どこへでも行ける車椅子

どこへでも行ける車椅子
チューリッヒ工科大学の学生が階段を昇れる車椅子を開発しました。将来、この車椅
子が歩行障害者の移動の手段となる日が来るかもしれません。
テスト走行をしているラファエルさんの顔には笑みが浮かんでいます。彼は歩行障害者として初め
て「スカレボ」電動車椅子の試運転をしています。 個のキャタピラで後ろ向きに階段を昇ってい
く様子は、まるで宙に浮いているかのようです。階段を昇りきると、そこからは
つの車輪でバラ
ンスを取りながら進みます。この車椅子はチューリッヒ工科大学で作られた試作品で、残念ながら
まだ市場には出ていません。さまざまな改善がなされたとは言え、現在も歩行障害者の日常にはま
だ多くの制約があります。段差や階段に出くわすと、多くの場合は回り道を強いられます。
このような状況を変えようとしたのがスイスの
人の大学生です。障害物による車椅子の移動が制
限されない未来を目指し、新進エンジニアである
人はわずか 年で新しいタイプの電動車椅子を
開発しました。この優れた製品を生み出すため、彼らは持てる自由時間のすべてをこの開発に費や
したそうです。その苦労は報われたと言えるでしょう。今ではこの車椅子をテストした世界中の
人々からポジティブな反応が来ています。機械エンジニア、カルロス・ゴメス氏は「多くの人が、
今すぐにでもこの車椅子を購入したいと言ってくれています」と言います。
アプリケーション事例
すべての始まり
当初、ゴメス氏とその仲間は階段を昇れるロボットを作ろうとしていました。しかし、彼らの教授
の後押しによって、このプロジェクトはさらにその一歩先を行くことになったのです。そうして
年の夏、チューリッヒ工科大学の 人の学生は、階段を昇る車椅子の開発に取り組むことにな
ります。動きがスムーズで、操作が簡単であること。そして安全性も重要です。さらに見た目も良
くなければなりません。デザイン面の強化のため、チューリッヒ芸術大学でインダストリアルデザ
インを専攻している大学生
人が新しくこのチームに加わりました。こうして新チームが始動した
のです。
基本となるアイディアはすぐに見つかりました。通常モードではセグウェイを思わせる
つの車輪
で走行し、階段の昇り降りでは、そのつど出し入れされるキャタピラを使用するのです。「スカレ
ボ」と名づけられたこの車椅子にはこの
つの走行モードが備わっています。このため、これは一
種の「ハイブリッドチェア」であると言えます。
実用テスト
この車椅子の仕組みはどのようになっているのでしょう。まず、車椅子で階段まで接近し、タッチ
スクリーンで階段走行用の機能を選択します。すると、車椅子に取り付けられたセンサとカメラに
よって階段の傾斜が測定され、自動的に後ろ向きに進み始めます。そして、キャタピラが下降し、
続けて回転を始めると車椅子は階段を昇っていきます。そのスピードは 秒間に 段です。車椅子
に乗っている人は常に水平の姿勢です。センサによって階段の終わりが検知されると、サポート車
輪が繰り出され、車椅子が転倒しないようになっています。その後、キャタピラが持ち上がり、車
椅子は再び つの車輪で進みます。
「スカレボ」
車椅子の
モデル
画像
この車輪とキャタピラには、駆動装置として
個のマクソンモータが装備されています。使用され
ているモデルは、ブラシレス
モータとセラミックギアヘッドの組み合わせです。セラミック部
品は、各コンポーネントに大きな力が働き、かつギアヘッドの高い耐久性が必要とされる場合に使
用されます。カルロス・ゴメス氏と彼のチームは、マクソン製のドライブシステムの搭載に積極的
でした。「このモータとギアヘッドの組み合わせは、強力で、正確で、騒音も低い。それに
㎏
と比較的軽量です。マクソンのエンジニアからは非常に有益なアドバイスをもらいました。カスタ
マーサポートも素晴らしいです」。
成功のカギ
学生たちは、このプロジェクトの成果に満足しています。「成功のカギは良いチームワークです。」
ゴメス氏は言います。それに加えて、歩行障害を持つ人からの多くのアドバイスも役立っています。
例えば、ベルトを取り付けたり、座っている人が前方へ滑らないようにシートを少し後ろへ傾けた
りという工夫はそのおかげです。「そのようなアイディアは自分たちでは全く思いつきませんでし
た。」
アプリケーション事例
競技大会への参加
これで終わりではありません。プロジェクト自体は終了していますが、この話には続きがあります。
年
月にチューリッヒで開催されるサイバトロン競技大会に、「スカレボ」チームが参加す
る予定なのです。この大会は、障害を持つ人々が対象となっています。競技者には技術的な補助具
の使用が許可されています。いえ、許可というよりも、むしろ推奨されているのです。それは、こ
の大会の趣旨が、車椅子やプロテーゼ、その他の補助具の進歩のために研究者や技術者を鼓舞する
ことにあるためです。
将来の展望
「スカレボ」チームの目標は、サイバトロンの車椅子部門で優勝することです。そのためには、車
椅子にさらなる改良が必要です。キャタピラはより強く、より直感的な操作が行え、信頼性を高め
る必要があります。それは可能でしょう。若い才能あふれるエンジニアたちがスタートアップで起
業することだって有り得ます。近い将来、キャタピラが組み込まれた新しい車椅子が市場に出てく
るかもしれません。そうなっても、何の不思議もありません。そうすれば車椅子で何気なく階段を
昇り降りする光景も、まったく普通のものとなるのです。
maxon GP 52 C ギアヘッド
「スカレボ」車椅子のドライブシス
テムには、直径
の
ブ
ラシレス
モータが使用されてい
ます。このモータには、セラミック
部品が装備された特別なプラネタリ
ギアヘッド
が組み合わされ
ています。これによって、ギアヘッ
ドの寿命は大幅に延長されます。
シュテファン・ローシ(
EPOS2 70/10 制御ユニット
コントローラモジュール
は理想的な制御を
実現します。高速かつ正確なデ
ジタル位置制御が可能で、ブラ
シ付きおよびブラシレス
モ
ータに適しています。
編集者)
詳細については下記までお問い合わせください:
maxon motor ag
Scalevo
インターネット:
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アプリケーション事例