「事務長会の活動と課題」まとめ 本部企画部 各都道府県市の現在の状況等について、全てを網羅することはできませんが、作成していただいた各都道 府県市の原稿より、昨年度からの主だった動きについてまとめてみました。 1各都道府県市における再編計画等 各都道府県市においては、国の教育振興基本計画を受けてそれぞれに策定された教育振興計画に基づ き、各種のビジョンを持った教育施策が着実に推進されている。少子化、行財政改革に伴う中・長期計画 に基づいた学校再編成計画は、年次計画に沿ってそれぞれで実施されており、高校における統廃合、中高 一貫校や単位制、総合学科、専門学科の充実、特別支援学校の児童生徒増による再編成等の整備計画も引 き続き進められている。 <秋田県、千葉県、京都府、宮崎県、沖縄県>平成23年度に、今後の10年間を見据える等の教育振興や 学校改革に関するプランを策定 く岩手県>平成23年度に学校再編後期計画の策定が予定されていたが、東曰本大震災により見送られた。 被災地域の復興計画の策定状況、各ブロックにおける動向・推移を見据えながら調整・検討することとさ れており、当面は、震災に伴う学校再開・復興に向け環境を整備することに重点的に取り組む。 <大阪市>23年12月に市長が変わり、大阪市立高等学校及び特別支援学校を大阪府に移管すると表明し、 現在大阪府市統合本部で検討されている。 2業務集約化について く北海道>平成22年4月より全道14教育局に「道立学校運営支援室」が設置され、26年度完成を目途に 事務改善が進められていたが、ITシステム開発の進行などを受け、完成年度を25年度に繰り上げた。22 年10月に給与事務の集約を行う「教職員事務センター」が開設され、23年6月に旅費支給事務集約部門 を設置した。24年10月から人事給与システムの試行が開始されることとなっており可給与諸手当の発生 源入力や人事,情報管理の一元化などが図られて事務集約化が一層進み、25年度完成に向けて最終段階に 入ってきている。 <秋田県>小中事務センター:21年度17校、22年度19校、23年度19校、24年度16校 <名古屋市>23年度から学校事務支援センターが新設され、学校に共通する一般備品の購入取りまとめ・ 調達や各種研究大会等の参加費の一括振込み等を行うこととなった。 <富山県>23年度から検討が始まった「学校事務の共同処理」は、今年度一部地域で試行を開始し、来年 度全県実施の計画が進められている。事務長会として、対象業務の選定や処理方法、課題と効果の測定等 について検証していく。 3ICT化の推進について <埼玉県>21年度から23年度にかけて段階的に実施された総務事務システムは、服務機能と実績給の教 職員入力(発生源入力)が24年1月から開始され、完成した。型年度は、総務事務システム導入による 理由で定数が削減された。 <島根県>25年から予定されている内部管理事務改革における課題の-つである、教育職員の発生源入力 についてく意見を取りまとめた。 4財務関係について く北海道>平成23年度、学校裁量による予算執行が「予算の調整配分」という仕組みで-部実現された。24 年度はこれに「学校間調整」を加えて本格実施となり、この仕組みを活用することで、事務長が専門性を 活かして予算計画・執行の中心となり、学校経営に深く関わる環境が整いつつある。 <山口県>事務長予算ヒアリングを実施し、学校教育目標等の達成に向けて整備しようとする備品等につ いては、特別経費として別枠で措置される。各校務分掌に事務職員が参画するとともに:校内での予算の 要求を「教員→事務室→校長」から「事務職員→事務長→校長」ヘ試行的に見直しを行う。 5学校徴収金について 事務長会の研修、研究内容では、引き続き学校徴収金をテーマにしたものが全国的に多く見受けられた。 公費・私費の負担区分や学校徴収金、団体徴収金の役割分担、徴収方法、未納対策等についての情報交換、 検討が行われている。背景には、要綱やマニュアル等が整備され、監査の対象として拡大していく方向性 があるものと推察される。 ̄ <三重県>学校諸費の範囲と納付依頼の根拠、責任体制の明確化、会計事故防止体制の整備、執行におけ る透明性の向上について見直しが行われ、学校関係団体経費の事務に従事する職員の服務が「勤務」と定 められた。 <香川県>PTA会計等を特定受託管理関係とし、従事する場合の服務上の取り扱いを明確にした。 6防災対策について 東曰本大震災を受け、各地で防災対策・防災教育についての見直しや検討がなされ、マニュアル等の改 訂、施策が示された。事務長会の研修、研究内容でも防災対策、施設の耐震化、学校の役割、省エネ対策 等をテーマにしたものが23年度は多く見受けられた。省エネについては、県市等で推進しているEMS (環境マネジメントシステム)の取組みと連動している状況もある。 <宮城県>特に被害が甚大で仮設校舎で授業を行っている2校に対して「事務的緊急支援チーム」のスキー ム作りを校長協会、事務職員協会、事務長会の三者で構築し、支援チームを派遣した。石巻支部は、貴重 な証言集である震災記録集「逆境,を生き抜く」を編集・発行した。 <福島県>東曰本大震災及び東京電力福島第一原発事故により、学校現場においても復旧工事が行われて おり、未だ正常な教育活動が行われていない学校も存在している。このため、事務の業務も多忙を極め、 困難な状況が続いている。 <茨城県>「地域の中の学校施設の役割」作成、<群馬県>「学校防災マニュアル(事務編)」作成。 <東京都>計画停電により授業に支障が生じた学校が多くあった。防災対策として、24年度から都立高校 での宿泊防災訓練が実施されることになった。 <名古屋市>一次避難場所として指定を進めている「津波避難ビル」の中に-部の市立高等学校が指定 された。 <愛媛県>県立学校の耐震化完了目標を33年度から29年度に前倒しし、27年度末には耐震化率90%を目 指す。 7技能業務の外部委託化について 和歌山県、香川県、愛媛県で実施されていた現業職員から行政職員への任用替えは、23年度に完了し、 新たに記載があったのは福井県のみ。 8事務職員定数削減、任用等について く群馬県>23年度から県立学校事務の採用が復活し、24年度15名の新規採用。 <埼玉県>24学級以上の普遍科高等学校で、23年度に事務職員が5人から45人へ、24年度に4.5人から 些乙 守人へ定数肖I減。工業高等学校では、24年度5人から4.5人へ。削減理由は、23年度が授業料無償化に よるもの、24年度が総務事務システム導入によるもの。 <熊本県>24年度から採用名称を「学校事務」から大卒程度は「教育行政」、高卒程度は「教育事務」へ 名称変更している。大卒程度について、県教委事務局への積極的配置を考えているため。 <沖縄>図書館担当事務職員を事務室勤務から図書館勤務にする旨の実質定数削減は、25年度までは行わ ないこととなったが、26年からの動きは不明。23年度に学校事務採用区分が「学校事務I」「学校事務Ⅱ(図 書館担当)に分かれたが、24年度は「県立学校事務I」「県立学校事務Ⅱ」「市町村立学校事務」へと細分 化された。 9事務長の処遇改善等について く福井県>管理職手当の支給人員率は、13年度の77%以降、近年まで75%以上で推移してきたが、23. 24年度は60%まで低下している。 <神戸市>退職者2名が嘱託職員として事務長に就任した。 <徳島県>要望の結果、管理職手当支給対象者は81%となった。 <愛媛県>24年度から新たに、課長級として財務指導監(3名)が設置された。主な職務として、予算執 行・財産管理の効率化・適正化について指導するとともに、「節約」から現場の知恵による「自立的な改 革」を目指すものである。 <大分県>事務長試験の廃止による昇任人事に関する課題に、校長協会と連携して取り組む。 <熊本県>23年度に続き、24年度も1名の教頭発令があった。さらに初めて主任事務長から教頭を2年 経験後、校長への採用が現実となった。制度として定着していくのか今後の推移を注目。 10事務長会の活動について 事務長会のあり方について、他県等の動向を踏まえながら検討の必要性が高まってきている。 <神奈川>24年4月に、「県立学校事務長会議の設置及び運営に関する要綱」が従来の取扱要領に替わり 施行された。 <山梨県>事務長会のあり方について、事務職員会の休止等の関連もあわせ、検討を進める。 <岐阜県>特別支援事務長会の活動を事務職員協会内の委員会活動として位置づけた。 <三重県>教育事務研究会、特別支援事務長会との統合について検討。 <滋賀県>22年度に事務職員会、特別支援学校事務長会との統合について検討したが、従来どおり存続す ることとなった。 <香川>従来の3部会に可新たに特別支援学校部会を加えた。 <愛媛>24年度から事務職員協会と統合し、「愛媛県学校事務職員会」を発足した。 <沖縄>特別支援事務長会との統合について、研究を推進する。‘ 11これからの課題等 厳しい財政状況の中で行財政改革が進められており、定数減や事務の集約化、ICT化等による事務を 取り巻く状況が大きく変化している中で、事務室の学校経営参画への新たな取組み、事務長の役割強化と いった現状を検討し、将来に繋げていく方策を引き続き模索していきたい。
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