Oliver Cann, Director, Media Relations, Tel.: +41 79 799 3405; Email: [email protected] シンガポールは世界の ICT 改革をリード、一方アジア地域のデジタル貧困も浮き彫りに • • • • シンガポールが、世界経済フォーラムの ICT ランキングで 143 カ国中第 1 位。日本や「アジアの虎」はいずれ も 20 位以内に入る。 中国は第 62 位で現状維持。マレーシアの 32 位はアジア地域の開発途上国で最も高い順位だった。ミャンマー は依然としてアジア地域で最も順位が低い。 世界全体では、「デジタル貧困(Digital Poverty)」の問題の増加が報告されている。特に開発途上国や新興経 済国では、先進国との ICT 格差を縮められないことが原因となっている。 レポート、データ、参考資料については こちらをご覧ください。 2015 年 4 月 15 日、スイス、ジュネーブ – 本日発表された世界経済フォーラムの『グローバル・インフォメーショ ン・テクノロジー・レポート 2015』によると、情報通信技術(ICT)を利用して社会と経済の発展を推進する国と して、シンガポールが第 1 位となりました。 シンガポールは前年にネットワーク整備指数(NRI)で 1 位だったフィンランドに代わりトップに立ちました。NRI は、143 の国と地域における情報通信技術の整備、利用および活用する能力を評価するものです。そのほかにアジ アから上位 10 カ国に入ったのは日本だけで、前年から 10 も順位を上げて第 6 位となりました。一方、香港特別自 治区と大韓民国は上位 10 から陥落、それぞれ 8 位から 14 位、10 位から 12 位と順位を下げました。しかし「アジ アの虎」はいずれも上位 20 カ国に入りました。アジア地域最大の国である中国は 62 位で順位は変わっていません。 アジアの他地域では、根強いデジタル貧困が更に広まっていることが見て取れます。アジア地域の 3 分の 2 の国が 下位半分にランキングされました。マレーシアは 32 位と健闘していますが、モンゴル(61 位)、スリランカ(65 位)、タイ(67 位)は、それから 30 位程も後れを取っています。またインドは 6 ランク下げ 89 位、今年は BRICs 諸国の中で最も振るわない結果となりました。なおインドは、この 2 年 間で 21 もランクを落としています。 ネットワーク整備指数ランキング 2015: 世界全体に目を向けると、ヨーロッパから 6 カ国がトップ 10 に入り、G7 の中 で最も順位が高かったのはアメリカ合衆国(7 位)でした。しかしレポートの データを見る限りでは、確かに上位と下位との間でのデジタル格差は広がって いることが示されています。上位 10 パーセントの国々は、下位 10 パーセント の国々と比較して、2012 年からの改善は 2 倍も進んでいます。このことは、 開発途上国や新興経済国が、ICT から最大限の利益を得るのに必要なインフラ、 制度、スキルの開発を求める際に直面する課題の大きさを示すもので、地球全 体の人口の半数以上が携帯電話を所有しているのにかかわらず、インターネッ トを利用できるのは地球の人口のわずか 39 パーセントに過ぎないことが原因 となっています。 アジア太平洋トップ 10 経済圏 シンガポール 2015 年 2014 年 1 2 日本 10 16 韓国 12 10 香港 14 8 オーストラリア 16 18 ニュージーランド 17 20 台湾 18 14 マレーシア 32 30 世界のその他の地域について、主要な新興市場では、ネットワーク整備に対し て、全体として期待したほどの前進は見られませんでした。ロシア連邦は 61 モンゴル 61 BRICs 諸国のトップで、前年から順位を 9 上げて、2015 年は 41 位になりまし 62 62 中国 た。中国もランキングの上位半分に入りましたが、順位は 62 位の現状維持で した。そのほかの BRICs 諸国は順位を落とし、南アフリカ共和国(前年から 5 ランク下がり 75 位)、ブラジル (15 ランク下がり 84 位)、インド(6 ランク下がり 89 位)と続いています。 「BRICs 諸国の例は特殊なものではありません。ここ 10 年ほどで NRI のランキングを上げているそのほかの国で も、停滞や後退をしている例が数多く見られます。これは、国内の農村部と都市部との間や、所得層間に依然とし て格差があり、その結果としてデジタル経済から取り残されている人が数多くいることに原因の一端があると思わ れます」と、INSEAD のヨーロッパ競争力イニシアティブ(IECI)およびグローバル指数プロジェクトのエグゼク ティブ・ディレクターを務めるブルーノ・ランヴァン(Bruno Lanvin)氏 は語っています。 また、コーネル大学サミュエル・カーティス・ジョンソン経営大学院の院長(Anne and Elmer Lindseth Dean)で、 当レポートの共同編集者でもあるスーミトラ・ドゥッタ(Soumitra Dutta)氏は、「このレポートには、技術開発 が容赦なく進められるとすれば、各国間でのデジタル格差の拡大が深刻な問題となるということが示されています。 開発の遅れている国はますます取り残される危険があります。この問題に早急に対処するために、具体的な行動を 取らなければなりません」と語っています。 当レポートによると、予測通り、高所得の国や地域が上位 30 位までを占めたことのほかに、ターゲットを絞って改 革を行った多くの国で、指標スコアとランキングとの両面でかなりの改善が見られたことが明らかになりました。 その中で予想以上の結果を残したのは、アルメニア(58 位)、グルジア(60 位)、カザフスタン(40 位)で、い ずれも 2012 年以来著しく改善されています。コーカサス地方や中央アジア以外では、アラブ首長国連邦(UAE、 23 位)、エルサルバドル(80 位)、マケドニア共和国(旧ユーゴスラビア、66 位)、モーリシャス(45 位)およ びラトビア(33 位)が、同じ期間で目立った改善を見せています。 「携帯電話は世界中どこでも見られるかもしれませんが、ICT 改革は通話や SMS(ショート・メッセージ・サービ ス)によって実現されるものではありません。容易にインターネットに接続できるのでなければ、世界の人口の大 部分はこれからもデジタル貧困の中で生活することになり、ICT が提供する、大きな社会的利益や経済的利益を享 受できないでしょう」と世界経済フォーラムの上級エコノミストで、今回のレポートの共同執筆者のティエリー・ ガイガー(Thierry Geiger)氏は語っています。 当レポートで、個人、会社、政府が ICT を取り入れることと、これらが経済や社会に影響を及ぼす力との間に極め て高い相関関係が見られることが確認されました。また、政府主導による適切な規制とビジネス環境を確立すると ともに、競合する ICT 市場を整備することは、全ての国にとっての基本要件になるということも指摘されています。 アメリカのシスコシステムズ社のグローバルテクノロジー政策担当副社長ロバート・ペッパー(Robert Pepper) 博士は次のように語っています。「ブロードバンドは収入を増加させる手だてです。誰もが確実に ICT の恩恵を受 けられるようにするため、ブロードバンドを、低所得層の人々をはじめとして全面的に拡大する必要があります。 現状では、接続されていない国や人々はなおざりにされています」 しかし、政府がデジタル格差に対処するための行動を取る必要がある一方、デジタル経済への参加を促すための努 力も欠かせないと、バフジャト・エルダルヴィシュ(Bahjat El-Darwiche)氏は反論しています。エルダルヴィシ ュ氏は世界経済フォーラムのパートナーであり、Strategy&(ストラテジー・アンド)で、中東方面の通信、メディ ア 、テクノロジー部門のリーダーを務めています。「新興市場は、より多くの人にインターネットを利用してもら うために、その地域にふさわしい、関連性のあるデジタルコンテンツの持続的な供給を保証する必要があります。 このためには、管理、ブランド、経営者、コンテンツ開発者など、デジタルエコシステムの発展のために重要な役 割を果たす主要関係者間で行動を調整しなければなりません。そして、地域にふさわしいコンテンツをより多く、 より良く提供することが、新興市場で生活する何百万の人々に雇用と高所得をもたらす助けとなるでしょう」。 『グローバル・インフォメーション・テクノロジー・レポート 2015』は、包括的な成長のための ICT というテーマ の下で、著名な専門家や実践者が、誰もが ICT 改革によって利益を受け、ICT 改革へと参加できるようにするため の解決策を示した 10 本の論文を紹介しています。 当レポートは、世界経済フォーラム、INSEAD およびコーネル大学のサミュエル・カーティス・ジョンソン経営大 学院の協力によりまとめたものです。またシスコと Strategy&からの貴重な支援にも大いに助けられました。 レポート編集は、コーネル大学サミュエル・カーティス・ジョンソン経営大学院の院長(Anne and Elmer Lindseth Dean)で経営学教授のスーミトラ・ドゥッタ氏 、世界経済フォーラム上級エコノミストのティエリー・ガイガー 氏、グローバル指数、INSEAD エグゼクティブ・ディレクターのブルーノ・ランヴァン氏の 3 名が担当しました。 ネットワーク整備指数について 2001 年以来、ネットワーク整備指数(NRI)は、それぞれの国や地域が繁栄を共有するために情報通信技術(ICT) を利用できるようにする要因、政策および制度について毎年評価をしてきました。この評価は、環境、整備、使用 および影響という 4 つの主要分野からなる 53 の指標に基づいて行われます。それぞれの指標は、一般に公開され ている情報源から入手したデータと、経営幹部意見調査の調査結果を結合したものを使用しています。経営幹部意 見調査は、世界経済フォーラムが 160 のパートナー機関ネットワークと共同で実施した、13,000 人の企業の重役を 対象とする世界規模の調査です。 編集注記 レポートの本文を読む:http://wef.ch/gitr15 PDF リーダーを使う:http://www3.weforum.org/docs/WEF_Global_IT_Report_2015.pdf レポートのインフォグラフィックを見る:http://wef.ch/gitr15 Flickr でフォーラムのベストショットを見る:http://wef.ch/pix フェイスブックでフォーラムのファンになる:http://wef.ch/facebook ツイッターでフォーラムをフォローする: http://wef.ch/twitter フォーラムのブログを読む: http://wef.ch/blog フォーラムの最新イベントを見る:http://wef.ch/events フォーラムのニュースリリースを定期購読する:http://wef.ch/news 世界経済フォーラム(World Economic Forum)は、グローバル・シチズンシップの精神に則り、パブリック・プライベート両セクターの協力を 通じて、世界情勢の改善に取り組む国際機関です。ビジネス界、政界、学界および社会におけるその他のリーダーと連携し、世界・地域・産業 のアジェンダを形成します。1971 年にスイスのジュネーブに本部を置く非営利財団として設立された世界経済フォーラムは、いずれの利害関係 にも関与しない独立・公正な組織です。あらゆる主要国際機関と緊密に連携して活動しています。(www.weforum.org) 世界経済フォーラムからのニュースリリースの配信停止をご希望の場合は、こちらをクリックしてください。
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