4. 事業報告書 - 海外電力調査会

資料④
平成 27 年度事業報告書
(平成 27 年 4 月 1 日~平成 28 年 3 月 31 日)
海外電力調査会(以下、
「当調査会」という)は、平成 26 年度下期より、役員自ら精力的に議
論するなど組織体質の刷新・経営の強化策を強力に推進してきた。その実施にあたっては、わが
国の電気事業システム改革や海外電気事業の経営環境の変化も考慮に入れ、さらに幹部職員や若
手職員を含めた会議も併設した。平成 27 年度上期には、経営システムの強化・改革の具体的方策
を含めた計画を取りまとめ、同年度下期以降、それらの実施に取り組んでいる。
平成 27 年度における経営システムの強化・改革に係る具体的実施事項は以下のとおりである。
中長期的視点に立って、電気事業への貢献、信頼、長期互恵の交流などを含む「経営理念」
、
「ビ
ジョン」
、
“付加価値を高める”
、
“実力を高める”、
“自主・自立性を高める”からなる「基本方針」
ならびに「行動指針」を策定し、当調査会職員の意識の統一を図った(5 月)。経営理念・ビジョ
ンの推進に必要な「組織の改編」を実施、関連の諸規程の見直しを行った(7 月)。従来の単年度
事業計画の不足を補うため、調査・協力・交流の各事業における国別戦略を含む、具体的な中期
事業展開方策を「3 ヶ年計画」として取りまとめた(10 月)
。監査業務規程を新設、人材育成の方
針と具体的施策をまとめた育成計画を策定した(12 月)
。内部統制システムの基本方針を制定し、
海外事務所の機能強化および効率化(北京事務所の体制見直し、欧州事務所の移転先の選定)を
進めた。
具体的事業分野の重要実施事項は以下の通りである。
1.付加価値を高める
(1)調査研究
調査研究業務においては、編集局、論説会議を新設、一層の品質向上と提言に努め、付加価
値の向上を図るとともに、電気の需要家への情報発信として新聞記者や外部専門家への情報解
説を実施し、同様に講演会の開催や単行本の出版も行った。
欧米諸国の調査について、電力システム改革、原子力、再生可能エネルギー等のわが国が直
面する喫緊の課題に係わるテーマを比較・分析・評価し、提言を含め調査結果を広く発信した。
加えて、従来の電力ビジネスモデルに代わるものとして模索されている新ビジネスモデルに
ついてワシントン事務所、欧州事務所、本部のメンバーからなる調査チームを結成し、欧州、
米国の複数の事例を多面的に調査、分析する等、付加価値を高めて発信した。
インターネット等による情報収集が限定的である非先進国については、現地調査の実施やそ
れによるキーパーソンとの繋がりを活用するなどして補完、分析などの視点を含めた情報収
集・発信に努めた。
(2)協力・交流
協力・交流では、タイ・インドネシアなど国ごとに戦略性を持って進めた。特にタイに関し
ては、最重要組織である発電公社(EGAT)総裁との、トップ同士の意見交換を実現、相手と
の関係の深化、長期的互恵関係のベースを構築した。
(3)社会への発信
COP21 閉幕から間もない平成 27 年 12 月 25 日には、
「COP21 の成果と今後の日本のエネル
ギー・環境政策」と題して、わが国のエネルギー・環境政策に重要な役割を持つ 6 名の専門家
による講演会を開催し、迅速かつ有意義な情報発信に努めた。
また、平成 28 年 4 月からの電力小売市場の全面自由化によって、多数の新規参入者が見込ま
れる。自由化が先行する海外での事例等に関する正確な情報を新規参入者等に広く提供するこ
とは、消費者とわが国電気事業の健全な発展により一層貢献することにつながるとの考え方の
下、情報や活動の方向についての示唆を提供するための具体的取り組み方について検討を開始
した。
2.実力を高める
(1)組織の強化
組織の整備強化策として、平成 27 年 7 月の組織改編時に以下を実施した。
企画・広報部を設置し、対外的な情報発信機能の強化を図るとともに、同部に IT 関係業務の
分掌を移管し、情報システム管理機能の強化を進めた。また、欧米諸国と非先進国では異なる
アプローチが必要なことを踏まえ、調査部門内に調査第一部(主に欧米諸国)および調査第二
部(主に非先進国)を設置した。さらに、この改編に伴い、協力・交流部門に電力協力部、原
子力協力部を設置した。
編集局を設置し、主に機関誌である「海外電力」への掲載記事について、論説会議や編集会
議での査読・指導を通じ、組織としての分析力の強化と、当調査会の責任ある情報の発信に努
めた。
内部統制・内部監査機能の観点からは、監査業務室を設置して体制整備を図った。また、定
型業務の業務記述書(手順書)の作成、リスクの回避・低減対策の文書化・標準化等を行い、
内部統制方策を強化するとともに、制度定着化のため内部監査に関する規程類を制定(平成 27
年 12 月)し、金銭・契約に関する厳正適確処理状況及び法令、規程・マニュアルの遵守状況等
について、監査業務室による内部監査および指導を実施(平成 28 年 2 月~3 月)した(予定)
。
また、海外事務所機能をより一層発揮させるべく、海外事務所長権限の明確化、緊急時の安
全確保策を含んだマニュアルの整備を行った。
さらに、これらの強化・改革の実施においては、PDCA 手法に基づき目標管理を導入、四半
期ごとに役員報告、半期ごとに役員レビューを実施している。
(2)個々人の実力強化
一方、個々人の実力を強化することにも取り組んだ。専属職員(プロパー)並びに派遣職員
の人材育成方策を体系化し、OJT・ジョブローテーション、Off-JT 別の具体方策を明確にした
(平成 27 年 12 月)
。重要方策である個人別育成計画の推進に関しては、運用手引きに基づき
育成計画を作成した後、平成 28 年 2 月からその運用を開始した。
(3)ネットワークの強化
迅速で正確な情報収集と発信においては、海外有識者、関係機関とのネットワークが重要な
ツールであること、さらに、当調査会の電力技術協力プログラムへの参加者がアジアをはじめ
とする地域の事業者の重要なポジションを占めていることに鑑み、人的ネットワークの強化に
努めた。とりわけ、電力市場完全自由化先行国の知見・事例等へのニーズの高まりに備え、欧
米の政府機関、エネルギー事業者団体、国際機関などとの直接面談に力を入れ協力関係を確認・
深化させた。また、ワシントン・欧州・北京の 3 つの海外事務所を活用してのネットワークの
強化も開始した。北京事務所を通じた中国の電力関係機関との良好な関係は当調査会の特徴と
もなっている。また、原子力技術交流による中国およびロシアの事業者等との関係も、わが国
電気事業者の原子力安全推進の貴重な情報交換の場となっている。
3.自主・自立性を高める
会員との強い連携の下、加速する事業環境の変化、多様化するニーズに応えるため、収支構造
の改善、事業内容充実・事業領域の拡大、厳正・適確な業務管理に取り組んでいる。
(1)収支構造の改善
会員会社の収支状況も厳しい中、当調査会も収支構造の改善に努め、収支の自立性を高める
べく、以下に取り組んだ。
期中において、平成 27 年度会費収入を見直し、平成 26 年度補正予算と同額となる 29 百万
円の会費減額を行った。
費用削減策として、賃料が割高な欧州事務所の移転について検討し、同一パリ市内での移転
先の選定を行った(平成 28 年 4 月より新事務所の運用開始予定)
。
資金配分の選択と集中の徹底に関しては、限られた資金を最大限に有効活用するため、予算
編成当初からの変動要因と先行き計画を織り込んだ年度見通しを含めた予算実施状況の取りま
とめを適切な時期に行った(平成 27 年 9 月及び平成 28 年 1 月)
。予算投入の優先順位づけや、
事業の繰り延べ、規模変更の可否等の把握に努め、期中発生の必要事業が支障なく実施できる
よう予算管理に努めた。
(2)事業内容充実・事業領域の拡大
当調査会の持つ経験・実績・専門性を駆使し、広く社会に貢献するために、調査・電力技術
協力・原子力安全分野での政府の競争入札による受託事業の受注獲得に努めた。その結果、本
年度は、調査部門で 2 件、電力協力部で 8 件、原子力協力部で 7 件の政府系案件を受託した。
中でも、原子力分野での人材育成受託事業については、電力会社による人材育成国際協力の
窓口機関としての豊富な実績・ノウハウを有している当調査会の特長を活かして原子力導入国
の安全と技術の発展に貢献すべく、原子力事業者の協力を得て本事業を継続している。本年度
も、厳しい応札条件ながらも、業務品質を維持しつつ、業務の一層の効率化による人件費削減
や外注費用削減等のコストダウンを行い精力的に実施した。
加えて、出版を含む新たな事業領域についての検討を行い、その一環として平成 28 年 2 月、
電力の小売りに関する単行本を出版した。
平成 27 年 7 月に監査業務室を設置した上で、内部統制に係る諸方策・内部監査に係る規程類
の制定を進め、平成 28 年 2 月~3 月に内部監査を実施した。詳細は、前述2.
(1)組織の強
化の項参照。
会議開催
(1) 総会
区 分
開催日
第 109 回通常総会
27.6.18
審
議 ・ 報
告
事
項
審 議 結 果 等
1. 平成 26 年度事業報告及び同決算の件
原案通り了承・承認された
2. 平成 27 年度事業計画及び同予算の件
原案通り了承された
3. 平成 27 年度会費並びに海外事務所関連分担金
各社別金額の件
原案通り承認された
4. 任期満了に伴う役員改選の件
原案通り承認された
第 110 回臨時総会 〈決議日〉 1. 理事選任の件
27.8.5
(決議の省略)
原案通り承認された
第 111 回臨時総会 〈決議日〉 1. 定款改定の件
28.3.25
(決議の省略)
原案通り承認された
(2) 理事会
区
分
第 150 回理事会
開催日
27.6. 3
審
議 ・ 報
告
事
項
審 議 結 果 等
1. 平成 26 年度事業報告及び同決算の件
原案通り承認された
2. 平成 27 年度補正予算の件
原案通り承認された
3. 平成 27 年度会費並びに海外事務所関連分担金
各社別金額の件
原案通り了承された
4. 当調査会組織改編の件
原案通り承認された
5. 任期満了に伴う役員改選の件
原案通り了承された
6. 第 109 回通常総会の招集の件
原案通り承認された
7. 代表理事・業務執行理事の職務執行状況報告
報告通り了承された
第 151 回理事会 〈決議日〉 1. 代表理事・業務執行理事選定の件
27.6.24
(決議の省略)
原案通り承認された
第 152 回理事会 〈決議日〉 1. 総会決議事項の書面審議実施の件
(決議の省略)
27.7.17 2. 理事選任の件
原案通り承認された
第 153 回理事会 〈決議日〉 1. 欧州事務所の移転について
(決議の省略)
27.11.18
原案通り承認された
第 154 回理事会
28.3.9
原案通り承認された
1. 平成 27 年度事業報告及び同決算の件
原案通り承認された
2. 平成 28 年度事業計画及び同予算の件
原案通り承認された
3. 定款改定の件
原案通り承認された
4. 内部統制システムの基本方針制定の件
原案通り承認された
5. 欧州事務所の移転の件
原案通り承認された
6. 総会決議事項の書面審議実施の件
原案通り承認された
7. 代表理事・業務執行理事の職務執行状況報告
報告通り了承された
8. 会員制度の見直しの方向性について
報告内容に対する意見や
要望が出された
役員異動
役職位
年月日
理事
27.6.18
生駒 昌夫
関西電力株式会社
理事
27.6.18
大田 龍夫
一般社団法人海外電力調査会
理事
27.6.18
鎮西 正直
九州電力株式会社
代表取締役副社長
理事
27.6.18
原田 宏哉
東北電力株式会社
取締役副社長
理事
27.6.18
増田 博
日本原子力発電株式会社
理事
27.6.18
山口 博
東京電力株式会社
代表執行役副社長 技監
監事
27.6.18
竹股 邦治
電源開発株式会社
取締役 常務執行役員
理事
(再任)
27.6.18
理事
(再任)
27.6.18
理事
(新任)
27.6.18
理事
(再任)
27.6.18
理事
(新任)
27.6.18
理事
(再任)
27.6.18
理事
(再任)
27.6.18
真田 晃
一般社団法人海外電力調査会
理事
(新任)
27.6.18
清水 希茂
中国電力株式会社
理事
(新任)
27.6.18
理事
(再任)
27.6.18
理事
(再任)
27.6.18
理事
(再任)
27.6.18
理事
(再任)
27.6.18
理事
(再任)
27.6.18
理事
(新任)
27.6.18
新
旧
相澤 善吾
一般社団法人海外電力調査会 会長
(6/24 付で会長(代表理事)に選任)
海老塚 清
一般社団法人日本電機工業会 専務理事
大野 智彦
中部電力株式会社
代表取締役副社長 執行役員
大山 力
横浜国立大学大学院 工学研究院 教授
後藤 健
原燃輸送株式会社 常務取締役
(6/24 付で常務理事に選任)
佐々木 弘
神戸大学 名誉教授
理事
取締役副社長
高橋 賢友
北海道電力株式会社
代表取締役 副社長執行役員
十市 勉
一般財団法人日本エネルギー経済研究所
研究顧問
濵谷 正忠
一般社団法人海外電力調査会 専務理事
(6/24 付で専務理事に選任)
廣江 譲
電気事業連合会 副会長
藤波 秀雄
一般財団法人電力中央研究所 専務理事
古谷 昌伯
一般社団法人海外電力調査会 常務理事
(6/24 付で常務理事に選任)
矢野 茂
北陸電力株式会社 常務取締役
取締役副社長執行役員
常務理事
取締役副社長
役職位
年月日
新
理事
(新任)
27.6.18
渡部 肇史
電源開発株式会社
取締役副社長
監事
(新任)
27.6.18
江藤 修治
電源開発株式会社
常務執行役員
監事
(再任)
27.6.18
手島 康博
電気事業連合会
理事
27.6.25
理事
(新任)
27.8.5
旧
理事 事務局長代理
高橋 賢友
北海道電力株式会社
代表取締役 副社長執行役員
恩村 裕之
北海道電力㈱
取締役副社長
付属明細書
平成 27 年度事業報告には、
「一般社団法人及び一般社団法人に関する法律施行規則」第 34 条第 3
項に規定する付属明細書「事業報告の内容を補足する重要な事項」に該当する事項がないので、作成
しない。