<自然と人間> 地域 の 自然 災害 北海道のそれぞれの地域で起こる可能性がある自然災害のうち,地震災害,火山災害,土砂災害, 気象災害について,簡単に自作することができるモデル実験装置を用いて,これらの自然災害を発 生させる現象を再現させ,災害が発生する仕組みや災害による被害を軽減する方策などを調べる方 法を検討した。 [キーワード]中学校理科 1 地震災害 目 的 自然と人間 自然災害 −津波− モデル実験 考 (1) 津波の被害が出やすい海岸の地形につい 津波が押し寄せる様子と海岸の形などの関係 て理由も含めて考える。 についてモデルを用いて調べる。 準 察 (2) 津波の被害を防ぐためにどのような方策 備 があるか考える。 木枠(180cm×90cm×20cm),海底用の板( 90cm×90cm×5mm),ビニルシート(300cm× 2 火山災害 180cm),れんが(数個 ),木片(小) 目 的 方 法 −火山噴火に伴う降下物− 火山の噴火に伴う火山弾や火山灰などの降下 (1) 図1のように,木枠の中に海底用の板を 置き,上から厚手のビニルシートをかぶせ, 物の分布と風による影響を調べる。 準 備 ペットボトル(350cm 3 ),ビニルホース(1 水を深さ約5cmのところまで入れる。 m ), パン チ ボー ル (風 船 ), 小麦 粉 ,生 パン 粉,ビニルシート(青:180cm×360cm ),扇風 ア 機 イ 海底用の板 A 方 木枠 (1) ペットボトルの側面に穴をあけビニルホ ビニルシート 図1 法 ースを取り付け,火山灰に見立てた小麦粉 津波のモデル実験装置 と火山弾に見立てた生パン粉をペットボト (2) 図1のアとイの水面付近に木片を浮かべ る。 ルに入れる。 (2) ペットボトルをビニルシートの上に置き, (3) 図1のA側のビニルシートを軽く持ち上 げて津波に見立てた波を発生させ,海岸に 押し寄せる津波の様子と木片の動き方を観 察する。 ビニルホースの先端に膨らませたパンチボ ールを接続する。 (3) 離れたところに扇風機を置き,ペットボ トルの上を風が通るようにする(図2 )。 (4) アの付近にV字型の湾とU字型の湾の海 岸の地形モデルをれんがで作り,津波が湾 奥でどのようになるか観察する。 (4) パンチボールから空気を出し,火山灰と 火山弾を噴き上げさせる。 (5) 火山灰や火山弾の降下の様子や分布の様 (5) いろいろな海岸モデルを作り,津波の押 子を観察する。 し寄せる様子を観察する。 - 56 - 理科教 育指導資料 第33集( 2001) 地域の自然災害 風 (2) 泥流が発生する直前にどのようなことが 風船 起きているかまとめ,泥流の発生を予測す る手段について考える。 ペットボトル 小麦粉,生パン粉 ビニルホース ビニルシート 図2 考 4 気象災害 目 的 火山噴火モデル 様々な気象条件のもとで,体の熱が奪われ体 察 温低下が起こる仕組みと,体温低下を防ぐ方法 (1) 火山灰や火山弾の分布の様子と風との関 を調べる。 準 係についてその理由を含めて考える。 備 ペットボトル(500cm 3 ,4本 ),温度計,お (2) 火山噴火による降下物から身を守る方法 参 −吹雪のときの体温低下− を考える。 湯(40℃ ),断熱材,ビニル袋 考 方 防災マップの利用 (1) 防災マップに記載されている火山災害の 法 (1) 5本のペットボトルに 種類を調べる。 お湯を満たし,温度計の (2) 火山災害を軽減する手段について調べる。 球部がペットボトルの中 (3) 火山災害への備えや,災害発生時にすべ 心付近になるようにする きことを学級で話し合う。 土砂災害 目 的 お湯 (図4 )。 (2) 吹雪のとき,屋外の次 3 温度計 −泥流− 図4 測定器具 の4つの場所にそれぞれペットボトルを置 く。 多量の降雨により泥流がどのようにして発生 ①風雪の激しい場所 するかを調べる。 ②雪は当たらないが風が当たる場所 準 ③雪は当たるが風が当たらない場所 備 細かい土砂(約1kg,火山灰がよい ),ベニ ④雪と風が当たらない場所(かまくら内) ヤ板(40cm×30cm),霧吹き(3個 ),バット 方 (3) それぞれのペットボトルでの水温の低下 法 を1分毎に測定する。 (1) 板の片側をバ (4) ペットボトルを布やフリース,ビニル袋, ットに入れ板を 断熱材などで被って,方法(2)の①,②の 約15度傾ける。 場所で同様の実験を行う。 板 (2) 図3で指定し 火山灰 た範囲に,土砂 水をか ける範囲 を約1cmの厚さ で載せる。 考 察 (1) 風や溶けた雪の水分により,ペットボト ル内のお湯の熱が奪われる理由を考える。 図3 泥流モデル実験装置 (2) 吹雪のときに,衣服や断熱材,ビニル袋, (3) 図3で指定した範囲に,霧吹きで降雨に かまくらなどで体温低下を防ぐことができ 見立てた水をかける。 る理由について考える。 (4) 土砂が湿っていく様子と,泥流が発生す 考 る様子を観察する。 参考文献 察 宮嶋衛次 総合的な学習の時間における災害・防災をテーマ としたカリキュラムの研究 北海道立理科教育センター 研究紀要 第12号 pp.92-97 2000 (1) 泥流と河川の流水との違いを考える。 北海道立理科教育センター - 57 -
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