水理学のまとめ

水理学のまとめ
ここでは,水理学Ⅱおよび水工実験・演習を受講した学生が,最低限習得すべき内容の問題とそれに必要な水理
学的知識をまとめる.なお,指示がない場合には,  =1000 kg/m3, g =9.8m/sec2,π=3.14 を用いよ.
1.静止状態の圧力のつりあい
演習課題 1.1
図 1.1 のように密度  =1000kg/m3 の水で満たされたU字管の左右
のピストンが高低差 z =5cm の状態で静止している.左側のピスト
ンに力 P1 =2.0N が作用している場合,右側のピストンに作用する力
P2 はいくらか.ただし,U 字管の左右の断面積は A1 =20cm2, A2
=50cm2 とする.
P2
P1
5cm
A2
B
A1
図 1.1
まとめ
“水が静止している”ということは,
“同じ高さにおける圧力がつりあっている”ということである.
この条件を,図中のB断面で考えればよい.その場合,2の箇所では,水の重さ分の圧力も考慮する必
要がある.
演習課題 1.2
図 1.2 のように,上層に油,下層に水が入っている容器
を考える.次の問いに答えよ.ただし,油の密度 1 は
788kg/m3,水の密度は 1000kg/m3 とする.
1) 容器の側壁に作用する静水圧の分布を図示せよ.
2) 容器の底面に作用する静水圧 p 3 を求めよ.
h1  5m
油
h2  7m
水
1  788 kg / m 3
z
 2  1000 kg / m 3
図 1.2
まとめ(静水圧)
静水圧は,静止している水の単位面積当たりに作用する力(圧力,圧力の強さ)のことであり, p  gh
(ここに,  :密度, g :重力加速度, h :水面からの深さ)で表すことができる.
 :密度が関与することから,密度が違う流体部分では,圧力の深さ方向への増分も異なることとなる.
また,通常水理学では水面の圧力をゼロ(ゲージ圧)としており,異なる密度を有する流体の境界では,
圧力は連続的に変化する.
演習課題 1.3
図 1.3 のように水槽の外部にガラス管を取り付け,水槽内部の水位を読めるようにした装置がある.水槽
と管内の水温が,それぞれ t℃,t’℃のとき,管の水位と水槽の水位との差 h’を求めよ.
h'
H  h'
 ' (t ' ℃)
 (t℃)
H
図 1.3
演習課題 1.3
演習課題 1.3 において,水槽および管内の水温をそれぞれ 80℃,20℃とし,管の水位の読み H を 1m と
すると,水槽内の水位はどうなるか.ただし,水の密度は,80℃で 0.9653g/cm3,20℃で 0.9982g/cm3 で
ある.
2.静水圧
まとめ
図 2.1 の板に作用する力は,
F
1
gh2 L
2
奥行き:L
である.これは,「底面の圧力 p  gh ,高さ h ,奥行き L で示されている
部分の体積」と考えることができるし,
「板の中央の圧力 p  g
h
に面積 hL を
2
h
かけたもの」と考えることもできる.どちらの考え方でも,答えは同じ.
また,作用点は,三角形部分の重心に相当する.したがって,水面を基準
2
3
P
とすれば,作用点は水面から h の位置にある.
*注意: p  gh は圧力であり,力ではない.
p  gh
図 2.1
曲面に作用する力は,力の水平成分と鉛直成分に分けて取り扱う.水平
成分は,上記の考え方をそのまま用いる.鉛直方向の力は,作用する曲面
の形状により,力の方向が異なる.
いま,図 2.2 のようなゲート(円弧の部分)に作用する力の鉛直成分は,
図中の斜線部の体積 V を求めて, Fv  gV を解くことにより計算できる.
この力は鉛直下向きに働く.
一方,図 2.3(a)のようなゲート(円弧の部分)に作用する力の鉛直成分
は,図のように,ゲートの上側と下側とで力の作用する向きが異なる.上
から下に作用する力は,図 2.3(b1)の斜線部の体積 V を求めて,Fv  gV を
図 2.2
解くことにより計算できる.これを Fv1 とする.また,下から上に作用す
る力は,図 2.3(b2)の斜線部の体積 V を求めて, Fv  gV を解くことによ
り計算できる.これを Fv 2 とする. Fv 2 > Fv1 であり,このゲートには, Fv 2  Fv1 の鉛直力が下から上へ作用
している.この力が浮力である.なお,図 2.3(a)および図 2.3(b)でも分かるように, Fv1 と Fv 2 を求める場
合の体積は重複する部分があり,その部分を打ち消せば,図 2.3(c)の斜線部分(水中にある構造物の体積)
が残る.したがって, Fv 2  Fv1 を求める場合には,図 2.3(c)の体積 V を求めて, Fv  gV を計算すればよ
い.
(a)
(b1)
(b2)
(c)
図 2.3
曲面に作用する力の作用点も水平方向と鉛直方向に分けて考える.
水平分力の場合の作用点の求め方は,平面に作用する静水圧の求め方とまったく同じであることから,
ここでは省略する.
鉛直分力の作用点は,作用するゲートの形状の特性を利用する.この曲面に作用する静水圧の問題の場
合,たいていその曲面は円である.円であれば,受ける力は必ず円の中心を通る.このことは,円の中心
のモーメントはゼロであることを意味している.
従って,円の中心における全体の力のモーメントがゼロであるということは,それを分離した水平分力
のモーメントと鉛直分力のモーメントの和もゼロである.鉛直方向の作用点を求める場合,この特性を用
いる.すなわち,Px  yc  Py  xc ,ここに,Px ,Py :それぞれ力の水平方向および鉛直方向の成分, yc ,x c :
円の中心から Px , Py の作用点までの鉛直距離( yc )と水平距離( x c )
.
演習課題 2.1
幅 10m の水路に,
図 2.3 のように水路に直角にせき板を入れて水をせき止めたとき,
上流側の水深が 6m,
下流側の水深が 3m となった.このせき板に作用する全水圧と,作用点の位置を求めよ.
演習課題 2.2
図 2.4 に示すように鉛直壁に内径が D の円管が取り付けられている.この管を全閉した弁に作用する全水
圧および作用点を求めよ.ただし,円管の中心は水面から hG のところにあり、円の断面二次モーメント
は D 4 64 である.(文字を用いて答えよ.)
hG
D
図 2.4
図 2.3
演習課題 2.3
図 2.5 に示すゲートに作用する水平力 Px ,鉛直力 Py ,それぞれの作用点 y C ,x C および全圧力 P を求めよ.
ゲートの半径を D,長さ(奥行き)を L,水の密度  ,重力加速度を g ,円周率を  とする.(文字を用
いて答えよ.
)
演習課題 2.4
図 2.6 のようにテンターゲートの幅を 6m とするとき,AC に作用する全水圧の水平および鉛直分力なら
びに作用点の位置を求めよ.
A
A
B
O
D
yC
D
C
テンダーゲート
r=5m
Px
Py
B
xC
図 2.5
r=5m
A
D
図 2.6
45°
O
3.ベルヌイの定理
まとめ
ベルヌイの式は以下のように表される.
v2
p
z
 const
2g
g
ここで,左辺の第一項は速度水頭,第二項は位置水頭,第三項は圧力水頭,全体の値を全水頭, p g  z
(圧力水頭と位置水頭の和)をピエゾ水頭といい,それぞれ長さの次元を持つ.
上の式は覚えておくべき.
管路流れにおいて,壁面に小さな管(マノメーター)を立てる
と,そこには水面が現れる.図 3.1 に示すように基準面から水
面の高さがピエゾ水頭であり,これを連ねた線を動水勾配線と
いう.また,その値に速度水頭
v2 2g
v2
だけ上の値 v 2 2 g  p g  z
2g
p g
が全水頭であり,それを連ねた線をエネルギー勾配線という.
x
ベルヌイの式を用いた代表的な問題は,オリフィスにおける流
れに関する問題である.図 3.2 のように貯水槽に小さな穴が開
いたものをオリフィスと呼ぶ.この問題をベルヌイの式を用い
て解く方法について説明する.
図 3.2 の水面を①,オリフィス部を②としてベルヌイの式を
立てれば,以下のようになる.
 v2
p   v 2
p 

z

z
 2g
g 1  2 g
g 2

z
図 3.1
①
ここで,それぞれの項について考えてみる.
①の場所
v2
:貯水槽の水のボリュームは,オリフィスからの流出の影
2g 1
響を受けないため,流速はゼロとみなせる.したがって,
v2
0
2g 1
Z 1 : H1
H1
②
H0
H2
図 3.2
p
:水面での圧力であるので,ゼロ.
g 1
②の場所
v2
:オリフィスからの流出があるので,流速は存在する.したがって,消去することはできない.
2g 2
Z 2 : H0
p
:水面(大気)での圧力であるので,ゼロ.
g 2
したがって,それらをまとめれば,
H1 
vB 2
 H0
2g
であるので,
v B  2 g ( H1  H 0 )
*流出先に水が存在する場合には,
となる.
p
がゼロではなく,流出先の静水圧を考えることによって,計算で
g 2
きる.
演習課題 3.1
図 3.3 の流速を求めよ.ただし,水槽の水位変化は無いものとする.
(文字を用いて答えよ.)
H1
H0
H2
図 3.3
演習課題 3.2
図 3.4 のように直径 30cm の管が直径 20cm の管と直径 15cm の管に Y 状に分岐して水を大気中に放流し
ている.30cm 管の流量が 135l/sec とするとき,各管の流量および主管の圧力水頭はいくらか.ただし,
A,B,C は水平に置かれている.
20cm
30cm
B
A
15cm
図 3.4
C
4.運動量保存則
まとめ
ここで対象とする問題は,流れがある場合に物体に作用する力を求める問題である.この場合,運動量保
存則が用いられる.
運動量保存則は,ある流れの区間において,運動量の輸送を考慮した ma  F を考えればよい.すなわち,
一つの方向を設定した後で,
ある区間の質量×加速度=入ってくる運動量-出て行く運動量
+流れ方向に作用する力+流れと逆方向に作用する力(符号も考えて表記)
+質量力
上の式は,流体に作用する力のつりあいを示している.物体が動かない場合,物体から流体へ作用する
力と同じ大きさで逆向きの力が,流体から物体へ作用している.したがって,上式を利用することにより,
流体から物体への力を求めることができる.
演習課題 4.1
図 4.1 のように直径 8cm の噴流が 45m/sec の速度で板に垂直に衝突して 90°曲げられる.
a) 板に働く力を求めよ.
b) 板が 20m/sec の速度で噴流の方向に動いているとき板に働く力を求めよ.
V
V
V
図 4.1
演習課題 4.2
図 4.2 のように 60°の曲がりをもつ短い縮小管によって,径 40cm の管を径 20cm の管につなぎ,大きい
管の圧力が 144kN/m2 であり流量は 0.423m3/sec である.この縮小管に働く力を求めよ.ただし,管は水
平面内にあるものとする.
60°
2
1
y
x
図 4.2
5.管路流れ
演習課題 5.1
内径 600mm の管の中を,平均流速 3m/sec で水が流れているときの流量を求めよ.
演習課題 5.2
図 5.1 のように水平におかれた径 15cm の管が径 20cm に急に拡大してい
る.15cm 管内の平均流速が 2m/sec,圧力が 4000N/m2 であるとすると,
20cm 管 の 圧 力 は い く ら か . た だ し , 急 拡 の 場 合 の 損 失 係 数 は
 
K se  1  D12 D2 2
 で表すことができる.
2
1
2
図 5.1
演習課題 5.3
管径 d の円管路では,ダルシー・ワイズバッハの摩擦損失係数 f とマニングの粗度係数との間に,
f 
124 .5n 2
が成立することを示せ.
d 1/ 3
演習課題 5.4
図 5.2 の管路における流速の値を求めよ.なお,上下部の水槽は大きく,水位は変化しないものとする.
管の諸量
管の長さ(L)
100m
摩擦損失係数(f)
0.04
出口の損失係数(Ko)1.0
下部の水槽の水位 HB 3m
管の直径(D)
0.5m
入口の損失係数(Ke) 0.5
上部の水槽の水位 HA 8m
図 5.2
まとめ
図 5.2 のような管路内の流速(または,流量)を求める問題は,上下流に水面がある場合,
「その水位差
はその間で生じている損失水頭の和に等しい」という条件を用いることにより解くことができる.
形状変化があるところ(例えば,入口,急拡,急縮,出口など)では,形状損失が生じ,その損失量
は, K
V2
(ここに, K :損失係数であり,実験などにより求まる値, V :流速, g :重力加速度)によ
2g
り求めることができる.
管の壁面では摩擦による摩擦損失が生じ,その損失量は, f
L V2
(ここに, f :摩擦損失係数, D :
D 2g
管径, L :管長)により求めることができる.
また,いくつかの異なる断面が連結されている直列管の場合,複数の流速を用いた表記となるが,連続
式(流量 Q が一定)を用いることで,唯一の流速の式(あるいは,流量の式)に変換することができ,解
を求めることができる.
演習課題 5.5
並列管は管網の単純なものであるが,これは管路の水輸送能力を増すためによく用いられる.図 5.3 のよ
うな並列管に全流量 Q  0.2m3/s の水を流すとき,管 1 および管 2 のそれぞれの流量 Q1 および Q 2 を求めよ.
ただし,形状損失は無視する.
l1=200m D1=30cm
A
Q=0.2m3/s
n=0.01
① Q
1
②
Q2
l1=100m D1=10cm
図 5.3
B
まとめ
図 5.3 のような並列管の場合,A 点と B 点の間の損失水頭は同じである.仮に異なる場合,B 点で管路
により全水頭が異なることなり,エネルギーの高い方から低い方へ,流れ込むこととなる.そのような状
況は,定常状態を想定している本問題の現象とは異なる.
したがって,
“A 点と B 点の間の損失水頭は同じである”という条件を用いることで,二つの管路の流
量の条件が求まる.さらに,
「全体の流量」と「二つの管路の流量の和」が等しいことから,それぞれの
流量の値が求まる.
6.開水路流れ
演習課題 6.1
矩形断面の水路において,川幅Bが水深hよりもきわめて大きいと仮定できる場合に,径深R=水深hと
近似できることを示せ.
演習課題 6.2
矩形の流水断面積Aを一定とした場合の有利断面は,水深 h,川幅 B とすると,B=2h で表されることを
示せ.
まとめ
河川の場合,破堤あるいは越水による浸水被害を抑えることが最重要課題であり,そのためには,水位
を低く抑えることが重要である.水位を下げるためには,流速を大きくすれば良い.一定の断面積の場合,
流速を最大とする断面を有利断面という.
1 2 / 3 1/ 2
R I というマニングの平均流速公式を用い,粗度係数 n とエネルギー勾配 I (この場合,等流
n
を仮定することで河床勾配と等しい)は変化しないとすれば,流速を最大とするためには,径深 R を最大
V 
にする必要がある.
径深は, R 
A
であり,断面積 A と潤辺 s の関数である.断面積が一定であることから,径深を最大と
s
するためには,潤辺を最小にする必要がある.
仮に,潤辺と水深の関数を考えた場合,最小となる潤辺がある場合,そこでの勾配はゼロとなる.
したがって,この条件を利用することで,有利断面における水深と川幅との関係を導くことができる.
演習課題 6.3
幅 100m,水深 2m,河床勾配 1/1000,粗度係数 n=0.020 の矩形断面の水路において,以下の問に答えよ.
1) 径深を求めよ.
2) 等流を仮定した場合の流量を求めよ.
演習課題 6.4
図 6.1 のように,水路勾配 1/1000 の十分長い幅の広い長方形断面水路(水路1)に,水路床勾配 1/50 の
十分長い幅の広い長方形断面水路(水路2)が接続している.この接続水路に水が単位幅流量 q =1.2m2/sec
で流れている場合について,次の問いに答えよ.ただし,マニングの粗度係数nを n=0.030 とする.
1) 水路1,2の限界水深 hc1 , hc 2 および等流水深 ho1 , ho2 を求めよ.
2) 水路1,2の流れの状況は,常流か?射流か?
3) 水路全体の水面形の概形を描け.
4) 射流から常流へ移行する場合には何が生じるか?
q  1.2 m 2 / sec
水路1
1 

 i1 

1000


水路 2
1 

 i2  
50 

図 6.1
まとめ
常流,限界流,射流という流れは,開水路流れの特徴である.常流から射流へ推移する場合の水面は,必
ずその間(河床勾配の急変点近傍)で限界水深(断面のことを支配断面という)を通り,射流から常流へ
推移する場合の水面は,その間で跳水が生じる.
常流,限界流,射流は,波の伝播速度と流れとの関係から,議論される.
常流とは,下流側の波(水面変動)が上流側へ動く(影響を与える)現象である.波の伝播速度(波速)
gh (ここで, g :重力加速度, h :水深)と流れ V との関係から,常流の場合, gh  V となる.
射流とは,常流とは逆に,下流側の波(水面変動)が上流側へ輸送されない(影響を与えない)現象であ
る.波速と流れとの関係から,射流の場合, gh  V となる.
限界流とは,常流と射流の間の流れであり,波速と流速が等しい流れである.したがって, gh  V とな
る.
常流と射流,限界流は,フルード数 Fr 
V
gh
により,判別され, Fr  1 の場合は常流, Fr  1 の場合は限
界流, Fr  1 の場合は射流となる.これらの関係は上記の常流,射流,限界流の意味からも理解できる.
また,限界流が生じる場合の水深を限界水深という.限界水深よりも大きい水深の場合,限界流の場合よ
りも波速は大きくなり,連続式(流量が一定)の関係から流速は小さくなる.したがって,波速が流速よ
りも大きくなることから,波は上流側へ移動でき,常流となる.限界水深よりも小さい水深の場合,逆の
現象が生じ,波は上流側へ移動できず,射流となる.
等流水深:等流と仮定された場合の水深であり,実際の断面で生じている水深である.この値を求める場
合には,等流における平均流速公式(一般には,マニングの式を使用)を用いる.
流量を表す式より, Q  AV
ここに, Q :流量, A :断面積, V :流速である.いま,矩形断面(川幅B,水深h)を仮定し,流速も
マニング則を用い, n :マニングの粗度係数, R :径深, I :エネルギー勾配(=河床勾配)として表記
すれば,以下のようになる.
Q  Bh
1 2 / 3 1/ 2
R I
n
幅の広い断面を仮定することにより,径深 R =水深 h の仮定が成り立つ.
*径深 R =水深 h の仮定
R
Bh
h

B  2h 1  2h / B
ここで, B  h と考えれば, 2h / B  0 となることから,径深 R =水深.
この仮定は,一般の河川では妥当である.通常河川の水深は小さく(数メートル),川幅(数十
メートル~数百メートル)は水深に比べて大きい
したがって,以下のような式展開が行われる.
Q  Bh
h5 / 3 
1 2 / 3 1/ 2
h I
n
nQ
BI 1 / 2
 nQ 
h   1/ 2 
 BI

3/5
単位幅流量( q 
Q
 nq 
)が定義されている場合, h   1 / 2 
B
I 
3/5
ここで,得られた水深が等流水深であり,通常 h0 で表記されている.
限界水深:この水深は,限界流の場所以外では実際には生じないが,流れの特性を把握するために求めら
れる.
流量を表す式より, Q  AV
ここに, Q :流量, A :断面積, V :流速である.いま,矩形断面(川幅 B ,水深 h )を仮定し,流速も
フルード数=1より, V  gh ( g :重力加速度, R :径深)とすれば,以下のようになる.
Q  Bh gh
したがって,以下のような式展開が行われる.
Q 2  B 2 h 2 gh
h3 
Q2
gB 2
1/ 3
 Q2 
h 2 
 gB 


1/ 3
単位幅流量( q 
 q2 
Q
)が定義されている場合, h   
B
 g 
ここで,得られた水深が限界水深であり,通常 hc で表記されている.
一つの流量に対して,等流水深と限界水深が得られた.実際の水深は等流水深であり,限界水深は流れの
特徴(常流,射流,限界流)を求めるために使われる.式からも分かるように,限界水深には,粗度係数
やエネルギー勾配(=河床勾配)の場の特徴が反映されておらず,同じ流量,川幅であれば一定値となる.
7.地下水の流れ
まとめ
地下水の流れ(流速 V )は,一般にダルシーの法則を用いて V  KI で表される.ここに, K :透水係数,
I :導水勾配である.
8.相似則
まとめ
フルード数Fr とレイノルズ数 Re が等しい流れは相似な流れである.水理実験を行う場合,実際の現象と
水理実験での現象のフルード数Fr とレイノルズ数 Re を等しくするのが望ましいが,両者の一致は難しい
ため,開水路ではフルード数を,管路ではレイノルズ数を一致させて実験を行っている.
演習課題 8.1
縮尺λ=Lm/Lp(水理実験のスケール/実際のスケール)の水理実験装置がある.フルードの相似則を用い
れば,実験で得られた流速 Vm から実際の流速 Vp を求める場合に,どのような関係式を用いる必要があ
るか?
9.水理学における重要な用語
上記以外の水理学における基本かつ重要な用語を,以下に列記する.
流れの分類
非定常流(不定流)と定常流,等流,不等流
圧縮性流体と非圧縮性流体
層流と乱流(レイノルズ数との関係)
粘性流体と完全流体
マニング,シェジー,ダルシー・ワイズバッハの平均流速公式