医療連携∼PHARMA-NOTE と Dr.Meeting∼ (株)メディック太陽・メッツ嵐南薬局 川瀬神経内科クリニック 上村宏、竹田暁、冨所豊、山﨑良紀、金井寛幸、鈴木博之* 川瀬康裕、新保暁* *前職員 緒言: 次代への視点から、必要とされる薬局の機能は何か?が今回の共通テーマで、医療連携はひとつの KEY WORD であろう。 PHARMA-NOTE: 上記の意見交換をする中で、緊急を要しないものの薬局で得た情報を両者で共有する必要性が出てきた。 法改正により、医療関連施設としての薬局、医療人としての薬剤師・薬局スタッフは、地域住民・患者 そこで、同年 10 月から、FAX を用いた情報交換を行うことになった。 さん達や医療機関・医師らの間にあって、今まで以上に、両者に期待され信頼される機能が果たせる存在 PHARMA-NOTE 見本(A4 版) でなければならなくなった。ここにこそかかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師の原点であると考える。即ち、 医療・調剤の質の向上には医薬“協”業という切り口は欠かせない。その実態について薬局サイドからの PHARMA-NOTE 報告は多い。 以下ご報告いたします。 今回、医師からの呼びかけで始まった医薬連携が一定の成果をあげ、定着した。その日常的 送信日: PHARMA-NOTE と定期的 Dr.Meeting について報告する。 先生 薬剤師名: 背景: ID: 患者名: 処方日: 現在の当薬局の全売上に占める保険調剤収入は 9 割強、そのうち川瀬神経内科クリニック(以下 CL と 略記)分は約 9 割である。この関係が出来上がった経緯は次の通りである。 気になる情報、患者の要望など ●当薬局は平成 5 年 8 月、CL 開業と同時に隣接地に開局した。 □副作用の疑い □併用薬 □一包化 □その他 ●当初から、両者の緊密な連携は医療の質を上げるとの考えから、良好な関係構築に努めてきた。 ●その後、手狭になり、平成 8 年 10 月 50m離れた場所に土地が確保できたので、ドライブスルー機能を 有する大型薬局として移転オープンした。 ●開局当時から CL の医師はじめ関係者との人間関係は良好で、交流会等を行ってきた。 ●平成 16 年 7 月 13 日の洪水で両施設共大きな被害を受けたが、助け合い乗り切った。 ●同年 9 月水害を乗り越え、川瀬医師を会長とした第 6 回全国早期痴呆研究会が当地で開催され、当薬局 も協力できた。 処方内容への問い合わせ □禁忌・併用 □用法・用量 □その他 水害写真 薬剤師へ CLからは必ず何らかのコメントが付され返信されており、発進した方にもやりがいを感じている。送 信した内容は、疑われる副作用、服薬状況の報告、コンプライアンスの悪い方への注意と指導、複数診療 早期痴呆研写真 科受診者の診療情報伝達漏れ、副作用を気にしている方の当該副作用の頻度や重篤情報、医師へ患者の意 思伝達が不十分と思われる例、後発薬情報、患者の思い込みと思われる情報、薬局で行った服薬指導の連 絡、一包化などの患者の要望などである。処方内容に対する問い合わせは最近の 1 年間ではない。 現在では月平均 15 枚程度になり、診療に有益な情報も少なくない。 本方式は特段の設備や準備なしで行え、これが成功のポイントだったと考える。 副次的効果: Dr.Meeting と PHARA-NOTE と並行的に、以下の効果も生まれた。 ●CL と相談して、推奨するサプリメント等を販売できた。 ●教育訓練の助言、講師紹介で教育プログラムが多様化でき、また CL 付属のデイサービス施設での実習 によって、職員の資質向上に役立った。 ●新潟県薬誌に ARB の DEM フォローアップに関する共著論文を投稿出来た。(2005 年 10 月号) ●水害後リニューアルに当たり、駐車場狭小化につながるにもかかわらず、効率的に建物の拡張ができた。 ●調剤過誤防止を含むリスクメネジメントに、迅速適切な対応やフォローアップが行えるようになった。 ●健康相談や一般薬を買いに見えられた方に受診を勧める。 結語: 以上は CL 理事長、事務長、医師、看護師等メディカルスタッフと当社の社長はじめ関係者の人間関係 Dr.Meeting: 第 1 回は平成 16 年 2 月で、原則として隔月第 2 木曜日午後 7 時半から 1 時間とした。立ち上げ当初は 医師からの勉強会の色合いが強かったが、次第に意見交換の場となり、1 時間半を越えることが多くなっ た。 主な内容は、CL サイドからの薬局に対する希望、処方内容の解説、処方に対する薬局の要望、患者や 製品情報の交換等である。その中で、次第に検討課題が出て、漢方の服用法、l-DOPA とクエン酸の併用、 ムダのない処方単位の取り決め等もでき、充実してきた。 なお、患者の相談の仕方が医師と薬剤師では異なる場合があるので、有益な情報交換の場になっている。 と組織的連携があってはじめてできたことである。 医療法改正により保険薬局が医療提供施設となったが、より一層の医療連携を深め、地域に根ざした薬 局として歩み続けたい。
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