『 電 子 情 報 ボ ー ド の 効 果 的 な 授 業 へ の 活 用 に 関 す る 調 査 研 究 ( 最 終 報 告 )』 佐野市教育委員会では『電子情報ボードの効果的な授業への活用に関する調査研究』を 平 成 20、 21 年 度 の 2 年 間 の 継 続 研 究 と し て 、 閑 馬 小 学 校 、 飛 駒 小 学 校 、 葛 生 小 学 校 の 3 校 に 行 っ て い た だ き ま し た 。 こ の 研 究 の 成 果 を 受 け て 、 平 成 22 年 度 中 に は 佐 野 市 内 の す べ て の 小 中 学 校 に 電 子 情 報 ボ ー ド (電 子 黒 板 )が 配 備 さ れ る こ と と な り ま し た 。 最終報告として、今年度を中心に活用実践の様子等を報告していただきましたので、今 後 の 電 子 情 報 ボ ー ド (電 子 黒 板 )活 用 時 の 参 考 と し て い た だ き ま す よ う お 願 い い た し ま す 。 な お 、上 記 3 校 の 先 生 方( 茂 木 先 生 (閑 馬 小 )、中 村 先 生( 飛 駒 小 )、御 子 柴 先 生( 葛 生 小 )) に は 平 成 21 年 度 教 育 セ ン タ ー ICT 活 用 学 習 指 導 研 修 会 に て 講 師 と し て 参 加 し て い た だ き 、 活用事例の発表及びその後の研修時の受講生へのアドバイスをいただきました。 Ⅰ 1 閑馬小学校の実践 研究テーマ 「電子情報ボードを活用した分かりやすく、楽しい授業の展開」 2 実践研究内容 (1) ① 平 成 20 年 度 の 主 な 取 組 電 子 情 報 ボ ー ド を 活 用 し て 、分 か り や す く 、楽 し い 授 業 を 展 開 す る た め に 、既 成 のコンテンツを活用して、電子情報ボードの活用法をつかみ、身に付ける。 ② 電 子 情 報 ボ ー ド の 活 用 法 を つ か み 、身 に 付 け た 段 階 で 、分 か り や す く 、楽 し い 授 業を展開するために、コンテンツつくりに取り組む。 ③ 電 子 情 報 ボ ー ド を 活 用 し た 授 業 を お 互 い に 見 せ 合 い 、よ り よ い 活 用 法 を 探 求 す る 。 ④ 発達段階に応じて、児童も電子情報ボードを活用できるように支援する。 ⑤ 児 童 へ の 追 跡 的 な ア ン ケ ー ト 調 査 な ど に よ っ て 、電 子 情 報 ボ ー ド の 有 効 性 に つ い て検証する。 ⑥ 作 成 し た コ ン テ ン ツ は 、授 業 を し た 結 果 に よ っ て 改 良 を 加 え 、著 作 権 等 に 配 慮 し ながら共有フォルダに蓄積し、多年度に渡って活用できるようにする。 ⑦ 本 校 の 平 成 20 年 度 の 学 校 研 究 課 題「 進 ん で 発 表 し 、自 信 を も っ て 行 動 で き る『 か ん ま の 子 』の 育 成 − 国 語 科 を 中 心 と し た 言 語 活 動 の 充 実 を 通 し て − 」と の 関 連 を 図 り 、特 に 、発 表 の 補 助 的 手 段 と し て の 電 子 情 報 ボ ー ド の 効 果 的 な 活 用 法 に つ い て 探 求する。 (2) 平 成 年 21 度 の 新 た な 取 組 − 「 dbook」 の 活 用 今年度は、昨年度から継続してい る 取 組 に 加 え 、「 dbook 」( フ リ ー ウ ェ ア )の 活 用 を 開 始 し た 。本 稿 で は 、 新 た な 取 組 で あ る 「 dbook」 の 活 用 を中心に記述したい。 ① 「 dbook」 と は ・ ・ ・ ・ ・ 当ソフトウェアを提供する財団 法人コンピュータ教育開発センタ 「 e 教 材 作 成 ツ ー ル d b oo k 」 電子情報ボード -1- ーのWEBサイトによれば、 「 e 教 材 作 成 ツ ー ル dbook で 簡 単 に 教 材 を デ ジ タ ル 化 し て 、子 ど も の 手 元 の 教 材 と 同 じ 教 材 を ス ク リ ー ン に 大 き く 映 し 出 す こ と が で き ま す 。」と 記 さ れ て い る と お り 、教 科 書 等 を ス キ ャ ニ ン グ し て「 dbook」に 貼 り 付 け 、 電子情報ボードに映し出すことによって、容易に教材の提示をすることができる。 ま た 、選 択 部 分 を 拡 大 縮 小 す る こ と が で き る と い う 特 長 も あ り 、ツ ー ル も 豊 富 で あ る。 「 dbook」の 初 期 画 面 は 、前 頁 図 の と お り で あ り 、 「 範 囲 指 定 」、 「 直 線 」、 「 曲 線 」、 「 ふ で 」、 「 ぬ り 」、 「 四 角 」、 「 円 」、 「 も じ 」、 「 文 章 」、 「写真」 「 ア ニ メ 」、 「 消 し ゴ ム 」、 「 ス タ ン プ 」の 各 ツ ー ル が あ る 。ま た 、 「 dbook デ ジ タ ル 教 材 閲 覧 機 能 」と し て「 ペ ー ジ 移 動 」、「 オ ブ ジ ェ ク ト 操 作 」、「 え ん ぴ つ 、 消 し ゴ ム 」、「 エ リ ア 拡 大 」、「 直 線 、 多角形、スタンプ、文房具」が装備されている。 全てマウスのみで簡単に操作をすることができ、児童による活用も容易である。 ② 「 dbook」 を 活 用 し た 授 業 実 践 事 例 − 4 学 年 算 数 「 三 角 形 」 ア 「 dbook」 活 用 の 意 図 本単元の目標は、 「 二 等 辺 三 角 形 、正 三 角 形 を 構 成 し た り 弁 別 し た り す る 活 動 を 通して、二等辺三角形、正三角形について理解する」ことである。本単元におい て 「 dbook」 を 用 い て 、 教 科 書 の 重 要 な 部 分 を ス キ ャ ニ ン グ し 、 電 子 情 報 ボ ー ド に映写することによって、児童の理解を高めるとともに、定規やコンパス等を適 切に用いて、二等辺三角形や正三角形の作図、特徴の把握等の効果的な手段とし たいと考えた。 イ 授業実践事例 ・ねらい −「正三角形の作図」 「正三角形の定義に基づき、正三角形の作図のしかたを考え、コンパスなどを 適 切 に 用 い て 、 作 図 す る こ と が で き る 。」 ・「 dbook」 の 活 用 方 法 a「 エ リ ア 拡 大 」 機 能 を 用 い て 、 正 三 角 形 の 作 図 の ポ イ ン ト を 押 さ え る 。 b「 文 房 具 」の 内 、三 角 定 規 を 用 い て 、三 つ の 角 が 6 0 度 で あ る こ と を 押 さ え る 。 ・「 dbook」 の 活 用 場 面 〔初期画面〕 〔エリア拡大画面〕 〔 文 房 具 (三 角 定 規 )活 用 場 面 〕 3 成果と課題 − 平 成 21 年 度 を 中 心 に − (1) 成 果 ・「 電 子 情 報 ボ ー ド 」 や 「 ス マ ー ト ボ ー ド 」 活 用 の 有 効 性 が 、 教 師 に も 、 児 童 に も 浸透してきてお り、特に、今年 度は「数の構 成と分解」や「都道 府県名と位 置の 確認」等で、効果的かつ意欲的な活用が図られた。 ・本 校 に は 、 「 電 子 情 報 ボ ー ド 」と「 ス マ ー ト ボ ー ド 」が あ る こ と か ら 、デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ の 共 有 性 と い う 面 で 課 題 が あ っ た が 、「 dbook」 を 用 い る こ と に よ っ て 、 電子情報ボード -2- どちらのマシンでも共有して使用できるめどがついた。 (2) 課題 ・「 電 子 情 報 ボ ー ド 」と「 ス マ ー ト ボ ー ド 」の 有 効 性 に つ い て は 理 解 で き た が 、移 行 措置への対応等のために時間に追われ、 十分 に活用する時間 的余裕がなか った。 ・現 職 教 育 と し て 、I C T 活 用 の た め の 研 修 が 不 十 分 で あ っ た 。 ( 個 別 的 な 支 援・援 助 が 中 心 と な っ て し ま っ た 。) 4 今後への抱負 上 記 し た と お り 、「 dbook」 を 用 い る こ と に よ っ て 、「 電 子 情 報 ボ ー ド 」 と 「 ス マ ー トボード」を共有するめどがついたので、今後のICT環境の整備と合わせて、 「 dbook」を 中 心 に 、今 後 、著 作 権 の 問 題 な ど に 十 分 留 意 し な が ら 、一 層 デ ジ タ ル コ ン テンツの開発と整備に努めたい。 Ⅱ 1 飛駒小学校の実践 研究テーマ 「電子情報ボードの効果的な授業への活用に関する調査研究」 2 授業での活用実践 ① 国 語 「 ニ ュ ー ス を 伝 え よ う 」( 6 年 ) 児 童 は 、自 分 が 興 味 を も っ た 新 聞 記 事 を も と に、自分の考えや感想を織り交ぜて発表原稿を 作成した。そして、発表会では、それぞれの児 童が新聞記事を情報ボードに映し、ペン機能を 使って記事にアンダーラインを付けたり、記事 の見せたい部分を拡大したりしながら発表した。 発 表 者 に と っ て は 、伝 え た い 情 報 を ア ン ダ ー ラインや拡大によって的確に聞き手に伝えることができ、また、聞き手にとっても 発表者の考えや感想を分かりやすく理解することができた。 ② 道 徳 「 生 き る 喜 び ( 生 命 の 尊 重 )」( 2・ 3 年 ) 「 生 き て い る こ と は 素 晴 ら し い 、生 き て い る か ら こ そ 学 級 の 仲 間 と 一 緒 に 活 動 で き る 。」と い うことを児童に伝えるため、担任がムービーメ ーカーを使って、児童の写真と「世界に一つだ けの花」を編集してビデオにまとめ、終末にお いて情報ボードを使って提示した。 児 童 は 、自 分 の 写 真 が 映 し 出 さ せ る た び に 目 を輝かせ、友達同士でうなずき合いながら画面を見つめていた。 3 成果と課題 2 年間という短い実践であるため大きな成果とまではいかないが、何よりも教師が 電子情報ボード -3- 手軽に情報ボードを使おうという意識が出てきたことが大きい。教員は、年間 2 回以 上 情 報 ボ ー ド を 活 用 し た 実 践 を 行 い 、そ の 記 録 を 報 告 し て い る 。ま た 、 「情報ボードを こ ん な 場 面 で 使 う と 、 子 ど も た ち の 理 解 が 深 ま っ た よ 。」「 情 報 ボ ー ド を こ ん な ふ う に 使 う こ と も 面 白 い よ 。」と い っ た 、ア イ デ ィ ア を 常 に 職 員 室 で 話 題 に 出 し な が ら 、そ の 活用を図っている。 児童にとっても、情報ボードに自分の書いたノートが映し出されたり、自分で情報 ボードを使いながら発表したりすることを喜び、進んで学習に取り組むことができる ようになった。また、情報ボードにいつ自分のノートが映し出されるか分からないと いうことで、ノートに書く字がきれいになったり工夫してノートにまとめたりしよう とする児童も増えてきた。発表では、情報ボードを利用しながら発表することによっ て、自分の考えや意見をうまく相手に伝えられるようになったという感想を児童から 聞くようになった。 多くの可能性をもつ情報ボードではあるが、いくら小規模校とはいえ学校に1台で は 、ど う し て も 希 望 す る 時 間 が 重 な り 、思 っ た と き に 使 用 で き な い と い う こ と が あ る 。 せめて各フロアに1台ずつ設置されると、気軽に活用できるようになると思う。 4 今後への抱負 現 在 は 情 報 ボ ー ド に つ な が る PC が ス タ ン ド ア ロ ー ン で あ る が 、佐 野 市 で は 次 年 度 中 に 校 内 LAN が 整 備 さ れ る 予 定 に な っ て お り 、情 報 ボ ー ド の PC に お い て イ ン タ ー ネ ッ トが利用できるような環境になると、その活用の幅も大きくなってくると思う。 Ⅲ 1 葛生小学校の実践 研究テーマ 「 電 子 情 報 ボ ー ド を 、よ り 気 軽 に 授 業 の 中 で 活 用 し て い く こ と に 重 点 を 置 い た 試 み 」 2 授業での活用事例 「ネット上に公開されたフラッシュ教材を活用しての授業」 ※ 活 用 サ イ ト【 新 村 勲 の ト ッ プ ペ ー ジ( http://homepage2.nifty.com/in/top.htm)】 教科書の挿絵をベースに作られたコンテンツなので、全体での確認が容易となり、児童の集中力も高まる。 電子情報ボード -4- 3 成果と課題 電 子 情 報 ボ ー ド は 、児 童 の 視 覚 に 訴 え て 、一 斉 指 導 を 行 う 際 、非 常 に 利 用 価 値 の 高 い 教 育 機 器 で あ る 。こ の 便 利 な 機 器 が 、活 用 さ れ る 上 で 、一 番 重 要 と な る の は 、授 業 者 が 、 提 示 し た い も の 、学 習 材 料 と な る も の を ど う 準 備 し て い く か と い う と こ ろ に あ る 。こ の 部 分 を 難 し く 考 え て 、「 自 分 が パ ソ コ ン で 作 っ た も の を 提 示 す る た め の 装 置 」と い う 誤 っ た 先 入 観 を も っ て し ま う と 、多 く の 授 業 者 に と っ て 近 寄 り が た い も の と し て 映 っ て し まう。 自 作 で き る に こ し た こ と は な い が 、「 授 業 で の 活 用 事 例 」で も 示 し た 通 り 、プ ロ 並 み の 出 来 映 え の フ ラ ッ シ ュ 教 材 を ネ ッ ト 上 に 公 開 し て い る 個 人 サ イ ト も あ る 。貴 重 な 映 像 を 記 録 し た ビ デ オ コ ン テ ン ツ も ネ ッ ト 上 か ら ダ ウ ン ロ ー ド で き る 。ソ フ ト に 関 す る 情 報 さ え も っ て い れ ば 、そ れ ら を 授 業 の 中 で 活 用 す る こ と 自 体 は 、決 し て 難 し い こ と で は な い 。下 調 べ し て 、授 業 の 中 の ど の 場 面 で 、ど の よ う に 提 示 す る か( こ こ だ け は 授 業 者 自 身の手が抜けない部分だが)だけを工夫すればよい。 ま た 、情 報 ボ ー ド の カ メ ラ 機 能 を 使 え ば 、教 科 書 や 本 、児 童 の ノ ー ト や メ モ 書 き 等 も 学習を進める上で、有効な提示材料として活用できる。 各 校 に 配 付 さ れ て い る 英 語 ノ ー ト 附 属 の デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ も 、大 画 面 の 情 報 ボ ー ド だと、非常に効果的に活用できる。 本 校 で は 、以 上 の よ う に 、情 報 ボ ー ド が い か に 簡 単 に 授 業 に 活 用 で き る 機 器 で あ る か を 、 繰 り 返 し 職 員 間 に 伝 え て き た 。 活 用 の し か た を 知 っ て も ら う た め 、 TT と し て 入 る 2 年 生 か ら 6 年 生 ま で の 算 数 の 授 業 で 、実 際 に 情 報 ボ ー ド を 活 用 し た 授 業 を 積 極 的 に 取 り入れた。特に、図形に関する学習では、非常に効果的な活用ができた。 課 題 と し て は 、設 置 場 所 が 1 か 所 で あ る た め 、教 室 移 動 等 の 関 係 で 、ク ラ ス に よ る 活 用の差が大きかったことが挙げられる。 4 今後への抱負 来 年 度 は 、各 フ ロ ア に 1 台 ず つ 配 備 さ れ る こ と を 受 け 、校 内 外 で 、よ り ソ フ ト 面 で の 情報を共有し合い、効果的に活用していきたい。 電子情報ボード -5-
© Copyright 2024 Paperzz