平成 21 年度 第2学年 美術科学習指導案

平成 21 年度 第2学年
美術科学習指導案
平成○○年○月○日(○)第○校時
活動場所
○○○○(○階)
指導者
○○○○
1
題材名
「みんなで学校を彩ろう!!」
-共同で行う創造活動-
2 題材について
(1)生徒の実態
美術の表現活動は、自分の思いをかたちに表すことができること、行事等では会場を飾ることで、雰
囲気をつくりだしムードを盛り上げることができることを指導してきた。生徒達は入学時、装飾が施さ
れた新入生歓迎会で先輩達に迎えられた。また、昨年度の3年生を送る会では、2年生と共に会のため
の装飾をつくり、3年生へ合唱のプレゼントをするなど会を盛り上げた。いよいよ今回の3年生を送る
会は、上級生としてリーダーシップを発揮する時である。3年生を送る会実行委員を中心に、感動的な
会となるよう張り切っている。
(2)本題材の価値
本題材は、3年生を送る会を盛り上げる表現を共同で創りあげるものである。ステージには、2学年
の生徒全員による「ちぎり絵」の壁画を制作する。また、体育館全体を、在校生全員で制作した作品で
装飾する。実行委員を中心に話し合い、全員で協力して制作することで、個人制作では味わうことがで
きない満足感を味わうことができる。また、体育館全体をキャンバスとして創りだすスケールの大きさ、
3年生に喜んでもらうことを目的とした活動は、生徒一人一人の思い出として心に残る。美術の素晴ら
しさと楽しさを味わうことができる題材である。
(3)指導の工夫
生徒達は、1学年時には教室を飾る壁画を作成している。その経験をもとに、3年生に感謝の気持ち
が伝わるデザインを考えさせる。全員でアイデアを考え、よりよいデザインにするための話し合いをさ
せることで、発想段階からみんなでつくるという気持ちを高めていきたい。制作では、全員が制作に関
わりやすい和紙をつかったちぎり絵の技法で制作する。色数の限られた和紙による点描的なちぎり絵の
表現では、どんな点に気をつけたらよいのか、シーラの点描作品等を鑑賞させながら指導していく。ま
た、壁画と装飾デザインとの関係を工夫したデザインを工夫する際には、体育館全体の空間を意識させ
デザインを考えさせる。
3
学習指導要領上の位置付け(第2学年及び第3学年)
A表現(2)伝える,使うなどの目的や機能を考え,デザインや工芸などに表現する活動を通して,発想や構
想に関する次の事項を指導する。
ア 目的や条件などを基に,美的感覚を働かせて形や色彩,図柄,材料,光などの組合わせを簡潔にしたり総
合化したりするなどして構成や装飾を考え,表現の構想を練ること。
イ 伝えたい内容を多くの人に伝えるために,形や色彩などの効果を生かして分かりやすさや美しさな
どを考え,表現の構想を練ること。
A表現(3)発想や構想をしたことなどを基に表現する活動を通して,技能に関する次の事項を指導する。
ア 材料や用具の特性を生かし,自分の表現意図に合う新たな表現方法を工夫するなどして創造的に表
現すること。
イ 材料や用具,表現方法の特性などから制作の順序などを総合的に考えながら,見通しをもって表現す
ること。
B鑑賞(1)美術作品などのよさや美しさを感じ取り味わう活動を通して,鑑賞に関する次の事項を指導す
る。
ア 造形的なよさや美しさ、作者の心情や意図と創造的な表現の工夫,目的や機能との調和のとれた洗練
された美しさを感じ取り見方を深め,作品などに対する自分の価値意識をもって批評し合うなどして,
美意識を高め幅広く味わうこと。
イ 自然や身近な環境の中に見られる造形的な美しさなどを感じ取り,安らぎや自然との共生などの視
点から,生活を美しく豊かにする美術の働きについて理解すること。
〔共通事項〕
ア 形や色彩,材料,光などの性質や,それらがもたらす感情を理解すること。
イ 形や色彩の特徴などを基に,対象のイメージをとらえること。
指導計画作成上の配慮事項 2(4)互いの個性を生かし合い協力して創造する喜びを味わわせる
ため,適切な機会を選び共同で行う創造活動を経験させること。
4 目標及び評価規準
(1)目 標
3年生を送る会を盛り上げるため、在校生全員の協力で壁画、装飾をつくる。
(2)評価規準
○ 3年生への感謝の気持ちを持ち、友達と協力して意欲的に制作に取り組もうとする。 (美術への関
心・意欲・態度 関)
○ 会を盛り上げる会場の雰囲気を考え、形や色彩を工夫したアイデアを練ろうとする。
(発
想や構想の能力 発)
○
和紙をつかったちぎり絵の技法を生かし、配色を工夫して制作しようとする。
(創造的な技能 創)
○
作 品 が 完 成し た 喜 び を 味 わ い、 主 体 的 に そ の よさ を 味 わ お う と する 。
(鑑賞の能力 鑑)
5
指導計画(5時間扱い)
時間
①
過程
発 想
学習
アイデアスケッ
活動
チをする
壁画、全体装飾
②
③
④
⑤
鑑賞・まとめ
意見発表・
活動の振り返り
制
作
各班の分担場所に、和紙をちぎり貼り付けていく
色彩の効果を工夫し、完成を目指
す
全校生徒での装飾の個人作品作り(飛び立つ鳥、
ポプラの葉)
※アイデア決定、壁画用紙への下書き、全体での仕上げは、放課後に実行委員が行う。
6 本題材の学習
(1) 準 備
○ 教師:和紙、模造紙(18枚)
、のり、マジック、ガムテープ、アイデアスケッチプリント
○ 生徒:教科書、資料集、色鉛筆
(2) 展 開
指 導 上 の 留 意 点
評 価 と 手 立 て
過
(
〔共〕
:
〔共通事項〕に係る内容) 観点 ◎:十分満足できる状況
学 習 活 動
程
◆:C判断生徒への手立て
○
発
想
1
時
間
3年生への感謝の気持
ちを持ち、会を盛り上げ
る壁画のデザイン、会場
全体の装飾のデザインの
アイデアスケッチをす
る。
①ステージを飾る壁画デ
ザイン
②会場全体を飾る装飾デ
ザイン
※実行委員の壁画担当は、壁
画デザインを決定し、下
書きを進める。
○「3年生を送る会」実行委員の方針
やテーマをもとに、3年生への感謝
の気持ちが伝えられるよう、3年生
にお世話になった思いを思い出させ
ながら、デザインを考えさせる。
○ うまく描こうと身構えず、落書き
の延長として思いを形にさせる指導
をする。
配色や構成の工夫例を過去の具
体例を示し、会を盛り上げるための
空間のデザイン(形)、色彩による
演出を工夫させる。
〔共〕
関
感謝の気持ちを伝えられる
よう、イメージを膨らまし、
意 欲的に 取り 組んで いる。
【観察・表情】
◎:思いを形にするよう、ア
イデアスケッチに真剣に取り
組んでいる。
◆:上手く描くのでなく、ア
イデアを形にすることが大切
なことを伝える。
○
※ 実行委員には、共同で行うちぎり
絵の表現にふさわしいデザインを考
えるよう指導し、壁画・会場装飾の
デザインを決定させる。
発
壁画デザインでは構図や配
色を、会場装飾では光・色・
形を意識した空間構成を工夫
している。会にふさわしい雰
囲気をつくりだすデザインを
している。
【表現・
作品】
※
○
制
作
3
時
間
鑑
賞
・
ま
と
め
1
時
間
実行委員の下がき制作
実行委員を中心にして制作を進
め、美術科として技術的な支援を進
める。
○ 分割された壁画のそれぞれの部
位のイメージがつかめるよう、全学
○ 各学級の生活班に壁画
級に完成予想図を配布して、自分達
を分割、分担して貼り絵
の分担でどんな工夫ができるか考え
を進める、
られるようにしておく。
○ 各班では分担された部 ○ どのように和紙をちぎり、貼って
分に細かくちぎった和紙
いくのが美しいかを考えさせ、実行
を貼り、画面を作りだし
委員や学級委員を中心に気持ちのこ
ていく。
もった創造活動を進めるよう指導す
※制作の手順や注意事項、 る。
工夫して欲しいところな ○ 和紙を使った貼り絵は、絵の具を
どの説明は、実行委員が行
使った色彩表現のようには色の数が
う。
ない。限られた色数でどのように表
現するか、点描表現を参考に指導し
ていく。自由に混色した多くの色を
使った絵画とは違った貼り絵のよさ
○ 班ごとに和紙を貼って
を理解させ、制作できるようアドバ
いく。
イスする。
※実行委員は、各班の作品 ○ 3時間目の初めには、他のクラス
を貼り合わせ、全体のバ
の工夫された作品を鑑賞させ、制作
ランスを考えながら作品
の意欲を高めるよう指導する。
を完成させる。
○ 和紙のよさや点描表現の色彩の
美しさを、友人と共につくり出す表
○ 会場装飾の個人分担の
現活動を通して理解させる。
〔共〕
作品(飛び立つ鳥・メッ
セージの入ったポプラの ○ 会場装飾の全体イメージをつか
葉)を制作する。
ませて、自分の作る個人作品の意味
※実行委員の会場装飾担
を理解させることが重要である。個
当は、材料を準備し、制
人分担の作品がどのように3年生に
作の説明を行う。
見られるかを考え、気持ちを込めた
制作をさせる。
○ 印刷した壁画の写真を ○ 共同で行う創造活動の作品は、各
シラバスに貼り付け、3年
自で持ち帰ることができない。写真
生を送る会の会場を思い
を撮ってシラバスに貼り付け、思い
出しながら、壁画・会場装
出に残す。このような取組を通し
飾の鑑賞会を行う。
て、作品を大切にする思いを育て
○ 作品から感じたこと、制
る。
作 へ の 思 い 等 の 感 想 を 、 ○ 鑑賞を難しくとらえさせず、思っ
「鑑賞プリント」に記入す
たり気付いたりしたことを、たくさ
る。
ん書けるように指導していく。
○ それぞれの思いを発表
し、感じ方の相違に気付き ○ 鑑賞会の発表を通して、自分と違
った見方や感じ方、思いがあること
ながら、鑑賞を深めてい
に気付き、鑑賞を深めていくよう指
く。
導する。
○ 行事における美術の役
割、環境に関わる美術の力 ○ 来年度、最上級生として取り組む
文化祭や体育祭につなげていく。
について、教科書の作品か
ら考えまとめる。
◎:画面に登場するモチーフや
場面を考え、構図や配色等を
工夫した画面構成を工夫して
描いている。
◆:資料を活用させたり、説明
の言葉で補わせたりして、ア
イデアを形にさせる。
創 完成画面を予想し、貼り絵
のよさを生かす工夫をしなが
ら、和紙を貼る制作をしてい
る。 【観察・表現】
◎:点描表現など技法を工夫
し、班の友達と協力しながら
制作している。
◆:ていねいな制作、工夫さ
れた制作の大切さを、過去の
作品を見せながら指導する。
○
飛び立つ鳥
※新入生歓迎会でも使用。
創 限られた条件の中で、形や
色を工夫し、材料や道具をう
まく使いながら制作してい
る。
【表現・作品】
◎:全体の中での個の分担を理
解し、形や色の工夫をしなが
ら一生懸命制作している。
◆:みんな形が集まったときの
美しさを理解させ、形、色の
工夫例を提示して指導する。
鑑 鑑賞プリントに感じたこと
や考えたことを記入し、自分
の思いを発表している。
【観察・発言・記述】
◎:感じたことをプリントにた
くさん書いている。友達の思
いを聞き、自分の思いとの相
違点を感じながら鑑賞を深
めている。
◆:鑑賞のスタートは気付くこ
とである。些細なことでいい
から感じたことをプリント
に書き、発表するよう支援す
る。また、その発表を評価す
る。