JLF NEWS 50号のPDFはこちら

JLFニューズ 2012 年
(平成 24 年)
2月29日発行
No.50
財団の足跡を残して
『 JLF NEWS
』 号発刊
50
http://www.jlf.or.jp/
CONTENTS
●年頭のご挨拶
(高橋宏志)
●
『JLF NEWS』
50号の発行にあたって
(久保英幸)
●これまでの『JLF NEWS』
目次一覧
●シンポジウム「民事訴訟における長期化要因改
善施策の検討」を実施
(大坪和敏)
●中国地区会研修報告
(根石英行)
●民法改正に関する講演会のご報告
(齋藤健太郎)
●研究紹介:究めたい!─ 研究の現場から
●
[寄稿]─ 会員の声:こんな私が?
(宇都宮嘉忠)
●
[寄稿]─ 会員の声:子育て雑感
(高橋和征)
●法務速報ダイジェスト
●私の本棚
(甲斐順子)─「夏への扉」
ご案内 ● 年会費の口座振替について
2012年度年会費を、2012年4月12日に「DF・JLF
カイヒ」等として、ご指定の口座より振替いたします。
年頭のご挨拶
年頭のご挨拶
公益財団法人日弁連法務研究財団
理事長
高橋 宏志
公益財団法人となって、1 年 3ヶ月が過ぎました。庭山専務理事と理事長の私は、そ
N
陰様で、それが少しずつ軌道に乗りつつあるのではないかと思っております。
D
このJLF News、メール配信の「法務速報」
、機関誌『法と実務』等々でご連絡はしてい
るのですが、それ以上に財団を身近に感じて頂きたいと考えました。たとえば研修を、こ
F
O
になってよかったと今まで以上に思って頂きたいということであります。会員の皆さんには、
N
理事長となって私は、特に2つのことを考えました。1つは、会員の皆さんに、会員
U
A T
I
練達の実務処理の組合わせによる斬新かつ堅実な財団運営を目指して参りましたが、お
O
の時の新任ですが、常務理事・理事は従来の方々に引き続きお願いをし、新しい視点と
れまで以上に各地で実施したい、しかも、これまで実施したことのない都市で実施した
A W
L
い、ということであります(中国地方で言えば広島以外の地でも行ないたいということであ
り、昨年は、岡山や米子で実施いたしました)
。研究も、地に足が着いた実務家の着想
頂きたい、と願っております。
N
拡充であります。当財団発足の当時は、本部の事務局に多くの方々が出入りをし活発に
J
他の1つは、従来の言い方で言えば事務局員、現在の表現では委員会委員の充実・
A P A
に基づく研究を当財団は重視しますので、予算の制約ありますが、各地から声を上げて
事務局会議を開いておりましたが、それを再び目指したいということであります。それは、
同時に、新しい方々に委員会委員になって当財団の活動を支えて頂きたいということであ
ります。幸い、組織運営・広報委員会、研究委員会、研修委員会等の委員会は活動
を開始し、種々の企画を練っております。無償のボランティアをお願いすることであり心苦
しい限りですが、少しずつ参加者は増えているとのことであり、有り難いことだと思ってお
ります。
実務法律家のシンクタンクを作るという当財団の原点を常に見つめ直しつつ、同時に、
時代の流れに果敢に棹さしていくという年頭の決意は毎年のことでありますが、特に今年
はそれを願って活動していきたいと思っております。引き続き、本年も皆様のご支援とご
鞭撻を心よりお願い申し上げます。
2
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
『JLF NEWS』50 号の発行にあたって/これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
『JLF NEWS』50号の発行にあたって
公益財団法人日弁連法務研究財団 常務理事・事務局長
久保 英幸
1998年7月に第1号を発行して以降、
およそ3か月ないし4か月に1回のペースで
『JLF
NEWS』を会員の皆様にお届けしてまいり、このたび 50 号を発行することができました。
創刊当初は単色刷の質素なものでしたが、今はデザインやレイアウトを施した多色刷の
ニューズレターとなりました。今後は、会員の皆様の役に立ち、一層の興味をもっていた
だけるものにしてゆきたいと考えております。
皆様からの御意見や御希望を、是非お寄せください(宛先アドレス:[email protected])
。
また、会員からの寄稿も随時受付けさせていただいております。
『JLF NEWS』のバック
ナンバーの記事を、当財団の会員用ウェブサイト
(https://www.jlf.or.jp/)に全文掲載
しておりますので、御参照ください。
号・発行日
1号
1998 年(平成 10 年)
7月31日発行
2号
掲載頁
●
1
2〜5
●
6 〜 15
1999 年(平成 11 年)
3月31日発行
4号
1999 年(平成 11 年)
10月31日発行
●
表紙「財団の研究課題きまる!」
8つの研究課題
①アメリカ合衆国におけるNo-Action Letter
②地方自治体における外部監査
③高度情報通信社会における公示制度の役割
④少額紛争解決システムの研究
⑤弁護士の専門技術に関する総合的研究
⑥消費者破産の実情調査
⑦求刑と量刑に関する研究
⑧ 21 世紀における刑事制裁論
● コーポレート・ガバナンスと法律業務
(講演要旨)
新堂幸司
新堂幸司
●
16
●
1
2〜3
4
5〜9
10 〜 11
12
●
1
2〜3
4
5
6
7
●
8 〜 11
12
執筆者・講演者
表紙「法務研究財団スタート!」
新堂理事長はこう語った!
●[報告]
全国で一般研修
● 新堂幸司理事長による記念講演
「法化社会と法律家の役割」要旨
● 財団の研究課題につき検討始まる!
● 専門家養成コースのご案内
1
2
3
4〜6
7
8
1998 年(平成 10 年)
10月31日発行
3号
記事名
①常岡孝好
②小幡純子
③斎木賢二
JLFNEWS No.50 February 2012
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
④濱野亮
⑤那須弘平
⑥長谷部由紀子
⑦伊達健太郎
⑧井田良
家近正直、柏木昇、
多田晶彦
専門家養成研修「不正競争防止法」申込受付中
表紙「第 1 回専門家養成研修を実施! 東京・大阪で」
[報告]第 1 回専門家養成研修「不正競争防止法の実務」
● 財団ホームページが発足
● 日弁連法務研究財団の1998 年度の活動について
● 研究事業に関する通則
●[案内]
第 1 回法務研修「専門家責任」
●
小山稔
表紙「第 1 回法務研修「専門家責任」を実施!」
[報告]第 1 回法務研修「専門家責任」
●「ただ今研究中」
― 財団研究のご案内
● 日弁連法務研究財団の理事会・評議員会報告
● 法務研究財団会員向けメーリングリストがスタート
● インターネットにおける法律情報の検索と法務研究財団ウェブサイトの活
用について
● 回答と質問 財団ウェブページ宛の質問から
● 日弁連法務研究財団オリジナルテキスト・講演録のご案内
●
柏木秀一、久保英幸
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
3
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
号・発行日
5号
2000 年(平成 12 年)
3月31日発行
6号
記事名
表紙「はじめての法学検定試験がはじまります。」
法学検定試験(法検テスト)
とは
● 法検テストが始まる
●[報告]
第 2 回専門家養成研修「独占禁止法の実務」
1
2〜3
4
5
●
6
7〜9
10 〜 11
12
●
1
2〜3
4〜5
6〜7
●
8〜9
●
[案内]次世代法曹教育制度の調査研究とフォーラムの開催
[講演録]司法制度改革論の行方と当財団の役割
● 日弁連法務研究財団の年間活動報告
● 日弁連法務研究財団オリジナルテキスト・講演録のご案内
●
表紙「次世代法曹教育フォーラム白熱」
次世代法曹教育フォーラムに出席して
● 次世代法曹教育の調査研究とフォーラムについて
● 法学検定試験実施に寄せる識者の声
●
O
I
A T
7号
[財団研究のご案内]
研究が一つ終了しました 新しい研究が 6つスタートしました
● 名古屋支部 支部長インタビュー
●
[議事録のご案内]
「次世代法曹教育に関する調査研究とフォーラム」
● 日弁連法務研究財団オリジナルテキスト・講演録のご案内
表紙「ご存知ですか?オンライン登記情報提供制度」
登記情報がオンライン閲覧可能に!
オンライン登記情報提供制度に関する法務省担当官に対するインタビュー
1
2〜7
●
8〜9
10
11
12
●
1
2
3
4
5
6
7
8 〜 10
11
12
●
1
2〜5
●
2000 年(平成 12 年)
9月30日発行
●
J
A P A
N
L
A W
F
O
U
N
D
10
11
12
8号
2001 年(平成 13 年)
1月1日発行
9号
2001 年(平成 13 年)
3月31日発行
4
6
7
8〜9
10
11
12
執筆者・講演者
●
N
2000 年(平成 12 年)
6月30日発行
掲載頁
次世代法曹教育の調査・研究のフォーラムを終えて
第 1 回法学検定試験が実施され、合否判定会議開かれる
● 紀要
「法と実務」を創刊、「JLF 叢書」シリーズも刊行へ
●[案内]
第 2 回法務研修
テーマ「消費者破産の実態と個人債務者再生手続」
村上政博、志田至朗、
石田英遠、鈴木正貢、
藤堂裕、中藤力、矢吹公敏
新堂幸司
高橋宏志
東京海上火災保険株式会社
代表取締役社長、三井物産
株式会社代表取締役副社
長、元日本弁護士連合会会
長、住友化学工業株式会社
専務取締役
冨島照男
民事局第一課補佐官、
同 企画第一係長、
同 登記情報第三係長、
民事局第三課法務専門官、
成田信子、伊豆隆義、
近藤義徳、梅田綾子、
吉田裕
馬橋隆紀
●
表紙「特許電子図書館にアクセスしてみませんか。」
新年のご挨拶
● 財政基盤の確立を!
● 2000 年度法務研修の報告
● 財団研究のご案内
● 電子メールによる
「法務速報」送付のご案内
● 2000.11 法務速報
(No.7)
● 特許電子図書館の利用方法
● 法律情報サイト紹介
[第 1 回]日本弁護士連合会
● 紀要
「法と実務」、及び JLF 叢書が刊行されました。
●
表紙「九州支部設立される。」
九州支部創立記念講義 理屈より権利の救済を― 最近の最高裁判例の動
きから
(議事要旨)
(上)
●[報告]
第 3 回専門家養成研修「著作権法の実務」(東京)
●[報告]
シンポジウム「21 世紀の民事訴訟の構想」
● 北欧の
「当事者主義の参審制」に学べ
● 省庁再編後の行政庁サイト
(1)
● 法学検定試験ご案内
● 第 3 回専門家養成研修
「著作権法の実務」(大阪)
申込書
新堂幸司
葉山水樹
梅田綾子
●
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
新堂幸司
半田正夫、松田政行
町村泰貴
佐藤博史
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
10 号
2001 年(平成 13 年)
6月30日発行
11 号
2001 年(平成 13 年)
9月30日発行
掲載頁
1
2〜4
5〜7
8〜9
10
11
12
1
2
3〜4
5〜6
7
8
9
10
11
12
12 号
2002 年(平成 14 年)
1月1日発行
1
2
3
4
5
6
7〜8
9
10
11
12
13 号
2002 年(平成 14 年)
4月1日発行
1
2
3〜6
7
8
9 〜 10
11
12
記事名
執筆者・講演者
表紙「情報提供の充実に向けて」
九州支部創立記念講義 理屈より権利の救済を― 最近の最高裁判例の動
きから
(議事要旨)
(下)
● 2000 年度活動報告と2001 年度事業計画
● 大阪支部専門家研修
「著作権法の実務」報告
● 法学検定試験 2 級試験のお知らせ
● 省庁再編後の行政庁サイト
(2)
● 財団研究募集のお知らせ
●
●
表紙「行政法が熱い」
専門家養成研修『行政訴訟・税務訴訟』に向けて
● 司法改革と三権分立
● 行政訴訟改革について
● 2001 年法学検定試験 4 級・3 級合格者決まる
● 財団研究経過報告 研究テーマ12 ― 人格権侵害の救済に関する総合的
研究 進捗状況
● 財団研究経過報告 尋問技術研究部会について
● 法律情報サイト紹介
[第 2 回]最高裁判所
● 第 3 回法務研修のご案内
● 第 4 回専門家養成研修のご案内
新堂幸司
●
●
表紙「財団研究 新規採用決まる」
新年のご挨拶 インターネットの役を果たそう
● 新年のご挨拶 2001 年の活動報告
● 専門家養成研修のご報告
『行政訴訟・税務訴訟』を終えて
● 専門家養成研修のご報告 名古屋会場からのご報告
● 研究の報告 「SECのNo-Action Letter 制度」
「フランス弁護士職の業務
と収入に関する現状」の研究報告書が出ました。
● 紀要第 2 号の概要のご案内
● 九州支部活動報告
● JLF 叢書 VOL.2
「シンポジウム法科大学院の入試のあり方 ― LSATの調査
研究をふまえて―」のご紹介
● 法律情報サイト紹介
[第 3 回]国会
● JLF 叢書 VOL.2 が刊行されました
田中晴雄
渋川満
下井康史
嘉本益巳
●
●
表紙「日本版 LSAT、調査研究進む」
法科大学院入試における適性試験の準備状況について
● LSAC
(LSATの実施母体)
に関する研究会実施の報告
● 公募による財団研究がスタートしました。
●[報告]
関東弁護士会連合会との共催による法務研修
● 支部紹介 第 2 回 名古屋支部活動報告
● 法律情報サイト紹介
[第 4 回]地方自治体
● 日弁連法務研究 会社法研究会最終報告研究会
(公開研究会)のご案内
テーマ「会社法と紛争予防・処理」
新堂幸司
葉山水樹
田中晴雄
鈴木誠
堀孝之
JLFNEWS No.50 February 2012
号・発行日
●
●
新堂幸司
新堂幸司、伊藤真
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
5
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
号・発行日
14 号
掲載頁
1
2〜4
2002 年(平成 14 年)
7月1日発行
5〜9
10
11
12
2002 年(平成 14 年)
9月30日発行
A T
I
O
N
15 号
D
N
U
O
F
2〜4
5〜7
8 〜 11
12 〜 13
14
15
16
16 号
2003 年(平成 15 年)
1月1日発行
17 号
2003 年(平成 15 年)
5月1日発行
●
表紙「どうなるロースクール 適性試験、第三者評価機関の実施主体をめ
ぐって」
● いま、なぜ官業を増やそうとするのか
〜法科大学院適性試験の実施主体をめぐって〜
● 第三者評価機関について
● 中間報告
「我が国の法律事務所におけるパラリーガルの育成と有効活用に
ついて」
● 2002 年法学検定試験 4 級・3 級が実施される
● 法科大学院入学者選抜適性試験 第 1 回模擬試験が実施される
● 法律情報サイト紹介
[第 5 回]裁判所
●(財)
日弁連法務研究財団 財団研究募集(第 2 回)
のお知らせ
表紙「司法書士特別研修へ向けて 教材作成委員会活動報告」
新年のご挨拶 五歳になった財団の現状と将来
● 新年のご挨拶 更なる発展を!
● 司法書士特別研修について
● 動き出したハンセン病問題検証会議
● 法律情報サイト紹介
[第 6 回]電子政府の総合窓口
● 法科大学院入学選抜適性試験第 2 回模擬裁判が実施される
● 2002 年法学検定試験 2 級が実施される
● 大阪支部活動報告
● 全国をITで結んでの初の研修のお知らせ
● 日弁連法務研究財団 第 5 回専門家養成研修のご案内
テーマ
「労働法の実務(大阪会場)」
1
2〜3
4
5
●
9
10
11
12
①丸山秀平
②野村修也
③布井千博、小杉亮一郎
④梶浦桂司
⑤小宮毅
小山稔
鈴木一郎
●
●
6〜8
6
表紙「会社法研究会 最終報告会開催」
会社法研究会最終報告会(公開研究会)「会社法改正と紛争予防・処理に
ついて
①第 1 報告:会社法における紛争予防・処理 ②第 2 報告:紛争予防・処理手段としての内部統制システムの構築 ③第 3 報告:株主代表訴訟による紛争の類型分析 ④第 4 報告:親会社における紛争処理 ⑤第 5 報告:株式の共同相続と会社紛争 ― 遺産分割協議の不調と会社紛
争に関する「予防法学」的な裁判例評価の試み
● 理事会、評議員会報告
「第 4 期事業報告と第 5 期事業計画の概要」
● 事務局長退任にあたって
● 事務局長新任のご挨拶
●(財)
日弁連法務研究財団 財団研究募集(第 2 回)
のお知らせ
執筆者・講演者
●
1
2
3〜4
4〜6
7〜8
9
10
10
11
11
12
J
A P A
N
L
A W
1
記事名
●
表紙「適性試験、いよいよ実施へ」
法科大学院創設と当財団の関わり
● 法科大学院統一適性試験の実施に向けて
● 財団法人日弁連法務研究財団主催 第 1 回法科大学院統一適性試験実
施要項を公表
● 平成 15 年 8月3日
(日)に財団主催による第 1 回統一適性試験がついに実
施へ!
● 2003 年 2月14日臨時理事会・評議員会報告
● 法科大学院適性試験
(LSAT)・第三者評価・ハンセン病問題事実検証調
査事業等の実施に向けて、法科大学院関連事業についての質疑の概要
● 中国支部設立の御報告
●[報告]
新潟での法務研修
● 公募研究採用結果報告
● 平成 15 年度法学検定試験実施スケジュール
●
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
新堂幸司
新堂幸司
葉山水樹
新堂幸司
鈴木一郎
増田義憲
村上政敏、永石一郎
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
18 号
2003 年(平成 15 年)
8月1日発行
掲載頁
1
2〜3
4
5〜8
9 〜 10
11
12
19 号
2003 年(平成 15 年)
11月1日発行
1
2〜5
6〜9
10 〜 11
12
20 号
2004 年(平成 16 年)
2月1日発行
21 号
2004 年(平成 16 年)
4月1日発行
22 号
2004 年(平成 16 年)
7月1日発行
2004 年(平成 16 年)
10月1日発行
表紙「ロースクールにおける教育方法、研究進む」
ミシガン大学ロースクール視察報告
● ロースクールシンポジウムご報告
● 第 5 期事業報告と第 6 期事業計画の概要
● ハンセン病検証事業中間報告〜課題広がる検証会議〜
● IT 研修報告〜シカゴでの驚きから15 年 初の多元中継による研修が行わ
れる
●(財)
日弁連法務研究財団 財団研究募集(第 3 回)
のお知らせ
●
表紙「法科大学院統一適性試験実施される」
「法科大学院統一適性試験」試験結果・実施状況速報
● アメリカロースクール協会主催 新人ロースクール教員のためのワーク
ショップに出席して
● 夏期研修実施報告 法律家のための交渉力入門
①弁護士は交渉が下手か ②論理的思考能力・説得力の向上と教育
③交渉と理論
④弁護士と交渉
⑤おわりに
●(財)
日弁連法務研究財団 財団研究募集(第 3 回)
のお知らせ
表紙「より充実した認証評価事業へ向けて」
新年のご挨拶 組織の活力と安定性
● 新年のご挨拶 今年も着実に
●[報告]
法科大学院の認証評価に関するシンポジウム
● 2003 年法学既修者試験・法学検定試験 2 級が実施される
● 九州支部活動報告
● 法務速報について
●(財)
日弁連法務研究財団 財団研究募集(第 3 回)
のお知らせ
● 法務研究財団書籍のご案内
●
7
1
2〜5
6〜7
8〜9
10
11
12
三澤英嗣
馬橋隆紀
●
1
2〜5
1
2〜5
6
小山稔、田中晴雄
●
●
6〜7
8〜9
10 〜 11
12
執筆者・講演者
●
1
2
3
4〜7
8〜9
10
11
12
8 〜 10
11 〜 12
23 号
記事名
大坂恵里、大村扶美枝
①野村美明
②茅野みつる
③柏木昇
④豊田愛祥
新堂幸司
葉山水樹
宮武洋吉
●
堀孝之
表紙「激動の司法改革がいよいよ具体的に動き出しました」
[報告]法科大学院の教員の教え方に関するシンポジウム 日本型ロース
クールに適した教育方法
●[報告]
専門家養成研修「企業再編の理論と実務」
●[報告]
千葉で第 5 回法務研修開かれる
(2004 年 2月28日)
●[検証]
法科大学院入試試験
● 2004 年
「法科大学院統一適性試験」
[実施のご案内]
● 2004 年
「法学既修者試験」
[実施のご案内]
●
表紙「ハンセン病問題検証会議 中間報告」
[報告]通常理事会・評議会報告と第 7 期事業計画の概要
● 新米教師 生徒になる
法務研究財団、法科大学院の教員教え方シンポジウム
● 名古屋支部講演会
南山大学法科大学院との共催による
「ロースクールの考え方」
● 2003 年度のハンセン病問題検証会議を振り返って
● 2004 年法学既修者試験・法学検定 2 級試験が実施される
JLFNEWS No.50 February 2012
号・発行日
●
●
表紙「法科大学院認証評価事業正式始動」
[報告]法科大学院認証評価機関として認証されました
●[報告]
2004 年法科大学院統一適性試験が実施される
● 日本で始まった法科大学院のための適性試験
● 財団の研究会活動
● 公募研究結果
●「JLF 叢書」
のご案内
● 法務研究財団
「専門家養成研修オリジナルテキスト」のご案内
●(財)
日弁連法務研究財団 財団研究募集(第 4 回)
のお知らせ
● 研修のお知らせ
鈴木一郎
藤田哲
町村泰貴
内田博文
●
●
江森史麻子
水原理雄
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
7
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
号・発行日
24 号
2005 年(平成 17 年)
1月1日発行
25 号
2005 年(平成 17 年)
5月1日発行
8〜9
10 〜 11
12
1
2〜3
4
5
6〜7
8
O
N
9 〜 10
10
11
12
I
A T
D
N
1
2
3〜7
26 号
2005 年(平成 17 年)
8月1日発行
1
2〜3
4〜7
8〜9
10 〜 12
O
U
掲載頁
27 号
表紙「司法制度・改革の新時代へ」
新年のご挨拶
●[報告]
法科大学院の教員の教え方に関するシンポジウム 開校半年・現
場からの報告と課題
● 全国に広げよう! 財団のトライアル評価
● 法務研究財団大阪支部活動報告
●(財)
日弁連法務研究財団 財団研究募集(第 4 回)
のお知らせ
●「JLF 叢書」
のご案内
●
表紙「適性試験特集」
適性試験の妥当性検討のための調査について
●「2005 年法科大学院統一適性試験・法学既修者試験」
説明会実施報告
●「第 3 回 LSACセミナー」
報告
● 能力担保研修について
● コンピューター委員会シンポジウム’ 04
「個人情報漏洩事件とその対策」報
告
● 法曹倫理教育のシンポジウムを終えて
● お知らせ
「面接技術の研究」についての講演・パネルディスカッション
● 財団の研究会活動
●(財)
日弁連法務研究財団「専門家養成研修オリジナルテキストのご案内」
8
宮武洋吉
●
表紙「財団の研修事業」
[報告]通常理事会・評議員会報告と第 8 期事業計画の概要
●[報告]
ハンセン病検証会事業報告
●[報告]
知的財産法の実務に関する特別研修
●[報告]
平成 17 年度専門家養成研修 企業における法令遵守体制構築の
考え方・実践方法
●[報告]
衛星通信を利用した民商法判例研修実施報告
● 財団の研究会活動
● 法務研究財団
「専門家養成研修オリジナルテキスト」のご案内
●「JLF 叢書」
のご案内
馬橋隆紀
高橋郁夫
森際康友
●
●
表紙「使っていますか? 不動産登記オンライン申請」
[電子申請インタビュー]
不動産登記の電子情報システムに関するインタビュー
●
12 〜 13
●
14 〜 15
16
新堂幸司、平山正剛
●
1
2 〜 11
2005 年(平成 17 年)
10月1日発行
執筆者・講演者
●
●
J
A P A
N
L
A W
F
13 〜 14
15
16
記事名
[2005 年適性試験の報告]2005 年法科大学院統一適性試験が実施され
る
●[7月26日夏期研修の報告]
初の瞬時アンケートシステムを使った研修
●(財)
日弁連法務研究財団 財団研究募集(第 5 回)
のお知らせ
●[ご案内]
日弁連・日弁連法務研究財団共催 法科大学院公法系実務教
育シンポジウム「公法系実務と法曹養成」
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
久保英幸
加納小百合
伊藤真
春日秀文
伊達健太郎
法務省民事局総務課登記情
報センター室補佐官、
同民事第二課補佐官、
同商事課補佐官・法務専門
官、
久保英幸、伊豆隆義、
吉田裕、梅田綾子、
成田信子、松山聡
適性試験委員会事務局
馬橋隆紀
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
28 号
2006 年(平成 18 年)
1月1日発行
掲載頁
1
2
3
4〜5
6
7〜8
9 〜 12
13
14
15
16
29 号
2006 年(平成 18 年)
4月28日発行
1
2〜4
5〜6
7〜8
9 〜 10
11
12
30 号
2006 年(平成 18 年)
8月10日発行
1
2〜7
8 〜 10
11
12
31 号
2006 年(平成 18 年)
10月25日発行
記事名
表紙「今年も、財団から発進します」
[新年のご挨拶]2005 年を振り返って
●[報告]
法学検定試験対策講座
●[報告]
法的財産法の実務に関する特別研修(東京)
を終えて
●[報告]
法科大学院認証評価事業の現状
●[第 3 回日伯シンポジウム
「司法改革」参加報告]ブラジルに行って
●[シンポジウム報告]
「法科大学院におけるADR 教育」
● 名古屋支部活動状況報告
●(財)
日弁連法務研究財団 財団研究募集(第 5 回)
のお知らせ
● 財団研修のご案内
●[DVD 頒布中!]
財団研修「依頼者(相談者)
との面接技術」
●[JLF 叢書のご案内]
『日本型ロースクールにおける教育方法』日弁連法務
研究財団編
● 日弁連法務研究財団・商事法務研究会主催
・法科大学院統一適性試験 2006 年実施要領
・法学検定(法学既修者試験) 2006 年実施要領
●
●
表紙「ひろがる、財団の輪」
[報告]大阪大学・上智大学特色 GPシンポジウム「大学対抗交渉コンペ
ティションと交渉教育」
●[報告]
水戸で第 7 回法務研修開かれる
●[報告]
認証評価シンポジウム「評価される取り組みとは」
●[報告]
「法科大学院対象・2006 年度法科大学院統一適性試験説明会」
● 財団からのお知らせとご案内
「財団って、こんなことやってます①」
●[案内]
弁護士・弁理士対象「知的財産法の実務に関する特別研修」
(2006 年度東京)
● 日弁連法務研究財団・商事法務研究会主催
・法科大学院統一適性試験 2006 年実施要領
・法学検定(法学既修者試験) 2006 年実施要領
新堂幸司
大山政之
玉井真理子
持田光則
玉井真理子
藤田美樹
小関敏光
●
●
表紙「あなたも事務局員に!」
[報告]第 9 期(2006 年度)通常理事会・評議員会開催報告
●[報告]
シンポジウム「司法におけるe-サポートの創造的構築」開催報告
● 財団からのお知らせとご案内
「財団ってこんなことやってます②」
● 財団事務局員を募集しています!
● 紀要
「法と実務」のご案内
● JLF 叢書のご案内
大村扶美枝
馬橋隆紀
青戸理成
適性試験委員会
小山稔
●
●
表紙「法曹養成と法科大学院 新たな時代に向かってー」
Hot Topic!:「日本の民事裁判制度についての意識調査」
●[報告]
2006 年「法科大学院統一適性試験」を実施
●[報告]
2006 年「法学既修者試験」を実施
● 近頃の法学検定試験
1
2〜3
4〜5
6〜7
8〜9
●
10
11 〜 14
15
●
16
執筆者・講演者
JLFNEWS No.50 February 2012
号・発行日
菅原郁夫
適性試験委員会事務局
●
認証評価(本評価)開始に向けて
[報告]シンポジウム「法科大学院の挑戦 ― 2 年間の到達点とこれから」
●「ちょっと一息」
長尾龍一「明治法学史の脈絡」法曹時報 57 巻 10 号 1 頁以下
● 財団って、こんなことやってます③
● 財団研究募集
(第 6 回)
のお知らせ
●
久保英幸
町村泰貴
法学検定試験委員会事務局
日弁連法務研究財団 法学
検定試験事業部
石井邦尚
椛嶋裕之
新堂幸司
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
9
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
号・発行日
32 号
11
●
O
I
A T
D
N
U
O
A W
F
2007 年(平成 19 年)
4月15日発行
1
2〜3
3
4
5〜8
9 〜 16
A P A
N
L
17 〜 18
19
J
20
34 号
2007 年(平成 19 年)
7月15日発行
35 号
2007 年(平成 19 年)
10月15日発行
36 号
2008 年(平成 20 年)
1月15日発行
●
財団って、こんなことやってます④
[研修企画募集]当財団主催で実施する研修の企画(アイデア)を募集して
います。
●(財)
日弁連法務研究財団/立命館大学共催 2006 年度「知的財産法の
実務に関する特別研修」(大阪)
●(財)
日弁連法務研究財団/関東弁護士会連合会共催 第 8 回法務研修
表紙「法科大学院の真価を問う。認証評価事業が本格始動」
Hot Topic!:「法科大学院認証評価事業、本格始動!」
● ウエストロー・ジャパン株式会社、株式会社商事法務との初の業務提携を
開始! ウェブ上で会員専用のコンテンツサービスを提供しています
● Hot Topic!:
「第 8 回法務研修が小山市内で行われました」
● ドイツ・デュッセルドルフ市を訪問して
● 新司法試験合格者座談会②合格までの道程、そして将来に向けて
執筆者・講演者
新堂幸司
町村泰貴
成田信子、江森史麻子、
大塚智子、杉本みさ紀、
田中太陽
●
●
法制度・経営・監査等関連分野におけるコンピュータデータの取扱い
財団からのお知らせとご案内
・当財団は、2008 年 4月に10 周年を迎えます!
・ホームページがリニューアルしました!
・年会費の口座振替について
● JLF 叢書のご案内
●
山本崇晶
馬橋隆紀
大森啓子
成田信子、江森史麻子、
大塚智子、杉本みさ紀、
田中太陽
町村泰貴
●
表紙「『法曹の質』を検証する 人びとが法曹に期待するもの」
[報告]第 10 期(2007 年度)理事会・評議員会報告
● Hot Topic!:2007 年
「法科大学院統一適性試験」を実施
● 我が国最初の法科大学院認証評価を踏まえて
● QOLとその周辺
● 財団既刊書籍のご案内
1
2〜5
6〜7
8〜9
10 〜 11
12
●
1
2
3〜6
7〜9
10 〜 11
12
●
1
2
3
4〜5
●
6
7〜8
8
10
表紙「目指せ法曹! 私たちのロースクール・ライフ」
[新年のご挨拶]弁護士の質を問う時代がやってくる
● 法執行現場におけるデジタル・フォレンジック
● 新司法試験合格者座談会①法科大学院への進学と学生生活
●
12
33 号
記事名
1
2
3〜4
5 〜 10
N
2007 年(平成 19 年)
1月1日発行
掲載頁
●
表紙「会員専用ページがリニューアル!」
Hot Topic!:「今年も知財特別研修が始まりました」
●「日本の民事裁判制度についての意識調査」
の報告書について
●[報告]
シンポジウム「変貌する法曹の『有能性』」開催報告
● 法執行現場におけるデジタル・フォレンジックおよび情報漏えい事件対応
●[会員の皆様へ:重要なお知らせ]
会員専用ページがリニューアルしました!
●
表紙「2008 年、10 年目の新たな船出」
設立 10 周年を迎えて
● Hot Topic!:
「財団法人日弁連法務研究財団北海道支部の設立」
● 家庭ごみ有料化条例の実効性に関する研究
(中間報告)
条例の実効性を規定する要因
● 毎号、法務速報をお届けするために…私たちは、こうして編集しています。
● 2007 年度上期の認証評価結果公表と課題、今後の予定
● 設立 10 周年記念行事のご案内
●
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
久保英幸
適性試験委員会事務局
呰真希
太田勝造
江森史麻子
菅原郁夫
大坂恵里
町村泰貴
新堂幸司
町村泰貴
大杉覚
山田浩子
石井邦尚
菊地裕太郎
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
37 号
2008 年(平成 20 年)
4月20日発行
掲載頁
1
2〜3
3〜4
4〜5
5〜6
7 〜 11
12
38 号
2008 年(平成 20 年)
7月15日発行
1
2〜3
4〜6
7〜9
10 〜 13
13 〜 15
16
39 号
2008 年(平成 20 年)
10月15日発行
40 号
2009 年(平成 21 年)
1月15日発行
41 号
2009 年(平成 21 年)
4月15日発行
1
2〜6
7 〜 10
記事名
表紙「いま、新たなる決意」
財団設立 10 周年を記念して― 理事長からのメッセージ
●[報告]
北海道支部、いよいよ始動!
● 金沢での思い出 設立 10 周年記念講演会
(於金沢)に参加して〜司法修
習生からみた講演会〜
●[報告]
2007 年度(第 9 回)法務研修が開催されました
●[設立 10 周年記念特集]
「JLF NEWS」で綴った10 年 ― 懐かしの10 年、ひとむかし
● 会員ページをご存知ですか?
●
●
表紙「評価と試験 財団が目指す法曹養成」
Hot Topic!:2008 年「法科大学院統一適性試験」を実施
● Hot Topic!:第 11 期
(2008 年度)理事会・評議員会報告
●[報告]
設立 10 周年記念シンポジウム
「会社法下の内部統制 AtoZ」を開催
● フランス・トゥールーズ市及びパリ市を訪問して
(前編)
●[報告]
認証評価事業部 07 年度下期活動報告
● 財団新刊書籍のご案内
9
10 〜 11
12
中野仁
伊豆隆義
久保英幸
藤田増夫
山田攝子、中村多美子
江森史麻子
表紙「求められる「法曹の質」と今後の課題」
[報告]設立 10 周年記念シンポジウム 「法曹の質」の検証〜アンケート調
査に見る「法曹の質」とは〜
●[報告]
「法曹の質」の検証とその分析に関する研究[2007 年度報告書の
概要]アンケート結果で明らかにされる「法曹の質」とは
●
●
8
司法修習生
●
1
2
3
3
4〜5
5〜6
6〜7
7
望月宣武
適性試験委員会事務局
●
●
1
2〜3
新堂幸司
●
11 〜 12
12
4〜9
10 〜 11
12
執筆者・講演者
●
フランス・トゥールーズ市及びパリ市を訪問して
(後編)
財団新刊書籍のご案内
表紙「適性試験と質の確保 2008 年実施試験を踏まえて」
[年頭のご挨拶]財団の当面の課題
●[報告]
設立 10 周年記念講演会「債権法改正の論点」〜内田貴・法務省
参与をお迎えして
● 2008 年度法科大学院統一適性試験と適性試験の質の保証
● 法務速報ダイジェスト
● 会員の皆様へ
● 法務研修
(関東弁護士連合会共催)開催のお知らせ
●
表紙「究めたい! 研究の現場から」
設立 10 周年記念講演会 〜中小企業の商法改正への実務的対応〜
事業承継と会社法の活用
●[報告]
設立 10 年記念行事 ご参加ありがとうございました!
●[報告]
第 10 回法務研修参加報告
●[報告]
ドメスティック・バイオレンス被害者対応研修
●[報告]
e ‐ サポート裁判の可能性 ― 民事訴訟の電子化を中心に
●[究めたい! 研究の現場から]
法律家と市民の異なる殺意の認識の検証に関する研究
●[究めたい! 研究の現場から]
継続的法曹倫理教育の開発
●[究めたい! 研究の現場から]
外国人・難民リーガルセンターの構築に関する調査・研究
●[究めたい! 研究の現場から]
欧州における取調べ録画制度に関する調査研究
●[究めたい! 研究の現場から]
模擬交渉を利用した法教育の研究 ― 映像教材の開発に向けて
● 法務速報ダイジェスト
● 事務局からのお知らせ
・ご住所の変更連絡をお願いします
・年会費の口座振替について
・会員専用ページへのご登録はお済みですか?
菊地裕太郎
財団法人日弁連法務研究財
団「法曹の質とその分析に関
する研究」研究会
山田攝子、中村多美子
新堂幸司
町村泰貴
適性試験委員会
JLFNEWS No.50 February 2012
号・発行日
●
●
伊豆隆義
森澤くるみ
井上匡子
岡田好弘
大河原眞美
後藤昭
鈴木雅子
指宿信
野村美明
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
11
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
号・発行日
42 号
2009 年(平成 21 年)
7月15日発行
43 号
2009 年(平成 21 年)
10月15日発行
掲載頁
1
2〜6
7
8〜9
10 〜 11
12
1
2〜3
4〜8
9
表紙「ご存じですか?法学検定試験」
[座談会]法学検定試験のいまむかし
10 周年を迎える試験の魅力と今後の課題とは[前編]
●[法学検定試験合格体験記]
私たち、こうして合格しました!
●[報告]
第 12 期理事会・評議員会開催さる
● 法務速報ダイジェスト
● 街角の法律書 法律書売り場を訪ねて
● 会員専用ページへのご登録はお済ですか?
執筆者・講演者
●
●
表紙「開こう!法曹への扉 法科大学院統一適性試験」
Hot Topic!:2009 年「法科大学院統一適性試験」を実施
●[座談会]
法学検定試験のいまむかし
10 周年を迎える試験の魅力と今後の課題とは[後編]
●[法学検定試験合格体験記]
私たち、こうして合格しました!〜その②〜
● 財団研究紹介
● 法務速報ダイジェスト
● 街角の法律書 法律書売り場を訪ねて
[第 2 回]
●[案内]
シンポジウム 現代社会における士業のあり方」
●[案内]
加藤雅信教授(上智大学)
による民法改正に関する講演会
新堂幸司、高橋宏志、二宮
照興、堀田和宏、伊豆隆義
山田悦秀、鳴海知世
山本昌平
岡田好弘
●
●
適性試験委員会事務局
新堂幸司、高橋宏志、二宮
照興、堀田和宏、伊豆隆義
大岩慎太郎
岡田好弘
44 号
2010 年(平成 22 年)
1月15日発行
●
7
●
2010 年(平成 22 年)
5月15日発行
2010 年(平成 22 年)
10月15日発行
12
[報告]大阪支部設立 10 周年記念シンポジウム「現代社会における士業の
あり方」
●[報告]
民法改正に関する講演会
●[報告]
2009 年度の法学認定試験について
● 法務速報ダイジェスト
●[究めたい! 研究の現場から]
国連における人権アドボカシーに関する研究
●[案内]
労働法に関する勉強会
表紙「法科大学院での法曹養成の姿 理論と実務の架橋を目指して」
[特集]修了生、学生から見た法科大学院
●
6〜7
7
●
8
9
10 〜 11
12
46 号
●
1
2〜5
J
A P A
N
L
A W
F
8
8〜9
10 〜 11
12
45 号
表紙「100 号を迎えた法務速報 重要な判例情報をあなたのもとへ」
年頭のご挨拶 ― 財団の当面の課題
●[座談会]
法務速報 100 号を迎えて
1
2
3〜7
O
U
N
D
A T
I
O
N
10 〜 11
12
記事名
1
2
3
4〜7
7〜8
9
10 〜 11
12 〜 13
14 〜 15
16
●
Hot Topic!:適性試験の一本化について
[報告]
「地方行政において期待される法曹の役割に関する研究」シンポジ
ウム
●[報告]
第 11 回法務研修参加報告
●[報告]
専門家養成研修「民事訴訟を極める」を受講して
● 法務速報ダイジェスト
● 私の本棚
[第 1 回]―「証言・フルトヴェングラーかカラヤンか」
● 事務局からのお知らせ
●
表紙「公益財団法人に移行しました!更なる発展と活動の充実を目指して」
理事長退任のご挨拶
● 理事長就任のご挨拶
●[特集]
教員から見た法科大学院
● 米国ロースクール事情
●[報告]
民法改正に関する講演会
● Hot Topic!:
「法科大学院統一適性試験」を実施
●[報告]
第 13 期(2010 年度)通常理事会・評議員会報告
● 法務速報ダイジェスト
● 私の本棚
[第 2 回]―「日本神判史」
新堂幸司
町村泰貴、鈴木誠、
伊豆隆義、成田信子、
岡田好弘
宮下公司
熊谷健吾
堀田和宏
須田洋平
原島有史、尾沢勇紀、
治山大海、山中友美
適性試験委員会事務局
大杉覚
新保善浩
石川さやか
久保英幸
●
●
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
新堂幸司
高橋宏志
坂本正幸、和田吉弘
金宗顯
高橋和征
適性試験委員会事務局
久保英幸
岡田好弘
これまでの『JLF NEWS』 目次一覧
47 号
2011 年(平成 23 年)
2月15日発行
掲載頁
1
2
3
4
4〜5
6〜7
8
48 号
2011 年(平成 23 年)
5月31日発行
1
2
2〜3
4〜6
6〜7
8〜9
9 〜 10
10 〜 11
12
13
14 〜 15
16
49 号
2011 年(平成 23 年)
10月15日発行
1
2 〜 12
13 〜 14
14 〜 15
16 〜 17
18 〜 19
20
記事名
執筆者・講演者
表紙「広く社会に開かれた法のシンクタンクを目指して」
専務理事就任のご挨拶
●[究めたい! 研究の現場から]
保釈保証保険制度研究
●[究めたい! 研究の現場から]
法廷通訳研究会
●[究めたい! 研究の現場から]
「法科大学院における法曹倫理教育の標準
化」研究会 ― 社会正義を実現する弁護士魂のために
● 法務速報ダイジェスト
● 私の本棚
[第 3 回]―「パレオマニア 大英博物館からの13の旅」
●
●
表紙「2010 年度活動報告 公益法人移行後の半年を振り返って」
[報告]第 12 回
(2010 年度)法務研修のご報告
●[報告]
中国地区会研修報告
● Hot Topic!:2010 年
「法科大学院統一適性試験」の実施結果
●[究めたい! 研究の現場から]
交渉で正義は教られるか 〜実践法教育研究会における論議より〜
●[究めたい! 研究の現場から]
基金研究「情報共有システムの構築」の紹介とご協力のお願い
●[究めたい! 研究の現場から]
被疑者取調録画研究会
●[究めたい! 研究の現場から]
多重債務者の全国実態調査による、救済・再生・予防の展望
●[報告]
役員会報告
●[報告]
2010 年度下期法科大学院認証評価報告
● 法務速報ダイジェスト
●[寄稿 ― 会員の声]
最近思う事
庭山正一郎
白井徹
池田崇志
森際康友
岡田好弘
●
●
表紙「50 号を前にした特大号 新堂前理事長講演録」
[特集]新堂幸司前理事長講演会「手続保障と最高裁の最近の動き」
●[究めたい! 研究の現場から]
模擬交渉を利用した法教育の研究 ―やってみる教材
●[寄稿 ― 会員の声]
私の登山体験と被災の中でのサバイバル
● Hot Topic!:2011 年
「法科大学院全国統一適性試験」を実施
● 法務速報ダイジェスト
● 私の本棚
[第 4 回]―「覇権の標的」
春日秀文
中井克洋
適性試験委員会事務局
野村美明
望月宣武
指宿信、吉井匡
手塚宣夫
庭山正一郎
清永敬文
山下哲夫
●
●
新堂幸司
野村美明
我妻崇
適性試験管理委員会事務局
伊豆隆義
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
JLFNEWS No.50 February 2012
号・発行日
13
報告:シンポジウム「民事訴訟における長期化要因改善施策の検討」を実施
報告
シンポジウム
「民事訴訟における長期化要因改善施策の検討」を実施
東京弁護士会会員 大坪
和敏
当財団と東京弁護士会との共催により、平成23年10月31日(月)、弁護士会館クレオBCにおいて、民事
訴訟シンポジウム「民事訴訟における長期化要因改善施策の検討」が実施された。
今回の報告書では、それまでの3 回の検証の結果明らか
になった長期間要因を分析、検討し、新たに民事訴訟等
の改善施策を公表したところに特色がある。検討にあたっ
ては、各地の裁判所の裁判官、弁護士、法テラスなどか
N
迅速化の当然の前提として、裁判の適正・充実を図ること
O
から意見を聞いた上で実証的な調査、検証を行った。また
にも配慮したバランスのいい施策を議論した。
A T
運用面の施策では、争点整理関係、証拠収集関係、専門
F
O
U
N
護士の執務態勢面の施策の2つの柱に分類できる。制度
D
I
打ち出した施策は、制度運用面の施策と、裁判所・弁
1
シンポジウムの目的
最高裁は、平成 23 年 7月「第 4 回裁判の迅速化に係る
らに個別の事件類型として、医事関係訴訟、建築、労働、
遺産分割という4つの個別の事件類型を採り上げ、それぞ
年に及ぶ調査、分析の結果提示された重要な施策である。
充実・迅速化について」
)
。本シンポジウムは、この最高裁
今後、研究者、実務家により報告書をたたき台として、各
界各層で議論を深めていくことが重要であると思っている。
N
閲覧できる。「裁判所について」→「公表資料」→「裁判の
の報告書を受けて、同報告書の概要を紹介し、そこで採
A P A
採り上げた施策は、70 以上にのぼり、それぞれ足かけ8
り上げられた裁判の長期化要因を解消し裁判の一層の適
J
A W
れの施策を提示している。
(同報告書の詳細については、最高裁のホームページで
L
検証に関する報告書」
(以下「報告書」
という。)
を公表した
的知見、複雑困難事案関係と4つのカテゴリーにわけ、さ
いて、将来の民訴法改正等の議論のための契機とすること
正・充実・迅速を推進するために必要な施策の一部につ
を目的としたものである。
4
パネルディスカッションの概要
予定時間が 2 時間と限られていたため採り上げた項目は、
総論としての裁判迅速化法の意義のほか、報告書で提言
2
パネリスト
された多くの施策のうち、民事裁判における弁護士の役割
について重要な問題提起と考えられる次の5つの項目に限
当日のパネリストには、報告書のとりまとめにあたった最
定して議論がなされた。
①証拠収集に関連する要因に関す
高裁事務総局総務局参事官本田能久判事と、三木浩一
る施策について、②準備書面の分量制限について、③失
慶應義塾大学法科大学院教授、東京弁護士会の山浦善
権効の導入について、④法廷侮辱に対する制裁について、
樹弁護士(現最高裁判事)
を迎えた。
⑤弁護士強制について。これらは、あくまで報告書で提言
された施策の一部にすぎないことに注意を要することが、パ
3
14
基調講演
ネルディスカッションの中でも指摘されている。
採り上げたテーマについての議論の詳細を紹介すること
冒頭の高橋宏志当財団理事長によるシンポジウムの趣
は困難であるが、山浦弁護士は、現行民訴法の立法時の
旨説明を兼ねた挨拶の後に、本田参事官から、報告書の
議論の紹介から、現状の実務は、弁護士と裁判官の協働
概要について基調講演がなされた。その概要は次のとおり
関係が後退している、弁論準備手続が形骸化しているなど
である。
の認識が示され、今後の証拠収集手続の拡充の必要性を
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
報告:中国地区会研修報告
強調された。他方、三木教授は、研究者の立場から、ア
たって重ねられ、極めて有意義なシンポジウムとなった。
メリカのディスカヴァリや裁判所侮辱などについて、比較法
的な紹介も含めて極めて詳細かつ理論的に概念の整理を
され、さらに現行法における非制裁型スキームの問題点
や、弁護士強制について指摘される問題点と制度を導入
5
おわりに
パネルディスカッション終了後、新堂幸司前理事長から、
することについての課題などについて、現状をふまえて詳細
今後は当事者の思いを制度に反映するような制度でない
に論じられた。
と市民を納得させることができないなどの感想が述べられ、
本田参事官による各施策提言の前提となる現在の実務
の問題点の紹介と施策提言に至る経緯の話もふくめ、迅
大幅に時間を超過しつつも無事に閉会した。
なお、当日の議論の詳細については、近く判例タイムズに
速化のための施策に限られない、今後のあるべき民事訴訟
掲載される予定(平成 24 年 5月頃)
であるので、是非、そ
制度を議論するにあたって、参照すべき議論が長時間にわ
ちらを参照されたい。
報告
日弁連法務研究財団中国地区会幹事・弁護士 根石
英行
中国地方弁護士会連合会・公益財団法人日弁連法務研究財団共催の法務研修が2011年11月17日
(木)午後
3時から午後5時まで、鳥取県米子市国際ファミリープラザで開催されました。
本年度は、第 65 回中国地方弁護士大会の前日に開催
日を合わせ、中国地方弁護士会連合会の新人研修の一環
として位置付け、研修と大会参加が容易となるように実施
し、中国 5 県から新入会員19 名を含む約 50 名の会員が
出席しました。
JLFNEWS No.50 February 2012
中国地区会研修報告
テーマは、馬橋隆紀常務理事による「弁護士にとっての
事実認定と立証活動」でした。
内容は、事件の受任から、依頼者からの事情聴取、主
要事実や間接事実をきちんと踏まえた法律構成の組み立
て方、証拠収集の方法、書証等の各種証拠方法で気を付
けるべき点、弁論準備手続きの心構え、陳述書の問題点
や尋問技術まで、弁護士が訴訟事件処理を行うためのポ
イントをまとめてお話いただいたものです。
講演している馬橋隆紀常務理事
馬橋先生の修習時代、弁護士業務、弁護教官、日弁
連委員等として活動されてきた豊富なご経験に裏打ちされ、
理論的な点を踏まえた、具体的なお話でしたので、新人に
とって参考になっただけでなく、新入会員とともに参加した
研修のお願いと開催までの時間が十分でなく、無理を押
ベテラン、中堅の弁護士にとっても、自らの事件処理を見
して講演をいただいた馬橋先生を初め、法務研究財団の
直すきっかけとなる貴重なお話しであったと言えます。
皆様には本当にお世話になりました。
中国地方弁護士会連合会としては、大会を新入会員に
身近に感じて参加してもらおうと前日に研修を実施し、その
ために、日弁連法務研究財団の研修の機会を利用させて
いただきました。
会場の設営や運営を行っていただいた鳥取県弁護士会
の皆様にも合わせてお礼を申し上げます。
この研修を機に、新入会員へも、日弁連法務研究財団
が一層身近なものになったとすれば幸いです。
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
15
報告:民法改正に関する講演会のご報告
報告
民法改正に関する講演会のご報告
日弁連法務研究財団会員・弁護士 齋藤
健太郎
去る平成23年9月9日、札幌教育文化会館にて、京都大学法科大学院法学研究科の潮見佳男教授により、
「民法改正と契約責任・瑕疵担保法」というテーマによるご講演が行われました。
潮見先生は、民法学者としてのご活躍はいうまでもありま
う文言が、
「過失責任原則」
と結びつけられているのではな
せんが、現在、法制審議会民法(債権関係)部会の幹事
いか、そうであれば、現行の規定には問題があるとのご説
を務められており、債権法改正議論の中心となって活動さ
明がありました。すなわち、本来契約に拘束されている債
れておられます。
務者に、行動の自由などなく、
「過失責任原則」で捉えるこ
もっとも、実務的には、必ずしも行動の自由と結びつけら
える方々の申し込みがあり、民法改正に関する関心の高さ
れた「過失責任原則」を考慮して、帰責事由を考えている
が窺えました。
わけではなく、あえて改正する必要はないとの意見もあると
以下、本講演会の内容について、ご報告させていただき
言で規定するのかという問題においては、
「債務者の責めに
うです。
F
O
U
帰すべき事由」
という言葉を残すという意見も有力であるよ
講演内容
L
A W
潮見先生から、現在の債権法改正の状況について、今
損害賠償の範囲については、学説(相当因果関係論、保
われ、パブリックコメントの手続きを取るという流れで進ん
護範囲論等)が、対立しているところであり、また、民法
N
本講演におきましては、契約責任に関する部分が中心と
A P A
なりましたので、以下においては、その点に絞ってご報告さ
J
[ 損害賠償の効果 ]
後、平成 25 年 2月頃を目途に、中間試案のとりまとめが行
でいることの説明がありました。
416 条の規定や枠組み
(通常・特別損害)
からは、具体的
な規範を読み取れないという問題も指摘されています。
潮見先生によれば、現在の改正の議論においては、相当
因果関係という枠組みを用いるのか否か(規範的価値判断
せて頂きます。
ご講演内容について
……………………………………………………………………
[ 履行請求権について ]
まず、潮見先生からは、現行の民法には明確な定めの
ない「履行請求権」について規定すべきではないかが議論
が入るという意味で残すのか)
、通常・特別損害という枠組
みを維持するのか(予見可能性ルールで統一するのか)
、そ
れとも、それらに代わるルールを作るのかという議論がなされ
ているとのことでした。
されているとのお話がありました。そして、理論的には、そ
今までの裁判例の方向性と一致する、わかりやすいルー
れが、契約に基づいて発生するのか、それとも、債務不
ルの必要性は、実務的には日々感じるところですので、大
履行の効果として発生するのかについて議論があること、ま
変、興味深くお話を聞かせて頂きました。
た、そのいずれの構成によるかによって要件事実が変わっ
てくる点に留意する必要があるとのご説明がありました。
[ 契約解除 ]
潮見先生によれば、解除については、責任を債務者に
そして、この「履行請求権」を民法に規定するのであれ
負担させる制度であるという考え方ではなく、最近では、契
ば、「履行不能」についても明確な規定を置く必要性が出
約の拘束から解放する制度であるという考え方があり、後
てくること、また、従来の追完請求権が、
「履行請求権」の
者の考え方によれば、解除の要件として帰責事由が不要で
一態様であるのか、それとも異質な権利であるのかという議
あるという結論が導かれるとのことでした。
論も十分に行われる必要があるとのことでした。
[ 損害賠償の要件について ]
この点については、
「債務者の責めに帰すべき事由」
とい
16
のことでした。
そのため、免責がなされる場合について、どのような文
ます。
N
D
A T
N
実務家、司法修習生、法科大学院の学生など80 名を超
O
とは適切ではないのではないかという問題意識です。
I
本講演会には、大学教授、裁判官・弁護士等の法曹
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
また、後者の考え方に立った場合に、解除の制約法理
について、「重大な不履行」があれば解除できるとするのか、
それとも
「催告+相当期間経過」を要件とする制約である
研究紹介:究めたい!─ 研究の現場から
か、二つの考えがあり得るとのことです。
さらに、催告解除の規定についても、重大な不履行によ
各論に規定するという考えもあるようです。
以上の諸点について、潮見先生からは、単なる改正の議
る解除の一種であると捉えるか
(同質説)
、それとも、全く異
論に留まらず、民法の根本的な考え方や最新の議論を踏ま
質な制度であると捉えていくのか(異質説)によって、規律
えて、丁寧なご説明がありました。これらのご説明によって、
の方向性が変わる可能性があるとのご説明がありました。
改正の状況がよく理解出来ただけでなく、民法の考えを深
[ 危険負担について ]
また、講演後の質疑応答におきましても、民法改正の必
進めていくと、危険負担との関係も整理が必要となっていく
要性やその意義に関する深い議論がなされ、参加者の方
ようです。すなわち、本来であれば、帰責事由のない場合
の関心の高さが窺われました。
を危険負担としていましたが、債務不履行に帰責事由を求
現時点においては、
民法改正はいまだ流動的な状況にあ
めないのであれば、危険負担の存在意義が失われる可能
り、今後も、改正についての十分な議論が必要であると思
性があるということです。この点については、危険負担制度
われます。本講演会にご参加なされた皆様にとっては、議
を廃止するか残すかという議論がある一方で、総論におい
論状況を民法の根本的な視座から理解する大変良い機会
ては危険負担の制度を廃止し、問題がある点については、
になったものではないかと確信しております。
現在行っている研究の一部を簡単にご紹介します。これまで、当財団では90以上の研究を行っ
てきました(当財団ウェブサイトに一覧を掲載しています)。財団会員であればどなたでも研究会
を立ち上げることができます(申請書に基づく審査の上、採否を決定します)。
詳しくは当財団のウェブサイト
(http://www.jlf.or.jp/)をご覧ください。
究めたい!
研究の現場から
大阪における陪審裁判
─ 実証的研究のための資料探究
増田 修
研究主任・広島弁護士会会員 平成 15(2003)年 9 月、広島修道大学「明治期の法
と裁判」研究会(以下「研究会」という)は、広島控訴院
鳥取・松山についての原稿も完成して、 発表を待つ状
態となった。
管内の各裁判所が保存する資料のうち、明治期におけ
収録した資料は、 予審終結決定書(各地方裁判所保
る民事刑事の事件記録、事件書類ならびに総務関係書
存)、 陪審公判始末簿(各地方裁判所保存)、 陪審説
類(例えば、事務節目、履歴書、親展書綴)など(以下
示集・問書集、 刑事判決書(各地方検察庁保存)、 新
「記録・書類」という)を調査し、デジタルカメラで撮影
聞報道(陪審公判記事だけではなく、 陪審制度の広報・
して保存・研究することを目的として設立された。しかし、
施行後の評価などを含む)、 判事・検事・弁護士の陪審
当初は、 民事事件だけの調査というのが実情であった。
公判に関する感想、 陪審公判を担当した判事・検事・
その後、戦前期の裁判の全体像を把握するには、刑事
弁護士の閲歴などである。
事件も調査対象とし、かつ、 大正・昭和戦前期も対象
とする必要があると考え、その調査にも着手した。
その一環として、「研究会」は、 筆者を中心に、 昭
和 3(1928)年 10 月 1日から昭和 18(1943)年 4 月
平成 23(2011)年 2 月、 筆者は「広島控訴院管内
における陪審裁判─実証的研究のための資料探究─」
(『 修道法学 』第 33 卷第 2 号)を発表した。 その中で、
「陪審裁判についての従来の論考には、 我が国にお
1日まで施行された、 陪審裁判に関する資料の調査を
いて行われた陪審公判の実際例を多数対象にし、かつ、
開始した。 そして、 最初に発表したのが、 緑大輔・増
その資料をできる限り収集して行った実証的な研究は殆
田修・加藤高・紺谷浩司共編「広島における陪審裁判
ど無」いことを指摘した。 そして、 陪審裁判に関する
─昭和初期の芸備日日新聞・中国新聞の報道ならびに
諸資料を、どのようにして調査・収集しているか、どの
刑事判決原本を中心にして見る陪審裁判─」(『修道
ような問題点に着眼して調査・研究を進めているかを報
法学』第 29 卷第 2 号、 2007 年 2 月)である。 続いて、
告し、 陪審公判 484 件全部を検証する必要があること
広島(二)
(三)
・山口(一)
(二)
・岡山・松江の資料集も
を訴えた。
『修道法学』に発表してきた。 現在は、 調査は完了し、
JLFNEWS No.50 February 2012
める大変有意義な機会となりました。
前述のように、解除に帰責事由が不要であるとの議論を
そうしたところ、 公益財団法人日弁連法務研究財団
次ページへ
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
17
研究紹介:究めたい!─ 研究の現場から
前ページつづき
の研究課題として応募するように勧誘があったので、 そ
では意味がない(佐伯千仭『陪審裁判の復活』、 第一法
れに応じて、 大阪地裁においても、 広島控訴院管内と
規出版・1996 年 7 月、 14 頁)。 そして、 実際に行わ
同様に、 陪審裁判を実証的に研究するための研究資料
れた陪審公判を実証的に検証することなく、 無罪率だ
を調査・収集して紹介・研究する目的で、「大阪におけ
けを見て陪審裁判の意義を高く評価するような方法で
る陪審裁判─実証的研究のための資料探究─」と題す
は、 我国における陪審公判は、 被告人側の主張の容認
る研究計画書を提出し、 平成 23(2011)年 6 月初旬、 率(無罪率と縮小認定率の合計)が高いのが特徴である
同財団の研究課題(NO.94)
として採用された。
いう懸念を払拭できていない。
ては、まず、 大阪地裁に対し、 予審終結決定書、 第
次に、 利谷信義「司法に対する国民の参加─戦前の
一審公判始末簿、 陪審公判始末簿などの閲覧謄写申
法律家と陪審法─」(潮見俊隆編『岩波講座 現代法』
請をした。 次いで、 新聞記事を検索して大阪地裁で開
6・現代の法律家、 岩波書店・1966 年 6 月、 388 頁)
は、「…『然り』(犯罪構成事実が存在する)と答申され
たとせよ、 裁判官による刑の量定の峻厳さは、 おして
名、 事案の概要、 判決結果を把握できた。そして、 平
知るべしである。 それは「然らず」と答申された場合に
成 23(2011)年 11 月 21日、 大阪地裁における陪審
ついて、 無罪の宣告をする代りに、 陪審の更新がかな
公判始末簿・第一審公判始末簿などの記録を閲覧謄写
り多く行われたことからも推測しえよう。 被告たるもの、
した。判決の傾向は、 大阪地裁でも、 広島控訴院管内
戦慄せざるをえないのである。 …在野法曹は、 依頼者
における陪審公判と同様の傾向を示している。 すなわ
にこの危険な賭をさせるわけには行かなくなる。彼は控
N
異なり、 すべて公訴事実を争うものであるが、 大阪地
そが、もっとも基礎的で有効な『法廷技術』であるとい
裁の陪審公判の無罪率はわずかに4.17%(広島控訴院
うことになる。…」という。そして、この主張を支持す
管内 10.71%)である。しかし、 縮小認定率(殺人が傷
る者も多いようである。
害致死、 放火が非現住建造物放火など、 公訴罪名より
しかし、 広島控訴院管内と大阪控訴院管内における
陪審公判の実際を見れば、 公訴罪名について「然り」
33.93%)であって、 被告人側の主張の容認率は、 無
と答申されても、 通常裁判と同じく、 判決における刑
の量定は求刑よりも低い傾向にあり、 執行猶予の場合
内 44.64%)に達する。この現象を分析して、どのよう
もある。また、 公訴罪名よりも軽い罪名の答申(縮小認
に評価するかが問題である。
定)になることも多いが、 同様に判決の量刑は求刑より
あるが、 陪審裁判の研究者は、 この無罪率は同時期
N
罪率と縮小認定率を合計して 34.72%(広島控訴院管
A P A
軽い罪として答申される)は 30.56%(広島控訴院管内
J
L
A W
U
訴できる通常の道を被告にすすめるであろう。ここで
は、 陪審を辞退し、 裁判官に恭順の意を表わすことこ
陪審を辞退した者も大部分は自白している)であるのと
O
ち、 陪審公判は、 通常公判の大部分が自白事件(法定
F
D
I
廷された陪審公判全 36 件に関する記事を収集し、 殆
どの事件について判決年月日、 公訴罪名、 被告人氏
A T
O
N
大阪地裁において行われた陪審公判の調査につい
ことを見失っており、また、 誤判もあるのではないかと
ところで、 我国の陪審公判の無罪率は 16.74%で
も低い傾向があり、 執行猶予となること、 体刑ではなく
罰金刑が課されることも目につくのである。
の一般刑事事件の無罪率と比較すると格段に高いと指
このような陪審公判の実状に対して、 南谷知悌広島
摘している。 その視点から、 利谷信義「日本の陪審法
控訴院検事長は、「過去一年に亙る裁判の結果より見
─その内容と実施過程の問題点─」(『自由と正義』第
て、 概して陪審員の評決が、 軽きに傾きたることは掩
35 卷第 13 号・特集陪審、 1984 年 12 月、 11 頁)は、 ふべからざる事実であります。 その結果被告人及び其
「日本の陪審法が、 …人権擁護のために一定の役割を
周辺の人々が、 陪審制度の有難味を痛感せられたこと
果したことも認めてよいであろう」と評価し、また、 東
は勿論でありませうが、 是を以て一般国民の声として
京弁護士会編『陪審裁判─旧陪審の証言と今後の課題
受取るのは早計であります。 …一般国民が真実此制度
─』(ぎょうせい・1992 年 2 月、 5 頁)は、「陪審制度
を何の程度感謝して居るであらうか、 私が熱心に聴か
は、 我が国においても被告人の基本的人権を擁護する
ま欲しきは、 一切の利害関係を離れて、 真に自由の立
役割を果たし、誤判防止の機能をも有していたといえる
場に居る国民の声であります」という(『法曹会雑誌』
であろう」と高く評価している。
第 7 卷 第 10 号・陪 審 法 実 施 記 念 号、 1929 年 10 月、
しかし、 佐伯千仭も指摘するように、 否認事件のみ
116 頁)。 一方、 今村恭太郎広島控訴院長は、 陪審
の陪審公判と大部分が自白事件の通常公判(無罪率が
裁判は「…結果の上から見ては必らずしも不良ではない
低いのは当然である)の無罪率を形式的に比較しただけ
が、 …事実の真相にぴったり合うやうな裁判をし得るや
次ページへ
18
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
研究紹介:究めたい!─ 研究の現場から
前ページつづき
しかし、「研究会」において、 これから長期に亘り、
全国各地を踏破して調査を進めることは、 現地調査の
も、 併し一面裁判と云ふものを民衆が理解し之れを信
中核となっている者の年齢構成(筆者と加藤は 76 歳、
用する程度が高まると云ふ上に非常に大なる効果を齎し
紺谷は 70 歳)から見て困難であろう。陪審公判の全件
たものであるといって宜しい。 其結果陪審法実施の結
調査は、 若い人達が、 中心となって引き継いでくれる
果は悪い結果であると云ふことは出来ないと思ふ」とい
ことを願うより外はない。
う(前掲『法曹会雑誌』第 7 卷第 10 号、 120 頁)。 両
それよりも心懸かりなことは、 最高裁判所は各裁判
者共、陪審公判の現実を率直に受入れることは難しかっ
所に現存する「記録・書類」の内、「歴史的に重要な」
たようである。
ものを、 国立公文書館に移管する方針を明らかにした
私達「研究会」が調査した陪審公判は、 広島控訴院
ことである。民事判決原本については、 当初、 最高裁
管内(56件)
と大阪地裁(36件)の合計92件(19.01%)
判所は特に重要な判例を特別保存しその他は廃棄する
に過ぎない。そこで、研究課題を大阪控訴院管内(63
方針であったが、 最後は国立公文書館において全部保
件)に拡張(広島控訴院管内 56 件と合わせて 119 件で
存することになったように、 各裁判所に現存する戦前期
24.59%)したいと考えて、その準備として、同院管内
の「記録・書類」なども、 歴史的文化遺産として、 総て
で行われた新聞記事を調査し、総ての陪審公判の概要
保存されることを願って止まない。
を把握した。更に、東京控訴院管内の南関東・東海(東
最後に、 当面の調査目標とする大阪控訴院管内にお
京 63 件、 横 浜 35 件、 千 葉 25 件、 浦 和 2 件、 静 岡
ける「年度別・裁判所別陪審公判一覧表」を紹介してお
11 件の 136 件)を調査することが出来れば、陪審公判
こう。なお、 全国調査の準備として、 東京・名古屋・
全 484 件(実際は、これより少なくと3 件多いと思われ
長崎・仙台・札幌の各控訴院管内における年度別・裁
る)の二分の一を調査したことになる。
判所別陪審公判一覧表も、 すでに作成している。
■ 大阪控訴院管内
年度別・裁判所別陪審公判一覧表
昭 和
3年
4年
5年 6年 7年 8年 9年 10年 11年 12年 13年
17年
合 計
種 別
法定 法定 請求 更新 法定 法定 法定 法定 法定 法定 法定 法定 法定 法定 更新 法定 請求 更新
大阪地裁
3 14
1
2
6
3
1
1
1
1
1
1
1 32
1
3
京都地裁
3
2
1
6
神戸地裁
1
4
2
1
1
9
奈良地裁
2
1
3
大津地裁
1
1
2
和歌山地裁
1
1
徳島地裁
1
1
高松地裁
1
1
2
高知地裁
1
1
1
3
合 計
4 26
1
2 13
5
1
1
2
1
1
3
1
1
1 59
1
3
計
36
6
9
3
2
1
1
2
3
63
JLFNEWS No.50 February 2012
否やと云ふことは疑ひがあるが、しかし誤って重く罰す
ると云ふこともないことは利益があるに相違ないけれど
注)
「法定」
は、法定陪審事件
(陪審法第 2 条)
、
「請求」は、請求陪審事件
(陪審法第 3 条)
である。
「更新」は、裁判所が陪審の答申を不当と認め、
更に他の陪審の評議に付した再陪審事件
(陪審法第 95 条)
である。
注 1)増田修「明治初年のある公事師の貸金取立旅日記─上原和兵
衛『陸奥紀行』
(明治四年十月十四日〜明治五年五月九日)の
紹介─」(『修道法学』第 26 卷第 2 号、2004 年 2月)において、
加藤高が「研究会」発足の経緯と当初のメンバーを紹介している。
「研究会」の最近の活動については、矢野達雄・加藤高・紺谷
浩司・居石正和・増田修「裁判所所蔵文書から見た戦前期司法
の諸相─広島控訴院管内を中心に─」(『法制史研究』60 号、
2011 年 3月)
を参照されたい。
注 2)広島控訴院管内の陪審裁判は、広島修道大学「明治期の法
と裁判」研究会の次のメンバーが共同で調査・研究を行ってい
る。加藤高広島修道大学名誉教授(「研究会」初代会長、民
法)
、紺谷浩司広島大学名誉教授(民事訴訟法)
、増田修広島
弁護士会会員、矢野達雄広島修道大学法学部教授(「研究会」
現会長、日本法制史)
、居石正和島根大学法文学部教授(日
本法制史)
、緑大輔北海道大学大学院法学研究科准教授(刑
事訴訟法)
、山崎俊恵広島修道大学法学部准教授(刑事訴訟
法)
。修道法学に掲載された広島控訴院管内における陪審裁判
に関する資料集の解題は、緑が担当する予定である。なお、資
料集は、国立情報学研究所のウエブ・サイト
「論文情報ナビゲータ
(CiNii)
」において、PDF 形式で読むことが出来る。
注 3)研究課題(NO.94)は、
「研究会」のメンバーである加藤、紺谷、
増田、矢野、居石の外、三阪佳弘大阪大学大学院高等司法研
究科教授(日本法制史)が新たに「研究会」に加わり、共同で調
査・研究に当たっている。
注 4)増田修「広島控訴院管内における陪審裁判─実証的研究の
ための資料探究─」(『 修道法学 』第 33 卷第 2 号、2011 年
2月。国立情報学研究所のウエブ・サイト「論文情報ナビゲータ
(CiNii)
」において、PDF 形式で読むことが出来る)は、広島控
訴院管内の陪審公判の概要を紹介し、陪審公判における
(1)裁
判長の説示、
(2)
陪審員の答申、
(3)
予審訊問調書の証明力
(そ
の中で、岡山地裁放火未遂事件昭和 4 年 3月29日判決懲役 2
年 6月は、誤判であり無罪と思われると指摘、771 頁)
、
(4)陪審
次ページへ
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
19
研究紹介:究めたい!─ 研究の現場から
前ページつづき
公判の無罪率、に関する資料を紹介して問題点を指摘し、更に、
陪審公判が少なかった原因を考察しているので参照されたい。
注 5)浦辺衛「陪審制と参審制」(佐伯千仭博士還暦祝賀『犯罪と
刑罰』下、有斐閣・1968 年 7月、154 頁)は、前掲利谷論文の
究めたい!
研究の現場から
「刑の量定峻厳」説を考察して、
「…求刑どおりの重い量刑がな
されたというのであれば、…懲罰の意味で峻厳な刑が量定された
とは到底考えられない、…山井検察官、坂田弁護士とも右のよう
な量刑がなされたことはないと否定された」、という。
多重債務者の全国実態調査による、
救済・再生・予防の展望
(その 2)
手塚 宣夫
「全国的な調査による多重債務者の実態の研究」研究会主任・東海大学法科大学院教授 1 はじめに
倒れて10 数年寝たきりで亡くなり、その後で自分も倒
これまでに延べ 90 名の方と直接面談しました。先の震
血病で亡くなり、それを見取ったり、倒れてからも厳し
災の影響で、 調査が予定よりも遅れていますが、 残す
く借金を取立てられた方が、被害者の会に来てやっと救
この稿では、 前回の JLF ニューズレター No.48には書
んでしょう」と言われたときは、返す言葉がありませんで
けなかった、 被害者の会について感じたことを書きたい
した。でも被害者の会に来て救われ、そこで勉強する
と思います。
と、偏ってはいますが、一定の法律知識が誰にでも身に
2 被害者の会の実態と将来の展望
付きます。この方も、被害者の会を手伝っているうちに
色々なことを覚え、隣の認知症の老婆が次々販売に引っ
自分では借金する必要がないのに、 破産した友人か
かかるところを寸前で気が付いて、事なきを得たそうで
ら懇願されて彼に貸すために、 サラ金の無人契約機か
す。この方は高齢で、学歴がなくとも、記憶力が抜群で
ら借りたことが始まりで借金地獄に陥り、 藁にもすがる
非常に頭の良い方ですが、このような人が一人でも増え
思いで、 ある市役所主催の無料相談会に行って相談し
たところ、 話を聞き終わった司法書士から、 一言「頑
れば、少しでも消費者被害を防止できると思いました。
(3)カウンセリングによる立ち直りの支援
どの被害者の会に行っても、相談員はカウンセラーの
資格はないようですが、被害者を心理的に援助しながら、
被害者に共感し、 金銭管理能力等を身に付けることを
A P A
張ってください」と言われただけで何の相談にも乗って
もらえなかった方は、 呆然自失、どうしたらよいか分か
らず、 死ぬしかないと思ったそうですが、 相談会で配
られたチラシの被害者の会に行って救われたというケー
支援するのが実態で、正にカウンセリングと呼ぶにふさ
J
N
L
A W
O
(1)相談者の高い意識と相談しやすい環境
F
U
N
D
I
ところ九州、 沖縄と釧路の各被害者の会となりました。 われましたが、面談の中で、「私の一生は一体何だった
A T
O
N
全国の主なクレサラ・ヤミ金被害者の会の方を対象に、 れて半身不随になったり、頼りにしていたお嫁さんが白
スがあります。カウンセリングの初回の面談、インテー
わしいと思います。頼る者を決して見捨てず、最後まで
ク・インタビューは何よりも重要で、まずここで安心し
面倒を見ることが、最大の特徴です。長年相談に携わっ
て、 次の面談等のステップに移行できるのですが、こ
ている人は、ベテランのカウンセラーに匹敵するのでは
の方の場合は、もうおしまいだと絶望して、自殺しかね
ないでしょうか。被害者と相談員が一対一のこともあり
ない状況でした。全国的にこのようなケースが少ないこ
ますが、 仲間と一緒に、グループで和気藹藹とした雰
とを祈るばかりですが、 相談員は誰でも良いわけでは
囲気の中で、 相談員を中心に、 被害者が自分をさらけ
なく、 少なくともそのような危険性を分かった、 弱者保
出し、 他人の体験や意見に耳を傾けて、 何かを会得し
護の意識の高い、 正義感の強い人でなければならない
て自分を高めようとする姿を、ほとんどの被害者の会で
と痛感しました。 被害者の会の相談員は、 弱者保護の
見かけることができますが、これは立ち直ってリピーター
使命感に燃えた人や、 被害で苦しんだ経験のある人達
にならないための、グループ療法の一種と言っても過言
ですので、 その点は安心です。そして、 被害者の会の
ではないでしょう。こうして被害者が立ち直ると、リピー
ような、 安心して、 心を開いて相談できる環境・場を、 ターにならずに周りに迷惑をかけなくなるばかりか、 相
色々な所で作ることが大切だと思います。
(2)法律知識のある一般人が増えて被害が減る
長年夫の借金で苦しみ、息子が難病になったり、夫が
談員になったり、(2)で紹介したように、 周りで困って
いる人を助けたりと、社会にとって非常に有用な役割を
果たすことが期待できます。
次ページへ
20
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
研究紹介:究めたい!─ 研究の現場から
前ページつづき
(4)誰でも何でも受け入れる所
の際、 適格消費者団体に今よりももっと大きな権限を与
ば、 適切なアドバイスをしてもらえるか、 大抵の人には
えて、 被害者の会も適格消費者団体として認定し、 消
見当が付きません。役所に行っても、たらい回しにされ
費者保護を実践してほしいと思います。
るだけです。被害者の会は、 多重債務に限らず、 色々
3 おわりに
な困った事の相談も受けているようです。 多重債務に
多重債務者を救済し、リピーターになることを防ぐた
なる原因は様々ですので、 当然かもしれません。この
めに、被害者の会は非常に大きな役割を果たしてきまし
ような被害者の会を、よろず相談所として育てていくこ
た。改正貸金業法の完全施行で、 悲願の目的を達成し
とも、 将来の一つの選択肢だと思います。さらに、 全
たために、 将来の方向性について、 皆が迷っているよ
国的なネットワークを持ち、 行政をも動かす力を持つま
うですが、 被害者の会の力を失っては、 社会的損失が
でに育った被害者の会に、 弱い消費者の保護のために、
甚大だと思います。今後消費者団体として、もっと大き
これからもどんどん活動してもらいたいと思います。 そ
く成長してほしいと願っています。私達の調査研究にお
のためには、法人となり、財政的な裏付けが必要なので、
いても、 被害者の会のあるべき姿を模索し、 提案した
公的資金で援助すべきでしょう。 本来福祉行政がやる
いと考えています。
究めたい!
研究の現場から
被疑者取調べ録画研究会
指宿 信
代表・成城大学教授 周知のとおり、 2011 年 3 月に郵政不正事件無罪判
研究会活動としては、 2011 年 12 月 9日(金)に京
決を契機に設けられた「検察の在り方検討会議」の最終
都弁護士会共催で「ミスター可視化」こと小坂井久弁護
答申において、 取調べの録音録画が推奨され、 それを
士(大阪弁護士会)をお招きして研究会を開催した。こ
受けて最高検察庁は取調べ録画指針を策定し、 2011
れは本研究会の 10 回目となる公開研究会であった。当
年はいわゆる「可視化(取調べの録音録画)」の大きな
日は弁護士、 大学院生(法学、 心理学)、 法学者など
転換点となった。 同年 6 月には可視化を含めた立法課
20 名ほどの参加が得られ、 警察庁で進められている研
題の解決を目指す新しい法制審の部会も発足、 同年 8
究会の状況や日弁連の取り組み、 法制化に向けた課題
月に法務省勉強会の最終報告書も公表され、 いよいよ
などについてレクチャーをいただき、 特に弁護実践との
立法化がカウントダウン状態を迎えている。
関係について議論をおこなった。
そうした情勢のなか、 2011 年 7 月、 日本弁護士連
JLFNEWS No.50 February 2012
べきことを、 肩代わりするわけですから当然です。 そ
何か困り事があった場合に、どこに行って相談すれ
メディア関係では、「なぜ『 取調べの全面可視化 』
合会の編集協力を得て日本評論社より指宿信編著『取
は、なかなか実現しないのか」SIGHT 誌 47 号(2011
調べの可視化へ! 取調べの可視化が日本の刑事司法
年 3 月)
(http://ro69.jp/product/magazine/
を変える』が刊行された(http://www.nippyo.co.jp/
detail/49260)への寄稿や、 NHK「視点論点」にお
book/5652.html)。本書のインタビュー編ならびに事
いて上記の著作を元に一般市民向けの解説をおこなっ
件報告編には本研究会への助成によって実施されたヒ
た(10 月 14 日 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-
アリングや、これまでの研究会主催の報告が反映され
blog/400/101676.html)ほか、 新聞紙上等へのコメ
ている。また、 2010 年 9 月に財団の助成によって日
ントも積極的におこなっている。
本教育会館で開催した可視化をめぐる公開セミナーの
今後の活動については、 引き続き京都弁護士会にお
基調講演なども収録され、 研究会活動の成果が大いに
ける公開研究会を継続的に開催する。また、 海外の学
生かされた書籍である。なお、 本書は木谷明教授(元
会や学会誌における報告・投稿もおこなう予定である。
裁判官)より「取調全面可視化論」の“決定版”であると
当面は、 2012 年 8 月にニューヨークの国連本部で開
の評をいただいている(『自由と正義』誌 2011 年 12 月
催される警察活動に関する国際シンポジウムに招聘さ
号参照)。
れており、 ペーパーの作成に勤しみたい。
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
21
研究紹介:究めたい!─ 研究の現場から
究めたい!
研究の現場から
学べば楽しいからのパラダイムシフト
─ 実践法教育研究会の活動から
野村 美明
「模擬交渉を中核とする実践的法教育の研究」研究会主任・大阪大学教授 はじめに
るいと感じたというものである。また、 参加学生からは、
実践法教育研究会では、 年齢や専門分野の異なる幅
交渉や議論のスキルだけではなく、コミュニケーション
広い法曹、 企業人および研究者の参加を得て、「模擬
力、チームワーク、 責任感やリーダシップを学んだとい
交渉を中核とする実践的法教育の研究」(2009 年 4
う感想が聞かれる(これらのコメントについては、 毎年
月 1日〜2013 年 03 月 31日)を進めている。 今回は
法学教室 3 月号に掲載される森下哲朗教授による紹介
この研究の発想の源となった大学対抗交渉コンペティ
記事を参照されたい。また、 同教授の「教育の場とし
ションの最近の動きと、 研究会の最新の議論の要点を
ての交渉コンペティション」法社会学 75 号(2011 年
紹介したい。
10 月)は、 交渉コンペの教育的意義と内容を詳しく紹
介している。)。
「模擬交渉を中核とする実践的法教育の研究」は、
交渉コンペのような交渉と議論を学生が自発的に熱心に
学ぶことができる仕組みが、自律的な社会の担い手で
カレッジ・ネゴシエーション・コンペティション」、 以下
ある責任ある市民の養成のための法教育に利用できる
では「交渉コンペ」という。)は、 世界に通用するネゴ
のではないかという発想に基づいている。
N
部生、 院生(法学以外の学生も参加している)が各大
法教育とは、 法律専門家ではない一般の市民が、 法
学でチームを作り、日本語の部と英語の部に分かれて
や司法制度およびこれらの基礎になっている価値を理
2 実践法教育研究会の最近の議論
2日間にわたり国際的なビジネスを題材とした模擬仲裁
解し、 法的なものの考え方を身に付けるための教育だ
と模擬交渉を行う(交渉コンペのウェブサイトには秘密
といわれる。ここからは、 法教育の核心は、 知識の獲
情報以外のすべての問題や参考資料がアップされてい
得ではなく、 市民が正確な情報に基づき社会を維持し
る。http://www.osipp.osaka-u.ac.jp/inc/index.
進化させる学習実践にあるといえる。 そこで実践法教
html)。
育研究会では、 交渉を中核とした実践的法教育の理
論と方法を研究することによって、 自由で公正な社会
の担い手となる交渉や議論ができる責任ある自律型市
A P A
第 10 回大会は 2011 年 12 月 3日(土)と4日(日)に
上智大学で計 19 大学から約 265 名の学生が参加して
開催され、 大成功をおさめた。 海外からは常連のシド
民を養成することを目標に掲げている(実践法教育研
J
N
L
A W
F
学生に他流試合の場を提供することを目的とする。 学
U
シエーターを育てるために、 日本で交渉と仲裁を学ぶ
O
D
O
大学対抗交渉コンペティション(正式名称は「インター
I
ある
A T
N
1 大学対抗交渉コンペティション ─ 日本の若者は元気で
ニー大学・オーストラリア国立大学のほか、 上海交通
究会のウェブサイト、 http://www2.osipp.osaka-u.
大学が初めて参加した。 海外の大学は必ず日本語チー
ac.jp/~nomura/project/hokyoiku/index.html 参
ムを出すことになっている。
照)。
交渉コンペの特長は、 ①幅広い法曹や企業関係者
の熱意あふれる協力と②学生の強い自主性が③大学教
研究会の最近の議論は、 つぎの 3 つの要点にまとめ
られる。
員の努力とうまくマッチしていることである。 たとえば、 (1)正義はどう教えればよいか
100 名以上の大会審査員のうち約 3 割が弁護士であり、
外国弁護士が 2 割弱のほか、 裁判官や大勢の企業人の
交渉教育によって経済社会の秩序や自由の価値につ
いての実践的な訓練ができる。しかし、 法や司法制度
協力も得ている。学生は、 大学での授業のほかに、 他
の根幹にあるべき正義の観念についてはどう教育するか
大学と自主的な練習試合を行ったり、 運営委員会主催
(この論点については JLF NEWS vol.48「交渉で正
のリーダーズキャンプに参加する一方で、 過去の参加
義は教えられるか ─ 実践法教育研究会における議論よ
者が OB・OG 会を組織して、 出身大学以外の指導にあ
り」、 http://www.jlf.or.jp/jlfnews/vol48_4.shtml
たったり、 若手の審査員として協力している。
参照)。
審査員のコメントで毎年必ず聞かれるのは、 交渉コン
われわれは、 異なる意見を闘わせ、 集約していく政
ペを審査して日本の若者から元気をもらった、 未来は明
治プロセスを実践的に身につけるためには、議論とディ
次ページへ
22
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
研究紹介:究めたい!─ 研究の現場から
前ページつづき
ベートの訓練が有効であると考える。しかし、 議論や
第 5に、 日本国憲法 12 条が掲げる「この憲法が国
ディベートが好まれない日本の社会でこれらを教育に取
民に保障する自由及び権利は、 国民の不断の努力に
り入れるためには様々な困難が予想される。研究会で
よって、これを保持しなければならない。」という理想は、
は、合意や決定に至るための交渉教育と並んで、議論
対話や討論のプロセスの繰り返しから生まれる。模擬交
やディベートに対する理解を深め、 いかにして効果的
渉の練習プロセスは、 学校、 地域や政治における効果
に教育するかを課題にしている。両当事者対立型の仲
的な対話や討論や熟議など、「民主主義の修練」に貢
裁を交渉と連続して学ぶことができる交渉コンペは、こ
献する。
の意味でも議論と交渉の実験の場として貴重だといえ
第 6に、 国際連合憲章が掲げる国際の平和と安全
る(交渉コンペの分析に基づく研究成果として、 新田
の維持と憲法が掲げる平和主義と国際主義は、 第 4 の
克己,三浦隆志「コンピュータを用いた仲裁と交渉の分
市民力を備え、 第 5 の修練によって鍛えられた優れた
析」がある。http://www.osipp.osaka-u.ac.jp/inc/
交渉力によって現実のものとなる。 模擬交渉によって、
われわれは、 従来の研究の成果として『 実演交渉
DVD 交渉は楽しい! 解説テキスト』(商事法務 2011 年)を公刊した(「模擬交渉を利用した法教育の研
「交渉、 審査、 仲介、 調停、 仲裁裁判、 司法的解決」
など「当事者が選ぶ平和的手段による解決」の訓練が
可能となり、 国際の平和と安全の維持をいかに達成す
べきかを体得することができる。
(3)「学べば楽しい」からのパラダイムシフト
究 ─ 映像教材の開発に向けて」JLF NEWS vol.49
研究会では、 交渉コンペのような協働的な学習の場
参照。)そのなかでは、 模擬交渉を利用した実践的法教
に参加したり、 模擬交渉によって「交渉は楽しい」と感
育がめざす 6 つの学習ポイントを提案している。①自治
じたりする学生や市民は、 相当意識が高い層に属する
機能、 ②自治の制限、 ③公正さ(正義)、 ④市民力アッ
のではないかという問題提起がされた。 広範な市民層
プ、 ⑤民主主義の修練および⑥国際の平和と安全の維
を巻きこむためには、 学習の敷居をもっと低くして、自
持である。
然に学べる方法を工夫する必要があるのではないか。
第 1に、 交渉は、 生活やビジネスのために契約を締
結したり、会社や自治会などの団体を設立したり、その
ような団体の中でものごとを決定するときに用いられる。
すなわち、「学べば楽しい」から「気がつくとやってい
た」仕組みを工夫すべきだというのである。
現実世界には交渉や議論の場があふれているので、
したがって、 模擬交渉によって、 自律的な秩序形成を
身近にあるものをうまく使うことが肝心である。たとえ
効果的に学ぶことができる。
ば、 読んだり試したりしたくなる本、 映画、ゲームを題
第 2に、自由な交渉は公の秩序や善良の風俗に反す
材に、ウェブサイトを導入の場として使えないだろうか。
JLFNEWS No.50 February 2012
comp5th/report.PDF)
(2)実践的法教育の 6 ポイント
る場合には許されない(民法 90 条、 消費者契約法参
照)。また、 公共工事の談合のように、 参加業者がウィ
ンウィンになって得をする交渉でも、 当事者以外に悪
影響を及ぼす交渉は禁止される(刑法 96 条の 3 参照)。
われわれは、 模擬交渉によって、 交渉の限界を学ぶこ
とができる。
おわりに
以上の議論をふまえて、 研究会は次の 3 つの課題に
取り組んでいきたい。
第 1に、 異なる意見を闘わせ集約していく政治プロ
セスを実践的に身につけるために、 議論とディベート
第 3に、 交渉で相手をだましたり脅かしたり重要な事
の訓練のための信頼できるテキストを編集するかまたは
実をつげないと、 合意自体が認められなくなる場合があ
執筆する。第 2に、 実践的法教育がめざす 6 つの学習
る(民法 96 条、 消費者契約法 4〜6 条)。われわれは、 ポイントをさらに整理して、 最終的には「ハーバード流
模擬交渉によって、 交渉過程に関する公正さや正義を
交渉術」のような利用しやすいガイドラインにまとめる。
学ぶことができる。
第 3に、 交渉や議論を学びやすくするために、 敷居の
第 4に、 自由で平等な市民からなる社会をスムーズ
低い題材と場を工夫する。
に運営していくためには、 市民の側に相当の力量が必
2012 年の研究会の計画では、 すでに、 第 3 の方法
要となる。 模擬交渉によって、 批判的思考力(クリティ
を検討するために、ウェブ上で「交渉の場」を創る実験
カルシンキング)やコミュニケーション力、 協働する力、 およびゲームで学ぶ交渉学に関する報告が予定されて
注意して観察する力、相手に影響を与える力などの「市
いる。
民力」を養成することができる。
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
23
寄稿 ─ 会員の声
寄 稿
会 員 の 声
こんな私が?
愛媛弁護士会会員 宇都宮
たもや、4 年間の楽しい学園生活を送ってしまったので
と思うことがあります。
「こんなこと」
とは弁護士の仕事を
す。就職活動は、30に手が届きそうな卆業生であるこ
していること、です。もともと弁護士など考えもしなかっ
とからして、しませんでした。仲のいい同級生はという
たし、自分の職業としては最も反対の極にある職業と
と、就職もせず司法試験を受けるというので、同じく受
思っていました。中学の時、母が私に言ったことがあり
けてみようと思ったのが始まりでした。弁護士になろうと
ます、
「あんたは口下手だから、機械相手の工学部に
か、その他法曹になろうとかいう正義感も憧れも使命感
行きなさい」と。私自身、人前で話すことは苦手であり、
も持ち合わせていなかったのです。
またもや試験に受か
教室でも手を挙げることや発言することは、すぐ顔も赤く
ることが目的と言えば言えました。司法試験は、ある意
なり、言葉は出ず、嫌でした。人見知りも激しく、人と
味敗者復活戦で、当時は試験に受かれば、それなりの
議論したり、交渉するなど不得意というより嫌悪していま
仕事と収入と地位がその先にありました。
した。ところが今は、弁護士稼業も30 年が過ぎました。
しかし、現在の司法試験事情は、その頃とは全く違っ
てしまいました。仕事やアルバイトをしながら、いつか
通ることを心の糧に勉強する、など困難となりました。5
を貨物船が行き来する、子供のころから船が好きで、そ
年内に3 回の制限では、集中が必要であり、仕事や家
れを見ることで自然と将来は造船技師になる、と思って
庭に入りながらの合格は難しく、いろんな性格、能力、
いました。高校卒業の昭和 38 年ころ、
初めて10 万トン
職種や多様な人材が減少したのではないかと思えます。
タンカー日章丸が進水し、花形産業の予感がする時代
ロースクールでは、法的思考に秀でた人材のみが金太
であり、めでたく念願の九大造船科に入学し、35 名の
郎飴のように均一化して生産されているように思えるの
同級生と勉学に励む・・筈でした。
です。その意味では、私のような、何事にも取りつきが
L
A W
U
N
D
ぐ海岸でした。博多湾が広がり、能古島と志賀島の間
O
福岡市の現在のヤフードームがある場所は私達の泳
F
A T
I
O
N
時々、一体、どうして、こんなことになったのだろう?
嘉忠
ところが、大学の授業は、解析学や物理化学など理
N
が取れず、中退してしまったのです。
J
部の講義を聴講したり、文芸部に入ったり、結局単位
A P A
科系の科目は分からないし、面白くないことから、文学
世界になっているのです。
最近、若い裁判官の考え方、訴訟指揮を見ると、私
が古くなってしまったからでしょうか、人間というものは、
今思えば、本当に造船技師になりたかったのではな
打てば響くものと考えているのではないかと思える時が
く、ただただ、受験の対象として大学の造船科に入る
あります。被告人はある意味生き方が不器用な人であ
ことが目的であり、自分の人生を船作りに賭けたい、そ
り、窃盗や覚せい剤を止めるにも時間もかかり新たな
の勉強をしたい、船作りの基礎を学びたい、という意
行動もすぐには出来ません。法的思考に優れた裁判官
欲、意識がなかったように思います。とにかく大学を辞
は、そんなぐずな被告人は反省の態度なしと思うので
めるのになんの未練もありませんでした。しかし、
その後
しょう、プロ棋士のように数十手先まで読める人は、一
も、だからといって具体的に何になりたいのか、したい
手先を読もうと努力している被告人は反省してない、と
のか、不明のまま時が過ぎて行きました。そのうち、とに
でも考えるのでしょうか。
かくまた大学に入ろうと予備校に行き、これからは全て
松山市の市内電車のボディには標語が書いてありま
の株式会社の監査をする公認会計士が花形であり、そ
すが、その中に「いろんな子がいても、かまん、かまん」
れには慶応がいいとの勧めもあり、慶応の法律学科に
というものがあります。法曹界も法的思考はそれほど秀
入ったのです。商学部、経済学部ではなく、法律学科
でていなくとも、なかなか理解できない人、とっつきが悪
にしたのは、単に試験科目に嫌になっていた数学がな
い人、時間がかかる人、いろんな経験、いろんな人生
かったからです。
さて、大学に入り、夜警のアルバイトをしながら公認
会計士目指して商学部の科目を聴講していましたが、
ま
24
悪く、何度でも同じ失敗をする者など、生きていけない
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
を送ってきた人がいるのも大事なのではないでしょうか。
それには、5 年間に3 回という制限は必要ないのではな
いでしょうか。
寄稿 ─ 会員の声
寄 稿
会 員 の 声
子育て雑感
札幌弁護士会会員 高橋
2.心配事
少し前から、
イクメンなどという言葉が流行り始め、父
はじめての子どもで、私も妻も子育てについて分から
親の育児が話題になっています。また、弁護士会の会
ないことだらけのため、毎日いろいろと心配事がつきま
報などにも、
会員パパによる子育て奮戦記のような記事
せん。幸い子どもは順調に成長していますが、皮膚が
が掲載され、子育てに積極的な父親の頑張りが伝わっ
荒れたり、少し熱が出たりしただけで非常に心配してし
てきます。
まい、その度にどうしていいものやらと右往左往してい
このようなイクメンたちに比べて私の子育てへの関与
ます。慣れている親からすれば、たいしたことではない
は全くたいしたものではなく、ほとんどを妻に任せっぱ
のかもしれませんが、いかんせん全てが初めての経験
なしというのが正直なところです。そのため、
残念ながら
なので、やむをえません。
「奮戦」とは評価されないと思われますので、奮戦記と
何か困ったことが発生した場合には、実家の父母
いうほどのことは書けませんが、半年ほど子どもと生活
や、同じくらいの子どもを持つ兄弟にも、いろいろ聞き
した日常での感想を書きたいと思います。
ながら対処していますが、ちょっとした疑問や悩みはイ
1.生活スタイルの変化
けで、同じ悩みとその対処法に関することが検索できて
ンターネットを頼りにしています。キーワードを入れるだ
結婚してから2 年くらいは夫婦 2 人でしたので、夫婦
しまうので、重宝しています。
で気ままに過ごしており、マイペースな生活に慣れてい
ましたが、子どもが生まれたことで生活が変わりました。
まず、朝の時間を子ども向けの教育テレビとともに過
ごすようになりました。
3.喜び
子どもに毎日接していると体が大きくなってきているこ
とはわかりにくいのですが、
定期的に実家に顔を出すた
6ヶ月そこらの子がこのテレビを見て何かを感じてい
びに大きくなったと言われたり、
数ヶ月前の写真と比べた
るのかは甚だ疑問で、
実際にもほとんど見ている様子も
りすると、子どもの成長の速さを感じることができます。
ないのですが、
なんとなく子どもにとって良いものなのだ
生まれたばかりの時はヒトかどうかすらあやしい感じ
ろうと思い、チャンネルを合わせています。最近わかっ
でしたが、あやすと笑うようになり、寝返りをするようにな
たことは、子ども向け番組は、一緒に見ている親への
り、はいはいをするようになり、離乳食を食べるようにな
影響もそれなりに強いということで、ふとしたときに、歌の
りと、短期間でいろいろなことができるようになり、日々
お兄さんやお姉さんが歌うメロディーが頭をよぎり、一
成長している姿には驚かされます。他方で、自分自身
人で気恥ずかしい思いをしています。
について考えたときには、毎日業務をこなしながらも思う
また、父親としての唯一の貢献ともいえるお風呂で
JLFNEWS No.50 February 2012
今年 6 月、長女が生まれました。
和征
ように成長できていないことを嘆いたりしています。
は、子どもが 9 時台に寝つけるよう8 時半ころにはお風
呂に入れる必要がありますので、可能なかぎり仕事を早
く切り上げて、家に帰っています。
夫婦 2 人のときは、自由に外食にも行けていましたが、
4.思うこと
子どもができたことで、悩みや制約も増える一方で、
子どもの笑顔や成長を見られる喜びも増えたというあり
子どもを連れて行けるようなお店も多くなく、遅くに子ど
きたりな感想をもっていますが、親の立場になったこと
もを外に連れ出すこともできないため、外食はほとんど
で、自分を育ててくれた父・母のありがたみが実感でき
しなくなり、家で食事をすることが多くなりました。
るようにもなりました。
「子をもって知る親の恩」という諺
子どもが生まれる前にはある程度の覚悟はしていまし
たが、時間の使い方や食事など基本的なところで、そ
れなりに制約が多くなったことを実感しています。
があるようですが、まさにそのとおりだと思います。
おじいちゃん、おばあちゃんになった両親に感謝する
とともに、家族のために子育てと仕事を頑張らなければ
と思っております。
▶ 今後も会員の方の原稿を掲載していく予定です。投稿を希望される方は、 [email protected] にお寄せください。
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
25
法務速報ダイジェスト
法務速報 ダイジェスト
法務速報 121 号(2011 年 6 月号)から124 号(2011 年 9 月号)までに掲載され、財団ウェブサイトに収録された判
決例 130 件のうち、最高裁を中心に主なもの 29 件をお知らせいたします。
民 法
H23.4.22 最高裁平成 21 年(受)第 1830 号
司法書士会 Yの入会規則にある「会館維持協力金」を納付し
たXが、当該会則には納付義務が定められていないと主張して、
支払った20 万円及び所定の遅延損害金の支払等を求めた事
案。Xの請求を認めた原判決を破棄して請求を棄却
H23.7.12 最高裁平成 22 年(受)第 676 号
消費者契約である居住用建物(賃料月額 17 万 5000 円)の賃
貸借契約に付されたいわゆる敷引特約(保証金 100 万円、内
敷引分 60 万円)が消費者契約法 10 条により無効ということは
できないとされた事例
H23.7.14 最高裁平成 23 年(受)第 332 号
金銭消費貸借基本契約が順次締結され借入と弁済が繰り返
され(取引の中断期間があった)、各契約に当事者からの申出
がない限り契約を継続する旨の定めがあることを理由に先の基
本契約の過払金を後の基本契約の借入金債務に充当する合
意があるとした原審判断に違法があるとされた事例
H23.4.22 最高裁平成 20 年(受)第 1940 号
経営破綻した信用協同組合 Yに出資していたXが、主位的に
不法行為による損害賠償もしくは不当利得返還請求、予備的
に出資契約上の債務不履行による損害賠償請求の当否が争わ
れたが Xの主位的、予備的請求が共に棄却された事例
H23.7.15 最高裁平成 22 年(オ)第 863 号
消費者契約である居住用建物(賃料月額 3 万 8000 円)の賃貸
借契約に付された更新料(賃料の2ヶ月分)の支払を約する条
項が消費者契約法 10 条により無効ということはできないとされ
た事例
H23.4.26 最高裁平成 21 年(受)第 733 号
Y 病院に勤務する精神神経科のA 医師の患者 Xに対する言動
と、Xが上記言動に接した後に再外傷体験となって発症した
外傷後ストレス障害(PTSD)であると診断された症状との間に
相当因果関係があるとはいえないとされた事例
H23.7.15 最高裁平成 21 年(受)第 1905 号
弁護士であるテレビ番組の出演者において、いわゆる「光市母
子殺害事件」の弁護団の弁護活動が懲戒事由に当たるとして
上記弁護団を構成する弁護士らについて懲戒請求をするよう呼
び掛けた行為が違法とはいえないとされた事例
H23.4.28 最高裁平成 21 年(受)第 2057 号
通信社の配信記事を掲載した新聞社の記事について新聞社が
名誉毀損の責任を負うべきかが争われた事案。新聞社は通信
社と報道主体としての一体性がある場合には特段の事情のない
限り名誉毀損の責任を負わないとして新聞社の責任を否定
H23.7.21 最高裁平成 21 年(受)第 1019 号
「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、居住者等
の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいうが、さ
らにこれを放置するといずれは上記危険が現実化することにな
る瑕疵も含まれると判示
H23.6.3 最高裁平成 22 年(受)第 285 号
登記のない土地を時効取得したと主張する者が、当該土地
を国庫帰属として国に対しその所有権確認を求める訴えにつ
き、土地の時効取得を証すれば、保存登記が可能であるとし
て、確認の利益を欠くとされた事例
【商事法】
J
A P A
N
L
A W
F
O
U
N
D
A T
I
O
N
H23.4.22 最高裁平成 21 年(受)第 131 号
経営破綻の危険を隠し出資勧誘した信用協同組合に対する出
資者の損害賠償請求権の消滅時効の起算点は、同種集団訴
訟で刑事事件記録が提出された時点ではなく、同種の集団訴
訟が提起された時点であるとして消滅時効の成立を認容
H23.7.7 最高裁平成 22 年(受)第 1784 号
貸金業者 Aが貸金債権を他の貸金業者 Yに譲渡した場合、
借主 XとAの間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が Y
に移転する、あるいはYが過払金返還債務を貸金債権と一体
のものとして当然に承継すると解することはできないとしてXのY
に対する過払金請求が否定された事例
H23.7.8 最高裁平成 22 年(受)第 1405 号
貸金業者 Aが貸金債権を他の貸金業者 Yに譲渡した場合、
借主 XとAの間の金銭消費貸借取引に係る契約上の地位が Y
に移転する、あるいはYが過払金返還債務を貸金債権と一体
のものとして当然に承継すると解することはできないとしてXのY
に対する過払金請求が否定された事例
26
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
商事法
H23.4.19 最高裁平成 22 年(許)第 30 号
吸収合併等により企業価値が増加しない場合に消滅株式会社
等の反対株主がした株式買取請求の「公正な価格」は、原則
として株式買取請求日現在、吸収合併契約等の承認決議がな
ければその株式が有したであろう価格をいうと判示
H23.4.26 最高裁平成 22 年(許)第 47 号
吸収合併等により企業価値が増加しない場合に消滅株式会社
等の反対株主がした株式買取請求の「公正な価格」は、原則
として株式買取請求日現在、吸収合併契約等の承認決議がな
ければその株式が有したであろう価格をいうと判示
H23.6.6 最高裁平成 21 年(あ)第 375 号
改正前証券取引法の「公開買付け等を行うことについての決
定」
とは、「業務執行を決定する機関」が公開買付け等の実現
を意図して公開買付け等又はそれに向けた作業等を会社業務
として行う旨の決定をすれば足りると判示
法務速報ダイジェスト
知的財産
H23.4.28 最高裁平成 21 年(行ヒ)第 326 号
薬事法による製造販売の承認を受ける為、特許発明を実施出
来ない期間があったことを理由とする、特許権の存続期間延長
登録出願に対する拒絶査定不服審判の請求を不成立とした特
許庁の審決取消請求事案で、上告が棄却された事例
【民事手続】
民事手続
H23.2.9 最高裁平成 22 年(許)第 43 号
仮差押について、その申立書に対象不動産が当該権利能力の
ない社団の資産である事実を証する書面を添付して当該社団
を債務者とすることができ、必ずしも確定判決等を必要とする
わけではないとして本件を原々審に差し戻した事例
H23.5.18 最高裁平成 23 年(許)第 4 号
Xが Yを含む貸金業者 3 社を被告として過払金の返還等を求
める訴訟をXの住所地の地方裁判所に併合して提起。Yは、
Yに係る部分の簡易裁判所への分離移送の申立をし、原決定
は申立認容、抗告審で破棄された事例
H23.5.30 最高裁平成 23 年(許)第 13 号
Xが Yを含む貸金業者 3 社を被告として過払金の返還等を求
める訴訟をXの住所地の地方裁判所に併合して提起。YはY
に係る部分の簡易裁判所への分離移送の申立をし、原決定は
申立認容、抗告審で破棄された事例
H23.7.27 最高裁平成 23 年(ク)第 531 号
家事審判法 9 条 1 項乙類に掲げる財産分与及び年金分割を求
める事項につき、調停が成立しないときは特段の事情がない限り、
その事件名にかかわらず、同項乙類に掲げる事項は家事審判法
26 条 1 項に基づいて審判に移行するものと解された事例
【刑事法】
H23.6.6 最高裁平成 22 年(オ)第 951 号
公立高等学校の校長が同校の教職員Xに対し卒業式等の式
典において国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを命じた
職務命令が憲法 19 条に違反しないとされた事例
H23.6.7 最高裁平成 21 年(行ヒ)第 91 号
公にされている処分基準の適用関係を示さずにされた建築士法
(平成 18 年法律第 92 号による改正前のもの)10 条 1 項 2 号及
び 3 号に基づく一級建築士免許取消処分が行政手続法 14 条 1
項本文の定める理由提示の要件を欠き違法であるとされた事例
H23.6.14 最高裁平成 22 年(行ヒ)第 124 号
市立老人福祉施設の民間譲渡の公募選考に応募した社会福
祉法人が、市長から決定に至らなかった旨の通知を受けた事
案に於いて(取消訴訟)
、最高裁は、民間移管に伴う譲渡等
は随意契約ができるとして契約としての性質があることを理由に
処分性を否定した
【社会法】
社会法
H23.7.12 最高裁平成 22 年(受)第 9 号
市立小学校又は中学校の教諭らが勤務時間外に職務に関連す
る事務等に従事していた場合において、その上司である各校長
に上記教諭らの心身の健康を損なうことがないよう注意すべき
義務に違反した過失があるとはいえないとされた事例
H23.7.14 最高裁平成 21 年(行ヒ)第 401 号
介護保険法上の指定居宅サービス事業者等の指定を受けた
事業者が不正の手段によって当該指定を受けた場合であって
も市から受領した居宅介護サービス費等につき介護保険法 22
条 3 項に基づく返還義務を負わないとされた事例
JLFNEWS No.50 February 2012
【知的財産】
刑事法
H23.7.25 最高裁平成 22 年(あ)第 509 号
強姦被告事件につき客観的な証拠は存せず被害者の供述があ
るのみで、その信用性判断が問われた事案。被害者の供述の
信用性を全面的に肯定した第 1 審判決及び原判決の認定は是
認できないとして被告を無罪とした
当財団では、毎月 1 回、メールマガジン「法務速報」
を配信しています。これは、判例が掲載されている雑
誌から最新の判例をピックアップし、要旨を紹介するほ
か、新たに成立した法令や新刊の書籍についても紹介
している速報性の高いメールマガジンです。
【公法】
公 法
H23.5.30 最高裁平成 22 年(行ツ)第 54 号
都立高校教諭に卒業式で国歌斉唱時に起立を強制する東京
都教育委員会の職務命令につき、それが思想良心に対する間
接的制約となりうるが、職務命令に同制約を許容する程度の
必要性・相当性を検討し、その必要性・相当性があるとした
H23.5.31 最高裁平成 23 年(す)第 220 号
最高裁判所長官が、裁判員制度の実施に係る司法行政事務
に関与したからといって、同制度の憲法適合性を争点とする事
件について、不公平な裁判をする虞があるということはできない
と判断し、忌避申立を却下
なお、
「法務速報」全文は当財団会員専用ウェブサイ
トにて閲覧・判例検索が可能です(ログインには IDとパ
スワードが必要です)。また、メールマガジンの配信を
ご希望の方も、同サイトからお申し込みが可能です。会
員の方はどなたでも無料でご利用になれますので、是
非ご利用ください。
会員専用ウェブサイトのご利用に関するお問い合わせ
公益財団法人日弁連法務研究財団事務局
TEL 03-3500-3656
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
27
No.50
(公財)日弁連法務研究財団ニューズレター 第 50 号
2012 年2 月29 日発行
編集発行人
私の 本 棚
[第5回]
弁護士
久保 英幸(財団事務局長)
発行所
東京都千代田区霞が関 1-1-3 弁護士会館内
tel.03-3500-3656 fax.03-3580-9381
URL http://www.jlf.or.jp/
〒 100-0013
甲斐 順子
「夏への扉」
ロバート・A・ハインライン 著/福島正実 訳
早川書房
ISBN978-4-15-011742-9
SFファンの間では説明不要の古典的名著です。出版
から半世紀以上経った今でも、とりわけ日本での人気が
根強いのは、翻訳の素晴らしさも加わっているのかもしれ
ません。
何だ SFかとそっぽを向かないで下さい。法律家の視点
から読んでも面白いところが随所にあります。
ストーリーの骨格として、冷凍睡眠(コールドスリープ)
が登場しますが、これを生命保険会社がビジネスとして展
開しています。
引退直後に冷凍睡眠に入れば、眠っている間に年金
を投資信託で運用し、数年後に目覚めたときには、まだ
ルスカウトのキャンプ場で、ある重要な書面を作成します。
途中で、署名に公証人の認証が必要であることに気づい
てあせりますが、無事に公証人を見つけることができます。
日本とアメリカでは公証人の意味合いがずいぶん違うこと
を実感するシーンです。
果たしてダンは大切な発明を取り戻すことができるので
しょうか?冷凍睡眠であっというまに未来に行ってしまった
ら、どんなことに苦労するのでしょうか?
ここまで読んでも、興味がないという方、もし、あなた
が猫好きでしたら、ちょっとお待ち下さい。実はこの小説
はあなたを含むすべての猫好きに捧げられています。
まだ元気で、年金も何倍になっていますよというのがうた
い文句です。近いうちに実現しそうな話ではないですか?
主人公ダン(何とも愛すべき青年技術者です)は、会社
の共同経営者であった親友(これが弁護士!)と恋人に裏
切られ、会社の株も生き甲斐である発明もだまし取られて
ピンチに陥るのですが、そこでは、「株主総会」
、
「特許
の譲渡証書」などの小道具がまるで企業小説のような迫
力ある場面を演出しています。
ダンは、家事労働を人間の代わりにこなしてくれるお掃
除ロボットなどを発明しています。バスタブを磨くのにかが
む苦労から家庭の主婦を解放してあげたいといった彼の
発明の動機は、家事の苦手な読者の共感をよぶことでしょ
う。
さて、物語の終盤でダンは一人の少女のために、ガー
タイトルである「夏への扉」というのは、ダンの飼い猫
ピートが冬に探す、家のどこかにある、夏へと通じている
はずのドアのことです。ダンとともに、ときには彼以上に
勇敢に戦うピートは、とてもとても魅力的です。
この小説をテーマにした「夏への扉」
(作詞:吉田美奈
子 作曲:山下達郎 編曲:難波弘之)という素敵な歌
もあります。
もちろん本格 SFとしての読み応えもたっぷりあるので
すが、あまり内容に踏み込むと、初めて読む方のときめき
を奪ってしまうので、敢えて断片的な紹介をしました。SF
ファンの方には中途半端な書き方だとお叱りを受けるかも
しれませんが、ご容赦下さい。
文字通り、私の本棚に30 年以上キープされている「オー
ルタイムベスト」です。お勧めします。