響き合う子どもの育成 ~「情報活用の実践力」

平成17年度 教育論文
は
じ
め
に
今まさに様々な教育改革が急ピッチで進んでいる。
その中でも,これからの「知的財産立国」を目指す日本にとって,情報教育をいかに進
めていくかということは最重要課題とされている。
し か し ,先 の 文 部 科 学 省 の「 学 校 に お け る 教 育 の 情 報 化 の 実 態 調 査 」に 関 す る 結 果 で も ,
ハード面やソフト面,教育活動等の整備充実で,未だ,道半ばの感じである。
本校では,平成14,15年度に「豊かに表現し,響き合う子どもの育成」と主題を定
めて研究を進め研究発表会を行った。
そして,その成果と課題を教育論文としてまとめた。
平成16,17年度も引き続き熊本市教育委員会研究委嘱校の指定を受けてこの研究を
さらに継続・深化させようと考えて実践し,過日,研究発表会を開催したところである。
その中で,私たちは「情報活用の実践力をはぐくむ学習指導の工夫」に力点を置き,こ
の情報活用の実践力が身に付いた子どもの姿を,本校のシンボリツリーの「えのき」に重
ね合わせて∼「え」笑顔で 「の」のびやかに 「き」気持ちをこめて∼発表できる子ど
もを合言葉として日々の実践を行ってきた。
本論文は,そのささやかなまとめであり,各位の指導を受けて,今後も,この情報教育
の重大さを認識し,情報社会に生きる子どもたちのために取り組んでいきたいと考えてい
る。
熊本市立壺川小学校長 藤岡 和朗
もくじ
はじめに
Ⅰ 研究主題について
1 研 究 主 題 ------------------------------------------------------------2 主 題 設 定 の 理 由 ------------------------------------------------------3 目 指 す 子 ど も 像 ------------------------------------------------------Ⅱ 研究の内容と方法
1 研 究 の 仮 説 と 構 想 図 --------------------------------------------------2 研 究 の 重 点 ----------------------------------------------------------( 1 ) 国 語 科 の 取 組 ----------------------------------------------------( 2 ) 算 数 科 の 取 組 ----------------------------------------------------( 3 ) 情 報 教 育 の 取 組 --------------------------------------------------Ⅲ 研究の実際
1 「 情 報 活 用 の 実 践 力 」 を は ぐ く む 国 語 科 の 学 習 --------------------------( ア ) 第 1 学 年 単 元 名 「 し ら せ た い な , 見 せ た い な 」 --------------------( イ ) 第 4 学 年 単 元 名 「 材 料 の 選 び 方 を 考 え よ う 」 ----------------------( ウ ) 第 6 学 年 単 元 名 「 共 に 考 え る た め に 伝 え よ う 」 --------------------2 「 情 報 活 用 の 実 践 力 」 を は ぐ く む 算 数 科 の 学 習 --------------------------( ア ) 第 2 学 年 単 元 名 「 形 を し ら べ よ う 」 ------------------------------( イ ) 第 3 学 年 単 元 名 「 一 万 を こ え る 数 」 ------------------------------( ウ ) 第 5 学 年 単 元 名 「 計 算 の 見 積 も り 」 ------------------------------( エ ) 第 5 学 年 単 元 名 「 数 の く さ り 」 ----------------------------------3 情 報 ミ ニ プ ロ ジ ェ ク ト 学 習 --------------------------------------------4 「 情 報 活 用 の 実 践 力 」 を は ぐ く む 児 童 会 活 動 ----------------------------Ⅳ 研究の成果と課題
1 成 果 ----------------------------------------------------------------2 課 題 ----------------------------------------------------------------おわりに
1
1
2
2
3
3
5
7
9
9
11
13
15
15
17
19
21
23
26
28
30
Ⅰ
研究主題について
1
研究主題
豊かに考え・表現し,響き合う子どもの育成
∼「情報活用の実践力」をはぐくむ学習指導の工夫∼
2
研究主題設定の理由
(1 )
響き合う子どもと情報活用の実践力
本校の子どもたちの多くは,自分の考えをもち,発表することができている。し
かし,友達の意見を聞き,練り合ったり,高め合ったりすることは容易ではない。
したがって,情報を吟味したり,新たな情報を創造したり,伝え合ったりと,互い
に響き合う子どもをはぐくむことが重要である。
一 方 , 子 ど も た ち を 取 り 巻 く 今 日 の 社 会 は , 「 IT革 命 」 と も 呼 ば れ る ほ ど 急 速 な
情報化が進んでいる。そして,そのことが社会構造や産業構造を大きく変化させ,
社会のあらゆる面で情報とのかかわりを深くしている。
このような社会では,人々は日々膨大な情報に接しており,これらの情報を適切
に活用する能力が今まで以上に求められている。適切に活用するには,情報を受け
取 り ,そ れ を 正 確 に 理 解 し , 吟 味す る 能 力 や 理 解 し た 情 報 か ら 新 た な 情 報 を 創 造 し ,
相 手 に 向 か っ て 適 切 に 表 現 す る 能 力 が 必 要 で あ る 。こ れ ら の 能 力 は「情 報 活 用 能 力 」
の 一 つ で あ る「 情 報 活 用 の 実 践 力 」で あ り ,今 ,そ の 育 成 が 教 育 に 求 め ら れ て い る 。
この力を培っていくことは,とりもなおさず子どもたちの考えを豊かにし,互い
の意見を聞き合い,より豊かな考えを生み出すことにもつながっていく。
こ の こ と か ら ,本 校 で は 研 究 主 題「 豊 か に 考 え・表 現 し ,響 き 合 う 子 ど も の 育 成 」
を設定し,「情報活用の実践力をはぐくむ学習指導の工夫」に視点を当てることに
した。
(2 )
どのように「情報活用の実践力」を育てていくのか
「情報活用の実
①
情報から課題を発見し計画する力(つかむ力)
践力」は「目的や
②
必 要 な 情 報 を 主 体 的 に 収 集 し ,蓄 積 す る 力( あ つ め る 力 )
課題に応じて情報
③
必要な情報を選択・判断する力(えらぶ力)
手段を適切に活用
④
情報を適切に処理・創造する力(まとめる力)
することも含めて, ⑤
必要な情報を主体
⑥
受 け 手 の 状 況 を 踏 ま え て 発 信・伝 達 す る 力( つ た え る 力 )
目的に応じて情報機器を適切に活用する力(つかう力)
的に収集・判断・
表現・処理・創造し,受け手の状況などをふまえて発信・伝達する能力」である。
本校では,教科書や本,インターネット上の文字や画像,音声などの「情報」は
もちろんのこと,授業中に交わされる子ども同士の意見なども必要な「情報」であ
るととらえた。
「情報活用の実践力」は特別な時間の中ではぐくむのではなく,日常的な授業の
中で育てていかなければならない。そこで,教科の中にいかにして広げていくかと
いう視点から,特に国語科,算数科の授業において 「つかむ力」「あつめる力」
1
「えらぶ力」「まとめる力」「つたえる力」の5つの力をはぐくむ学習活動を工夫
することにした。そうすることで「情報活用の実践力」が育つと考え実践研究を進
めることにしたのである。
また,「つかう力」として,総合的な学習の時間に各学年の基礎的な技能の習得
をねらった「情報ミニプロジェクト」を組み,系統的に指導することで,子どもた
ちが日常の生活や学習の中で必要に応じて情報機器を使い,効果的な表現ができる
ようにした。
3
目指す子ども像
「情報活用の実践力」を身に付けた子どもたちが,普段の生活の中で様々な情報を
受け取りながら,その情報から豊かな考えや思いをもち,お互いに練り合い,高め合
って,新たな情報を創造し,それを主体的に表現していけるような響き合う子どもの
姿を目指している。本校ではその姿を「えのきの子ども」ととらえている。
《えのきの子ども》
え…笑顔で
楽しんで表現し活動する子ども
の…のびやかに
自信をもって考えや気持ちを表現し活動する子ども
き…気持ちをこめて
相手意識をもって表現し活動する子ども
Ⅱ
研究の内容と方法
1
研究の仮説と構想図
仮説1
国語科,算数科の授業
において「つかむ力」
「あつめる力」
「えらぶ
力」「まとめる力」「つ
たえる力」の5つの力
を大切にした学習活動
を工夫すれば,情報活
用の実践力が身に付く
であろう。
情報をつかみ ,あつめ,
えらび,まとめ,つたえる力
国語科学習
相手や目的に応じて情
算数科学習
報を発信する授業!
問題解決の中で,新たな
情報をつくり出す授業!
5つの
言語意識
3つの場
技能を身に付け,
適切に使いこなす力
情報ミニプロジェクト
系統的,計画的な指導
2
仮説2
各学年に応じた IT 技
能を明確にし,系統的
に指導すれば,情報活
用の基礎技能が身に
付き,授業や日常生活
に生かすことができ
るであろう。
2
研究の重点
(1)
①
国語科の取組
「情報活用の実践力」をはぐくむ工夫
国語科における「情報活用の実践力」を次のようにとらえている。
身 近 な 情 報 の 中 か ら ,自 分 に 必 要 な 価 値 あ る 情 報 を 選 択 し ,主 体 的 に 自 ら の 思 い や 考 え
を つ く り 上 げ ,受 け 手 の 状 況 を 踏 ま え て 適 切 に 伝 え る と と も に ,そ の 結 果 を 振 り 返 る 力
そこで,国語科で育つ「情報活用の実践力」を具体化するとともに,次の二つの視点か
ら学習を構想し,実践に取り組んでいった。
【工夫1】五つの言語意識(目的意識,相手意識,場面・状況意識,方法意識,評価
意識)を明確にし,それらが高まる具体的な手立てを工夫する。
【工夫2】
「 つ か む 力 」「 あ つ め る 力 」「 え ら ぶ 力 」「 ま と め る 力 」「 つ た え る 力 」の 五 つ
の力が付く具体的な学習指導を工夫する。
②
国語科学習で育つ「情報活用の実践力」
本 校 で は ,「 情 報 活 用 の 実 践 力 」 の 目 標 を , 低 ・ 中 ・ 高 学 年 別 に 設 定 し て い る 。 下 に 示
したのは,高学年の評価項目の一部である。国語科学習とこれらの目標とがどのように関
連しているのか,それらを明らかにすることで,国語科学習で育つ「情報活用の実践力」
もはっきりしてくる。
そこで,まず,指導事項を分析し,それを達成するため必要な技能を洗い出した(下図
の 右 )。次 に ,そ れ ら の 技 能 が ,先 の ど の 目 標 に つ な が っ て い く の か を 明 ら か に し た 。こ う
することで,その単元の中で培っていく「情報活用の実践力」も明らかになり,焦点化し
た学習も可能になる。
国語科の指導事項
「情報活用の実践力」の目標
過
程
全体を見通して,書く必
つか む
あ つめ る
えらぶ
番号
評価項目
発3
①
発3
②
発3
③
収3
①
収3
②
収3
③
収3
④
選3
①
選3
②
課題解決に必要な情報かどうか適切に判断す
る。
要のある事柄を整理する
こ と 。( 書 く イ )
自分の意見を正確に相手に伝える。
自分の考えや活動計画の要点を分かりやすく
まとめる。
① 目的に応じて必要な
目的を考え,情報を選択して集める。
② 目 的 に 照 ら し て ,大 事
身近な事柄から課題を見付け,課題解決のた
めの情報を収集する。
他の情報と比較しながら必要な情報を得る。
事柄を集める。
なことは何かを指摘す
る。
③ 目 的 に 応 じ て ,様 々 な
情報活用の方法を考えながら,情報収集する。
観点(立場を異にする
集めた情報を分析し,傾向や規則性を見付け
る。
課題解決に必要な不足情報に気付き,さらに
情報を収集・整理する。
考え,根拠など)から
選3
③
集めた情報の特性に応じて適切な表やグラフ
に整理する。
選3
④
集めた情報を活用しやすいように整理する。
3
事柄を集める。
④必要な事柄をいくつか
の観点で分類し,整理
す る 。( 小 見 出 し )
③
単元構想と具体的な手立て
先 に 述 べ た 二 つ の 工 夫 が ど の よ う に つ な が っ て い る の か ,そ の 関 係 を 示 し た も の が 下 図
「 目 的 意 識・相 手 意 識 」で あ り ,単 元 の 構
で あ る 。五 つ の 言 語 意 識 の 中 で 中 核 と な る の は ,
想 に 当 た っ て は ,ま ず ,何 の た め に( 目 的 ),誰 に( 相 手 )に 何 を 伝 え て い く の か を 明 確 に
する必要がある。そして,常にこの目的や相手を意識し,それらに応じて,言語活動を構
想し,評価していくのである。
目的意識や相手意識を高めていくためには,子どもたちの興味・関心や生活を踏まえて
魅力的な題材を開発すること,異学年との交流や地域とのかかわりなども視野に入れて具
体的な目的や相手を見いだすことなどが重要である。
ま た ,「 あ つ め る 」「 え ら ぶ 」「 ま と め る 」 な ど 五 つ の 力 を 育 成 す る た め に は , い く つ か の
材料の中から,どれが目的や相手に適しているのかを話し合ったり,具体的な作文例を比
較 し な が ら 書 き 方 の 工 夫 を 見 い だ し た り す る 場 が 必 要 で あ る 。常 に ,目 的 や 相 手 を 意 識 し ,
それに応じた工夫を促していくことで方法意識も高まってくる。
さらに,目的が達成されたかどうか,表現の工夫は適切であったかどうかなど評価する
ことで,満足感を得ることができるし,工夫した方法の効果や修正すべき点を自覚するこ
とも可能になる。
このような一連の学習の中で,確かな「情報活用の実践力」がはぐくまれていくのであ
る。
目的意識 相手意識
何のために,誰に,伝えるのかを明確にする。
達成されたか?
目的を達成するために
つかむ力(課題設定・学習計画)
何を,どんな順序で進めていけばよいかを考える。
あつめる力(取材)
場面・状況意識
えらぶ力(選材)
目的・相手に応じた材料を選ぶ。
まとめる力・つたえる力(構成・記述)
目的・相手に
応じて
内容を整理する。
構成や書き方を工夫する。
評価意識
目的や方法について評価する。
4
適切だったか?
方法意識
目的・相手に応じた材料を集める。
(2)
算数科の取組
① 「情報活用の実践力」をはぐくむ工夫
算数科における「情報活用の実践力」を次のようにとらえている。
身 近 な と こ ろ か ら 情 報 を 主 体 的 に 収 集 し ,必 要 な 情 報 を 選 択 し ,自 ら の 考 え を 価 値
ある情報につくり上げ,問題解決をしていく力
そ こ で ,算 数 科 で は ぐ く む「 情 報 活 用 の 実 践 力 」を 具 体 化 す る と と も に , 次 の 2 つ の 視
点から学習を構想し,実践に取り組んでいった。
【工夫1】
活動の中から数理(数学的な考えを通した知識・技能)を身に付け,
問 題 解 決 を 図 る た め に ,授 業 の 中 に「 き づ く 場 」「 た め す 場 」「 つ か う 場 」
の3つの場を設定する。
【工夫2】 活動の中で情報を生かすために,
「つかむ力」
「あつめる力」
「えらぶ力」
「 ま と め る 力 」「 つ た え る 力 」 の 5 つ の 力 を 育 成 す る 学 習 計 画 を 立 て る 。
② 「情 報 活 用 の 実 践 力 」 を は ぐ く む 算 数 科 授 業 の 構 想
(ア)
学習過程における視点と主な活動
3 つ の 場 の 中 で ,「 問 い 」「 考 え 」「 活 動 」 を つ な ぎ な が ら , 5 つ の 力 を は ぐ く む 学 習 活
動を行った。
つけたい
力
「情報活用の実践力」の視点
3つの場と主な学習活動等
つかむ力
きづく場(発見)
学習課題を把握し,見通しをもって学
●
習を進める力
○
課題把握の体験
○
ゲーム等による活動
問いをもつ
あつめる力
目的や意図に応じて必要な情報を検索
えらぶ力
集めた情報を自分の観点から判断し,
したり,収集したりする力
聞く・見る・試行錯誤する
選択,分類,整理する力
自分の考えをもつ
まとめる力
分類,整理した情報を,目的に合わせ
○ IT に よ る イ メ ー ジ 作 り
○
操作的な活動
●
ためす場(試行)
「問い」
○
発見したきまりを試す活動
○
実験や調査
○
知識を適用した問題解決
○
友達の考えを検討する活動
○
自分の考えを伝える活動
○
分類,比較,関係付け
をつなぐ
「考え」
をつなぐ
て構成する力
知識や技能を身に付ける
表現方法,手段を工夫したり相手に分
つたえる力
かりやすく伝えたり,その結果を振り
返ったりする力
考えの発表・学びの振り返り
5
●
つかう場(活用)
○
友達の考えを生かす問題解決
○
数や量を拡張して確かめる活動
○
発展的に考える活動
○
IT を 使 っ た 確 認 の 活 動
○
自己評価,他者評価,相互評価
「活動」
をつなぐ
(イ)
1単位時間の授業の具体的な工夫
子 ど も 同 士 が ,お 互 い に か か わ り な が ら 練 り 合 い ,高 め 合 う 中 で 情 報 の 交 流 を 行 い な が
ら,数理を身に付け,問題解決していくために思考や活動の連続性を重視した。
きづく場(発見)
きまりや課題を仕掛ける
工夫
①
課題を発見する場
ためす場(試行)
つかう場(活用)
試行錯誤を促す工夫
活動を発展させたり,考
①
の設定
②
調べてみたくなる
意欲を高める工夫
( IT 活 用 )
②
作 業 的・体 験 的 活 動
えを共有させたりする工
の設定
夫
情報を交流できる
①
発展的課題の設定
場の設定
②
IT で 確 認 す る 工 夫
など
など
など
(ウ)
算数科学習用「情報活用の実践力」評価項目(一部)
「 情 報 活 用 の 実 践 力 」の 評 価 項 目 を も と に ,授 業 場 面 に 応 じ た 評 価 項 目 を 設 定 し て 活
用した。
得 た情 報 や体 験 の中 か
ら新 たな課 題 を見 付 ける
集 めた情 報 の共 通 点 や
相 違 点 から,課 題 を見
付 ける
自 分 の身 近 な事 象 に関
連 付 けて課 題 を考 える
ったり資 料 を使 った
りして情 報 を集 める
既 習 事 項 を 振 り 返 っ たり
資 料 を使 ったりして情 報
を集 める
相 違 点 を話 し合 い分 類
する
自 分 の考 えに合 った情
算 選 1②
進 んで話 し合 う
報 を選 ぶ
6
付 ける
主 体 的 に問 題 場 面 を
考 えようとする
自 分 の考 えや解 決 の
見 通 しをもつ
既 習 事 項 を振 り返 っ
たり資 料 を使 ったりし
て情 報 を集 める
目 的 を考 え情 報 を収
他 の情 報 と比 較 しな
がら必 要 な情 報 を得
る
集めた情報を分析
算 選 3②
集 めた情 報 の共 通 点 や
から新 たな課 題 を見
算 選 3①
る
得 た情 報 や体 験 の中
集 する
算 収 3③
算 選 1①
集 めた情 報 を比 べ
②
で情 報 を集 める
高学年
算収3
友 達 との話 し合 いの中
算 収 3①
算 収 1①
きる
選 択 ・判 断 ︵え ら ぶ力 ︶
身 近 な と ころ か ら 情 報 を 集 め あ つめた 情 報 を 比 べる ことがで
る ことができ る
収集・蓄積︵あつめる力︶
既 習 事 項 を振 り返
算 発 3① 算 発 3② 算 発 3③
ら,課 題 を見 付 ける
中学年
自 課題 見付
見 通 し 課 題 解 決 に必 要 な 情 報 を ,収
け
を
を
ら
,
集 めた 情 報 を 分 析 でき る
も って活 動 す る ことができ る
集 する
身 の回 りの情 報 か
算収2
算 発 2① 算 発 2② 算 発 2③ 算 収 2①
算 選 2①
算 選 2②
②
自 ら 課 題 を 選 び 計 画 を 立 てる 身 近 な と ころ か ら 情 報 を 集 め あ つめ た 情 報 を 選 択 し 整 理 す
ことができ る
る ことができ る
る ことができ る
算 発 1①
発 見 ・計 画 ︵つかむ 力 ︶
自 ら 課 題 を 選 ぶことができ る
低学年
自 分 の考 えを組 み立
し,傾 向 や規 則 性 を
見 付 ける
てながら,適 切 な情
報 を選 ぶ
(3)情報教育の取組
①
IT 技 能 を は ぐ く む た め の 取 組
本 校 で は , IT 技 能 を 系 統 的 , 計 画 的 に 育 て る た め , 「 IT 技 能 系 統 表 」 を 作 成 し , 活
用 し て い る 。 さ ら に , そ の IT 技 能 を 学 習 の 中 に 重 点 的 に 取 り 入 れ た 「 情 報 ミ ニ プ ロ ジ
ェ ク ト 」 を 行 い , IT 技 能 の 向 上 を 図 り , 各 教 科 等 で の 活 用 に 役 立 て て い る 。
各教科
総合的な学習の時間
道徳・特別活動など
総合的な学習の
時間において,
情報ミニプロジ
年 間 20 時 間 程 度
ェクトで培った
の集中的な指導
技能を使って学
を行います。
習を進めます。
給食委員会のプレゼンテーション
重 点 的 に IT 技 能 を 取 り 入 れ た 計 画
3年 の国 語の 授業
情報ミニプロジェクト
デジタルカメラで撮った写真で説明
3年…わたしがみつけたおもしろいもの
4年…ぼくの木,私の木
5年…ポスターでつたえよう!
6年…私たちのホームページを作ろう
6年
低・中・高 学
年ごとに分
かれた計画
総合的な学習の時間
修学旅行報告会
情報活用の基礎的
技能の系統を明ら
かにします。
系統的な指導
「IT 技能系統表」の活用
7
6年
情報ミニプロジェクト
「私たちのホームページを作ろう」
②
IT 技 能 系 統 表
本 校 で は「 情 報 活 用 の 実 践 力 」の 目 標 と 評 価 項 目 を も と に ,各 学 年 で 付 け て お き た い IT
技能を基本操作,ファイル操作,文字入力,図形描画,画像・動画・音声処理,表計算,
プレゼンテーション,電子メール,インターネットの9つに焦点化した。その系統表をも
とに,9 つの技能について到達学年を設定し,各学年で総合的な学習の時間などで計画的
に指導を行っている。情報モラルについては表中で記しているように,各技能の中に位置
付け,その技能を学習する中で培っていくようにしている。情報モラルについてはそれぞ
れ の 技 能 の 中 に 位 置 付 け 系 統 を 明 ら か に し ,各 学 年 で 計 画 的 に 指 導 で き る よ う に し て い る 。
「 IT 技 能 」系 統 表
( ○ は 経 験 す る 学 年 ,◎ は 習 得 す る 学 年 )
情 報 機 器 の操 作 内 容
到達学年
基本操作
1
2
3
4
5
6
① コンピュータを起 動 したり終 了 したりすることができる。
○
◎
② マウス を正 しく持 つことができる。
○
◎
③ マウス を使 ってカーソルを思 ったところに動 かすことができる。
○
◎
④ クリック,ダブルクリックをすることができる。
○
◎
⑤ ドラッグすることができる。
○
◎
○
◎
⑦ コンピュータ室 利 用 のきまりを守 ることができる。
○
○
○
◎
◎
◎
⑧ コンピュータの使 い方 についてのマナーがわかる。
○
○
○
◎
◎
◎
① データに名 前 を付 けパソコンに保 存 することできる。
○
◎
② パソコンに保 存 したデータを呼 び出 すことができる。
○
◎
③ FD,CDを正 しく使 うことができる。
○
◎
④ FD,CDなどから必 要 なデータを呼 び出 すことができる。
○
◎
⑤ データに名 前 を付 け FD に保 存 することができる。
○
◎
⑥ プリンタで印 刷 することができる。
○
◎
⑦ パスワードについてわかる。
○
○
◎
◎
⑥
目 的 の ソ フ トウ ェア を起 動 した り 終 了 した りす るこ とが
できる。
ファイル操 作
文字入力
① 文 字 をソフトキーボードで入 力 することができる。
○
◎
② キーボードのホームポジションがわかる。
○
◎
③ 文 字 をキーボード入 力 (ローマ字 入 力 )することができる。
○
◎
図形描
① 直 線 を描 くことができる。
○
◎
② 自 由 線 を描 くことができる。
○
◎
8
Ⅲ
研究の実際
1
「情報活用の実践力」をはぐくむ国語科の学習
(ア)第1学年
①
単元名
よく見てかこう
「しらせたいな,見せたいな」
単元について
「見せたいな」
本 単 元 は ,学 校 生 活 に お け る 様 々 な 体 験 を も と に ,誰か に「 知 ら せ た い な 」
と思っているものをよく観察して,文章に書く力をねらい設定したものである。
本教材では,学級で飼っている生き物を取り上げ,絵を手がかりに細かいところまで目
を向けて,書きたいことをはっきりさせてから文章を書いていく。
また,相手に伝えるために,文章の組立てを考えたり表現を工夫したりする。そして,
書いた文章を推敲し,必要に応じて修正する。このような,書くことの基本となる学習の
初歩を行うには適した単元である。
②
本単元の指導に当たっては,次のことに留意した。
【工夫1】
・学 級 で 飼 っ て い る 生 き 物 に つ い て 知 っ て い る こ と 気 付 い た こ と を 出 し 合 い ,そ れ ぞ れ
誰 に 伝 え た い か を 話 し 合 う こ と で , 相 手 意 識 を も た せ る 。「 家 の 人 は み ん な が お 世 話
し て い る 生 き 物 の こ と を 知 ら な い の で は 」 と 投 げ か け ,「 知 ら せ た い 」「 見 せ た い 」と
いう思いをもたせることで,相手意識を高める。
・「 知 ら せ た い な 」
「 見 せ た い な 」と 思 っ て い る も の( 対 象 )に か か わ る 時 間 や 場 の 設 定
を す る こ と で ,多 く の 気 付 き を も た せ る よ う に す る 。世 話 を す る な ど の 継 続 的 な か か
わ り に よ っ て 学 習 意 欲 を 高 め ,「 知 ら せ た い 」「 見 せ た い 」と い う 思 い を も た せ , よ く
観察して家の人に分かるように文章に書くという目的意識を高めていく。
【工夫2】
・「 内 部 情 報 の 蓄 積 」 と な る よ う 生 き 物 の 世 話 な ど , 日 常 的 に 活 動 が で き る よ う な 時 間
や 場 の 設 定 を す る 。情 報 を 交 換 す る コ ー ナ ー を 設 置 す る こ と で ,活 動 の 中 で 発 見 し た
ことを紹介し共有できるようにする。
・見 付 け た こ と( 色 や 形 ,様 子 な ど )を 多 く の カ ー ド( 付 箋 紙 )に 書 か せ る こ と で ,情
報 を 「 あ つ め る 力 」「 え ら ぶ 力 」 を 付 け る 。
・カ ー ド( 付 箋 紙 )に 書 い た こ と に つ い て ,ペ ア で 発 表・質 問 す る 場 を 設 定 し て 情 報 交
換 を さ せ る 。( 友 達 の 発 表 を 聞 い て , 気 付 か な か っ た こ と , 参 考 に し た い こ と を 見 付
けさせる。
情報の補充)
・写 真 を 使 い ,そ れ に 合 っ た 必 要 な カ ー ド( 付 箋 紙 )を 選 ば せ た り 並 べ 替 え さ せ た り す
る こ と で ,「 え ら ぶ 力 」「 ま と め る 力 」 を 付 け る 。
③
単元の目標
・身近な生き物に興味をもち,進んで観察したことを文章に書こうする。
・身近な生き物を観察して,書くために必要な事柄を集め,文章を書くことができる。
④
本時の学習
ア)目標
写真を使って,カードの中から書くものを選んだり書く順番を考えて並べたりして,書
くことを決めることができる。
9
イ)展開(◆…情報活用の実践力にもかかわる活動・評価)
学習活動と教師のかかわり・評価
1
子どもの反応と活動の様子
本時のめあてを知る。
・ 写 真 を 使 っ て ,「 カ ー ド を 選 ん だ り 並 べ 替 え た り
し て ,書 く こ と を 決 め る 」学 習 で あ る こ と を 確 認
する。
カードを並べて
・「 だ れ 」 に 「 な に 」 を 知 ら せ る の か も 確 か め る 。
書くことを決め
カードを選んだり並べ替えたりして書くことをきめよう!
2
るんだな!
写真を使って,書く順番を考える。
◆ 教 師 が 提 示 す る 写 真 を 並 べ 替 え る こ と で ,全 体 か
どの写真
ら部分へという順番を考えさせる。
を使おう
◆ IT を 使 い , ① ② を 確 認 さ せ る 。
かな!
①全体が分かる写真を最初に並べる。
②その後に,詳しく分かる写真を並べる。
◆全体から部分へという順番を考えて,写真を並べることが
で き る 。( 学 習 シ ー ト )
3
写真の順番に合わせて,カードを選んだり並
こ れ で い
べ替えたりして,書くことを決める。
◆ 写 真 の 順 番 に 合 わ せ ,書 く 順 番 を 考 え て ,カ ー ド
いかな?
を 選 ん だ り 並 び 替 え た り す る よ う に さ せ る 。( IT
を 使 い 提 示 す る 。)
☆◆カードを選んだり並べ替えたりして,書くことを決める
こ と が で き る 。( 学 習 シ ー ト )
4 本 時 の学 習 を振 り返 る。
順番を考えて
( 1 )☆ ◆ 写 真 を 使 っ て ,カ ー ド( 付 箋 紙 )か ら 書
カードを並べ
くものを選んだり書く順番を考えて並べたりして,
られたよ!
書くことを決めることできたかを確認する。
⑤
成果と課題(○成果
●課題)
○
学級で飼っている生き物を対象にして家の人に知らせるという場の設定をしたこと
により,相手意識・目的意識が高まり,意欲的に書き進めることができた。
○
カードを選んだり並べ替えたりして書くことを決めることに,写真を使うのは順番が
分かりやすく有効であった。
●
書く順番を考えてカードを並べる時の「視点」が曖昧であった。そのため,どのよう
な並べ方がよいのか理解できにくい面もあった。
10
(イ)
①
第4学年
単元名「材料の選び方を考えよう」
単元について
本単元は,自らが学校や地域など身近なものの情報の発信者になって,情報の収集,
選択,発信を体験する活動を通し,相手や目的に応じて適切に書く力をねらって設定し
たものである。
交流校の人に教えたい「学校・地域の宝物」について調べ,集めた情報の中から相手
や目的に応じて,読み手を意識し,伝えたいことを分かりやすく,正確に伝えるためど
んな書き方をすればいいかを学びながら新聞にまとめていく。
②
本単元の指導に当たっては,次のことに留意した。
【工夫1】
・ 交 流 校 の 人 に 壺 川 小 の こ と を よ く 知 っ て も ら う た め に ,「 学 校 や 地 域 の 宝 物 を 教 え よ
う 」と い う 目 的 を も っ て 取 り 組 む こ と で ,相 手 が し り た い こ と は 何 か ,自 分 た ち が 伝
え た い こ と は 何 か を 考 え ,内 容 を 整 理 し 分 か り や す い 文 章 を 書 く こ と に 意 欲 を も た せ
た。
・分 か り や す く 伝 え る た め に ,載せ る 写 真 を ア ッ プ で 撮 る か ル ー ズ で 撮 る か 表 現 方 法 を
考えさせた。
【工夫2】
・交 流 校 の 友 達 に ,学 校 や 地 域 の 宝 物 を 教 え よ う と ,身 近 な 事 象 か ら 課 題 を 考 え る こ と
で ,「 つ か む 力 」 を つ け , 記 事 に す る 宝 物 を 決 め , 図 書 資 料 , イ ン タ ー ネ ッ ト , イ ン
タ ビ ュ ー な ど い ろ い ろ な 調 べ 方 を 経 験 す る こ と で ,「 あ つ め る 力 」 を 身 に 付 け さ せ る
ようにした。
・調 べ た い 宝 物 が 同 じ 人 で グ ル ー プ を 作 り ,自 分 の 意 見 を 言 っ た り ,友 達 の 話 を 聞 い た
り し な が ら , 話 し 合 い , よ り よ い 新 聞 作 り を 目 指 す 中 で , 情 報 を 「 え ら ぶ 力 」「 ま と
める力」を付けさせるようにした。
③
単元の目標
・伝える相手や目的に応じて,伝えたいことを意欲的に集め,表現を工夫してまとめよ
うとする。
・写真と文章を対応させて読みながら,対比的な段落関係をつかみ,文章全体の構成を
とらえることができる。
・学校や地域の宝物について知らせるために取材し,相手と目的に応じて選材して分か
りやすく伝えることができる。
④
本時の学習
ア)目標
自分たちが伝えたいこと,交流校の人が知りたいことを踏まえ,宝物新聞にどんな内
容を取り上げるかについて話し合い,選ぶことができる。
11
イ)展開(◆…情報活用の実践力にもかかわる活動・評価)
学習活動と教師のかかわり・評価
1 本時のめあてと学習内容を確認する。
○ 交流校の人からのビデオレターを視聴
することで,相手意識と目的意識を高め
る。
子どもの反応と活動の様子
・喜んでくれるかな。
・新聞を楽しみにしているんだな。
・知りたいことがあるんだな。
集 めた材 料から 知ら せたい ことを 選ぼ う。
2
宝物新聞に載せる記事をどんな内容に
するか話し合う。
〈交流校のビデオを見た〉
○自分が一番伝えたいことを選ぼう
○ビデオレターをもとに視点(宝物と思う
理由)をはっきりさせて話し合う。
○ 記事にする内容を決めるポイントを理
解する。
・じまんしたいこと
・すばらしいと思うこと
・すごいなと思うこと
・不思議に思うこと
・相手がしりたいだろうなと思うこと
〈自分が一番伝えたい
ことに印を付ける〉
○グループの材料の中から,どれを選ぶの
か個別に考え,それをグループで話し合
って決める。
◆話し合って意見を整理する。
グループごとに決まった記事にする内
容を発表する。
○なぜそれに決まったか,理由も付けて発
表する。
○さらにビデオ視聴で,相手が知りたいこ
とを具体的に聞く。
五番目の家につい
て書いたほうがい
いと思います。
理由は一番気にい
っ て い た の が・・・
3
4
本時の学習を振り返る。
○自分や友達のよさを見付ける。
・相手が知りたいことが詳しく分かってよ
かった。
・もう一度調べる必要があるな。
・グループみんなが自分の意見を言ったの
でよかった。
・自分が知らせたいことだけでなく,相手
が知りたいと思うことも考えて新聞を作
りたい。
⑤
成果と課題(○成果
●課題)
○
交 流 校 の ビ デ オ を 見 た こ と で , 相 手 意 識 が 高 ま り ,「 学 校 や 地 域 の 宝 物 」 を 知 ら せ よ
うという意欲が高まった。
○
自分が知らせたいことは何か,相手が知りたいことは何か,その根拠を話し合う中
で,目的に合った内容を選ぶことの大切さやその視点を理解することができた。
○
より分かりやすく伝えるために,アップとルーズのどちらの映像がいいか,考えて
表現することができた。
●
情報を集める段階で,子どもたちは自分が書きたいと思う記事に心が傾いていた。
その中で,グループで一つの記事を決めるということは難しかった。話し合いの場を
どのように位置付けるか学習計画の立て方に工夫が必要だった。
12
(ウ)
①
第6学年
単元名「共に考えるために伝えよう」
単元について
本単元は,調べたことを発表し,意見を提案する文章を書くという,話すこと・聞くことと書くこと
の複合単元であり,目的を明確にして話す・書く力を高めることをねらって設定したものである。
公共施設が「だれもが利用しやすい」ものになっているか実際に調べ,分かったこと,
課題等を相手に分かりやすく話したり提案文を書いたりすることで,目的を明確にし,相
手に伝えるために必要な情報を適切に選び,効果的な表現方法を考えていく。
②
本単元の指導に当たっては,次のことに留意した。
【工夫1】
・身 近 な ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン 製 品 を 実 際 に 体 験 し ,今 ま で 自 分 が 使 っ て い た も の と 比
較 さ せ る こ と で ,ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン は だ れ も が よ り よ く 暮 ら す た め に 重 要 だ と い
うことが理解できるようにした。
・伝え る 相 手 が 違 っ た 場 合 に ど の よ う な プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン を す れ ば よ い か を 考 え て 作
ることで,相手に応じた表現の工夫について考えることができるようにした。
【工夫2】
・教 師 が 用 意 し た プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン の ス ラ イ ド を 提 示 し ,分 か り や す い プ レ ゼ ン テ ー
シ ョ ン か ど う か を 話 し 合 わ せ ,相 手 を 意 識 し た プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン に は 何 が 必 要 か 理
解できるようにした。
・ス ラ イ ド を 5 枚 に 限 定 す る こ と で ,自 分 の 伝 え た い こ と を 分 か り や す く 伝 え る に は ど
の情報が必要なのかを考えて,選択できるようにした。
③
単元の目標
・
「 多 く の 人 が 使 え る よ う に 」な る こ と を 考 え て ,身 近 な 施 設 や 物 に 関 心 を も ち ,進 ん で 調
べたり発表したりしようとしている。
・調べたことが,クラスの友達に分かりやすく伝わるように工夫して発表することができ
る。
・多くの読み手に提案内容が分かりやすく伝わるように組立てを工夫して書くことができ
る。
④
本時の学習
ア)目標
自分の伝えたいことが分かりやすく伝わるかどうかを意識して資料を選び,目的や相手
に応じて分かりやすいプレゼンテーションを作るために工夫することができる。
イ)展開(◆…情報活用の実践力にもかかわる活動・評価)
学習活動と教師のかかわり・評価
1 本時のめあてを知る。
○ 教師が作ったプレゼンテーショ
ン の ス ラ イ ド を 提 示 し ,分 か り や
す い か ど う か 問 い か け ,問 題 点 を
出し合う。
子どもの反応と活動の様子
・文字が多いので見にくい。
・写真と文字を組み合わせた方
がよい。
・丸暗記しているようだ。
・クイズを入れたりして興味を
もってもらう。
・相手を引き付ける話し方になっていない。
13
目 的 や 相 手 に 応 じ て ,分 か り や す く 伝 え る プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン を 作 ろ う 。
2
グループで話し合って,共通の
素材から5枚のスライドを使い,
1つのプレゼンテーションを作
る。
・この写真を使った方が,分かりやすいんじゃない
かと思う。
・全体を見せて,その後に詳しく見せる写真を使っ
た方がいいと思う。
相 手 を 引 き 付 け ,相 手 に 分 か り
やすいプレゼンテーションを
作 っ て も ら い ま す 。3 枚 の 写 真
を選びます。どれを選びます
か?
○
共通の素材を使ってプレゼンテ
ーションのスライドを作ること
を確認する。
◆ 共 通 の 素 材 を 用 意 し ,そ れ を 5 枚
のスライドで分かりやすく伝え
るようにする。
・タイトル(キャッチコピー)
・手 す り が 2 つ あ る の だ っ た ら 他 の 写 真 の 方 が よ い 。
・私たちが一番驚いた手すりについて説明したいの
で別の写真にした。
ドアノブやステッカーが
あり,中も見えるので説
明しやすいと思う。
・見付けたユニバーサルデザイン
のよさ(アピールポイント)
・まとめ(自分の考え)など
○ その言葉を使う理由,その画像
を 使 う 理 由 な ど ,お 互 い の 考 え を
出 し 合 い ,よ り よ い も の に す る た
めに話し合うよう促す。
3
できたスライドの1つを示し全
体で話し合う。
○ 1つのグループのスライドを使
って実際にプレゼンテーション
を 作 り ,他 の グ ル ー プ と ど う 違 う
かを話し合わせる。
○ 自分たちはなぜそのようなスラ
イ ド に し た の か ,そ の 理 由 を 発 表
させることで理解を深める。
4 本時の学習を振り返る。
僕たちはドアの部分
より中がもっと詳し
い写真を使った。
・伝えたいことに合った写真を選ぶことが大切なん
だな。
・
「 不 思 議 な ト イ レ 」と い う タ イ ト ル を 付 け て 相 手 の
興味を引くようにしよう。
・相手を引き付ける出だしを考えるようにしよう。
⑤
成果と課題(○成果
●課題)
○
導入において,分かりにくい例を提示したことで,問題点を把握し,本時のめあてを
つかむことができ,よりよいものを作ろうという意欲が高まった。
○
ユニバーサルデザインを伝えるための写真を選び,提示順や引き付けるタイトルを考
え ,そ の 根 拠 を 話 し 合 う 中 で ,目 的 に 合 っ た 写 真 を 選 ぶ こ と や 引 き 付 け る タ イ ト ル の 大
切さを理解することができた。
●
選ぶ写真は3枚だったが,それぞれが根拠をもって選んでいたため,それをグループ
で ま と め る の に 時 間 が か か り ,相 手 を 引 き 付 け る タ イ ト ル や 話 す 内 容 ま で 十 分 考 え る 時
間が取れなかった。写真を選ぶことと引き付けるタイトルや内容を考えることを分け,
子どもたちの思考がより深まるような指導計画を立てることが大切である。
14
2
「情報活用の実践力」をはぐくむ算数科の学習
(ァ)
第2学年
単元名「形をしらべよう」
① 単元について
本単元「形をしらべよう」では,身の回りにある具体物を観察し,色,大きさ,位置,
材質などを捨象して,形に着目しながら弁別・分類したり,図形をかいたり,作ったりす
る。その活動の中で,試行錯誤や友達の情報を収集したり,情報を整理したりする必要が
あ る 。 し た が っ て , 情 報 活 動 の 実 践 力 に お い て は ,「 あ つ め る 力 」「 え ら ぶ 力 」 を 育 成 す る
のに適した教材である。
② 本単元の指導に当たっては,次のことに留意した。
【工夫1】
・「 き づ く 場 」 に 当 た っ て は , 動 物 を 直 線 で 囲 む と い う 活 動 に 十 分 な 時 間 を か け て , 三
角形と四角形を構成している要素に気付かせる。
・「 た め す 場 」 で は , 三 角 形 と 四 角 形 を 構 成 し て い る 要 素 を も と に 色 板 を 実 際 に 操 作 さ
せて,分類させる。
・「 つ か う 場 」 で は , 紙 を 折 っ た り 切 っ た り し て 三 角 形 や 四 角 形 を 作 っ た り , 直 線 を 引
い て 作 図 し た り す る 活 動 を 十 分 に 行 う 。そ の こ と に よ っ て ,三 角 形 や 四 角 形 に 対 す る
理解をさらに深める。
【工夫2】
・ 色 板 で 作 ら れ た 図 形 を 形 の 特 徴 に 着 目 し て 「 三 角 形 」「 四 角 形 」 に 分 類 す る 過 程 の 中
で ,「 え ら ぶ 力 」 を 育 て る 。
・ 身 の 回 り か ら 三 角 形 や 四 角 形 を し た も の を 取 り 出 す 活 動 を 通 し て ,「 あ つ め る 力 」 を
育てる。
③ 単元の目標
・「 三 角 形 」「 四 角 形 」 に つ い て 知 り , そ れ ら を 描 い た り 作 っ た り す る こ と が で き る 。
④ 本時の学習
ア)
目標
点と点を直線で囲む操作を通して三角形,四角形の定義を知ることができる。
イ)
過程
展開 (◆…情報活用の実践力にもかかわる活動・評価)
学習活動と教師のかかわり・評価
子どもの反応と活動の様子
どうぶつのいえを
1
きづく
点と点を直線で結んで,動物
を囲む。
・大きな3枚の板を使って,囲ん
でみせる。
・実際に,ものさしを使って動物
を囲んでみせる。
・学習シートを全員に配り,操作
の約束を守らせて,それぞれの
動物を囲ませる。
つくろう。
・ちゃんと囲まないと,動物がすきまから出て
いくよ。
・ものさしでまっすぐな線を引くのは,難しい
な。
・点と点をきちんと結ばなくちゃ。
・できるだけ少ない線で囲まないといけないな。
・どれとどれを結べばいいのか分からない。
15
どうぶつのいえを
2
なかまわけしよう!
できた形を2つの仲間に分け
る。
かどかどが3つと
◆ペアになり,枠線の付いた色板
を使って,操作をしながら分類
させる。
4つで分けよう!
ためす
かべが3つと
・仲間分けの観点を自分なりに見
付けさせる。
かべが4つだ!
◆2つに分類することができたか(観察)
3
三角形と四角形の定義を知
る。
・三角形,四角形の用語を知らせ
それぞれどんな形と言えばよい
かを考えさせて,意味付けをさ
せる。
・導入時に3枚の板で囲んだこと
を思い出させて,意味付けをさ
せる。
つかう
4 その他の図形を分類する。
・曲線でできた図形,閉じていな
い図形についても考えさせる。
さらに,それぞれ三角形や四角
形でない理由も発表させる。
5
本時を振り返り,まとめをす
る。
・単元の学習課題をつかませる。
かどが3つの形
です。
3本の直線で囲
んだ形です。
・直線でないので,三角形(四角形)ではない
です。
・囲まれていないので,三角形(四角形)では
ないです。
・か ど が と が っ て い な い の で ,三 角 形( 四 角 形 )
ではないです。
三角形と四角形について
しらべていこう。
⑤ 成果と課題(○成果 ●課題)
○
「 き づ く 場 」 に お け る 動 物 囲 み の 演 示 と IT 教 材 に よ る ヒ ン ト の 提 示 で , 全 員 , 学 習
シ ー ト の 動 物 を 囲 む こ と が で き た 。「 た め す 場 」 で は ,「 き づ く 場 」 に お け る 3 枚 の 板 で
の動物囲みを思い出させて三角形と四角形を定義付けすることができた。
「 つ か う 場 」で
は , IT 教 材 を 使 っ て そ の 他 の 図 形 を 映 し 出 す こ と に よ り , 分 類 す る こ と が で き た 。
○
色板を使って分類させたことにより,全てのペアが図形を三角形と四角形に分けるこ
と が で き た 。「 え ら ぶ 力 」 が 高 ま っ た 。
●
仲 間 分 け の 場 面 で は ,ペ ア で の 操 作 活 動 や 話 し 合 い を 設 定 し て ,
「 あ つ め る 力 」を 高 め
たかったが,活発な話し合いができなかった。仲間分けの段階で,自分の考えを記録す
る活動を取り入れておく必要があった。
16
(イ)第 3 学年
①
単元名「一万をこえる数―大きい数をしらべよう―」
単元について
子どもたちは,第 2 学年までに一万までの数について,十進数の仕組みや位取り,命数
法・記数法,数の系列,順序,大小などの基礎的なことについて学習している。本単元で
は ,こ の 上 に 立 っ て 「万 」の 位 を 導 入 し ,数 の 範 囲 を 拡 張 す る 。千 万 ま で の 数 の 表 し 方 は ,「万 」
を 単 位 と し て 一 ,十 ,百 ,千 を そ の ま ま 用 い て 考 え ら れ る よ う に す る こ と を ね ら っ て い る 。
こ こ で は , 千 万 ま で の 数 の 表 し 方 に お い て も , 数 字 の 位 置 が 左 に 一 つ 移 る と 10 倍 に な り ,
右 に 一 つ 移 れ ば 1 / 10 に な る と い う , 十 進 位 取 り 記 数 法 の 原 理 の 意 味 を 理 解 さ せ る 。
②
本単元の指導に当たっては,次のことに留意した。
【工夫1】
・ 「き づ く 場 」で は , IT を 活 用 し た カ ー ド ゲ ー ム を 行 い , 画 面 上 の 5 位 数 よ り も 大 き な 数
を作る学習課題をつかませる。
・「 た め す 場 」 で は , ク ラ ス を 2 チ ー ム 6 班 に 分 け , 相 手 チ ー ム よ り も 大 き な 5 位 数 を 作
る カ ー ド ゲ ー ム を 行 わ せ る 。そ し て ,作 っ た 5 位 数 の 大 小 比 較 を す る 際 ,何 の 位 の 数 を
比 べ れ ば よ い か を 考 え さ せ ,一 万 の 位 が 同 じ と き は そ の 右 の 千 の 位 の 大 き さ を ,千 の 位
が 同 じ と き は 百 の 位 を 比 べ れ ば よ い こ と を と ら え さ せ る 。さ ら に ,作 っ た 数 を 数 直 線 上
に表示させ,数の大小を数直線上の位置の関係で理解させる。
・「 つ か う 場 」 で は , 隣 同 士 で カ ー ド ゲ ー ム に 取 り 組 み , 数 の 大 小 比 較 を 行 い , 学 習 の 習
熟を図る。
【工夫2】
・4 位 数 の 位 取 り 記 数 法 の 学 習 経 験 の 上 に 立 ち ,具 体 的 場 面 か ら「 万 」の 位 を 理 解 さ せ る
ことを通して「あつめる力」を育てる。
・ 既 習 の ( 一 ,十 ,百 ,千 )と ( 一 万 ,十 万 ,百 万 , 千 万 )の 記 数 法 と 命 名 法 の 仕 組 み を
発見的にとらえさせる活動を通して,情報を「えらぶ力」を育てる。
・数を数直線上に表す活動を通して,自分の考えをはっきりさせて正確に「つたえる力」
を育てる。
③
単元の目標
・一万を越える数の仕組みについて関心をもち,位取り記数法のよさが分かる。
・一万の位までの位取りと同じ仕組みで千万までの数の仕組みを説明できる。
・数の仕組みに着目して,千万までの数を読んだり書いたりできる。
・千万の位までの数の仕組み,読み方,書き方が理解できる。
④
本時の学習
ア)目標
カ ー ド ゲ ー ム を 通 し て ,万 の 位 ま で の 数 に つ い て 大 小 比 較 が で き ,数 直 線 上 に 表 し た り ,
数直線上の数を読んだりすることができる。
17
イ)展開(◆…情報活用の実践力にもかかわる活動・評価)
過程
学 習 活 動 と 教 師 の か か わ り・評 価
1
子どもの反応と活動の様子
学習課題をつかむ。
カードゲームでパソコンより大きい数を作ろう
きづく
◆ IT を 活 用 し た カ ー ド ゲ ー ム の ・一 万 の 位 に 近 い 左 の 方 に 大 き な 数 を も っ て き た ほ
ルールを説明し,画面上の 5
位数よりも大きい 5 位数を作
ることをつかませる。
うがいいよ。
・ 2 回 戦 は ,1 枚 だ け 「 ? カ ー ド 」 が 出 て く る そ う
だ よ 。数 が 何 か 分 か ら な い か ら ,何 の 位 に し よ う
か?
相手チームよりも大きい数を作ろう
2
ためす
クラスを2チーム6班に分
5枚のカード
け,相手よりも大きな5位数
のどこかに必
をつくるカードゲームを行
ず「 ? カ ー ド 」
う。
が出てくるよ
・勝敗の判定はどうすればいい
「 9 」が 出
かを問い,一万の位が同じと
きは,その右の千の位を,千
の位が同じときは百の位を比
べればよいことをとらえさせ
う ん 。私
た 。こ れ は
も そ う
一万の位
思う。
だね。
る。
◆友達との話し合いを通して,なるべく大きい5位
数を作る情報を見付けようとしたか。
(観察)
カードゲームで,友達より大きい数を作ろう
3
隣同士でカードゲームに取
つかう
り 組 み ,数 の 大 小 比 較 を す る 。
・自分が考えた5位数をノート
に書かせたり,数直線上に表
させたりして,大小を比較さ
数直線に表すと
きに注意するこ
とはどんなこと
かな?
せる。
⑤
成果と課題(○成果
●課題)
○
「きづく場」では,ITを活用したカードゲームを用いたことで,子どもたちは意欲
的 に 学 習 に 取 り 組 み ,課 題 把 握 が で き た 。
「 た め す 場 」で は ,チ ー ム 対 抗 で 数 の 大 小 比 較
を行ったことで,子どもたちは話し合いを重視し,チームみんなの合意が得られた上で
数のならべ方を決めることができた。
「 つ か う 場 」で は ,数 直 線 に 表 す と き の 留 意 点 を と
し て ,「 1 目 盛 り が い く つ を 表 し て い る か 考 え る 」 と い う こ と を と ら え る こ と が で き た 。
○
「ためす場」では,話し合いを重視し,意見の交流を図ったことで,なるべく大きな
数を作るための情報を「えらぶ力」が高められた。
●
ゲームの中で,1部の子どもの意見で話し合いが進むことがあった。全ての子どもが
自分の意見を友達に伝えるために,ワークシートの工夫など考えを記録して発表する活
動などを取り入れるべきだった。
18
(ウ)
①
第5学年
単元名「計算の見積もり」
単元について
本単元は,第4学年の「概数の意味」の学習を引き継ぎ,和や差の計算見積もりがで
きることをねらいとしている。ある位までの和や差の計算見積もりの仕方や,目的に応
じて適切な方法を選択しながら処理できる力を培うものである。見積もる仕方としての
四捨五入で位を揃えてまとめたり,切り上げや切り捨てなどを用いたり,数の組み合わ
せを考えた加法で見積もったりする方法を理解する教材である。
②
本単元の指導に当たっては,次のことに留意した。
【工夫1】
・「 き づ く 場 」 で は , IT 教 材 で 値 段 を 提 示 し 簡 単 な 計 算 を す る こ と で , 見 積 も り の 計 算
をするという見通しとやる気がもてるようにする。
・「 た め す 場 」 で は , 値 段 の 見 せ 方 を 工 夫 す る こ と に よ っ て , 問 い を 引 き 出 し , 友 達 の
考 え を 検 討 し た り 自 分 の 考 え を 伝 え た り し て ,お 互 い に 情 報 を 交 換 し な が ら 解 決 し て
いけるようにする。
・「 つ か う 場 」 で は , グ ル ー プ 別 に 見 通 し を 話 し 合 い , ゲ ー ム を す る こ と に よ っ て , 一
人一人が「ためす場」での考えを生かしていけるようにする。
【工夫2】
・見 積 も り の 計 算 を す る と き や 学 習 し た こ と を 使 う 場 面 で ,ペ ア や グ ル ー プ で 課 題 を 解
決 し た り す る こ と で ,「 あ つ め る 力 」 や 「 つ た え る 力 」 を 育 て る 。
・値 段 の 見 せ 方 を 工 夫 し た り ,子 ど も の つ ぶ や き や 発 言 を ,考 え の ヒ ン ト に な る よ う に
板 書 し た り す る こ と で ,「 え ら ぶ 力 」 を 育 て る 。
③
単元の目標
・目的に応じて,概数を使って和の計算見積もりをしようとする。
・目的に応じた和の見積もりの仕方を工夫することができる。
・和や差の計算見積もりを適切に行うことができる。
・和や差の計算見積もりの仕方が分かる。
④
本時の学習
ア)目標
見積もりの必要性に気付き,和や差を概算で見積もったり,切り上げや切り捨てにより
見積もったりすることができる。
イ)展開 (◆…情報活用の実践力にもかかわる活動・評価)
過程 学習活動と教師のかかわり・評価
子どもの反応と活動の様子
1 学習課題をつかむ。
10, 40, 30, 簡 単 。
◆プロジェクターで表示される値
100 円 で 買 え る 。
きづく
段 を 見 て 100 円 で 買 え る か を 考
えさせる。
すばやく答えましょう。100円で買えるかな?
◆すぐには計算しにくい値段を与
17 , 46 , 37 , え ー 難 し い 。 四 捨 五 入 す
えて,子どもが課題を見付けら
る と 110 だ け ど , 計 算 す る と 1 00 円 。
れるようにする。
19
ペ ア 買 い 物 ゲ ー ム 「 じ ょ う ず に 買 い ま し ょ う 。」
2
切り上げや切り捨てによる見
積もりの仕方を考える。
A は,えっ?あ,分
か っ た 。四 捨 五 入 し
て 切 り 上 げ て 1000
円だから,買える。
・商品券1000円で買えるのは
どれか,計算の方法を考える。
◆3種類の値段の組み合わせから
条件に合うものを自分で選び,
その理由をペアで話し合わせ
る。
B は,買えない。百の位だ
けで分かる!
ためす
A(198・ 489・ 297)
C は,えー!あと
300 円 以 内 な ら い
いから,十の位が
何でも買えるよ。
B(210・ 530・ 390)
C(198・ 498・ 2● 0)
・1000 円 を 超 え る よ う に 買 う 方 法
を考える。
また十の位が消え
ているけど,また
切り上げで考えて
いいかな…
◆ 3 品 目 の 値 段 の 中 か ら 1000 円
を越える組み合わせを自分で選
び,その理由をペアで話し合わ
せる。
( 200)( 510)( 300)
( 540)( 250)
( 3● 0)
200 と 500 で 少 な め に 考 え て あ
と 300 で 1000 だ か ら ・ ・ ・ 。
☆ ◆ 切 り 上 げ や 切 り 捨 て が 分 か る 。( 観 察 ・ シ ー ト )
グループ対抗買い物ゲーム「すばやく買いましょう」
つかう
3 買い物ゲームをする。
・ 800 円 内 で 買 え る 物 を す ば や く
選ぶ。
◆どう計算すれば条件に合うか,
スタート前にグル−プで作戦を
立て,1人1人選ばせる。
800 円 内 だ か ら ,切 り 上
げ て 800 円 な ら い い よ 。
・たくさんあります。
・一番安くしました。
⑤ 成果と課題(○成果 ●課題)
○
「 き づ く 場 」で は ,IT 材 で 値 段 を 提 示 し 簡 単 な 計 算 を さ せ た こ と で ,四 捨 五 入 に 目 を
向 け 見 積 も り の 計 算 を す る と い う 見 通 し と や る 気 を も た せ る こ と が で き た 。「 た め す 場 」
では,百の位に注目するように値段を工夫したことで,四捨五入から切り上げ・切り捨
てして 見積も って いく ことに自然に気付 いて いくこ とがで きた 。ま た,十の位を 隠し て
値 段 を 提 示 し た こ と で , 能 動 的 に 見 積 も り の 方 法 を 考 え て い く こ と が で き た 。「 つ か う
場」では,班で話し合う時間をとったことで,全員が答えを出すことができた。
○
値段を吟味したり,一部を隠したりして提示したことや,子どものつぶやきや発言を
整理して板書したことで「えらぶ力」が高まり,見積もりの方法を考えることができた
●
グ ル ー プ で の 話 し 合 い を 設 定 し た が ,時 間 が 足 り ず に 不 十 分 な ま ま で 終 わ っ た 。
「きづ
く場」での提示をテンポよく行うことで,話し合いの時間の確保をするべきだった。
20
(エ)
①
第5学年
単元名「数のくさり(フィボナッチ数列)」
単元について
本単元「数のくさり」は,フィボナッチ数列のようにして作り上げる数列である。本教
材では,第5項の数を40に決め,出発数を考えていく。その答は,1つではない。その
答を求めるためには,試行錯誤や友達の情報を収集したり,情報を整理したりする必要が
ある。その中で,見えてくるものを「新しい情報」として自分たちの手に入れることので
きる教材である。
②
本単元の指導に当たっては,次のことに留意した。
【工夫1】
・「 き づ く 場 」 で は , 問 題 解 決 を 通 し て 「 数 の く さ り 」 の 作 り 方 を と ら え さ せ , 出 発 数
の2数の順番によって数列が決定することをおさえる。
・「 た め す 場 」で は ,試 行 錯 誤 の 結 果 に 出 た 答 え を 整 理 さ せ ,「 な に か き ま り が あ り そ う
だ」
「 き ま り を 見 付 け た い 」と い う 意 欲 を も た せ る 。そ の た め に ,デ ー タ を 収 集 ・ 整 理
して,分析できる板書を工夫する。
・「 つ か う 場 」 で は ,「 他 の 数 で も で き る の か 」 を 追 求 す る 際 に ,「 た め す 場 」 で 見 付 け
たきまりを活用する中で,きまりのよさを実感させる。
【工夫2】
・ 一 人 一 人 の 見 付 け た 数 列 を デ ー タ と し て と ら え ,全 て の 数 列 を「 あ つ め る 力 」を 高 め
る。また,数列を整理,分析し,きまりを見付けることで必要な情報を「えらぶ力」
を育てる。
・ さ ら に ,分 析 し た 結 果 か ら ,い ろ い ろ な 場 合 に 適 応 で き る よ う に 処 理 す る「 ま と め る
力」も高める。
③
単元の目標
・「 数 の く さ り 」 に つ い て , 進 ん で 出 発 数 を 求 め よ う と す る 。
・「 数 の く さ り 」 の き ま り に つ い て , 考 え る こ と が で き る 。
・「 数 の く さ り 」 の き ま り を 使 っ て , い ろ い ろ な 数 列 を 作 る こ と が で き る 。
・「 フ ィ ボ ナ ッ チ 数 」 が , 自 然 界 に 多 く 存 在 す る こ と を 知 る 。
④
本時の学習
ア)目標
「数のくさり」の出発数を求めることで,情報を整理してきまりを考えることができる。
きづく
イ)展開(◆…情報活用の実践力にもかかわる活動・評価)
過程 学習活動と教師のかかわり・評価
子どもの反応と活動の様子
1 「数のくさり」のルールにつ
いて知る。
・1,2,3だから次は,4だ。
① 1 , 2 , 3 ,( ),( )
・えっ「5」?どうして?
② 3 , 0 ,( ),( ),( )
・分かった。次は8だ。
・出発数を決めれば,あとは自動 ・え∼。分からないよ。
的に決まることをおさえる。
・前の2数をたすと次の数が分かるよ。
2 「計算おみくじ」をする。
・あ∼!分かった。次は,5+8で13だ。
□ , ○ ,( ), ★ の 出 発 数 は 何 で し ょ う 。( た だ し , 1 つ は 0 で , ★ は 1 桁 で す 。)
★は6であることを伝える。
・0と1かな?2と0かな?
・ あ ∼ 。と い う こ と は ,出 発 数 は ,( 0 ,3 )と
(6,0)だ。
21
□ , ○ ,(
3
),[
], 4 0 の 出 発 数 を 見 付 け よ う 。
「計算おみくじ」で第5項が
40のときの出発数を求める。
見付かったぞ。
出 発 数 は ,2 0 と 2 0
だ
◆1つ見付けたら,他にもないか
考えさせる。
他にもありそうよ。
・できた数列はカードに書いて黒
板に貼らせる。
ためす
5番目の40は,
3番目と4番目の
和ですよね…
◆きまりを見付けさせるために,
考えやすいようにカードを整理
させる。
・出発数を1つも見付けられない
子どもは集めてヒントを出す。
(→)
わかった!
逆から考えるといいんだ!
4 きまりを見付ける。
・出発数の見付け方につながるき
まりを引き出す。
第1項と第3
項,第4項に
20があるよ。
第1項は,3ず
つ増えている。
第2項は,2ず
つ減っている。
◆ き ま り を 考 え る こ と が で き た か 。( 観 察 )
きまりを使って,他の数のときも求めてみよう。
つかう
5
きまりを使って,第5項が2
0のときを考える。
・第5項が40のときのきまりを
利用してできることに気付かせ
る。
6 自然界にフィボナッチ数が数
多くあることを知る。
・花弁の数やひまわりの種の数
・10と0でできた。
・僕は,4項,3項から考えて出したよ。
・他にも簡単に見付けられそうだ。
( ソ メ イ ヨ シ ノ 5 枚 )( 宵 待 草 8 枚 )( デ ー ジ ー 1 3 枚 )
⑤
成果と課題(○成果 ●課題)
○
「きづく場」での,問題解決を通した「数のくさり」の作り方の提示は子どもによく
理 解 さ せ る こ と が で き た 。ま た ,
「 計 算 お み く じ 」と い う 設 定 で ,自 然 に 第 5 項 が 4 0 の
場合について考えることができた。
「 た め す 場 」で は ,考 え が う か ば な い 子 ど も を 集 め て
指導したことで,全員が1つ以上の数列を見付けることができた。また,きまりを考え
る場面では,作業をやめさせ、黒板の前に集めて話し合いをした。このことで,全員が
きまりを見付けることができた。
「 つ か う 場 」で は ,子 ど も か ら 次 に 見 付 け て み た い 数 を
出させ,みんなで考えることができた。
○
一人一人の見付けた数列をデータとしてとらえさせることができたことで,全ての数
列 を 見 付 け る こ と が で き た 。「 あ つ め る 力 」 が 高 め ら れ た 。
●
「ためす場」での,40の出発数を見付ける活動は,子どもたちの意欲が大きく予定
した時間より長くなってしまった。
「 き づ く 場 」を も っ と 簡 潔 に 行 う こ と で ,自 力 解 決 の
時間を保障すべきであった。
22
3
情報ミニプロジェクト学習
IT 技 能 系 統 表 を も と に し な が ら ,学 年 の 初 め に ,情 報 ミ ニ プ ロ ジ ェ ク ト を 総 合 的 な 学 習
の 時 間 に 位 置 付 け ,各 教 科 等 の 学 習 の 中 で ,子 ど も が IT 技 能 を 十 分 使 え る よ う に し て い る 。
この情報ミニプロジェクトで習得した技能については国語科や社会科や総合的な学習の時
間など各教科等で活用している。各学年の計画は次のとおりである。
3年「わたしがみつけたおもしろいもの」
4年「ぼくの木,私の木」
5年「ポスターでつたえよう!」
6年「私たちのホームページを作ろう」
3年
4年
5年
6年
「わたしがみつけた
「ぼくの木 ,私 の木 」
「ポスターでつたえ
「私 たちのホームペ
よう!」
ージを作ろう」
例をもとにポスター
テーマを決めよう
おもしろいもの」
好きな木を見付
デジタルカメラでおもしろ
けよう
いものを撮影しよう
デジタルカメラ
で撮影できる。
撮影した画像を貼
り付けよう
デジ
ラで
画像
ンに
る。
タ
撮
を
保
ル
影
パ
存
カ
し
ソ
で
メ
た
コ
き
プリンタを選択
し て (モ ノ ク ロ ,
カ ラ ー な ど )で 印
刷できる。
について考えよう
検索エンジンを
使ってホームペ
ージを検索し必
要な情報を得る
ことができる。
どんな写真や
言葉が効果的
かを考える。
調べよう
好きな木につい
調べよう
て調べよう
呼びかけたい
こ と を 探 し ,デ
ジタルカメラ
で写真に撮る。
デジタルカメラ
で撮影した画像
をパソコンに保
存することがで
きる。
好きな木の紹介
まとめよう
カードを作ろう
キーボードでおもしろ
いものの紹介文を入力
しよう
保存した画像を
加工することが
できる。
文字をキーボ
ード入力(ロ
ーマ字入力)
することがで
きる。
文字をキーボー
ド入力(ローマ
字入力)するこ
とができる。
印刷して文集を作
好きな木に紹介カ
ろう
1組
「クラス紹介」
2組
「友達紹介」
写真をパソコン
に取り込んで,
文字を入れて保
存する。
完成したポスター
を掲示する。
伝えよう
ードを付けよう
デジタルカメラ
で撮影できる。
ホームページを作
ろう
ホーム
作成ソ
使って
書くこ
きる。
ー
ト
字
が
ジ
を
を
で
ホームページ作
成ソフトを使っ
て壁紙や画像を
貼ることができ
る。
それぞれのペー
ジにリンクを張
る こ と が で き
る。
ホームページで
発表しよう
23
ペ
フ
文
と
(1)
①
実践例
4年「ぼくの木,私の木」
活動について
理科の「自然を調べよう」で身の回りの植物などについて調べる学習を行った。その活
動の後,校内にもいろいろな木があることに目を向けさせ,興味をもたせることにより校
内の木について調べてみたいという目的意識をもたせ活動を行った。
②
ねらい
パソコンなどの情報機器を活用して,自分の木について伝
えたいことを,木の紹介カードに作成することができる。
③
活動内容
ア)
好きな木を見付けよう
理科の学習と関連付け,校内の木について目を向けさせ興
味を持たせた。子どもたちは校内の木について調べてみようという目的意識をもち,校内
の木の中で自分が好きな木を見付けた。
イ)
好きな木について調べよう
校内で見付けた木について本で調べたり,詳しい人に聞い
たり,インターネットで検索エンジンを使って,ホームペー
ジ を 検 索 し た り し て ,そ の 木 の 特 徴 な ど 必 要 な 情 報 を 集 め た 。
ウ)
好きな木の紹介カードを作ろう
まず,デジタルカメラで写真を撮る練習を行った。練習の後,実際に自分が好きな木の
写 真 を 撮 る 活 動 を 行 っ た 。 さ ら に ,デ ジ タ ル カ メ ラ で 撮 影 し た 画 像 を パ ソ コ ン に 保 存 し た 。
ここでは,カードリーダーを使って画像を自分のフォルダの中に保存を行う。保存した画
像は必要なところだけを切り取り,紹介カードに貼り付ける。さら
に,そこに紹介文を入力していく。文字の入力の技能については,
木の紹介カードを作るために,キューブのキーボードレッスンやキ
ーボー島アドベンチャーというサイトを利用して練習を行った。そ
し て ,そ の 技 能 を 使 っ て ,そ れ ぞ れ の 木 の 紹 介 文 を 入 力 し て い っ た 。
次に作成した紹介カードを印刷した。ここで,印刷の技能を習得し
た。
エ)
好きな木に紹介カードを付けよう
このようにして多くの技能を活用しながら作成した紹介カードを木に取り付けた。
このように,4年生の「ぼくの木,私の木」という情報ミニプロジェクトでは,次のよ
う な IT 技 能 を 育 て て き た 。
・検索エンジンを使ってホームページを検索し必要な情報を得ることができる
・デジタルカメラで撮影できる
・デジタルカメラで撮影した画像をパソコンに保存することができる
・保存した画像を加工することができる
・文字をキーボード入力することができる
・プリンタを選択して印刷できる
24
( 2 ) 各 教 科 で の IT 技 能 の 活 用
前 述 の 情 報 ミ ニ プ ロ ジ ェ ク ト で 培 っ た IT 技 能 に つ い て は い ろ い ろ な 教 科 ,単 元 の 中 で 必
要に応じ活用してきたが,特に次のような学習の中で生かし,よりそれぞれの学習効果を
上げてきた。
国語科
社会科
総合的な学習の時間
①
・新聞記者になろう
・「 伝 え 合 う 」 と い う こ と
・郷土につたわるねがい
・わたしたちの熊本県
・みんなにやさしいまち壺川
IT 技 能 「 検 索 エ ン ジ ン を 使 っ て ホ ー ム ペ ー ジ を 検 索 す る こ と が で き る 」
国 語 科 の「「 伝 え 合 う 」と い う こ と 」と い う 単 元 で ,福 祉 に 興 味 を も ち ,自 分 た ち に と っ
て点字や盲導犬など必要な情報をインターネットで探し,情報を集めた。
②
IT 技 能 「 プ リ ン タ を 選 択 し て 印 刷 で き る 」
社会科の「郷土につたわるねがい」という単元において
見学して分かったことを発表するという活動の中で生かし
た。デジタルカメラで撮影した画像をプリンタを選択して
印刷し,資料を作り,その資料をもとに発表を行った。
③
IT 技 能 「 デ ジ タ ル カ メ ラ で 撮 影 で き る 」
総 合 的 な 学 習 の 時 間 の「 学 校 の バ リ ア フ リ ー を 調 べ よ う 」
という活動で,校内のバリアフリーを探し,見付けたもの
はデジタルカメラで撮影し,まとめや発表という活動の中
で活用した。
④
IT 技 能 「 文 字 を キ ー ボ ー ド 入 力 す る こ と が で き る 」
国語の「4年3組から発信します」という単元の中で校
区の中で自分たちが伝えたいものをについて調べ,熊本市の地域教育情報ネットワーク内
の Web マ ッ プ 熊 本 市 を 利 用 し , そ の 中 の 子 ど も 観 光 マ ッ プ に 自 分 た ち の ペ ー ジ を 作 り , 写
真と紹介文で発信した。
(3)成果と課題
○
系 統 的 に 指 導 す る こ と で ,学 年 に 応 じ た 活 動 が で き ,情 報 機 器 の 活 用 技 能 の 高 ま り が 見
え た 。 情 報 ミ ニ プ ロ ジ ェ ク ト の 中 で 身 に 付 け た IT 技 能 を 各 教 科 な ど で 活 用 す る こ と が で
きた。
●
パソコンについての基本操作やデジタルカメラの操作などほとんどの子ができるよう
になっている。しかし,ローマ字入力の速さなど技能に少し差がある。今後も活動を通
して,習熟を図る必要がある。
●
情報モラルについては,総合的な学習の時間など活動の中に積極的に必要な場面を組
み込み,系統的な指導をしていかなければならない。
25
4
「情報活用の実践力」をはぐくむ児童会活動
子どもたちが身に付けた「情報活用の実践力」を働かせ,工夫して表現することを楽し
む場として,児童会・委員会活動の運営方法の改善を試みた。これまでの委員会活動を振
り返ってみると,毎年ある行事の担当や当番的な活動が多かったように思う。このような
活動は,ともすればあらかじめ決められた行事を消化する活動になりがちで,自分たちで
情報を集めたり,その情報をもとに考えたり,新たな活動を創造したりするという意欲が
生まれにくいものである。そこでそれぞれの委員会が,情報活用の実践力を働かせ,自分
たちでできる企画を考え,積極的に取り組めるような児童会活動を目指し,児童会組織や
運営の改善を図った。
子どもたちが思いをもち,考えを出し合い,練り合い,高め合うことができるように,
まず,児童会テーマを掲げ,児童会の各委員会が,一つの方向性をもって共に活動できる
ようにした。そして,児童会役員と各委員会との連携を図り,全ての児童が一つのテーマ
のもと,その実現を目指していくようにした。下の図が本年度の児童会の組織である。
平成17年度児童会テーマ
一人一人が主人公
緑だね
明るいね
りっぱだね
笑顔いっぱい壺川小
児童会役員
【明 るいね部 会 】
【りっぱだね部 会 】
【お知 らせ部 会 】
・なかよし委 員 会
・健 康 委 員 会
・パソコン委 員 会
・緑 化 委 員 会
・図 書 委 員 会
・生 活 委 員 会
・放 送 委 員 会
・運 動 委 員 会
・給 食 委 員 会
【緑 だね部
会】
・美 化 委 員 会
全校児童
各委員会が,テーマ実現のために部会別活動を行っている。部会別活動には,集会活動
での発表と自分たちで企画・運営するイベント活動がある。
(1)集会活動での発表
毎週水曜日の朝を集会の時間とし,次のように位置付けた。第一週を学校朝会・校長先
生のお話,第二週をグリーンクリーン活動,そして,第三週以降を全て児童集会とし,児
童会役員と11の委員会で責任をもって運営することにした。どの委員会にも,自分たち
の思いや考えを伝える場と時間を保障した。子どもたちは,各部会の伝えたいことをしっ
かり考え,目的意識をもって集会の内容を考え,表現の工夫をした。1年生にも分かるよ
うにオリジナル劇を作って,表現しようとする委員会もあった。相手を意識して,シナリ
オの内容をしっかり考えていた。
ここに授業で培った情報活用の実践力が発揮された。
26
①
緑だね部会の例
放送集会
放送委員会は,5分前行動を促す音楽と放送を
朝の放送が始まったよ。
流している。5分前に行動することが,集団生活
朝のグリ
をする上でとても大切であるということを,1年
ーンボラ
生にも分かりやすく,劇を通して伝えることがで
ンティア
きた。またその時に流れる音楽を印象付けるため
の時間で
にイントロ当てクイズにして,全校児童が音楽で
す。
合図を守ろう
行動できるように働きかけた。
②
明るいね部会の例
図書集会
「ぐりとぐ
図 書 委 員 会 は ,「 も っ と 本 に 親 し ん で ほ し い 。」
ら」からク
と図書集会を開いた。劇の中に,低学年に人気
イズを出し
の「ぐりとぐら」や「かいけつゾロリ」を登場
てみんなを
させ,クイズを出しながら楽しく本の紹介をし
ていった。その後,新刊紹介を行い,全児童を
楽しませよ
本に親しもう
う。
本を読みたいなという気持ちにさせた。
(2)各委員会の企画
子どもたちは,活動の目的をしっかりもち,事前にアンケートなどをとって情報を集め
た。どんな内容にしようか話し合いを重ね,自分たちでできる企画を考えた。どの部会か
らも全校児童が楽しく活動できるように,積極的な提案があった。
①
緑だね部会の例
緑化委員会
9月の初めの学校の草取りを,意欲をもって楽しみながらできるように「雑草重さでド
ン」を企画した。朝のボランティアの時間に草取りをし,その量で紅白対抗戦をした。ど
の子どもも朝早くから草取りに熱中し,2日間で学校がとてもきれいになった。
②
明るいね部会の例
運動委員会
運 動 委 員 会 は , 学 年を 超 え て 仲 良 く 遊 ぼ う と い う 目 的 を も ち ,
「にこにこスポーツフェス
ティバル」を企画した。どんな種目を行いたいか,各学年から情報を集め,春にあった運
動会で一番人気があった「大玉転がし」と「玉入れ」を行った。紅白対抗でとても盛り上
がった。
③
緑だね部会の例
美化委員会
美化委員会は,
「 グ リ ー ン ク リ ー ン ま つ り 」を 企 画 し た 。登 校 中 に ご み を 拾 っ て く る 活 動
である。低学年も楽しみながら活動できるように,ごみを拾ってきたら,美化委員会が作
成したシールをあげるなどの工夫をしていた。
(3)成果と課題
○
集会活動では,どのようにしたら全校児童に言いたいことが伝わるか,相手意識,目
的意識,方法意識をもって,発表することができた。また,人前で表現することが楽し
いという子どもが増えた。
○
低学年や中学年の子どもたちも,これらの児童会の活動に楽しんで参加している。そ
し て ,自 分 の 思 い を 堂 々 と 表 現 し ,
「 え の き の 子 ど も 」の 姿 が 表 れ て い る 高 学 年 に ,あ こ
がれをもっている。そして,自分たちが高学年になったら,あの時の高学年のようにが
んばろうと夢をもち進級していく。
●
子どもの活動意欲は高まっているが,そのための時間を確保するのが難しい。
27
Ⅳ
研究の成果と課題
1
成果
(1 )
仮説1について
国 語 科 , 算 数 科 の 授 業 に お い て 「 つ か む 力 」「 あ つ め る 力 」「 え ら ぶ 力 」「 ま と め る
力 」「 つ た え る 力 」 の 5 つ の 力 を 大 切 に し た 学 習 活 動 を 工 夫 す れ ば , 情 報 活 用 の 実
践力が身に付くであろう。
①
国語科において
単元の構想に当たって,最も重視してきたのは,目的意識や相手意識を高めること
で あ る 。 そ の た め , 身 近 で 見 付 け た お も し ろ い も の を 紹 介 す る 際 に も ,「 見 つ け た よ 」
コーナーを設け,互いが知りたいことに付箋紙を付けていく場を設定した。こうする
ことで自分の情報を知りたがっている相手の存在を意識することができる。また,ガ
イドブックを作る際にも,誰に,どんなものを作れば役立つのかを話し合うことで,
相手や目的が明らかになった。
このような手立てを講じてきたことで,子どもたちの目的意識や相手意識は高まり,
それらに応じて材料を集めたり,選んだりすることができるようになってきた。
また,材料の選択や表現の工夫の場においても,いくつかの例示を比較し,どれが
目的や相手にふさわしいのかを話し合ったり,サンプル作文は,どのような点に問題
があるか,どう改善すればよいのかを考えたりなど,具体例をもとに学ぶ場を設定し
てきた。このような取組の中で,目的や相手に応じた表現の仕方を学ぶとともに,ど
う工夫すれば効果的かという方法意識も高まってきた。
さらに,相手からの感想をもとにしながら,目的が達成されたかどうか,表現の工
夫は適切であったかどうかなどを振り返ることで,満足感を得たり,工夫した方法の
効果や修正すべき点を自覚したりすることもできるようになってきた。
以上のように,目的意識や相手意識を高め,具体的な学習の場を工夫したことで,
「 あ つ め る 」「 え ら ぶ 」「 ま と め る 」 な ど 五 つ の 力 を は ぐ く む こ と が で き た の で あ る 。
②
算数科において
1単位時間の学習の流れを3段階にしたことで,子どもたちが主体的に問題解決に
取り組むことができた。
「 き づ く 場 」 で は , IT 教 材 を 適 切 に 使 う こ と で , 子 ど も た ち が 興 味 ・ 関 心 を も ち ,
課題を自分のものにすることができた。
「ためす場」では,1人でじっくり考えるだけでなく,2人組や小グループで互い
に考え情報を交換することによって「あつめる力」が付いた。また子どもたちが試行
錯誤を繰り返し,情報を比べたり吟味したり,傾向や規則性を見付けたりすることで
「えらぶ力」が高まった。さらに自分の考えを友達に分かりやすく伝えるために,テ
ープ図や数直線などの表現の工夫をさせたことで「つたえる力」を育てることができ
た。
「つかう場」では,明らかになった数理を使って発展的に考えたり学習を振り返っ
28
たりすることで,数理だけでなく学び合うことの価値を自分のものにすることができ
た。
このように,それぞれの場で子ども同士の情報のやりとりが活発になったことで,
より主体的な学習が成立し,
「 情 報 活 用 の 実 践 力 」評 価 項 目 を 算 数 の 授 業 に 応 じ た 形 で
評価することができた。
(2 )
仮説2について
(2)
各 学 年 に 応 じ た IT 技 能 を 明 確 に し , 系 統 的 に 指 導 す れ ば , 情 報 活 用 の 基 礎 技 能 が
身に付き,授業や日常生活に生かすことができるであろう。
○
本年度の7月に,3
4年生IT技能習得率 (評価項目は前学年の内容)
年生以上の学年におい
て「 IT 技 能 系 統 表 」評
価項目についてのアン
ケート調査を実施した。
①直線を描く
67
22
9 2
②自由線を描く
67
24
7 2
③色の違う線を描く
73
22
42
その結果,どの学年も
前 学 年 の IT 技 能 を ほ
④四角形や円を描く
ぼ習得していることが
⑤塗りつぶす
分かった。各学年に応
⑥いろいろな形を描く
じ た IT 技 能 の 達 成 目
⑦デジタルカメラで撮影する。
67
18
76
13 2
13
69
13
72
9 2
16 2
20
62
標を立てたことで,教
0%
師の指導内容が明確に
よくできる
20%
40%
だいたいできる
60%
あまりできない
80% 100%
できない
なり,学年が上がると
ともに基礎技能をレベルアップしていくことができた。
○
「 IT 技 能 系 統 表 」を
インターネット② リンク集を使ってホームページから必
要な情報を得ることができる
もとに,各学年で計画
的に指導を行った。学
年初めに行う「情報ミ
4年生
31
38
25
5
ニプロジェクト」で,
その後の学習に必要な
基礎技能を全ての子ど
もに身に付けさせるこ
とにより,総合的な学
6年生
92
0%
20%
よくできる
40%
だいたいできる
8
60%
あまりできない
80%
100%
できない
習の時間はもとより他
の教科等でも十分活用することができた。継続的に情報活用の基礎技能を学習す
ることで,どの子どもも6年間の間に,学習や生活で必要とする情報活用の基礎
技能を積み上げていくことができると言える。
○
子どもたちは,学年に応じた情報活用の基礎技能を身に付け,学習や児童会活
動等の日常活動で必要に応じて情報機器を使い,効果的な表現ができるようにな
29
った。集会活動や学習発表会等では,相手に分かりやすく伝えるための最適なメ
デ ィ ア を 選 び , 資 料 を 作 成 し て い る 。 情 報 機 器 を 効 果 的 に 使 い ,「 え の き の 子 ど
も」を体現している上級生の姿が,下級生にとってのよい手本となっている。
2
課題
○
情 報 活 用 の 実 践 力 を は ぐ く む に 当 た り ,国 語 科 ,算 数 科 を 切 り 口 と し て 取 り 組 み ,
それぞれに効果を上げてきた。
国語科,算数科に情報教育の視点を取り入れた方法論(情報活用の実践力の評価
項目を教科の目標に埋め込む)を一般化していけば,さらに他の教科にも生かせる
ものであると考えている。国語科,算数科以外の教科,領域等に,それをどのよう
に生かしていけばよいか具体化していきたい。
○
情報活用の実践力をはぐくむに当たり,国語科,算数科はもとより,多くの教科
の 中 で 積 極 的 に IT を 活 用 し て き た 。教 師 が IT を 活 用 す る こ と で ,子 ど も た ち の 興
味 ・ 関 心 ・ 意 欲 を 高 め る こ と が で き て い た と 思 わ れ る 。 ま た , 教 師 が 日 常 的 に IT
を活用することが,教師自身の情報活用の実践力を高めることになり,それが子ど
もたちの情報活用の実践力をはぐくむことへとつながっていった。
こ の よ う に ,IT の 活 用 は 教 師 に と っ て も 子 ど も た ち に と っ て も ,さ ら に 可 能 性 が
あるのではないかと考えている。今後,さらにその可能性を探っていきたい。
○
情報モラルの指導は,
6年生 (情報モラル) 他の人の情報を大切にする。
各教科や総合的な学習の
時間等で必要な時に時機
を逃さず指導してきた。
73
本年度
18
8 0
また,子どもたちは,
情報を創造したり発信し
たり交流したりする経験
の 中 で ,情 報 の 後 ろ に は ,
25
昨年度
0%
58
20%
よくできる
40%
だいたいできる
60%
13 4
80%
あまりできない
100%
できない
一生懸命頑張っている自
分がいる,友達がいるということを自ずと感じることができていた。
その結果,子どもたちの情報モラルに対する意識は向上し,情報の後ろには人が
いるという実感が情報モラルをはぐくむことにつながっていると考えられる。
しかし,これからの学校に求められる情報モラルの指導としては未だ不十分なと
ころが多い。
今後,指導すべき内容を整理し,系統的・計画的に指導していけば,さらに効果
が上がるものと考える。確実な情報モラルの定着を図るため,効果的な指導の在り
方を追求していきたい。
30
おわりに
校庭にある多くの樹木。その中に,ひときわ高く,太い木がある。壺川小学校のシンボ
ル ツ リ ー「 え の き 」で あ る 。子 ど も た ち は 大 き な「 え の き 」を 仰 ぎ な が ら ,そ し て ,
「えの
き」に見守られながら成長していく。
大 地 に 根 を 張 り ,幹 を 伸 ば し ,葉 を 広 げ ,陽 の 光 を 浴 び な が ら 成 長 す る「 え の き 」。そ の
姿を見るに付け,子どもたちの成長もかくありたいものだと思う。
わたしたちが目指したのは「豊かに考え・表現し,響き合う子どもの育成」である。そ
し て ,わ た し た ち は 研 究 の 焦 点 を「 情 報 活 用 の 実 践 力 」を は ぐ く む と い う と こ ろ に 当 て た 。
子 ど も た ち が , 授 業 を は じ め , 様 々 な 活 動 の 中 で 情 報 を 「 つ か み 」「 あ つ め 」「 え ら び 」
「 ま と め 」「 つ た え 」 る 過 程 を 経 験 し て い く 。 そ の 中 で ,「 情 報 活 用 の 実 践 力 」 を , 豊 か に
考え・表現し,響き合う力として身に付け,発揮し,伸ばしていく。そのためには,どの
ような考え方に立ち,どのような教材を準備し,どのような活動を行えばよいのか。
そのことについての現時点での答えが本論文である。
わたしたちの実践と研究の成果は「えのきの子ども」の姿として現れてきている。すな
わ ち 「 え ・ 笑 顔 で 」「 の ・ 伸 び や か に 」「 き ・ 気 持 ち を こ め て 」 表 現 し 活 動 す る 子 ど も の 姿
である。
「 え の き の 子 ど も 」た ち が ,校 庭 の「 え の き 」の よ う に ,さ ら に 根 を 張 り ,幹 を 伸 ば し ,
葉 を 広 げ て 成 長 し て い く こ と を 願 う 。わ た し た ち は ,そ の た め の よ き 土 で あ り ,水 で あ り ,
陽の光であり続けられるように,今後も実践と研究を重ねていきたい。
本 論 文 は ,平 成 1 6・1 7 年 度 の 2 年 間 に わ た り ,熊 本 市 教 育 委 員 会 の 委 嘱 を 受 け ,
『豊
かに考え・表現し,響き合う子どもの育成
∼「情報活用の実践力」をはぐくむ学習指導
の工夫∼』というテーマのもとに取り組んだ研究が基盤になっている。研究を進めるに当
たり,熊本市教育委員会,講師の先生方,PTAや地域の方々など多くの方々に支えてい
ただいた。また,研究発表会では,参会の先生方から多くの貴重なご意見をいただいた。
記して謝意を表したい。ありがとうございました。
熊本市立壺川小学校教頭
・山
範夫
【主な参考文献】
・小学校学習指導要領
文部科学省
・情報教育の実践と学校の情報化∼新「情報教育に関する手引」∼
・情報教育と国語科学習の構想と展開
文部科学省
明治図書
・情報活用力を育てる実践事例集「メディアを活用した国語の授業」
光村図書
【研究同人】
平 成 17 年 度
平 成 16 年 度
藤岡和朗
・山範夫
薮田秀子
坂井明彦
山口修一
迎田由美
佐藤俊幸
本田倫美
渡邊
勝
下川知子
馬場敬子
時松聡子
柴田弘之
藤本邦昭
後藤美栄
西釜真弓
加来万里子
東瀬
弘
信國凉子
一安かず子
岩山
守
宮本博規
岩崎美和
松井信子
日高伸子
佐伯富美誉
若杉恵美
塩澤淑子