難 Q35 1 聴 通常の学級で学習する場合、学級担任は教室環境や学習面・生活面で どのような配慮が必要ですか。 座席の位置 子どもは、音声を聞きながら、話し手の表情や口の動きを見て、言葉を理解します。ですか ら、座席は、教師の声がよく届き、顔と口元も明るくよく見え、また、周りの子どもの様子も 見える位置で 、「前から2、3番目、中央からやや窓より」がよいでしょう。 2 静かな学習環境づくり 補聴器は、音声だけでなく、周りのいろいろな音も拡大してしまうので、雑音があると言葉 が聞き取りにくくなってしまいます。したがって、教室を静かな環境にすることが必要です。 机やいすの脚に硬式テニスボールを付けて騒音を出さない工夫をしている学級もあります。 3 FMシステムの活用 これは、教師の胸元につけたFMワイヤレスマイクで、教師の声をひろい、それを子どもの FM補聴器に送るというシステムです。これによって、騒音に関係なく教師の声を聞くことが できます。また、電波の届く範囲であれば、距離に関係なく、一定の大きさの声で聞くことが できます。教室内だけでなく、戸外でも使えます。 4 話し方、伝え方の配慮 子どもが話の内容を理解できるように、いくつか注意が必要です。 ○ 子どもに背を向けて話したりせず、表情や口形をよく見せて話します。また、光を背にす ると、口元が暗くなって見にくくなります。 ○ やや大きめの声(FMマイクのときは普通の大きさ)で話します。補聴器のそばで大声で 話すと、音声がひずんで聞き取りにくくなってしまいます。 ○ 一音ずつ区切らず言葉のリズムを保って、ややゆっくりめに話します。2、3文節ごとに 間をとると、分かりやすくなります。 ○ 適宜、文字を添えるようにします。話し言葉は瞬間に消えてしまうので、聞き逃すことが あります。文字の利用は、伝え合うための有効な方法です。 ○ 話が伝わったか、質問をしたり復唱を促したりして、確認するようにします。 ○ 授業中の他の子どもの発言が聞き取りにくい場合には、教師がその発言を要約して、難聴 児に伝えるようにします。 5 教科指導の進め方 難聴児の学習が遅れている場合、学級担任は、まず第一にあきらめずに根気強く指導してい こうという気持ちをもたなければなりません。また、担任と通級指導教室と家庭との三者の連 携が必要です。三者で、子どもの実態を正しく把握し、その子どもにとって実現可能な目標を 設定します。そして、それぞれのやることを明確にします。あせらずに、できることを確実に 実行し、子どもの学力を伸ばしていくことが大切です。 6 生活指導の進め方 特別扱いはしないということが基本です。もちろん聞こえに対する配慮はしますが、一人の 児童、一人の生徒として、他の子どもたちと同じように指導にあたるようにします。例えば、 「難聴だから、あいさつができなくてもしかたがない」では困ります。また、学級になくては ならない存在になるよう、学級にとって必要な役割を、本人の得意なことを生かして任せるよ うにします。難聴という障害があっても、失敗をおそれず、前向きに行動する子どもに育てた いものです。 -2-
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