実施する ことを決定した。公定歩合も同幅引き下げられ、1.5%とされた。公定歩合下げは全会一致の決定。FF 金利は月間平均が1.89%台だった1961年9月以来、約40年ぶりの低水準となる。 利下げは年初来10回目。下げ幅は実に4.5%に達した。FRBは同時テロ事件の後、9月17日の米 株式取引再開時に0.5%の緊急利下げを断行した後、10月2日にも同幅の雇用統計で失業率が5. 4%に跳ね上がったこともあり、景気悪化の防止を目的に大幅利下げに踏み切った。FRBは「景気重視 型」の政策経営姿勢を維持しており、12月11日の今年度のFOMCに向けても追加利下げが行われる 可能性を検討することになった」と報道された。更に、予定通り12月に入って11回目の0.25%の利下 げが行われて、公定歩合が1.25%、金利が1.75%とされた。 実に、2001年の1年間で「11」回の金利や公定歩合の引き下げとなった。2001年9月11日のテロ事 件に示される「11」の数字には、色んな意味が込められていることが指摘乃至発見されつつあるが、こん なところにまで「11」が関係しているとなると、何やら不気味さが漂ってきそうな予感がする。今後に起こ る不吉な兆候を暗示させるようだ。 さて、先述したように、今回の2001年9月11日の米国中枢同時テロ事件以前からも軒並み、世界各 国の経済成長率が落ちて来ていた。米国の消費が急激に冷え込んできて世界に影響を与えて来ていた。 即ち、米国有力民間経済研究機関、全米経済研究所は11月時点で、今年3月からの米経済のリセッシ ョン(景気後退)入りを宣言し、テロ事件でその傾向が一段と強まったと言えよう。テロ事件から1か月で 事件前の水準に株価も戻ったようだが、消費の冷え込みが依然として回復していないようだ。それどころ か、アメリカでは、全域で経済が急減速しているようだ。世界的にも欧州経済の優等生で牽引車であった ドイツもゼロ成長になり、中国を除いて殆どの国々でマイナス成長か限りなくゼロに近い低成長である。 そして米国内の雇用情勢も深刻で、米国経済の低迷の煽りを受けて、日本や韓国、それに中国経済に も次第に影響を及ぼしていくことになるであろう。米国は個人消費が70%も占めており、消費の冷え込み は米国景気の後退に大きく関係し、航空機テロ事件以来、航空会社も軒並み破綻で破産も必死の状況 下では、世界経済にも同時不況を通り越して、世界同時恐慌に至る危険性も出てきたようである。 目下、世界経済の中でも中国だけが、テロ事件後は僅かに成長率が低下したとは言え、それでも7% 程で頑張っているようだが、次第に米国への輸出の鈍化から厳しい経済環境から影響を受けざるを得な いであろう。その中国の7%高度成長にも数字の誤魔化しがあるように思われる。中国においては、日本 や欧米ほどには世界経済に大きく関与していない現状では直接的な影響は容易には現れないであろう が、中国のWTO加盟に伴い、次第に破綻する国内企業も現れるであろう。 現下の諸問題と展望:235 ITバブルの破綻による世界的な景気の大幅な後退局面に際して、今回のテロ事件が更に拍車をかけ、 その上、報復戦争や周辺への拡大戦争が長引けば経済に与える影響は多大であろう。これまでのように 資本主義経済を回復するのに、単純に大量消費を促進するのに戦争が役だったと言った表面的な分析 では今後の見通しや判断を大きく誤っていくことであろう。 テロ事件後の米国経済の回復が好調な背景には、アメリカ経済を憂うるアメリカ国民の愛国心が大きく 関係していると思われるが、その愛国心も果たしてどこまで通用するか、大きく疑問視されるところである。 国家社会の利益を個人の利害得失に優先させる米国民の愛国心が健全なのには大変驚かされたが、こ れも景気の悪化に歯止めがかけられることなく、破綻も時間の問題であろう。 テロ事件直後は、大方の新聞報道では、例えば「9月21日のニューヨーク株式市場は、同時多発テロ による休場後の取引再開から5日連続で下落、ダウ工業株30種平均株価の週間下落率が14.3%と、 大恐慌時代の33年7月(15.5%)に次ぐ史上2番目(米調査会社調べ)の急落となった。 株価上昇が景気への信頼感を増大させ、設備投資、個人消費が膨張し再び株価が上昇するという「バブ ルの方程式」が、今回のテロ事件で完全に逆転した。株価の下落が先行き懸念を増幅し、個人消費を抑 制、設備投資を一層冷え込ませる「負の連鎖」が動き出した。通説だった「有事のドル買い」も通用しなく なった。米国内で起きたテロ事件で、米景気がどこまで悪化するのか、の見通しが極めて不透明で、ドル の安全性が揺らいでいる。資金は金やスイスフランに流れ、円高・ドル安が加速している。 アメリカの失業率が6%を突破するのも時間の問題だろう。アメリカのGNP(国内総生産)がマイナス成 長になるのは既に決定的だし、輸出も輸入も減少。アメリカは世界一の貿易外収支(観光収支8000億ド ル)を持っていたがテロ事件のおかげで大激減である。」と言われたものだ。 ところが、このように何一つ良い材料がないアメリカのドルがテロ事件後暫くしてどんどん上がってきた。 今までの常識では、米国経済の中枢がテロ攻撃を受けたことに対して、ドル安にならねばならないのにど うしてドル高になるのであろうか。今や世界経済はこれまでのマネー経済から大きく変貌しつつあり、「マ ネーの原理」ではなく、「力の原理」、即ち、軍事力の影響で為替も株式も動いていることを知らねばなら ないようだ。アメリカにとって軍事拡大政策を執っているときはドル高が、また日本を筆頭にアメリカの同 盟国が兵器をアメリカから購入するときは円高が望ましいといった背景もあるようだ。 2001年9月11日以来、資金需要の全く無い日本の債券市場から10兆円以上の資金がアメリカの国 債市場に流れているようだ。景気低迷が長引く中で、ゼロ金利政策でも資金需要が殆ど無い日本の金融 市場に、日銀が政府の圧力に押されて量的金融緩和を続けているお陰で日本の資金がアメリカに流れ、 アメリカの株式市場は大暴落を免れているようだ。まるで国民生活を解体し破壊するような最悪状況下で の構造改革と経済政策と、アメリカの対アフガン戦争とが、アメリカの景気後退による大暴落とそれに続く 世界大不況を防いでいるものと思われる。日本がこうしたアメリカの現状に対して、実に救世主的役割を 果たしていると言えよう。 しかしながら、今や、その日本が経済や財政の諸状況の衰退が著しく、果たして米国をどこまで支えら れるかが大きな問題となってきたようだ。これまでも1986年のプラザ合意以降、内需拡大を図って米国 の言いなりになって支えてきたが、公共投資を実施しても今や差ほどの効果が期待できなくなってきたこ とは周知に事実であろう。日米の金利差等の様々な政策により日本の資金が米国に環流させられて、日 本は米国の金融植民地支配にも似た属国に甘んじてきたが、最早、日本も支援能力の限界に達しつつ あるようだ。 即ち、日本が2002年3月の決算期に大量の銀行の破綻から国有化、そして2002年中にも起こると 予想される関東大地震の発生、国内産業の中国への大量シフトによる国内産業の空洞化、大幅リストラ による失業者の急増、巨大債務に喘ぎ設備更新の無いままに国債競争力の大幅低下、社会不安の下に 内乱化の危険、最後に2004,5年頃に破綻する貿易上の赤字への転落が日本経済に止めを刺して、 国家破産に至る兆候が出てきたようだ。 現下の諸問題と展望:236 目下、日本では、銀行が抱える巨額の不良債権に加えて、2002年度末で政府や地方の700兆円も の公的債務、300兆円もの特殊法人の財政赤字で合計1000兆円もの巨大債務が問題になっているが、 それらは増税等の国民負担の増大や国有財産の切り売り、公務員や歳出の削減によるサービス低下な どにより、どうにか切り抜けられるもので最終的な国家破産にはまだ繋がらないものであろう。 矢張り、最終的には国家破産とは先述したような貿易上の破綻であり、換言すれば外国からの借り入 れ、借金であろう。日本はむしろ米国国債の購入やODA経済援助や、IMFへの資金提供、世界銀行へ の出資により、諸外国に対して経済支援してきた側である。そうした日本が外国から資金を借りることは 有り得ない状況の下で、日本の国家破産が待っているものだ。巨大な債権国が急速に破産すると言った 歴史的にも奇妙な現象に至るであろう。 その日本の国家破産が2004,5年頃に到来し、その後に米国を直撃し、欧州までをも巻き込んでいく 予兆が出てきたようだ。これまではこうした事態の発生が一体何時になるかが明確でなかったが、2001 年9月11日の一瞬の事件により、全てが明確に見えてきたようだ。当方の予感では、日本の国家破産が 引き金となって2005,6年頃に米国連邦政府の崩壊が現れてくるものと思われる。また同時期にEU(欧 州連合)即ち、ヨーロッパ合衆国の破綻も現れるであろうと思われる。 即ち、日本が次第に経済破綻、金融破綻等から国債暴落、金利の上昇を招き、日本発のハイパーイン フレの世界恐慌へと引き金を引き、最後は2004,5年頃に貿易上の破綻から国家破産を招き、それが 米国に波及して米国経済も崩壊し、米国連邦政府崩壊へと繋がっていくことになるであろう。米国が破綻 すれば、目下、米国に最大の投資をしている欧州も日本が道連れにして米国と共倒れになり、2005,6 年頃の米国崩壊と同時期に破綻して行くことになるだろう。その際には、上海の沿海州を中心とした中国 地域、韓国や東南アジア、そして中南米にも影響を及ぼして経済を破綻させていくことであろう。先述した ように、インドやイスラム諸国、豪州やニュージーランドやカナダ、そしてロシアや中国の内陸部、西部、 東北部等の中国全体は差ほどの直接的な影響はないであろうと思われる。実に、2001年9月11日の テロ事件以降は、これまでの歴史の速度が大きく変化し、過去10年間に相当する時間の流れが、今後 はたった1年で実現していく程の早さで歴史が展開していくことであろう。 そして最後には、先進諸国による外資の投資が大きく後退して、ロシアや中国全体にも影響を及ぼして 経済環境が悪化し破綻していくことであろう。即ち、ロシアの再度の崩壊や中国全体の分裂化も避けられ なくなるであろう。ロシアの更なる東西への分裂化は恐らく2006年から2008年頃であろうか。また中国 の大分裂化は、20015年頃と指摘する学者もいるが、当方の観察ではもう少し早まって2012年か,2 013年頃になるであろうと思われる。ただ、中国の大分裂を予想する学者や研究者でも、その前に日本 の国家破産や米国連邦政府の崩壊、欧州連合の破綻までをも読み切れず、ましてやその時期までも読 み切れていない状況であろう。 なお、米国連邦政府が崩壊するのであり米国自身が崩壊するものではない。即ち、巨大な軍事力を背 景に世界に君臨する超大国としての米国政府が崩壊するのであり、世界の警察官としても役割を演じる ことが出来ない状況に至ると言うことである。結果的には、アメリカは50の州に分裂化し、各州が独立化 して国家を形成して緩やかな連合体になり、EU(欧州連合)が構築される以前の欧州のような小国の乱 立する国家群になっていくことであろう。そして日本を始め、中近東は勿論、世界中から軍事基地の撤退 を余儀なくされ、超大国としての覇権の象徴であった軍事力を引き上げざるを得ない事態に追い込まれ るであろう。換言すれば、パックスアメリカーナの終焉である。 目下、米国の某軍事シンクタンクは、米国の対アフガン戦争は24年間も継続するであろうと予測してい るようだ。逆に言えば、米国はある目的に向かってそれを実現するために24年間も戦争をしなければな らない、いや戦争をする必要があると言うことだろう。戦争とは決して偶然に勃発するものではなく、国家 や指導者の強力な意志、そして資本の要請で行われるものである。この24年の根拠は何処にあるのか と勘ぐれば、恐らく、テロ支援国家のイラクに対する核査察拒絶を名目にしたイラク攻撃で4年、そして、 現下の諸問題と展望:237 ロシアが再度の軍備増強で米国に追いつくのに10年、更に再度の冷戦開始でロシア破綻までに10年と 試算しているのであろうか。 しかし、その見方や分析は、有名な軍事シンクタンクにしては大変甘いと言わざるを得ない。テロ事件を 境に歴史の展開のスピードが大きく変化したことに未だ気付いていないようだ。これまでの10年が今後 は1年に相当するほどの急激な変化が襲うことに対して余りにも認識が甘いと言えよう。即ち、24年も待 たずに、恐らく2005,6年頃には米国は中東から撤退せざるを得ない状況が生まれてくることであろう。 即ち、2005,6年頃に米国連邦政府崩壊により、経済が軍事を支えきれなくなって、米国は中東地域 からも撤退することになるであろう。それは何もアフガン戦争や対イラク戦争、中近東における戦争に敗 北したり、イスラム原理主義からのテロ攻撃の激化で撤退するのではない。それも少なからず影響してい くことと思われるが、最大の原因は、経済の方が破綻して軍事を経済が支え切れなくなって撤退せざるを 得なくなるものと思われる。国家の基本を構成している軍事と経済の両輪の一方が破綻して、国家機能 の車輪が円滑に回転しなくなるからだ。 既に、一部の有識者からも、もしも米国がイラク攻撃に踏み切れば経済が破綻することであろうと指摘 し、従って、常識的には対イラク攻撃は有り得ないだろうとする見解も出ている。何も対イラク戦争に軍事 的に敗北すると言うのではない。逆に言えば、イラク攻撃を開始して戦線を拡大していけば、間違いなく、 財政や経済破綻を加速していくと言うことだ。それに、アフガン戦争のように全世界が必ずしも好意的で は無くなるであろう。国内世論も反戦ムードが高まって来るであろう。米国に取っては苦しいジレンマに立 たされながらも、自滅への道を歩まされるかのように、イラク攻撃の悪魔の選択をするかも知れない。こ れも真の神仏のマインドコントロールによる神仕組みであろうか。地獄へと誘導されつつあるようだ。米国 が自ら戦線を拡大していけば、アメリカ連邦政府崩壊の責任を日本の国家破産が原因として負うこともな く、正に、米国自身の責任に転嫁していけることであろう。 こうした背景を考慮すると、実に、旧ソ連の崩壊と同様な兆候が出てきたようだ。即ち、経済と軍事のア ンバランスである。旧ソ連はアフガン戦争で経済が疲弊し、10年かかって1991年に崩壊したが、今回 の米国連邦政府の崩壊は、2001年9月11日のテロ事件の影響もあって、また中近東でのアフガン戦 争から対イラク戦争へと戦域拡大により、極めて早く影響が現れてくることであろう。それに過去の10年 が今後は約1年で達成されていくことであろう。ここ3,4年でアメリカ連邦政府が崩壊するとは言っても、 これまでの、即ち、旧ソ連の崩壊に要した時間の10倍のスピードで展開して行く訳だから、3,4年という のは実質的には従来の30、40年の感覚であると言えよう。 目下、世界の国防費に占める米国の割合は何と4割に近い。そして2003年会計年度に3790億ドル の国防費を要求しているようだ。これは実現すれば前年度比480億ドルの増加となる。実に増加分だけ で、円換算6兆円余りで、日本の年間国防予算の5兆円弱を軽く超える額だ。北大西洋条約機構(NAT O)でも、米国に次ぐフランスや英国の国防費をしのぎ、イタリアの2年分に相当するという。総額では、ロ シア、中国、日本や欧州主要国が束になっても届かない額だ。過去5百年、これほど国防費が突出した 国家はない。大英帝国の盛期「パックスブリタニカ」と呼ばれた時期の英国にしても、陸軍は欧州大陸の 列強よりも小規模、海軍力も2,3位連合に匹敵する程度だったようだ。実に世界に比類のない圧倒駅な 軍事力である。 また、軍事技術の格差も歴然としてきた。かつてアフガニスタンに侵攻して10年間のゲリラ戦争に追わ れて敗退した旧ソ連軍関係者の間で、「米軍も泥沼に嵌る」との見方も強かったが、現実は、タリバンが あっけなく崩壊し、実際の戦闘による米国側の犠牲者も殆どいなかった。これほどの軍事力を有している 米国であるが、経済あっての軍事力であることを思い起こすべきであろう。それなのに日本の協力がなけ れば戦争が出来ないなどと言うのは、日本に米軍との補完無しでは使いものにならない武器を購入させ たり、戦争資金を負担させるための危機の過剰な演出以外の何ものでも無いであろう。 なお、米国内でも次第に経済問題の深刻さも手伝って、ベトナム戦争におけると同様に反戦運動が盛り 現下の諸問題と展望:238 上がってくることであろう。ブッシュ大統領は英雄と言うことで2期目を再選されるであろうが、2005,6年 頃において、反戦気運の高まり、米国連邦政府崩壊の兆し、米国の中近東撤退等により、大統領職2期 目の途中で墓穴を掘り、陰謀の馬脚を現し大きく失脚していくことになるであろう。そのころにはテロ事件 における米国自身の関わりも暴露されていくことであろう。目下、エンロン問題で政権が崩壊する可能性 も出て来たようだ。(2002年2月に会計検査院がエンロン問題で政府を裁判所に告訴した。) こうした90年代からの米国経済のバブル崩壊に向けた粉飾決算は、今後とも次から次へと表面化して 米国経済の崩壊へと繋がっていくことであろう。これによって米国が、国民の目を海外にそらせたり、経済 の軍事化による建て直しのために、イラク攻撃も早まる可能性も出てきたようだ。恐らく、日韓共同開催 のサッカーのワールドカップ終了後の2002年の7,8月頃であろうか。それ故に当方が遠慮無くテロ事 件の背景や真相を暴露してみた次第とも言えよう。 ところで、アメリカ連邦政府の崩壊は、ユダヤ勢力、特に親イスラエル派のシオニスト派の没落を意味し、 年間で対外援助の約3割、約30億ドルを占めて経済支援、軍事支援で支えているイスラエルにも大きく 影響を与えることであろう。即ち、イスラエル国家の経済の破綻であり、アラブによる攻撃、イスラエルの 占領地からの撤退を招き、イスラエル国家の縮小をもたらしていくことであろう。その兆候は2003,4年 頃に出て来ることであろう。その結果、イスラエル国民の多くが米国に流出していくことになるであろう。多 数のシオニストユダヤであるアシュケナジーユダヤが米国へと流出していくことになるであろう。イスラエ ル国内に残るのはスファラジーユダヤとなってアラブとの共生、共存が図られることになるであろう。 さて、米国は複雑な民族構成の下、決して一枚岩ではないが、元々モンロー主義の国民性が強い国家 である。他国のことに関わりたくない国民性である。それは従来のワスプと言われる米国人に共通の国 民性であろう。中近東における戦争が長引けば次第に米国民の間にもベトナム反戦の時と同様に、厭戦 気分が高まり、中近東からの撤退に向けた国民運動も盛り上がってくることになるだろう。景気の後退が 更に拍車をかけて、反戦運動の蔓延から政府を次第に突き動かしていくことになるだろう。 結局、アメリカ連邦政府の崩壊とは、世界各地に軍事基地を展開している軍事的覇権の崩壊であり、ア メリカが本来のモンロー主義に戻っていくと言うことを意味するものだ。そして覇権志向の連邦制が解体 されて、地域の特殊性を考慮した国情に転換して各州の独立分離した国家群へ移行していくことであろう。 ハワイ州やアラスカ州も独立していくことになるであろうし、インデアンも独自の国家を形成していくことに なる可能性もあるだろう。これは米国国内のみならず、世界的にも、特に日本にも大きく影響を与えていく ことであろう。即ち、具体的に言えば、米国の世界制覇の崩壊であり、米軍基地の日本を始め世界中か らの撤退であろう。 日本からの米軍基地の撤退は、親米派、反米派、嫌米派を問わず、殆どの有識者にとり予想外であろ うが、真の神仏による波動の影響が次第に現れていくことによるものだ。アメリカ連邦政府崩壊の2005, 6年頃から米軍事基地の撤退が検討され、完全撤退に至るのは約3年間を経過した今から7年後頃の2 009年頃となるであろうと思われる。現在の親米派や従米派が大いに慌てふためくことであろう。また、 米国に媚びを売る売国奴や亡国の徒等の多くのスパイ連中にも鉄槌が下されていくことであろう。 一方で、反米派、嫌米派の連中も大いに慌てふためくであろう。何故なら共に、自主独立の気概に欠け、 親米、親中に偏って、日本の真の独立を考えて来なかった付けが待っているからである。恐らくその際に は、多くの思想家や評論家、政治家、そして宗教家連中が、自分たちの手柄にしていくような売名行為が 登場してくることであろう。最後にはそうした売国奴の輩にも天罰が下って追放、一掃されていくことであ ろう。 さて、この米国連邦政府の崩壊は、正に後世の歴史に特筆されるほどに歴史的一大事件でもあろうし、 換言すれば、かつての大文明の崩壊にも匹敵するほどの文明史の大転換とも成って行くことであろう。1 989年のベルリンの壁の崩壊、1991年の旧ソ連の崩壊に続く米国連邦政府の崩壊である。過去10年 に相当する年月がこれからは1年に相当するほどの急激な変化が到来することは先に指摘したとおりで 現下の諸問題と展望:239 ある。全ては宙天に鎮座される真の神仏による波動が広く深く浸透していく結果であろう。ベトナム戦争 における米軍の敗退にしても、外務省を始め、外交の専門家ですら誰も予測すら出来なかったものであ る。以上に指摘した今後の情勢展開はかつて無いほど殆ど誰も考えも及ばないものであろう。 追記1: 米国崩壊が2003年にも急迫( 米国崩壊が2003年にも急迫(34項参照)(2002年7月15日) 34項参照)(2002年7月15日) 29.追記4 (早ければ2003年にも米国崩壊はどうなったのか)(2004年1月17日) (早ければ2003年にも米国崩壊はどうなったのか)(2004年1月17日) 2002年4,5月頃の円高、ドル安傾向は何と米国の対テロ対策の強化に嫌気を差したアラブ資本が、 凍結を恐れて一時的に米国内から引き上げて日本に移し替えているのが原因であるといった観測も流 れているようだ。恐らく最終的には、オーストラリアかニュージーランドに向かうものと思われる。その為の 一時的な円高、ドル安であるようだ。何も、日本経済の復活間近であるといった要因では無いようだ。そし て、ここに来て、米国のモルガンスタンレーがその資産管理が大きく破綻してきているようだ。モルガンス タンレーと言えば、英国ロスチャイルドの米国代理人であるが、資産管理や財務管理のプロ団ではなか ったのか。エンロンの破綻からの影響で、投資戦略に大きな狂いが生じているようだ。目下、評論家や専 門家の間でも、米国経済が何処かおかしくなり始めていると言った観測が流れているようだ。 そして、9.11テロ事件後、有事に強いとされた米国への欧州からの資金流入は2001年末までに終 息して、2002年に入って以来の、欧州やアラブ等の資本の米国からの流出、米国ITバブル崩壊の長期 化、そしてエネルギー大手のエンロン、通信大手のワールド・コム、薬品大手のエリクなどの粉飾決算に よる会計不信等により、更に欧州からの米国株売りによる2002年7月10日の米国のニューヨーク市場 の米国株価崩壊により、底無しの状況になってきており、米国崩壊は、イラクなどへの対テロ戦争拡大と 相まって、実に、2003年頃に急激に早まってきたようだ。即ち、日米の破産、崩壊の時期が逆転したよう だ。正に、2001年9月11日を境に10倍ものスピードで歴史が展開していくことであろうと指摘したが、 今や、大幅な修正を余儀なくされてきており、2002年7月10日を境に従来の100倍もの猛スピードで歴 史が展開し始めたようだ。 即ち、先に、2001年9月11日のテロ事件を契機にして、従来の歴史の展開速度が実に10倍にもなっ て来るであろうと予測し、実にこれまでの10年がたったの1年で達成されるほどの急激に歴史が展開さ れていくであろうと指摘した。然るに再度、大幅に修正して行かざるを得ない状況になってきたようだ。即 ち、2002年7月10日を境に、これまでの実に100倍の猛スピードの歴史展開になってきたようだ。正に 100年がたったの1年で達成されていくと言うことだ。 いよいよ、米国からの資本流出、中国などのドルからユーロへの外貨準備金の切り替え、米国株の大 幅低下、ドル安傾向への一段の拍車、エネルギー大手のエンロンや通信大手のワールドコム、薬品企業 大手のエリクの破綻に見られるように底無しの米国経済のバブル崩壊現象により、また、アルゼンチン危 機のブラジルやメキシコなどの周辺諸国への拡大からラテンアメリカ危機へと、実に連鎖倒産により資本 主義体制の崩壊、アメリカ連邦政府の崩壊が現実味を帯びてきたようだ。 米国連邦政府の崩壊は、欧州に本拠を有する闇の陰謀勢力が、米国内の協力者共と演出していくもの であり、恐らく米国は大きく九地域の州に大分裂させられていくことと思われる。結果的に、大きく異なる 点は、そうした計画を実行に移して、ワンワールドの世界統一政府樹立に向けてある程度成功させて行く ように見えるが、最後には、彼等陰謀勢力も米国を崩壊せしめたは良いが制御することが不可能に陥っ て、自らも影響を被って大きく巻き込まれて破綻していくことに成るであろうと思われる。恰も、拳銃を手に 入れて弾を発射したのは良いが、暴発して自らも生命の危険に晒すことになっていくのと同じ結果を生じ ていくことであろう。また、恰も、放火を仕掛けたつもりが、自らも大火傷を負っていくのと同じ結果に至る であろう。全ては、真の神仏による邪悪な想念の一掃・廃絶の影響に他ならないからだ。 現下の諸問題と展望:240 なお、米国の対イラク攻撃に関する風雲急を告げる国際情勢に関しては、 なお、米国の対イラク攻撃に関する風雲急を告げる国際情勢に関しては、17項の追記1を参照 17項の追記1を参照 追記2: アラブ資金が米国から流出し、米国経済が一層悪化(2002年8月23日) アラブ資金が米国から流出し、米国経済が一層悪化(2002年8月23日) 読売新聞の2002年8月21日が伝えるところによると、「英紙フイナンシャルタイムズ(電子板)は20日、 サウジアラビアの対米個人投資資金のうち千億~2千億ドル(約12兆-24兆円)が欧州に流出している と報じた。 米同時テロでは実行犯19人のうち15人がサウジ国籍だったため米国とサウジの関係が緊張している。 サウジ資金の流出は、サウジ側が米国内での資産運用の安全性に懸念を抱き始めたためという。同紙 によると、ある識者は「米国内のサウジ資産凍結を求める米国のタカ派の主張が原因」と指摘。さらに、 同時テロ犠牲者遺族がサウジ王子などを相手取り、テロ組織に資金援助していたとして15日に起こした 約1兆億ドルの損害賠償訴訟で、資金流出が加速する可能性も指摘している。金融アナリストによると、 王室を含むサウジの対米個人投資資金は株式、不動産など推計4千億~6千億ドル。」と言う。 同様に、読売の21日の記事によると、「米商務省が20日発表した6月の貿易統計によると、モノとサー ビスを合わせた貿易赤字(国際収支ベース、季節調整済み)の速報値は、前月比1.8%減の371億61 00万ドルとなり、単月の赤字額としては5月に次ぐ過去2番目の高水準だった。また、同時に発表された 今年1-6月の貿易赤字(同)は、前年同期比8.1%増の2060億600万ドルとなり、上半期で過去最 大となった。 6月の貿易赤字は、個人消費の鈍化などを背景に輸入が悩む一方で、輸出が堅調に推移したため、三 カ月ぶりに減少に転じた。しかし、赤字基調は、今後とも300億ドル前後の高水準を維持する公算が大 きい。金融市場でドル売り要因になる可能性があるほか、日本に対しては、内需拡大による景気の早期 回復を求める声が米国内で一段と強まる可能性がある。」と言う。 追記3: 欧州の闇の世界支配権力が米国解体へ 欧州の闇の世界支配権力が米国解体へ(2002年10月17日) の闇の世界支配権力が米国解体へ(2002年10月17日) いよいよ欧州の闇の世界支配権力と米国の対立が表面化してきたようだ。これまでは闇の世界権力は 米国の軍事力を利用してきたのであるが、2000年に入って以来、米国のアシュケナジーユダヤが離反 し始め、ここに来て欧州スファラジーユダヤと米国アシュケナジーユダヤの対立が始まったようだ。既に、 2001年の9.11事件は欧州の闇の世界支配権力が、米国の一極支配構造を解体するために米国にイ スラム勢力を使って攻撃を加えたということが真相であることを示唆した。そして現在、なおも米国の対イ ラク攻撃に対して、米国の一極支配体制を打破し、米国の石油利権を独占させないために、イラク攻撃 反対を独仏を使って米国の単独行動を牽制し始めたようだ。 今回のカーター元米大統領にノーベル平和賞を授与して、米国のイラク攻撃反対を言わせたのも、そう した米国牽制の一環の動きと言えるであろう。そして、10月12日深夜のインドネシアのバリ島での日本 人観光客を含む180人以上が犠牲となった爆弾事件は、正に、米国への牽制以外の何ものでもないだ ろう。即ち、米国がイラク攻撃を実行すれば、このように米国に対して、またその周辺の協力国に爆弾テ ロを浴びせていくだろうとのメッセージと思われる。 なお、今回のインドネシアバリ島のナイトクラブでの爆発事件を、大抵の評論家はイスラム系テロ組織 の仕業と断定しており、アメリカもこの事件はウサマ・ビンラディンのアルカイダと関係する地元イスラム 過激派「ジェマア・イスラミ」の仕業に違いないと断定した。そして、すぐさまメガワティ大統領に対し、「イン ドネシアのテロ対策が弱腰だから、こんな事件が起こるのだ。アメリカにもっと協力して、イスラム原理主 義集団を取り締まれ」と強硬な申し入れを行った。 しかし、バリ島事件では不可解な点が余りにも多い。アメリカが言うように、単なるイスラム過激派によ るテロとは断定できない。陰謀史観の評論家に至っては殆どが、2001年の9.11テロ事件と同様に、米 国がイスラムのテロの仕業に見せ掛けて実行した自作自演であるとしているようだ。後述するように、イ 現下の諸問題と展望:241 ンドネシア政府筋もそのような見方をしているようだ。 インドネシアのバリ島での爆弾は、その後の調査では、国外から持ち込まれたもので、「C4」と呼ばれ る軍用の高性能の特殊なプラスチック爆弾であったようだ。そのような爆弾をゲリラが簡単に製造したり 保有できるわけはないことは常識であろう。某外国の評論家が発する通信によると、彼の知る限り、未だ、 イスラム陣営は、この特殊爆弾のSADM(Special Atomic Demolition Munitions)を所有していないと言う。 このSADMとは、特殊核爆薬とでも訳して置こう。このSADMを所持しているのは、現在、米、英、フラン ス、イスラエル、ロシアの五カ国だけであり、中国は所有の可能性があるようだ。 10月12日夜、バリ島の爆発の状況は、その直後の報道を検討すると、SADMによる爆破としか考え られないと言う。それ以外の通常火薬では、報道されているような大規模な被害は生じ得ないとも言う。 何よりも、爆発によって深いクレーターが出来たらしい。そして、爆発によって、47棟の建物(ビル)と、10 0台以上の自動車が吹っ飛んだと言う。これは通常の爆薬ではそれは起り得ないものだ。 もし、通常の爆薬を使うとしたら、8000ポンド(約3500キログラムか)が必要となろうと思われる。しか し、この仮定でも、今回の爆発は説明できないようだ。深いクレーは通常爆弾では生じないからだ。実に、 超小型核爆薬の威力は、TNT爆薬2トンないし100トンに相当するというもので、今回は核爆弾が使用さ れた可能性が高いと言えよう。 更に、彼が、この爆発事件をシオニストの仕業と推定する理由は以下のようだ。即ち、オーストラリアの 国民世論は、現在、圧倒的に米国のイラク攻撃への参戦に反対である。そうした大多数の戦争反対の国 内世論を説得できずに、米国と共に対イラク戦争に参戦を主張しているオーストラリア政府首相(ハワー ド)、外相(ダウナー)は孤立しているようだ。 そこで、シオニストは今回のバリ島事件を仕掛け、犯人はイスラムテロリストであるとの大宣伝作戦を実 施し、オーストラリアの世論を、対イラク参戦に持って行きたいとの動機が存在すると言う。事件直後、イ ンドネシアのイスラム指導者の一人である国会議長兼副大統領のハムザ・ハズ氏は、「今回のテロはア メリカの情報機関が仕組んだ可能性が高い」とまで述べて、シオニストの陰謀だと明言したと言うが、勿 論、この筋は、その後、欧米西洋イルミナティシオニストの支配するマスコミによって潰されるであろうと思 われる。 では何故、アメリカが自ら仕掛けたものとの疑いが出るのであろうか。某評論家によると、 第1の理由。爆破された「サリ・ナイトクラブ」はアメリカ人が殆ど立ち寄らない場所であったこと。現に犠 牲になったのはオーストラリアの観光客が大半であった。アメリカ政府が主張するように、イスラム過激派 の仕業であれば、同じ通りの数軒先にある「ピーナツ・クラブ」などアメリカ人観光客が駐留米軍関係者で 毎晩いっぱいになるディスコを狙うはずである。しかも先述したように、インドネシア国軍によると、使用さ れたC4と呼ばれる高性能爆弾はアメリカとその同盟国の陸軍しか保有していないもの特殊なものだ。 第2の理由。ほぼ同じ時刻にバリ島にあるアメリカ領事館にも爆弾が仕掛けられたが、こちらは死者ど ころか、ケガ人さえも一人も出ていない。 第3の理由。事件直後にアメリカのCIAは2週間前に「バリは危ない」と、テロに関する警告を発していた ことを明らかにした。その警告はオーストラリア政府には伝えられていなかった。同じ情報を入手した台湾 当局はインドネシアへの渡航禁止令を出していた。 第4の理由。テロの起こる前日、アメリカ駐インドネシア大使がメガワティ大統領に面会し、「アルカイダ の本部は今やインドネシアに移っているのではないか。アメリカはテロを撲滅するために世界で戦ってい るが、インドネシアとオーストラリアは本気で協力しようとしない。このままではひどいことが起きるだろう」 とテロの予告をしていた。正に語るに落ちたと言えよう。 結果的に今回のバリ島事件によって、インドネシアとオーストラリアの両政府はようやく重い腰を上げて、 アメリカに協力するとい言い始めた。正に、アメリカの思った通りになったのである。犯罪捜査の鉄則は、 「誰が一番得をしたか」と言われる。その観点から見れば、最も疑わしいのはアメリカと言うことにはなら 現下の諸問題と展望:242 ないだろうか。このように某評論家は分析しているものだ。(11月6日某夕刊紙) しかしながら、当方は、このバリ島の爆発事件は、2001年の9.11事件と同様な流れを汲むもので、 背後で、米国のイラク攻撃を牽制し、米国解体を画策する欧州のロスチャイルド系国際ユダヤグループ であろうと思っている。今回も英国の対外諜報部のMI6の仕業であろうと思われる。英国は実にロスチャ イルドが支配する国家で、欧米の二重スパイ的役割を演じているものだ。米国にイラク攻撃を実施すれ ば、テロの雨を降らすぞと言う強烈なメッセージを送ったものと言えるであろう。その後のパキスタンやフ イリピンでの爆弾事故でも同じ背景によるもので、矢張り、闇の世界支配権力からの米国への警告であ ろうと思われる。 一方で、今回の日朝首脳会談の実現は、欧州の世界権力が画策したものである。これは既に、9月17 日の小泉総理の訪朝に先立って、7月22日の英エコノミスト誌に、金正日総書記が表紙一面に顔写真 入りで掲載され、「オープンドア」の門戸開放を謳っている記事が紹介されていた。これを見ても、背後で 欧州が関係し仕掛けたものであると推察できるものだ。その後、8月23日にロシアプーチン大統領がウ ラジオストックで金正日総書記と面会して日朝首脳会談を持ちかけて、北から8月30日に日本側に打診 があったものだ。 官邸側は、しきりに事前に米国の了解があったことを強調しているが、実際は、事後報告であり、とても 事前承認と呼べるものはなかったものと思われる。そして、9月11日のテロ事件追悼式に訪米して、その 際に、小泉総理が米国外交問題評議会で講演したのも、事後報告をして、事後承諾を公開で強要したつ もりのように思われる。これは米国の神経を逆なでするもので、極めて危険な外交に踏み出したと言えよ う。 今回の歴史的日朝首脳会談は、正に欧州に本拠を置く闇の世界支配権力が、北の開放を仕掛けて行 った背景の下で実現したと言えるであろう。それに日本の小泉総理が米国の了解無しに頭越しで乗った ということであろう。世界支配権力の意志は、南北朝鮮半島の統一であり、小泉総理にも持ちかけたのも、 日本側から経済復興資金を獲得して、米国を牽制する意図に出てきたものだ。一方の米国は、北朝鮮を 悪の枢軸国と名指して非難をしてきた経緯もあって、朝鮮半島の統一に反対の意向であることは多言を 要しないであろう。 今や、9.11事件以降、欧州の世界支配権力と、米国との確執が始まったと言えよう。世界支配権力の 意志は、正に世界最大の国民国家である米国の解体であろう。小泉総理や日本の多くの有識者等は、 誰もこうした背景が理解できずにいるものだ。下手すれば、小泉総理も南北朝鮮を統一して米国を牽制し ていこうとする欧州と、北を悪の枢軸を見なしてきた攻撃をも辞さない米国との板挟みに合っていくことで あろうと懸念される。 現在、北に拉致された日本人が帰国している段階で、米国からアーミテージ国務副長官を通して、北の 核開発を公表してきたのも、明らかに日本側の北朝鮮との交渉開始を牽制し、ある意味では日朝国交交 渉を断念に追い込む意図であろうと思われる。こうした米国の強力な意志を見誤れば、過去の1972年 に、米国の頭越しに中国を訪問し、北東アジアに他国の覇権を認めないと言う声明を出して、暗に米国を 排除しようとした日中首脳会談を実現し国交回復を成し遂げていった田中角栄元総理と同じ結末を辿る ものと懸念される。 即ち、ロッキード事件により、国内世論を煽って利用し、田中氏を失脚させていったことと同様なシナリ オを感じさせるものである。米国の怒りの程度を思い知らされるときが間もなく到来するであろう。日本の 総理、特に小泉氏もこうした国際情勢の背景には殆ど洞察力を持ってはいないようだ。これは殆どの評 論家にも当て嵌まるものと言えよう。今回の日本側の行動は、米国の北攻撃に横槍を入れる以外の何も のでもない、「独自外交」の結果であると言えよう。 それに小泉総理は、9月17日の訪朝前の9月11日の訪米時に、米国から北朝鮮の核研究継続や核 保有の疑惑を打診されていたらしい。そうした米国の示唆にも拘わらず、米国の真意を見抜くことも出来 現下の諸問題と展望:243 ずに、米国の意向を無視し振り切って北訪問を実行し、共同宣言に調印したということだ。また、北の金 正日総書記との面談で、北側から、核兵器の保有を示唆されたにも関わらず、何も反論もしなかったとは 一体どういうことであるのか。 北朝鮮は10月3~5日のケリー米大統領特使との会談で、核開発を明言したようだ。先月17日の日朝 首脳会談で、「双方は朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連する全ての国際的合意を順守す ることを確認した」とした平壌宣言は、僅か2週間で何の意味もない紙っぺらになってしまった。 北朝鮮は94年の米朝合意で、独自の核開発計画の「凍結」表明した。それを今回、核兵器開発を継続 していたと暴露したことにより、その合意を反故にしていたことになる。それなのに、小泉総理は米国のサ インを無視するような形で、その意向を慮ることもなくヌケヌケと先の日朝首脳会談での合意の順守を約 束したようだ。 そしてケリー会談で、核爆弾の原料になるウラン濃縮施設があると迫られると、「94年の米朝合意は無 効。核計画は当然だ」と開き直ったようだ。何とも質(たち)が悪いと言うしかない。全く、外交のイロハも解 っていないと言うことであろう。余りにも頑なで頑固一徹で、融通が利かない堅すぎるところがあり、実に 思考や行動に柔軟性がないと言うことであろう。当初に決めた方針通りにしか行動できない堅物であると いうことだろう。背後に欧州各国が支持しているといった自信がそうさせているものと思われるが、今後の 米国の出方が注目される。 恐らく、米国は小泉総理のスキャンダルをでっち上げて追い落としを画策してくることであろうと懸念され る。小泉総理にそのような謀略をはねつける洞察力あるだろうか。答えは否であろう。そのスキャンダル は恐らく、秘書絡みのものとなるだろう。当方は何も独自外交を否定するものではないが、ただ厳しい現 実をよく考えて、何が日本にとっての現在の国益かを真底から分析して、正しい方向や展望を判断してい く必要性を痛感するものだ。今後の中近東や北朝鮮の動向や状況の展開、米国の出方、欧州の対応な どを注意深く見守って行くことにしよう。 なお、一体どうして北朝鮮側が、馬鹿正直にも核研究を実施していたこととか、核兵器を保有している 事実を暴露したかが大いなる疑問であろう。これは欧州の闇の世界支配権力からの北への圧力であろう と思われる。闇の権力は世界統一を目指すのに、朝鮮半島から危険な核兵器を除去して対立関係を無く す必要があるからだ。一種の平和外交に名を借りた刀狩りであろう。各国を無力化して抵抗できないよう にするための布石である。何も平和を愛好し追求する意図からではない。 いよいよ世界は、闇の権力と米国の対立が始まったようだ。勿論、世界支配権力の米国解体が勝利を 治めて行くことであろうと思われる。米国は9つの州に分裂させられるであろうと思われる。これも真の神 仏による内部分裂を煽って、互いに対立させ滅亡させていく神仕組みとも言えるものだ。戦わずして敵同 士を戦わせると言った、正に闇の陰謀勢力の仕掛ける戦法を逆に利用して、まずは互いに戦わせて一方 を崩壊せしめるように仕掛けるものと言えよう。 なお、こうした闇の世界支配権力の米国解体、日本解体、ロシア分裂、中国解体等の一連のシナリオ は、不思議と当方の予測し期待するシナリオと全く同じものである。吾々が新しい国家社会の建設を目指 していくための一連の計画の前提と同一である。ただ大きく異なるのは、闇の勢力をも解体し崩壊せしめ るということである。そして、全てを破壊し解体した暁には、闇の世界支配権力が地球人類を家畜化して 支配管理する世界統一政府の樹立に代わって、真の神仏による仏国土を建設していくことになるであろ うと確信できるものだ。 追記4. 早ければ2003年にも米国崩壊はどうなったのか (2004年1月17日) 当HPでも、イラク戦争如何によっては、早ければ2003年にも米国崩壊が日本の国家破産に先行して 到来するだろうと予測したが、一体この結果はどうなったのか、疑問に思っている方もいると思われるの で、少しコメントしておこう。これは実に日本から米国に資金を提供してアメリカ経済を支えた結果である。 現下の諸問題と展望:244 昨年、2003年だけで、日銀が米国ドル国債を購入した総額は20兆円にも上っている有様だ。 既に欧州やアラブの資金は米国から流出しているのに対し、アジア諸国は米国を輸出市場にしている ために、何やら無理矢理にドル国債を購入させられているように思われる。民間レベルでは既にドル離 れをしているのに、政府はドル買いに奔走している構図が浮かび上がってくる。果たしてこれが何時まで 継続できるかだ。こういう背景があったからこそ、早ければ2003年中にも米国崩壊が到来するという当 方の予測も外れたわけだが、基本的流れは何も変化はなく、このままでは日本やアジア諸国の為替介入 もその内に限界に達し、米国崩壊に巻き込まれて行くであろう。 なお、ユダヤ系フランス人のエマニュエル・トッド氏が来日し、都内で米国崩壊を指摘し、米国からの脱 却を如何にするべきかで講演し、榊原英輔氏などと共にシンポジウムがあったらしい。トッド氏は、世界で 唯一、旧ソ連邦の崩壊を6カ月前に予測し当てたことで有名だ。今回も、米国崩壊を示唆した「帝国以後」 のタイトルの著作を、昨年5月頃に藤原書店から出版した。これはドイツやフランスでもベストセラーにな ったものだ。ただ何時米国が崩壊するのかまでは予測していない。単に米国の凋落傾向を予測している もので、永遠に覇権を継続できないであろうという指摘だ。 これに反し、当方の予測は、早ければ2003年中にも到来するというものであったし、また遅くても、20 04、5年頃の日本の国家破産が、貿易面から招来され、これが米国を巻き込んでいき、米国政府の崩壊 が2005,6年頃に到来するというものだ。現に、1ドル=105円にもなっている現状からすると、このま ま円高が継続していけば、日本は貿易面で破綻し、これが引き金になって国家破産を招来するであろう と思われる。 決して、世間で喧伝されている財政上での破綻ではない。これは日銀が半永久的に政府発行の国債を 購入し続けて行く限り、そして外国から借金をしない限り、国家破産はない。即ち、ハイパーインフレや預 金封鎖などで財政的破綻は有り得ても、外国から食料やエネルギーの購入が出来なくなる意味での国 家破産は有り得ないものだ。 参考までに、日本やアジア諸国が大量の米国国債を購入している実体を紹介した報道記事を掲載して おこう。 2004年1月14日付け日経新聞紙報道 【外貨準備 アジアで急増】 1兆8100億ドル、世界の6割 『米国債を購入 財政赤字穴埋め』 【香港ー有賀敦彦】アジア各国・地域の外貨準備高がこの2年間で1.5倍に急増、世界全体の6割を占 める規模に達した。日本や台湾などが輸出企業の競争力維持のためにドル買いを続けていることなどが 理由。外界準備の大半は米国債で運用され、アジアの政府資金で米財政赤字を穴埋めする構図が鮮明。 反面、民間資金はドルへの投資を敬遠気味で、官民の資金の流れのゆがみが世界の金融市場のは蘭 要因になる恐れをはらんでいる。 国際通貨基金(IMF)によると、昨年10月末時点の世界の外貨準備高は前年比24%増の三兆百億ド ル(三二〇兆六千億円)。アジアの二十八カ国・地域は三十一%増の一兆八千百億ドル(百九十三兆三 千億円)に達した。全体に占めるシェアは六〇%で、二年間に五ポイント程度上昇した。 日本は昨年末時点で約六千七百億ドルと、四カ月連続で過去最高を更新。政府・日銀が円高阻止を目 指し昨年は過去最大の約二十兆円の円売り・ドル買いの介入をし、外貨準備高が積み上がった。韓国や 台湾の通貨当局のドル買い介入も活発で、昨年末の外貨準備高は台湾が二千億ドル、韓国は千五百億 ドルを突破した。 中国は二年間でほぼ倍増し、昨年十月末に初めて四千億ドルを突破。高水準の直接投資や貿易黒字 現下の諸問題と展望:245 に加え、人民元相場の切り上げ期待で海外から投機資金が流入。通貨当局が人民元を事実上ドルに固 定する目的で資金を吸収し、外貨準備が膨らんでいる。 アジアの外貨準備高の急増により、通貨不安が起きても自国・地域の通貨を買い支えやすくなる。ただ、 外貨準備の大部分は米国債で運用されており、米国への資金流入が細れば、米債相場が急増してドル 相場が急落してドル安が加速しかねない側面もある。 昨年一-十月の米国以外による米国債の貿易額は前年の二.五倍の二千九十億ドルと過去最高を記 録。この間の米国債の新規模発行額(三千百四十億ドル)の七割近くを海外に依存する形で、日本から の買い越しは千四十億ドルに達した。他のアジア各国などによる米国債買越額も合わせると、海外から 米国債市場に流れた資金の六割をアジアマネーが占める。各国が介入をやめればドル安が進みかねず、 米国経済が信認を取り戻すまで介入を続けざるを得ない展開だ。 だが昨年以降、テロや米経常赤字への懸念から銀行や投資家など民間資金の流れが止まらない。JP モルガン・チェース銀行東京支店の柳瀬順哉氏は「介入を続けても、ドルの流れを反転させるのは難し い」と指摘している。 日本など主要アジア10カ国・地域の外貨準備高(2003年12月) 日本 中国 台湾 韓国 香港 シンガポール マレーシアタイ インドネシア フイリピン 6735億ドル(43%) 4033(41) 2066(28) 1554(28) 1184(6) 963(17) 449(31) 358(16) 168(28) (出所)各国・地域の中央銀行。フイリピンは2003年11月末。カッコ内は2002年12月末比の伸び率 追記5. アメリカの衰退現象の顕著化から歴史が大きく進展するか (2004年7月20日) 南北朝鮮国境からの軍隊撤退は、アメリカによる本格的な北朝鮮攻撃の徴候準備と見るか、それとも 経済破綻により、巨大な軍事力を支える限界に来た故に、軍事力の縮小と見るのか、恐らく後者の見解 の方が勝っているだろう。建前上は後者のような見解を表明することは出来ないから、効率的運用だとか 言うことだろう。しかし、今や米国の軍事力を一国だけで支えるには、歴史上かつて無い膨大な財政赤字 や貿易赤字で余りにも経済が弱体化したようだ。日本などが支えなかったらとっくの昔にアメリカ経済は 破綻していた。またドルが基軸通貨でなかったとしても同様の結果であったろう。 そして5月18日に開催された東アジア共同体構想だ。これには中国が入るのか否かで見解や構想の 行方が懸念されているが、他方でアメリカの影響が何処まで反映されるのか、また排除されるのかも未 知数だ。可成り以前に榊原財務官が提示し推進しようとしたアジア経済圏構想の際にはアメリカは本気 で潰そうとしたが、今回はアメリカは何処まで許容し黙認し放任しているのかも全く未知数だ。案外、既に アメリカ衰退が始まっており、そのために発言力が低下しているとも思われる。 その顕著な例がイラク情勢だ。既に6月末で数日早まって主権移譲が米国から国連に移譲されたが、 これも米国の単独覇権の崩壊を示すものと言えるだろう。最早イラク情勢はアメリカの制御能力を超えて 治安悪化が進むばかりだ。この悪化や混乱はむしろ米国の思うつぼだという見解もあるが、例えそうだと 現下の諸問題と展望:246 しても、このまま思うようにはいかないであろう。事態はそう簡単に制御し管理できるほど甘くはないであ ろう。 何れにしても、世界は大きく言って米国ドルの崩壊、EUユーロの台頭が始まったようだ。アメリカはユー ロ解体に向けて壮絶な戦いを仕掛け始めたとも言えるだろう。その一端が異質なトルコのEUへの加盟問 題であろう。トルコ加盟の背後には米国が存在しているし、またポーランドやチェコを米国寄りにして、EU 欧州連合を新たに仏独などの古い欧州と東欧の新しい欧州との東西の分断作戦だ。今や欧州は新たな 東西冷戦に突入したとも受け止められているようだ。 当方の見解はアメリカ崩壊と内乱化、分裂、各州の独立化だ。米国は政府が某民族に支配されて、各 州と摩擦が表面化するだろうと思われる。そして欧州連合の破綻、中国の分裂と崩壊、ロシアの東西へ の再分裂化なども既に指摘したが、今やロシアも中東情勢を巡って、旧ソ連邦で構成するCIS共同体の 行方にも不吉・不穏な兆候が現れ始めたようだ。即ち、中近東の旧ソ連邦各国における米軍基地整備や 軍隊の配備、そしてカスピ海における原油利権を巡る葛藤・対立だ。何やら当方の思うような展開になっ ていくような予感がする。この際、何でも期待するように情勢が展開していくように思われる。 聖心先生も、先生と心を一つにすれば日本の改革は可能だと言っておられたからには、それに向けて 相応しい情勢が展開していかなければ、改革の達成も不可能になるから、むしろ当方の期待し祈念する 方向に歴史が展開していくのも当然かも知れない。全ては人智を遙かに越えた壮大な神仕組みによる歴 史の展開が始まったと言うことだろう。心を冷静にして洞察すると少しずつ何から変化していくように痛感 する。かつて某霊感者が「貴方の思うようになりますよ」などと言っていたこともあったが、今となっては成 る程なと心に思うところが多いようだ。 追記6.米国衰退から資本主義文明の崩壊、ユダヤ西洋文明崩壊への序曲が始まった (2004年8月 2日) 既に当HPでも、早ければ2003年頃にも米国連邦政府の崩壊が始まるであろうと指摘し、何事もなか ったかのように推移しているが、これは2003年始めから2004年春に掛けて、日本から何と33兆円も の資金が提供されたからだ。これによりイラク戦争も技術の提供と共に辛うじて米国の軍事や経済を支 えてきたものだ。果たしてこれが何時まで継続できるのか大いに疑問を感じていたが、今や漸くその限界 に達しつつあり、米国自身が自国の軍事力や経済を支えていくことが相当に困難になってきたようだ。米 国崩壊に向けて歴史が大きく動き始めたようだ。目下、東京都心に超高層ビルの建設ラッシュであるが、 之こそ、米国から逃避してきているユダヤ資本によるものだ。かつて英国から米国へ移動したユダヤ資 本が今度は日本に流入してきているものだ。 当方が既に指摘した点は、米国崩壊は米国連邦政府の崩壊であり、それが内乱化を誘発し、各州によ る連邦政府所有の軍事力の争奪戦にまで至り、各州の分離独立戦争にまで至るであろうと言うことだ。 恐らくそこまで情勢の展開を読んでいる有識者は皆無ではないかと思われる。しかも某有識者は、その 米国崩壊は米国自身にも問題があるが、他方で米国崩壊を仕掛ける勢力が存在し、その勢力こそ、世 界統一政府樹立に向けて画策する勢力であり、今までは米国を世界の警察、軍事力として利用してきた ものと指摘しているようだ。然るに、昨今の米国の余りにも単独主義の突出に嫌悪し始めて、今や、米国 崩壊を堂々と画策し始めたと言うことではないかと思われる。 崩壊させる米国の中枢に君臨し米国連邦政府を支配している勢力こそ異端分子のネオコンであり、闇 の世界支配権力側からすると、自分たちの意向に抵抗する扱いにくい目の上のたんこぶのような存在に なってきたようだとする。世界統一政府の代理人であり、独仏のようなEU(欧州連合)の中枢を支配する 大国を「古い欧州」と呼び、ポーランドなどの東欧諸国を新しい欧州と読んで、分断を図ったり、イスラム 国家の異質のトルコをEU加盟に強力に後押しするなど、今や米国とEUとの熾烈な覇権争いが顕著にな ってきたようだと言う。これは日本にも反映しており、目下の三菱と三井の戦いでも、三菱米国ロックフェ 現下の諸問題と展望:247 ラー側と、三井欧州ロスチャイルド側との代理戦争とも言える壮絶な戦いとなっているようだ。 なお、米国とEUとの覇権争いとは、米国を植民地化して支配してきた世界支配権力側と、それに抵抗 して独立を図ろうとする米国の愛国主義者であるユダヤ・ネオコン勢力との戦いであろうと推察できる。大 統領選候補のブッシュもケリーも何れもネオコン勢力の一員であり、その意味では大統領選挙も全くの茶 番であり、何れが大統領になっても大した政策の転換は有り得ないだろうと指摘されている。そして矢張 りブッシュの勝利は間違いないだろうとも言われているようだ。何か大きな仕掛けを実施するからだとも言 う。 今正に、何度も指摘するように、資本主義経済の崩壊、ユダヤ西洋文明の崩壊、米国崩壊から内乱化、 そしてEUの台頭、中国の台頭と分裂化、そしてロシアの東西への再分裂化の歴史的展開であり、最後 には世界統一政府の樹立であろうと思われる。然るに未だ誰も指摘していないことであるが、この世界統 一政府も、最後には天罰を喰らって崩壊し総懺悔するに至るであろうと思われる。そしてそこから真に日 本が指導する歴史的大改革が実践されていくものと確信している次第だ。要は全て崩壊しなければどう しようもないところまで来たようだ。 以下は別の某有識者が送信している米国崩壊に関する情報だ。当方はここまで細かい情報は入手し ていないが、大局的な方向はしっかりと把握し分析し展望しているつもりだ。要は単なる現状分析や将来 展望ではなくて、その崩壊後の新しい世界の構築であろうと思っているが、殆どの有識者に幻滅を感じ始 めたのは、全く新しい概念を創造し提示できていないと言うことだ。それ故に、大崩壊までの役割しか演じ られないと言うことだろう。 追記7.米国衰退の徴候を示唆する某有識者からの情報を紹介 (2004年8月2日) 時事コラム 2004 年 4 月 3 日 太田述正コラム#308(2004.4.3) <没落する米国(その1)> 1 始めに 米国人は、英国人に比べて所得が高く、より大きな家に住み、生活費は安く、税金も安い、というわけで、 bastard(庶子)だというのに、本家の英国の人々よりあらゆる面で恵まれた生活を満喫しています。まさ に、博徒たるアングロサクソンの面目躍如たるところです。博打に勝った者は大金持ちになり、負けた者 は浮浪者になるけれども、米国人は平均的には本家の人々よりもイイ線を行っているのです。 2 不吉な前兆 一つ、米国人にとって気がかりなことと言えば、このところ、ドルがポンドに対してどんどん目減りしてい ることでしょう。このためチャンスとばかり、本家の英国人が米国の住宅等の不動産を買い漁っています。 (以上、http://observer.guardian.co.uk/cash/story/0,6903,1179239,00.html (3月 28 日アクセス)による。) そこにもってきて、ショッキングな研究成果が出ました。平均でも米国人が本家の英国人より劣っている ものがあることが判明したのです。それは身長です。米国が英国から独立した頃は米国の男子の平均身 長は英国の男子より2インチ高かったのですが、現在では半インチ低くなってしまったのです。 同じことが、やはり米国に多数の移民を送り出した欧州と米国の間でも見られます。(欧州で一番ノッポ なのはオランダ人で、米国人の5フィート 10 インチに対して、6フィート以上もあります。しかし 1850 年には、 米国人が5フィート 9 インチであったのに対して、オランダ人は5フィート7インチ(注 1)と米国人を下回って いました。) (注 1)1インチ=2.54 センチ(1センチ=0.3937 インチ)12 インチ=1フット=0.3048 メートル(1メートル= 現下の諸問題と展望:248 3.2808 フィート)これは、米国が社会的不平等を抱えたままであり、その状況が一層甚だしくなっているの に対し、欧州や英国では、医療を始めとして手厚い社会福祉政策が行き渡るに至った上、栄養に配意し た食生活をしている人が多いためであると考えられています。 現在、米国では 800 万人の人々が失業しており、4000 万人が医療保険に加入しておらず、3500 万人が 貧困ライン以下の生活を余儀なくされ、ジャンクフードで生活している人も大勢います。こうして、米国で は近年、平均身長の伸びが止まり、若干ながら平均身長の減少さえ見られます。それに対し、英国でも 欧州でも平均身長はなお伸び続けており、米国との身長差は今後ますます拡大すると見込まれています。 (以上、http://www.guardian.co.uk/usa/story/0,12271,1185457,00.html (4月4日アクセス)による。) 3 米国の没落 どうやら、市民の平均的な生活の質の面で、米国は既に相対的にも絶対的にも没落しつつあるようで す。それでは、市民の集合体としての米国の覇権にも陰りは見えているのでしょうか。 時事コラム 2004 年 4 月 7 日 太田述正コラム#312(2004.4.7) <没落する米国(その2)> (本稿は、コラム#308 の続きです。) 米国の没落が差し迫っている理由として、しばしば挙げられるのは次の二点です。 第一に、米国が外国に多額の債務を負っていることです。 これは、米国の消費者が収入以上の消費を続けてきているために米国が毎年巨大な貿易赤字を計上 していることに加え、ブッシュ政権が減税を行う一方で国防予算を大幅に増やしたため、このところ、米国 で毎年巨大な財政赤字が発生しているためです。 この結果、日本単独で保有しているドルだけで 7500 億ドルにものぼり、このほか、中国、香港、インド、 韓国、シンガポールと台湾が合わせて1兆 1000 億ドル保有しています。これら諸国の中央銀行が米国の 財務省証券を買う形でドルを米国に還流してくれているおかげでドルがかろうじて急落を免れていますが、 ドルはユーロや円に対して着実に減価してきています。 第二に、より根本的なことですが、かつての発展途上国の多くが、経済面で米国を激しく追い上げてい ることです。世界人口の 40%を占める中印二カ国だけを見ても、中国経済が 25 年以内に米国経済よりも 大きくなり、2050 年までには米国経済の 1.5 倍の規模になる可能性が取りざたされていますし、インド経 済も、2050 年までに米国経済を追い抜く可能性が囁かれています。 既にインドのソフトウェア産業へのアウトソーシングをめぐって米国内で強い懸念の声があがっているの は、これが今後予想される米国経済の相対的弱体化への第一歩だと受け止められているからです。(米 国の経済学者のジェフリー・サックス(Jeffrey Sachs)のエッセー (http://www.taipeitimes.com/News/edit/archives/2004/04/03/2003116520。4月4日アクセス)を参照し た。) 昨年、クリントン前大統領は母校のエール大学で講演し、米国がこの地球上で軍事的、政治的、経済 的超大国でなくなった時に備えて、国際法と国際協調の世界を作り出すことこそ、米国の指導者達にとっ ての最大の課題である、と述べました 現下の諸問題と展望:249 (http://www.theaustralian.news.com.au/common/story_ page/0,5744,8430165%255E31477,00.html(2月 18 日アクセス)。以下もこれによる)。このことをとらえて、英国出身の著名な歴史学者であるポール・ケネ ディ(Paul Kennedy)エール大学教授が、興味深い論考を書いています このクリントン前大統領の考え方は、ブッシュ大統領が 2002 年9月に明らかにした安全保障戦略とは 180 度異なった考え方だ。ブッシュ大統領の考え方は、軍事力で米国と肩を並べたり、米国を凌駕したり する国が出現することのないよう、米国の軍事力の整備、運用に努める、というものだからだ。 クリントンの発言は、米国の指導者としてはもとより、世界を見回しても殆ど例を見ないものだが、強い て先例を探せば、19 世紀の英国について同様の考えを持っていたグラッドストーン(William Gladstone)が いる。1860 年代から 1880 年代にかけて、グラッドストーンはディズレーリ(Benjamin Disraeli)との間で(注 2)、英国の対外政策の基本的スタンスをめぐって論争を続けた。 (注 2)英国首相在任期間は、保守党のディズレーリが 1868 年、1874-80 年、自由党のグラッドストーンが 1868-74 年、1880-85 年、1896 年、1892-94 年(太田) (http://www.compuserve.co.uk/channels/news/election/history.htm。4月7日アクセス)。 ディズレーリは保守主義者にして極めつきの帝国主義者であり、英帝国を強大に保ち、非西欧世界の 「抵抗勢力」に対して軍事力を行使することを躊躇わず、世界の戦略的要衝を獲得することに血道を上げ た。これに対し、グラッドストーンは軍事力の行使は抑制的であるべきだとし、帝国の拡張にも反対し、そ もそも英国のような世界の強国には、軍備の削減、国際協調の推進、及び国際法の普及に向けて努力 する責任があると主張した。 更にグラッドストーンは、ビクトリア時代の英国の政治家としてはただ一人、やがて米国が英国を経済 的にも軍事的にも凌駕するであろうことをはっきり予見していた。グラッドストーンは、当時としては、いさ さか理想主義者であり過ぎた。(ウッドロー・ウィルソン(Woodrow Wilson:大統領在任期間 1913-21 年)は グラッドストーンに私淑していた。)クリントンの考え方も、リアルポリティーク的発想によってバランスがと られなければならないだろう。とまれ、クリントンの発言は大いに傾聴に値する。 没落する米国(その3) (本篇はコラム#308、312 の続きです。) 4 各論 (1)無駄だらけの米国経済 米国が 8000 億ドル近くも国防費に使っており、世界の国防費の半分近くを占めており、それがイラク戦 争等の影響で更に増える見込みであることが無駄かどうかは微妙なところです。 しかし、米国が医療費に GDP の 15%も費やしているというのに、65 歳以下の米国人のうち 4300 万人も 医療保険に入っていない人がいるのは明らかに問題です。例えば、欧州では国民皆保険になっていてな おかつ医療費には GDP の 10%以下しか費やしていません。これだけ医療費を費やしながら、米国人の健 康総合指標は、乳児死亡率が高い等個々の指標が低いため、先進 13 カ国中ブービーの 12 位というあり さまです。 また、米国では犯罪が多い結果、刑務所に入っている人が 600 万人もおり、総人口比で先進国中最高 であり、刑務所経費の対 GDP 比も従って最高となっています。 (以上、http://www.csmonitor.com/2004/0701/p17s01-cogn.html(7月1日アクセス)による。) もっとも、このように米国経済に無駄が多いことは今に始まったことではありません。 以下、最近の懸念事項を取り上げます。 現下の諸問題と展望:250 (2)経常収支赤字限界に? 米国による貿易(経常収支)赤字の垂れ流しはそろそろ限界だ、と何度も言われても今までは何も起こ りませんでしたが、ついに年貢の納め時が近づきつつあるのではないか、という声があがっています。 すなわち、このところ米国の株や社債に対する需要が減退気味であり、今年5月にかけての三ヶ月、外 国人は米国株を売り越しています。日本も経済が上向きであるため、円高の防止に力を入れなくなって おり、米国財務省証券の購入額が減っています。 米ドルも 2002 年2月の高値以来、外国主要通貨バスケットに対する価額が 19%も目減りしています。 (以上、http://www.csmonitor.com/2004/0729/p17s01-stgn.html(7月 29 日アクセス)による。) (3)一人あたり所得の減少 ブッシュ政権になってからの三年半で、米国の職の数は 200 万人分も減少しています。大統領の一任 期中職が減少を続けるというのは、大不況の初期におけるフーバー(Herbert Hoover)大統領の時以来 のことです。 また、北米自由貿易協定ができてからの 10 年間で、米国の平均実質賃金は減少してしまいました (http://www.taipeitimes.com/News/edit/archives/ 2004/05/15/2003155595。5月 16 日アクセス)。 更にこの二年間は、上記の二つの要因に加えて、2000 年に IT 株バブルがはじけたこともあり、米国民 の課税前所得総額も連続して減少しました。2000 年と比べると 2002 年の課税前所得総額は 5.1%減少し、 人口増があるため、一人あたり平均課税前所得は 5.7%、物価上昇分を差し引いた実質ベースでは 9.2%も 減少したのです (http://www.nytimes.com/2004/07/29/business/29tax.html?hp=&pagewanted=print&position。7月 29 日 アクセス)。 (4)科学技術の相対的衰退 長期的観点から懸念されるのが米国の科学技術の相対的衰退です。 20 世紀の最後の 20 年間で仏独英の年間理学工学博士号取得者数は二倍に増え、日本ではそれ以上 増えたのに対し、米国では減っています。 米国の物理学学術誌の Physical Review は、同誌に掲載される論文について、1983 年には 61%が米国 人執筆のものだったのに、2003 年には 29%まで落ちているとし、同じ傾向はすべての学術雑誌で見られ ると指摘しました。 そういうわけで、かつては米国人がノーベル科学賞受賞を殆ど独占していたというのに、2000 年代に入 ってからは 51%と5割を切る直前になってしまっています。 また、米国の工業特許保有総数は減少してきており、今では世界の 52%と、これも5割を切る直前です。 そこに追い打ちをかけているのが、2001 年の 9.11 同時多発テロ以来の特殊事情です。訪米外国人に 対するビザ規制が強化されたため、米国の大学への入学希望者数が四分の一も減ったままですし、米 国の科学技術予算は、国防、NASA、及び新設された国土安全省に重点配分され、この三つ以外の省庁 への配分は減らされて現在に至っています。(以上、 http://dbs.cordis.lu/cgi-bin/srchidadb?CALLER=NHP_EN_NEWS&ACTION=D&SESSION=&RCN=EN_RCN、 _ID:21976、http://iblnews.com/news/noticia.php3?id=107194(どちらも7月 31 日アクセス)による。) (5)ソフトパワーの陰り 長期的観点からより懸念されるのは、米国のソフトパワーに陰りが見えることです。 強引なイラク戦開戦、イラク占領後の失態、ワールドコム事件等米国企業をめぐる不祥事の頻発、京都 現下の諸問題と展望:251 議定書等の国際条約の回避、更にはアブグレイブ虐待事件などによって、世界の多くの人々、特に発展 途上諸国の人々は米国の高い技術と経済力(平均的生活水準)ないし軍事力は認めつつも、もはや米 国を自由・民主主義の旗手とはみなさなくなってしまいました。 (以上、http://www.nytimes.com/2004/06/20/opinion/20FRIE.html(6月 20 日アクセス)による。) このことと無関係ではないと思われますが、今年5月に発表された調査結果によれば、調査を開始した 1998 年以来初めて昨 2003 年、米国のブランド品を好む外国の人々の割合が減り、使う人も減少しました。 他方、米国以外の国のブランド品については、変化は見られません。 例えば、米国のブランド品に「信頼感(trust)」を寄せる人々の割合ですが、コカコーラは 55%から 52%へ、 マクドナルドは 36%から 33%へ、内規は 56%から 53%へ、マイクロソフトは 45%から 39%へと減少しています。 また、「正直さ(honesty)」を感じる人々の割合は、コカコーラが 18%から 15%へ、マクドナルドが 19%から 14% へ、ナイキが 14%から 11%へ、マイクロソフトが 18%から 12%へと減少しています。そして、米国のブランド品 を使っている人々の割合は 30%から 27%に減ってしまいました。他方、米国以外のブランド品を使っている 人々の割合は 24%で変わりませんでした。 このような消費者の態度は、米国そのものに対する見方にも影響を与えています。 「正直さ」が米国の文化的価値であると考える消費者は、仏・伊・独・スペイン・トルコで5割を切っており、 独では 31%でした。サウディでは 23%です。 米国と文化的価値を共有していると考える消費者は、ベネズエラ・台湾・フィリピン・ブラジル・オーストラ リアでは 75%を超えているものの、英では 65%、伊と仏では 63%、独では 55%でしかありません。 (以上、http://media.guardian.co.uk/site/story/0,14173,1214114,00.html(5月 11 日アクセス)による。) このように見てくると、米ハーバード大学のジョセフ・ナイ(Joseph Nye)教授の造語である「ハードパワ ー」と「ソフトパワー」を用いれば、米国は、経済力や軍事力というハードパワーは依然健在だけれど、ソ フトパワーには陰りが見えている、ということになります。 これはアルカーイダ系イスラム教テロリスト達の挑発に米国が乗ってしまった結果、テロリスト達の思惑 通りに事態が進行していることを意味するのでしょうか。 必ずしもそうではなさそうです。 既にアイゼンハワー米大統領が退任するにあたって、もっと国防費を削って海外広報庁(US Information Agency)に回すべきだったと言っています。特に東西冷戦が終わってからの海外広報予算の 縮小には甚だしいものがあります。 いまや、米国の国務省の海外広報予算と米国のすべての対外放送の予算を足し合わせても 10 億ドル ちょっとで、経済規模で五分の一でしかない英仏のそれぞれの予算と同規模でしかありません。 10 億ドルちょっとというと、国防費の 400 分の一でしかありません。つまり、米国はソフトパワーにハード パワーの 400 分の一しか使っていないことになります。 これではせっかくのハードパワーが活かせない、とナイは力説しています。 (以上、http://www.taipeitimes.com/News/edit/archives/2004/04/26/ 2003138176(4月 27 日アクセス)による。) 以上から、米国のソフトパワーの減退は、かねてから潜在的に進行しており、それが対テロ戦争等のや り方等のブッシュ政権の不手際により一挙に顕在化した、と考えられます。 (完) 追記8. ロシアが原油決済をユーロに移行し、ドル崩壊の危機到来か (2004年11月19日) 以下に、日経2004年11月 18日朝刊紙を紹介する。 ロシアのドル離れで、他の産油国始め世界各国にも何らかの影響を及ぼして行き、これでドルとユーロ の壮絶な通貨覇権戦争は、米国の巨大な貿易・財政赤字やドル安基調から、大きくユーロに勝利をもた 現下の諸問題と展望:252 らすほどのインパクトを与えて行くであろうと思われる。他方で、ドル崩壊から米国崩壊への序曲となるで あろう。2005年、欧州大統領の登場と共に、欧州主導でパレスチナ紛争を終結させて、世界から救世主 と仰ぎ受け容れられて、世界統一政府の樹立へのシナリオとなるであろう。これこそ偽キリストに他ならな いものだが、米国ネオコン勢力が何処まで勝負を仕掛けられるか、世界覇権の争奪を目指して両者の共 倒れが待っているものと思われる。 【ロシア ドル連動制廃止】 『為替管理ユーロ中心に 来年から経済の欧州接近映す』 【モスクワ=古川英治一ロシア中央銀行は通貨を米ドルに運動させる為替制度を廃止し、二〇〇五年か らユーロを中心に構成する通貨バスケットを指標に相場を管理する手法を導入する。欧州が主要貿易相 手である実態を踏まえ、ユーロとの連動を高める狙い。外貨準備に占めるユーロの比率も引き上げる。 原油などの欧州向け輸出がドル建てからユーロ建てに替わる契機となる可能性もある。 ロシアはこれまで中銀が必要に応じてルーブル・ドル市場に介入し、対ドル相場での変動を抑えてイン フレ率や輸出競争力を調整するドル運動制をとってきた。これを主要貿易相手国の通貨で構成する通貨 バスケットを指標とし、対ドル相場だけでなく主要通貨全体に対してルーブルが安定するように管理する。 新しく導入するバスケットの構成はユーロを七割、ドルを三割程度とする方針。貿易全体に占める対米 比率が五%程度なのに対し、欧州は五割を占めるため、ドルよりもユーロとの運動を強めるようにする。 ロシアがユーロにシフトするのは最近のドル安・ユーロ高の進行などで。ドル運動制では通貨政策のか じ取りが難しくなっていることが背景。例えばドル安局面では、対ドル相場を安定させてもユーロ高・ルー ブル安が進んで欧州からの輸入物価が上昇、インフレ率を押し上げる懸念がある。このため、貿易実態 に合わせて為替相場を管理する必要があると判断した。 新制度の導入でユーロ市場に介入する機会が増え、外貨準備のユーロの割合も増える見通し。現在、 千億ドル強に膨らんでる外貨準備高ではドルが六五%を占め、ユーロ割合は二五%程度だが、中銀は 「ユーロ債市場の成長で外貨準備の運用機会が増えている」と判断、ユーロでの運用を積極化する考え だ。 ユーロ建て取引が拡大する可能性もある。現在、ロシアは原油・天然ガスの輸出をドル建てで実施して おり、市場の推計によると、輸出の七割はドル建て。一方、輸入の約五割はユーロ建てでミスマッチが生 じている。欧州は輸出をユーロ建てに切り替えるよう要請、プーチン大統領も「検討に値する」と発言して いる。 ▼通貨バスケット 複数の主要な貿易相手国の通貨を貿易額や資本取引動向を勘案して合成したもの。自国通貨の価値は 基軸通貨である米ドルなどとの関係で示す場合が多いが、実態的な価値を測る手段として独自の通貨 バスケットを利用している国は多い。管理為替制度の下では、一つの通貨に運動させるより、通貨バスケ ット運動の方がより実体経済に沿った管理が可能。通貨バスケット連動制は、現在人民元を米ドルに運 動させてる中国も検討しているとされる。 追記9. ドル崩壊から米国崩壊へ、そして世界経済大崩壊へ (2004年11月26日) 以下に田中宇氏のメールマガジン情報を紹介する。この中でも氏は、暗に、米国自身が故意に米国解 体を画策している意図を示唆している。当HPでも指摘しているが、日本の国家破産や米国解体、中国分 裂などは、全て世界統一政府樹立に向けたシナリオの一環に他ならない。即ち、米国解体も仕組まれた 現下の諸問題と展望:253 ものであろうと思われる。いよいよドル崩壊から米国崩壊、そして日本も共倒れになって、世界経済大崩 壊が極めて現実味を帯びてきたようだ。 田中宇の国際ニュース解説 2004 年 11 月 26 日 http://tanakanews.com/ ━━━━━━━ ★ドルの自滅 ━━━━━━━ 以前から予測されていたドルの下落が、現実のものになり始めている。ブッシュ政権は2001年の就任 直後から、財政支出の増加と、最裕福層に対する減税とを同時に行って故意に財政赤字を拡大させるこ とで経済を活性化できると主張する「レーガノミックス」の政策を開始した。911後には、これに軍事費の 急増も加わり、クリントン時代の8年間で黒字に転換したアメリカ財政は、ブッシュの4年間で財政赤字が 危険水域とされるGDPの5%を超えるまでに悪化した。 http://tanakanews.com/d1227voodoo.htm その一方で、アメリカ国民の消費意欲は衰えず、輸出が振るわない中で輸入が伸び続けた結果、経常 赤字(貿易赤字)も増え続けている。今年1-9月の赤字額(年率換算値)は5920億ドルで、昨年の496 0億ドルからさらに増加した。 http://news.scotsman.com/latest.cfm?id=3759014 財政赤字と経常赤字という「双子の赤字」は、かつてレーガン政権時代にアメリカ経済を悪化させた元 凶で、レーガノミックスは大失敗だったと総括されているが「新レーガン主義」を自称するブッシュはレーガ ン時代の過ちを繰り返した結果、アメリカは再び双子の赤字を抱えるに至った。 11月17日、アメリカのジョン・スノー財務長官が「(当局の介入など)市場原理以外の作用で為替を動 かそうとする努力は、歴史的にみてうまくいかないことが分かっている」と述べ、ドル安になっても市場介 入はしない姿勢を表明した。これを受けてドル安が加速した。 http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=10000006&sid=aS4PP_tdICyQ 11月19日には、FRB(アメリカの中央銀行)のグリーンスパン議長は「経常赤字が増えすぎると、ある 時点で外国投資家が突然ドル建ての資産を買いたがらなくなり、ドルの急落や金利の急騰が起きる」と いう意味の発言を行った。これは市場関係者に「ドル安容認」のサインと受け取られ、ドル急落に拍車が かかった。その後、米当局がドル安傾向に歯止めをかけようとする努力がほとんど行わなかったため、ド ル安傾向が定着した。 http://www.forbes.com/infoimaging/feeds/ap/2004/11/19/ap1666399.html 11月25日には、ドルがユーロに対し、これまでの史上最安値である1ユーロ=1・3178ドルを割り込 み、最安値を更新して下落した。 http://www.reuters.com/printerFriendlyPopup.jhtml?type=businessNews&storyID=6911640 ▼差し迫る経済ハルマゲドン 米大手投資銀行のモルガン・スタンレーのチーフ・エコノミストであるステファン・ローチは先週、機関投 資家を集めた私的な会合の席上で「アメリカが経済的な大破綻(ハルマゲドン)を回避できる可能性は1 0%しかない」と語り、参加者を驚かせた。ローチは、アメリカの経常赤字がドルを下落させ続け、FRBは 現下の諸問題と展望:254 国債発行を消化するため金利を上昇させる結果、米経済の減速は間違いないという。アメリカが間もなく 不況に陥る可能性が30%、しばらくは延命策で何とか乗り切るがいずれ破綻する可能性が60%、破綻 しない可能性は10%と予測している。 http://business.bostonherald.com/businessNews/view.bg?articleid=55356 こうした大破綻の予想は、以前から散見されていた。UPI通信の経済担当主任記者だったイアン・キャ ンベルは昨年、何回か破綻を予測する記事を書いている。昨年12月の記事では「ブッシュ政権は米経済 が崩壊し始めたときに政権に就き、崩壊を食い止めるために減税と戦争をやって経済を再活性化しようと したが、2005年にブッシュがおそらく再選されるころには、もはや打つ手がなくなっているだろう」と書い ている。 http://www.upi.com/view.cfm?StoryID=20031226-013348-6711r またアジア・タイムスのぺぺ・エスコバルは、昨年5月に書いたビルダーバーグ会議に関する記事の中 で「欧州の有力なユダヤ系銀行家によると、西欧は大規模な金融破綻に瀕しており、それを回避するた めに中東など世界規模で戦争が行われているのだという」と書いた。 http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/EE22Ak03.html 「世界システム論」の学者イマニュエル・ウォーラーステインは、以前の著書で「アメリカは1980年代から 衰退期に入っており、レーガン以降の歴代政権は、アメリカを延命させるための政策をあれこれ打ってき た」といった意味のことを書いている。パパブッシュは湾岸戦争で、クリントンは経済グローバリゼーション で、今のブッシュはテロ戦争とイラク戦争で自国の延命を図ろうとした。しかし、延命策は尽きつつあるよ うに見える。 「双子の赤字」を減らせないアメリカはいずれ破綻するという予測は、昨年末あたりから、あちこちの記事 で見かけるようになっており、その「いずれ」がいつなのか、という時間の問題になっている感がある。 ▼どんどん増えるイラク戦費 ドル安を止めるためには、アメリカの財政赤字と経常赤字を減らすことが必要だ。しかし、財政赤字は 減らすことがほとんど不可能だ。 その理由の一つは、イラクで必要な戦費がどんどん増えているためである。イラク侵攻直前の2003年 初めには、米政府は毎月の戦費を22億ドルと概算していた。しかし、ゲリラ戦の泥沼が少しずつ明確に なってきた同年7月には、国防総省は毎月39億ドルを使っていた。そして、イラク人を組織してイラク軍 やイラク警察を作る米軍の試みが、敵前逃亡などによって何度も失敗し、完全にゲリラ戦の泥沼にはまっ ている現在は、毎月58億ドルが消費されている。 http://www.counton2.com/servlet/Satellite?pagename=WCBD/MGArticle/CBD_BasicArticle&c=MGArtic le&cid=1031779280062&path=!news!localnews 最近、米議会で審議された来年9月までの財政年度の支出予算案(3884億ドル)は、増加幅が前年 比1%の伸びに抑えられるなど、財政緊縮の努力は行われている。だがその一方で11月18日には、財 政赤字額の上限が8千億ドル引き上げられて8兆1800億ドルに改定されている。財政赤字(米国債)が 法律で定められた上限まで発行されてしまい、もっと国債が発行できるよう法律改定しないと政府が日々 現下の諸問題と展望:255 のお金に困る事態になり、上限を引き上げざるを得なくなったためである。 http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A60963-2004Nov18?language=printer 財政赤字の上限は、2002年に4500億ドル、昨年にも9840億ドルと毎年引き上げられており、クリン トン時代には黒字だった財政は、ブッシュ政権になってからものすごい勢いで金を使いまくり、急速に赤 字体質に陥ったことが分かる。米政界では、1年以内に再び赤字上限の引き上げを行う必要があると予 測されている。こんな状態なので、従来は想像もできなかった米国債のデフォルト(不履行)が、世界の投 資家の懸念として立ち上がってきても不思議はない。 http://www.antiwar.com/paul/?articleid=4015 ▼もう消費できないアメリカ もう一つの経常赤字の方は、ドル安が続いてアメリカ人が買う輸入品の価格が上がれば、消費が減退 して輸入が減り、赤字の拡大は止まる。しかし、それは米国民の生活水準が落ちていくことを意味してい る。ドルはこれまで世界の基軸通貨(備蓄通貨)だったため、アメリカでは政府が財政赤字を増やしても強 いドルを維持でき、アメリカの人々は世界から安く輸入された商品を買って豊かな生活を謳歌することが できた。しかし、ドルが下落して基軸通貨でなくなると、そうした特権は失われる。 アメリカではすでに、最裕福層は減税でさらに豊かになる一方で、中産階級が貧困層に転落していく二 極分化の傾向が拡大している。多くの企業は、従業員を入れ替えるたびに給料を下げている。給料の伸 びは、インフレ率を下回り、多くの人が収入減となっている。各地の地方自治体も財政難で、学校の閉鎖 や行政サービスの低下を引き起こしている。 http://www.csmonitor.com/2004/0908/p03s01-usec.html 消費ブームの結果、アメリカにおける個人消費の額は1995年以来毎年4%ずつ伸び続けており、これ は世界の伸び(2・2%)の2倍である。ところがその一方で、人々は金を使い果たし、貯蓄率は先進国で は最低水準の0・8%である(欧州やアジアは8%前後)。クレジットカードの債務不履行率も史上最高の 4%になっている。アメリカではここ数年、政府も個人も金を借りて使いまくり、今になってそのつけが回っ てきている。 http://www.atimes.com/atimes/Global_Economy/FK25Dj02.html 今後は、企業年金の支払い停止の危機も指摘されている。アメリカの企業年金の破綻から救う役割を 果たしている政府系の「年金給付保証公庫」によると、今後、団塊の世代(ベビー・ブーマー)が大挙して 定年退職する時期が来ると、公庫として620億ドル必要になりそうだが、公庫には390億ドルしか資産 がなく、差額分に入ってしまった人々は、年金を受け取れなくなるという。米議会とブッシュ政権は、この 問題を解決する必要に迫られているが、政府自身が財政赤字で首が回らない中、人々の年金が救われ る可能性は低い。 http://www.nytimes.com/2004/11/15/national/15cnd-pens.html?pagewanted=print ▼ドルを救おうとしない米当局 こうしてみていくと、ドル安はアメリカにとって危険なことであり、為替は何としても安定させる必要があり そうだが、実際のところ、米当局者は自らドル安を煽っている感がある。スノー財務長官は今回ドル下落 が加速しそうなタイミングを狙って「市場介入はしない」という趣旨の発言を行い、ドル安を煽った。日本や 欧州の当局者たちから「ドル安を容認しないでくれ」と頼まれると「アメリカはドル高を希望している」と発 現下の諸問題と展望:256 言したが、多くの市場関係者は、スノーの本心はドル高ではなくドル安だと考えている。 米当局がドル安を望むのは、ドルの価値が下がるとその分だけ実質的な赤字の規模を減らすことがで きるからであるとか、輸出産業振興のためであるとか、ドル安ユーロ高によってヨーロッパの輸出産業に 打撃を与え、イラク侵攻以来の欧州の反米姿勢を制裁するものであるとかいう説明もある。ユーロ高を演 出することで、ヨーロッパから中国に対して人民元切り上げの圧力をかけさせることが目的だ、という見方 もある(人民元の相場はドルに対して固定されており、ドルが下がるほど中国の輸出力が上がる)。 http://www.guardian.co.uk/usa/story/0,12271,1356743,00.html しかし、自国が海外からの借金を膨大に抱え、今後さらに海外から金を借りないとやっていけないとき に、何が理由であれ、自国の通貨を意図的に下落させる米当局の行為は、価値が下がりそうな通貨に投 資する人などいないことを考えると、どう見ても自殺的である。 ドルの下落傾向が長期的に続くと、1997年のアジア通貨危機以来、ドル建て資産の備蓄を増やし、自 国通貨を支える外貨準備にしてきたアジア諸国が、制度の見直しを検討し、アジア通貨の持ち合いなど、 ドル以外の備蓄方法に切り替える傾向が増す。実際、中国政府は今回のドル安を受けて、ドルを売って アジア諸国の通貨を買う動きを強めたと報じられている。 http://news.ft.com/cms/s/257979a6-30f4-11d9-a595-00000e2511c8.html 現在、新規の米国債の大半はアジア諸国の政府が備蓄用に買っているものだが、アジア諸国が外貨 備蓄のやり方を変えると、米国債の需要は急減し、ドル暴落と金利高に拍車がかかる。米当局はむしろ、 全力を尽くしてドル安を防止しないとまずい状況にあるのだが、現実に行われていることは逆である。 ▼アメリカを陥れる「双子の自滅」 米当局は、財政赤字を故意に増やし、その結果起きたドルの下落を止めようとするどころか煽るという 自滅行為を行っているが、同様に自滅的なのがイラク戦争である。アメリカはフセイン政権が大量破壊兵 器を持っているというウソをついてイラクに侵攻する必要などなかったし、ましてやヨーロッパとの関係を 悪化させてイラク侵攻を挙行したのは大愚策で、これは「失策」の域を超えている。イラク侵攻後も、イラ ク人をわざと怒らせ、反米のナショナリズムを煽る作戦が続けられている。 http://tanakanews.com/d1125iraq.htm http://tanakanews.com/d0811iraq.htm このように考えると「ドル下落」と「イラク戦争」という「双子の自滅」が、アメリカを危機に瀕する状態にさ せていることが分かる。アメリカはこれまで「強いドル」と「強い米軍」を持つことによって、世界の中心であ る超大国の地位を維持し続け、その地位がドルの強さを維持し、ドルの強さが米軍の強さを維持するとい う循環的な状態にあった。ところが、ドルとイラクという双子の自滅は、この状態を破壊し、アメリカを世界 の中心から追い落としてしまう。 「双子の自滅」が奇妙なのは、これらが「自滅」つまり故意に行われているように見える点である。イラク 侵攻の開始前からすでに2年間、私は「アメリカの中枢には自国を自滅させたがっている勢力がある」と 感じている。多くの人が「故意であるはずがない」「アメリカのエリートは愚かな過ちを繰り返す性格がある のだよ」「君の理論は面白いが、その点だけは賛同できない」と私に言い、私自身もこの2年間、自問自 答を続けているが、日々アメリカが行っていることを仔細にウォッチしていると、双子の自滅はどう見ても 現下の諸問題と展望:257 故意の自滅であり、愚かな過ちの積み重ねの結果ではないと思う状態は変わっていない。 故意に「双子の自滅」が演出されているのだとすれば、その理由は何なのか。 アメリカを潰して世界を「アメリカによる一極支配」から「多極型」に変質させることで、経済的なメリットを 得ようとしている勢力がいるのでないかと拙著「非米同盟」(文春新書)のエピローグに書いた。それを塗 り替える新しい仮説はまだ見つかっていない。 この記事はウェブサイトにも載せました。 http://tanakanews.com/e1126dollar.htm 追記10. ドル崩壊が加速し米国崩壊に拍車が掛かるか・・・ ドル崩壊が加速し米国崩壊に拍車が掛かるか・・・ (2004年12月7日) 1. 今やドル崩壊に対してアジア勢や産油国がユーロに移行して、ドル離れが顕著になっていくようだ。日 本だけが支えるつもりであろうか。今や日本の外貨準備高のうち、何と86%が米国国債だ。日本は米国 と心中するつもりしかないようだ。世界中で飛び交っているマネーは実に天文学的量であり、日本だけの 僅か数十兆円ぐらい(これだけでも大変な金額だが)で、ドル崩壊を食い止めることなど無理な話だ。自 民党の与謝野政調会長も米国国債の売却を示唆したようだ。かつて橋本元総理が米国債の売却の誘惑 に駆られるなどと口走ったと途端に、米国の反発を招いて失脚していったようだが、今回は、米国自身に ドル崩壊を阻止する積極的な抵抗や圧力が余り見られないのは錯覚であろうか。 いよいよ、ドル崩壊から日米共倒れ、即ち、日本のドル金融資産の紙クズ化から、米国への資金流入 の制限から米国連邦政府崩壊が極めて現実味を帯びてきたようだ。某有識者当たりは、米国は打開策 を講じるべく、日中戦争や日朝戦争を仕掛けるつもりだと言うが、その時期設定を2008年の北京オリン ピック過ぎ当たりから2010年頃としているが、とてもその時期まで持たないであろうと思われる。矢張り、 当方が予測する2005,6年頃の米国崩壊から、米国自体の内乱化が必至であろうと思われる。米国の 崩壊など有り得ないという有識者も多いが、結局、米国崩壊とはドル崩壊に他ならないと言うものだ。ま た中国も、国民が共産党に対して考え直し始めており、それが引き金となって何と2006年頃に大分裂す るという情報もあるようだ。当方は遅くとも2012,13年頃と予想しているものだ。 2004年12月5日付け日経新聞夕刊紙報道 BIS報告 【ドル離れに警戒感】 「アジア・産油国、ユーロ移行」 【ベルリン=菅野幹雄】国際決済銀行(BIS)は五日、金融市場に関する十二月の四半期報告で最近のド ル安に触れ「アジアの中央銀行や産油国が資産をドル建てから特にユーロに移したと市場の一部が確 認し、ドル安が進んだ」との認識を示した。資産移管が続けば多額にのぼる米経常赤字を穴埋めするの のが難しくなるととドル離れへの警戒感を示した。 BISは過去第二位の高水準となる米貿易赤字が判明した十月十四日以降にドル安が進んだと指摘。 八月の米対内証券投資の鈍化が市場にドル離れの表れとみなされ、グリーンスバン米連邦準理事会(F RB)議長の赤字警戒発言もドル投資の嫌気を招いたとした。 四半期報告は米が低利政策を続けた過去三間でオイルマネーがユーロなどに移った実績も公表。石 油輸出国機構(OPEC)諸国のBIS加盟行への預金のうちドル建ての比率は二〇〇一年七-九月の七 現下の諸問題と展望:258 五%から今年七-九月に六一・五%に低下。逆にユーロ建て比率は一二%から二〇%に上昇した。 一九九八年末-二〇〇一年三月に米金利はユーロ圏を平均二・一%上回ったが翌四月-今年六月 は逆に一・三%下回った。金利差の逆転でユーロへの投資が相対的に有利になり、ドル建てからの転換 を招いたとみている。 2004年12月6日付け日経新聞紙報道 『国債買越額7-9月大幅減』 【アジア勢が抑制】「ドル買い介入停止波及」 【ニューヨーク=山崎宏一】米国に流入する海外マネーに変調の兆しが出てきた。海外投資家による米 国債投資の買超額は七-九月期に直近のピークである今年一-三月期に比べ六割減り、証券授賞全 体でも二・四半期連続の減少となった。日本を含むアジアのドル買い市場介入の手控えが主因だが、米 国の「双子の赤字」への懸念も膨らんでおり、ドル資産離れが進む恐れがある。 海外勢の対米証券投資は二〇〇三年から増え始めた。イラク戦争後の景気回復に加え、ドル安に対 応して日本を含むアジアの中央銀行が外為市場で自国通貨売り・ドル買い介入を実施。介入で手にした ドル資金を米国への投資に振り向けた影響が大きい。 海外勢の米国債の買越額は今年一-三月期には前年同期の五倍強に当る千四百六十億ドルあまり に増加した。しかし介への批判が米国で強まり、日銀は三月半ばに介入を停止。ドル安にいったん歯止 めがかかったため他のアジア中銀も介入を控え、海外による七月期の米国債の買越額は五百六十億ド ルに滅った。 介入停止後も当分は外貨準備高を外貨預金から国債に振り替える動きが続くため米国債投資は急に は止まらないが、介入がなければ振り替えが細っていくのが確実だ。 社債や株式などを加えた全体の証券投資の買越額は七-九月期は二千億ドルと二・四半期連続で減 り、今年一-三月より二五%減少した。 貯蓄不足の米経済は海外マネーへの依存を急速に強めている。特に国債は発行残高のうち海外勢が 保有する割合が六月末で四三%と昨年末(三八%)から上昇、二〇〇〇年末に比べると一〇ポイント以 上も跳ね上がった。 ブッシュ政権による大型減税と軍事支出の増大で米財政赤字は四千億ドルを超える規模に膨らんでお り、穴埋めを海外マネー、特にアジアの公的ネネーに頼っている。 市場ではブッシュ第二期政権下でも巨額の資金不足が続くとの見方大勢だ。「アジア勢の投資が転換 点を迎え、長期金利が上昇しかねない」との見方が出ている。 株式や社債への投資は今のところ堅調で米政府は「米資産は高利回りが予想され、海外の投資家に 魅力がある」(テーラー財務次官)と資金流入不安を否定する。 ただ資金不足を映す経常赤字はすでに五千億ドルを超え、国内総生産(GDP)の五%超の規模に拡大 した。グリーンスパン米連邦準備理事会議長が「いずれかの時点でドル資産への投資意欲の減退が起こ る」と指摘したように、海外マネーを寄せるにはドル資産が割安になる必要があり、ドル安傾向が続くとの 見方が市場では多い。 産経新聞紙2004年12月7日付け報道 【日欧 協調介入示唆】 円高ドル安 【米 消極的】 『外為市場 神経戦』 一ドル=一〇〇円台割れ寸前まで近づいた円高ドル安の為替をめぐり、日米欧の通貨当局が神経戦 を演じている。日本がドル安阻止に向け、欧州との協調市場介入をほのめかすのに対し、米国は市場介 入には消極的だ。その背景には「経常赤字の削減にはドル安が有効」との米政府の思惑がある。ただ、 現下の諸問題と展望:259 その米国もドル安が急激に進めば、財政赤字を埋めてきた海外からの資金が逃避するというジレンマを 抱える。外国為替市場を舞台にした日米欧当局のせめぎ合いは今後も続きそうだ。(関根秀行、ワシント ン 気仙英郎) ■景気回復に懸念 最近の円高に対し、谷垣禎一財務相は「今の動きはやや急。必要に応じて取るべき措置を取る」と繰り 返す。六日には細田博之官房長官が国際的な協調が必要であるいう感じがする」と述べ、ドル安懸念を 共有する欧州との協調介入の必要性にまで言及した。 日本政府が円高ドルを強く警戒するのは、景気回復を牽引してきた電機や自動車などの輸出産業が円 高で大きな影響を受けるからだ。奥田碩日本経団連会長(トヨタ自動車会長)も「現在の円高水準が続け ば、輸出産業の業績は下方修正される」との懸念を示す。 米国の貿易赤字額は年間六百億ドルを超え財政赤字も同四千億ドルを突破する水準だ。十一月のブ ッシュ大統領再選以降のドル安は「こうした米国の『双子の赤字』に対する懸念を強く反映したもの」と市 場関係者の見方は一致している。しかし、米通貨当局は市場介入に消極的だ。 米財務省が議会に提出した二〇〇四年上半期の為替政策報告書では「日本が今年第一・四半期(一 -三月)に実施した円売り介入額は、三月十六日に介入を停止するまで十四兆円以上の規模に達した」 と公表し、日本の対応を階に批判した。 日本は、景気に水を差しかねない円高ドル安阻止に向け、市場介入の時期を探っているが、米国の消 極姿勢もあり、簡単には市場介入に踏み切れないのが現状だ。 ■容認にも落し穴 また、グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が先月十九日に「米経常赤字を考えれば、海 外勢によるドル資産への投費意欲が減退するのはやむを得ない」と述べるなど、米金融当局者によるド ル安容認発言も目立つ。ドル安で米国の輸出が増える一方、海外からの輸入が減れば、経常赤字の削 減につながるためだ。 ただ、スイスの国際決済銀行(BIS)は、五日に発表した金融市場報告で「米国の双子の赤字を警戒す るアジアの中央銀行や産油国が、資本をドル建てから、とくにユーロに移したことでドル安が進んだ」と分 析。そして「今後も資本流出が続けば、金融市場に大動揺を与える」と懸念を表明した。 五日付の英日曜紙オブザーバーは「米国がドル是正に動かなければ、日本は保有する米国債の売却 も辞さない構えをみせている」と報じた。日本を含めたアジア各国は、米国債などの購入を通じて事実上、 財政赤字を「穴埋め」している。細田官房長官は六日の会見で「貝体的な措置を考えている事実はない」 と否定したが、こうした観測が流れるのも、日米欧局の為替をめぐる神経戦の激しさの証明だ。 ■不景気のボタン 最近のドル安の背景を探った「ドルリスク」の著者、みずほ証券エクィティ調査部の吉川雅幸シニアエコ ノミストは「米国は双子の赤字の拡大を食い止める必要があり、現在のドル安基調は当分続く」と予想す る。 そのうえで吉川氏は「財政赤字の減少で米景気が冷え込めば、米は世界各国に景気の牽引役を果た してほしいと考え、各国が応じないと、明らかなドル安政策を採用する可能性がある。そうなればユーロ 高や円高が進んで不景気に逆戻りするボタンを押し、『通貨戦』に発展する恐れもある」と警告している。 週明け六日の東京外為市場は、朝方に円が急伸し、一時、一ドル=一〇一円九一銭まで円高が進んだ。 ユーロも一時、一ユーロ=一・三四五三ドルと最高値を更新し、再びドル安の展開をみせた。一方、六日 のニューヨーク外為市場の円相場は午前八時半現在、前週末比三五銭円安ドル高の一ドル=一〇二円 四〇-五〇銭をつけている。 現下の諸問題と展望:260 追記11.ドル離れの加速化でドル崩壊から米国崩壊が早まるか 追記11.ドル離れの加速化でドル崩壊から米国崩壊が早まるか 朝日新聞紙2004年12月8日付け報道 (2004年12月8日) 【ドル離れじわり】 「ユーロ資産」へ動き 暴落懸念 日本は困惑 外国為替市場で、主要通貨に対するドルの全面安が続き、各国の「ドル離れ」が徐々に進んでいる。ア ジア諸国や産油国がドル資産をユーロに切り替えたのではないかとの観測は絶えず、ドル暴落の懸念が 強まってきている。大量の米国債を保有する日本もひとごとではありえない。だが、ドル資産の売却など、 ドル暴落を招きかねない行動もとれず、「口先介入」でドル安の進行を食い止めるのに必死だ。 ■米国債大量保有 「日本のように巨額なもの(米国債)を持っていると、全体の為替秩序に与える影響が非常に大きい。し かし、あまりリスクを背負い込んでもいけない」。谷垣財務相は7日の記者会見で、外貨準備でドル以外 の通貨に移す可能性について、苦しい胸の内を明かした。日本は米国債の発行残高の1割近くをもつと される世界一の保有者だ。ドル下落が続けば、外国為替資金特別会計にためこんだ保有資産の評価損 が膨らんでしまう。かといって、ドル資産売却をにおわす言質を市場に与えれば、ドル急落の引き金をひ きかねない--。谷垣氏の発言は、日本の置かれた難しい立場を表すものだ。 財務省が同日発表した月末現在の外貨準備高は8400億8700万ドル(約87兆円)。円高阻止のため、 昨年度に実施した30兆円を超える円売りドル買いの市場介入で急増。今春以降は介入を控えているも のの、最近のユーロ高でユーロ資産の評価額が上がり、60カ月連続で世界1位の水準だ。 ■ロシア・中国も? 各国の通貨当局は、すでにドルからユーロへ資産の入れ替えを進めているとの見方は強い。国際決済 銀行(BIS)は5日公表した金融市場の四半期報告で、「アジアの中央銀行や産油国が資産をドル建てか らユーロに移したと市湯の一部が確認した」と指摘。ロシアや中国もドルからユーロへの振り替えを始め たとの観測は絶えない。 英オブザーバー紙は5日、「ドルが下落を続ければ、巨額の資産が米から離れるだろう」とする自民党 の与謝野馨政調会長の発言内容を掲載。与謝野氏は「一般論で述べただけ」とするが、97年に当時の 橋本首相がニューヨークでの講演で「米国債を売却する誘惑にかられたことがある」と述べ、米株価の急 落を招いたことに擬する市場関係者もいる。 ■「米国は努力を」 「我々の国を守るためにやることはやる。日欧で協調した行動をとれる状況になってている」。財務省の 渡辺博史財務官は1日、記者の質問にこう断言し、日欧協調介入の準備を進めていることを強調した。 ユーロはドル安の影響を最も受け、連日のように最高値を更新。6日開かれたユーロ圏12カ国の財務 相会合では「最近の為替相猿の急激な動きは歓迎できない」とする声明を発表し、これまでよりも強い表 現で市場の動きにくぎを刺した。 米国から人民元切り上げを求められている中国も、人民銀行の李若谷副総裁が海外メディアを通じて 「(ドル安の一因である)米経常赤字の増大は、米国人が消費をしすぎ、貯蓄をしなさすぎていることに原 因がある」と発言。経常赤字の原因を「他人のせいにする」米国の姿勢を強く批判している。 ブッシュ米大統領は11月の日米首脳会談などで「強いドル政策」を繰り返し強調している。だが、市場 がほとんど反応せず、ドル全面安が進むのは、過去最大規模に膨れあがった経常赤字と財政赤字の 現下の諸問題と展望:261 「双子の赤字」への具体的な対処方針が締め示されないからだ。 日本としてもドルが急落すれば、円高は企業収益を直撃。日本の株価も下落し、減速懸念の強まる景 気の足をさらにひっぱりかねないリスクをはらむ。 市場介入で一時的に円安方向に誘導しても「しょせんは対症療法にすぎない」(市場関係者)との指摘 は多い。 渡辺財務官は「為替調整のインパクトなどたいしたことはない。それよも米国が財政赤字を減らし、貯蓄 率を上げるという方向性をどれだけ早く打ち出せるかにかかってている」と話し、米国の自助姿勢を強く 求めた。 30.EU(欧州連合)の破綻(2002年1月8日) 世界経済の崩壊の影響を受けて、欧州経済の牽引役のドイツ経済の後退、ドイツとフランスの指導権 争い、各国の経済破綻や財政赤字、そして社会不安や移民問題等により、次第に各国政権が右傾化し て各国ナショナリズムが台頭して来るであろうと思われる。既に、2002年7月段階で、右傾した政権は1 2カ国にも上っている現状だ。そして東方拡大政策が重荷になって分裂、崩壊に拍車を掛けていくことに なるだろう。 EU(欧州連合)とは、世界統一政府の樹立を目指す闇の陰謀勢力の壮大な陰謀達成への第一歩であ るが、その計画の実現は現在の通貨統合までであって、政治統合、法律統合への野望は2005,6年頃 には破綻していくことであろう。従って、巷間、噂される2005年に登場する欧州大統領、即ち、世界統一 政府の大統領としての偽救世主、反キリストなる人物は出現しないであろう。欧州連合自体が破綻し、彼 等の陰謀も崩壊していくからだ。 追記1: 追記1: 欧州が右旋回(2002年5月6日) 追記2: 追記2 : EU経済の7割を占める独仏伊が財政破綻に(2002年8月25日) 追記3: 追記3 : 不良債権処理重しに(2002年8月29日) 不良債権処理重しに(2002年8月29日) 追記4: 追記4 : EU東方拡大による言語上の混乱が(2002年8月29日) 追記5: 追記5 : 欧州中・東部が大洪水で経済に暗雲も(2002年9月4日) 補足: 補足 : 洪水復興に膨大な資金が(2002年10月2日) 追記6: 追記6 : ドル安のユーロ圏への影響深刻(2002年10月2日) 追記7.欧州連合(EU)の破綻への兆候か! 追記7 .欧州連合(EU)の破綻への兆候か! (2004年6月18日) 追記8.欧州憲法採択なるも、欧州合衆国創設への前途は険しいようだ 追記8 .欧州憲法採択なるも、欧州合衆国創設への前途は険しいようだ (2004年6月24日) 追記9.米国覇権からのEUの脱却は .米国覇権からのEUの脱却は可能か 追記9 .米国覇権からのEUの脱却は 可能か (2004年12月8日) 追記10. 追記10 . 2002年から新しい統一通貨としてユーロが発行されて新たな段階に入ったEU(欧州連合)は、一体い つ頃から始まり、如何なる背景の下に、何故に統合が始まったのであろうか。思い起こせば、EU(欧州連 合)は第二次世界大戦後、まもなく、ドイツ封じ込めとして、ドイツの石炭、鉄鋼の共同管理として始まった ようだ。1948年のベネルックス関税同盟と1952年のヨーロッパ石炭鉄鋼共同体に始まると言って良い だろう。 約半世紀かけて統合は関税同盟から経済通貨同盟へと進展し、2002年1月から新しいユーロの通貨 発行に漕ぎ着けたものである。ユーロ加盟国は当初の3(6)カ国から15カ国へと増加し、更に27カ国へ と進み出したようだ。振り返れば、ECとEFTA3カ国とEEA(1994)から、1995年にはリヒテンシュタイ ンが加盟して18カ国に至った。将来は東欧諸国も加盟して大きく拡大して予定だ。また、アルジェリア、モ ロッコ、リビア、チュニジアなどといった北アフリカ諸国の所謂マグレブ諸国も、EU諸国との緊密な貿易圏 現下の諸問題と展望:262 を形成している現状から言って、目下、EUに加盟が検討されているようだ。 ところでユーロと命名したのは1995年末であった。そして欧州共通の通貨に関する構想は実に今から 30年前にまで遡ることが出来る。先述したように、1952年の欧州石炭鉄鋼共同体で、独経済戦略産業 の鉄鋼と石炭を複数国で共同管理していく狙いがあったようだ。そして経済面での統合の総仕上げが20 02年1月から発足した通貨統合であったと言えよう。しかし、このEU(欧州連合)は未だ国連の常任理事 国でもあるイギリスが未加盟であり、更に、スウエーデン、デンマーク、ノルウェー、スイスも未加盟の状 況だ。 さて、東西ドイツが統合される1989年の前の西ドイツの頃ならば、フランスと西独は人口でも5千万人 ほどで拮抗していたが、東独が加わってからは人口が8千万人にも成り、更には欧州統合でオーストリア が参加するとなると一挙にドイツ語を話す国民が増加し、ドイツの発言力が高まってこざるを得ないのは 必然と言えよう。歴史を振り返れば、恰もかつて欧州に君臨した旧ハンガリー・オーストリー帝国の復活、 ハプスブルグ家の支配領土や権力の再来にも似た状況と言えよう。 ドイツの政治的台頭を象徴するものとしては、現在、EUでは公用語が英語とフランス語であったのが、 ドイツ語も入れろと言う要求がドイツから強力に出されてきている状況が雄弁に物語っていると言えよう。 ドイツが経済大国である以上、ドイツの要求が通るのも時間の問題であろうとの見方が優勢である。最早、 核保有国や国連常任理事国といった政治的、軍事的権力よりも、経済力が発言力を大きく決定する時代 に移行しつつあるからだ。 ところで、この欧州統合は大方の専門家の予想を裏切ってその内に失敗に終わるであろうと思われる。 当初の意図したドイツを封じ込めるための政策であったのが、逆に欧州全体がドイツに乗っ取られた結 果になっていき、国家連合を目指すフランスと連邦制を目指すドイツの深刻な対立が始まるであろう事が 懸念される。そもそも1989年のベルリンの壁の崩壊が大きな誤算であったし、東西ドイツの統合が予想 外であったと言えるし、結果的には失敗だったと言えよう。失敗というのは、均衡した国力による統合に至 るのではなく、ドイツの国力が余りにも突出してきたからである。 それに欧州社会全体の背後に見え隠れしている大きな問題として大量の移民問題があるが、欧州経 済の後退に伴って、この移民問題が大きく急浮上して、各国経済の大幅な失速、失業者の増大の社会不 安が移民問題と結び付けられ論じられる懸念もあると言えよう。その結果、各国の右傾化現象を招いて、 欧州統合に向けて大きな後退材料になっていきそうである。既に、欧州各国で左翼政権から保守政権へ と大きく政治の右傾化への兆候が見られ始めたようだ。 さて、ユーロ単一通貨の経済圏の形成に伴って、将来的にはドイツを中心としたユーロ経済圏が達成さ れるであろう。その結果、ドイツに対する警戒感が加盟諸国に高まっていくものと思われる。今や、中東 欧は事実上ドイツ経済圏であると言えよう。ドイツは既にEU経済の3分の1を占めるに至っている。200 2年1月から実施されたユーロ通貨統合においても、実質上はドイツマルクがユーロと改称した結果にな りそうだとの見方もあるようだ。ドイツ封じ込めから「ドイツのヨーロッパ」へと変貌していく傾向が強いと言 えよう。結果的にはドイツの封じ込めに失敗したと言える所以である。 即ち、封じ込めたつもりのドイツを生き返らせた結果になったようだ。今やドイツの中国進出も凄まじい 勢いだ。政治的にも台頭しつつあり、現にアフガン戦争を通じて、英仏と共に軍隊を派遣し、経済大国か ら政治中国を目指し、最終的には政治大国化を思考するとドイツ政府は明言している。目下、欧州統合 軍の創設を巡って、NATOと摩擦を生じている状況である。次第に軍事的にもドイツは復活し、欧州の中 心的存在となっていくことになるであろう。 換言すれば、EU(欧州連合)とは欧州合衆国であり、その中心のドイツを核とする古代ローマ帝国の復 活とも言えるものであり、パックスアメリカーナの終焉と共に、パックスヨーローパ(パックスドイッチェ)の 到来でもあろう。しかし、一方では、関係者の思惑通りには行かないで、旧ソ連の崩壊や米国連邦政府 の崩壊に見られるように、従来の覇権国家や超大国の存立は勿論、これからも従来型の覇権国家の存 現下の諸問題と展望:263 在は神仕組みにより認められなくなるであろうと思われる。世界における一極集中の弊害が余りにも大き すぎるからだ。協調と調和よりも支配と抑圧が優先する社会は平和と安定に逆行するからだ。世界は米 国の一極集中の大幅な後退と共に、米国を中心とする南北アメリカ大陸のNAFTAと、ドイツを中心とす る欧州のEUと、中国を中心とする東アジア地域の三大ブロック経済圏の形成に向かうであろう。 ところで、ラテン民族とゲルマン民族の対立、それにアングロサクソン民族との対立は歴史的にも相当 根深いものがあるようだ。特に現在、英国は未だ加盟を検討中であるが、既に加盟し中心的存在として 指導権の奪い合いで何かと対立しつつあるドイツとフランスの対立が、次第に表面化してくるような気配 を痛感するものだ。過去の幾多の戦争における歴史を見ても独仏の対立は、民族的気質にも根ざしたも のと言え、そう簡単には解消はしないであろうし、行き詰まった時には再度頭をもたげてくることであろうと 思われる。 また欧州合衆国と米国合衆国との覇権争いが表面化してくることであろう。両者の対立は、背後では欧 州経済を牛耳るロスチャイルド系ユダヤ資本と米国経済を牛耳るロックフェラー系ユダヤ資本との対立で もあろう。ロックフェラー系といえどもロスチャイルドの手下のようなものだから、結局は内部対立の表面 化とも言えるであろう。既に2001年9月11日のテロ事件において、第6章で指摘したようにロックフェラ ー制裁ないし切り捨てにその兆候の一端を垣間見た思いである。 さて、EU(欧州連合)は従来の予想に反して余りにも拡大し過ぎたようだ。それでも現在も加盟申請中 の国家も多数あるようだ。経済格差が大きく異なる国家群の間に次第に不協和音が生まれてくる気配が 感じられる。現在の加盟国はドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、イタリア、ポルトガル、スペイン、ギリ シャ、マルタ、オーストリア、スロベニア、スウェーデン、フインランド、ルクセンブルグ、アイルランドの15 カ国である。将来のEU拡大の可能性を見ると、2004年の加盟が可能な候補国としては、ポーランド、チ ェコ、スロバキア、ハンガリー、リトアニア、ラトビア、エストニアである。その後の加盟候補国では、ブルガ リア、ルーマニアだ。将来の加盟候補国ではトルコである。スイス、アイスランド、ノルウエーは可能性が ないと言ったところであろう。もっともスイスは永世中立国であり、国連にも加盟していない状況であり、ノ ルウエーも豊富な石油資源を国益として守る必要があるからだとも指摘されている。 なお、EU(欧州連合)は経済統合から関税統合へと進み、今回の通貨統合を達成し、将来は憲法統合 から法律統合、政治統合、そして最終的には軍事統合を目指す勢いである。目下、対アフガン戦争に向 けて,更には中近東の安定化に向けて、英仏独が軍隊を派遣してきている。軍事力が統合されれば、正 にアメリカ合衆国に取って代わり得る強力、強大な欧州(ヨーロッパ)合衆国の到来であろうし、先述した ように、神聖ローマ帝国乃至古代ローマ帝国の復活でもあろう。 しかしながら、EU(欧州連合)の先行き不安な材料は、既に新聞報道でも一部で指摘されてきているよ うだ。情報は何気ないところに転がっているものだが、要は、的確な分析、洞察でもって先見し得るかどう かに掛かっていると言えよう。不安や混乱を単なる成功の将来への小さい障害と見るか、大きな障害と 見るかの見解の相違とも言えるだろう。吾々は、EU(欧州連合)という壮大な実験が将来的には大きく破 綻する方向が勝っていると分析して指摘するものである。 参考までに、2001年12月19日付けの某新聞を紹介しよう。それによると、「欧州連合(EU)は近い将 来に加盟国が15カ国から20数カ国に増大する。しかし、その将来像が巨大な連邦国家なのか緊密な国 家連合体なのか明確でない。ブリュッセルのラーケン王宮で開かれたEU首脳会議は15日、EUの将来 像を話し合う協議会の設置を明記した「ラーケン宣言」を採択した。 「どこまで欧州統合を進めるのか」という未来論争の本格的な開始を告げる宣言だ。EUは12カ国と加 盟交渉を進め、チェコやハンガリーなど10カ国は04年の加盟が見込まれる。しかし加盟国が増えれば、 各加盟国の権限やEU全体の意志決定の在り方も変化する。巨大化に効率悪化の懸念がある一方、逆 に効率化は中央集権の弊害が心配される。EUは大きな改革を決める場合、政府間会議を開いたうえで 最終的に首脳会議で決議する。次の政府間会議は04年に開かれる。「ラーケン宣言」によると、この間 現下の諸問題と展望:264 に論点を整理して討議の方向性を示すため、協議会が設置されることになった。 協議会はEU本部や加盟国、加盟候補国などの代表100人以上で構成、来年3月に発足する。70年 代にEU統合に貢献したジスカールデスタン元仏大統領が議長、副議長にはナマート前イタリア首相とデ マーネ前ベルギー首相が決まった。協議会に託される議題は、 1.加盟国はEUにどこまで国家権限を 譲れ るか 2.複雑化したEUの機構をどこまで簡素化できるか 3.権限を持ったEUをどこまで民主化 できるか 4.EU加盟国の諸国が共通の憲法を持てるか -の4項目が中心となる。 更に宣言は、各国の推薦で決まる欧州委員長を今後は選挙で選べないか、食品の安全管理や環境問 題で協力を深められないか、条約を整理統合できないか- などの問題を提起して協議会に検討を依頼 している。協議会は1年以上の討議をしたうえで答申を出す。「ラーケン宣言」で設置が決まった協議会の 論議の方向を巡り、英独仏の思惑が早くもぶつかり合っている。緩やかな連合国家を模索する英国に対 し、ドイツはEUを巨大な連邦国家にする構想を掲げ、フランスは国家権限を残しながら強固な国家連合 を目指す。3大国の立場を基点に激しい論戦が展開されそうだ。 ドイツ人議長でないことが英国ブレア首相の妥協点だった。英国だけではなく国家存続が基本姿勢のフ ランスも、EU執行機関を中央政府に見立てるドイツの欧州連邦構想には反対だ。フランス人議長の間は ドイツの野望は実現しない。しかし、フランスは国家連合の強化という点では推進派だ。フランス流の人 権思想などの理念や法制度、つまり自らの政治志向をEUに広めることを狙う。ドイツはEU最大の人口 を生かしたい。加盟国の国民一人の権利を平等にする連邦制度を採用すれば発言力が強まる。しかも 急がなくても単一通貨ユーロが安定すれば経済大国ドイツの地位は向上する。協議会議長がフランス人 でもまだ余裕がある。 この3大国の思惑に他の加盟国は自らの国益をすり合わせる。国家主義が強まったイタリアやスペイン は独仏連携の統合に懐疑的で、英国に接近する傾向がある。オランダやベルギーは独仏連携を土台に した国益を期待する。ギリシャやデンマークは小国の権利の維持に賢明だ。英独仏の主導権争い、緩や かな連合から「連邦国家」まで、目指す制度がずれている。」と指摘しているが、先の計画がどこまで達成 していくのか予断を許さない状況であり、英国仏の微妙で複雑な思惑が絡み合って、辛うじて力の均衡 が保たれているように思われる。 また、2001年12月22日付けの某経済関係の週刊誌によると、「2002年度EUの失業率は上昇の見 込み」であると言う。そして米国テロ事件の影響を受けて先行き不安な経済状況を次のように述べている。 「2002年1月1日にユーロがユーロ圏内で単一通貨として導入されるが、ヨーロッパでは2002年が殆 どのEU諸国にとって非常に困難な年になることは確実と見られている。実質経済成長率が大幅に低下 する一方、失業率は急上昇すると考えられるからだ。ユーロ圏内12カ国の平均失業率は、2001年度の 8.3%から2002年度は8.6%に上昇すると予測される。ユーロ圏に入っていないイギリス、デンマーク、 スウエーデンも来年度には失業率が上昇する可能性がある。つまり、2002年は、EU加盟国全てが失 業率上昇という問題に直面することになる。 ユーロ圏の実質経済成長率は、2001年春の時点では2001年度は約2.8%、2002年度は2.9% と予測されていたが、その後大幅に下方修正され、2001年度は1.6%前後、2002年度には1.3%ま で下降する見通しだ。下方修正の最大の原因は、米国同時多発テロ事件を契機とする国際環境の変化 である。これにより、対米輸出の減少から生産減少、雇用低下という悪循環が予測されているのだ。だが、 欧州企業の多くは、テロ事件に伴う環境変化をリストラの絶好の口実にしたという見方もある。 一方、2002年度の経済成長率予測を国別に見ると、ドイツはわずか0.7%、欧州委員会はこの低成 長率の原因を、1989年のドイツ再統一に関するコスト、高い税金、そして、過剰設備のために業績が著 しく悪化している建設業のせいだと考えている。フランスとイタリアは、ドイツを若干上回る程度だが、イギ リスは1.7%とG7諸国では最も高い水準となる見込み。欧州委員会は、イギリスの成長率の理由は個 人消費の増加と強気な公共投資にあると考えている。EUで最高の成長率達成が予想されるのは、ギリ 現下の諸問題と展望:265 シャ(3.8%)である。2004年アテネ五輪に向けての支出急増のためだ。道路網改善など大規模インフ ラ計画のために、ギリシャは2002年度、EUから多額の資金供与を受ける予定だ。」と指摘している。 そして2001年12月19日付けの某新聞報道では、「欧州単一通貨ユーロを導入した12カ国うち、独 仏など主要国で財政赤字が拡大する傾向が明らかになり、欧州中央銀行(ECB)が警鐘を鳴らしている。 ドイツなどでは単年度赤字の国内総生産(GDP)比がユーロ参加基準である3%に近づいており、「3% 問題」が、現金流通を直前に控え再浮上してきた。欧州委員会によると、ユーロ圏12カ国合計の財政収 支は2000年のGDP比0.3%の黒字から、2001年は同1.1%の赤字に転落する見通しとなり、199 3年以来初めて財政事情が悪化する。2002年の予測値は、ドイツで2.7%の赤字と2000年の1.2% の黒字から一気に悪化するほか、フランスも1.6%、イタリアも1.2%の赤字と主要国が軒並み財政赤 字を垂れ流す形となる。」として厳しい雇用情勢や財政状況に対しても懸念されているようだ。 既に指摘したように、2004,5年頃に発生すると懸念される日本の国家破産が、欧米にも少なからず 影響を及ぼして行くことになるようだ。即ち、2005,6年頃に米国や欧州をも巻き込んで、米国連邦政府 崩壊、欧州合衆国の破綻を引き起こし、先進工業諸国を道連れにして共倒れになっていくように思われ る。目下、米国に最も投資しているのは欧州である。ドルを金に交換して危険負担の分散を図っているよ うだが、米国の圧力で交換した金を米国に保管させられているのが現状である。従って米国と同時期に 運命を共にする公算が強いと言えよう。これは全て一連の神仕組みによるものであろう。 そして、EU(欧州連合)が、政治統合や法律統合のヨーロッパ合衆国に至ることなく破綻していく最も大 きな原因は、EUの中心的な存在としてのドイツとフランスの対立の顕在化と共に、それ以上に、一番中 枢を占めて核となるべきドイツが経済的に破綻し崩壊していくからに他ならない。むしろこの方が勝ってい ると言えよう。今でも、ドイツ経済の悪化、失業者の増大、財政赤字の拡大に伴って、国民総生産に占め る財政赤字が2.6%にも達し、EU加盟の3%基準に到達する勢いで財政収支が悪化している。国内経 済の低迷も、日本と同様に、実に失われた10年を経験しようとしている有様だ。結局、東西ドイツの統合 が裏目に出て重荷になったと言うことであろう。 後述するように、EU(欧州連合)、即ち、ヨーロッパ合衆国なるものは、国境消滅、国家解体を図って世 界統一政府の樹立を目指し、一部の支配階級の下に、各国の国民大衆を管理し奴隷化し家畜化すると 言った、ユダヤ系国際金融資本を頂点とする闇の陰謀勢力の壮大なワンワールドオーダーの確立の計 画の実験台でもある。しかしながら、それすらも大きく破綻していくと言うことである。一部では、既に21 世紀までには成就するといった指摘も存在していて、通貨統合でほぼ完成したように思われているが、 精々が通貨統合までであり、とても政治統合、法律統合、軍事統合までは行かないであろう。2000年を 境にして世界の情勢は大きく陰謀勢力の崩壊に向けて真の神仏の波動が浸透して行っているようだ。 追記1: 欧州が右旋回(2002年5月6日) (4月23日付け日経新聞を参考に情勢分析した) 欧州が右旋回を志向し、自国重視に大きく舵取りを迫られてきているようだ。欧州各国の国民の一部に EU統合への不満が燻(くすぶ)り、それが顕在化して来そうだ。4月21日のフランス大統領選で、極右政 党「国民戦線」のルペン党首(73)がシラク大統領(69)とともに5月5日の決選投票に進んだ。5月5日 の結果はシラク大統領側が82%、ルペン側が18%で、圧倒的にシラクの勝利だった。しかし、国民は必 ずしもシラクに賛同して票を投じたわけではなかったようだ。他に選択肢がなかっただけで、移民反対を 喧伝する急進的な右翼の台頭に付いて行けずに、仕方なく「ノン」を突き付けただけだ。 フランスでの極右の台頭は、欧州政治で昨年から続く「右旋回」の流れを決定づけた。右翼勢力の台頭 の背景には、欧州連合(EU)の統合・拡大に各国の不満が噴出、「欧州よりも自国」を向いた政策を求め ていることがあるようだ。右翼と言っても、新聞、マスコミが嫌悪するようなヒットラーの到来と言うよりも、 案外、健全な国家利益、国民利益を主張する単なる愛国主義者であるような気もする。右翼と左翼の対 立と言うよりも、見方を変えれば、自国利益追求(愛国的)か、EU全体の利益協調(売国的)かの相違で 現下の諸問題と展望:266 もあるだろう。一方では、オランダでは、駐車場で極左により右翼党首が暗殺された事件も発生した。 欧州では昨年から、中道左派から右派への政権交代が相次いでいる。イタリアに次いで、デンマーク、 ポルトガルでも極右を含んだ保守派が政権を奪回した。90年代後半に欧州で一世を風靡した中道左派。 その退潮は、EUの通貨統合の成功と、加盟国の拡大が引き起こした。右翼にしても、単なる拝外主義を 煽動するだけでは、広く国民の理解は得られないであろう。 本来、フランスの社会党や共産党など左派は弱者救済を掲げる政党だった。それが政権党になり、欧 州統合に関与するに従い、構造改革など国民の痛みを伴う政策を進めるようになる。政策的に保守・中 道政党との違いがなくなっていった。大統領選で社会党のジョスパン党首が敗れたのは「欧州レベルでの 競争に不満を持つ失業者や農民が投票を棄権したが、極右に流れた」ためとみられる。こうした不満を吸 収できないまま、昨年9月、米国同時テロが発生し、国民の関心は「治安」に移った。移民流入に一貫し て反対を掲げるルペン党首の主張は、テロに不安を感じる投票者に受け入れやすかった。 右派に政権交代をした各国で目立つのは移民制限など内向きの政策への転換だ。今回のフランスの ルペン候補も移民排撃の政策が目立ったようだ。デンマークの自由党政権は、極右政党の閣外協力を 得るため、移民受け入れ制限を担当する担当相を新設した。フランスでもシラク大統領が結果的には再 選出来たとしても、今後、極右台頭を考慮した政策を打ち出さざるを得なく、相当に困難な政治の舵取り が求められるようだ。大統領は選挙前から「欧州よりも自国の利益を重視して欲しい」という国民の声を 受けて欧州の電力自由化に反対する立場を取るなど、欧州の構造改革に踏み込まない姿勢をみせてい る。 フランス大統領選と同じ日に行われたドイツの旧東独州の議会選では、シュレーダー首相率いる社会 民主党が惨敗した。9月の総選挙でも右派が勝つとなれば、EUが進めてきた改革や拡大にブレーキが かかる事態も考えられる。案外、こうした動きや国民意識の変化においても、EU統合の破綻が迫ってい るものと思われる。国家主権を否定するなどは、国際協調とは言っても、所詮は売国的、亡国的であり、 国家喪失であり、次第に如何に虚構に満ちたまやかしであり、闇の陰謀勢力の国家解体にしか過ぎない ことが明らかになっていくことであろう。 こうしてみると、欧州連合の破綻の最大要因は、ここに来て、当初予測していたドイツとフランスとの対 立とか、ドイツ経済の悪化などよりも、実に、イスラム諸国からの大量の移民問題であろうと思われる。即 ち、世界経済の悪化による失業者の増大、社会不安の拡大等から、これまで労働力不足から積極的に 導入してきた大量の移民問題が関連付けられて、次第に政治問題化して各国の右傾化を招いて、ナショ ナリズムに火を付けていき、その結果、統合への流れを大きく後退させていきそうである。 追記2: EU経済の7割を占める独仏伊が財政破綻に(2002年8月25日) EU経済の7割を占める独仏伊が財政破綻に(2002年8月25日) 欧州連合(EU)の12カ国が参加する単一通貨「ユーロ」の順調な成長を支えるために決められた財政 安定化・成長協定のことである。各国政府が、国家予算の財政赤字を国内総生産(GDP)の3%内に抑 え、違反国には制裁金を課すという内容だ。 この共通ルールはユーロの国際的信認を高めるための基準だが、ポルトガルがその違反第一号として 指名される事態となった。EU内では貧しい国の一つであり、驚くべきことでもない。しかし、座視できない 危険信号である。ただ、ポルトガル経済は、規模が小さく、波紋が広がることはない・EUが頭を痛めてい るのは、もっと深刻な事態が予想されているからだ。 ドイツの今年度の財政赤字が基準を超える可能性が高まっているほか、フランスやイタリアも財政の柔 軟運営を主張し始めている。この三カ国のGDP総額はユーロ圏の7割を超える。とりわけ、EUの盟主で あり、ユーロの牽引役でもある独仏両国の動向から目を離せない。ドイツは予想以上の税収減が濃厚に なっている。加えて、来月に総選挙を控え財布のひもを締める政策を打ち出しにくい状況にある。 それでなくとも、ユーロ圏の今年の経済成長は、事前予想を下回り、1%前後と見込まれている。欧州 現下の諸問題と展望:267 の復権を目指し、世界の基軸通貨ドルに挑戦して登場したユーロは、低迷状態を脱し、いま念願の対ド ル等価に近い水準にある。参加国が独自の金融政策をとれない以上、この基調を再び逆転させないた めには、やはり財政規律を守ることが必要だ。 追記3: 不良債権処理重しに(2002年8月29日) 8月27日日経から「不良債権が重し」と題した記事の抜粋し紹介しておこう。 欧州の主要金融グループの2002年6月中間決算は、16グループのうち14が減益、または赤字に転 落した。米通信大手ワールドコムなど相次ぐ大型倒産で不良債権処理額が増え、世界的な株安も打撃と なった。自国経済の回復が遅れているドイツ税の不信が際立ち、新たな金融再編も取りざたされている。 増益は2グループで英国RBSなどだ。 先週までに中間決算を発表した金融グループのうち、純利益が前年同期より増えたのはオランダ最大 手INGと英銀二位のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)のにグループに留まった。各国中銀の 低金利政策で前年に比べて資金調達コストが低下したにも関わらず、大半の銀行が減益になったのは、 不良債権処理が重しになったためだ。 英ロイズTSBやオランダのABNアムロなどは経営破綻したワールドコム向け債権を償却。高い収益力 で欧州金融界の「台風の目」になっていたサンタンデール・セントラル・イスパノ銀行(BSCH)などのスペ イン勢は、アルゼンチンなど中南米向け不良債権の増加が収益を圧迫し失速した。フランスでは巨額負 債を抱え再建中の総合メディア企業ビベンディ・ユニバーサルへの30億ユーロ(3千500億円)の追加 融資にBNPパリバなどが応じるかが焦点になっている。 不振のドイツ勢が際立つようだ。「海外の投資環境が厳しさを増している」(英バークレイズのバレット最 高経営責任者)中で、収益源となるのは国内業務だ。ドイツでは今年に入って建設のホルツマン、メディ アのキルヒグループなど国内の大手企業が相次ぎ破綻し、「年間4万社の倒産が予想される」(ヒポ・フェ ラインス)という厳しい状況。 ドイツのリテール(小口金融)市場は中小金融機関の存在感が大きく大手銀の金利決定能力が弱い。 四行とも黒字を維持していたとはいえ利益率は低く、「勝ち組の英、仏勢と負け組のドイツ勢という構図」 (格付け会社フィッチ)が浮き彫りになってきた。新たな買収観測として、クレディ・スイスはただ一社、最終 赤字を計上した。世界的な株安で生命保険部門の保有株式に巨額損失が発生、減配を検討する。経営 陣への批判が強まっており、市場ではライバルのUBSなどによる買収観測まで浮上しているようだ。再 編が進んだ英国では、これ以上の寡占化を防ぐため、政府が大手銀による国内での合併・買収(M&A) を打ち止めにした。ロイズTSBやRBSは大陸欧州銀の買収検討を表明している。 追記4: EU東方拡大による言語上の混乱が(2002年8月29日) 日経の8月22日掲載記事に、「EU東方拡大で重いコスト」との見出しで、EUの将来の破綻を予測する に充分な内容が紹介されていた。 「ポーランド、チェコ、ハンガリーなど中・東欧を中心とする十カ国のEU加盟交渉が大詰めを迎えている。 年内に交渉を決着させ、2004年に加盟というのがEUの描く段取り。7月からEU議長国になったデンマ ークも「今年後半の最優先課題だ」と意気込む。 だが一気に十カ国というのは、拡大を繰り返してきたEUの歴史でも例を見ない。迎えるEU側も準備を 進めるにつれ、ことの大変さに気付き始めたようだ。 通訳・翻訳関係スタッフは一言語につき約百五十人、合わせて千五百人以上が必要---。欧州委員 会の人員計画案だ。EUが現在、会議や文書で使う公用語は英独仏など十一。新規加盟予定の十カ国 は全て言語が異なるから、公用語は二十一に増える。 現下の諸問題と展望:268 通訳や翻訳は単純に倍ですまない。例えば、会議で出席者が英語で発言すると、他の公用語全てに訳 すのがルール。言語が十一なら組合せは百十だが、二十一になると四百二十へと四倍に膨らむ。他言 語を操る達人がざらのEU通訳でも中・東欧の言葉が解る人は少ない。公用語の数は国連でさえ六つ。 それでもEUが増やし続けるのは、自国の言葉を使う権利を「欧州民主主義の基本」(プロディ欧州委員 長)と位置付けられるからだ。欧州統合は加盟国が主権の一部を譲り渡しながら進んできた。その前提と して、各国固有の文化や多様性を尊重するのが大原則。しかし、維持するための負担はかつてなく重くな りつつある。 農業補助金や発展途上地域への助成金といった、EU新規加盟国ヘの直接的な資金負担も巨額にの ぼる。さらに東方拡大が突く付ける本質的な問題は、これだけの数の国を抱え、共同体としての運営がこ れまで通りに行くのかという点だ。この際、EUの設計図を全面的に見直そうという作業が始まった。今春 発足した「欧州の将来に関する協議会」(議長・ジスカールデスタン元仏大統領)だ。EU統一憲法の起草 を検討中だが、既存の枠組みを変えるとなると抵抗も強く、議論は白紙の状態だ。 前のめりの政治家やEU官僚をよそに、市民は冷めている。域内の若者を対象にした欧州委の世論調 査では、諮問会議の重要議題として加盟国拡大を挙げたのはわずか29%。最上位は失業や貧困対策 (79%)だった。一般市民の関心は拡大の歴史的意味より、移民との競合や治安問題に向かいがちだ。 それでも、ひとたび走り出した欧州の指導者達は夏休み明けから拡大問題の決着に全力を挙げるだろう。 姿勢は内向きになり、外の世界に配慮する余裕はなくなる。米国などとすれ違う場面も増えるかも知れな い。 東西一体化に伴う政治的安定、四億五千万人の巨大市場がもたらす経済効果---。EUの扉を東に 向けて開く意義は大きい。だが、引き換えに有形無形のコストが内外にどれだけ及ぶか、EU自身も明確 な試算は持ち合わせていない。」(ブリュッセル=刀祢館久雄) 追記5: 欧州中・東部が大洪水で経済に暗雲も(2002年9月4日) 8月始めに発生した欧州の主要河川の150年繰りの大洪水が欧州経済の牽引役のドイツ経済に暗雲 をもたらしているようだ。死者100人で、復興資金が100億円掛かるとも予想されているようだ。次第に 吾々の予想する欧州の破綻が様々な面から現実化していきそうだ。EUの破綻は現在、誰も予想してい ないものであるし、殆どがバラ色の将来を描いているようだ。日経記事を以下に紹介しておこう。 日経9月3日報道によれば、大洪水はドイツ経済のお荷物と言われ続けてきた旧東独地域を覆い、特 にドレスデンに壊滅的な打撃を与えた。エルベ川は9月2日、ほぼ通常の水位となったが傷跡は予想以 上に大きい。ドレスデンを州都とするザクセン州は被害額は150億ユーロ(約1兆7千億円)と公表、オペ ラハウスだけで2千万ユーロの被害規模だ。 旧東独五州は今でも年間約三百億ユーロの資金援助を受け、いわば旧東独地域はカネ漬けの状態が 続いている。ドイツ自慢のアウトバーン(高速道路)は工事だらけで、渋滞は日常茶飯事。それでも失業 率が旧西独の倍以上、18%と高いのは企業が育たなかったからだ。そこへ洪水が襲い、政府は百億ユ ーロ近い資金を追加投資しようとしている。復興支援については論を待たない。政治的統一から間もなく 12年を経過しようとしている。ドイツは最大の危機に直面しているようだ。 補足: 洪水復興に膨大な資金が(2002年10月2日) 日経新聞9月29日によると、「独の洪水被害、2兆7000億円」と題して、次のように伝えている。 「ドイツ政府は8月に同国東部を襲った洪水の被害状況を初めて集計した。被災者は少なくとも33万7 千人。各州の数字を集計すると被害総額は226億ユーロ(約2兆7千億円)にのぼる。政府は100億ユ ーロ規模の復興資金を捻出、被害や援助金分配のデータベースを作り、混乱を最小限に抑える方針だ。 現下の諸問題と展望:269 インフラの被害は道路で総延長740キロに及び、エルベ川などにかかる180以上の橋が損壊した。復 旧は急ピッチで進んでいるが、個人や企業は移動などの制約を余儀なくされている。洪水の影響を受け た企業数はザクセン州だけで1万1千社。中小企業の被害が大きく、同州で企業からの復興資金の申込 額は7億ユーロを突破したという。政府によると被災地に入った連邦軍兵士やボランティアは12万8千人 に達した。連邦雇用庁は復旧作業のため失業者5千人を被災企業などに派遣している。」 こうした資金の拠出が、復興特需に伴う失業対策や景気振興という面よりも、ドイツ経済に大きく財政的 負担となって行くだろう。 追記6: ドル安のユーロ圏への影響深刻 (2002年10月2日) 2002年に入って、米国から欧州勢の資金がユーロに転換されて引き揚げられ流出してきているが、そ の結果のユーロ高、ドル安に伴う北米への輸出環境が次第に深刻な影響を及ぼし始めたようだ。以下に、 「欧州企業のドル安の影北米輸出の採算悪化」と題して掲載された最近の某大手新聞記事を紹介しよう。 「ドル安傾向が欧州企業の収益回復に影を落とし始めた。人員削減などのリストラが奏功し、2002年 の英企業は前年比3%、英を除く欧州企業は同30%の増益になりそうだが、ドル安が強まった6月に比 べ増益率は4-8ポイント下方修正された。米企業業績も下振れ懸念が強く、米欧で雇用削減が更に広 がる可能性もある。 背景には本格的に進んだユーロ高・ドル安がある。「ユーロがドルに対して10%上昇すると、欧州企業 の利益が5%下方修正される要因になる」と指摘する。ユーロ圏企業は平均して売上高の約3割を米国 向けが占め、ユーロ高・ドル安が輸出採算の悪化を招くからだ。「ドル安に伴う輸出競争力の低下」「ユー ロ高が欧州企業の業績に本格的に響くのは2003年から」との見方は強い。 英企業はポンド高・ドル安に苦しむほか、売上高や利益の米国依存度が5割を超える事例も多いため、 予想増益率はユーロ圏より低い。 追記7.欧州連合(EU)の破綻への兆候か! (2004年6月18日) 目下、欧州憲法の制定から、欧州大統領へと、そしてNATOに代わる欧州軍の創設へと進展しつつあ る欧州統合による壮大な欧州合衆国の建設であるが、これは通貨統合までで、とても政治統合、軍事統 合までは行かないであろうと言うことを、当HPでも既に指摘した。 http://www4.ocn.ne.jp/~mukzke98/shojyosei.html#30 これを示唆するような兆候が現れた記事を紹介しよう。欧州が統合に向かうどころか、分裂破綻に向か い始める兆候を示すものだ。 6月15日付け日経新聞 欧州議会選挙 【与党離れ鮮明】経済運営やイラク問題「英独仏で政策批判」 【ブリュッセル=刀祢館久雄】十四日までに大勢が判明した欧州連合(EU)の欧州議会選挙で、英独仏な ど主要国の政権与党が軒並み敗北・後退し、欧州有権者の「与党離れ」が鮮明になった。投票を左右し たのは EU レベルの政策論争ではなく、経済運営やイラク戦争への立場といった各国の政策への不満だ った。英独仏とも政権基盤が弱まりかねず、一段と厳しい政策のかじ取りを迫られそうだ。 「連立与党の政策が支持を集めていないことを明確に示した」。ドイツの野党・キリスト教民主同盟 (CDU)のメルケル党首は三日、欧州議会選挙の結を受けてこう宣言した。U 機関の選挙にもかかわらず、 各国で関心を集めたのは、政府への批判票がどれだけ野党に向かうかだった。 五年に一度の欧州議会選挙は、EU の全加盟国で一斉に実施する唯一の直接選挙で、欧州全体の政 治潮流を映し出すことが多い。前回一九九九年の選挙では最大勢力だった中道左派が敗れ、その後イ タリア、フランスなどで相次ぎ中道右派が政権を掌握。それまで EU 十五カ国のうち十三カ国で与党の座 現下の諸問題と展望:270 にあった中道派勢力が後退する分岐点となった。 だが、今回の欧州議会選結果は、左右の色分けと直接結びつかない。英国やドイツで政権党の「左」が 後退する一方、フランスでは与党の「右」が故北するなど、反対方向の動きが重なり、欧州議会全体とし ては左右のバランスがほぼ現状維持に落ち着いた。共通したのは、各国与党の退潮という点だった。 ドイツでは高い失業率に加え、社会保障や労働市場の改革に国民の不満が高まり、与党・社会民主党 (SPD)の得票は第二次大戦後の最低水準に落ち込んだ。 フランスでも社会保障改革をめぐりラファラン内閣の支持率が低迷し、三月の地方選挙に続く与党敗北 となった。野党が支持を集めたというより、現状を打開できない与党に有権者が背を向けた面が大きい。 英国では米国の対イラク政策を支持するプレア政権への批判などから、十日の地方選で労働党が大 敗。欧州議会選でも労働党は後退が確実となった。対イラク政策で米支持を貫くイタリアのベルルスコー 二首相の与党も、得票率が下がったもようだ。 一方、英国では最大野党の保守党も得票率が低下。EU からの脱退を主張する「英国独立党」が急伸し た。チェコでも EU に批判的な野党が与党を大きく上回る票を得るなど、一部の国で有権者の EU 離れ」 が目立った。親 EU 路線を取るブレア首相には、この点でも打撃になっている。 6月15日付け毎日新聞 欧州議会 【EU憲法・トルコ加盟問題】重要課題に黄信号 【ブリュッセル福原直樹】 13 日に開票が始まった欧州連合(EU)の欧州議会選挙の結果は、欧州(EU)憲法やトルコ加盟問題など、 EU の重要課題の前途に黄信号をともした。反 EU 政党が躍進した英国とポーランドでは憲法批准に国民 投票が予想され、ここで国民が否決した場合は憲法を発効できない。またドイツでトルコ加盟を支持して いた与党・社民党が歴史的な敗北を喫したことで、加盟交渉の開始が遅れる可能性もでてきた。 14 日午後現在、英国で「EU 脱退」を訴える独党が 12 議席を獲得、国政与党・労働党(19 議席)に迫る躍 進を示したほか、ポーランドでは反 EU の「家族連盟」が第 3 位に躍進、EU 脱退も辞さない姿勢の「自衛」 も 2 位につけた。 欧州憲法は今月の採沢を目指し、各国が交渉中。だが発効には全加盟国の批准が必要で、現時点で 英国で国民投票を行った場合、過半数が批准反対に回るとされる。また、ポーランドでも欧州憲法の定 めた多数決方式が「自国に不利だ」として、「家族連盟」など 2 党を中心に不満がうっ積。国民投票で否定 的な結果がでる可能性が出ている。 一方、トルコ加盟を巡って EU は、加盟交渉の開始の是非を年内に判断する。だが独では野党・キリスト 教社会同盟が「トルコ加盟阻止に向け国民投票を行うべきだ」と主張。同じく加盟反対のキリスト教民主 同盟と共に 45%を獲得し、与党・社民党(22%)を大きく引き離した。 社民党は EU でトルコ加盟を推進するけん引車だった。だがキリスト教社会同盟・民主同盟側は今回の 大勝を受け、EU の「内閣」に当たる欧州委員会に、自陣営から委員を選出することすら要求。実現した場 合、トルコ加盟交渉の是非を巡る議論にマイナスの影響が出ることは避けられないと見られる。 6月15日付け毎日新聞 「欧州議会選」 【拡大EU早くも逆風】「脱退」訴え英で躍進「独仏、国勢与党が敗北」 14 日大勢が判明した欧州連合(EU)の欧州議会選挙の結果、EU 統合の主軸である独仏で国政与党が 敗北を喫し、英国では EU 脱退を求める政党が大躍進した。投票率も約 46%と史上最低を記録し、5 月に 25 カ国体制となったばかりの拡大 EU には「逆風」の結果となった。欧州の政治情勢を如実に反映する各 現下の諸問題と展望:271 国の選挙結果を分析した。 反 EU 政党が急伸 ■英国 2 大政党の与党・労働党と野党・保守党が惨敗した。1 選挙区の開票を残し、EU 離脱を掲げる英国独立 党の得票率が前回(99 年)比 9 ポイント増の約 16%(議席数 12)へ急伸。「反欧州」の世論が根強いことを裏 付ける結果となり、ブレア首相が実施の意向を示す欧州(EU)憲法をめぐる国民投票にも影響を与えそう だ。 欧州議会での英国第 1 党・保守党の得票率は 9 ポイント減の 27%、労働党は 5 ポイント減の 23%。独立 党は EU 離脱という明確な主張で、「反欧州」の保守票を幅広く集めた。ブレア労働党には積極的な欧州 与策、イラク政策で徴が集まった。 【ロンドン山科武司】 トルコ問題2極化 ■ドイツ ドイツではトルコの EU 加盟に反対する野党・キリスト教社会同盟など 45%(49 議席)と大きく票を伸ばし、 与党・社党(22%)が歴史的な敗北を喫した。一方で、人のトルコ系ドイツ、エーガー氏(62)=社民党 11 と、 オツデミアー民(総)=与党・緑の党 11 が初めて当選し、トルコ問題をめぐって 2 極化の動きが際立った。 エーガー氏は 60 年に独に移り住み、69 年に旅行会社社を設立し、96 年に独国籍を取得。「私の当選は、 社会が開放的になった象徴」と話す。社民党はトルコの EU 加盟を訴え、シュレーダー首相自身が同氏を 比例代表名簿の上位に据えたという。 一方、トルコ人を両親に独で生まれたオツデミアー氏は「私はいまだにトルコ人と言われる。独社会には 差別が残る」と指摘。その上で、「EU は差別禁止の法制を各国に求めている」と欧州議会での活動に意 欲を見せる。独には高度成長期に労働力として定着したトルコ人が 260 万人いる。 【ベルリン斎藤義彦】 反欧州世論沈静化 ■フランス フランスではトルコ加盟に前向きな野党の社会党が約 30%(30 議席)と最高得票で 3 月の地方選に続き 勝利した。また欧州中心主義の中道「フランス民主連合」へ UDF)が第 3 位に大躍進し、同連合党首は「こ れまでの欧州議会にない親欧州の一中道政治勢方の誕生だ」と勝利宣言した。 選挙に向け、シラク大統領の支持母体である「国民運動連合」(UM)は地方選の雪辱を期し、①トルコの EU 加盟反対②「欧州憲法」批准での国民投票の実施--などを主張、UMP よりも欧州寄りの UDF を攻 撃した。だが UDF は 12%(11 議席)の得票率で初めて第 3 位に浮上し、UMP は 17%(17 議席)と伸び悩ん だ。EU の権限強化に反対する右派、極左も退潮、反欧州世論が沈静化しつつある模様だ。 【パリ福島良典】 首相与党、退潮 ■イタリア イタリア中道右派政権と率いるベルルスコーニ首相の右派政党「フォルツァ・イタリア」の得票率は 21%(17 議席)で、前回の得票率 25.2%を下回った。イラク問題での親米路線や年金改革への批判が響い たとみられる。だが、与党連合全体では第 2 党の右派「国民同盟」や中道政党が微増し、与野党の勢力 逆転には至らない模様だ。 現下の諸問題と展望:272 伊ではイラクで兵士ら知人が死亡し、駐留継続の是非が政治争点化。投票率は約 73%と他国に比べて 高く、EU 問題より首相の信任を問う色彩が濃い選挙になった。 【ローマ井上卓弥】 軒並み低投票率 ■新加盟国 EU の新加盟国では政与党が苦戦、野党の善戦が目立った。だが加盟後のためか各国とも関心はいま ひとつで、チェコ、スロべニア、スロバキア、エストニアなどで軒並み 20%台の低投票率になるなど、国政 選挙投票率を大幅に下回る国が相次いだ。 新加盟国で最大議席のポーランド(定数 54)では、国政与党の民主左翼連合が得票率 11%(6 議席)と惨 敗。野党第 1 党の市民プラットフォームが 28%(17 議席)と第 1 党になった。同党に次ぐ支持率で EU 脱退 も辞さない「自衛」は、支持基盤の農村部の低投票率が響いてか 15%だった。 チェコでは市民民主党が 1 位、ボヘミア・モラビア共産党が 2 位など野党が躍進。一方、ハンガリーでは、 少数民族ロマ人の女性人類学者(30)が当選、欧州議会初のロマ人議員が誕生した。 【ウィーン会川清之】 『ことば』 欧州議会 5 月の欧州連合(EU)への中・東欧など 10 カ国の新規加盟国で、議席数が 106 増え 732 とな った。任期は 5 年。今回の有権者数は EU 加盟 25 カ国全体で約 3 億 5000 万人。EU 予算案の承認のほ か、EU の執行機関である欧州委員会の委員の任命承認・罷免権隈を持つ。議員立法権はないが、国際 協定などの一部重要事項について、閣僚理事会への拒否権を持つ。原則として月 1 回、仏で本会議を開 催。事務局はルクセンブルクに置き、各委員会はブリュッセルで開かれている。人口に比例して加盟国に 議席数が割り当てられる。英国、アイルランドを除いて、議員は国内議会議員との兼業が禁止されている。 発足は 62 年。79 年から直接選挙による議員の選出が始まり、選挙は今回で 6 回目。 追記8.欧州憲法採択なるも、欧州合衆国創設への前途は険しいようだ (2004年6月24日) 欧州合衆国創設を2005年後半頃にも想定しているようだが、前途は極めて厳しい状況が伝わってくる ような記事を紹介しよう。 6月19日付け毎日新聞紙 2日間にわたり開かれた欧州連合(EU)首脳会議は18日、拡大EUの「国家」としての枠組みを定めた 基本条約・欧州憲法を採択した。土壇場で合意にこぎつけたものだが、その過程では各首脳が国益をか けて衝突を繰り返し、欧州委員長人事を先送りするなど拡大EUの意志決定の困難さをもうかがわせた。 多国間の多国間の憲法採択は歴史的な成果だが、全25カ国が批准して憲法が発効するまでは多難で あり、欧州が目指す連邦「国家」への道のりは未だ不透明だ。【ブリュッセル福原直樹、小松浩】 6月23日付け朝日新聞紙 『欧州理事会常任議長』 【EUの「顔」大統領にあらず】 欧州連合(EU)には重要な「プレジデント」が四人いる。 ①全加盟国首脳が参加する最高意思決定機関・欧州理事会(EU首脳会議)の「議長」②域内市場・通 商政策などを執行する官僚機構・欧州委員会の「委員長」③構成員が唯一公選される欧州議会の「議 長」④ユーロの番人・欧州中央銀行の「総裁」--の四人だ。 現下の諸問題と展望:273 このほど採択されたEU憲法は、欧州理事会について、現行の加盟国間の輪番制へ半年任期)議長を 廃止し、任期一年半(一回の再選可)の常任「議長」を理事会が選任するという新機軸を打ち出した。憲 法が全加盟国で批准されれば、二〇〇七年前後に誕生する。 輪番制にしろ、常任にしろ、職務は変わらない。欧州理事会を主宰し、各国政府の調整役を果たす。対 外的に共通外交・安保の分野でEUを代表する。 ただ、自動的に順番が回ってくる現行の議長よりも職責は重くなる。理事会で選任されることで、限定的 ながらも民主的正統性が備わるからだ。しかも任期は五倍、再選されれば十倍に延びる。 「EUの顔」とされるゆえんだ。 この「プレジデント」を本紙は欧州理事会議長(大統領)と表記している。外務省訳は欧州理事会常任議 長とし、場合に応じて(大統領)をつけている。 常任の議長設置は、独仏英伊西といった大国が発案した。「くるくる変わる輪番制では、EU政治の継続 性が保証されず、効率的運営に支障がでる」というのが理由だ。 隠された理由もある。一つは、欧州統合の半世紀の歴史で力をつけた、EU官僚支配の牙城・欧州委員 会に対する、政治、すなわち欧州理事会の優越性を明確にし、固定化することにある。 ただ、EU連邦化を唱えるドイツと、国家主権維持を主張する英国を両極として、大国間では思惑が異 なる。連邦派は常任議長が五十年後には米国の大統領のような強力な権限を備えたEU指導者に育っ ていることを夢見る。 一般的に大統領は共和国の国家元首であり、象徴的権力を持つ。だが、日本人が真っ先に思い描く大 統領は米国大続だろう。フランス(第五共和制)では、行政府の長は首相だが、大統領は外交・国防を専 管し、強力な権力を握る。米仏では間接、直接の違いはあるが、大統領は公選で決まる。 EU憲法で規定された欧州理事会の常任議長は、大統領では無論ない。元首となるべき国家がない。E Uは政治統合を実現しておらず、今後数十年は国家連合の性格を維持するだろう。 ただ、EUは絶えず進化してきた。連邦派は、常任議長職に将来EU大統領へと開花すべき芽を植え込 んだと言える。花が咲くことがあったとしても、気が遠くなるほど先のことではあるのだが。(ブリュッセル・ 鶴原 徹也) 追記9.米国覇権からのEUの脱却は可能か (2004年12月8日) 既にイラク戦争を見ても解るように、米国と欧州連合(EU)との亀裂は深刻だが、これは換言すれば、ド ルとユーロとの覇権争いでもある。ここに来て、2005年を目途に、欧州憲法制定から欧州大統領、欧州 合衆国の創設、欧州軍の創設へと大きく流れが加速し始めている。この欧州大統領こそ、パレスチナ紛 争を解決して、世界から救世主と仰ぎ崇拝されるようだ。勿論、これは偽キリストに他ならない。そして欧 州合衆国を核として、世界統一支配政府が樹立されようとしているようだ。そんな中で、新たなEUと米国 の対立が軍事面で発覚し始めたようだ。即ち、NATO軍の継続か、それともNATO軍の解体ないし形骸 化に繋がる新たな欧州軍の創設かの大問題だ。これは可成り前からくすぶっていたものだが、いよいよ 本格化してきたと言うことだろう。 朝日新聞紙2004年12月7日付け報道 【EU外交安保 自立の道】 『米欧間の亀裂広がる恐れ』 欧州連合(EU)が独自の外交安保戦略をテコに米国の影響から自立する動きを強めている。欧州防衛 庁や戦闘部隊の結成による「軍事力」の整備を急ぐ一方、国連との連携による多国間外交を強めようとし ている。イラン核開発や中東和平、対中武器禁輸の解除問題でも、EUと米国の姿勢の違いが目立って いる。イラク問題で生じた米欧間の亀裂は、第2期プッシュ政権下で、さらに広がりかねない。(ブリュッセ 現下の諸問題と展望:274 ル=脇阪紀行) 部隊「世界どこへでも」 EU官僚にまじって制服姿の軍人が立ち働く。プリュッセルにある欧州委員会本部から約100メートル 離れた所にある軍事幕僚部ビル。世界の紛争やチロ情報が集められ、各加盟国に流される。欧州独自 の武器の共同開発を行うための「欧州防衛庁」も、すぐ近くで活動を本格化させた。いずれも、10年前に は影も形もなかった組織だ。 紛争地の平和維持や人道救援のためのEU部隊の活動も増えている。昨年は旧ユーゴのマケドニア、 アフリカのコンゴに相次いで派遣された。2日には、旧ユーゴのボスニア・ヘルツェゴビナでの治安監視の 任務を北大西洋条約機構(NATO)から引き継ぎ、平和構築の仕上げの作業が約7千人のEU部隊の手 にゆだねられた。 旧ユーゴに民族紛争の嵐が吹き荒れた90年代、欧州諸国はバルカンでの集団虐殺や難民発生を防 げず、紛争解決のきっかけは米国主導のNATOの軍事力によって手にした。独自の危機管理能力を持 とうとEUは99年来、人道危機に緊急対応するEU部隊の創設を決めた。それから5年、単一通貨ユーロ など華やか経済統合の陰に隠れがちだった外交安保政策は急進展した=年表参照。 この秋には、武力衝突や流血の事態に対応できる「戦闘部隊」創設への動きが本格化した。紛争発生 から15日以内に現地に急行し、急速な治安悪化や集団虐殺を食い止める。11月の国防相理事会で、 英仏独や北欧諸国が計13の部隊提供を申し出た。07年からの実戦配備を目指している。 「冷戦終結によって欧州の領土を侵略しようとする国はなくなり、欧州で集団安保の意味は薄れた。欧 州にとっては、バルカン半島やアフガニスタン、アフリカの安定化が大事であり、中東やカフカス地方の動 きからも目が離せない。部隊の展開能力が許すかぎりEU部隊は世界のどこにでも派遣されうる」 EU理事会のロバート・クーパー対外政治軍事局長はバルカン半島の安定化を達成した後、EU部隊の 活動範囲は欧州域外に大きく広がるとの見通しを示す。 EUが軍事力整備を急いでも、超大国米国による軍事一極構造はびくともしないだろう。今年、中東欧1 0カ国を加えて25に加盟国が増えたEUの軍事予算を全部足しても米国の半分ほどだ。 だが、旧ユーゴ紛争処理を振り返りながらクーパー氏は言う。「危機の状況でものを言うのは、誰が部 隊を提供するかだ。紛争国に何十億ドルの援助資金を積んでも部隊を出す国が物事を決める。政策決 定に絡むためには軍事力が必要だ」 『紛争予防、英仏独が主導』 EUの外交安保政策引っ張るのが、英仏独3カ国だ。 11月、ブッシュ米大統領の再選に際し、シラク仏大統領は、「米国が強い政策をうち出せは欧州も強く なるのが自然なことだ」と語った。力の行使による反テロ戦の勝利を目指すブッシュ政権の姿勢に対して、 欧州は米国に対抗できる力をつけ、世界の多極化を進めるべきだとシラク氏は言う。 英国のプレア首相は米国との「特別な関係」を保ちつつ、フランスとも連携してEUの防衛力整備を推し 進める。ドイツのシュレーダー首相らが昨年春、NATOに頼らずにEUが行動できるよう、独自のEU司令 部設置構想を出した時、疑念を持つ米国を説得したブレア氏が立った。 そんな3カ国の共通理念をまとめた「EU安保戦略」が昨年末まとめられた。国際テロ、大量破壊兵器 (WMD)の拡散、地域紛争、破綻国家など「現代の脅威」に対し、米国が掲げる「先制攻撃論」を採らず、 状況に応じて外交や経済協力、軍事行動など最適な方法を組み合わせる「予防行動」が重要だとした。 紛争地域へは軍部隊とともに警察、法律・援助専門家など文民の派遣をうたった。 「予防行動」の重視についてロンドン大政治経済学院(LSE)のマリー・カルド教授は「欧州は地域扮争 や破綻国家などテロを生む土壌により注目している。米国が戦後の青写真を持たなかったイラクやアフ 現下の諸問題と展望:275 ガニスタンの治安悪化を見れば、米国の方法に問題があるのは明らかだ」と語る。 EUの外交安保政策を担うソラナ上級代表は11月初め、ヨルダン紙への寄稿で「軍事行動だけではテ ロは克服できない。裁判や警察、情報協力こそが行動の中心に置かるべきだ」と強調した。 『NATO弱体化懸念も』 外交安保や防衛政策で忘れてならないのは、決定権限を各国がEUに譲り渡しはしないことだ。 「EU憲法」が10月末にローマで加盟25カ国首脳によって調印された。EU部隊は「常備軍」ではなく、 加盟国の全会一致の賛成で編成され、一国でも反対すれば域外派兵はできない。憲法が欧州の「軍事 大国化」への歯止めになりうるとの期待が生れるのは、「戦争を望む国など欧州には一国もない」(クーパ ー氏)からだ。 憲法にうたわれ、欧州統合を内から支えた多国間協力はEU外交を導く理念でもある。地球温暖化防 止のための京都議定書、戦争犯罪を裁く国際刑事裁判所設置条約など、国を越えた法の支配をEU域 内に実現した欧州諸国にとってごく自然な取り組みだ。ブッシュ政権の単独行動主義はもともと受け入れ がたいことだった。 紛争対応をめぐるEUの国連への接近はその延長線上に生まれた。咋年秋、両者は連携強化で合意、 EU側は6月、①国連平和維持部隊が到着するまで地域の治安を維持する「過渡期型」②国連の要請で すぐ現地へ戦闘部隊を急派する「待機型」に分けてEU部隊を活用する案を示した。 関係者が注目するのは、EUの「軍事化」によるNATOへの影響だ。 欧米26カ国が加わり、大西洋同盟を支えるNATOはいま、米軍主導で機敏で効率的な戦闘能力を築く ための軍変革を進め、即応部隊の創設を急いでいる。しかしEUも同様の考えのもとに戦闘部隊の構築 に乗り出した。NATOがアフガ二タンやコソボで行う治安回復業務を見ても、NATOとEU部隊の違いは あいまいだ。欧州政策センターのフレーザー・カメロン研究員は「EUが独自政策を追求すればNATOの 弱体化は避けられない」と語る。米国の懸念もここにある。 米国の要請を受けてNATOはイラク治安部隊訓練支援を決めたが、仏独などの反対で訓練規模は年 千人程度。欧州約10カ国は要員派遣を拒んでいる。オランダ、ハンガリーがイラクから部隊撤退を決め るなど「有志連合」からの脱落組も続く。EUが監視団派遣を決めた1月末の国民議会選挙の成功が欧米 の結束維持のカギになる。 イラン核開発問題では、欧州との経済交流と国連制裁という「アメとムチ」を手に交渉を続けた英独仏の EU3カ国がウラン濃縮関連活動の停止約束を取り付けた。しかし米政権はイランの兵器開発への疑念 を捨てていない。 イラク戦争に反対する仏独を「古い欧州」と切って捨てたラムズフェルド国防長官が留任する一方、欧州 諸国と太い人脈を築いたパウエル国務長官の退任が決まった。第2期ブッシュ政嫌の姿勢に変化がなけ れば、EU外交安保政策の自立化の流れが加速するのは避けられそうにない。 追記10. (2004年12月8日) 追記11. (2004年12月8日) 31.ロシアの再分裂化(2002年1月9日) 2005,6年頃の日米欧などの世界経済の崩壊の影響を受けて、外資に頼るロシア経済も大きく破綻 し、ロシアの東西への再分裂が、遅くても、2006年から2008年頃にも到来するであろう。結局、1991 年の旧ソ連崩壊の原因である経済軽視で軍事優先の不均衡な政策が何ら解消されていないと言うこと 年の旧ソ連崩壊の原因である経済軽視で 軍事優先の不均衡な政策が何ら解消されていないと言うこと だ。ユコス問題は露が中国を抱き込んで欧米と露中との対立に発展か(2004年12月22日) だ。 ユコス問題は露が中国を抱き込んで欧米と露中との対立に発展か(2004年12月22日) 現下の諸問題と展望:276 追記1.ユコス問題は露が中国を抱き込んで欧米と露中との対立に発展か 追記1.ユコス問題は露が中国を抱き込んで欧米と露中との対立に発展か (2004年12月22日) 追記2.北方領土奪還、返還の可能性(2006年09月30日) 追記2 .北方領土奪還、返還の可能性(2006年09月30日) ロシアの再分裂化は、殆ど誰も未だ言及してはいないが、旧ソ連国の構成メンバーだったウクライナや ベラルーシ、中央アジア等の経済立て直しの困難な状況が漏れ伝わってくることを考えれば、ロシアにも 似たような状況であることは容易に推察できる。目下、多くの評論家がロシア経済の順調さを指摘してい るが、確かに、ロシア経済は1998年に地獄を見て、ようやく立ち直りの方向に動き始めたようだ。GDP は翌1999年にプラスに転じ、2000年は7%、2001年も4%と高成長を続けている。ここまでに至るも、 経済混乱のスタートから実に10年近い歳月を要している。 しかし、一方で、製造業を中心とした経済構造改革は立ち後れているし、国際通貨基金(IMF)が以前 から指摘していた銀行システム改革も殆ど手付かずの状態が続いているようだ。そして給料の遅配があ ったりして、国民経済が思ったほどには改善されてはいないようだし、中国や東欧諸国ほどには経済が 好転していないようだ。この現在のロシアが再度分裂を繰り返していくと言うことは、1991年の旧ソ連の 崩壊に至ったことの原因が根本的には何ら解消されてはいないと言うことである。 即ち、旧ソ連が崩壊したのは、多くの評論家が指摘するに、情報化社会に対応できなかったと言うより も、国家の基本である経済と軍事の内、軍事面で米国との冷戦構造の中で、軍拡競争に血眼になって経 済を疎かにしてきた結果と言えるものだ。つまりは経済と軍事という国家の両車輪の一方の車輪が破綻 したために、国家社会が崩壊するに至ったものである。単に経済と言っても、互いに競争意識のない官 僚主導の共産主義経済に基づいたものである故に、広く国民生活レベルでの技術の進歩に付いていけ なくなったものであろう。一方では軍事技術の民生利用が上手く機能しなかったとも言えるし、また、国民 全体が官僚化して経済までもが硬直化していったとも言えるであろう。 特に、10年にも及ぶ長引くアフガン戦争が国民に次第に厭戦気分を引き起こし、軍事力と経済力のア ンバランス(不均衡)に一層拍車を掛けたと言えよう。旧ソ連の弱体化が東欧諸国にも影響を及ぼし、19 89年の東西ベルリンの壁の崩壊となって現れたことは記憶に新しいことであろう。それが直接的には引 き金となって旧ソ連の解体に繋がっていったものである。しかしながら遠因は、アフガン戦争であり、そし て冷戦構造での軍拡路線であり、軍事から民生ヘの技術転用の不徹底であり、更には、共産主義による 国民総官僚化の硬直した政治や経済の運営であったと言えよう。 1991年の旧ソ連崩壊から10年余り経過したが、その悪弊や旧弊を除去するべく共産主義的な体質 は徐々に指摘されながら改善されつつあるようにも見えるが、現実は一向に進んでいないようだ。先述し たように、中国ほどの改革の情熱は残念ながら、EU加盟を目指す東欧諸国ほどには旧ソ連国家の多く のメンバー諸国には見あたらないようだ。経済改革のプログラムと進捗状況が上手く機能していない様だ。 そのような中で、ロシア経済を見てみると、確かに原油による外貨獲得も順調で、サウジアラビアを凌ぐ ほどの生産量になりつつあり、外貨準備高も好転しつつあるようだ。OPECにも加盟していない自由さも 手伝って、今や世界の原油供給量を大きく左右するほどの指導権を握りつつあるようだ。欧米の資本も ロシアの原油を狙って、採掘技術の供与、ロシア経済への投資を大幅に拡張させてきているようだ。ロシ ア原油の急浮上の背景には、中近東原油の老朽化、供給の先行き不安もあるようだ。 しかしながら、依然としてかつての軍事力志向の意識が抜け切れていないようだ。それは広い国土を維 持する余り、ある意味では仕方のないことであり、必然でもあると言えよう。プーチン現大統領も、強いロ シアの復活を模索して再度の軍事力増強に力を注いでいる有様だ。軍事力は必要だが、それはあくまで も経済力とのバランスの上に成り立つものでなければならない。経済の立て直しを優先して行かねばなら ないのに、依然として旧ソ連が崩壊したのと同じ軍事優先の道を再度歩みだそうとしているようだ。いや それよりももっと深刻な状況に陥っているようだ。即ち、軍事の風紀の乱れや、マフイアの暗躍、チェチェ ン紛争の長期化、経済改革の大幅な遅れなどだ。それらがロシアの再度の分裂を引き起こしかねないと 現下の諸問題と展望:277 指摘する所以である。 そしてその再分裂の時期は、恐らく、日本を始め欧米先進諸国の経済が破綻し、外資からの資金提供 を打ち切られて、次第にボデーブローのように効いてくる2006年から2008年頃であろうと思われる。即 ち、2004,5年頃の日本の国家破産に伴う2005,6年の米国連邦政府崩壊と欧州合衆国の破綻の影 響を受けていく時期と、少し遅れて影響を受けて行くことは必然であろう。その結果、ロシアの再崩壊の 時期は、遅くとも2006年から2008年頃と推察する次第である。 欧州を始め諸外国からの経済支援、外資投入、資金提供等にストップが掛かるために、ロシア経済の 自立化にも大きく影響を及ぼしていくことになるものと思われる。勿論、ロシア国内の深刻な少子化によ る労働力不足も大いに関係して、様々な要因が複雑に絡み合っていくことは否定しない。あくまでも大き な流れの中での本流となるであろう事態を指摘したまでである。 ロシアの再分裂とは、ロシアがウラル山脈を越えて東シベリアに進出する帝政ロシアのロマノフ王朝以 前の姿に回帰していくと言うことであろう。即ち、ロシア帝国として大陸軍国となり、大海軍力を保持した 帝国以前に戻ることになり、東方進出して獲得した東シベリア地方の領土の放棄に繋がっていくことであ ろう。つまりはモスクワを中心とした17,8世紀頃のかつてのモスクワ公国の時代の領土に回帰、縮小し ていくことを意味するものだ。恐らく、東西ロシアの二つに分裂していくことであろう。東の中心はウラジオ ストックであろうか。その際には、北方領土の返還も大方の予想を超えてすんなりと解決に向かって動き 出すことであろう。 ロシアの東西への分裂を象徴するように、現に今でもロシアの少子化に伴い、中国から旧満州を越え てロシア領内に越境していく大量の中国人の流入が止まらないようだ。こうした事態が継続すれば必然 的に、ロシアの影響力も低下して行かざるを得なくなり、次第に時代の流れは先を見越して推移している ようだ。北方領土の返還にしても、依然として返還を渋って不法占領している有様では、日本からの資金 のロシア経済の立て直しに上手く環流できない状況が継続して行かざるを得ない。 歴史を悔いても仕方がないが、旧ソ連や東欧経済の崩壊を食い止める方策は実にこの北方領土の思 い切った返還にあったと言えよう。二度目の来日を実現したゴルバチョフのカバンの中には北方領土の 返還スケジュールが入っていなければ可笑しかった。空っぽであったと言うことは旧ソ連の経済の実態や 世界の状況が何も解っていなかったと言えるか、敢えて故意に旧ソ連を崩壊せしめた闇の勢力による陰 謀とも言えるかも知れない。 日本からの経済支援の大量の資金が旧ソ連や東欧に流入することにより、経済破綻を食い止めること が出来たのであるが、日本からも米国からも、そして肝心の旧ソ連当局からも何も考え及ばなかったもの であろう。当時はドイツの東西統合で資金的余力が無く、米国もその余裕が無く、一人日本だけが資金提 供の体力があったと言える。しかし、今となっては国民金融資産が1400兆円もあるとは言いながら、依 然として領土返還の状況にも全くないし、政府等の公的債務や米国国債の購入で国民の資産は既に大 半が帳消しになっているものと推察される。 そうした状況下でロシアの再分裂も、日本の国家破産が遠因となって展開していくものと思われるのは、 実に歴史の皮肉な結末を言えよう。所詮は、浅はかな人間が考える国際乃至国内の政治であろう。ロシ アの再分裂に伴い、北方領土も新たな対応を迫られてくることにもなるであろう。日本の政治家や国民に その度胸や勇気や意志が試される事態が到来してくることであろう。 さて、現在の大方の新聞報道の中にも、混迷する現在のロシアの状況が垣間見れるものと思われるの で、一部紹介しておこう。この報道からも旧ソ連解体以後のロシアの歴史、改革の進捗状況、今後の改 革への展望等が充分に見て取れるというものだ。それにより、吾々が指摘するロシア再分裂の予兆を少 しは感じ取れるものであろう。 また、2001年12月26日の某新聞の社説では次のように伝えている。「1991年12月26日、ゴルバ チョフ大統領の辞任演説後、クレムリン屋上からソ連国旗が降ろされ、ソ連が崩壊した。社会主義革命か 現下の諸問題と展望:278 ら74年、マルタでの米ソ首脳による冷戦終結宣言から2年が経過していた。ソ連は4か月前の保守派ク ーデター事件を機に崩壊過程に入っていた。12月8日、ロシアなどスラブ系3共和国首脳が独立国家共 同体(CIS)創設とソ連消滅を宣言し、ソ連再生の道は絶たれた。 ソ連の継承国家である新生ロシアは苦難のスタートであった。理由はいろいろある。CIS創設が、脱共 産体制を錦の御旗とするエリツイン・ロシア政権によるソ連解体の手段として使われ、将来を展望する青 写真を欠いた。ソ連は消えても権威主義的統治スタイルは残った。社会主義から資本主義への体制変 換が国有資産の分捕り合戦と化し市場経済が不健全な形で始まった。 さらにロシア内政は迷走した。急進経済改革のショック療法による社会・経済の混乱、議会ビル砲撃に まで及んだ政治危機、現在も続くチェチェン紛争、ルーブル暴落による金融危機、貧富の差の拡大等々。 92年に男62.0歳、女73.8歳だった平均寿命が2000年には男58.9歳、女72.4歳に悪化したこと は象徴的である。それでも選挙による民主的な政権交代は機能した。エリツイン大統領から政権を受け 継いだプーチン大統領は合理性に基づく現実主義に立ち、「強いロシア」を謳いながらも、無理な背伸び をせず身の丈にあった政策を展開している。市場経済も根を下ろした。ロシアにようやく安定の兆しが見 えてきたようだ。 一方で、中央集権的な手法が目立ち、情報管理や人事で治安色が強過ぎるという懸念がある。民主化 が更に推進されることを期待したい。エリツイン時代に西側と冷めた関係にあった外交面では、同時多発 テロ事件以後、明確に対米協調路線に舵を切った。このことは中国も含めた国際関係全般に関わること である。欧州安保の将来にも好影響を及ぼすことだろう。 ソ連からロシアになってもユーラシア国家であることには変わりはなく、アジア外交にも積極的だ。こうし た中で領土問題を抱える日露関係が足踏み状態にあることは残念だ。ロシアと他のCIS諸国との関係に は濃淡があり、脱露親米に傾く国もある。ただ、各国に共通するのは国造りがうまくいっていないことであ る。中央アジアやベラルーシではソ連的体質を引きずった権威主義や独裁型の政治が続いている。強権 体制で見せかけの安定を図っても自ずと限界があり、いずれ発展の足枷となろう。 停滞から脱却し再生に向かうためには、西側社会との協調が不可欠であり、国内で民主化と市場経済 が定着しなければならない。この10年のロシアの経験はCIS諸国にとっても参考になる。ロシア内の一 層の民主化はCIS諸国にも投影されるはずである。」と言った状況である。ここに来て早ければ2003年 にもロシアのWTO加盟も検討されだしたが、ロシアの改革に大きく水を差していくのは、日本からの世界 恐慌を始めとする国内及び国際の様々な情勢である。これも全ては宙天に鎮座される真の神仏による影 響による神仕組みであろうと思われる。 追記1.ユコス問題は露が中国を抱き込んで欧米と露中との対立に発展か (2004年12月22日) 既にサハリン原油は、日本が資金提供したにもかかわらず、ロシアに足元を見られて、大半が中国向 けに出荷されそうだ。またシベリア原油も、路線が長い日本向けの太平洋ルートよりも、短い中国ルート を優先させる意向だ。日本は完全に狡猾なロシアに舐められてしまったが、背後でロシアと中国の急接 近が伺えるもので、日本は対ロ、対中外交の根本的見直しが迫られるであろう。 それに加えて、目下、懸案事項であるユコス問題も、米国で訴訟にまで発展して、露と欧米との熾烈で 壮絶な対立に深化していきそうだ。ユコス問題も、そもそも、ロシアの民主化に原因が遡れそうだ。日本 では土地の私有権とは言っても、地下の資源やエネルギーにまでは私権が及ばないものだ。即ち、地下 資源は例え自分の土地内にあっても、自己の所有物ではなく、政府(経済産業省)の許可を取らなけれ ば、勝手に採掘できないものだし、これは土地の所有者以外に、要件さえ満たして資格があれば誰でも 参加できるというものだ。 然るに、ロシアの民主化が始まってからは、外国資本も入り乱れて、土地の所有・占有が無制限に成さ れていき、地下資源も殆ど外国資本に争奪されていった。地下資源だけは、日本のように国有化し、国の 現下の諸問題と展望:279 採掘許可を得るように法整備をしておく必要があったものだ。旧ソ連邦の崩壊の混乱に乗じて、遅すぎた 対応に、一時はプーチン大統領も過去の経緯や所有権の有無は問わないとしながらも、脱税や横領に 絡んで、石油大手の企業の国有化を図って、ロシアの資源を取り戻し始めたと言うことであろう。このロシ アの地下資源を巡る一連の流れや背景は、既に出版されている某著作物に紹介されているようだ。 さて、今やロシアと中国が背後で連携し始めたようだ。共にドル離れを成してユーロ圏に入ろうとする兆 候を見せており、同じ大陸国家という地政学的・戦略的地域という特性から、原油パイプライン敷設に伴 って経済的にも一体化していくようだ。このまま行けば、日中対立、米中対立、日露対立、米露対立など と線で結んでいけば、日米と中露の両陣営に分かれ、これにユーロが加わった対立図式が浮かび上が ってくるようだ。通貨戦争に加えて、原油争奪戦が絡んで、新たな大陸国家群と海洋国家群との対立とも 重なってくるようだ。 既に第三次世界大戦への兆候が出てきており、非常に複雑な対立構造が出てきたようだ。ユーロとド ルの対立に加えて、ロシアと中国がユーロ陣営に加わって、更にユーラシア大陸国家群と海洋国家群と の壮絶な対立が顕然化して行くであろうと予想される。経済的にも急成長して原油消費量が増大し、また 海洋への進出を目指す中国の軍事的冒険主義の暴発が加速化していけば、中近東地域が世界の3分 の2を占めるほどに、そして北東アジアの特に台湾海峡、朝鮮半島とが風雲急を告げていくことであろう。 目下、某雑誌で2006年頃の中台戦争勃発の可能性が指摘され始めたようだ。 日経新聞紙2004年12月20日付け報道 『エネルギー産業 国家管理』「ロシア、ユーコス解体」 政敵つぶし 競売で奇策 『米欧、懸念強く』 毎日新聞紙2004年12月22日付け報道 「ユコス問題」『露と欧米の対立激化』 「国有化現実味」『訴訟で抗戦の構え』 【モスクワ杉尾直哉】巨額の追徴課税で経営破たんに直面するロシアの石油大手ユコスは、主力子会社 ユガンスクネフチガスが競売で落札され、ロシア当局による国有化のシナリオが一段と現実味を増してい る。ユコス側は、米国での訴訟を通じた徹底抗戦を展開する構えで.ユコス問題は、国際世論の注目を 集めている。今後、ユコス解体をねらうロシアのプーチン政権と、ロシアの企業弾圧を懸念する欧米側の 対立が深まりそうだ。 10日に行われた競売では、バイカルフィナンスグループという名称の正体不明の企業が落札した。同 グループは、米テキサス州連邦破産裁判所が16日に競売の一時差し止めの仮処分申請を認めた直前 に設立された競売対策のダミー会社とみられ、ロシアの準国営ガスプロムや石油大手スルグトネフチガ スが背後にいるとの報道がある。 ユコスは、実際に売却が行われた場合、米国の裁判所に提訴し、被害額を回収する構えだ。ロシア産 業企業家連盟のウォリスキー会長は、「(ユコス側の報復措置として)ロシアの国外資産が差し押さえとな る可能性ある」と語った。 ユコスの経営危機は、党支援を公言したホドコフスキー元社長が年10昨月に脱税、横領、殺人などの 容疑で逮捕されてから、巨額脱税事件に発展。西側諸国では、プーチン政権強硬派による自由な言論・ 企業活動への弾圧と批判されてきた。 英エコノミスト誌は、ユコス問題に加えウクライナ大統領選挙で見られた欧米とロシアの東西対立現象 を挙げ、「プーチン大統領が西側の民主主義に挑戦している」と指摘。西側指導者に対し、世界貿易機関 (WTO)へのロシア加盟の不支持や06年モスクワ・サミット(主要国首脳会議)の準備阻止を訴える異例 の社説を掲載した。 現下の諸問題と展望:280 また、ブッシュ米大統領は20日の会見で「明らかに我々はいくつかの不一致がある」と謡った。ブッシュ 大統領とプーチン大統領は来年2月24日スロバキアで首脳会談を行う予定だが、見解の調整を迫られ そうだ。 「露大統領」『中国との協力示唆』 【モスクワ杉屋直哉】ロシアの石油大手ユコスの経営危機問題で、同国のプーチン大統領は21白、訪 問先のドイツ北部・シュレースビッヒで会見し、ユコスの主要子会社の競売で売却が決まったことに触れ、 「中国の国営エネルギー企業が資金を提供する可能性を排除しない」と語った。中露で協力してユコスを 実現する考えを示唆した発言として注目される。ドイツのシュレーダー首相との会談後の会見で語った。 インタファクス通信によると、プーチン大統領は「競売はロシア国内法の厳しい規定に基づき行われた」 と語った。また大統領は、中国の国営企業とロシアの準国営ガスプロムが協力関係を深める見通しを示 した。 追記2.北方領土奪還、返還の可能性 (2006年9月30日) 過去に3回あった北方領土返還の可能性 歴史にif=イフ(もしも)が許されるとすれば、過去において、もしもこうなっていたら北方領土は返還さ れていたであろうと思われる機会ないし可能性が3回あったと思われる。しかし、これは殆どの有識者で も気付いていないことであろうと思われる。可成り高度の戦略的思考であり判断である故に、ここで指摘 し紹介しても、一部の洞察力、あるいは先見性を有した方でしか理解し評価出来ないであろうと思われる。 第1回目は田中角栄総理の時代だ。田中首相とブレジネフソ連書記長との最高首脳レベルによる厳し い外交交渉の結果、最終的に、田中首相はブレジネフ書記長に対し、『領土問題の対象は4島』と念を押 し、書記長もその場でこれを確認し、「北方領土問題」が日ソ平和条約の締結によって解決されるべき戦 後の未解決の問題であることが確認された。ソ連側はその後、田中総理の失脚と共に『確認しなかった』 と否定した。田中角栄氏の強力が外交姿勢で領土問題が取り上げられて、返還直前まで行ったが、殆ど の国民はそんな当時の田中氏の優れた外交力や壮絶な外交交渉、ソ連指導者の圧倒される心理的状 況など知るよしもない。 思うに、角栄氏は米国、中国、そして旧ソ連を相手に対等に外交が出来た唯一の政治家であり、正に 世界の田中であったと思われる。旧ソ連書記長のブレジネフ氏が領土返還に応じようとしたのも、田中角 栄氏の誠実で強力な外交姿勢もさることながら、田中総理がアメリカを押さえられると見たからだ。これは ある意味では、北方領土の返還などは、当時も今も、アメリカに従属している限り、よほどソ連・ロシアが 弱体・崩壊しない限り、そして米国自体も弱体・崩壊しない限り、不可能と言えるだろう。 もしも田中氏が、ロッキード事件で失脚することもなく、政権の座にあって総理を継続していたならば、そ の後、速やかに北方領土は返還されていたであろうと思われる。このような外交背景を知ることも出来な いのが、国際感覚もなく戦略的思考にも欠如し、近視眼的でスキャンダルなどの風評に流されやすい付 和雷同的な国民性であり、それに真の国益よりも嫉妬や妬みの個人的利害得失に翻弄されやすい国民 性が大いに関係しているように思われる。万一、北方領土が返還されていたならば、日本は、豊富な漁 獲資源獲得で国力が倍増していたと言えるだろう。 第2回目は、旧ソ連邦の崩壊直前の国際環境だ。ゴルバチョフ氏が、1990年ソ連邦初代大統領に就 任する前の書記長時代に二度来日した際、特に第2回目の来日の際に、当然の如く、彼の鞄の中には 北方領土の返還のスケジュールが入っていなければならなかった。何故なら、これを実現することで、日 本から多額の経済協力資金が旧ソ連に流れ、その結果、旧ソ連邦の崩壊が止められたものであった。こ の因果関係を熟知している国家指導者ならば、当然に北方領土返還と経済協力を、真剣に話し合うべき 歴史的唯一の機会であったと言える。 現下の諸問題と展望:281 然るに、日本や旧ソ連でも、このことに気付いて指摘する有識者が皆無であったように思われるし、国 家指導者でも身命を賭して訴えて行動することもなく、結果的にはこの千載一遇の機会に全く気付いてい なかったと思われる。旧ソ連邦の崩壊ですら、殆どの有識者も予想出来なかったことだ。ただ、米国の某 シンクタンクは、ソ連邦の思い切った決断により、経済的苦境から脱出出来ることを示唆していたが、残 念ながら、日本側にもソ連側にも、真剣に且つ緊急の関心すら抱かれなかったようだ。 第3回目は、1991年に旧ソ連邦が現実に崩壊して分裂したときであろう。この時には、バルト三国を始 め、幾つかのソ連邦構成の共和国が分裂し独立していったが、この機会を捉えて、日本も北方領土を力 ずくでも取り返すべきであった。力で奪われた領土は、同様に力で奪い取る意志が大切であり、原則はこ れしかないことを知るべきだ。日本は旧ソ連国の共和国が次々と独立を果たしていくのを傍観していたわ けで、何ら行動を起こさなかったのも、余りにも他力本願で、自らの戦略的思考もなく、危機意識も危機管 理もなく、ノー天気であったと言える。 これを指摘すると、恐らく、大多数の近視眼的で軟弱な国民性では、そんなことをすれば、チェチェン紛 争のようになるだろうと言うかと思うが、チェチェンは原油の輸送ルートに位置するために、地政学的にも 戦略的にも、ロシアが絶対に手放せない状況にあるものだ。北方領土は当時の国際情勢から言えば、と ても、ロシアは戦略的な価値には気付いてもいなく、気付いていても、旧ソ連邦の大混乱の中で、その戦 略的位置の重要性にも希薄であったであろうと思われる。それ故に、案外、辺境のバルト三国のように、 最終的には手放していったであろうと思われる。この辺の的確な情勢分析が上手く出来ずに、大胆な行 動を取ることも出来ないのが、国際感覚音痴の優柔不断の国民性であろうか。 ところで、今や国際的な情勢・環境は大きく様変わりした。未だに、有識者の間では、東西冷戦の終結 などと言っている者も多いが、今や新興国家BRICsと言われるように、原油高騰を背景に、ロシアが強 国として復活し、新たな米ロ冷戦が米中冷戦と併行して始まった。中国とロシアは上海機構で、経済と軍 事力両面で同盟関係を構築し、経済的台頭と共に軍事力の増大に見られるように、新たな中ロ対米国と の冷戦構造が復活しつつあると言える。 つぎのチャンスには大胆に行動せよ つぎのチャンスには大胆に行動せよ この新たな冷戦構造の背後には、地政学的には、大陸国家群と海洋国家群との対峙であるが、根底に は原油を巡る壮絶な資源・エネルギーの争奪戦であり、その原油の決済を巡るドル、ユーロ、そしてルー ブルなどの通貨覇権戦争でもあろう。そこで、単純に考えても、世界的大動乱の中核地として、世界の原 油資源の3分の2を占める中近東が、世界激動の3分の2を占めて行くであろうと容易に予測出来るもの だ。 こんな国際情勢を背景に、北方領土を取り巻く環境も、新たな冷戦構造の復活と共に、軍事戦略的にも 地政学上の重要性も復活し、更に二つの面で大きく変化した。 一つは漁獲資源である。漁獲資源も、以前ならば、世界は大して関心もなかったが、今ではロシアを始 め中国、韓国など近隣諸国が多大な関心を示し、豊富な漁獲資源が存在する北方領土周辺の海域は、 漁獲資源の争奪戦場と化してしまい、平和的外交交渉による領土返還の可能性は、以前よりも増して遠 退いてしまったようだ。 もう一つは地下資源である。今やサハリンの豊富な天然ガスや原油もさることながら、その近隣地域の 千島列島やカムチャッカ半島に至る火山群島までが、豊富な地下資源が存在することも解ってきている。 その中で、北方領土には、火山という性格上、豊富な地下資源が存在することが次第に解ってきた。既 にロシア側は、火山内部の豊富なレアメタルの存在を知り始めており、その面からも、日本側の情勢音痴 のノー天気なお題目一辺倒の要求も、既に限界に達したと思われる。このままでは、平和的解決が可能 であったとしても、良くて共同管理であろう。 当方も政府当局や関係諸機関に、画期的な火山灰利用技術の紹介や、火山灰及び火山を巡る国家プ 現下の諸問題と展望:282 ロジェクトとして、日本が有力な資源・エネルギー国への大転換を実現する30数万字に上る大論文の著 作「新日本列島大改造の実践に向けて」を、今年初頭に提示したが、全くの無関心である。実に、自ら率 先して思考し判断し行動することもない横並び思考で、実質的な内容よりも形式に囚われ、危機意識も 喪失した日本人特有の国民性であろうか。危機が具体的に顕在化するまで、即ち、追い詰められてどう しようもなくなるまで、先見性や戦略性を有して行動しないし、気付かない国民性であろうか。当方の提言 も、米国当たりから多大な関心を持たれてくることを期待したいものだ。そうでなければ、世界は壮絶な原 油争奪戦争に突入するは必至だろうと思われる。 ところで、ただ唯一、領土の全面奪還・返還を将来的に期待出来るのは、ロシアの東西への再分裂の 可能性だろう。現在の諸情勢は恰も昭和6年当時と酷似しており、恐らく来年2007年から10年間は世 界は歴史的大混乱に陥って行くであろうと予想される。背景には、原油を巡る壮絶な争奪戦であり、通貨 戦争の本格的な幕開けであろうと思われる。中国やインドの経済大躍進を背景に、新たな大規模油田の 発見も追いつかずに、原油の2007年ピーク説も飛び交っており、そんな中で、今後とも原油価格の高騰 は、紆余曲折はあろうが、大局的には次第に深刻化して行くであろうと予測出来るというものだ。 日本も国家や地方の財政破綻、産業国際競争力の低下、原油高騰を背景に貿易上の破綻が待ってい ると思われ、米国ですら例外ではなく、ドル崩壊の危機と隣り合わせであり、中国も国内的にも幾多の矛 盾を抱えており、いつ暴発・爆発するかであろう。ロシアも原油高騰で外貨準備高も好調とは言いながら、 人口減少問題、所得や地域間格差も深刻で、再度、経済と軍事との不均衡により、再分裂する可能性も 予想される。因みに、旧ソ連邦の崩壊は、経済と軍事の両輪のアンバランスにあったと言えるが、再度、 同じ道を歩んでいく危険性も残っている。 こんな近未来の情勢の中で、中近東で大混乱が発生した際に、ロシアがそれに巻き込まれ、東西への 分裂の危機が襲来し、そして辺境の北方領土への関心が遠退いたときが、北方領土に対する何らかの 行動を起こす唯一の機会であろう。もっとも、中近東が3分の2を占める大混乱の地域とはいえ、残りの3 分の1は、恐らく、台湾海峡や朝鮮半島の北東アジアであろうと思われる。また日本も、ロシア以上に、原 油供給の遮断、国家財政破綻などで、自らの足下に火が付くほど大混乱に陥っていくだけの脆弱性を抱 えているのも事実である。とても、北方領土などへの関心すらも喪失するほどの大激動に巻き込まれて 行くであろうと思われる。 しかしながら、こんな状況にこそ、大胆な行動が必至であり、この機会を有効に活用しなかったならば、 それこそ、日本ないし日本民族は、国際感覚もなく、国際情勢にも音痴であり、腰抜け、腑抜け、間抜け となって、後世に歴史的な後悔を残すことになろう。自らの国家防衛の意志も忘却し、他力本願の日本は、 亡国の危機に突入し、世界的大激動からは二度と立ち上がれなくなって行くであろう。近未来のおける北 方領土の奪還は、実に、田中角栄氏ほどの破天荒な行動力、外交力を有した政治家の登場であり、また その指導力を正当に評価できる国民性の変革が必須であり、更には激動の国際環境の到来でこそ可能 であろうと思われる。 こんな過去に対する考察、そして近未来に対する洞察や先見などは、利害関係者が見ている中で公開 するものでもないが、どうせ、当方の資源・エネルギー問題に対する提言にすら、危機感も関心も感動も ない故に、北方領土問題を取り巻く国際環境の展望にも関心も理解もなく、ましてや実行力もないものと 思うからこそ、荒唐無稽、夢物語として受け止められることを承知で指摘させていただいた次第である。こ の当方の見解や洞察も、後世の歴史家が解明していくことであろうと期待するものだ。 現下の諸問題と展望:283
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