Vol.298 Vol.298 今週のTOPIC HEADLINES 中国 中国 米国:大型

2012.11.02
Vol.298
Vol.298
HEADLINES
■米国:大型ハリケーン「サンディ」直撃
死者90人以上
停電続く
■インドネシア:米大使館攻撃を計画した新興テロ組織を摘発
■ベトナム:行方不明の女子大生 反政府活動で警察に拘束
■シリア:「犠牲祭停戦」計画は失敗 500人死亡
■リビア:移行政権が発足
一部閣僚人事に反対も
今週のTOPIC
米国:大型ハリケーン「サンディ」直撃 死者90人以上
大型ハリケーン「サンディ」の直撃を受け、北東部の
沿岸地域は大規模な停電や冠水などの被害に見舞わ
れ た が 、 1 日 現 在 の 死 者 は 全 米 で 93 人 に 上 っ た 。
ニューヨーク市の死者は38人。今後も死者の数は増え
る見通し。
停電は約850万世帯や事業所に及び、現在は一部回
復したものの、1日時点で約460万世帯や事業所でま
だ停電が続いている。被害がとくに大きかったニュー
ヨーク市とニューヨーク州ウエストチェスター郡では復旧
作業が進んでいないという。
ニューヨーク市では、市営バスの再開を受けて、ガソ
リン不足や交通渋滞の緩和のため、マンハッタン島中
心部に入る一般車両に対し、1台に3人以上が乗る
「カーシェア」を義務付けている。
停電続く
また、ニューヨーク市営地下鉄は1日、4日ぶりに再
開されたが、再開されたのは23路線のうち14路線にと
どまっている。
完全に復旧したのは1路線のみで、13路線ではダイ
ヤと区間を変更して運行している。トンネル内は海水の
影響を大きく受けており、電気系統の復旧などに数週
間かかる可能性も指摘されている。
ニューヨーク近郊の3つの主要空港のうち、ジョン・F・
ケネディ国際空港とニューアーク国際空港は10月31日
に営業を一部再開した。ラガーディア国際空港でも1日
までに部分的に運航を再開した。
災害に便乗した強盗や商店略奪事件も発生しており、
ニューヨーク州クィーンズ地区ファーロッカウェイでは15
人が、コニーアイランドでは9人が逮捕された。
ASIA
中国
中国
有害食品の製造・販売 730件を立件
中国最高人民法院は30日、犯罪の立件
件数に関する統計を明らかにした。
これによると、有毒または有害な食品を製
造・販売した事件について、 2008年以降、
全国の裁判所で730件を立件し、947人に
判決を下した。
730件の中には、豚肉の赤身促進剤クレ
ンブテロールや地溝油を製造・販売した事
件も多く含まれている。
浙江省 児童虐待の疑いで幼稚園教諭を逮捕
現地報道によると、浙江省台州市にある幼稚園の教諭2人が、
体罰と称して園児の両耳を引っ張り、体を持ち上げている写真
がインターネット上で公開され、非難の声が高まっている。教諭
2人は逮捕された。
また、10月23日には、山西省太原市の幼稚園教諭が算数の
問題を解くのが遅かった園児に体罰を与え、15日間の行政拘
留処分を受けたことが明らかになった。事件の発生を受け、こ
の幼稚園は閉鎖となった。
国連児童基金(UNICEF)が2004年に行った児童虐待に関す
る調査によると、調査を受けた528人のうち58%が教員に蹴ら
れたり、物で叩かれたりしたと答えている。中国教育省は今年
6月に教育現場での体罰を禁止している。
少年非行問題の研究機関 幼稚園児虐待事件を受けて提言
少年の非行問題を研究する機関は10月29日、最近
発生した2件の幼稚園児虐待事件を受けて、児童を保
護するため幼稚園などでの児童虐待を刑法で裁かれ
るようにすべきだとする提言を行った。
現在中国では、児童虐待罪は家族内での虐待のみ
に適用され、幼稚園における児童虐待は刑罰の対象
シンクタンク 一人っ子政策の段階的廃止を提言
政府系シンクタンク「中国発展研究基金会」が現地メ
デイアに明らかにしたところによると、同会は、都市部
や農村部で一家族につき子ども2人までを容認するな
ど出産制限を緩和し、一人っ子政策を段階的に廃止す
るよう提言を行った。
現行の政策では、規制を守らない家庭には高額な罰
金が科せられる。また、政府による強制堕胎の例もあ
る。この影響で、家の継承者として男児が好まれ、女
児の数が少なくなるなどの問題が生じている。
になっておらず、15日間の行政拘留処分を受ける。
しかし、一部の弁護士は、法を拡大解釈すれば、教
諭と児童の間でも適用し得るとの見解を示している。
園児の耳を持ち上げた幼稚園教諭の映像がインター
ネット上に公開されたが、この解釈が認められれば、
この教諭は禁錮7年の刑を受ける可能性がある。
浙江省寧波 石油化学工場拡張計画への抗議続く
浙江省寧波市政府当局は10月28日、住民の抗議行動
が1週間続いていることを受けて、石油化学工場の拡張
計画を一部撤回することを明らかにした。
同月26日から28日にかけて、住民らは、役所を包囲し
たり、車を横転させるなど暴徒化した。また、市中心部の
商店街に住民ら約1,000人が集結したが、約100人の警
官隊が催涙弾を使用し排除した。
事態の深刻化に伴い、現地政府が住民らの抗議を受
け入れ、拡張計画を一部撤回することに合意した。
インドネシア
インドネシア
米大使館攻撃を計画した新興テロ組織を摘発
インドネシア国家警察の対テロ特殊部隊は10月26日夜から
27日昼にかけて、首都ジャカルタを含むジャワ島内の4都市
で一斉に急襲捜査を実施し、ジャカルタの米大使館などに対
する爆弾テロ攻撃を計画していた新興のイスラム過激派組織
のメンバー計11人を逮捕した。
容疑者の都市別の内訳は、ジャカルタ3人、西ジャワ州ボ
ゴール3人、中部ジャワ州スラカルタ(ソロ)3人、東ジャワ州
マディウン2人。また、特殊部隊は、容疑者の関係先から完成
した手製爆弾(IED)や爆弾の材料、爆弾製造マニュアルなど
を押収した。爆弾は液化石油ガスを使った高威力のもので、
テロ計画はかなり具体的だったとみられる。
国家警察の報道官が27日に明らかにしたところによると、
11人の容疑者は「インドネシア・(イスラム)スンニ派運動
(HASMI)」と名乗る新興のテロ組織で、米大使館のほか、在
スラバヤ米領事館、南ジャカルタにある米系鉱山会社「フリー
ポート・インドネシア社」本社、中部ジャワ州スマランの警察機
動隊本部の4ヶ所を標的とする爆弾テロを計画していた。
国家警察対テロ当局は、「ジェマー・イスラミア(JI)」や「ジェ
マー・アンシャール・タウヒード(JAT)」など同国を拠点とする
既存のイスラム過激派組織とHASMIとの関係について捜査
している。
ポソ 警察がテロ組織を摘発 1人を殺害
スラウェシ島の中部スラウェシ州ポソで10月31
日早朝、警察の対テロ特殊部隊がテロ組織の隠
れ家とみられる民家を急襲し、約30分間にわたる
銃撃戦の末、テロ容疑者6人を逮捕した。6人のう
ち被弾して重傷を負った1人は病院へ搬送中に死
亡した。
警察は、捜索の結果、パイプ爆弾や拳銃、爆薬
の材料となる化学薬品などを発見、押収し、パイ
プ爆弾は現場で爆破処理を行った。ポソ警察当局
は、捜査の経緯や容疑者の詳細などについてコメ
ントを控えている。
一部の地元メディアによると、6人の容疑者は、
昨年5月に同州の州都パルで発生した警察官銃
撃事件(2人死亡)を含む3件のテロ事件に関与し
ていた。ポソは、1990年代から2000年代初頭に
かけてキリスト教徒住民とイスラム教徒住民との
間で「宗教紛争」(数千人が死亡)が続いた地域で、
同時期からイスラム過激派の拠点となっている。
先月には、山岳地帯でテロ組織の「訓練基地」を
捜索していた警察官2人が斬殺遺体で発見された
ほか、警察関連施設を狙った爆弾テロ事件が2件
(警察官ら3人負傷)発生した。
ランプン州 ランプン人住民とバリ人住民が衝突
スマトラ島の南端に位置するランプン州の南ランプン
県内で、10月28日から29日にかけて、イスラム教徒
のランプン人(ジャワ人系)住民とヒンズー教徒のバリ
人住民との間で銃撃を伴う大規模な衝突が発生し、双
方の住民合わせて14人が死亡、数十人が負傷した。
また、学校2校を含む百数十軒の建物や家屋、バイ
クなどが損壊し、1,000人以上の住民が居住地域から
避難した。
衝突の発端は、バリ人の若者グループがランプン人
の10代の少女2人をバイクで追い回し、少女2人が負
傷したことにあるという。この事件に憤慨したランプン
人住民が同28日、加害者らが住む同県バリヌガラガ
村を襲撃し、翌29日には、県内から集まった約1万人
のランプン人と同村のバリ人住民との間で銃器や刃物
を使った衝突へと発展した。
同州治安当局は、警察・国軍合同の治安部隊2,150
人を現地に派遣し、30日までに鎮圧したが、不穏な状
況はまだ続いているという。ランプン州では、大規模な
衝突が今年だけでも1月に1件、8月に2件発生してい
る。
フィリピン
フィリピン
スールー州 海軍部隊がアブサヤフと銃撃戦
フィリピン軍当局は10月28日、南部スールー州
の山岳地帯Patikulで同日朝、海軍部隊とイスラム
過激派組織「アブサヤフ(ASG)」メンバーらとの激
しい銃撃戦が発生し、兵士4人とASGメンバーら2
人が死亡、双方で22人が負傷したことを明らかに
した。
海軍部隊は、ASGが誘拐した外国人を拘束して
いるとみられる場所を偵察した際、ASGメンバー
ら約200人の待ち伏せ攻撃に遭い、銃撃戦となっ
たという。
現在、ASGが拘束している人質は、イスラム教
に改宗した日本人1人、ヨルダン人ジャーナリスト
1人、フィリピン人カメラマン2人、スイス人観光客
1人およびオランダ人観光客1人の計6人とみら
れている。
ベトナム
ベトナム
行方不明の女子大生 反政府活動で警察に拘束
ホーチミン市で10月14日から行方不明になっていた
反政府活動家の女子大学生(20)が、政府批判のパン
フレットを配布するなどし、国家保安法違反の疑いで警
察に拘束されていることが同25日、現地の報道で明ら
かになった。
この学生は反中デモや政府の不正問題に抗議する
デモに参加していたが、10月14日、自宅アパートにい
たところ、警察官10人に身柄を拘束された。女性の拘
束場所は明らかになっていないが、治安関係筋による
と、南部ロンアンの刑務所に収監されているという。
この学生が通うホーチミン市食品工業大学では、女
性の釈放を求める抗議デモが行われている。反政府
活動に対する刑罰は重く、最長で禁錮20年。今年9月
にもブログで政府を批判するコメントを投稿していたと
して3人が拘束され、禁錮12年が言い渡されている。
AMERICA
米国
米国
ミシガン州 2週間で24回の発砲事件
ミシガン州リビングストン郡やインガム郡、
オークランド郡、シアワセー郡などで10月16日
以降、不特定の人を狙った発砲事件が24回に
わたって発生している。
同月27日、24回目の発砲で初めて負傷者が
出た。事件があったのはリビングストン郡フォ
ウラービル近くで、州間高速道路(I-96)を走行
していた車両の運転手に銃弾が当たった。命
に別状はないという。
また、この事件の35分前にも同じ高速道路
を走行していた車両に向けて発砲があった。
27日の事件後、警察は捜査のためこの高速
道路を封鎖した。警察は、事件発生当時、犯
人も同じ高速道路の反対車線を走行していた
とみている。また、特定の人物を狙った犯行で
はないとしており、容疑者の似顔絵を公開して
情報を求めている。
コロンビア
コロンビア
和平交渉中のFARCが警察を襲撃
南西部カウカ州当局は10月30日、同29日
に同州パティージャ近郊をパトロール中の
警察官が反政府左翼ゲリラ「コロンビア革
命軍(FARC)」とみられる武装グループの
待ち伏せ攻撃を受け、6人が死亡、1人が
負傷したことを明らかにした。
政府とFARCの和平交渉が10月18日から
ノルウェーのオスロで始まっているが、
FARCによる警察への攻撃は収まる気配が
みられない。
11月15日には、キューバの首都ハバナで
2度目の和平交渉が行われる予定。
サウスカロライナ州 歳入局のコンピュータが不正侵入される
サウスカ ロラ イナ州知事 は10月26日、 同州歳入 局の コン
ピュータが不正アクセスされ、360万人分の個人情報が流出した
ことを公表した。
流 出した 個人 情報は、360万人分の社会保障番号と38万
7,000人分のクレジットカードおよびデビットカードの番号で、
1998年以降に、同州へ納税した住民が被害の対象となる可能
性がある。
同局によると、クレジットカード番号の大半は、業界基準を満た
した暗号化による保護が施されているが、約1万6,000件につい
ては暗号化されておらず、社会保障番号も保護されていないと
いう。また、同局は、同コンピュータは今年8月と9月に計3回不
正アクセスされており、その際に情報が盗まれた可能性が高い
とした。10月20日にはシステムの脆弱性を修正し、現在、安全
性は確保されている。
州当局によると、不正アクセスは海外から行われており、現在、
米連邦捜査局(FBI)が捜査を進めている。州当局がこの事件に
ついて公表したのは事件発覚から16日後のことだった。これに
対し、住民から州政府の対応を非難する声が出ている。
ブラジル
ブラジル
サンパウロ 4日間で銃撃・強盗殺人事件の死者が28人に
サンパウロ市警察は10月28日、同25日から28日までの4日
間に同市で発砲事件が多発し、28人が死亡したことを明らかに
した。
死者の大半は、走行中のバイクから銃撃されたとされる。また、
数人は強盗事件に遭遇し、犯人に殺害されたとみられている。
警察は、これらの事件に同市最大規模の犯罪組織が関与し
ている可能性もあるとみて捜査している。同市では、今年9月の
殺人事件の発生件数が135件に上り、前月比24%増、昨年同
月期比では96%増となった。
2014年のサッカーワールドカップ、2016年の夏季オリンピック
開催を控え、ブラジル当局は治安対策を強化しているが、サン
パウロやリオデジャネイロなどではあまり効果が表れていない。
MIDDLE EAST
トルコ
トルコ
アンカラで反政府デモ 警官隊と衝突も
アンカラで10月29日、親イスラム与党「公正発展党(AKP)」に
反発する数千人の世俗派市民らが大規模な反政府デモを行い、
一部が警官隊と衝突した。
デモ隊はアンカラ旧市街の国会付近に集結し、トルコ建国の父
の墓「アタテュルク廟」に向けてデモ行進を行った。この日は、建
国89周年を祝う「共和国の日」(トルコ共和国宣言記念日)に当た
り、市内で公式行事やパレードが行われていたため、政府はデモ
や集会を禁止していた。警官隊は催涙ガス弾などでデモ隊の鎮
圧に当たった。死傷者は出なかったという。
サウジアラビア
サウジアラビア
東部州 結婚式の祝砲で電線が落下 23人が感電死
現地当局が10月31日明らかにしたところによると、東部州アブ
カイクで、結婚式の最中に祝砲として放たれた銃弾が高圧電線
を切断し、近くにいた女性や子どもなど少なくとも23人が死亡、
30人が負傷した。死亡した女性らは、電線が落下した金属製の
扉の近くにいたため、感電死したとみられている。
同地域では結婚式に祝砲を撃つ習慣があるが、危険性が高い
として先月禁止されたばかりだった。
WORLD
シリア
シリア
「犠牲祭停戦」計画は失敗 500人死亡
ダマスカス南部の住宅地で10月26日、車
両爆弾が爆発し、5人が死亡、30人が負傷
した。政府と反体制派は同日午前6時から4
日間の予定で一時停戦状態に入っていた
が、開始早々に破られるかたちとなった。双
方とも、停戦は受け入れたものの、相手が
それを破れば直ちに応戦するとしていた。
反体制派によると、同26日と27日に政府
軍による砲撃があり、それぞれ150人、120
人が死亡した。また、28日にも、政府軍がダ
マスカス近郊で砲撃を行ったほか、国内
数ヶ所で政府軍と反体制派の戦闘が発生し
たという。
また、政府軍は29日、北部の都市アレッ
ポや北西部の都市イドリブなど各地の反体
制派拠点に対し、内戦発生以来最大規模
の空爆を行った。
反体制派は、29日にも80人余りの犠牲者
が出ており、「犠牲祭停戦」期間中に犠牲に
なった人数は500人に及ぶとしている。
AFRICA
ケニア
ケニア
ソマリア 海賊の襲撃件数が減少傾向に
国際海事局(IMB)によると、今年1∼9月に発生したソマリ
アの海賊による船舶襲撃事件は70件で、2011年同時期の
199件から大幅に減少し、2009年以来の低水準となった。
IMBは、武装警備員を乗船させるなどの対策が講じられた
ことが減少につながったとして、今後も治安対策の向上を継
続させなければ、再び増加する恐れがあると警告している。
航行速度を上げることや有刺鉄線の設置、見張り役のダ
ミー人形の適切な配置などといった対策も、海賊の襲撃機
会を減らす効果があるとされている。
ギニア湾では海賊の襲撃件数が増加
一部報道が10月29日報じたところによると、米国のシンク
タンク「アトランティック・カウンシル」は同26日、報告書を発
表し、西アフリカ・ギニア湾における海賊の襲撃事件が増加
傾向にあり、海賊の手口にも変化がみられるとした。
過去の襲撃事件と比べると、発生海域は沿岸から沖合に
移りつつあり、より凶悪な事件が増えているという。
また、ソマリアの海賊が船の乗組員を人質にとって身代金
を要求する傾向が強いのに対し、西アフリカの海賊は、貨物
を強奪して逃走する手口を使う。
狙われるのは主に石油を積んだタンカーで、その背景には、
ナイジェリアのニジェールデルタ地帯で産出される石油がも
たらす利益が地元に平等に還元されていないという不満が
あるといわれている。
イスラム指導者を殺害 テロを計画か
南部モンバサ警察当局は10月28日、同日
早朝、ソマリアのイスラム過激派組織「アル
シャバブ(AS)」とつながりがあるとされるイス
ラム指導者の自宅を急襲し、銃撃戦の末、同
指導者を射殺、ほか1人の身柄を拘束したこ
とを明らかにした。
前日に手りゅう弾を所持していた疑いで逮
捕された男が、同指導者の居場所を供述し
たという。警察は、同指導者の自宅から銃や
弾薬などを押収したとして、テロを計画してい
た可能性を示唆した。現在、逃亡中のほかの
メンバー数人の行方を追っている。
リビア
リビア
移行政権が発足 一部閣僚人事に反対も
リビア国会で10月31日、ゼイダン新首相が
提出した閣僚名簿が賛成多数で承認され、
正式に移行政権が発足した。移行政権は今
後、新憲法の制定などを行う。
国会前には約60人の反対派らが集まり、
旧カダフィ政権とつながりがあるとして、一部
閣僚の入閣を非難するデモを行った。治安
部隊は数十台の車両を配備し、威嚇射撃を
行うなどして反対派らを排除した。
今週のコメント:ニューヨークのハリケーン被害について思うこと
10月30日に米国東部地区に上陸したハリケーン「サン
ディ」はニューヨーク市などに大きな被害をもたらし、大統
領選挙の行方にも影響を与える結果となった。電気や鉄
道、空港などのインフラが大きな被害を受け、市の機能が
一時的に麻痺状態となった。ニューヨークについては昨年
8月28日にも、東部地区に60億ドルの損害をもたらしたと
されるハリケーン「アイリーン」が上陸し、被害は大きくなら
なかったが、交通の途絶や部分的な停電が発生している。
また、今年6月には、米国の調査会社が、ニューヨーク市
のハリケーンに対する脆弱性を指摘し、経済的損失の大き
さを警告している。地球規模の異常気象ともいわれている
現象が各地で起こっており、ハリケーンの東海岸への上陸
が2年続いているのは、その一連の事態とも推測される。
ニューヨーク州ないしニューヨーク市は、昨年の経験も踏ま
え、それなりの警戒および対応を行っていたものと思われ
るが、豪雨、強風、高潮といった状況に対し、ニューヨーク
市が余りにも脆かったように思える。
能力が大幅に低下したことが、洪水の一因といわれている。
再度昨年並みの豪雨による洪水が発生した場合、対策の
進んだ工業団地などは直接的な被害を免れようが、根本
的な治水対策が進まない以上、また、電気や水、さらには
交通網といったインフラの維持が保障されない以上、企業
の操業はおぼつかない。
日本でも、地震以外の自然災害については、頻発する集
中豪雨、大型化する台風、さらには竜巻といった現象に
よって、被害が頻繁化し、拡大する傾向にある。最近では
豪雨により、単なる地滑りではなく、山崩れといった山の様
相を変化させるほどの山岳部での崩落現象も起こっており、
森林、農地、家屋および人への被害が大きくなっている。
地震のように根本的に予測の困難さを伴うものや、異常
気象といった新たな要素を含んだ自然災害への対応が極
めて難しいことは理解できる。しかし、発生時期と被害規模
の予測が極めて困難な地震を除けば、比較的、過去事例
自然災害については、昨年のタイでの洪水も想起される。 を活かせる季節性の台風、洪水といった自然災害につい
ては、その規模の如何に関わらず、被害を最小限にとどめ
今年は一部地域で洪水が発生したが、幸い、昨年のような
るための対策が予め可能といえよう。地下鉄への海水の
大被害をもたらすには至っていない。昨年の洪水以来、タ
流入をいかに防止するか、大量の雨水をいかに効率的に
イ政府は洪水対策を唱え、各地の降雨量やダムの貯水量
排水するのか、地滑り防止策をどうすべきかなどは、近代
など洪水関連情報の公開を行うなどしている。また、工業
国家の知識と技術をもってすれば対応可能であろう。
団地の堤防工事費などへの補助金といった対策を打ち出
しているが、根本的な治水対策を実施するには至っていな
一方、駐在員などの個人レベルでは、そうした災害対策
いようだ。日本企業などは、工業団地の防護強化、工場内
への各国の能力と取り組み具合を判断しつつ、安全な居
のレイアウトの変更、さらには、安全地域への移転といっ
住地区の選択、非常時の避難方法や水・食料の備蓄レベ
た自衛手段を進めている。バンコク周辺は低地が多く、洪
ルなどを予め検討し、備えていく必要がある。犯罪のみな
水被害を受けやすい構造になっているが、かつては、張り
巡らされた灌漑用水路が、雨水を海に運んでいた。都市化、 らず、自然災害についても詰まるところは、「自分と家族の
命は自分たちで守る」ことに尽きよう。
工業化が進み、そうした灌漑用水路が埋め立てられ、排水
【外務省発出渡航情報】
「渡航情報」は、渡航、滞在にあ
たって特に注意が必要な場合に
発出される情報で、治安情勢や
安全対策の目安を示す「危険情
報」、限定された期間、場所、事
項について速報的に発出される
「スポット情報」、複数の国や地
域にまたがる範囲に発出される
「広域情報」があります。各情報
の詳細は以下のとおりです。
・ 外 務 省海 外安 全 ホー ムペー
ジ:
http://www.anzen.mofa.go.jp/
(各国機関リンク)
・米国国務省:
http://travel.state.gov/travel/ci
s_pa_tw/tw/tw_1764.html
・英国外務省:
http://www.fco.gov.uk/
◆日本外務省:11月2日発出渡航情報(最新情報7日分)◆
■危険情報:なし
■スポット情報:アフガニスタン(治安情勢)、シリア(ダマスカス周辺における最近の治安
情勢等に関する注意喚起)、イラク(治安情勢)、米国東海岸地域(ハリケーン「サンディ
(SANDY)」に対する注意喚起)、イラク(バグダッドを含むイラク各地における爆弾テロ
等の発生に伴う注意喚起)、パキスタン(イスラマバードにおける脅威に対する注意喚
起)
◆米国国務省、英・豪・加国外務省:11月2日発出渡航情報(7日分) ◆
■トルコ:地域により「渡航の是非を検討」(英)■ルワンダ、イスラエル:地域により「渡
航の延期をお勧め」及び「渡航の是非を検討」(豪)■ブルキナファソ、ペルー:地域によ
り「渡航の延期をお勧め」(加)■シエラレオネ、セネガル、ウズベキスタン、インドネシ
ア:地域により「渡航の是非を検討」(豪)■チャド:「渡航の延期をお勧め」及び地域によ
り「渡航の是非を検討」(豪)■バーレーン:「渡航の是非を検討」(豪)■ガーナ、U.S.A、
ウガンダ:地域により「渡航の是非を検討」(加)■パキスタン:「渡航の是非を検討」及び
地域により「渡航の延期をお勧め」(加)■コンゴ民主共和国、モーリタニア、インド、中
央アフリカ、エジプト:地域により「渡航の延期をお勧め」及び「渡航の是非を検討」(英)
■カンボジア、カメルーン:地域により「渡航の延期をお勧」(英)
■本情報配信についてのご意見、ご質問、配信先の
変更、配信停止のご希望がございましたら右記までお
問い合わせください。
■特定地域の治安状況や感染症に関する情報をお知
りになりたい方には、別途調査のうえ情報提供をいた
します。
■なお本Letterは複製又はご登録企業様以外の第三
者に再配信することは差し控えていただくようお願い致
します。
発行・編集
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・(株)オオコシセキュリティコンサルタンツ
その他情報ソース
・各国外務省(日本、米国、英国)
・WHO、米疾病対策センター(CDC)
・(社)日本在外企業協会、その他サイト