Vol.295 Vol.295 今週のTOPIC HEADLINES 中国 中国 フィリピン:政府

2012.10.12
Vol.295
Vol.295
HEADLINES
■フィリピン:政府と反政府武装組織がミンダナオ和平で合意
■中国:旅客機に対する脅迫事件相次ぐ
厳罰化も検討
■パキスタン:タリバンを批判した少女が銃撃される
■スペイン:マジョルカ島
大学を狙ったテロ計画容疑で男を逮捕
■メキシコ:麻薬組織「ロス・セタス」のリーダーを殺害
今週のTOPIC
フィリピン:政府と反政府武装組織がミンダナオ和平で合意
フィリピン政府と南部ミンダナオ島を拠点とする同
国最大の反政府武装組織「モロ・イスラム解放戦
線(MILF)」は7日、イスラム勢力による新たな自治
政府「バンサモロ自治政府」(仮称)を2016年に発
足させるなど、和平に向けた「枠組み合意」に調印
した。和平交渉は2日から、仲介国マレーシアの首
都クアラルンプールで続けられており、日本なども
オブザーバーとして参加した。
「枠組み合意」における新自治政府発足へ向け
たロードマップ(行程表)では、(1)政府とMILFの
代表で構成する準備委員会を設置すること、(2)2
年以内に新自治政府の統治機構を立ち上げ、基
本法を制定すること、(3)基本法の是非を問う住民
投票を実施することなどが規定された。
一方、MILF部隊の国軍への編入や武装解除に
向けた具体的な方策、新自治政府の管轄地域内
にある豊富な石油・天然ガスの開発権限をめぐる
問題など、和平実現に向けた今後のプロセスには
多くの課題が残されている。
ま た、フィリピン政 府との徹 底抗戦を主 張し、
MILFから離脱した造反グループ「バンサモロ・イス
ラム自由運動(BIFM)」が、和平実現を阻止するこ
とを目的としたテロ攻撃を激化させる可能性も懸念
されている。
ASIA
中国
中国
違法広告の取り締まりを強化
現地メディアが4日報じたところによると、国家工
商行政管理総局(SAIC)の当局者は、違法広告
の取り締まりを強化し、関連法令を整備する方針
を明らかにした。
深刻な法令違反が認められた場合はSAICが直
接対応に当たり、2つ以上の省にまたがって問題
が発生した場合は、省の対応を監督するとしてい
る。中国では昨年、約42万件の違法広告が摘発
されている。
中国国際航空機に爆弾を仕掛けたと脅迫電話
中国国際航空(エアチャイナ)は9日、チベット自治区
ラサ発四川省成都経由北京行きCA4111便と江西省
南昌発北京行きCA1578便に爆弾を仕掛けたとする匿
名の脅迫電話があったことを明らかにした。
いずれも離陸前だったため、乗客を降ろして機内を
捜索したが、爆発物は見つからなかった。また、乗客
の手荷物についても再検査を行ったが、とくに異常は
なかったという。2機は出発時刻を大幅に遅らせたもの
の、同日中に離陸し、目的地の北京に向かった。
中国南方航空機 脅迫受け緊急着陸
トルコ・イスタンブール発ウルムチ経由で
北京に向かっていた中国南方航空CZ680
便が8日、経由地のウルムチを午後2時
半に離陸したあと、爆弾を仕掛けたとする
匿名の脅迫電話を受けたため、午後5時
半に甘粛省の蘭州中川空港に緊急着陸
した。
着陸後、同機に搭乗していた乗客186人
および乗務員10人は全員避難して無事。
4時間にわたって捜索が行われたが、爆
発物は発見されなかった。同機は午後10
時45分に再び北京に向かって飛び立った。
当局は同日夜、新疆ウイグル自治区で
容疑者の男を逮捕した。男は偽の脅迫電
話をかけたと供述しているという。動機に
ついては現在捜査中。
旅客機に対する脅迫事件相次ぐ 厳罰化も検討
中国航空当局や関連当局は10日、最近相次いで発生した旅
客機に対する爆弾脅迫事件を受けて、運航の遅延やキャンセル
を生じさせた罪の厳罰化を検討するとの見解を示した。
今年8月以降、複数の航空会社が脅迫を受ける事件が頻繁に
発生しており、運航スケジュールに支障をきたすなど、安定した
サービスを顧客に提供できないことに航空各社は頭を悩ませて
いる。
脅迫事件の犯人の約90%は18歳から30歳で、脅迫電話をか
けても逮捕される心配はないという安易な考えで犯行に及んで
いる。過去には、担当のツアー客が集合時間に遅刻した際、機
内に爆弾があると嘘の通報をして出発を遅らせたツアーガイドも
いたという。また、航空会社への不満や退屈しのぎを理由に偽
の脅迫を行った例もある。
現行法では、意図的に航空機の運航を妨げる情報を流した場
合に科される刑罰は禁錮5年以下で、流した情報が多大な影響
を与えた場合は禁錮5年以上となっている。
パキスタン
パキスタン
タリバンを批判した少女が銃撃される
北西部カイバル・パクトゥンクワ州スワト地区で9日、イスラム
武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」を批判する内容を
ブログに投稿していた14歳の少女が覆面をした男に頭部を撃
たれ重傷を負った。ペシャワールの陸軍病院へ搬送され、治療
を受けている。
少女は、スクールバスで下校中に襲撃され、一緒にバスに
乗っていた生徒2人も負傷した。事件直後、TTPは犯行を認め、
「我々を邪魔する者はすべて殺す」と少女を再び襲撃することを
示唆する声明を発表した。少女は、これまでにもTTPから度重
なる脅迫を受けていたという。
この少女は、ブログなどを通じてTTPによるテロや学校の破壊
行為を批判し、TTPが禁止している女子教育の必要性を訴えて
いた。この活動が評価され、パキスタン政府から国民平和賞を
受賞している。
米大使館 テロの脅威に関する勧告
イスラマバードの在パキスタン米国大使館
は7日、パキスタン滞在中の米国民に対し、
テロの脅威に関する勧告を行った。
この勧告は、パキスタン内務省が同日、イ
スラマバードでテロが発生する可能性があ
るとの警告を発したあとに出されたもの。
パキスタン内務省は、テロの標的になる可
能性がある施設について、イスラマバードの
レッド・ゾーン内にある政府主要施設、マリ
オットやホリデイ・イン、ベストウェスタンなど
の米系ホテルを挙げている。
米大使館は自国民に対し、これらの施設
やホテルには近づかず、滞在中は目立たな
い行動をとるほか、常に警戒を怠らないよう
呼びかけた。
EUROPE
スペイン
スペイン
マジョルカ島 大学を狙ったテロ計画容疑で男を逮捕
た無差別テロを計画していたとみられている。
スペイン警察は4日、無差別爆弾テロを計画して
いた容疑で3日、21歳の男を逮捕したことを明らか
警察は、この男が、インターネットのブログに「米
にした。男は、バレアレス諸島州マジョルカ島の中
コロンバイン高校銃乱射事件」の犯人を称賛するコ
心都市パルマ・デ・マジョルカにあるバレアレス諸
メントや大学に対する憎悪が書き込まれているの
島大学を狙ったテロ計画を立てていたとみられる。
を発見し、男を約5ヶ月前から監視していた。
男は爆弾の製造に必要な爆薬などをインター
警察が押収した日記などから、男は大学の周囲
ネットで大量に注文しており、品物を受け取ろうとし
に爆弾を仕掛けて爆発させたあと、自殺する計画
たところを逮捕された。警察が押収した爆薬や化
だったことが明らかになった。当初は拳銃の購入を
学薬品は約140キロに上った。
考えていたが、拳銃所持証明書の取得申請を却下
男は、12人が死亡した1999年の「米コロンバイン
されたため、爆弾を使用する計画に変更したとされ
高校銃乱射事件」の影響を受け、同事件を模倣し
る。男と大学の関連性はないとみられている。
フランス
フランス
ストラスブール警察 イスラム過激派の男を射殺
ストラスブール警察は6日、パリ郊外で9月19日に
発生したユダヤ系食材店に対する手りゅう弾攻撃に
関与したイスラム過激派の男を逮捕するため、男が
居住するアパートを急襲した。
その際、男と銃撃戦となり、警察が男を射殺した。
警察官3人も被弾したが、防弾チョッキを着用してい
たため軽傷で済んだという。
このほかの12人の容疑者は、ニースやカンヌ、パリ
で行われた一斉捜索の結果、逮捕された。「9月19日
事件」では、1人が軽傷を負っている。
英国
英国
英国人男女 シリア反体制派に加担容疑で逮捕
ロンドン警視庁は10日、ロンドンのヒースロー国
際空港で9日夜、エジプトから帰国した英国人の男
女2人を、シリアにおいてテロ活動に関与した容疑
で逮捕したことを明らかにした。
2人は、今年7月、英国人カメラマンとオランダ人
記者2人がシリアで約1週間身柄を拘束された事
件に関与した疑いがもたれている。
警察は、この誘拐事件について2人を取り調べる
と同時に、ロンドン東部にある2ヶ所の家宅捜索を
行った。
一方、英外務省によると、英国ではシリアの反体
制派組織に加担する英国人が増加しており、これ
までに数十人がシリアへ入国したとみられている。
パリで労組がデモ 失業者増加に抗議
パリ郊外で開催されているモーターショー会場前で9
日、の外で経済の低迷による失業者の増加に抗議す
る約1,000人のデモが行われた。
警察が会場周辺に張った制止線を一部のデモ隊が
突破し、会場に侵入しようとしたため、それを阻止しよ
うとした警察の機動隊とデモ隊が衝突した。機動隊は
催涙ガスを使用して強制的にデモを散会させた。負傷
者は出なかったとみられる。
このデモは、同国2大労組の一つが実施したもの。
同国では失業率が10%を超えるなど最悪の水準が続
いており、失業者数は300万人を超えている。
ベルギー
ベルギー
イスラム過激派の思想教育容疑で7人逮捕
ベルギー警察は10日、ブリュッセルで、国内のイス
ラム教徒の若者にイスラム過激派の思想を植え付け、
洗脳しようとしていた容疑で7人を逮捕した。
7人の容疑者のうち、ベルギー人1人以外の6人は、
モロッコなどアフリカの出身だった。警察は同日朝、
容疑者の拠点6ヶ所を家宅捜索しコンピューターや書
類などを押収した。
7人は、若者にイスラム過激派の思想を植え付け、
ソマリアのアルカイダ系組織「アルシャバブ(AS)」の
戦闘員として送り込む目的だったとされ、ベルギー国
内でテロを敢行する計画はなかったとみられている。
昨年8月にソマリアで逮捕されたモロッコ系ベル
ギー人の供述を基に7人の捜査が続けられていた。
AMERICA
米国
米国
シカゴ 警察ヘリがマリファナ栽培地を発見
イリノイ州シカゴ警察は3日、市内南部上空
を飛行していた警察のヘリコプターが2日、
サッカー競技場2つ分に相当するマリファナ栽
培地を偶然発見したことを明らかにした。翌3
日には、末端価格1,000万ドル(約7億8,000
万円)相当のマリファナ1,500株を処分した。
同栽培地は、容易に見つからないよう、菜園
や雑草で囲まれていた。また、高速道路沿い
にあり、普段は歩行者もいない工業地帯に位
置していたという。
警察は、栽培地から逃げ去る男を目撃して
おり、この男以外にも事件に関与している人
物について捜査を進めている。
同栽培地に植えられていたマリファナはす
べて焼却処分された。また、同栽培地では二
度とマリファナ栽培ができないよう、化学薬品
が散布された。
中古車 偽造品のエアバッグが取り付けられている可能性
米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は10日、偽造品のエア
バッグが中古車に取り付けられている可能性があるとして、中
古車販売店や自動車修理店に対し、検査を徹底するよう指示
した。問題が確認されたのは、過去3年間に、自動車メーカー
の系列に属していない独立系の自動車修理店で取り付けら
れたエアバッグ。
NHTSAによると、問題のエアバッグが取り付けられている
割合は全自動車の0.1%未満にすぎないが、台数にすると約
25万台に相当する。これまでのところ、偽造品のエアバッグを
原因とする交通事故は発生していない。
NHTSAは今年9月、自動車修理店の抜き打ち検査を実施し、
エアバッグの検査を行ったところ、11個中10個のエアバッグ
が衝突の際に正しく作動しなかった。中には、展開時に鋭利
な金属部品が飛び出すものもあったという。
NHTSAは、インターネット上で中古のエアバッグを購入した、
または過去3年以内にエアバッグを取り替えた中古車を購入
した場合は、偽造品の可能性が高いとして注意を呼びかけて
いる。NHTSAのウェブサイトでは、調査済みの偽造品リスト
が公開されているが、大半が中国製とみられている。
オクラホマ州 テロ計画容疑で男を逮捕
オクラホマ州オタワ郡の郡庁所在地マイアミのモーテル
で5日、宿泊していたイリノイ州出身の男(23)が焼夷弾の
製造ならびにテロ計画の容疑で逮捕された。
モーテルの従業員が男の部屋から不審物を発見し、警察
に通報した。警察が部屋を捜索したところ、ガソリン缶や焼
夷弾の製造方法に関するメモ、標的を示した地図などが発
見されたため、男を逮捕した。警察は、押収した地図など
から、この男が教会48ヶ所を爆破する計画を立てていたと
みている。
男の日記には、自身の目標として、今後4年間で全米か
ら教会をなくすことが掲げられていたという。
ベネズエラ
ベネズエラ
大統領選挙 チャベス大統領が4選
ベネズエラで7日、大統領選挙の投票が行われ、開票の
結果、経済における国家の役割を拡大することを意味する
「21世紀の社会主義」を掲げたチャベス大統領が4期目の
当選を果たした。任期は6年。
敗れた野党統一候補のカプリレス氏は、「チャベス大統
領が石油権益を私物化して選挙運動資金に流用し、不公
平な選挙運動を展開した」と非難した。
ブラジル
ブラジル
ブラジリア イタリア人外交官が短時間誘拐の被害に
ブラジル警察は3日、ブラジリアで2日夜、欧州連合
(EU)代表部のイタリア人外交官が短時間誘拐の被
害に遭ったことを明らかにした。
この外交官は、市内アサスル地区で家族1人ととも
に自身の車に乗り込んだところ、武装した2人組に乗
りこまれ、郊外に行くよう命じられたという。犯人らは
そこで外交官ら2人を解放し、所持品を奪って車で逃
走した。
当局によると、ブラジリアでは、1日に5~10件の短
時間誘拐事件が発生している。短時間誘拐対策とし
て、約50人の治安部隊員がパトロールを行っている。
MIDDLE EAST
トルコ
トルコ
シリア軍の越境砲撃に報復 双方の応酬続く
トルコ軍は3日、シリア軍による砲撃でトルコ人5人が死
亡した事件に対する報復として、シリア北部イドリブの軍事
施設数ヶ所を攻撃した。トルコ国会は4日、シリア領内への
軍事攻撃を承認しており、トルコとシリア双方による砲撃の
応酬が現在も続いている。
また、トルコ空軍は10日夜、モスクワからシリアに向かっ
ていたシリア航空の旅客機を武器を輸送している疑いで首
都アンカラの空港に強制着陸させた。当局が機内を捜索し、
軍事用の通信機器などを押収したあと、同機は離陸を許
可された。ダウトオール外相は、トルコ領空を通過して武
器を輸送することは受け入れられないとしている。
メキシコ
メキシコ
麻薬組織「ロス・セタス」のリーダーを殺害
メキシコ海軍当局は9日、北部コアウイラ州
で7日午後、強大な麻薬組織「ロス・セタス」の
リーダーとされるエリベルト・ラスカノ容疑者を
銃撃戦の末、殺害したことを明らかにした。
同容疑者の遺体を安置していた葬儀施設に
武装グループが押し入り、遺体は奪われたが、
採取済みの指紋などから同容疑者の死亡が
確認された。
治安部隊が不審車両に乗っていた2人組と
銃撃戦となり、2人を殺害したところ、そのうち
の1人が偶然、ラスカノ容疑者だったという。
メキシコ政府はこれまで、最重要指名手配犯
としてラスカノ容疑者の行方を追っており、米
当局も逮捕につながる情報の提供に報償金
500万ドル(約4億円)をかけていた。同容疑者
は、これまでに数百人の殺害に関与した疑い
がもたれている。
一方、前日の6日には、米国テキサス州と接
するタマウリパス、ヌエボ・レオンおよびチワワ
の3州における「ロス・セタス」のリーダーとみ
られる男が、タマウリパス州ヌエボ・ラレドで逮
捕された。
サンパウロ近郊 銃撃事件相次ぐ
サンパウロ州の警察が9日明らかにしたところによる
と、同市郊外で8日深夜から9日未明にかけて銃撃事
件が相次ぎ、非番の警察官1人を含む7人が死亡、4
人が負傷した。事件は、同市郊外のTaboao da Serra
とEmbu das Artesの2都市で発生した。
目撃証言によると、死亡した警察官は、近づいてきた
2人の男にいきなり発砲され、死亡したという。容疑者
の2人はバイクに乗って逃走したが、警察官と銃撃戦に
なり、2人とも死亡した。この銃撃戦で、ほかに2人が死
亡、4人が負傷した。また、同市近郊ではガソリンスタン
ドでも2人の遺体が見つかったが、警察はそれぞれの
事件に関連性はないとみている。
AFRICA
コートジボワール
コートジボワール
ギニア湾 石油タンカーが一時乗っ取られる
今月6日に西アフリカ・ギニア湾で海賊に乗っ取
られた、ギリシャの船舶会社が運航するバハマ
船籍の石油タンカーが9日朝、乗組員とともに
解放された。ギリシャ人2人、フィリピン人22人
の乗組員がいたが、健康状態は良好。
タンカーは、約3万2,000トンの石油を積んで
コートジボワールのアビジャン港に向かっている
途中、船主への報告なしにナイジェリア方向に
進路を変更したことが確認されていた。船舶会
社は、同タンカーから石油が奪われたかについ
ては言及していない。
今週のコメント:フランスでのユダヤ人に対する攻撃事件
フランスには、欧州最大のユダヤ人社会があり、49万
2,000人のユダヤ人が生活している。次いでユダヤ人
人口が多いのは英国の29万7,000人、ドイツの11万
8,000人となっている。フランスの総人口は6,280万人
で、英国(6,200万人)とほぼ同規模であることからみて
も、いかにフランスにユダヤ系市民が多いかがわかる。
歴史的にみると、フランスには反ユダヤ感情が存在し
ていた。第2次世界大戦下の1942年7月、欧州でユダ
ヤ人の大量拘束を進めるナチスにフランス政府が加担
し、警 察当局が パリ 市内と郊外で1万3,152人(うち
4,115人が子ども)のユダヤ人を収容所に一時閉じ込
め、アウシュビッツ強制収容所へ送った(ヴェロドロー
ム・ディヴェール大量検挙事件)。今年開催されたこの
事件の70周年式典で、オランド大統領は、事件が「フラ
ンスでフランスによって犯された犯罪」であったことを認
めた。もちろんこれは国家レベルのものであるが、個人
の反ユダヤ感情に基づく事件も発生している。今年、パ
リ北郊のサルセルにあるユダヤ系音楽学校に掲げられ
ていた、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)での集会を宣伝
するポスターに銃弾5発が撃ち込まれた。このように、
非ユダヤ市民にも危険が及ぶ事件が発生している。
今年の3月から10月にかけて、銃や火炎瓶を使った
ユダヤ人に対する襲撃事件2件と、その後発生した犯
人と警察による銃撃戦2件が発生した。これらはともに
イスラム過激派の犯行によるものであった。その4件の
事件の概要は下記の通りである。
〔ユダヤ人に対する襲撃事件〕
①3月19日、南部トゥールーズの住宅街にあるユダヤ
人学校で、アルジェリア系フランス人の男が銃を乱射し、
男性4人と子ども3人が死亡した。
②9月19日、パリ北郊サルセルで、ユダヤ教徒向け
スーパーマーケットに対し、2人組の男が火炎瓶を投げ
込む事件が発生した。店内で火災が発生し、買い物客
1人が負傷した。店は、ユダヤ教の新年を迎えたあとの
贖罪の日(ヨム・キプール)の前日で混雑していた。
【外務省発出渡航情報】
「渡航情報」は、渡航、滞在にあたって特に注意が必要な場
合に発出される情報で、治安情勢や安全対策の目安を示す
「危険情報」、限定された期間、場所、事項について速報的
に発出される「スポット情報」、複数の国や地域にまたがる範
囲に発出される「広域情報」があります。各情報の詳細は以
下のとおりです。
・外務省海外安全ホームページ:
http://www.anzen.mofa.go.jp/
(各国機関リンク)
・米国国務省:
http://travel.state.gov/travel/cis_pa_tw/tw/tw_1764.html
・英国外務省:
http://www.fco.gov.uk/
■本情報配信についてのご意見、ご質問、配信先の
変更、配信停止のご希望がございましたら右記までお
問い合わせください。
■特定地域の治安状況や感染症に関する情報をお知
りになりたい方には、別途調査のうえ情報提供をいた
します。
■なお本Letterは複製又はご登録企業様以外の第三
者に再配信することは差し控えていただくようお願い致
します。
〔容疑者と警察との銃撃戦〕
③3月22日、トゥールーズで起きた乱射事件の容疑
者の男が立てこもるアパートに警官隊が突入し、銃撃
戦の末、男を射殺した。この銃撃戦で警察官3人が負
傷した。
④10月6日、東部ストラスブールで、パリ郊外のユダ
ヤ料理食材店への火炎瓶投げ込み事件の容疑者を逮
捕するため警察が住居を急襲し、銃撃戦の末、容疑者
の男を射殺した。その際、3人の警察官が防弾チョッキ
に被弾して軽傷を負った。
このような銃や火炎瓶を使用した襲撃は、ターゲット
のほか一般市民にも危険が及ぶばかりでなく、警察と
の銃撃戦が発生し、さらなるリスクを生じるのである。
フランスでは現在、イスラム過激思想の洗脳活動など
により、ローンウルフ(一匹狼)を含め、イスラム過激派
メンバーが増加しているとされる。警察当局は、全国で
イスラム過激派の一斉摘発を続けており、一度に10~
20人規模の容疑者を摘発したという報道がしばしば見
られるが、それだけにイスラム過激派、特にローンウル
フによる上記のリスクも高まるとみられる。
今年4月3日には、一斉摘発でイスラム過激派17人
が逮捕されたが、そのうち13人がユダヤ教聖職者、ユ
ダヤ系判事誘拐計画の容疑で起訴された。このような
誘拐事件が実際に起これば、救出段階で警察と犯人
側との銃撃戦も想定される。
フランスだけではなく、英国やドイツなど西欧諸国に
はユダヤ系人口が多く、ユダヤ人を狙った過激派によ
る銃を使用した事件、これに伴う過激派と警察の銃撃
戦など、危険に巻き込まれるリスクも存在していること
を認識する必要がある。普段からユダヤ人学校やシナ
ゴーグ、ユダヤ料理食材店などには不用意に近づかな
いほか、これらの場所以外でも常に身の周りに用心す
ることが肝要だ。
◆日本外務省:10月12日発出渡航情報(最新情報7日分)◆
■危険情報:ホンジュラス、シエラレオネ■スポット情報:ホンジュラス:国軍による警察
活動の実施に伴う注意喚起(その4)
◆米国国務省、英・豪・加国外務省:10月12日発出渡航情報(7日分) ◆
■パキスタン、ベネズエラ、エジプト、コロンビア、ナイジェリア、モーリタニア:地域により
「渡航の延期をお勧め」及び「渡航の是非を検討」(英)■イスラエル、ウガンダ、アゼル
バイジャン:地域により「渡航の延期をお勧め」(英)■キルギス、アルメニア:地域により
「渡航の是非を検討」(英)■グルジア、ベネズエラ、ジブチ、タイ:地域により「渡航の延
期をお勧め」(加)■パキスタン、ミャンマー、ナイジェリア:地域により「渡航の延期をお
勧め」及び「渡航の是非を検討」(加)■ウガンダ、コートジボワール、ガーナ、アンゴラ、
リベリア、シエラレオネ、トルコ:地域により「渡航の是非を検討」(加)■イラク:「渡航の
延期をお勧め」及び地域により「渡航の是非を検討」(加)■パキスタン、ケニア、ブルキ
ナファソ:地域により「渡航の延期をお勧め」及び「渡航の是非を検討」(豪)■タイ:地域
により「渡航の延期をお勧め」(豪)
発行・編集
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ERM部 企画グループ
〒160-0023
東京都新宿区西新宿1-24-1
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その他情報ソース
・各国外務省(日本、米国、英国)
・WHO、米疾病対策センター(CDC)
・(社)日本在外企業協会、その他サイト