秋田市公共事業コスト構造改善プログラム

秋 田 市 公 共 事 業
コスト構造改善プログラム
平成22年4月
秋
田
市
◎
基 本 的 な 考 え 方
1
これまでの取り組み
1
2
公共事業コスト改善プログラムの位置付け
2
3
改善プログラムの対象
3
4
実施のスケジュール
3
5
国・県との連携
3
6
フォローアップ
3
◎
具 体 的 な 施 策
1
事業のスピードアップ
(1)合意形成・協議手続きの改善
施策1
4
4
用地取得および建物移転補償を伴う事業等における住民との合意
形成を推進
施策2
関係機関との調整による協議手続きの迅速化・簡素化
(2)事業の重点化・集中化
施策3
事業評価の厳格な実施による透明性の向上
施策4
重点的な投資や事業の進捗管理の徹底による事業効果の早期発現
(3)用地・補償の円滑化
施策5
4
4
あらかじめ明示された完成時期を目標とした計画的な用地取得を
実現
施策6
2
用地取得業務を効率化するための民間活力の活用
計画・設計・施工の最適化
(1)計画・設計の見直し
施策7
技術基準類の見直し
施策8
技術基準の弾力的運用(ローカルルール設定等)
施策9
設計 VE による計画・設計の見直し
(2)施工の見直し
施策10
工事における事業間連携等の推進
施策11
建設副産物対策等の推進
5
5
5
(3)民間技術の積極的な活用
施策12
6
公共工事等における新技術活用システム(NETIS)を通じた民間
技術の積極的活用
(4)社会的コストの低減
施策13
工事に伴うCO2排出の抑制による地球温暖化対策の一層の推進
施策14
社会的影響の低減(騒音・振動等の抑制、大気環境に与える
6
負荷の低減、工事による渋滞損失の低減、事故の防止)
3
維持管理の最適化
6
(1)戦略的な維持管理
6
4
施策15
公共施設の点検結果等にかかるデータベースの整備
施策16
予防保全による公共施設の長寿命化に関する計画策定の推進
施策17
地域の実情や施設特性に応じた維持管理の推進
調達の最適化
(1)電子調達の推進
施策18
ICTの活用による入札・契約の推進
施策19
工事関連業務電子納品化の導入
(2)入札・契約の見直し
施策20
多様な発注方式の活用
施策21
民間の技術力・ノウハウを活用した調達方式(PFI)の推進
(3)公共工事等の円滑な執行と品質確保
施策22
公共工事の円滑な執行のための手続き
施策23
受発注者のパートナーシップの構築による建設システムの生産性向上
施策24
公共工事等の品質確保の推進
(4)積算の見直し
施策25
ユニットプライス型積算方式や市場単価方式の適用工種拡大
7
7
7
7
8
◎
基 本 的 な 考 え 方
1
これまでの取り組み
本市における公共工事のコスト縮減は、平成9年4月、政府が策定した「公共工事コスト
縮減対策に関する行動指針」を踏まえ、平成10年2月「秋田市コスト縮減に関する行動計画」
を策定した。
この行動計画では、平成10年度から平成12年度までの3カ年に、コスト縮減する諸施策を
速やかに実施し、コスト縮減の目標値を10%とした。この行動計画に基づき実施した、平成
12年度の実績調査では8.2%の縮減がなされ、一応の成果が得られた。
その後、コスト縮減施策の定着を図ることや、新たなコスト縮減施策の推進が重要な課題
となったため、工事コストの低減だけでなく、工事の時間的コストの低減、施設の品質の向
上によるライフサイクルコストの低減、工事における社会的コストの低減、工事の効率性向
上による長期的コストの低減を含めた総合的なコスト縮減について、国の新たな取組方針お
よび県の新行動計画との整合を図りながら、平成15年10月に「公共工事コスト縮減対策に関
する新行動計画」(以下「新行動計画」という。)を策定し、効率的で効果的な事業執行に努
めている。
新行動計画において、縮減率の数値目標は各施設によって規模・構造等が異なることから
設定しないこととし、縮減額の数値管理についても数値算出のために膨大な時間を費やすわ
りに実績数値の精度に問題があることから、数値管理をしないこととした。
また、工事コストの縮減のみならず、完成後の施設の維持管理経費までを考慮し、施設の
耐久性の向上(長寿命化)、施設の省資源・省エネルギー化(運用、維持管理費の低減)、環
境と調和した施設への転換を3本柱とした「公共事業のトータルコスト縮減指針」(以下「ト
ータルコスト縮減指針」)を平成18年3月に策定し、公共工事のさらなるトータルコスト縮減
に努めているところである。
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2
公共事業コスト改善プログラムの位置付け
厳しい財政事情が続くなか、今までのコスト縮減への取り組みを継続するとともに、品質
の面においてもさらなる意識改革に取り組むことが重要である。
コストと品質の両面を重視する取り組みへの転換にあたっては、民間企業による技術革新
の進展、老朽化する社会資本が急増する中で市民の安全・安心へのニーズや将来の維持管理
・更新費用が増大することへの対応、近年の地球温暖化等の環境問題に対する世論の高まり
を踏まえ、これまでの「総合的なコスト縮減」から、経済性にも配慮しつつ公共事業の構想
・計画段階から維持管理までを通じて、投資に対して最も価値の高いサービスを提供するこ
とを重視した「総合的なコスト構造改善」を推進する。
具体的には、これまでの評価項目である
① 工事コストの縮減(規格の見直しによる工事コストの縮減を含む)
② 事業のスピードアップによる効果の早期発現
③ 将来の維持管理費の縮減
を行ってきたが、この施策に加え
ア 民間企業の技術革新によるコスト構造の改善
イ 施設の長寿命化によるライフサイクルコスト構造の改善
ウ 環境負荷の低減効果等の社会的コスト構造の改善
を図ることとする。
「総合的なコスト構造改善」は、コストと品質の観点から公共事業を抜本的に改善し、良質
な社会資本を効率的に整備・維持することを目指しており、施策の実施にあたっては、社会
資本が本来備えるべき供用性、利便性、公平性、安全性、耐久性、環境保全、省資源、美観、
文化性等の所要の基本性能・品質の確保を図ることとする。
平成20年4月より国の各省庁において、「公共事業コスト改善プログラム」を策定し、コス
ト構造改善に取り組んでいることから、本市においても「秋田市公共事業コスト構造改善プ
ログラム」(以下「本改善プログラム」という。)を策定し、コスト構造改善を推進すること
とする。
本改善プログラムには、直ちに実施できる施策のみでなく、検討、試行、関係機関との調
整を行ったうえで実施に移行する施策を含むものとすることから、本プログラム策定後も、
必要に応じて施策を追加、変更することとする。
なお、現在の新行動計画の施策は、本改善プログラムに盛り込まれていることから、
新行動計画は本プログラムに統合されたものとみなす。
- 2 -
3
改善プログラムの対象
本改善プログラムの対象は、公共事業の計画の立案から施工の完了に至る執行過程、さら
には維持管理経費のコスト構造改善を対象とするもので、 国庫補助(交付金含む)事業、
県補助事業、市単独事業、公営企業事業等とする。
4
実施のスケジュール
本改善プログラムの目標期間は、平成21年度から平成25年度末までとし、本改善プログラ
ム策定後、速やかにこれに基づく公共事業のコスト構造改善に資する諸施策を実施すること
とする。
5
国・県との連携
公共事業のコスト構造改善を推進するためには、国・県と共通する基本的な考え方や
具体的な諸施策の実施が不可欠であることから、引き続き情報の収集に努める。
6
フォローアップ
本改善プログラムの実施状況については、具体的施策の着実な推進を図る観点から、公
共施設監査保全室において、毎年事業担当課所室より提出される「秋田市公共事業コスト
構造改善プログラム実績報告書」によりフォローアップするものとする。
公共施設監査保全室は、具体的施策に示す各施策の実施状況を検証し、コスト構造改善
の効果についてフォローアップするとともに、国のコスト構造改善プログラムの見直しや、
県の動向を見ながら本改善プログラムの内容の見直しを検討するものとする。
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◎
具 体 的 な 施 策
本改善プログラムの具体的施策は、以下のとおりである。
1
事業のスピードアップ
(1)合意形成・協議手続きの改善
施策1
用地取得および建物移転補償を伴う事業等における住民との合意形成を推進
①用地取得および建物移転補償を伴う事業等において、事業プロセスの構想段階から、住
民等との合意形成を推進する
施策2
関係機関との調整による協議手続きの迅速化・簡素化
①埋設文化財調査や建築確認審査等の関係機関との調整による協議手続きの迅速化・簡素
化を推進する
(2)事業の重点化・集中化
施策3
事業評価の厳格な実施による透明性の向上
①新規事業採択時評価、再評価および事後評価を義務付けられている事業については、事
業評価を厳格に実施し、事業の透明性の向上を図る
施策4
重点的な投資や事業の進捗管理の徹底による事業効果の早期発現
①事業箇所の厳選による集中投資や施工方法の工夫等により事業効果の早期発現を図る
②早期完成の必要性や効果が高い事業について、完成時期を明示し事業の進捗管理を徹底
する
(3)用地・補償の円滑化
施策5
あらかじめ明示された完成時期を目標とした計画的な用地取得を実現
①事業の計画段階から将来の供用までを見据えた周到な準備を行い、必要となる施策を適
時適切に講じる
施策6
用地取得業務等を効率化するための民間活力の活用
①用地取得業務等で、補償コンサルタント、司法書士等外部の専門家を幅広く活用する
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2
計画・設計・施工の最適化
(1)計画・設計の見直し
施策7
技術基準類の見直し
①各事業に関する技術基準統一の可能性について検討し推進する
②プレキャスト化された構造物の利用を促進する
③現行の各種基準や共通仕様書等の改訂等を踏まえ、市事業に適用する
施策8
技術基準の弾力的運用(ローカルルールの設定等)
①地域の実情にあったより合理的な計画・設計を推進するため、ローカルルール設定等が
可能な事業について、積極的に国、県に提案・協議し、弾力的な運用を図る
施策9
設計 VE による計画・設計の見直し
①設計段階から維持管理段階までの幅広い分野の技術者による設計 VE を、設計の早期段
階から推進する
(2)施工の見直し
施策10
工事における事業間連携等の推進
①他事業と連携した工事を行う
②積雪寒冷地における通年施工化技術を活用する
③関連工事の工程調整により仮設物を共用する
施策11
建設副産物対策等の推進
①建設副産物等に関する関係機関との情報交換体制の充実を図る
②建設副産物等の発生を抑制する
③再生資源の利活用を徹底する
④建設発生土の工事間利用を促進する
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(3)民間技術の積極的な活用
施策12
公共工事等における新技術活用システム(NETIS)を通じた民間技術の積極的活用
①国、県から提供された新技術に関する内容、従来技術との比較、歩掛情報等について、
実施を検討する
(4)社会的コストの低減
工事に伴う CO2 排出の抑制による地球温暖化対策の一層の推進
施策13
①低燃費型建設機械等の普及を促進する
施策14
社会的影響の低減(騒音・振動等の抑制、大気環境に与える負荷の低減、工事によ
る渋滞損失の低減、事故の防止)
①排出ガス対策型建設機械等、低騒音・低振動型建設機械等の普及を促進する
②工事期間中の交通渋滞による社会的影響を低減する
③工事の事故防止を推進する
3
維持管理の最適化
(1)戦略的な維持管理
施策15
公共施設の点検結果等にかかるデータベースの整備
①公共施設の点検結果等にかかるデータベースの整備を推進する
施策16
予防保全による公共施設の長寿命化に関する計画策定の推進
①長寿命化を考慮した戦略的な維持管理システムを構築、運用するための計画策定を推進
する
施策17
地域の実情や施設特性に応じた維持管理の推進
①地域住民やボランティアの参加による維持管理を推進する
②効率的・計画的な維持管理・更新による維持管理費の低減を図る
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4
調達の最適化
(1)電子調達の推進
施策18
ICT の活用による入札・契約の推進
①全ての入札について、入札参加者が入札説明書等の設計図書をネットワーク経由で入手
可能とするなど、電子入札の一層の充実を図る
施策19
工事関連業務電子納品化の導入
①工事関係書類等について、受発注者が電子媒体を通じて相互にやりとりし、その蓄積に
より必要な成果物の電子納品が可能となるよう、情報共有や電子納品調達の導入を推進
する
(2)入札・契約の見直し
施策20
多様な発注方式の活用
①総合評価方式の活用を推進する
②設計施工一括発注(デザインビルド)方式、詳細設計付き施工発注方式、本体・設備一
括発注方式を活用する
③コンストラクション・マネジメント(CM方式)の契約手続きの明確化とリスク分担
の考え方について検討する
施策21
民間の技術力・ノウハウを活用した調達方式(PFI)の推進
① PFI により、民間の資金・能力を活用する
(3)公共工事等の円滑な執行と品質確保
施策22
公共工事の円滑な執行のための手続き
①国庫債務負担行為等を活用する
②適正な工期の設定と工事の平準化を図る
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施策23
受発注者のパートナーシップの構築による建設システムの生産性向上
①受発注者間の協議の迅速化により、施工の効率化を図る(ワンデーレスポンスの取組み)
②設計思想の効率的な伝達のため三者会議を活用する
施策24
公共工事等の品質確保の推進
①公共工事の品質確保を図るための施工プロセスを通じた監督・検査を推進する
②品質を確実に確保するための調査・設計業務における低入札対策を推進する
③優良な技術者の確保・育成を図る
(4)積算の見直し
施策25
ユニットプライス型積算方式や市場単価方式の適用工種拡大
①国、県から提供される「ユニットプライス型積算方式」の適用工種拡大情報について、
試行の可能性を検討する
②「市場単価方式」の適用工種を拡大する
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