『オイディプス王』

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会員 菅野
私の読書の仕方は、関心の
あるテーマについて面白そう
茂徳(41期) ●Shigenori Kanno
『オイディプス王』
時代に活躍したのか、3大悲
劇作家の他の2人(アイスキ
な本を事前に何冊か買い込ん
ュロス・エウリピデス)の作
でおき、それらの本を一気に
品はどのようなものか等々。
続けて読み進めていくという
そんな訳でなかなか他のテー
ものです。こうすると頭の中
マの本にたどり着けないのが
には徐々にそのテーマに関す
実情です。
る知識が蓄積され、後になる
さ て、『 オ イ デ ィ プ ス 王 』
程読むスピードも速くなり、
ですが、かのアリストテレス
また各本(著者)の主張(言
が「 悲 劇 と は あ わ れ み と お
いたいこと)の関連性も理解
それをひき起こすことによ
しやすくなります。
ソポクレス 著
っ て、 こ の 種 の 諸 感 情 の 浄
ところで私の現在の趣味
藤沢 令夫 訳
化(カタルシス)を達成する
は、読書と美術鑑賞(特に絵
岩波文庫
もの」と定義した「(ギリシ
画と焼き物、ともに洋の東西
518円
(税込)
ア)悲劇」にぴったり当ては
は問いません)ですが、西洋
まる作品で、その具体的内容
絵画を鑑賞するにはどうして
は、あのスフィンクスの謎を
も、 キ リ ス ト 教 と も う1つ、
潮文庫)
、さらにギリシア神
解きテバイの国を救ったコリ
ギリシャ神話に関する最低限
話小辞典とも言うべき(2冊
ントス王の息子(これが真実
の知識が必要になります。そ
ではなかったことがミソ)で
んな訳で、前々から読もうと
あわせて800頁以上)
『ギリシ
アの神話 ̶ 神々の時代・英雄
考えていたギリシャ神話に関
の時代』
(K・ケレーニイ著・
功によりデバイの前王(既に
する本をここ1、2年前から買
中公文庫)、ここらで原典に
殺害されておりその殺人者が
い込み(読書に充てられる時
もということで『ギリシア神
またミソ)の前妃(前妃だけ
間の大部分が通勤や出張の際
話』(アポロドーロス・岩波
ではないところもミソ)を娶
の電車の中なので、いきおい
文庫)
。こんな具合に読み進
るも、デバイに飢饉の災厄が
買う本は小型軽量の文庫・新
めていくと、当初のテーマの
ふりかかり前王の殺害者を見
書になります)、半年程前か
周辺にも興味関心は広がって
つけ出すことが解決の途との
ら読み始めました。いつもそ
いきます。今回紹介する本の
神託を受け…ここで残念なが
うですが、まず初めは当該テ
主人公オイディプスもギリシ
ら紙数がほぼ尽きてしまいま
ーマの入門書・概説書からと
ア神話の登場人物の1人です
し た。 文 庫 で 約100頁( そ れ
いうことで『ギリシア神話』
が、人物そのものよりもギリ
も余白多め)ですので是非手
(高津春繁著・岩波新書)
、次
シア悲劇とは何なのか、なぜ
にとって原典に触れられるこ
に私と同じ関心を示していた
古代ギリシア人は劇という形
とをお勧めします。
ので『ギリシア神話を知って
を選択したのか、作者ソポク
いますか』(阿刀田高著・新
レスとはどんな人物でどんな
放浪中のオイディプスがその
NIBEN Frontier●2016年1・2月合併号
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