手術後の甲状腺組織を除去 長期予後を改善します

タイロゲン®によるアブレーションを
特にお勧めする場合
①甲状腺ホルモン剤を中断した時に、甲状腺機能
低下症状が辛い患者様
②甲状腺機能低下症状による、仕事や学業への
影響を懸念される患者様
③心臓や腎臓に病気をお持ちの患者様
④ 従 来 の 方 法 で は 十 分 に 血 中 のTSH濃 度 が
上がらない患者様
⑤ そ の 他 、担 当 の 先 生がタイロゲン ® の 使 用が
適切と判断した患者様
などです。
我が国や欧米の甲状腺腫瘍の診療ガイドラインに
おいても、タイロゲン ® を使 用することは強く推 奨
されています。
アブレーション後に注意していただくこと
微 量ではありますが、アブレーションを受けられた
患者様の体内には放射性ヨウ素が存在します。周囲
の方への影響を減らすために、治療後は何点か日常生
活でご 注 意 い ただくことがござ います。
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ご帰宅の途中について
ご帰宅後3日間について
放射性ヨウ素投与後の数か月∼1年間について
旅行や社会的生活について
職場への復帰について
詳しくは担当の先生にご相談するか、関連学会で作
成された資料に説明が記されていますのでご覧下さ
い。注意事項を守っていただくことで、安心してご家
族との生活がおくれます。
甲状腺がん手術後にアブレーションを
副作用はあるの?
お受けになる患者様へ
タイロ ゲン ® の 注 射 で 生じる 副 作 用 として は、吐 き 気
(11.3%)、疲労(8.1%)、味覚消失(4.8%)などが報告
されていますが、いずれも軽微なものです。
また、タイロゲン ® はたんぱく質 製 剤 な ので、過 敏 症 状
(じん ましん、発疹など)が起きることがまれにあります。
注射後にこのような 過 敏 症 状 が生じたと思 われる場 合
は、医療機関に速やかにご連絡の上、適切な処置を受け
て下さい
(下記の問い合わせ医療機関名参照)。
甲状腺への
放射性ヨウ素集積
完全に消失
治療後の経過はどのように
診ていくのでしょうか?
アブレーションが行われて数か月してから、効果を確認
するために、シンチグラフィや血液検査などが行われます
(表紙の右側をご覧下さい)。
アブレーションを行うことによって、甲状腺がんの再発や
転移のリスクが低くなります。
しかし、まったくゼロになる
訳ではありません。
担当の先生とご相談の上、適切な間隔で血液検査や画像
診断など、必要な検査を受けることをお勧めします。
我が国の甲状腺腫瘍の診療ガイドラインでも、手術後は
20年以上経過を診ることが望ましいとされています。
何 かお困りのことがございましたら
頸部
(喉)
の
拡大図
アブレーション時
アブレーション後
もしわからないことや心 配なことがあったら、
いつでも担 当 の 先 生にご相 談 下さい 。
手術後の甲状腺組織を除去
長期予後を改善します
問い合わせ医療機関名:
TG251209A050AD
2012年9月作成
監修
北光記念病院放射線科 科長
中駄 邦博 先生
アブレーションとは?
タイロゲン®とは?
アブレーションを行うときには、残存する甲状腺組織への
放射性ヨウ素の集積を高めるため、脳下垂体という器官
から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の濃度を
上げる必要があります。
“タイロゲン ® ”
はこのTSHをヒト遺伝子組換え技術で製
造した医薬品で、放射性ヨウ素の集積を高める働きが
あります。放射性ヨウ素を服用していただく前に、
2日
間 連 続して患者様の筋肉に注射されます(右記のスケ
ジュー ル表をご覧下さい)。
タイロゲン ® は海外ではすでに10 年以上使用されてい
て 、有 効 性と安 全 性 が 確 認 さ れて い ます 。日 本 で も
2012年5月に、甲状腺がん手術後のアブレーションの
補助薬として承 認 されました 。
タイロゲン ®を用いると、
従来の方法で問題とされていた
甲状腺機能低下による身体的・精神的な苦痛を伴わない
でアブレーションを行うことができます。
● 従来の方法
タイロゲン®を注射すると、
甲状腺ホルモン薬を服用した
ままで、
アブレーションを実施できます。
このため、患者
様には甲状腺機能低下症状が現れません。
タイロゲン ®を用いて低用量(30mCi)の放射性ヨウ
素で行ったアブレーションの効果は、甲状腺ホルモン
を休薬して高用量(100mCi)で行ったアブレーション
の効果と差がない事が、最近報告されました。
服用する放射性ヨウ素の量を減らすことで、患者様や
周囲の方々への放射線の影響をより少なくできます。
頭髪の
脱毛
傾眠
疲労感
体重
増加
むくみ
無気力
月経
異常
寒がり
嗄声
(しゃがれ
ごえ)
食欲の
低下
便秘
はきけ
むかつき
がん細胞の刺激が少な
タイロゲン®を使った場合には、
い事も知られています。
以下にタイロゲン®を用いたアブレーションのスケジュー
ルを示します。個々の患者様のスケジュールは、
担当の
先生から説明があります。また、残存する甲状腺組織
への放射性ヨウ素の集積を確認するために、シンチ
グラフィという検査を行います
(表紙の左側の図をご覧
下さい)
。
タイロゲン ® による術 後アブ レ ーション のスケジュー ル
ヨウ素制限
タイロゲン®をおしりの
筋肉に注射
24 時間
放射性ヨウ素
を服用
シンチグラフィ
24 時間
放射線量の減衰を考慮して
適切な時期に行います。
月
月
∼
※ヨウ素 の 制 限 の 期 間と方 法については、担 当 の先 生とご相 談
下さい。また高価ではありますが、
レトルト食品も利用できます。
皮膚
乾燥
● タイロゲン ® 法
アブレーションの前準備
海産物、海藻を摂取することの多い日本人の食生活に
おいて、毎日の食事から相当量のヨウ素が摂取され、そ
の量は500∼3000μg程度と言われています。
体内のヨウ素は、アブレーションに用いる放射性ヨウ素
の残存する甲状腺組織への取り込みの妨げとなります。
そのため、
アブレーションを行う1週間ほど前から一日の
ヨウ素摂取量を150μg程度に制限しなければなりません。
甲状腺機能低下症状
TSHの濃度を上げるために、甲状腺ホルモン薬を長
期間中断する必要がありました。甲状腺ホルモン薬を
中断すると、甲状腺機能の低下が避けられず、倦怠感、
食欲の低下、
吐き気、
むかつき、
意欲の低下などの症状
が発現します
(右図)
。
また、心臓や腎臓の機能が低下したり、コレステロー
ル値の上昇もみられます。更に、
甲状腺ホルモンを
休薬している間に甲状腺がん細胞が刺激され、腫瘍
が増大する可能性も指摘されていました。
甲状腺ホルモン減少
甲状腺がんの予後は一般に良好ですが、治療後に長期
間がすぎてから、再発することは決して珍しくありません。
甲状腺がんの標準的治療は外科的な切除ですが、
手術
後に肉 眼で確 認できな いような 微 量 の 甲 状 腺 組 織が
頸部に残る場合があります。
“アブレーション”
とは
“除去”
という意 味ですが、
“ 放 射 性ヨウ素”
という薬を用いて、
この残存する甲状腺組織を完全に
“除去”
する治療です。
アブレーションを行うことによって、甲状腺がんの再発率
や死亡率が低下すると報告されています。また、腫瘍の
再 発 の 早 期 診 断にも役 立 ちます。
従来のアブレーションとタイロゲン® を用いたアブレーションの違い
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