大牟田市公共事業コスト構造改善プログラム 平成21年4月 大 牟 田 市 目 次 1.これまでの取り組み------------------------------------------------------ 1 2.国の取り組み ----------------------------------------------------------- 1 3.大牟田市公共事業コスト構造改善プログラムの位置付け --------------------- 2 4.改善プログラムの取り組み方針 ------------------------------------------- 2 (1)改善プログラムの対象 (2)計画期間 (3)数値目標 5.具体的施策 ------------------------------------------------------------- 2 Ⅰ 事業のスピードアップ --------------------------------------------------- 2 【1】合意形成・協議手続きの改善 【2】事業の重点化・集中化 【3】用地・補償の円滑化 Ⅱ 計画・設計・施工の最適化 ----------------------------------------------- 3 【1】計画・設計の見直し 【2】施工の見直し 【3】民間技術の積極的な活用 【4】社会的コストの低減 Ⅲ 維持管理の最適化 ------------------------------------------------------- 4 【1】民間技術の積極的な活用 【2】戦略的な維持管理 Ⅳ 調達の最適化 ----------------------------------------------------------- 5 【1】電子調達の推進 【2】入札・契約の見直し 【3】積算の見直し 6.フォローアップ --------------------------------------------------------- 6 1.これまでの取り組み 本市の公共工事のコスト縮減対策については、平成11年度から13年度の3年間の取 り組みとして「大牟田市公共工事コスト縮減に関する行動計画」 (以下「旧行動計画」とい う。)を策定し、 「工事コストの低減」を積極的に行い、その結果3年間の平均で縮減率4. 6%(数値目標6%)となった。 しかし、依然として厳しい財政事情の下で引き続き社会資本整備を着実に進めていくこ とが要請されていること、また、これまで実施してきたコスト縮減対策の確実な定着を図 ることや新たなコスト縮減対策を進めていくことが重要な課題となったため、平成14年 度から20年度までを期間として、 「工事コストの低減」だけでなく、 「工事の時間的コス トの低減」、 「施設の品質の向上によるライフサイクルコストの低減」、 「工事における社会 的コストの低減」、 「工事の効率性向上による長期的コストの低減」を含めた総合的なコス ト縮減について、「大牟田市公共工事コスト縮減に関する新行動計画」 (以下「新行動計画」 という。 )を策定し取り組んだ結果、平成19年度までの6年間の平均で縮減率5.8%(数 値目標6%)となり、 「旧行動計画」と比べ1.2ポイント上昇するなど、一定の成果を得 ているところである。 「新行動計画」は平成20年度までの計画であるため、平成20年6月に、契約検査室 長を委員長とする「大牟田市公共工事コスト縮減対策検討委員会」を開催し、「依然として 厳しい財政事情の下で引き続き社会資本整備を進めるためには、新行動計画にかわる次期 計画の策定が必要。」との方向性が示された。 2.国の取り組み 一方、国土交通省においては、平成15年度から、公共事業のすべてのプロセスをコス トの観点から見直す、コスト構造改革に取り組むこととし、従前から取り組んでいる「公 共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」を継続実施することに加え、 「事業の迅速化」 、 「計画・設計から管理までの各段階における最適化」、 「調達の最適化」の観点から新たな 施策を盛り込み、平成15年度から19年度までを期間とした「公共事業コスト構造改革 プログラム」を策定した。 更に、同省において、平成20年度からは、厳しい財政事情が続くなか、引き続きコス ト縮減の取り組みを継続する必要がある一方で、コスト縮減のみを重視した取り組みから、 コストと品質の両面を重視する取り組みへの転換を図ることが重要との認識から、これま でのコスト構造改革の取り組みに加えて、「ライフサイクルコスト構造の改善」や「社会的 コスト構造の改善」等の観点を追加した「総合的なコスト構造改善」を推進することとし、 平成20年度から24年度までを期間とした「国土交通省公共事業コスト構造改善プログ ラム」 (以下「国プログラム」という。 )を策定した。 1 3.大牟田市公共事業コスト構造改善プログラムの位置付け 大牟田市においても、厳しい財政事情の下、限られた財源を有効に活用し、効率的な公 共事業の執行を通じて社会資本の整備・維持を着実に進めていくためには、これまで実施 してきたコスト縮減対策だけでは限界があることから、 「新行動計画」の施策の定着を図る とともに、新たな施策を進めていくことが必要である。 このため、 「国プログラム」の取り組みとの整合を図り、経済的にも配慮しつつ公共事業 の構想・計画段階から維持管理までを通じて、投資に対して最も価値の高いサービスを提 供すること(VFM最大化)を重視し、価格と品質の両面の施策を充実させるため、平成 19年度に策定された「国プログラム」を参考に「大牟田市公共事業コスト構造改善プロ グラム」 (以下「改善プログラム」という。)を策定することとした。 4.改善プログラムの取り組み方針 (1)改善プログラムの対象 本市が実施する公共事業のすべてのプロセス(構想、計画、調達、工事、維持管理、更 新等)を対象とする。 (2)計画期間 計画期間は平成21年度から平成25年度までの5年間とする。 (3)数値目標 計画期間の5年間で、平成19年度と比較して6%のコスト構造の改善を目標とする。 5.具体的施策 「改善プログラム」の具体的施策を以下に示す。なお、 「改善プログラム」には直ちに実 施できる施策のみではなく、検討、試行、関係部局との調整を行ったうえで実施に移行す る施策を含むものとし、 「改善プログラム」策定後も、必要に応じて施策を追加、変更する こととする。 Ⅰ.事業のスピードアップ 【1】合意形成・協議手続きの改善 施策1.構想段階からの合意形成手続きの積極的導入・推進 ①事業ごとに事業プロセスの構想段階からの合意形成手続きを導入、推進する。 施策2.関係機関との調整による協議手続きの迅速化・簡素化 ①関係部局で協議手続きの内容の必要性、妥当性等も含めて点検・検討し、迅速化・簡 素化を推進する。また、他機関と関連するものについては事前協議を行い事業の迅速 化を図る。 【2】事業の重点化・集中化 施策3.事業評価の厳格な実施による透明性の向上 ①新規事業採択時評価と再評価などを厳格に実施し、真に必要な公共投資を選別すると の観点から事業箇所を厳選する。 2 ②事業完了後の事業の効果や環境への影響等の確認を行う事後評価を厳格に実施し、同 種事業の計画・調査のあり方等に反映する。 施策4.重点的な投資や事業の進捗管理の徹底による事業効果の早期発現 ①事業箇所の厳選による集中投資や施工方法の工夫等により事業効果の早期発現を図る。 ②早期完成の必要性や効果が高い事業について完成時期を予め明示宣言する等事業の進 捗管理を徹底する。 ③計画的かつ迅速な工事発注を行う。 【3】用地・補償の円滑化 施策5.あらかじめ明示された完成時期を目標とした計画的な用地取得を実現 ①事業の計画段階から将来の供用までを見据えた準備を行う。 施策6.用地取得業務の効率化のための民間活力の活用 ①用地取得業務で補償コンサルタント等の外部の専門家を幅広く活用する。 Ⅱ.計画・設計・施工の最適化 【1】計画・設計の見直し 施策7.技術基準類の見直し ①性能規定化・限界状態設計法(※1)等への移行を推進する。 ②各事業に関する技術基準の統一可能性を検討・推進し、各事業の整備における合理的 な設計を推進する。 ③構造物のプレキャスト化(※2)を推進する。 ④施設の耐震化・免震化の検討を行う。 ⑤市場規格品、汎用品等の使用拡大を行う。 (※1)種々の限界状態を想定し、それぞれの状態に対する安全性を個々に照査する方法。 (終局限界状態、使用限界状 態、疲労限界状態) (※2)専用工場においてあらかじめコンクリート製品を製作した後、現場へ運搬して設置を行う工法。 施策8.技術基準の弾力的運用(ローカルルールの設定) ①地域の実情にあったより合理的な計画・設計を推進するため、ローカルルールの設定 等の技術基準の弾力的運用を検討する。 施策9.設計VEによる計画・設計の見直し ① 設計段階から維持管理段階まで含めた設計VE(※1)を検討する。 (※1)Value Engineering の略。建設事業の各段階で専門知識を活用し、計画、設計、施工方法の見直しにより、費 用の投資効果を最大限に高めること。 施策10.計画・設計方法の検討 ①事業の重点化・効率化を図りつつ計画的な整備の推進を行う。 ②施設整備計画の複合化最適化等についての検討を行う。 ③整備手法や計画・設計諸元の見直しを行う。 ④既存施設の計画的な整備及び高度活用等を行う。 ⑤工期短縮の検討を行う。 3 【2】施工の見直し 施策11.工事における事業間連携等の推進 ①施設の多目的化、複合化により効率的な整備を行う。 ②他事業と連携した工事の実施を行う。 ③関連工事の工程調整により仮設物を共用する。 施策12.建設副産物対策等の推進 ①建設副産物等に関する関係機関との情報交換の充実を図る。 ②建設副産物の発生の抑制・再生資源の利用促進を徹底する。 【3】民間技術の積極的な活用 施策13.公共工事等における新技術活用システム(NETIS(※1))を通じた民間技術の 積極的活用 ①新技術に関する内容、従来技術との比較、歩掛情報等の提供を推進する。 ②新工法、新材料を積極的に活用する。 (※1)NEw Technology Information System の略 【4】社会的コストの低減 施策14.工事に伴うCO2排出の抑制による地球温暖化対策の一層の推進 ①低燃費型建設機械等の普及促進を図る。 ②地域資源の活用を行う。 ③新技術の活用の推進を行う。 ④地球温暖化、健康障害などに配慮した建材の採用を行う。 ⑤ 環境に配慮した計画の推進を行う。 施策15.社会的影響の低減(騒音・振動等の抑制、大気環境に与える負荷の低減、工事 による渋滞損失の低減、事故の防止) ①排出ガス対策型建設機械等の普及促進を図る。 ②低騒音・低振動型建設機械等の普及促進を図る。 ③工事期間中の交通渋滞による社会的影響の低減を図る。 ④工事の事故防止を推進する。 ⑤環境と調和した施設の整備を図る。 Ⅲ.維持管理の最適化 【1】民間技術の積極的な活用 施策16.民間技術による維持管理技術の高度化 ①既存施設等の長寿命化を重視した補修、修繕工法の活用を図る。 ②非破壊検査技術等新技術を活用した点検技術の導入を検討する。 施策17.施設の長寿命化を図るための技術基準類の活用 ①施設の長寿命化を図るための技術基準類を活用する。 4 【2】戦略的な維持管理 施策18.公共施設の点検結果等にかかるデータベースの整備 ①公共施設の点検結果等にかかるデータベースの整備を推進する。 施策19.公共施設の長寿命化に関する計画策定の推進 ①長寿命化を考慮した戦略的な維持管理システムを構築、運用するための計画策定 を推進する。 施策20.地域の実情や施設特性に応じた維持管理の推進 ①地域住民やボランティアの参加による維持管理を推進する。 ②公共施設等の管理水準について地域特性等に応じた合理化や見直しを行う。 ③効率的・計画的な維持管理・更新による維持管理費の低減を図る。 ④エネルギーの有効利用やエネルギー効率の良い機器等を採用する。 Ⅳ.調達の最適化 【1】電子調達の推進 施策21.CALS/EC(※1)の活用による入札・契約の推進 ①全ての入札について、入札参加者が入札説明書等の設計図書をネットワーク経由で入 手可能とするなど、電子入札の検討・実施を図る。 ②ICT(※2)の活用により、入札情報を一元的に提供する。 (※1)Continuous Acquisition and Life-cycle Support/Electronic Commerce の略。公共事業支援統合情報システ ムのこと。 (※2)Information and Communication Technology の略。情報通信技術のこと。 施策22.電子情報の共有化による建設工事の生産性の向上 ①工事関係書類等について受発注者が電子媒体を通じて相互にやりとりし、その蓄積に より必要な成果物の電子納品が可能となるよう、情報共有や電子納品を推進する。 ②建設工事の生産性の向上のため、設計段階と施工段階及び施工段階と維持管理段階間 の電子情報の共有化を推進する。 【2】入札・契約の見直し 施策23.総合評価方式の推進 ①本市発注工事において、原則総合評価方式による調達を行う。 ②詳細設計等の業務の調達における総合評価方式の導入を検討する。 施策24.多様な発注方式の活用 ①設計施工一括発注(デザインビルド)方式、詳細設計付き施工発注方式、本体・設備 一括発注方式の活用を検討する。 ②適切な発注ロットの推進を図る。 ③技術提案を受ける入札、契約方式(VE方式等)を検討する。 施策25.企業の持つ技術力・経営力の適正な評価 ①成績評定のデータベースの活用を図る。 ②入札参加条件や総合評価方式における評価項目等での工事成績の活用を推進する。 5 施策26.民間の技術力・ノウハウを活用した調達方式(PFI(※1)方式等)の推進 ①PFI方式等の活用を推進し、民間の資金・能力を活用する。 (※1)Private Finance Initiative の略。公共施設の建設、維持管理、運営等を、民間の資金、経営能力、技術的 能力を活用して行うこと。 施策27.複数年にわたる工事の円滑な執行のための手続き改善 ①債務負担行為を計画的かつ積極的に活用する。 ②維持管理付き工事の積極的導入を図る。 施策28.受発注者のパートナーシップの構築による建設システムの生産性向上 ①受発注者間の協議の迅速化により、施工の効率化を図る。 施策29.公共工事等の品質確保の推進 ①施工品質や技術者の技術水準などの向上を図るため、工種・工事種別及び作業内容に 応じた技術士を適用する。 ②公共工事の品質確保を図るための施工プロセスを通じた監督・検査の推進を行う。 ③出来高部分払いの活用を図り、下請企業までのキャッシュフローを改善する。 ④品質を確実に確保するための低入札対策を推進する。 ④優良な技術者の確保・育成を図る。 【3】積算の見直し 施策30.ユニットプライス型積算方式(※1)や市場単価方式(※2)の適用拡大 ①積算価格の説明性・市場性を向上するとともに、積算にかかるコスト、労力を低減す る「ユニットプライス型積算方式」の適用工種の検討を行う。 ②市場単価方式の適用工種を拡大する。 ③積算のシステム化と充実を推進する。 (※1)同様の工事における契約金額の実績データベースにより予定価格を決める積算方式。 (※2)材料費、労務費、下請経費等を含む単位工事量当りの市場での取引価格を把握して、その単価を直接、積算価 格の算出に利用する方式。 6.フォローアップ 「改善プログラム」の実施状況については、具体的施策の着実な推進を図る観点から、 「公 共事業コスト構造改善対策検討委員会」 (委員長:契約検査室長)において適切にフォロー アップし、その結果を公表する。 フォローアップにあたっては、 「改善プログラム」に示した各施策の実施状況を出来るだ け定量的に把握する。 なお貨幣換算により評価することが可能な施策については、併せて 「総合コスト改善率」により評価するものとし、貨幣換算により評価することが困難な施 策については、その他の指標により出来る限り定量的にその進捗等を把握する。 6
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