家族法

科目名
家
族
法
開 講 学 期
単
位
数
秋 学 期
2 単 位
対 象 年 次
担
当
者
名
2(既1)年次
山
口
純
夫
1.授業の概要 本講義は、民法典第4編「親族法」、第5編「相続法」を直接の対象とする講義である。
2.到達目標
家族法の各制度の大きな枠組みを理解するとともに、家庭裁判所での家事事件処理手続を常に念頭におき
ながら、また、夫婦の氏等の改正等の動向も見据えながら、家族法を理解することを目標とする。
3.授業の形態
本講義は、受講生が山口が事前に配布するテキスト(教科書家族法第1編~第4編)および配布された資料
を読み、事前に配付する事例問題に解答するという形で予習してきたことを前提に各テーマに関連する制度
の仕組みを概観した後、事前配布の事例問題について受講生に質問し、説明を求めたりしながら講義を進め
る。また基本的な概念や制度の仕組みを理解しているかを確認するために学期中適宜小テストをする。
4.教科書
特定の教科書を指定することはしない。山口が事前に配布のテキストおよび配付資料を読みながら、適宜
自分の好みにあった教科書で補充するという形で学習することを予定している。教科書については、オリエ
ンテーションで説明する。
5.参考文献
『民法判例百選Ⅲ』(有斐閣・2015年)
その他は講義の中で必要に応じて紹介・配布する。
6.評価方法
本研究科の採点評価方法(統一評価基準)により、小テスト、レポートなどの平常点(20%)、中間試験〔短
答式〕(20%)、期末試験(60%)〔論述式〔40%〕・短答式〔20%〕とする。
7.予習・復習 ① 予習 毎回授業の最後に配布する家族法設例の冒頭に記載されている教科書家族法の予習箇所を予め読
その他 み、そのうえで、配布された設例・設問の解答メモを作成すること。
② 復習 授業中になされた家族法設例についての質疑応答・解説のほか、各回の最後に配布される
解説メモおよ授業中に配布された判例評釈・その他の資料で復習すること。
授 業 計 画
項 目
内 容
1 オリエンテーショ
ン、家族法・家事
手続法の全体像
講義の進め方を説明し、教科書・参考書を紹介し、予習・復習の心構えを述べた後、家族法の全体構
造を概観したうえ、それとの関連で家事事件の処理手続きの全体像を理解することを目的とする。
各事件の具体的な処理については、以下の各制度との関連で取り上げる。
2 婚姻の成立(1)
婚約・婚姻予約・内縁・婚姻の相互の関係、婚姻の成立要件・婚姻の無効・取消を検討する。
予習箇所:教科書家族法 第2編夫婦 1~26頁、第1編家族法総論 42~53頁
家族法設例 01~03についての質疑応答・解説を行う。
3 婚姻の成立(2)
①婚姻の成立要件との関係で、特に身分行為(婚姻、協議離婚、養子縁組、協議離縁)の共通性をも
考慮して身分行為意思と届出との関係を検討する。
②婚姻の効果について概観した後、婚姻の一般的効果を検討する。
予習箇所:教科書家族法 第2編夫婦 27~33頁、第1編家族法総論37~53頁。
家族法設例 04~06についての質疑応答・解説を行う。
婚姻の効果(1)
4 婚姻の効果(2)
5 婚姻の解消(1)
6 婚姻の解消(2)
その他
夫婦の財産関係について、夫婦財産制、離婚財産分与、配偶者相続分相互の関係を考慮しながら、
夫婦の財産関係を検討する。
予習箇所:教科書家族法 第2編夫婦 41~56頁(教科書家族法第1編家族法総論第5章54~56頁も
参照)。
家族法設例 07~09についての質疑応答・解説を行う。
死亡解消と離婚、離婚手続き(協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚相互の関係)を検討する。
予習箇所:教科書家族法 第2編夫婦 57~71頁。
家族法設例 10~11についての質疑応答・解説を行う。
①離婚の効果(財産分与、離婚後の親権等)を検討する。
②そのほか内縁、その他残された問題を検討する。
予習箇所:教科書家族法 第2編夫婦 75~97頁。
家族法設例 12~13についての質疑応答・解説を行う。
7 中間試験
①中間試験(第1講~第6講の履修部分について短答式のテストを実施する。
②中間試験の解答・解説のほか、履修部分のテーマについての最新の判例を補充・紹介する。
8 実親子関係の成立
実親子関係の成立・認定に関わる問題を嫡出子について検討する。
予習箇所:教科書家族法 第3編親子 1~13頁。
家族法設例 14~16についての質疑応答・解説を行う。
(1)
9 実親子関係の成立
(2)
実親子関係の成立・認定に関わる問題を非嫡出子について検討する。
予習箇所:教科書家族法 第3編親子 1~26頁(特に14~23頁)。
家族法設例 17~18についての質疑応答・解説を行う。
10 養親子関係
養子制度について、普通養子と特別養子の相違を考慮しながら成立要件・効果を検討する。
予習箇所:教科書家族法 第3編親子法 27~47頁。
家族法設例 19~20についての質疑応答・解説を行う。
11 親子関係の効果
親子関係の効果の中心である親権制度を、後見制度との関係を考慮しながら概観する。特に子の引
渡し、面接交渉については、最近の動向を検討する。
予習箇所:教科書家族法 第3編親子 48~74頁。
家族法設例 21~22についての質疑応答・解説を行う。
12 相続法総論・相続
遺言・法定相続・遺留分相互の関係を制度の趣旨・相続の根拠を考慮しながら概観した後、相続人に
ついて、相続人の種類・順位、相続資格の喪失を概観し、相続人の選択(承認・放棄)を検討する。
予習箇所:教科書家族法 第4編相続 1~29頁。
人
13 相続分
指定相続分・法定相続分との関係を見た後、特別受益・寄与分を考慮して具体的相続分を算出するプ
ロセスを検討する。
予習箇所:教科書家族法 第4編相続 29~59頁。
家族法設例 23~24についての質疑応答・解説を行う。
14 遺産分割
遺産分割の対象である相続財産について検討した後、遺産分割の仕組み検討する。
予習箇所:教科書家族法 第4編相続 74~90頁。
家族法設例 25についての質疑応答・解説を行う。
15 遺言・遺留分
①遺言総論および遺言方式をめぐる諸問題を検討した後、遺言の効力、遺言執行を検討する。
②遺留分制度を概観した後、遺留分の算定を遺留分算定の基礎となる財産の評価方法や基準時の問
題をからめながら検討する。
予習箇所:教科書家族法 第4編相続 91~123頁。