2004.10.9 大阪市立科学館化学実験講座 大人の 化学クラブ クラブ」 「 大人 の 化学 クラブ 」 ~ガラスの性質を知る~ 第 1回 ガラスの取り扱いその 1 担当:小野昌弘 問 合 せ 先 E - mail:ono@scimail:ono@sci - museum.kita.osaka. museum. kita.osaka.jp kita.osaka. jp 本日の内容 1.ガラスとは 2.ガラスの歴史 3.ガラスの種類と成分 4.ガスバーナーの取り扱い 5.ガラスの取り扱い ~ガラス管とガラス棒~ 1)ガラス管、棒を切る 2)ガラス管、棒のまわし方、長めのガラス棒・管での練習 3)ガラスの切断面の面取りをする 4)ガラス棒でマドラーを作る。 5)ガラス管を曲げる 1.ガラスとは 透明か半透明で主にケイ酸塩を主成分とする非晶質の固体物質。 非晶質とは、 2.ガラスの歴史 自然界に最初に現れたガラスは、酸化ケイ素を主成分 とする黒曜石というものである。鉄やマンガンなどを 含んでおり黒色を示す。これらの形のよいものは、装 飾品として、大きなもの、鋭利なものはナイフなどの 道具として使われるようになった。 人 間 が 作 り 出 し た も の は 、そ の 始 ま り が は っ き り し て い な い 。 現 在 は 、 メ ソ ポ タ ミ ア 時 代 ( 約 4500 年 前 ) の 不 透 明 ガ ラ ス が最古のものとして知られている。 ちなみに、完全な状態で今日に伝わる最古のガラス容器は、 エ ジ プ ト 18 王 朝 の ト ト メ ス 三 世 (紀 元 1490~ 1437 年 頃 )の も の で あ る ( 右 写 真 )。 ガ ラ ス の 製 作 は 、古 く か ら 、焼 物 と し て タ イ ル な ど が 作 ら れ て お り 、そ こ に 釉 薬 と し て ガ ラ ス に 似 て い た も の を 扱 っ て いたため、そこから発展したと考えられている。 作 り 方 と し て は 、 先 に 記 し た 、 メ ソ ポ タ ミ ア 時 代 の 紀 元 前 1800~ 1900 年 頃 にガラスの製法を記した粘土板が作られ、発掘されている。 そ れ ま で は 、る つ ぼ が な か っ た た め 、棒 の 端 に 砂 や 粘 土 を つ け 、そ こ に 溶 か し たガラスを重ねてつけていくという方法で作られていった。 紀 元 前 20 年 頃 に 宙 吹 き 法 や 、 る つ ぼ の 使 用 が 始 ま り 、 徐 々 に 人 間 の 生 活 に 浸 透していった。 日 本 で は 、勾 玉 や 管 玉 が 中 国 か ら 渡 来 し て い た が 、弥 生 中 期( 紀 元 前 150 年 頃)から作られるようになった。また、正倉院には4~5 世紀ごろの作品とい わ れ る 白 瑠 璃 碗 と い う カ ッ ト ガ ラ ス が 存 在 す る 。こ れ は 、サ サ ン 朝 ペ ル シ ア 製 といわれている。同様のガラスはシルクロードに沿って発見されている。 そ の 後 、 い っ た ん 製 法 な ど が 廃 れ る が 、 1549 年 フ ラ ン シ ス コ ・ ザ ビ エ ル が 来 日 し 、 1551 年 、 山 口 の 領 主 、 大 内 義 隆 に ガ ラ ス 器 、 鏡 、 め が ね な ど を 贈 っ て キ リ ス ト 教 布 教 の 許 し を 求 め た こ と で ガ ラ ス 製 品 が 伝 わ っ た 。そ の 後 、海 外 と の 交 流 に よ り ガ ラ ス が 流 入 し 、技 術 の 流 入 や 模 倣 に よ り 日 本 で も 作 ら れ る よ うになった。 3.ガラスの種類と成分 石英(シリカ)ガラス ソーダ石灰ガラス 鉛ガラス ホウケイ酸ガラス 4.ガスバーナーの取り扱い ガスバーナーの背が高く重心がやや高いため、倒れることがあります。また、 倒 れ て も 火 は 自 動 的 に 消 え な い の で 、や け ど や 服 、周 り の も の に 引 火 す る 可 能 性があります。取り扱いには十分注意してください。 使い方、 ① 黒 い ガ ス 調 整 バ ル ブ を 約 90 度 ほ ど 回 転 させ、ガスを出す。 ②点火ボタンを押し、着火する。 ③ ガ ス 調 整 バ ル ブ を 調 整 し 、炎 の 大 き さ を 調節する。 外炎 (酸 化 炎 ) 内炎 炎の温度 右 の 図 は 、一 般 的 な バ ー ナ ー の 温 度 を 示 し た も の だ が 、基 本 的 に は 内 炎 と 外 炎 の 境 目 が最も温度が高くなる。 ガラス細工を行うときも基本的にこの部 分を使用する。 (還 元 炎 ) 図.炎の温度 4.ガラスの取り扱い ~ガラス管とガラス棒~ 1)ガラス管、棒を切る ①ガラスにヤスリで細長い傷をつける。 ②傷をつけた方と反対側に両手の親指が来るようにして握る。 ③ 両 方 の 親 指 を 押 す よ う に し て 、両 方 の 腕 を 身 体 の 脇 に 回 す よ う に し て 開 く と ガ ラ ス が 割 れ る 。割 っ た 部 分 は 鋭 利 に な っ て い る の で 、触 ら な い よ う に 注 意 する。 ガ ラ ス 棒 ( 1 本 )、 ガ ラ ス 管 ( 2 本 ) と も 約 30cm の 長 さ に 切 っ て く だ さ い 。 2)ガラス管、棒のまわし方、長めのガラス棒・管での練習 ①ガラスの熱したい部分の左右を両手で握る。 ② 握 り 方 は 、中 指 、薬 指 、小 指 で 握 り 人 差 し 指 と 親 指 は ガ ラ ス か ら 離 し て お く 。 ③ 薬 指 、小 指 は ガ ラ ス を 握 っ た ま ま 、中 指 は ガ ラ ス を 支 え る 程 度 に し て 、親 指 と 人 差 し 指 を 使 っ て 、ガ ラ ス を 手 前 か ら 向 こ う 側 に 向 か っ て 回 す 。両 方 の 手 を同じタイミングで動かすようにする。 場合によっては、片手でこの作業を行います。 3 ) -a ガ ラ ス の 切 断 面 の 面 取 り を す る ① 1 )で 短 く 切 っ た ガ ラ ス の 鋭 利 な 部 分 を ガ ス バ ー ナ ー の 炎 の 一 番 温 度 の 高 い 部 分 に 入 れ て ゆ っ く り 回 転 さ せ な が ら 、ガ ラ ス を 溶 か す 。ガ ラ ス が 融 け 始 め ると、炎の色がオレンジになってくる。 ② ガ ラ ス の 両 端 を 加 熱 し て 両 端 の 面 取 り を す る が 、片 面 ず つ 面 取 り を す る こ と 。 ー ガラスでやけどをしないように注意 ー ガ ラ ス は 、加 熱 を や め る と 通 常 の 透 明 な 状 態 に 戻 る 。一 見 熱 そ う に 見 え な い が 、 .. か な り 高 温 に な っ て い る 。思 わ ず 触 っ て し ま い 、や け ど す る こ と が 多 い 。加 熱 .................... 直 後 の ガ ラ ス の 取 り 扱 い は 十 分 注 意 す る こ と 。そ の 他 、ガ ラ ス の 一 般 的 な 危 険 性も考慮すること。 3 ) -b ガ ラ ス 棒 を 融 か す 、 そ の 感 触 を 知 る ① ガ ラ ス 棒 の 両 端 を 両 手 で 持 ち 、ガ ラ ス 棒 の 中 間 を バ ー ナ ー の 炎 の 中 で 回 転 さ せる。 ② ガ ラ ス が 融 け て く る と 、ガ ラ ス 棒 を 同 じ タ イ ミ ン グ で ま わ し に く く な っ て く る。 ③ 融 け た ガ ラ ス を ド ロ ド ロ に な る ま で 炎 の 中 で 融 か す 。水 飴 状 に な っ た ガ ラ ス をこね回し、伸ばす、丸める、くっつけるなどして、その状態を体感する。 4)ガラス棒でマドラーを作る。 ①ガラス棒の一端を真っ赤になり溶融するまで加熱する。 ②炎の中からガラスを取り出し、ペンチでガラスの加熱した部分を曲げる。 単純なマドラーの完成。 ③ 4 )で 使 っ た ガ ラ ス を も う 一 度 加 熱 し 、ド ロ ド ロ に な っ た と こ ろ で ② で 完 成 したガラス棒に押し付けたり、巻きつけたりして、装飾をつける。 ④取り付けた部分はある程度、ガラス同士が融合するまで加熱する。ただし、 加熱しすぎると、ガラス棒全体が曲がるので注意すること。 5 ) ガ ラ ス 管 を 曲 げ る ~ ガ ラ ス 管 を 90 度 曲 げ る ~ ① ガ ラ ス 棒 と 同 じ よ う に 、ガ ス バ ー ナ ー で ガ ラ ス 管 の 中 心 を 赤 く な る ま で 加 熱 する。 ② ガ ラ ス 管 が 赤 く な っ た ら 、 炎 の 外 に ガ ラ ス 管 を 出 し 、 40~ 50 度 ほ ど の 角 度 までゆっくりと曲げる。 ③ ガ ラ ス 管 を 曲 げ た 中 心 か ら 1~ 2cm 離 れ た と こ ろ の 両 側 を 、 バ ー ナ ー で 加 熱 す る 。す で に ガ ラ ス 管 が 曲 が っ て い る が 、き ち ん と ガ ラ ス 管 を 回 転 さ せ な が ら加熱するようにする。 あ る 程 度 、 軟 化 し た ら 90 度 ま で ガ ラ ス 管 を 曲 げ る 。 曲げるのは、1 本だけです。 次 回 は 、 11 月 13 日 で す 。
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