輸入粗飼料の情勢

平成27年
4月
8日
輸 入 粗 飼 料 の 情 勢
全 酪 連 購 買 部
購 買 推 進 課
北米コンテナ船情勢
北米西海岸港湾労使交渉、暫定合意後の動き
北米西岸港湾労使交渉は2月20日に使用者団体(PMA)側が譲歩した形で新協約に
暫定合意がなされ、北米西岸港湾労組(ILWU)および使用者団体(PMA)の双方が内部で承
認手続きに入ることとなりました。
しかしながら、暫定合意に至ったにもかかわらず、合意内容に不満を持った一部の
ILWU の動きによって3月11日にオークランド港の荷役作業が1日停止しました。こ
の行為が今後の承認手続きに影響を及ぼすのではと懸念されましたが、3月30日か
ら4月3日の間に開かれた ILWU 執行部の会議において、新協約案が承認された模様で、
今後、一般組合員の投票手続きを経て最終合意に至ると考えられています。一般投票
の最終集計は5月22日に行われる見込みです。
各西海岸の港の状況は、最も深刻であった時期に比べると改善してきているものの、
依然として大量の貨物が港に運び込まれており、荷役稼働率や各船社のスケジュール
は従来通りまで回復したとは言えません。またターミナル内外でのトラックやシャー
シーの不足も継続的に発生しています。現在、入港予定ベースでは1週間前倒しから
2-3週間の遅延までの幅が出ており、今後も注視が必要です。
海上運賃動向
米国の輸出入増加に伴う海上輸送の需要の高まりや労使交渉に伴う混雑の影響によ
る 本 船 の ス ペ ー ス 不 足 が 発 端 と な り 、 各船 社 が 4 月 か ら の GRI( General Rate
Increase : 海上運賃一斉値上げ )を発表しました。当初の値上げ幅は、概ねUS$2
00(40フィートコンテナ)でしたが、実際には上げ幅を$50程度に抑える船社が
多く見られます。今後も低迷する海上運賃の修復に向け、引き続き値上げの動きが多
くみられると思われます。
カリフォルニア州の干ばつ
カリフォルニア州では昨年に引き続き干ばつが発生しています。ブラウン知事は干
ばつの深刻化を受け、州内の都市部において2013年の使用量から25%の節水を
義務付ける行政命令を出しました。州全域で節水を義務付けるのは初めてのことです。
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今のところ農業用水については節水の対象になっていないようですが、州内での農業
用水の使用量は非常に多いためこれを制限しない動きに一部批判は出ているようです。
節水の行政命令とは別の部分で、影響が考えられるのは一大農業地帯である州中部
を中心に広がるサンホワンキンバレーです。各地方の貯水量は現時点で、同じく歴史
的干ばつと言われた昨年並みのところが多く見られます。作付面積や生産量の動向は
明確には言えないものの、当地域における乾牧草への生産の影響については、今後の
天候も含め注視が必要です。スーダングラス・クレイングラスの主産地であるインペ
リアルバレーの灌漑用水の水源は、豊富な水量とフーバーダムを擁するコロラド川の
ため、干ばつの影響はさほど受けないと言われています。
CA Drought.com より抜粋
D4:前例のないほどの異常な干ばつ(Exceptional Drought)が州中部を覆っている
ビートパルプ
1. 米国産
新穀の作付はアイダホ州やミシガン州などの早い地域で間もなく開始されます。
日本向けの主力となっているミネソタ州やノースダコタ州では4月15日前後から開
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始される予定です。2012年春は好天に恵まれたため、4月末には全ての作付が終
了していましたが、翌2013年春は寒さの影響で作付が終わったのは6月24日こ
ろとなり、その後の進捗にも影響が出ました。作付のタイミングやその後の生育環境
が作柄に与える影響は大きいため、今春の作付動向については、今後も注意深く追っ
ていく必要があります。
米国産全体の作付面積は現時点では平年並みと予想されます。
北米自由貿易協定(NFTA)によりメキシコ産の安価な砂糖が大量に流入し、その原料と
なる砂糖大根の作付面積が大幅に減少することが懸念されていましたが、米国/メキシ
コ間で砂糖の流入を調整する協定が発効されたため、当面は米国の砂糖生産量が保た
れることとなりそうです。
カリフォルニアを中心とする西海岸(アイダホ州、オレゴン州、ワシントン州、ユタ
州)の干ばつは昨年から依然として深刻な状況が続いています。米国国内で乳価が高騰
し、全米酪農業界の購買意欲が非常に旺盛だった昨年と比較すると、本年度の飼料価
格は安定すると思われますが、歴史的な干ばつの影響はいまだ底が見えず、今後も注
意が必要な状況が続きそうです。
2. 中国
中国では近年、酪農産業が非常に盛んになっており、飼料需要も強まっていること
からビートパルプの輸出余力は現在ありません。近い将来飼料輸入国に転じる可能性
も高く、今後しばらくの間は中国産のビートパルプが市場に出ることはないと予想さ
れています。
3. ヨーロッパ
作付面積は例年と比べ軒並み減少する見込みとなっています。ドイツ、フランス、
イギリスでは約20%減、ウクライナでは30%減の見込みとなっています。
これらの減少の背景は最大の砂糖生産国であるブラジルの通貨レアル安のため砂糖
の輸出価格が大幅に下がり、国際的な砂糖相場が低迷していることが考えられます。
加えて EU 域内では昨年砂糖が豊作であったため、砂糖そのものが余剰気味であるこ
とも影響しているようです。
アルファルファ
カリフォルニア州エルセントロでは2月末から3月初旬の荒天により、例年よりや
や遅めの進捗ですが徐々に1番刈の刈取りがスタートしています。米国乳価の下落に
伴い、国内でも様子を見ながらの買い付けが続いており、新穀のスタート価格が安く
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なることが期待されています。しかしながら、通常1番刈は成分がよく国内向けの需
要も高く、また、旧穀に比べて価格が安くなっていることから輸出業者によっては積
極的に買い付けを進めており、当初の予想と比べ安くなっていないのが現状です。
他産地での刈取りやエルセントロでの2番刈が始まり、これら地域の天候が恵まれ
れば、産地価格はさらに軟化することも予想されますが、ここ数年、中国や中東が価
格を下支えする傾向もあり楽観できません。さらには、カリフォルニア州の干ばつの
影響や昨年から堅調な国内の肥育牛価格を受け、新穀の底値を支える可能性もありま
す。新穀の価格は昨年比$40前後の下げで推移すると見られていますが、これらの
要因から一部相場が堅調に振れ出したとの情報も出て来ています。
カリフォルニア州の北部から中部では水不足に加え、アーモンド等のより利益が見
込める農産物への転作が増えておりアルファルファの生産量への影響が懸念されてい
ます。最も早い圃場では1番刈が始まろうとしています。
ワシントン州コロンビアベースンでは穀物価格の下落を受けてアルファルファの作
付は昨年並み、もしくは若干増加と予想されています。天候は比較的順調なため、今
後も好天が続けば例年より早めに刈取りが始まるかもしれません。一方で、港湾問題
の影響で予定通りの数量を出荷しきれないサプライヤーも出て来ており、旧穀の在庫
は中級品以下を中心に例年以上に残っているようです。
ネバダ州では地域によって状況は異なりますが、水不足の影響で作付を減らす生産
農家出てくることが予想されます。一方、オレゴン州では多くの生産農家は地下水を
利用しており水不足の問題は他の地域ほど深刻ではなく、作付面積は例年並みと予想
されています。
下記の表は2014年3月から2015年2月の米国から各国へのアルファルファ
の輸出実績です。大きな変化としては、昨年まで2万トン前後を安定的に購入してい
たUAE(アラブ首長国連邦)への輸出量が2015年から大幅に減少している点で
す。主な要因は北米西海岸の港湾問題と言われていますが、国内の在庫過多やスペイ
ン産を中心に米国以外の産地からの買付の増加も影響しているようです。港湾問題が
徐々に解決されはじめ船積みスケジュールが通常に戻った際の動向が注目されます。
さらに、同じ中東勢として徐々に台頭してきたのはサウジアラビアです。自国にお
ける農業用水の使用を減らす政策が取られているため、政府から輸入飼料への補助金
が出ているとも言われています。そのため他の新興国と異なり高品質なものを購入で
きる環境にありますが、質と量の双方の需要を満たすために、自身で米国内での生産
に乗り出す動きも見え始めています。
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米国産 アルファルファ(ALFALFA HAY) 輸出量 (2014年3月-2015年2月)
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
日本
34,370 36,660 35,650 37,369 38,117 31,609 28,187 36,972 28,890 37,421 35,832 41,544
韓国
14,618 13,618 14,849 13,462 13,532 17,394 14,224 14,975 12,368 12,420 13,783 14,976
UAE
39,901 27,705 23,688 17,879 17,694 27,430 22,289 27,968 22,164 14,392
3,205
3,533
台湾
5,786
5,913
6,506
4,661
6,357
6,153
6,015
6,544
4,523
4,174
5,377
2,820
中国
74,072 62,573 50,195 52,794 68,071 61,032 57,346 53,065 50,598 53,068 46,893 47,124
ベトナム
1,201
1,188
2,281
555
345
597
756
671
544
1,388
1,008
319
サウジアラビア
600
2,075
1,266
5,635
1,856
628
981
3,305
2,965
1,660
701
1,995
カナダ
1,601
1,607
1,780
1,731
1,657
1,493
1,906
1,939
1,464
1,849
1,789
1,502
インドネシア
0
0
0
75
606
427
322
354
296
244
0
241
マレーシア
74
109
37
75
164
147
95
70
135
32
72
95
その他
1,212
1,189
1,296
539
714
323
399
672
992
2,869
1,452
1,364
計
173,435 152,637 137,548 134,775 149,113 147,233 132,520 146,535 124,939 129,517 110,112 115,513
計
422,621
170,219
247,848
64,829
676,831
10,853
23,667
20,318
2,565
1,105
13,021
1,653,877
チモシー
<米国産>
キティタスバレーでは例年の2~3割と降雪量が少なく、灌漑に使用する雪解け水
の不足が早くも懸念され始めています。雪解け水の不足になると2番刈チモシーの生
産が減少する可能性がありますが、旧穀の2番刈チモシーの品質が芳しくなく、米国
内での引き合いも弱いため、新穀の2番刈以降は他の作物への転作を考えるなど、2
番刈の生産意欲の減退を引き起こす要因は例年に比べ多い状況です。
<カナダ産>
カナダでは大麦と菜種の価格が引き続き低調であるため、レスブリッジエリア(灌漑
地域)でのチモシーの作付けは微増すると見込まれています。現時点での主産地の新穀
予想作付面積は、下記の通りですが、過去5年ほど振り返ってもチモシーの作付面積
は比較的安定しています。
クレモナ(非灌漑地域)24,000エーカー
レスブリッジ(灌漑地域)11,000エーカー
カナダでも今年の冬場の降雪量はやや少なかったものの、土壌水分の含有量は問題
ないレベルのようです。日本からの需要は安定的に推移しているようですが、西海岸
の港湾問題の影響を受けデリバリーは不安定な状態が続いています。
スーダングラス
3月15日付けのエーカレッジレポートによると、デュラム小麦の作付面積は前年同月比2
17%の56,068エーカーと大きな伸びを見せております。 一方、スーダングラスの作付面
積は前年同月比21%の1,752エーカーとなっており、この時期としては過去15年間で最低
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の数字となっています。今年は早播きスーダンの減少によりプレミアム品の十分な確保が難
しくなる可能性も出て来ています。
しかしながら、デュラム小麦の作付面積は想定していたよりも増えなかった、とも言われて
おり、また、作付も1月中で終わっているため、今後のスーダングラスの作付は回復してくる
との見方もあります。加えて、インペリアルバレーでは3月上旬に降雨があり、この影響で播
種が遅れ、3月15日時点での作付面積が伸びなかったとも言われています。種子の価格も
下がっているようで、本格的に作付が始まれば6-7月のピーク時には45,000エーカー前
後まで届き、供給量自体に大きな問題は出ないとも考えられます。さらには、一連の港湾問
題の影響で、予定していた量を出荷できていないサプライヤーも出て来ており、繰り越し在庫
も発生すると思われ、仮に作付面積が予想より減少しても、これらを含めれば日本向けの需
要は十分満たされるとの見方もあります。
インペリアルバレー スーダングラスの圃場 3月31日撮影
クレイングラス(クレインは全酪連の登録商標です)
3月15日付のエーカレッジレポートによると、クレインの作付面積は昨年同月比92%の1
5,724エーカーとなっています。昨年に比べ作付は減少していますが、現時点で生育は平
年並みで、収穫期間の天候が良好であれば供給量に問題はないと思われます。輸出向け
の需要は安定的で、新穀の価格は韓国の買付動向にも影響されやすいため注視が必要で
す。 新穀の1番刈は早い圃場で4月中旬から下旬にスタートの見込みです。
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インペリアルバレー クレイングラスの圃場 3月31日撮影
バミューダヘイ
バミューダの作付面積は昨年同期比で1,300エーカー増加しています。産地の在庫はほ
ぼ売り切れの状態です。種子の価格は昨年より下がっているようですが、一方でバミューダ
ヘイの需要はカリフォルニア州の干ばつの影響により堅調な傾向にあります。
ストロー類(フェスキュー・ライグラス)
3月16日発表の2月の米国住宅着工件数は90万戸弱と例年並みにとどまっており、芝
用の種子の需要は伸びていません。主産地オレゴン州でも作付面積は横ばいと見られてい
ます。 以前最大19万エーカーが作付けられていたアニュアル種の需要が減退しており、2
015年は12.5万エーカーに留まると見られています。当該地域の生産農家はヘーゼルナ
ッツやブルーベリーのような永年作物の作付を増やし始めているようです。
豪州産オーツヘイ
収穫時の天候に恵まれ高級品の生産が多かった東豪州および南豪州ですが、北米の港
湾問題を受け需要が増加したことで、この先の在庫はやや薄めに推移する可能性がありま
す。一方、中級品の在庫は十分量あるようで、低級品はほとんどない状況です。
西豪州は大半が雨あたりや中級品から低級品でしたが、低価格帯のものの多くは売り切
れとなっている模様です。
豪州産全体の数字に目を向けると、豪州からの乾牧草の輸出は日本・韓国・中国・台湾の
4か国で全体の約95%以上を占めており、2014年の日本向けは50%を超えています。
しかしながら、そのシェアは近年の中国の台頭により年々減少しており、豪州の多くのサプラ
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イヤーは中国への輸出に力を入れ始めています。特に安価品の需要が強く、これらの価格
を下支えしている傾向が見られます。北米産のアルファルファほどではありませんが、ここで
も中国による買付の影響が徐々に出始めており引き続き注視が必要です。
以
-8-
上