故障診断整備のページ 整備工場における 故障診断整備 ススメ の アイドリングストップシステムとは？ ここで、アイドリングストップ車に乗 アイドリングストップシステムを考える 不具合だらけのアイドリングストップ車？ 昨今、新車に搭載されているアイド アイドリングストップをしているとい たので見てみると、次のような回答が リングストップシステム。軽自動車か うことは、エンジンの動力を使ってベ 出ている。 ら高級車まで幅広く搭載されており、 ルト駆動しているエアコンや補記類が 採用された最大の理由は燃費向上だ。 機能しない点が一番に思い当たると もう一つの理由としては環境対応とい 思う。一言でいうならば、真夏はエ う名目が挙げられる。ハイブリッド車 アコンが効かなくなるということだ。 の全てに言えるが、燃費と環境対応 それを回避するために、トヨタはエア がコンセプトとして大きいのは自明の コンコンプレッサーを電動化させた。 理だ。 他メーカー車は室内温度が一定以上 ところで、車両が停止している間に になった場合に、センサーが検知して エンジンを止めるのは、言うまでもな エンジンを始動するのだ。また、最近 く省エネ効果が高い。なぜなら、加 では「蓄冷空調システム」を搭載する 速時に次いで燃料を消費するのがエ 車両も出てきた。これによりエンジン ンジンアイドリング時だからである。 停止時間が延長されたのである。ト アイドリングストップを搭載すると、 ヨタのハイブリッド車にはスターター 統計的に燃費は10％程度向上すると モーターがない代わりにMG1モータ 言われている。特に、都市部で使用 ーで始動するようになっている。アイ されている車両は渋滞が多いため、 ドリングストップ車は通常の車と比較 っているユーザーにアンケートをとっ ① アイドリングストップシステム はカットしている（エンジンス トップが鬱陶しい） ② 燃費が良くなっているのか分 からない（航続距離が極端に 変わらない、アイドリングスト ップをしなくても燃費が良い） ③ コストパフォーマンスが良くな い（平均的に購入価格が 5 万 から10 万円高くなるので元を 取るのに燃費換算で7 年から 10 年は掛かる） ④ エンジンのオンオフによって機 能部品が壊れないか心配にな る（バッテリーの過度な能力低 下なども含む） 効果が高い。その作動に関して賛否 して始動回数が飛躍的に増加するた 両論はあるが、エンジンが停止してい めに、強化されたスターターモーター 燃費向上を謳ったものの、新車価 る時の弊害を説明しようと思う。 が使われている。 格を考えると、元を取るのに果たして せいび界 MAY 2016 vol.604 01 SEIBIKOHOSYA せいび広報社 故障診断整備のページ 何年かかるのだろうかという疑問も湧 いてくる。 専用の装備品に注意が必要 上記の意見を見ても分かるように、 バッテリーやスターターといった部品 は専用設計となっており、同じものが アフターパーツであったならば専用設 計であるが故、高額になってくる。ア イドリングストップ車は通常の車と比 較して、始動回数が飛躍的に増加す る点、エンジン始動時に電力を一番 使う点を見ても、専用設計にならざる を得ないのも納得といえる。 また、ECUが バッテリー の 状 態 （SOC、SOH）と始 動回数を監 視し ていて、バッテリー容量が少なく、始 動が難しいと判断した場合、アイドリ ングストップ機能を停止させるのだ。 こういった点を踏まえると、燃費向上 の恩恵を受けるまでに時間が掛かる のは明白である。 必要になるのだ。主要な確認部品は バッテリーの消費が激しくなれば、 右の表のような物がある ［主要な確認部品］ 交換が必要になるのだが、ここでもス このように多岐に渡ることから、ス ・T/Mポジションセンサー キャンツールが必要になってくるのだ。 キャンツールの必要性、そして機能性 ・車軸速センサー バッテリー交換時のスキャンツール の必要性とは が求められる。言わずもがな、ボッシ ュ製であれば、性能、汎用性などは 他社に類を見ない。 ECUが始動回数をカウントしてい スキャンツールは一台持っていれば るということは、バッテリー交換の際 大丈夫という時代は最早終わり、車 に、そのカウントをリセットする必要 種や状態によって使い分けることが求 があるのだ。また、アイドリングスト められる。 ップシステムを構成するセンサー類を 確認するためにも、スキャンツールが せいび界 MAY 2016 vol.604 ・インテリジェントバッテリーセンサー ・ステアリングトルクアッセンブリー ・ボンネットスイッチ ・シートベルトスイッチ ・ブレーキ用負圧センサー ・オートエアコン用スイッチ ・室内温度センサー ・傾斜角度センサー 監 修：ボッシュ株式会社 長土居大介 02 ・ブレーキスイッチ SEIBIKOHOSYA せいび広報社
© Copyright 2024 Paperzz
