平成25年新年号(PDF:261KB)

埼玉県警察
山岳救助隊
秩父警察署
℡ 0494-24-0110
小鹿野警察署
℡ 0494-75-0110
タイトル写真:雲取山からの富士山
山岳救助隊ニュースは埼玉県警のHPからアクセスできます
※http://www.police.pref.saitama.lg.jp/kenkei/
平成24年(1~12 月)秩父山系の山岳遭難発生状況
件数 45 件 死者4人 重軽傷者 23 人
負傷なし 29 人 行方不明2人
奥武蔵周辺の低山での遭難が多発!
厳冬期の低山も甘く見ないで下さい。
今年も 12 月には秩父の山々は初冠雪を迎え、その後も数回の降雪により本格的な雪山シーズンに
突入しました。この時期発生する遭難の特徴は、以下のとおりです。
1
意外と早い日没に対応できない。
夏山と同じ感覚で日帰り登山計画を立て入山して下山前に日没を迎え、装備不足も重な
り行動不能に陥る。曇りの日の樹林帯内では午後4時でライトが必要となる。
2
装備品の欠如
無積雪の日帰り計画だからと照明具や防寒対策をおろそかにしている登山者。最悪一晩
はビバークできる装備の準備を。低山でも最低気温は氷点下10度以下になることも。
3
低山(標高 1,000 メートル程度)での発生が多い
アイゼンなどを必要とする本格的な雪山は登れないからと、奥武蔵など標高 1,000m以下
の雪の無い山に夏と同じ感覚で入山して路面凍結等により転倒滑落。
4
装備品を装着しないでの事故
せっかくアイゼンを持参しているにもかかわらず、わずかな区間だけの凍結だからと装
着せずに無理に突破しようとして滑落・転倒。
以上の通り「標高の低い山ならば、雪が無ければ夏山と同じ」という感覚は大変危
険です。またアイゼンなどの装備も正しく使用しなければ同様に危険ですので、事前
の準備を入念に実施してください。
冬山装備品の準備は大丈夫ですか?
「日帰りでもヘッドライト・雨具持参を!」と私たち救助隊
ではことあるごとに呼びかけてきましたが、これは日帰り予定
の登山者が、道迷い等が原因でビバークを余儀なくされた遭難
が多数発生していることからなのです。
最近は秩父市街地でも最低気温は氷点下7度を下回ります。
このような真っ暗闇で極寒の山中で、快適ではないにしろ無
事に一晩過ごすためには何が必要かを考えて準備をしてくださ
い。
雲取山と富士山
携帯電話・照明器具等電子機器の電池類は、気温低下に伴い想像以上に消耗が早くなります。
予備電池・保温対策をしっかりと。
山岳遭難発生状況(9月23日~12月31日)
★10月19日 二子山(横瀬)単独
30歳女性
★10月20日 両神山
4人PT 32男・29男
★10月29日 日和田山
3人PT 52歳男性
★11月 4日 秩父御岳山 4人PT 25歳女性
★11月 8日 蕨山
単独
60歳男性
★11月 9日 両神山
2人PT 51歳男性
★11月13日 両神山
単独
42歳男性
★11月14日 秩父槍ヶ岳 単独
51歳男性
★11月17日 棒の嶺
4人PT 74歳女性他
上記遭難はすべて携帯電話による救助要請でした。
下山中、浅間神社で道を見失う
疲労で下山遅延
懸垂降下中、10m転落
用足しのためPT離脱後単独道迷い
12時入山所持品皆無、日没で沢に迷込む
下山中、妻が滑落、助けようとして滑落
下山中、ライトの電池切れ、道迷い
登山道でないルートで下山しようとして道迷い
12時入山後登頂諦め引返すも日没行動不能
無事
無事
重傷
無事
無事
重傷
無事
無事
無事
平成 24 年発生の遭難を振り返る
~繰り返される遭難~
1 無知識・無経験登山者の更なる増加
「遭難者は中高年登山者」だけではなくなってきていることを感じる一年となりました。
年齢・性別・目的に関係なく、山の知識や経験がない上で入山して遭難を起こす登山者がさらに増加している状況のようです。
(1) 団塊世代を中心とする中高年
相変わらず大多数を占めているのですが、統制のしっかり取れていない多人数パーティーの遭難(未遂含む)も目立ちました。
(2) 「山ガール・山ボーイ」と呼ばれる若年登山者
中高年に加えて若年登山者の増加は奥多摩・奥武蔵周辺で既に目にしていたのですが、とうとう正丸峠を越えて秩父に進出し
てきて遭難を起こし始めたかと救助隊員を唸らせた年になりました。
(3) トレイルランニング(トレラン)
残念な意味で、本格的に増加を感じることになった一年でした。現に遭難を起こして消防や警察が出動した件数もさることな
がら、山小屋関係者などから「危ないところを助けた。」といった情報があちこちから入っています。
遭難未遂件数は相当なものと推測されます。あるトレラン初心者向けの書籍には「雨が降った場合には止むまで待つ」といっ
た雨具を持たずに入山することが前提での説明が掲載されている始末です。
2 繰り返される遭難
前述の無知識・無経験登山者が遭難するパターンは老若男女問わず大きく変わることなく、ほぼ毎年同じことが繰り返されていま
す。変わることのない遭難に対して私たちは同じ注意を毎年繰り返し訴えており、正直なところ「どうして毎年同じ(パターンの)
遭難が繰り返されているのに抑止することができないのか。」と悩んでいます。
一向に減ることのない典型的な遭難
・ ライトがなく(あっても電池切れで)日没行動不能。
・ 地図が読めず、道迷い。(GPS所持で遭難も増加)
・ パーティーがばらばらで行動して仲間が見当たらない。遭難したのではないか、という通報。
(自分たちでは何もせず通報のみのケースも多い)
・ パーティーのメンバーが遭難したにもかかわらず、登山(下山)を続行して救助活動をしない。
・ 遅い時間に登山を開始。(無計画)
3 行方不明遭難の急増
昨年5月から9月までに4件もの行方不明事案が発生し、2名が後日遺体で発見され、2名はいまだに行方不明です。
登山者の多い山でさえ一旦登山道を外れてしまうと誰にも見つけてもらえないことになるおそれがあるということを肝に銘ずる
べきです。まるで近所の公園に遠足に来ているような登山者を見かけますが、一度山に足を踏み入れればどんな山であれ、誰でも死
の危険と隣り合わせであることを忘れてはいけないのです。(そのために十分な準備をするのです。)
登山届が提出されていれば、と悔しい思いをすることもしばしばです。
4 マナーの悪化(常識を疑う事例も)
通行禁止登山道に侵入しての遭難については過去の救助隊ニュースでも触れていますが、ネット情報を鵜呑みにした登山道外での
遭難も増加傾向です。周囲に登山道のない一般私有地に自生する野生植物の群生地でも、ネットや口コミで情報が広まった結果、登
山者が押し寄せて、登山靴で踏み荒らされて無残な姿になってしまったケースもあります。
最後に昨年秋実際にあった通報を2件
(1) 「妻が約束の時間になっても下山口に来ない」と夫からの通報
午前中に登山口まで車で送り届け、下山口に迎えに行く約束で別れた。
約束の時間に、下山口に迎えに行ったのだがいつまで待っても妻は来ない。
遭難したのではないか、という十分に確認もしないでの通報。
救助隊が直ちに出動するも、妻は既に帰宅していたことが判明。
(2) 約 20 人のパーティーで下山中、1人のメンバーが先行して下山した。
残りのメンバーが下山したところ、下山口に先行したメンバーがいないとの通報。
仲間が行方不明であるというのに、大半のメンバーはすでに下山口を離れ、電車で移動して飲食をしているとのこと。
(救助隊員は耳を疑った。)
救助隊出動後、先行したメンバーはすでに帰宅していたことが判明。
どのような救助要請の通報でも救助隊では最悪の状況を想定して最大限の人数と資器材を投入して一刻も早く遭難者を救助すべ
く、迅速に出動していますが、これら救助隊の運営はすべて貴重な埼玉県民の税金で賄われていることもお忘れなく。
登 山 計 画 書
団
体
名
所
在
地
緊急連絡先
登山開始日時
下山予定日時
山(域)名
ル
メンバー
氏名
ー
ト
合計
年齢
名
住所
電話
携帯
CL
SL
携
帯
品
食料
食分
無線
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□
MHz
ツエルト
コンロ
携帯電話 (代表者番号)
□ ヘッドライト
□
□ 救急用品
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雨具
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地図
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テント
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考
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ナンバー
食分
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