ブラジル上院の弾劾法廷設置決定とテメル政権発足(レッグメイソン)

2016年5月13日
ブラジル上院の弾劾法廷設置決定とテメル政権発足
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ブラジル上院は賛成多数でルセフ大統領に対する弾劾法廷の設置を可決。ルセフ氏は最大180日間の弾劾裁判へ。
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ルセフ大統領は停職となり、テメル副大統領が暫定大統領に就任。テメル氏は就任演説で国民の結束を求める。
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テメル暫定大統領は閣僚人事を公表。財務相には市場からの評価が高いエンリケ・メイレレス前中銀総裁が就任。
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最大野党PSDBからも外務相と都市相に入閣。今後、具体的な経済政策や与野党の政策協調の行方が注目される。
上院はルセフ大統領の弾劾審議受入を可決
図1:ブラジル上院での弾劾審議の受入決議
ブラジル上院議会は5月12日(現地時間)、大統領の弾
劾審議受入に関する投票を行い、賛成55票、反対22票
の賛成多数で弾劾法廷の設置を可決しました(図1)。
55
賛成
今後、上院の弾劾法廷において、ルセフ大統領の弾劾
裁判が最大180日間にわたって行われることとなります。
22
反対
弾劾法廷では、上院議員の3分の2以上の賛成で大統領
の失職が正式に決定となりますが、今回の上院決議では
上院定数の3分の2を上回る議員が弾劾審議継続に賛成
1
棄権
したことから、ルセフ大統領が弾劾法廷で罷免を覆すこと
は容易ではないと考えられます(図2)。
3
欠席
テメル副大統領が暫定大統領に就任
弾劾法廷設置の決定を受けて、ルセフ大統領は公判中
は停職となり、テメル副大統領が暫定大統領として職務を
引き継ぐこととなります。5月12日には、テメル氏は大統領
就任後初の演説を行い、危機から脱するため国民の結束
を求め、国内外からのブラジルへの信認回復や、財政改
0
10
20
30
40
50
60 (名)
(出所)ブラジル上院 (注)上院定数は81名。
図2:今後の大統領の弾劾手続きと政治予定
2016年4月17日
下院本会議が大統領の弾劾動議を可決
2016年5月12日
上院本会議で大統領の弾劾法廷設置を可決
革の推進、社会保障政策の維持、汚職捜査の継続など
を進める方針を示しました。
テメル暫定大統領は財務相など閣僚人事を公表
ルセフ大統領は
公判中は停職
5月12日にはテメル政権の閣僚人事も公表されました。
財務相には市場からの評価が高いとされるエンリケ・メイレ
レス氏(前ブラジル中銀総裁)、ブラジル中銀総裁にはイ
上院の弾劾法廷で最大180日間
の審議(11月中旬まで)
テメル副大統領が
暫定大統領に就任
テメル政権の閣僚人事
と経済政策公表
ラン・ゴールドファジャン氏(イタウ銀行チーフ・エコノミスト、
元中銀経済政策局長)の就任が決まりました。新財務相
には、大統領の弾劾審議で出遅れている財政健全化政
策の早期の推進が求められることになります。
このほか、最大野党のブラジル社会民主党(PSDB)から
上院議員の3分の2以上の賛成で
ルセフ大統領は正式に失職
弾劾賛成票が3分の2未満の場合、
ルセフ大統領は復職
正式にテメル氏が
大統領へ昇格
任期は2018年末まで
も外務相、都市相、法務相のポストで入閣がみられました。
今後は、テメル政権の具体的な経済政策の公表や与野
党の政策協調の行方が注目されそうです。
2018年10月
ブラジル大統領選挙 ⇒ 次期政権の決定
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