微生物熱量計による細菌のコロニー増殖の把握とその利用 東海大学 開発工学研究科 生物工学専攻 1. ○田村 匡司・古賀 邦正 はじめに 食品の微生物汚染は固相中でのコロニー増殖によるものが多いにも関わらず、細菌のコロニー増殖に関す る知見は液体中での増殖に比べて少ないのが現状である。また、通常、目視ではコロニー形成が観察されな い状態でも相当数の細菌が増殖しており、食品の微生物汚染の進行という面では深刻な状態にある場合が多 い。本研究では、E.coil または Bacillus 属が寒天培地上で増殖する際のコロニー増殖を、微生物熱量計を用 いて増殖に伴う発熱量の経時変化(増殖サーモグラム)を測定することによって把握しようと試みている。 とくに、増殖初期のコロニー形成が観察されない時期における増殖特性を中心に定量的に把握することを目 的としている。 2. 実験方法 図1は実験に用いた微生物用熱量計を示したもの 示している。あるます。培養開始後約 10hで発熱が である。寒天培地の表層に、評価菌体を塗布したバ 観測され、20hでピークを示しflkじゃhfkj イアル瓶をセルユニットにセットする。セルユニッ hdjkfhdskj ト内は恒温に維持されている。 評価菌体即ち E.coil または Bacillus 属のコロニー増殖に伴う代謝熱をセ ルユニット下部にあるサーモモジュールで捉え、電 気信号に変換し、その発熱量の経時変化をマイクロ コンピューターで解析し、記録する。 3. 結果・考察 図Aは熱量計によって得られた、寒天培地に E.coli を植菌し培養した際の発熱量の経時変化を 1.熱検出装置本体 2.蓋 3.断熱ケース 4. 恒温水循環パイプ 5.恒温水供給パイプ 6.恒 温水返送パイプ 7.恒温体(ヒートシンク) 8. セルユニット 9.熱検出体 10.試料皿 11.試 料容器 12.直流増幅器 13.インターフェイス 14.マイクロコンピューター 15.フロッピーディ スクユニット 16.CRT 17.X-Yプロッター 18.プリンター 図1.微生物熱量計の概略図 示している。培養開始後約 10hで発熱が観察され、20hでピークを示し、その後徐々に低下し、培養開始後 約 40hが経過すると一定となる。得られた熱変化曲線即ちサーモグラムを(1)式に従って積分すると、図 Bに示す真の熱生成曲線f(t)カーブが得られる。この方法を用いて、10 時間を中心とした増殖開始時の 増殖速度定数(μ値)を求めて、増殖特性を把握するとともに増殖を抑制する方法を開発する。 f (t )=g (t )+K ∫ g ( t )d t ・・・(1)
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