System Due diligence

青山システムコンサルティング株式会社
Aoyama Systems Consulting
Ⅰ.エグゼクティブサマリー
1.システム評価の目的と範囲
今回のシステム評価の目的は以下のとおりです。
・2004年11月に導入された新情報システムの現状把握
・現状の業務プロセスと新システムにおけるギャップの洗い出し
・新システムに必要と考えられる追加改修にかかる投資額の見積り
対象システムとシステムレビューの視点は以下のとおりです。
¾ 対象システム
9 POS販売管理システム
9 グループウエア等情報系システム
9 会計システム
¾
システム評価の視点
9 機能の網羅性
– G社に必要な機能をシステムが網羅しているか
9 品質
– システムの品質は確保されており今後システム障害発生のリスクはないか
9 維持管理の容易性
– 今後のシステム運用にあたってリスクはないか
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Ⅰ.エグゼクティブサマリー
3.結論
2004年11月に導入されたPOS販売管理システムにつきましては、機能的にはG社の店舗および本部に必要な機能が
網羅されており使い勝手も旧システムに比較して向上しています。しかし、土日の午後などの店が混雑する時間帯に応
答時間が遅延し、タイムアウトが頻発するなどの障害が1日に数回発生しています。この原因はシステムの根本的な構
造上の問題でこれ以上の改善が困難な状況です。このため、現状のシステムではこれ以上の店舗展開は困難であると
考えます。
¾システム機能の網羅性
POS販売管理システム、会計システム、メールやグループウエアなどの情報系システムなど現在のG社に必要なシス
テムおよびそれらの機能は過不足なく網羅されていると判断いたします。しかし、POS販売管理システムにおいては下
記応答時間遅延障害の対策としてメニューの利用制限がかけられ、本部サーバーにはリアルタイムで全店舗の売上が
集計されているにもかかわらず、店では当日売上の分析がタイムリーに行えないなどの弊害が発生しています。
¾システムの品質
POS販売管理システムにおいてはプログラムのバグ(不具合)による障害はまったくゼロではありませんが、通常の業
務をおこなう上でのアプリケーションの障害はほとんどない水準になっていると判断いたします。しかしアプリケーション
が利便性向上のために複雑な作りになっていることと、根本的なソフトウエア構造上の問題で土日の午後などの店が混
雑する時間帯に応答時間が遅延し、タイムアウトが頻発するなどの障害が1日に数回発生しています。
¾システム維持管理の容易性
応答時間の遅延障害を管理するためにシステム担当者が自ら利用できるメニューを必要に応じて制限したり、ログを
分析したりなど非常に運用に手間がかかるシステムとなっており、このままでは運用をすべてアウトソースすることは困
難であると判断いたします。
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Ⅰ.エグゼクティブサマリー
3.結論(続き)
今後考えられる懸念事項と対策は以下のとおりです。
¾今後の検討事項
もし今後店舗展開を行うのであれば応答時間向上のための根本的なシステムの改修が必要になります。
その際、必要となる期間と投資額は以下のとおり見込まれます。
*(現在、システム開発元であるSIベンダーI社にシステム改修提案と改修にかかる期間および概算金額の提示を依頼
しております。
本報告書でも記載したとおり、根本的なシステム改修が必要となり、改修規模が大きくなると考えられますので、回答
までには多少時間がかかることが想定されます。)
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Ⅱ.評価の詳細
1.システムの現状
存在するシステムとその概要は以下のとおりです。
システム名
システム概要
1
POSシステム
2004年11月に導入された販売管理システム。POSソフトウェアパッケージにカスタマイズを行
い利用している。
2
新基幹システム
2004年11月にPOSシステム導入にあわせてオリジナル開発された販売管理システム。各店
舗POSからの情報を一元管理し、サーバはデータセンターにて管理されている。
3
PDAシステム
棚卸入力用に各店舗にて使用されているPDAで作動するオリジナルシステム。
4
弥生会計
経理部で使用している会計ソフトウェアパッケージ。仕入・支払に関しては新基幹システムとの
データ連動は行われていない。
5
買取受付システム
オリジナルで開発された中古機買取受付管理、POP印刷用システム(開発言語はAccess)。各
店舗からのニーズや業務効率化の観点から随時メンテナンスされている。
6
データ取得システム
新基幹システムでのレスポンス遅延やタイムアウトへの暫定対策として、販売データ取得・集計
のために自社で開発されたシステム。
7
サイボウズ
市販グループウェア。メール機能でのみ使用されている。
8
EBシステム
銀行の支払業務に利用されている銀行から提供されるソフトウェアパッケージ。
9
魔法陣
経理部で利用されている固定資産管理用のソフトウェアパッケージ。
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2.システムの評価
2.1 機能の網羅性
POS販売管理システム、会計システム、メールやグループウエアなどの情報系システムなど現在のG社に必要なシス
テムおよびそれらの機能は過不足なく網羅されていると判断いたします。
¾新情報システムに対するエンドユーザの評価
「前システムに比べて機能面では向上している」、「レスポンスの問題を除いては、特に業務上、機能に不足は感じ
ない」など、機能面に対するエンドユーザからの評価が高い。
¾販売分析データの充実
他店舗とのカテゴリー別販売分析や時系列分析などの販売分析を行うために必要なデータが新基幹システムに蓄
積されている。ただし、遅延障害の関係でシステム機能が十分に活用できていない状況である。
¾運用を考慮した機能
営業中に棚卸ができる(○時時点での帳簿在庫)など、店舗スタッフに過大な負荷を掛けない仕組みとなっている。
¾会計システムの連動
会計への売上計上、売掛金管理はPOSデータ(個人売上)および新基幹システムデータ(法人売上)より会計シス
テムに仕訳データが連携されている。
¾メール機能の活用
外部取引先や社内の連絡手段としてメールが活用されており、情報伝達力向上に大きく寄与している。
しかし、POS販売管理システムにおいては下記応答時間遅延障害の対策としてメニューの利用制限がかけられ、本部サ
ーバーにはリアルタイムで全店舗の売上が集計されているにもかかわらず、店では当日売上の分析がタイムリーに行え
ないなどの弊害が発生しています。
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2.システムの評価
2.2 システムの品質
POS販売管理システムにおいてはプログラムのバグ(不具合)による障害はまったくゼロではありませんが、通
常の業務をおこなう上でのアプリケーションの障害はほとんどない水準になっていると判断いたします。
¾障害発生状況(5月23日時点(情報は2004年12月6日~)、ベンダーI社からの報告)
18
16
14
ソフト障害
センター障害
問い合わせ
ハードウェア障害
ネットワーク障害
要望
運用ミス
その他
12
10
8
6
4
2
ベンダーI社の対応も発生から遅
くとも2日後までには対応されてお
り、ほとんどが当日中に解決されて
いる。
2006年5月
2006年4月
2006年3月
2006年2月
2006年1月
2005年12月
2005年11月
2005年10月
2005年9月
2005年8月
2005年7月
2005年6月
2005年5月
2005年4月
2005年3月
2005年2月
2005年1月
2004年12月
0
システム稼動当初はソフトウェア
障害、ユーザからの問い合わせが
多かったものの、徐々に問題も収
束し、最近ではほとんど大きな問題
もなくなっている。
しかしアプリケーションが利便性向上のために複雑な作りになっていることと、根本的なソフトウエア構造上の問題
で土日の午後などの店が混雑する時間帯に応答時間が遅延し、タイムアウトが頻発するなどの障害が1日に数回
発生しています。
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2.システムの評価
2.3 システム維持管理の容易性
応答時間の遅延障害を管理するためにシステム担当者が自ら利用できるメニューを必要に応じて制限したり、ロ
グを分析したりなど非常に運用に手間がかかるシステムとなっており、このままでは運用をすべてアウトソースす
ることは困難であると判断いたします。
¾遅延障害を回避するための対策
9POSシステムでの売上データ登録に2分以上経過すると集計メニューの操作権限を停止している。この
経過時間を微調整する必要がある。
9データベースへの接続タイムアウトを回避するために、タイムアウト時間をプログラム別に設定しており、
この機能間の調整を行う必要がある。
¾問題への対応
9最近発生する問題は業務的問題、機能的問題ではなくIT技術的な要素による問題である。
9G社の社内体制としてシステム部はあるが、IT技術に長けているわけではなく、その対応は
ベンダーI社に任せるしかない。
9レスポンスの問題をはじめとして社内システム部での対応策に限界があり、根本的解決を図るためには
費用が発生してしまう。
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3.今後の懸念事項と対策
今後考えられる懸念事項と対策は以下のとおりです。
¾EDI(Electronic Data Interchange = 電子データ交換)の活用
9現在、仕入(検品)情報の登録は手入力で行われており、店舗側の努力で入荷当日に入
力を完了していますが、入荷量が多い場合は翌日以降入力となっています。
9仕入情報の効率的な登録、登録ミス・漏れへの対策としてEDIの導入を検討すべきである
と考えます。
91店舗への導入のみベンダーI社が担当し、残りの店舗とテストはG社担当の場合の概算
費用は約1,200万円。全店舗への導入およびテストをベンダーI社が担当した場合の概算費
用は30,000千円( 2006年3月末、ベンダーI社からの見積回答)。
¾販売分析機能
9遅延障害回避のため新情報システムとは別にAccessにて販売分析機能を提供しています
が、前日分までの売上情報(別サーバにデータをアップロード)を使っての情報分析となっ
ており、リアルタイムに情報分析が行えていません。
9「リアルタイムな情報分析による効果的なタイムセールスができない=機会損失」という現
場からの意見もあります。
9データアップロード間隔を日単位ではなく、時間単位に改善するという方法も考えられます
が新情報システムサーバへの負荷を考慮すると難しい部分もあり、やはり遅延障害に対す
る根本的な対策が必要となります。
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Ⅱ.評価の詳細
4.導入一時費用
導入一時費用の総額は以下のとおりです。
内訳
支払先
金額
(¥1,000)
1
新情報システム ハードウェア(買取)
ベンダーI社
¥120,000
2
新情報システム ソフトウェア(リース) ※1
リース会社S社
¥118,000
合計
¥238,000
※1 リースアップは2009年9月。2006年3月末時点での未払残高は約66,000千円。
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5.ランニングコスト
現状の月額ランニングコストは以下のとおりです。
内訳
支払先
金額
1
新基幹システム用回線費用
ベンダーN社
¥1,932,105
2
イントラ用回線費用
ベンダーN社
¥214,868
3
クレジットカードデータ専用回線費用
ベンダーN社
¥35,924
4
データセンター回線費用
ベンダーN社
¥8,457
5
ハウジングサービス費用
ベンダーI社
¥646,000
6
ハードウェア保守費用 ※1
ベンダーI社
¥667,920
7
ソフトウェア保守費用
(オリジナル開発部分)
ベンダーI社
¥814,000
8
ソフトウェア保守料
(パッケージ部分)
ベンダーI社
¥107,000
9
ソフトウェアリース料(2009年9月ま
で)
リース会社S社
¥1,605,555
合計
¥6,031,829
※1 2009年9月1日以降は¥768,100円(税抜き)。
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