室内土質試験結果の不確かさ

地盤工学ジャーナル Vol. 2,No. 4,339-352
室内土質試験結果の不確かさ
鈴木直文 1,真島淑夫 1,柴田東 1
1
株式会社興和・土質試験センター
概
要
室内土質試験結果のばらつきについて,その発生要因と結果に対する影響度,結果の信頼性を定量的に
評価することを目的として,物理試験 7 項目と一軸圧縮試験の計 8 項目における不確かさの推定を行った。
土質試験結果は,もともと天然材料を対象としていることから,その測定値の分布範囲が幅広い。このこ
とを勘案し,変動係数を用いて「相対拡張不確かさ」で表した。推定結果より,不確かさの大きい試験項
目は一軸圧縮試験(一軸圧縮強さ)で,その不確かさは qu,test(1±0.372)kN/㎡(k=2)であり,物理試験では
粒度試験(シルト分含有率)で,その不確かさは Silttest(1±0.333)%(k=2)であった。以外の試験では相対
拡張不確かさ 2.2~6.3%であった。各土質試験について不確かさの要因は,物理試験では操作と測定対象物
の違いによる不確かさの比率が大きく,一軸圧縮試験では操作と試験器具(加圧板,球座)の不確かさの比
率が大きいことがわかった。
キーワード:不確かさ,室内土質試験,試験方法
1. は じ め に
記したものである。近年では構造物設計においても信頼性
設計法が導入されている背景から,室内土質試験結果につ
室内土質試験結果のある程度のばらつきは,さけられな
いても単なるばらつきとして取り扱われるのではなく,ど
いものと認識されている。ばらつきは,土本来の不均質さ
の程度の信頼性を持つものであるのかを定量的に評価す
に加えて,試験実施過程における個人差や機械誤差といっ
ることが重要であると考える。
著者らはこれまで,GUM に準拠して室内土質試験にお
た概念で取り扱われることが多い。室内土質試験結果のば
らつきに関する過去の研究
1)2)
では,測定結果のばらつき
ける不確かさの算定を試みてきた
5)6)
。しかし,室内土質
について変動係数を用いた評価が行われており,試験工程
試験は,取り扱う測定対象物(試料)の測定値の分布範囲
が多岐にわたる試験,試験者の技量や熟練度に委ねられる
が幅広いことから,特定の測定値に対して表現する GUM
機会が多い試験については,ばらつき(変動係数)が大き
の方法では,試料の種類が違う場合に発生する不確かさを
くなることが報告されている。また,試験結果の信頼性の
取り入れることはできないことがわかった。そこで,著者
目安としては,ばらつきの範囲として許容しうる変動係数
らは,試料の種類の違う場合に発生する不確かさを取り入
3)
の提案値 も示されている。これらの過去の研究では,試
れるべく,不確かさの推定方法について研究してきた。そ
験結果のばらつき自体に着目した研究が多く,ばらつきを
の結果,変動係数を用いた推定方法(後述第 2 章参照)が
発生させている要因,及びその影響度合いについて具体的
最適であると考えた 7)。
に検討された事例は少ない。
本報告は,著者らがこれまで不確かさの推定を行ってき
室内土質試験以外の測定分野に目を向けてみると,国や
た試験項目並びに新たに追加した試験項目について,変動
分野間を超えて測定結果に対する信頼性の統一的な評価
係数を用いた推定方法によって再整理し,影響の大きい要
4)
方法として,近年は「誤差」での表記から GUM に準拠し
因と試験結果の信頼性を定量的に評価し,報告するもので
た「不確かさの推定」が一般化してきている。この不確か
ある。
さの推定は,「試験所及び校正機関の能力に関する一般要
求事項(JIS Q 17025:2005)」における技術的要求事項でもあ
2. 不確かさの推定方法
り,試験結果の提供能力を定量的に判断する一項目となっ
ている。GUM では,不確かさを「測定の結果に附随した,
2.1
合理的に測定量に結び付けられ得る値のばらつきを特徴
不確かさ推定の手順は,文献 4)に詳細が述べられている。
不確かさ推定手順の概要
づけるパラメータ」と定義している。すなわち,測定値が
ここでは,室内土質試験結果における不確かさの推定手順
どれほどの信頼性を持つのか,客観的(確率統計的)に表
の概要を説明する。図 1 に推定手順の概略の流れを示す。
原稿受理日:2007年4月9日,採用決定日:2007年9月23日
339
鈴木・他
不確かさは,測定器や測定方法,測定対象物,測定環境
験器具」,
「環境」,
「操作」,
「測定対象物」,
「計算」という
など幾つかの成分(要因)から算出される。この成分毎の
大別があり,その中に個々の要因がある。この中で土質試
不確かさを「標準不確かさ」と呼ぶ。この標準不確かさは,
験結果に大きく影響する不確かさの要因は,①測定器,②
実際の実験データを用いて確率統計的手法で算出される
試験器具,③操作,④測定対象物にまつわる要因が抽出さ
不確かさ(A タイプ)と過去の実験データや校正証明書等
れる。
①は,試験で使用する測定器の不確かさで,校正証明書
の情報に基づいて算出される不確かさ(B タイプ)の2種
から求める B タイプの不確かさである。図 2 で例えれば,
類に分類される。
変位計,荷重計,ノギスの校正の不確かさが挙げられる。
②は,試験で使用する器具の不確かさで,校正証明書が
不確かさの要因図作成
(不確かさの要因を列挙する。)
存在しない試験器具は,実験データから求める A タイプ
の不確かさとして取り扱う。図 2 で例えれば,一軸圧縮試
不確かさを算出する要因の抽出
(測定結果に大きく影響すると考えられる要因を抽出する。)
験装置の加圧板の平滑さの違いによる不確かさや,球座の
有無の違いによる不確かさ等が挙げられる。
③は,試験操作の違いによる不確かさで,実験データか
標準不確かさの算出
(各要因毎の不確かさを算出する。)
ら求める A タイプの不確かさである。図 2 で例えれば,
供試体整形者の違いによる不確かさや,供試体寸法測定者
合成標準不確かさの算出
(各要因毎の不確かさを合成する。)
の違いによる不確かさ等が挙げられる。
④は,測定対象物の違いによる不確かさで,実験データ
から求める A タイプの不確かさである。図 2 で例えれば,
拡張不確かさの算出
(測定値の95%信頼区間で表現する。)
供試体の強度の違いによる不確かさといった,供試体固有
の性質に起因する不確かさが挙げられる。その他に,物理
図 1
不確かさの推定手順
試験では,測定対象物(試料)を構成している土粒子の材
質や粒度組成に起因する不確かさや,含水比等試料の状態
不確かさを推定する手順としては,まず不確かさの要因
に起因する不確かさが挙げられる。
を列挙し,その中から測定結果に大きく影響すると考えら
れる要因を抽出する。なお,この要因の抽出については,
次に,抽出した成分の標準不確かさ及び感度係数を求め
る。標準不確かさは,標本標準偏差 Si で表される。
各試験所・見積者の技量(経験・技術力)に委ねられてい
u ( xi ) = si =
る。図 2 に,後述する土の一軸圧縮試験(一軸圧縮強さ)
の要因項目を抽出する際に作成した要因図を示す。
1
n −1
n
∑ ( x − x)
i
2
(1)
i =1
u(xi):標準不確かさ
測定器
試験器具
変位計
荷重計
ノギス
xi:i 個の測定データ
環境
x:測定データの平均値
加圧板の
室温
平滑さ
球座の
有無
試験機の
剛性
感度係数は,ある要因に対する測定量の偏微分で表され
気圧
供試体
形状
供試体
寸法測
定者
上部加
圧板の
密着
操 作
供試体
寸法
供試体
整形者
る。測定の数学的モデルが
振動
トリマー
マイター
ボックス
供試体整
形の有無
n:測定データ数
湿度
圧縮速度
合
成
標
準
不
確
か
さ
ワイヤー
ソー
供試体の
強度
拡
張
不
確
か
さ
y = f (x1, x2,⋅ ⋅ ⋅ ⋅ xN)
で与えられるとき,感度係数は,
c1 =
∂f
∂f
∂f
c2 =
⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅cN =
∂x1 ,
∂x2 ,
∂xN
(3)
c1,c2,‥‥‥‥cN:感度係数
供試体設置
位置のずれ
となる。これら全てを合成して「合成標準不確かさ」を求
める。不確かさの合成はこれらの二乗和平方根で求まる。
測定対象物
uc ( y ) =
計算
下線:抽出した要因
図 2
(2)
{c1 ⋅ u ( x1 )}2 + {c2 ⋅ u ( x2 )}2 + ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ +{cN ⋅ u ( xN )}2
(4)
uc(y):合成標準不確かさ
u(x1),u(x2),‥‥u(xN):標準不確かさ
不確かさの要因図(土の一軸圧縮試験~一軸圧縮強さ~)
最後に,合成標準不確かさに包含係数(k)を乗じたもの
図に示すように,不確かさの要因には,「測定器」,「試
(「拡張不確かさ」)が,測定結果の不確かさとなる。包含
340
土質試験・不確かさ
係数は,測定値の信頼水準に応じて k=2~3 の範囲で選択
ずれも均質な試料,あるいは均質になるように作成した試
される。包含係数 k=2 の場合の信頼水準は約 95%,k=3
料を用いた。
の場合は約 99.7%に相当する。これより,含水比試験の測
表 1
試験項目と試料一覧表
(
+
含水比: w = 27.0% の測定対象物に対して,不確かさが
0.9%(k=2)存在することを意味している。しかし,土質試
験の分野では、測定対象物が違うものを取り扱う場合が多
い。例えば,含水比では数パーセントから数百パーセント
と幅広いオーダーの範囲に分布する試験結果もあり,特定
土の含水比試験
(JIS A 1202)
○
○
土粒子の密度試験
(JIS A 1203)
○
○ ○ ○
十分である。また,本報告の目的には,不確かさの影響の
○
土の粒度試験
(沈降分析)
(JIS A 1204)
大きさを定量的に明らかにする,ということがある。標準
不確かさ(標本標準偏差)は,測定値のばらつきの大きさ
の大小を表している。このため,要因ごとの標準不確かさ
を比較することで,どの要因のばらつきが大きいのかを知
ることができる。しかし,標準不確かさが測定値の平均値
○
土の液性限界試験
(JIS A 1205)
○ ○
土の塑性限界試験
(JIS A 1205)
○ ○
異なる場合には,ばらつきの大小を比較することはできな
○
土の一軸圧縮試験
(JIS A 1216)
い,という問題がある。
○
○ ○
土の湿潤密度試験
(ノギス法)
(JIS A 1225)
の大小に依存していることから,各要因の平均値が極端に
密
度荒
調木
整田
供粘
試土
体
○
土の粒度試験
(ふるい分析)
(JIS A 1204)
の測定値に対して表現される GUM の方法では,表現が不
カ
予オ
圧リ
密ン
試ク
料レ
ー
標
カ準
オ砂
リ
ン粉
ク砕
レ②
ー
ー
)
)
)
ー
さは,含水比:w=27.0±0.9%(k=2)と表現する。これは,
標
カ
準
オ
標
砂
リ
準
ン
砂
粉
ク
+
砕
レ
②
(
土質試験結果における不確かさ表現方法の問題点
GUM の方法によれば,土の含水比試験における不確か
荒
標
木
準
荒 田
*砂
木 粘 標
田 土 準
粉
粘
砂
砕
土 粒
①
調
(
2.2
カ
試料の種類 オ
リ
ン
ク
試験項目
レ
)
る。
(
定結果を一例として表現すると,w=27.0±0.9%(k=2)とな
○
*標準砂:旧JIS規格豊浦硅砂
2.3
本稿における不確かさの表現方法
ばらつきの大きさを相対的に表す指標に変動係数とい
表 2
うものがある。これまでの土質試験結果のばらつきに関す
試料の産地,作製方法一覧表
因ごとの不確かさを「相対標準不確かさ」として表し,比
試料名
カオリンクレー
荒木田粘土
荒木田粘土(粒調)
標準砂
較することで,どの要因のばらつきが相対的に大きいのか
標準砂(粉砕①)
る研究でも度々用いられている。変動係数は,標準偏差を
平均値で除すことで求められる。この変動係数を用いて要
を知ることができると考えられる。また,土質試験結果に
標準砂(粉砕②)
おける不確かさとして表現する場合には,相対標準不確か
さを用いて,GUM と同様の方法で求めることが可能であ
産地,作製方法
(株)堀クレー営業所製
埼玉県川越産
荒木田粘土を0.075mm以下に粒度調整したもの。
旧JIS規格豊浦硅砂
*
標準砂をジェット粉砕機 によって粉砕して製
成したもの(粘性土Cs:砂分0%,シルト分
51.3%,粘土分48.7%)。
*
標準砂をジェット粉砕機 によって粉砕して製
成したもの(粘性土Cs:砂分0%,シルト分
28.7%,粘土分71.3%)。
標準砂とカオリンクレーを所定の分量で混合したも
の。
標準砂(粉砕②)とカオリンクレーを所定の分量で混
合したもの。
カオリンクレーをw =120%に含水比調整し,予圧密法
標準砂+カオリンク
レー
標準砂(粉砕②)+
カオリンクレー
カオリンクレー
予圧密試料
によって圧密圧力200kN/m2にて作製したもの。
含水比w =24%に含水比調整した荒木田粘土を
荒木田粘土
一軸圧縮強さ90kN/m2を目標に密度調整して作
密度調整供試体
製した供試体(φ5cm,h10cm)。
*ジェット粉砕機(FS-4)は,圧縮空気を使い,粒子同士を相互衝突,
相互摩擦させることによって粒子を粉砕し,粒子の大きさを小さくす
ることができる機械である((株)セイシン工業製)。
ると考えられる。つまり,要因ごとの相対標準不確かさに
感度係数を乗じたものを合成することで「相対合成標準不
確かさ」を求め,それに包含係数(k)を乗じて「相対拡張不
確かさ」を求める方法である。後述する土の含水比試験を
一例として,測定結果について変動係数を用いて表現する
と,相対拡張不確かさは,
w=wtest (1±0.063)%(k=2)
と表現できる。この結果は,実施した実験結果wtest に対し
て信頼水準約 95%の場合に 6.3%の相対拡張不確かさがあ
ることを意味している。
3. 試験項目,試料,試験員
実施した試験項目と試験に用いた試料について,表 1 に
示す。これらの産地,作製方法について表 2 に示すが,い
341
鈴木・他
表 3
4. 不確かさの推定結果
試料の土粒子の密度と粒度組成
4.1
粉
砕
②
2.70
2.70
2.64
0.0
40.0
60.0
18.3
41.3
40.4
100.0 0.0 0.0
0.0 51.3 28.7
0.0 48.7 71.3
土の含水比試験(JIS A 1203:1999)
土の含水比試験において抽出した不確かさの要因項目
と実験方法一覧を表 6 に示す。なお,測定対象物の不確か
)
土粒子の密度ρ s (g/cm3)
(%)
砂
粒 度 シルト (%)
(%)
粘土
粉
砕
①
砂
)
ー
項 目
準
標
準
砂
(
試料名
標
準
砂
標
荒
木
田
粘
土
(
カ
オ
リ
ン
ク
レ
さでは,「試料の材質の違い」,「試料の粒度組成の違い」
の他に,「試料の含水比の違い」を挙げ,含水比が異なる
2.64 2.64
4 種類の試料について実験を行った。
要因ごとの変動係数比較図を図 3 に示す。
なお,土の湿潤密度試験(ノギス法)では,この他に,
表 6
要因項目と実験方法一覧表(土の含水比試験)
整形をしないで供試体の寸法測定のみを実施する際に使
用した供試体がある。この供試体について表 4 に示す。
表 4
供試体の種類
作製方法
試料の分取量
の違いによる
不確かさ
材質は石膏で,石膏と水を3:1の質量比で混合し,
φ35mm,h 80mmの大きさの供試体の型に流し込み,
固化させて作製。
炉乾燥時間の
違いによる不
確かさ
材質は石膏とカオリンクレーで,石膏と水とカオリ
石膏:カオリン ンクレーを3:1:3の質量比で混合し,φ 35mm,h
=1:1
80mmの大きさの供試体の型に流し込み,固化させ
て作製。
測定者の違い
による不確か
さ
石膏
硬質ゴム
材質は軟質ゴムで,φ 35mm,h 80mmの大きさの供
試体の型に流し込み,固化させて作製(ジュロメーター硬
さタイプA H s=44)。
表 7
試験を実施した試験員は,表 5 に示すとおりである。
表 5
試験員一覧表
土
の
粒
度
試
験
ふ
る
い
分
析
沈
降
分
析
土
の
液
性
限
界
試
験
土
の
塑
性
限
界
試
験
土
の
湿
潤
密
度
試
験
(
土
の
粒
度
試
験
(
土
粒
子
の
密
度
試
験
(
土
の
含
水
比
試
験
土
の
一
軸
圧
縮
試
験
)
B
C
D
E
試験員の定義
試験歴5年以上
の試験員
試験歴1年未満
の試験員
試験歴2年未満
の試験員
試験歴5年以上
の試験員
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
(h)
試
取料
量の
分
(g)
試験員A
10
20
30
カオリン
クレー
24
試験員A
試験員B
試験員C
試験員D
試験員E
27.0
20
18
カオリン
クレー
試験員A
10.0
27.0
60.0
120.0
実験データ一覧表(土の含水比試験)
含水比w (%)
データ
標準
数(個) 最大値 最小値 平均
偏差
試料の分取量の違い
9
28.2
27.2 27.6
0.3
炉乾燥時間の違い
6
27.7
26.8 27.3
0.3
測定者の違い
15
27.9
26.3 27.3
0.6
試料の材質の違い
9
27.7
27.2 27.4
0.2
試料の粒度組成の違い
6
27.9
27.2 27.5
0.3
試料状態(含水比)の違い(10%)
3
10.0
9.9
9.9
0.1
試料状態(含水比)の違い(27%)
3
27.7
27.4 27.5
0.2
試料状態(含水比)の違い(60%)
3
60.1
59.8 60.0
0.1
試料状態(含水比)の違い(120%)
3
120.3 120.1 120.2
0.1
)
A
測
定
者
18
不確かさの要因
ノ
ギ
ス
法
)
試験員
炉
乾
燥
時
18
標準砂
試料の粒度組
成の違いによ
標準砂(粉砕②)
る不確かさ
試料の状態
(含水比)の
違いによる不
確かさ
間
校正の不確かさによる
試料の材質の カオリンクレー
違いによる不
標準砂(粉砕②)
確かさ
材質は天然ゴムで,φ 35mm,h 80mmの大きさの供
試体の型に流し込み,固化させて作製(ジュロメーター硬
さタイプA H s=70)。
材質は石膏とカオリンクレーで,石膏と水とカオリ
石膏:カオリン ンクレーを3:1:6の質量比で混合し,
=1:2
φ 35mm,h 80mmの大きさの供試体の型に流し込
み,固化させて作製。
軟質ゴム
(%)
電子天秤の不
確かさ
材質はアルミで,アルミ原料をφ 35mm,h 80mmの
大きさの供試体の型に流し込み,固化させて作製
アルミ
試
料
不確かさ
の要因
湿潤密度測定時に使用した供試体一覧表
含
水
比
○
○
342
土質試験・不確かさ
測定器 電子天秤
操作
表 9
タ
イ
変動係数
プ
u(a) B 0.0012
不確かさの要因
試料の分取量の違い
u(b) A 0.0117
炉乾燥時間の違い
u(c) A 0.0123
測定者の違い
u(d) A 0.0211
試料の材質の違い
測定対
試料の粒度組成の違い
象物
試料状態(含水比)の違い
要因項目と実験方法一覧表(土粒子の密度試験)その2
試
料
不確かさ
の要因
土
試
試
密粒 取料
料
度子 量の 方の
法
の
分
準
備
(g/cm3) (g)
脱
気
方
法
脱
気
時
間
測
定
者
(h)
試験
員A
試験
員B
u(e) A 0.0069
u(f) A 0.0101
測定者の違い
による不確か
さ
u(g) A 0.0110
カオリン
クレー
0.00
0.02
変動係数
図 3
試
料
の
状
態
試料の材質の
違いによる不 標準砂(粉
確かさ
砕②)
不確かさを推定した結果,次のとおりとなった。
含水比:wtest(1±0.063) %(k=2)
要因ごとの変動係数を比較すると,「測定者の違い」に
よる変動係数が 0.0211 と最も大きい。この「測定者の違
い」は,対象試料より試験用試料を分取(抽出)する作業
試験
員D
空気
乾燥
土
変動係数比較図(土の含水比試験)
試験
員C
2.70
標準砂
試料の粒度組 標準砂(粉
成の違いによ
砕①)
る不確かさ
標準砂(粉
砕②)
20
練り
返し
煮沸
1
試験
員E
2.63
2.65
試験
員A
2.64
2.63
にともなう不確かさである。測定器に関する不確かさ「電
子天秤」の変動係数は 0.0012 となり最も小さい。測定者
の違いおよび電子天秤以外の変動係数は 0.0069 ~ 0.0123
土粒子の密度試験(JIS A 1202:1999)
土粒子の密度試験において抽出した不確かさの要因項
目と実験方法一覧を表 8,9 に示す。なお,測定器の不確
かさでは,測定結果に大きく影響しないと推測されること
から温度計の不確かさは抽出していない。
要因ごとの変動係数比較図を図 4 に示す。
表 8
3
土粒子の密度ρ s(g/cm )
データ
数(個) 最大値 最小値 平均 標準
偏差
試料の準備方法の違い
9
2.78
2.65 2.72 0.03
試料の分取量の違い
9
2.71
2.68 2.70 0.01
脱気方法の違い
6
2.71
2.68 2.70 0.01
脱気時間の違い
9
2.72
2.68 2.71 0.01
測定者の違い
15
2.74
2.69 2.71 0.01
試料の材質の違い(カオリンクレー)
3
2.70
2.69 2.70 0.01
試料の材質の違い(標準砂(粉砕②)
3
2.63
2.63 2.63 0.00
試料の粒度組成の違い(標準砂)
3
2.65
2.64 2.65 0.00
試料の粒度組成の違い(標準砂(粉砕①) 3
2.64
2.64 2.64 0.00
試料の粒度組成の違い(標準砂(粉砕②) 3
2.63
2.63 2.63 0.00
要因項目と実験方法一覧表(土粒子の密度試験)その1
不確かさ
の要因
試
料
試
料
の
状
態
電子天秤の不
確かさ
土
試
試
密粒 取料
料
方
度子 量の
の
法
分
の
準
備
(g/cm3) (g)
脱気方法の違
いによる不確
かさ
脱気時間の違
いによる不確
かさ
脱
気
方
法
脱
気
時
間
不確かさの要因
測
定
者
測定器 電子天秤
試料の準備方法の違い
(h)
操作
校正の不確かさによる
試料の準備方
法の違いによ
る不確かさ
試料の分取量
の違いによる
不確かさ
実験データ一覧表(土粒子の密度試験)
不確かさの要因
である。
4.2
表 10
20
準備
なし
水浸
20h
練り
返し
カオリン
クレー
空気
乾燥
土
2.70
u(b) A 0.0122
試料の分取量の違い
u(c) A 0.0040
脱気方法の違い
u(d) A 0.0036
脱気時間の違い
u(e) A 0.0040
測定者の違い
u(f) A 0.0050
測定対 試料の材質の違い
象物 試料の粒度組成の違い
u(g) A 0.0018
u(h) A 0.0014
煮沸
0.00
0.02
変動係数
1
10
20
30
試験
員A
図 4
練り
返し
20
タ
イ
変動係数
プ
u(a) B 0.0012
変動係数比較図(土粒子の密度試験)
煮沸
減圧法
煮沸
不確かさを推定した結果,次のとおりとなった。
0.5
土粒子の密度:ρs,test(1±0.030) g/cm3(k=2)
1
要因ごとの変動係数を比較すると,「試料の準備方法の
違い」による変動係数が 0.0122 と最も大きく,突出して
いる。土粒子の密度試験結果においては,試料の準備方法
が大きく影響する事が小川ら 8)によって報告されているが,
これと同様の傾向を示している。図 5 は,試料の準備方法
について,個々の変動係数を示したものである。準備方法
343
鈴木・他
は,試料を練り返した場合の変動係数が最も小さく 0.0017
表 12
要因項目と実験方法一覧表(砂分含有率)
となり,試料を乾燥させた場合には 0.016 と前者に比べて
不確かさの要因
9 倍程大きくなっている。これは,乾燥による土粒子の団
粒化にともない,土粒子間の気泡が抜けにくくなるためで
ふるいの違い
試料の分取量の違い
測定者の違い
試料の材質の違い
試料の粒度組成の違い(F s=75%)
試料の粒度組成の違い(F s=50%)
試料の粒度組成の違い(F s=25%)
ある。次に大きな変動係数は「測定者の違い」であり,
0.0050 を示す。測定器に関する変動係数,測定対象物に関
する変動係数はほぼ同程度であり 0.0012~0.0018 である。
砂分含有率F s(%)
データ
標準
数(個) 最大値 最小値 平均
偏差
6
50.0
49.5 49.8
0.2
9
50.2
49.5 49.9
0.2
9
50.5
49.5 50.0
0.3
6
50.0
49.5 49.8
0.2
3
25.3
24.8 25.0
0.3
3
49.9
49.5 49.7
0.2
3
75.1
74.9 75.0
0.1
準備なし
水浸
練り返し
0.00
不確かさの要因
0.01
0.02
変動係数
測定器 電子天秤
図 5
試料の準備方法の個々の変動係数
試験器具 ふるいの違い
u(c) A 0.0044
測定者の違い
u(d) A 0.0061
測定対 試料の材質の違い
象物 試料の粒度組成の違い
u(e) A 0.0044
土の粒度試験(ふるい分析)(JIS A 1204:2000)
土の粒度試験(ふるい分析)で求められる試験結果で,
砂分含有率 Fs(%)について抽出した不確かさの要因項目
u(b) A 0.0039
試料の分取量の違い
操作
4.3
タ
変動係数
イ
プ
u(a) B 0.0004
u(f) A 0.0109
0.00
と実験方法一覧を表 11 に示す。なお,試験器具の不確か
さとして「ふるいの違い」による不確かさを挙げている。
図 6
0.02
変動係数
変動係数比較図(砂分含有率)
ふるいは,JIS Z 8801 に規定されるものを使用することに
なっているが,その使用回数によっては目開き,目詰まり
不確かさを推定した結果,次のとおりとなった。
が生じ,試験結果に影響を及ぼすことが推測される。そこ
砂分含有率:Fs,test(1±0.029) %(k=2)
で,本稿では,今回初めて使用するふるいと 1 年使用して
要因ごとの変動係数を比較すると,「試料の粒度組成の
違い」による変動係数が 0.0109 と最も大きい他は,測定
いるふるいを用いて実験を行った。
要因ごとの変動係数比較図を図 6 に示す。
器(電子天秤)以外は 0.0039~0.0061 の範囲にあり,その
差は少ない。
表 11
不確かさ
の要因
電子天秤の不
確かさ
要因項目と実験方法一覧表(砂分含有率)
試
料
組
の
成
粒
度
試
料
の
材
質
準
備
方
法
試
取料
量の
分
4.4
ふ
る
い
測
定
者
(g)
50
かさでは,測定結果に大きく影響しないと推測されること
未使用
ふるい
使用
ふるい
から温度計の不確かさは抽出していない。また,「浮ひょ
うの入れ方」の違いによる不確かさは,各測定時における
試験員A
試料の分取量
の違いによる
不確かさ
標準砂+カオ
リンクレー
25
その半分の 5 秒を目安に入れた場合について実験を行っ
50
た。
空気乾燥
土を2時
間水浸
測定者の違い
による不確か
さ
試料の粒度組
成の違いによ
る不確かさ
標準砂+カオ
リンクレー
標準砂+標準
砂(粉砕②)
F s=75%
F s=50%
浮ひょうの出し入れを 10 秒間目安に慎重に入れた場合と,
100
*
F s =50%
試料の材質の
違いによる不
確かさ
土の粒度試験(沈降分析)で求められる試験結果で,シ
ルト分含有率 Silt(%)について抽出した不確かさの要因
項目と実験方法一覧を表 13 に示す。なお,測定器の不確
校正の不確かさによる
ふるいの違い
による不確か
さ
土の粒度試験(沈降分析)(JIS A 1204:2000)
要因ごとの変動係数比較図を図 7 に示す。
試験員A
試験員B
使用ふ 試験員C
るい
50
試験員A
標準砂+カオ
リンクレー
F s=25%
*F s:砂分含有率(%)
344
土質試験・不確かさ
表 13
浮ひょう
タ
イ
変動係数
プ
u(a) B 0.0005
電子天秤
u(b) B 0.0000
要因項目と実験方法一覧表(シルト分含有率)
(g)
メ
のス
撹シ
拌リ
時ン
間ダ
浮
ひ
浮
ひ
う
の
入
れ
方
う
を
読
む
人
(分) (分)
ょ
分
散
方
法
撹
拌
時
間
ょ
不確かさ
の要因
試
料
の
材
質
ー
準
備
方
法
試
料
の
分
取
量
不確かさの要因
測定器
操作
浮ひょうの不
確かさ
校正の不確かさによる
電子天秤の不
確かさ
u(c) A 0.0592
分散方法の違い
u(d) A 0.0370
攪拌機の撹拌時間の違い
u(e) A 0.0469
メスシリンダ撹拌時間の違い
u(f) A 0.0458
浮ひょうの入れ方の違い
u(g) A 0.0904
浮ひょうを読む人の違い
u(h) A 0.0213
試料の材質の違い
50
試料の量の違
い
測定対
試料の粒度組成の違い
象物
試料の状態の違い
蒸留水
に15h
放置
100
150
蒸留水
に15h
放置
試料の分散方
法の違い
図 7
1
10秒間
目安
の違い」による変動係数が 0.0904 と最も大きく,次に「試
3
100
標準砂
(粉砕①)
湿潤土
100
「浮ひょうの入れ方の違い」では,5 秒を目安に入れた
試験
員A
試験
員B
試験
員C
1
1
場合には,10 秒を目安に入れたときよりも,シルト分が
全体に少ない結果が得られている(図 8 参照)。JIS によれ
ば,
「懸濁液を攪拌しないように 10 秒間を目安に静かに出
し入れする」,としている。これに対して,今回はあえて
素早く出し入れしたため,懸濁液が撹拌された結果と言え
る。これは,試験者が JIS に従い,浮ひょうを注意して静
10秒間
目安
標準砂
(粉砕①)
標準砂
(粉砕②)
試料の粒度組
成の違い
0.0642 となっている。
5秒間
目安
荒木田粘
土
試料の材質の
違い
空気乾
燥土
料の状態の違い」が 0.0793,「試料の粒度組成の違い」が
10秒間
目安
浮ひょうを読
む人の違い
シルト分含有率:Silttest(1±0.333) %(k=2)
要因ごとの変動係数を比較すると,「浮ひょうの入れ方
0.5
湿潤土
変動係数比較図(シルト分含有率)
のとおりとなった。
1
蒸留水
に15h
放置
A 0.0642
u(k) A 0.0793
不確かさはシルト分含有率についてを推定した結果,次
試験
員A
10
荒木田粘
土
浮ひょうの入
れ方の違い
A 0.0291
0.00
0.10
変動係数
1
メスシリン
ダーの撹拌時
間の違い
u(i)
u(j)
1
蒸留水
煮沸
攪拌機の撹拌
時間の違い
試料の状態の
違い
試料の分取量の違い
かに出し入れすれば,撹拌することなく測定されるが,そ
試験
員A
荒木田粘
土
の注意を怠ることによって,試験結果に大きく影響を及ぼ
すことを意味している。次に,試料の状態の違いについて
は,空気乾燥土の場合にはシルト分が多く,ばらつきが大
きくなる結果が得られている(図 8 参照)。これは,練返
し等の前処理がなされていない空気乾燥土の場合につい
ては,JIS に従った試料の分散方法(蒸留水に浸して 15 時
間以上放置後,攪拌機による 1 分間の撹拌)を行っただけ
表 14
実験データ一覧表(シルト分含有率)
シルト分含有率Silt (%)
データ
不確かさの要因
標準
数(個) 最大値 最小値 平均
偏差
試料の分取量の違い
9
67.2
58.4 62.7
3.7
分散方法の違い
6
63.6
57.3 61.4
2.3
攪拌機の撹拌時間の違い
6
63.6
57.5 60.3
2.8
メスシリンダ撹拌時間の違い
9
63.6
55.4 60.0
2.8
浮ひょうの入れ方の違い
6
63.6
52.4 58.1
5.2
浮ひょうを読む人の違い
9
64.3
61.0 62.9
1.3
試料の材質の違い(荒木田粘土)
3
63.6
61.4 62.8
1.2
試料の材質の違い(標準砂(粉砕①)
3
79.4
76.1 78.0
1.7
試料の粒度組成の違い(標準砂(粉砕①) 3
79.4
76.1 78.0
1.7
試料の粒度組成の違い(標準砂(粉砕②) 3
47.6
42.9 44.5
2.7
試料の状態の違い
6
73.7
61.4 67.2
5.3
では十分な分散が行われていないことを表しており,分散
処理後に粘性土の塊がなくなっていることを確認する,と
いった試験者の注意を怠ることによって,試験結果に大き
く影響を及ぼすことを意味している。
345
鈴木・他
表 15
要因項目と実験方法一覧表(土の液性限界試験)
80
ゴ
ム
の
硬
さ
75
シルト分(%)
70
不確かさ
の要因
65
溝
落
切
下
幅り
高
先
さ
端
H s (mm) (mm)
電子天秤の不
確かさ
60
試
料
の
状
態
試
練
料
り
量の
時
分
間
取
45
40
図 8
(分) (g)
回
転
速
度
(回/秒)
校正の不確かさによる
浮ひょうの
入れ方
1
5
0
秒
秒
間
間
目
目
安
安
試料の状態
湿
潤
土
空
気
乾
燥
土
浮ひょうの入れ方と試料の状態の実験結果
硬質ゴム台の
ゴムの硬さの
違いによる不
確かさ
85.8
87.6
200
88.9
91.7
1
100
試料の分取量
の違いによる
不確かさ
200
300
試料の練り時
間の違いによ
る不確かさ
カオリ
ンクレ
-
1
2
試験
員A
w
=30%
また,本稿では,「試料の粒度組成の違い」による不確
かさを求めるために,試料の材質が同じで,粒度組成が異
なる「標準砂(粉砕①)」,
「標準砂(粉砕②)」試料を用い
試験
員B
測定者の違い
による不確か
さ
10
2
90
200
参照)。
標準砂(粉砕①)
標準砂(試料②)
0.00
0.10
試料の材質・
粒度組成の違
いによる不確
かさ
カオリ
ンク
レー
荒木田
粘土
湿潤土
w
試料の粒度組成の違い
土の液性限界・塑性限界試験(JIS A 1205:1999)
試験
員D
1
変動係数
図 9
2
試験
員C
て実験を行った。その結果,粘土分の多い試料(標準砂(粉
砕②))程ばらつきが大きくなる結果となっている(図 9
試験
員A
0.5
湿潤土
4.5.1
・試
粒料
度の
組材
成質
55
50
4.5
測
定
者
=30%
湿潤土
試料の状態の
違いによる不
確かさ
w
=60%
試験
員A
カオリ
ンク
レー
空気乾
燥土
液性限界試験
液性限界試験について抽出した不確かさの要因項目と
実験方法一覧を表 15 に示す。なお,試験器具の不確かさ
として,「ゴムの硬さ」の不確かさを挙げた。これは,液
性限界試験器具の硬質ゴム台のゴムの硬さのことで,風
9)
間・下辺 によって試験結果に大きく影響を及ぼすことが
指摘されている項目の 1 つである。本稿では,風間・下辺
9)
のデータを引用し整理した。また,測定対象物の不確か
さでは,「試料の材質の違い」による不確かさと「試料の
粒度組成の違い」による不確かさとを含んだ不確かさとし
て「荒木田粘土」と「カオリンクレー」を用いて実験を実
表 16
実験データ一覧表(土の液性限界試験)
液性限界w L(%)
データ
標準
数(個) 最大値 最小値 平均
偏差
ゴムの硬さの違い
4
54.3
53.2 54.0
0.6
試料の分取量の違い
9
58.3
57.0 57.7
0.4
試料の練り時間の違い
9
58.7
57.7 58.2
0.3
測定者の違い
9
58.3
55.3 57.0
1.0
試料の材質・粒度組成の違い(カオリンクレー)
3
55.9
55.0 55.4
0.5
試料の材質・粒度組成の違い(荒木田粘土)
3
38.7
38.2 38.4
0.3
試料の状態の違い
9
58.7
54.0 57.0
2.0
不確かさの要因
施した。これは,前述の 4.1~4.4 節の試験項目で用いた「標
準砂(粉砕①)」,[標準砂(粉砕②)]試料が粘性土[Cs]
にもかかわらず,試料を練って黄銅皿にのばすことが困難
液性限界の不確かさを推定した結果,次のとおりとなっ
た。
液性限界:wL,test(1±0.038)%(k=2)
で,試験が実施できなかったためである。
要因ごとの変動係数比較図を図 10 に示す。
要因ごとの変動係数を比較すると,「測定者の違い」に
よる変動係数が 0.0181 と最も大きく,次に「試料の材質・
粒度組成の違い」が 0.0107,
「ゴムの硬さの違い」が 0.0102
となっている。液性限界試験における測定者の違いの影響
が大きい事は,過去の文献 10)でも述べられているものであ
346
土質試験・不確かさ
る。風間・下辺の研究においては,ゴム台の硬さの影響が
不確かさの要因
大きい事が指摘されているが,JIS で規定されている硬度
測定器 電子天秤
の範囲内であっても,その影響は比較的大きい。
操作
タ
イ
変動係数
プ
u(a) B 0.0015
不確かさの要因
測定器 電子天秤
試料の分取量の違い
u(c) A 0.0136
測定者の違い
u(d) A 0.0479
測定対 試料の材質・粒度組成の違い u(e) A 0.0182
象物 試料の状態の違い
u(b) A 0.0136
0.00
0.05
変動係数
u(b) A 0.0102
試験器具 ゴムの硬さの違い
試料の分取量の違い
u(d) A 0.0072
試料の練り時間の違い
u(e) A 0.0057
図 11
u(f) A 0.0181
測定者の違い
測定対 試料の材質・粒度組成の違い
象物 試料の状態の違い
変動係数比較図(土の塑性限界試験)
塑性限界の不確かさを推定した結果,次のとおりとなっ
u(g) A 0.0107
た。
u(h) A 0.0080
塑性限界:wp,test(1±0.053) %(k=2)
0.00
0.02
変動係数
図 10
タ
イ
変動係数
プ
u(a) B 0.0015
要因ごとの変動係数を比較すると,「測定者の違い」に
よる変動係数が 0.0479 と最も大きく,次に「試料の材質・
変動係数比較図(土の液性限界試験)
粒度組成の違い」が 0.0182 となっている。これは,液性
4.5.2
塑性限界試験
限界試験と同様の傾向である。塑性限界試験は,その判定
塑性限界試験について抽出した不確かさの要因項目と
にかなりの経験的要素がはいってくるものであり,物理試
11)
実験方法一覧を表 17 に示す。なお,測定対象物の不確か
験の中でも最も熟練度を要する試験であることが指摘
さでは,4.5.1 項と同様な理由から,「試料の材質の違い」
されている。今回の推定結果においても,物理試験の中で
による不確かさと「試料の粒度組成の違い」による不確か
は最も大きな変動係数を与える個別の要因となっている。
さがとを含んだ不確かさとして「荒木田粘土」と「カオリ
4.6
ンクレー」を用いて実験を実施した。
要因ごとの変動係数比較図を図 11 に示す。
土の湿潤密度試験
土の湿潤密度試験について抽出した不確かさの要因項
目と実験方法一覧を表 19,20 に示す。なお,測定器の不確
表 17
かさでは,
「ノギス」の不確かさと「ノギスの種類の違い」
要因項目と実験方法一覧表(土の塑性限界試験)
試
取料
量の
分
試
料
の
状
態
不確かさ
の要因
電子天秤の不
確かさ
測
定
者
(g)
30
50
湿潤土
試料の材質・
粒度組成の違
いによる不確
かさ
場合の不確かさであり,実験データから算出される不確か
さである。
要因ごとの変動係数比較図を図 12 に示す。
試験員A
試験員C
試験員A
湿潤土
表 19
カオリン
クレー
試験員B w P=30%
LL 終了後
要因項目と実験方法一覧表(土の湿潤密度試験)その1
不確かさ
の要因
電子天秤の不
確かさ
ノギスの不確
かさ
ノギスの違い
による不確か
さ
供試体形状の
違いによる不
確かさ
荒木田粘
土w P=21%
カオリン
クレー
w P=30%
30
空気乾燥土
表 18
ス」と「デジタル直読式ノギス」を使用して実験を行った
10
30
試料の状態の
違い
書から算出される不確かさで,後者は「バーニア読みノギ
校正の不確かさによる
試料の分取量
の違いによる
不確かさ
測定者の違い
による不確か
さ
による不確かさを挙げている。前者は,ノギスの校正証明
質
試
・
料
成粒
の
度
材
組
実験データ一覧表(土の塑性限界試験)
塑性限界w P(%)
不確かさの要因
試料の分取量の違い
測定者の違い
試料の材質・粒度組成の違い(カオリンクレー)
試料の材質・粒度組成の違い(荒木田粘土)
試料の状態の違い
データ
数(個) 最大値 最小値
9
9
3
3
9
29.8
32.0
29.0
21.6
29.5
28.7
28.7
28.8
20.8
28.4
平均
29.2
29.8
28.9
21.2
28.9
標準
偏差
0.4
1.4
0.1
0.4
0.4
供試体整形者
の違いによる
不確かさ
347
供
試
さ体
の
硬
湿
潤
密
度
供
イ試
ズ体
サ
(g/cm3)
(cm)
ノ
ギ
類ス
の
種
整
形
者
測
定
者
校正の不確かさによる
校正の不確かさによる
φ 3.5×h 8.0
バーニア
試験 デジタル
φ 3.5×h 8.0 員A
φ 6.0×h 2.0
カオリンク
レー(予圧
密で作製)
1.74
試験
試験
員A
員A
試験 バーニア
φ 3.5×h 8.0 員B
試験
員C
試験
員D
鈴木・他
表 20
要因項目と実験方法一覧表(土の湿潤密度試験)その2
供
試
さ体
の
硬
不確かさ
の要因
カオリン
湿潤密度測定
クレー
者の違いによ
(予圧密
る不確かさ
で作製)
アルミ
石膏
石膏:カオ
供試体の硬さ
の違いによる リン=1:1
硬質ゴム
不確かさ
石膏:カオ
リン=1:2
軟質ゴム
湿
潤
密
度
供
イ試
ズ体
サ
(g/cm3)
(cm)
1.74
整
形
者
ノ
ギ
類ス
の
種
測定してしまうためと推測され,過去の論文 12)でも指摘さ
れている。ノギスの種類の違いは,読みとりの作業にとも
測
定
者
なう不確かさである。図 14 に個別の変動係数比較図を示
すが,直接数値が表示されるデジタル式ノギスは,バーニ
ア読みノギスを用いた場合の約 3 分の 1 の変動係数となっ
試験
員A
試験
員B
試験
φ 3.5×h 8.0
バーニア
員A
試験
員C
試験
員D
ている。
アルミ
石膏
石膏:カオリン=1:1
硬質ゴム
石膏:カオリン=1:2
軟質ゴム
2.64
1.40
1.23
1.52
φ 3.5×h 8.0
0.000 0.004 0.008 0.012
試験
整形
バーニア
員A
なし
変動係数
1.23
図 13
1.31
供試体の硬さの個別の変動係数比較図
バーニア
デジタル
表 21
実験データ一覧表(土の湿潤密度試験)
0.000 0.004 0.008 0.012
変動係数
3
不確かさの要因
ノギスの種類の違い
供試体形状の違い
整形者の違い
湿潤密度測定者の違い
供試体の硬さの違い(アルミ)
供試体の硬さの違い(石膏)
供試体の硬さの違い(石膏:カオリン=1:1)
供試体の硬さの違い(硬質ゴム)
供試体の硬さの違い(石膏:カオリン=1:2)
供試体の硬さの違い(軟質ゴム)
湿潤密度ρ t(g/cm )
データ
数(個) 最大値 最小値 平均 標準
偏差
12
1.76
1.73 1.74 0.01
6
1.74
1.73 1.74 0.00
12
1.75
1.74 1.74 0.00
12
1.75
1.74 1.74 0.00
3
2.65
2.64 2.64 0.00
3
1.40
1.40 1.40 0.00
3
1.23
1.22 1.23 0.00
3
1.53
1.52 1.52 0.01
3
1.24
1.23 1.23 0.01
3
1.33
1.31 1.31 0.01
図 14
4.7
ノギスの種類の違いの個別の変動係数比較図
土の一軸圧縮試験
土の一軸圧縮試験で求められる試験結果で,一軸圧縮強
さ qu(kN/m2)について抽出した不確かさの要因項目と実
験方法一覧を表 22 に示す。試験に使用した供試体は,3
章表 2 に示すように,荒木田粘土を用いて一軸圧縮強さ
qu=90kN/m2 を目標に密度調整して作製した供試体(直径
5cm,高さ 10cm)を,トリミング法によって整形したもの
不確かさの要因
電子天秤
u(b) B 0.0001
測定器 ノギス
操作
測定対象物
タ
イ
変動係数
プ
u(a) B 0.0001
(直径 3.5cm,高さ 8cm)であり,供試体自体のばらつき
は,実験より qu,test(1±0.08) kN/㎡(k=2)であった。なお,
試験器具の不確かさでは,「加圧板の平滑さの違い」によ
る不確かさと「球座の有無の違い」による不確かさを挙げ
ノギスの種類の違い
u(c) A 0.0040
供試体形状の違い
u(d) A 0.0004
ている。これは,一軸圧縮試験装置を構成している加圧板
整形者の違い
u(e) A 0.0024
と球座のことで,加圧板の平滑さ,球座を使用した場合,
湿潤密度測定者の違い
u(f) A 0.0025
しない場合によって試験結果に大きく影響を及ぼすこと
供試体の硬さの違い
u(g) A 0.0098
が推測されたため,実験を実施した。また,一軸圧縮試験
0.00
0.02
変動係数
図 12
変動係数比較図(土の湿潤密度試験)
装置の圧縮速度の不確かさについては,一軸圧縮強さ qu
への影響が指摘されているものの,qu=90~100kN/m2,0.5
~2.0%/min の範囲であれば、影響は少ないことが報告され
ていることから 13),本稿では抽出していない。操作の不確
不確かさを推定した結果,次のとおりとなった。
かさでは,「供試体寸法の違い」による不確かさを挙げて
湿潤密度:ρt,test(1±0.022) g/cm3(k=2)
いる。これは,均質な自然堆積土を用いて,直径 3.5cm,
要因ごとの変動係数を比較すると,「供試体の硬さの違
高さ 8cm の供試体と直径 1.5cm,高さ 3.5cm の供試体を整
い」による変動係数が 0.0098 と最も大きく,次に「ノギ
形して一軸圧縮強度 qu を比較検討した正垣,坂本,須藤
スの種類の違い」が 0.0040 となっている。供試体の硬さ
14)
のデータを引用した。
について,個別の変動係数比較図を図 13 に示す。図 13 で
要因ごとの変動係数比較図を図 15 に示す。
は,下段方向に向けて供試体の硬さが軟質になっており,
軟質な供試体ほど変動係数が大きくなることがわかる。こ
れは,供試体が軟質であるために,測定時におけるノギス
のくい込みや,逆にくい込みを避けるために寸法を過大に
348
土質試験・不確かさ
表 22
不確かさを推定した結果,次のとおりとなった。
要因項目と実験方法一覧表(一軸圧縮強さ)
R a(µm)
供
試
法
体
寸
球
座
有
無
(cm)
供
供
供
供 圧
試
試
試 測試 縮
度
有
体
体 者体 定体 速
無
強
整
整 者寸 度
形
形
法 (%/min)
(kN/m2)
これは,経験の浅い試験員を入れて試験を行ったことも影
となり最も大きい。次に大きい変動係数は「加圧板の平滑
さの違い」であり,0.0737 である。JIS においては,加圧
板の平滑さについての明確な規程はない。今回の試験では,
試験機関が通常使用していると思われる範囲の加圧板:表
0.357
1.26
無
面粗さ
5.704
有
φ 3.5×h 8.0
14.578
球座の有無の
有
違いによる不
無
確かさ
0.357
供試体整形の
有
有無の違いに
無
よる不確かさ
供試体寸法の 文献デー
φ 1.5×h 3.5
違いによる不 タによる
φ 3.5×h 8.0
ため異
確かさ
供試体整形者
の違いによる
不確かさ
無
有
供試体寸法測
定者の違いに
よる不確かさ
φ 3.5×h 8.0
整形
者A 測定
者A
15)
Ra=0.286~5.704μm のものを用いている。図 16
に加圧板の表面粗さと一軸圧縮強さの関係図を示す。図中
90
には,あえて表面の粗い加圧板(Ra=14.578μm)の結果も
示してあるが,粗さが大きくなるに従って圧縮強さが増加
するとともに,結果のばらつきも大きくなることがわかる。
-
文献データ
によるた
め異なる
整形
者A
整形 測定
者B 者A
整形
者C
測定
者A
測定
者B
整形 測定
者A 者C
その他の要因として,
「供試体整形の有無による違い」,
「球
1
文献
データに
よるた
座の有無」,
「供試体強度の大きさの違い」についても変動
係数は 0.490~0.0606 と大きい。測定器に関する変動係数
は 0.0002~0.0018 となり,相対的な比率としては僅かであ
る。
90
160
140
120
50
供試体強度の
違いによる不
確かさ
表 23
要因ごとの変動係数を比較すると,「供試体整形者の違
い」による変動係数が最も大きく 0.1381 となっている。
響しているが,このデータを除外しても変動係数は 0.0855
校正の不確かさによる
0.286
加圧板の平滑
さの違いによ
る不確かさ
一軸圧縮強さ:qu,test(1±0.372) kN/㎡(k=2)
測定
者A
100
q u(kN/m2)
不確かさ
の要因
荷重計の不確
かさ
変位計の不確
かさ
ノギスの不確
かさ
加
平
圧
滑
板
さ
の
90
150
要因項目と実験方法一覧表(一軸圧縮強さ)
80
60
2
不確かさの要因
加圧板の平滑さの違い
球座の有無の違い
供試体整形の有無の違い
供試体寸法の違い
供試体整形者の違い
供試体強度の違い(50kN/m2)
供試体強度の違い(90kN/m2)
供試体強度の違い(150kN/m2)
一軸圧縮強さq u(kN/m )
データ
数(個) 最大値 最小値 平均 標準
偏差
15
140.0
86.3 97.3 14.4
6
96.1
84.6 88.7
4.4
6
97.8
83.8 89.8
5.4
8
158.5 144.6 153.7
6.2
9
110.0
68.7 91.3 12.6
3
52.8
50.5 51.5
1.2
3
91.9
88.6 90.3
1.7
3
149.7 139.1 145.7
5.7
40
20
0
0.1
図 16
不確かさの要因
荷重計
u(b) B 0.0002
ノギス
u(c) B 0.0010
加圧板の平滑さの違い
u(d) A 0.0737
球座の有無の違い
u(e) A 0.0493
操作
測定対象物
供試体整形の有無の違い
u(f) A 0.0606
供試体寸法の違い
u(g) B 0.0402
供試体整形者の違い
u(h) A 0.1381
供試体寸法測定の違い
u(i) A 0.0025
供試体強度の違い
u(j) A 0.0490
0.00
0.20
変動係数
図 15
100
加圧板の平滑さの違いによる不確かさの実験結果
タ
イ
変動係数
プ
u(a) B 0.0018
測定器 変位計
試験器具
1
10
表面粗さR a(μm)
5. 各試験結果における不確かさの大きさと要因の
比率
室内土質試験結果における不確かさを推定した結果を
表 24 に整理する。表 24 には,室内土質試験結果における
ばらつきを変動係数として示した過去の報告
2)3)
より,今
回の不確かさを推定した試験項目と共通しているものを
引用し,合わせて示している。
変動係数比較図(一軸圧縮強さ)
349
鈴木・他
表 24
不確かさの推定結果と過去の報告における変動係数
変動係数(%)
試験項目
不 確 か さ に 占 め る 割 合 (%)
今回推定した
文献2)
文献3)
不確かさ(%)
含水比
w
5
15
6.3
土粒子の密度
ρs
3
3
3.0
0%
20%
含 水 比 1.6
100%
86.8
Fs
20
20
2.9
Silt
25
-
33.3
液性限界
wL
10
10
3.8
塑性限界
wP
15
10
5.3
液 性 限 界 2.4 16.6
湿潤密度
ρt
-
-
2.2
塑 性 限 界 1.6
一軸圧縮強さ
qu
30
40
37.2
砂 分 1.3 13
9.6
34.9
シ ル ト 分 0.1
一 軸 圧 縮 強 さ 0.7
80%
37.7
土 粒 子 の 密 度 3.6
湿潤密度
60%
60.7
シルト分
砂分
40%
50.8
80.2
19.7
63.6
17.4
79.2
21.7
19.2
27.5
29.5
50.8
58.0
11.8
過去の報告では,一軸圧縮強さの変動係数が最も大きい。
測定器
物理試験については試験項目が共通していない部分があ
試験器具
操作
測定の対象物
るが,文献 2)ではシルト分の変動係数が最も大きく,文献
3)では含水比の変動係数が大きくなっている。また,両者
図 17
不確かさの要因比率図
共通して土粒子の密度の変動係数が最も小さくなってい
る。今回推定した不確かさにおいては,物理試験の中では
一軸圧縮強さは,物理試験と同様に「操作」の不確かさ
粒度試験のシルト分の不確かさが最も大きく,33.3%とな
の比率が最も大きく,「測定器」の比率は最も小さい。異
っている。これは,文献 2)に示されている傾向と同様であ
なる点は「試験器具」の不確かさの比率が2番目に大きい
る。逆に,不確かさの小さい試験は,湿潤密度の 2.2%,
ことである。一軸圧縮強さの不確かさは 37.2%であり,
「操
粒度試験の砂分の 2.9%である。粒度試験および湿潤密度
作」の比率が 58.0%を占めていることから,「操作」の影
試験以外の物理試験でも,不確かさは 3.0~6.3%の範囲で
響が大きい試験であると言える。
ある。今回の推定結果では,粒度試験(シルト分)以外の
試験は,ほぼ同程度の不確かさを持つ試験と言えそうであ
6. まとめ
る。次に,一軸圧縮強さは,過去の報告の中で共通して最
も変動係数が大きい試験として位置づけられているが,今
回の推定結果においても最大の不確かさとなっている。
図 17 は,各試験結果において,不確かさ要因の大別;
「測
室内土質試験結果の不確かさを推定した結果を以下に
とりまとめる。
各試験結果の不確かさは以下のとおりとなった。
1)
定器」,
「試験器具」,
「操作」,
「測定対象物」ごとの変動係
・含水比:wtest(1±0.063) %(k=2)
数の和と,変動係数の総和に対する各比率を示したもので
・土粒子の密度:ρs,test(1±0.030) g/cm3(k=2)
ある。
・粒度試験
砂分含粒率:Fs,test(1±0.029) %(k=2)
物理試験においては,
「測定器」の比率は全般に小さく,
シルト分含有率:Silttest(1±0.333) %(k=2)
「操作」及び「測定対象物」の占める比率が大きい。また,
7試験項目の中で5試験が「操作」の比率が最も大きくな
・液性限界:wL,test(1±0.038) %(k=2)
っているが,湿潤密度,粒度試験の砂分については「操作」
・塑性限界:wp,test(1±0.053) %(k=2)
よりも「測定の対象物」の比率が大きい。不確かさに対す
・湿潤密度:ρt,test(1±0.022) g/cm3(k=2)
る「操作」の影響に着目した場合,不確かさ自体が大きく,
・一軸圧縮強さ:qu,test(1±0.372) kN/㎡(k=2)
かつ「操作」の比率が大きいほど,その影響は大きいこと
2)
く,物理試験の中ではシルト分が最も大きくなった
となる。これより,「操作」の影響が最も大きい試験は粒
が,これは過去の報告と同様の傾向であった。
度試験のシルト分であり,最も少ない試験は湿潤密度であ
る。
今回推定した不確かさは,一軸圧縮強さが最も大き
3)
物理試験の中で,シルト分以外の項目についての不
確かさは 2.2~6.3%であり,ほぼ同程度の不確かさで
ある。
4)
不確かさ要因の大別である「測定器」,「試験器具」,
「操作」,「測定の対象物」の比率を見ると,物理試
験では「操作」及び「測定対象物」の占める比率が
大きく,一軸圧縮強さは「操作」及び「試験器具」
の比率が大きい。
350
土質試験・不確かさ
5)
不確かさに対する試験員の「操作」の影響度は,不
確かさ自体の大きさと,
「操作」の比率の両方に着目
する必要があるが,
「操作」の影響度が大きい試験は
一軸圧縮強さ,シルト分である。逆に,最も少ない
試験は湿潤密度である。
7. おわりに
参
下辺悟,風間秀彦:室内土質試験データの変動係数について,
基礎,Vol.10,No.3,pp.11-15,1962.
第 52 回土木学会年次学術講演概要集,pp.684-685,1997.
3)
Lee,I,K.,White,W. and Ingles,O.G.:Geotechnical Engineering,
4)
BIPM,IEC,ISO,IFCC,IUPAC,IUPAP and OIML:Guide to the
Pitman,pp.60-62,1983.
Expression of Uncertainty in Measurement. ,1995(日本語訳;
(財)日本規格協会:GUM 計測における不確かさの表現ガ
イド).
5)
しかし,土質試験分野への適用を考えた場合,測定値の信
集,pp.285-286,2005.
6)
会発表講演集,pp.241-242,2006.
7)
めに,試験法(JIS)を満足する範囲内において,条件を多岐
鈴木直文,真島淑夫,柴田東:室内土質試験結果における
不確かさ算定の試み(その3)~一軸圧縮試験について~,
に渡って設定したものである。実際の試験所で推定される
不確かさは,限られた条件(設備,人員など)下で試験を
鈴木直文,真島淑夫,柴田東:室内土質試験結果における
不確かさ算定の試み(その2)
,第 41 回地盤工学研究発表
頼性という面では若干の問題が残る。今回推定した不確か
さは,ばらつきの要因と結果に対する影響度を把握するた
鈴木直文,真島淑夫,柴田東:室内土質試験結果における
不確かさ算定の試み,第 40 回地盤工学研究発表会発表講演
その影響度を具体的に知ることができるため,改善点が明
確になるなど,品質管理・向上面においては有用である。
献
2)
影響が大きいことが古くから定性的に知られていたが,今
評価することができた。不確かさの推定は,要因の抽出,
文
松本錬三:土の物理試験値の個人差について(続報),土と
多くの室内土質試験は,結果に対する試験員(操作)の
回の報告では,不確かさの推定により,これらを定量的に
考
1)
第 42 回地盤工学研究発表会.
8)
小川富美子,石井一郎,奥村樹郎:間隙水中の土粒子の比
行っていることから,今回の推定結果よりも小さいものと
重試験結果に及ぼす影響について,港湾技研資料,No.443,
なる。しかし,その不確かさが小さいからと言って,信頼
1983.
性が高いことには必ずしも直結しない。すなわち,不確か
9)
さの大きさとはべつに,その測定値自体が偏りをもつ可能
人差の影響,第 25 回土質工学研究発表会講演概要集,
性があるためである。このため,土質試験結果の信頼性を
評価するためには,不確かさの推定とともに,同一試料を
pp.269-271,1990.
10)
松本錬三:土の物理試験値の個人差について,土と基礎,
11)
原善伴:土質試験の手法上の要点と注意点,土と基礎,Vol.21,
用いて複数の試験所間で相互比較するような,相対的な評
価も必要ではないかと考えられる。
Vol.4,No.6,pp.24-26,1956.
今後は,今回報告した試験項目以外の不確かさの推定を
進めるとともに,室内土質試験結果に対する不確かさの適
風間秀彦,下辺悟:液性限界試験結果に及ぼす測定器と個
No.4,pp.49-55,1973.
12)
用上の問題点についても検討していきたいと考えている。
藤原身江子,奥山一典,八木則男,森忠次:供試体の作成
方法が粘性土の湿潤密度に及ぼす影響,土木学会論文集,
No.708,Ⅲ-59,pp.221-226,2002.
謝辞
13)
(社)地盤工学会:土質試験法(第 2 回改訂版)
,p.484,1979
14)
正垣孝晴,坂本竜,須藤剛史:自然堆積土の一軸圧縮強度
本報告をまとめるにあたり,試験試料を作成し提供して
特性に及ぼす供試体寸法の影響,土木学会第 54 回年次学術
頂いた(株)アースプライムに深く感謝いたします。
講演会,Ⅲ-A45,pp.90-91,1999.
15)
JIS B 0601:2001:製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:
輪郭曲線方式―用語,定義及び表面性状パラメータ,表面
粗さ測定方法,2001.
(2007. 4. 9. 受付)
351
鈴木・他
Uncertainty in the result of the soil test
Naofumi SUZUKI1,Yoshio MASHIMA1,Azuma SHIBATA1
1
Geotechnical Laboratory, Kowa corporation
Abstract
This paper deals with the uncertainty evaluation of different results of laboratory soil tests. The main objective of this
study is to find out the cause of uncertainty in the result and its degree of effect, reliability of the results with specific
uncertainty evaluations. In order to measure the uncertainty factor, seven types of physical properties tests and an
unconfined compression test were carried out. It was measured that the range of test results of natural soil sample
were large. Considering large differences in the range of test results, relatively expanded uncertainty method was
applied. According to the test results, the unconfined compression strength showed the highest uncertainty of
37.2%
whereas silt content of particle size distribution of physical property test showed 33.3%. The uncertainty of the
remaining tests was ranged from 2.2 to 6.3%. It is understood that the prime factor to take place large difference in the
uncertainty ratio of physical properties tests was due to lack of consistency of inconsistency of experimenter and types
of soil. In case of unconfined compression strength, the large difference in the uncertainty ratio was comprehended
due to lack of inconsistency of experimenter and apparatus.
Key words: uncertainty, laboratory test of soil, test method
352