『知日』が紐解く若者文化事情 - フェスティバル/トーキョー16

F/Tトーク
『知日』
が紐解く若者文化事情
知る
「日」
、
知る
「中」
蘇 静(スー・ジン)
数年前に『知日ZHIJAPAN 』
を創刊した。当時の願い
ではないだろうか。
は、ただ自分自身のために、日本を深く研究し、理解す
『知日』の創刊から5 年後に、『知中 ZHICHINA 』
を創
る内容のものにしたいということだった。しかし、その後、
刊した。これまでの過程を振り返ると、これはひとつの
『 知日』が多くの中国の若者から注目されるにつれ、自
サークル(輪)だと思っている。相手を理解するために
然と多くの意義を持つようになった。
は、逆に自分自身をも知らなければならない。また、相
「意義」は、誰もが自身で能動的にしろ受動的にしろ
手を理解することは、自身を知るうえで助けにもなるの
追い求めるものだが、私にとっての『 知日』の意義は、
である。
国家間の違いを強調することではなく、日本を通して新
『知日』
も『知中』
も、奇をてらったり、体裁をよく見せ
たな視点を発見し、最終的には、中国の若者が日本や
たりする側面に留まらないようにしたい。一人ひとりの
世界を深く知るための手助けになることである。それは、
時間には限りがある。 2 冊とも、読者の時間を浪費させ
中国だけでなく日本の若者にも有益なものになると思っ
ない内容をもったブランドにしたいと思っている。
フェスティバル /トーキョー実行委員会
野村 萬
公益社団法人日本芸能実演家団体協議会 会長、能楽師
顧問
福原義春
株式会社資生堂 名誉会長
名誉実行委員長
高野之夫
豊島区長
実行委員長
福地茂雄
公益財団法人新国立劇場運営財団 顧問、アサヒビール株式会社 社友
副実行委員長
市村作知雄
NPO 法人アートネットワーク・ジャパン 会長
小澤弘一
豊島区文化商工部長
東澤 昭
公益財団法人としま未来文化財団 常務理事/事務局長
委員
尾 元規
公益社団法人企業メセナ協議会 理事長、花王株式会社 顧問
熊倉純子
東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科 教授
斉藤幸博
株式会社資生堂企業文化部長
鈴木敦子
アサヒビール株式会社経営企画本部社会環境部 部長
鈴木正美
東京商工会議所豊島支部 会長
永井多恵子
公益財団法人せたがや文化財団 理事長
樋口友久
豊島区文化商工部文化デザイン課長
岸 正人
公益財団法人としま未来文化財団 部長
蓮池奈緒子
NPO 法人アートネットワーク・ジャパン 理事長
葦原円花
フェスティバル /トーキョー 事務局長
河合千佳
フェスティバル /トーキョー 副ディレクター
佐々木美津子 豊島区総務部総務課長
監事
法務アドバイザー 福井健策、北澤尚登(骨董通り法律事務所)
フェスティバル /トーキョー実行委員会事務局
ディレクター
市村作知雄
副ディレクター
河合千佳
事務局長
葦原円花
制作
喜友名織江、十万亜紀子、荒川真由子、砂川史織、松嶋瑠奈、松宮俊文、横井貴子、
岡崎由実子、三竿文乃、藤井友理、細川浩伸、米原晶子
営業
長原理江
広報
小倉明紀子、武田侑子
経理
堤 久美子
総務
平田幸来
票券
武井和美
チケットセンター
佐々木由美子、佐藤久美子
技術監督
技術監督アシスタント
照明コーディネート
音響コーディネート
アートディレクション
イラスト
ウェブサイト
海外広報・翻訳
物販
コピーライティング
プログラム・コーディネート
中国プログラム・コーディネート
主催
ている。
あえて大げさに言えば、『 知日』と
『 知中 』の 2 冊が、
絶えず、交流と理解を深める。このことは、間違いな
両国の若者が相手を深く理解するための窓口になるこ
アジアシリーズ共催
協賛
後援
特別協力
く世界を発展させるための究極の術と言える。よく言わ
とを願っている。そして、この窓口を最も意義深く面白
協力
れることではあるが、われわれは一生をかけても世界を
いものにしたい。
知り尽くすことはできない。だからこそ、より魅力的なの
寅川英司
河野千鶴
佐々木真喜子(株式会社ファクター)
相川 晶(有限会社サウンドウィーズ)
宣伝協力
氏家啓雄(有限会社氏家プランニングオフィス)
naomi@paris,tokyo
竹下雅哉(有限会社氏家プランニングオフィス)
ウィリアム・アンドリューズ
渡辺 淳
鈴木理映子
横堀応彦
小山ひとみ
フェスティバル /トーキョー実行委員会
豊島区/公益財団法人としま未来文化財団/ NPO 法人アートネットワーク・ジャパン、
アーツカウンシル東京・東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
国際交流基金アジアセンター
アサヒビール株式会社、株式会社資生堂
外務省、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会、 J-WAVE 81.3 FM
西武池袋本店、東武百貨店池袋店、東武鉄道株式会社、
株式会社サンシャインシティ、チャコット株式会社
東京商工会議所豊島支部、豊島区商店街連合会、豊島区町会連合会、
一般社団法人豊島区観光協会、一般社団法人豊島産業協会、公益社団法人豊島法人会、
池袋西口商店街連合会、特定非営利活動法人ゼファー池袋まちづくり、
池袋西口公園活用協議会、南池袋公園をよくする会、ホテルメトロポリタン、
ホテル グランドシティ、池袋ホテル会
株式会社ポスターハリス・カンパニー、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
平成 28 年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業
(池袋 /としま/ 東京アーツプロジェクト事業、としま国際アートフェスティバル事業)
公益社団法人企業メセナ協議会 2021 芸術・文化による社会創造ファンド採択事業
フェスティバル /トーキョー 16 は東京芸術祭 2016 の一環として開催されます。
インターン
雨宮彩乃、猪狩文花、石川瑞季、臼杵遥志、岡村章秀、小川潮音、甲斐ひろな、栗原麻緒、黒川知樹、
籠田博美、坂田佳菜女、崎山貴文、篠原 光、島田茉依、程 美彤、戸田遥香、中山 徹、西島彩貴、福井 花、
松下怜未、松村珠美、美和咲妃、森 洋介、山崎衣理、山田あい子、山本萌子、横山愛里、吉原啓介
スペシャルサンクス:F/T サポーターのみなさま
会期:平成 28 年( 2016 年)10 月15日(土)‐12 月11日(日)
Festival/Tokyo Executive Committee
Advisors:
Man Nomura (Chair, Japan Council of Performers Rights & Performing Arts Organizations, Noh actor)
Yoshiharu Fukuhara (Honorary Chair, Shiseido Co., Ltd.)
Honorary President of the Executive Committee: Yukio Takano (Mayor of Toshima City)
Chair of the Executive Committee:
Shigeo Fukuchi (Advisor, New National Theatre Foundation, Senior Alumnus, Asahi Breweries, Ltd.)
Vice Chair of the Executive Committee:
Sachio Ichimura (Director, NPO Arts Network Japan [NPO-ANJ])
Kouichi Ozawa (Director of Culture, Commerce and Industry Division of Toshima City)
Akira Touzawa (Director of Secretariat of Toshima Mirai Cultural Foundation)
Committee Members:
Motoki Ozaki (President, Association for Corporate Support of the Arts, Corporate Advisor, Kao Corporation)
Sumiko Kumakura (Professor, Department of Musical Creativity and the Environment, Tokyo University of the Arts)
Yukihiro Saito (General Manager, Corporate Culture Department, Shiseido Co., Ltd.)
Atsuko Suzuki (General Manager, Social & Environmental Department, Asahi Breweries, Ltd.)
Masami Suzuki (Chair, Tokyo Chamber of Commerce and Industry Toshima)
Taeko Nagai (Chair, Setagaya Arts Foundation)
Tomohisa Higuchi (Culture, Commerce and Industry Division of Toshima City, Director of Cultural Design Section)
Masato Kishi (Executive Manager of Toshima Mirai Cultural Foundation)
Naoko Hasuike (Representative, NPO Arts Network Japan [NPO-ANJ])
Madoka Ashihara (Administrative Director, Festival/Tokyo)
Chika Kawai (Vice Director, Festival/Tokyo)
Supervisor: Mitsuko Sasaki (General Affairs Division, Director of General Affairs Section of Toshima City)
Legal Advisors: Kensaku Fukui, Hisato Kitazawa (Kotto Dori Law Office)
Festival/Tokyo Executive Committee Secretariat
Director: Sachio Ichimura
Vice Director: Chika Kawai
Administrative Director: Madoka Ashihara
Production Coordinators:
Orie Kiyuna, Akiko Juman, Mayuko Arakawa, Shiori Sunagawa, Luna Matsushima, Toshifumi Matsumiya, Takako Yokoi,
Yumiko Okazaki, Ayano Misao, Yuuri Fujii, Hironobu Hosokawa, Akiko Yonehara
Sales & Planning: Rie Nagahara
Public Relations: Akiko Ogura, Yuko Takeda
Accounting: Kumiko Tsutsumi
Administrator: Saki Hirata
Ticket Administration: Kazumi Takei
Ticket Center: Yumiko Sasaki, Kumiko Sato
Technical Director: Eiji Torakawa
Assistant Technical Director: Chizuru Kouno
Lighting Coordination: Makiko Sasaki (Factor Co., Ltd.)
Sound Coordination: Akira Aikawa (Sound Weeds Inc.)
北京発・カルチャーから見る現代中国
Contemporary China, as Seen in Beijing Culture
FM3
Buddha Boxing
演出:FM3
2016.
12.2 Fri - 12.3 Sat
あうるすぽっと ホワイエ
Owlspot Theater (Foyer)
Art Direction: Yoshio Ujiie (Ujiie planning office)
Illustrations: naomi@paris,tokyo
Website: Masaya Takeshita (Ujiie planning office)
Overseas Public Relations, Translation: William Andrews
Merchandise: Jun Watanabe
Copywriting & Editing: Rieko Suzuki
Program Coordinator: Masahiko Yokobori
Chinese Program Coordinator: Hitomi Oyama
Organizers:
Festival/Tokyo Executive Committee,
Toshima City, Toshima Mirai Cultural Foundation, NPO Arts Network Japan (NPO-ANJ),
Arts Council Tokyo & Tokyo Metropolitan Theatre (Tokyo Metropolitan Foundation for History and Culture)
Asia Series co-organized by the Japan Foundation Asia Center
Sponsored by Asahi Breweries, Ltd., Shiseido Co., Ltd.
Endorsed by Ministry of Foreign Affairs, GEIDANKYO, J-WAVE 81.3 FM
Special co-operation from SEIBU IKEBUKUROHONTEN, TOBU DEPARTMENT STORE IKEBUKURO, TOBU RAILWAY CO., LTD.,
Sunshine City Corporation, Chacott Co., Ltd.
In co-operation with Tokyo Chamber of Commerce and Industry Toshima, Toshima City Shopping Street Federation,
Toshima City Federation, Toshima City Tourism Association, Toshima Industry Association, Toshima Corporation
Association, Ikebukuro Nishiguchi Shopping Street Federation, NPO Zephyr, Ikebukuro West Gate Park Management,
Neighborhood of the Minami Ikebukuro Park, Hotel Metropolitan Tokyo, Hotel Grand City, Ikebukuro Hotel Association
PR Support: Poster Hari's Company, Waseda University Tsubouchi Memorial Theatre Museum
Supported by the Agency for Cultural Affairs, Government of Japan in the fiscal 2016
Supported by Association for Corporate Support of the Arts, Japan
(2021 Fund for Creation of Society by the Arts and Culture)
Festival/Tokyo 2016 is organized as part of Tokyo Metropolitan Festival 2016.
Period: October 15 (Sat) to December 11 (Sun), 2016
F/Tトーク
『知日』
が紐解く若者文化事情
登壇者:スー
・ジン
F/T Talks
Youth Culture, as Seen in Zhi Japan ( Knowing Japan )
Guest Speaker: Jing
su
2016.
12.4 Sun
あうるすぽっと ホワイエ
スー・ジン
Owlspot Theater (Foyer)
1981 年湖南省生まれ。大学入学を機に北
『知日』
(左)は、中国人向けに日本を紹介する月刊誌。これまでに「山口組」
「お笑い」
「アイドル」
「増田宗昭(CCC 会長)」などを特集。『知中』
(右)は、中国に関心を持
つ人に中国を紹介。「山水」
「ブルース・リー」などの特集がある。
京へ。卒業後、大手民間出版社に入社。
20 代にしてミリオンセラーを出すなど敏腕
編集者として活躍。 2011 年に経営者兼編
集長として『 知日』を創刊。現在は編集長
を退き経営に注力する。
発行:フェスティバル /トーキョー実行委員会
〒170-0004 東京都豊島区北大塚 1-15-10 東部区民事務所 3 階
TEL:03-5961-5202 http://www.festival-tokyo.jp/
編 集:フェスティバル /トーキョー実 行 委員会 事 務 局、鈴 木 理 映 子 翻 訳:小 山ひとみ デザイン:小 林 剛
FM3『Buddha Boxing』
文化都市・北京で触れた音楽の潮流
小山ひとみ
FM3 のライブを初めて見たのは、2007 年、北京で生活
た。大学が多く集まる地区の路地裏など、目立たない場
をしていた時だった。テーブルと椅子が 2 脚置かれたシン
所でひっそりと販売されていた。当時の中国の若者は、
プルな空間。そして、テーブルの上にランダムに並んだ
制限がある中でも、このような方法で簡単に海外の音楽
カラフルなブッダマシーン。「何が起きるんだろう」という
に触れていた。
ドキドキ感は、今でもはっきり覚えている。元々、音楽が
その後、輸入制限が緩和されると、海外の CD は市場
好きな私は、日頃から中国のミュージシャンに注目し、ライ
に出回るようになるが、より安さを求める若者たちは、い
ブ会場やフェスに足を運んでいた。私は、音楽専門家で
わゆる「海賊版」の CDを通して海外の音楽を楽しんだ。
はないので専門的なことは語れないが、北京で生活し、
そして、インターネットが普及してくると、日本同様にダウ
ミュージシャンと交流を持ってきた経験から、中国(主に
ンロードすることで、より手軽かつ安く音楽を求めるよう
北京)での音楽の動きを一部簡単に紹介したいと思う。
になった。現在では、ご存知の通り、中国では YouTube
にアクセスできないなど不 都 合な場 面も多いのだが、
私が初めて中国で生活をしたのは、 1996 年の北京で
YouTubeに代わる中国独自のメディアが発達していること
の語学留学の時。インターネットはまだ普及しておらず、
から、中国の若者はそんな不自由さも感じず、オンタイム
日本の家族との連絡は、高い国際電話かファックス、ま
で海外のものを楽しんでいる。
たは、届くのに一週間以上かかる手紙というアナログ時
2000 年 に は、中 国 最 大 の 野 外 音 楽 フェス「 Midi
代だった。留学していた映画大学のちょうど裏手に、北
Music Festival 」が北京で開催された。以降、毎年、北京
京で最も古いと言われるディスコ「 NASA 」があり、週末に
だけでなく別の都市でもコンスタントに開催されており、
なると、中国人の学生や留学生、北京で生活する外国
FM3も過去に数回参加している。また、この頃から、北
人が集まり賑わった。かかっていた音楽は、ハウスやユー
京や上海、広州をはじめ、各地にライブハウスやクラブが
ロビートあたりだったと記憶している。
増え始める。
FM3インタビュー
ジャン・ジエン、
ラオ・チャオ
─お二人は、個々に音楽家としても活躍されてい
ジャン 私たちはずっとライブを大切にしてきましたし、
入っていて、 FM3がいて、ブッダマシーンをオ
ますよね。 FM3 は二人にとって、どのような存在なの
自分たちの音楽を演奏することが好きなんです。世
ンにすればライブになります。光、煙、色、一
でしょうか。
界で一番静かな音楽なんじゃないかな。今回のライブ
つの文字、一つの料理、それらに対しても、ラ
ジャン FM3 は、私の音楽人生において最も重要な
で、観客のみなさんは、私たちFM3 の音楽とブッダマ
イブの可能性を見出せるのです。
活動だと思っています。 FM3 の 17 年という歴史は、私
シーンがどのように循環し合うのかを目にすることにな
ラオ 楽器があって、空間があって、観客がい
たちのこれまでの成果を表しているのではなく、呼吸
るでしょう。リラックスした FM3 の二人が楽しんで作っ
ればライブはできますよ。
することの重要さを教えてくれた年月と言えます。
た真剣な音楽です。イマジネーションというのは、自由
─フェスティバル /トーキョーは、パフォーミ
ラオ FM3 は私にとって、己を超える道具のようなも
です。観客の目の前で、私たちのイマジネーションを
ングアーツのフェスティバルですが、今回、公
のですね。
形にしたいと思っています。
演オファーを受けたのはなぜですか。依頼を
─ FM3 が活動を開始し、今年で 17 年経ちますが、
ラオ 「ライブとはすなわち交 流である」と思ってい
受ける上での条件はありますか。
ばするほど、心地よくなる」、この一言のように、制限
その間にもさまざまな変化があったと思います。
ます。
ジャン 断る理由がないですよね。フェスティバル /
があればあるほど、特別なものにできますし、思いがけ
ラオ そうですね。まず、私たち二人も、「若者」から
─ FM3 はこれまで、私が知る限りでも、お寺や美
トーキョーのことは、よく知らなかったのですが、でも、
ないことが起これば起こるほど、記憶に残りますよね。
「 中 年の男 性 」になりましたし、 FM3 の音 楽も年 齢
術館のホワイトキューブやオフィスなど、ライブハウス
舞台を愛する音楽家やアーティストなら参加したいと
以外の場所でライブをしてきましたね。ライブの場所
思うんじゃないでしょうか。本当は、私たちは今年 1 年
の音楽マーケットで言えば、「子供」からとても勢いの
に対しては、どれくらい許容範囲があるのでしょうか。
を冬眠年にしようと思っていたのですが、最終的には
ある「青年」になったと言えます。 FM3 結成時は、北
ジャン 今のところ、ライブができない場 所には出
年末は日本に捧げることにしました。以前、私もラオ・
京には 20くらいしかバンドやグループがいなかったの
会ったことがないですね。ライブハウス以外では、教
チャオも個々に日本に来たことはあったのですが、今
に、今では北京だけでも数百はいるんじゃないかな。
会、お寺、道 場、プール、温 泉、サーカス場、農 場、
回は FM3 にとって初来日、初ライブになります。今後
─ブッダマシーンは、購入した人が自由に遊ぶこと
病 院、特 別 支 援 学 校、動いている電 車の中、駅 構
は、大規模な日本ツアーを計画しています。条件のこ
ができますね。ブッダマシーンを使ってライブをする
内、 SMクラブなどでライブを行ったことがあります。
とは気にしていません。 FM3がブッダマシーンを楽しん
重要性をどう考えていますか。
耳があって、音楽があって、ブッダマシーンに電池が
でくれている人たちによく言っている「音を小さくすれ
その「 Midi Music Festival 」を主催しているのは、 1993
ていったという。そして、顔峻は 2007 年にある文章の中
価だった。また、海外の CD は輸入が厳しく制限されてい
年に中国で初めての現代音楽を教える学校として開校し
で、「 FM3 は、中 国 で 唯 一 の microsound/post techno/
『Buddha Boxing』
たこともあり、より入手が困難だった。その頃、店頭でよ
た「北京迷笛音楽学校」だ。ロック、ファンクを初め、ブ
experimental ambient 系の電 子 音 楽ユニットであり、中
演出・出演:FM3
く見かけた中国の音楽は、その後、香港映画『恋する惑
ルース、ジャズ、ラテンなど様々なジャンルの学科がある。
国で早くにパソコンを使ってライブを行ったユニット」と書
星』で女優としても活躍した中国ポップス界の女王「フェ
卒業後、中国を代表するバンド、音楽家として活躍して
いている。
映像:須藤崇規、嶋田好孝
イ・ウォン」や中国ロック界の父「ツイ・ジェン」、 1987 年
いる卒業生が数少なくない。
実 は、 FM3 は、元 々は 3 人だった。だからFM 「 3 」。
フロント運営:荒川真由子
に結成されたロックバンド「ヘイバオ」や香港、台湾の
1999 年にキーボーディストのジャン・ジエンとパソコンで音
ポップスなどだった。
ここで、「 中 国ロック」のことを簡 単に説 明しよう。
源を作るラオ・チャオとギタリストのフーズの 3 人で結成さ
また、「正規ではない」方法で、安く海外の音楽を手
1978 年に改革開放が敷かれた翌年の 1979 年、中国で初
れた。翌年、フーズが抜け、二人は今に至るまでFM3とし
に入れる術もあった。「打口帯」
(ダーコウダイ)
「打口
めてのバンドが北京で結成されたという。それ以降、中国
ロックは毎年のように新しいバンドを生み出し、ロックファ
クス)を転用したオリジナルのループ再生機。
に合わせて、どんどん成熟していると思います。中国
当時、「正規」に流通していた CD は種類も少なく、高
」
(ダーコウディエ)という
「穴を開けた廃棄用のカセッ
「Buddha Machine」は、中華仏教圏で販売されている唱佛機(経文を再生する小型ジュークボッ
て活動を続けてきた。
FM3『 Buddha Boxing 』
© Hitomi Oyama
ここまで読んだ方には分かると思うのだが、実は、北京
トテープや CD 」は、正 規 以 外の市 場で出 回っていた。
ンを魅了している。中国ロックの父と呼ばれている「ツイ・
海外で売れ残ったカセットテープや CDが中国に渡る際、
ジェン」は、中国の大衆音楽にロックスタイルを取り入れ
シャンであり音楽評論家でもある顔峻(イエン・ジュン)に
都市でもある。ライブハウス、ミュージシャン、劇場、メディ
あえて穴を開けることで「売り物ではなく廃棄用」という
た最初の音楽家と言われている。 1986 年に中国の歌
よると、 1978 年に中 国で初めて、映 画『 猟 字 99 号 』の
ア、映画会社の数で言っても、北京が断然多い。政治
体で北京などの都市で売られていた。穴はケースだけに
手 100 人が参加した国際平和年の記念コンサートで歌を
中で電子音楽の音源が使われたという。その後、 80 年
のお膝元の北京では、若者を中心に中国の新しい音楽
開いている場合には音源は問題なく再生できるのだが、
披露して以降、注目を集めるようになった。
代に入ると、朝陽電子バンドという電子音楽のバンドが
や文化が生まれている。その北京を拠点に活躍している
CD 本体に開いている場合は、再生できないこともあっ
それでは、中国の「電子音楽」はどうだろうか。ミュージ
注目を集める。それ以降、じわじわと電子音楽が広がっ
FM3 の初来日ライブ、どうぞ楽しんでいただきたい。
は中国の政治の都市であるだけでなく、音楽や文化の
北京発・カルチャーから見る現代中国
舞台監督:熊木 進
音響:宮崎淳子(有限会社サウンドウィーズ)
通訳:小山ひとみ
記録写真:鈴木竜一朗
F/T トーク『『知日』が紐解く若者文化事情』
登壇者:スー・ジン
企画・司会進行:小山ひとみ
通訳:小国香織
プログラム・コーディネーター:小山ひとみ
(取材・文:小山ひとみ)
FM3
電子音楽ユニット。ロックミュージシャンのクリスチャン・ヴィラン
(通称:ラオ・チャオ)とキーボーディストのジャン・ジエンによる音
楽デュオ。中国の伝統楽器と現代のデジタル技術を融合した瞑
想音楽を創作。ループ再生機「ブッダマシーン」の製作で世界
的に知られる。映画やテレビ番組、マルチメディアアート展での
音楽制作など、世界中で幅広く活躍している。
Contemporary China, as Seen in Beijing Culture
Buddha Boxing
Directed and Performed by FM3
Technical Director: Susumu Kumaki
Sound: Junko Miyazaki (Sound Weeds Inc.)
Video: Takaki Sudo, Yoshitaka Shimada
Interpreter: Hitomi Oyama
Front of House: Mayuko Arakawa
Photography: Ryuichiro Suzuki
F/T Talks: Youth Culture, as Seen in Zhi Japan ( Knowing Japan )
Guest Speaker: Jing Su
Planning, Moderator: Hitomi Oyama
Interpreter: Kaori Oguni
インターン:臼杵遥志、坂田佳菜女、戸田遥香
Program Coordinator: Hitomi Oyama
Production Coordinators: Ayano Misao, Orie Kiyuna
Interns: Yoji Usuki, Kaname Sakata, Haruka Toda
主催:フェスティバル / トーキョー
Presented by Festival/Tokyo
制作:三竿文乃、喜友名織江