天体写真撮影教室

天体写真撮影教室
資料作成
吉 田
智 之
撮影に必要な物と選び方
カメラ
AF・MFを問わず、レンズ交換の出来る一眼
レフカメラ。一時は「電子シャッターのカメラは
ダメ、メカニカルシャッターのカメラを使いなさ
い」と言われたものです。長時間露出をした時に
電池がすぐなくなる。低温時に電池の容量がなく
なり使えないというのが理由でした。
最近のAFカメラが市場の大部分を占める現状
では、メカニカルカメラにこ
だわるのはナンセンスでしょ
う。
メーカーによって多少異なり
ますが、節電対策や低温対策
が図られています選び方とし
てはレンズ群が豊富で明るい
ものが多く、先程述べた節電
・低温対策が図られているものが良いでしょう。
レンズ
カメラを選べば必然的に絞られてきますが、レ
ンズ性能の良いものを選びましょう。レンズの特
性を決めるのは「焦点距離」と「明るさ」の2点
です。焦点距離は28㎜とか50㎜といった長さで表
され、短ければ広い範囲が写り、長ければ狭い範
囲をアップで写す事が出来ます。
35㎜カメラでは17∼21㎜を超広角、24∼35㎜が
広角、45∼55㎜が標準、85∼135㎜を中望遠、
180∼250㎜を望遠、300㎜以上が超望遠レンズと
言われています。また、特殊なレンズとして6∼
16㎜の魚眼レンズなどがあります。
レンズの明るさは開放時のF値で表します。天
体写真に使うのであればF2.8 より数値の小さい
ものが理想的です。(数字が小さければ小
さいほど明るくなります) また、 最近明
るい性能の良いズームレンズが出て来ま
したが、天体写真には使用しない方が良
いでしょう。
フィルム
フィルムの種類はざまざまです。 感度6∼3200 ま
で市販されていて、簡単に入手できます。また、
店頭になくても注文すればわりと入手する事が出
来ます。ただ、天体写真を撮影する場合は感度
100∼1600 もしくは 3200 といったものを使いま
す。数字の大きくなればなるほど感度は高くなりま
すが粒子が粗く、 プリントしたときにザラザラし
た感じになり、 微光星は粒子に埋もれて見えにく
くなります。 フィルムの感度は目的にあったもの
を選びましょう。
レリーズ
カメラのシャッターを開放にしておくためのも
のです。天体写真を撮影するために必要なアクセ
サリーです。
メーカーや機種によって専用のものがあったり
しますので、合うものを用意しましょう。
望遠鏡
望遠鏡は反射式、屈折式は問いません。ただし
口径の大きい方が光を多く集めることができるの
で、細かい所とまで写すことができます。
(惑星撮影は大口径が有利)
カメラ
アダプターは望遠鏡とカメラを接続するために
アダプター 必要です。
自分のカメラに合うアダプターが必要です。
赤道儀と
地球は自転していますので、普通の三脚にカメ
周辺機器 ラを固定しておくと、星像は点にならずに軌跡に
なってしまいます。それを、防止するためには地
球の自転に合わせて(星の動きに合わせて)望遠
鏡やカメラの向きを動かす必要があります。その
動作を簡単にしかも正確に動かすための機器です
手動式とモーターによる電動式があります。
電動式の方が楽でしょう。
使い方は各赤道儀によって、多少異なるので説明
書を参考にしてください。
その他
ペンライト・星座早見盤・時計・メモなどです。
撮影方法
天体写真を撮るには、いくつかの方法があります。初心者向けの固定撮影、
星座などの星野を撮るガイド撮影、望遠鏡などで月や星雲などをとる拡大撮影
があります。今回は簡単に行える固定撮影と星座のガイド撮影を行います。
固定撮影
カメ ラを三脚にセットして撮影する方法で、星は日周運動のため線に
なって写ります。 (小学校の理科の教科書でよく見かけます)
望遠鏡などの装置はいりません。風景を撮る程度のカメ ラ機 材があれ
ば手軽にできます。ぜひ、ためしてみてください。
☆準備するもの
カメラ(一眼レフ) レンズ(できれば単眼で 20∼50 ㎜) レリーズ
三脚(じょうぶなもの) 時計 フィルム(感度 100∼400)
星座早見表
赤いセロハンを張った懐中電灯
☆撮影方法
①シャッタースピードはBかT。絞りは開放から二段ぐらいまで。
ピントは無限。
②構図を決める。
星が動くので、露出時間を考えて決めたほうがよい。
③いよいよ撮影。
シャッターを切る前に、カメラが動かないように再度チェック。
機材に触らないようにしてシャッターを切る。
撮影。
時間がきたら、シャッターを閉じる。
☆注意事項
◎シャッターが開いているときは、光りを当てたり、カメラを動かさ
ないように注意する。
◎撮影時刻などの記録をする。
☆ワンポイントアドバイス
◎最初のころは露出時間を 10 分ぐらいで行ってみよう。
◎なれてきたら、色々な建物や風景を入れてみよう。
◎色々なフィルムを使ってみよう。
◎街灯が少なく、人や車のあまり来ないところで撮影しよう。
ガイド撮 影
ガイド撮影とは星の動きに合わせて、カメラなどを 動かし点像に写す
方法です。この撮影を行うためには、赤道儀などの装置が必要になり
ます。ガイド撮影にはカメラのレンズで撮る方法と、望遠鏡にカメ ラ
を付けて撮る方法の2種類がありますが今回はカメラのレンズで撮る
方法を紹介します。
レンズで撮影する方法にも広角 ・標準レンズを使う場合と、望遠レン
ズを使う場合の2種類がありますが、簡単に行える短焦点レンズを使
う場合を説明します。
☆用意するもの
カメラ(一眼レフ) レンズ レリーズ フィルム(感度 400∼3200)
赤道儀と周辺機器(バッテリーなど) 時計 星座早見表
赤いセロハンを張った懐中電灯
☆赤道儀に直接カメラをセットする場合と望遠鏡に同架する場合があす
ます
☆撮影方法
①赤道儀をセットする。
②カメラとレンズをセットする。
③以下、固定撮影と同じ。
☆注意事項
◎赤道儀は正確にセットしよう。正確でないと点像には写らない。
◎周辺機器やコードがあるので、足元に気をつける。
☆ワンポイントアドバイス
◎なれるまで露出時間は5∼10 分ぐらいにしておこう。
◎なれるまで焦点距離の短いレンズを使おう(21∼50 ㎜)
☆なれてきたら、望遠鏡や望遠レンズを使って撮影してみよう。
図鑑のような望遠鏡などを使った、 拡大写真は大変きれいですが、設
備や時間などがかかります。
まず、固定撮影や簡単なガイド撮影をマスターしてからチャレンジしましょう。
星は逃げていかないのですから。
レンズによる画角の違い
(画角は 135 フォーマットを基準にしています。中版・大判サイズでは異なります)
最後に
この資料はある程度、設備や指導者が揃っていることを前提に作成したもの
です。故に市販されている参考書等に比べて省略してある部分が多々あります。
あくまでも参考程度とお考えください。
この資料が皆様とって、実りのあるものになれば幸いです。
吉田