地盤の支持力と沈下 (どれくらいの重さに地盤は耐えれるの??) 1) 基礎地盤のせん断破壊 基礎地盤上に荷重を加えると, 地盤は変形して沈下が生じる。この沈下量と 荷重強度の関係は, 図-1の荷重-沈下曲線で表わすことができる。 この沈下は地盤のせん断破壊により生じるもので, 一般に締まった砂質土や 硬い粘性土ではC1のような型になる。 沈下曲線C1型 曲線は, 荷重の小さいときには勾配がほぼ一定で, 地盤はわずか に圧縮されるだけであるが, ある荷重qdに達すると地盤はすべり出 し, 急激な沈下を生じる。 このような破壊形式を全般せん断破壊 と呼び, qdを極限支持力という。 沈下曲線はC2型 ゆるい砂質土や軟弱な粘性土では, 沈下曲線はC2の型となり, こ のような破壊形式を局部せん断破壊または進行性破壊という。 これは, 荷重の増加に伴い, 曲線の勾配や沈下量が徐々に増大 するので, 極限支持力を明確につかむことがむずかしい。沈下曲 線の終端部が鉛直線に近づいたときの荷重強さや, ある一定の沈 下量に達したときのものを極限支持力としている。 図-1 荷重‐沈下曲線 一般に, 基礎は次の四つのいずれかに分類される。 (ⅰ) フーチング基礎 (ⅱ) べた基礎 フーチング基礎 浅い基礎 : 基礎幅Bが根入れ深さDfに 等しいかまたは大きいもの (ⅲ) ケーソンまたはピア基礎 深い基礎 (ⅳ) 杭基礎 極限支持力 → ① 地盤強度の限界と ② 変形や沈下の限界 ベタ基礎 杭基礎 ケーソン基礎 設置ケーソン基礎 ニューマチック ケーソン基礎 オープン基礎 女川町の被災状況 液状化と津波の複合被害によるビルの倒壊 新潟地震液状化に伴う建物の倒壊 女川町の被災状況 2) フーチング基礎の支持力 (1) テルツァギーの支持力公式 浅い基礎においては, 基礎の底面より上の土(根入れ部分の土)は せん断抵抗を発揮しないと仮定する。したがって, この部分の土は, 図-2のように, 単位面積あたりγ・Dfの荷重強度をもつ上載荷重に置 き換えられる。 γ : 基礎根入れ部分の土の単位体積重量 図-2 フーチングの根入れの考え方 テルツァギー(Terzaghi)はフーチングの長さLが幅Bに比べて非常に 大きい連続フーチングについて, その極限支持力を誘導している。 次の図は, 土被りがない場合の地盤内の塑性つりあい状態を示す。 領域Ⅰ : 主働ランキン帯と呼ばれ, 弾性つりあいの状態 フーチングからの荷重により領域Ⅰが横方向へ拡がろうとする傾 向が, 土とフーチング底面との間の摩擦力や付着力により拘束さ れるからである。したがって, この領域Ⅰはあたかもフーチングの 一部であるかのように挙動する。また, この領域Ⅰの深さを表わす 角αは, 基礎底面が滑らかであると45゜+φ/2となり, 底面が粗いとφ に等しくなる。 領域Ⅱ :放射せん断領域であり, フーチング端から出る放射線とこ れを中心とする対数ら線とから成り立っている。 領域Ⅲ : 受働ランキン帯といわれ, 水平方向と45゜φ/2の傾きをなし ている。 図-3 連続フーチング下の塑性破壊 テルツァギーは領域Ⅰ内の鉛直方向の力のつりあいから, 基礎地盤の 極限支持力を求め, 次のように表わした (連続フーチング:α=1、β=0.5(表-2参照))。 (1) ここで qd : 極限支持力(KN/m2) ,c: 粘着力(KN/m2) γ1 : 基礎底面より下方の土の単位体積重量(KN/m3) γ2 : 根入れ部分の単位体積重量(KN/m3) B : 基礎の幅(m) , Df : 根入れ深さ(m) Nc, Nr, Nq : 支持力係数(内部摩擦角φの関数) 式(1)の右辺第1項は, 地盤の粘着力に支配される項であり, 第2項は基 礎底面の幅に関係する。また, 第3項は基礎の根入れ深さに影響される 項である。各項ともに内部摩擦角にも関係があり, 支持力係数として表示 されている。 支持力係数Nc, Nr, Nqの値は, 地盤の破壊する形式, すなわち全般破壊か局部破 壊かによって異なり, 図-4のように示される。 表-1 実用的に修正した支持力係数 φ Nc Nγ Nq 0゜ 5゜ 10 ゜ 15 ゜ 20 ゜ 25 ゜ 28 ゜ 32 ゜ 36 ゜ 40 ゜ 45 ゜ 50 ゜ 5.3 5.3 5.3 6.5 7.9 9.9 11.4 20.9 42.2 95.7 172.3 347.1 0 0 0 1.2 2.0 3.3 4.4 10.6 30.5 114.0 325.8 1073.4 1.0 1.4 1.9 2.7 3.9 5.6 7.1 14.1 31.6 81.2 173.3 414.7 実際には地盤の破壊形式をあらかじ め予見することは困難なので, 内部摩擦 角が小さい間は局部せん断破壊の曲線 をたどり, 漸次全般せん断破壊の曲線に 近づいていくように考えるとよい。また, 実際の地盤での載荷試験の結果などを 考慮にいれて表示すると, 表-1のように なる。 図-4 支持力係数 表-2 形状係数 基礎底面 の形状 連続 正方形 α 1.0 1.3 1.3 β 0.5 0.4 0.3 長方形 (注) B:長方形の短辺長さ,L:長方形の長辺長さ 正方形や円形のフーチングについても 同様の公式が与えられる。これらの公式 をまとめて一般化すると次のようになる。 Qd=α・c・Nc+β・1・B・Nr+2・Df・Nq (2) ここで,α, β : 形状係数 (表-2参照),他の記号は式(1)と同じ 図-5 地下水位の影響 円形 (2) 支持力公式使用上の注意 (b)根入れ深さ (a) 単位体積重量と地下水位 図-6(a)のような場合 → 地表面から基礎底面までの深さをそのまま Dfとする。 (i) 地下水位が基礎底面より上にある場合(図-5(a)の場合) 図(b)の場合 → 低い方の表面までがDfである。 (3) 図(c)のように掘削底面に独立フーチングを置いた場合 → 掘削深さには関係なくDf =0 (ii) 地下水位が基礎底面より下にある場合(図-5(b)の場合) (4) 図-6 根入れ深さの取り方 地盤内鉛直応力の簡易算定方法 地盤内の応力分布はある範囲内に限られるという実験事実に基づいて、ケグラーは 簡単である程度の精度で実際地盤に適用できる増加応力の近似計算法を考えた。 ボストンコード法・・・ 地表面に載荷した等分布荷重は、ある角度αで直線的に 広がる範囲に一様に分布すると仮定する。 精度は落ちるけど簡便であり、現場などで応力を知る目安となる! 8m q=200 (kN/m2) 2 1 α 12m z Z・tanα 6m 8m 鉛直方向のつりあい式の関係から ボストンコード法・・・ 地表面に載荷した等分布荷重は、ある角度αで直線的に 広がる範囲に一様に分布すると仮定する。 ボストン市建築基準法では、α=30°とした方法を用いている。 修正ケグラー法・・・ ボストンコード法では応力分布が等圧にならないことを説明 8m q=200 8 m×200 kN/m2 = 20 m×σ kN/m2 6m qB = σz × (B+2×ztanα) ∴ σ = 80kN/m2 杭基礎の支持力 (深い基礎の支持力) → 杭によってどの程度の荷重を支える (kN/m2) ことができるのか? (1) 杭基礎の種類 (a) 支持機構による分類 12m ① 先端支持杭 : 杭先端地盤の支持力のみにより支持するもの ② 下部地盤による支持杭 : 下部層の周面摩擦力と先端地盤の 支持力で支持するもの σ1 σ2 σ3 ③ 摩擦杭 : 杭全長の周面摩擦力で支持するもの σ4 2m × 200 kN/m2 =14 m × σ kN/m2 ∴σ=28.6 kN/m2 σ1=28.6×1 = 28.6 kN/m2 σ3=28.6×3 = 85.8 kN/m2 σ2=28.6×2 = 57.2 kN/m2 σ4=28.6×4 = 114.4 kN/m2 ④ 締固め杭 : 地盤を締め固め, 杭と地盤を一体として支持する もの 24 (b) 施工法による分類 図-8 鉛直荷重の支持機構による杭基礎の分類 25 図-9 施工法による杭の分類 26 (c ) 杭材の種類による分類 ① 既製杭 : 工場または現場で施工前に製造されるもの ② 場所打ち杭 : 施工される位置で作成されるもの (d ) 支持力の求め方 (i) 静的支持力公式 先端支持力と周面摩擦力との和が杭の支持力に等しいと考える 方法で,力のつりあいをもとにしている。 (ii)動的支持力公式 杭を打ち込むときの土の抵抗が打撃エネルギーに等しいと考え る方法で, 仕事量のつりあいをもとにしている。 (iii) 載荷試験 地盤に打設した試験杭に,実際に載荷してその沈下量を測定し, 27 荷重-変位量曲線から支持力を求める方法である。 図-10 既製杭の種類 28 打込み杭工法(打撃工法) 各工法の特徴 29 30 埋込み杭工法(プレボーリング工法) 埋込み杭工法(中堀り工法) あらかじめ、地盤をオーガー等で所定の深さまで掘削し、既製杭を挿入してハンマ(ディー ゼルハンマ・ドロップハンマ・油圧ハンマなど)を使用し、打撃を加えて施工する工法。 スパイラルオーガを既製くいの 内部に通し、先端部をオーガで 掘削しながら所定の深さまで圧 入、あるいは軽打により貫入さ せた後、くい先端部および中空 部にセメントミルクを注入する工 法。 31 埋込み杭工法(中堀り工法) 32 場所打ちコンクリート杭工法(機械掘削工法:ベノト工法(オールケーシング工法)) ベノト機でケーシングを地中に圧入させながら地盤中の土砂を ハンマーグラブ掘削機(直径300~2,000㎜までの穿孔が可能) で排出して、コンクリート打設後、ケーシングを引き抜いて杭を造 成する。 (1) エアーを吐出し、スパ イラルオーガーで掘削、 排土しながら杭を沈設 させる。 (2) 支持層の手前まで杭 を沈設させ、杭中空 部のオーガスクリュ ウを引き上げる。 (3) 中空モンケンで打撃を 与え、杭先端を支持層 に打ち込み支持力を得 る。 (4) 施工完了後、杭頭レベ ルを確認する。 33 豐州パイル株式會社 http://www.housyuu-pile.co.jp/method05.html 場所打ちコンクリート杭工法(機械掘削工法:アースドリル工法) 34 場所打ちコンクリート杭工法(機械掘削工法:リバースサーキュレ-ション工法) アースドリル工法は、安定液(ベントナイト)により、孔壁保護を 行い、回転式バケットにより削孔、掘削と排土を行う。支持層到 達した後、コンクリートを打設し杭を築造する工法である。 ピットを回転させ地盤を切削し、その土砂を孔内水と共にサクションポンプ、また はエアリフト方式などにより地上に吸上げることによって排出します。この掘削孔 に鉄筋籠を建て込み、コンクリートを打設する工法。 35 36 場所打ちコンクリート杭工法(人力掘削工法:深礎工法) (2) 静的支持力公式 ・傾斜地や狭い場所でも施工可能な、人力掘削による場所打ち杭工法の一種 ・現在施工されている場所打ち杭の中では最も歴史が古く、掘削は人力または機械により行 いつつ、鋼製波板とリング枠で土留めを行う。孔内で鉄筋を組立て、土留め材を取り外しな がらコンクリートを打設し杭を形成する工法。 杭の鉛直荷重に対する極限支持力(Ru)は,図-11のように, 杭の先端支持力(RP)と周面摩擦力(RF)により構成されてい る。すなわち次の式のようである。 Ru= RP+ RF = qdAp+BfsDf = (1.3cNc + 0.3t1BNr + t2DfNq)Ap + BfsDf ここで, c:杭先端地盤の粘着力(kN/m2) t1:杭先端より下の土の単位体積重量(kN/m3) t2:杭先端より下の土の単位体積重量(kN/m3) Ap:杭の先端面積(m2) B:杭の直径(m), Df:地表面から杭先端までの長さ(m) fs:杭の周面摩擦力 粘性土の場合:fs=1/2Ng (kN/m2) 37 マイヤホッフ(Meyerhof)はN値のみを使って先端支持力を求める方 法を提案している。 ここで Ru: 杭の極限支持力(kN) Ap : 杭断面積(m2), : 杭先端地盤の平均N値 As, Ac : 砂質土層および粘性土層にある杭の表面積 Ns, Nc :砂質土層および粘性土層のN値の平均値 39 (3) 郡杭の支持力 杭基礎における問題点の一つとして,単杭と郡杭の相対的な支持力の関 係がある。 図-13(a)は単杭の杭先端平面に発生する鉛直応力を示している。図(b)は 群杭における鉛直応力を示したが, ここでは単純に図(a)を重ね合わせたも のである。このように仮 定すると, 群杭の中央部 は外側に比して大きな沈 下を生じることになる。し かし, 現実には, 群杭の 頭部はコンクリート・フー チングなどにより拘束さ れているので, 群杭の沈 下はほとんど同一となる。 図-13 単杭と郡杭の地盤内応力 41 砂質土の場合: fs=1/5Ng (kN/m2) N: N値, g : 重力加速度 (9.8 m・s2) 図-11 杭の支持力 現在, 杭の設計に用いられて いるいくつかの基準は, 以上の 考え方をもとにして作られてい る。 地下水のくみ上げや盛土荷重 などによって地盤沈下が生じて いる地域では, 杭に負の周面摩 擦力が発生する。これは地盤が 沈下すると, 相対的に杭は地盤 から引き抜かれると考えてよい。 だから, 上方へ引き抜かれる杭 に抵抗する摩擦力は下向きで あり,これを負の周面摩擦力と 呼んでいる。図-12はこの現象を 模式的に示したものである。 図-12 負の周面摩擦現象 40 したがって, 鉛直応力も単に単杭の重ね合わせの状態ではなく, 均等化さ れる。つまり, 群杭の支持機構を考える場合, 上部構造物と基礎の相対剛 性を考慮しなければならない。 図-14は単杭と群杭の圧力球根の関係を示している。単杭ではその影響 が深部の粘土層に達しないけれども,郡杭では粘土層内に及び,支持力 不足になるおそれがある。 図-14 単杭と郡杭圧力球根 42 地盤内応力分布と基礎の設計法 1. 基礎の設計と地盤 一般に, 基礎とは構造物を支える地盤ならびに構造物を支えるた めの地下工作物を意味する。だから, 基礎は構造物に対して障害を 与えないように, その形式を選定し設計しなければならない。ここに, 障害とは次の二つを意味する。 建築基礎構造設計基準では, 強度の点だけからみて, 地盤が荷重 を支える能力を支持力とし, これと地盤の変形, すなわち沈下をあわ せて考えたときの能力を耐力と呼んでいる。支持力に対して安全率 を適用したものが許容支持力であり, 沈下に対してもある許容値を 定めて沈下がこの限度を越えないようにあわせ考慮したものが許容 地耐力である。土木方面では耐力という用語を用いることが少なく, 単に支持力と沈下と表現している。 ① 地盤の強度が不足して破壊を生じること ② 破壊を生じないまでも基礎地盤の沈下が非常に大きいか, または極端に不同であるために上部構造物に亀裂が入ったり破損 したりすること。 図-1 基礎設計の概念 基礎の形状や寸法を設計するには, 地盤の強度と変形の両者を検 討しなければならない。 2. 地盤の応力分布 2.1 接触面における圧力(接地圧) 弾性理論によると, 完全剛体の円い台を弾性体表面に押しつける とき, 接触面における圧力分布は図-2のようになる。剛台の周辺部 では圧力が無限大であり, 中心においては平均圧力の半分となる。 図-3 フェーバーの実験 図-2 完全弾性体と円い剛台との接触面での応力分布 図-4 接地圧分布と土質および基礎の剛性との関係 実際の設計に用いる接地圧はかなり簡略化されている。基礎底面 の図心に鉛直荷重のみが作用する揚合, 接地圧は一様に分布する ものと仮定して, 次式によって求められる。 (1) ここで σ: 設計用接地圧(tf/m2) P : 基礎底面に作用する鉛直荷重(tf) A : 基礎の底面積(m2) また,基礎が偏心荷重を受けるときには,接地圧が直線的に分布す るものとして,その最大値を設計用接地圧とする。最大接地圧は次式 により求める (2) 2.2 地盤内の応力分布 (1) 弾性理論に基づく地盤内鉛直応 力の算定 ここで σmax : 最大接地圧(tf/m2) 地盤を半無限の弾性体と考え, 地表 面に作用する集中荷重Pによって地 盤内に発生する応力は, ブーシネス ク(Boussinesq)により導かれている。 すなわち, 図-6の円筒座標において, 集中荷重Pにより生じる応力は以下 のようになる。 α : 接地圧係数 接地圧係数は, 荷重の偏心と 底面の形状によって, 力とモー メントのつりあい条件から決ま る。 (3) (4) 図-5 接地圧係数と偏心率の関係 (5) 図-6 円筒座標による地盤内応力の表示 (8) (6) (7) ここで v : 地盤のポアソン比 式(4)は地盤内応力の影響値と呼ばれる無次元量Iσを用いて次の ように書くことができる。 影響値Iσはγ/zの関数であり, この関係を示すと表-1のようである。 (a) 線荷重 (b) 帯状荷重 図-8は一定の幅Bと無限の長さ をもつ帯状荷重を示している。こ の場合, 深さzの位置の鉛直応力 は次のようである。 (9) (10) 図-8 帯状荷重による地盤内応力 この影響値とx/zの関係を示したもの が表-2である。 図-7 線荷重による地盤内応力 (c) 堤状荷重 アースダムや河川堤 防および道路・鉄道の 盛土のような堤状荷重 については, 帯状荷重と 同様な式により, 地盤内 応力が求められる. 図-9 圧力球根 σz=q・Iσ (11) Iσ=f(a/z, b/z) この計算には図-11に 示したオスターバーグ (Osterberg)の図表を用 いる。 図-10 載荷面積と圧力球根 (d) 円形面上の等分布荷重 図-11 堤状荷重による地盤内鉛直応力の影響値 任意点下の鉛直応力σzは式(13)となり, その影響値は図-13である。 図-12のような円形の面荷重による地 盤内応力のうち, 中心軸直下の鉛直応 力σz0は次式のようになり, 影響値は表4に示される。 (13) (12) 図-12 円形面荷重による地盤内応力 図-13 円形面荷重による地盤内鉛直応力の影響値(任意点) σzc=q・Iσ (e) 長方形面上の等分布荷重 (14) 図-14(a)のように辺長がB, Lの長方形載荷面上に等分布荷重qが 作用するとき, この長方形の隅角直下で深さZの点に発生する鉛直 応力σzcは, 次のようである。 ここで, m=B/z, n=L/zであり, これらによる影響値は表-5に示す。 長方形面荷重による任意の点における鉛直応力σzは, 数個の長方 形に分割して計算した後, それらを組み合わせると求められる。たと えば, 図-14(b)の場合, 次式で求めるとよい。 σz=q(IσⅠ+ IσⅡ+IσⅢ+IσⅣ) (15) この方法をニューマーク(Newmark)の長方形分割法という。 図-14 長方形面荷重による地盤内応力分布 αの値としては土質は関係なく30°が一般的であるが, ときには45°をとり, また x/zを1/2にとる場合もある。この方法は前項で述べた弾性理論に基づく方法と比較 して精度は落ちるが, 簡便であり, 現場などで応力を知る最初の目安として, 現在 でもよく用いられる。 (2) 地盤内鉛直応力の簡易算定方法 地表面に載荷された等分布荷重による 地盤内の鉛直応力分布の計算法として, 以下のような簡便法がかなり古くから行 われている。 (b) 修正ケグラー法 この方法は, ボストン・コード法を重ね合わせると, 図-17に示すように,地盤内応 力が一様でなくなるという矛盾を避けるために提案されたものである。 (a) ボストン・コード法 図-16に示すように, 地表面に載荷した等分布荷 重は, ある角度αで直線的に広がる範囲内に, 一 様に分散すると仮定する。等分布荷重の形状を 長方形とした場合, 図-16の記号を使って, 鉛直応 力σzは次のように表わされる。 図-16 ボストン・コード法 (17) 図-17 ボストン・コード法では応力分布が 等圧にならないことの説明図 図-18(a)に示すように, 載荷重直下は一様分布の応力と考え, その 周辺部はある範囲まで直線的に漸減する応力分布と仮定している。 また, 図-18(b)のように, 載荷重の中央部分直下だけを等分布応力と 仮定する方法もあるが, 図(a)の方が一般的である。 図-18において, 連続フーチングの帯状荷重とすると, 荷重直下の 鉛直応力は次のようになる。 (18) 図(a)の場合 : 図-18 修正ケグラー法 図(b)の場合 : (19) また, 図-18の荷重を幅B, 奥行きLの長方形(B<L)とすると, 中央部直下の 鉛直応力は次のようになる。 図(a)の場合 : (20) 図(b)の場合 : (21)
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