雑用水道の現状

須賀
TECHNICAL
技術報告
REPORT■NO.30494
雑用水道の現状
須賀工業株式会社
SUG A TECHNIC AL REPORT NO.30494
はじめに
この地球において生を営んでいるもの全て、水と空気の手厚い恩恵に預かり、我が
国においては、十数年前まで、水も空気も「タダ同然で好きなだけ手に入るもの」と
考えられてきました。我が国の水需要は、経済社会の高度化、生活水準の向上、ライ
フスタイルの変化などにより増加基調にあります(近年はほぼ横ばい傾向)。
こ う し た 状 況 の 中 で 、 国 は 、 水 資 源 開 発 促 進 法 (昭 和 36 年 法 律 第 21 7 号 )に 基 づ き 、
現 在 7 水 系 に つ い て 決 定 し た 水 資 源 開 発 基 本 計 画 (フ ル プ ラ ン )や 、 昭 和 62 年 10 月 に
策 定 し た 全 国 総 合 水 資 源 計 画 (ウ ォ ー タ ー プ ラ ン 2000)に 従 い 、長 期 的 な 視 野 に 立 っ た
水資源開発事業を推進していますが、そのメインである河川水開発では、ダム適地の
減少や建設期間の長期化に加え、自然環境の保全を配慮しつつ行われるため、水資源
の新規開発に多くを期待することはできません。また、地下水の利用は、過剰採取等
に よ る 地 盤 沈 下 や 地 下 水 の 塩 水 化 な ど の 障 害 を 生 じ な い 範 囲 で し か 行 ず 、し た が っ て 、
これまでのような需要追従型の水資源開発では、長期的安定化を図ることは難しい状
況にあります。
国 の こ う し た 開 発 事 業 と は 別 に 、昭 和 40 年 代 後 半 か ら 、大 都 市 圏 を 中 心 に 、個 別 建
物 で 排 水 を 循 環 利 用 す る シ ス テ ム (雑 用 水 道 )の 採 用 が 急 速 な 広 が り を み せ 、 今 日 、 と
りわけ水需給のひっ迫している大都市では「自前の水資源」として、排水、雨水、下
水処理水の有効利用が推進されています。
当 社 は 、昭 和 54 年 4 月 か ら 稼 働 開 始 し た 竹 橋 合 同 ビ ル (東 京 都 千 代 田 区 )の 雑 用 水 道
に 、 逸 早 く 限 外 ろ 過 (UF)膜 方 式 を 採 用 し た の を 手 始 め に 、 数 多 く の 雑 用 水 道 設 置 に 携
わり、技術ノウハウの蓄積に専心していますが、本レポートでは、国土交通省実態調
査結果及び国土交通省計画基準を中心に、雑用水道の動向、計画設計法等について概
略を述べることにします。
須賀工業株式会社
須賀工業株式会社
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目
1.
2.
3.
4.
5.
次
雑用水道の現状
1.1 雑用水道とは
1.2 雑用水利用の目的
1.3 雑用水道の普及状況
1.4 雑用水道の方式
・・・
・・・
・・・
・・・
1
1
1
3
雑用水道に関する施策
2.1 国における施策
2.2 地方公共団体における施策
・・・
・・・
5
8
雑用水利用に係る水質基準等
3.1 雑用水の用途別水質基準等
3.2 雑用水利用に関連する水質基準
3.3 雑用水道の原水水質
・・・
・・・
・・・
15
22
28
雑用水道の標準処理フロー
4.1 排水再利用方式
4.2 雨水利用方式
4.3 排水再利用・雨水利用の併用方式
4.4 当社施工の処理フロー
・・・
・・・
・・・
・・・
29
31
35
36
雑用水道の計画設計フロー
5.1 排水再利用設備の標準設計法(案)
5.2 雨水利用設備の標準設計法(案)
・・・
・・・
37
38
・・・
39
参考資料
当社の主な施工実績
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1.
1.1
雑用水道の現状
雑用水道とは
専門用語辞典*3 によれば、雑用水道(中水道)とは、「建築物から排出される排水を処理し、水洗便
所用水などとして再利用するための給水施設」をいい、英語では recLaimed water system とか gray
water system、non-potabLe water system に対応するとのことでありますが、東京都水道局の水資源
の保全*4 では、雑用水は「人の飲用その他これに類する用途以外、例えば、トイレ洗浄水、修景用水、
散水、防災用水などの雑用水系用途に供される水」をいい、一方、福岡市の技術指針*5 では「家庭生
活及び都市活動において、人の飲用以外の用途に対して供給される水」を雑用水と定義しています。
1.2
雑用水利用の目的
事務所ビルや公共施設等において雑用水道を導入する目的としては、
1) 上水使用量の低減
中長期的な水需要対策、水需要ひっ迫地域における需要ギャップの緩和策
2) 下水道施設への負荷低減
下水管きょの満水状態緩和策、終末処理場への汚濁負荷量軽減
3) 非常時防災用水の確保
大震災等非常時の消防用水、飲用水の確保
4) その他
節水型都市の形成、都市型洪水の防止、水資源の有効利用、地域水循環システムの再生
などが掲げられます。
1.3
雑用水道の普及状況
(1)雑用水利用施設数
昭和 40 年代後半から、大都市圏を中心に、個別建物内で排水を循環利用する雑用水道を普及させ
る試みが急速に広まり、国土交通省の調査によれば、平成 17 年度末現在、全国約 3,000 施設で循環利
用が行われています。図 1-1 は、雑用水利用施設数の推移を示していますが、近年は、年間約 120 件
という割合で増え続けています。
1
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図 1-1
(文献
*1
雑用水利用施設数の推移
図 8-1-2 雑用水利用施設数の推移)
(2)建物用途別の雑用水利用施設数
雑用水を利用している建物の種類としては、事務所ビル、学校、会館・ホールで約 60%を占めています
が、最近では、医療・福祉機関、工場、ホテルにおける利用も目立ちます(図 2-2)。
図 1-2
建物用途別雑用水利用施設数
(文献*1 図 8-1-4 建物用途別雑用水利用施設数)
(3)地域別の利用施設数
地域的にみますと図 2-3 のように分れますが、関東臨海と北九州で全国の約 60%を占めています。
こうした背景には、雑用水利用推進のための諸施策(後述)が効果を発揮しています。
2
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図 1-3
(文献
1.4
*1
地域別雑用水利用施設数
図 8-1-3 地域別雑用水利用施設)
雑用水道の方式
雑用水道は、その利用形態や規模により
1) 個別循環方式
2) 地区循環方式
3) 広域循環方式
4) 非循環方式
に大別されます。
(1)個別循環方式
事務所ビル等個々の建物の敷地内の雑排水・厨房排水や雨水等の再生水を、当該建物内で雑用系用
途に利用する方式です(図 1-4)。
雑用水道の約 3 割がこの方式であり、また 1 設備当りの日平均造水量は約 140m3 です。
文献*1 図 1-4
個別循環方式
(2)地区循環方式
大規模集合住宅や市街地再開発地区等の比較的まとまった狭い地区の複数の建物において、下水や
雨水等の再生水を雑用系用途に共同で利用する方式です(図 1-5)。
この方式は全体の 5%程度であり、平均規模は約 110m3/日です。
3
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文献*1 図 1-5
地区循環方式
(3)広域循環方式
一定の地域内の複数の建物において、広域的かつ大規模に下水や雨水等の再生水を雑用系用途に利
用する方式です(図 1-6)。
一般に、広域循環方式の雑用水は、公共下水道の終末処理場や工業用水道から供給される水という
事で、地区循環方式と区別しています。
雑用水道の約 2%余りがこの方式であり、全国で一日当り約 215,000m3 もの再生水が造られています。
文献*1 図 1-6
広域循環方式
(4)非循環方式(主に雨水のみ)
主に雨水のみを建物内の雑用水として利用する方式です。(図 1-7)
この方式は全体の 40%程度であり、平均規模は約 17m3/日です。
文献*1 図 1-7
4
非循環方式
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2.
雑用水道に関する施策
雑用水利用に当っては、国や地方公共団体が推進している諸施策を十分理解し、経済性、地域性、将来
性など総合的な視野から、雑用水道の導入を検討していかなければなりません。
2.1
国における施策
(1)国土交通省
同省が、これまでに講じてきた雑用水利用に係る施策をまとめると、表 3-1 のようになります。
表 1-1
実施年月
昭和 53 年 8 月
雑用水利用に係る施策(国土交通省)
通知・事業等の名称
内容
官公庁施設における雑用水利
水需給のひっ迫した大都市圏地域においては、地域
用の促進について
の水需給の動向等を勘案したうえで、官公庁施設に、
雑用水利用システムを導入することについて検討を
願いたい旨の通知
昭和 54 年 2 月
雑用水利用の促進について
排水の再生利用施設についても公害防止用設備に準
じ、耐用年数の特例及び特別償却制度が、適用され
ることになった旨の通知
昭和 54 年 5 月
昭和 54 年 6 月
昭和 54 年度
水資源有効利用融資に係る日
新規に、水資源有効利用融資が立目され、雑用水利
本開発銀行に対する推せんに
用等の施設の設置に対し、融資の途が開かれた旨の
ついて
通知
排水再利用の配管設備の取り
建築物に設ける排水再利用の配管設備の設置及び構
扱いについて
造についての指導通知
下水処理水循環利用モデル事
福岡市の中部下水処理場の処理水を再開発地区の業
業の実施
務用水として利用するためのモデル事業。56 年度か
らは、東京都の新宿副都心においても同様のモデル
事業を実施。平成元年度迄に、8 地区で実施。
昭和 56 年 4 月
昭和 56 年 7 月
昭和 60 年 12 月
排水再利用の配管設備の取り
54 年 6 月の通知内容の一部見直し及び排水を水洗便
扱いについて
所洗浄水として用いる場合の基準を定めた旨の通知
下水処理水循環利用技術指針
水質、施設計画、維持管理等の技術的事項について
(案)について
の指針(案)を作成し通知
中水道施設等を設置する建築
中水道施設等の用に供される建築物の床面積相当分
物に係る建築基準法第 52 条第 4 について容積率の緩和の限度を基準容積率の 1.25 倍
昭和 61 年 4 月
項第 1 号の規定について
とする旨の通知
雑用水利用の促進について
関係部局と密接な連携を図りつつ、雑用水利用の促
進方法について積極的な取り組みを願いたい旨の通
知
5
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実施年月
昭和 61 年 7 月
平成 2 年度
通知・事業等の名称
内容
「水資源有効利用融資に係る
水資源有効利用融資の対象事業に、新たに広域循環
日本開発銀行に対する推薦に
方式及び雨水利用方式による事業が追加された旨の
ついて」の一部改正について
通知
下水処理水循環利用モデル事
従来のモデル事業の採択基準を拡充するとともに、
業の拡充
第 3 セクターが下水再利用施設を設置する事業も対
象に加えた
平成 6 年度
再生水利用下水道事業の創設
下水処理水循環利用モデル事業を拡充して下水処理
水を再生水として雑用水への利用を図る再生水利用
下水道事業を創設
平成 7 年度
水循環・再生下水道モデル事業 雨水を貯留し、雑用水、防火用水として利用する施
設の整備を図る水循環・再生下水道モデル事業を創
設
平成 8 年度
下水道渇水対策施設整備事業
下水処理水の取水口及び緊急的な処理水送水施設に
対して助成を行う下水道渇水対策施設整備事業を創
設
平成 8 年 5 月
「水資源有効利用融資に係る
水資源有効利用融資について,要綱等で雑用水利用
日本開発銀行に対する推薦に
又は防火用水確保を促進している地域において,災
ついて」の一部改正について
害時に備えた雑用水備蓄を行う建物については,当
該建物を地域防災計画に位置付ける事を条件として
建物を融資対象に追加する等の通知
平成 10 年 4 月
水環境保全共同事業(モデル事 公共用水域の水質保全,渇水に対する安全度の向上,
業)の創設
都市防災用水の確保等への効率的対応を目的とした
下水道事業と河川事業等との適切な連携及び共同化
を推進する水環境保全共同事業を創設
平成 11 年 3 月
新世代下水支援事業制度の創
従来実施してきた 14 の下水道モデル事業を統合した
設
新世代下水道支援事業制度を創設し,新たに 3 事業
(水環境創造事業,リサイクル推進事業,機能高度化
促進事業)に再編
これまで下水処理場内の再利用にとどまっていた下水処理水は、下水道整備が進むとともに増大す
るものと予想され、第二の水源として有望視されていますが、同省は、下水処理水の再生水を下水処
理場外に供給する場合の技術指針案*6 を策定し、水洗便所用水はもとより散水用水、修景用水まで用
途の拡大を推進しています。そして、同省・高度処理会議は、修景・親水利用施設の計画設計に参考
となる水質検討マニュアル案をまとめました。
さらに、国土交通大臣官房官庁営繕部では、各界の専門家からなる研究会を設置し、排水再利用及
び雨水利用に関する諸問題に関して調査研究を行い、排水再利用システム及び雨水利用システムの計
画基準*2 を制定しました。この計画基準は、官庁営繕事業を対象に、計画設計法・構造基準・施工基
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準・維持管理基準などを丁寧にまとめたものですが、民間建物の雑用水道の計画設計においても十分
活用できる内容になっています。
(2)厚生労働省
同省は、当面、誤飲・誤使用のおそれ及び使用者の抵抗感が比較的少なく、その使用水量が多い水
洗便所用水に限り、その暫定水質基準や維持管理基準などを示して、保健衛生上の観点から雑用水利
用の推進を検討しています(表 1-2)。
表 1-2
実施年月
昭和 56 年 4 月
雑用水利用に係る施策(厚生労働省)
通知・事業等の名称
内容
再利用水を原水とする雑用水
再利用水を原水とした雑用水道の水洗便所用水の暫
道の水洗便所用水の暫定水質
定水質基準等を設定した旨の通知
基準等の設定について
(3)経済産業省
同省は、工業用水道事業が進む中、供給先(工場)での循環利用の普及による工業用水の合理的な使
用法の拡大や、国・地方自治体の工業立地政策などにより、工業用水道の供給能力に余裕が生じた施
設においては、従来の供給先に不都合を与えない範囲で、雑用用途への工業用水供給を認め、水需給
がひっ迫している地域の一部では、工業用水が重要な水源となっています。表 1-3 に、同省が講じて
きている雑用水利用に係る施策を示します。
表 1-3
実施年月
昭和 48 年 4 月
雑用水利用に係る施策(経済産業省)
通知・事業等の名称
内容
工業用水道からの雑用水の試
工業用水の使用合理化等により、工業用水道の供給
験的供給について
能力に相当余剰が生じている場合、その供給能力の
10%の範囲内で、試験的に雑用水供給を行うことので
きる旨の通知
昭和 54 年 5 月
昭和 54 年 10 月
水資源有効利用融資に係る日
新規に、水資源有効利用融資が立目され、雑用水利
本開発銀行に対する推せんに
用等の施設の設置に対し、融資の途が開かれた旨の
ついて
通知
工業用水道からの雑用水供給
48 年 4 月の通達の見直しを行い、給水開始 5 年以上
について
経過している工業用水道であって、工業用水道の供
給能力に相当余剰を生じている場合には、その供給
能力の 10%を超えて雑用水供給を行うことができる
旨の通知
昭和 61 年 7 月
「水資源有効利用融資に係る
水資源有効利用融資の対象事業に、新たに広域循環
日本開発銀行に対する推薦に
方式及び雨水利用方式による事業が追加された旨の
ついて」の一部改正について
通知
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平成 8 年 5 月
平成 8 年 5 月
工業用水道からの雑用水供給
54 年 10 月の通知内容の周知徹底及び必要な手続の明
供給について
確化等所要の措置を講じる旨の通知
「水資源有効利用融資に係る
水資源有効利用融資について,要綱等で雑用水利用
日本開発銀行に対する推薦に
又は防火用水確保を促進している地域において,災
ついて」の一部改正について
害時に備えた雑用水備蓄を行う建物については,当
該建物を地域防災計画に位置付ける事を条件として
建物を融資対象に追加する等の通知
(4)国による優遇措置
以上、各省庁は連携を図りつつ、総合的な水資源対策の一環として雑用水利用の推進を図っていま
す。しかしながら、その普及には、水処理施設や配管設備などへの投資を促す必要があります。その
ため、国は、コストの軽減策として次の施策を講じています。
1) エネルギー需給構造改革投資促進税制における水利用合理化施設に着いて特例措置
2) 汚水,雨水を雑用水等に再利用するための処理施設(同時に設置される雨水貯留槽を含む)についての優
遇措置
3) し尿及び生活雑排水等をリサイクルする処理施設並びに水質保全(障害)対策事業において整備した施
設について農林漁業金融公庫等の低利融資(農業基盤整備資金等)
4) 雨水・排水再利用等による水資源有効利用,雨水流出抑制又は汚濁負荷低減の図られる建築物の整備に
ついて日本政策投資銀行等の低利融資(エコビル整備事業)
5) 雨水をトイレの洗浄や散水等に利用する設備を設けた住宅に対する住宅金融公庫による割増貸付(雨水
利用施設に対する割増貸付)
6) 雑用水道を設置する建物に対し、建築基準法に基づく容積率の制限の特例に関する規定を適用できるも
のとし、基準容積率の 1.25 倍を限度に緩和する特例制度
7) 地方公共団体が単独事業で実施する中水道事業について所要の財政措置を適用
2.2
地方公共団体における施策
水需給のひっ迫している地域(1.3(3)項参照)の地方公共団体も、独自の雑用水利用に係る施策を講
じています。
(1)福岡市
同市は、昭和 53 年に給水制限 300 日という大渇水を体験したのを契機に、「節水型都市づくり」
の歩みを開始し、雑用水道の普及促進を積極的に行っています。表 2-4 は、同市がこれまでに整備し
た諸施策をまとめたものですが、市独自の助成金制度を設けていることが特長的です。地方公共団体
の中でも同市は、節水型都市づくりに逸早く着手し、市民や事業所の節水に対する意識の高揚にも支
えられて、雑用水利用は順調に進められています。しかしながら、雑用水道を設置すべき建築物の対
象が比較的小規模のものにまで及んでおり、設置者に過大なランニングコストの負担を強いることに
もなり兼ねないといった問題があり、同市は、より清浄で、より豊富で、より低廉な雑用水道実現に
向けて、努力しています。
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表 2-4
実施年月
昭和 54 年 2 月
雑用水利用に係る主な施策(福岡市)
通知・事業等の名称
内容
福岡市節水型水利用等に関す
節水型都市づくりの基本方針について、市長は雑用
る措置要綱
水道の普及促進及び市の施設への導入に努め、また、
市の区域内で新たに建築物を建てようとする者は、
節水型機器の使用、雑用水道の設置等水の有効利用
及び節水に努めなければならないことなどを規定
(口径 50mm、5000m2)
昭和 54 年 4 月
大型建築物の建築に伴う節水
雑用水道を設置すべき対象の大型建築物、建築確認
対策事務処理要綱
申請前の雑用水道設置等も図の有効利用及び節水の
ための対策を記載した節水計画書の提出、承認等を
規定
雑用水道の技術基準
雑用水の用途、水質基準、水処理施設の構造、誤使
用防止策等の技術的な面を手引
昭和 55 年 4 月
福岡市雑用水道奨励補助金交
個別循環方式の雑用水道設置にかかる設置者の負担
付要綱
軽減のために、水処理施設の固定資産税相当額と
同施設設置費用に係る利子補給相当額を助成
昭和 58 年 4 月
福岡市香椎浜住宅地地区雑用
地区循環方式の雑用水道モデル事業として給水の対
水道モデル事業実施要綱
象、雑用水道施設の管理区分、使用者負担金等につ
いて規定
昭和 60 年 4 月
雑用水道技術指針(案)-個別循 54 年 4 月の技術基準をより具体化した指導上の手引
環型雑用水道-
であり、個別循環方式の雑用水道の計画設計法、水
処理設備の構造基準、施工基準、維持管理基準等を
規定
平成元年 3 月
下水処理水循環利用モデル事
天神・渡辺通り地区およびシーサイドももち地区に
業実施要綱
対して、市中部下水処理場から下水処理水の再生水
を供給する事業を実施するに当り、給水の対象、利
用用途、再生水の受水設備・給水設備、使用者負担
金等を規定
平成 15 年 12 月
福岡市節水推進条例
共同住宅等を除く床面積の合計が 5,000m2(再生水が
供給される区域内では 3,000 m2)以上の建築物を新
築又は増築する場合、水洗トイレに雑用水道の設置
義務
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(2)東京都
都は、水の有効利用及び下水道施設への負荷軽減を図るために、都市計画局、水道局、下水道局、
衛生局の四局会議から発展した雑用水利用連絡協議会により、節水型都市構想を具体化する施策を積
極的に推進しています。また、財務局も、水資源有効利用に関し都が先導的な役割を一層果たすこと
ができるよう、都立建物への雑用水道設置を促しています(表 2-5 参照)。また、国土交通省の「下水
処理水循環利用モデル事業」の一環として、都は、新宿副都心水リサイクルモデル事業により、下水
処理水の再生水を供給しています。
表 2-5
実施年月
昭和 59 年 4 月
雑用水利用に係る主な施策(東京都)
通知・事業等の名称
雑用水利用に係る指導指針
内容
対象の区域、建築物の建築主及び雑用水利用施設の
管理者に対し、雑用水利用の実施及びこれらの施設
の安全かつ適正な管理運用を図るために行う指導に
ついての四局それぞれの役割分担
雑用水利用施設の安全管理の
上記指針に基づき設置された雑用水利用施設の安全
手引き
かつ適正な管理運用を図るため、循環利用水の用
途・水質基準、施設の構造基準、維持管理基準を規
定
昭和 63 年 7 月
財務局が施工する都立建物に
上記指針に定める対象規模以下の都立建物について
対する水資源の有効利用を図
も、使用形態等を勘案して雨水利用、雑排水利用、
る設備等に関する指針
工業用水道利用を、さらに積極的に推進するため、
循環利用水の用途、技術基準、維持管理基準等を規
定
平成 5 年 3 月
雑用水利用に係る指導指針(改 上記指針を改正し、雨水利用方式や下水処理水の再
正)
生水による広域循環方式が盛り込まれ、工業用水に
よる地区循環方式は、対象建築物の規模が引き下げ
られた
平成 10 年 4 月
東京都雨水利用,雨水浸透促進 開発面積 3,000m2 以上の開発事業の施行又は延べ面
要綱
積 10,000m2 以上の建築物の建築に際して雨水利用・
雨水浸透の促進を図る
平成 15 年 8 月
水の有効利用促進要綱
延べ床面積 10,000m2 以上の建築物、都市計画法に規
定する市街地開発事業者(一定規模以上の開発)等
は雑用水利用及び雨水浸透の推進に努めることの促
進要綱
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(3)沖縄県
同県は、ほぼ毎年、給水制限が繰り返されることからもわかるとおり、水需給のひっ迫した地域で
あり、多目的ダムの建設や海水淡水化施設の建設等、国と協力して水資源開発を推進していますが、
並行して、節水型社会の形成を図るための施策も積極的に進めています(表 2-6)。
表 2-6
実施年月
平成 3 年 8 月
雑用水利用に係る主な施策(沖縄県)
通知・事業等の名称
内容
雨水利用施設設置工事割増の
沖縄振興開発金融公庫では、県全域を対象に、雨水
実施について
利用施設設置工事を行う 1 戸建専用住宅に対し 50 万
円の割増加算制度を実施
平成 4 年 9 月
平成 5 年 3 月
沖縄県水資源有効利用推進方
雨水利用の普及促進をはじめ、湧水の有効利用、節
針
水対策等 11 項目の施策を提示
雨水利用マニュアル
雨水利用施設の設計・施工に携わる技術者が、雨水
利用を建築主に勧めたり、建築主からの相談に対応
するための参考書
雨水利用の手引-雨水を暮しの 一般県民向けの雨水利用マニュアル
なかに-
(4)福岡県
福岡市に限らず県全域において、水資源が有効に利用されるためには、まず、同県管理の建物が先
導的な役割を果たす必要があるとの判断から、表 2-7 に示す施策を推進しています。
表 2-7
実施年月
昭和 54 年 11 月
雑用水利用に係る主な施策(福岡県)
通知・事業等の名称
内容
福岡県の公用又は公共用建築
新設又は全面改築する県公共施設に関し、設置基準
物に対する水の再利用施設設
等を規定
置要綱
昭和 55 年 4 月
水の再利用施設設置技術基準
上記要綱に関連して、県公共施設に雑用水道を設置
する場合の再利用水の用途、水質基準、原水の選定、
処理方法等の構造基準、維持管理基準を規定
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(5)埼玉県
県内の大都市部(埼玉市など)に水道水を供給している埼玉県南水道企業団は、水源の確保が極めて
深刻な状況にあることから、給水区域内の事業者に対し、雑用水道設置に協力するよう要請していま
す(表 2-8)。
表 2-8
雑用水利用に係る主な施策(埼玉県)
実施年月
通知・事業等の名称
内容
昭和 63 年 4 月
雑用水の利用促進に関する要
この要綱の対象建築物、雑用水の用途、構造及び管
綱
理基準等を規定
(6)大阪市
表 2-9
雑用水利用に係る主な施策(大阪市)
実施年月
通知・事業等の名称
内容
昭和 49 年 5 月
大規模建築物の建築計画の事
一定規模以上の建築物のうち,一日最大使用水量が
前協議に関する取扱要領
1,000m3/日以上の建築物(住居用を除く)が対象
(7)東京都墨田区
表 2-10
実施年月
平成 7 年 4 月
雑用水利用に係る主な施策(東京都墨田区)
通知・事業等の名称
墨田区雨水利用推進指針
内容
区が所有する建築物は雨水利用の導入を原則とす
る。民間の建築物については助成を行う事により雨
水利用を推進し,大規模な建築物については「良好な
建築物と市街地形成に関する開発指導要綱(平成 7 年
12 月制定)」により事業者に対して雨水利用の指導を
行う
墨田区雨水利用促進助成制度
民間が雨水利用の為の貯留槽を設置する場合に費用
の一部を助成する
(8)千葉県
表 2-11 雑用水利用に係る主な施策(千葉県)
実施年月
平成 8 年 10 月
通知・事業等の名称
内容
雑用水の利用促進に関する指
大型建築物(公共下水道に接続・放流するものは,計
導要綱
画一日平均水使用量 300m3 以上又は延べ面積
30,000m2 以上のもの,汚水を個別に処理するものは
計画一日平均水使用量 100m3 以上又は延べ面積
10,000m2 以上のもの,但し住宅部分は除く)を新築す
る場合に雑用水利用施設を設置するよう指導をする
12
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(9)香川県
表 2-12 雑用水利用に係る主な施策(香川県)
実施年月
平成 10 年 10 月
通知・事業等の名称
内容
香川県雑用水利用促進指導要
大型建築物(延べ面積 10,000m2 以上のもの,但し共同
綱
住宅等を除く)を建築する場合に,排水再利用施設を
設置するよう指導をする
「節水設備整備等資金融資」及 中小企業等及び旅館・ホテル等が節水型機器,水の再
び「旅館・ホテル施設整備資金 利用施設等の設置購入を行う際に低利資金を融資
融資」
香川県雑用水利用促進事業補
民間が排水再利用施設を設置する際,処理能力が一
助金
日当たり 5m3 以上の施設を対象に設置費用の一部を
補助
(10)埼玉県越谷市
表 2-13
実施年月
雑用水利用に係る主な施策(埼玉県越谷市)
通知・事業等の名称
内容
越谷市浄化槽の雨水貯留施設
不要になった各戸の浄化槽を雨水貯留施設に転用
転用助成金
し,雨水有効利用を行う者に対してその転用に要す
る費用の一部を助成する
(11)その他の施策
北九州市には、排水再利用に関する指導要綱があります。
13
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3.
雑用水利用に係る水質基準等
先に述べた国・地方公共団体の諸施策において、それぞれ、再利用水等の用途・水質に関する規定
を設けていますが、現時点では、国土交通省・厚生労働省の通達に従い、使用用途を水洗便所用水に
限定し、その暫定水質基準に基づいて計画設計・維持管理等を行うことが原則となっています。しか
しながら、国土交通省調査*1 によれば、図 3-1 に示されるとおり、水洗便所用水以外の用途、散水用
水、冷却用水、修景用水・・・にも雑用水が利用されているのが実情です。
図 3-1
(文献
*1
雑用水の利用用途
参考 8-1-3 雑用水の利用用途)
こうした中で、総務庁は、平成 2 年 9 月に「水資源の開発・利用に関する行政監察結果報告書」を
発表し、雑用水への再生水等の利用に関しては、水洗便所用水以外の用途に拡大することも含めて、
安心して使用できる雑用水の「正規の」水質基準を規定すべき旨の勧告を、厚生労働省・経済産業省・
国土交通省に対して行いました。
この章では、雑用水の水質に関して、これまでに示された基準・目標値をまとめるとともに、使用
用途を拡大して検討する場合に参考となる水質基準等についても触れることにします。
14
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SUG A TECHNIC AL REPORT NO.30494
3.1
雑用水の用途別水質基準等
(1)水洗便所用水
雑用水道を設置している殆どの施設は、誤飲・誤使用のおそれ及び使用者の抵抗感が比較的少なく、
その使用水量が多い水洗便所用水として、雑用水を利用しています。また、その水質基準(目標)に関
しても数多く示されていますが、主要なものだけを表 3-1 に示します。
表 3-1 水洗便所用水の水質基準等
水質項目
国土交通省
厚生労働省
福岡市
東京都
外観
無色透明
無色透明
不快でないこと 不快でないこと -
色度[度]
-
-
-
臭気
異常でないこと 異常でないこと 不快でないこと 不快でないこと 不快でないこと
pH
5.8~8.6
5.8~8.6
5.8~8.6
5.8~8.6
5.8~8.6
SS[mg/L]
-
-
-
-
30 以下
BOD[〃]
20 以下
-
-
-
20 以下
COD[〃]
30 以下
-
-
-
30 以下
MBAS[〃]
-
-
-
-
1 以下
鉄+マンガン[〃]
-
-
-
-
鉄・マンガンそ
-
福岡県
不快でないこと
れぞれ 0.5 以下
大腸菌群[個/mL]
10 以下
10 以下
不検出(大腸菌)10 以下
残留塩素[mg/L]
0.1 以上
0.1 以上
保持されている 保持されている 0.5 以上
引用文献
*5
*6
こと
こと
*7
*8
10 以下
*9
外観、臭気等の心理的情緒因子については、不快感を伴わなければよいことになっています。また、
物理化学的因子である pH は水道水と同等です。
15
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(2)散水用水
水洗便所用水に次いで多い用途が、道路面への散水、草花・樹木等への散水としての利用ですが、
人体には経皮的・経気道的影響を及ぼす可能性があるため、排水再利用水を利用する場合には、特に
注意を要します。表 3-2 に、その水質基準等を示します。
表 3-2 散水用水の水質基準等
水質項目
東京都首都整備局 日本水道協会
国交省(下水処理水)
外観
-
-
不快でないこと
色度[度]
50 以下
30 以下
-
臭気
不快でないこと
不快でないこと 不快でないこと
濁度[度]
5 以下
10 以下
-
pH
6.5~9.0
5.8~8.6
5.8~8.6
過マンガン酸カリウム消費量[mg/L] -
60 以下
-
SS[〃]
5 以下
-
-
BOD[〃]
10 以下
-
-
COD[〃]
20 以下
-
-
溶解性物質[〃]
1,000 以下
-
-
アンモニア性窒素[〃]
10 以下
-
-
硬度[〃]
300 以下
-
-
塩素イオン[〃]
300 以下
-
-
ABS[〃]
2 以下
-
-
MBAS[〃]
-
1 以下
-
鉄+マンガン[〃]
1 以下
0.5 以下
-
大腸菌群数[個/mL]
-
-
検出されないこと
残留塩素[mg/L]
0.2 以上
-
0.4 以上
引用文献
*10
*11
*12
16
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(3)冷却・冷房用水
事務所ビルなどの一般建築物では、空調用冷却塔への補給水として、また、工場では、各製造工程
における冷却水として雑用水が利用されていますが、その水質基準等を、表 3-3 に示します。
表 3-3 空調用冷却用水の水質目標
水質項目
東京都首都整備局 日本水道協会
色度[度]
不快でないこと
-
臭気
不快でないこと
不快でないこと
濁度[度]
10 以下
10 以下
pH
6.5~9.0
5.8~8.6
過マンガン酸カリウム消費量[mg/L] -
60 以下
SS[〃]
10 以下
-
BOD[〃]
10 以下
-
COD[〃]
20 以下
-
蒸発残留物[〃]
-
800 以下
溶解性物質[〃]
1,000 以下
-
アンモニア性窒素[〃]
20 以下
-
硬度[〃]
300 以下
300 以下
塩素イオン[〃]
300 以下
-
ABS[〃]
1 以下
-
MBAS[〃]
-
0.5 以下
鉄+マンガン[〃]
0.5 以下
0.5 以下
引用文献
*10
*11
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一方、冷凍機メーカの団体である(社)日本冷凍空調工業会は、腐食やスケール生成による冷凍空調
機器の故障等を防止するため、表 3-4 にあるような独自の水質基準を規定しています。
表 3-4
冷却水・補給水の水質基準(JRA-GL-02-1994)
水質項目
冷却水
基準項目 pH(25℃)
補給水
6.5~8.2
6.0~8.0
電気伝導率(25℃)[mS/m]
80 以下
30 以下
塩化物イオン CL-[mgCL-/L]
200 以下
50 以下
硫酸イオン SO42-[mgSO42-/L]
200 以下
50 以下
酸消費量(pH4.8)[mgCaCO3/L]
100 以下
50 以下
全硬度[mgCaCO3/L]
200 以下
70 以下
カルシウム硬度[mgCaCO3/L]
150 以下
50 以下
イオン状シリカ[mgSiO2/L]
50 以下
30 以下
参考項目 鉄 Fe[mgFe/L]
1.0 以下
0.3 以下
銅 Cu[mgCu/L]
0.3 以下
0.1 以下
硫化物イオン S2-[mgS2-/L]
検出しないこと 検出しないこと
アンモニウムイオン NH4+[mgNH4+/L] 1.0 以下
0.2 以下
残留塩素[mgCL/L]
0.3 以下
0.3 以下
遊離炭酸[mgCO2/L]
4.0 以下
4.0 以下
安定度指数
6.0~7.0
-以下
18
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(4)修景・親水用水
池・堀、せせらぎ、噴水、壁泉等のアメニティ利用に供される水で、人体との接触を前提としない
ものを修景用水、反対に、人体との接触を前提とするものを親水用水といって区別しています。ここ
で言う人体との接触とは、せせらぎに手足を浸す程度の、身体の部分的な接触による水との交わりを
指しており、水浴等の全身的な接触を指していないことに注意する必要があります。
表 3-5 修景・親水用水の水質基準等
水質項目
修景用水
日本水道協会
親水用水
国土交通省(下水処理水)
色度[度]
30 以下
臭気
不快でないこと 不快でないこと 不快でないこと
濁度[度]
20 以下
10 以下
5 以下
pH
5.8~8.6
5.8~8.6
5.8~8.6
過マンガン酸カリウム消費量[mg/L] 60 以下
-
-
BOD[〃]
-
10 以下
3 以下
蒸発残留物[〃]
800 以下
-
-
MBAS[〃]
1 以下
-
-
鉄+マンガン[〃]
0.5 以下
-
-
大腸菌群数[個/mL]
-
10 以下
0.5 以下
引用文献
*11
*13
19
40 以下
10 以下
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(5)洗車用水・清掃用水
一般に、1 台の普通車を洗浄するのに 260・前後の水を使用すると言われていますが、ビル清掃用
の水も含めて雑用水利用する場合、表 3-6 に示されるような水質が提案されています。
表 3-6
洗車用水・清掃用水の水質目標
水質項目
東京都首都整備局 日本河川協会
日本水道協会
色度[度]
30 以下
20 以下
臭気
不快でないこと
不快でないこと 不快でないこと
濁度[度]
5 以下
15 以下
10 以下
pH
6.5~9.0
5.8~8.6
5.8~8.6
過マンガン酸カリウム消費量[mg/L] -
40 以下
60 以下
SS[〃]
5 以下
-
-
BOD[〃]
10 以下
-
-
COD[〃]
20 以下
-
-
蒸発残留物[〃]
-
500 以下
500 以下
溶解性物質[〃]
500 以下
-
-
アンモニア性窒素[〃]
10 以下
-
-
硬度[〃]
200 以下
500 以下
-
塩素イオン[〃]
200 以下
400 以下
-
ABS[〃]
1 以下
1.0 以下
-
MBAS[〃]
-
-
1 以下
鉄[〃]
-
0.3 以下
-
マンガン[〃]
-
0.3 以下
-
鉄+マンガン[〃]
0.3 以下
-
0.5 以下
大腸菌群数[個/mL]
-
1 以下
-
残留塩素[mg/L]
0.2 以上
0.2 以上
-
引用文献
*10
*14
*11
30 以下
(6)風呂用水
現時点では、我が国においてお風呂の浴槽に雑用水を供給することは考え難いのですが、将来、水
需給が相当ひっ迫した場合を想定するかのように、表 3-7 に示されるような水質が提案されています。
一方、銭湯・サウナなど公衆浴場については、利用者における皮膚病や伝染病の感染を防止するた
めに、表 4-8 のような水質基準が規定されています。
20
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表 3-7
風呂用水の水質目標
水質項目
近畿地建
日本河川協会
色度[度]
15 以下
5 以下
臭気
異常でないこと
加温して異臭を生じないこと
濁度[度]
10 以下
5 以下
味
異常でないこと
-
pH
5.8~8.6
5.8~8.6
過マンガン酸カリウム消費量[mg/L] 20 以下
20 以下
蒸発残留物[〃]
500 以下
500 以下
アンモニア性窒素+亜硝酸性性窒[〃] 0.5 以下
-
硝酸性窒素[〃]
30 以下
-
硬度[〃]
-
300 以下
塩素イオン[〃]
-
200 以下
ABS[〃]
0.5 以下
0.5 以下
鉄[〃]
1.0 以下
0.3 以下
マンガン[〃]
0.3 以下
0.3 以下
有機りん[〃]
検出されないこと -
ふっ素[〃]
6.0 以下
-
鉛[〃]
0.1 以下
-
ヒ素[〃]
0.05 以下
-
六価クロム[〃]
0.05 以下
-
銅[〃]
1.0 以下
-
亜鉛[〃]
1.0 以下
-
水銀[〃]
検出されないこと -
フェノール類[〃]
0.005 以下
シアン[〃]
検出されないこと -
大腸菌群数[個/mL]
検出されないこと 検出されないこと
残留塩素[mg/L]
1.0 以上
0.2 以上
引用文献
*15
*14
21
-
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表 3-8
公衆浴場・宿泊施設浴場の水質基準
(平成 12 年 12 月 15 日厚生省生活衛生局通達)
水質項目
原水・原湯・上り用湯・上り用水
浴槽水
色度[度]
5 以下
-
濁度[〃]
2 以下
5 以下
pH
5.8~8.6
-
過マンガン酸カリウム消費量[mg/L]
10 以下
25 以下
大腸菌群
50mL 中に未検出
1 個/mL 以下
レジオネラ属菌[CFU/100mL]
10 未満
10 未満
アンモニア性窒素[mg/L](宿泊施設の浴場のみ) -
1 以下
【備考】: 原水とは、原湯に原料とする水及び浴槽水の温度を調整する目的で浴槽に直接注入されるべき
冷水をいう。原湯とは、浴槽に直接注入されるべき温水をいう。ただし、循環ろ過方式などに
より、浴槽水が還流される場合の温水は除く。上り用湯とは、上り湯湯栓(シャワー等を含む)
から供給される温水をいう。上り用水とは、上り湯水栓(シャワー等を含む)から供給される冷
水をいう。浴場水とは、浴槽内の水をいう。
3.2
雑用水利用に関連する水質基準
(1)水道水(飲料水)
平成 15 年 5 月に、厚生労働省は、水道水の水質基準を改正しました。この基準は、生涯にわたる連続
的な摂取をしても人の健康に影響を生じない水準を基とし安全性を十分考慮して基準値を設定した 31 項
目(健康に関連した項目)と、水道水としての生活利用上あるいは水道施設の管理上障害が生ずるおそれの
ない水準として基準値を設定した 20 項目(水道水が有すべき性状に関連する項目)から成り、合計した 51
項目を「基準項目」と呼んでいます(表 3-9)。
22
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表 3-9
水道水の水質基準(厚生省令第 101 号)
水質項目
健康に関連する項 一般細菌[個/mL]
大腸菌
目
カドミウム[mg/L]
水銀[〃]
セレン[〃]
鉛[〃]
ヒ素[〃]
六価クロム[〃]
シアン[〃]
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素[〃]
フッ素[〃]
ホウ素[〃]
四塩化炭素[〃]
1,4-ジオキサン[〃]
1,1-ジクロロエチレン[〃]
シス-1,2-ジクロロエチレン[〃]
ジクロロメタン[〃]
テトラクロロエチレン[〃]
トリクロロエチレン[〃]
ベンゼン[〃]
クロロ酢酸[〃]
クロロホルム[〃]
ジクロロ酢酸[〃]
ジブロモクロロメタン[〃]
臭素酸[〃]
総トリハロメタン[〃]
トリクロロ酢酸[〃]
ブロモジクロロメタン[〃]
ブロモホルム[〃]
ホルムアルデヒド[〃]
塩素酸
水道水が有すべき 亜鉛[〃]
性状に関連する項 アルミニウム[〃]
鉄[〃]
目
銅[〃]
ナトリウム[〃]
マンガン[〃]
塩素イオン[〃]
カルシウム、マグネシウム等(硬
蒸発残留物[〃]
陰イオン界面活性剤[〃]
ジェオスミン[〃]
2-メチルイソボルネオール[〃]
非イオン界面活性剤
フェノール類[〃]
有機物(全有機炭素(TOC)の量)[〃]
pH値
味
臭気
色度[度]
濁度[〃]
23
基準値
100以下
検出されないこと
0.01以下
0.0005以下
0.01以下
0.01以下
0.01以下
0.05以下
0.01以下
10以下
0.8以下
1.0以下
0.002以下
0.05以下
0.02以下
0.04以下
0.02以下
0.01以下
0.03以下
0.01以下
0.02以下
0.06以下
0.04以下
0.1以下
0.01以下
0.1以下
0.2以下
0.03以下
0.09以下
0.08以下
0.04以下
1.0以下
0.2以下
0.3以下
1.0以下
200以下
0.05以下
200以下
300以下
500以下
0.2以下
0.00001以下
0.00001以下
0.02以下
0.005以下
5以下
5.8~8.6
異常でないこと
異常でないこと
5以下
2以下
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厚生労働省は、水質基準以外にも、水質管理上留意すべき項目を水質管理目標設定項目(表 3-10)、
毒性評価が定まらない物質や、水道水中での検出実態が明らかでない項目を要検討項目(表 3-11)
と位置づけ、必要な情報・知見を収集しています。
表 3-10
水質項目
アンチモン[mg/L]
ウラン[〃]
ニッケル[〃]
亜硝酸態窒素[〃]
1,2-ジクロロエタン[〃]
トランス-1,2-ジクロロエチレン[〃]
1,1,2-トリクロロエタン[〃]
トルエン[〃]
フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)
[
]
亜塩素酸[〃]
二酸化塩素[〃]
ジクロロアセトニトリル[〃]
抱水クロラール[〃]
水道管理目標設定項目と目標値(26 項目 126 物質)
目標値
0.01以下
0.002以下
0.01以下
0.05以下(暫定)
0.004以下
0.04以下
0.006以下
0.2以下
0.1以下
0.6以下
0.6以下
0.04以下(暫定)
0.03以下(暫定)
水質項目
農薬類[mg/L]
残留塩素[〃]
カルシウム、マグネシウム等(硬
度)[ ]
マンガン[〃]
目標値
1以下*1
1以下
10以上100以下
0.01以下
遊離炭酸[〃]
20以下
1,1,1-トリクロロエタン[〃]
0.3以下
メチルーt-ブチルエーテル[〃]
0.02以下
有機物等(過マンガン酸カリウム消費量[〃] 3以下
臭気強度[TON]
3以下
蒸発残留物[mg/L]
30以上200以下
濁度[度]
1以下
pH値
7.5程度
腐食性(ランゲリア指数)
-1~0*2
*1:検出値と目標値の比の和として、1以下
*2:-1程度以上とし、極力0に近づける
表 3-11 要検討項目と目標値(40 項目)
水質項目
銀
バリウム
ビスマス
モリブデン
アクリルアミド
アクリル酸
17-β-エストラジオール
エチニルーエストラジオール
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)
エピクロロヒドリン
塩化ビニル
酢酸ビニル
2,4-ジアミノトルエン
2,6-ジアミノトルエン
スチレン
ダイオキシン類
トリエチレンテトラミン
ノニルフェノール
ビスフェノールA
目標値[mg/L]
0.7
0.07
0.0005
0.00008(暫定)
0.00002(暫定)
0.5
0.0004(暫定)
0.002
0.02
1pgTEQ/L(暫定)
0.3(暫定)
0.1(暫定)
水質項目
ヒドラジン
1,2-ブタジエン
1,3-ブタジエン
フタル酸ジ(n-ブチ
)
フタル酸ブチルベンジ
ミクロキスチンーLR
有機すず化合物
ブロモクロロ酢酸
ブロモジクロロ酢酸
ジブロモクロロ酢酸
ブロモ酢酸
トリブロモ酢酸
トリクロロアセトニトリル
ブロモクロロアセトニトリル
ジブロモアセトニトリル
アセトアルデヒド
MX
クロロピクリン
キシレン
目標値[mg/L]
1以下
0.2(暫定)
0.5(暫定)
0.0008(暫定)
0.0006(暫定)
)
-(
0.06
0.001
0.4
東京都内の公共用建物においては、雨水やプール水を、地震等災害時の非常用飲料水の水源と考え、
精密ろ過(と、場合によっては、活性炭吸着)と消毒の組合わせで処理する設備を備えるケースがあり
ますが、現時点では、雑用水道から供給される水を飲料水として利用する場合の水質基準が規定され
ていないので、短期的な摂取とは言え、表 3-9 および表 3-10 の数値に留意する必要があります。
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(2)プール水
近年、国民の生活水準が向上、ライフスタイルも変化し、快適で健康的な生活志向が強まる中で、
プール施設の数が急増していますが、利用者からの衛生面の要求も高まっており、厚生労働省は平成
13 年 7 月に、一方、文部科学省は同年 8 月に、プール水に係る水質基準を改正しました(表 3-12)。
表 3-12 プール水の水質基準
水質項目
厚生労働省(健発第 774 号) 文部科学省(文科ス第 264 号)
pH 値
5.8~8.6
5.8~8.6
濁度[度]
2 以下
2 以下
過マンガン酸カリウム消費量[mg/L]
12 以下
12 以下
遊離残留塩素[〃]
0.4~1.0
0.4~1.0
二酸化塩素[〃]
0.1~1.0
-
亜塩素酸[〃]
1.2 以下
-
大腸菌群
不検出
不検出
一般細菌数[コロニー/mL]
200 以下
200 以下
総トリハロメタン(暫定目標値)[mg/L] 0.2 以下
0.2 以下
又は
【備考】: 文部科学省の基準では、プール水の給水源は、飲料水の水質基準に適合していることが望まし
いとしている。
全国各地にあるプール施設の内のいくつかは、雑用水利用の原水としてプール水を使用しています。
ごく一般的な 25m プールの容積は、200~400m3 と多量の水を貯留していますので、前項でも触れたよ
うに、非常時の飲料水水源としての役割を担いつつあります。
(3)下水道への放流水
下水道施設の機能保全と損傷防止のために、下水道法により、排除してよい下水の水質基準(表
4-13)が規定されています。また、各地方公共団体においては、地域の特性に応じて、条例により、さ
らに厳しい基準(いわゆる「上乗せ基準」)を定めることができます。
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表 3-13
条例で定める基準
下水道への放流水基準(いわゆる「一律基準」)
環境項目等
政令の基準
有害物質
水質項目
温度[℃]
水素イオン濃度(pH)
生物化学的酸素要求量(BOD)[mg/L]
浮遊物質量(SS)[〃]
よう素消費量[〃]
ノルマルヘキサン抽出物質(鉱油類含有
量)[
]
同上(動植物油脂類含有量)[〃]
基準値
45以下
5~9
600以下
600以下
220以下
5以下
30以下
窒素含有量[〃]
240以下
燐含有量[〃]
32以下
銅及びその化合物[〃]
3以下
亜鉛及びその化合物[〃]
2以下
クロム及びその化合物[〃]
2以下
フェノール類[〃]
5以下
鉄及びその化合物(溶解性)[〃]
10以下
マンガン及びその化合物(溶解性)[〃]
10以下
弗素及びその化合物[〃]
海域以外:8以
海域:15以下
ほう素及びその化合物[〃]
海域以外:10以
海域:240以下
アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素含有 380以下
量
カドミウム及びその化合物[〃]
0.1 以下
シアン化合物[〃]
1以下
有機燐化合物[〃]
1以下
鉛及びその化合物[〃]
0.1以下
六価クロム化合物[〃]
0.5以下
ひ素化合物[〃]
0.1以下
0.005以下
水銀及びアルキル水銀その他水銀化合物
[アルキル水銀化合物[〃]
]
検出されないこ
と
ポリクロリネイテッドビフェニル(別名
0.003以下
)[
]
トリクロロエチレン[〃]
0.3以下
テトラクロロエチレン[〃]
ジクロロメタン[〃]
四塩化炭素[〃]
1,2-ジクロロエタン[〃]
1,1-ジクロロエチレン[〃]
シス-1,2-ジクロロエチレン[〃]
1,1,1-トリクロロエタン[〃]
1,1,2-トリクロロエタン[〃]
1,3-ジクロロプロペン[〃]
テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チ
ウ
)[ ]
2-クロロ-4,6-ビス(エチルアミノ)-s-トリ
ジ (別名
ジ )[ ]
S-4-クロロベンジル=N・N-ジエチルチオカ
(別名チオ
ブ)[ ]
ベンゼン[〃]
セレン及びその化合物[〃]
0.1以下
0.2以下
0.02以下
0.04以下
0.2以下
0.4以下
3以下
0.06以下
0.02以下
0.06以下
0.03以下
0.2以下
0.1以下
0.1以下
下水道整備地域において、雑用水道の処理方式(後述)として限外ろ過(UF)等の膜処理を採用する場
合には、必ず濃縮排水が発生しますので、それを下水道に放流する場合には、この基準を厳守しなけ
ればなりません。
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(4)公共用水域への放流水
河川や湖沼、海などの公共用水域に対して、特定の工場等が排水を放流する場合には、表 3-14 に
示されるような規制値が、水質汚濁防止法により定められています。また、各地方公共団体において
は、地域の特性に応じて、条例により、さらに厳しい基準(いわゆる「上乗せ基準」)を定めている場
合があります。 さらに、瀬戸内海、東京湾および伊勢湾の 3 水域は、閉鎖性水域といわれますが、COD
による汚濁負荷の総量規制が行われています。
表 3-14 公共用水域への排水基準(いわゆる「一律基準」)
有害物質
水質項目
カドミウム及びその化合物 [mg/L]
シアン化合物[〃]
有機燐化合物[〃]
鉛及びその化合物[〃]
六価クロム化合物[〃]
ひ素化合物[〃]
水銀及びアルキル水銀その他水銀化合物[〃]
アルキル水銀化合物[〃]
ポリクロリネイテッドビフェニル(別名
)[ ]
トリクロロエチレン[〃]
テトラクロロエチレン[〃]
ジクロロメタン[〃]
四塩化炭素[〃]
1,2-ジクロロエタン[〃]
1,1-ジクロロエチレン[〃]
シス-1,2-ジクロロエチレン[〃]
1,1,1-トリクロロエタン[〃]
1,1,2-トリクロロエタン[〃]
1,3-ジクロロプロペン[〃]
テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウ
)[ ]
2-クロロ-4,6-ビス(エチルアミノ)-s-トリア
ジ
(別名
ジ )[ ]
S-4-クロロベンジル=N・N-ジエチルチオカル
(別名
ブ)[ ]
ベンゼン[〃]
セレン及びその化合物[〃]
ほう素及びその化合物[〃]
ふっ素及びその化合物[〃]
一般項目
アンモニア、アンモニア化合物、亜硝酸化合
物及び硝酸化合物[ ]
水素イオン濃度(pH)
生物化学的酸素要求量(BOD)[mg/L]
化学的酸素要求量(COD)[〃]
浮遊物質量(SS)[〃]
ノルマルヘキサン抽出物質(鉱油類含有
量)[ ]
同上(動植物油脂類含有量)[〃]
フェノール類含有量[〃]
銅含有量[〃]
亜鉛含有量[〃]
溶解性鉄含有量[〃]
溶解性マンガン含有量[〃]
クロム含有量[〃]
3
大腸菌群数[個/cm ]
窒素含有量[mg/L]
燐含有量[〃]
27
許容限度
0.1
1
1
0.1
0.5
0.1
0.005
検出されないこと
0.003
0.3
0.1
0.2
0.02
0.04
0.2
0.4
3
0.06
0.02
0.06
0.03
0.2
0.1
0.1
河川、湖沼等海域以外10
海域230
河川、湖沼等海域以外8
海域15
100
河川、湖沼等海域以外で5.8~
海域で5.0~9.0
160(日間平均120)
160(日間平均120)
200(日間平均150)
5
30
5
3
2
10
10
2
日間平均3,000
120(日間平均60)
16(日間平均8)
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3.3
雑用水道の原水水質
雑用水道の原水としては、一般に
1)洗面、手洗い、湯沸し排水(雑排水) 2)冷却塔ブロー水(〃) 3)厨房排水(〃) 4)汚水 5)雨水
のようなものが考えられますが、建物毎に、その用途や使用形態等が異なるとともに、量的安定性や
経済性をも勘案しなければなりませんので、原水の水質を推定することは容易ではありません。そこ
で、国土交通省や福岡市は、アンケート調査や文献調査を行い、実測調査で検証した上で、原水の設
計水質を定めています。しかしながら、こうした数値は、あくまで標準的な事務所ビルを対象として
いると考えられますので、例えば、厨房排水の比率が高いことが想定される場合などには、詳細な検
討が必要になってきます。
(1)国土交通省
国土交通省計画基準*2 では、
(A) 雑排水(手洗・洗面+湯沸し) (B) 雑排水(手洗・洗面+湯沸し+厨房) (C) 汚水+雑排水(手洗・洗面+湯
沸し+厨房)のように原水を 3 パターン設定し、表 3-15 に示される有機物濃度を
定めています。
表 3-15 原水の水質
原水種別
(A)雑排水 (B)雑排水 (C)汚水+雑排水
項目 BOD[mg/L] 100
300
300
COD[〃]
80
200
200
SS[〃]
100
250
250
(2)福岡市
同市の技術指針案*7 では、同様に(表 3-16)、という数値を示しています。
表 3-16 原水の計画水質
原水種別
雑排水
汚水
厨房排水を含まない 厨房排水を含む
項目 SS[mg/L] 100
250
250
BOD[〃] 100
250
250
COD[〃] 80
150
150
(3)その他
当社施工の雑用水道における原水水質の設計値(例)を表 3-17 に示します。
表 3-17 原水の設計水質(例)[単位:mg/L]
原水の種別
(一般的な)雑排水
BOD
COD
100
(一般的な)雑排水+厨房排 250~600
水
(一般的な)雑排水+汚水
300~450
雑排水(手洗・洗面+湯沸
し)
厨房排水
SS
n-Hex
80
50~200
10~30
150~400
250~600
150
200~300
250~500
-
80~100
80~150
100
10
400~600
200~500
200~450
150~200
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4.
雑用水道の標準処理フロー
雑用水道の心臓部である水処理プロセスの決定は、使用する原水の種類(水質)と量、雑用水の利用
用途はもとより建物の用途や特性をも勘案しながら、総合的に行われます。したがって、雑用水道の
処理フローも、厳密に言えば、それぞれの建物によって大なり小なりの違いがあります。
この章では、国土交通省計画基準*2 や下水処理水循環利用技術指針案*12 等に示されている標準的な
雑用水道の処理フローについて述べることにします。
4.1
排水再利用方式
排水再利用方式では、雑排水・厨房排水・汚水を原水とし、雨水は対象外とします。
(1) 標準処理フロー
国土交通省は、平成 9 年現在で代表的な雑用水道の実態調査を行い、それに基づいて、4 つの標準
処理フロー(図 4-1)を示しました。
標準処理フローNo.1~3 は、生物処理をメインとしたフローです。No.1 は、手洗い・洗面・湯沸し
からの雑排水を原水とする場合に最も適しています。厨房排水や汚水が混入した雑排水を原水とする
場合には、この処理フローに活性炭処理装置やオゾン処理装置を追加する必要があります。また、No.2
は、手洗い・洗面・湯沸しからの雑排水に厨房排水や汚水を加えたものを原水とする場合に適してい
ます。汚水の混入割合が高くなれば、活性炭処理装置やオゾン処理装置を追加する必要があります。
そして、No.3 は、いかなる原水にも適用可能であり、安定した処理水水質が得られる処理フローです。
一方、標準処理フローNo.4 は、膜処理をメインとしたフローです。No.4 は、手洗い・洗面・湯沸し
からの雑排水を原水とする場合に限定され、厨房排水や汚水が混入した原水への適用は困難です。
1) 標準処理フローNo.1
2) 標準処理フローNo.2
3) 標準処理フローNo.3
4) 標準処理フローNo.4
図 4-1
排水再利用方式の標準処理フロー(国土交通省)
29
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一方、福岡市では、同市技術指針案*7 の中で、原水の水質、水量、負荷変動、水質基準、設置スペ
ース、維持管理上の条件等を勘案して、図 4-2 を参考に用水処理方式を定めるものとしています。
原水
処理フロー
前処理
主たる処理
後処理
-
-
上記の処理方法の中から水質に応じて選定
雑排水厨房排水を
含まない
雑排水厨房排水を
含む
汚水
浄化槽処理水
する
【注】 図中┤├はどちらかを選択する。また、( )は、必要に応じて選択する。
図 4-2 福岡市の標準処理フロー(例)
30
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(2)標準処理フローの適用性・相互比較
建設省は、標準処理フローから期待できる処理水質と、その原水の種類と適用性に関して、表 4-1
のように示しています。さらに、標準処理フローを選定する目安のひとつとして、表 4-2 に示すよう
な経済性や維持管理性などの比較を行っています。
4.2
雨水利用方式
(1)標準処理フロー
国土交通省は、同様に、雨水利用方式に関しても、4 つの標準処理フローを示し(図 4-3)、雨水集
水量、利用用途および建築物の用途・特性を総合的に考慮して決定するよう定めています。標準処理
フローNo.1 は、雑用水の使用状況と雨水貯留槽容量の関係で、細かい砂や微細な有機性浮遊物が自然
沈降できるだけの滞留時間が確保される場合に適用できます。また、No.2 は、適用事例が多く、最も
基本的な処理フローということになりますが、沈殿槽の流入部に砕石ろ過層を備えたものもあります。
No.3 は、処理設備の設置面積や水位の制約から沈殿槽を省略したい場合に適用できます。以上の標準
処理フローが対象とする使用用途は、水洗便所用水でありますが、No.4 により得られる処理水は、こ
の他空調用水(冷却塔補給水)や散水、消火用水等にも使用可能です。ただし、雨水の集水場所は汚染
度の少ない屋根面を原則としており、酸性雨に対する特別な配慮はしていないので、これらの条件か
ら外れる場合には、適切な措置が必要となります。
標準処理
BOD
表 4-1a
標準処理フローの処理水質(国土交通省)
COD
SS
臭気
pH
陰イオン活性剤
フローNo. [mg/L]
1
15以下
[mg/L]
30以下
[mg/L]
10以下
[度]
不快感を感じない 40程度
5.8~8.6
[mg/L]
1.0以下
2
10以下
20以下
10以下
不快感を感じない 40程度
5.8~8.6
1.0以下
3
10以下
20以下
トレース
不快感を感じない 30程度
5.8~8.6
1.0以下
4
15以下
30以下
トレース
不快感を感じない 10程度
5.8~8.6
1.0以下
表 4-1b
標準処理
標準処理フローの原水種別と適用性(国土交通省)
A:雑排水
フローNo. ②③
1
負荷が小さいため処理水
質が安定(生物膜法のと
き)している。
2
3
4
過剰設備となる。
色度
B:雑排水
C:汚水+雑排水
②③④
原水の水質変動があると処理水
質の変化が起こりやすい。生物
処理の機能維持・管理が重要と
なる
原水の水質が変動しても処理水
質は安定している。
①②③④
原水の水質変動があると処理水質の変化が起
こりやすい。生物処理の機能維持・管理が重
要となる。
原水の水質が変動しても処理水質は安定して
いる。汚水①の混入割合が高いと色度除去に
オゾンまたは活性炭が必要となる場合もあ
る
原水の水質が変動しても 原水の水質が変動しても処理水 原水の水質が変動しても処理水質は安定して
処理水質は安定してい
質は安定している。
いる。
る
負荷が小さいため処理水 原水中の有機物汚染に対し、活 原水中の有機物汚染に対し、活性炭吸着の負
質が安定している。間欠 性炭吸着の負荷が高く、処理コ 荷が高く、処理コストが割高になる。
運転に適する。
ストが割高になる。
【注】 原水種別:①便所、②手洗い・洗面、③湯沸し、④厨房
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表 4-2
標準処理フローの建設費等からの比較参考例(国土交通省)
標準処理 建設費
造水コスト 設置面積 維持管理法
フローNo.
1
100
100
100
○
2
130
500
50
○
3
100
100
100
◎
4
110~125 160
35
◎
【注】 1) 標準処理フローNo.により,最適な原水が異なるので,フローNo.1 及び No.4 は,原水(A), フロー
No.2 及び No.3 は,原水(B)又は(C)とした。
2) 表中の数字は,原水種別にフローNo.1, フローNo.2 をそれぞれ 100 とした場合の指数である。
3) 建設費に幅があるのは,生物処理槽の方式や膜処理装置のシステム構成の違いによる。
4) 建設費は,機械及び電気・計装工事分であり,水槽等の土木・建築工事に含まれる躯体工事と機
器の基礎は含まれていない。
5) 機械の積算比較範囲は,スクリーンから処理水槽内部部品までで,再利用水を給水するポンプ以
降の給水系は含まれていない。また,付帯設備であるオゾン処理装置,活性炭吸着装置,脱水装
置,脱臭装置は含まれていない。
電気工事は,制御盤以降のものであり,1 次側の電源供給は含まれていない。主な計測器として
6) は,原水流量指示積算計,処理水流量指示積算計,処理水 pH 指示記録計及び処理水濁度計があ
る。
7) 造水コスト計算においては,標準処理フローに含まれていないオゾン処理と活性炭吸着は考慮
していない。
8) 膜処理装置の膜ライフを 3 年とし,毎年 1/3 ずつ交換するとして試算した。
9) 活性炭ライフは,1 年として試算した(標準処理フローNo.4 の場合)。
10) 各フローとも,汚泥の脱水処理は行わず,濃縮後バキューム車による搬出処分とした。
11) 設置面積は,原水流量調整槽及び処理水槽は共通なものとして比較から除外し,処理プロセスに
より相違する機器類や水槽の所要面積で比較を行った。
32
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1) 標準処理フローNo.1
2) 標準処理フローNo.2
3) 標準処理フローNo.3
4) 標準処理フローNo.4
【注】 雨水の集水から使用に至る過程において、汚染、腐敗等のおそれがなく、かつ、十分な維持管理を
行うことができる場合には、消毒装置を省略することができる。
図 4-3
雨水利用方式の標準処理フロー(国土交通省)
また、東京都財務局は、同局指針*16 の技術基準の中で雨水利用における処理フローを示していま
す(図 4-4)。
図 4-4
雨水利用の処理の流れ(東京都財務局)
この他、横浜市でも、「雨水利用システム設計要領(学校施設用)」を作成し、国土交通省の標準処
理フローNo.1 と同等のものを示しています。
(2)標準処理フローの相互比較
国土交通省では、標準処理フローNo.2 を基本として、コスト、面積等の比較を行っています(表 4-3)。
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表 4-3 標準処理フローの比較例(国土交通省)
標準処 集水場所の汚染度に対する適合性
建設 造水コス 設置面積
理
費
ト
フロー
維持管
雨水貯留槽を 雨水貯留槽を 理
除く
含む
100
15
80
◎
100
100
100
◎
No.
1
土砂や煤じん等の集積がほとんどない、きれ 80
いな屋根面
2
土砂や煤じん等の集積があまりない、比較的 100
きれいな屋根面
3
同上
120
110
30
85
○
4
土砂や煤じん等が集積しやすい、汚れの多い 140
105
120
105
○
屋根面
【注】 1) 集水場所の汚染度とは、溶解性物質によるものではなく、非溶解性物質による汚れの程度をいう。
2) 建設費,造水コスト,設置面積は,処理フローNo.2 を基準(100)として作成した。施設の規模は,使
用水量 30m3/日とした。
3) 建設費のうち,水槽類は建物の地下ピットを利用するものとし,建築費に含めない。
4) 造水コストはランニングコストを示し、設備の減価償却費は含まない。
5) 設置面積は,国土交通省計画基準*2 の標準設計例をモデルとして算出した。沈殿槽と雨水貯留槽
上部は機器室や倉庫等に利用するのが一般的であるが,今回は他用途に利用しないものとした。
また、ろ過器も蒸気水槽の上部以外に設置するものとした。
6) 維持管理の欄の◎〇は,維持管理のしやすさを示し,◎が最も維持管理しやすい。
34
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4.3 排水再利用・雨水利用の併用方式
近年の雑用水道は、排水再利用と雨水利用を併用する処理フローが採用される傾向が強いので、国
土交通省は、前節(4.1~4.2)で示した方式でおのおの処理した後、雑用水の使用用途が同一(例えば、
水洗便所用水だけ)であれば、図 5-5 に示される模式図に従い、処理水槽を共用してもよいとしていま
す。しかしながら、水槽への給水源が複数となるため、処理水槽における万全の逆流防止、満水対策
を講じる必要があることを指摘しています。
【注】 -----は、緊急時対策を示す。
図 4-5
排水再利用・雨水利用設備併用の場合の模式図(国土交通省)
冷却塔補給水や散水、消火用水等も雨水利用の用途に加える場合には、排水再利用と雨水利用の処
理水槽を独立した水槽とし、他の処理水の混合、混入を生じない構造としなければなりません。
35
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4.4
当社施工の処理フロー(例)
当社施工の排水再利用設備と雨水利用設備の併用方式の実例を、図 4-6 に示します。雑排水は、洗
面、手洗い、湯沸し排水とシャワー排水、厨房排水は、油分のできる限り少ない機器からの排水で、
グリーストラップを通過したものを原水としています。
図 4-6 某施設の雑用水道処理フロー
36
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5.
雑用水道の計画設計フロー
雑用水道に限られたことではありませんが、システムがうまく働くかどうかは、その計画設計の段
階で九分九厘決まると言っても差し支えないでしょう。
この章では、国土交通省計画基準*2 で示されている計画設計手順の概略を説明します。
5.1
排水再利用設備の標準設計法(案)
下水道が普及している地域における排水再利用設備の標準設計フローを、図 5-1 に示します。
図 5-1 排水再利用設備の標準設計フロー(国土交通省)
37
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5.2
雨水利用設備の標準設計法(案)
前節と同様に、雨水利用設備の標準設計フローを、図 5-2 に示します。
図 5-2
雨水処理設備の標準設計フロー(国土交通省)
38
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当社の主な施工実績
竣工年月
建物名称
建物用途
所在地
昭和 54 年 4 月
―
事務所、ホテル
東京都千代田区
昭和 55 年 7 月
―
学校
福岡県福岡市
昭和 57 年 8 月
―
事務所
福岡県福岡市
昭和 58 年 8 月
―
事務所
福岡県福岡市
昭和 58 年 9 月
―
事務所
東京都千代田区
昭和 59 年 3 月
―
ホテル、飲食店
東京都港区
昭和 60 年 4 月
―
事務所
福岡県福岡市
昭和 60 年 9 月
―
庁舎
東京都千代田区
昭和 60 年 9 月
―
事務所
宮城県仙台市
昭和 61 年 7 月
―
学校
福岡県福岡市
昭和 62 年 2 月
―
庁舎
東京都港区
昭和 62 年 6 月
―
病院
東京都新宿区
平成 5 年 11 月
―
事務所
東京都千代田区
平成 7 年 4 月
―
事務所
神奈川県川崎市
平成 9 年 9 月
―
デパート
神奈川県川崎市
平成 10 年 3 月
―
スポーツ施設
大阪府大阪市
平成 10 年 3 月
―
事務所
東京都千代田区
平成 14 年 4 月
―
事務所
大阪府堺市
平成 16 年 1 月
―
マンション
東京都渋谷区
平成 16 年 1 月
―
教育
福岡県福岡市
平成 16 年 1 月
―
保養所
兵庫県加東郡
平成 16 年 9 月
―
医療・福祉施設
大阪府大阪市
平成 16 年 9 月
―
事務所
東京都千代田区
平成 17 年 1 月
―
教養施設
兵庫県姫路市
平成 17 年 3 月
―
事務所
東京都千代田区
平成 17 年 9 月
―
医療・福祉施設
兵庫県神戸市
平成 18 年 2 月
―
教育施設
京都府京都市
平成 18 年 3 月
―
事務所
東京都江東区
平成 18 年 3 月
―
百貨店
東京都多摩市
平成 18 年 3 月
―
医療・福祉施設
神奈川県川崎市
平成 18 年 6 月
―
教養施設
愛知県稲沢市
39
須賀工業株式会社
SUG A TECHNIC AL REPORT NO.30494
平成 18 年 8 月
―
事務所
東京都江東区
平成 18 年 9 月
―
商業施設
愛知県名古屋市
平成 19 年 1 月
―
医療・福祉施設
山口県宇部市
平成 19 年 3 月
―
事務所
東京都千代田区
平成 19 年 5 月
―
複合施設(工場生産等)
東京都中央区
平成 19 年 6 月
―
工場・プラント施設
兵庫県尼崎市
平成 19 年 6 月
―
事務所
大阪府大阪市
平成 19 年 7 月
―
工場・プラント施設
長野県飯田市
平成 19 年 7 月
―
飲食店
東京都中央区
平成 19 年 9 月
―
複合施設(百貨店、映画館等)
埼玉県さいたま市
参考・引用文献
*1 国土交通省土地・水資源局水資源部編:平成 14 年版 日本の水資源
*2 建設大臣官房官庁営繕部監修:平成 9 年版 排水再利用・雨水利用システム計画基準・同解説
*3 (社)空気調和・衛生工学会編:空気調和・衛生用語辞典-1990*4 東京都:雑用水利用に係る指導指針
*5 建設省住指発第 91 号(昭和 56 年 4 月 27 日):排水再利用の配管設備の取り扱いについて
*6 厚生省環計第 46 号(昭和 56 年 4 月 3 日):再利用水を原水とする雑用水道の水洗便所用水の暫定水質基準
等の設定について
*7 福岡市:福岡市再生水利用下水道事業に関する条例(平成 15 年 7 月)
*8 東京都:雑用水利用施設の安全管理の手引き(昭和 59 年 4 月)
*9 福岡県:水の再利用施設設置技術基準(昭和 55 年 4 月)
*10 東京都首都整備局:水の循環利用適合性予備調査報告書(昭和 48 年 3 月)
*11 日本水道協会:雑用水道実施上の諸問題に関する調査報告書(昭和 57 年 3 月)
*12 建設省:下水道処理水循環利用技術指針(案)について(昭和 56 年 7 月)
*13 建設省高度処理会議:下水処理水の修景・親水利用水質検討マニュアル案(平成 2 年 3 月)
*14 日本河川協会:中水道の用途別要求水質案(昭和 48 年 3 月)
*15 近畿地方建設局:用途別給水水質基準-試案-(昭和 47 年 3 月)
*16 東京都財務局:財務局が施工する都立建物に対する水資源の有効利用を図る設備等に関する指針(昭和 63
年 7 月)
40
須賀工業株式会社
■ 雑用水道の現状
現在、大都市圏を中心に、普及定着しつつある雑用水道
について、最近の動向、計画設計法等の概要を述べると
ともに、当社の施工実績を紹介します。
●キーワード:
雑用水道/中水道/排水再利用/雨水利用/個別循環
/地区循環/広域循環/生物処理/限外ろ過膜処理/
活性炭吸着
分
類 : 須賀 技術報告
SUGA TECHNICAL REPORT
No.30494 V119404-2000
資料名 : 雑用水道の現状
発行者 : 須賀工業株式会社
編
集 : 技術部,技術研究所