製品設計とブランド戦略のための 構造方程式モデリング ∼3 Step Researchによる調査の徹底活用∼ Researchによる調査の徹底活用∼ 1)3-Step Researchについての解説 ٥ 3段階の調査を計画的に行う、製品開発・ブランド育成のた めの調査運用体系。 2)「2nd Step:市販品調査」「3rd Step:試作品・改良品 調査」で使用する構造方程式モデリングについて解説 「因子の分散分析」と「多母集団の同時分析」 女子栄養大学 食情報科学研究室 芳賀麻誉美 [email protected] 3)3-Step ResearchでのSEM利用のコツと注意点 1 SEMの初∼中級者向きに 3 はじめに ٥ 本日の講演主旨 ٥ アカデミック・セッションでの講演 ٥ 統計学でも、メーカーからユーザーまで幅広い ٥ 統計学という数学→事例による統計学→統計学による 事例・実学 3-Step Researchとは何か ٥ 本当に最先端の「学術研究」が知りたいのか? ٥ 学会発表、研究論文、etc… ٥ ビジネスマン・初心者の方が多数参加 ٥ 「分析のツボ」についてユーザーの立場で紹介。 2 4 1 態度・行動反応モデル(芳賀2005) 3-Step Researchの概要 発見 ヒト(人属性) 反応 (階層構造) 確認 実験計画法を使った 「設計・試作」 3.試作品・完成品の定量調査 モデルの確認と効果測定 (評点尺度法+SEM/BN) モノ(製品属性) 機能的ベネフィット評価 (因果) 8 評価とは何か?(S-O-R型で説明:1998芳賀 1998芳賀) 評価(個人に固有) モノ(例:食品) ヒト 化学的要因 言葉(評価) 味 香り 製品自体 物理的要因 テクスチャー 中身外観 温度・音 1次要因 視覚情報 言語・価格 パッケージ・ブランド 製品以外 7 情緒的ベネフィット評価 モノ(製品属性) ٥ よく使う重要な考え方:評価の階層構造理論 ご利益 ①個人差と全体 ②因果関係の把握 (因果) 物属性評価 傾向スコアによる一般化 5 多相SEMでの効果測定 潜在クラスの応用 ٥ 1.評価構造は総合評価を頂点とする階層構造 ٥ 2.個人差は重み付けの違いと個別評価の違いである。 ٥ 3.個別評価の違いは、「感じ方」の違いと、評価用語に対 する認知差によって生じる。 総合評価 価値観 品質機能展開( QFD ) チャンス発見技法を使った 「設計要因の選定」 ヒトの反応︵ =﹁ 評価﹂ ︶の構造 2.市販品の定量調査 モデルの探索と検証 (評点尺度法+GM/SEM/BN) ヒト(人属性) バ︵状況︶ 探索 構造方程式モデルの利用方法 1.市販品・想起品の定性調査 仮説モデル作成 (評価グリッド法+テキストマイニング) 2次要因 意味情報 摂取時間・空間 気分 3次要因 強弱評価 感覚器官 脳 嗜好評価 イメージ評価 行動 間接要因 表情 心理的要因 喜怒哀楽・緊張感 生理的要因 食欲・健康状態 環境要因 食情報・喫食状態 先天的要因 人種・民族・性別 後天的要因 教育・生活・経験 身振り 評 価 構 造 の モ デ ル 化 9 直接要因 2 ビール評価構造(一部) 構造方程式モデルの利用 1.実験的調査とデータスタイル (∼製品やブランド評価は,実験的調査が多い∼) (1)条件と水準の理解 (2)データの対応とスタイルの判定 (3)分析方法の選定 2.構造方程式モデリングでの分析方法 10 (1)因子の分散分析 (2)多母集団の同時分析 (3)因子の分散分析と多母集団分析の組み合わせ (4)繰返測定の同時記述(=因子の分散分析) (5)繰返測定の同時記述との組み合わせ 12 実験的調査とデータスタイル (1)条件と水準を理解する ٥ 差を比較する時の「条件」であり、統計用語では、 「要因」と言うことが多い。 2ndStep 3rdStepでの 構造方程式モデルの利用 ٥ 製品やブランドであることが多い。 ٥ その他,パッケージを見せたときと見せないときや,年 代差、性別などの対象者属性なども取り上げることも。 ٥ 具体的な条件の中身を「水準」と呼ぶ。 ٥ <製品>製品1、製品2, 製品3が水準で水準数は3。 ٥ <年代>20代、30代が水準で水準数は2 ٥ <性別>男性、女性が水準で水準数は2 11 13 要因数と水準数が分かっていないと、分析法が選べない! 3 実験的調査とデータスタイル (2)データの対応とタイプを判定する ٥ 被験者間計画なのか、被験者内計画なのか。 ٥ 被験者間・被験者内混合計画 ٥ (上級者は被験者内と被験者間の混合計画へ) <被験者内計画> <被験者間計画> 水準1 (製品1) 水準2 (製品2) 水準3 (製品3) 水準1 (製品1) 水準2 (製品2) 水準3 (製品3) Q1-Q10 Q1-Q10 Q1-Q10 Q1-Q10 Q1-Q10 Q1-Q10 Aさん Dさん Gさん Aさん Aさん Aさん Bさん Eさん Hさん Bさん Bさん Bさん Cさん Fさん Iさん Cさん Cさん Cさん 14 16 従来法では・・・ データの見方 1人を1ケース(行)としてデータを作成 条件がケース(行)に割り付けられるか, それとも,変数(列)に割り付けられるか。 ٥ 「人」×「物」×「調査項目」という3相データを人 で平均して,「物」×「調査項目」として,マップを 作成することが多かった。 ٥ 構造方程式モデリングは,製品やブランド評価 などの「3相データ」の分析を可能とした!! 15 17 4 実験的調査とデータスタイル (3)分析方法の選定 1-1従来法 <被験者間比較の場合> (A)因子の分散分析 (B)多母集団の同時分析 市販のスキー板16種について,使うと,どんな気 分になるか(どんな風になれそうか)情緒的ベネ フィットを聞いた。 人を合計して, 2相データにし 分析していた <被験者内比較(繰返測定)の場合> (B)多母集団の同時分析 ٥ (⇒統計的には不正確だが実務上は十分) (C)繰返測定の同時記述(因子の分散分析) 18 20 1-1.結果 因子のスクリー プロット 3.5 (A)因子の分散分析 探索的因子分析 3.0 2.5 ケース数=ブランド 数=16 変数の数=7 因子分析:最尤法・ プロマックス回転 因子数2で指定 2.0 ここまで 1.5 1.0 固有値 .5 0.0 1 2 因子の番号 19 3 4 5 6 7 累積寄与率(2因子) 70.0% 21 5 因子負荷量散布図 従来法によるポジショニング戦略 回転後の因子空間の因子プロット 一見して隙間に見える部分に,ブランドの育成 を考えるのが従来法によるポジショニング戦略 1.0 ミーハー 一般的 .5 初心者 かっこいい 市場がない(求められていない)可能性もある。 実は,失敗が数知れずある。 0.0 プロっぽい ダサい -.5 各因子の解釈は, 後から苦労して 行 1.0 わねばならない! 因子 -1.0 -1.0 2 -.5 0.0 .5 22 どのようにブランドを移動させれば良いかは, マッピングしただけでは分からない!! 24 因子1 苦肉の策の従来法 因子得点散布図とのバイプロット ここにブランド がない! R E G R fa c tor sc or e 2 for a n a ly sis 1 3.0 2.0 隙間? ヤマハ ミー ハー 2.5 ٥ Prefmap(ベクトルモデル)=選好回帰 =因子(主成分)回帰 一般的 オーリン ロシニョール 1.5 1.0 ٥ 多段階の分析 初心者 ٥ ①(探索的)因子分析を行う。 ٥ ②ケース(ブランド)の因子得点を算出する。 ٥ ③因子得点を説明変数,選好(買いたさ・欲し さ・好み)を目的変数にし,重回帰分析を行う。 .5 アトミック ブリザード K2 フィッシャー エラン オオザカ ケスレー ニシザワ -.5 フォルクルクナイスル ここにブランド スワロー がない! 0.0 -1.0 -1.0 -.5 0.0 カザマ 隙間? ミズノ .5 1.0 1.5 2.0 2.5 23 25 REGR factor score 1 for analysis 1 6 あえてパス図で書くと 第1段階 1 第2段階 初心者 0.927 1 0.867 ダサい F1 -0.703 1 1 1 1 第1段階: 因子分析 第2段階: 重回帰分析 1 プロっぽい かっこいい かわいい -0.381 0.012 -0.267 -0.181 0.115 0.267 0.989 0.764 ミーハー -0.590 0.228 -0.651 好き -0.03 0.645 F2 0.662 一般的 26 28 問題点 回転後の因子空間の因子プロット 1.0 ミーハー ٥ 探索的因子分析法(従来法)だと オーリン ロシニョール 一般的 .5 初心者 かっこいい 標準化係数 ٥ 因子の解釈が難しい 第1因子:第1因子:-0.590 ٥ 解析法の指定が面倒(推定法,回転法,軸の数) 第2因子:0.645 因子:0.645 0.0 ٥ 多段階の解析だと プロっぽい アトミック ブリザート -.5 ダサい アトミック・ブリザード 因子 と -1.0 -1.0 2 因子1 ٥ すべての因子に負荷する ٥ 統計的な問題点:誤差の蓄積=不正確 ٥ 応用上の問題点:めんどう オーリン・ロシニョール -.5 0.0 .5 1.0 の間 27 29 7 1-2.SEMによる解析 因子負荷量散布図 ٥ 検証型因子分析 ٥ 利点1:因子の解釈が簡単 ٥ 自分で因子を設定する。(負荷する変数を指定) ٥ 過去の知見を生かせる ٥ 実務的な因子を作成できる。 市場は? 1因子負荷にした 変数は,軸上に= 解釈しやすい ٥ 因子間の(重)回帰分析としてのSEM ٥ 利点2:一度で解析できる ٥ 統計的にスマート(誤差の蓄積がない=正確)でめんどくさくない。 ٥ 利点3:希薄化修正できる。 変数を因子にすることで測定誤差を分離できる) (目的 このあたりに市場はない ٥ 利点4:複数の因子を目的変数にできる。 30 ٥ 利点5:データの適合度でモデルを改良可能 SEMによる解析結果 32 因子得点散布図 希薄化修正 F3:好み e1 e3 初心者 プロっぽい d1 F1 -.52 -.66 e4 1.00 かっこいい F3 .05 .29 .88 e5 かわいい e6 ミーハー 市場は? F1:上手さ=初心者でプロっぽくない .82 -.87 e8 嫌い e9 因子間相関は0.05 -.60 F3:好み .85 .94 好き このあたりに市場はない F2 F2:流行=かわいくてミーハー 31 33 8 因子負荷量散布図 SEMによるポジショニング戦略 市場の求める方向性を把握できた。 どうすればこちら にブランドを移動 できるか? 市場は? 一度の解析で,精度良くポジショニング戦略が 立てられた。 このあたりに市場はない しかし!どうすればブランド(製品)を移動で きるかはわからない!!困った! 34 SEMによる分析のメリット 36 SEMの因子の分散分析を使えば・・・ 因子平均への パス係数 ٥ ブランド・ポジショニングと設計のために ٥ どのように設計を変えれば,ポジションを変える 事が出来るか?を,総合効果(上層)と情緒的ベ ネフィット(下層)をもつ構造を考えたモデルで解く ことができる。 e1 e3 情緒的ベネフィット 初心者 プロっぽい .82 -.87 e4 35 総合効果 -.52 1.00 かっこいい F3 .05 .88 e5 かわいい e6 ミーハー 製品属性 好き e8 嫌い e9 -.60 .29 .85 .94 ٥ 実験的調査を行い,因子の分散分析モデル(もしく は多母集団モデル)で,因子平均に効果を与える 要因を定量的に把握すればよい。 d1 F1 -.66 F2 要因1(設計条件) 要因2(情報) 37 9 解析方法 被験者間割付例(1)因子の分散分析 ٥ データ ٥ 4要因各2水準の実験的調査を行う。 ٥ 実験水準は 「−1」「1」:量 ٥ 欠損値はEM アルゴリズム で補完後解析 ٥ 今回は2回目 のデータのみ 使用 ٥ 「製品」:エッセル・ハーゲンダッツ ٥ 「ブランド名」:エッセル・ハーゲンダッツ ٥ 「価格」:100円/200ml・250円/120ml ٥ 「厳選した素材で作った」:有り・無し ٥ 解析方法 ٥ 平均・共分散 構造分析 ٥ 解析ソフト: Amos Ver4.0 40 ٥ 評価モデル 38 データ形式 考えるべきモデル 0, .32 0, .26 e27 ٥ 割付型コンジョイント分析 1 買いたい2 ٥ 同一の製品を使ったものがあり、繰り返し測定ができない. 直接効果 ٥ パネルの負荷が低い(繰返しコンジョイントに対し優位) .14 -.01, 1.00-.11 .02 .01, 1.00 -.07 .00 価格 .00, 1.00 .03 .08 厳選した素材を用いた2 -.01, 1.00 ブランド提示2 .00 .01 .00 -.01 .00 .00 -.01 .00 .01 -.01 .01-.01 .01 .00 .00 .00-.01 -.01 .01 .01 .00 製品×価格2 .01, 1.00 製品×ブランド提示2 .00, 1.00 価格×ブランド提示2 .00, 1.00 0, .68 e30 1 e31 1 5.22 試してみたい2 1.00 ٥ パネルに条件を無作為割付 0, .44 e28 4.84 好き2 .93 .89 1 4.79 0, .38 甘味の好み2 d4 .71 1 4.67 1 0, .62 e14 0, .57 e15 後味の好み2 風味の好み2 .31 -.01 食感の好み2 .09 .67 舌触りの好み2 4.66 さじ通りの好み2 .78 e21 1 0, .80 e22 4.02 0, .29 0, .92 1 薬品臭の好み2 e23 01 d3.94 4.17 0, .29 .90 1 くせの好み2 e24 塩味の好み2 1.00 4.10 0, .21 1 製品2 χ2=580.21(df202),p=0.00, .80 .91 .76 4.83 0, .68 1 e16 バニラ臭の好み2 4.57 0, .67 .62 1 e17 1.00 さっぱり感の好み2 1 0, .76 5.14 0, .31 1 1.06 d1 e18 こくの好み2 5.09 0, .30 1 0,.53.83 e19 濃厚感の好み2 5.16 d2 0, .28 1 1 口溶けの好み2 e20 .93 0 5.24 .07 0, .24 1.00 1 0 .41 .11 .10 .06 .39 .00 .05 .09.09 .13 .04 .03 -.04 .03 -.03 .07 .02 .22 -.08 .04 .04 間接効果 4.56 思わず手に取る2 0.96 魅力(選好) 1 5.32 .26 苦味の好み2 e25 -.01 39 CFI=0.905, RMSEA=0.081, AIC=824.21 5.42 1 総合的なおいしさ2 0, .29 41 e26 10 SEM使用の利点 ブランド:間接効果が大きい.相加効果 ٥ 目的変数が2つ以上でもOK ٥ 総合効果=直接効果+間接効果: ٥ 目的変数を潜在変数すれば安定化 ٥ 効果を%で示せる -0.093 価格 0.106 風味の好み ☆移動スライド ○% d4 魅力(買いたさ) ○% 風味←→食感:r=0.668 風味←→くせ:r=0.084 0.578 ○ % 食感←→くせ:r=0.103 42 44 D1 製品:直接効果は小さく, 間接効果は大きい。相加効果 価格:打ち消しあって効果なし. 相殺効果 風味←→食感:r=0.668 風味←→食感:r=0.668 風味←→くせ:r=0.084 風味←→くせ:r=0.084 食感←→くせ:r=0.103 食感←→くせ:r=0.103 43 45 11 言葉「厳選した素材を使用した」: 例えば、ブランド力の効果は・・・ いずれも効果は小さいが相加効果あり (因子の誤差の) 相関:0.668 因子得点 3 2 F2食感の好み 1 魅力因子の方向 0 -3 -2 -1 0 食感←→くせ:r=0.103 46 0, .32 0, .26 e27 1 4.84 買いたい2 好き2 .93 .01 .00 価格×ブランド提示2 .00, 1.00 1 F1の差:0.826 -3 F1風味の好み あくまで総合効果として 4.56 思わず手に取る2 0.96 魅力(選好) .14 -.01, 1.00-.11 .02 ブランド提示2 .01, 1.00 -.07 .00 .00 .01 価格 .00, 1.00 .03 .00-.01 .00 .00 厳選した素材を用いた2 .08 -.01, 1.00 -.01 .00 .01 -.01 .01-.01 製品×価格2 .01, 1.00 .01 .00 .00 製品×ブランド提示2 .00-.01 .00, 1.00 -.01 .01 e31 1 5.32 .89 1 3 -2 0, .68 e30 1 5.22 試してみたい2 1.00 0, .44 e28 ☆追加スライド 2 因子平均の差は 重心の差 風味←→食感:r=0.668 風味←→くせ:r=0.084 1 -1 F2の差:0.772 48 メカニズムを 理解した後に 4.79 0, .62 1 e14 4.67 0, .57 1 0, .38 甘味の好み2 d4 e15 後味の好み2 .80 4.83 0, .68 .91 1 バニラ臭の好み2 e16 .76 4.57 0, .67 .62 1 風味の好み2 e17 1.00さっぱり感の好み2 1 0, .76 5.14 0, .31 .31 1 1.06 .71 0 .41 .11 .10 .06 .39 .00 .05 .09.09 .13 .04 .03 -.04 .03 -.03 .07 .02 .22 -.08 d1 -.01 .53.83 0, こくの好み2 5.09 1 1.11点は ブランド名差 0.49点は 製品差 e18 0, .30 濃厚感の好み2 e19 苦味の好み2 e25 5.16 0, .28 1 1 口溶けの好み2 e20 0 .93 5.24 0, .24 .07 1.00 1 食感の好み2 舌触りの好み2 e21 .09 .67 4.66 0, .80 1 さじ通りの好み2 e22 4.02 0, .29 0, .92 1 薬品臭の好み2 e23 01 d3.94 4.17 0, .29 .90 1 くせの好み2 e24 塩味の好み2 1.00 4.10 0, .21 1 d2 .78 .04 .04 製品2 .26 -.01 検証的な因子分析モデル 5.42 1 0, .29 47 49 総合的なおいしさ2 e26 12 まとめ ٥ 1)①製品差と②ブランド名差と③価格差,④言葉付 加の直接比較を行い、実学的な成果を得た。 ٥ 2)「品質機能評価」と「買いたさ」への効果の 同時記述を安定的に行うことが出来た。 ٥ SEMの利用 ブランド名は製品の効果の約2 ブランド名は製品の効果の約2倍の効果! 価格は結果的に効果なし! 「厳選した素材を使った」も注目すべき! ブランド名と価格の交互作用あり。 ٥ 3)市場競合品の相対的な商品力(製品力+ブラン ド力+価格)を把握できた。 ٥ Keller(1998)顧客ベース・ブランド・エクイティに基づく、 「相対的差異」としてのブランド価値、製品力 50 52 結果 ٥ 「エッセル」と「ハーゲンダッツ」の場合,製品差 よりも,ブランド名差の方が,品質評価(おいし さ)への影響が大きかった。 (B)多母集団の同時分析 ٥ 価格の効果は,総合的にほぼ0であった。 ٥ 間接効果と直接効果が打ち消しあった ٥ 言葉の効果は,今回は見出せなかった。 ٥ ただし、有意水準5%での話。今後の検討事項 51 53 13 多母集団の同時分析 多母集団(男女,年齢別,統制群・実験群) ٥ データの形式は3元データ ٥ 多群を比較したい(被験者間割付)。 男性 問1 問 3_8 問 3_10 P1 4 2 5 P2 5 3 6 ・ ・ ・ 問4 女性 問1 問 3_8 問 3_10 P121 2 7 6 ・ ・ ・ 5 問4 2 3 P122 3 2 7 4 3 4 P3 4 3 5 5 P123 2 7 6 3 6 4 7 7 P124 2 6 7 4 5 P5 3 5 3 2 P125 2 5 7 3 3 ・ ・ ・ ・ 6 3 3 5 1 いわゆる縦積み。ケース数を増やして同時分析する。 前提は,因子負荷量に差がない(測定不変) 差があった場合には,読み間違える。 詳細な比較ができない。 本格的 男性データ かっこいい 楽しめる 2つのデータから かわいい 女性データ ・ P120 ٥ ٥ ٥ ٥ 2 P4 ・ ٥ 従来法2:プーリング法(一般的) P240 1 5 6 3 親しみやすい 3 54 56 従来法の問題点 ٥ 従来法3:プロクラステス法 ٥ 従来法1:各群個別比較法 ٥ 男性は男性,女性は女性で解析し(探索的因子分析 を行い)比較する。(場合によっては同一のマップを作 成して重ね合わせる) ٥ 因子負荷量が違う→集約した因子空間が違うので実 際には比較できない。(相違が無いことが前提) 本格的 本格的 かっこいい かっこいい ٥ 男性,女性で個別に分析する。 ٥ どちらかを基準として固定し,他方の座標軸を回転し て極力似た軸方向に変換し,ほぼ類似の次元構造を 作る。 ٥ どちらを基準にしたかで解釈は変ってしまう。 ٥ 解析が非常に面倒でマニアック。 ٥ ソフトが限定されていて,気軽に使えない。 本格的 本格的 かっこいい 本格的 かっこいい かっこいい 楽しめる 楽しめる 回転 楽しめる かわいい 楽しめる 楽しめる かわいい かわいい 親しみやすい 親しみやすい 55 かわいい かわいい 親しみやすい 親しみやすい 親しみやすい 57 14 ٥ 従来法4:基準年法=代入法 ٥ 1つの群のデータだけを使って分析。 ٥ 出てきた結果のパラメータを固定して(因子負荷量を 固定し)他の群のデータを代入して因子得点を求める。 ٥ 完全に一致した因子空間 ٥ 基本的思想は,「測定不変」の仮定 ٥ 基準をどこに取るかで,結果が変わる可能性 本格的 カワサキ 3-Step Researchでの 利用のコツと注意点 カワサキ (女) かっこいい ホンダ(女) 楽しめる ホンダ かわいい スズキ スズキ(女) 親しみやすい 58 ヤマハ(女) ヤマハ 60 態度・行動反応モデル SEMで多母集団の同時分析 ヒト(人属性) 探索的3因子解 ٥ 多群で因子空間が同じか (測定不変が成り立つか) を検討できる。 3 食感の好み -1 0 1 2 3 -1 -2 -3 風味の好み 親近感 反応 (評価の階層構造) X1 ٥ ソフトが充実し簡単。 X2 ٥ パス図が標準出力。 X3 X 親近感 モノ(製品属性) 0.58 カッコかわいさ 0.72 59 総合評価 (因果) 情緒的ベネフィット評価 価値観 ٥ どの部分に差があるかを 詳細に検討できる。 0 -2 ヒトの反応︵ =﹁ 評価﹂ ︶の構造 ٥ 一度で解析できスマート。 1 バ︵状況︶ カッコかわいさ ٥ 同値制約で推定可能 -3 ヒト(人属性) 2 機能的ベネフィット評価 (因果) 物属性評価 モノ(製品属性) 61 15 分析のツボ1 よくある失敗例 ٥ 鉄則1 ٥ 製品評価・ブランド調査では,調査項目の階層性を 考慮する。 ٥ 知識を十分に活用して,事前に判別を行うこと! ٥ 鉄則2 ٥ 第一因子「親近感」 ٥ 分析を利用する立場によって,「見たい部分」が異 なることを理解し,場合によっては部分モデルを示 すこと。 ٥ 研究所(設計)は「機能的ベネフィット」より下層。 ٥ 本社(マーケティング)は,「情緒的ベネフィット」より上層。 ٥ 鉄則3 ٥ 5段階評価で採取した項目を対象に探索的因 子分析を行った後,検証的因子分析を実施 ٥ 結果 ٥ 好き,親しみやすい,フレンドリー,やわらかい風味, ٥ 第二因子「独創性」 ٥ 特徴的である,変わっている,クセがある,薬用風味 ٥ 第三因子「安心感」 62 64 ٥ 各部分を連結した全体の構造も作成すること。 ٥ 因子負荷マップ 独創性 ٥ 鉄則4 薬用風味が強い 特徴的である 製品D くせがある ٥ パス図のほかに,階層ごとのマップを併記すること。 ٥ 探索的因子分析はマップが標準出力,パス図は自分で 描画しなければならない。 ٥ AMOS等で行う検証的因子分析はパス図画標準出力, マップは自分で描画しなければならない。 ٥ AMOSでは,因子得点ウェイトを出力させ,各ケースの 偏差データに掛け合わせて合計し,因子得点を算出す る。 63 親しみやすい 製品E 好き マップを提示されただけで, 納得していないか?? 製品A 製品C 親近感 フレンドリー 製品B やわらかい 風味 65 16 問題点は? ٥ 階層性が無視されている。 ٥ 製品属性評価とベネフィット,総合評価が混在 ٥ 別階層で因子間関係が強いと同一因子となりや すい。 ٥ マップだけで満足しており,階層構造をパス 図で表すことを放棄している。 ٥ では,パス図さえ書き,構造方程式モデルで 解きさえすればいいのか? ٥ 重要なのは, ,「測定変数(調査項目)」が適切に選 択・利用されているかということ。 択・利用されているか ٥ 「高度な分析」に騙されるな。 ٥ 分析方法の違いは,データが同じであれば,結論を 誤るほどの差異を生じさせることは稀(経験則)。 ٥ 多母集団を使う,因子の分散分析を使う,といったこと, SEMか普通の分散分析か,ということよりも何よりも, 「測定変数(調査項目)」が適切に選択・利用されているか の方が,大事 66 製品Aと製品Bを多母集団で分析 親しみやすい 好き 68 評価の階層構造の例:洗口剤 0.82 親近感 やわらかい風味 特徴的 くせがある -0.52 独創性 総合力 薬用風味 ・・・ ・・・ ・・・ 0.18 安心感 マップも同時に作成 67 69 17 分析のツボ2 その他 ٥ 鉄則5 鉄則5 ٥ 最終的には「ヒト」「モノ」「バ」の変数を分析モデルに取り込む。 ٥ 評価のモデルは,「測定道具」に過ぎない。設計では「モノ」マーケティン グでは「ヒト」の客観データとの連結を行うことが大事 ٥ 鉄則6 鉄則6 ٥ 3−Step Research と分析方法ついて, もう少し, よく知りたい方は・・・ ٥ 本日のスライドは,芳賀のHPに掲載 ٥ http://www.mayomi.org/ ٥ 一度の分析で,全体構造を明らかにしようせず,部分モデル から始めていくこと。 ٥ 鉄則7 鉄則7 ٥ 「統計的正確さ」と「意思決定上の粒度」を天秤に掛け,分析手 法を選択せよ。 ٥ 11月29日(火)技術情報協会にてセミナー有 ٥ 「3−Step Researchによる新製品開発とブランド戦略」 ∼評価グリッド法から構造方程式モデリング,ベイジアン ネットワークまで ٥ 03−5436−7744(担当:竹本) ٥ 時に「確信犯」として誤った分析法を選択しても良い 70 72 評価の階層構造の例:洗口剤 71 18
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