MEI News Letters No.3 - 大阪大学国際医工情報センター Global

大阪大学臨床医工学融合研究教育センター
The Center for Advanced Medical Engineering and Informatics
http://www.mei.osaka-u.ac.jp
MEI News Letters No.3:
2006 年 4 月 19 日発行 internal
第 3 号コンテンツ
(1)臨床医工学教育プログラム(大学院博士前期課程),専任教員も迎え,
より充実した内容で 2 年目がスタート
(2)社会人再教育ユニット,2 期目の募集を開始.6 月から講義・演習順次開始
(3)第 1 回臨床医工学情報科学国際会議(6 月 3-4 日)開催
(4)臨床医工学融合研究教育センター専任教員教員紹介
(5)MEI センター・研究プロジェクト紹介
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MEIセンターのホームページがリニューアルしましたhttp://www.mei.osaka-u.ac.jp
(1) 臨床医工学教育プログラム(大学院博士前期課程),新たな専任教員も迎え,より
充実した内容で 2 年目がスタート
関連webサイト:http://www.mei.osaka-u.ac.jp/r02/index.html
昨年度に引き続き、本年度も臨床医工学融合教育センター教育プログラムを、大阪大学
の多くの部局のご協力のもと実施いたします。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
今年度から、本教育プログラムを、文部科学省特別研究教育経費(教育改革)の支援のも
と、「臨床医工学・情報科学融合領域の人材育成システムの確立」として実施できることに
なりました。主な対象は、昨年度と同様、大学院博士前期課程教育プログラムです。この
教育プログラムは、医療、医学、工学、および情報科学の高度な融合領域研究を基盤に、
先進福祉社会と健康増進を支えるコンソーシアムの形成を牽引できる人材の育成を目指し
ます。これは、社会ニーズ、医療ニーズ、患者ニーズ、および工学・情報科学技術に総合
的に精通した医師・医療技術者・医工学者の育成を意味します。また、医療現場のニーズ
に応えるための工学研究・開発・教育を、医療に留まらず、国民福祉と健康増進に関する
人にやさしい新しい技術の創成や国際競争力の高い新規知的産業の創出につなげられる人
材の育成を目指します。こうした高度教育を学内外の部局横断的兼任教員、海外の教育・
研究機関の招へい教員の協力体制によって実施します。また、この大学院教育と並列して、
平成 17 年度から文部科学省科学技術振興調整費の支援で実施中の「臨床医工学・情報科学
技術者再教育ユニット」
(社会人再教育)とも組織的に連携することで、新しいシステムに
よる教育の効果・成果を、社会に広げ、企業や実社会の要請に直接貢献することを目指し
ます。
さて、昨年度は重複を除いた上で総計 236 名の受講者がありました。このことは、臨床
医工学に対する学生の需要や期待の高さを示していると言ってもよいでしょう。また、受
講者アンケートの結果から、自らの身体を動かして学ぶ演習や実習はなかなか高い評価を
受けることができました。一方で、本プログラムを履修したにも関わらず、プログラムを
修了できた学生の数は決して多くはありませんでした。このことは、各大学院生にとって、
自分の専門分野とは異なる大学院レベルの講義を履修しその単位を取得することは必ずし
も容易なことではないことを示しています。文部科学省の特別研究教育経費によって MEI
センターに新たに 6 人の専任教員を迎えることができましたので、本年度の教育プログラ
ムでは、こうした専任教員が中心となって、臨床医工学・情報科学入門コース(医学入門、
医用工学・情報工学入門)を新たに開講することにしました。このようなコースを利用す
ることで、理工学系の学生に対する医学に対する障壁、および医歯薬系の学生に対する工
学に対する障壁を軽減でき、1 年では困難でも 2 年かけて努力の末に本プログラムを修了で
きる学生が少しでも増えることを期待しています。また、そのような学生の期待に応える
ためにも、我々もプログラムの改良を引き続き実施していく所存であります。
(2) 社会人再教育ユニット,2 期目の募集を開始.6 月から講義・演習順次開始
関連webサイト:http://www.mei.osaka-u.ac.jp/ret/index.html
臨床医工学融合研究教育センター
山本一博
昨年度より開講しました社会人再
教育「臨床医工学・情報科学技術者
再教育ユニット」の2期目が、平成
18年6月10日(土)の共通コー
ス・臨床医学総論の講義を皮切りに
スタートいたします。今年度のスケ
ジュールはすでにホームページ上で
公開しており、受講生募集も開始し
ました。
本ユニットで最も大切な目標は教育内容の充実です。講師の皆様のおかげで、昨年度の
講義および演習に対する受講生の評価、満足度は高く、ユニットの目指すものと受講生の
ニーズが合致していることを示していると思います。今年度も「バイオメディカルインフ
ォマティクスコース」、「高度診断治療工学コース」、「バイオマテリアル学コース」の
中に6つのサブコースを設定し、昨年度よりも講義および演習のコマ数を増やしさらなる
充実をはかったため開講日が増加し、昨年度よりも3ヶ月早く開講することとなりました。
今年度も引き続き、質の高い講義と演習を受講生に提供できる体制が整ったと思います。
本ユニットの最終目標である人材育成を通じた社会貢献のためには、このような教育内
容の充実に加え受講生を多く集めることも必要であり、広報が重要な役割を担います。本
コースの目的を端的に理解していただく必要があり、今年度から「大阪大学臨床医工学・
情報学スキルアップ講座」という呼称をもうけ、広報パンフレットには呼称を大きく表示
しております。また、今年度は10の団体や学会に後援していただくこととなりました。
本ユニットの活動の評価を高め、継続性を持たせる上で、2 年目にあたる今年度の活動は
重要な位置づけになると思います。講師をお引き受けいただいている先生方をはじめ、皆
様のご協力をよろしくお願いいたします。
(3) 第 1 回臨床医工学情報科学国際会議(6 月 3-4 日)開催のご案内
詳細情報(参加申し込み):http://www.mei.osaka-u.ac.jp/int.html
第 1 回臨床医工学情報科学国際会議-生物機能の再構築と回復
分子から身体へ-
The First International Conference on Medical Engineering and Informatics
"Reconstruction and Restoration of Biological Function: from molecule to body"
主催:大阪大学臨床医工学融合研究教育センター
共催:臨床研究教育センター エスキュール(SCCRE) in silico human 研究会
日本生体医工学会関西支部,日本機械学会生物機械システム研究会
開催日時:6 月 3 日(9:00~)および 4 日(9:00~)
会場:大阪大学中之島センター佐治敬三メモリアルホール
開場:両日とも 8 時 30 分
参加費:無料
開催趣旨
生体を構成する分子や細胞あるいは器官,また
それらの設計図である遺伝子の解明が進み,私
達は,自らの身体の構成要素に関する膨大な情
報を手にしつつあります.こうした情報と,め
ざましく進歩を続ける工学・情報科学技術を結
びつけることで,生物・生体機能の一部を,ソ
フトウェアあるいはハードウェア的に人工的
に再構築することで生物機能をより深く理解
することができます.また,得られた科学的知
見に基づいて,疾病によって失われた機能を回
復・支援することも可能になってきています.
本会議は,分子から身体に至るマルチスケール
な視点に立ち,こうした臨床医工学・情報科学
の最新の取り込みを,十分に時間をかけてご講演,ご議論いただく場を提供することを目
的として開催いたします.皆様のご来場をお待ちしております.
大阪大学臨床医工学融合研究教育センター
研究部門長
工学研究科教授
八木哲也
(4)臨床医工学融合研究教育センター・MEI センター専任教員紹介
平成 18 年度 4 月現在,以下の 10 名が MEI センター専任教員として勤務しておりま
す。
大阪大学
山本一博(MEI センター/再教育ユニット・助教授)
大安裕美(MEI センター/再教育ユニット・講師)
下ノ村和弘(MEI センター/再教育ユニット・講師)
中村亨(MEI センター/再教育ユニット・助手)
寒水孝司(MEI センター/教育プログラム・助教授)
MEI センター
網代広治(MEI センター/教育プログラム・講師)
吉岡靖雄(MEI センター/教育プログラム・講師)
山崎隆治(MEI センター/教育プログラム・講師)
大島勘二(MEI センター/教育プログラム・助手)
若林一道(MEI センター/教育プログラム・助手)
各教員の詳細プロフィールは、それぞれ以下の web サイトでご覧いただけます.
社会人再教育ユニット:http://www.mei.osaka-u.ac.jp/ret/spe.html
大学院教育改革:http://www.mei.osaka-u.ac.jp/r02/spe.html
(5) MEI センター・研究紹介
保健医療分野における基礎研究推進事業研究プロジェクト
「高齢社会で増加する神経疾患の運動障害計測・診断支援機器の開発」
新しい学問体系へ向けて
医学系研究科神経内科学・MEI センター
教授
佐古田三郎
米国では治験は生活習慣病から、精神神経系等を対象とするようにシフトしつつあります。
日本でも徐々にこのような難しい臨床試験へのチャレンジが要求されています。精神神経
系はその評価が半定量的である点、施設間のばらつきが大きいため、多くの患者さんの協
力が必要です。この問題解決に取り組むべくMEIセンターで私どもは、医学、工学、情
報科学、歯学など、複数の分野の研究者が協力して、神経症候の定量化に取り組んでいま
す。その取り組みの一つ(医学部神経内科、情報科学)が指タップ運動の定量化です。加
速度センサにより、従来半定量的評価であった、指運動のスピード、リズム、振幅などを
他覚的に定量できるようになり、パーキンソン病などの薬効評価が可能になりました。こ
れ以外に、指タップ運動波形から興味深いことが分かりました。パーキンソン病患者さん
において今まで目視にて、「筋力低下のない手指運動拙劣」と神経内科医に記載されていた
のは、指運動の2峰性ピークに起因すること、
「正常の大きさの連続的な筋運動の喪失」と
記載されていたことが、無秩序に取り出された波形が正常者と異なりずれていることが証
明されました。現在両者を定量化することに挑戦しています。世界でも未だこのような波
形を捕らえた研究者がいないので、この研究成果の普及には未だ時間はかかるかと思いま
すが、医工連携で生まれた新しい研究領域であり、MEIセンター設立の大きな成果の一
つでしょう。一つの現象に対して、全く学問背景の異なる研究者が協力しあうのは21世
紀には欠かせないことです。学問とは、「学び、そして問う」ことです。得られた波形の異
常は何故?と問うところからもう一歩進んだ新しい医工連携のプロジェクトが創生される
ような予感がします。
編集 MEI センター広報委員会
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