カジノ法案には、日本の問題点が凝縮している

2016年12月12日
古賀茂明「改革はするが戦争はしないフォーラム 4」Vol.059 から抜粋
●カジノ法案には、日本の問題点が凝縮している
カジノ法案が今国会で成立しそうだ。今回は、この法案を詳しく掘り下げることで、日
本の官僚、政治家、そして業界、いわゆる政官財のトライアングルの構造をあぶり出し
てみたい。
さらに、カジノ法案の駆け引きを通して見えてくる衆議院の解散総選挙しについても解
説してみたい。
●どうして急ぐ?どうして止められない?カジノ法案
大阪万博のため?
普通の人から見たら、突然降ってわいたような話だろう。11 月末になって、自民党が
突然、今国会で「カジノ法案」を成立させると言い出した。この法案政府が提出する法
案(閣法)ではなく、議員立法だから、その取扱いは国会が決めることだというのが、
安倍総理の逃げ口上だが、実際には、自民党議員も驚くほどの勢いで安倍官邸がごり押
ししているという。
国会の会期は、延長されたとはいえ、12 月 14 日まで。衆議院の内閣委員会で審議が始
まったのが、11 月 30 日だから、ほぼ 2 週間しかない。あまり論点がない法案なら別
だが、普通は、ギリギリのタイミング。しかも、ことが、「賭博禁止」という刑法の大
原則に大穴を開けるという内容なのだから、議論百出するのはわかり切っているし、世
論調査でも反対が過半数で、賛成よりもかなり多い。そうした状況なのに、この短期の
日程で成立させるのは、誰がどう見ても認められないということになりそうだ。
しかし、現実には、衆議院では、12 月 2 日に、わずか 6 時間弱という審議時間のまま
内閣委で強行採決、6 日には本会議で可決してしまった。このやり方なら、参議院でも
短時間審議で強行採決となり、14 日の今会期中の成立は十分に可能である。
そこで、湧いてくるのは、どうしてそんなにも急ぐのか。そして、どうしてそんなこと
を野党が簡単に認めるのかという疑問だ。
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まず最初に言われるのは、オリンピック・パラリンピックとの関係だ。2020 年のオリ
ンピック・パラリンピックに合わせてカジノを作ることができれば、タイミングとして
は最高だが、それを逸すると、カジノ建設のハードルは結構高くなる。なぜなら、カジ
ノを作れば儲かるという時代はとっくの昔の話になっているからだ。
膨らむ夢とは裏腹に、現実は厳しい。東南アジアのカジノは、一時は成長のシンボルの
ようにもてはやされた時期があったが、今や、どこも伸び悩み、あるいは売り上げ減少
に見舞われている。米国などでは、カジノの倒産劇は珍しいことではない。韓国なども
既にカジノを始め、さらには、中国も参戦してくる。競争はますます激化する中で、あ
えてこれから参入するのだから、何かしらのアドバンテージが欲しい。と考えると、オ
リンピックに勝るものはない。これをみすみす逃すなどということは、利権を漁ろうと
している輩から見ればあり得ない選択だ。そこで、20 年のカジノスタートが至上命題
となり、それを目指すには、今がギリギリのタイミングということになった。
しかし、実際には、本格的なカジノリゾートを作ろうと考えると、今からでは 2020 年
に間に合わせるのは難しい。オリンピックまでは 4 年もないからだ。それでもオリンピ
ックまでにはという掛け声だけは残った。中には、オリンピックバブルが終わった後の
経済の落ち込みを、今度はカジノバブルで補いたいという声もあるが、それにも既に手
遅れになった感がある。
では、何故、これほどまでに急ぐのか。その一つの理由は、後で述べる解散総選挙とも
関係するのだが、2025 年の万博に間に合わせるというスケジュールだ。ご承知のとお
り、大阪府知事の松井一郎日本維新の会代表が、万博誘致に名乗りを上げている。10
月には基本構想をまとめ、11 月には府庁内に「万博誘致推進室」を設置するなど、本
格的に動き出したのだ。25 年であれば、今回法案を成立させ、来年に実施法を作れば、
万博までに大型のカジノリゾートを作ることも十分可能だ。逆に、この機会を逃すと、
ずるずると法案成立が遅れ、大阪の思惑通りに事が運ばなくなる可能性がある。実は、
これこそ、何が何でも今法案を成立させようという強い動機になっているのではないか。
維新の思惑と解散選挙、さらに安倍総理の悲願、憲法改正との関係を考えると、ますま
すこの仮説の信ぴょう性は高まるって来るのだが、その話は後述する。
●問題だらけだからこそ巨大利権が生まれる
厚労省まで潤う仕組みとは
昔、
「疑惑の総合商社」という言葉を使った国会議員がいたが、このカジノ法案は、
「利
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権のデパート」とも言える法案だ。
カジノができると、巨額の資金が動くが、カジノ規制のさじ加減一つで、その資金の量
も流れ方も大きく変わる。当然、規制権限を持つ役所は巨大な利権を獲得する。カジノ
には、カジノ営業そのものの規制官庁(これを 3 条委員会を作って実施するかどうかは
これから決まる、IR 整備推進本部の業務は内閣府が握る公算大)
、国交省(国際観光振
興。統合リゾート法の主管官庁)、警察庁(各種犯罪取締り・防止)、総務省(自治体へ
の納付金、地方自治法での議会承認条項追加、地域振興、マイナンバー活用)、文科省
(青少年対策、伝統・文化・芸術振興との関連)、経産省(カジノ関連機器の製造、輸
入又は販売の規制、その他エンターテイメントなど関連産業振興)、内閣府・消費者庁
(消費者対策)
、財務省(脱税対策、企業会計対策)
、金融庁(マネーロンダリング規制、
消費者金融対策)、法務省(刑法の特例化と入国管理)そして、厚労省(ギャンブル依
存症対策)などが関わる。
さらに、カジノができたらカジノの事業者から納付金を徴収することが予定されている。
これが巨大な利権になる。その使途は、一般会計とは切り離されて管理される可能性が
高い。使途は原則 IR 関連の予算に限定し、国と地方で分け合う(ということは取り合
うということになる)。ただし、公益性の観点から、依存症対策だけでなく、福祉関連
にも充てられることになっている。つまり、かなり巨額かつ広範な使途について、財務
省とは違う役所が、その配分を取り仕切ることになる可能性が高い。昔の道路特別会計
などのようなものである。
これこそ、官僚が、喉から手が出るほど欲しがる、利権中の利権だ。
実は、この法律ができただけではカジノを作ることはできない。法律成立後、1 年以内
に、実際にカジノを作るためのさまざまな規制の内容や法律の運用の詳細、そして納付
金の入りと出を管理する仕組みを具体的に決めてそれぞれ法案化することが求められ
ている。
もちろん、利権を漁っているのは官僚だけではない。それぞれの役所と結びついた「族
議員」たちは、官僚と一心同体だから、カジノに絶大な期待を抱いている。それは、自
民党だけではない、何でも反対に見える民進党でさえ、この利権の誘惑には勝てない。
自民党に負けず、ここで関連業界などに恩を売ろうと、カジノ法案の提案者に名を連ね
る民進党議員もいたし、その周辺には、超党派の通称カジノ推進議員連盟に参加する議
員も多数いる。いかにその利権への期待が大きいかがわかる。
ちなみに、厚労省は、2014 年 8 月、ギャンブル依存症の疑いのある国民が 536 万人と
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の推計を公表した。これを聞くと、厚労省は、ギャンブルの弊害を示してカジノ法案に
反対するのかと思った人も多いだろうが、実は、依存症の問題を大きく取り上げて煽っ
たうえで、その対策が必要だという世論を盛り上げるためだった。法案成立後に依存症
対策を予算化して「ギャンブル依存症対策機構」のような組織を設置し、新たな天下り
先にしようという思惑があるのだ。
そして、12 月 6 日の衆議院内閣委員会で採決された際の付帯決議には、
「ギャンブル等
依存症患者への対策を抜本的に強化すること。我が国におけるギャンブル等依存症の実
態把握のための体制を整備するとともに、ギャンブル等依存症患者の相談体制や臨床医
療体制を強化すること。」という項目が入った。参議院でも同じような付帯決議が行わ
れることは確実だ。この付帯決議を根拠にして、厚労省は、巨額の依存症対策予算を要
求するだろう。そして、
「優秀な」官僚は、当然、最低一つは天下り機関を作る。逆に、
それができなければ、「できの悪い」官僚という烙印を押されるのだ。族議員は、そう
した官僚の利権確保に協力することで、逆に、予算のバラマキや、規制の運用、さらに
は規制の緩和などで業界から上納金を受け取る道筋をつける。まさにウィン—ウィンの
関係だ。もちろん、その原資は、国民の税金と賭博で負けた人の賭け金だ。
国民の安全、生活を守るために規制をしますというのは役人の常とう句。しかし、それ
が、自分たちの利権のためだというのは、ほとんどの法律に当てはまる。日本には、非
常に多くの社会的な規制がある。しかし、実際は、それは業界と癒着するための手段な
のだ。だから、規制があっても、実際にはほとんど厳格な運用がなされていないという
ことが多い。やってはいけないことでも、いたるところで法律違反が横行している。サ
ービス残業は、その典型だ。カジノ法案を見ていると、その構図がはっきり見えてくる。
●珍しく異論を唱えた読売と日経、対照的にあまりに酷い民進党と公明党
衆議院を 6 時間の審議で通したのは、異常な事態だが、おそらく政権は、いつものとお
り、マスコミは腰抜けだから、たいした批判はできないだろうと予想したのではないか。
しかし、意外にも、強行採決に関する各紙の社説では、批判の論評が並んだ。朝日、毎
日、東京は、いつものことだが、読売の「カジノ法案審議
人の不幸を踏み台にするの
か」という見出しはかなり刺激的だ。日経も「拙速なカジノ解禁は問題多い」と短時間
での強行採決を批判し、あの産経でさえ、
「カジノ解禁法案
懸念解消を先送りするな」
と消極姿勢を見せた(ただし、新聞業界は、パチンコ業者との癒着で、カジノ法案に反
対しているという説もある。カジノにギャンブル好きが集まると、パチンコの顧客が奪
われる。パチンコ業界は、折り込みチラシの上顧客らしい。新聞業界がスポンサーに気
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を使って、思った通りの記事が書けないことがよくあるが、今回もその一例に過ぎない
という見立てだ。確かに、あの読売、そして産経まで一致して反対しているのを見ると、
うなずきたくもなる)
。
これほどまでに世論の反対があるのに、どうして国会ではいとも簡単に採決されてしま
うのか。ことは与党の議席が 3 分の 2 あるから仕方ないというほど単純ではない。世
論の反対が非常に強いために、例えば、アベノミクスにとって極めて重要な、いわゆる
「残業代ゼロ法案」の審議は見送られている。
カジノ法案がそうならない最大の理由は、民進党と公明党の姿勢だ。民進党が腰砕けな
のは、前述した通り、利権漁りの議員が多数いて、党全体として本気で反対できないか
らだ。中には、自民党に入りたいと考えている議員もかなりいるし、次の選挙で、日本
維新に対立候補を立てられたくないので、カジノ法案推進の維新に擦り寄る意味で法案
に賛成したいという議員もいる。そのような事情があって、カジノ解禁に賛成なのか反
対なのか、結局決められず、衆議院では、「拙速な採決に反対」という、今までもよく
あったパターンで、この難問をクリアした。表面的には法案に反対したように見えたの
で、とりあえず世論の批判はかわせると思っているのだろう。そういう意味では、自民
党が、誰もが反対すべきだと思うような国会運営をしてくれたおかげで、法案の内容に
入らず、
「採決反対」と言えば済むことになったのは、
「ラッキー」だったと考えている
かもしれない(民進党は、6 日になって、ようやく法案に反対という立場を決めたが、
あまりに世論の反対が強いので、ここは、とりあえず反対しておこうという程度のこと
だ)
。
一方の公明党は、維新の自民への擦り寄りに危機感を強めていて、この法案に公明が強
行に反対すると、自民に離縁されるのではないかと心配になってしまった。しかし、創
価学会の女性信者の多くはもちろんカジノ法案には反対だから賛成する訳にもいかな
い。止む無く自主投票という異例の対応にして、何とかお茶を濁した。その中でも賛成
した議員がいたが、こちらは、利権漁りと言われても仕方ない。
いずれにしても、国民の声を聴かない両党には、支持者から、またもや裏切られたとい
う声が出ている。特に、民進党は、野党共闘などで短期的には選挙対策をしているつも
りだろうが、今回のように、世論を無視する政治をしていては、いくら頑張っても、昔
の輝きを取り戻すことはありえない。維新の松井代表が、カジノ法案に反対を表明する
民進党に対して、
「バカ」呼ばわりしたが、それとは逆の意味で、国民にさらに「バカ」
にされることになるのは確実だろう。
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●どうやって利権が生まれるか
カジノ解禁で、まず、カジノを含むリゾートプロジェクトが動き出す。ゼネコンや建設
関連業界を巻き込んだ巨大な利権が生まれることは誰にも想像がつく。建設が終わって
も、そこにはコンベンション、スポーツ、エンターテイメント、商業、交通、金融など、
様々な業界の利権が生まれる。
また、カジノそのものも官僚たちは大きな利権を生むと見て、手ぐすね引いて待ってい
る。前述した納付金の分捕り合戦は別にして、そこでの利権の作り方は次のようなもの
だ。
まずカジノが解禁されるとしても、当初は様々な厳しい規制が導入される可能性が高い。
現に、先ほど紹介した衆議院での付帯決議では、15 項目もの「やらなければならない
こと」が書かれている。それだけ問題があるということだが、これらは、基本的に役所
に対して「あれも、これもやりなさい」という指示を国会が出したという意味合いを持
つ。「世界最高水準の厳格なカジノ営業規制を構築」という文言があるから、とにかく
規制しようと思えば何でもできるということになる。これらは、世論の批判が強いから
書き込むことができるのだが、これが曲者だ。規制が強いと業界との関係がうまく行か
なくなると思ったら全くの見当違い。逆に規制が強ければ強いほど、カジノ業界は、規
制緩和を求めて、官僚にすり寄ってくる。
つまり、規制が厳しい方が、官僚から見れば、利権拡大にとっては都合が良い。毎年、
要望を受けては、少しずつ規制を緩めていく。もちろん、その途上で、うまく族議員に
働きどころを与えて、利権の一部を彼らに割り当てる。官僚は見返りに天下りポストを
確保し、族議員は献金・選挙協力を受けることになって、時間とともに両者とも業界と
の癒着を深めていく。何年か経てば、最初は、優位に立っていたはずの政・官が、業界
の手下になり下がるのは、ほぼ間違いない。新たに誕生した「カジノ官庁」「カジノ族
議員」と「カジノ関連業界」が、日本社会を蝕んで行く構造が出来上がるのだ。
(参考までに衆議院内閣員会の付帯決議を掲載しよう。第 15 項を除き、それぞれの項
目には、関係省庁が必ずある。それが、団体設立や規制権限の根拠になり、また、予算
要求の土台になって行く)
------------------特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを
6
期すべきである。
一
特定複合観光施設区域の整備を推進するに当たっては、特に、カジノ施設の設置及
び運営に伴う有害な影響を排除する観点、我が国の伝統・文化・芸術を活かした日本ら
しい国際競争力の高い魅力ある観光資源を整備する観点、並びにそれらを通じた観光及
び地域経済の振興に寄与する観点に特に留意すること。
二
政府は、法第五条に基づき必要となる法制上の措置を講じるに当たり、特定複合観
光施設区域の整備の推進に係る目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性
の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次
的弊害の防止等の観点から、刑法の賭博に関する法制との整合性が図られるよう十分な
検討を行うこと。
三
特定複合観光施設については、国際的・全国的な視点から、真に観光及び地域経済
の振興の効果を十分に発揮できる規模のものとすること。
四
特定複合観光施設区域の数については、我が国の特定複合観光施設としての国際的
競争力の観点及びギャンブル等依存症予防等の観点から、厳格に少数に限ることとし、
区域認定数の上限を法定すること。
五
地方公共団体が特定複合観光施設区域の認定申請を行うに当たっては、公営競技の
法制に倣い、地方議会の同意を要件とすること。
六
特定複合観光施設区域の整備が真に観光及び地域経済の振興に寄与するため、また、
特定複合観光施設の設置の前提として犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症
防止等の観点から問題を生じさせないようにするため、特定複合観光施設区域の整備の
推進における地方公共団体の役割を明確化するよう検討すること。
七
カジノ施設の設置及び運営をしようとする者その他カジノ施設関係者については、
真に適格な者のみが選定されるよう厳格な要件を設けるとともに、その適合性について
徹底した調査を行うことができるよう法制上の措置を講ずること。また、カジノ施設を
含む特定複合観光施設全体の健全な運営等を確保するため、事業主体としての一体性及
び事業活動の廉潔性が確保されるよう、法制上の措置を講ずること。
八
依存症予防等の観点から、カジノには厳格な入場規制を導入すること。その際、諸
外国におけるカジノ入場規制の在り方やその実効性等を十分考慮し、我が国にふさわし
7
い、清廉なカジノ運営に資する法制上の措置を講ずること。
九
入場規制の制度設計に当たっては、個人情報の保護との調整を図りつつ、個人番号
カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第二
条第七項に定める「個人番号カード」をいう。
)の活用を検討すること。
十
ギャンブル等依存症患者への対策を抜本的に強化すること。我が国におけるギャン
ブル等依存症の実態把握のための体制を整備するとともに、ギャンブル等依存症患者の
相談体制や臨床医療体制を強化すること。加えて、ギャンブル等依存症に関する教育上
の取組を整備すること。また、カジノにとどまらず、他のギャンブル等に起因する依存
症を含め、関係省庁が十分連携して包括的な取組を構築し、強化すること。
十一 法第九条及び第十条に定める各種規制等の検討に当たっては、諸外国におけるカ
ジノ規制の現状等を十分踏まえるとともに、犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、
依存症防止等の観点から問題を生じさせないよう、世界最高水準の厳格なカジノ営業規
制を構築すること。
十二 カジノ管理委員会は、独立した強い権限を持ついわゆる三条委員会として設置し、
カジノ管理委員会がカジノ営業規制等を厳格に執行できる体制の構築が不可欠であり、
特に、カジノ導入時から厳格な規制を執行できるよう、十分な機構・定員を措置すると
ともに、適切な人材を配置するほか、厳格なカジノ営業規制等や関係事業者に対する行
政処分等の監督を有効に執行できる人材育成の在り方も検討すること。また、特定複合
観光施設の設置の前提として犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の
観点から問題を生じさせないようにするため、都道府県警察その他の関係機関の必要な
体制を確保するとともに、カジノ管理委員会とこれらの関係機関の連携体制を確保する
こと。
十三 カジノの運営主体が民間事業者になることに鑑み、カジノ事業者に適用される税
制・会計規則等につき、諸外国の制度を十分に勘案の上、検討を行うこと。
十四 法第十二条に定める納付金を徴収することとする場合は、その使途は、法第一条
に定める特定複合観光施設区域の整備の推進の目的と整合するものとするとともに、社
会福祉、文化芸術の振興等の公益のためにも充てることを検討すること。また、その制
度設計に当たっては、依存症対策の実施をはじめ法第十条に定める必要な措置の実施に
十分配慮した検討を行うこと。
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十五 以上を含め、法第五条に定める必要となる法制上の措置の検討に当たっては、十
分に国民的な議論を尽くすこと。
-------------------
以上
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