あなたにすすめる『この 1 冊』12 月 『アルジャーノンに花束を』 ダニエル・キイス 著 数学科教諭 早川書房 出版 中学 3年2組 栗原 達也 副担任 以前から名前は知っていましたが、読んだのは最近で、もっと早く読んでおけば 良かったと思った本です。 読み終えた後はほっとするような、悲しくなるようなそんな気持ちになり、人間 の感情や幸せとはなんなのか?など深く考えさせられます。 主人公のチャーリーは32才でありながら幼児ほどの知能しかありません。しか し、陽気で人が良く、仕事にも勉強にも前向きに取り組んでいます。 そんなチャーリーが頭の良くなる手術の臨床試験の被験者に選ばれます。手術 は成功し、知能はみるみるうちに上昇。ついには天才的な頭脳を持つようになり ます。しかし、知能が上がったことにより、今まで気づかなかった仕事仲間や家族 との関係に気づき、手術前には感じることのなかった悩みを抱えるようになってい きます。 その後、チャーリーより少し早く同じ手術を受けたハツカネズミのアルジャーノン の異変により、その知能も長くは続かない可能性があることが分かるのでした。 この本は、主人公チャーリーの日記(臨床試験の経過報告)という形で語られて おり、チャーリーの知能の状態が日記の文体によって表現されています。その日本 語訳もとても巧みなので、その辺りも楽しみつつ読んで欲しいと思います。 ☆著者『ダニエル・キイス』豆知識☆ 1927 年ニューヨーク生まれ。 ブルックリン・カレッジで心理学を学んだ後、雑誌編集などの仕事を経てハ イスクールの英語教師となる。このころから小説を書きはじめ、1959 年に発 表した中篇「アルジャーノンに花束を」でヒューゴー賞を受賞。1966 年には これを長篇化した「アルジャーノンに花束を」でネビュラ賞を受賞した。そ の後、オハイオ大学で英語学と創作を教えるかたわら執筆活動を続け、「五 番目のサリー」 「24 人のビリー・ミリガン」などを発表。現在は教職を退き、 フルタイムの作家活動を送っている。フロリダ州ボカ・ラトン在住。(2002 年発売「アルジャーノンに花束を」著者紹介より) 2014 年 6 月 18 日フロリダ州の自宅で死去、86 歳。(ニューヨークタイムス掲載) 図書館 ☆ ダニエル・キイス【著】本学園図書館所蔵本の紹介☆ ・五番目のサリー 五重人格のサリー・ポーターの心の軌跡を鮮やかに描く 傑作長篇。 ・24 人のビリー・ミリガン : ある多重人格者の記録 多重人格という驚異の世界を描いた傑作ノンフィクショ ン。 ・心の鏡 : ダニエル・キイス傑作集 中篇版「アルジャーノンに花束を」、人類のために難問を 解決するべく作られた万能コンピュータ、エルモの引き 起こす大騒動をユーモラスに描く初期の短篇 ・クローディアの告白: ある分裂病患者の謎 挫折をくり返しながらも精神分裂病に悩むクローディアを 励まし、著者自身が真実を解き明かした驚異のノンフィ クション。 ・預言 悩める個人と時代を見つめ続けてきた作家ダニエル・キ イスが、一人の女性の魂の苦境に9・11以後の狂い、壊 れていく世界を映し出す、唯一無二の物語。 他 ★栗原 達也(クリハラ タツヤ)先生の紹介★ *担当科目・クラス ・ 数学 a (中 3 年 1・3 組) ・ 数学 b (中 2 年 1・3 組) ・ 数学演習 (高 2 年 1・3 組 文系) *星座 →しし座 *趣味 →吹奏楽(サックス) *自分の中学・高校生活 吹奏楽部でのバリトンサックスの演奏に明け暮 れていました。 *本校生の印象 真っ直ぐな性格で、積極性のある生徒が多い。 *感動した本 「匣の中の失楽」 竹本健治【著】 集英社出版 *読むことが望ましい本 「パラドックスの世界―星間・逆説の旅」 ブルーバックス 467 田村三郎著【著】 講談社出版 編集後記:「アルジャーノンに花束を」は、1968 年映画化されており、邦題は「ま ごころを君に」でした。2002 年には日本のテレビドラマで『アルジャーノンに花 束を』があります。また、日本で舞台作品も再三制作されています。この作品は ダニエル・キイスを一躍スターダムにのし上げただけでなく、世界の多くで現代 のバイブルと言われているようです。 常翔学園中・高図書館
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