ディスクロージャーニュース 2011 / 7 vol.13

RID
ディスクロージャーニュース 2011/7
vol.13
2011 / 7 vol.13
ディスクロージャーニュース
《金融商品取引法》
・「平成23年6月「第1四半期の四半期報告書」作成上の留意点
・改正金融商品取引法関連法令の概要
・「包括利益の表示に関する会計基準」について
・「四半期財務諸表に関する会計基準」等の解説
・東日本大震災に係る法定開示書類の提出状況等
・次世代EDINETの開発とXBRL
・有価証券報告書の基礎(第12回)
・臨時報告書セミナーの報告
《国際会計基準》
IFRSをめぐる最近の動向
《会 社 法》
・上場会社の不正調査報告の分析(4)
・平成23年6月定時株主総会の動向
・会社法コラム第47回
《I R》
・我が国のIFRS採用に向けて
・ESGディスクロージャーの現状(2)
《取 引 所》
・決算短信における開示内容の見直しについて
・業績予想-キホンと大企業の傾向-
《 研究所活動状況》
本 社/〒171-0033 東京都豊島区高田3-28-8 Tel. 03
(3971)3101代表
大 阪 支 店/〒541-0048 大 阪 市 中 央 区 瓦 町 3-6-5 Tel. 06
(6203)5760代表
(271)9891代表
札幌営業所/〒060-0042 札幌市中央区大通西11-4 Tel. 011
名古屋営業所/〒460-0003 名 古 屋 市 中 区 錦 1-20-25 Tel. 052
(221)6901代表
広島営業所/〒730-0031 広島市中区紙屋町1-1-20 Tel. 082
(241)0755代表
福岡営業所/〒810-0001 福 岡 市 中 央 区 天 神 3-4-8 Tel. 092
(712)0012代表
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1
総合ディスクロージャー研究所
総合ディスクロージャー研究所
・第4回「ディスクロージャー制度研究会」議事概要
《そ の 他》
・金融商品取引法関連法令の改正日誌
総合ディスクロージャー研究所
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RID ディスクロージャーニュース
2011/7 vol.13
Contents
■ 金融商品取引法
平成23年6月「第1四半期の四半期報告書」作成上の留意点
1
改正金融商品取引法関連法令の概要
11
公認会計士 山添清昭
総合ディスクロージャー研究所顧問 小谷 融
「包括利益の表示に関する会計基準」について
公認会計士 山添清昭
「四半期財務諸表に関する会計基準」等の解説
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 直原知佳
33
次世代EDINETの開発とXBRL
40
有価証券報告書の基礎(第12回)
45
臨時報告書セミナーの報告
50
総合ディスクロージャー研究所研究員 新井晶美
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 新保秀一
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 奈良幸一
■ 会
社
法
28
東日本大震災に係る法定開示書類の提出状況等
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 奈良幸一
総合ディスクロージャー研究所研究員 金井陵策
■ 国 際 会 計 基 準
18
IFRSをめぐる最近の動向
総合ディスクロージャー研究所顧問 橋本 尚
63
上場会社の不正調査報告の分析(4)
-子会社不正会計事件における親会社監査役の責任-
67
平成23年6月定時株主総会の動向
81
会社法コラム第47回
時代風潮の変化と今年の株主総会についての雑感
86
我が国のIFRS採用に向けて
~SECワークプランが示唆するもの~
91
ESGディスクロージャーの現状(2)ディスクロージャーのグローバル化
-中国語でのESGディスクロージャーの現状から-
96
決算短信における開示内容の見直しについて
107
業績予想-キホンと大企業の傾向-
110
第4回「ディスクロージャー制度研究会」議事概要
117
金融商品取引法関連法令の改正日誌
120
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 弁護士 六川浩明
弁護士 澤田祐亨
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 弁護士 六川浩明
鳥飼総合法律事務所 弁護士 鳥飼重和
■ I
R
公益社団法人 日本証券アナリスト協会 理事 金子誠一
ディスクロージャー研究一部 顧問 菅原 道
ディスクロージャー研究一部 ESG担当 江森郁実
■ 取
引
所
事業創造大学院大学准教授 鈴木広樹
総合ディスクロージャー研究所研究員 小黒紀和子
■ 研究所活動状況
ディスクロージャー研究一部長 平松 朗
ディスクロージャー研究一部部長 藤井靖弘
■ そ
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の
他
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金融商品取引法
平成23年6月「第1四半期の四半期
報告書」作成上の留意点
山添 清昭
公認会計士 また、改訂後の新様式や詳細な記載上の留意点に
はじめに
3月決算の会社は、平成23年6月末から45日以
ついては、公益財団法人財務会計基準機構作成の
内に第1四半期の「四半期報告書」を各財務局に提
「四半期報告書の作成要領(平成23年6月第1四半
期提出用)」や宝印刷株式会社作成の「四半期報告
出することになります。
平成23年3月25日付けで、企業会計基準委員会
より、企業会計基準12号「四半期財務諸表に関す
る会計基準」
(以下「四半期会計基準」という)お
よび同適用指針14号「四半期財務諸表に関する会
計基準の適用指針」
(以下「四半期適用指針」という)
が改正・公表され、平成23年6月の第1四半期よ
書記載例(平成23年版第1四半期提出用)」でご確
認ください。
なお、本稿の中で、意見に関するところは、筆者
の私見であることを最初にお断りしておきます。
目次
り適用されます。
四半期報告書における財務情報および非財務情報
の記載内容の簡素化が規定され、四半期報告書の様
式も大幅に改正されました。
本稿では、平成23年6月末の第1四半期決算を
1.平 成23年6月第1四半期の主な改正
点
2.
「四半期財務諸表の簡素化」の内容に
ついて
3.四半期簡素化の具体的な項目(記載項
目の簡素化、注記の簡素化)
1.平成23年6月第1四半期の主な改正点
迎え、これから第1四半期の「四半期報告書」を作
当年度の第1四半期の「四半期報告書」は、前年
成される方に向けて、①平成23年6月第1四半期
度の第1四半期の「四半期報告書」を参考に作成す
の主な改正点や、②「四半期財務諸表の簡素化」の
ることになりますが、前年度の第1四半期の「四半
内容について、さらに、③四半期簡素化の具体的な
期報告書」よりの改正点を確認しておく必要があり
項目(記載項目の簡素化、注記の簡素化)について
ます。
当第1四半期より適用が強制される主な改正項目
まとめています。
実際に第1四半期提出用の「四半期報告書」を作
について、
【図表1】にまとめています。改正され
成される際に、または、
「四半期報告書」の改正点
た開示府令の公表日順にまとめていますので、ご確
のチェックに活用してください。
認ください。
【図表1】当第1四半期『四半期報告書』の主な改正項目について
改正規則等
改正の主な内容
平成22年内閣府令
第 4 5 号、 平 成 2 2
年 9月30日付改 正
(金融庁)
◦開示府令
◦四半期連結財規
★「包括利益の表示に関する会計基準」の公表(平成22年6月30日付)を踏
まえた改正がされました。
●「連結包括利益計算書」及び「連結損益及び包括利益計算書」に関する規定、
様式が新設され、平成23年3月末より連結包括利益計算書の導入がされ、下
記のいずれかを選択・適用することになりました。
チェック
①当期純利益を表示する損益計算書と、包括利益を表示する包括利益計算書
からなる形式(2計算書方式)
②当期純利益の表示と包括利益の表示を1つの計算書(「損益及び包括利益
計算書」)で行う形式(1計算書方式)
●四半期決算における適用時期は、以下のとおりです。
四半期連結財務諸表について、平成23年4月1日以後開始連結会計年度に係
る四半期連結財務諸表から適用されます。
(年度について、平成22年9月30
日以後終了年度から早期適用した場合には、平成22年10月1日以後開始四
半期連結会計期間から適用されます。
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改正規則等
改正の主な内容
チェック
平成23年内閣府令
第 1 0 号、 平 成 2 3
年3月31日付改正
(金融庁)
◦開示府令
◦四半期連結財規
★四半期財務諸表の簡素化に係る「四半期財務諸表に関する会計基準」等の公
表(平成23年3月25日付)を踏まえた改正がされました。
●四半期報告の簡素化
①四半期会計期間の損益計算書等の任意作成
②1Q・3Qのキャッシュ・フロー計算書の任意作成
③削除される注記、1Q・3Qで省略可能な注記等
●四半期報告における財務情報の簡素化とともに、四半期報告書に記載すべき
非財務情報の記載内容の簡素化に伴い、四半期報告書等の様式(開示府令第
四号の三様式)の改正がされました。
●簡素化に係る改正は、平成23年4月1日以後に開始する連結会計年度に属す
る四半期連結会計期間および四半期連結累計期間に係る四半期連結財務諸表、
同日以後に開始する事業年度に属する四半期会計期間および四半期累計期間
に係る四半期財務諸表について適用されます。
★「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」
(以下、
「過年度遡及会計
基準」という)に係る「四半期会計基準」の公表(平成22年6月30日付)
を踏まえた改正がされました。
●会計方針の変更、表示方法の変更、会計上の見積りの変更を「会計上の変更」
とし、過去の誤謬は、これらと性質を異にするものとして区別しています。
過年度遡及会計基準
における用語
会計上の原則的な取扱い
会計上の変更
会計方針の変更
遡及修正する(遡及適用)
表示方法の変更
遡及処理する(財務諸表の組替え)
会計上の見積り
の変更
遡及処理しない
過去の誤謬の訂正
遡及処理する(修正再表示)
●「会計方針」等の定義に関して「表示方法の変更」および「連結財務諸表の
組替え」に相当する規定を除き、四半期連結財務諸表においても、規定が新
設されました。
●「未適用の会計基準等に関する注記」について、四半期報告の迅速性、国際
会計基準との整合性および作成者の負担等を考慮し、四半期では求められま
せん。
●比較情報の導入がされました。
◦連結財務諸表規則に導入されている比較情報について、四半期連結財務諸表
規則5条の3の規定が新設され、
「当該四半期連結財務諸表の一部を構成する」
比較情報について、以下のそれぞれを比較情報とすることが規定されました。
*四半期連結貸借対照表→前連結会計年度に係る事項
*四半期連結損益計算書および四半期連結包括利益計算書→前年度の対応する
四半期連結会計期間または四半期連結累計期間に係る事項
*四半期連結キャッシュ・フロー計算書→前年度の対応する四半期連結累計期
間に係る事項
●会計方針の変更を行った場合の影響額の注記が新設されました。
*「税引前四半期純損益金額に対する前事業年度の対応する四半期累計期間に
おける影響額及びその他の重要な項目に対する影響額」(四半期連結財務諸表
規則5条1項3号)
*遡及適用に係る原則的な取扱いが実務上不可能な場合についての規定も新設
された(同5条2項)
。
★平成23年4月1日以後開始する連結会計年度に属する四半期連結会計期間お
よび四半期連結累計期間に係る四半期連結財務諸表、同日以後に開始する事
業年度に属する四半期会計期間および四半期累計期間に係る四半期財務諸表
について適用されます。
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金融商品取引法
改正規則等
改正の主な内容
チェック
平成23年4月20日 ★「監査・保証実務委員会報告第83号
付(公開草案)公表 「四半期レビューに関する実務指針」の改正について」(公開草案)が公表さ
れました。
(日本公認会計士協
●今回の改正は、「四半期財務諸表に関する会計基準」等の改正や「四半期レビ
会)
ュー基準の改訂に関する意見書」
(公開草案)
、関係府令等の改正等に対応す
るものです。
●主な改正に以下のものがあります。
①四半期レビュー報告書の記載区分を3区分から4区分に変更
◦四半期レビューの対象
◦経営者の責任
◦監査人の責任
◦監査人の結論
②四半期レビュー手続に、新たに「比較情報に係る四半期レビュー手続」が
追加
●平成23年4月1日以後開始する連結会計年度または事業年度に係る四半期連
結財務諸表または四半期財務諸表の四半期レビューから適用の予定ですので、
ご注意ください。
★四 半期会計基準の主な改正内容は、次の3つで
2.
「四半期財務諸表の簡素化」の内容について
す。
平成23年3月25日付で、
「四半期財務諸表に関
する会計基準」等の公表がされ、四半期財務諸表の
簡素化に係る改正がされました。
①四半期損益計算書及び四半期包括利益計算書(又は四半期損益及び包括利益計算書)の3ケ月情報の開
示が任意とされた。
②第1四半期及び第3四半期の四半期キャッシュ・フロー計算書の省略が認められた。
③注記事項が簡素化された。
【改正後の四半期損益計算書と四半期キャッシュ・フロー計算書の開示】
1Q
2Q
3Q
累計
3ケ月
累計
3ケ月
累計
P/L
◎
○
◎
○
◎
C/F
○
-
◎
-
○
◎:強制開示 〇:任意開示
注:四半期キャッシュ・フロー計算書の開示を省略する場合、期首からの累計期間に係る減価償却費及びのれ
んの償却額を注記する。
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今回、四半期会計基準が改正され、四半期報告書
の大幅簡素化が行われたのは、以下の理由によるも
のです。改正後の四半期会計基準の結論の背景に次
に示す記述がありますので、ご確認ください。
改正後:結論の背景
30-6. 平成23年改正会計基準は、平成22年8月に公益財団法人財務会計基準機構内に設けられている基
準諮問会議から、当委員会に対し、四半期報告の大幅な簡素化が必要であるとの意見も考慮して本会計基準
及びその適用指針を見直すことが適当であるとする提言がなされたことを踏まえている。この提言は、財務
諸表作成者から、半期報告制度を採用している欧州等と比較して開示書類の作成負担が過重であるため、四
半期報告の大幅な簡素化を要望する意見が寄せられたことや、平成22年6月に閣議決定された「新成長戦
略」において、我が国の企業・産業の成長を支える金融等の観点から、平成22年度中に実施する施策とし
て「四半期報告の大幅な簡素化」が盛り込まれたことを受けてのものである。当委員会では、本会計基準及
びその適用指針について、四半期報告制度導入から2年経過したことによる適用状況のレビューという視点
も加味して、平成22年9月から見直しに着手し、市場関係者からの意見聴取を実施して財務諸表作成者の
負担軽減の具体的な要望事項や財務諸表利用者の開示ニーズを確認した上で、審議を重ね、平成22年12
月には公開草案を公表し、広くコメント募集を行った。平成23年改正会計基準は、当委員会において寄せ
られたコメントを検討し、公開草案を一部修正した上で、改正を行ったものである。
(1)四半期財務諸表等の開示対象期間
★四半期損益計算書及び四半期包括利益計算書(又は四半期損益及び包括利益計算書)の開示対象期間は、
期首からの累計期間の情報(累計情報)のみの開示を基本とすることとされます(このほか前年度の対
応する期間の開示も求められます)。
★これまで開示が求められていた四半期会計期間の情報(3ヶ月情報)の開示は任意とされました。
(2)四半期キャッシュ・フロー計算書の取扱い
★四半期財務諸表は、これまでどおり、四半期貸借対照表、四半期損益計算書及び四半期包括利益計算書
(又は四半期損益及び包括利益計算書)並びに四半期キャッシュ・フロー計算書から構成されます。
①四半期会計基準では、四半期財務諸表の中で特に作成にかかる負担が大きいといわれる四半期キャッシ
ュ・フロー計算書について、第1四半期と第3四半期における開示を省略できます。
②省略する場合には、重要な非資金損益項目のうち、減価償却費及びのれんの償却額(いずれも期首から
の累計期間に係る額)の注記が必要となります。
(3)注記事項の簡素化
★注記事項の見直しがされ、四半期会計基準から削除された注記項目ならびに簡素化された注記項目およ
びその内容は、以下のとおりです。
●注記事項の見直し
⒜ 四半期会計基準から削除された項目
①表示方法の変更(改正四半期会計基準19項(5)、25項(4))
②簡便的な会計処理に係る記載(同19項(6)、25項(5))
③1株当たり純資産額(同19項(9)、25項(7))
④発行済株式総数等(同19項(10)、25項(8))
⑤ストック・オプション関係(同19項(11)、25項(9))
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金融商品取引法
⒝ 記載内容の見直しが行われた項目
①「重要な企業結合に関する事項」の項目から、 当該企業結合が当年度の期首に完了したと仮定したとき
の影響の概算額等(いわゆるプロフォーマ情報)の記載が削除された(改正四半期会計基準19項(17)①、
25項(16)①)
。
②任意で四半期会計期間に係る四半期損益計算書及び四半期包括利益計算書(又は四半期損益及び包括利
益計算書)を開示する場合における四半期会計期間に係る注記についても任意で開示することとされた。
ただし、年度内における首尾一貫性を確保する観点から、第1四半期より行う。
・1株当たり四半期純損益
・セグメント情報
・著しい季節的変動
③「企業集団又は企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断するために重要
なその他の事項」の見直し(改正四半期適用指針80項)。
○例示から削除された事項
・日本公認会計士協会(JICPA)監査委員会報告第77号「追加情報の注記について」で記載されている
事項を削除
・企業会計基準8号「ストック・オプション等に関する会計基準」を適用したことによる四半期財務諸
表への影響額に重要性がある場合における一定の事項を削除
・
「担保に供されている資産」に関する事項を削除
○例示内容を見直した事項
・貸倒引当金や減価償却累計額などで資産の控除科目として表示されていない科目の記載については、
貸倒引当金のみとする。
・子会社の決算日の変更の記載については、当該変更により四半期損益に重要な影響を及ぼす場合に
記載する。
・有価証券、デリバティブ取引、金融商品の時価情報の記載については、総資産の大部分を金融資産
が占め、かつ総負債の大部分を金融負債及び保険契約から生じる負債が占める企業(集団)
(※)以
外の企業(集団)においては、 第1四半期会計期間及び第3四半期会計期間では開示を省略すること
ができる。
※:銀行、 保険会社、 証券会社及びノンバンク等が想定される(四半期適用指針113)。
⒞ 関連する会計基準等での注記事項の見直し
企業集団又は企業の財政状態、経営成績及
3.四半期簡素化の具体的な項目(記載項目の簡素
化、注記の簡素化)
びキャッシュ・フローの状況を適切に判断す
平成23年3月31日に四半期報告の簡素化等を内
るために重要なその他の事項の例が見直され
容とする四半期連結財務諸表規則等の一部を改正す
たことに合わせて、四半期財務諸表における
る内閣府令が公表されました。
以下の注記事項についても改正されている。
四半期報告における財務情報の簡素化とともに、
◦賃貸等不動産の時価等の注記の削除
四半期報告に記載すべき非財務情報の記載内容の簡
◦開示対象特別目的会社に関する注記の削
素化に伴い、四半期報告書等の様式の大幅な改正が
除
行われました。記載項目の簡素化と注記の簡素化に
◦リース取引に関する注記の削除
まとめています。四半期報告書の記載項目の簡素化
◦資産除去債務に関する注記の削除
や注記の簡素化のチェックにご活用ください。
(1)四半期報告書の記載項目の簡素化
四半期報告書における記載項目の簡素化の主な改
正点について、開示府令第四号の三様式の改正前・
改正後の開示項目と主な改正点を、
【図表2】にま
とめています。
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【図表2】四半期報告書の記載項目の簡素化
改正前
改正後
主な改正点
第一部 企業情報
第一部 企業情報
第1 企業の概況
第1 企業の概況
1 主要な経営指標等の推
移
1 主要な経営指標等の推
移
★記 載対象期間が、当四半期連結累計期
間、前年同四半期連結累計期間および
最近連結会計年度に変更された。
★当 四半期連結会計期間および前年同四
半期連結会計期間の1株当たり純利益
(純損失)金額の記載が必要とされる。
2 事業の内容
2 事業の内容
★当 四半期連結累計期間中に提出会社及
び関係会社の事業の内容に重要な変更
があった場合に記載することに変更さ
れた。
3 関係会社の状況
★削除された。
4 従業員の状況
★削除された。
★当四半期連結累計期間中に従業員数に著
しい増減があった場合には、
「財政状態、
経営成績及びキャッシュ・フローの状況
の分析」において、その事情と内容をセ
グメント情報に関連づけて記載する。
第2 事業の状況
第2 事業の状況
1 生産、受注及び販売の
状況
★削除された。
★当 四半期連結累計期間中に生産、受注
及び販売の状況に著しい変動があった
場合には、
「財政状態、経営成績及びキ
ャッシュ・フローの状況の分析」におい
て、その内容を記載する。
2 事業等のリスク
1 事業等のリスク
3 経営上の重要な契約等
2 経営上の重要な契約等
4 財政状態、経営成績及
びキャッシュ・フローの
状況の分析
3 財政状態、経営成績及
びキャッシュ・フローの
状況の分析
第3 設備の状況
チェック
★当四半期連結累計期間中に「事業等のリ
スク」の発生・重要な変更がある場合に
記載することに変更された
★第1四半期及び第3四半期において四半
期連結キャッシュ・フロー計算書を記載
していない場合は、キャッシュ・フロー
の状況に関する分析・検討内容の記載
を要しない。
★記 載対象期間が、四半期連結会計期間
から四半期連結累計期間における業績
の状況等についての比較・分析をする
ことに変更された。
★当 四半期連結累計期間において、以下
の場合は、その内容等について記載す
ることになる。
◦従業員数に著しい増減があった場合
◦生 産、受注及び販売の実績について著
しい変動があった場合
◦主 要な設備に著しい変動・変更があっ
た場合。
★削除された。
★当 四半期連結累計期間に主要な設備に
著しい変動・変更があった場合につい
ては、
「財政状態、経営成績及びキャッ
シュ・フローの状況の分析」において、
その内容を記載する。
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金融商品取引法
改正前
改正後
主な改正点
第4 提出会社の状況
第3 提出会社の状況
1 株式等の状況
1 株式等の状況
⑴ 株式の総数等
⑴ 株式の総数等
⑵ 新株予約権等の状況
⑵ 新株予約権等の状況
★新株予約権等を発行している場合から、
当四半期会計期間に新株予約権等を発
行した場合に、その内容を記載するこ
とに変更された。
⑶ 行使価額修正条項付
新株予約権付社債券等
の行使状況等
⑶ 行使価額修正条項付
新株予約権付社債券等
の行使状況等
★行 使価額修正条項付新株予約権付社債
券等を発行している場合から、当四半
期会計期間に行使価額修正条項付新株
予約権付社債券等に係る新株予約権が
行使された場合に、その内容を記載す
ることに変更された。
⑷ ライツプランの内容
⑷ ライツプランの内容
★買 収防衛策の一環として新株予約権を
発行している場合から、当四半期会計
期間に買収防衛策の一環として新株予
約権を発行した場合に変更された。
⑸ 発行済株式総数、資
本金等の推移
⑸ 発行済株式総数、資
本金等の推移
⑹ 大株主の状況
⑹ 大株主の状況
⑺ 議決権の状況
⑺ 議決権の状況
2 株価の推移
★第 2四半期報告書の記載は、従来どお
りの記載がされる。
★第 1四半期及び第3四半期における大
株主の異動があった場合にその旨を記
載することとされていたが、不要とさ
れた。
★削除された(他の情報源から入手可能で
あるため)
。
3 役員の状況
2 役員の状況
第5 経理の状況
第4 経理の状況
1 四半期連結財務諸表
1 四半期連結財務諸表
⑴ 四 半 期 連 結 貸 借 対
照表
⑴ 四 半 期 連 結 貸 借 対
照表
⑵ 四 半 期 連 結 損 益 計
算書
⑵ 四半期連結損益計算
書及び四半期連結包括
利益計算書(又は、四
半期連結損益及び包括
利益計算書)
★四 半期連結累計期間に係るもののみと
する改正がされた(四半期連結会計期間
に係るものは任意)
。
⑶ 四半期連結キャッシ
ュ・フロー計算書
⑶ 四半期連結キャッシ
ュ・フロー計算書
★第 1・第3四半期連結累計期間に係る
ものは、任意とする改正がされた。記載
しない場合には、四半期連結累計期間
に係る「減価償却費」
「のれんの償却額」
、
の注記が必要となる。
注記
注記
★注記事項の簡素化の状況は、以下の【図
表3】を参照してください。
2 その他
2 その他
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7
チェック
★有 価証券報告書の提出日後この四半期
報告書の提出日までに役員に異動があ
った場合から、有価証券報告書の提出
日後、当四半期累計期間において役員
に異動があった場合に記載することに
変更された。
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改正前
改正後
主な改正点
第二 部 提 出 会 社 の 保 証
会社等の情報
第二 部 提 出 会 社 の 保 証
会社等の情報
★四 半期報告書提出会社が提出した有価
証券報告書に記載された「保証会社情報
(継続開示会社に該当しない保証会社の
の最近事業年度に係る情報)
」を参照す
ることができることに変更された。
独 立 監 査 人の 四 半 期レビ
ュー報告書
独立監査人の四半期レビ
ュー報告書
★「監査・保証実務委員会報告第83号
「四
半期レビューに関する実務指針」の改正
について」(公開草案)が公表され、四
半期レビュー報告書の様式が変更され
る予定です。
チェック
注記の簡素化は、①項目自体が削除された注記、
(2)注記の簡素化
注記について簡素化が行われています。注記の簡
②注記の一部が不要となったもの、③内容が簡素化
素化を、改正前と改正後を比較する形式で【図表3】
されたものなどがあります。
にまとめていますので、確認してください。
【図表3】注記の簡素化
改正前
改正後
主な改正点
(注記)
(注記)
◦継 続企業の前提に関する
事項
◦継 続企業の前提に関する
事項
◦四半期連結財務諸表作成
のための基本となる重要
な事項等の変更
★四 半期連結財務諸表作成のための基本
となる重要な事項を変更した場合、以
下の5つの区分に分けて記載とされて
いた。
①連 結の範囲に含めた子会社・持分法を
適用した非連結子会社・関連会社
②開示対象特別目的会社
③会計処理の原則及び手続き
④表示方法
⑤キャッシュ・フロー計算書における資金
の範囲
◦連 結の範囲又は持分法適
用の範囲の変更
★別項目で記載することになった。
◦会 計方針の変更等
★別項目で記載することになった。
◦簡便な会計処理
★削除された。
◦四 半期連結財務諸表の作
成にあたり適用した特有
の会計処理
◦四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の
作成にあたり適 用した特
有の会計処理
◦財 政状態、経営成績又は
キャッシュ・フロー の 状
況に関する事項で、企業
集団の財政状態、経営成
績及びキャッシュ・フロー
の状況の判断に影響を与
えると認められる重要な
もの
◦財 政状態、経営成績又は
キャッシュ・フロー の 状
況に関する事項で、企業
集団の財政状態、経営成
績及びキャッシュ・フロー
の状況の判断に影響を与
えると認められる重要な
もの
◦追 加情報
◦追 加情報
チェック
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金融商品取引法
改正前
改正後
主な改正点
◦四 半期連結貸借対照表関
係
◦四 半期連結貸借対照表関
係
★省略可能となった注記
◦「商品及び製品」
「仕掛品」
「原材料及び
貯蔵品」について一括して記載した場
合、第1四半期及び第3四半期におけ
る内訳の注記
★不要となった注記
◦減 価償却累計額を資産の金額から直接
控除し、その控除残高を表示した場合
における減価償却累計額の注記
◦担保資産の注記
◦た な卸資産及び工事損失引当金の表示
に関連した注記
◦四 半 期 連 結 損 益 計 算 書
関係
◦四 半 期 連 結 損 益 計 算 書
関係
★不要となった注記
◦「販売費」もしくは「一般管理費」
、
「販
売費及び一般管理費」の科目で一括して
記載した場合、第1四半期及び第3四
半期における内訳の注記
◦「法人税、住民税及び事業税」
、
「法人税
等調整額」を一括して記載した場合にお
けるその旨の注記
◦四 半 期 連 結 キャッシュ・
フロー計算書関係
◦四 半 期 連 結キャッシュ・
フロー計算書関係
★不要となった注記
◦第 1四半期及び第3四半期において四
半期連結キャッシュ・フロー計算書を作
成しない場合における、現金及び現金
同等物の四半期末残高と四半期連結貸
借対照表に掲記されている科目の金額
との関係の注記
★新たに求められる注記
◦第 1四半期及び第3四半期において四
半期連結キャッシュ・フロー計算書を作
成しない場合の注記(減価償却費、のれ
んの償却額)
◦負 ののれんの未償却残高がある場合、
平成23年3月31日内閣府令第10号附
則2条5項の注記を記載すること。
◦株 主資本等関係
◦株 主資本等関係
★不要となった注記
◦発行済株式に関する注記
◦自己株式に関する注記
◦新株予約権等に関する注記
◦セグメント情報等
◦セグメント情報等
★省略可能となった注記
当 四半期連結会計期間及び前年同四半
期連結会計期間に係る注記
◦金 融商品関係
◦金 融商品関係
★省略可能となった注記
◦金融機関等(*1)以外の企業の第1四
半期及び第3四半期における「金融商品
関係」の注記
四 半期連結貸借対照表計上額と時価と
の差額及び前連結会計年度の連結貸借
対照表計上額と時価との差額に重要性
が乏しい場合、注記の省略が可能
◦有価証券関係
◦有価証券関係
★省略可能となった注記
◦金融機関等(*1)以外の企業の第1四
半期及び第3四半期における「有価証券
関係」の注記
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チェック
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改正前
改正後
主な改正点
◦デリバティブ取引関係
◦デリバティブ取引関係
★注記省略可能となった注記
◦金融機関等(*1)以外の企業の第1四
半期及び第3四半期における「デリバテ
ィブ取引関係」の注記
◦ストック・オプション等関
係
★削除された。
◦企 業結合等関係
◦企 業結合等関係
★不要となった記載
◦取 得による企業結合が行われた場合、
当該企業結合が当連結会計年度の開始
の日に完了したと仮定した場合の四半
期連結損益計算書に及ぼす影響の概算
額の記載
◦資 産除去債務関係
★削除された。
◦賃 貸等不動産関係
★削除された。
◦1株当たり情報
◦1株当たり情報
◦重 要な後発事象
◦重 要な後発事象
◦リース取引関係
チェック
★不要となった記載
◦1株当たり純資産額の注記
1 株当たり四半期純損益金額及び潜在
株式調整後1株当たり四半期純利益金
額に関する注記の記載対象期間:四半
期連結会計期間及び四半期連結累計期
間から、四半期連結累計期間に改正
★削除された。
(*1)連結財務諸表提出会社を含む企業集団の総資産の大部分を金融資産が占め、かつ、総負債の大部分を金融負債
及び保険契約から生じる負債が占める企業又は企業集団(銀行、保険会社、証券会社、ノンバンク等)。
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金融商品取引法
改正金融商品取引法関連法令の概要
小谷 融
総合ディスクロージャー研究所顧問 (大阪経済大学教授)
本稿は、本誌巻末の「金融商品取引法関連法令の
価証券の引受け」には該当しないと解されていま
改正日誌」に掲載した平成23年3月1日~23年5
した。しかしながら、コミットメントを行う証券
月31日の間に公布された金融商品取引法関連法令
会社の行為に着目すると、発行される新株予約権
の概要を紹介するものです。
のうち既存株主を含む投資者が行使しなかった分
について、その取得および行使を証券会社があら
Ⅰ 金融商品取引法(開示関連)
かじめ約束することとなるため、「残額引受け」
を行うことと行為態様やリスク負担の点で類似性
1.資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商
品取引法等の一部を改正する法律(平成23年5
月25日法律第49号)
【改正事項】
① 新株予約権無償割当てによる増資(いわゆる
ライツ・オファリング)に係る開示制度等の整
を有します。
このため、
「引受人」の定義にコミットメント
を行う証券会社の行為(未行使の新株予約権取得
および行使)を追加するとともに(法2条6項)
、
有価証券の引受に関する所定の規定が整備された
ものです(法21条4項、28条7項)。
「有価証券の引受け」を行う証券会社について
備
② 英文開示の拡大
は、著しく不適当と認められる数量・価格等の条
③ 発行登録制度における目論見書の交付義務免
件による引受が禁止されているほか、
「元引受け」
を行う証券会社について最低資本金の上乗せおよ
除
【改正の概要】
(1)新株予約権無償割当てによる増資(ライツ・
オファリング)
金融庁は、
「新成長戦略~『元気な日本』復活
のシナリオ~」
(平成22年6月18日閣議決定)
び引受けの適否に関する適切な引受審査が義務付
けられます。また、
「元引受契約」を締結した証
券会社には、有価証券届出書の虚偽記載に関する
民事責任が生じることになります。
(注1) ライツ・オファリングのうち、権利行使
の実現に向けて取りまとめた「金融資本市場及び
がなされなかった新株予約権について、発
金融産業の活性化等のためのアクションプラン」
行者が取得条項に基づき取得した上で証券
会社に売却するというスキームをコミット
(平成22年12月24日公表)において、機動的な
メント型ライツ・オファリングという。
資金供給等の実現を促進するための施策として、
「ライツ・オファリングが円滑に行われるための
開示制度等の整備を行う」としました。さらに、
旧法においては、ライツ・オファリングも目論
同庁は有識者を集めた「開示制度ワーキング・グ
見書の交付が必要とされていました。この場合、
ループ」を設置し、議論を重ね、平成23年1月
公募・第三者割当増資と異なり、既存株主全員に
19日に「
「金融庁・開示制度ワーキング・グルー
対して目論見書の交付が必要なため、実務的に
プ報告」~新株予約権無償割当てによる増資(い
は、株主数の多い会社にとっては、ライツ・オフ
わゆるライツ・オファリング)に係る制度整備に
ァリングによる資金調達の選択肢が奪われている
ついて~」と題する報告書を公表しています。今
との指摘もありました。そのような中で、次の点
回の法改正は、この内容を踏まえたものです。
を踏まえ、投資者保護を図りつつ、ライツ・オフ
イ.有価証券の引受けに関する整備
ァリングが企業の資金調達の現実的な選択肢とな
旧法の下では、コミットメント型ライツ・オフ
ァリング(注1)における証券会社の行為は「有
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ロ.目論見書の作成・交付不要
るよう、目論見書の交付の弾力化がなされていま
す。
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① 株主に対して新株予約権の行使について強い
イ.改正の背景
誘因が行われる場合でも、株主が新株予約権の
英文開示制度は、平成17年12月から外国株価
行使を急ぐような圧力が生じる可能性は、一般
指数連動型上場投資信託に係る有価証券報告書お
の募集と比べて高くない。
よび半期報告書について適用され、その後、平成
② ライツ・オファリングでは、割当ての対象者
20年には、外国会社等が発行するすべての有価
が株主であり、発行者の情報を有していること
証券に係る継続開示書類(臨時報告書を除く)が
が多い。特に発行者の株式が金融商品取引所に
対象とされています。
上場されている場合には、多様な情報が流通し
ている。
③ 新株予約権が金融商品取引所に上場される場
しかし、次のことから、現在までのところ、英
文開示制度の利用は極めてわずかにとどまってい
ます。
合には、株主は新株予約権を行使せずに市場価
① 外国会社等は、有価証券の募集または売出し
格で売却することが可能となり、株主にとって
の段階で発行開示書類として日本語による有価
の選択肢が増える。
証券届出書を作成しており、その後の継続開示
具体的には、次の2つの要件を満たすライツ・
書類(有価証券報告書、四半期報告書)につい
オファリングの募集について、目論見書の作成・
ては有価証券届出書の「発行者情報」部分を基
交付を要しないこととされています(法13条1
に作成することができる。したがって、敢えて、
項、15条2項)
。
コストをかけて有価証券報告書等の英文開示を
① 募集の対象となる新株予約権証券が金融商品
行う必要性が小さい。
取引所に上場されている、またはその発行後、
② 英文による有価証券報告書等とともに提出す
遅滞なく上場されることが予定されているこ
る補足情報の作成が外国会社等にとって大きな
と。
負担となっている一方で、投資者にとって、現
② その新株予約権証券について有価証券届出書
行の補足書類の有用性に疑問がある。
等の提出がなされた旨および一定の事項を、そ
このような状況の下、平成22年6月18日に閣
の提出を行った後、遅滞なく、日刊紙等に掲載
議決定された「新成長戦略~『元気な日本』復活
すること。
のシナリオ~」において「金融戦略」が7つの戦
ハ.公開買付けの適用対象
略分野の1つと位置付けられ、その中で「外国企
新株予約権を有する者がその新株予約権を行使
業等によるわが国での資金調達を促進するための
することにより行う株券等の買付け等は公開買付
英文開示の範囲拡大」が掲げられました。金融庁
けの対象とはなりません。
は、この新成長戦略の実現に向けて取りまとめた
ただし、今回の改正において、新株予約権のう
「金融資本市場及び金融産業の活性化等のための
ち会社法第277条の規定により割り当てられる
アクションプラン~新成長戦略の実現に向けて
ものであって、その新株予約権が行使されること
~」(中間報告)(平成22年12月7日公表)にお
が確保されることにより公開買付けによらないで
いて、
「アジアの主たる市場(メイン・マーケット)
取得されても投資者の保護のため支障を生ずるこ
たる日本市場の実現」のため、
「外国企業等によ
とがないと認められるものとして内閣府令で定め
る英文開示の範囲拡大等の制度整備を行う」とし
るものについては、その行使を公開買付規制の適
ました。さらに、同庁は有識者を集めた「開示制
用対象にするとされています(法27条の2第1項
度ワーキング・グループ」を設置し、議論を重ね、
かっこ書)
。
平成22年12月17日に「「金融庁・開示制度ワー
ニ.インサイダー取引における重要事実
キング・グループ報告」~英文開示の範囲拡大に
旧法においては、株式の募集・無償割当て、新
ついて~」と題する報告書を公表しています。今
株予約権の募集は、インサイダー取引の重要事実
回の法改正は、この内容を踏まえたものです。
とされていますが、新株予約権無償割当ては明記
ロ.有価証券届出書の英文開示
されていませんでした。株式との平仄を取るため、
具体的には、有価証券届出書を提出しなければ
今回の改正において、新株予約権無償割当てもイ
ならない外国会社は、公益または投資者保護に欠
ンサイダー取引の重要事実として明確化されてい
けることがない場合には、有価証券届出書の提出
ます(法166条2項)
。
に代えて、有価証券の募集または売出しに関する
(2)英文開示の拡大
事項を記載した書類および外国において開示が行
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金融商品取引法
われている有価証券届出書等に類する書類であっ
を除く)ならびに発行価格等を公表する旨、およ
て英語で記載されているものを提出することがで
び②公表の方法を記載した書類をあらかじめ交付
きるとされています。
し、かつ、③その方法によりその発行価格等が公
この場合、その英語で記載された書類に記載さ
表されたときは、その書類を目論見書とみなし、
れている事項のうち公益または投資者保護のため
その発行価格等の公表を目論見書の交付とみなす
必要かつ適当なものの要約の翻訳文等を添付しな
こととされています(法23条の12第7項)
。
ければなりません(法5条6項~9項、7条、9条、
上記(1)~(3)の施行日は、公布の日(平
10条)
。
成23年5月25日)から起算して1年を超えない
ハ.臨時報告書の英文開示
範囲内において政令で定める日からとされていま
有価証券報告書を提出しなければならない外国
す。
会社は、公益または投資者保護に欠けることがな
Ⅱ 金融商品取引法施行令
い場合には、臨時報告書に代えて、臨時報告書に
記載すべき内容が英語で記載されているものを提
出することができるとされています(法24条の
1.金融商品取引法施行令及び公認会計士法施行令
の一部を改正する政令(平成23年4月6日政令第
5)。
(3)発 行登録制度における目論見書交付義務免
除
イ.訂正届出書における目論見書交付義務免除
発行者等は、有価証券届出書について訂正届出
書が提出されたときには、その内容を記載した訂
96号)
【改正事項】
① 勧誘対象者数の期間通算
【改正の概要】
イ.募集勧誘対象者数の「6ヶ月通算」ルール
正目論見書を投資者に交付しなければなりません
「6ヶ月通算」ルールとは、今回の発行が少人
(法15条4項)
。ただし、ブックビルディング方
数向け勧誘であっても、過去6ヶ月以内に同一種
式等による募集または売出しにおいては、条件決
類の有価証券について少人数私募の形態で発行が
定時の訂正目論見書に特例が設けられています。
行われている場合、これらの勧誘対象者を合算し
すなわち、発行価格等を記載しないで交付した目
て、募集に該当するか否かを判断するものです。
論見書に発行価格等を公表する旨および発行者お
具体的には、その有価証券の発行される日以前
よび引受金融商品取引業者のホームページへの掲
6カ月以内に、その有価証券と同一種類の有価証
載等の公表方法が記載され、かつ、その明記され
券である他の有価証券(同種の新規発行証券)が
た公表方法によりその発行価格等が公表された場
発行されており、その有価証券の取得勧誘を行う
合には、その発行価格等に係る訂正目論見書の交
相手方(適格機関投資家は除く)の人数とその6
付義務は免除されています(法15条5項、開示
カ月以内に発行された同種の新規発行証券の取得
府令14条の2第1項)
。
勧誘を行った相手方(適格機関投資家を除く)の
この特例は、訂正目論見書の交付が申込期間に
券の募集に該当します(法2③二ハ、令1の6)
。
ングを失するということを避けるため、また、販
ただし、次の有価証券は、同種の新規発行証券
売金融商品取引業者による訂正目論見書交付のた
から除かれます。
めの過度のコストを軽減するために認められたも
① 適格機関投資家私募に該当する有価証券
のです。
② 募集に該当し、届出または発行登録追補書類
ロ.発行登録制度における目論見書交付義務免除
今回の改正は、発行登録制度における発行条件
の提出が行われた有価証券
今回の改正において、このただし書に、ストッ
決定時の発行登録追補書類目論見書の交付を、上
ク・オプション(新株予約権証券)の発行会社が、
記イの有価証券届出書利用の場合と同様に、免除
その会社や完全子会社の役員・使用人に取得勧誘
するものです。
したストック・オプションが追加されています。
具体的には、発行登録を行った有価証券を募集
ロ.売出し勧誘対象者数の「1ヶ月通算」ルール
または売出しにより取得させ、または売り付ける
その有価証券の売付け勧誘等が行われる日以前
場合において、①発行登録書および発行登録追補
1カ月以内に、その有価証券と同一種類の有価証
書類に記載しなければならない事項(発行価格等
券である他の有価証券(同種の既発行証券)の売
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人数との合計が50名以上となる場合は、有価証
間に合わなかったことにより投資者の投資タイミ
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付け勧誘等が行われており、その有価証券の売付
け勧誘等を行う相手方(適格機関投資家は除く)
の人数とその1カ月以内に売付け勧誘等が行われ
た同種の既発行証券の売付け勧誘等を行った相手
記載を要しないこととされています。
③ 「株価の推移」
記載を要しないこととされています。
④ 「事業の内容」等
方(適格機関投資家を除く)の人数との合計が
当四半期連結累計期間に重要な変更等があっ
50名以上となる場合は、有価証券の売出しに該
た場合に記載することとされています(開示府
当します(法2④二ハ、令1の8の3)。
令第4号の3様式記載上の注意(6)等)
。
ただし、次の有価証券は、同種の既発行証券か
ら除かれます(令1の8の3かっこ書)。
⑤ 「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フ
ローの状況の分析」
① 適格機関投資家私売出しに該当する有価証券
「従業員の状況」、「生産、受注及び販売の状
② 売出しに該当し、届出または発行登録追補書
況」および「設備の状況」については、当四半
類の提出が行われた有価証券
③ 外国有価証券売出しに該当し、かつ、外国証
券情報の提供又は公表が行われた有価証券
今回の改正において、このただし書に、ストッ
ク・オプション(新株予約権証券)の発行会社が、
その会社や完全子会社の役員・使用人に売付け勧
誘したストック・オプションが追加されていま
期連結累計期間に著しい変動があった場合に、
「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
の状況の分析」において記載することとされて
います(開示府令第4号の3様式記載上の注意
(9)
)
。
⑥ 「新株予約権等の状況」等
当四半期会計期間中に新株予約権証券等が発
行された場合に記載することとされています
す。
上記イおよびロの改正後の規定は、公布の日
(平成23年4月6日)から施行されています。
(開示府令第4号の3様式記載上の注意(11)
等)
。
この改正後の規定は、平成23年4月1日以後に
Ⅲ 開示府令関係
開始する事業年度に係る四半期報告書から適用さ
れています。
1.四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法
に関する規則等の一部を改正する内閣府令(平成
23年3月31日内閣府令第10号)
【改正事項】
(2)四 半期連結財務諸表規則および中間連結財
務諸表規則の改正に伴う改正
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基
準」および当該会計基準を受けて公表された「四
① 四半期報告書の簡素化に伴う改正
半期財務諸表に関する会計基準」(平成22年6月
② 四半期連結財務諸表規則および中間連結財務
30日)の設定に伴う四半期連結財務諸表規則お
諸表規則の改正に伴う改正
【改正の概要】
(1)四半期報告書の簡素化に伴う改正
四半期報告書(開示府令第4号の3様式)にお
よび中間連結財務諸表規則の改正により、四半期
連結財務諸表および中間連結財務諸表に「比較情
報」が含まれることになりました。これを踏まえ、
四半期報告書または半期報告書の「経理の状況」
いて、次の開示項目の簡素化に伴う改正がなされ
に記載する四半期連結財務諸表または中間連結財
ています。
務諸表は、当四半期連結会計期間または当中間連
① 「主要な経営指標等の推移」
結会計期間に係るものとされ(開示府令第4号の
当四半期連結累計期間および前年同四半期連
3様式記載上の注意(19)(25)、第5号様式記
結累計期間に係るもののみの記載が求められ、
載上の注意(25)
(31)
)
、これらに比較情報が
当四半期連結会計期間および前年同四半期会計
含まれることが明確にされています。
期間に係るものの記載は要しないこととされて
なお、有価証券届出書の「経理の状況」におい
います。ただし、
1株当たり四半期純利益金額・
て記載すべき四半期連結財務諸表および中間連結
純損失金額については、当四半期連結会計期間
財務諸表については、比較情報を含まないことに
および前年同四半期会計期間に係るものについ
ても記載が求められています(開示府令第4号
の3様式記載上の注意(5)
)
。
② 「関係会社の状況」
なっています(開示府令第2号様式記載上の注意
(61)~(64))。
この改正後の規定は、平成23年4月1日以後に
開始する事業年度に係る四半期報告書および半期
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金融商品取引法
報告書から適用されています。
四半期連結財務諸表規則、四半期財務諸表等規
則、開示府令および監査証明府令等ならびにこれ
2.金融商品取引法第二条に規定する定義に関する
内閣府令等の一部を改正する内閣府令(平成23
年4月6日内閣府令第19号)
【改正事項】
① 募集・売出しに係るストック・オプションの
らのガイドラインについて所要の改正がなされた
ものです。
(1)四半期連結財務諸表規則および四半期財務 諸表等規則
イ.四半期連結損益計算書等
四半期連結累計期間に係る四半期連結損益計算
特例
【改正の概要】
書および四半期連結包括利益計算書または四半期
譲渡が禁止される旨の制限が付されているスト
連結損益及び包括利益計算書のみの作成を義務付
ック・オプション(新株予約権証券のうち会社法
け、四半期連結会計期間(3か月)に係る四半期
236条1項6号の事項が定められているもの)の
損益計算書および四半期連結包括利益計算書また
発行者である会社が、その会社またはその完全子
は四半期連結損益及び包括利益計算書の作成を任
会社の取締役、会計参与、監査役、執行役又は使
意とすることとし、そのための規定が新設されて
用人を相手方として、そのストック・オプション
います。任意で、第二・四半期連結会計期間に係
の取得勧誘または売付け勧誘等を行う場合、有価
る四半期連結損益計算書等を作成する場合は、第
証券の募集または売出しの届出義務が免除されま
三・四半期連結会計期間に係る四半期連結損益計
す(法4①一、令2の12一、開示府令2①②)。
算書等を作成しなければなりません(四半期連結
今回の改正において、免除となる対象範囲が、
財務諸表規則64条2・3・4項、83条の2第2・
「当該会社」
、
「完全子会社」から「完全孫会社」
3項、四半期財務諸表等規則56条2・3・4項)
。
まで拡大されています。
この改正後の規定は、公布の日(平成23年4
月6日)から施行されています。
ロ.四半期連結キャッシュ・フロー計算書等
第二・四半期連結累計期間に係る四半期連結キ
ャッシュ・フロー計算書のみの作成を義務付け、
第一および第三・四半期連結累計期間に係る四半
Ⅳ 連結財務諸表規則等関係
期連結キャッシュ・フロー計算書の作成を任意と
し、そのための規定が新設されています。任意で
1.四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法
第一・四半期連結累計期間に係る四半期連結キャ
に関する規則等の一部を改正する内閣府令(平成
ッシュ・フロー計算書を作成する場合は、第三・
23年3月31日内閣府令第10号)
四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシ
【改正事項】
① 四半期連結財務諸表規則および四半期財務諸
表等規則(
「四半期財務諸表に関する会計基準」
(四半期連結財務諸表規則5条の2、四半期財務諸
表等規則4条の2)。
(平成23年3月25日)関連および「四半期財
なお、第一および第三・四半期連結累計期間に
務諸表に関する会計基準」
(平成22年6月30
係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成
日)関連)
しない場合には、次の事項を注記することとされ
② 中間連結財務諸表規則および中間財務諸表等
ています(四半期連結財務諸表規則27条の2、
規則(
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する
四半期財務諸表等規則22条の3)。
会計基準」
(平成21年12月4日)および「四
① 当四半期連結累計期間に係る減価償却費(の
半期財務諸表に関する会計基準」(平成22年6
れんを除く無形固定資産に係る償却費を含む)
月30日)関連)
【改正の概要】
② 当四半期連結累計期間に係るのれんの償却額
ハ.四半期連結財務諸表の注記事項
企業会計基準委員会が公表した「四半期財務諸
四半期における開示の必要性に乏しいと考えら
表に関する会計基準」
(平成23年3月25日)な
れる次の注記事項等について、注記の規定が削除
らびに「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会
されています(四半期連結財務諸表規則18条、
計基準」
(平成21年12月4日)および当該会計
19条、27条の2、27条の3等、四半期財務諸表
基準を受けて公表された「四半期財務諸表に関す
等規則13条、14条、22条の2、22条の4等)
。
る会計基準」
(平成22年6月30日)等を踏まえて、
① ストック・オプション等に関する注記
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ュ・フロー計算書を作成しなければなりません
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② 資産除去債務に関する注記
計算書については前中間連結キャッシュ・フロー
③ 賃貸等不動産に関する注記
計算書が必要に応じて修正され、比較情報として
ニ.比較情報制度導入に伴う改正
当中間連結財務諸表に含まれることになります
連結財務諸表規則等(平成22年9月30日付で
改正済み)と同様に、
「当四半期連結会計期間お
(中間連結財務諸表規則4条の2、中間財務諸表等
規則3条の2)。
よび当四半期連結累計期間に係る四半期連結財務
また、会計方針の変更を行った場合には、変更
諸表は、当該四半期連結財務諸表の一部を構成す
後の会計方針を前期以前に遡って適用したと仮定
るものとして比較情報を含めて作成しなければな
し、前中間連結財務諸表の主要な科目に対する影
らない」という規定が新設されています。四半期
響額等の注記を行うための規定が新設されていま
連結貸借対照表については前期末連結貸借対照
す(中間連結財務諸表規則11条の2、11条の3等、
表、四半期連結損益計算書については前年同四半
中間財務諸表等規則5条、5条の2等)。
期連結損益計算書、四半期連結キャッシュ・フ
さらに、中間連結財務諸表規則様式中、比較情
ロー計算書については前年同四半期連結キャッシ
報として作成・開示されない次の情報が削除され
ュ・フロー計算書が必要に応じて修正され、比較
ています。中間財務諸表等規則の様式においても
情報として当四半期連結財務諸表に含まれること
同様の改正がなされています。
になります(四半期連結財務諸表規則5条の3、
① 様式第4号【中間連結貸借対照表】中、
「前
四半期財務諸表等規則4条の3)
。
また、会計方針の変更を行った場合には、変更
後の会計方針を前期以前に遡って適用したと仮定
中間連結会計期間末の中間連結貸借対照表」欄
② 様式第5号【中間連結損益計算書】中、
「前
連結会計年度の要約連結損益計算書」欄
し、前年同四半期における税引前四半期純損益そ
③ 様式第6号【中間連結株主資本等変動計算書】
の他の重要な項目への影響額等の注記を行うため
中、
「前連結会計年度の要約連結株主資本等変
の規定が新設されています(四半期連結財務諸表
規則10条の2、10条の3等、四半期財務諸表等
規則5条、5条の2等)
。
上記(1)の改正後の規定は、平成23年4月1
動計算書」欄
④ 様式第7号および様式第8号【中間連結キャ
ッシュ・フロー計算書】中、「前連結会計年度
の要約連結キャッシュ・フロー計算書」欄
日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連
上記(2)の改正後の規定は、平成23年4月1
結会計期間および四半期連結累計期間に係る四半
日以後に開始する中間連結会計期間および中間会
期連結財務諸表から適用されています。また、平
計期間に係る中間連結財務諸表および中間財務諸
成23年4月1日以後に開始する事業年度に属する
表から適用されています。
四半期会計期間および四半期累計期間に係る四半
Ⅴ 監査証明府令関係
期財務諸表から適用されています。
(2)中 間連結財務諸表規則および中間財務諸表
等規則
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基
準」
(平成21年12月4日)および当該会計基準
を受けて公表された「四半期財務諸表に関する会
計基準」
(平成22年6月30日)における比較情
報制度の導入に伴い、連結財務諸表規則等(平成
1.四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法
に関する規則等の一部を改正する内閣府令(平成
23年3月31日内閣府令第10号)
【改正事項】
① 四半期連結財務諸表等に係る監査証明
【改正の概要】
22年9月30日付で改正済み)と同様に、「当中
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基
間連結会計期間に係る中間連結財務諸表は、当該
準」および当該会計基準を受けて公表された「四
中間連結財務諸表の一部を構成するものとして比
半期財務諸表に関する会計基準」(平成22年6月
較情報を含めて作成しなければならない」という
30日)および「監査基準の改定に関する意見書」
規定が新設されています。中間連結貸借対照表に
(平成22年3月29日)を踏まえ、四半期連結財
ついては前期末連結貸借対照表、中間連結損益計
務諸表および四半期財務諸表については当四半期
算書については前中間連結損益計算書、中間連結
のみを、中間連結財務諸表および中間財務諸表に
株主資本等変動計算書については前中間連結株主
ついては当中間期のみを監査対象とする改正がな
資本等変動計算書、中間連結キャッシュ・フロー
されています(監査証明府令1条)。
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金融商品取引法
この改正後の規定は、平成23年4月1日以後に
開始する連結会計年度および事業年度に係る四半
期連結財務諸表および四半期財務諸表の監査証明
から適用されています。
の一部を改正する内閣府令(案)等の公表につ
いて」
2.平成23年1月28日金融庁「金融商品取引法施
行令の一部を改正する政令(案)
、金融商品取
引法第二条に規定する定義に関する内閣府令等
Ⅵ 内部統制府令関係
の一部を改正する内閣府令(案)
、
「連結財務諸
表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規
1.財務計算に関する書類その他の情報の適正性を
確保するための体制に関する内閣府令の一部を改
正する内閣府令(平成23年3月29日内閣府令第
7号)
【改正事項】
① 「重要な欠陥」の用語の見直し
② 内部統制報告書の記載事項
【改正の概要】
定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指
定する件」の一部改正(案)等の公表について」
3.平成23年3月29日金融庁「財務計算に関する
書類その他の情報の適正性を確保するための体
制に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令
(案)等に対するパブリックコメントの結果に
ついて」
4.平成23年3年31日金融庁「四半期連結財務諸
企業会計審議会が平成23年3月30日に公表し
表の用語、様式及び作成方法に関する規則等の
た「財務報告に係る内部統制の評価及び監査基準
一部を改正する内閣府令(案)等に対するパブ
並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に
リックコメントの結果について」
関する実施基準の改訂に関する意見書」に対応し
た改正がなされています。
(1)
「重要な欠陥」の用語の見直し
5.平成23年4月1日金融庁「資本市場及び金融業
の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を
改正する法律案要綱・参考資料」
改訂内部統制基準では、
「重要な欠陥」の用語
6.平成23年4月26日金融庁「金融商品取引法施
について、企業自体に「欠陥」があるとの誤解を
行令の一部を改正する政令(案)
、金融商品取
招くおそれがあるとして、
「開示すべき重要な不
引法第二条に規定する定義に関する内閣府令等
備」と見直しが行われています。これに伴い、内
の一部を改正する内閣府令(案)
、
「連結財務諸
部統制府令においても同様の改正がなされていま
表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規
す(内部統制府令2条10号)
。
定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指
(2)内部統制報告書の記載事項
定する件」の一部改正(案)等に対するパブリ
また、内部統制監査報告書の記載区分につい
て、監査報告書(①監査の対象、②経営者の責任、
ックコメントの結果について」
7.平成23年5月25日金融庁「資本市場及び金融
③監査人の責任、④監査人の意見)と平仄をとる
業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部
ため、3区分(①内部統制監査の対象、②実施し
を改正する法律の概要」
た内部統制監査の概要、③監査人の意見)から次
の4区分への改正がなされています(内部統制府
令6条)
。
① 内部統制監査の対象
② 経営者の責任
③ 内部監査を実施した公認会計士または監査法
人(監査人)の責任
④ 公認会計士または監査法人(監査人)の意見
上記イおよびロの改正後の規定は、平成23年
4月1日以後に開始する事業年度から適用されて
います。
(参考文献等)
1.平成22年12月22日金融庁「四半期連結財務
諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等
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金融商品取引法
「包括利益の表示に関する会計基準」
について
山添 清昭
公認会計士 目次
1.はじめに
2.これまでの経緯と公開草案からの変更
点
3.本会計基準の全体の構成
4.用語の定義
5.適用範囲
6.包括利益の計算の表示
7.包括利益を表示する計算書
8.その他の包括利益の内訳の表示
9.適用時期等
10.会社計算規則での取り扱い
11.おわりに
の包括利益」の用語が定義されています。これらの
用語になじんでおく必要があります。
また、包括利益計算書には、
「2計算書方式」と「1
計算書方式」の2つの形式があり、いずれかの形式
を選択することが求められます。さらに、包括利益
計算書には、
「その他の包括利益の内訳の表示」や「税
効果と組替調整額の注記」の記載も求められます。
「税効果と組替調整額の注記」は、平成24年3月
31日以後終了する連結会計年度の年度末の連結財
務諸表から適用することになります。これらの内容
についても、押さえておく必要があります。
1.はじめに
平成22年6月30日付けで、企業会計基準委員会
今後対応が求められる「包括利益の表示に関する
(ASBJ)より、企業会計基準第25号「包括利益
会計基準」の内容を整理するとともに、会社計算規
の表示に関する会計基準」
(以下「本会計基準」と
いう。)及び改正企業会計基準第22号「連結財務諸
則での取り扱いについてもまとめています。
なお、本報告のうち、意見に関する箇所は、筆者
表に関する会計基準」
(以下「連結会計基準」という。)
の個人的意見によるものであることを最初に了解し
が公表されました。
てください。文中で、示している括弧書きの項番号
日本では、これまで、包括利益計算書の開示はお
は、本会計基準の項番号を示しています。
こなわれてきませんでしたが、平成23年3月31日
以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務
諸表より開示が始まっています。
本会計基準では、新しい「包括利益」や「その他
年 月
2.これまでの経緯と公開草案からの変更点
本会計基準公表までの経緯をまとめますと、以下
のようになります。
経 緯
1997年から
包括利益に関しては、国際財務報告基準(IFRS)及び米国会計基準において、いずれも
1997年に表示の定めが設けられ、それ以来、財務諸表における包括利益の表示が行われてい
ます。
2008年4月
日本の会計基準においては、財務諸表における包括利益の表示はこれまで求められていません
でしたが、ASBJでは、このような国際的な会計基準の動きに対応するため、平成20年4
月に財務諸表表示専門委員会が設置され、包括利益の表示を含む財務諸表全般にわたる表示の
検討が進められました。
2008年10月
国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、共同して財務諸
表表示プロジェクトを進めており、両審議会により、2008年(平成20年)10月に、ディス
カッション・ペーパー「財務諸表の表示に関する予備的見解」が公表されました。
2009年7月
2009年(平成21年)7月に公表した「財務諸表の表示に関する論点の整理」
(以下「論点整理」
という。)の中で、財務諸表の表示に関する現行の国際的な会計基準との差異について、短期
的に対応する項目と中長期的に対応する項目とに区分し、包括利益の表示については、当期純
利益の表示の維持を前提とした上で、我が国においても導入を短期的に検討するという方向性
が示され、各界からの意見が求められました。論点整理に対するコメントの大部分は、この方
向性を支持するものでした。
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金融商品取引法
年 月
経 緯
2009年12月
2009年(平成21年)12月に企業会計基準委員会(ASBJ)より、
「包括利益の表示に関
する会計基準」の公開草案が公表されました。
2010年5月
2010年(平成22年)5月には、IASBとFASBからそれぞれ、公開草案「その他の包
括利益の項目の表示(IAS第1号の修正案)
」及び公開草案「Topic220包括利益:包括利
益計算書」が公表されました。
2010年6月
2010年6月30日付、企業会計基準委員会(ASBJ)より、企業会計基準第25号「包括利
益の表示に関する会計基準」が公表されました。公開草案に対して寄せられた意見を参考にし
て審議が行われ、その内容を一部修正した上で本会計基準が公表されました(第20項)。
以下に、公開草案からの主な変更点をまとめてい
ます。
●公開草案からの主な変更点
① 個別財務諸表への適用
公開草案では、連結財務諸表及び個別財務諸表の両方について、同時に適用する提案がなされていま
した。
しかし、公開草案に寄せられたコメントでは、平成21年6月に企業会計審議会から公表された「我が
国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」において、会計基準のコンバージェンス
を加速するにあたって示された連結先行の考え方に関する検討を求める意見が多く寄せられたことをう
け、ASBJでは「上場会社の個別財務諸表の取扱い(連結先行の考え方)に関する検討会」を設けて検討
を行いました。
そして、同検討会での検討を踏まえて、企業会計審議会で個別財務諸表に関する全般的な議論が開始
されました(会計基準38)
。
ASBJでは、企業会計審議会での状況を踏まえて対応することが適切であると考え、本会計基準の
個別財務諸表への適用を求めるかどうかについては、本会計基準の公表から1年後を目途に判断すること
とされました(会計基準14、39)。
② 組替調整額等の注記
公開草案では、会計基準第8項、第9項による注記(組替調整額等の注記)について、包括利益計算書
又は損益及び包括利益計算書の開示と同時に適用することが求められていましたが、公開草案に寄せら
れたコメントを踏まえ、組替調整額等の注記のためのデータが現行の財務諸表の作成過程において必ず
しも作成されていないと考えられることから、実務上の準備期間に配慮し、会計基準の適用時期より1年
遅い平成24年3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用することとされ
ました(会計基準13、39)
。ただし、会計基準の適用時期と合わせて適用することもできます。
3.本会計基準の全体の構成
本会計基準の全体の構成は、以下のようになって
います。
●本会計基準の構成
目的(基1、2、21、22)
範囲(基3、19)
用語の定義(基4、5、23〜26)
包括利益の計算(基6、27〜29)
その他の包括利益の内訳の開示(基7〜10、30〜32)
包括利益を表示する計算書(基11、33〜37)
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適用時期等(基12〜16、38〜42)
本会計基準の公表による他の会計基準等についての修正(基43)
参考
1.設例
[設例1]親会社がその他有価証券の一部を売却した場合
[設例2]親会社及び子会社ががその他有価証券の一部を売却した場合
[設例3]連結上、持分法適用関連会社に対して投資を有している場合
[設例4]ヘッジ会計により組替調整額等が生じた場合
[設例5]在外子会社株式の売却により組替調整額等が生じた場合
2.包括利益の表示例
本会計基準は、財務諸表における包括利益及びそ
す(第1項)。
の他の包括利益の表示について定めることを目的と
包括利益を財務諸表において表示する目的は、期
しており、当期純利益を構成する項目及びその他の
中に認識された取引及び経済的事象(資本取引を除
包括利益を構成する項目に関する認識及び測定につ
く。
)により生じた純資産の変動を、投資家等の財
いては、他の会計基準の定めに従うこととしていま
務諸表利用者に報告することです。
●包括利益を財務諸表において表示する3つの理由
① 財務諸表利用者が企業全体の事業活動について検討するのに役立つことが期待される。
② 貸借対照表との連携(純資産と包括利益とのクリーン・サープラス関係)を明示することを通じて、財
務諸表の理解可能性と比較可能性を高めることになる。
③ 国際的な会計基準とのコンバージェンスにも資するものと考えられる。
これにより、財務諸表利用者が企業全体の事業活
じて、財務諸表の理解可能性と比較可能性を高め、
動について検討するのに役立つことが期待されると
また、国際的な会計基準とのコンバージェンスにも
ともに、貸借対照表との連携(純資産と包括利益と
資するものと考えられます(第21項)。
のクリーン・サープラス関係)を明示することを通
●クリーン・サープラス関係:
ある期間における資本の増減(資本取引による増減を除く。)が当該期間の利益と等しくなる関係をいう。
財務諸表において包括利益の表示を導入すること
4.用語の定義
は、従来からある当期純利益の代わりに、包括利益
「包括利益」とは、ある企業の特定期間の財務諸
を企業活動に関する最も重要な指標として位置づけ
表において認識された純資産の変動額のうち、当該
ることを意味するものではなく、当期純利益に関す
企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引
る情報と併せて利用することにより、企業活動の成
によらない部分をいいます(第4項)。
果についての情報の全体的な有用性を高めることを
目的とするものです。
本会計基準は、市場関係者から広く認められてい
また、
「その他の包括利益」とは、包括利益のう
ち当期純利益及び少数株主損益に含まれない部分を
いいます(第5項)。
る当期純利益に関する情報の有用性を前提としてお
り、包括利益の表示によってその重要性を低めるこ
とを意図するものではありません(第22項)。
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金融商品取引法
●用語の定義
用 語
定 義
◦包括利益
ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業
の純資産に対する持分所有者(①当該企業の株主、②当該企業の発行する新株予約権の
所有者、③少数株主)との直接的な取引によらない部分。
◦その他の包括利益
包括利益のうち当期純利益及び少数株主損益に含まれない部分。
5.適用範囲
ただし、個別財務諸表への適用については、本会
本会計基準は、財務諸表(四半期財務諸表を含
む。)における包括利益及びその他の包括利益の表
計基準の公表から1年後を目途に判断することとさ
れています(第14項)。
示に適用します(第3項)
。
◦公開草案では、包括利益の表示の目的は個別財務諸表にも当てはまることから、連結財務諸表と個別財
務諸表の両方に同時に適用する提案がなされました。
◦その後、公開草案に寄せられたコメントでは、本会計基準の個別財務諸表への適用を最終的に判断する
にあたって、平成21年6月に企業会計審議会から公表された「我が国における国際会計基準の取扱いに
関する意見書(中間報告)
」において、会計基準のコンバージェンスを加速するにあたって示された連結
先行の考え方に関する検討を求める意見が多く寄せられました。
◦ASBJでは、このような意見を踏まえ、「上場会社の個別財務諸表の取扱い(連結先行の考え方)に関
する検討会」を設けて検討が行われ、同検討会での検討を踏まえて、企業会計審議会で個別財務諸表に
関する全般的な議論が開始されています(第38項)。
このような状況の中、当該審議の状況も踏まえて
断することとされました(第39項)。
対応することが適切であると考えられたため、本会
計基準の個別財務諸表への適用を求めるかどうかに
6.包括利益の計算の表示
ついては、本会計基準の公表から1年後を目途に判
●包括利益の計算の表示(個別と連結)
個別財務諸表
当期純利益±その他の包括利益の内訳項目=包括利益
当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を表示する。
連結財務諸表
少数株主損益調整前当期純利益±その他の包括利益の内訳項目=包括利益
少数株主損益調整前当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を
表示する。
連結財務諸表においては、包括利益の計算の表示
方式が採られているとされています(第27項)
。
は、少数株主損益調整前当期純利益にその他の包括
利益の内訳項目を加減して包括利益を表示するとさ
●審議の過程における包括利益の表示方法
審議の過程において、包括利益の計算の表示方法
れています(第6項)
。
これは、4.の用語の定義に従った計算過程とは
異なっていますが、このような計算の表示の方が有
には、以下に示す2つの表示方法が提案され検討さ
れました。
用と考えられ、国際的な会計基準においても同様の
①当 期純利益から開始する
方法
当期純利益(親会社株主に係る金額)と親会社株主に係るその他の包括利益により、親
会社株主に係る包括利益を計算し、これに少数株主に係る包括利益を加減して、包括
利益の計算を表示する方法
②少 数 株 主 損 益 調 整 前 当
期純利益から開始する方
法
少数株主損益調整前当期純利益(親会社株主と少数株主に係る金額)に、その他の包括
利益(親会社株主と少数株主に係る金額)を加減して、包括利益の計算を表示する方法
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検討の結果、包括利益に至る過程が明瞭であるこ
とや、その他の包括利益の内訳の表示について国際
株主に係る金額及び少数株主に係る金額を付記する
こととしています。
的な会計基準とのコンバージェンスを図ることがで
きるといった利点を重視し、②の表示方法が採用さ
れました(第29項)
。
なお②の方法を採用したことと併せて、後述する
7.包括利益を表示する計算書
包括利益を表示する計算書は、次のいずれかの形
式によるとされています。
包括利益を表示する計算書に包括利益のうち親会社
●2つの形式(いずれかを選択適用)
2計算書方式
当期純利益を計算する損益計算書と、包括利益計算書で表示す
る形式
1計算書方式
当期純利益の計算と、包括利益の計算を1つの計算書で表示す
る形式
左のいずれかの形式を選択
適用する。
現行のIFRS及び米国会計基準では、1計算書
トでは、当期純利益を重視する観点から、1計算書
方式と2計算書方式をともに認めており、米国会計
方式では包括利益が強調されすぎる可能性がある等
基準では、このほかに「株主持分変動計算書」に表
の理由で、当期純利益と包括利益が明確に区分され
示する方法も認められています。
る2計算書方式を支持する意見が多く見られまし
しかし、IASBとFASBが平成20年(2008
た。一方、委員会での審議の過程では、一覧性、明
年)10月に共同で公表したディスカッション・ペー
瞭性、理解可能性等の点で利点があるとして1計算
パーでは、1計算書方式に一本化する提案がされて
書方式を支持する意見も示されました(第36項)
。
おり、さらに、金融商品会計基準の見直しに合わせ
検討の結果、コメントの中で支持の多かった2計
て、1計算書方式への一本化を財務諸表表示のプロ
算書方式とともに1計算書方式の選択も認めること
ジェクトの他の項目と切り離し、先行して行う方向
とされました。これは、前述のような1計算書方式
で平成22年(2010 年)5月に公開草案が公表さ
の利点に加え、以下の点が考慮されたものです(第
れています(第35項)
。
37項)。
ASBJの論点整理及び公開草案に対するコメン
●選択適用を認めた理由
① 現行の国際的な会計基準では両方式とも認められていること。
② IASBとFASBとの検討の方向性を踏まえると、短期的な対応としても1計算書方式を利用可能
とすることがコンバージェンスに資すると考えられること。
③ 1計算書方式でも2計算書方式でも、包括利益の内訳として表示される内容は同様であるため、選択
制にしても比較可能性を著しく損なうものではないと考えられること。
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金融商品取引法
●2計算書方式と1計算書方式
連結財務諸表における表示例
【2計算書方式】
【1計算書方式】
〈連結損益計算書〉
〈連結損益及び包括利益計算書〉
売上高
10,000
………………
税金等調整前当期純利益
法人税等
少数株主損益調整前当期純利益
少数株主利益
当期純利益
2,200
900
1,300
300
1,000
税金等調整前当期純利益
法人税等
少数株主損益調整前当期純利益
少数株主利益(控除)
当期純利益
少数株主利益(加算)
1,300
その他の包括利益:
少数株主損益調整前当期純利益
2,200
900
1,300
300
1,000
300
1,300
その他の包括利益:
その他有価証券評価差額金
530
その他有価証券評価差額金
530
繰延ヘッジ損益
300
繰延ヘッジ損益
300
為替換算調整勘定
持分法適用会社に対する持分相当額
その他の包括利益合計
包括利益
△180
50
700
2,000
(内訳)
親会社株主に係る包括利益
少数株主に係る包括利益
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10,000
………………
〈連結包括利益計算書〉
少数株主損益調整前当期純利益
売上高
為替換算調整勘定
持分法適用会社に対する持分相当額
その他の包括利益合計
包括利益
△180
50
700
2,000
(内訳)
1,600
400
親会社株主に係る包括利益
少数株主に係る包括利益
1,600
400
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8.その他の包括利益の内訳の表示
●内訳項目の表示と注記
① 内訳項目の表示
◦その他の包括利益の内訳項目は、その内容に基づいて、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算
調整勘定等に区分して表示する。
◦持 分法を適用する被投資会社のその他の包括利益に対する投資会社の持分相当額は、一括して区分表示する。
注記
◦その他の包括利益の内訳項目は、税効果を控除した後の金額で表示し、その他の包括利益の各項目別の税効果の
金額を注記する。
た だし、各内訳項目を税効果を控除する前の金額で表示して、それらに関連する税効果の金額を一括して加減す
る方法で記載することができる。
◦当 期純利益を構成する項目のうち、当期又は過去の期間にその他の包括利益に含まれていた部分は、組替調整額
として、その他の包括利益の内訳項目ごとに注記する。この注記は、上記の注記と併せて記載することができる。
(1)内訳項目の区分表示
その他の包括利益累計額に関しては、従来の取扱い
その他の包括利益の内訳項目は、その内容に基づ
に従い、その他有価証券評価差額金、繰延へッジ損
いて、その他有価証券評価差額金、繰延へッジ損
益、為替換算調整勘定等の各内訳項目に当該持分相
益、為替換算調整勘定等に区分して表示することに
当額を含めて表示することに留意する必要がありま
なりますが、税効果を控除した後の金額で表示する
す(第32項)。
ことや、各内訳項目を税効果控除前の金額で表示
し、それらに関連する税効果の金額を一括して加減
する方法で記載することもできます(第8項)。
(2)税効果及び組替調整額の注記について
その他の包括利益の内訳項目を、税効果を控除し
また、持分法を適用する被投資会社におけるその
た後の金額で表示する場合、又は、各内訳項目を税
他の包括利益に対する投資会社の持分相当額につい
効果控除前の金額で表示し、それらに関連する税効
ては、一括して区分表示するものとされています
果の金額を一括して加減する場合のいずれも、その
(第7項)
。
他の包括利益の各内訳項目別の税効果の金額を注記
当該持分相当額については、税効果の金額の注記
することとなります(第8項)。
の対象には含まれないことと、連結貸借対照表上の
●税効果の取り扱い
その他の包
括利益の内
訳項目
・税効果を控除した後の金額で表示する場合
・各内訳項目を税効果控除前の金額で表示し、そ
れらに関連する税効果の金額を一括して加減す
る場合
➡
いずれも、その他の包括利益の各
内訳項目別の税効果の金額を注記
することとなる。
また、当期純利益を構成する項目のうち、当期又
め、その他の包括利益の調整(組替調整)が行われ
は過去の期間にその他の包括利益に含まれていた部
ますが、当該組替調整額は、その他の包括利益の内
分については、包括利益での二重計算を避けるた
訳項目ごとに注記することになります(第9項)
。
●[設例1]
:親会社がその他有価証券の一部を売却した場合
◦例えば、本会計基準の[設例1]では、A社株式について、前期末で300の評価益が生じていましたが、
評価益が100となった時点で、すべて売却したとしています。
◦包括利益は純資産の変動額(資本取引等を除く)であるため、包括利益(税効果調整前)は△200(期
中の時価の下落分)となると考えられます。
◦ただし、売却により100の売却益を計上するため、その他の包括利益(税効果調整前)を△200ではな
く、△300計上する必要があります。
◦したがって、△100=△300-△200が組替調整額として、その他の包括利益の内訳の注記にて開示さ
れるものと考えられます。
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金融商品取引法
このように、当期純利益へ計上される項目が生じ
クリングと呼ぶことがあります。具体的には、組替
る場合、包括利益の計算が二重にならないように、
調整額は次のようになると考えられます。
(第31
その他の包括利益の項目を調整することを、リサイ
項)
。
●組替調整額
① その他有価証券評価差額金に関する組替調整額は、当期に計上された売却損益及び減損損失等、当期
純利益に含められた金額による。
② 繰延へッジ損益に関する組替調整額は、へッジ対象に係る損益が認識されたことに伴って当期純利益
に含められた金額による。なお、へッジ対象とされた予定取引で購入した資産の取得価額に加減された
金額は、組替調整額に準じて開示することが適当と考えられる。
③ 為替換算調整勘定に関する組替調整額は、子会社に対する持分の減少(全部売却及び清算を含む。)に
伴って取り崩されて当期純利益に含められた金額による。
なお、土地再評価差額金は、再評価後の金額が土
余金への振替として表示されます。
地の取得原価とされることから、売却損益及び減損
その他の包括利益の内訳の注記例は、下記図表の
損失等に相当する金額が当期純損益に計上されない
通りです。四半期連結財務諸表においては、当該注
取扱いとなっているため、その取崩額は組替調整額
記は省略できます(第10項)。
に該当せず、株主資本等変動計算書において利益剰
●図表:組替調整額と税効果を併せて開示する場合の例
その他有価証券評価差額金:
当期発生額
600(*1)
組替調整額
△100(*2)
税効果調整前
500
税効果額
△200(*3)
その他の包括利益合計
300
(*1)当期発生した評価損益(A社株式△200+B社株式800)
(*2)組替調整額(A社株式)
(*3)その他有価証券評価差額金に係る税効果の当期変動額(500×40%)
9.適用時期等
(1)適用時期
適用時期については、以下の取り扱いとなりま
す。
●連結財務諸表については、税効果と組替調整額の注記を除き、平成23年3月31日以後終了する連結会
計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用します。ただし、平成22年9月30日以後に終了する連結
会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用することができます(第12項)。
●適用初年度においては、その直前の年度における包括利益(親会社株主に係る金額及び少数株主に係る
金額の付記を含む。
)及びその他の包括利益の内訳項目の金額を注記します(第12項)。
●税効果と組替調整額の注記については、平成24年3月31日以後終了する連結会計年度の年度末に係る
連結財務諸表から適用することになりますが、上記の適用時期に合わせて適用することができます。適
用初年度においては、その直前の年度における当該税効果と組替調整額の注記は要しないとされていま
す(第13項)
。 ●個別財務諸表への適用については、前述の通り、本会計基準の公表から1年後を目途に判断することと
されています(第14項)
。
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(2)四半期財務諸表への最初の適用
●平成21年12月に公表された企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」
(以
下、「企業会計基準第24号」という。)が平成23年4月1日以後に適用されるため、平成22年3月31
日以後終了する連結会計年度の年度末から本会計基準を適用した場合の翌連結会計年度の四半期財務諸
表においては、企業会計基準第24号に従って財務諸表の組替えを行います(第15項)。
●上記(1)のただし書きにより早期適用を行う場合の翌連結会計年度の四半期財務諸表においては、企
業会計基準第24号の適用前であるため、前連結会計年度の対応する四半期会計期間及び期首からの累計
期間について、包括利益(親会社株主に係る金額及び少数株主に係る金額の付記を含む。
)及びその他の
包括利益の内訳項目の金額を注記することになります。
(3)用語の読み替え
●連結財務諸表上は、これまでに公表された会計基準等で使用されている「損益計算書」又は純資産の部
の「評価・換算差額等」という用語は、
「損益計算書又は損益及び包括利益計算書」又は「その他の包括
利益累計額」と読み替えることに留意する必要があります。
●また、この場合、当該会計基準等で定められている評価・換算差額等の取扱いは本会計基準が優先する
ものとされています(第16項)
。
(4)関連する他の会計基準の改正
連結会計基準については、連結損益及び包括利益
計算書又は連結包括利益計算書の作成を定めるため
公表」として本会計基準と同日に公表された改正企
業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計
基準」において、同様の改正が行われています。
の改正を行っています。
また、四半期連結財務諸表については、
「企業会
計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関
10.会社計算規則での取り扱い
(1)改正のポイント
する会計基準」の公表に伴う他の改正会計基準等の
●本「包括利益」の公表に合わせて、会社計算規則が改正されました。ポイントは、会社計算規則におい
ては、
「連結包括利益計算書」の作成は、義務付けないという点にあります。
法務省は、9月30日付けで「会社計算規則の一
の作成も義務付けられないこととなりました。任意
部を改正する省令(平成22年法務省令第33号)
」
に参考情報として作成することは、可能とされてい
を公布・施行しました。
ます。
企業会計基準委員会(ASBJ)から「包括利益
なお、施行日前に終了する事業年度に係る連結計
の表示に関する会計基準」
(企業会計基準第25号)
算書類については、なお従前の例によることとする
が公表されたことに対応し、包括利益の表示に関す
経過措置が設けられています。
る規定(95条)を削除するなど、会社計算規則の
一部が改正されました。
会社計算規則の改正のポイントは、以下の3点に
あります。
同改正により、会社法上は「連結包括利益計算書」
●会社計算規則改正のポイント
◦「損益計算書等には、包括利益に関する事項を表示することができる」と規定されていた改正前の会社
計算規則第95条が削除された。
◦連結貸借対照表および連結株主資本等変動計算書の項目を定める会社計算規則第76条および第96条に
ついて、「評価・換算差額等」の項目を「評価・換算差額等」又は「その他の包括利益累計額」のいずれ
かの項目とすることが認められた。
◦会社計算規則第二編第三章第七節の節名及び第53条の見出しが「評価・換算差額等又はその他の包括利
益累計額」に改められた。
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金融商品取引法
(2)
「損益計算書」と「包括利益計算書」を区別
べきか否かという点と併せて検討)。
会社計算規則第95条は、旧商法から会社法への
改正時に、将来的な包括利益導入を見据え、待ち受
11.おわりに
け規定として盛り込まれたものです。概念上、当期
平成23年3月31日以後終了する連結会計年度の
純損益を表示する「損益計算書」に、包括利益を表
年度末より、連結包括利益計算書が導入されていま
示する「包括利益計算書」が含まれ得ることを前提
す。これまでの連結損益計算書の6つの利益(売上
として規定されていました。
総利益、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純
しかし、
「包括利益の表示に関する会計基準」では、
利益、少数株主損益調整前当期純利益、当期純利
概念的に「損益計算書」と「包括利益計算書」は別
益)に加えて、7番目の利益である「包括利益」を
個のものと整理されました。
「損益計算書等には、
正しく把握し、公表することが、連結財務諸表の開
包括利益に関する事項を表示することができる」と
示において、新たに求められることとなっていま
規定した95条と齟齬が生じることとなったため、
す。有価証券報告書の経理の状況以外の箇所、
「主
削除されることになったと考えられます。
要な経営指標等の推移」に「包括利益」の項目が追
加されており、数字のチェックが重要となります。
(3)任意に「連結包括利益計算書」作成は可能
四半期決算でも、四半期連結包括利益計算書の開示
会社法上、包括利益の表示に関する根拠規定とな
が、順次求められますので、ご留意ください。「包
っていた同95条の削除により、連結計算書類にお
括利益」の概念は、国際会計基準のいわゆる資産負
ける「連結包括利益計算書」の作成も義務付けられ
債アプローチに基づくものであり、今後「包括利益」
ないことになりました(単体については、基準が包
の取扱いに慣れる必要があります。
括利益の表示を見送りしています)
。
また、連結包括利益計算書は、1計算書方式か2
ただし、法務省では、
「会社が、任意に、参考情
計算書方式のどちらかを採用することとなっていま
報として連結包括利益計算書を作成し、開示するこ
す。当面、連結包括利益計算書の新しい様式に注意
とは禁止されていない」としており、任意の作成は
することが必要です。個別財務諸表への適用につい
可能とされています(会社法上監査の対象外となり
ては、本会計基準の公表から1年後を目処に再検討
ます)
。
されることになっており、その動向にも注目してお
任意に連結包括利益計算書を作成する場合、
「1
く必要があります。
計算書方式」
、
「2計算書方式」のいずれも採用する
なお、税効果と組替調整額の注記については、平
ことができるとされています。なお、連結計算書類
成24年3月31日以後終了する連結会計年度の年度
として、
「連結包括利益計算書」の作成を求めるか
末に係る連結財務諸表から適用することになりま
否かは、包括利益に関する情報の株主債権者にとっ
す。今後は、これら税効果と組替調整額の注記の金
ての有用性の程度等が明らかとなった将来におい
額について、正確に把握することが求められるよう
て、改めて検討される予定と考えられます(単体の
になると考えます。
計算書類として包括利益計算書の作成を義務付ける
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金融商品取引法
「四半期財務諸表に関する
会計基準」等の解説
直原 知佳
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 はじめに
企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する
会計基準」及び企業会計基準適用指針第14号「四
ですが、今回の改正で、第1四半期及び第3四半期
において、四半期キャッシュ・フロー計算書の開示
を省略することができるようになりました。
半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」並びに
これは、前述の財務諸表作成者からの作成負担と
これらに関連する企業会計基準及び企業会計基準適
いう観点から見直しがなされたものです。しかし、
用指針が平成23年3月25日に改正されました。こ
財務諸表利用者からは第1四半期及び第3四半期に
れらは、①財務諸表作成者から、半期報告制度を採
ついても、キャッシュ・フロー計算書の開示を要望
用している欧州等と比較して開示書類の作成負担が
する意見が多くありました。そこで、財務諸表利用
過重であるため、四半期報告の大幅な簡素化を要望
者の声にも答えるために、第1四半期及び第3四半
する意見が寄せられたことや、②平成22年6月に
期において四半期キャッシュ・フロー計算書の開示
閣議決定された「新成長戦略」において、我が国の
の省略を行った場合は、キャッシュ・フローの状況
企業・産業の成長を支える金融等の観点から平成
を把握するのに資する情報の提供として、重要な非
22年度中に実施する施策として「四半期財務報告
資金損益項目のうち、貸借対照表及び損益計算書よ
の大幅な簡素化」が盛り込まれたこと、及び③四半
り推計することが困難な
期報告制度導入から2年経過したことによる適用状
◦有形固定資産の減価償却費
況のレビュー、という視点から検討が行われたもの
◦無形固定資産の減価償却費(のれんを除く)
です。今回の改正は、IFRSs(具体的には、IAS第
◦のれんの償却額(負ののれんの償却額を含む)
34号「中間財務報告」
)とのコンバージェンスを図
るものではありません。
を注記することが必要となりました。
なお、第1四半期及び第3四半期における四半期
改正のポイントは、次の3点です。
キャッシュ・フロー計算書の開示の省略を行う場合
◦四半期財務諸表の範囲
は、年度内における首尾一貫性を確保するために第
◦四半期財務諸表等の開示対象期間
1四半期より行う必要があります(第3四半期にお
◦注記事項
いて大規模な企業結合などにより開示を行うことが
それぞれの詳細な内容について、以下において解
実務上困難となり、年度内における首尾一貫性を維
説していきます。
なお、文中の意見に関する部分は筆者の私見であ
持できない場合には、その旨及びその理由を記載す
ることが考えられます)。
ることをあらかじめお断りしておきます。
四半期財務諸表の範囲
四半期連結財務諸表及び四半期個別財務諸表(以
下、合わせて「四半期財務諸表」とします)の範囲
は、原則として、
◦四半期貸借対照表
◦
(1計算書方式による場合)四半期損益及び包
括利益計算書
◦
(2計算書方式による場合)四半期損益計算書
◦
(2計算書方式による場合)四半期包括利益計
算書
◦四半期キャッシュ・フロー計算書
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金融商品取引法
〈図1〉改正後の四半期財務諸表の範囲
四半期財務諸表
第1四半期
第2四半期
第3四半期
○
○
○
○
○
○
四半期損益計算書
○
○
○
四半期包括利益計算書
○
○
○
△
○
△
四半期貸借対照表
(1計算書方式による場合)
四半期損益及び包括利益計算書
(2計算書方式による場合)
四半期キャッシュ・フロー計算書
~記号の意味~ ○:省略不可 △:省略可(ただし、省略する場合は一定の注記が必要)
が必要です。
四半期財務諸表の開示対象期間
四半期財務諸表の開示対象期間は、原則として以
また、次年度以降の問題になると思いますが、前
年度における対応する四半期において、四半期損益
下のとおりです。
・四半期会計期間の末日の四半期貸借対照表及び
計算書や前述の四半期キャッシュ・フロー計算書の
任意開示を行っておらず、当年度の四半期より任意
前年度の末日の要約貸借対照表
・(1計算書方式による場合)期首からの累計期
開示を行う場合に、前年度における対応する期間の
間の四半期損益及び包括利益計算書、並びに前
比較情報としての開示を要しないこととされました。
年度における対応する期間の四半期損益及び包
財務諸表作成者サイドからは、期首からの累計期
間のみの開示を要望する意見が寄せられました。一
括利益計算書
・(2計算書方式による場合)期首からの累計期
方で、財務諸表利用者からは、開示情報をいずれか
間の四半期損益計算書及び四半期包括利益計算
の期間に一本化する場合は、収益動向の変化点の把
書、並びに前年度における対応する期間の四半
握に資する四半期会計期間の情報とすべきである
期損益計算書及び四半期包括利益計算書
が、期首からの累計期間のみの開示となる場合に
・期首からの累計期間の四半期キャッシュ・フ
は、四半期会計期間の売上高、営業利益金額、四半
ロー計算書及び前年度における対応する期間の
期純利益金額及び1株当たり利益の開示を要望する
四半期キャッシュ・フロー計算書
という意見が出されました。
今回、
「四半期損益及び包括利益計算書」又は「四
検討の結果、当四半期における期首からの累計情
半期損益計算書」及び「四半期包括利益計算書」の
報と直前四半期における期首からの累計期間の情報
開示対象期間について改正が行われています。すな
に基づいて、財務諸表利用者により四半期会計期間
わち、これらの開示対象期間について、四半期累計
の数値の推計が可能であること、また、期首からの
期間を原則とし、任意で四半期会計期間の開示を行
累計期間の情報は年間の業績の見通しの進捗度を示
うことが出来るとするものです。なお、任意で四半
す情報として有用であることから、期首からの累計
期会計期間の開示を行う場合は年度内における首尾
期間の情報のみの開示を基本として、四半期会計期
一貫性を確保するために、第1四半期から行うこと
間の情報も開示することができるとされました。
〈図2〉改正後の「四半期損益及び包括利益計算書」又は「四半期損益計算書」及び「四半期包括利益計算書」
の開示対象期間
第1四半期
四半期財務諸表
第2四半期
第3四半期
会計(累計)期間
会計期間
累計期間
会計期間
累計期間
○
△
○
△
○
(2計算書方式の場合)
四半期損益計算書
○
△
○
△
○
四半期包括利益計算書
○
△
○
△
○
(1計算書方式の場合)
四半期損益及び包括利
益計算書
~記号の意味~ ○:省略不可 △:省略可
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の迅速性の要請を考慮した結果、削除されました。
注記事項
注記事項につきましても、簡素化の対象として検
討が行われています。 ⑷ 発行済株式総数等
今回の注記事項の改正における基本的なスタンス
従来開示が必要とされていた、四半期会計期間の
は、①45日以内の開示という開示の迅速性への配
末日における発行済株式総数、自己株式数、新株予
慮、②四半期財務諸表の利用者は、直近の事業年度
約権(自己新株予約権を含む。
)の目的となる株式
の有価証券報告書を入手することが可能なため、前
数及び四半期会計期間末残高については、四半期報
年度以後に発生した重要な事象や変化の説明に重点
告書の四半期財務諸表以外の開示項目について入手
を置くということと、③財務諸表利用者が適切な投
が可能であることから削除されました。
資意思決定を行うことができるよう、開示ニーズの
高い項目は引き続き注記の対象とする方向で検討す
⑸ ストック・オプション関係、⑹ 賃貸等不動産関
る一方、④開示ニーズが低い項目は財務諸表作成者
係、⑺ 一定の特別目的会社に係る開示、⑻リース
の作成負担にも配慮し、コストベネフィットの観点
取引関係、⑼ 資産除去債務関係
から簡素化の対象とすることとされております。こ
これらの注記は、財務諸表利用者の開示ニーズが
のような方針から、以下のように注記事項の改正が
必ずしも高くないことを考慮して削除されました。
行われています。
関連する以下の会計基準等につきましても改正がな
されています。
削除された注記事項
次の項目については、注記自体が削除されていま
◦企業会計基準第20号「賃貸等不動産の時価等
の開示に関する会計基準」
◦企業会計基準適用指針第16号「リース取引に
す。
削除された注記事項
⑴
表示方法の変更
⑵
簡便的な会計処理
⑶
1株あたり純資産額
⑷
発行済株式総数等
⑸
ストック・オプション関係
⑹
賃貸等不動産関係
⑺
一定の特別目的会社に係る開示
⑻
リース取引関係
⑼
資産除去債務関係
関する会計基準の適用指針」
◦企業会計基準適用指針第19号「金融商品の時
価等の開示に関する適用指針」
◦企業会計基準適用指針第21号「資産除去債務
に関する会計基準の適用指針」
◦企業会計基準適用指針第15号「一定の特別目
的会社に係る開示に関する適用指針」
記載内容を見直した注記事項
次の項目については、注記の記載内容が見直され
ています。
⑴ 表示方法の変更
企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の
訂正に関する会計基準」の適用後は、比較情報とし
て記載される過去の財務諸表も新たな表示方法に従
記載内容を見直した注記事項
⑴
重要な企業結合に関する事項
⑵
四半期会計期間の情報を「四半期損益
及び包括利益計算書」又は「四半期損
益計算書」及び「四半期包括利益計算
書」で任意開示する場合における四半
期会計期間に係る注記
⑶
企業集団又は企業の財政状態、経営成
績及びキャッシュ・フローの状況を適
切に判断するために重要なその他の事
項
って組み替えられるため、表示方法の変更に関する
注記は簡素化の対象として削除されました。
⑵ 簡便的な会計処理
簡便な会計処理は、四半期会計期間及び期首から
の累計期間に係る企業集団または企業の財政状態、
経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する財
⑴ 重要な企業結合に関する事項
務諸表利用者の判断を誤らせない限り行うことが可
今回の改正によって、取得とされた企業結合が当
能であるため、注記の対象として削除されました。
年度の期首に完了したと仮定したときの四半期損益
計算書の与える影響の概算額の開示について、四半
⑶ 1株当たり純資産額
1株当たり純資産額については、財務諸表作成者
期開示の迅速性や作成者の負担も考慮して、開示を
求めないこととされました。
の作成負担と財務諸表利用者の開示ニーズ及び開示
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金融商品取引法
⑵ 四 半期会計期間の情報を「四半期損益及び包括
例示から削除した事項
利益計算書」又は「四半期損益計算書」及び「四
◦日 本公認会計士協会 監査委員会報告第77号
半期包括利益計算書」で任意開示する場合にお
「追加情報の注記について」で記載されている事項
ける四半期会計期間に係る注記
※ただし、財務諸表の利用者が財政状態、経営成
四半期会計期間の情報を「四半期損益及び包括利
績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判断
益計算書」又は「四半期損益計算書」及び「四半期
するために重要なその他の事項の記載にあたっ
包括利益計算書」で任意開示する場合、四半期会計
ては、監査委員会報告第77号の例示等を参考
期間に係るセグメント情報等に関する事項、1株当
に、個々の企業集団又は企業の実態に即して判
たり当期四半期純損益に関する事項、季節的変動に
断することが適切とされています。
ついての事項については、財務諸表利用者の開示
◦企業会計基準第8号「ストック・オプション等に
ニーズを踏まえて、財務諸表作成者の任意により開
関する会計基準」を適用したことによる四半期財
示することができます。
務諸表への影響額に重要性がある場合における事
項
なお、これらは、年度内における首尾一貫性を確
保する観点から、各年度において第1四半期より行
◦担保に供されている資産について、四半期会計期
間の末日現在で担保に供されている資産の内容及
うべきものとされています。
び金額
また1株当たり当期純損益に関する事項に係る改
正に伴い、企業会計基準適用指針第4号「1株当た
り当期純利益に関する会計基準の適用指針」におい
例示内容を見直した事項
ても必要な改正が行われています(第37-2項)。
◦貸倒引当金や減価償却累計額などで資産の控除科
目として表示されていない科目の記載について、
減価償却累計額についての注記は削除し、貸倒引
⑶ 企 業集団又は企業の財政状態、経営成績及びキ
当金のみの記載とする。
ャッシュ・フローの状況を適切に判断するため
に重要なその他の事項
◦重要な子会社の四半期決算日の変更の記載につい
ては、当該変更が四半期損益に重要な影響を及ぼ
今回の改正では、
「企業集団又は企業の財政状態、
す場合の記載とする。
経営成績及びキャッシュ・フローの状況を適切に判
断するために重要なその他の事項」として例示に挙
◦有価証券、デリバティブ取引、金融商品の時価情
げられている項目についても見直しが行われまし
報の記載については、総資産の大部分を金融資産
た。
が占め、かつ総負債の大部分を金融負債及び保険
例示の見直しは、項目を削除したものと、例示内
契約から生じる負債が占める企業集団以外の企業
容を見直したものに分けられます。それぞれについ
集団(以下、金融機関等とする)においては、第
ての詳細は次のとおりです。
1四半期及び第3四半期では注記を省略可。
※なお、前年度末における時価と貸借対照表計上
額との差額の双方の重要性も加味して開示の判
断を行うことも考えられます。
〈図3〉金融商品の時価情報の注記の記載について
第1四半期
第2四半期
第3四半期
金融機関等
○
○
○
金融機関等以外の企業
△
○
△
~記号の意味~ ○:省略不可 △:省略可
その他
キャッシュ・フロー計算書の省略関連
は不要。
◦第 1四半期及び第3四半期において、キャッシ
◦第 1四半期及び第3四半期において、キャッシ
ュ・フロー計算書を省略した場合においては、期
ュ・フロー計算書を省略した場合においては、現
首からの累計期間に係る有形固定資産及びのれん
金及び現金同等物の四半期末残高と四半期貸借対
を除く無形固定資産の減価償却費及びのれんの償
照表に掲記されている科目の金額との関係の注記
却額(負ののれんの償却額を含む。
)の注記が必要。
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今回の改訂は、国際的な監査の基準との整合性を
適用時期
改正された「四半期財務諸表に関する会計基準」
は、平成23年4月1日以後開始する会計年度及び事
業年度の第1四半期会計期間から適用されます。早
高めるために行われた監査基準の改訂に伴ったもの
で、概要は以下のとおりです。
なお、当該公開草案は、各方面からの意見を十分
に考慮されたうえで最終基準として公表される予定
期適用はありません。
ですので、最終基準は公開草案と異なる可能性があ
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
ることに御留意ください。
その他
四半期レビュー報告書の記載区分
四半期財務諸表に関連するものとして、平成23
四半期レビュー報告書の記載区分は、現行は3区
年4月8日に企業会計審議会より「中間監査基準及
分ですが、これを4区分にするとともに、国際監査
び四半期レビュー基準の改訂について」の公開草案
基準において求められている記載内容を踏まえて、
が公表されています。この公開草案で、四半期レビ
それぞれの記載区分における記載内容を整理しまし
ュー報告書の形式等についての改訂がなされていま
た。
す。コメント期限は、平成23年5月9日までです。
〈図4〉四半期レビュー報告書の記載区分の変更
現行
公開草案
①
四半期レビューの対象
①
四半期レビューの対象
②
経営者の責任
②
実施した四半期レビューの概要
③
監査人の責任
③
四半期財務諸表に対する結論
④
監査人の結論
結論に関する除外及びレビュー範囲の制約に関して
従来は結論に関する除外及びレビュー範囲の制約
当期の財務数値に対応する比較情報として位置付け
ました。
に関して、除外事項の識別と当該除外事項が否定的
結論又は結論の表明等に至るか否かの判断について
監査の結論の表明
当該除外事項が及ぼす影響の重要性に照らして判断
比較情報に関する監査の結論は明示的に表明せ
することとされていましたが、この影響の重要性に
ず、当期の四半期財務諸表に対してのみ表明するこ
ついて「重要性」と財務諸表全体に及ぶのかという
とが適当とされました。
「広範性」という2つの要素によって判断が行われ
ることを明示的に示すことになりました。
適用時期
追記情報
後開始する事業年度に係る四半期財務諸表の監査証
改訂四半期レビュー基準は、平成23年4月1日以
現行の追記情報を、次の2つに区分して記載する
明から適用されます。
こととなりました。
◦監査人が当該記載を強調するために追記する強調
事項
◦その他監査人が投資者等に説明することが適当で
あると判断して追記する説明事項
おわりに
四半期財務諸表に関する会計基準等の改正に伴
い、四半期連結財務諸表規則や四半期財務諸表等規
則、中間連結財務諸表規則及び中間財務諸表等規
則、開示府令並びに監査証明府令等が改正されてい
「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」
の適用に伴う対応について
当期の四半期財務諸表とともに開示される前期の
四半期財務諸表は、
「会計上の変更及び誤謬の訂正
ます。実務において、改正後の四半期財務諸表に関
する会計基準等に従って四半期報告書を作成される
際には、これらも参照のうえで作成していただけれ
ばと思います。
に関する会計基準」の適用に伴い、当期の財務数値
以上
に対応する修正がなされるケースがあるため、前期
に提出された四半期財務諸表自体の修正とはせず、
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金融商品取引法
東日本大震災に係る
法定開示書類の提出状況等
奈良 幸一
総合ディスクロージャー研究所研究員 金井 陵策
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 Ⅰ.臨時報告書
はじめに
提出根拠である企業内容等の開示に関する内閣
このたびの東日本大震災により被災された皆様
府令第19条第2項の各号数からは、3月から4
に、心からお見舞い申し上げます。
月中旬までは提出会社及び連結会社の被災に係る
皆様の安全と健康、そして被災地の1日も早い復
内容が多かったものが、4月中旬からは提出会社
興をお祈り申し上げます。
等は被害を受けていないものの取引先等の被災に
平成23年3月11日(金)午後に発生しました東
より、提出会社等の財政状態、経営成績及びキャ
日本大震災(東北地方太平洋沖地震)による被害に
ッシュ・フローの状況に著しい影響が生じた旨の
係る法定開示書類の提出状況及び記載状況を、平成
理由で提出している状況が見られます。
23年5月31日(火)現在で下記のとおり取りまと
報告内容も、4月中旬までは「被害を受けた資
めました。調査は平成23年3月11日から5月31
産の帳簿価額」及び「事業に及ぼす影響」がそれ
日までに、EDINETに提出された開示書類を対象と
ぞれ「未確定」
「見積り困難」等と記載していた
しました。 ものが、4月中旬以降に提出された記載では具体
的な金額を記載している傾向が見られます。 なお、本稿におけます意見にわたる部分は、筆者
さらに、
「未確定等」と記載した箇所に対して、
の私見であることをあらかじめお断りいたします。
4月下旬以降に提出された訂正臨時報告書により
具体的な金額に訂正している状況が見られます。
1.平成23年3月11日~平成23年3月31日
平成23年3月31日現在
14社(上場会社11社、非上場会社3社)
5号
5号
12号
13号
8
12号
19号
12号
13号
19号
10号
計
1
12号
13号
計
19号
8
9
1
1
2
2
4
2
3
1
14
2.平成23年4月1日~平成23年4月30日
平成23年4月30日現在
33社(上場会社28社、非上場会社5社)
5号
5号
12号
13号
13
12号
19号
2
1
13号
12号
19号
12号
13号
19号
3
2
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13
1
2
計
20
9
10
2
2
10号
計
10号
11
3
2
1
1
1
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3.平成23年5月1日~平成23年5月31日
平成23年5月31日現在
45社(上場会社41社、非上場会社4社)
5号
5号
12号
13号
7
19号
12号
19号
12号
13号
19号
6
1
1
12号
4
13号
10号
計
15
20
24
1
2
4
4
1
19号
10号
計
7
4
2
25
6
1
4.平成23年3月11日~平成23年5月31日
45
平成23年5月31日現在
92社(上場会社80社、非上場会社12社)
5号
5号
28
12号
13号
19号
12号
19号
12号
13号
19号
3
10
3
30
35
3
5
8
4
4
12号
5
13号
19号
10号
計
28
5
6
39
10
3
10号
計
44
1
1
1
92
※1.上表の見方は、左側の5号以下を基準に、他の号を併せて提出している社数を各々示しています。例えば、5
号と5号の交わる欄の28社は5号だけの報告、同じく12号19号と交わる欄の10社は5号のほか12号と19
号を併せて報告していることを表しています。 ※2.記載事例
⑴ 平成23年4月1日提出【5号、12号、13号及び19号】
1【提出理由】
平成23年3月11日に発生しました東北地方太平洋沖地震により、当社及び連結子会社において重要な災害
が発生しましたので、金融商品取引法第24条の5第4項、及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第
2項第5号、第12号、第13号並びに第19号の規定に基づき、提出するものであります。
2【報告内容】
⑴ 提出会社に係る重要な災害
① 重要な災害の発生年月日
平成23年3月11日
② 重要な災害が発生した場所
塩釜工場(所在地:宮城県塩釜市○町○-○)
③ 重要な災害により被害を受けた資産の種類及び帳簿価額
この災害により、たな卸資産、建物及び構築物、機械装置及び運搬具等に損害が発生しましたが、被害
状況は未確定であります。また、東北地区の外部会社に保管している当社名義のたな卸資産にも損害が発
生しましたが、これについても被害状況は未確定であります。
④ 重要な災害による被害が当該提出会社の事業に及ぼす影響
この災害による損害及び当期の経営成績に及ぼす影響を見積ることは、現時点では困難であります。
⑵ 連結子会社に係る重要な災害
① 連結子会社の名称、住所及び代表者の氏名
(名 称)東北○○○株式会社
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金融商品取引法
(住 所)青森県八戸市○○町○-○
(代表者)代表取締役社長 ○○ ○○
② 重要な災害の発生年月日
平成23年3月11日
③ 重要な災害が発生した場所
上記⑵①に記載した連結子会社の敷地内において
④ 重要な災害により被害を受けた資産の種類及び帳簿価額
この災害により、建物及び構築物、機械装置及び運搬具等に損害が発生しましたが、被害状況は未確定
であります。また、当該連結子会社に保管している当社名義のたな卸資産にも損害が発生しましたが、こ
れについても被害状況は未確定であります。
⑤ 重要な災害による被害が当該連結会社の事業に及ぼす影響
この災害による損害及び当期の経営成績に及ぼす影響を見積ることは、現時点では困難であります。
⑶ 当該重要な災害による被害が当社の損益及び連結損益に与える影響額
この災害による損害及び当期の経営成績に及ぼす影響を見積ることは、現時点では困難であります。
以 上
⑵ 平成23年5月12日提出【12号及び19号】
1【提出理由】
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に著しい影響を与える事象が発生しましたので、
金融商品取引法第24条の5第4項並びに企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号及び第19
号の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
2【報告内容】
⑴ 当該事象の発生年月日
平成23年5月12日
⑵ 当該事象の内容
平成23年3月11日の東日本大震災の発生に伴い、東北地方を中心に津波等による甚大な被害を受けてお
ります。
当社は、今回の地震や津波により、被災地域における当社取引先の業況悪化、事業継続困難及びリース物
件の滅失等の影響から、債権の回収不能が発生することを想定し、貸倒引当金繰入額として特別損失を計上
いたします。
⑶ 当該事象の損益及び連結損益に与える影響額
平成23年3月期において、特別損失2,312百万円を計上する見込みであります。
以 上
5.訂正臨時報告書の提出理由別件数
提 出 理 由
提出月
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被災場所
被災した資産の
種類及び帳簿価額
支払われた
保険金額
被災が事業に
及ぼす影響
適用号数
合 計
4
1
3
―
3
―
7
5
1
9
―
15
―
25
合 計
2
12
―
18
―
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記載事例
臨時報告書提出日 平成23年3月22日 訂正臨時報告書提出日 平成23年5月13日
(訂正前)
③ 重要な災害により被害を受けた資産の種類及び帳簿価額
この災害により、たな卸資産、建物及び機械装置等に損害が発生しましたが、被害状況は未確定であります。
④ 重要な災害による被害が当該提出会社の事業に及ぼす影響
この災害による損害及び当期の経営成績に及ぼす影響を見積ることは、現時点では困難であります。
(訂正後)
③ 重要な災害により被害を受けた資産の種類及び帳簿価額
この災害により被害を受けた資産の種類及び帳簿価額は、たな卸資産85,324千円、建物及び構築物
13,088千円及び機械装置及び運搬具他1,952千円であります。
④ 重要な災害による被害が当該提出会社の事業に及ぼす影響
平成23年3月期(自 平成22年4月1日 至 平成23年3月31日)の事業年度において、被害を受け資
産100,365千円及び損壊した資産の撤去費用並びに災害資産の原状回復費用等31,694千円を災害損失
132,059千円として特別損失に計上いたします。
後発事象として記載した114社のうち、非財務
Ⅱ.有価証券報告書
情報においても東日本大震災関連の記載をしてい
提出会社の被災状況等から、大震災直後の判断
る提出会社は46社あります。
では提出期限延長の申請を行う提出会社が多いこ
なお、後発事象を記載した提出会社のうち、有
とが予想されましたが、結果的には極めて限定的
価証券報告書の提出前に臨時報告書を提出してい
でした。
る事例は極めて少ない状況です。
提出されたうち、後発事象として大震災による
非財務情報に東日本大震災に関連した記載をし
被害状況を記載した提出会社は表のとおり114
社17.8%です。提出件数に対する記載割合は、
ている提出会社は168社で、これは提出会社全
3月が13.6%、4月が17.5%、5月が24.4%
体の26.2%に相当します。月別には、3月が
と記載している割合が増えています。一方、後発
7.2%、4月が26.3%、5月が56.2%になって
事象に係る監査報告書における追記情報の記載状
います。特に、
「対処すべき課題」の記載が大幅
況は各月とも概ね半数程度になっています。また、
に増えています。
有価証券報告書における記載状況
提出月
提出
会社数
提出期限
延長
会社数
後発事象の記載状況
被害
状況
会社数
復旧
見通し
被害額
影響額
支払われた
保険金額の記載
有
無
監査報告書
追記情報
有
無
3
345
1
47
46
16
40
39
0
47
25
22
4
80
0
14
14
5
11
13
0
14
8
6
5
217
0
53
53
17
50
47
2
51
25
28
計
642
1
114
113
38
101
99
2
112
58
56
その他の記載状況
提出月
会社数
対処すべき
課題
事業の
概況
事業等の
リスク
財政状態等の
状況の分析
設備の
状況
配当
政策
経理の状況
のその他等
3
25
2
0
14
3
0
0
10
4
21
10
0
11
3
1
1
0
5
122
89
9
19
25
2
1
1
計
168
101
9
44
31
3
2
11
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金融商品取引法
※3月
「後発事象」を記載した47社のうち、6社は「その他の記載状況」も併せて記載してあります。
「事業等のリスク」には、事業の概況に被災状況等を記載している事例が1社含まれます。
「経理の状況のその他等」には、追加情報に被災状況等を記載している事例が1社含まれます。
※4月
「後発事象」を記載した14社のうち、3社は「その他の記載状況」も併せて記載してあります。
※5月
「後発事象」を記載した53社のうち、37社は「その他の記載状況」も併せて記載してあります。
「経理の状況のその他等」の1社には、損益計算書の注記事項として記載してあります。
※「後発事象記載状況」中の「被害状況」
「復旧見通し」
「被害額」
「影響額」は、報告すべき内容です。
提出された有価証券報告書の記載状況は表の数値のとおりですが、「被害額」「影響額」の記載内容は多くの事例
が「未確定」「困難」と記載されています。
なお、「会社数」及び「被害状況」の件数と「復旧見通し」
「被害額」
「影響額」の件数の相違は、後発事象の記
載において、「復旧見通し」「被害額」及び「影響額」に関する内容が読み取れないことによります。
⑴ 後発事象の事例 提出日 3月31日
(東北地方太平洋沖地震による被害の発生について)
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により、当社及び連結子会社の一部事業所等において、
被害が発生いたしました。
⑴ 被害の状況
当該災害により被害を受けた資産は、たな卸資産、建物、機械装置等の一部であります。なお、人的被害は
ありません。
イ 被害を受けた主な事業所等
仙台流通センター(宮城県仙台市)等、東北・関東地方の当社グループ一部物流拠点
当社千葉工場(千葉県市原市)
当社福島研究所(福島県○○郡)
○○○ケミカル㈱ケミカル事業所(茨城県神栖市)
○○○○㈱福島工場(福島県○○郡)
ロ 損害額
当該災害による直接的な物的損害額は、算定中であり現時点では確定しておりません。
⑵ 当該災害が事業等に及ぼす影響
仙台流通センター等の一部の事業所等は本報告書提出日現在で操業を停止しており、被害状況の把握並びに
復旧に向けた作業を行っております。復旧の見通し及び今後の営業活動等に及ぼす影響は現時点では未確定で
あります。
⑵ 対処すべき課題の事例 提出日 4月27日
今後の見通しにつきましては、新興国需要に支えられて輸出や生産の一部に回復の動きがみられるものの、円
高とデフレという状況下にもかかわらず、中東産油国における政情不安により原油価格高騰による原材料価格の
上昇懸念が強く、加えて東日本大震災が日本経済に与える影響は計り知れず、先行きに大きな警戒感があり大変
厳しい経営環境となることが予想されます。
⑶ 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析の事例 提出日 5月27日
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連
結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの
であります。
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⑷ 戦略的現状と見通し 平成23年3月11日に発生いたしました東日本大震災により、当社グループでも東北地方の店舗を中心に被
害を受けました。当社グループにおきましては、日常生活における必需品の安定的な供給に向けて店舗の営業
継続と営業停止店舗の速やかな営業再開を推し進めるとともに、地域社会の一員として被災地を救援するため、
緊急支援物資の提供や義援金募金活動を実施いたしました。引き続き地域のお客様の生活を支えるライフライ
ンを提供するという小売業としての使命を果たすため、一日も早い復興に向けてグループ一丸となって最大限
の取り組みを進めてまいります。また、首都圏を中心とした電力不足へ対応するための様々な節電対策にも注
力してまいります。
本大震災関連の記載をしている提出会社は5社で
Ⅲ.四半期報告書
した。
提出会社の被災状況等から、大震災直後の判断
では提出期限延長の申請を行う提出会社が多いこ
なお、後発事象を記載した提出会社のうち、有
とが予想されましたが、結果的には極めて限定的
価証券報告書の提出前に臨時報告書を提出してい
でした。
る事例はありませんでした。
提出されたうち、後発事象として大震災による
非財務情報に東日本大震災に関連した記載をし
被害状況を記載した提出会社は表のとおり42社
ている提出会社は496社で、これは提出会社全
5.3%です。月別では4月が16.8%と他の月に
体の62.0%と過半を超えています。月別には、
比べ多いのは、2月に四半期決算を迎えたためと
3月が3.7%、4月が17.8%、5月が91.2%に
考えられます。
(有価証券報告書では2月決算会
なっています。特に、「財政状態、経営成績及び
社が5月に提出したことで他の月より記載件数が
キャッシュ・フローの状況の分析」への記載が大
多いのと同じ。
)一方、後発事象に係る監査報告
多数を占めています。なお、5月提出分のP/L
書における追記情報の記載状況は各月とも概ね半
の注記が多いのは、2月決算会社が修正後発事象
数程度になっています。また、後発事象として記
として処理したものと思われます。
載した42社のうち、非財務情報においても東日
四半期報告書における記載状況
提出月
提出
会社数
提出期限
延長
会社数
後発事象の記載状況
被害
状況
会社数
復旧
見通し
被害額
影響額
支払われた
保険金額の記載
有
無
監査報告書
追記情報
有
無
3
107
1
8
8
1
6
8
0
8
8
0
4
191
3
32
31
19
23
30
0
32
16
16
5
502
1
2
1
0
1
0
0
2
1
1
計
800
5
42
40
20
30
38
0
42
25
17
その他の記載状況
提出月
3
会社数
4
事業等の
リスク
2
財政状態等の
状況の分析
設備の
状況
B/Sの
注記
P/Lの
注記
0
0
0
0
0
2
追加情報
経理の状況
のその他等
4
34
6
28
0
0
1
0
1
5
458
32
450
6
3
64
6
0
計
496
40
478
6
3
65
6
3
※3月
「後発事象」を記載した8社は、「その他の記載状況」は記載していません。
※4月
「後発事象」を記載した32社のうち、4社は「その他の記載状況」も併せて記載してあります。
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金融商品取引法
「その他の記載状況」の「事業等のリスク」を記載した6社のうち、1社は継続企業の前提に関する事項にその旨
の記載があります。
※5月
「後発事象」を記載した2社のうち、1社は「その他の記載状況」も併せて記載してあります。
「その他の記載状況」の「事業等のリスク」を記載した32社のうち、3社は継続企業の前提に関する事項にその旨
の記載があります。また、「生産、受注及び販売の状況」に記載した1社を含みます。
「その他の記載状況」の「B/Sの注記」3社には、四半期連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項等の変
更に記載した会社」1社を含みます。
※「後発事象記載状況」中の「被害状況」
「復旧見通し」
「被害額」
「影響額」は、報告すべき内容です。
提出された有価証券報告書の記載状況は表の数値のとおりですが、「被害額」「影響額」の記載内容は多くの事例
が「未確定」「困難」と記載されています。
なお、「会社数」及び「被害状況」の件数と「復旧見通し」
「被害額」
「影響額」の件数の相違は、後発事象の記
載において、「復旧見通し」「被害額」及び「影響額」に関する内容が読み取れないことによります。
※提出期限延長の会社は次のとおりです。
㈱○○製作所(12月決算、本店所在地:栗原市、ガラス製品製造業、大証、法定期限5月16日、延長期限6月30日)
⑴ 事業等のリスクの事例 提出日 5月2日
当第2四半期会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載
した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
なお、平成23年3月11日に発生しました東日本大震災による被害はありませんが、当社における事業等のリ
スクを検討した結果、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
・東日本大震災による影響について
仕入先工場の被災及び電力の使用制限による生産能力の低下により、原材料等の入荷遅延が発生した場合
には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑵ 損益計算書の注記の事例 提出日 5月13日
※2 東日本大震災に関連する損失について、たな卸資産の滅失損失及び廃棄費用1,515百万円、建物、設備等
の原状回復費用701百万円など、当四半期連結会計期間末における見積額を含めた総額3,395百万円を特
別損失の「災害による損失」に計上しております。
おわりに
りまとめ、速報としてホームページに掲載してきま
未曽有の大災害が日本経済に及ぼす影響を多くの
したが、本号において改めて掲載しました。
方々が懸念しています。市場の混乱を避け、経済の
金融商品取引法、企業内容等の開示に関する内閣
足取りを力強くするためにも、確かな情報の開示が
府令に基づく記載内容の状況については、3月決算
求められています。
会社の有価証券報告書を含めて分析を行い、ディス
当研究所では、被災された皆様や企業の一日も早
クロージャーニュース10月号で報告をする予定で
い復興を願いつつ、被災状況を開示した臨時報告書
す。
等の法定開示書類の提出状況や記載内容の状況をと
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金融商品取引法
次世代EDINETの開発とXBRL
新井 晶美
総合ディスクロージャー研究所研究員 1.はじめに
ます。
金融庁は平成23年3月17日㈭に第5回EDINET
の高度化に関する協議会 実務者検討会を開催致し
ました。議題は「次世代EDINETの開発について」
です。
そ こ で 本 稿 で は、 ま ずXBRL FACT BOOK
(2011年度版)に依拠し、金融庁の取り組みにつ
●金融庁
金融庁では、EDINETの高度化を通じた本邦金融
資本市場の国際競争力向上を目指し、以下のような
段階的なアプローチによるXBRLのフル活用にむけ
た取組が進められています。
いて概略を述べ、次に当該検討会の資料を基に次世
代EDINETの開発とXBRLの関係について著述した
いと思います。
なお、本稿の意見にわたる部分については私見で
あることを申し添えます。
ステージ1:有価証券報告書のXBRL化
金融庁は「電子政府構築計画」(2003年7月17
日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定。
2004年6月14日一部改定)に基づき、2006年
4月21日に「有価証券報告書等に関する業務の業
2. 普 及 の 現 状(XBRL FACT BOOK 2 0 1 1
Vol.12より抜粋)
務・システム最適化計画」を公表しました。この
「 業 務 ・ シ ス テ ム 最 適 化 計 画 」 で は、EDINETに
日本でのXBRLは、公的部門における採用を皮切
XBRLを導入によることで、EDINETから二次加工
りに急速に普及が進んでいます。国税庁は、2004
可能なデータ形式で開示情報を取得することを可能
年から、法人税の電子申告の添付書類である財務諸
とし、その結果として、高度な情報再利用を実現し
表を、XBRLでも受付けているほか、日本銀行でも、
ました。XBRLを利用した新EDINETは、2008年
2003年11月から2005年7月にかけて、XBRL
3月より稼動を開始しており、既に3000社近い企
形式によるデータの授受について金融機関との間で
業より、データの提出が行われています。
実証実験を行い、2006年2月からは、月次の貸借
対照表データを皮切りに、XBRL形式によるデータ
(EDINETのXBRL化で期待される効果)
の授受を本格的に開始しました。東京証券取引所で
⑴ 開示情報の二次利用性の向上 EDINETから
は、2003年4月より、TDnetにおいて、決算短信
XBRLデータをダウンロードすることで分析シ
のサマリー情報(1枚目)等をXBRL(Spec.2.0a)
ステムに直接取り込むことが可能
形式で受領後、CSV形式に変換して配信するスキー
⑵ 開示書類等に関するチェック機能の強化 提
ムを開始しました。2008年7月からは決算短信の
出企業における財務諸表の整合性チェックが可
サマリー情報について、そのままXBRL形式で配信
能。証券監督官等職員の審査作業に係る時間の
を開始するとともに、それまでボランタリーベース
軽減
であった上場会社によるXBRL形式での提出を原則
⑶ 開示書類等に係る審査支援機能の強化 審査
義務化することとしました。その後も2009年1月
作業における手入力・手作業を大幅に削減。転
から決算短信の財務諸表のXBRL化を開始するな
記・入力時に発生するミスを解消し、審査作業
ど、徐々にXBRL化の対象範囲を拡大しています。
の精度を高める審査作業のために確認する画
さ ら に、 金 融 庁 で も、 以 下 に 詳 述 す る よ う に、
面・帳票の数を減らし作業時間を短縮
EDINETでのXBRLの採用を決定し、2008年3月
⑷ 金融庁内他業務における開示情報の有効活
より本番運用を開始しました。このようにXBRLは、
用 庁内他業務でのXBRLデータの再利用によ
公的部門での採用を皮切りに導入が進みましたが、
り外部情報ベンダー等からの開示情報購入費用
今後は公的部門における一層の高度利用とともに、
を削減
民間部門におけるXBRLの活用の広がりが期待され
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金融商品取引法
現 在、EDINETへ の ア ク セ ス 件 数 は、 月 平 均
ステージ2:注記情報のXBRL化
2009年以降、金融庁では、金融危機や国際会計
700万件を超えており、EDINETにより提出され
基準の導入を展望した次世代開示システムのあり方
た企業情報等の投資情報は相当程度利用されていま
が検討されています。金融庁では、こうした検討を
す。他方で、EDINETの更なる利便性向上を求める
踏まえて、2010年度にかけて企業活動のより包括
意見・要望が多く寄せられているところです。
的な把握や国際会計基準への対応等を目指し、注記
このため、現在、EDINETについて、国際水準を
情報等を含める形でXBRLの対象範囲を拡大するた
踏まえたXBRLの対象範囲の拡大、投資家等向けの
めにタクソノミ開発を行うほか、それを利用した投
検索・分析機能の向上等の開発を行っております。
資情報提供の実証実験も進めようとしています。
来年度以降、現在行っている開発と現行EDINET
とを統合するための開発を行い、平成25年度を目
金融庁におけるこのような試みは、公的機関を超
えたXBRLの更なる利用可能性を拓くほか、国際間
途に次世代EDINETを稼働させたいと考えておりま
す。
のXBRLタクソノミの相互運用性や他のXML言語
との相互運用性を高めることでXBRLの利用を一段
4.XBRLについて(金融庁ホームページより抜粋)
と進展させることが期待されます。
4-1.XBRLの対象範囲の拡大について
⑴ 対象項目と対象書類の拡大
3.次世代EDINETの開発について(金融庁ホーム
次世代EDINETでは、投資家等情報利用者の
ページより抜粋)
ニーズ等を踏まえ、次のとおり対象範囲を拡大
金融庁は、平成20年3月からEDINETにXBRL
する予定。対象項目は、報告書等の全てとし、
(財務情報を効率的に作成・流通・利用できるよう
対象書類は、XBRL化する様式を投資家のニー
国際的に標準化されたコンピュータ言語)を導入す
ズ等を踏まえ44様式とする予定。
る等の開発を行い、投資家等への情報提供機能の拡
※対 象様式は「(参考)XBRL化の対象様式」
を参照
充を図ってきているところです。
対象項目の拡大
有価証券報告書
財務諸表
本表
注記
企業
情報
事業の
状況
半期報告書
財務諸表
本表
注記
企業
情報
事業の
状況
四半期報告書
財務諸表
本表
注記
企業
情報
事業の
状況
有価証券届出書
財務諸表
本表
注記
企業
情報
事業の
状況
上記以外の発行開示書類
(発行登録書等)
現在のXBRL適用範囲
上記以外の継続開示書類
(臨時報告書等)
対象書類の拡大
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公開買付関連
(公開買付届出書等)
XBRL対象範囲拡大後の適用範囲
大量保有関連
(大量保有報告書等)
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(参考)XBRL化の対象様式(企業内容開示府令:20様式)
企業内容開示府令
1
第二号様式
(通常方式)
2
第二号の二様式
(組込方式)
第二号の三様式
(参照方式)
第二号の四様式
(新規公開時)
5
第二号の五様式
(少額募集等)
6
第二号の六様式
(組織再編成)
7
第二号の七様式
(組織再編成・上場)
8
第三号様式
3
4
9
有価証券届出書
有価証券報告書
10
11
12
13
14
四半期報告書
半期報告書
臨時報告書
15
第三号の二様式
(少額募集等)
第四号様式
(法24条3項に基づくもの)
第四号の三様式
第五号様式
第五号の二様式
(少額募集等)
第五号の三様式
第十一号様式
(株券、社債券等)
第十一号の二様式
(CP)
17
第十一号の二の二様式
(短期社債)
18
第十二号様式
(株券、社債券等)
第十二号の二様式
(CP)
第十七号様式
(法24条の6第1項に基づくもの)
16
19
20
発行登録書
発行登録追補書類
自己株券買付状況報告書
(参考)XBRL化の対象様式(特定有価証券開示府令:12様式)
特定有価証券開示府令
1
2
3
有価証券届出書
4
5
6
7
8
9
10
有価証券報告書
半期報告書
発行登録書
第四号様式
(内国投資信託受益証券)
第四号の三様式
(内国投資証券)
第四号の三様式三の二様式
(組込方式・内国投資証券)
第四号の三様式三の三様式
(参照方式・内国投資証券)
第七号様式
(内国投資信託受益証券)
第七号の三様式
(内国投資証券)
第十号様式
(内国投資信託受益証券)
第十号の三様式
(内国投資証券)
第十五号様式
(内国投資証券)
第十五号の二様式
(内国短期投資法人債)
11
発行登録追補書類
第二十一号様式
12
臨時報告書
様式なし
内国特定有価証券
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金融商品取引法
(参考)XBRL化の対象様式(他社株買付府令:5様式、自社株買付府令:3様式)(大量保有府令:3様式、
内部統制府令:1様式)
他社株買付府令
1
公開買付届出書
第二号様式
2
意見表明報告書
第四号様式
3
公開買付撤回届出書
第五号様式
4
公開買付報告書
第六号様式
5
対質問回答報告書
第八号様式
自社株買付府令
1
公開買付届出書
第二号様式
2
公開買付撤回届出書
第三号様式
3
公開買付報告書
第四号様式
大量保有府令
1
第一号様式
2
大量保有報告書
3
第二号様式
短期大量譲渡
第三号様式
特例対象株券等
内部統制府令
1
内部統制報告書
第一号様式
⑵ 提出者へのツールの提供
XBRLデータを活用した新機能
XBRL化の対象範囲の拡大に伴い、提出者の
XBRLデータについて、項目毎の検索や、
負担の増加が懸念される。このため、次世代
検索結果の企業間・経年での比較表示
EDINETにおいて、次のとおりツールを提供す
(参考)XBRLデータを活用した新機能
る方針。
(検索)検索条件として、項目設定・条
◦大量保有報告書は、エクセルで書類を作成し
件を選択入力し、検索を実行す
た場合に自動的にXBRLを生成するツールを
ると合致する書類が検索され
提供。
る。
◦同 報 告 書 以 外 に も、 一 部 の 様 式 に つ い て
(比較)検索結果について、比較したい
XBRL作成ツールを提供。
書類を選択し表示を行うと横並
びの結果が表示される。
4-2.検索機能の向上等について
次世代EDINETでは、更なる検索機能の向上等を
図るため、主に次の開発を行っている。
⑴ 条件付検索機能、企業間・経年比較機能の追
加
⑵ XBRLデータをCSVデータに変換するツー
ルの提供
検索結果(比較結果)画面をCSVデータと
して出力可能
現行EDINETの閲覧・検索機能の改善に加
え、XBRL項目を指定した検索や企業間比較等、
XBRLデータを活用した新しい機能を提供
閲覧・検索機能の改善
検索条件を組み合わせて検索することがで
きる機能の追加等
(参考)CSVデータに変換するツール
◦入 力元(XBRLファイル)に、CSV
に変換したいファイルを入力し、保
存先(CSVファイル)に任意の格納
先ファイルを指定します。
◦実行後、保存先にCSVファイルが作
成されます。
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5.おわりに
上記のように日本でのXBRLは公的部門を端緒に
急速に普及が進んでおり、また民間部門の一部では
採用がなされております。両部門ともより一層の進
展が期待されていると共にXBRLの変化に対応する
ことが必要です。特に財務情報の提出者側には提出
に係る負担の軽減が、利用者には一刻も早い分析
ツールなどの開発が急務であると考えられます。
しかしこれは日本だけに限った事象ではありませ
ん。例えば欧州などでは各国ごとに対象企業範囲が
異なっております。但しこれは現状に限った話で
す。今後の予定として欧州全域での導入が取り沙汰
されております。
このようにXBRLの変化の波に乗り遅れないよう
にすることは世界的な現象です。今後、XBRLに関
してもIFRSの導入等と共に目が離せない状況なの
です。
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金融商品取引法
有価証券報告書の基礎(第12回)
新保 秀一
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 「有価証券報告書の基礎」、第12回目を解説いたします。今回は、第一部【企業情報】の第5【経理の状況】
における、【会計方針の変更】【表示方法の変更】【追加情報】を解説いたします。なお、本稿における意見
にわたる部分は、私見であることを申し添えます。
第5【経理の状況】
《はじめに》
変更することが認められており、それが正当
な理由にもとづくものであれば、会計処理を
去る平成21年12月4日に、企業会計基準委員
変更することができます。この場合の正当な
会から、国内で初めて過年度遡及修正が取り入れ
理由については下記の様に判断することが適
られ、「会計基準の変更及び誤謬の訂正に関する会
当と考えられています。
計基準」並びに同適用指針が公表されました。過
① 会計方針の変更が企業の事業内容及び
年度遡及修正とは、企業が自主的に会計方針を変
企業内外の経営環境の変化に対応して行
更した場合や、財務諸表の表示方法を変更した場
われたものであること
合などに、過年度の財務諸表を新たに採用した方
② 変更後の会計方針が一般に公正妥当と
法で遡及修正し、これを表示することを意味しま
認められる企業会計の基準に照らして妥
す。
当であること
したがって、これまで有価証券報告書において
③ 会計方針の変更は会計事象や取引を財
記載されている【会計方針の変更】、【表示方法の
務諸表により適切に反映するために行わ
変更】および【追加情報】は、これらを考慮した
れるものであること
注記事項として記載されることになります。
なお、「会計基準の変更及び誤謬の訂正に関する
④ 会計方針の変更が利益操作等を目的と
していないこと
会計基準」並びに同適用指針は、平成23年4月1
以上を勘案して、正当な理由であるかどうか
日以後開始する事業年度の期首以後に行われる会
を判断します。
計上の変更及び過去の誤謬の訂正から適用されま
また、会計基準及び法令の改正に伴う会計
方針の変更については、正当な理由による会
す。
ここで、以下、解説を行う事象は、平成23年3
計方針の変更とされます。
月期を前提として、いわゆる旧規定にしたがい解
説を行ったものであり、12月決算会社や1月、2
月決算会社の実務上の参考になれば幸いです。
⑵ 記載内容
会計方針の変更を行った場合には、下記の
項目を記載する必要があります。
1.
【会計方針の変更】
⑴ 概 要
① その旨
② 変更の理由
会計方針とは、財務諸表を作成するために
③ 当該変更が連結財務諸表に与えている
採用した会計処理の原則、及び手続き、並び
影響の内容(影響を受けた重要な項目お
に表示の方法のことを言います。これについ
よびその差異の金額)
ては、毎期継続して適用し、みだりに変更し
なお、記載場所は、【連結財務諸表作成のた
てはならないという「継続性の原則」と言わ
めの基本となる重要な事項】の次に記載する
れるものがあり、正当な理由がなく、これを
方法もありますし、【連結財務諸表作成のため
変更することを認めていません。
の基本となる重要な事項】の会計処理事項に
ただし、複数の会計処理が認められている
場合において、従来から採用している認めら
関する事項の中で、関連づけて記載する方法
もあります。
れた会計処理から他の認められた会計処理へ
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⑶ 記載例
【会計方針の変更】の記載例を示します。〈図
表1〉
〈図表1〉
【会計方針の変更】
① 複数の会計処理が認められている場合の会計処理の変更 記載例
当連結会計年度
(自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日)
前連結会計年度
(自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日)
―
(収益の計上基準の変更)
当社及び連結子会社はこれまでパーソナルコンピュー
タ、その他周辺機器及び電子デバイス製品については、
売上収益の認識を出荷時点としておりましたが、当連結
会計年度より、顧客に納品した時点に変更いたしまし
た。
この変更は、ユビキタスネットワーク社会における
キーデバイスとして、グローバルに市場規模が拡大し、
取り扱い数量が大きく増加するなど金額的重要性が高ま
っていること、また、顧客の納期短縮化の要請など取引
状況の変化に対応して顧客への納品責任を明確にしたこ
とにより行うものであります。なお、他のシステム製品
については検収時点で収益を認識し、ソフトウェアの開
発契約については進行基準により収益を認識しておりま
す。
当該変更により、従来の方法によった場合に比べ、売
上高はXXX百万円、営業利益、経常利益及び税金等調
整前当期純利益はXXX百万円減少しております。
また、この変更によるセグメント情報に与える影響
は、注記事項(セグメント情報)に記載しております。
② 会計基準及び法令の改正に伴う会計方針の変更 記載例
前連結会計年度
(自 平成21年4月1日
至 平成22年3月31日)
―
〈図表1〉
① 複数の会計処理が認められている場合の
会計処理の変更
これは、収益(売上)の計上基準に関して、
前連結会計年度までは、「出荷基準」として
当連結会計年度
(自 平成22年4月1日
至 平成23年3月31日)
(資産除去債務に関する会計基準等)
当連結会計年度より、「資産除去債務に関する会計基
準」(企業会計基準第18号 平成20年3月31日)及
び「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業
会計基準適用指針第21号 平成20年3月31日)を適
用しております。
これにより、当連結会計年度の営業利益、経常利益及
び税金等調整前当期純利益はそれぞれXXX百万円減少
しております。
ています。さらに連結財務諸表に与える影
響として、従来の会計処理を採用した場合
と の 比 較 情 報 と し て、 売 上 高、 営 業 利 益、
経常利益、税引等調整前当期純利益に与え
る影響を掲げています。
取り扱っていましたが、当連結会計年度か
ら「顧客に納品した時点」に変更している
旨が記載されています。また、取扱い数量
の大幅な増加に伴う金額的重要性が高まっ
② 会計基準及び法令の改正に伴う会計方針
の変更
これは、
「資産除去債務に関する会計基準」
たこと、及び顧客に対しての納品責任の明
が平成23年3月期に適用されることによ
確化を、変更に伴う正当な理由として掲げ
る、会計方針の変更による記載事例です。
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金融商品取引法
2.
【表示方法の変更】
れた場合についても、表示方法の変更として
記載します。
⑴ 概 要
連結財務諸表上、重要な科目は独立して記
載することが、連結財務諸表規則で定められ
⑵ 記載内容
ています。この場合、前連結会計年度におい
その内容の記載は、前連結会計年度の連結
て、金額の重要性が低いため、「その他」に含
財務諸表との比較を行うために必要な事項を
まれていた科目が、当連結会計年度において、
記載するものとします。
金額の重要性が高まったため、当該科目を示
す名称をもって別に記載することが求められ
ています。この場合に表示方法の変更として
記載します。
⑶ 記載例
【表示方法の変更】の記載例を示します。〈図
表2〉
また、法令改正に伴い、科目の統合が行わ
〈図表2〉
【表示方法の変更】
当連結会計年度
(自 平成22年4月1日
至 平成23年3月31日)
前連結会計年度
(自 平成21年4月1日
至 平成22年3月31日)
(連結貸借対照表関係)
(連結キャッシュ・フロー計算書関係)
前連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・ 1. 前連結会計年度において投資その他の資産「その
他」に含めて表示しておりました「長期前払費用」
フローの「その他」に含めておりました「退職給付引当
金の増減額(△は減少)」(前連結会計年度XXX百万円) (前連結会計年度XXX百万円)は、総資産額の100
分の5を超えることとなったため、当連結会計年度に
は、重要性が増したため、当連結会計年度においては区
おいては区分掲記することといたしました。
分掲記することに変更しました。
2. 前連結会計年度において区分掲記しておりました
「従業員預り金」(当連結会計年度XXX百万円)は、
金額が僅少となったため、当連結会計年度においては
流動負債の「その他」に含めて表示しております。
〈図表2〉は、金額的重要性の影響による記載例
です。
3.
【追加情報】
⑴ 概 要
まず、当連結会計年度の(連結貸借対照表
連結財務諸表は、連結財務諸表規則や同ガ
関係)の1.は、総資産の100分の5を超え
イドラインにもとづいて記載されます。追加
ていれば独立科目として表示しなければなら
情報とはこれらの規則に定められている以外
ないとされています。この規定に基づいて、
の注記による情報を言い、各利害関係者に追
前連結会計年度まで「その他」に含めていた
加的に情報を提供するものです。
科目を「長期前払費用」として別掲しています。
すなわち、連結財務諸表提出会社の利害関
2.は金額が僅少となったため「その他」に
係者が、企業集団における財政状態、経営成
含めて表示しています。これは、前連結会計
績及びキャッシュ・フローの状況に関する適
年度は「従業員預り金」に関して、総資産の
正な判断を行うために必要と認められる事項
100分の5を超えていたため、独立科目とし
があるときは、当該事項の注記が必要となり
て表示していたものが、総資産の100分の5
ます。
以下となったため、「その他」に含めて表示し
たものと考えられます。
次に、前連結会計年度の(連結キャッシュ・
フロー計算書関係)の場合、独立科目として
表示しなければならないという規定はありま
せん。この記載例に関しては、金額的重要性
が高くなり、明瞭表示の観点から、会社独自
の判断で「その他」から独立させていると考
えられます。
⑵ 記載内容
記載内容に関しては次の事項が挙げられま
す。
① 会計方針の記載に合わせて記載すべき
追加情報
② 財務諸表の特定の科目との関連を明ら
かにして注記すべき追加情報
③ その他(期間比較上説明を要する場合
や、後発事象に該当しないが説明を要す
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る事項等)
⑶ 記載例
【追加情報】の記載例を示します。
〈図表3〉
〈図表3〉
【追加情報】
① 会計方針の記載に合わせて記載すべき追加情報
当連結会計年度
(自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日)
前連結会計年度
(自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日)
⑵ 重 要 な 減 価 償
却資産の減価償
却の方法
―
(追加情報)
当社及び国内連結子会社の機械装置につい
ては、従来、耐用年数を7~15年としてお
りましたが、当連結会計年度より7~12年
に変更しております。
これは、平成20年度の税制改正を契機に
耐用年数を見直したことによるものでありま
す。
これによる損益に与える影響は軽微であり
ます。
② 財務諸表の特定の科目との関連を明らかにして注記すべき追加情報
前連結会計年度
(自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日)
―
当連結会計年度
(自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日)
(追加情報)
当社は、平成21年4月1日付けで、適格退職年金制
度を終了し、確定給付企業年金制度及び確定拠出年金制
度へ移行しております。これに伴い当連結会計年度にお
いて退職給付制度の一部終了に係る損失を特別損失の
「退職給付制度移行損失」にXXX千円計上しております。
③ その他(期間比較上説明を要する場合、後発事象に該当しないが説明を要する事項等)
前連結会計年度
(自 平成17年4月1日
至 平成18年3月31日)
―
当連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
当社は、平成19年3月26日開催の取締役会におい
て、次のとおり固定資産の譲渡を決議しました。
⑴ 譲渡の時期
平成19年10月31日 物件引渡し予定
⑵ 譲渡資産の内容及び譲渡価額等
① 譲渡資産 土地(24,594.82㎡)
建物(延べ床面積6,199.22㎡)
② 所在地 兵庫県西宮市神祇官町X番地
及びXX番地
③ 帳簿価額 土地XXX百万円
建物XXX百万円
④ 譲渡価額 XXX百万円(予定)
⑤ 譲渡先 阪急不動産㈱
⑶ 損益に与える影響額
当該譲渡により、XXX億円の譲渡益が発生する見
込みであり、平成20年3月期の特別利益に計上する
予定であります。
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金融商品取引法
〈図表3〉
① 会計方針の記載に合わせて記載すべき追
加情報
これは、平成20年度の税制改正を契機
③ その他(期間比較上説明を要する場合や、
後発事象に該当しないが説明を要する事項
等)
この記載例は、後発事象に該当しないが、
に、機械装置の耐用年数を変更したもので
説明を要する事項としての取扱いです。当
す。
該意思決定は平成19年3月26日の取締役
会決議ですが、当該意思決定にもとづく行
② 財務諸表の特定の科目との関連を明らか
にして注記すべき追加情報
財務諸表の特定の科目とは、この記載例
為自体は、平成19年10月31日となってい
ます。実務上、監査報告書日後となってお
り、いわゆる開示後発事象に該当しません。
のケースでは、特別損益項目の、「退職給付
しかしながら金額的に重要な事項であるた
制度移行損失」を指します。このような特
め、これを追加情報の注記として記載して
殊な勘定科目を使用している時、その内容
います。
が明確でない場合に追加情報の注記として
記載しています。
以上が第5【経理の状況】における、【会計方針
の変更】、【表示方法の変更】、【追加情報】でした。
次回は、【注記事項】(連結貸借対照表関係)から
解説いたします。
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金融商品取引法
臨時報告書セミナーの報告
奈良 幸一
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 そこで、
“お客様に役立つ資料を”と企画したも
はじめに
宝印刷株式会社では、臨時報告書の作成要領に係
のが、臨時報告書の作成要領です。本稿では、3会
るセミナーを3月2日の大阪会場を皮切りに東京及
場で行われたセミナーの報告(概要)を行います。
び名古屋の会場で、300名弱の皆様のご参加を得
なお、意見にわたる部分は、筆者の私見であるこ
て開催をしました。
とをあらかじめお断りいたします。
臨時報告書は、近年の金融商品取引法の改正に伴
う「企業内容等の開示に関する内閣府令(以下、
「開
1.作成要領の構成
示府令」という。
)
」の改正において、監査公認会計
作成要領の構成は、大別して①臨時報告書の法
士等の異動、株主総会において決議事項が決議され
的根拠、②開示府令に基づく第1号から第19号
た場合等が加わるなど、提出すべき事由が多くなっ
及び第19条の2までの記載事例、③実務問答と
たことから、平成22年は1年間で6,000件を超え
証券取引所の適時開示規則(タイムリーディスク
る件数がEDINETに提出されました。
ロージャー該当基準)に分けられます。
こうした状況から、従来、臨時報告書を提出する
機会が少なかった有価証券報告書等の提出会社が、
⑴ 臨時報告書の法的根拠は、以下のとおりで
す。
臨時報告書を提出するにあたり、弊社に“記載すべ
き内容”や“提出時期”に係る、ご相談やご照会が
多くなりました。
○金融商品取引法第24条の5第4項(臨時報告書の提出)
第24条第1項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社は、その会社が発行者であ
る有価証券の募集又は売出しが外国において行われるとき、その他公益又は投資者保護のため必要かつ
適当なものとして内閣府令で定めるところとなったときは、内閣府令に定めるところにより、その内容
を記載した報告書(以下「臨時報告書」という。)を、遅滞なく、内閣総理大臣に提出しなければならない。
○開示府令第19条(臨時報告書の記載内容等)
法第24条の5第4項に規定する内閣府令で定める場合は、次項各号に掲げる場合とする。
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金融商品取引法
そして、次項各号(開示府令第19条第2項)に
掲げられた具体的な場合とは、次の場合です。
開 示 府 令 第 19 条 第 2 項
単 体
1号の1
連 結
海外における有価証券の募集又は売出
―
私募による有価証券の発行
―
届け出を要しないストック・オプショ
ンの付与
―
3号
親会社又は特定子会社の異動
―
4号
主要株主の異動
5号
重要な災害の発生
13号
連結子会社の重要な災害の発生
6号
訴訟の提起又は解決
14号
連結子会社に対する訴訟の提起又は解
決
2号
2号の2
―
6号の2
株式交換の決定
14号の2
連結子会社の株式交換の決定
6号の3
株式移転の決定
14号の3
連結子会社の株式移転の決定
7号
吸収分割の決定
15号
連結子会社の吸収分割の決定
7号の2
新設分割の決定
15号の2
連結子会社の新設分割の決定
7号の3
吸収合併の決定
15号の3
連結子会社の吸収合併の決定
7号の4
新設合併の決定
15号の4
連結子会社の新設合併の決定
8号
重要な事業の譲渡又は譲受けの決定
9号
代表取締役の異動
―
9号の2
株主総会における決議事項
―
9号の3
定時株主総会における決議事項の修正
等
―
9号の4
監査公認会計士等の異動
―
10号
破産手続開始の申立て等
17号
連結子会社の破産手続開始の申立て等
11号
多額の取立不能債権等の発生
18号
連結子会社の多額の取立不能債権等の
発生
12号
財政状態、経営成績及びキャッシュ・
フローの状況に著しい影響を与える事
象
19号
連結会社の財政状態、経営成績及びキ
ャッシュ・フローの状況に著しい影響
を与える事象
⑵ 臨時報告書制度
16号
連結子会社の事業の譲渡又は譲受けの
決定
投資者の適格な判断に資することが流通市場の
臨時報告書は、企業内容に関して発生した重
健全な発展と投資者保護の観点から適当と考え
要な事実であって、特に投資者に適時に開示し
られたため、昭和46年の証券取引法の改正に
た方がよいと思われる事項について、有価証券
おいて創設されたものです。
報告書等の提出を待たずに開示をすることで、
その趣旨は次に掲げるものです。
⑴ 速報性
臨時報告書の提出事由は企業内容等について発生する種々の事実の中から定期報告を待つことなく投資
者に対し適時に開示する必要があると認められるものを特定したものであるから、その情報は発生後「遅
滞なく」投資者に開示されなければならない。したがって、影響額の厳密な計算ができない等の理由で提
出が遅延するようなことは、臨時報告書の本来の趣旨を損なうこととなりうるので、十分注意する必要が
ある。
⑵ 情報の正確性及び客観性
臨時報告書は、投資判断資料として有用性のあるものについて開示を行うものであることから、その内
容は正確かつ客観的なものでなければならないが、ここでいう情報の正確性及び客観性は、臨時報告書を
提出する時点で提出会社が責任をもって情報を提供できる範囲のものと解されている。
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⑶ 定期報告(有価証券報告書等)に対する補完性
臨時報告書制度はそれだけで独立した制度ではなく、あくまで継続開示制度の枠内で有価証券報告書等
の定期報告を補完する機能を持つものである。したがって、その開示される情報も有価証券報告書におけ
る開示水準を十分踏まえたものでなければならないと解されている。
(平成9年 詳説「証券取引法におけるディスクロージャー制度」大蔵省証券局企業財務課監修 より)
⑶「遅滞なく」とは
ます。
金融商品取引法を初めとして、同法施行令及
なお、9日目以降のうち、臨時報告書の記載
び開示府令並びにガイドラインにも、
「遅滞な
内容を見たところ、提出が9日目以降になった
く」の具体的な日数の記述はありません。
ことが、やむを得ない事情の件数もありまし
そこで、弊社総合ディスクロージャー研究所
た。具体的には、4号の主要株主の異動のうち、
では、臨時報告書の「提出時期」を調査しまし
提出会社が異動を知ったのが、異動日後に届く
た。調査は、平成21年4月1日から同年12月
大量保有報告書等に基づくものです。
28日までにEDINETに提出された件数2,617
その逆に、実務的には予め事象が起きるのが
件(内国会社及び組合)を対象に行いました。
分かっている場合、例えば、代表取締役の異動
調査の結果、事象発生日から臨時報告書の提
などは事前に臨時報告書を作成しておくことも
出日までの日数は、土日祭日を除き、いわゆる
可能ですから、事象発生日に臨時報告書を提出
営業日ベースで、事象発生日から3日目までが
することもできます。
1,576社、これは、調査件数の60.22%にな
ります。4日目から8日目までは426社で全
「遅滞なく」の結論は、
「常識的に提出可能な
日数以内に提出する。」といえます。
体16.26%になります。残りの615社23.52
%は、事象発生日から9日目以降の提出となっ
ていました。 以上の実例から「遅滞なく」とは、事象が発
生(イコール:提出義務が発生した日)してか
⑷ 罰 則
臨時報告書に係る罰則等については、刑事
罰、課徴金制度、民事上の賠償責任、の3区分
です。
ら「一両日(3日目まで)
」ということがいえ
刑事罰
①虚偽記載:金融商品取引法第197条の2第6号
発行者が、重要な事項につき虚偽の記載がある臨時報告書を提出した場合で、ア5年以下の
懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれらの併科、イ法人につき5億円以下の罰金(金
融商品取引法第207条第1項第2号)
②不提出: 金融商品取引法第200条第5号
ア1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらの併科、イ法人につき1億円
以下の罰金(金融商品取引法第207条第1項第5号)
課徴金
①虚偽記載:金融商品取引法第172条の4第2項
発行者が、重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき事項の記載が欠けている臨
時報告書を提出したときは、内閣総理大臣は、課徴金を国庫に納付することを命じなければ
ならない。
600万円又は時価総額の10万分の6(0.006%)のいずれか高い方(臨時報告書の場合
はその半額)
②不提出: 金融商品取引法第172条の4第3項
発行者が、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼすものとして内閣府令で定める事項を記載
すべき臨時報告書を提出しない場合、内閣総理大臣は、課徴金を国庫に納付することを命じ
なければならない。
600万円又は時価総額の10万分の6(0.006%)のいずれか高い方(臨時報告書の場合
はその半額)
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金融商品取引法
民事上の賠償責任
対象者は二つで、その適用は、虚偽記載だけ
① 提出者(提出会社)は、臨時報告書に重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事
項もしくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、臨時報告書が公衆
縦覧期間中に提出者が発行する有価証券を募集又は売出しによらないで取得した者に対して損害の賠償
をしなければならない。
(法第21条の2第1項)
② 提出会社の役員等は、臨時報告書に重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項
もしくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、提出者が発行者であ
る有価証券を取得した者に対して損失を賠償しなければならない。(法第24条の5第5号)
① 虚偽記載に係る課徴金の適用事例としては
何れにしても、提出が遅くなればなるほ
2件あります。
ど、情報管理の問題、即ちインサイダー取引
平成20年11月7日付けで金融庁が「増資
に係るリスクが大きくなりますので、「遅滞
手取金の使途」に虚偽記載があったとした事
なく」提出することが肝要と考えます。
例、平成21年7月30日付けで金融庁が「匿
名組合清算配当金」に係る虚偽記載があった
とした事例です。
2.開示府令に基づく記載事例
⑴ 記載事例の構成
② 「提出遅延」即ち「遅滞なく」提出しなか
作成要領における記載事例の構成は、①根拠
った場合にも、課徴金適用があるか、という
である開示府令(報告事項を含む。)及び開示
ことです。平成20年12月2日に金融庁がパ
カイドライン並びにパブリックコメントを、②
ブリックコメントにおいて、示した考え方は
実際に提出された事例を、③作成に際してのポ
「課徴金府令第1条の5で定める事項は、い
イントを、④他の開示書類(有価証券報告書
ずれも投資者の投資判断に重要な影響を及ぼ
等)との記載内容の整合性や適時開示書類との
すものであり、これらの事項を記載すべき臨
関連性を、載せました。
時報告書を提出しない違反があった場合は、
以下、報告する事例は、提出件数が多く、か
課徴金を賦課することにより違反抑止を図る
つ、他の開示書類との整合性が高いもので、調
必要があると考えられます。
」と回答してい
査・集計及び分析の過程において、課題等が散
ます。
見されたものを選びました。
しかしながら、調査結果によれば、提出日
まで30日以上を要している事例もあります。
⑵ 第3号(親会社又は特定子会社の異動)
一般的な解釈としては、有価証券報告書等は
―親会社の異動―
3ケ月以内に提出しなければならないことが
① 提出会社の親会社の異動(当該提出会社の
規定されていますが、臨時報告書は「遅滞な
親会社であった会社が親会社でなくなること
く」ですから、ア期間の定めが明確でないこ
又は親会社でなかった会社が当該提出会社の
とから、課徴金の対象にならない、という解
親会社になることをいいます。)があった場
釈と、イ相当期間経過しての掲出は、制度の
合は、次に掲げる事項が臨時報告書に記載す
主旨から対象となる。という解釈ができます。
る報告事項です。
イ 当該異動に係る親会社の名称、住所、代表者の氏名、資本金又は出資の額及び事業の内容
ロ 当該異動に係る会社が親会社である場合には、当該異動の前後における当該提出会社の親会社の所有
に係る当該提出会社の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使
することができない株式についての議決権を除き、会社法第879条第3項の規定により議決権を有する
ものとみなされる株式についての議決権を含む。以下ロ及び次号ロにおいて同じ。
)の数(当該提出会社
の親会社の他の子会社が当該提出会社の議決権を所有している場合には、これらの数を含む。
)及び当該
提出会社の総株主等の議決権に対する割合
ニ 当該異動の理由及びその年月日
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② 様式(第5号の3)における記載上の注意
④ 有価証券報告書等との整合性
では、ア)提出理由とイ)報告内容のうちロに
親会社の異動日が属する期間に係る有価証
規定する議決権の総数に対する割合には間接
券報告書等の作成に際しては、関係会社の状
所有を併せて記載する、ことが求められてい
況や大株主の状況の記載内容が前期から変わ
ます。
ります。 さらに、開示ガイドライン24の5-18
また、取引の有無によっては関連当事者情
(異動の理由)では、具体的な異動の理由が
例示(例えば、株式の売却、株式の取得、設
報にも影響があります。
⑤ 適時開示書類
立、合併、解散、清算等)されています。
発生事実に該当しますので、親会社の異
③ 異動の理由から留意すべき実例を紹介しま
動、支配株主の異動又はその他の関係会社の
異動、主要株主の異動について留意する必要
す。
異動の理由:当 社の親会社である㈱○○
があります。
は、当社の発行済株式の51
―特定子会社の異動―
%に相当する○○株を売却し
① 提出会社の特定子会社の異動(当該提出会
たことで、親会社に該当しな
社の特定子会社であった会社が子会社でなく
くなりました。
なること又は子会社でなかった会社が当該提
留意点:主要株主の異動にも該当しますの
出会社の特定子会社になることをいう。)が
で、臨時報告書の提出に際して
あった場合は、次に掲げる事項が臨時報告書
は、4号も併せて記載する必要が
に記載する報告事項です。
あります。
イ 当該異動に係る親会社又は特定子会社の名称、住所、代表者の氏名、資本金又は出資の額及び事業の
内容
ハ 当該異動に係る会社が特定子会社である場合には、当該異動の前後における当該提出会社の所有に係
る当該特定子会社の議決権(株式会社にあっては、株主総会において決議をすることができる事項の全部
につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第879条第3項の規定に
より議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。
)の数(当該提出会社の他の子会社
が当該特定子会社の議決権を所有している場合には、これらの数を含む。
)及び当該特定子会社の総株主
等の議決権に対する割合
ニ 当該異動の理由及びその年月日
② 様式(第5号の3)における記載上の注意
(異動の理由)では、具体的な異動の理由が
では、ア)提出理由とイ)報告内容のうちロに
例示(例えば、株式の売却、株式の取得、設
規定する議決権の総数に対する割合には間接
所有を併せて記載する、ことが求められてい
立、合併、解散、清算等)されています。
③ 特定子会社の定義
ます。
開示府令第19条第10項に次のように定義
さらに、開示ガイドライン24の5-18
されています。
第10項 第2項第3号に規定する特定子会社とは、次の各号に掲げる特定関係のいずれか一以上に該当す
る子会社をいう。
一 当該提出会社の最近事業年度に対応する期間において、当該提出会社に対する売上高の総額又は仕
入高の総額が当該提出会社の仕入高の総額又は売上高の総額の百分の十以上である場合
二 当該提出会社の最近事業年度の末日(当該事業年度と異なる事業年度を採用している会社の場合に
は、当該会社については、当該末日以前に終了した直近の事業年度の末日)において純資産額が当該提
出会社の純資産額の百分の三十以上に相当する場合(当該提出会社の負債の総額が資産の総額以上であ
る場合を除く。
)
三 資本金の額(相互会社にあっては、基金等の総額。
)又は出資の額が当該提出会社の資本金の額(相
互会社にあっては、基金等の総額。)の百分の十以上に相当する場合
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金融商品取引法
また、百分の十の計算については、同ガイ
ています。
ドライン24の5-17に次のように規定され
開示府令第19条第10項第1号に規定する「百分の十」の計算は、当該子会社の有価証券報告書提出会
社に対する売上高が当該提出会社の仕入高の総額のうちに占める割合又は当該子会社の当該提出会社から
の仕入高が当該提出会社の売上高の総額のうちに占める割合によることに留意する。
④ 異動の理由から留意すべき実例を紹介しま
価証券報告書等の作成に際しては、関係会社
の状況の記載内容が前期から変わります。
す。
異動の理由:当社の特定子会社である㈱○
○は、当社グループの再編に
伴い当社が保有する当該特定
また、取引の有無によっては関連当事者情
報にも影響があります。
⑥ 適時開示書類
子会社の株式を全て売却した
決定事実に該当しますので、子会社の異
ことで、特定子会社に該当し
動、事業の全部または一部の譲渡、子会社に
なくなりました。
係る情報などについて留意する必要がありま
留意点:重要な事業の譲渡及び重要な子会
す。
社の株式の売却に該当し、かつ、
売却に伴い特別利益に計上する金
⑶ 第4号(主要株主の異動)
額に重要性がありますと、第8号
① 提出会社の主要株主(法第163条第1項
及び第12号並びに第19号にも該
に規定する主要株主をいう。以下この号にお
当することも考えられます。
いて同じ。)の異動(当該提出会社の主要株
また、売却相手方との合意成立又
主であった者が主要株主でなくなること又は
は事実の公表の日付によっては、
主要株主でなかった者が当該提出会社の主要
有価証券報告書や四半期報告書の
株主になることをいう。)があった場合は、
後発事象に該当します。
次に掲げる事項が臨時報告書に記載する報告
⑤ 有価証券報告書等との整合性
事項です。
特定子会社の異動日が属する期間に係る有
イ 当該異動に係る主要株主の氏名又は名称
ロ 当該異動の前後における当該主要株主の所有議決権の数及びその総株主等の議決権に対する割合
ハ 当該異動の年月日
② 様式(第5号の3)における記載上の注意
では、ア)提出理由とイ)報告内容には提出日
現在の資本金の額及び発行済株式総数(会社
の数)を併せて記載する、ことが求められて
います。
③ 主要株主の定義
法第108条第1項各号に掲げる事項につい
金融商品取引法第163条第1項(抄)に
て異なる定めをした内容の異なる2以上の種
次のように定義されています。
類の株式を発行している場合には、種類ごと
第1項 主要株主とは、
(自己又は他人(仮設人を含む。)の名義をもって総株主等の議決権の百分の十以上
の議決権(取得又は保有の態様その他の事情を勘案して内閣府令で定めるものを除く。
)を保有している
株主をいう。
また、総株主等の議決権とは、金融商品取
定義されています。
引法第29条の4第2項(抄)に次のように
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第2項 会社の総株主等の議決権(総株主、総社員、総会員、総組合員又は総出資者の議決権をいい、株式
会社にあっては、株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することが
できない株式についての議決権を除き、会社法第879条第3項の規定により議決権を有するものとみな
される株式についての議決権を含む。以下同じ。)
なお、主要株主に該当しないものとして、
うに規定されています。
開示府令ガイドライン24の5-19に次のよ
次に掲げる株式は、開示府令第19条第2項第4号に規定する主要株主に該当するか否かを判定する際の
所有株式には含まれないことに留意する。
なお、同令第二号様式から第五号様式まで及び第七号様式から第十号様式までの記載上の注意に規定す
る主要株主についても同様とする。
① 信託業を営む者が信託財産として所有する株式
② 有価証券関連業を行う者が引受け又は売出しを行う業務により取得した株式
③ 法第156条の24第1項に規定する業務を行う者(証券金融会社)がその業務として所有する株式
④ 株券の保管及び振替を業とする者の業務により当該者の名義になっている株式
④ 異動の理由から留意すべき実例を2例紹介
なります。
留意点:事 実を補完することで「遅滞な
します。
実例1:3月決算会社が、株主名簿管理人
く」臨時報告書を提出したことを
から4月中旬に期末日現在で主要
投資者にご理解いただく方法とし
株主が異動した旨の報告を受け
て、異動日(○月○○日)の下に
て、異動の事実を知った場合、臨
「当該主要株主の異動は、大量保
時報告書の提出は中旬以降にな
有報告書(変更報告書)を平成
り、異動日の3月31日から相当
○○年○月○○日に受領し、内容
の期間が生じてしまい、「遅滞な
を確認したものです。」と記載す
く」提出できなかった、というこ
とになります。
留意点:事 実を補完することで「遅滞な
る方法が考えられます。
なお、確認をしないで主要株主の
異動があった旨の臨時報告書を提
く」臨時報告書を提出したことを
出し、後日、異動が無い事実が判
投資者にご理解いただく方法とし
明した場合は、提出した臨時報告
て、異動日(3月31日)の下に
書の扱いや有価証券報告書の「大
「当該主要株主の異動は、当社株
株主の状況」で記載が求められて
主名簿管理人より平成○○年3月
いる「確認」について、整合性が
3 1 日 現 在 の 大 株 主 名 簿 を 平 成
問われますので留意する必要があ
○○年4月○○日に受領したとこ
ります。
ろ、上記株主が当社の主要株主に
⑤ 有価証券報告書との整合性
該当しなくなること(該当するこ
主要株主の異動日が属する期間に係る有価
と)が判明したため、基準日であ
証券報告書の作成に際しては、主要株主の異
る同日をもって異動の年月日とし
動があった旨を注記することになります。
ております。
」と記載する方法が
また、大量保有報告書(変更報告書)の送
考えられます。
付を受けたが、事業年度末時点で実質所有状
実例2:大量保有報告書(変更報告書)の
況が確認できない場合は、大株主の状況の表
送付を受けて主要株主の異動を知
の欄外にその旨と内容を記載することになり
った場合、異動日から一定の日が
経過しています。加えて、内容の
ますので留意する必要があります。
⑥ 適時開示書類
確認を要しますので、「遅滞なく」
発生事実に該当しますので、主要株主の異
提出できなかった、ということに
動について留意する必要があります。
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金融商品取引法
⑷ 第9号(代表取締役の異動)
び同法第49条の3第2項の規定による報告
① 提出会社の代表取締役(優先出資法第2条
を含む。)終了後有価証券報告書提出時まで
第1項に規定する協同組織金融機関を代表す
に異動があり、その内容が有価証券報告書に
べき役員を含み、委員会設置会社である場合
記載されている場合を除く。)は、次に掲げ
は代表執行役、医療法人及び学校法人等であ
る事項が臨時報告書に記載する報告事項で
る場合は理事長。以下この号において同じ。)
す。
の異動(当該提出会社の代表取締役であった
なお、上記の( )書きの下線が引かれた
者が代表取締役でなくなること又は代表取締
部分は、『定時株主総会終了後の取締役会に
役でなかった者が代表取締役になることをい
おいて異動があり、その直後に提出する有価
う。以下この号において同じ。)があった場
証券報告書にその旨が記載される場合は、臨
合(定時の株主総会(優先出資法第2条第6
時報告書の提出は必要ありません。』という
項に規定する普通出資者総会並びに医療法第
ことを規定しています。
48条の3第2項に規定する定時社員総会及
イ 当該異動に係る代表取締役の氏名、職名及び生年月日
ロ 当該異動の年月日
ハ 当該異動の日における当該代表取締役の所有株式数
ニ 新たに代表取締役になる者については主要略歴
② 様式(第5号の3)における記載上の注意
価証券報告書等の作成に際しては、役員の状
では、ア)提出理由とイ)取締役会又は株主総
況の記載内容が前期から変わります。
会の決議によって該当することとなった場合
また、取引の有無によっては関連当事者情
は、当該決議の日を記載する、ことが求めら
れています。
報にも影響があります。
⑤ 適時開示書類
これは、事業年度の期中において取締役会
決定事実に該当しますので、代表取締役又
や臨時株主総会で異動があった場合は、当該
は代表執行役の異動について留意する必要が
決議の日を記載すると解されます。
あります。
③ 特異な実例を2例紹介します。
実例1:報告事項のハでは、異動日現在の
事業年度に係る計算書類の承認をする取締
役会で、定時株主総会後の代表取締役を内定
所有株式数を記載すべきところ、
した場合に、適時開示書類の提出と合せて、
次の日付で所有株式数を記載して
臨時報告書を提出している実例が散見されま
いた事例がありました。
すが、前記①のなお書きのとおり提出の必要
臨時報告書提出日(異動日以外の
はありません。
日)
株主名簿の基準日(期末日)
就任を決議した日(異動日)の属
する月末
実例2:代表取締役を退任し監査役に就任
議された場合(当該提出会社が法第24条第
1項第1号又は第2号に掲げる有価証券に該
当する株券の発行者である場合に限る。
)は、
末の定時株主総会で代表取締役か
次に掲げる事項が臨時報告書に記載する報告
ら監査役への就任です。自己監査
事項です。
に相当する期間については、内部
なお、臨時報告書を提出すべき発行会社
統制上からも疑問がありますの
は、上記( )書きのとおり、上場会社及び
で、何らかの条件等が附されて監
店頭登録会社です。これは、制度導入の目的
査役としての職務を遂行したと思
が、株主総会の決議結果のみならず、その賛
われますが詳細は不明です。
否の票数を開示することにより、議案の支持
代表取締役の異動日が属する期間に係る有
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① 提出会社の株主総会において決議事項が決
している事例がありました。6月
④ 有価証券報告書等との整合性
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⑸ 第9号の2(株主総会の決議事項)
の度合いが明らかにされることで経営陣への
けん制効果が期待される、ということでコー
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ポレート・ガバナンスのさらなる充実を図る
提出が義務付けられたものです。
ために、臨時報告書による議決権行使結果の
イ 当該株主総会が開催された年月日
ロ 当該決議事項の内容
ハ 当該決議事項(役員の選任又は解任に関する決議事項である場合は、当該選任又は解任の対象とする者
ごとの決議事項)に対する賛成、反対及び棄権の意思の表示に係る議決権の数、当該決議事項が可決され
るための要件並びに当該決議の結果
ニ ハの議決権の数に株主総会に出席した株主の議決権の数(株主の代理人による代理行使に係る議決権の
数並びに会社法第311条第2項及び第312条第3項の規定により出席した株主の議決権の数に算入する
議決権の数を含む。
)の一部を加算しなかった場合には、その理由
② 報告事項の補足
報告事項ハに規定する「当該決議の結果」
示府令ガイドライン24の5-30に次のよう
に規定されています。
には、議決権数の割合を記載することが、開
「当該決議の結果」には、決議事項が可決されたか否か、及びその根拠となる賛成または反対の意思の表
示に係る議決権数の割合を記載することに留意する。
上の囲みの下線を附した部分「議決権数の
庁がパブリックコメントにおいて次のように
割合」について、平成22年3月31日に金融
回答しています。
開示府令で記載することが求められるのは「当該決議の結果」としての可決の「根拠となる」
「議決権数
の割合」です(開示ガイドライン24の5-30)。実務的には、上場会社の株主総会において当日出席に係
る株主の議決権数自体は集計されることは多くあり、このような場合は、事前及び当日の集計で確認した
数を普通決議事項に係る可決の「根拠となる」
「議決権数の割合」の分母として用いることになると考えら
れます。出席株主の議決権数を確定することを行わなかった場合でも、個々の確認内容に応じて、その根拠
となる議決権数の割合を記載することが必要になります。
その他、報告事項に係るパブリックコメン
トの回答の一部を紹介します。
報告事項ロ
「当該決議事項の内容」(開示府令第19条第2項第9号の2ロ)は、臨時報告書が対象とする株主総会のど
の議案に係る議決権行使結果であるのかを明らかにする趣旨で記載するものです。そこで、基本的には議題
を記載することになると考えられますが、議題の記載だけでは他の議題と区別がつかなくなる場合には、
当該他の議題と明確に区別ができる記載を行うことが必要です。例えば、複数の候補者に係る取締役選任議
案を一つの議題にまとめている場合、取締役選任の件であることに加えて候補者の氏名を記載する必要が
あります。
報告事項ハ
「当該決議事項が可決されるための要件」として、定足数及び議案の成立に必要な賛成数に関する要件を記
載する必要があると考えられます。例えば、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する
株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数といった記載をすることが考えられます。定足数を満た
さなかった場合は、開示府令第19条第2項第9号の2ハに定める「当該決議の結果」として、定足数を満
たさなかったために可決もされなかった旨を記載することになると考えられます。
③ 様式(第5号の3)における記載上の注意
④ 報告事項のハ及びニに記載された注記の実
では、ア)提出理由とイ)取締役会又は株主総
例を紹介します。
会の決議によって該当することとなった場合
実例の調査は、平成22年6月1日から7
は、当該決議の日を記載する、ことが求めら
月16日までに提出された2,564件を対象に
れています。
弊社研究所が行ったものです。
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金融商品取引法
○報告事項のハの賛成、反対、棄権の説明
⑹ 第9号の4(監査公認会計士等の異動)
1 本総会前日までの事前行使分と、当日
① 提出会社において、監査公認会計士等(当
出席の一部株主による議決権行使の内容
該提出会社の財務計算に関する書類(法第
が確認できたものを合計したものです。
193条の2第1項に規定する財務計算に関
2 棄権票は独自に集計していないため、
する書類をいう。以下この号において同じ。
)
反対票と区別して表示していません。
について、同項の規定により監査証明を行う
3 賛成比率の算定は、意志表示を無効と
公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法
した事前行使分についても出席株主の議
律第百三号)第16条の2第5項に規定する
決権数に算入しています。
外国公認会計士を含む。以下この号において
○賛成率の計算式
同じ。
)若しくは監査法人(以下この号にお
注記事項として記載のあった事例は
いて「財務書類監査公認会計士等」という。
)
581件で、大多数の実例は「分母及び分
又は当該提出会社の内部統制報告書(法第
子に事前行使分と当日分を加えたもの」
24条の4の4第1項(法第27条において準
で、具体的な記載事例では、「本株主総会
用する場合を含む。以下この号において同
に出席した株主の議決権の数(本総会前日
じ。
)に規定する内部統制報告書をいう。以
までの事前行使分及び当日出席のすべての
下同じ。
)について、法第193条の2第2項
株主分)に対する、事前行使分及び当日出
の規定により監査証明を行う公認会計士若し
席の株主のうち、各議案の賛否に関して賛
くは監査法人(以下この号において「内部統
成が確認できた議決権の数の割合です。」
制監査公認会計士等」という。
)をいう。以
となっています。
下この号において同じ。
)の異動(財務書類
○決議結果の注記
監査公認会計士等であった者が財務書類監査
1 賛成個数、反対個数及び棄権個数は、
公認会計士等でなくなること若しくは財務書
株主総会当日において当日出席株主から
類監査公認会計士等でなかった者が財務書類
株主総会終了後に回収した調査票により
監査公認会計士等になること又は内部統制監
集計した議決権の数です。
査公認会計士等であった者が内部統制監査公
2 調査票の未回収等により、賛否の意思
認会計士等でなくなること若しくは内部統制
確認ができていない議決権の数○○個
監査公認会計士等でなかった者が内部統制監
は、棄権に含めて表示しています。
査公認会計士等になることをいい、当該提出
3 株主総会に出席した株主は挙手により
行使した議決権の状況によって可決を確
認しております。
会社が法第24条の4の4第1項又は第2項
(法第27条において準用する場合を含む。)
の規定により初めて内部統制報告書を提出す
○報告事項の二の株主総会に出席した株主の
ることとなった場合において、財務書類監査
議決権の数の一部を加算しなかった理由
公認会計士等である者が内部統制監査公認会
(記載のあった2,450件)
計士等を兼ねることを除く。以下この号にお
1 前日確定型 282件
いて同じ。)が当該提出会社の業務執行を決
議決権行使書等により株主総会前日ま
定する機関により決定された場合又は監査公
でに議案に対する賛成が確認できた。
認会計士等の異動があった場合(当該異動が
2 前日及び当日確定型 2,143件
当該提出会社の業務執行を決定する機関によ
前日までの議決権行使書等により賛成
り決定されたことについて臨時報告書を既に
が確認できた議決権数に加え、当日株主
提出した場合を除く。
)は、次に掲げる事項
総会に出席した株主のうち賛成が確認で
が臨時報告書に記載する報告事項です。
きた議決権数を加えた。
※下線部分がポイント
3 当日確定型 25件
株主総会当日に委任状による出席株主
のうち賛成が確認できた。
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イ 当該異動に係る監査公認会計士等(以下この号において「異動監査公認会計士等」という。
)の氏名又
は名称
ロ 当該異動の年月日
ハ 財務書類監査公認会計士等であった者が財務書類監査公認会計士等でなくなる場合又は内部統制監査
公認会計士等であった者が内部統制監査公認会計士等でなくなる場合には、次に掲げる事項
⑴ 当該異動に係る財務書類監査公認会計士等が直近において当該財務書類監査公認会計士等となった
年月日又は当該異動に係る内部統制監査公認会計士等が直近において当該内部統制監査公認会計士等
となった年月日
⑵ 当該異動に係る財務書類監査公認会計士等が作成した監査報告書等(財務諸表等の監査証明に関する
内閣府令(昭和三十二年大蔵省令第十二号。以下この号において「監査証明府令」という。)第3条の
第1項の監査報告書、中間監査報告書又は四半期レビュー報告書であって、当該異動の日前三年以内
に当該提出会社が提出した財務計算に関する書類に係るものをいう。
)に次に掲げる事項の記載がある
場合には、その旨及びその内容
ⅰ 監査証明府令第4条第4項第2号に規定する除外事項を付した限定付適正意見又は同項第3号に
規定する不適正意見
ⅱ 監査証明府令第4条第8項第2号に規定する除外事項を付した限定付意見又は同項第3号に規定
する中間財務諸表等が有用な情報を表示していない旨の意見
ⅲ 監査証明府令第4条第12項第2号に規定する除外事項を付した限定付結論又は同項第3号に規
定する否定的結論
ⅳ 監査証明府令第4条第14項に規定する意見又は結論の表明をしない旨及びその理由
⑶ 当該異動に係る内部統制監査公認会計士等が作成した内部統制監査報告書(財務計算に関する書類そ
の他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第六十二号。以下こ
の号において「内部統制府令」という。
)第1条第2項に規定する内部統制監査報告書であって、当該
異動の日前三年以内に当該提出会社が提出した内部統制報告書に係るものをいう。
)に次に掲げる事項
の記載がある場合には、その旨及びその内容
ⅰ 内部統制府令第6条第4項第2号に規定する除外事項を付した限定付適正意見又は同項第3号に
規定する不適正意見
ⅱ 内部統制府令第6条第6項に規定する意見の表明をしない旨及びその理由
⑷ 当該異動の決定又は当該異動に至った理由及び経緯
⑸ ⑷の理由及び経緯に対する監査証明府令第4条第1項各号に定める事項又は内部統制府令第6条第
1項各号に掲げる事項に係る異動監査公認会計士等の意見
⑹ 異動監査公認会計士等が⑸の意見を表明しない場合には、その旨及びその理由(当該提出会社が当該
異動監査公認会計士等に対し、当該意見の表明を求めるために講じた措置の内容を含む。)
② 様式(第5号の3)における記載上の注意
を含む。
)14社、3親会社の監査人と統一8
では、ア)提出理由とイ)取締役会又は株主総
社、4監査報酬等条件が合意せず7社、5監
会の決議によって該当することとなった場合
は、当該決議の日を記載する、ことが求めら
れています。
③ 報告事項のハの⑸記載された理由の実例を
査意見等の相違による解約5社、6その他
(監査人の独立性に抵触する恐れなど)11社
となっています。
この一番多い「任期満了」の理由について、
紹介します。
監査契約は毎年契約書を締結していますの
実例の調査は、平成21年4月から6月ま
で、一昨年も昨年も今年も「任期満了」とい
でに提出された152件を対象に弊社研究所
う状況にあるとも言えます。では何故今年
「任
が行ったものです。
期満了」なのか、が分からない、理由に当た
異動の理由は、1任期満了98社(うち2
るのか、ということです。
社は意見不表明があった旨を記載2社)
、2
また、監査意見等の相違による解約は、次
監査体制の見直し(監査人のローテーション
の監査人は相違した内容をどのように判断し
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金融商品取引法
たのか、も投資家にとっては関心があるとこ
ろです。
④ 有価証券報告書等との整合性
⑹ 第12号(財政状態、経営成績及びキャッシ
ュ・フローの状況に著しい影響を与える事象)
① 提出会社の財政状態、経営成績及びキャッ
監査公認会計士等が最近2連結会計年度
シュ・フローの状況に著しい影響を与える事
(最近2事業年度)に異動があった場合は、
象(財務諸表等規則第8条の4に規定する重
その旨を有価証券報告書の経理の状況の冒頭
要な後発事象に相当する事象であって、当該
に記載します。
事象の損益に与える影響額が、当該提出会社
記載する内容は、臨時報告書の報告事項
の最近事業年度の末日における純資産額の百
(上記①の表のハの⑵から⑹まで)の概要で
分の三以上かつ最近五事業年度における当期
す。
純利益の平均額の百分の二十以上に相当する
また、コーポレートガバナンス「会計監査
額になる事象をいう。)が発生した場合は、
人の役割」や「監査報酬」も留意する必要が
次に掲げる事項が臨時報告書に記載する報告
あります。
事項です。
なお、四半期報告書の場合は、監査公認会
なお、最近5事業年度のうち、当期純損失
計士等の異動日の属する四半期連結会計期間
が発生している期については、当該期を考慮
(四半期会計期間)に係る四半期報告書の経
理の状況の冒頭にその旨を記載します。
⑤ 適時開示書類
せずに算出します。
例:○2年、○3年が純損失の場合は、
(○
1年+○4年+○5年)÷3年×20
監査公認会計士等の異動の内容により、決
%= となります。(企財審査NEWS
定事実若しくは発生事実に該当しますので留
第1-6号より)
意する必要があります。
イ 当該事象の発生年月日
ロ 当該事象の内容
ハ 当該事象の損益に与える影響額
② 様式(第5号の3)における記載上の注意
では、ア)提出理由とイ)取締役会又は株主総
れています。
③ 後発事象とは
会の決議によって該当することとなった場合
財務諸表等規則第8条の4には、次のよう
は、当該決議の日を記載する、ことが求めら
に規定されています。
貸借対照表日後、財務諸表提出会社の翌事業年度以降の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状
況に重要な影響を及ぼす事象(以下「重要な後発事象」という。
)が発生したときは、当該事象を注記しな
ければならない。
同ガイドライン8の4では
規則第8条の4に規定する重要な後発事象とは、例えば次に掲げるものをいう。
1 火災、出水等による重大な損害の発生
2 多額の増資又は減資及び多額の社債の発行又は繰上償還
3 会社の合併、重要な事業の譲渡又は譲受
4 重要な係争事件の発生又は解決
5 主要な取引先の倒産
6 株式併合及び株式分割
以上のほか、
「日本公認会計士協会 監査・
事象の内容及び発生日によっては、後発事
保証実務委員会報告第76号 後発事象に関
象として記載若しくは経理の状況のその他に
する監査上の取扱い 付表2の例示」が参考
記載をするほか、以下の開示書類の各項目に
になります。
留意する必要があります。
④ 有価証券報告書等との整合性
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有価証券報告書:業 績 等 の 概 況、 財 政 状
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態、経営成績及びキャッ
おわりに
シュ・フローの状況の分
冒頭に申し上げました東京会場でのセミナーを3
析
月9日に行い、11日に東日本大震災が発生、名古
四半期報告書:財政状態、経営成績及びキ
屋会場では急きょ第5号の「重要な災害の発生」を
ャッシュ・フローの状況の
追加しました。大震災後に提出された臨時報告書の
分析
提出状況をはじめ法定開示書類における被災状況に
臨時報告書:第 12号は単体に係る規定で
関する記載内容は、弊社研究所のホームページに概
すが、第19号は連結会社に
要を速報値として掲載をしております。
係る規定です。
臨時報告書の提出状況と記載内容の集計と分析を
ま た、第12号はいわゆるバ
含め、有価証券報告書、四半期報告書における記載
スケット条項といわれ、他の
状況は、次号(10月号)で報告を予定しています。
号と合せて該当する場合や、
他の号では該当しなくとも該
当する事例も多い適用号で
す。
⑤ 適時開示書類
その他上場会社の運営、業務若しくは財産
又は当該上場株券等に関する重要な事項の状
況により、決定事実若しくは発生事実に該当
しますので留意する必要があります。
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国際会計基準
IFRSをめぐる最近の動向
橋本 尚
総合ディスクロージャー研究所顧問 (青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授)
1.はじめに
2011年6月30日をもって、2001年の活動開
コンバージェンス・プロジェクト(両基準の共通化
プロジェクト)の完成目標期日ともされていたが、
始以来、国際会計基準審議会(IASB)の初代議長
半年延長され、2011年末が新たな目標期日とされ
として国際財務報告基準(IFRS)開発の中心的な
ており、金融商品、収益認識、リースといった主要
役割を果たされてきたトゥイーディー卿も2期10
なIFRSの改訂も本年中に出揃うことになる。MOU
年の任期を満了し、7月1日からはフーガーホース
の完成は、アメリカの証券取引委員会(SEC)が
ト議長とマッキントッシュ副議長へとバトンが受け
アメリカ上場企業に対して、IFRSを適用するかど
継がれ、新体制がスタートした。同じく、IASBの
うかを本年判断する際の条件の1つとされており、
日本人理事として精力的に活動されてきた山田辰己
世界中が注視している。このように本年は、今後の
氏も本年6月で任期満了となり、7月からは、国際
IFRSの動向を大きく左右する重大な年といえよう。
財務報告基準解釈指針委員会のメンバーであった鶯
本稿では、IFRSをめぐる最近の動向を概観する
地隆継氏が新たにIASB理事に就任された。後任の
とともに、財務報告基準(企業会計基準)は、第一
国際財務報告基準解釈指針委員会のメンバーには、
義的には財務情報(会計情報)の作成者である企業
7月から湯浅一生氏が就任されている。こうした後
や経営者のためにあるのではなく、投資家などの財
任の枠を確保できたことは、過去の紆余曲折はあっ
務情報(会計情報)の利用者のためにあるとの立ち
たにせよ、近年の我が国のIFRS開発や導入へ向け
位置から若干の私見を述べていくこととする。
た積極的な貢献が評価されたものであり、本年2月
のIASBのアジア・オセアニア地域のサテライト・
オフィスの東京設置の正式決定という朗報ととも
に、引き続き日本がIFRSの設定に積極的に貢献し
単一の質の高いグローバル基準であるIFRSを導
入する利点としては、次のようなものがある。
ていくことができるという意味からも、また、アジ
第一に、企業の財務報告に対する外部からの信頼
ア・オセアニア諸国とともに地域の声を反映させて
が高まることである。一般にIFRSによるディスク
いくことができるという意味からも好ましいことで
ロージャーは、透明性も高いものとして認知されて
ある。
おり、企業間の比較可能性が高まる結果、海外の投
2005年3月に立ち上げられたIASBと企業会計
資家、とりわけ世界を動かす有力な機関投資家が
基準委員会とのIFRSと日本基準とのコンバージェ
IFRSを採用する企業の発行する有価証券をポート
ンスの達成を最終目標とする共同プロジェクトも、
フォリオ等へ組み込む可能性が高まることが期待さ
2007年8月の東京合意を転換点として、2011年
れる。我が国の会計戦略は、こうした有力な機関投
6月30日という目標期日へ向けて邁進してきた。
資家を惹きつけることを基本とすべきである。また、
東京合意が締結されたのは北京五輪開会式のちょう
セグメント情報その他の注記情報やMC(経営者に
ど1年前であり、当時を回顧すればかなり先の目標
よる説明)などの開示項目における情報開示を工夫
期日のように思われたが、今、実際にこの日を迎え
することにより、企業の特徴を積極的に外部にア
て、あらためてIASBや企業会計基準委員会の過去
ピールすることができる。IFRS導入は、企業が積
10年間の活動を振り返るとき、IFRSやそれに伴う
極的に海外へ出ていき国際展開を進める上でも、国
我が国企業会計基準をめぐる状況の急速な展開に隔
内に投資資金を迎え入れる上でも大きなメリットを
世の感を禁じ得ないというのが実感である。
もたらすものである。IFRSへの移行は、外部への
本年6月30日は、IASBとアメリカの財務会計基
企業内容のディスクロージャーの向上を通じて、企
準審議会(FASB)との覚書(MOU)に示された
業の株価や資金調達条件(資本コスト)などに有利
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2.IFRS導入の意義
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に働くものと予想され、企業の国際競争力を高める
るようになり、存在感を示すことで、応分の主導権
ことにつながる。また、認知度の向上や優秀な人材
を握る可能性も高まるであろう。
の確保など数多くの副次的なベネフィットも期待さ
れる。
2009年6月に企業会計審議会から「我が国にお
ける国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報
第二に、同一の状況に対して同一の会計処理を適
告)」が公表され、我が国におけるIFRSのアドプシ
用することを厳格に求めるIFRSの導入は、真の意
ョンへ向けたロードマップが示され、この線に沿っ
味で管理会計のモノサシを統一する機会ともなる。
てコンバージェンス作業が継続する一方で、2010
IFRSによる管理会計のモノサシの統一により、企
年3月期からはIFRS(指定国際会計基準)の任意
業の内部の財務情報の有用性や信頼性などが飛躍的
適用が特定会社の連結財務諸表において認められて
に高まることが期待され、経営者は、グループ内の
い る と こ ろ で あ る。 日 本 電 波 工 業 株 式 会 社 は、
各部門を共通の尺度で目標設定し、業績の測定と評
2010年3月期の有価証券報告書にIFRSに基づく
価を行うことができるようになる。
連結財務諸表を含めて提出し、我が国におけるいわ
第三に、IFRSに基づく財務諸表の作成準備の一
ゆる「IFRS任意適用第1号」となったが、2011
環でなされるグループ・アカウンティング・マニュ
年3月期には、この日本電波工業と住友商事(決算
アルの整備・充実やシステムの統一は、グループ内
短信は、連結業績については米国基準、翌期の業績
の情報経路と情報規格を統合・整理する機会をもた
予 想 に つ い て はIFRSで 開 示 )、HOYAの 3 社 が
らし、結果として、企業は、社内で伝達される経営
IFRSに基づく連結財務諸表を公表した。
情報の信頼性や適時性を高めることができる。特に、
東京証券取引所が2010年11月15日に公表した
IFRSは企業に対して公正価値情報やリスク情報な
「IFRS準備状況に関する調査結果(概要)」*1によれ
どを投資家等に対して提供することを求めている
ば、「2015 年~2016年3月期ないしそれ以降に
が、これらの情報は経営者にとっても有用な情報と
強制適用になると予想しているため、それに向けた
いえる。ディスクロージャーのための情報収集経路
準備を既に行っている」会社は1,059社(回答者
の整備・充実を通じて、経営者は、企業の「神経系」
の67.4%)にのぼり、IFRSの「任意適用に向けた
情報ともいえる企業グループ内の公正価値の変動や
準備を現在行っている」会社も97社(回答者の
リスクなどの情報を収集する経路をもつことができ
6.2%)に達している。
るようになる。
同調査結果には、仮に将来IFRS が適用されなか
第四に、IFRSの採用は、会計言語の世界的な統
った場合の不安(複数回答可)として、次のような
一をも意味する。企業グループ内での世界共通の会
ものがあげられている。中でも①の不安は、最も多
計基準の採用は、会計分野におけるグループ内の人
い587社(回答者の37.3%)が指摘しているとこ
材配置の柔軟化やグローバルな人材交流(人材のグ
ろである。
ローバル化)の可能性を高めることにもつながる。
また、会計業務の標準化の推進やグループ内の会計
業務を1つの拠点(シェアード・サービス・セン
ター)にまとめて会計業務の集中実施を行うなど、
会計業務の効率化を追求する可能性も広がっていく
ものと思われる。このようにIFRS導入は、企業内
① 我が国資本市場の魅力が低下し、日本に投資
資金が集まらなくなる。
② EU など国際的な市場における資金調達がで
きなくなる。
③ 国際企業にとって、海外の同業との関係が対
等でなくなる。
外における戦略の幅を飛躍的に拡大するものであ
④ 国際企業にとって、海外子会社を含んだグ
り、世界に通用するモノサシで経営の舵取りを行っ
ローバルに統一的な管理・処理が行えない。
ていくという経営トップの主体的かつ積極的な姿勢
⑤ 自社の使用する会計基準に対する不安が生
が今まさに求められている。
我が国会計戦略上も、IFRSの導入によりIFRSを
実際に適用し、評価することから得られた経験を
じ、株価に不利な影響を与える。また、レジェ
ンド問題が再燃する。
⑥ IASB への交渉力が落ちて、我が国の実態が
IFRSの基準設定の場へ反映させることを通じて、
反映されないIFRS とのコンバージェンスを進
IFRSの設定にいっそう主体的・積極的に貢献でき
めることになる。
http://www.tse.or.jp/rules/ifrs/b7gje6000001cknd-att/b7gje6000001cksq.pdf
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国際会計基準
*2
⑦ その他(自由記載欄あり)
えた今日、我が国におけるIFRS対応に関しては、
他方、仮に将来IFRSが適用された場合の不安(複
今後とも国家の会計戦略として、IFRSの我が国財
数回答可)としては、次のようなものがあげられて
務報告制度上の位置づけや適用範囲を情報利用者の
いる(過半数の会社が指摘している不安については、
意思決定への役立ちや利害調整という会計の原点に
末尾に会社数と全回答者に占める割合を記してい
立ち返って明確化し、顧客指向で利用者の利便性を
る)。
第一に考えていくことが肝要である。その際には、
① IFRSに 精 通 し た 人 材 が 不 足 し て い る。
我が国のアジア・オセアニアにおける立ち位置を従
来にも増して意識すべきである。
1,044社(66.5%)
② プリンシプル・ベースであり、解釈指針が十
分ではないので、具体的な会計処理の手続きの
3.次の10年を見据えたIFRS財団の戦略レビュー
設定が難しい。1,195社(76.0%)
③ 適用時期の設定次第では、準備が間に合わな
いおそれがある。
2010年初めに完了した第2次定款見直しの結果
を受けて、IFRS財団の評議員会は2010年11月5
日、2011年以降の次の10年間の方針と戦略を明
④ IASBとFASBのMoUの動向など、今後の会
確化することを目的として、2011年8月の完了を
計基準の変更が確定せず、準備を進めにくい。
目指してIFRS財団の次期の戦略レビューを開始し
895社(56.9%)
た*4。IASBを中心とする現行の組織構造は、IASB
⑤ 単体の基準設定次第で、税の不利益が生じな
いか不安である。
の監視機関としてのIFRS財団の評議員会、IFRS設
定機関としてのIASB、IFRS財団・評議員会の活動
⑥ 単体の基準設定次第で、経営管理上の問題が
生じないか不安である。
の公的な立場からの監視機関としてのモニタリン
グ・ボードの三層構造となっているが、コンバージ
⑦ その他(自由記載欄あり)
ェンスからアドプションへ、基準の品質の維持と一
2012年のIFRS強制適用の判断時期を目前に控
貫した基準の適用、ガバナンスと説明責任といった
*3
その他(自由記載欄あり)の主な回答は、次のとおりである。
2 ・海外顧客の日本企業への評価や、金融機関からの信用についての懸念がある。
・取引先(発注元)がグローバル企業であった場合には間接的な影響が懸念される。
・ IFRSの強制適用を前提として行った準備コストに見合うリターンが得られない。
・ IFRSを契機に改善を予定している事項について、頓挫する可能性が高まる。
・ IFRSを適用している国際企業との合弁・M&Aに不都合を生じる可能性がある。
・既にIFRS の任意適用を行った企業との比較可能性が低下する。
・導入を前提として進めた社内体制や取引先との契約等の変更などが無駄になる可能性がある。
・資金調達のメリットと機動性が大きく損なわれる可能性がある。
・海外子会社についての連結会計処理が適切に行えない懸念がある。
・世界中の日米以外のほとんどが統一されている中で、そのまま独自で進むことは考えにくい。
・海外の同業他社との比較が容易でなくなるため、グローバルな視点が不足する。
・国内においても任意適用会社との株式市場における差別化による影響が出る可能性がある。
・日本政府への不信感が高まり、行政や立法が日本企業の抱える大きなリスクファクターであると認識されかねない。
その他(自由記載欄あり)の主な回答は、次のとおりである。
3 ・IFRSへの対応等に必要となるコスト・事務負担が膨らむことに対する懸念がある。
・会計士と基準解釈が異なるリスクが増大することが懸念される。
・小規模連結対象会社の会計システムをどのようにすべきか不安に感じる。
・会計基準の詳細が明確でないため中長期計画等財務諸表に与える影響が不透明。
・会社法決算などとの不整合が生じることへの懸念がある。
・連結のみIFRSが導入された場合、単体財務諸表(子会社を含む)の作成方法への懸念がある。
・プリンシプル・ベースのため、同業界内でも会計処理が異なり、比較可能性が損なわれるおそれがある。
・株主に対して過度の不安や誤解を招きかねない。
・経営努力とは無縁の資産の時価査定が大きなインパクトを示す会計基準が、本当に企業の評価を的確に表示しているか疑問が
ある。
・連結財務諸表非作成会社へのIFRS 適用の詳細が決まっておらず、不安がある。
・公正価値により評価される局面が増加するため、業績が短期的な市場の動向に左右され、長期的視点に立った経営に対する投
資家の理解が得にくい可能性がある。
http://www.ifrs.org/The+organisation/Governance+and+accountability/Strategy+Review/Strategy+Review.htm
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直面する課題を踏まえて、IFRS財団の評議員会で
替がない企業にIFRS適用上のミスが多く見られた
は、次の4つの戦略的な側面から検討を行ってお
という。IFRS導入の時期に関しては、先行して導
り、現在、戦略レビュー文書について利害関係者に
入した企業よりも遅れて導入した企業の方が十分な
7月25日を期限として2回目のコメントを求めてい
準備期間が確保できた分、先行経験からいろいろと
るところであり、合わせて一連の円卓会議も開催さ
学ぶことができたので、IFRS適用上のミスが少な
れたところである(東京開催は6月7日)。
かったという。こうした知見は、わが国における
① ミッション(使命)の見直し
IFRS導入に際しても大いに参考となろう。
・財務報告基準の目的に関して、財務諸表の目
原則主義のIFRSの下での会計上の判断は、経験
的は、投資家保護の精神に基づいて利用者の
を積むことで体得していくほかはない。一日も早く
資源配分の決定に資することであるが、金融
具体的な事例に基づくIFRS適用のあり方について
市場の安定性の確保なども配慮すべきか。
企業、会計事務所、行政機関などで本格的な検討を
・守備範囲を非営利組織、公的部門、持続可能
進めるべきであり、いつまでもIFRS導入の是非を
性、XBRLなどに拡大すべきか。
論じているステージに留まっている余裕はない。こ
・一貫した基準の適用をどのように確保すべき
うすれば有効かつ効率的にIFRSを適用できるとい
か(離脱について、監査報告書上で何らかの
っ た 知 見 を わ が 国 企 業 間 で 共 有 し、 国 を 挙 げ て
対応を行うべきか)
IFRSへの対応へ向けた準備をいっそう促進してい
② ガバナンスの見直し
・現在の三層構造によるガバナンス体制を堅持
すべきか。
③ 基準設定プロセスの見直し
くべきである。
2011年6月21日には、金融庁のホームページ
に自見庄三郎金融担当大臣談話―IFRS適用に関す
る検討について―が掲載され、2016年3月末まで
・デュー・プロセスをさらに強化すべきか(審
とされているアメリカ基準の使用期限を撤廃し、引
議事項の設定、影響分析、IFRS適用後のレ
き続き使用可能とすることが示された。6月30日
ビュー)
。
には、企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議
・作業計画の優先順位は適切か。
④ 資金調達方法を見直し
・IASBの独立性を確保し、基準設定を効果的
かつ効率的に進めるための説明責任に耐えう
が開催された。
ともあれ、IFRSをめぐる当面の最大の関心事は、
アメリカがIFRSの強制適用に関して本年、どのよ
うな判断を行うかということである。
る資金調達方法はどうあるべきか(フリーラ
イダーを許さない資金調達方法、弾力的な予
算編成ができるような公的支援が付いた形の
長期的安定的な資金確保の方法など)。
4.むすびにかえて
「IFRS移行時に見られる会計上の誤謬の分析(An
Analysis of the Accounting Errors that Arise
During the Transition to IFRS)
」*5と題するワー
キング・ペーパーによれば、オーストラリア企業の
IFRSへの移行を円滑に進める上で、最善の実務と
教育が重要な役割を果たしたという。最高財務責任
者(CFO)の資質、監査人の資質、IFRS導入の時
期の3つの要因は、IFRS導入で成功を収めるため
の重要な鍵となる。すなわち、CFOの資質に関し
ては、公認会計士の経歴を有するCFOや在職期間
の長いCFOを擁する企業では、IFRS適用上のミス
が少なかったという。監査人の資質に関しては、最
近監査人が交替したり、長年にわたって監査人の交
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1752485
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会社法
上場会社の不正調査報告の分析(4)
―子会社不正会計事件における親会社監査役の責任―
六川 浩明
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 弁護士 (成城大学法学部講師)
(首都大学東京 産業技術大学院大学講師)
澤田 祐亨
弁護士 (職業能力開発総合大学校講師)
第1 はじめに
しも明らかではない。なぜなら、このような場合に
上場会社における不正会計事件のうち、近年多数
は、監査役が直接監査責任を負う対象である上場親
発生し、世間の耳目を集めている類型として、上場
会社取締役の任務懈怠行為は意図的なものとしては
会社の子会社(海外子会社を含む)における不正会
存在せず、あくまでも上場親会社に影響を及ぼしう
計事件(以下「子会社不正会計事件」という)があ
る子会社の重大な不正会計行為に気がつくことなく
る。上場親会社から独立した別法人である子会社に
これを看過したこと、という消極的な形で問題とさ
おける不正会計事件が上場親会社の適時開示の対象
れるに過ぎないことに加え、直接当該会計不正行為
となるのは、言うまでもなく、連結会計制度を通じ
を行った子会社は上場親会社から独立した別法人と
て、当該上場会社と資本的及び実質的に支配従属関
して、それ自身の取締役、取締役会及び監査役等の
係にある子会社・関連会社らを含めた企業集団全体
機関を備えていることから、これらの当該子会社自
の業績に多大な影響を及ぼすおそれがあり、ひいて
身の機関の職責との関係が問題となるからである。
は上場親会社自身の業績及び株価にも重大な影響を
そこで、本稿では、このような親会社が関与しな
及ぼしうるものと考えられるからである。
このような子会社不正会計事件のうち、上場親会
社乃至その取締役らが子会社に対する支配関係を悪
い子会社独自の不正会計事件における上場親会社監
査役の法的責任について、若干の検討を行うことと
したい。
用し、直接関与して行うものについては、当該上場
なお、本稿において述べられている見解は筆者の
親会社の監査役の法的責任を問うことの理論的な問
個人的見解であり、筆者が現在所属し、又は過去に
題は比較的少ないと思われる。なぜなら、そのよう
所属した組織の見解を代表するものではない。
な子会社を利用した不正会計事件への関与は、それ
自体として上場親会社の取締役としての任務に直接
第2 監査役の責任論一般
的に違背する違法な職務執行行為であると考えられ
1 監査役の任務
るため、そのような取締役の行為を漫然看過した監
会社法上、監査役は、その任務を怠ったときは、
査役についても、当該上場親会社取締役の職務執行
会社に対して損害賠償責任を負うものとされている
についての監査責任を果たしたかどうか、という形
(会社法(以下「法」という)423条1項)
。ここで
で任務懈怠責任の有無が問われることになるからで
いう「監査役の任務」とは、
「取締役の職務執行を
ある。すなわち、この場合の親会社監査役の任務懈
監査すること」である(法381条1項)
。この監査
怠責任の有無についての判断は、会社の事業におけ
役による監査権限に含まれる業務監査の範囲につい
る取締役の職務執行一般に対する監査責任の履行の
ては、適法性監査に限定されるか、妥当性監査にま
有無についての判断と特に異なるものではない、と
で及ぶかという議論が古くからあるが、一般的には
いうこととなる。
監査役の監査権限は適法性監査に限定されるものと
しかし、近年増加している、上場親会社乃至その
理解されている。また、そのように解しても、取締
取締役らの直接の関与がなく、子会社独自で行われ
役による職務執行が著しく不当なものとして善管注
た不正会計事件についても、上記と同様の判断枠組
意義務違反を構成する場合には、当該職務執行行為
みを用いることができるかどうかについては、必ず
は違法性を帯びることになるため、この限りでは取
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締役の職務執行の妥当性についても監査役の業務監
において生じた不正会計事件については、当
査の対象となると解されている1。
該会社の取締役の職務執行が直ちに違法なも
のと評価されることになるため、当該会社の
2 監査役の法的責任発生の基本的構造
以上のような会社法の規定及びその解釈からすれ
監査役の責任については、かかる取締役の違
法な職務執行を前提として、これを是正し、
ば、取締役の職務執行の結果会社に生じた損害につ
会社が損失を被ることを回避する責任を果た
いては、まず当該取締役の職務執行行為が善管注意
したかどうか、という観点から任務懈怠の有
義務違反等の違法性を有する行為であると判断さ
無及び故意・過失の存否が問われることとな
れ、かかる取締役の業務執行行為の違法性を前提と
る。
して、監査役が適切に権限を行使すればそのような
この場合においては、取締役の損害賠償責
取締役の違法行為を防止し、これにより会社に損害
任を肯定するためには、その職務執行の違法
が生ずることを回避することができたと判断された
性に加え、当該取締役自身について故意・過
場合に、監査役にも任務懈怠が認められる結果、当
失のいずれかの存在が肯定される必要がある3
該監査役もまた当該損害について責任を負うという
ところ、当該会社自体の不正会計事件発生の
のが、かかる損害について監査役が法的責任を負担
事実により、取締役の職務執行の違法性は(当
する通常の場合であるということとなる。このよう
然に)肯定されることとなるものの、故意・
に解することなく、一般的に、取締役の業務執行の
過失の要件について当該取締役にいずれも認
結果として会社に生じた損害に関して取締役自身に
められないと判断され、結果として取締役の
任務懈怠等の違法性が認められない場合にも、監査
法的責任が否定される可能性は存在する。こ
役には別途責任を問うことができるとすると、会社
の場合には、当該取締役は最終的には会社が
の経営に直接関与する立場にない監査役が会社経営
被った損害について賠償すべき責任を負わな
上の結果責任を負担しなければならないこととな
いこととなる。
り、不都合が生ずる。
一方、そのような場合であっても、取締役
したがって、取締役の職務執行の結果会社に生じ
による違法な職務執行の事実自体は存在する
た損害に関する責任については、原則として、監査
ことから、監査役において任務懈怠及び故
役の責任発生の前提として取締役の法的責任の発生
意・過失がともに肯定される場合が理論的に
が先行している必要があり、取締役が当該損害につ
はありえ、この場合には結果として、取締役
いて責任を負わない場合に監査役が単独で責任を負
は法的責任を負わないにもかかわらず、監査
うことはないように思われるが、常にそのように言
役が損害賠償責任を負担するという事態が生
い切れるかというと、以下のとおり例外がありう
じうることとなる(ケース1)
。
る。
(2)子会社不正会計事件の場合の特殊性
(1)監査役の所属する会社自体の違法行為の場合
また、判例 4 において、
「会社が法令を遵守
一般に、取締役の任務懈怠責任における「任
すべきことは当然であるところ、取締役が会
務懈怠」には、当該取締役の職務行為につい
社の業務執行を決定し、その執行に当たる立
ての法令違反のみならず、当該取締役が所属
場にあることからすれば、会社をして法令に
する会社自体の法令違反の事実がすべて含ま
違反させることのないようにするため、その
れるものとされている2から、会社の業務につ
職務執行に際して会社を名宛人とする(法令
いて客観的に法令違反の事実があれば、当該
の)規定を遵守することもまた、取締役の会
事実は直ちに当該会社の取締役の任務懈怠を
社に対する職務上の義務に属するというべき」
構成することとなる。したがって、当該会社
とされているとおり、会社の業務についての
江頭憲治郎「株式会社法 第3版」484頁・神田秀樹「会社法 第9版」204頁・落合誠一他編「新基本法コンメンタール 会
1 社法2」232頁。
最判平成12.07.07 民集54.6.1767。(所謂「無制限説」。なお、この判例の事案は旧商法266条に関するものであるが、現
2 行の会社法423条についても妥当するものと理解されている(別冊ジュリストNo.180「会社法判例百選」120頁))。
同判例。
3 同判例。
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会社法
法令・定款違反が直ちに当該会社の取締役の
が更に問題となるが、親会社監査役が子会社
職務執行の違法を構成するのは、あくまでも
の取締役ととりわけ懇意の間柄であるなどの
当該取締役が違法な業務執行が行われた会社
理由により、親会社取締役らが到底知りえな
の「業務執行を決定し、その執行に当たる立
いような情報を独自に入手していたにもかか
場にある」ことがその根拠とされていること
わらず、これを敢えて看過し漫然放置してい
からすれば、子会社において生じた不正会計
たというような事情がある場合には、親会社
事件については、子会社の「業務執行を決定
取締役の職務執行に違法性が認められないに
し、その執行に当たる」者として当該子会社
もかかわらず、なお親会社監査役の法的責任
自体の取締役らが別途存在するのであるから、
が追及される余地はあるように思われる。
親会社自体の業務について法令・定款違反が
この場合には、当該子会社不正会計事件に
生じた場合とは異なり、当該事件発生の事実
関する親会社取締役の職務執行には違法性が
をもって直ちに親会社取締役の職務執行に違
認められないため、親会社取締役の職務執行
法性があったと評価することはできない。
の違法性監査という親会社監査役の職務執行
したがって、子会社不正会計事件について
についても問題が生ずる余地はないと考えら
は、まず、親会社取締役の職務執行の適法性
れるから、親会社監査役の責任追及の根拠と
についての評価がなされなければならず、さ
してはより一般的な、監査役としての善管注
らに親会社監査役の職務執行についての任務
意義務(法330条)違反が問題とされること
懈怠・善管注意義務違反の有無を検討する、
になろう(ケース2)。なお、かかるケースに
という段階を踏むこととなる。
おいて、親会社監査役が独自に入手した情報
ここで、当該子会社不正会計事件に関し、
を親会社取締役会に適切に報告したにもかか
親会社取締役による子会社の監督について任
わらず、親会社取締役らが適切な是正措置を
務懈怠が認められるなど、親会社取締役の職
取らなかった場合には、親会社取締役の職務
務執行が違法であると評価された場合の親会
執行において任務懈怠等の違法性が生ずるこ
社監査役の責任については、上記(1)の場
とになるため、問題としては上記(1)の場
合と同様に考えればよいであろう。また、親
合と同じこととなる。
会社取締役の職務執行の違法性の判断におい
ては、
「親会社取締役が子会社不正会計事件を
(3)小括
看過した」という不作為について、本来為す
以上のとおり、監査役の業務監査の範囲に
べき子会社に対する監督という職務執行を怠
ついて違法性監査に限定する通説的な見解を
ったといえるかどうか、という「作為義務違
とった場合であっても、監査役の法的な責任
反」の有無が問われることとなるから、その
発生の前提として、常に取締役の法的責任が
判断内容は親会社取締役の法的責任を肯定す
先行していることが必須である、ということ
るために必要な他の要件である故意・過失と
まではできず、取締役の法的責任が肯定され
いう主観的要件の判断と実質的に重なること
ない場合であっても、監査役の法的責任が独
とになる。このため、子会社不正会計事件に
自に追及される余地は存在するものと考えざ
ついては、上記(1)において述べたような、
るを得ない。
「親会社取締役の職務執行について違法性が認
しかし、監査役の職務としての業務監査は
められるが、当該取締役に故意・過失が認め
あくまでも当該監査役の所属する会社の取締
られないため、法的責任が発生しない」とい
役の業務執行の適法性の範囲に限定されると
う状況(すなわち上記ケース1)は生じない
解されること、監査役の有する調査権限等に
と考えられる。
ついての法の規定もかかる業務監査の範囲を
前提とした文言となっていること(法381条
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以上に対して、子会社不正会計事件につい
3項、382条、384条、385条1項)、取締
て、親会社取締役において当該子会社の監督
役は取締役会の構成員として会社の業務執行
に問題がなく、その職務執行に違法性が認め
全般を監督する立場にあり、会社の業務執行
られない場合であっても、親会社監査役の責
において監査役よりも遥かに直接的且つ広範
任がなお問われる場合がありうるかという点
な指揮・命令・監督権限を有していると考え
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られること、一方、監査役は直接的に会社の
を行っていれば、かかる親会社取締役の違法な
業務執行を行う立場にはないこと等からすれ
不作為による職務執行によって親会社に損害が
ば、上記ケース1・ケース2のいずれにおいて
生ずることを回避することが可能あった、と認
も、監査役が通常の業務監査の過程で偶然、
められる場合には、監査役にも任務懈怠又は善
取締役も覚知し得ないような従業員の違法又
管注意義務違反が肯定され、当該損害について
は著しく不当な事実を具体的に把握していた
賠償責任が生ずることとなる。
又は容易に把握可能な状況であった、などの
「特段の事情」がない限り、少なくとも業務監
② 例外的な場合
査に関して取締役の法的責任が認められない
しかし、親会社取締役において、任務懈怠・
場合に、監査役の責任が独立して問題とされ
善管注意義務自体が認められない場合(上記
ることはないように思われる 。現に、筆者が
ケース2)であっても、親会社監査役において
調査した範囲では、業務監査の遂行に関して
子会社不正会計事件の事実について実際に認識
過去に監査役の任務懈怠が肯定された全ての
していた又は容易に認識可能であったなどの
裁判例において、同時に取締役の違法な業務
「特段の事情」がある場合には、親会社監査役
執行による任務懈怠責任が肯定されており、
において善管注意義務違反等に基づき、その法
監査役のみが責任を負担した事案は見当たら
的責任が別途追及されることはありうる。
5
なかった 。
6
なお、上記のとおり、親会社取締役が直接関
与しない子会社不正会計事件については、親会
第3 子会社不正会計事件における監査役の責任に
ついての検討
1 基本的な判断枠組み
以上の検討を踏まえると、親会社及び親会社取締
社取締役の職務執行について違法性が認められ
るにもかかわらず、これについての故意・過失
が存在しないという場合(上記ケース1)は生
じないと考えられる。
役が関与することなく子会社の取締役又は従業員に
おいて独自で行われた不正会計事件について、親会
以下、上記①及び②のそれぞれの場合における監
社監査役が負うべき法的な責任についての基本的な
査役の責任発生の理論的経路及びその要点につい
判断枠組みは、概ね以下のようになると考えられ
て、更に踏み込んだ検討を行いたい。
る。
① 基本的な場合(親会社取締役の職務執行に違
法がある場合)
2 更なる検討
(1)基本的な場合について
業務監査に関して親会社監査役が負う責任
まず、基本的な場合(上記①の場合)にお
は、原則的には、自身が所属する会社の取締役
いて、監査役が会社に生じた損害について法
の職務執行が違法であることをその前提とする
的責任を負担するのは、(a)親会社取締役の
ものと考えられるため、まず、親会社取締役に
不作為による職務執行が違法であると評価さ
おいて当該子会社不正会計事件の発生を防止す
れること、及び、
(b)親会社監査役が適切な
ることができなかったことが、具体的事情に照
監査業務を行っていれば、当該親会社取締役
らして、取締役としての任務懈怠又は善管注意
の違法な職務執行によって親会社が損害を被
義務違反等に該当し、結果として親会社取締役
ることを回避することができたと認められる
の不作為による職務執行が違法性を有するに至
こと、の二点がともに肯定された場合である。
っていることが必要である。
その上で、親会社監査役において適切な監査
(a)の点については、取締役会設置会社に
ケース1については、違法な職務執行について、取締役においては過失(=認識可能性)すら認められないにもかかわらず、監
5 査役について任務懈怠及びこれについての故意・過失が認められるという特殊な場合に限られること、ケース2については、そ
もそも取締役の職務執行自体違法でないのに、なお監査役の善管注意義務が問題とされるという場合であること、からすれば、
いずれも本文に記載したような例外的な事情が存在する場合に限られるものと考えられる。
神戸地裁姫路支決昭和41.4.11(下民集17.3-4.222)、大阪地判昭和49.4.26(判時781.103)、東京地決昭和52.7.1(判
6 時854.43)、大阪高判平成18.06.09(判タ1214.115)、大阪地判H21.1.15(労判979.16)。なお、農業協同組合の監
事(会社法上の監査役に相当)の責任に関する判例として、最判平成21.11.27(ジュリスト1394.44)。
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会社法
おいては内部統制システムの整備に関する事
システム自体に欠陥があり、当該会社の属す
項は取締役会の決議事項とされており(法
る企業集団における具体的事情を考慮しても、
362条4項6号)
、かかる内部統制システムの
親会社取締役及び取締役会において法令の要
整備には子会社を含む企業集団における業務
求する内部統制システムの整備義務を果たし
の適正を確保するための体制を整備すること
ていないと認められる場合には、かかる内部
も含まれている(会社法施行規則(以下「規則」
統制システムの整備義務の不履行という不作
という)100条1項5号)ことから、親会社
為の職務執行が任務懈怠乃至善管注意義務違
取締役は、単に「通常の職務執行の過程では
反に該当する違法なものと評価されることか
子会社不正会計事件に気づくことはできなか
ら、親会社監査役もかかる親会社取締役の違
った」というだけではその責任を免れること
法な職務執行を是正しなかったことについて
はできず、その前提として、当該親会社及び
責任を問われうることとなる。ここで監査役
子会社を含む企業集団全体を構成する会社の
に求められるのは、親会社取締役及び親会社
数、それぞれの規模、所在地、事業の具体的
取締役会において整備されている内部統制シ
内容、及び企業集団に占める業務上の重要性
ステムが、当該親会社の所属する企業集団全
等の具体的事情を踏まえて、法令の要求する
体の業務が適切に行われることを確保するに
水準の適切な内部統制システムを整備してい
足りる適切なものであるかどうか、という視
たかどうか、ということが問われることとな
点である(視点1)
。
る。このように考えると、実際に重大な子会
社不正会計事件が発生しこれによって親会社
また、第二の場面として、親会社取締役及
が損害を被った場合には、親会社取締役にお
び親会社取締役会において法令の要求する水
いて適切な内部統制システムを整備していた
準の適切な内部統制システムが整備されてい
が、にもかかわらず、当該子会社不正会計事
る状況において、そのようなシステムの存在
件において巧妙な偽装工作が行われていたな
にもかかわらず、親会社取締役らが要求され
どの事情により、その発生を防止することが
る注意義務を果たさなかったために子会社不
できなかったことがやむを得ないと認められ
正会計事件の発生を回避することができなか
なければ、親会社取締役はその責任を免れな
った、という場合がありうる。この場合にお
いであろう。
いて、親会社監査役が適切に監査業務を遂行
していれば、取締役の違法な不作為による職
このようにして、
(a)について親会社取締
務執行について早期の是正が可能であり、結
役の職務執行が違法であると認められた場合
果的に当該子会社不正会計事件を防止し当該
には、
(b)の点がさらに問題となるが、ここ
会社において損害が生ずることを避けること
で親会社監査役の任務懈怠乃至善管注意義務
ができた、という判断がなされた場合には、
が生ずる場合としては、上記検討によれば親
監査役もまた親会社において生じた損害につ
会社取締役の職務執行の違法性の所在に応じ
いて責任を負う可能性があることとなる。こ
て、以下の二つの場面がありうることとなる。
こでは、監査役は内部統制システムの存在を
前提とした上で、親会社取締役会による子会
すなわち、第一に、上記のとおり子会社を
社を含む企業集団全体の業務執行の具体的な
含む企業集団における業務の適正を確保する
監督状況について留意しなければならないと
為の体制を含む内部統制システムの整備義務
いうこととになる(視点2)
。
は、一義的には親会社取締役に課せられてい
るものであるから、親会社監査役としては、
親会社取締役及び親会社取締役会において適
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(2)例外的な場合について
更に、例外的な場面(上記②の場合)として、
切に整備された内部統制システムが存在する
上記第2 2(3)のとおり、子会社不正会計
ときは当該システムを前提として通常要求さ
事件の発生について、親会社取締役職務執行
れる程度の注意義務を以て監査業務を行えば、
に何らの任務懈怠・善管注意義務等の違法性
その職務上の義務を果たしたと言えるものと
がないにもかかわらず、
「特段の事情」の存在
考えられるが、そもそも前提となる内部統制
故に当該不正会計事件について親会社監査役
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が法的責任を負う場合がありうる。
すなわち、上記(1)の検討を踏まえれば、
又は容易に把握可能であったという事情が顕
れている場合に限り問題とされ、そのような
親会社取締役及び親会社取締役会において法
事情が特に伺われない事案についてまで一般
令の要求する水準の内部統制システムを整備
的にそのような事情が存在しないことを親会
し、更にこれに則って適切に子会社の業務に
社監査役において主張立証しなければならな
ついての監督を行っていたが、子会社におい
いということを意味するものではないと考え
て行われた巧妙な偽装工作故にこれを発見す
られるのである。
ることができず、結果として子会社不正会計
事件を防止することができなかった、という
3 親会社監査役において留意すべき点
場合には、親会社取締役においては当該子会
以上、子会社不正会計事件において親会社監査役
社不正会計事件について何らの任務懈怠も認
の法的責任の発生経路について検討したところによ
められないこととなると考えられるが、この
れば、子会社不正会計事件に関しては、親会社監査
場合に親会社監査役が不正に関与していた子
役は特に以下の点について留意の上、監査業務を遂
会社取締役と特に親密な関係にあったなどの
行する必要があるといえる。
理由により、事前に当該不正の事実について
の具体的情報を入手していたというような事
視点1
情が存するときには、親会社監査役としては
親会社において整備されている内部統制システ
自己の所属する親会社に対する善管注意義務
ムが、当該親会社の所属する企業集団全体の業務
(法330条)の一環として、親会社取締役会
が適正に行われることを確保するに足りる適切な
に当該事実を報告する義務が生ずるものと考
ものであるかどうか。
えられ、これを怠り不正の事実を漫然放置し
た場合には、親会社取締役の法的責任の有無
この点については、法令においても監査役が監査
にかかわりなく、親会社監査役は法的責任を
すべき事業報告の内容として、内部統制に関する事
追及されることとなろう。
項が明記されており(法436条1項2号・規則118
以上のように親会社取締役らの法的責任の
条2号)、更に監査役が作成すべき監査報告にも当
有無にかかわらず親会社監査役が責任を負う
該事項の相当性について記載すべきものとされてい
べき場合には、親会社取締役らによる職務執
ること(法381条1項・436条1項2号・規則129
行の状況から離れて、親会社監査役の職務執
条1項5号・130条2項2号)からも、法律上も当
行の過程において、子会社不正会計事件によ
然に監査役に求められている監査の内容をなすもの
る損害発生を回避することが可能であったと
と考えられる。
認められる「特別な事情」が存在したかどうか、
しかし、親会社の業務執行について直截的な権限
が問われることになる(視点3)。但し、上記
を有しない親会社監査役において、子会社の業務執
のとおり、子会社を含む企業集団の業務が適
行の適正性を含む内部統制システムが当該企業集団
正に行われることを確保するのは親会社取締
において適切な内容であるかどうかについて、必要
役会の職責であり、親会社監査役は親会社取
な情報を収集しその上で細部に到るまで的確に判断
締役会の職務執行の適法性を監査することが
することには事実上著しい困難が伴う。また、上記
本来的な職務であること(法381条1項)か
のとおり監査役の監査権限は違法性監査に限定され
らすれば、このような事情は具体的な事案に
ると解されていること、及び、個々の会社における
おいてはあくまでも例外的なものとして検討
内部統制システムの具体的内容についての決定は経
の対象とされるにとどまるものと思われる。
営判断の問題であり、取締役会の広範な裁量に委ね
すなわち、具体的な子会社不正会計事件にお
られているものと一般に解されていること7からす
いて、上記のように親会社監査役が何らかの
れば、内部統制システムの整備については、全く整
理由によって当該不正の事実を把握していた
備されていないか、又はそれが親会社取締役会の広
大阪地判平成12.09.20(判タ1047.86)。但し、ここで適用される「経営判断の原則」の範囲・程度については、法律時報
7 80.3.36(山本為三郎「内部統制システムの整備と役員等の責任」・企業会計58.5.98(野村修也「内部統制への企業の対応と
責任」))も併せて参照。
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会社法
範な裁量を前提としても著しく不当な内容である
視点2
等、重大な不備・欠陥がない限り、親会社監査役の
内部統制システムの存在を前提とした、親会社
責任発生の前提となる親会社取締役の責任も生じな
取締役会による子会社を含む企業集団の具体的監
いものと考えられる。
督状況に対する監査
そうすると、親会社監査役としては、内部統制シ
ステムの整備状況については、そのような重大な不
この点については、親会社取締役会及び親会社取
備・欠陥がないか、という限度で監査を行うほかは
締役の子会社に対する監督について、親会社監査役
なく、かつ、少なくとも法的責任発生の有無の観点
が子会社等の企業集団から収集した情報に照らして
からはかかる限度を以て足りるということになろ
適切に行われているかどうかをチェックすることと
う。そして、そのような重大な不備・欠陥が存在す
なる9。
る場合には、親会社監査役は、通常の手順8 に従い
かかる職務を行うための重要な手段として、法律
監査業務を行っていればこれに気がつくと考えられ
上、監査役には親会社に対する報告請求権・業務財
るから、少なくとも内部統制システムの整備状況自
産調査権(法381条2項)などの通常の調査権限に
体に関する法的責任については、親会社監査役にお
加えて、子会社調査権が与えられている(同条3項)
いてそれほど困難な問題に直面することはないよう
が、ここで注意を要するのは、親会社監査役による
に思われる。
子会社調査権行使には以下の諸制約が存するという
逆に言えば、具体的な子会社不正会計事件におい
ことである。
て、親会社の内部統制システムに重大な不備・欠陥
が認められた結果、親会社取締役において、その広
(1)職務上の必要性の要件
範な裁量を前提としてもなお法的責任が肯定される
まず、子会社調査権の行使要件として、法
場面においては、そのような重大な不備・欠陥につ
文上は「その職務を行うため必要がある」場
いて事前に親会社監査役が監査報告において指摘を
合でなければならないとされている(法381
していない限り、親会社監査役において適切な監査
条3項)
。もともと会社法(旧商法)により監
を行っていないことが事実上推定されることとなる
査役に子会社調査権が与えられた経緯が、当
から、この場合には原則として、親会社取締役とと
時親会社乃至その取締役が子会社に対する支
もに親会社監査役についても当該不正会計事件につ
配関係を悪用して架空の売上計上、親会社の
いての法的責任が認められることとなろう。したが
不良債権の子会社による肩代わり、あるいは
って、このような場面においては、親会社監査役
親会社の余剰在庫の子会社に対する押し込み
は、内部統制システム監査の手順及び内容が客観的
販売等の違法行為を行っている例が多数生じ
に適切なものであったこと、及び、にも関わらず当
ていたという事実が存在していたことから、
該重大な不備・欠陥に気づかなかったことがやむを
これを防止するためにかかる規定を設けた、
得ないといえる事情について、主張立証(反証)を
というものであったため、現在でもかかる立
迫られることになるが、これらの事実について親会
法経緯を踏まえて「その職務を行うため必要
社監査役の側で主張立証することは、実際上は極め
がある」との要件について限定的に捉える見
て困難であると考えられる。
解も存する 10。しかし、近時の連結会計制度
以上によれば、子会社不正会計事件が生じた場合
の下において企業集団全体の業績が一体のも
に、親会社の内部統制システムの整備状況について
のとして企業経営の評価の対象として重視さ
親会社監査役が責任を負うかどうかの分水嶺は、親
れる傾向からすれば、少なくとも完全親子会
会社監査役において通常要求される水準の手続及び
社又はこれに近い支配関係にある場合や、当
内容の監査を客観的に実行し、事前にその重大な不
該子会社が企業集団において重要なポジショ
備・欠陥を監査報告において指摘することができて
ンを占めている場合には、当然にかかる「必
いたかどうか、ということになると思われる。
要性」は肯定されるべきであると解する 11。
この場合の「通常の手順」の内容としては、日本監査役協会 監査法規委員会「監査役監査実施要領」第7章以下及び同協会「内
8 部統制システムに係る監査の実施基準」が実務上の重要な指針となる。
この点に関する具体的監査手法については、注8に示した実施要領等の他、同協会海外監査研究会報告「監査役の海外監査」及
9 び同報告別紙「海外監査チェックリスト」も極めて有用である。
落合誠一編「会社法コンメンタール8-機関(2)」399頁。
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このように解しても、次に述べるように、子
親会社監査役は監査報告に必要な調査ができ
会社の側に正当な理由があればこれを拒絶で
なかった旨を記載することとなる 15(規則
きるのであるから、親会社監査役による濫用
129条1項4号)。
の危険を懸念する必要はない。
(4)実際上の制約
(2)子会社側の拒絶理由
子会社の側に正当な理由がある場合には、
更に、実際上の問題として、多数の子会社
を有する会社の場合には、親会社監査役が子
親会社監査役による子会社調査権の行使を拒
会社往査を行うにも自ずと時間、費用、労力、
絶することができるとされている(法381条
業務に関する知識・理解の面からの限界があ
4項)
。ここでいう「正当な理由」には、子会
る。かかる限界は、特に海外子会社を多数有
社にとって、親会社監査役の調査権の行使に
する会社においては大きな制約となるもので
対応することが時間的に著しく困難であるな
あり、このような場合、親会社監査役として
どの物理的な制約による場合及び不当・違法
は効率的な往査のために、事前の情報収集、
目的等親会社監査役による権限濫用の場合の
整理、分析及び課題の洗い出しを行い、更に
他、子会社はあくまでも親会社とは別法人で
往査先子会社の優先順位及び往査スケジュー
あることに鑑み、子会社の営業上の秘密保持
ルを策定する等、十分な準備を行わなければ
の観点から調査に応じ難い客観的且つ正当な
ならない16。
理由がある場合もこれにあたると解されてい
る 12。なお、かかる「正当な理由」について
以上のような諸制約を前提とした上で、子会社不
の立証責任は、子会社の側にあるとされてい
正会計事件について後日法的責任追及を受けるリス
る13。
クの減殺という観点から、親会社監査役による子会
社調査権の行使について若干の検討を行い、それを
(3)海外子会社14の場合
また、会社法上子会社調査権が及ぶ「子会
踏まえて親会社監査役による子会社監査における留
意点を指摘しておきたい。
社」には、定義上、海外子会社も含まれる(法
2条3号・規則3条1項・2条3項2号)ところ、
まず、上記(1)の点であるが、当該箇所におい
海外子会社については日本法たる会社法の効
て述べたとおり、親会社監査役は、完全子会社若し
力が及ばないことから、会社法における子会
くはこれに準ずる支配関係にある会社又はそのよう
社調査権に関する規定にもかかわらず、これ
な支配関係になくとも当該企業集団において重要な
に応ずる義務が法律上存在しないこととなる。
地位を占める子会社に対しては当然に子会社調査権
このような場合には、親会社監査役としては
行使の必要性が認められるべきであるから、親会社
子会社に対して事実上の協力を求めるほかは
監査役において「子会社調査権行使の必要あり」と
なく、そのような協力が得られなかった場合
判断したときは、ためらうことなく必要な報告請求
には、親会社監査役としては子会社調査権の
又は往査を行うべきである。
行使を断念せざるを得ない。この場合には、
そして、親会社監査役が子会社に対して子会社調
同旨、服部榮三編「基本法コンメンタール 会社法2(2001年版)」49頁。
11
上柳克郎他編「新板注釈会社法(6) 株式会社の機関(2)(初版)」459頁・落合誠一編「会社法コンメンタール8-機関(2)」
12
400頁。但し、かかる秘密保持上の理由は正当理由に当たらず、「正当理由」による拒絶権は親会社監査役による権限濫用的な
調査を拒むことができるという当然の事柄を定めた注意規定にすぎない、とする見解もある(落合誠一他編「新基本法コンメン
タール 会社法2」234頁)。
落合誠一編「会社法コンメンタール8-機関(2)」400頁。
13
会社法上は、「子会社」には外国会社、外国における組合に相当するもの、及びこれらに準ずる事業体がすべて含まれるものと
14
されている(法2条3号・規則3条1項・2条3項2号)。
かかる場合について「子会社に正当事由がある場合」として整理している例が見られるが、このような場合は、調査対象となる
15
子会社は会社法の規定の効力自体が及ばない場合であるから、かかる子会社による拒否が会社法上の正当事由を有するものであ
るかどうか、ということを問題とする前提がそもそも欠けているものと思われる。
実務上の準備・手順等については、注8・9の要領等の他、間藤大和他著「監査役ハンドブック」等の実務書に掲載されている
16
チェックリスト等が参考となる。
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会社法
査権を行使しようとした場面において、子会社の側
り当該事業を運営することを決定したということ
から拒絶される可能性があるが、当該拒絶を根拠づ
は、当該事業については当該子会社の自律性を尊重
ける「正当な理由」については、上記(2)におい
することを基本的な方針として採用したことを意味
て述べたとおり、子会社の側に立証責任があること
しよう。そして、親会社とは別の法人格を有する子
から、子会社側から調査を拒絶された親会社監査役
会社自身において、当該子会社の事業の遂行につい
としては、子会社に対して正当な理由についての説
て適法性を確保するための監査部門を有しているの
明とそれを根拠付けるに足る証拠の提出を求めると
であるから、親会社監査役としては当該子会社の監
ともに、当該「正当な理由」が認められるべきであ
査部門による監査の方法が客観的に適切なものであ
っても、可能な範囲で調査に応ずるよう説得するべ
るかどうかを確認し、その方法について特に問題な
きである。この際、子会社調査権の不当拒絶に対し
いと判断した場合には、子会社の監査部門の監査結
ては過料(100万円以下)に処せられる可能性が
果を踏まえて親会社監査役としての監査を行えばよ
あることについても念頭においておく必要があろう
いということとなる。
(法976条5号)
。
かかる理解によれば、多様な事業を営む複数の子
しかし、一方、実際に親会社監査役が子会社に対
会社を有する親会社の監査役において、それらすべ
して調査権を行使する場合、実効的且つ効率的な調
ての子会社について一からその事業の全部を把握す
査を達成するためには子会社の協力は不可欠と言わ
る必要はなく、子会社の監査部門による監査の体制
ざるを得ず、以上のやりとりを経ても子会社側の協
に不備欠陥があると疑われる場合や、当該子会社の
力が得られないような場合には、最終的には子会社
監査部門の作成した監査報告において特に問題点の
調査はその目的を達しないこととなるから、このよ
指摘がなされている子会社に絞って重点的に報告を
うな場合には充分な調査を実施できなかった理由と
請求し又は子会社調査権を行使することが可能とな
ともにその旨監査報告に記載することとなる(規則
り、ひいては限られた時間・費用等のもとで最大限
129条1項4号)
。
効率的な監査を実現することが可能となるのであ
これは海外子会社に対して調査を行う場合も同様
る。このような親会社監査役による判断の妥当性を
であるが、上記(3)において述べたとおり、海外
担保する基礎となるのが、平常の子会社の取締役、
子会社の場合にはそもそも子会社調査権が及ばない
監査役、会計監査人及び重要な従業員等を通じて得
のであるから、親会社監査役による調査に子会社側
られた情報であり、日頃から子会社の役員等と良好
が応ずる法的な義務はなく17、あくまでも任意の協
な関係を築いておくことは、親会社監査役における
力を得て目的を達する他はないため、一段と子会社
有効かつ効率的な監査業務の遂行の観点からは、極
の協力を得る必要性が高いこととなろう。
めて重要な意義を有することとなるのである。
以上の観点から、規則105条2項及び107条2項
以上の検討によれば、法が親会社監査役に付与し
においても、監査役の職務遂行上の努力義務とし
た特別な調査権限である子会社調査権の存在を前提
て、子会社の役員及び重要な従業員との意思疎通を
としても、親会社監査役としては平素から子会社側
図り、情報の収集及び監査の環境の整備をすべきこ
の役員及び重要な従業員と円滑な関係を築いておく
とが定められている。
ことが監査役の実務において重要であると考えられ
る18こととなるが、かかる理解は、子会社の自律性尊
重の観点、及び親会社監査役の有効かつ効率的な監
査の観点という二つの面から重要であるといえる。
視点3
親会社取締役らによる職務執行が適法であった
としてもなお、親会社監査役の職務執行の過程に
おいて、子会社不正会計事件による損害発生を回
すなわち、企業集団の経営の視点からは、ある特
定の事業について、独立の法人格を有する組織によ
避することが可能であったと認められる「特別な
事情」が存在したかどうか
り当該事業を行うか、それとも社内の一部門にとど
めておくか、という判断はそれ自体として高度な経
この点については、当該特別な事情の有無につい
営判断が必要と考えられるが、ひとたび子会社によ
て個別の事案ごとの検討が必要となるが、ここで問
海外子会社に対しては罰則規定も適用されないこととなる。
17
間藤大和 他「監査役ハンドブック(初版)」78頁・鈴木進一「監査役の役割と監査行動(初版)」273頁。
18
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題となりうるのは、親会社監査役が個々の子会社の
は平素から子会社側の役員及び重要な従業員と円滑
事情に精通すればするほど、
「特別な事情」が存在
な関係を築いておくことが監査役の実務において重
したとして、後日責任を追及されるリスクが増大し
要であるとされている。
かねないということである。
しかし、上記視点3において述べたリスクが現実
しかし、そもそも、子会社不正会計事件について
に存在することを踏まえれば、監査業務に必要な範
親会社取締役の法的責任が否定されるケースである
囲を超えて、過度に子会社の役員、従業員等と親密
にもかかわらず、かかる「特別な事情」の存在を理
な関係を築くことにはなお慎重であるべきことには
由に親会社監査役の責任が独自に問われるというの
留 意 す る 必 要 が あ る。 こ の 点 に つ い て は、 規 則
は、すでに述べたとおり例外的な場合に過ぎないの
105条3項・107条3項において、
「前項(=規則
であり、そのような例外的な事態を恐れて個々の子
105条2項・107条2項)の規定は、監査役が公正
会社の事情に充分に立ち入らないようでは、親会社
不偏の態度及び独立の立場を保持することが出来な
監査役本来の職務である、親会社取締役による子会
くなるおそれのある関係の創設及び維持を認めるも
社の監督という職務執行についての監査の実効性も
のと解してはならない」旨明確に定められているこ
確保できず、ひいては親会社取締役による違法な職
とを、親会社監査役においても明記すべきである。
務執行を是正するなどということは到底期待できな
いと言わざるを得ない19。そうすると、そのような
第4 実際の子会社不正会計事件の分析
「及び腰」は、結果としては却って親会社監査役自
以上の検討の結果得られた親会社監査役の職務執
身の法的責任追及のリスクを高めることにつながる
行上の留意点を踏まえ、以下実際の子会社不正会計
ことになるから、やはり、親会社監査役としては積
事件のうち、特に監査役の責任が問題となったもの
極的に子会社の情報収集を行い、子会社の事業の状
を取り上げ、若干の分析を行うこととする。なお、
況について理解しておくべきであり、その過程で
いずれの事例の分析についても、筆者において入手
「特別な事情」に該当する例外的な事態が発生した
可能な公表資料のみを用いた。
場合には、速やかに当該事態について取締役会に報
告し取締役らの判断を仰ぐべきである、ということ
となろう。
1 事例1(A社の場合20)
(1)事案の概要
したがって、上記視点1及び視点2と比較した場
平成21年11月、A社の連結子会社におい
合、この視点3はあくまでも例外的な位置づけにお
て業務上横領事件が生じたことから、A社が
いて顧慮すべき要素であると考えられ、親会社監査
子会社全体について他に不適切な会計処理が
役においてはまずは視点1及び視点2を念頭に置い
行われていないかを調査したところ、上記業
て職務を遂行すべきこととなる。このように考えた
務上横領事件が発覚した子会社とは別の連結
としても、視点3のような例外的事態は、監査役の
子会社α社の当時の代表取締役からA社の担
職務遂行の過程において、それ自体が異例且つ特徴
当取締役及び担当執行役員に対して、α社に
的な事件として現れてくるものと考えられることか
おいて長期間にわたって不適切な会計処理が
ら、充分に(法令が期待する程度に)注意深い監査
なされていた旨の説明がなされた。このため、
役において、当該事態に気がつくことなくこれを看
A社において本格的にα社に対する調査に着
過して職務を遂行するということは、現実にはあり
手することとし、翌平成22年2月にはα社の
えないことであろうと思われるのである。
代表取締役を更迭するとともに弁護士らによ
って構成される外部調査委員会を設置して本
なお、上記視点2の箇所で述べたとおり、子会社
格的な調査を委託した。
の状況についての情報を取得する手段として、親会
その調査の結果、α社において行われてい
社監査役には子会社調査権の行使が認められている
た不正会計処理として、以下の各不正事実、
が、かかる権限の行使の場面において有効かつ効率
及び、これらの行為による累計利益影響額が
的に情報を取得するためには、最終的には子会社側
最終的には43億円余りに上るものであること
の協力が欠かせないことから、親会社監査役として
が判明した。
また、上記で指摘した規則105条2項・107条2項に定める努力義務も果たすことができないこととなる。
19
A社調査報告書適時開示日 平成22年3月12日。
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会社法
① 利益操作
(3)親会社監査役の責任に関する検討
遅くとも平成14年ころから、表面上の利益
以上のとおり、社外調査委員会の調査結果
確保のために、α社社長、同社総務局長及び
報告書においては、α社の親会社であるA社
同社経理部長らが共謀して、財務伝票を操作
の役員の法的責任について特段の言及はなさ
して売上等を前倒し計上する方法により利益
れておらず、また、A社においてその連結子
操作を行っていた。かかる財務伝票を用いた
会社及び持分法適用会社について一定の監査
利益操作による累計影響額は、調査により判
が実施されており、A社グループの内部統制
明しただけでも25億円余りに上るものであっ
システム及びその運用については特段の不合
たとされている。
理性は認められなかったことが認定されてい
る。しかし、そのような一定の合理性を有す
② 会計原則に適合しない売上の見込計上
る内部統制システムが存在したのであれば、
また、遅くとも平成13年度(平成14年3
α社における不正会計事件について、多数の
月期)以降、α社各部署において予算達成が
従業員が関与して長期間にわたり行われてい
困難となったことから、同社社長及びその意
たにもかかわらず、A社グループの他の子会
を受けた総務局長及び経理部長らの指示によ
社における具体的な業務上横領事件を機に行
り、予算達成のために期末日までに納入及び
われた集中的な調査がα社に対して実施され
完成していない案件について会計原則に適合
るまで全く発覚しなかった理由が、逆に問わ
しない売上の見込計上が行われるようになっ
れなければならないであろう。
た。かかる経理処理については上記α社社長、
この点について、同報告書においては、α
同社総務局長及び同社経理部長の指示のもと、
社において同社社長のワンマン体制のもと業
各部署において多数の従業員が関与して日常
務システムの改ざん等巧妙な隠蔽工作が組織
的に行われていたものとされ、その累計影響
的に行われていたこと、A社におけるグルー
額は4億円余りに上るものとされている。
プ会社に対する監査体制が整備途上にあった
こと、そしてA社の監査部において子会社ら
③ 貸倒損失の隠蔽
の情報システムに対する統一的な理解がなさ
以上に加え、売掛金について回収不能とな
れていなかったため、α社において情報シス
る事実が発生した場合、本来であれば当該事
テムの改ざんが組織的に行われると事実を的
業年度において、当該売掛金に対応する貸倒
確に把握することが困難であったことが、α
損失を計上しなければならないが、これによ
社の不正会計事件が長期間に亘って明るみに
って当然のことながら利益額が減少すること
出なかった要因として挙げられている。
になることから、α社においてはα社社長の
確かに、同報告書によれば、上記各不正な
承認のもと、かかる貸倒損失を敢えて計上し
会計処理について、α社の社長のワンマン体
ないことにより、決算内容の悪化を表面化さ
制を前提として、①の利益操作については主
せないという処理が行われていた。
犯格の経理部長が当該不正処理に用いた財務
伝票を別管理にしていたうえ、会計システム
(2)親会社役員の責任
社外調査委員会による調査報告書において
不正な会計処理が発覚しないようになされて
は、α社の親会社であるA社の役員らの責任
いたことが指摘されており、また、②の不正
については特に直接的な言及はなされていな
な見込売上計上についても、当該行為がα社
い。
の各部門において広く行われていたために実
しかし、実際には、A社の代表取締役会長、
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及び業務システムにも巧妙な改ざんを加えて
行者である当該各部門の担当者レベルでも問
社長については報酬月額の30%、その他の取
題意識が乏しかったということに加え、具体
締役らについては報酬月額の20%を自主返上
的な案件進捗状況については各事業部門の者
するとともに、同社監査役についても、社外
しか知りえず、α社内でさえも経理部門等他
監査役以外については報酬月額の20%、社外
部門の者には具体的に把握することができな
監査役についても10%をそれぞれ自主返上す
かったこと、更にα社のシステムにも改ざん
ることとなった。
行為が行われ、外部監査によっても当該不正
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な会計処理が発覚しないよう隠蔽工作が行わ
れていたこと、等が指摘されているのであり、
2 事例2(B社の場合21)
(1)事案の概要
かかる巧妙な隠蔽工作が日常的且つ組織的に
平成19年11月下旬、税務調査対応からB
行われている事例においては、多数の子会社
社の連結子会社β社において実体のない不適
を有するA社の監査部門において、α社の不
切在庫の存在が判明したことを契機に、同社
正会計処理について具体的に把握することに
の部長が主要取引先の社長と結託の上約4年
は相当の困難があったことは否定しがたい。
間にわたって行われた架空の取引名目による
しかし、α社における不正会計事件が長期
「不明支払」
、同部長が主体となり取引先企業
間にわたり発覚しなかった原因として、上記
の常務と結託の上約1年余りにわたって行わ
のとおり、かかるα社側における組織的且つ
れた架空の取引による「架空売上・仕入計上」
、
巧妙な隠蔽工作の存在に加えて、A社におけ
及び、同じく同部長が主体となって約5年に
るグループ全体に対する監査体制が整備途上
わたり行われた原価先送りによる「利益操作」
にあったこと、及び、A社の監査部において
の各事実が判明した。これを受け、B社は社
子会社らの情報システムに対する理解の不足、
内調査委員会を組織して調査に着手するとと
というA社監査部門側の要因が併せて指摘さ
もに、更に、弁護士、会計士らからなる社外
れていることには留意が必要であろうと思わ
の調査委員会にも調査を委託した。
れる。
これらのA社監査部門に帰すべき要因のう
これらの調査の結果、以下の事実が判明し
た。
ち、前者はグループ全体の内部統制システム
自体の整備に関する問題であるから、上記第
①「不明支払」
3において指摘した視点1の問題として把握可
まず、「不明支払」については、首謀者のβ
能であり、また、後者については、グループ
社の部長及びこれと結託した主要取引先であ
全体の内部統制システムの存在を前提としな
るX社の社長の指示のもと組織的に行われて
がらも、具体的に子会社監査を実施する担当
おり、β社の購買担当者らも同社部長の指示
者レベルでの知識・理解が不足していたため
に不審を抱きながらもこれに従い実行に関与
子会社の不正会計事件を看過し続けたという
していたため、取引先のX社から内容虚偽の
意味で視点2の問題として把握すべき問題で
伝票類や納品書等の証憑等が容易に利用可能
あり、これらの要因が結果に寄与したという
な状態であり、また、購買担当者とは別にか
事実を踏まえると、A社の監査部門が任務懈
かる不明支払によって生ずる購入物件の内容
怠責任乃至善管注意義務違反という「法的責
を管理する者もいなかったため、相互チェッ
任」を差し当たり負わないとしても、α社に
ク機能も働かない状態であった。
おける組織的不正会計事件について全く責任
かかる「不明支払」の金額は、判明してい
がなかったとまでは言えないと考えられるの
るだけでも1億7000万円余りに上るものと
である。
されている。
かかる観点からは、上記(2)のとおり、A
社の監査役について、報酬の自主返上によっ
②「架空売上・仕入計上」
て、取締役らと同等の責任を負う旨明らかに
「架空売上・仕入計上」についても、β社の
したことは適切な対応であったと評価するこ
部長が首謀者として関与していたとされてい
とができよう。
る。具体的には、同部長の指示のもと、取引
先のY社及びそのグループ会社から架空の仕
入れを行ったように見せかけて架空仕入額を
計上するとともに、更に同社に対して、実際
には存在しない売上があったかのように見せ
かけて、架空の売上をも計上していた、とい
うものである。
B社外部調査報告書適時開示日 平成20年7月4日。
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会社法
社内調査委員会の報告書によれば、かかる
報告書にはB社の監査役の責任について特に
Y社との架空取引については、首謀者たるβ
言及はなされておらず、また、その後B社か
社の部長の他、取引先であるY社の常務が主
ら発表された役員報酬の一部返上を含むプレ
導的役割を担っていたことが認定されており、
スリリースにおいてもB社監査役の報酬の一
Y社側はこのような架空取引によって、β社
部返上については「取締役に準じて」とだけ
側からリベートを受け取っていたことも併せ
述べられており、その責任発生原因について
て認定されている。
は必ずしも詳らかにしない。
かかる「架空売上・仕入計上」による最終
しかし、社外調査委員会による調査報告書
的なβ社の損害額は、5100万円に上るもの
においては、β社における不正行為が相当長
とされている。
期間にわたっており、且つ、当該不正行為に
ついてβ社の従業員が多数関与しているにも
③「利益操作」
かかわらず、当該不正の事実が長期間明るみ
「利益操作」についても、β社の部長が首謀
に出ることがなかった点が重大な問題点とさ
者として関与していたことが社内調査報告書
れており、その原因の一環として、以下の要
において認定されている。
因が指摘されていることは、注目に価する。
その具体的な手口は、β社において採用さ
すなわち、同報告書によれば、親会社たる
れていた建設業会計システムの機能を利用し
B社による子会社に対する監査体制は一応整
て、半期ごとに期末完了予定の物件原価を翌
備されていたと評価することができるものの、
期以降に先送りして、当期分の利益を嵩上げ
同社のカンパニー制採用に伴い、組織変更の
していたというものである。社内調査報告書
過渡期であったことから、B社の指導層や各
によれば、このような原価先送りによる「利
役職員において、不正リスク管理体制に対す
益操作」は、β社部長の指示のもと、具体的
る理解が不足しており、その運用が不十分な
な作業は購買担当者を中心とする複数の部下
ものにとどまっていたとされている。また、
が関与して行われていたものと認定されてい
当該子会社に対する会計監査が実質的には監
る。
査法人任せの状態で親会社独自の検証が殆ど
かかる「利益操作」は平成14年から平成
なされておらず、β社の経理について長期滞
19年までの5年間に亘り行われていたことが
留在庫や仕掛り在庫の有無等を確認・検証す
判明しているものの、各期の利益操作額等の
る機能が有効に働いていなかった点も、問題
詳細については、裏付けとなる証憑等が一切
点として指摘されている。さらに、完全分社
保管されていないため特定不能であったとさ
化後の各事業子会社における財務諸表の正確
れている。
性を確保すべき責任について、グループを統
括すべき立場にある親会社たるB社及び各事
(2)親会社役員の責任
業子会社の経営陣、経営監査部門、経理部門
以上の社内調査委員会による調査の結果を
の各部門間で明確な役割分担が行われておら
踏まえ、社外調査委員会による調査報告書に
ず、適正な会計処理のため必要な措置を実施
おいては、B社の代表取締役を含む各取締役
させることが出来ていなかったことも、併せ
らに対しては報酬の自主返上を行うよう提言
て指摘されている。これらの問題点は、いず
がなされたものの、同社監査役の責任につい
れも上記第3において指摘した視点1及び視点
ては特に言及はなされていない。
2にまたがる問題として把握可能であり、そ
しかし、実際には、B社監査役4名のうち当
の意味では、本件において、親会社監査役が
該子会社不正会計不正事件発覚後に選任され
子会社不正会計事件に関して留意すべき基本
た2名を除く2名について、取締役に準じて報
的な問題が含まれていることについては疑い
酬の一部(10%)を1ヶ月間自主返上する旨
の余地が無いといえる。
の措置がとられている。
これらの指摘された問題点を受けて、同調
査報告書においては、今後の再発防止策とし
(3)親会社監査役の責任発生に関する留意点
上記のとおり、社外調査委員会による調査
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て、各子会社レベルでの内部管理体制の整
備・強化、監査法人による法定監査とは別個
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の定期的な子会社会計監査を行う部門の設置
強化、及びB社においてグループ全体のコン
プライアンスを強力に推進するための常設部
署及び担当取締役を設置し、親会社たるB社
と各事業子会社の各部門との間で、コンプラ
イアンス推進に関する機能分担を明確にすべ
きであることが提言されている。
以上の分析によれば、社外調査委員会の調
査報告書にはB社の監査役の責任については
特段の言及がなかったにもかかわらず、同社
監査役において、本件について責任の一端を
負う旨を自主的に明らかにしたことは、適切
であると考えられるのである。
第5 結語
以上、近時世間の耳目を集めている親会社取締役
らが直接関与しない子会社不正会計事件に関し親会
社監査役が負う責任について概括的検討を行った
が、未だ議論が尽くされていない領域であり、また
紙幅の関係上必ずしもすべての論点について十分な
検討を行うことができたとは言いがたい。しかし、
本稿がわずかでも対象分野における今後の議論深耕
の一助となり、ひいては監査役実務に役立つものと
なるならば幸いである。
以 上
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会社法
平成23年6月定時株主総会の動向
六川 浩明
総合ディスクロージャー研究所主任研究員 弁護士 (成城大学法学部講師)
(首都大学東京 産業技術大学院大学講師)
平成23年3月期決算上場会社の定時株主総会の
多くが平成23年6月に開催されたが、その動向を
考察する。
第2 計算書類関連
1.「その他の包括利益累計額」の表示
「包括利益の表示に関する会計基準」(企業会
計基準25号、平成22年6月30日)が、平成
第1 事業報告
事業報告の「株式会社の現況に関する事項」の記
23年3月31日以後終了する連結会計年度の年
度末に係る連結財務諸表から原則として適用さ
載にあたっては、
「事業が2以上の部門に分かれて
れ、連結貸借対照表では「評価・換算差額等」
いる場合にあっては、部門別に区別することが困難
から「その他の包括利益累計額」に表示が変更
である場合を除き、その部門別に区別された事項」
されている。
を記載することとされているが(会規120条1項)
、
また、会社計算規則第76条の改正(平成22
会社法施行規則では「部門」の定義がされていない
年9月30日)により、連結貸借対照表におけ
ことから、部門別の区分については、有価証券報告
る純資産の部における表示については、
「評価・
書における「事業の種類別セグメント」の区分又は
換算差額等」又は「その他の包括利益累計額」
「事業部門」の区分にあわせているのが実務的な取
のいずれかの選択採用ができることとされてい
扱いとなっている。
しかし、
「セグメント情報等の開示に関する会計
る。
しかしながら、会社計算規則第3条に基づき、
基準(企業会計基準第17号)
」及び「セグメント情
平成23年3月31日以後終了する連結会計年度
報等の開示に関する会計基準の適用指針(企業会計
に係る連結計算書類から、
「包括利益の表示に
基準適用指針第20号)
」
(以下これらを総称して「セ
関する会計基準」をしん酌する必要があること
グメント会計基準」という)の適用により、平成
から、平成23年3月末決算会社から、連結貸
22年4月1日以後開始する事業年度に係る有価証券
借対照表において、
「その他の包括利益累計額」
報告書では、従来の区分とは異なった「セグメント
の表示を行うこととなった。
情報」の区分に従い「業績等の概要」を記載するこ
ととなる。
2.「少数株主損益調整前当期純利益」の表示
連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基
その結果、事業報告の「株式会社の現況に関する
準第22号、平成20年12月26日公表)によっ
事項」を、有価証券報告書における「セグメント情
て連結財務諸表規則が平成21年3月24日に改
報」の区分で記載することとすると、従来とは異な
正され、連結損益計算書に「少数株主損益調整
った部門別の区分での記載となる。
前当期純利益」の表示が追加された。
セグメント会計基準は、有価証券報告書での開示
これにより平成21年4月1日改正会社計算規
に際して適用される基準であり、会社法上の事業報
則は「少数株主損益調整前当期純利益」に相当
告では従来どおりの区分による記載を行うことが否
する科目の表示規定を追加した(会社計算規則
定されているわけではないことから、事業報告での
第93条第1項第3号)。これは平成22年4月1
記載については、有価証券報告書の記載と同一の基
日以後に開始する事業年度に係る連結計算書類
準とするか(X事業、Y事業、Z事業)、あるいは、
から適用されている。
従前からの記載とするか(A事業、B事業、C事業)、
いずれかが選択されることとなる。平成23年6月
の定時株主総会招集通知の動向をみると、前者が多
いように見受けられた。
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3.包括利益計算書の添付
め注意喚起を行っている例が存在した。なお、
「包括利益の表示に関する会計基準」
(企業会
総会の議事進行に変更が生じる場合について
計基準25号、平成22年6月30日)が平成23
は、各社が事前のシナリオを用意していたよ
年3月期末から適用されているが、会社計算規
則においては連結包括利益計算書の作成を義務
づけていないことから、株主総会招集通知に連
結包括利益計算書を添付する必要はない。
仮に、株主総会招集通知にこれを添付しよう
とする場合、会社法上、連結包括利益計算書は
うである。
3.株主優待
株主優待の変更については、次の例がある
(注2)。
日産自動車:総会後の経営陣との懇談会を中
止し浮いた経費を被災地への義援金とする。
監査対象とされておらず、監査対象とされてい
リコーリース:クオカードのみに変更(図書
ない包括利益計算書の名称を監査報告書に記載
力一ドの選択肢を廃止)し削減したコストを義
することに問題があると考えられることから、
援金に。
参考情報として、連結包括利益計算書を添付す
ダスキン:株主優待制度の「社会貢献寄付制
る方法が実務的であると解される(注1)。も
度」の寄付先として「日本赤十字社東日本大震
っとも、平成23年6月期の定時株主総会の招
災義援金口座J」を追加。
集通知において、連結包括利益計算書を添付し
た企業は少数であった。
力ワチ薬品:選択肢に「優待券の義援金への
変更」を追加。
ヴィア・ホールディングス:既存の優待に加
第3 東日本大震災による影響(1)
1.定時株主総会日変更
え、今期(2011年3月末権利確定株主)に限
り「東日本大震災・復興支援 特別ご優待券」
東北地方の上場会社のうち、例えば株式会社
を株主に対して発行。同社グループ店舗での利
サンシティ(12月期決算)は、平成23年3月
用500円につき50円の割引と50円の寄付(社
30日が定時株主総会予定日であったが、平成
団法人日本フードサービス協会宛て)を行う優
23年3月11日東日本大震災の影響により、同
待券を600枚。
年3月15日開催の取締役会において定時株主
スズケン:選択肢に「F.日本赤十字社『東日
総会開催を延期することを決議しこれを開示
本大震災義援金』優待品(3,000円相当)に
し、平成23年5月10日開催の取締役会におい
代えて、3,000円を日本赤十字社「東日本大
て、同年5月31日を基準日とし、同年7月28
震災義援金」を通じて寄付」を追加。
日を定時株主総会日とするよう決議した。
2.定時株主総会運営
(1)節電
やまや:優待品の発送が6月末ぐらいまでに
遅れる見込み。優待選択肢に1,000株以上な
ら3,000円・1,000株未満なら500円を「株
株主総会招集通知のなかには、例えば「◎
主様より東日本大震災の被災者の皆様へ日本赤
節電へのご協力の御願い 当日、会場の空調
十字社を通じて御寄付」という選択股を追加。
温度を28℃に設定させていただきますので
サマンサタバサジャパンリミテッド:「ご優
ご了承ください。これに伴い、当社は、夏の
待特別価格会場販売会」の売り上げの一部を義
軽装「クールビズ」にてご対応させていただ
援金に。
きますので、併せてご了承くださいますよう
エスイーグループ:選択肢中の「緑の募金へ
御願い申しあげます。
」として、株主に対し
の寄付」を「東北関東大震災の被災者への救援
て軽装での出席を促す例が存在した(富士通
や被災地の復旧のための義援金として日本赤十
株式会社の招集通知3頁)
。
字社を通して寄付」に変更。
(2)停電等への対応
「◎その他の御願い 電力事情による停電
や災害等、不測の事態が発生した場合には、
やむを得ず議事進行に変更が生じる場合がご
ざいますので、あらかじめご了承ください。」
(富士通株式会社の招集通知3頁)として、
キーコーヒー:株主優待品に換えて義援金と
しての寄付申込みが可能となる制度に変更
工スイー:株主優待の寄付メニューに東日本
大震災への寄付を追加
NSD:株主優待の寄付メニューに東日本大
震災への寄付を追加
株主に対して総会実施中の停電等について予
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会社法
4.定款変更
10億円未満となっている新規上場申請者
3 月 期 決 算 企 業 の 主 力 1,0 0 0 社 の う ち 約
について、新規上場申請に係る公募による
140社が、①新エネルギー事業(太陽光、風
調達見込額を加算した額が10億円以上と
力等)
、②環境関連事業・省エネルギー事業(消
なる見込みがあれば足りることと改正され
費電力の少ない発光ダイオード(LED)照明
た(東証有価証券上場規程708条1項)
。
事業等)
、又は③福祉・介護事業を新たに事業
② 利益額
目的に加えるべく、定時株主総会に定款変更議
上場審査の対象となる利益の額から、東
案を提出した(注3)
。
日本大震災に起因した特別損失を除外し
5.開示
上場会社のうち、業績予想の修正、配当予想
の変更、災害に起因する損害を開示した企業が
少なくなかった。
て、判断するものと改正された(東証有価
証券上場規程708条2項、東証有価証券上
場規程施行規則720条2項)。
③ 監査意見
なお、災害に起因する損害は、金融商品取引
内国会社が、東証一部及び二部に上場す
法に定めるインサイダー規制上の重要事実であ
るためには、最近1年間の財務諸表等の監
り、 親 会 社 の 損 害 が 親 会 社 単 体 の 純 資 産 の
査報告書・四半期レビュー報告書に「無限
3%、子会社の損害が連結純資産の3%という
定適正意見」「無限定の結論」が記載され
軽微基準が定められている。
ていることが、原則として要求されており
6.総会参加者
(東証有価証券上場規程205条7号C)。マ
東日本大震災を受けて企業業績の先行きに不
ザーズ市場への上場についても、監査報告
透明感が強まっていることから、株主が経営者
書及び中間監査報告書又は四半期レビュー
から業績回復に向けた戦略を直接に聴こうとし
報告書において「無限定適正意見」「中間
たこと等が原因となり、平成23年6月定時株
財務諸表等が有用な情報を表示している旨
主総会では、出席株主数や開催時間が過去最高
の意見」「無限定の結論」が記載されてい
となる企業が相次いだ。
ることとされている(東証有価証券上場規
東京電力では前年比2.8倍の9,309名、中部
程212条6号b)。
電力では前年比87倍の2,688名、関西電力で
しかし、無限定適正意見等が記載されて
は前年比66倍の2,244名、花王では前年比
いなくても、東日本大震災に起因して「除
25倍の1,180名、資生堂では前年比33倍の
外事項を付した限定付適正意見」又は「除
2,556名、パナソニックでも前年比17倍の
外事項を付した限定付結論」が記載されて
4,167名が、それぞれ参加した。東京電力の
いる場合であれば足りるものと改正された
株主総会開催時間は6時間を超えた。
(東証有価証券上場規程708条3項、同施
行規則720条3項4項)。
第4 東日本大震災による影響(2)
1.東証
上場会社は、その事業年度末に債務超過
に伴う上場審査基準・上場廃止基準の特例を定
の状態に陥った場合、1年以内に債務超過
める東証規則改正案を公表し、2011年6月1
の状態を解消できなければ、原則として上
日から施行されている。
場 廃 止 と な る( 東 証 有 価 証 券 上 場 規 程
① 純資産額
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① 債務超過
東証は、平成23年4月28日、東日本大震災
(1)上場審査基準
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(2)上場廃止基準
601条1項5号、603条1項3号)
。
しかし、東日本大震災に起因する特別損
内国会社が、東証一部及び二部に上場す
失の発生により、その特別損失の発生した
るためには、新規上場申請日の直前事業年
事業年度末に債務超過の状態となった上場
度末における純資産額が10億円以上であ
会社については、2年以内に債務超過の状
ることが要求されている(東証有価証券上
態を解消できなかった場合に上場廃止とす
場規程205条5号)
。
るものと改正され(東証有価証券上場規程
しかし、東日本大震災に起因する特別損
712条、713条)、債務超過となった場合
失により、直前事業年度末の純資産額が
の上場廃止までの猶予期間を、東日本大震
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災の被災企業等については1年間から2年
間に延長することとなった。
② 事業活動停止
第5 議決権行使助言会社の議決権行使基準の改訂
1.例えばISS(Institutional Shareholder
Service)は、取締役選任議案及び報酬関連議
上場会社が、事業活動を停止した場合又
案に関するポリシーを改定し、平成23年2月
はこれに準ずる状態となった場合は上場廃
株主総会から適用しているが、役員退職慰労
止となる(東証有価証券上場規程601条1
金について「金額が開示されない場合は、原
項8号、603条1項6号)
。しかし、
「事業
則として反対する」という新ポリシーを採用
活動の停止」に、
「天災地変等により一時
している。ここにいう「開示」とは、個別開
的に事業活動が停止された」と東証が認め
示及び総額開示の双方を含んでいる。また、
る場合は含まれないと改正された(東証有
これまでISSは、報酬型ストック・オプション
価証券上場規程施行規則601条7項1号)。
の行使開始が退職後であることを求めてきた
2.法務省
法務省では平成23年3月26日付「定時株主
総会の開催時期について」及び同29日付「定
時株主総会の開催時期に関する定款の定めにつ
が、この条件を撤廃し、代わりに行使条件と
して具体的な業績条件を求めることとした(注
4)
。
2.なお、東京電力による平成23年6月28日開
いて」を公表し、会社法296条1項は、株式会
催の定時株主総会の役員選任議案について、
社の定時株主総会は毎事業年度終了後一定時期
ISSは株主に賛成を促したが、グラス・ルイス
に必ず招集しなければならないと規定している
は東電のリスクマネジメントなどで新鮮な見
が、会社法上、事業年度終了後3ヶ月以内に必
方を取り入れることが株主利益になるとして
ず招集しなければならないとされているわけで
全員の選任に反対するよう助言しているとの
はないと述べ、もっとも、定款に定めている基
報道がなされた(注5)。
準日から3ヶ月を経過した後に定時株主総会が
開催される場合には、議決権を行使できる株主
第6 株式持ち合いの動向
を定める基準日を定めて公告をしなければなら
上場企業が金融機関や他の企業等と相互保有して
ないこと(会社法124条3項)について、注意
いる株式の割合(持ち合い比率)は、金額ベースで
喚起をした。
は1991年には28%であったが2009年度には
3.経済産業省
6.5 % に 低 下 し、 株 数 ベ ー ス で は 1 9 9 1 年 に
経済産業省では、平成23年4月28日付「当
23.7%であったが2009年度には4.9%に低下し
面の株主総会の運営について」において、(1)
た。2009年度には、事業会社同士よりも、銀行と
招集通知等の早期ウエブ掲載、
(2)招集通知
事業会社間の持ち合い比率の低下が進んだ。この株
発送後の開催場所や日時を変更しなければなら
式持ち合いの解消の背景として、リーマンショック
ない場合の発生、
(3)不測の事態を想定した
を契機とする株価下落で株式リスクが再認識され、
総会運営に係る事前及び当時の準備等につい
2009年度の株式市場の大幅な上昇で保有株の売却
て、ガイドラインを公表した。
を進めやすかったこと、有価証券報告書における株
4.金融庁
式保有状況の開示が開始されたこと、IFRS導入議
金融庁は、平成23年3月31日「有価証券報
論(持ち合い株式等について時価変動を含めた包括
告書等の提出期限に係る特例措置について」を
利益を表示し、2011年3月期から連結財務諸表に
公表し、本来、有価証券報告書は事業年度経過
包括利益を適用すること等)が挙げられる(注6)
。
後3ヶ月以内、四半期報告書は各期間経過後
45日以内に、金融庁に提出しなければならな
いが、東日本大震災により本来の提出期限まで
第7 株式保有の動向
1.2010年3月31日の開示府令改正
に有価証券報告書、四半期報告書等の提出がな
(1)上場事業会社においては、財務諸表等規則
かった場合であっても、平成23年6月末まで
第121条に基づき、有価証券報告書等の附
に提出すればよいこととされた。また、東日本
属明細表の一つである「有価証券明細表」に、
大震災により、本来の提出期限までに有価証券
投資有価証券に属する株式について、①当期
報告書を提出できない3月決算企業について
の貸借対照表計上額が資本金の1%を超える
は、平成23年9月末までに提出すればよいこ
場合、又は、②貸借対照表計上額の上位10
ととされている。
銘柄に該当する場合には、個別銘柄、個別株
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会社法
式数、個別の貸借対照表計上額の開示が行わ
(2)個別開示すべき上場株式の銘柄数につい
れてきた(財務諸表等規則121条第2項、様
て、適用初年度は、原則、
「資本金の1%超
式第10号)
。
又は上位10銘柄」とされているが、実際に
しかし、金融機関については、有価証券報
告書等の附属明細表として、
「有形固定資産
10銘柄を個別開示している会社が約半数で
あった。
等明細表」
「社債明細表」
「借入金等明細表」
「引
(3)保有目的については「取引関係」を掲げ
当金明細表」
「資産除去債務明細表」という
る会社が多かった。記載方法としては保有す
附属明細表を作成することが義務づけられて
る上場株式をグループ分けして保有目的を書
いるが、
「有価証券明細表」は作成義務から
き分けているケースが半数以上を占めた。
除外されてきた(財務諸表等規則第122条2
(4)純投資目的での株式保有を行っている会
号)
。
社が全体の23%存在した。
平成22年3月31日金融庁が改正「企業内
容等の開示に関する内閣府令」を施行したが、
これにより金融機関も有価証券報告書等にお
いて政策目的で株式を保有する場合にその具
第8 外国人株式保有率
外国人持ち株比率が高まった企業は,株価も全般
に堅調であるとの最近の報道がある(注8)
。
体的目的の開示を義務付けられることとなっ
た(
(記載上の注意)
(57)コーポレート・
ガバナンスの状況 a(e)
)
。
第9 有価証券報告書の定時株主総会前の開示
有価証券報告書の定時株主総会前の開示は平成
2.上記改正を受けて、東証一部上場の時価総額
21年12月の開示府令の改正によって可能となっ
1,000億円以上の企業に関する「株式の保有
た。3月期決算企業で定時株主総会前に有価証券報
状況」の開示状況に関する調査結果があり、
告書を開示した企業は、前年から4社増加して、
それによれば次のとおりである(注6)。
18社となった。
(1)純投資以外の目的での株式保有を行って
いる会社は全体の96%に達した。保有する
銘柄数は非上場株式も含めて平均163.4銘
柄、貸借対照表計上額は平均950億円であ
った。
(注1)新井吐夢「会社計算規則の一部を改正する省令の解説」(旬刊商事法務1911号16頁)
(注2)大和総研資本市場調査部鈴木裕「2011年株主総会の展望-欧米ガバナンス改革を踏まえて-」(平成23年6月3日)
(注3)日本経済新聞朝刊平成23年6月21日
(注4)石田猛行「2011年ISS議決権行使助言方針」(旬刊商事法務1925号36頁)
(注5)日本経済新聞朝刊平成23年6月18日
(注6)大和総研資本市場調査部伊藤正晴「銀行を中心に,株式持ち合いの解消が進展」(平成22年11月)。
(注7)大和総研制度調査部横山淳「株式保有状況開示の現況」(平成22年7月22日)
(注8)日本経済新聞朝刊平成23年6月18日
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会社法
会社法コラム第47回
時代風潮の変化と
今年の株主総会についての雑感
鳥飼 重和
鳥飼総合法律事務所 弁護士 東日本大震災で分かった、豊かな日本社会は砂上の
首相の役割は国民を元気づけ、危機管理に最も有能
楼閣
な人を選んで、その対応を任せることだ。ところ
が、この首相は、自分の役割を理解していないで、
「3.11」は、日本の歴史の転換点となる可能性が
自己保身に走っている姿を国民の前に晒した。その
ある。物質の豊かさ中心の時代から、心の豊かさを
ため、この首相の姿を見るたびに国民は元気を失
求める時代への転換が起きる可能性があるからであ
い、この無能な首相が危機管理に最も有能な人を選
る。すなわち、従来の時代感覚からいえば「想定外」
んで対応を任せなかったばかりか、自ら目だった行
の地震・津波という自然による大災害とそれによる
動に出たため、その人災というべき振る舞いで、原
原発事故の発生・それに対する対応に、物質の豊か
発事故は拡大し、被災者の救済が十分でなかった観
さは役に立たなかった。全国には豊かな物資があり、
がある。まさに、勘(カン)違いである。
その輸送手段である多数のヘリコプターがあるの
政治も、大震災でハシャギまくる首相を辞めさせ
に、最も物資が必要だった被災者に、十分な物資を
る力もなく、政争に走ったため、国民の信頼を失墜
配ることもできなかった。現に、震災後、1週間経
した。国民に信頼されないで、政治とは言い難いの
っても、十分に食料等の配布がなかった所がある
に、それに気づかないような政争を繰り返すのは自
し、震災直後に必要な衣服・毛布等の物資の支援が
滅の道を歩んでいるとしか思えない。行政も、同様
ないために、寒さのために死んだ被災者が多数いた
に、国民が最も守って欲しいときに、その要望をか
からだ。生命身体という人間の生存が問題になると
なえていると信じる国民はほとんどいない。国民の
きの物資が最も必要なときに、必要な物資が手に入
信頼を失った政治・行政の行く末は見えている。国
らない社会は、文明社会とはいえない。その意味で
民の自律である。自分達を守ってくれない政治・行
は、東日本大震災は、日本の文明の現実が文明以前
政に頼らず、自らの手によって、社会を良くするし
の状態にあり、日本における豊かな社会は砂上の楼
かないと思い定めることになる。この国民の自覚か
閣にすぎなかった現実を教えることになった。
ら、民意に基づく本当の民主主義が生まれるのかも
しれない。
信頼を失った政治との決別
日本人というヒト資源による復興と司法重視の社会へ
しかも、東日本大震災における政府、政治、行政
の対応は、被災者及び被災地の支援ではなく、人災
以上のような物質重視の時代から、今後は、心の
としか思えないものだった。国民を守れない政府は
豊かさを求める時代に向かうことが予測できる。東
政府ではない。国民を守れない政治は政治ではない。
日本大震災で、世界が驚嘆した被災者が示した相互
国民を守れない行政は行政ではない。日本の現実
扶助の精神の中に、本来の日本文化の核があること
は、政府でない政府、政治でない政治、行政でない
が明らかになった。日本は、石油・鉄鉱石等の物質
行政が力を持っている。しかも、その力を国民を守
的な資源に恵まれていないが、その代わりに、素晴
るためではなく、自らを守るために使っている姿を
らしい精神文化を基礎に育っている日本人という豊
社会に示した。
富なヒト資源があるのである。この精神を基礎にし
菅首相の滑稽なほどの愚かさは、開いた口がふさ
た文化国家の建設こそ、日本の進むべき道、そう国
がらない程だ。国難というべき大震災に際しては、
民が考える時代が到来する可能性がある。東日本大
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会社法
震災は、家族や仲間という絆の価値がいかに生きる
今年の6月の株主総会についての雑感
うえ大切であり、生きていく上で、満足や幸福とい
かにつながるかを教えてくれたからである。建物や
まだ、今年6月の株主総会の運営全般のデーター
自動車を失い、事業の基盤となる物質を失っても、
がないので確なことをいえないが、新聞記事の情報
家族や仲間がいれば、復興に立ち上がれるのであ
や株主総会の運営に携わっていることから言えるこ
る。
とを述べたい。
岩手県の『復興の狼煙』ポスタープロジェクトは、
そのことを示している。
ポスターに示された短い文章が日本民族の精神に
火を灯す。
「甘くみるなよ、大槌人だ。
」
1.株主総会の「集中日」という概念は消失した
今年6月の株主総会のいわゆる集中日は、6月
29日の水曜日である。6月7日付日本経済新聞に
よれば、29日に株主総会を開催する会社数は
大槌町は岩手県の小さな町であり、町長、職員の
1,031社で、集中率は約40%だという。前年と
ほとんどが亡くなったか、行方不明である。それで
比較すると、集中日開催の会社数は、大幅に減少
も、立ち上がろうとしている。
し て い る。 ピ ー ク で あ っ た 1 9 9 5 年 の 集 中 率
「被災地じゃねえ 正念場だ。
」
ショベルカーの前で、ガレキと対峙する逞しい男
たちがいる。
「仲間は力だと、わかった。
」
スコップを持った若い作業着姿の男たちが立って
いる。
「心まで壊されてたまるか。
」
日本人は、本来、逞しい心を持つ民族なのである。
96.2%と比較すると、集中率40%では、もは
や、
「集中日」と呼ぶに相応しくない。そろそろ、
「集中日」という概念を使うのはやめる時期に来
ている。
もともと、集中日は、総会屋への企業側の集団
的対応だったのである。弱いシマウマが集団とな
って、強いライオンに対抗したのに似ている方策
だったのである。今や、総会屋は強いライオンで
はなく、恐れる存在ではなくなった。企業と警察
愚劣な首相がいても大丈夫、
いつかいなくなるから、無視すればいいだけの
との連携で、総会屋が総会へ不正に関与すること
のハードルが高くなったこと、さらに、総会屋対
こと。
応の企業側の総会運営ノウハウが確立しているか
頼りにならない政治があっても大丈夫、
らである。だからといって、反社会的勢力の企業
国民を守らない政治家は、選挙で落とせばいい。
役に立たない官僚がいても大丈夫、
自律をし、行政訴訟で裁判所の救済を受ければ
いいだけのこと。
への圧力が減っているわけでもないことには注意
が必要である。ただ、総会屋を通してというやり
方を変えているのである。この方が相手の的を絞
れないだけに対応への注意が必要である。
裁判所があるから大丈夫、
ありがたいことに裁判官だけは腐っていない。
2.株主の出席数
株主の出席者数は、話題のある企業では多くな
今後の日本では、国民が信頼を置く裁判所の役割
り、そうでない企業では、例年並みか、むしろ減
が今まで以上に大きくなるだろう。裁判所は、国民
っているという二極化が進んでいるようである。
一般の常識によって裁判する使命があり、政府・政
今年は、過去最高の出席者数となった企業が多
治・行政が国民の信頼を失う現状からすれば、裁判
い。その例は、以下のとおりである。
制度維持のために、今まで以上に国民の常識を重視
東京電力
9,309(昨年比 2.8倍)
するようになるからである。それは、国民の信頼の
ソニー
8,360
厚い司法を重視する米国の社会に近づくことを意味
パナソニック 4,167
する。企業が永続的成長を目指すのであれば、重要
中部電力
2,688
なことは、この司法重視の新しい時代に適応するこ
NTTドコモ
2,619
とである。そのためには、従来の政治や行政を重視
した社会の構造が大きく変わる兆候・現実を直視す
ることである。
この他、資生堂、花王、日本水産等が過去最高
を記録している。
東日本大震災の影響、円高の影響、株価の低
迷、日本における消費不振と海外進出、企業の業
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績の不透明感と成長戦略等に個人株主の関心の高
は、総会全体の空気を想定し、それに適切に対応
いことから、個人株主が積極的に出席したと考え
して、シナリオを変えることも重要である。ただ、
られる。
そのためには、総会担当弁護士や事務局に、個人
他方で、株主の出席者数が減っている企業も少
株主の立場から、総会場全体の空気を読める達人
なくない。だからといって、かならずしも、質問
というべき人がいる必要がある。そういう達人が
者・質問数が減っているわけでもない。
いない場合には、シナリオどおりにやる方が安全
である。その意味では、安全性重視からすれば、
東京電力の場合
東京電力のように、昨年比で2.8倍の出席者数
東京電力の場合は、正しい選択をしたのかもしれ
ない。
になると、会場確保が大変になる。東京電力以外
今後の株主総会では、想定外のことが起きる場
でも、ゼンショーは、昨年比で2.5倍の出席者数
合があることを想定し、その場合には、総会目的
だった。東京電力の場合、3,342人の出席者を
を限定するかどうか、想定外のことに対応してシ
収容した昨年と同じ会場であったが、「想定外」
ナリオを変えることの決定権を誰に与えるのか等
の9,000人超の出席者では、別に4つの会場を用
を、予め決めておく必要がある。
意したようであるが、十分な対応ができなかった
ようだ。そのため、予定通り午前10時に総会を
3.株主の質問
開始したようだが、そのときは、会場に入場でき
個人株主数は増えており、暇のある老齢者が個
た の は、 出 席 株 主 総 数 の 半 分 に も 満 た な い
人株主に多く、株主総会への関心度が高まりつつ
4,000人弱の株主だった。その結果、多くの株
あることから、株主の質問者は増えている。これ
主が会場外にいる中で、総会を開始したために、
も、企業次第でもあり、話題があるかどうかによ
開始早々、来場した株主から「何で始めるんだ」
っても、大きく異なる点である。話題の多いとこ
という怒号となった。開始当初の怒号が、その後
ろでは、質問者は増え、質問数も増える傾向にあ
の総会全体の空気を変えることがある。まっとう
る。
な個人株主中心の現在の総会では、総会開始前か
質問者で目立つのは、老齢者、女性、企業OB
ら怒号する総会屋への対応として創造されたシナ
である。しかも、今年の6月総会では、質問内容
リオによる総会時間の管理の発想とは異なる対応
は、経営に関連する厳しい質問が多くなっている
が必要になる場合がある。
ような傾向がある。
東京電力の場合は、原発事故で、株価が7分の
この質問者・質問するが増加し、かつ厳しい質
1以下になり、将来の見通しも立っていない中で
問になっている傾向に対し、どう対応したらいい
の総会であるから、もともと荒れる要素がある総
のか?
会であるため、異例の事が起こると想定されてい
基本的には、総会目的をどう捉えるのか、株主
たのであるから、想定どおり異例なことが起こっ
総会についての方針をどうするか、に係る問題で
たともいえる。しかしながら、
「想定外」の来場
ある。総会目的を最も狭く捉えると、会社提案議
者数のため、想定した総会開会の時間になって
案の賛成可決を目指すことになる。ただ、会社提
も、半数以上の株主が総会場の外に残っている場
案議案を賛成可決されても、決議取消事由がある
合には、その「想定外」のことに対応するには、
と賛成可決の意味がなくなる恐れがあるので、議
開会時刻をそれなりに遅らせる「予定外」の対応
事運営等に瑕疵がないようにすることも必然的に
を考えてもよいかもしれない。シナリオどおりに
目的の中に含まれるようになる。ただ、この立場
運営することが適切でない場合もある。それが、
であると、株主とのコミュニケーションは、ある
東京電力の今回の総会から学ぶことである。
程度、犠牲にしてもよいという方針になる。
シナリオは会社の都合で創られるものである。
この立場からだと、質問者数を減らすために、
そのため、想定内のことは、シナリオに反映され
ある程度の時間を想定し、どうでもいい質問がで
ている。しかし、シナリオの想定外のことも起こ
たときを契機に、その時間帯を過ぎた所で質疑を
ることがある。その場合には、株主総会の目的の
打ち切るシナリオになる。また、質問数を減らす
達成の見地から、総会目的を限定したものにする
ために、1人1問というシナリオにすることにな
か、それとも、総会目的を最大のものとして維持
るだろう。さらに、質問時間を効率的にするため
するのか、を決めて、想定外のことが起きたとき
に、議長の議事運営で、「簡潔に」「もっと短く」
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「あと一問」等の質問への議事整理シナリオによ
主総会を担当する立場から、今回の東京電力の事
って、質問を打ち切り、それに対する「回答」を
例から、何を学ぶかが重要なのである。
することになる。また、意見も多いことから、そ
質問内容別は、次回に述べることにしたい。
の場合には、
「貴重なご意見、ありがとうござい
ました。
」との対応で終わらせることもできる。
これに対して、総会目的を広く捉えて、会社提
案議案の賛成可決、法的瑕疵のない総会運営の他
4.株主の動向
今回は、持ち合いの解消傾向と安定株主対策に
ついてだけ述べることにする。
に、株主との友好的なコミュニケーションを図る
相互持合い比率が大幅に低下している。そのた
ことを総会目的とし、それを方針とする場合もあ
め、安定株主比率が低下している。それに反して、
る。通常の場合は、このような目的、方針を立て
外国人株主の保有比率が約30%に上昇している。
る企業が大多数である。
その中でも、東日本大震災後の株安の中で、新興
国の外国政府系のファンドが大量に株式を取得し
東京電力の場合
て、その存在感が高まっている。そのため、各企
ただ、今回の東京電力のように、原発反対運動
業は、シンガポールや香港等で外国政府系のファ
をしている株主が多く出席し、原発事故で株価が
ンド向けの説明会を開き始めている。同時に、長
著しく低下し、存続の危機にあるという異常な状
期安定株主の確保のため、個人株主の位置づけが
況の下で開催される総会の場合には、通常のよう
重要になっている。
な総会目的を徹底できるかは、経営者の決断にか
安定株主対策は、10年以上の時間をかけて取
かっている。まさに、企業のレプテーションがか
り組むべき最重要な経営課題である。株式会社は、
かっている総会をどう運営するかについての決断
株主総会の帰趨で経営が動くようになっている仕
である。
組みであるから、株主総会の帰趨を決定する株主
東京電力の場合、総会の所要時間は、6時間9
の議決権行使に支えられる必要がある。現代の日
分で過去最高となっている。従来の最長の所要時
本では、日本企業の経営の帰趨を決する株主総会
間は、1999年の3時間42分であるから、今回
における議決権行使に関して、安定株主確保のた
の総会の所要時間は、それを大幅に上回ってい
めに本格的な対応をしているか疑問がある。多く
る。この点からすれば、株主との質疑の時間を十
の企業で安定株主が確保され、株主総会の運営に
分取ったと言う意味では、東京電力の総会は、株
支障を生じていないための安心感があるからであ
主とのコミュニケーションに目を向ける方針だっ
る。
たともいえる。ただ、途中で、何回か、議長が質
しかし、企業は永続的成長をする組織であるか
疑を打ち切ろうとしたが、株主の「質問は終わっ
ら、現状だけではなく、現状と異なる想定外の事
ていない」という反対の声に押されて、質疑を続
態が生じることを想定して、時代の変化を汲み取
けたようである。また、1人の株主の質問時間も、
った長期的な視野での対応が必要なのである。目
5分、10分と長いものもあったようであるから、
に見えない未来に目をむけ、見ないものを見て、
1人1問というシナリオでなかったようであり、
どのような事態になっても、経営者が安心して長
同時に、質問を「簡潔に」ということで打ち切る
期的な経営ができる基礎としての安定株主を確保
シナリオでもなかったようにみえる。しかし、報
する必要がある。換言すれば、東日本大震災で原
道されたところでは、
「質問は短めに」「質問がだ
子力発電の安全神話が崩壊したことを教訓に、企
いぶ長くなっているのでお早めに」という議事整
業における安定株主神話も崩壊する危険があると
理をしていたというのであるから、質問時間を短
思って真剣に取り組む必要がある。
めにするシナリオだったのに、それが徹底されな
かったということのようである。
「1人でも多くの株主に発言する機会を与える
ために」ということを徹底し、1人の株主に長い
今年の総会で、約20社が、買収防衛策を廃止
した。
時間をかけない方針を貫徹することがよかったの
しかし、買収防衛策が重要なのは、これからで
かもしれない。そう批判的な評価をするのは簡単
はないのか。安定株主比率が低下する想定外のこ
であるが、実際の総会場にいることを考えると、
とが起こりえる時代が到来する可能性があるから
簡単に批判するのは適切でないだろう。ただ、株
である。
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5.買収防衛策は不要か?
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6.株主提案
今年の総会では、114件の株主提案議案が提
出された。昨年比、16件の増加である。個人株
主による提案も多くなっている。
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IR
我が国のIFRS採用に向けて
~SECワークプランが示唆するもの~
公益社団法人 日本証券アナリスト協会 理事 金子 誠一
(AICPA)の全国大会で、SECの副主任会計士であ
はじめに
5月27日に米国証券取引委員会(SEC)は「IFRS
るポール・バズイック氏が最初に用いたものであ
を米国企業の財務報告に取り込むための作業計画」
る。コンドースメントとは、現行のU.S. GAAP(以
(以下「作業計画」
)を公表した。SECの主任会計
下GAAP)を全てIFRSに置き換えるが、これを体
士室によるスタッフ・ペーパーという位置づけだ
系的な移行計画に基づき段階的に行い、この過程で
が、今年末までに予定される米国のIFRS採用方針
FASB(米国財務会計基準審議会)が個々のIFRS
決定の叩き台となる重要な文書である。この文書
を承認(エンドースメント)するということである。
は、「コンドースメント」という概念を用いて時間
この時、FASBは必要であれば、IFRSを修正したり、
をかけて、柔軟に、摩擦なくIFRSを米国に取り込
追加の開示要件を定めることができる。EU(欧州
もうという提案をしている点で興味深く、来年に予
連合)もエンドースメントを行うが、
「作業計画」
定される我が国のIFRS採用決定の内容にも大きく
によればEUの法的枠組みはIFRSを変更することは
影響するものと思われる。そこで、本稿ではまず
認めず、一部不採用(カーブアウト)のみを認めて
SEC「作業計画」の概要を確認し、これが我が国
いる。この意味で、「作業計画」は米国がEUよりも
のIFRS採用に示唆するものを主に財務諸表ユー
大きな裁量権(具体的には下記(3)③参照)を持
ザーの立場から考えてみたい 。
つべきことを主張している。
1
移行計画ではIFRSを次のように3分類する。
1. SEC作業計画の概要
(1)文書の位置づけ
SECは2010年2月に公表した「コンバージェン
スとグローバルな会計基準に関するSECの声明」
(以下「声明」
)において、スタッフに作業計画の立
①MOUに挙げられているプロジェクト(リース、
収益認識等)
②IASBの基準開発計画(アジェンダ)に採用さ
れているプロジェクト
③当面、変更予定のないIFRS
案を指示した。今回発表された文書はこの作業計画
このうち、①はFASBとIASBが共同開発してい
の一部として、SECがIFRSの取り込みを正式決定
るので、IFRSの適用時期と同時に米国でも適用さ
した場合の具体的な方法論を述べたものである。取
れる。②については、FASBは開発過程に積極的に
り込みの時期、IFRSの任意適用の是非については
関与し、この間、GAAPの改訂は行わない。開発後
当文書の対象外として触れていない。当文書は7月
に具体的な取り込み方法や時期を検討する。③につ
31日までコメントを募集している。大きな反対コ
いては、一挙に対象基準を取り込むか、段階的に行
メントがなく、また、米国が本年中にIFRS取り込
うかを検討する。また、極力、遡及適用を不要にす
み方針を決定した場合には、この「作業計画」の内
るよう工夫する。
容が採用される可能性が高いと思われる。
(2)文書の内容
「作業計画」は「コンドースメント・アプローチ」
上記①~③は現行GAAPを段階的にIFRSに置き
換えるものだが、これが完了した時にGAAPが無
くなるというわけではなく、GAAPの中身がIFRS
を主張している。コンドースメントとはコンバージ
と同じになっているということになる。中身が基本
ェンス(収斂)とエンドースメント(承認)の合成
的にIFRSと同じ基準をGAAPと自称する理由のひ
語 で、2 0 1 0 年 1 2 月 の 米 国 公 認 会 計 士 協 会
とつは、様々な法律文書等でGAAPへの言及があ
本稿における意見は筆者の私見であり、所属組織のものではありません。
1
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るので、これらの変更を不要にするためとされてい
であるはず」と指摘した後、
「非上場会社について、
る。上記の①~③のプロセスは完了までに5~7年
どの程度の修正が必要かは、当文書の対象外」とし
かかるとされている。ただし、開始年についての言
ている。制度的な相違もあって、我が国で関心の高
及はない。また、完了後もSECとFASBは現行と同
い単独財務諸表についての言及も一切ない。
じくGAAPについて最終的な責任を負うことにな
⑥全般に様々な工夫をこらしながらも、最終的に米
る。
国が「単一で高品質のグローバルに受入られた会計
なんとも複雑なプロセスであるが、こうした提案
基準」を持つべきことへの執念が感じられる。
を 行 っ た 主 因 は、 米 国 の 中 小 企 業 の 間 に 根 強 い
IFRS採用による負担増懸念への配慮にある。IFRS
を一括採用すると、移行のための事務負担が大きい
2. SEC作業計画が我が国に示唆するもの
(1)IFRS採用時期
が、徐々にGAAPの内容がIFRSに置き換わるので
企業会計基準審議会企画調整部会が2009年6月
あれば、負担感は少ないと考えているわけだ。
「作
に発表した「我が国における国際会計基準の取り扱
業計画」は、このプロセスを取ることによって、単
いについて(中間報告)
」
(以下「中間報告」
)は、
一で高品質のグローバルに受入られた会計基準を持
IFRSの強制適用判断時期を2012年とした場合、
つこと、米国基準に則った作成者が同時にIFRSに
適用開始は2015年または2016年としている。
も則ったことになる、という目的を低いコストで達
「中間報告」は、2008年にSECが公表した「ロー
成できるとしている。一方で、
「作業計画」は米国
ドマップ案」にあった、2011年に米国がIFRS強
の多国籍大企業からはIFRSの早期一括採用、少な
制適用を決定した場合は、大手企業への最初の適用
くともIFRSの選択採用を求める声があることは認
時期を2014年とするタイムテーブルを強く意識し
めつつ、それらは「作業計画」の検討対象外である
ていたと思われる。その後、SECは2010年2月の
としている。
(3)
「作業計画」の特徴
「作業計画」の特徴としては以下が挙げられよう。
「声明」で、
「ロードマップ案」に寄せられたコメン
トにより、2011年にIFRSの取り込みを決定する
場合、最初の適用時期は2015年または2016年と
①5~7年という長い移行期間を想定している。移
する実質的な期限延長を行っている。今回の「作業
行プロセス開始年は明記されていないので、現在か
計画」は「声明」のタイムテーブルをさらに後ろ倒
ら移行完了までは7年以上かかる可能性もある。
しするものである。ただし、
「ロードマップ案」や
②IFRSを段階的にGAAPに取り込むというユニー
「声明」は、適用時期を企業規模等に応じて3年程
クな提案をしている。これは、GAAPとIFRSがコ
度に分けることを前提にしていたのに対し、今回の
ンバージェンスの結果、差異が縮小しており、また
「作業計画」は時間をかけてIFRSを取り込むもの
共に英語で書かれていることによって可能になるア
の、取り込み完了時には一斉適用となる点は注目に
プローチと考えられる。
値する。仮に「作業計画」のタイムテーブルのス
③IFRSの取り込みにあたってはFASBがこれを承
タート年を2012年とし、移行期間を5~7年の間
認し、また必要な場合には一部修正や開示要求およ
を取った6年とすると、移行完了時期は2018年に
びガイダンスの追加等ができることを明記してい
なる。これは、2010年「声明」における適用開始
る。これは、会計基準設定における国家主権を保持
年を2016年、経過期間を3年とした場合の全企業
するとともに、IFRSの開発過程でFASBの影響力
への適用年と同じになる計算だ。いずれにせよ、か
確保を狙ったものと思われる。
なり時間をかけた移行が計画されており、我が国の
④IFRSを全て取り込んだ後のGAAPについても、
「中間報告」における時間軸は今となっては野心的
最終的にはSECとFASBが責任を負うことを明記
に映る。作成者の一部に適用までに十分な準備期間
している。これは、勘ぐればSECとFASBの権限保
を求める強い声があることを勘案すると、時間軸の
持を図ったものと見えるが、一方、FASB自体が新
延長は大きな検討課題と言えよう。
たに独自に基準開発をすることは無いので、現状を
大きく変革する提案と言えよう。
(2)採用方法・適用対象
「作業計画」は「コンドースメント」という特殊
⑤段階的取り込みを行う当然の結果と言えるかもし
な段階的取り込みを提案しているが、これはIFRS
れないが、上場会社の間で規模等によって適用時期
とGAAPが言語が同じで、内容・体系も近いこと
を変えるという発想はない。また、非上場会社につ
を前提にしており、我が国がこれを真似ることは難
いては、
「質の高い会計基準の内容は全企業で同じ
しいのではないかと思う。そうなると、どこかの時
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点でIFRSを一括して採用する必要がある。この場
のように修正まで含めるのかが問題となる。IASB
合、企業規模別等によって段階的に採用を行うこと
との交渉のためのレバレッジとしては権限は大きい
が実際的だろう。適用対象をどこまで広げるかも問
ほうが良いだろう。ただし、もともと抜く気のない
題である。
「中間報告」は「現時点では、国際的な
伝家の宝刀ならば、最初から用意しないほうがすっ
比較可能性を向上するという観点を踏まえれば、グ
きりしているとも言えよう。
ローバルな投資の対象となる市場において取引され
ている上場企業の連結財務諸表を対象とすることが
適当」としている。
「グローバルな投資の対象とな
3. アナリストから見たIFRS採用
(1)アンケートにみるアナリストの意見
る市場」がどこかは定義されていないが、上場企業
筆者が所属する日本証券アナリスト協会は、一般
であってもIFRSを適用しない場合があるように読
に「アナリスト試験」と言われる投資分析について
めるのは気になるところだ。SECの「作業計画」
の通信教育・試験制度を運営する公益社団法人であ
は全上場企業への適用を当然の前提としている。
る。この試験制度は金融界で働く若い人を中心に広
(3)当局と基準設定主体の役割
「 作 業 計 画 」 はSECとFASBの 役 割 を 規 定 し、
く活用されており、1次・2次計13時間の試験に合
格し、3年以上の実務経験を経て、日本証券アナリ
IFRSを修正する場合もありうることを明記してい
ス ト 協 会 検 定 会 員(CMA) を 名 乗 る 人 は 約
る。「中間報告」はIFRSの修正や適用除外の可能性
24,000名におよぶ。今日の会計基準は投資の意思
に言及し、連結財務諸表規則等において、
「我が国
決定有用性に資することを目的に開発されているこ
における個々のIFRSの適用を認めるための適切な
とから、当協会もしばしば基準開発について意見を
規定を整備する必要がある」としているが、その具
求められる。会員の総意を反映した意見発信を行う
体的な規定案には触れていない。主権国家として何
ために、折に触れてアンケート調査を行っている。
らかのIFRS承認(エンドースメント)手続きを設
表1は昨年、行った調査のうち、IFRS採用に係わ
けることは当然だろう。ここで、個々のIFRSをそ
る部分を示したものである2。
のまま採用しない場合の権限を、EUのように一部
適用除外(カーブアウト)にとどめるか、
「作業計画」
これを見ると、世界が唯一の基準を採用したとし
ても監査実務等によって財務報告の内容に相違が生
表1 IFRS採用についてのアナリスト意見アンケート結果
Q5(1) 一般的に言って世界の各国(地域を含む、以下同じ)が唯一の会計基準を採用すべきと思いますか。
A 企業活動の国際化が進展しており、会計基準だけ各国独自に設定する理由に乏し
い。各国企業の比較が容易になるというメリットも大きく、採用すべきである。
49.3%
B 唯 一の会計基準を採用しても、監査等を含む適用・執行が異なる可能性があり、
慎重に取り組むべきである。
40.3%
C 会計基準は各国の商習慣等を反映すべきであり、唯一の基準への統一は好ましく
ない。
8.6%
D その他
1.9%
アンケート結果は以下に掲載している。
http://www.saa.or.jp/account/account/enquete.html
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Q5(2) IFRSの採用
国際会計基準(IFRS)はすでにEU諸国等で採用されているほか、世界で100ヵ国以上が採用または採用
予定といわれています。米国は2011年、わが国は2012年にIFRSを採用(アドプション)するかどう
か決定する見込みです。仮にわが国が採用を決定した場合、2015年または2016年頃にIFRSに移行す
る見込みです。IFRS採用について、どう考えますか。
A 仮に米国が採用しなくても、わが国は採用すべきである。
58.6%
B 米国が採用した場合には、わが国も採用すべきである。
26.4%
C IFRSは採用すべきではない。
8.6%
D その他
6.5%
Q5(3) IFRSを採用した場合の懸念
仮に、わが国がIFRSを採用した場合、どのような点が懸念されますか。(複数回答可)
A 現在の日本基準と大きく異なる基準が提案されていること。
48.6%
B IASBが政治的独立性を保持できず、EUや米国等、わが国以外の国や地域の意見
で基準が作成される可能性があること。
50.7%
C 世 界各国がIFRSを採用しても、国によって基準の適用や監査水準の相違によっ
て、財務報告の内容に大きな違いが生じる可能性があること。
50.7%
D とくに懸念はない。
7.4%
E その他
4.8%
じうること、IASBの政治的独立性保持等に懸念を
資家による。彼らにそっぽを向かれたら、ただでさ
示しつつも、大半が基準の世界的統一を支持してい
え冴えない相場がさらに低迷する可能性がある。
る。世界基準への統一は好ましくない(最初の質問
もちろん、どんな基準でも世界的に統一されれば
の答え)
、IFRSは採用すべきではない(2番目の質
良いというものではない。高品質であることが必要
問の答え)
、という反対論の支持者は1割以下であ
である。当協会の企業会計研究会はIASBやASBJ
る。2番目の質問への回答で、IFRSを「仮に米国
の主要な討議資料や公開草案に意見書を出してい
が採用しなくても、わが国は採用すべきである」と
る。世界主要国で会計に関心を持つアナリストの横
いう答えを6割近い人が支持したのは驚きであっ
断 的 組 織 で あ るCRUF(Corporate Reporting
た。
Users’Forum)の日本支部もでき、毎月1回、平
このようにアナリストがIFRSを強く支持するの
日 の 夜 に 集 ま っ て 熱 心 に 議 論 を 戦 わ せ て い る。
は、資本市場と企業の国際化によって、日本企業を
IASBが日本で行う円卓会議やテレビ電話によるア
分析する場合にも同業の外国企業との比較が必要な
ウトリーチにも積極的に参加するユーザーがいる。
ケースが増えていることが一因である。世界の主要
現在は企業会計に革命的な変化が生じつつある時代
企業がIFRSベースの財務報告を行えば、数値を調
と言えようが、多くのアナリストがこの革命の成功
整無く直接比較することが可能になる。これに加え、
のために参画しているのである。
多くの投資家はIFRS採用が日本の株式市場の評価
向上につながるという期待、逆に言うと、採用しな
(2)アナリストから見たSEC「作業計画」
大方のアナリストの目から「作業計画」を見ると、
い場合は評価の低下をもたらすという恐怖を持って
まずは5~7年という時間軸に「ちょっとかったる
いるようだ。東京株式市場の売買の約半分は外人投
いな」という印象を持つようだ。生き馬の目を抜く
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相場に携わっているので、短気な人が多いためだろ
移行コストを考慮した回答と思われるが、あまりに
う。さらに、SECやFASBが権限を持ち続けること
近視眼的ではなかろうか。最近、IFRSを採用した
に、違和感を持つ人もいる。損切りに慣れている人
ブラジルの人に、作成者から文句は無かったかと聞
が多く、トレンドに合わないと直ぐ投げ出したくな
いたところ、ブラジルの上場企業の多くは将来、ニ
るためである。一方で、
「作業計画」が「単一で高
ューヨークやロンドンへの上場を目指しているの
品質のグローバルに受入られた会計基準」を持つこ
で、必要なステップとして歓迎しているという答え
とを明確な目的としていること、また全上場企業へ
が返ってきた。ドイツの作成者はチャレンジだと思
の適用を当然の前提としているところは大きく共感
って取り組み、実際やりがいがあったと語ってい
できる。
た。オーストラリアの作成者は、資金調達コストが
(3)アナリストから見た我が国におけるIFRS採用
アナリストは実際的な人が多いので、
「中間報告」
現実に下がったと言っていた。世界の作成者はそれ
ぞ れ の 立 場 か ら 前 向 き な 取 り 組 み を し て い る。
が示した2015または2016年という適用開始年が
IFRS採用には、先に触れたマクロ的なメリットだ
多少延長されても、気にする人は少ないと思われ
けでなく、個々の企業にとってもー優良企業であれ
る 。IFRS採用作業で企業に過度の負担がかかり本
ばー借入コストの低減と株価の上昇というミクロ的
業に支障が出てしまうと、そのツケは株価下落とい
なメリットをもたらすはずである。IFRS採用をさ
う形で投資家が負担することになる。多少時間はか
らに優良な企業となるための梃子と捉えて、積極的
かっても円滑に移行して欲しいという点では、財務
に取り組んでいただきたいと考えている。
3
諸表ユーザーも作成者も立場は同じである。一方、
ユーザーとしては比較可能性の担保のために全上場
企業がIFRSを採用すべきと強く考えている。ただ
し、比較的規模の小さい会社のコスト削減ために、
強制適用時期を少しずらすことは考えられるが、こ
れも例えば、最初は東証1部、翌年は2部、3年目
はその他市場のような3ステップ方式が上限であろ
う。
むすび
長い間、U.S. GAAPは世界で最高の仰ぎ見るべ
き会計基準であった。
「作業計画」は「単一で高品
質のグローバルに受入られた会計基準」を持つため
に新たな基準設定を放棄する提案をしていることの
重みを噛み締めるべきだろう。この背景には、会計
基準の世界的統一が、投資の意思決定を容易にし、
国際的な資金フローの活発化、資金の効率的配分と
資本コストの低下をもたらし、結果として世界的な
経済成長を促進するという前向きなビジョンがあ
る。
翻って、我が国の現状を見ると、とりわけ作成者
の方を中心にIFRS採用のマイナス面のみが強調さ
れすぎているように思われる。上場企業を対象にし
た最近の調査では、
「IFRS適用の全体としてのメリ
ット・デメリットはどちらが大きいと考えるか」と
いう質問に対し、
「メリットがデメリットを大きく
下回る」という回答が過半数の52.76%を占めた4。
本稿脱稿後に、6月末に企業会計審議会を開催し、IFRS適用開始年の延長等を検討するとの新聞報道があった。
IFRS研究会「IFRSの適用に関するアンケート結果の概要(1)」、『企業会計』、2011年7月号。
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ESGディスクロージャーの現状(2)
ディスクロージャーのグローバル化
―中国語でのESGディスクロージャーの現状から―
菅原 道
ディスクロージャー研究一部 ESG担当 江森 郁実
ディスクロージャー研究一部 顧問 はじめに
〈目次〉
企業経営を取り巻く環境変化として、市場のグ
はじめに
1 企業のグローバル化の現状
ローバル化があります。これに伴い、顧客、従業員、
1.1 事業のグローバル化
株主等のステークホルダーもグローバル化し、英語
1.2 株式のグローバル化
に加えて、事業展開をしている各国語でのディスク
1.3 マーケットのグローバル化
ロージャーや、「操業許可」を得るためのリージョ
2 ESGディスクロージャーにおけるグローバル化
ナルでのエンゲイジメントも重要になります。
また、投資家視点で考えてみても、中国において
への対応
2.1 グループでのESGディスクロージャー体系
過酷な勤務形態等から大きな労働問題に発展したフ
2.2 日本企業のESGディスクロージャーの状況
ォックスコンの件のように、事業継続や企業価値へ
おわりに
の直接的影響が実態的に表れることもあり、特に
ESGも考慮して投資をする海外機関投資家の間で
は、エンゲイジメント実施も関心の高いトピックス
となっています。リージョナルでのエンゲイジメン
ト自体は、現地で現地語のみで行うものですが、こ
れからは企業価値として評価してもらうために、エ
ンゲイジメントにおけるディスクロージャー側面も
考慮していく必要があると考えられます。
図1:ESGディスクロージャーのターゲット
グローバルな
ステークホルダー
(主に投資家)
グループ情報
英語
リージョナル
情報
リージョナル
情報
リージョナル
情報
ステークホルダーの
拡大により、グループ
情報の多言語化
現地語
英語
企業評価をしてもらう
ために、リージョナル
でのエンゲイジメント
を開示する
現地語
リージョナルな
ステークホルダー
現地語
現地語
リージョナルな
ステークホルダー
リージョナルな
ステークホルダー
顧客、従業員、地域社会、行政等
※各種情報より筆者作成
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市場としても成長が著しい中国では、政府が主導
国際的なCSR基準や規格を参考にしつつも、独自
してCSR情報開示を推進し、それに大手国有企業
のローカル基準に作り直して適用しようとする傾向
が応える形で急速に発展しています。取引所や中国
が強く、これに伴い中国企業のレポート発行数は
社会科学院でもガイドラインが作成され、これらは
2008年から2009年にかけて急増しています。
グラフ1:中国におけるサステナビリティレポートの発行数と発行企業内訳
(社)
600
533
500
400
69
■ 外資企業
■ 民間企業
■ 国有企業
112
※内訳は2008、2009のみ
300
200
121 352
100
0
77
1
1
2
2
3
4
9
23
22
29
70
1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
※“A Journey to Discover Values – A Study of Sustainability Reporting in China”(Syn Tao)を参考に筆者作成
ただしこれらのレポートのページ数は平均で20
中国において、日系企業を含む多くの外資系企業
ページ、56%のレポートが10ページ以下で、日本
もCSRレ ポ ー ト を 公 表 し て い ま す が、 多 く は グ
のレポート平均ページ数が44.05ページ(弊社調
ループでの活動報告が中心のCSRレポートの翻訳
査による)であることから、全体的な情報開示量は
版のため、リージョナルでの活動に関する情報開示
まだ少ないと考えられます。しかし国際的なスタン
不足が課題として指摘されています。ISOの取得状
ダードであるGRIガイドラインを活用する企業も
況を見てもCSR課題に対する関心の高さがうかが
2008年は17社、2010年は61社と3倍以上に増
え、今後も、中国国内で事業展開する企業にCSR
加 し て お り、DJSI Worldに も 2 0 0 8 年 にChina
への取り組みとそのディスクロージャーが求められ
Mobileが初めて採用されるなど、先進企業の情報
ると考えられます。
開示は大きく進んでいると考えられます。
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表1:各ISO認証取得数の上位10カ国
ISO9001
(品質)
ISO14001
(環境)
ISO/IEC27001
(情報セキュリティ)
中国
224,616
中国
39,195
日本
4,425
イタリア
118,309
日本
35,573
インド
スペイン
68,730
スペイン
16,443
日本
62,746
イタリア
12,922
ドイツ
48,324
英国
英国
41,150
インド
ISO22000
(食品安全)
トルコ
1,155
813
ギリシャ
1,075
英国
738
インド
652
台湾
702
台湾
492
9,455
ドイツ
239
中国
369
韓国
7,133
中国
236
ルーマニア
347
37,958
ドイツ
5,709
イタリア
233
ポーランド
268
米国
32,400
米国
4,974
スペイン
203
ブルガリア
223
フランス
23,837
スウェーデン
4,478
米国
168
スリランカ
221
韓国
23,036
ルーマニア
3,884
ハンガリー
135
スペイン
182
※「世界の審査登録件数(2008年末時点)」(テクノファ)より引用。
ループおよびリージョナルでのディスクロージャー
今回は必須的な対応である英語に加え、様々な要
に関する必要要件を考察します。
因で必要性が注目されている中国・中国語における
対応から企業のグローバルなディスクロージャーの
1.1 事業のグローバル化
現状を調査します。
「グローバル企業」として、東洋
経済CSR企業ランキング(2011)の上位50社の
事業のグローバル展開に伴い、生産・販売と
うち、Fortune Global 500(2011)に選定され
様々なバリューチェーンが海外に広がっていま
た30社を調査対象とし、全体傾向と比較しました。
す。中期経営計画等でグローバル化による事業拡
なお、本稿の中で意見に関する部分は筆者の私見
大をうたい、海外売上高比率拡大を目標に掲げて
いる企業も少なくありません。海外売上高比率は
であることをあらかじめお断りいたします。
日本企業全体を見ると、この20年でおよそ2倍
に拡大しています。
1 企業のグローバル化の現状
グローバル化に関するいくつかの指標を見て、グ
グラフ2:製造業・非製造業別の海外売上高比率推移
28%
30%
25%
■ 製造業
■ 非製造業
20%
15%
21%
14%
13%
10%
10%
16%
5%
0%
1990
2000
2009
※「今後の多角的通商ルールのあり方に関する調査研究」(国際経済交流財団)より筆者作成。
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調査対象30社の直近の有価証券報告書を調査す
分かります。全体としては近年低下傾向にあるも
ると、海外売上高比率の平均は48.1%で、その内
のの、売上高が1兆円を超える企業に限れば、そ
訳は、米州が19.9%、欧州14.4%、アジア16.0
の割合は増加しています。調査対象30社の平均
%、その他14.2%となっています。分類上、アジ
は31.19%、さらにここから金融機関を除き、
アは「その他」に含まれることも多いこと、また補
投資家だけの国内外割合を見ると、48.46%に
足的に国名を開示している19社のうち、13社が
まで増加します。
「中国」という国名を出していること、さらに中国
単独での金額を開示している企業が2社あること
からも、その規模の大きさがうかがえます。また、
1.3 マーケットのグローバル化
海外で上場するメリットは、資金調達機会の拡
海外に進出している日本企業における海外生産比率
大や為替リスクの低減、現地での知名度や信用力
は30.7%で、現地法人の地域別分布比率や従業員
向上などが挙げられます。海外の取引所でも特に
数も中国を中心としてアジアで拡大しています。
規模の大きい、ニューヨーク、ロンドン証券取引
所を取り上げて全体傾向をみると、東京証券取引
所に上場している2,393社のうち、ニューヨー
1.2 株式のグローバル化
東京証券取引所の内国上場会社を対象とした
クに上場している日本企業は18社、ロンドンが
「株式分布状況調査」によると、外国人持株比率
15社となっており、そのうちの多くを調査対象
は、1 9 9 9 年 度 と 2 0 0 9 年 度 を 比 較 す る と、
30社に含んでいます。また、中国や韓国の企業
13.2%から22.5%に大きく増加していることが
も海外上場社数も増加傾向にあります。
表2:日本企業、中国企業、韓国企業における海外取引所上場状況
日本
全体
中国
30社
韓国
ニューヨーク証券取引所
18
6
74
8
ロンドン証券取引所
15
7
20
3
※Bloomberg掲載情報より筆者作成(2011年5月末時点)
海外売上高比率や外国人持株比率が高いほど、
本企業は英語版グループサイト(コーポレートサイ
グローバルでのディスクロージャー対応として、
ト)の充実等の対応をしてきています。近年グルー
英語での情報開示が必要になると考えられます。
プサイトの多言語化として、中国語版を公開する企
また特にESG評価を受けるには、財務情報と合
業も出てきていますが、日本語や英語で開示されて
わせて非財務情報の英語開示、エンゲイジメント
いる情報量より少ないものがほとんどです。また、
も重要になってくると考えられます。
中国ではリージョナル情報をより強く求める傾向に
あるため、中国版リージョナルサイトを充実させて
2 ESGディスクロージャーにおけるグローバル
化への対応
以上の要因から日本企業、とりわけ今回の調査対
象30社は、グローバルでのディスクロージャー要
いる企業も多いのが現状です。
東証一部上場企業の多言語ウェブサイト所有状況
を見ると、英語の所有率が73%、次いで中国語(簡
体字)が17%となっています。
請が高まっていると考えられます。要請に対し、日
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グラフ3:東証一部上場企業とグローバル企業30社のウェブサイト言語対応率
100%
100%
80%
90%
■ 東証一部
■ 30社
73%
63%
60%
40%
17%
20%
0%
英語
8%
中国語(簡体字)
韓国語
※グループサイトからリンクされている現地支店や、関連の現地法人のページの言語を含む。「上場企業コーポレートサイト多言
語対応状況調査報告」(アークコミュニケーションズ)と各社HPを参考に筆者作成。
2.1 グループでのESGディスクロージャー体系
でグループサステナビリティレポートを掲載して
企業によって定義や使用する言葉にばらつきが
いるのに加え、15ヵ国/地域で発行している「海
見られますが、本稿においては、グループ全体の
外の地域・国別報告書」を一覧として見せており、
情報を集約して開示しているサイトを「グループ
グローバルでの情報開示を行っています。
サイト」
、地域固有の詳細情報を記載したサイト
パターン2にあたる富士フイルムホールディン
を「リージョナルサイト」とします。また、サス
グスでは、グループサイトを日本語/英語で公開
テナビリティレポートやCSRレポート等のESG
し、グループでのサステナビリティレポートを日
情報に関する年次報告書も「グループレポート」
本語/英語/中国語で発行し、その旨を編集方針
と「リージョナルレポート」に分類します。
等で示しています。
現状のディスクロージャー状況をサイトと
ESGレ ポ ー ト か ら 見 る と、 大 ま か に 下 記 3 パ
今回「レポート」として見なしているのは、
ターンに分類されます。
(P101 図2参照)こ
PDFで公開しているもののみとし、中国リージ
れは企業のディスクロージャー/コミュニケーシ
ョナルサイトについてはグループサイトのグロー
ョン戦略やステークホルダーエンゲイジメント戦
バルネットワーク情報等からリンクされているサ
略に基づくものであると考えられます。
イトに限定して調査しています。また、情報量か
らの視点とし、質については今後の検証課題とし
パターン1にあたるトヨタ自動車は、グループ
ています。
サイトを日本語/英語で公開し、それぞれの言語
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図2:グループ・ディスクロージャー体系のパターン
パターン1
グループ全体としての情報開示に加え、より重要性の高い地域
では、リージョナル情報に特化したレポートを作成している。
グループサイト
(日本語/英語、中国語等)
グループ
レポート
(日本語/
英語/
中国語等)
リージョナルサイト
(現地語)
リージョナルサイト
(現地語)
リージョナル
レポート
(現地語)
リージョナル
レポート
(現地語)
パターン2
グループ全体としての情報開示を中心としている。
グループレポートの中にリージョナル情報もある程度含む。
グループサイト
(日本語/英語、中国語等)
リージョナルサイト
(現地語)
パターン3
リージョナルサイト
(現地語)
グループ
レポート
(日本語/
英語/
中国語等)
リージョナルサイト
(現地語)
リージョナルサイト
(現地語)
日本語のサイトやレポートが、グループを内包し、
多言語で翻訳している。グループ情報が明確な分離をしていない。
グループサイト
本社サイト
(日本語/英語等)
レポート
(日本語/
英語等)
リージョナルサイト
(現地語)
リージョナルサイト
(現地語)
リージョナル
レポート
(現地語)
※各種情報より筆者作成
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2.2 日本企業のESGディスクロージャーの状
況
(1)
グループでのESGディスクロージャー
げられます。本来グループレポートは多言語でも
情報は同一であると考えられますが、実際には中
国語版グループレポートは日本語版や英語版と全
まず、グループサイトにおけるESGディスク
て同内容ではなく、中国エリア責任者のメッセー
ロージャーの状況を見ていきます。調査対象30
ジ、活動報告トピックス、従業員報告、社会貢献
社全てが英語版グループサイトを公開し、日本語
活動、中国内事業所案内などで一部記事の差し替
版の情報とほぼ同等の情報が開示されています。
えとなっているものもあります。特に社会貢献や
中国語版グループサイトを公開しているのは、
従業員報告は日本単体の報告であることも多いた
調査対象30社中6社で、その掲載内容は、英語
め、全差し替えになっている事例もあります。グ
版と比較すると情報量が少ない傾向にあります。
ループレポートに一部リージョナル情報を追加掲
主にグループのトップメッセージ、一部ファクト
載させている事例については、リージョナルレ
情報、製品紹介を掲載し、一部詳細情報について
ポートの役割を兼ねさせていると考えられます。
は英語版へリンクさせている企業もあります。特
中国語版グループレポートを発行する9社のう
にIR情報は中国語で開示される事例が少なく、3
ち3社が日本語版グループレポートと内容に差異
社が英語版へリンクで誘導し、他3社は開示され
のある中国語版を作成しています。1社が中国エ
ていませんでした。
リア責任者のメッセージを追加、3社全てで中国
この6社のうち5社がESG情報をHTMLで開示
国内での社会貢献活動を追加しています。また従
しています。その情報量は企業によって異なり、
業員や製品報告等のバウンダリが日本国内での情
方針からパフォーマンスまで開示し、英語や日本
報を大幅に削除している事例が2社となっていま
語でのESG情報開示量と大きな差がない企業は
す。
2社、他3社は一部方針、もしくは現地での社会
貢献活動といった一部活動報告のみとなっていま
また、調査対象30社には含まれていませんが、
す。またこの他に、ESG情報のみをグループ情
コニカミノルタでは英中に加えて、フランス語、
報として中国語で開示している事例が1社ありま
ドイツ語で発行、ファーストリテイリングでは、
した。
さらに韓国語でも発行しています。作成言語の優
次にグループレポートの発行状況を見ていきま
先度としては、世界中のステークホルダーが読む
す。本稿では、表紙で「グループレポート」と示
ことを考えると、英語が必須、企業所在地の言語
している、もしくは、バウンダリ(報告範囲)の
が次点だと考えられます。
原則を連結やグループにしているレポートを、グ
ループレポートとみなして調査します。
(2) リージョナルでのESGディスクロージャー
調査対象30社の日本語版CSRレポート等(統
リージョナルサイトは、グループサイトにある
合レポートを含む、環境レポートとサステナビリ
グローバルネットワーク情報や子会社一覧等から
ティレポートが分冊の場合は両者でセットと考え
リンクする構造になっている場合が多く、大企業
る)を分類すると、21社がバウンダリに国内外
の場合は、地域を大きく分け、各リージョナルを
含め、グループレポートを発行しています。その
代表するヘッドクオーターを設置していることも
うち「グループレポート」とタイトルで示してい
あります。リージョナルサイトには主に製品情報
るのは9社にとどまっています。その他の9社は
やリージョナルの企業情報が掲載されており、そ
環境情報のみバウンダリが国内外グループとなっ
れとは別に参考情報としてグループ情報を載せて
ています。本稿では30社全てを並列に扱って集
いる場合もあります。
計することとします。
調査対象30社のうち、グループサイトから中
また、調査対象30社のうち29社が英語版グ
国リージョナルサイトをリンクさせているのは
ループレポートを発行、9社が中国語版グループ
20社となっています。その中の公開情報は、製
レポートも発行しています。そのうち1社は環境
品情報や企業理念、中国国内の事業所案内等の基
レポートのみが中国語に翻訳されています。
礎的な情報等が掲載されているものが多くなって
います。トップメッセージについては、グループ
現状の中国語版グループレポートの課題とし
トップと中国エリア責任者のメッセージが両方掲
て、記事の差し替え、数値単位の不統一などが挙
載されているのが4社、連名が1社、グループト
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ップのみが4社、中国エリア責任者のみが4社で
す。
これらの状況を鑑みると、中国語でのESGデ
ィスクロージャーが進んでいる背景には、事業展
また20社中19社でESG情報も開示していま
開や海外売上高比率拡大の影響が大きいものと予
す。内容は一部の方針とパフォーマンスに留まる
想されます。そういった企業は、中国版リージョ
ものが多く、環境情報のみの開示となっている事
ナルレポートを発行している事例の方が多く、グ
例や、グループの詳細情報として英語版グループ
ループでの活動の中国語によるディスクロージ
サイトにリンクされている事例もあります。
ャーよりも、リージョナルな活動のディスクロー
ジャーの方がより進められていることがわかりま
リージョナルレポートは、より現地とのコミュ
した。
ニケーションを図るものとして発行し、リージョ
ナルにフォーカスした情報を掲載しています。実
リージョナルでのディスクロージャーを中心と
際には紙媒体があってもweb等では開示されてい
しつつも、グループでの活動も連動して開示して
ないケースも多くあると予想されます。また、レ
いる事例もあります。パナソニックや日産では、
ポートの発行主体は日本の本社ではなく、現地の
中国版リージョナルサイトのCSR情報において、
ヘッドクオーターの場合も多くなっています。
調査対象30社の中でリージョナルポートを一
「中国」と「全球」を併記し、グループ情報への
アクセスも容易にしています。
覧として、グループサイトに掲載しているのは2
トヨタ自動車では、グループサイトにおいて各
社、それも含め中国版リージョナルレポートを作
地のリージョナルレポートへのリンクをはること
成しているのは、30社中6社(うち2社は環境の
で、アクセシビリティを高めています。また多言
み)となっています。平均は43.83ページで、
語でグループレポートを作成している場合は、英
「理念体系/マネジメント/環境報告/社会報告」
語版グループサイトで全言語のリンクをつける、
という形が主な構成となっており、環境レポート
もしくは発行言語を編集方針等で示している事例
の場合は、製品紹介や一部パフォーマンス情報の
も見受けられます。
掲載が主です。
また、近年CSRレポートのトレンドとして、
特集等でアジア地域を取り上げる事例も増加傾向
(3)
ESGディスクロージャー体系から見える方
針と課題
中国語でグループまたはリージョナルいずれか
にあります。ただしあくまでトピックスとしての
報告が多く、特に社会性パフォーマンスまで開示
されている事例はあまり見られません。
のESG情報開示を行なっている企業は、調査対
象30社中27社となっています。海外売上高比率
別に見ると、中国版リージョナルレポートを公開
今回の調査対象30社については、リージョナル
している6社のうち5社が約70%以上となって
情報を中心に中国語でのESGディスクロージャー
います。70%以下では、中国語版グループレポー
が進んでいることが確認されました。しかしその他
トもしくはそれに一部リージョナル情報を追加し
企業においては、まだ英語での開示に留まっている
たレポートを発行する傾向が読み取れます。
状況があります。CSRで外部評価の高い企業でも
外国人持株比率別に見ると、中国語版グループ
上位と下位では大きな差があり、日本企業のアジア
レポート、中国版リージョナルレポート共に、発
への事業展開状況と比較すると、まだ中国語でのデ
行の有無には相関性はあまり見て取れません。開
ィスクロージャーは進んでいないのが現状だと思わ
示情報量やアクセシビリティについても大きな差
れます。開示をしている場合でも、レポートの掲載
は見られませんでした。
箇所を見ると、グループサイトでリージョナル情報
海外上場をしているのは調査対象30社のうち、
開示状況を明確にしている企業は多くありません
11社となっています。この11社のうち、10社
また、今回はCSRレポート等のみをESG情報の
が中国版リージョナルサイト、1社が中国語版グ
開示媒体と限定して調査しましたが、多くの企業で
ル ー プ サ イ ト でESG情 報 を 開 示 し て お り、 レ
は、ESGディスクロージャーのインデックスとし
ポートの発行率も高くなっています。またそれが
てGRIガ イ ド ラ イ ン 対 照 表 に 有 価 証 券 報 告 書 や
英語版グループサイトへリンクされている比率
20-F、コーポレート・ガバナンス報告書、アニュ
も、その他より高い傾向にあります。
アルレポート、ファクトブック、製品情報、IR情報
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おわりに
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といった様々な媒体をリンクさせていることから
も、これらディスクロージャー媒体の体系を整理
し、読み手に分かりやすく示すことも求められてく
ると思われます。
ここで中国社会科学院がおこなったCSRランキ
ングの上位で、Corporate Registerの統合報告部
門でも表彰されたことのあるBASFを事例として見
ていきます。グループサイトは現地語(ドイツ語)
と 英 語 で 公 開 さ れ て お り、 レ ポ ー ト は ”BASF
REPORT”として統合レポートを英語/ドイツ語
で毎年発行している旨を、レポートプロフィールで
示しています。また、グループサイトでは各リージ
ョナルのトピックスが見ることができます。中国の
リージョナル情報はリージョナルサイトを中心に開
示しており、一部パフォーマンスまでを中国語で開
示し、グループ情報はグループサイトへ都度リンク
をはることでアクセシビリティを高めています。こ
のことからBASFではリージョナルの情報開示は主
に各地域に委譲し、グループでの情報開示を本社で
行なっていると推察されます。
中国社会科学院のランキングに日系企業が入って
いることも考えると、中国語でのディスクロージ
ャーが求められる企業は、進出地域でのエンゲイジ
メントだけでなく、ESGディスクロージャーのグ
ローバル化という視点も交えながら、戦略的に情報
開示していくことが今後の課題だと考えられます。
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IR
〈参考データ〉
調査対象:東洋経済CSR企業ランキング(2011)の上位50社のうち、Fortune Global 500(2011)
に選ばれている企業30社
中国語版グループサイト
社名
A社
中国リージョナルサイト
サイト
ESG
HTML
ESG
レポート
サイト
ESG
HTML
ESG
レポート
×
×
×
○
○
×
海外
上場数
海外売上高 外国人
比率
持株比率
0
76.0%
68.54%
B社
×
×
×
○
○
○
2
70.9%
45.29%
C社
×
×
×
○
○
×
0
73.4%
41.86%
D社
×
×
×
○
○
○
1
77.0%
41.74%
E社
×
×
×
○
○
×
0
82.1%
35.44%
F社
×
×
×
○
○
○
2
81.6%
34.69%
G社
×
×
×
○
○
○
0
76.5%
27.28%
H社
×
×
×
○
○
○
2
69.8%
24.49%
I社
×
×
○
×
×
×
0
51.4%
40.51%
J社
○
○
×
×
×
×
0
43.1%
39.11%
K社
×
×
○
○
○
×
1
37.3%
37.67%
L社
○
×
×
○
○
×
0
45.9%
35.99%
M社
×
×
○
○
○
×
1
40.8%
35.70%
N社
×
×
○
○
○
×
1
56.5%
34.79%
O社
○
○
○
×
×
×
0
38.4%
33.13%
P社
×
×
×
○
×
×
0
49.0%
26.59%
Q社
×
×
×
×
×
×
0
43.3%
26.45%
R社
○
○
×
×
×
×
0
45.0%
26.23%
S社
×
×
○
○
○
×
1
46.2%
25.32%
T社
×
×
○
○
○
×
1
54.9%
24.76%
U社
×
×
○
○
○
×
0
48.1%
19.87%
V社
×
×
×
○
○
×
0
50.3%
19.51%
W社
×
×
×
○
○
×
0
36.6%
18.86%
X社
○
○
×
×
×
×
1
25.4%
35.54%
Y社
×
×
×
○
○
×
3
32.5%
28.45%
Z社
×
×
×
○
○
○
0
19.9%
28.16%
xA社
×
×
×
×
×
×
0
12.2%
25.46%
xB社
○
○
×
×
×
×
0
23.4%
23.88%
25.3%
17.49%
xC社
×
○
○
×
×
×
0
xD社
×
×
×
×
×
×
0
10%未満 12.84%
※調査対象企業のホームページ、最新の有価証券報告書等を参考に筆者作成(2011年5月31日時点)
海外売上高比率に応じて3グループに分け、その中で外国人持株比率によって降順に並び替えている。
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〈参考文献〉
「グローバル時代のCSR-変化する社会の期待に応え、競争力を高める-」(2011年4月 経済同友会)
「対中国CSR対話ミッションおよび第2回日中CSR対話フォーラム団長所見」(2010年1月 CBCC)
「中国におけるCSRの動向と今後の展望-中国有力企業のCSR報告書分析から-」
(2008年11月 大和総
研 横塚仁士氏)
「中国におけるCSR(企業の社会的責任)の動き」(2010年2月 大和総研 横塚仁士氏)
「中国経済と日本企業2010年白書」
(2010年3月 中国日本商会)
「中国企業のCSRに関する若干の資料 中国企業における持続可能性報告書に関する研究-価値発見の旅-」
(2009年3月 酒井正三郎・張涛 訳)
“A Journey to Discover Values 2009 An exploration of non-financial disclosure A Study of
Sustainability Reporting in China”(2009年 Syn Tao)
「トゥモローズ・バリュー」グローバル・リポーターズ2006年企業のサステナビリティ報告書調査(2006
年 SustainAbility社)
「東洋経済CSR企業ランキング2011」(2011年 東洋経済)
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取引所
決算短信における
開示内容の見直しについて
鈴木 広樹
事業創造大学院大学准教授 東京証券取引所(以下、
「東証」と言います。)は
い内容にされていますが、今回の決算短信における
決算短信における開示内容を見直し、平成23年3
開示内容の見直しは、それと同様の見直しです。本
月1日以後に終了する決算から新しい内容にしてい
稿では、その見直しの内容とそれと関連して注意す
ます。四半期決算短信における開示内容は、平成
べき点などについて解説します。
22年6月30日以後に終了する四半期決算から新し
短信だけでなく、決算補足説明資料の作成や投資者
1 決算発表の基本的な構成
東証が上場会社に対して求めることにした決算発
表の基本的な構成は、以下の表のとおりです。決算
への説明機会の確保など、投資者ニーズを踏まえた
追加的な対応を行うことも求めています。
決算発表の基本的な構成
決算短信
サマリー情報
東証所定の決算短信(サマリー情報)
添付資料
東証が必須の内容として開示を要請する事項
・添付資料の目次
・経営成績・財政状態に関する分析
・継続企業の前提に関する重要事象等
・経営方針
・連結財務諸表
・連結貸借対照表
・連結損益及び包括利益計算書(1計算書方式の場合)又は連結損益計算
書及び包括利益計算書(2計算書方式の場合)
・連結株主資本等変動計算書
・連結キャッシュ・フロー計算書
・継続企業の前提に関する注記
・連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
・連結財務諸表に関する注記事項(注)
・セグメント情報
・1株当たり情報
・重要な後発事象
(注)連結財務諸表非作成会社(日本基準)に対しては、
「持分法投資損益等」
の開示も要請
投資者ニーズを踏まえた開示が求められる事項
(具体例)
・連結財務諸表に関する注記事項(セグメント情報、1株当たり情報、重要
な後発事象を除く)
・個別財務諸表及び注記事項
・利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
・事業等のリスク
・企業集団の状況
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・役員の異動
・経営管理上重要な指標
・生産、受注及び販売の状況
・設備投資、減価償却、研究開発費の実績値・予想値
・主要な連結子会社の業績の概況 等
決算短信以外
投資者ニーズを踏まえた対応
(具体例)
・通期決算の補足説明資料の作成
・通期決算の説明会・電話会議(カンファレンス・コール)の開催など説明
機会の確保
・上記説明会・電話会議の状況説明や動画・音声情報の提供
・決算短信や補足説明資料の英訳、英訳情報の提供、海外向け説明会の開
催 等
(注)連結財務諸表作成会社(日本基準)を念頭に置いた構成であり、連結財務諸表非作成会社(日本基準)
、
IFRS適用会社、
米国基準適用会社は、これに準じる。
2 サマリー情報の見直し
決算短信はサマリー情報と添付資料からなり、サ
れた「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関
する規則等の一部を改正する内閣府令(平成22年
マリー情報は東証所定の様式により開示しなければ
内閣府令第45号)
」に伴うものです。なお、(6)
ならないとされています(有価証券上場規程(以下、
のとおりに「個別業績の概要」の記載を省略した場
「規程」と言います。
)第404条)
。サマリー情報に
合の注意点については後述します。
おける変更点は以下のとおりです。
3 添付資料の見直し
(1)4つの様式を定める(日本基準(連結)、日本
従来の決算短信においては、サマリー情報の後の
基準(非連結)
、IFRS(連結)
、米国基準(連
部分も、
「定性的情報・財務諸表等」とされて、す
結)
)
。
べての上場会社に対して一律に同様の内容の開示が
(2)
「決算補足説明資料の有無」
、
「決算説明会開催
求められていました。今回の見直しにより、それが
の有無」
「説明会対象者」の記載を求める(「説
、
サマリー情報への添付資料とされて、「東証が必須
明会対象者」は必要に応じて記載)。
の内容として開示を要請する事項」の方は、すべて
(3)
「決算補足説明資料」
、
「決算説明会内容(説明
の上場会社に対して開示が求められるものの、「投
会・電話会議の状況説明や動画・音声情報
資者ニーズを踏まえた開示が求められる事項」の方
等)
」の入手方法の記載を求める(いずれも必
は、上場会社が投資者ニーズを踏まえて開示内容を
要に応じて記載)
。
選択することができるようになりました。
(4)
「監査手続の実施状況に関する表示」を求める。
(5)連 結財務諸表作成会社(日本基準)及び米国
基準適用会社に対して「包括利益」の記載を
求める。
(6)
「個別業績の概要」は、上場会社が投資者ニー
4 個別業績を開示しない場合の注意点
前述のとおり、連結財務諸表作成会社は、決算短
信において個別業績の開示を省略することができる
ようになりました。注意しなければならないのは、
ズを踏まえた上で、投資判断情報としての有
個別業績の開示を省略した場合であっても、売上
用性が乏しいと判断する場合、表題を含めて
高、経常利益、当期純利益の前期実績値と当期実績
記載を省略できることとする。
値との間に基準以上の乖離が生じた場合は、それに
関して開示が必要になるということです(規程第
(4)は、決算発表において開示される財務諸表
405条第3項、有価証券の取引等の規制に関する
が、金融商品取引法上の監査手続の対象ではないこ
内閣府令第51条)
。その開示基準は以下の表のとお
とについて、投資者に対して注意喚起を行うためで
りです。
す。また、
(5)は、平成22年9月に公布、施行さ
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取引所
子会社の業績差異に関する開示基準
前期実績値と当期実績値を
比較して、増減が
売上高
10%以上
経常利益
30%以上(注1)
当期純利益
30%以上(注2)
(注1)これとともに、増減が前期個別純資産額(資本金の額の方が大きい場合は、資本金と読み替える)の5%以上であ
る場合にのみ開示が必要になる。
(注2)これとともに、増減が前期個別純資産額(資本金の額の方が大きい場合は、資本金と読み替える)の2.5%以上で
ある場合にのみ開示が必要になる。
5 開示時期
6 開示内容の訂正の取扱い
東証は、昨年の四半期決算短信における開示内容
開示内容の訂正の取扱いは四半期決算短信と同様
の見直しの際、四半期決算短信の早期開示目標(四
です。決算短信を開示した後、有価証券報告書との
半期末後30日以内の開示が望ましい)の提示をと
差異が生じるなど、有価証券報告書の提出前に変更
りやめました(ただし、四半期報告書は四半期経過
又は訂正すべき事情が生じた場合、投資者の投資判
後45日以内に提出しなければならないため、遅く
断上重要な変更又は訂正である場合を除き、有価証
とも四半期報告書の提出までには四半期決算短信を
券報告書の提出後遅滞なくその変更又は訂正の内容
開示しなければならないとしている)
。
を開示することで構わないとされています(規程第
しかし、決算短信の開示時期についての取扱い
416条第2項)。
は、今回の開示内容の見直しに伴い変更されること
はなく、これまでどおりです。すなわち、決算の内
容が定まった場合に直ちに開示しなければならず
(規程第404条)
、期末後45日(45日目が休日の
場合は翌営業日)以内での開示が適当で、30日以
内(期末が月末の場合は翌月内)での開示がより望
ましく、50日(50日目が休日の場合は翌営業日)
以内に開示を行わない場合、理由及び翌年以降の開
示時期についての計画と見込みを開示する必要があ
るとされています。
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取引所
業績予想
―キホンと大企業の傾向―
小黒 紀和子
総合ディスクロージャー研究所研究員 昨今、業績予想が上方又は下方修正された場合
において「企業」という。)は、原則、第2四半期
の株価への影響や、業績予想を開示することの是
累積期間及び通期の業績予想を開示することが必
非などが取り沙汰されるなど、企業の業績予想が
要です。
話題になっています。
以下は、企業が業績予想の開示又は修正を行う
日本の証券取引所に上場する企業(以下、本稿
場合の一般的な年間スケジュールです。
例) 3月決算会社
時期
公表資料
2Q(累計)予想
通期予想
4月下旬~5/15
「決算短信」
数値公表
数値公表
「第1四半期決算短信」
修正あれば
「第2四半期決算短信」
実績公表
修正あれば
「第3四半期決算短信」
―
修正あれば
「決算短信」
―
数値公表(翌期)
実績公表
数値公表(翌期)
6/30(1Q末)
7月下旬~8/14
※
修正あれば
※
9/30(2Q末)
10月下旬~11/14
12/31(3Q末)
1月下旬~2/14
3/31( 期末)
4月下旬~5/15
※ 予想値(予想値がない場合は前年実績値)との差異が、売上高の場合は1割、営業利益、経常利益、
当期純利益の場合は3割以上になる場合には、直ちに適時開示を行う。
まず企業は、決算短信で「2Q(累計)」及び
「通期」の業績予想値を公表し、第1~3の四半期
その間、一定の基準を満たした場合は別途、適
時開示が必要となります。
決算短信において修正があれば予想値を修正しま
す。
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定時株主総会開催予定日
平成**年**月**日
配当支払開始予定日
有価証券報告書提出予定日
平成**年**月**日
決算補足説明資料作成の有無
:有・無
決算説明会開催の有無
:有・無(○○○向け)
平成**年**月**日
(百万円未満切捨て)
1.平成**年*月期の連結業績(平成**年**月**日~平成**年**月**日)
各 (1)連結経営成績
位
取引所
売 上 高
営業利益
百万円
%
百万円
参考)業績予想修正の適時開示の一例
**年 *月期
**年 *月期
(注) 包括利益
**年 *月期
1株当たり
当期純利益
百万円(
平成23年5月6日
(%表示は対前期増減率)
上場会社名
昭和シェル石油株式会社
経常利益
当期純利益
代表者
代表取締役社長 新井
純
(コード番号
5002)
%
百万円
%
百万円
%
問合せ先責任者
執行役員経理財務統括部長 吉岡 勉
(TEL
03-5531-5591)
%)
**年 *月期
業績予想の修正に�す�お知らせ
潜在株式調整後
1株当たり当期純利益
自己資本
当期純利益率
百万円(
総 資 産
経常利益率
%)
売 上 高
営業利益率
最近の業績動向を踏まえ、平成23年1月31日に公表した業績予想を下記の通り修正いたしましたのでお知
円 銭
円 銭
%
%
%
らせいたします。
**年 *月期
4.その他
**年 *月期
記
(参考)持分法投資損益
**年 *月期
百万円
**年 *月期
百万円 無 (1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動):
� 業績予想の修正に�い�
(2)連結財政状態
(2)会計処理の原則・手続、表示方法等の変更
平成23年12月期第2四半期(累計)連結業績予想数値の修正(平成23年1月1日~平成23年6月30日)
① 会計基準等の改正に伴う変更:
有 純 資 産
総 資 産
自己資本比率
1株当たり純資産
1株当たり四半期純
売上高
経常利益
四半期純利益
② ①以外の変更 : 無 営業利益
利益 円 銭
百万円
百万円
%
百万円
百万円
百万円
百万円
円銭
(注)
詳細は、22ページ「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更」をご覧ください。
**年
*月期
前回発表予想(A)
1,192,000
13,000
12,500
7,000
18.59
**年 *月期
今回修正予想(B)
1,324,000
59,000
59,000
31,500
83.64
(3)発行済株式数(普通株式)
(参考)自己資本
**年 *月期
百万円46,000
**年 *月期 46,500 百万円
増減額(B-A)
132,000
24,500
① 期末発行済株式数(自己株式を含む)
23年3月期
22年3月期
1,390,397,097株
増減率(%)
11.1
353.8 1,390,397,097
372.0株
350.0
(3)連結キャッシュ・フローの状況
(ご参考)前期第2四半期実績
② 期末自己株式数
23年3月期
22年3月期
2,596,617株
2,297,588株
17,189
21,575
11,579
30.75
営業活動による1,170,221 投資活動による
財務活動による
現金及び現金同等物
(平成22年12月期第2四半期)
23年3月期
22年3月期
③ 期中平均株式数
1,388,040,913株
1,387,565,809株
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フロー
期末残高
百万円
百万円
百万円
百万円
平成23年12月期通期連結業績予想数値の修正(平成23年1月1日~平成23年12月31日)
(参考)個別業績の概要
**年 *月期
1株当たり当期純利
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
1.平成23年3月期の個別業績(平成22年4月1日~平成23年3月31日)
益
**年 *月期
百万円
百万円
百万円
百万円
円銭
(1)個別経営成績
(%表示は対前期増減率)
〈決算短信・四半期決算短信で何を書く必要があるか〉
前回発表予想(A)
2,396,000
32,000
31,000
18,500
49.12
2.配当の状況
営業収益
営業利益
経常利益
当期純利益
今回修正予想(B)
2,638,000 年間配当金
61,000
60,000
90.28
配当性向
配当金総額 %34,000
純資産配当率
百万円
%
百万円
%
百万円
百万円
%
増減額(B-A)
242,000
29,000
29,000(合計) 15,500
第1四半期末
第2四半期末 第3四半期末
期 末
合 計100,790
23年3月期
△17.8
471,123
13.4 (連結)
52,289(連結)
123.2
決算短信では、1ページ(サマリー情報)目に
増減率(%)
10.1 115,853 90.6 8.2
93.5
83.8
円 銭
円
銭
円 銭88,878
百万円
%
%
22年3月期
△3.0
△7.8
△54.2
572,829円 銭 11.9円 銭 107,104
23,428
(ご参考)前期実績
2,346,081
36,701
42,148
15,956
42.37
おいて、以下の様式により開示を行います。
**年 *月期
(平成22年12月期)
1株当たり
潜在株式調整後
**年 *月期
当期純利益
1株当たり当期純利益
参考) 決算短信様式 「通期第1号様式〔日本基準〕
(連結)
**年 *月期(予想)
円 銭
円 銭 」より
平成23年12月期第2四半期(累計)個別業績予想数値の修正(平成23年1月1日~平成23年6月30日)
23年3月期
37.67
売上高
営業利益 37.66 経常利益
四半期純利益 1株当たり四半期純
3.平成**年*月期の連結業績予想(平成**年**月**日~平成**年**月**日)
利益
22年3月期
16.88百万円
16.88
百万円
百万円
百万円
円銭
(%表示は、通期は対前期、第2四半期(累計)は対前年同四半期増減率)
前回発表予想(A)
1,104,000
15,500
16,000
14,000
37.17
1株当たり
(2)個別財政状態
売 上 高 1,238,000 営業利益 64,000 経常利益66,000 当期純利益
今回修正予想(B)
43,000
114.15
当期純利益
総資産
純資産
自己資本比率
1株当たり純資産
増減額(B-A)
134,000 百万円
48,500
50,000
29,000
百万円
%
%
百万円
%
百万円
%
円 銭
12.1
312.9
312.5
207.1
百万円
百万円
%
円 銭
増減率(%)
第2四半期(累計)
(ご参考)前期第2四半期実績
23年3月期
3,384,061
1,160,358
34.313,278
835.84
1,099,980
18,079
20,338
35.25
通 期
(平成22年12月期第2四半期)
22年3月期
3,422,062
1,133,150
33.1
816.09
(参考)自己資本
23年3月期
1,159,977百万円 22年3月期
1,132,844百万円
平成23年12月期通期個別業績予想数値の修正(平成23年1月1日~平成23年12月31日)
加えて、サマリー情報において一般的に以下の
1株当たり当期純利
※ 監査手続の実施状況に関する表示
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
ような注意書きがなされます。
益
6
この決算短信は、金融商品取引法に基づく監査手続の対象外であり、この決算短信の開示時点において、金融商品取
百万円
百万円
百万円
百万円
円銭
前回発表予想(A)
2,176,000
28,000
28,000
21,000
55.75
引法に基づく連結財務諸表の監査手続は終了しておりません。
事例)
今回修正予想(B)
2,413,000
59,000
60,000
39,000
103.53
増減額(B-A)
237,000
31,000
32,000
18,000
※ 業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
増減率(%)
10.9
110.7
114.3
85.7
1.本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると
(ご参考)前期実績
2,203,807
36,650
39,977
22,399
59.46
(平成22年12月期)
判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。業績予想に
関する事項は、2ページ「経営成績に関する分析」(次年度の見通し)をご覧ください。
2.決算補足説明資料はTDnetで同日開示しており、また、当社ホームページに掲載しております。
これらの記載と併せて、数ページ後に出てくる
「次期の見通し」において、予想値の合理的な算出
や背景についての具体的な説明、算出の前提条件
なお、連結業績予想は必須の記載事項であり、
個別業績予想については任意の開示事項となって
います。(四半期決算短信においても同様)
の変動により業績予想値が大きく変動する可能性
がある場合の当該前提条件を開示、若しくは、や
決算短信で業績予想を開示したのち、第1~3
むを得ず業績予想の開示を行わない場合の詳細な
四半期決算短信の1ページ(サマリー情報)目では、
理由説明などが記載されます。
企業は以下の様式により開示を行います。
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参考) 四半期決算短信様式 「四半期第1号様式〔日本基準〕(連結)」より
第1~3四半期決算短信では、欄外注記の「当
になります。
四半期における業績予想の修正有無」において、
企業は「有」又は「無」のいずれかを選択するこ
とになります。
注意すべき点として、企業は一定の基準以上の
業績数値の修正が生じると、四半期決算短信の公
基本的には、表中に記載された業績予想の内容
表とは別に、適時開示を行う必要がありますが、
が、直近に公表されている内容と異なる場合には
その場合は以下のように、その公表日により「有」
「有」、変更がない場合には「無」を選択すること
又は「無」の選択に違いが生じます。
◆ 修正の適時開示の公表を、四半期決算短信の公表日の前営業日までに行った場合
(かつ、その予想を四半期決算短信において継承する場合)
⇒「無」を選択
◆ 修正の適時開示の公表を、四半期決算短信の公表日と同日に公表した場合
⇒「有」を選択
前述のとおり、適時開示は一定水準以上、つま
〈業績予想値の非開示について〉
り、ある程度株価等に与えるインパクトが大きい
修正である場合にリリースが ”別途”必要とされ
るものです。
一方、冒頭のように企業によっては業績予想を
開示しないところもあります。また、様々な事情
により年によって開示したり非開示にしたりする
従って、四半期決算短信の「当四半期における
業績予想の修正有無」に「有」が選択されている
ケースもあります。
東証は、原則として業績予想を開示することを
企業は何かしらの予想値修正を行っていますが、
求めていますが、非開示の場合には東証へ事前相
影響が大きいと考えられる上方修正又は下方修正
談を行うことを求めており、かつ決算短信及び四
が行われている場合に限り(※1)、同時に別の公表
半期決算短信において、非開示の旨の記載並びに
資料として、適時開示が行われていることになり
記載しない理由や、後に数値を開示する場合には
ます。
その旨等を、詳細かつ投資家にわかりやすく目立
つように記述することを強く求めています。
「当四半期における業績予想の修正有無」の項目
のほか、サマリー情報においては、決算短信と同
業績予想の適時開示では、前述のように、予想
様の趣旨の注意書きが行われ、更に数ページあと
値を修正する場合だけでなく、下記の場合も開示
に出てくる「連結業績予想に関する定性的情報」
が必要とされています。
などの項目において、修正を行った場合などに詳
細な説明がなされます。
◦当期予想値と当期決算値に差異が生じた場合
◦当期予想値を公表していない場合であって、前期決算値と当期決算値に差異が生じたとき
◦期初に当期予想値を公表していない場合であって、当期予想値を新たに算出したとき
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取引所
ルだけでなく内容を正確に把握する必要がありま
適時開示では、イメージとして開示様式例が示
す。
されていますが、上記のように提出事由が様々で
あることや、もともと適時開示は様式の縛りがそ
※1 原則はそうだが、任意による業績予想値修
こまで厳格でなく比較的自由であるため、タイト
正に係る適時開示の公表がある可能性は否定
ルや記載内容は会社によって異なっています。
できない。
そのため、適時開示の資料を見る時は、タイト
これらの企業において、どの程度業績予想の開示
上記の規定を踏まえた上で、実際に企業の業績
を行っているのか、いつどのタイミングで適時開
予想の実態について調査を行いました。
示を行っているケースが多いのかなどについての
調査を行っています。
調査は、東証の株価指数「TOPIX 100」銘柄
を使用し、日本の大企業をサンプルとしました。
調査結果
〈調査対象の概要〉
対象銘柄 : TOPIX100より100銘柄 (※)
(H22.10.29東証公表銘柄。銘柄一覧は東証のHPに掲載されている。)
対象期間 : 直近の1会計期間分
ex. 3月決算⇒H22.4.1~H23.3.31 12月決算⇒H22.1.1~H22.12.31
対象資料 : 決算短信、第1~3四半期決算短信、業績予想の適時開示関連、その他
(研究所調査担当 小黒・黒須)
※ TOPIX 100・・・TOPIXの構成銘柄を一定の基準で規模ごとに7つに細分化した時価総額加重型株
価指数の一つ。TOPIX100構成銘柄は、東証市場第一部銘柄(内国普通株式)の中から、時価総額及
び流動性の高い100銘柄で構成される大型指数のことをいい、(中略)東証市場第一部時価総額の約60
パーセントをカバー。
(東証 用語集より抜粋)
収集データをもとに、幾つかの特徴的な点を以
下に取り上げました。
〈全般〉
① 決算短信で業績予想値を開示する会社はどのくらいあるのか。
通期のみ開示
(例外)
2社(※2)
非開示
10社(※1)
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2Qのみ開示
1社
通期のみ開示
19社
2Q・通期を開示
68社
※1 短信では業績予想の記載がないが、期初(H22.4.1)
に数値公表済の企業を含む。
※2 「通期のみ開示(例外)」の内容は、営業利益のみ開示
した企業と、連結当期純利益の目標値のみを開示した企
業である。
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統計の結果、9割の企業が2Q及び通期(又は
なお、業種別の傾向は、以下のとおりです。
いずれか)の業績予想値の開示を行っており、1
割の企業が非開示でした。
非開示企業………………鉄鋼業と証券業が多い
通期のみ開示した企業…卸売業、電気機器業、
情報・通信業が多い
② 1年を通じてどこかの時点で修正を出す会社が多い中、修正を全く行わなかった企業はあるか。
(対象期間中、決算短信・四半期決算短信、並びに適時開示において業績修正を行っていない企業。た
だし予想非開示の企業は除く。
)
⇒ 5 社
残りの95%の企業は、どこかの時点で何かしら
(T&Dホールディングス、三菱地所、住友不
の業績予想修正を行っていたことになります。
動産、セコム、KDDI(通期のみ予想企業))
〈2Qについて〉
③「第2四半期決算短信」公表日のやや前の時期に、2Q又は通期(若しくは両方)の業績予想を見直す(適
時開示を行う)企業が多いが、何日くらい前に公表しているか。
対象期間: 第1四半期決算公表後~第2四半期決算短信の前日
(突発事項を要因とする極端なケースは除くこととしたが、今回はなかった。
)
対象企業: 上記対象期間中に、業績修正の適時開示を行った企業「16社」
⇒ 平均 16.6 日前
の乖離がある場合に予想値を修正しているという
(最短 2日前 最長 39日前)
のが自然な考え方だと思われます。また、それを
受けて通期の予想値も見直すことが多いと思われ
これは母数が少ない統計ですが、平均して第2
ます。
四半期決算発表の約2週間前に、企業は業績予想
なお、当該業績予想修正の適時開示において、
値の修正を行っていました。
企業によって多少時期は異なりますが、第2四
半期の数値が固まってくる頃、既公表の予想値と
2Q又は通期のいずれの業績予想の修正を行って
いるかの内訳については、以下のとおりです。
◆2Qの予想値のみ修正 ⇒ 13 社(個別の業績修正のみ行った1社含む)(注)
◆2Qと通期の予想値を修正 ⇒ 3 社(個別の業績修正のみ行った1社含む)
(注)13社のうち、通期の予想値は2Q短信公表時に明らかにする旨を書いた会社又は記載
はないが、2Q短信公表時に修正を公表した企業 ⇒ 7 社
④ 「第2四半期決算短信」の「当四半期における業績予想の修正有無」(前述の四半期決算短信様式をご
参照)における「有」又は「無」の割合はどうなっているか。
修正「有」とした企業 ⇒ 71 社
修正「無」とした企業 ⇒ 29 社
うち、修正「有」又は「無」とした企業の内訳は、
以下のとおりです。
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取引所
修正「有」72 社
修正「無」29 社
予想開示企業で、予想値を修正した企業
予想非開示だったが、通期予想を新たに開示した企業
予想開示企業で、修正がなかった企業
予想非開示企業のため、
「修正無」とした企業
66 社 ※2
6 社 ※3
26 社 ※4
3社
※1 非開示であった一部指標を公表し、かつ開示済であった残りの予想値の修正を行った企業1社は重複してカウント。その
ため、内訳合計は100社でなく全部で合計101社となっている。
※2 重複カウントの企業1社を含む。
※3 経常利益のみ開示した企業1社と、重複カウントの企業1社を含む。
※4 短信では予想非開示だったが1Q短信で開示済の企業1社含む。
⑤ 「第2四半期決算短信」公表日と同日に、
「通期」の業績予想を見直す内容の適時開示を行う企業が多
かったが、当該会社数はどのくらいか。
⇒ 30 社
※ 個別のみ業績予想を修正した企業、予想
非開示会社で一部指標のみ公表した企業、
目標数値を開示している会社で訂正を行っ
た企業も含む。
年実績値)との比較が一定以上の場合には適時開
示が必要となる(下記事例をご参照)が、その企
業数は以下のとおりです。
⇒ 28 社
※ 上記の通期予想の見直しと、同じ1つの
また、第2決算短信の公表時には、第2四半期
の実績値が明らかになることから、それまでに公
資料で開示している企業もこちらで別カウ
ントしている。
表していた予想値(又はこの値がない場合には前
事例)
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〈期末の決算短信について〉
⑥ 決算短信で業績予想を行ったが、翌期の決算短信において、業績予想をしなくなった(又は一部しな
くなった)企業はどのくらいあるのか。
⇒ 29 社 (100社中)
内訳は、以下のとおりです。
19 社
5社
4社
1社
2Q・通期予想を開示→ 開示なし
通期予想を開示→ 開示なし
2Q・通期予想を開示→ 通期のみ開示
2Q・通期予想を開示→ 2Qのみ開示
業 種 別 で は、 上 記 に 該 当 す る 企 業 は 電 気 機 器
業・輸送機器業が多く見受けられました。
今回の調査では、業績予想値の非開示(又は一
部開示)企業の方針を、前回と今回の短信で変更
しなかった企業は24社(100社中)あり、⑥の結
〈震災の影響について〉
果で出た29社と合算すると、直近の短信では53
社が業績予想値を非開示又は一部開示としていた
平成23年3月11日に起きた東日本大震災の影響
ことになります。(※)
により、東京証券取引所は同年3月18日、本地震
災害により業績の見通しを立てることが困難な場
※ 調査時点(5月下旬)での結果であり、サン
合には、決算短信及び四半期決算短信において、
プルをいつ時点で切り取るかによって結果が
業績予想を開示する必要がない旨の通達を出しま
異なることに注意が必要である。
したが、結果的に3月決算会社は、8割が業績予想
の開示を行ったと公表(東証社長会見)されまし
た。
⑦ ⑥の結果で出た29社の中で、業績予想値を記載しなくなった(又は一部しなくなった)理由を東日本
大震災の影響によるものと記載した企業はどのくらいあったか。
⇒ 26 社
〈参考文献〉
◦東京証券取引所 会社情報適時開示ガイドブック(2011年3月)
◦TOPIX 100 東証規模別株価指数(大型株)一覧(平成22年10月28日時点)
◦東京証券取引所 決算短信様式・作成要領等
◦東京証券取引所 四半期決算短信様式・作成要領
◦その他東京証券取引所から上場会社宛通知資料
◦
『適時開示ハンドブック』(久保幸年 ㈱中央経済社)
◦
『適時開示制度と定性的情報の開示』(久保幸年 ㈱中央経済社)
◦
『株式投資に活かす適時開示』(鈴木広樹 ㈱国元書房)
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研究所活動状況
第4回「ディスクロージャー制度研究会」
議事概要
平松 朗
ディスクロージャー研究一部部長 藤井 靖弘
執行役員ディスクロージャー研究一部長 宝印刷総合ディスクロージャー研究所は、金商法
上のディスクロージャー制度に関する課題の指摘を
企業に選ばれているということになっている
のですか。
中心テーマとする「ディスクロージャー制度研究
会」第4回会合を、4月9日㈯に開催しました(第4
○ 個別開示の議論をされていましたけれど、
回は、3月12日㈯に予定しておりましたが、東日
個別情報というのもやはり強制的に個別情報
本大震災の影響で中止となりました。このため、今
が開示されていれば、調査コスト、トランザ
まで報告者は2名で開催してきましたが、第4回及
クション・コスト等、さまざまな点で下がり
び第5回の報告者を3名とすることで対応しまし
ますよね。もし、連結だけとか、それがセグ
た。)。本稿では、第4回の議事概要について記しま
メントという形で出てきたりするかもしれま
す。
せんが、それを更に調査しなければいけない
となると、アナリストはコストがかかります
1.第4回議事概要
⑴ 参考人の報告及び議事概要
参考人として、日本証券アナリスト協会の金
子誠一氏をお招きして報告を行っていただきま
よね。しかし、それが本当に強制に値するだ
けのコストを負担させるだけの意味を持つか
というのは、法制度を設計するときに必ず出
てくるんです。
した。具体的には、
「証券アナリストと金商法
開示」というテーマで、以下の事項について報
告が行われました。
○ 現状、製造原価明細表による損益分岐点分
析が本当に可能かどうかということで申し上
◦日本証券アナリスト協会
げると、連結ベースでそういう性質別開示を
◦「ディスクロージャー優良企業選定」にお
するような情報インフラというものは普通の
けるスコアリング基準
会社はないと思うんです。そこまで要求され
◦アンケートに見る重要な情報源
るということは、それを出すだけの本当のメ
◦個別財務諸表
リットあるのかということがどうしても企業
◦四半期情報
側、作成者側にはありまして、単独であって
◦特別目的会社の取扱い~ケーススタディ~
も、あの製造原価明細表を開示するというの
◦まとめ
は、なかなか大変な作業でありまして、それ
をやらなくていい会社とやらなければいけな
金子誠一氏の報告を受けて、各委員等から以
下のような発言がありました。
い会社があるというのが実情だと思うんです
けれども、それをまして連結ベースでという
ことに関しては作成者側は世界的にも批判が
○ ディスクロージャー優良企業の件ですけれ
大きいポイントだと思うんですけれども、膨
ども、スコアリングを見ますと説明会とかイ
大なシステム投資をしないとやはり耐えられ
ンタビューの割合が非常に高いわけですよ
ないだろうなというポイントではあるんで
ね。多分、いろいろな会社の開示書類は大体
す。
同じような開示書類のレベルだと思うんです
ですから、それが本当にコスト・ベネフィ
が、やはりアナリストの方が聞きたいことを
ットという意味で納得がないという感じはあ
きちんと説明している会社、あるいはインタ
ります。
ビューで答えている会社が、結局、この優良
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⑵ 参考人の報告及び議事概要
参考人として、事業創造大学院大学准教授の
○ 株式のIPOについてはやはり日本の特定投
資家制度を使ってTOKYO AIMをつくった。
鈴木広樹氏をお招きして報告を行っていただき
これは筋が悪かったのではないかと思うけ
ました。具体的には、
「新興市場におけるディ
ど、ロンドンのAIMも別にそういう投資家制
スクロージャーのあり方について―アドバイ
限はしていないし、それから、シンガポー
ザー制度の有効性―」というテーマで、以下の
ル、その他のIPO市場もしていません。です
事項について報告が行われました。
から、それで日本がうまくいくというのは、
◦日本の新興市場の現状
これは非常に考えにくいことであると思われ
◦日本の新興市場の現状を踏まえた最近の動
ます。
き
◦新興市場におけるディスクロージャーのあ
り方
⑶ 橋本委員の報告及び議事概要
橋本委員からは、「わが国内部統制報告制度
◦TOKYO AIMのディスクロージャー制度
の実態と課題」の報告が行われました。具体的
◦グリーンシートのディスクロージャー制度
には、わが国内部統制報告制度の実態と課題等
について報告が行われました。
鈴木広樹氏の報告を受けて、各委員から以下
のような発言がありました。
橋本委員の報告を受けて、各委員等から以下
のような発言がありました。
○ 今、アドバイザーを置くというような話が
うまく機能すると思われるとすれば、世の
○ やはりこの内部統制報告制度が導入されて
中、これだけコンサルタントがいるわけなの
企業の財務諸表作成能力というか、そこのと
で、多分、フィーのストラクチャーと責任が
ころが非常に整備されてレベルアップが図ら
合えば制度でいじらなくてもある程度増えて
れているのではないかという印象を私として
いくということは想像できますが、逆に頑張
は持っています。
っ て も 増 え な い と い う こ と は、 多 分、
上場会社といっても、中堅以下ぐらいの会
TOKYO AIMが典型だと思うのですが、そ
社でしょうか。個別の企業の属性にもよりま
このバランスが崩れているというか、見合わ
すけれども、これまで財務諸表監査の枠内で
ないのではないかという気がするのです。
も、繰延税金資産の回収可能性をどう考えま
すかといった、結果的に帳簿に記載されてい
○ TOKYO AIMに案件が出てこない最大の
る数字自体は特に監査上も問題ない数字には
理由は、特定投資家の方は新興マーケットに
なっているんですけれども、ではその数字の
投資をしませんというところでして、御存じ
根拠といいますか、今の現行の日本の会計基
の と お り、 新 興 企 業、 こ のJASDAQ、 マ
準でいきますとまずその会社の業績とか将来
ザーズの最大の投資家層というのはリテール
の課税所得の見積りから、その会社区分を決
の投資家の方です。そのリテールが新興企業
定してそれに応じたスケジューリングをしな
のリスクをとるのがいいのかというのは一つ
さいという流れになります。
の考え方としてあるのかもしれませんが、現
けれども、そこのところの考え方の整理で
状においては日本のIPO市場においてトレン
すとか、そういった非常に重要な判断になる
ドを決めているのはリテールの投資家です。
と思うのですが、そこの判断の根拠の文書
ただ、特定投資家マーケットというのは、
化、そういったところができていないという
リテールは超ハイウェルシー(富裕層)な人
ようなことがやはりこの制度の導入前はよく
でないと特定投資家にはなりませんので、そ
ありました。
うすると、今、現状のその機関投資家と言わ
基本的にはその財務諸表の作成責任は企業
れる方がこの特定投資家にあたりますけれど
側にあって、監査人はそれを監査する立場と
も、IPOマーケットに入ってきていないので、
いうことですけれども、この制度が入る前の
まず投資家がいないということになります。
実務としては作成は勿論していないのです
が、繰延税金資産の回収可能性について会社
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研究所活動状況
はどう考えているのですかという前に、も
ばよかったけれど、ヨーロッパというものが
う、私たちの方でその会社の状況証拠から今
出てきてしまったので、しかもそのヨーロッ
の会社の考えている区分ですとか、回収可能
パのルールをアメリカもどんどん入れていく
額は妥当だという結論を導き出していたとい
ものだから、もう本当にどこに基準を置いて
うようなところがありました。
いいかわからない。
そうではなくて、やはりこの制度が入って
では、日本できちんと考えて主張するだけ
財務報告のプロセスを整備していく中で会社
の力があるかというと、どうも今までそうで
としてどう考えるのだと、それはこういう形
はなかった。要するに日本の業界全体の傾向
で残していかなくてはいけないという流れが
としてお上の言うことはよく聞く、それから
整理されたことで、まず会社としてこういう
責任回避的なバイアスというのは非常に強い
判断なのだ、それを監査人はどう考えるのか
ということになると、新しい規制があると何
という一連の作成責任と監査の責任といいま
でも一応守っておこうかという方向になりが
すか、そういったところは非常にすっきりと
ちです。それで現にそうなりつつあると思う
整理されてきたように感じています。
のですが、ただ、もうそれがコスト的に耐え
がたい方向になってきていることも事実であ
○ 「何をよすがとして決めていくか」という
るということだと思うのです。
のは、もうこれから常に出てくる問題で、今
まではアメリカのルールをフォローしていけ
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以上
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その他
金融商品取引法関連法令の改正日誌 平成23年3月1日~平成23年5月31日
〈
「企業内容等の開示に関する内閣府令」についての改正一覧〉
府令名
公布日
四 半 期 連 結 財 H23.3.31
務諸表の用語、
様式及び作成
方法に関する
規則等の一部
を改正する内
閣府令
(内閣府令第
10号)
主な内容
施行日
H23.3.25に企業会計基準委
員会から公表された「四半期
財務諸表に関する会計基準」
及び「四半期財務諸表に関す
る会計基準の適用指針」等の
改正に伴う、四半期の簡素化
に係る改正。その他、比較情
報制度の導入に伴う改正
H23.4.1
〈四半期報告書の主な改正〉
四半期会計基準等の改正に伴
う改正のほか、
⑴「関係会社の状況」、「従業
員の状況」、「生産、受注及び
販売の状況」、
「設備の状況」、
「株価の推移」の項目が削除さ
れる一方、従業員、生産、受
注及び販売の状況、主要な設
備については、「財政状態、経
営成績及びキャッシュ・フロー
の状況の分析」において著し
い変動等があった場合に記載
を要する
⑵「主要な経営指標等の推移」、
「新株予約権等の状況」、「行使
価額修正条項付新株予約権付
社債券等の行使状況等」、「役
員の状況」等における記載の
一部改正
H23.4.6
完全孫会社の役員等又は使用
人向けストック・オプション
に係る届出書の届出免除
改正された様式
【 四 半 期 報 告 書 様 〈内国〉
式】
2号(届出書・通常方式)、
H23.4.1以後に開 2号-4(届出書・新規上場)、
始する連結会計年 3号(有報)、
度に属する四半期 4号-3(四半期報告書)、
連結会計期間を当 5号(半報)、
四半期連結会計期 5号-2(半報、少額募集等)
間とする四半期報
告書から適用
〈外国〉
7号(届出書)、
【届出書様式】
8号(有報)、
記載すべき最近連 9号-3(四半期報告書)、
結会計年度の連結 10号(半報)
財 務 諸 表 が
H23.4.1以後に開
始する連結会計年
度のものである場
合における届出書
から適用
【有報様式】
H23.4.1以後に開
始する連結会計年
度を当連結会計年
度とする有報から
適用
【半報様式】
H23.4.1以後に開
始する中間連結会
計期間を当中間連
結会計期間とする
半報から適用
〈届出書の主な改正〉
四半期会計基準等の改正に伴
う改正のほか、
⑴「 業 績 等 の 概 要 」、「 生 産、
受注及び販売の状況」、「研究
開発活動」、「主要な設備の状
況」の各項目において、四半
期に係る規定が改正
⑵「その他」の項目において
も四半期に係る記載上の注意
が改正
金融商品取引
法第二条に規
定する定義に
関する内閣府
令等の一部を
改正する内閣
府令
(内閣府令第1
9号)
適用日・経過措置
H23.4.6
―
―
→ストック・オプションの募
集・売出しの相手方が、当該
新株予約権証券の発行会社の
「完全孫会社」(完全子会社が
他の会社の発行済株式の総数
を所有する場合における当該
他 の 会 社 )( 現 行 は、 当 該 会
社・完全子会社)の役員・使
用人である場合には、開示義
務を免除する
(注1)
「金融商品取引法」を「金商法」と、有価証券報告書を「有報」
、有価証券届出書を「届出書」
、半期報告書を「半報」と、それぞれ略称を使用している。
(注2)経過措置は全文言掲載が困難であるため、抜粋であることをお断りしておく。
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その他
〈
「財規諸表等規則」等についての改正一覧〉
府令名
公布日
主な内容
施行日
適用日・経過措置
改正された財規の種類
四 半 期 連 結 財 H23.3.31 H23.3.25に企業会計基準委 H23.4.1 【四半期連結財規・四半期財規】 財規、
員会から公表された「四半期
H23.4.1以後に開始する連結 連結財規、
務諸表の用語、
財務諸表に関する会計基準」
会計年度(事業年度)に属する 中間財規、
様式及び作成
及び「四半期財務諸表に関す
四半期連結会計期間(四半期会 中間連結財規、
方法に関する
る会計基準の適用指針」等の
計期間)及び四半期連結累計期 四半期財規、
規則等の一部
改正に伴う、四半期の簡素化
間(四半期累計期間)に係る四 四半期連結財規
を改正する内
に係る改正
半期連結財務諸表(四半期財務
閣府令
諸表)について適用
(内閣府令第
⑴第1四半期、第3四半期は連
10号)
結CFの開示を任意とする
【連結財規・財規】
H23.4.1以後に開始する連結
⑵四半期連結PL、四半期連
会計年度(事業年度)に係る連
結包括利益計算書(1計算書
結財務諸表(財務諸表)につい
方式、2計算書方式共に)に
て適用
係る開示は累計期間を基本と
し、 会 計 期 間( 3 ヶ 月 情 報 )
【中間連結財規・中間財規】
の開示は任意とする
H23.4.1以後に開始する中間
連結会計期間(中間会計期間)
⑶注記事項の削除又は記載内
に係る中間連結財務諸表(中間
容の減少
財務諸表)について適用
⑷四半期連結会計期間及び四
半期連結累計期間に係る四半
期連結財務諸表について、比
較情報の作成を求める
(注)
「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)
」を「財規」
、
「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務
諸表規則)」を「連結財規」、
「中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間財務諸表等規則)
」を「中間財規」
、
「中間連結財務諸表の用語、
様式及び作成方法に関する規則(中間連結財務諸表規則)」を「中間連結財規」、「四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期財務
諸表等規則)」を「四半期財規」
、「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期連結財務諸表規則)」を「四半期連結財規」
、
「損
益計算書」を「PL」、「キャッシュ・フロー計算書」を「CF」と、それぞれ略称を使用している。
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〈金商法ニュース Pick up〉
名称
公表日(情報元)
財務計算に関する書類
その他の情報の適正性
を確保するための体制
に関する内閣府令の一
部を改正する内閣府令
(内閣府令第7号)
H23.3.29
「連結財務諸表の用語、
様式及び作成方法に関
する規則に規定する金
融庁長官が定める企業
会計の基準を指定する
件の一部を改正する件」
等
(金融庁告示第35号・
第36号)
H23.4.1
主な内容
備考
用語「重要な欠陥」を「開示すべき重要な不備」に見直す 施行日はH23.4.1
ほか、財務諸表監査の監査報告書の記載区分等の見直しが
行われたことから、内部統制監査報告書の記載区分、記載 H23.4.1以後開始す
区分における内容の見直しを行うもの
る事業年度から適用
以下の告示の一部改正
*「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
に規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する
件」(平成21年12月金融庁告示69号)
*「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則に
規定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」 (同告示70号)
―
企業会計基準委員会がH23.3.25に公表した以下の企業会
計基準が、上記告示に規定する一般に公正妥当と認められ
る企業会計の基準として指定された
企業会計基準第12号 「四半期財務諸表に関する会計基
準」(改正)
企業会計基準第20号 「賃貸等不動産の時価等の開示に関
する会計基準」(改正)
企業会計基準第22号 「連結財務諸表に関する会計基準」
(改正)
連 結 財 務 諸 表 の 用 語、
様式及び作成方法に関
する規則に規定する金
融庁長官が定める企業
会計の基準を指定する
件の一部を改正する件
(金融庁告示第37号)
H23.4.6
「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則に規
定する金融庁長官が定める企業会計の基準を指定する件」
(平成21年12月金融庁告示69号)の一部改正
―
国際会計基準審議会がH22.7.1~H22.12.31の間に公表
した以下の国際会計基準を、連結財務諸表の用語、様式及
び作成方法に関する規則第93条に規定する指定国際会計
基準とするもの
*国際財務報告基準(IFRS)第1号「国際財務報告基準の
初度適用」(改訂)
*国際財務報告基準(IFRS)第7号「金融商品:開示」
(改訂)
*国際財務報告基準(IFRS)第9号「金融商品」(改訂)
*国際会計基準(IAS)第12号「法人所得税」(改訂)
金融商品取引法第二条
に規定する定義に関す
る内閣府令等の一部を
改正する内閣府令
(内閣府令第19号)
H23.4.6
資本市場及び金融業の
基盤強化のための金融
商品取引法等の一部を
改正する法律
(法律第49号)
H23.5.25
「金融商品取引法施行令」の改正
施行日はH23.4.6
→ 適格機関投資家に該当しない特定目的会社の要件を追
加。
「発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する
内閣府令」及び
「発行者による上場株券等の公開買付けの開示に関する内閣
府令」の改正
→ 公開買付届出書の一部の記載について、一定条件を前
提に記載の簡略化を行うなど。
(注)
平成23年改正金商法で、開示制度等に係る主な内容は、 一部を除き「公布の
以下のとおり。
日から起算して一年
を超えない範囲内に
⑴新株予約権無償割当てによる増資(いわゆるライツ・オ おいて政令で定める
ファリング(株主全員に新株予約権を無償で割り当てること 日」から施行
による増資手法をいう。)に係る開示制度等の整備 ① 目論見書の交付方法の弾力化
② 「有価証券の引受け」の範囲の見直し
③ インサイダー取引の重要事実の明確化
⑵英文開示の範囲拡大
外国会社等による英文開示の範囲を有価証券届出書等及
び臨時報告書に拡大する
⑶発行登録制度における目論見書の交付義務の免除
発行登録制度における発行条件決定時の発行登録追補目
論見書の交付義務を、有価証券届出書利用の場合と同様に、
免除
(注)企業内容等の開示に関する内閣府令(開示府令)に関する改正については、
〈
「企業内容等の開示に関する内閣府令」についての改正一覧〉をご参照。
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その他
【書籍案内】カーボンディスクロージャー
税務経理協会より平成23年7月発刊 定価 本体2,700円 (税別)
第Ⅰ編 カーボン情報開示の国際的進展
第1章 非財務情報開示の動向とステークホルダーニーズ
第2章 非財務情報開示の国際動向とわが国への示唆
第Ⅱ編 カーボン情報開示の日米欧企業の実態
第3章 有価証券報告書における気候変動情報の開示規制
第4章 有価証券報告書における気候変動情報の開示実態
第5章 日本における気候変動情報の開示事例
第6章 海外における気候変動情報の開示事例
第Ⅲ編 カーボン情報開示の実践と課題
第7章 企業における気候変動情報の開示行動
第8章 排出クレジットの価格決定と会計
第9章 株主の温室効果ガス排出責任
第10章 気候変動にかかわるリスク・チャンス情報の両面開示
(刊行にあたって)
地球温暖化等の気候変動に関連する法律・経済・会計・税務・金融についての議論を交えながら、制度開示
(有価証券報告書等)
、任意開示(CSR報告書、環境報告書等)のあり方について研究を行うため、総合ディ
スクロージャー研究所の活動の一環として「気候変動に関するディスクロージャー研究会」を設けました。当
該書籍はその研究会における各委員による報告を基に取りまとめたものであり、読者の方々に有効活用して頂
ければ幸甚です。
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13:42:34
全2講
新 任 経 理 の 方 を 対 象 と し た 入 門 セ ミ ナ ー
有価証券報告書入門セミナー
「有価証券報告書入門セミナー」のご案内
拝啓 時下ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
新たに経理関係業務や金融商品取引上の開示実務に携わることになる方々を対象に、有価証券報告書に関連す
る法制度や記載内容等を解説する「有価証券報告書入門セミナー」を開催させていただきます。
第1講 基礎知識編では、有価証券報告書の基本構成および内容について、弊社の記載例をベースに解説する
とともに、今後導入が予定されている国際会計基準の概要について解説します。
第2講 実務演習編では、最近における法令・会計基準等の改正を踏まえた包括利益計算書の作成実務を解説
するとともに、財務諸表作成者にとっておちいりやすい、有価証券報告書内の整合性について、設例方式によ
って解説します。
万障お繰り合わせの上、ご参加くださいますよう宜しくお願い申し上げます。
敬具
宝印刷株式会社・総合ディスクロージャー研究所
概 要
第1講 基礎知識編 有価証券報告書の作成方法と見方
第2講 実務演習編 有価証券報告書の作成実務(詳細及び講師については裏面参照)
●日 程
●時 間
第1講 2011年9月26日(月)
第2講 2011年9月27日(火)
第1講 10時30分より16時15分まで
第2講 10時30分より16時15分まで
●受講料
各講義につきお一人様 25,000円
2講義共にお申し込みいただいた場合は、
お一人様 40,000円
(テキスト、昼食代、消費税を含みます)
●お申し込み
❶宝印刷㈱又は総合ディスクロージャー研究所
ホームページ「セミナー情報」から 「有価証
券報告書入門セミナーお申し込みフォーム」
(http://www.takara-print.co.jp/business/23-yuho_2.html)
よりお申し込みください。
●会場のご案内
東京都千代田区九段北4-2-25
アルカディア市ヶ谷 4F 鳳凰
最寄駅
◆JR中央線(各駅停車)
市ヶ谷駅 徒歩2分
◆東京メトロ有楽町線・南北線
市ヶ谷駅(A1-1)出口 徒歩2分
◆都営新宿線
市ヶ谷駅(A1-1・A4)出口 徒歩2分
➡
❷請求書をお送りいたしますので、お振り込み
をお願いいたします。
なお、振込手数料は貴社負担でお願いいたし
ます。
附
見
市ヶ谷
面
←新宿方
❸ご入金を確認後、受講票を送付いたします。
当日は受講票を受付にご提示ください。
外濠
JR
駅
市ヶ谷
お問い合わせ先
ディスクロージャーソリューションズ
093_122y3062305.indd
1 124
016_b_122y3062305.indd
03 3971 3154
FAX 03-3971-5428
TEL -
-
面
谷方
四ツ
←
日
本
テレ
ビ
通り
総合ディスクロージャー研究所 セミナー担当
e
外濠
橋
市ヶ谷
➡
通り
外堀
通行
靖国通り
三菱東京
UFJ銀行
正面玄関
アルカディア市ヶ谷
一方
市ヶ谷プラザ
地下鉄A-1-1出口
車)
駅停
線(各
中央
JR・
交番
→
面
方
橋
飯田
(私学会館)
九段南四
地下鉄
A4出口
九段下方面→
日本大学 りそな銀行
本部
2011/07/04
13:37:01
13:42:35
第1講
基礎知識編 有価証券報告書の作成方法と見方
時 間
講 義 概 要
<有価証券報告書の基本構成および内容、有価証券報告書の非財務情報>
10:30~12:00
12:00~13:00
13:00~14:30
14:30~14:45
14:45~16:15
第2講
有価証券報告書の基本構成および内容について、上場会社等に求められる法令、基準となる財務諸表等
規則をまじえて解説いたします。
また、有価証券報告書 第一部【企業情報】の第1【企業の概況】から第4【提出会社の状況】までを解
説いたします。
休憩
<有価証券報告書 経理の状況等>
有価証券報告書 第一部【企業情報】の第5【経理の状況】以降を解説いたします。
休憩
<国際会計基準(IFRS)の概要とその動向>
今後導入が予定されている国際会計基準(IFRS)の概要とその動向について解説いたします。
実務演習編 有価証券報告書の作成実務
時 間
10:30~12:00
12:00~13:00
13:00~14:30
14:30~14:45
14:45~16:15
講 義 概 要
<有価証券報告書の包括利益計算書作成実務 基礎演習①>
有価証券報告書の包括利益計算書及び関連する注記事項に関して、設例により解説いたします。
休憩
<有価証券報告書の包括利益計算書作成実務 基礎演習②>
有価証券報告書の包括利益計算書及び関連する注記事項に関して、設例により解説いたします。
休憩
<有価証券報告書内の整合性>
有価証券報告書内において、おちいりやすい整合性に関して、設例により解説いたします。
●講師
宝印刷㈱ 総合ディスクロージャー研究所部長 公認会計士 新保 秀一
略歴
早稲田大学政治経済学部卒業後、一般事業会社、簿記関連講師等を経て、1997年から旧みすず監査法人にて、
法定監査業務に従事。2007年に同監査法人を退職後、2008年に宝印刷総合ディスクロージャー研究所主任
研究員に就任。宝印刷主催の有価証券報告書や四半期報告書に関する金商法セミナー講師や、ディスクロージ
ャー情報誌の執筆等を行っている。
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093_122y3062305.indd
2 125
2011/07/04
13:42:35
13:37:02
全1講
新 任 総 務 の 方 を 対 象 と し た 入 門 セ ミ ナ ー
株主総会入門セミナー
「株主総会入門セミナー」のご案内
拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
さて、弊社では初めて総務部門をご担当される方々や、これから株主総会をご担当される方々を対象として
毎回ご好評をいただいております「株主総会入門セミナー」を開催いたします。
本セミナーでは、株主総会についての法制度や関連書類、運営方法等についてのご説明をさせていただきます。
これまでご参加いただいた皆様からのご意見等を踏まえ、より多くの方々にご参加いただけるよう、株主総会
実務に重点を置いた更なる内容の充実に努めております。
ご多用のこととは存じますが、万障お繰り合わせの上、ご参加くださいますよう宜しくお願い申し上げます。
敬具
宝印刷株式会社・総合ディスクロージャー研究所
概 要
●日 程
●会場のご案内
(東京会場)
2011年10月18日(火)東京会場
10月19日(水)大阪会場
●時 間
各日10時30分より16時15分まで
●受講料
お一人様 25,000円(テキスト、昼食代、消費税を含みます)
●お申し込み
❶宝印刷㈱又は総合ディスクロージャー研究所
ホームページ「セミナー情報」から 「株主総
会入門セミナーお申し込みフォーム」
(http://www.takara-print.co.jp/business/23-sokai_2.html)
よりお申し込みください。
➡
❷請求書をお送りいたしますので、お振り込み
をお願いいたします。
なお、振込手数料は貴社負担でお願いいたし
ます。
➡
東京都千代田区九段北4-2-25
アルカディア市ヶ谷 7F 琴平
最寄駅
◆JR中央線(各駅停車)
市ヶ谷駅 徒歩2分
◆東京メトロ有楽町線・南北線
市ヶ谷駅(A1-1)出口 徒歩2分
◆都営新宿線
市ヶ谷駅(A1-1・A4)出口 徒歩2分
(大阪会場)
大阪市中央区安土町3-1-3
ヴィアーレ大阪 2F
最寄駅
◆地下鉄 御堂筋線・中央線
本町駅 1番・3番出口 徒歩3分
◆地下鉄 堺筋線・中央線
堺筋本町駅 17番出口 徒歩5分
❸ご入金を確認後、受講票を送付いたします。
当日は受講票を受付にご提示ください。
(会場地図は裏面参照)
お問い合わせ先
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総合ディスクロージャー研究所 セミナー担当
ディスクロージャーソリューションズ
03-3971-3154
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講 義 内容
時 間
講 義 概 要
<株主総会の基本知識・計算関係書類の確定と監査・株主総会の招集手続、事前準備、当日の運
営、事後の事務について>
10:30~16:15
株主総会に付与されている権限や行使できる議決権および計算書類の監査日程並びに株主総会を円滑に
運営するための事前準備、当日の運営方法等について説明します。
1. 株主総会の権限
2. 株主総会における議決権
3. 基準日から株主総会まで
4. 想定問答集作成上のポイント
5. シナリオ作成上のポイント
6. 社長・役員・事務局の打合せ(リハーサルも含む)でのポイント
7. 会場設営上のポイント
8. 当日の運営上のポイント
9. 株主総会後の事務処理等
<株主総会運営上の留意点について>
株主総会に係る株主からの様々な問い合わせや発言等に対する対応を説明します。
1. 書類閲覧請求対応
2. 動議への対応
3. 質疑打ち切り
4. その他
途中昼食時と午後に1回休憩がございます。
東京会場
宝印刷㈱ ディスクロージャー研究二部顧問 橋本 英男
●講師
略歴
信託銀行において証券代行業務に長く従事し、株式実務に精通。東京株式懇話会評議員、同副会長等、全国株
懇連合会理事を歴任。
●講師
宝印刷㈱ ディスクロージャー研究二部部長 今田 範男
略歴
信託銀行において証券代行業務に長く従事し、株式実務に精通。
大阪会場
●講師
宝印刷㈱ ディスクロージャー研究二部顧問 菊田 正夫
略歴
信託銀行において証券代行業務に長く従事し、株式実務に精通。大阪株式懇談会副委員長、全国株懇連合会理
事等を歴任。大阪株式懇談会常任委員。
●講師
宝印刷㈱ ディスクロージャー研究二部専門部長 井上 明
略歴
信託銀行において証券代行業務に長く従事し、株式実務に精通。大阪株式懇談会委員を歴任。大阪株式懇談会
研究部員。
●講師
宝印刷㈱ ディスクロージャー研究二部専門部長 土居 正宏
略歴
都市銀行において株式関係業務に長く従事し、株式実務に精通。大阪株式懇談会委員を歴任。大阪株式懇談会
部長。
会場地図(東京会場)
(大阪会場)
地下鉄御堂筋線
通り
附
見
市ヶ谷
面
←新宿方
橋
市ヶ谷
外濠
中
JR・
交番
通行
アルカディア市ヶ谷
一方
市ヶ谷プラザ
地下鉄A-1-1出口
靖国通り
三菱東京
UFJ銀行
●
三菱東京
UFJ 銀行
正面玄関
(私学会館)
九段南四
日本大学 りそな銀行
本部
地下鉄
A4出口
みずほ銀行
●
滋賀銀行
●
丸紅
●
国際ビル
●
堺筋本町
日
本
テレ
ビ
通り
❸●御堂筋本町ビル
車)
町
ツ谷
←四
❶●住友生命本町ビル
駅停
各
央線(
ヴィアーレ大阪
→
面
方
橋
飯田
本
JR
駅
市ヶ谷
方面
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外濠
●錦業会館
地下鉄堺筋線
外堀
九段下方面→
船場センタービル
地下鉄中央線
中央大通
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RID ディスクロージャーニュース vol.13
2011年7月発行
編集・発行 総合ディスクロージャー研究所
宝印刷株式会社
(総合ディスクロージャー研究所事務局)
〒171-0033
東京都豊島区高田3-32-1 大東ビル3階
TEL 03-3971-3154
無断転載・複写を禁じます。
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2011/06/27
16:06:00
RID
ディスクロージャーニュース 2011/7
vol.13
2011 / 7 vol.13
ディスクロージャーニュース
《金融商品取引法》
・「平成23年6月「第1四半期の四半期報告書」作成上の留意点
・改正金融商品取引法関連法令の概要
・「包括利益の表示に関する会計基準」について
・「四半期財務諸表に関する会計基準」等の解説
・東日本大震災に係る法定開示書類の提出状況等
・次世代EDINETの開発とXBRL
・有価証券報告書の基礎(第12回)
・臨時報告書セミナーの報告
《国際会計基準》
IFRSをめぐる最近の動向
《会 社 法》
・上場会社の不正調査報告の分析(4)
・平成23年6月定時株主総会の動向
・会社法コラム第47回
《I R》
・我が国のIFRS採用に向けて
・ESGディスクロージャーの現状(2)
《取 引 所》
・決算短信における開示内容の見直しについて
・業績予想-キホンと大企業の傾向-
《 研究所活動状況》
本 社/〒171-0033 東京都豊島区高田3-28-8 Tel. 03
(3971)3101代表
大 阪 支 店/〒541-0048 大 阪 市 中 央 区 瓦 町 3-6-5 Tel. 06
(6203)5760代表
(271)9891代表
札幌営業所/〒060-0042 札幌市中央区大通西11-4 Tel. 011
名古屋営業所/〒460-0003 名 古 屋 市 中 区 錦 1-20-25 Tel. 052
(221)6901代表
広島営業所/〒730-0031 広島市中区紙屋町1-1-20 Tel. 082
(241)0755代表
福岡営業所/〒810-0001 福 岡 市 中 央 区 天 神 3-4-8 Tel. 092
(712)0012代表
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総合ディスクロージャー研究所
総合ディスクロージャー研究所
・第4回「ディスクロージャー制度研究会」議事概要
《そ の 他》
・金融商品取引法関連法令の改正日誌
総合ディスクロージャー研究所
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