平成 20 年 2 月

平成 20 年 2 月
銀行窓販の概要
平成17年12月22日
(1)銀行窓販 第3次解禁 開始
(2)「弊害防止措置」「特例措置」を制定
(3)2年間のモニタリング実施
平成19年12月22日
・損害保険 全種目の銀行窓販解禁
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銀行窓販の経緯
損
解禁時期
保
生
保
第一次解禁
平成13年4月1日
○住宅ローン関連の長期火災保険
(専用住宅)
○債務返済支援保険
○海外旅行傷害保険
○信用生命保険
(但し銀行等の子会社・兄弟会社である
保険会社の商品に限る)
第二次解禁
平成14年10月1日
○年金払積立傷害保険
○財形傷害保険
○住宅ローン関連の長期火災保険に店舗
併用住宅を加える
(住宅が1/2以上あることが条件)
○個人年金保険 (定額・変額)
○財形保険
○信用生命保険につき仕入先規制を
撤廃する
○自動車・自賠・傷害を除く個人分野の
保険(但し団体扱、集団扱、団体契約の
○一時払養老保険
○一時払終身保険
○平準払い養老保険
(保険期間10年以下、法人を除く)
○貯蓄性生存保険
第三次解禁
平成17年12月22日
(先行解禁商品)
全面解禁
平成19年12月22日
販売は禁止)
○積立保険(団体扱可)
○積立傷害保険(団体扱可)
全面解禁
全面解禁
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銀行窓販解禁商品の変遷
損害保険分野
自動車保険
住宅関連長期火災保険
個人向け賠償保険等
団体火災保険等
住宅関連債務返済支援保険
財形傷害保険
積立火災保険等
事業関連保険
海外旅行傷害保険
年金払積立傷害保険
積立傷害保険
団体傷害保険
H13.4 ~
住宅関連信用生命保険
H14.10 ~
H17.12 ~
H19.12 ~
全面解禁
個人年金保険
一時払終身保険
定期保険
財形保険
一時払養老保険
平準払終身保険
短満期平準払養老保険
長期平準払養老保険
貯蓄性生存保険
医療・介護保険 等
生命保険分野
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銀行窓販の問題点
銀行窓販は
・
や
が起こりやすい販売形態
《消費者の利便性》
《銀行の圧力》
ワンストップ・ショッピング
住宅ローン・融資
銀行が表立って圧力をかけなくても、銀行から依頼があるだけで
プレッシャーを感じる
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銀行窓販の違反事例(1)
(例 1) 「融資と保険がセットになっている!」と言われた。
「ローン利用は保険加入が条件!」と説明された。
「保険に加入すれば融資の金利を優遇する!」と言われた。
「保険に加入しないと融資を引揚げる!」と匂わせられた。
融資を申込んだら保険の話しをされた!
銀行が融資を行う際に抱き合わせ販売で保険加入を強要したり、
優越的な立場を利用して保険募集を行うことは禁止されている。
(例 2) 「預金残高が○○万円ありますから、これを△△保険で運用
しませんか」と勧められた!
「定期預金が満期になるので積立型の保険に加入しませんか」
とのダイレクトメールが届いた!
お客様の事前の同意なしに、銀行業務で入手したお客様非公開情報
(個人の預金残高など)を利用して保険募集を行うことは禁止され
ている。
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銀行窓販の違反事例(2)
(例 3) 銀行の融資審査期間中に保険を勧められた!
お客様がその銀行で融資の申込みを行っていることを知りな
がら保険募集を行うことは禁止されている。
(例 4) 融資担当者から保険を勧められた!
銀行で事業新規の貸付業務を行う担当者が保険募集を行うこ
とは禁止されている。
(例 5) 銀行で勧誘された際、保険と知らずに加入した。
銀行にはお客様が「定期預金や外貨建預金などを購入した」
と誤認しないようお客様に十分説明しなければならない。
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銀行窓販の違反事例(3)
(例 6) 借入先の銀行から我社の社員が保険を勧められた!
銀行が事業資金の融資先の代表者や従業員に保険募集を行う
ことは禁止されている。
(例 7) 銀行から中途解約し契約を切替えるよう勧められた!
お客様に中途解約の不利益を説明せずに不当に乗換募集を行
うことは禁止されている。
(例 8) 銀行借入れと自動車保険とのバーターを迫られ、代理店との分担契
約とされた(銀行:非幹事)!
銀行が優越的地位を利用して保険募集を行わず、対価性のない募集
手数料を収受するような行為を行っていれば保険監督上問題となる。
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継続された弊害防止措置(1)
(1)-1. 第3次解禁以降の保険商品に対する弊害防止措置
① 融資先販売規制
・事業性融資の貸出先である法人および代表者(個人事業主を含む)には手数料を
得て保険販売することを禁止する
・事業資金の融資先である小規模事業者(従業員数50人以下の企業)の 役員・
従業員に対し保険販売することを禁止する
② 担当者の分離
・事業性融資の担当者と保険商品の販売担当者を分離する
③ タイミング規制
・融資申込者(個人を含む)に対しては、融資の申し込みから貸付実行
または謝絶までの間(融資審査期間中)は保険販売を行なってはなら
ない
(注)事業に関係のない住宅ローン等の場合でも、審査期間中の保険募集は禁止
④ 子会社等による潜脱行為の禁止
・銀行がその子会社等を利用して融資規制等の潜脱行為を行なうことを
禁止する
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継続された弊害防止措置(2)
(1)-2. 第3次解禁以降の保険商品に対する特例措置
(中小金融機関に対する特例措置)
① 特例地域金融機関の緩和措置
特例地域金融機関(地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合等)
については、下記の特例が認められる
● 融資先企業従業員への販売規制の対象を 20名以下の企業とする
● 融資と保険の担当者分離規制を緩和する(簡略化可とする)
② 協同組織金融機関の特例
信用金庫・信用協同組合・農業協同組合などの協同組織金融機関に
ついては、会員・組合員に対する融資先規制を実施しない。
又、前記 ① の緩和措置も適用となる
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継続された弊害防止措置(3)
(2)-1. 全ての保険商品に対する弊害防止措置
① 非公開金融情報の取り扱い
(イ) 銀行等が非公開金融情報を保険募集に利用する場合の取り扱い
● 対面の場合
銀行等は以下の方法により事前に顧客の同意を得なければならない
書面による説明
同意を得た旨の記録
書面による同意
● 郵送による場合
銀行等は、非公開金融情報の利用について説明した書面を利用に先立って送付し、
保険申込書の送付等の保険募集の前に、同意を得た旨の返信を得なければならない
● 電話による場合
銀行等は利用に先立って、非公開金融情報の利用について口頭で説明し、同意を得て
その旨を記録し、速やかに当該利用について説明した書面を公布し、契約申込までに
書面による同意を得なければならない
(ロ) 非公開金融情報の範囲
顧客の預金種類、残高などの情報は非公開金融情報に該当するが、属性情報(氏名、
住所、電話番号、性別、生年月日、職業等)は、非公開金融情報には当らない。
(その取扱いは 『個人情報保護法 』に準拠)
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継続された弊害防止措置(4)
(2)-2. 全ての保険商品に対する弊害防止措置
②「保険募集指針」の策定・公表
● 銀行等は、公正な保険募集のための指針を策定し、公表しなければ
ならない
● 銀行等は、保険の引き受け保険会社の商号や募集代理店としての
販売責任を明示しなければならない
③ コンプライアンスの体制の整備
銀行等は、保険販売を行う営業店舗毎にコンプライアンス責任者
を配備しなければならない
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継続された弊害防止措置(5)
(3) 募集制限先の確認
銀行等は、あらかじめ、顧客に対し、銀行等保険募集制限先に該当する
かどうかを確認する業務に関する説明を、書面の交付により行った上で、
顧客の申告により確認しなければならない。
書面を交付して説明
顧客の申告により確認
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継続された弊害防止措置(6)
保険会社に対する規制
(1) 保険会社は、銀行等への代理店委託に関して、保険会社の業務の
健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保する観点から、以
下の措置が講じられなければならない。
① 銀行等への委託に関し、予め所定の内容を含む方針を定め、これを踏ま
えて委託の内容を定めること
② 保険募集の手数料について、保険会社の経営の健全性の確保及び銀行等
による保険募集の公正を確保の見地からみて妥当な設定を行うこと
(2) 保険会社は、保険募集の状況を的確に把握しなければならない
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新たな弊害防止措置(1)
(1)責任ある販売態勢の整備
① 保険契約締結後に発生する業務の分担
・保険会社と銀行の業務分担を明確にし、顧客に明示する
・十分な要員の確保に務め、必要な態勢を構築する
② 販売責任の周知
・ 違法な保険募集で損害を与えた場合、募集代理店としての販売責任
があることを保険募集指針に明示する
・ この内容を顧客に周知徹底するため、書面による受付、店頭掲示など
の必要な措置を講じる
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新たな弊害防止措置(2)
(2)顧客情報の利用態勢の整備
・より実効性を確保するため、事前に同意をとらなければ商品説明を
行えない
・書面による同意がなければ、契約申込み・締結を行えないような事務
手続きを整備する等の必要な措置をとる
(3)―1 法令等、遵守態勢の整備《新たに設けられた規定》
① 法令等遵守責任者の要件
・配置する法令等遵守責任者は、保険募集に関する法令や保険契約に
関する知識等を有する人材であることを要件とする
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新たな弊害防止措置(3)
(3)―2 法令等、遵守態勢の整備《新たに設けられた規定》
② 内部監査態勢の整備
・保険募集に係る内部監査が確実に実施されるよう保険募集に関する
法令や保険契約に関する知識等を有する人材を内部監査部門に配置
する
③ 公正取引委員会ガイドライン
・ガイドライン『金融機関の業務区分の緩和及び業務範囲の拡大に伴う
不公正な取引方法について』における「第2項第2.2 銀行等の保険
募集業務に係る不公正な取引方法」に十分留意した業務運営を行う
(注)ガイドラインには、
「イ.保険契約の申込みの強制等、ロ.不当な顧客誘引、ハ.委託先保険会社に対
する不当な干渉」を行った場合には、独禁法上問題となると規定している。
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新たな弊害防止措置(4)
(4) モニタリングおよび検査・監督
・全面解禁後もモニタリングを継続する
・今回改正した監督指針等の趣旨を踏まえた検査・監督を行い、問題が
認められた場合には、厳正な対応を行う
・モニタリング結果等を踏まえ、弊害防止措置等を概ね3年後に見直し
を行う
銀行は弊害防止措置の緩和を要求していた
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パブリックコメントでの日本代協からの質問に対する
金融庁からの回答(1)
(1)自動車保険事故処理等について
本 会:
被害者救済の観点から、顧客のために即時対応をすべき保険(自動車保険、
賠償責任保険)について、銀行等においても、常時速やかな対応を確保でき
る体制が必要と考えられるが、どのような体制を構築し、明示するこが必要
と考えられるか。
金融庁:
銀行等においても、一般代理店と同様に、顧客の利便性向上の観点から、そ
の体制は、委託契約等にしたがって、十分な措置を講じた上で、担当部署、
連絡先、営業時間等を明示することが必要であると考える。
(注)これにより、自動車保険等を販売する場合には、事故報告を受けた場合に十分な対応
ができる措置を講じ、担当部署・連絡先、営業時間等を明示しなければならない。
いわゆる「売りっぱなし」の対応はできないこととなり、銀行に対する制約になると
思われる。
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パブリックコメントでの日本代協からの質問に対する
金融庁からの回答(2)
(2)公正取引委員会ガイドラインについて
本 会:
銀行等が、それ以外の代理店と比べて商品内容、事務分担及び法令遵守があっ
た場合の処分内容において、著しく優遇されることのないよう、対策を講じ
るべきではないか。
金融庁:
保険代理店である銀行等が、優越的地位を利用して、委託元保険会社に対し
正常な商慣習に照らして不当な不利益を与える場合は、独占禁止法上問題と
なることとされている。
(注)今回の監督指針の改正により、例えば、銀行が優越的地位を利用して、委託元
保険会社に対し正常な商慣習に照らして不当な不利益を得るような①保険商品
を開発させ、②事務を分担させ、③法令違反発生時の自らに対する処分内容を
軽減させるようなことがあれば、保険監督上も問題となるものと考えられる。
これにより、保険商品、事務分担、処分などで、銀行だけに有利な対応を保険
会社にさせることは、事実上できなくなるものと思われる。
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パブリックコメントでの日本代協からの質問に対する
金融庁からの回答(3)
(3)代理店分担について
本 会:
代理店間分担契約は、当該代理店が保険の募集、保険事故の受付及び相談等
を実際に分担して実施する等、合理的な理由がない場合は行ってはならない
ことを保険契約者、銀行等に周知徹底する策を講じるべきではないか。
金融庁:
銀行等が、優越的地位を不当に利用して保険募集を行う行為は既に禁じられ
ており、仮に、銀行等が優越的地位を利用して、実態として保険募集を行わ
ず、対価性のない募集手数料を収受するような行為を行っていれば、保険監
督上問題となるものと考えられる。
(注)これにより、名目的な代理間分担契約は、禁止されたものと考える。
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銀行窓販に対する今後の対応
(1) 3年後も弊害防止措置等が継続・強化されるよう、モニタリング
の徹底をする。
(2)消費者に対し「銀行の保険販売の禁止事項」の注意喚起の啓蒙活動
の徹底をする。
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