受精の分子生物学 写真

受精の分子生物学
細胞科学研究部門
[概要](特徴・独自性・新規性)
ヒトの場合、一度におよそ1〜3億匹の精子
が雌性生殖路内に射出され、そのなかで過
酷な生存競争に生き残った、たった1匹の
精子のみが受精することを許されます。こ
のように、受精に至るまでの過程、特に最
終行程である膜融合は、種を超えて共通す
る精緻かつ確実な仕組みが存在するはず
です。
我々は遺伝子改変技術に優れ、我々ヒト
と同じほ乳類であるマウスを用いて、世界
に先駆けて精子と卵子の融合因子、
IZUMO1 (縁結びの神様で有名な出雲大社
に因んで命名) を同定することに成功しまし
た (Inoue N et al, Nature 2005)。 我々は、こ
の分子を中心に神秘に満ちた受精の分子
メカニズムの解明に取り組んでいます。
井上 直和 准教授
写真
産学連携の可能性と研究室からのメッセージ
現在先進諸国では10組に1.5組のカップルが
不妊症で 悩んでい る と い われ 、 その 数は
年々増加しています。この数は他の疾患と
比較しても非常に高く、世界的に見ても看過
できない大きな問題です。生物が長い年月
をかけて獲得してきた受精の仕組みを知る
ことができれば、不妊治療法の開発や避妊
ワクチンなどの臨床的な応用の可能性もあ
り、少子化対策にも繋がってゆくことが期待
されます。
また我々は、最新の技術を駆使することに
より新たな受精生物学を目指しており、その
研究成果は、既存の教科書の情報をアップ
デートするとともに、畜産業への応用にも波
及すると考えられます。
我々の研究にご興味がある方は、是非、ご
一報ください。
[研究概要図]
[キーワード]
受精、膜融合、精子、卵子、IZUMO1、遺伝子改変動物
2014/03